知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】置床構造体
(51)【国際特許分類】
E04F 15/00 20060101AFI20231003BHJP
E04F 15/18 20060101ALI20231003BHJP
E04B 1/98 20060101ALI20231003BHJP
【ＦＩ】
E04F15/00 601F
E04F15/18 602G
E04B1/98 E
【請求項の数】
7
(21)【出願番号】P 2019139819
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021021292
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000101905
【氏名又は名称】イイダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柴山 裕二
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第０５６３０３００（ＵＳ，Ａ）
【文献】特開２００２－２３５４２５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００９－０５６１９６（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平０７－０１１７４５（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｅ０４Ｆ １５／００－１５／２２
Ｅ０４Ｂ １／９８
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台上で互いに隣り合って配置される複数の置床部材を備える置床構造体であって、前記置床部材は、床基材と、前記床基材の下側に設けられて前記床基材を支持する支持部材とを有し、
前記置床構造体は、
互いに隣り合う少なくとも２つの前記置床部材を接続する接続部材をさらに備え、
前記接続部材は、
互いに隣り合う前記支持部材の間に配置されることで前記置床部材を平面視で離間させる接続基部と、
前記支持部材をそれぞれ取り囲むように前記接続基部に設けられる接続枠部と、
前記接続基部と前記接続枠部とにより形成され、前記支持部材を上下方向に沿って挿脱可能な挿入部と、を有し、
前記挿入部は、下方に開口し、
前記接続部材の厚さ寸法が前記支持部材の厚さ寸法よりも小さく形成されることで、前記床基材と前記接続部材とが離間して配置され、
前記支持部材は、ゴム系材料から構成されるとともに、前記置床部材が載置される前記基台と接触している、置床構造体。
【請求項2】
前記接続部材は、繊維系材料から構成される、請求項１に記載の置床構造体。
【請求項3】
前記接続枠部は、前記接続基部の幅よりも狭い幅狭部を有する、請求項１又は請求項２に記載の置床構造体。
【請求項4】
前記接続部材は、前記接続基部と前記接続枠部とにより形成された無端環状構造を有し、前記無端環状構造の内側が前記挿入部として構成されている、請求項１から請求項３のいずれか一項に記載の置床構造体。
【請求項5】
前記床基材の下面側に設けられる吸音部材をさらに備える、請求項１から請求項４のいずれか一項に記載の置床構造体。
【請求項6】
前記床基材の材料は、木質系材料である、請求項１から請求項５のいずれか一項に記載の置床構造体。
【請求項7】
互いに隣り合う３つの前記置床部材を備え、３つの前記置床部材の床基材の形状は、平面視で四角形状であり、
３つの前記置床部材の支持部材は、
前記床基材の４つの角部に取り付けられた角支持部材と、
前記床基材の隣り合う一対の角部の間に取り付けられた中間支持部材と、をそれぞれ備え、
前記接続部材として、少なくとも３つ前記置床部材を接続可能な接続部材を備え、
３つの前記置床部材のうち、２つの置床部材の各角支持部材と、１つの置床部材の中間支持部材とが、１つの前記接続部材によって連結された構造を有する、請求項１から請求項６のいずれか一項に記載の置床構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置床構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隣り合う床下地材を離間して配列された置床構造体が知られている（特許文献１参照）。特許文献１の床下地材は、床下地本体と、この床下地本体を支持する支持部材とを備えている。