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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】シュート管の閉塞防止構造
(51)【国際特許分類】
   F23K 3/20 20060101AFI20231003BHJP
   B65G 11/12 20060101ALI20231003BHJP
   F16L 55/24 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F23K3/20
B65G11/12
F16L55/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022555265
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2021023345
(87)【国際公開番号】W WO2022074876
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2020170654
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 新治
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009194(JP,A)
【文献】特開2019-076876(JP,A)
【文献】実開平04-005290(JP,U)
【文献】中国実用新案第204310281(CN,U)
【文献】実開平02-092436(JP,U)
【文献】特開2014-159933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 3/00 - 3/22
B65G 11/00 - 11/20
F16L 55/24
F23G 5/00 - 5/50
F23J 3/00 - 3/06
B08B 9/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連なって同軸上に順に接続される3つ以上の複数の円筒部材を有し、炉体と連通するシュート管と、
隣り合う前記円筒部材のペアの各々を互いに相対的に回動させる回動機構と、
前記隣り合う円筒部材のペアの各々において、前記複数の円筒部材の接続方向の一側に配置される一方の前記円筒部材に設けられ、前記接続方向の他側に配置される他方の前記円筒部材の内周面に対向するスクレーパと、
を備える、
シュート管の閉塞防止構造。
【請求項2】
前記スクレーパは、前記円筒部材の軸方向に延在する、
請求項1に記載のシュート管の閉塞防止構造。
【請求項3】
前記スクレーパは、前記他方の円筒部材の内周面と離隔している、
請求項1または2に記載のシュート管の閉塞防止構造。
【請求項4】
前記スクレーパのうち前記他方の円筒部材に対する相対的な回動方向側の側面は、前記円筒部材の径方向内側に進むにつれて前記回動方向側と逆側に傾斜している、
請求項1から3のいずれか一項に記載のシュート管の閉塞防止構造。
【請求項5】
前記回動機構は、前記円筒部材の外側に前記円筒部材と離隔して設けられる、前記円筒部材を回動させる動力を出力するモータを有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシュート管の閉塞防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シュート管の閉塞防止構造に関する。本出願は2020年10月8日に提出された日本特許出願第2020-170654号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
