特許7359366IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

抗真菌剤のスクリーニング方法に関し、詳しくは、真菌の転写伸長因子S-IIを標的とする抗真菌剤のスクリーニング方法に関するものである。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明の課題は、抗真菌剤の新たな標的を見出すことであり、見出された「新たな標的」を標的とした抗菌剤のスクリーニング方法を提供することにある。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者は、の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、真菌におけるRNAポリメラーゼIIの伸長活性を促進するタンパク質である転写伸長因子S-IIが、抗真菌剤の新たな標的として好適であることを見出した。

発明の効果[発明の詳細な説明]から抜粋

S-IIは、真核生物において、高度に保存された転写忠実度の維持に関わるタンパク質であり、酵母においては酸化ストレス耐性に寄与する。病原性真菌である、例えばC. neoformansは、宿主内での環境ストレスに適応して感染を成立させる。
本発明において、真菌のストレス耐性や真菌の感染能に関して、S-IIが重要な役割を演じていることが見出された。

実施例に示したように、C. neoformansのS-II遺伝子欠損株は、6-アザウラシル感受性、及び、酸化ストレス感受性を示した。また、C. neoformansのS-II遺伝子欠損株は、カイコ及びマウス殺傷能が低下していた。
以上の結果は、転写伸長因子S-IIが、真菌の宿主への感染に必要な因子であることを示唆しており、S-IIは抗真菌剤の標的となり得ることを示唆している。

これまで、S-IIが、例えばC. neoformansなる真菌の病原性に関わるかは不明であったが、本発明によって、初めて、真菌のS-IIが、抗真菌剤の新たな標的となることが見出された。
動物体内において、真菌は宿主の免疫系からの酸化ストレスによる攻撃を受けるが、その際、S-IIは、該真菌の正常な生存に必要であると考えられる。真菌のS-II阻害株は、宿主に対する該真菌の病原性を低下させているはずである。
従って、本発明によって見出された「標的としては新規なS-II」は、抗真菌剤の標的として優れている。

本発明によって、C. neoformansのS-II遺伝子欠損株は、カイコ及びマウスに対する感染能が実際に低下していることが明らかになり、従って、S-IIが病原体の感染機構に関わる転写因子であることが明らかとなった。
S-IIは、真菌において、例えば、酸化ストレス、高温等と言った様々な宿主環境に適応するために必要な転写伸長因子として働くと考えられることから、S-IIを標的とした抗真菌剤の開発は、抗真菌剤のカテゴリーの中でも、殺菌及び静菌作用のない抗感染症剤(anti-infectious drug)として有用である。
本発明によれば、のような性質を有するS-IIを標的としているので、新たなカテゴリーの抗真菌剤をスクリーニングすることができる。

すなわち、真菌の増殖を実質的に阻害しない若しくは真菌を殺菌しないが、該真菌による病原性の発現を抑制する病原性発現抑制剤、又は、真菌の増殖を実質的に阻害しない若しくは真菌を殺菌しないが、該真菌に感染することを阻害する抗真菌感染剤と言う、新たな抗真菌剤をスクリーニングすることができる。

そのため、本発明の抗真菌剤のスクリーニング方法によって得られた抗真菌剤は、標的が新規であるため、薬剤耐性菌に対して有効であると共に、病原性発現抑制剤としても、日和見感染症予防治療剤としても有用である。

本発明によれば、S-IIを標的として、標的が従来のものとは異なる新たな抗真菌剤をスクリーニングすることができる。本発明を使用して得られた抗真菌剤は、新規な抗真菌剤のはずである。

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】 S-IIのアミノ酸配列の保存性を示し、真核生物のS-IIタンパク質のアミノ酸配列の比較を示す図である。 hIIS:ヒト、mIIS:マウス、dIIS:ショウジョウバエ、cnIIS:C. neoformans、spIIS:分裂酵母、scIIS:出芽酵母
【図2】 C. neoformansのS-II遺伝子欠損株の作製を示す図である。 Aは、野生株(WT)、S-II遺伝子欠損株(ΔDST1)(ΔS-IIと記載)、相補株(ΔDST1+DST1)(ΔS-II/S-IIと記載)のゲノム構造を示す。 Bは、Aに示すプローブを用いてサザンブロットハイブリダイゼーションを行った結果を示す。
【図3】 C. neoformansにおける6-アザウラシル感受性を示すグラフである。野生株(WT)、S-II遺伝子欠損株(ΔDST1)(ΔS-IIと記載)、相補株(ΔDST1+DST1)(ΔS-II/S-IIと記載)の一晩培養液を段階希釈した溶液を、各寒天培地にスポットし2晩培養した結果である。
【図4】 C. neoformansのS-II遺伝子欠損株におけるカイコ殺傷能の低下を示すグラフである。 野生株(WT)、S-II遺伝子欠損株(ΔDST1)(ΔS-IIと記載)、相補株(ΔDST1+DST1)(ΔS-II/S-IIと記載)をカイコの体液中に注射し経過観察を行った結果である(N=6/group)。
【図5】 C. neoformansのS-II遺伝子欠損株におけるマウス殺傷能の低下を示すグラフである。 野生株(WT)、S-II遺伝子欠損株(ΔDST1)(ΔS-IIと記載)、相補株(ΔDST1+DST1)(ΔS-II/S-IIと記載)をマウスの尾静脈から注射し経過観察を行った結果である(N=10/group)。

代表図 図1本件の代表的な図

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