支持部材が隣り合う床下地本体の下側に入り込むとともに、その床下地本体の下側に設けられている支持部材に当接することで隙間を有した状態で各床下地材が配列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２０１８－１２７８１３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のように置床構造体は、床下地本体といった床基材と、床基材の下側に設けられて床基材を支持する支持部材とを有する置床部材を複数配列して構成される。このように置床構造体を設置した後、作業者が置床構造体上を歩行し、置床構造体上にフローリング等の床仕上材を配置する作業が行われる。こうした床仕上材の配置作業において、置床部材の位置ずれが生じ易いと作業性が低下する。また、例えば、置床構造体から一部の置床部材を取り外すことが必要となる場合がある。こうした置床部材の取り外し作業において、置床部材が取り出し難いと作業性が低下する。このように、床仕上材の配置作業や置床部材の取り外し作業等の作業性についての改善が望まれる。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な作業性を得ることのできる置床構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する置床構造体は、基台上で互いに隣り合って配置される複数の置床部材を備える置床構造体であって、前記置床部材は、床基材と、前記床基材の下側に設けられて前記床基材を支持する支持部材とを有し、前記置床構造体は、互いに隣り合う少なくとも２つの前記置床部材を接続する接続部材をさらに備え、前記接続部材は、互いに隣り合う前記支持部材の間に配置されることで前記置床部材を平面視で離間させる接続基部と、前記支持部材をそれぞれ取り囲むように前記接続基部に設けられる接続枠部と、前記接続基部と前記接続枠部とにより形成され、前記支持部材を上下方向に沿って挿脱可能な挿入部と、を有する。
【0007】
この構成によれば、接続部材の挿入部に挿入された支持部材は、接続部材の接続枠部により取り囲まれるため、互いに隣り合う置床部材の支持部材同士の相対的な位置ずれを抑えることができる。これにより、互いに隣り合う置床部材の相対的な位置ずれを抑えることができる。このため、例えば、置床構造体に床仕上材を配置する際に作業者が置床構造体上を歩行し易くなり、床仕上材を配置する作業の作業性が良好となる。また、例えば、置床構造体から一部の置床部材を取り外すことが必要となった場合、その置床部材を持ち上げることで、接続部材の挿入部から支持部材を容易に脱離させることができるため、置床部材の取り外し作業についても良好な作業性を得ることができる。
【0008】
上記置床構造体において、前記挿入部は、下方に開口し、前記支持部材は、前記置床部材が載置される基台と接触していることが好ましい。
この構成によれば、床基材の高さに接続部材が影響することがないため、例えば、置床構造体の厚さ寸法を抑えることができる。
この構成によれば、床基材の高さに接続部材が影響することがないため、例えば、置床構造体の厚さ寸法を抑えることができる。
【0009】
上記置床構造体において、前記支持部材は、ゴム系材料から構成されることが好ましい。
この構成によれば、例えば、床基材から基台への振動の伝達を抑えることができる。
この構成によれば、例えば、床基材から基台への振動の伝達を抑えることができる。
【0010】
上記置床構造体において、前記接続部材は、ゴム系材料又は繊維系材料から構成されることが好ましい。
この構成によれば、接続部材に緩衝機能を付与することができる。これにより、例えば、接続部材と支持部材との接触を要因とした異音の発生を抑えることができる。
この構成によれば、接続部材に緩衝機能を付与することができる。これにより、例えば、接続部材と支持部材との接触を要因とした異音の発生を抑えることができる。
【0011】
上記置床構造体において、前記接続枠部は、前記接続基部の幅よりも狭い幅狭部を有することが好ましい。
この構成によれば、接続基部よりも接続枠部が変形し易くなるため、接続枠部の変形を利用して挿入部に対する支持部材の挿脱を容易に行うことができる。
この構成によれば、接続基部よりも接続枠部が変形し易くなるため、接続枠部の変形を利用して挿入部に対する支持部材の挿脱を容易に行うことができる。
【0012】
上記置床構造体において、前記接続部材は、前記接続基部と前記接続枠部とにより形成された無端環状構造を有し、前記無端環状構造の内側が前記挿入部として構成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、挿入部の過剰な変形が抑えられることで、接続部材に接続される少なくとも２つの支持部材の相対的な位置ずれをより抑えることができる。