ボイラ等の設備では、シュート管を介して種々の原料が炉体に供給される。炉体に供給される原料が多くの水分を含む場合等に、シュート管の内周面に原料が付着して堆積する場合がある。シュート管に原料が堆積し続けると、シュート管が閉塞してしまうおそれがある。そこで、シュート管の内周面に付着した原料を除去するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、そのような技術として、シュート管に付着した原料を圧縮空気で吹き飛ばす技術、および、シュート管の壁部に衝撃を与えることにより付着した原料を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-009194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シュート管の内周面に付着した原料を除去するための従来の技術では、付着した原料を十分に除去できない場合があった。ゆえに、シュート管に付着した原料をより効果的に除去することによって、シュート管の閉塞を抑制することが望まれている。
【0005】
本開示の目的は、シュート管の閉塞を効果的に防止することが可能なシュート管の閉塞防止構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のシュート管の閉塞防止構造は、互いに連なって同軸上に順に接続される3つ以上の複数の円筒部材を有し、炉体と連通するシュート管と、隣り合う円筒部材のペアの各々を互いに相対的に回動させる回動機構と、隣り合う円筒部材のペアの各々において、複数の円筒部材の接続方向の一側に配置される一方の円筒部材に設けられ、接続方向の他側に配置される他方の円筒部材の内周面に対向するスクレーパと、を備える。
【0007】
スクレーパは、円筒部材の軸方向に延在してもよい。
【0008】
スクレーパは、他方の円筒部材の内周面と離隔していてもよい。
【0009】
スクレーパのうち他方の円筒部材に対する相対的な回動方向側の側面は、円筒部材の径方向内側に進むにつれて回動方向側と逆側に傾斜していてもよい。
【0010】
回動機構は、円筒部材の外側に円筒部材と離隔して設けられる、円筒部材を回動させる動力を出力するモータを有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、シュート管の閉塞を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係るシュート管を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態に係るシュート管の閉塞防止構造を示す模式図である。
図3図3は、図2のA-A断面を示す断面図である。
図4図4は、図2のB-B断面を示す断面図である。
図5図5は、本実施形態に係るスクレーパを図4の矢印Dの方向から見た模式図である。
図6図6は、図2のC-C断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るシュート管1を示す模式図である。シュート管1は、ガス化炉等の炉体2に原料を供給するための管である。ただし、シュート管1の適用対象となる炉は、特に限定されない。例えば、シュート管1の適用対象となる炉としては、溶融炉、燃焼炉または焼却炉等が挙げられる。炉体2に供給される原料は、例えば、炉体2内で燃焼される石炭等の燃料である。ただし、炉体2に供給される原料は、特に限定されない。
【0015】
ここで、炉体2に供給される原料の水分が多いほど、シュート管1の内周面に原料が付着しやすくなり、シュート管1が閉塞しやすくなる。ゆえに、多くの水分を含む原料(例えば、褐炭)がシュート管1によって炉体2に供給される場合、本開示がより有効に活用される。
【0016】
炉内圧力が過度に高い、または、過度に低い場合、シュート管1の内部で流量の大きなガス流れが発生し、炉体2の内部から漏出したガス等がシュート管1の部材間を通過する。それにより、シュート管1の部材間のシール性が低下しやすくなる。ゆえに、シュート管1の適用対象となる炉は、炉内圧力が常圧(例えば、-1kPa~1kPa程度)である常圧炉であることが好ましい。なお、シュート管1は、炉体2から発せられる熱によりある程度加熱されるものの、過度には加熱されないことが好ましい。
【0017】
図1に示すように、シュート管1は、炉体2と連通する。図1に示す例では、炉体2は、鉛直方向(図1中の上下方向)に延在している。ただし、炉体2の延在方向は、鉛直方向以外であってもよい。シュート管1は、炉体2の側壁部と接続されている。シュート管1は、投入部11と、鉛直部12と、傾斜部13とを備える。投入部11、鉛直部12および傾斜部13は、この順に連なって接続されている。