上記置床構造体において、互いに隣り合う３つの前記置床部材を備え、３つの前記置床部材の床基材の形状は、平面視で四角形状であり、３つの前記置床部材の支持部材は、前記床基材の４つの角部に取り付けられた角支持部材と、前記床基材の隣り合う一対の角部の間に取り付けられた中間支持部材と、をそれぞれ備え、前記接続部材として、少なくとも３つ前記置床部材を接続可能な接続部材を備え、３つの前記置床部材のうち、２つの置床部材の各角支持部材と、１つの置床部材の中間支持部材とが、１つの前記接続部材によって連結された構造を有することが好ましい。
上記置床構造体において、互いに隣り合う３つの前記置床部材を備え、３つの前記置床部材の床基材の形状は、平面視で四角形状であり、３つの前記置床部材の支持部材は、前記床基材の４つの角部に取り付けられた角支持部材と、前記床基材の隣り合う一対の角部の間に取り付けられた中間支持部材と、をそれぞれ備え、前記接続部材として、少なくとも３つ前記置床部材を接続可能な接続部材を備え、３つの前記置床部材のうち、２つの置床部材の各角支持部材と、１つの置床部材の中間支持部材とが、１つの前記接続部材によって連結された構造を有することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、接続部材に角支持部材が接続されている一対の置床部材と、接続部材に中間支持部材が接続されている置床部材との間に第１の隙間が形成される。また、接続部材に角支持部材が接続されている一対の置床部材の間に第２の隙間が形成される。こうした第１の隙間と第２の隙間は、平面視でＴ字状に交差するように延在している。このように隙間の位置を複雑化することで、隣り合う置床部材における振動の伝達経路が複雑化し、置床構造体の振動が減衰され易くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、良好な作業性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態の置床部材を示す平面図である。
【図3】置床部材を示す底面図である。
【図4】（ａ）は、接続部材を示す平面図であり、（ｂ）は、変更例の接続部材を示す平面図である。
【図5】置床構造体の施工を説明する説明図である。
【図6】置床構造体を示す断面図である。
【図7】置床構造体を示す底面図である。
【図8】変更例の置床構造体を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、置床構造体の一実施形態について図面を参照して説明する。
図１～図３に示すように、置床構造体を構成する置床部材１１は、床基材２１と、床基材２１の下側に設けられて床基材２１を支持する支持部材３１とを有している。本実施形態の置床部材１１は、床基材２１の下面側に設けられる吸音部材４１をさらに備えている。図４（ａ）及び図５に示すように、置床構造体は、互いに隣り合う置床部材１１を接続する接続部材５１をさらに備えている。
図１～図３に示すように、置床構造体を構成する置床部材１１は、床基材２１と、床基材２１の下側に設けられて床基材２１を支持する支持部材３１とを有している。本実施形態の置床部材１１は、床基材２１の下面側に設けられる吸音部材４１をさらに備えている。図４（ａ）及び図５に示すように、置床構造体は、互いに隣り合う置床部材１１を接続する接続部材５１をさらに備えている。
【0018】
＜床基材２１＞
図１に示すように、床基材２１の形状は、平面視長四角形状である。床基材２１は、長手方向に延びる第１辺２１ａと、第１辺２１ａと隣接し、短手方向に延びる第２辺２１ｂと、第２辺２１ｂと隣接し、第１辺２１ａと対向する第３辺２１ｃと、第３辺２１ｃと隣接し、第２辺２１ｂと対向する第４辺２１ｄとを有している。床基材２１は、支持部材３１よりも圧縮変形し難い硬質な材料から構成されることが好ましい。床基材２１の材料は、木質系材料であることが好ましい。木質系材料としては、例えば、パーティクルボード、構造用合板、及び集成材が挙げられる。
図１に示すように、床基材２１の形状は、平面視長四角形状である。床基材２１は、長手方向に延びる第１辺２１ａと、第１辺２１ａと隣接し、短手方向に延びる第２辺２１ｂと、第２辺２１ｂと隣接し、第１辺２１ａと対向する第３辺２１ｃと、第３辺２１ｃと隣接し、第２辺２１ｂと対向する第４辺２１ｄとを有している。床基材２１は、支持部材３１よりも圧縮変形し難い硬質な材料から構成されることが好ましい。床基材２１の材料は、木質系材料であることが好ましい。木質系材料としては、例えば、パーティクルボード、構造用合板、及び集成材が挙げられる。
【0019】
＜支持部材３１＞
図２及び図３に示すように、支持部材３１は、互いに離間して配置される複数から構成されている。図２に示すように、各支持部材３１は、床基材２１に接合される支持本体部３１ａと、支持本体部３１ａから下方に突出する複数の支持突出部３１ｂとを有している。支持突出部３１ｂの先端が後述する基台上に接触する接触部となる。
図２及び図３に示すように、支持部材３１は、互いに離間して配置される複数から構成されている。図２に示すように、各支持部材３１は、床基材２１に接合される支持本体部３１ａと、支持本体部３１ａから下方に突出する複数の支持突出部３１ｂとを有している。支持突出部３１ｂの先端が後述する基台上に接触する接触部となる。
【0020】
支持部材３１は、床基材２１の四つの角部に取り付けられた角支持部材３２と、床基材２１の隣り合う一対の角部の間に取り付けられた中間支持部材３３とを備えている。本実施形態の中間支持部材３３は、床基材２１の長辺である第１辺２１ａ及び第３辺２１ｃに隣り合う位置にそれぞれ設けられている。なお、中間支持部材３３を床基材２１の短辺である第２辺２１ｂ及び第４辺２１ｄに隣り合う位置にそれぞれ設けてもよい。
【0021】
支持部材３１の材料は、ゴム系材料であることが好ましい。ゴム系材料としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムが挙げられる。ゴム系材料は、一種を用いてもよいし、二種以上から構成されていてもよい。ゴム系材料には、フィラー等の補強材や老化防止剤等の添加剤を含有させることもできる。支持部材３１は、床基材２１に接着剤又は粘着剤で接合される。
【0022】
＜吸音部材４１＞
床基材２１の下面側に設けられる吸音部材４１は、複数の支持部材３１の間に配置されている。吸音部材４１の材料としては、例えば、ポリエステル繊維系材料が挙げられる。吸音部材４１は、床基材２１に接着剤又は粘着剤で接合される。
床基材２１の下面側に設けられる吸音部材４１は、複数の支持部材３１の間に配置されている。吸音部材４１の材料としては、例えば、ポリエステル繊維系材料が挙げられる。吸音部材４１は、床基材２１に接着剤又は粘着剤で接合される。
【0023】
＜接続部材５１＞
図４（ａ）、図５及び図６に示すように、接続部材５１は、互いに隣り合う支持部材３１の間に配置されることで隣り合う置床部材１１を平面視で離間させる接続基部５２と、隣り合う支持部材３１をそれぞれ取り囲むように接続基部５２に設けられる接続枠部５３とを有している。
図４（ａ）、図５及び図６に示すように、接続部材５１は、互いに隣り合う支持部材３１の間に配置されることで隣り合う置床部材１１を平面視で離間させる接続基部５２と、隣り合う支持部材３１をそれぞれ取り囲むように接続基部５２に設けられる接続枠部５３とを有している。
【0024】
接続部材５１は、接続基部５２と接続枠部５３とにより形成され、互いに隣り合う支持部材３１を上下方向に沿って挿脱可能な挿入部５４を有している。すなわち、挿入部５４は、上方に開口し、挿入部５４の上端開口から支持部材３１を挿入可能であり、かつ支持部材３１を上方に移動させることで挿入部５４から支持部材３１を脱離可能に構成されている。本実施形態の接続部材５１は、４つの挿入部５４を有し、２つ以上、４つ以下の置床部材１１を接続可能である。
【0025】
図４（ａ）に示すように、本実施形態の接続部材５１は、接続基部５２と接続枠部５３とにより形成された無端環状構造を有し、その無端環状構造の内側が挿入部５４として構成されている。
【0026】
図５及び図６に示すように、挿入部５４は、下方に開口し、挿入部５４の下端開口から支持部材３１を下方に突出させることが可能である。本実施形態において、挿入部５４に挿入された支持部材３１は、置床部材１１が載置される基台Ｂと接触している。上記接続部材５１の厚さ寸法は、支持部材３１の厚さ寸法よりも小さく、接続部材５１は、床基材２１と離間して配置されている。すなわち、接続部材５１の厚さ寸法をＴ１とし、支持部材３１の厚さ寸法をＴ２とした場合、“Ｔ１＜Ｔ２”の関係を満たしている。この場合、床基材２１から接続部材５１へ振動伝達し難くなるため、床基材２１から隣り合う床基材２１への接続部材５１を介した振動伝達を抑えることができる。厚さ寸法Ｔ２に対する厚さ寸法Ｔ１の比率（比率＝Ｔ１／Ｔ２）は、０．２以上、０．９以下の範囲内であることが好ましい。
【0027】
接続部材５１の厚さ寸法Ｔ１は、例えば、５ｍｍ以上、３０ｍｍ以下の範囲内であることが好ましい。接続部材５１の厚さ寸法Ｔ１を大きくすることで、例えば、支持部材３１を保持する保持性をより高めることができる。接続部材５１の厚さ寸法Ｔ１を小さくすることで、例えば、接続部材５１の挿入部５４に対する支持部材３１の挿脱が容易となる。
【0028】
図４に示すように、接続枠部５３は、接続基部５２の幅よりも狭い幅狭部５３ａを有している。すなわち、幅狭部５３ａの幅寸法をＷ１とし、接続基部５２の幅寸法をＷ２とした場合、“Ｗ１＜Ｗ２”の関係を満たしている。幅寸法Ｗ２に対する幅寸法Ｗ１の比率（比率＝Ｗ１／Ｗ２）は、０．２以上、０．９以下の範囲内であることが好ましい。接続基部５２の幅寸法Ｗ２は、例えば、５ｍｍ以上、２０ｍｍ以下の範囲内であることが好ましい。
【0029】