【0018】
投入部11は、原料が投入される部分である。投入部11は、シュート管1のうち最上部に配置されている。投入部11は、主投入部111と、副投入部112とを有する。主投入部111は、上側に進むにつれて拡径している。主投入部111には、炉の原料のうち主たる原料(例えば、褐炭等の石炭)が投入される。副投入部112は、主投入部111の下方から分岐して上側に傾斜している。副投入部112には、炉の原料のうち主たる原料以外の原料(例えば、コークス等の固体燃料)が投入される。
【0019】
鉛直部12は、投入部11の下端から鉛直下方に延在する。鉛直部12は、互いに連なって同軸上(具体的には、鉛直軸上)に接続される複数の円筒部材121を有する。各円筒部材121は、略円筒形状を有する部材である。円筒部材121は、例えば、軟鋼等の金属材料によって形成される。複数の円筒部材121は、後述する閉塞防止構造3(図2を参照)に含まれる。なお、図1では、4つの円筒部材121が示されているが、円筒部材121の数は4つ以外であってもよい。
【0020】
傾斜部13は、鉛直部12の下端から鉛直方向に対して傾斜した方向に延在する。傾斜部13の下端は炉体2の側壁部と接続されている。
【0021】
投入部11に投入された原料は、鉛直部12および傾斜部13を順に通過して、炉体2の内部に送られる。ここで、炉体2に供給される原料が多くの水分を含む場合等に、シュート管1の内周面に原料が付着して堆積する場合がある。シュート管1に原料が堆積し続けると、シュート管1が閉塞してしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、シュート管1の内周面に付着した原料を除去し、シュート管1の閉塞を効果的に防止するために、シュート管1に閉塞防止構造3が設けられている。
【0022】
図2は、本実施形態に係るシュート管1の閉塞防止構造3を示す模式図である。図2には、図1中のシュート管1の鉛直部12の一部が拡大されて示されている。図2に示すように、閉塞防止構造3は、シュート管1と、回動機構4と、スクレーパ5と、スクレーパ取付部6とを備える。
【0023】
隣り合う円筒部材121は、円筒部材121の中心軸まわりに互いに相対的に回動可能となっている。図2では、シュート管1の鉛直部12の複数の円筒部材121のうちの円筒部材121A、121B、121Cが示されている。円筒部材121A、121B、121Cは、この順に、上側から下側に並んでいる。隣り合う円筒部材121A、121Bは、互いに相対的に回動可能となっている。隣り合う円筒部材121B、121Cは、互いに相対的に回動可能となっている。
【0024】
回動機構4は、隣り合う円筒部材121を互いに相対的に回動させる機構である。回動機構4は、ケーシング部材41と、ベアリング42と、内側シール部材43と、外側シール部材44と、モータ45と、ギヤ46と、動力伝達部材47とを有する。
【0025】
回動機構4のうち、ケーシング部材41、ベアリング42、内側シール部材43および外側シール部材44は、隣り合う円筒部材121の間でのシール性を確保しつつ、隣り合う円筒部材121を互いに相対的に回動可能に保持するために設けられる。
【0026】
各円筒部材121の両端部には、径方向外側に延在するフランジ部122、123が形成されている。フランジ部122は、各円筒部材121の上端部に形成されている。フランジ部123は、各円筒部材121の下端部に形成されている。フランジ部122の径方向の長さは、フランジ部123の径方向の長さよりも長い。隣り合う円筒部材121の接続箇所において、上側の円筒部材121のフランジ部123と下側の円筒部材121のフランジ部122とが対向している。例えば、隣り合う円筒部材121A、121Bの接続箇所において、上側の円筒部材121Aのフランジ部123と下側の円筒部材121Bのフランジ部122とが対向している。ケーシング部材41は、隣り合う円筒部材121の接続箇所に設けられる。
【0027】