接続部材５１の材料は、ゴム系材料又は繊維系材料であることが好ましい。ゴム系材料の具体例としては、上記支持部材３１のゴム系材料として例示したものが挙げられる。繊維系材料としては、例えば、フェルト材等が挙げられる。フェルト材としては、例えば、ポリエステル繊維（ＰＥＴ繊維）等の熱可塑性を有する合成繊維を含むフェルトであることが好ましく、複数のフェルト層を重ね合わせて加熱プレスしたものであることがより好ましい。この場合、加熱プレスによって部分的な溶融した合成繊維がバインダーとなるため、フェルト材の強度が高まり、より耐久性に優れる接続部材５１を得ることができる。
【0030】
接続部材５１は、例えば、シート状の材料を打ち抜く打抜加工やゴム系材料の射出成形等により得ることができる。
＜置床構造体６１＞
図６及び図７に示すように、置床構造体６１は、基台Ｂ上で隣り合って配置される複数の置床部材１１を備えている。本実施形態の置床構造体６１は、互いに隣り合う３つの置床部材１１を備えている。置床構造体６１は、３つの置床部材１１のうち、２つの置床部材１１の各角支持部材３２と、１つの置床部材１１の中間支持部材３３とが、１つの接続部材５１によって接続された構造を有している。なお、本実施形態の置床構造体６１の周縁部分は、互いに隣り合う２つの置床部材１１の各角支持部材３２のみを接続する接続部材５１を備えている。
＜置床構造体６１＞
図６及び図７に示すように、置床構造体６１は、基台Ｂ上で隣り合って配置される複数の置床部材１１を備えている。本実施形態の置床構造体６１は、互いに隣り合う３つの置床部材１１を備えている。置床構造体６１は、３つの置床部材１１のうち、２つの置床部材１１の各角支持部材３２と、１つの置床部材１１の中間支持部材３３とが、１つの接続部材５１によって接続された構造を有している。なお、本実施形態の置床構造体６１の周縁部分は、互いに隣り合う２つの置床部材１１の各角支持部材３２のみを接続する接続部材５１を備えている。
【0031】
図７には、置床部材１１における床基材２１の長辺に沿った方向をＸ軸方向とし、床部材の第２辺２１ｂ及び第４辺２１ｄに沿った方向をＹ軸方向として示している。Ｘ軸方向及びＹ軸方向において隣り合う置床部材１１は、平面視で離間して配置される。このように構成された置床構造体６１では、隣り合う置床部材１１同士が重なり合う部分は存在しない。
【0032】
置床構造体６１において、隣り合う置床部材１１の隙間は、Ｘ軸方向に沿って延在する第１の隙間Ｓ１と、Ｙ軸方向に沿って延在する第２の隙間Ｓ２とから構成されている。第１の隙間Ｓ１は、Ｙ軸方向において隣り合う置床部材１１の隙間である。第２の隙間Ｓ２は、Ｘ軸方向において隣り合う置床部材１１の隙間である。
【0033】
接続部材５１のＸ軸方向における両側に位置する第１の隙間Ｓ１，Ｓ１は、Ｘ軸方向に沿った同一直線上に位置する。一方、第２の隙間Ｓ２は、接続部材５１のＹ軸方向における両側に位置せず、接続部材５１のＹ軸方向における片側に位置している。換言すると、本実施形態の置床構造体６１では、Ｙ軸方向で互いに隣り合う置床部材１１の各短辺（床基材２１の第２辺２１ｂと第４辺２１ｄ）が、Ｙ軸方向に沿った同一直線上に位置していない。
【0034】
置床構造体６１において、接続部材５１は、支持部材３１に接触している。置床構造体６１の外周に配置される接続部材５１を、置床構造体６１の周囲に設置される壁体の壁面に接触させてもよい。
【0035】
次に、置床構造体６１の施工方法について説明する。
図５及び図６に示すように、置床構造体６１は、基台Ｂ上に接続部材５１を配置し、置床部材１１の支持部材３１を接続部材５１の挿入部５４に上方から挿入しながら置床部材１１を順次配置する作業を繰り返すことで形成することができる。接続部材５１の接続基部５２は、隣り合う置床部材１１の支持部材３１の間隔を空けるスペーサとなることで、隣り合う置床部材１１を所定の間隔を空けて配置することができる。なお、吸音部材４１において、接続部材５１で押圧された部分は、圧縮変形する。
図５及び図６に示すように、置床構造体６１は、基台Ｂ上に接続部材５１を配置し、置床部材１１の支持部材３１を接続部材５１の挿入部５４に上方から挿入しながら置床部材１１を順次配置する作業を繰り返すことで形成することができる。接続部材５１の接続基部５２は、隣り合う置床部材１１の支持部材３１の間隔を空けるスペーサとなることで、隣り合う置床部材１１を所定の間隔を空けて配置することができる。なお、吸音部材４１において、接続部材５１で押圧された部分は、圧縮変形する。
【0036】
このように配置された置床構造体６１の上面側には、図示を省略した床仕上材が配置される。床仕上材としては、例えば、フローリング、コルク板、タイル、畳、カーペット、樹脂シート材、及びゴムシート材が挙げられる。
【0037】
次に、置床構造体６１の主な作用について説明する。
置床構造体６１において、互いに隣り合う置床部材１１は、接続部材５１により接続されている。接続部材５１は、接続基部５２と接続枠部５３と挿入部５４とを有している。この構成によれば、接続部材５１の挿入部５４に挿入された支持部材３１は、接続部材５１の接続枠部５３により取り囲まれるため、互いに隣り合う置床部材１１の支持部材３１同士の相対的な位置ずれを抑えることができる。これにより、互いに隣り合う置床部材１１の相対的な位置ずれを抑えることができる。このため、例えば、置床構造体６１に床仕上材を配置する際に作業者が置床構造体６１上を歩行し易くなり、床仕上材を配置する作業の作業性が良好となる。また、例えば、置床構造体６１から一部の置床部材１１を取り外すことが必要となった場合、その置床部材１１を持ち上げることで、接続部材５１の挿入部５４から支持部材３１を容易に脱離させることができるため、置床部材１１の取り外し作業についても良好な作業性を得ることができる。
置床構造体６１において、互いに隣り合う置床部材１１は、接続部材５１により接続されている。接続部材５１は、接続基部５２と接続枠部５３と挿入部５４とを有している。この構成によれば、接続部材５１の挿入部５４に挿入された支持部材３１は、接続部材５１の接続枠部５３により取り囲まれるため、互いに隣り合う置床部材１１の支持部材３１同士の相対的な位置ずれを抑えることができる。これにより、互いに隣り合う置床部材１１の相対的な位置ずれを抑えることができる。このため、例えば、置床構造体６１に床仕上材を配置する際に作業者が置床構造体６１上を歩行し易くなり、床仕上材を配置する作業の作業性が良好となる。また、例えば、置床構造体６１から一部の置床部材１１を取り外すことが必要となった場合、その置床部材１１を持ち上げることで、接続部材５１の挿入部５４から支持部材３１を容易に脱離させることができるため、置床部材１１の取り外し作業についても良好な作業性を得ることができる。
【0038】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
（１）置床部材１１は、床基材２１と、床基材２１の下側に設けられて床基材２１を支持する支持部材３１とを有している。置床構造体６１は、互いに隣り合う置床部材１１を接続する接続部材５１をさらに備えている。接続部材５１は、互いに隣り合う支持部材３１の間に配置されることで、置床部材１１を平面視で離間させる接続基部５２を有している。接続部材５１は、互いに隣り合う支持部材３１をそれぞれ取り囲むように接続基部５２に連結される接続枠部５３を有している。接続部材５１は、接続基部５２と接続枠部５３とにより形成され、支持部材３１を上下方向に沿って挿脱可能な挿入部５４を有している。
（１）置床部材１１は、床基材２１と、床基材２１の下側に設けられて床基材２１を支持する支持部材３１とを有している。置床構造体６１は、互いに隣り合う置床部材１１を接続する接続部材５１をさらに備えている。接続部材５１は、互いに隣り合う支持部材３１の間に配置されることで、置床部材１１を平面視で離間させる接続基部５２を有している。接続部材５１は、互いに隣り合う支持部材３１をそれぞれ取り囲むように接続基部５２に連結される接続枠部５３を有している。接続部材５１は、接続基部５２と接続枠部５３とにより形成され、支持部材３１を上下方向に沿って挿脱可能な挿入部５４を有している。
【0039】
この構成によれば、上述した作用により、良好な作業性を得ることができる。
（２）接続部材５１の挿入部５４は、下方に開口し、支持部材３１は、置床部材１１が載置される基台Ｂと接触している。この場合、床基材２１の高さに接続部材５１が影響することがないため、例えば、置床構造体６１の厚さ寸法を抑えることができる。また、床基材２１と基台Ｂとの間の振動伝達経路を支持部材３１で構成することで、例えば、支持部材３１の緩衝性能等を十分に発揮させることも可能である。
（２）接続部材５１の挿入部５４は、下方に開口し、支持部材３１は、置床部材１１が載置される基台Ｂと接触している。この場合、床基材２１の高さに接続部材５１が影響することがないため、例えば、置床構造体６１の厚さ寸法を抑えることができる。また、床基材２１と基台Ｂとの間の振動伝達経路を支持部材３１で構成することで、例えば、支持部材３１の緩衝性能等を十分に発揮させることも可能である。
【0040】
（３）支持部材３１は、ゴム系材料から構成されることが好ましい。この場合、例えば、床基材２１から基台Ｂへの振動の伝達を抑えることができる。
（４）接続部材５１は、ゴム系材料又は繊維系材料から構成されることが好ましい。この場合、接続部材５１に緩衝機能を付与することができる。これにより、例えば、接続部材５１と支持部材３１との接触を要因とした異音の発生を抑えることができる。また、例えば、接続部材５１と、置床構造体６１の周囲の壁面とを接触させて用いる場合、その接触を要因とした異音の発生を抑えることができる。