ケーシング部材41は、円筒部材121と同軸上に配置されている。ケーシング部材41は、略環形状を有する。ケーシング部材41は、径方向延在部411と、軸方向延在部412とを含む。径方向延在部411は、円筒部材121の径方向に延在する環形状を有する。径方向延在部411は、隣り合う円筒部材121のうちの上側の円筒部材121に対して径方向外側、かつ、上側の円筒部材121のフランジ部123より上方に配置される。軸方向延在部412は、円筒部材121の軸方向に延在する環形状を有する。軸方向延在部412は、径方向延在部411の外周端部から下方に延在する。軸方向延在部412の下端部は、隣り合う円筒部材121のうちの下側の円筒部材121のフランジ部122の外周端部に溶接等によって取り付けられている。
【0028】
ベアリング42、内側シール部材43および外側シール部材44は、隣り合う円筒部材121の接続箇所において、上側の円筒部材121のフランジ部123と下側の円筒部材121のフランジ部122との間に設けられる。ベアリング42、内側シール部材43および外側シール部材44は、上側の円筒部材121のフランジ部123と下側の円筒部材121のフランジ部122とによって軸方向に挟持されている。隣り合う円筒部材121は、ベアリング42によって回動可能に支持される。内側シール部材43および外側シール部材44は、例えば、金属製のOリングである。内側シール部材43は、ベアリング42よりも径方向内側に設けられる。外側シール部材44は、ベアリング42よりも径方向外側に設けられる。
【0029】
ケーシング部材41には、グリス注入孔413が形成されている。グリス注入孔413は、ケーシング部材41の内外を連通する貫通孔である。図2の例では、グリス注入孔413は、上下方向に延在し、径方向延在部411に形成されている。グリス注入孔413を介して、ケーシング部材41の外部から内部にグリスが注入される。それにより、ケーシング部材41の内周面と、外側シール部材44の外周面と、上側の円筒部材121のフランジ部123と、下側の円筒部材121のフランジ部122とによって形成される空間S1にグリスが充填される。空間S1にグリスが充填されることによって、隣り合う円筒部材121の間が気密にシールされる。空間S1に充填されたグリスは、ベアリング42の潤滑油としても機能する。
【0030】
回動機構4のうち、モータ45、ギヤ46および動力伝達部材47は、隣り合う円筒部材121を互いに相対的に回動させる動力を生成および伝達するために設けられる。
【0031】
以下、図2に加えて、図3を参照して、モータ45、ギヤ46および動力伝達部材47について説明する。モータ45、ギヤ46および動力伝達部材47は、各円筒部材121に対して設けられる。図3は、図2のA-A断面を示す断面図である。A-A断面は、円筒部材121Bに対して設けられる動力伝達部材47を通り、円筒部材121の軸方向に直交する断面である。
【0032】
図2および図3に示すように、モータ45は、円筒部材121の外側に円筒部材121と離隔して設けられる。モータ45の出力軸451は、円筒部材121の軸方向と平行に配置されている。モータ45は、円筒部材121を回動させる動力を出力する。
【0033】
ギヤ46は、各円筒部材121の外周部に嵌合されている。ギヤ46は、円筒部材121のうち、フランジ部122とフランジ部123との間に設けられる。図2では、ギヤ46が円筒部材121の上側の部分に嵌合されている例が示されている。ただし、円筒部材121におけるギヤ46の設置位置は、この例に限定されない。
【0034】
動力伝達部材47は、モータ45から出力される動力を円筒部材121に伝達するための部材である。動力伝達部材47としては、例えば、チェーンまたはベルト等が用いられ得る。動力伝達部材47は、モータ45の出力軸451と円筒部材121(具体的には、ギヤ46)とに巻き掛けられる。モータ45から出力される動力は、動力伝達部材47を介して円筒部材121に伝達される。ゆえに、モータ45が駆動されることによって、円筒部材121が回動する。
【0035】
図2に示すように、円筒部材121の下部には、スクレーパ5がスクレーパ取付部6を介して取り付けられている。スクレーパ5は、円筒部材121の内周面F1に付着した原料をこそぎ取って除去するために設けられる。スクレーパ5は、隣り合う円筒部材121のうちの一方の円筒部材121に設けられ、隣り合う円筒部材121のうちの他方の円筒部材121の内周面F1に対向する。図2に示す例では、スクレーパ5は、スクレーパ取付部6から下方に延在している。スクレーパ5は、当該スクレーパ5が取り付けられている円筒部材121に対して下方に隣り合う円筒部材121の内周面F1に対向する。スクレーパ5は、例えば、軟鋼等の金属材料によって形成される。