（４）接続部材５１は、ゴム系材料又は繊維系材料から構成されることが好ましい。この場合、接続部材５１に緩衝機能を付与することができる。これにより、例えば、接続部材５１と支持部材３１との接触を要因とした異音の発生を抑えることができる。また、例えば、接続部材５１と、置床構造体６１の周囲の壁面とを接触させて用いる場合、その接触を要因とした異音の発生を抑えることができる。
【0041】
（５）接続部材５１において、接続枠部５３は、接続基部５２の幅よりも狭い幅狭部５３ａを有している。この場合、接続基部５２よりも接続枠部５３が変形し易くなるため、接続枠部５３の変形を利用して挿入部５４に対する支持部材３１の挿脱を容易に行うことができる。従って、より良好な作業性を得ることができる。
【0042】
（６）接続部材５１は、接続基部５２と接続枠部５３とにより形成された無端環状構造を有し、無端環状構造の内側が挿入部５４として構成されている。この場合、挿入部５４の過剰な変形が抑えられることで、各支持部材３１の相対的な位置ずれをより抑えることができる。すなわち、接続部材５１に接続された各置床部材１１の相対的な位置ずれを抑えることを優先したい場合、特に有利となる。
【0043】
（７）置床構造体６１は、互いに隣り合う３つの置床部材１１を備えている。３つの床基材２１の形状は、平面視で長四角形状である。３つの置床部材１１の支持部材３１は、床基材２１の４つの角部に取り付けられた角支持部材３２と、床基材２１の隣り合う一対の角部の間に取り付けられた中間支持部材３３とをそれぞれ備えている。置床構造体６１は、接続部材５１として、少なくとも３つ置床部材１１を接続可能な接続部材５１を備えている。置床構造体６１は、３つの置床部材１１のうち、２つの置床部材１１の各角支持部材３２と、１つの置床部材１１の中間支持部材３３とが、１つの接続部材５１によって連結された構造を有している。
【0044】
この場合、接続部材５１に角支持部材３２が接続されている一対の置床部材１１と、接続部材５１に中間支持部材３３が接続されている置床部材１１との間に第１の隙間Ｓ１が形成される。また、接続部材５１に角支持部材３２が接続されている一対の置床部材１１の間に第２の隙間Ｓ２が形成される。こうした第１の隙間Ｓ１と第２の隙間Ｓ２は、平面視でＴ字状に交差するように延在している。このように隙間の位置を複雑化することで、隣り合う置床部材１１における振動の伝達経路が複雑化し、置床構造体６１の振動が減衰され易くなる。
【0045】
また、角支持部材３２のみではなく、中間支持部材３３を接続部材５１に接続する構造では、所定の床面積当たりで使用する接続部材５１の数を増やすことが可能となるため、接続部材５１による緩衝機能をより発揮させることができる。
【0046】
（変更例）
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
・図４（ｂ）に示すように、接続部材５１の挿入部５４の数を３つに変更してもよい。また、４つの挿入部５４を有する接続部材５１と、３つの挿入部５４を有する接続部材５１とを併用してもよい。なお、接続部材５１の挿入部５４の数は、２つ以上であればよく、例えば、少なくとも２つの挿入部５４を有する接続部材５１を用いて、複数の置床部材１１をＸ軸方向のみ又はＹ軸方向のみで接続してもよい。また、少なくとも２つの挿入部５４を有する接続部材５１を用いて、互いに隣り合う２つの置床部材１１の中間支持部材３３を接続してもよい。
【0048】
・接続部材５１は、例えば、接続基部５２の一部や接続枠部５３の一部に端部を形成した有端環状構造を有していてもよい。
・接続枠部５３の幅狭部５３ａを省略してもよい。すなわち、接続枠部５３の幅寸法と接続基部５２の幅寸法とを同じ幅寸法としてもよいし、接続枠部５３の幅寸法を接続基部５２の幅寸法よりも大きくしてもよい。
・接続枠部５３の幅狭部５３ａを省略してもよい。すなわち、接続枠部５３の幅寸法と接続基部５２の幅寸法とを同じ幅寸法としてもよいし、接続枠部５３の幅寸法を接続基部５２の幅寸法よりも大きくしてもよい。
【0049】
・接続枠部５３は、幅狭部５３ａと、接続基部５２の幅寸法Ｗ２よりも幅寸法の大きい幅広部とを有していてもよい。この場合であっても、接続枠部５３が幅狭部５３ａを有することで、接続基部５２よりも接続枠部５３が変形し易くなるため、接続枠部５３の変形を利用して挿入部５４に対する支持部材３１の挿脱を容易に行うことができる。
【0050】
・一つの接続枠部５３が有する幅狭部５３ａの数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。また、接続部材５１において複数の接続枠部５３のうち、少なくとも一つの接続枠部５３が幅狭部５３ａを有していてもよい。
【0051】