【0036】
例えば、図2中の上側に示される2つのスクレーパ5は、隣り合う円筒部材121A、121Bのうちの一方の円筒部材121Aに設けられ、他方の円筒部材121Bの内周面F1に対向する。例えば、図2中の下側に示される2つのスクレーパ5は、隣り合う円筒部材121B、121Cのうちの一方の円筒部材121Bに設けられ、他方の円筒部材121Cの内周面F1に対向する。
【0037】
ただし、スクレーパ5は、円筒部材121の上部に取り付けられていてもよい。この場合、スクレーパ5は、当該スクレーパ5が取り付けられている円筒部材121から上方に延在し、当該円筒部材121に対して上方に隣り合う円筒部材121の内周面F1に対向する。各円筒部材121には、例えば、複数のスクレーパ5が円筒部材121の周方向に間隔を空けて(例えば、等間隔に)設けられる。ただし、円筒部材121に対して設けられるスクレーパ5の数は、特に限定されない。
【0038】
以下、図4から図6を参照し、スクレーパ5の形状および作用の詳細について説明する。なお、以下では、円筒部材121の軸方向、円筒部材121の径方向、および、円筒部材121の周方向を単に軸方向、径方向および周方向とも呼ぶ。
【0039】
図4は、図2のB-B断面を示す断面図である。B-B断面は、円筒部材121Bのうち、円筒部材121Bに取り付けられるスクレーパ5およびスクレーパ取付部6よりも上方の部分を通り、円筒部材121の軸方向に直交する断面である。図4は、円筒部材121Bに取り付けられるスクレーパ5およびスクレーパ取付部6を上から見た模式図である。図5は、本実施形態に係るスクレーパ5を図4の矢印Dの方向から見た模式図である。矢印Dは、円筒部材121Bの中心軸から径方向外側を向く矢印である。
【0040】
図4および図5に示すように、スクレーパ5は、円筒部材121の軸方向に延在している。スクレーパ5の横断面形状(つまり、円筒部材121の軸方向に直交する断面)は、台形形状を有する。スクレーパ5のうち径方向外側の側面である外側面5a、および、径方向内側の側面である内側面5bは、円筒部材121の径方向に直交する。つまり、外側面5aと内側面5bとは、互いに平行である。スクレーパ5のうち周方向の側面である周方向側面5c、5dの間の離隔距離は、径方向内側に進むにつれて短くなっている。周方向側面5c、5dのうち一方の周方向側面5cは、径方向内側に進むにつれて他方の周方向側面5d側に傾斜している。周方向側面5c、5dのうち他方の周方向側面5dは、径方向内側に進むにつれて一方の周方向側面5c側に傾斜している。
【0041】
図5に示すように、スクレーパ5の上部51において、周方向側面5c、5dの間の離隔距離は、下方に進むにつれて短くなっている。よって、スクレーパ5の上部51の横断面の断面積は、下方に進むにつれて小さくなっている。一方、スクレーパ5の下部52において、周方向側面5c、5dは、円筒部材121の軸方向に平行に延在している。よって、スクレーパ5の下部52の横断面の断面積は、円筒部材121の軸方向位置によらず一定である。スクレーパ5の下部52の上端(つまり、上部51との接続位置)の横断面の断面積は、スクレーパ5の上部51の下端(つまり、下部52との接続位置)の横断面の断面積と一致する。
【0042】
図4および図5に示すように、スクレーパ取付部6は、取付部材61と、取付部材62とを含む。取付部材61、62は、円筒部材121の内周面F1に溶接等によって取り付けられている。取付部材61、62は、板状の部材である。取付部材61、62は、円筒部材121の周方向に間隔を空けて配置されている。取付部材61、62は、円筒部材121の軸方向に延在している。取付部材61、62の間の離隔距離は、径方向内側に進むにつれて短くなっており、かつ、下方に進むにつれて短くなっている。スクレーパ5の上部51が、取付部材61、62の間に嵌合された状態で、取付部材61、62に溶接等によって取り付けられている。
【0043】