・接続部材５１の挿入部５４は、下方に開口しているが、挿入部５４の下端に底部を設けてもよい。この場合、支持部材３１の下端は、接続部材５１の底部に支持されるため、接続部材５１と基台Ｂとは非接触となる。
【0052】
・上記接続部材５１の全体形状は、複数の四角環状部を一体にした形状を有しているが、例えば、複数の円環状部を一体としたような曲線を含む形状に変更してもよい。また、挿入部５４の内周形状は、例えば、支持部材３１の外周形状に応じて変更することもできる。
【0053】
・接続部材５１は、接続枠部５３の外周を取り囲む外枠部をさらに有していてもよい。
・接続部材５１は、樹脂系材料、木質系材料等の材料から構成してもよい。
・図８に示すように、互いに隣り合う２つの置床部材１１の角支持部材３２と互いに隣り合う２つの置床部材１１の角支持部材３２とを１つの接続部材５１で接続することもできる。この場合、接続部材５１のＸ軸方向における両側に位置する第１の隙間Ｓ１，Ｓ１は、Ｘ軸方向に沿った同一直線上に位置する。また、接続部材５１のＹ軸方向における両側に位置する第２の隙間Ｓ２，Ｓ２は、Ｙ軸方向に沿った同一直線上に位置する。なお、このように角支持部材３２同士を接続する場合では、置床部材１１における中間支持部材３３を省略してもよい。
・接続部材５１は、樹脂系材料、木質系材料等の材料から構成してもよい。
・図８に示すように、互いに隣り合う２つの置床部材１１の角支持部材３２と互いに隣り合う２つの置床部材１１の角支持部材３２とを１つの接続部材５１で接続することもできる。この場合、接続部材５１のＸ軸方向における両側に位置する第１の隙間Ｓ１，Ｓ１は、Ｘ軸方向に沿った同一直線上に位置する。また、接続部材５１のＹ軸方向における両側に位置する第２の隙間Ｓ２，Ｓ２は、Ｙ軸方向に沿った同一直線上に位置する。なお、このように角支持部材３２同士を接続する場合では、置床部材１１における中間支持部材３３を省略してもよい。
【0054】
・置床構造体６１において、接続部材５１の数は単数でもよいし、複数でもよい。なお、置床構造体６１を構成する置床部材１１の数は、複数であればよい。
・置床部材１１における床基材２１の平面形状は、例えば、正方形、四角形以外の多角形、曲線を含む形状等に変更することもできる。
・置床部材１１における床基材２１の平面形状は、例えば、正方形、四角形以外の多角形、曲線を含む形状等に変更することもできる。
【0055】
・支持部材３１は、樹脂系材料、木質系材料、繊維系材料等の材料から構成してもよい。
・支持部材３１の形状は、例えば、四角柱状以外の多角柱状や、円柱状等の形状であってもよい。また、支持部材３１の支持突出部３１ｂを省略してもよい。
・支持部材３１の形状は、例えば、四角柱状以外の多角柱状や、円柱状等の形状であってもよい。また、支持部材３１の支持突出部３１ｂを省略してもよい。
【0056】
・置床部材１１における吸音部材４１を省略してもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・基台上で互いに隣り合って配置される複数の置床部材を備える置床構造体に用いられ、前記複数の置床部材を接続する接続部材であって、前記置床部材は、床基材と、前記床基材の下側に設けられて前記床基材を支持する支持部材とを有し、前記接続部材は、互いに隣り合う支持部材の間に配置されることで、前記置床部材を平面視で離間させる接続基部と、前記支持部材をそれぞれ取り囲むように前記接続基部に設けられる接続枠部と、を有し、前記接続基部と前記接続枠部とにより形成され、前記支持部材を上下方向に沿って挿脱可能な挿入部と、を有する、接続部材。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・基台上で互いに隣り合って配置される複数の置床部材を備える置床構造体に用いられ、前記複数の置床部材を接続する接続部材であって、前記置床部材は、床基材と、前記床基材の下側に設けられて前記床基材を支持する支持部材とを有し、前記接続部材は、互いに隣り合う支持部材の間に配置されることで、前記置床部材を平面視で離間させる接続基部と、前記支持部材をそれぞれ取り囲むように前記接続基部に設けられる接続枠部と、を有し、前記接続基部と前記接続枠部とにより形成され、前記支持部材を上下方向に沿って挿脱可能な挿入部と、を有する、接続部材。
【符号の説明】
【0057】
１１…置床部材、２１…床基材、２１ａ…第１辺、２１ｂ…第２辺、２１ｃ…第３辺、２１ｄ…第４辺、３１…支持部材、３１ａ…支持本体部、３１ｂ…支持突出部、３２…角支持部材、３３…中間支持部材、４１…吸音部材、５１…接続部材、５２…接続基部、５３…接続枠部、５３ａ…幅狭部、５４…挿入部、６１…置床構造体、Ｂ…基台、Ｔ１，Ｔ２…厚さ寸法、Ｗ１，Ｗ２…幅寸法、Ｓ１…第１の隙間、Ｓ２…第２の隙間。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