上記では、スクレーパ5およびスクレーパ取付部6の形状の一例を説明した。ただし、スクレーパ5およびスクレーパ取付部6の形状はこの例に限定されない。例えば、スクレーパ5の横断面の断面積は、スクレーパ5の上端から下端に亘って一定であってもよい。また、スクレーパ取付部6を用いずに、スクレーパ5が円筒部材121に直接的に取り付けられていてもよい。
【0044】
図6は、図2のC-C断面を示す断面図である。C-C断面は、円筒部材121Bに取り付けられるスクレーパ5および円筒部材121Cを通り、円筒部材121の軸方向に直交する断面である。つまり、図6に示されているスクレーパ5は、円筒部材121Bに取り付けられている。なお、図6では、円筒部材121Bに取り付けられているスクレーパ5の数が4つである例が示されている。ただし、上述したように、円筒部材121に対して設けられるスクレーパ5の数は、特に限定されない。
【0045】
円筒部材121Bに取り付けられているスクレーパ5は、円筒部材121Bに対して隣り合う円筒部材121Cの内周面F1に対向する。具体的には、スクレーパ5の外側面5aが、円筒部材121Cの内周面F1と所定間隔を空けて離隔した状態で、円筒部材121Cの内周面F1に近接して対向している。
【0046】
ここで、円筒部材121Bに対して設けられたモータ45が駆動され、円筒部材121Bが回動方向RD(図6中の反時計まわりの方向)に回動する場合を考える。この場合、円筒部材121Bに取り付けられているスクレーパ5は、円筒部材121Bと一体的に回動するので、回動方向RDに回動する。ゆえに、スクレーパ5は、円筒部材121Cに対して相対的に回動方向RDに回動する。なお、円筒部材121Bが回動せずに円筒部材121Cが回動方向RDと逆方向(図6中の時計まわりの方向)に回動する場合も同様に、スクレーパ5は、円筒部材121Cに対して相対的に回動方向RDに回動する。
【0047】
スクレーパ5が円筒部材121Cに対して相対的に回動方向RDに回動すると、図6に示すように、円筒部材121Cの内周面F1に付着した原料M1が、スクレーパ5の周方向側面5cによってこそぎ取られる。それにより、円筒部材121Cの内周面F1に付着した原料M1が除去される。なお、スクレーパ5が円筒部材121Cに対して相対的に回動方向RDと逆方向に回動した場合、円筒部材121Cの内周面F1に付着した原料M1が、スクレーパ5の周方向側面5dによって、こそぎ取られる。
【0048】
シュート管1では、例えば、各円筒部材121を順に回動させることによって、各円筒部材121の内周面F1に付着した原料M1を除去することができる。以下、図2中の円筒部材121A、121B、121Cについて考える。
【0049】
例えば、まず、最も下方に位置する円筒部材121Cを回動させると、円筒部材121Cに対して下方に隣り合う円筒部材121に付着した原料M1が、円筒部材121Cに取り付けられたスクレーパ5により除去される。なお、この際、円筒部材121Cに付着した原料M1の少なくとも一部は、円筒部材121Bに取り付けられたスクレーパ5により除去され得る。
【0050】
次に、円筒部材121Cに対して上方に隣り合う円筒部材121Bを回動させると、円筒部材121Cに付着した原料M1が、円筒部材121Bに取り付けられたスクレーパ5により除去される。なお、この際、円筒部材121Bに付着した原料M1の少なくとも一部は、円筒部材121Aに取り付けられたスクレーパ5により除去され得る。
【0051】
次に、円筒部材121Bに対して上方に隣り合う円筒部材121Aを回動させると、円筒部材121Bに付着した原料M1が、円筒部材121Aに取り付けられたスクレーパ5により除去される。なお、この際、円筒部材121Aに付着した原料M1の少なくとも一部は、円筒部材121Aに対して上方に隣り合う円筒部材121に取り付けられたスクレーパ5により除去され得る。
【0052】
本実施形態では、シュート管1の閉塞防止構造3は、隣り合う円筒部材121を互いに相対的に回動させる回動機構4を備える。また、閉塞防止構造3は、隣り合う円筒部材121のうちの一方の円筒部材121に設けられ、隣り合う円筒部材121のうちの他方の円筒部材121の内周面F1に対向するスクレーパ5を備える。ゆえに、図6を参照して説明したように、隣り合う円筒部材121が互いに相対的に回動することによって、円筒部材121の内周面F1に付着した原料M1が、スクレーパ5によりこそぎ取られて除去される。よって、例えば、円筒部材121に付着した原料M1を圧縮空気で吹き飛ばす技術、および、円筒部材121の壁部に衝撃を与えることにより付着した原料M1を除去する技術等の従来の技術と比較して、シュート管1に付着した原料M1がより効果的に除去される。それにより、シュート管1の閉塞が効果的に防止される。
【0053】
本実施形態では、スクレーパ5は、円筒部材121の軸方向に延在する。それにより、スクレーパ5が取り付けられている円筒部材121に対して隣り合う円筒部材121の内周面F1のうちの広い範囲において、付着した原料M1をスクレーパ5によりこそぎ取ることができる。ただし、スクレーパ5の軸方向の長さと、円筒部材121の軸方向の長さとの比率は、特に限定されない。
【0054】
本実施形態では、スクレーパ5は、上記他方の円筒部材121(つまり、スクレーパ5が取り付けられている円筒部材121に対して隣り合う円筒部材121)の内周面F1と離隔している。それにより、スクレーパ5と円筒部材121とが直接擦り合うことが抑制される。ゆえに、スクレーパ5および円筒部材121に過度に大きな力が掛かることが抑制され、スクレーパ5および円筒部材121の変形が抑制される。
【0055】
本実施形態では、スクレーパ5のうち上記他方の円筒部材121(つまり、スクレーパ5が取り付けられている円筒部材121に対して隣り合う円筒部材121)に対する相対的な回動方向RD側の側面は、円筒部材121の径方向内側に進むにつれて回動方向RD側と逆側に傾斜している。例えば、図6の例では、スクレーパ5のうち円筒部材121C対する相対的な回動方向RD(図6中の反時計まわりの方向)側の側面である周方向側面5cは、円筒部材121の径方向内側に進むにつれて回動方向RD側と逆側に傾斜している。
【0056】
ここで、スクレーパ5が円筒部材121Cに対して相対的に回動方向RDに回動する場合、円筒部材121Cの内周面F1に付着した原料M1は、スクレーパ5の周方向側面5cによってこそぎ取られる。この際、周方向側面5cが径方向内側に進むにつれて回動方向RD側と逆側に傾斜していることによって、円筒部材121Cの内周面F1に付着した原料M1がこそぎ取られやすくなる。また、周方向側面5dが径方向内側に進むにつれて回動方向RD側に傾斜していることによって、スクレーパ5が円筒部材121Cに対して相対的に回動方向RDと逆方向に回動する場合、円筒部材121Cの内周面F1に付着した原料M1がこそぎ取られやすくなる。ゆえに、シュート管1に付着した原料M1がさらに効果的に除去される。ただし、スクレーパ5の側面の形状は、この例に限定されない。例えば、周方向側面5cが径方向内側に進むにつれて回動方向RD側に傾斜していてもよい。周方向側面5dが径方向内側に進むにつれて回動方向RD側と逆側に傾斜していてもよい。
【0057】
本実施形態では、回動機構4は、円筒部材121の外側に円筒部材121と離隔して設けられる、円筒部材121を回動させる動力を出力するモータ45を有する。モータ45が円筒部材121と離隔して設けられることによって、炉体2から発せられシュート管1に伝達された熱によりモータ45が過熱されることが抑制される。ゆえに、モータ45が高温となり使用できなくなることが抑制されるので、回動機構4を継続的に使用することができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
上記では、シュート管1のうち複数の円筒部材121が互いに連なって同軸上に接続される部分(つまり、鉛直部12)が鉛直方向に延在している例を説明した。ただし、複数の円筒部材121が互いに連なって同軸上に接続される部分の延在方向は、鉛直方向以外であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1:シュート管 2:炉体 3:閉塞防止構造 4:回動機構 5:スクレーパ 5c:周方向側面(側面) 5d:周方向側面(側面) 45:モータ 121:円筒部材 121A:円筒部材 121B:円筒部材 121C:円筒部材 F1:内周面 RD:回動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6