(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ベールラッパ及び組合せ機械
(51)【国際特許分類】
A01F 15/08 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
A01F15/08 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019226298
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】519448315
【氏名又は名称】アグロニック オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】クロネン、ウルポ
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-057013(JP,A)
【文献】特開平05-023041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0324830(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0024357(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第4120733(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 1/00 - 1/06
A01F 12/00
A01F 13/00 - 17/04
A01D 76/00 - 90/16
B65B 59/00 - 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベールラッパであって、
フレームと、
前記フレームに対して移動可能なラッピング台(24)であって、前記ラッピング台(24)は前端(18)と後端(20)を有し、ラッピングされたベール(100)が前記後端を越えて前記ラッピング台から転がり落ちるように構成され、前記フレームは長手方向を有する少なくとも1つの支持レール(16a、16b)を備え、前記ラッピング台(14)は第1の支持部材(28)を有して前記ラッピング台(24)が前記支持レールの長手方向に可動なように前記支持レール(16a、16b)に支持される、ラッピング台と、
前記ラッピング台(24)がベール(100)を受け取るために移動可能な、受取りステーション(12)と、
保護フィルムのラッピングの間、前記ラッピング台(24)をそこへ移動させることができる、ラッピングステーション(14)と、
前記ラッピング台(24)を前記受取りステーション(12)と前記ラッピングステーション(14)の間で移動させるアクチュエータと、
前記ベール(100)の周りに保護フィルムをラッピングするラッピング装置(50)と、
を備え、
前記ラッピング台(24)はその先端(18)が少なくとも1つのロッカ(26a、26b)により前記フレームに支持されることを特徴とする、ベールラッパ。
【請求項2】
前記支持レール(16a、16b)は、前記支持レール(16a、16b)の実質的に前記長手方向に支持面(30)を有し、かつ前記第1の支持部材(28)は前記支持レール(16a、16b)の前記支持面(30)に沿って移動する支持車輪を備えることを特徴とする、請求項1に記載のベールラッパ。
【請求項3】
前記ベールラッパは2つの平行なロッカ(26a、26b)を備え、前記ラッピング台(24)は、第1のロッカ(26a)と第2のロッカ(26b)に関節式に取り付けられることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のベールラッパ。
【請求項4】
前記ロッカ(26a、26b)はL字型部品であり、前記フレーム(10)に接続される第1の端部と、前記ラッピング台(24)に接続される第2の端部を有することを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のベールラッパ。
【請求項5】
2つの平行な支持レール(16a、16b)を備え、前記ラッピング台(24)が、それにより第1の支持レール(16a)に支持される第1の側端部を備え、かつそれにより第2の支持レール(16b)に支持される第2の側端部を備える、ことを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のベールラッパ。
【請求項6】
前記第1の支持部材(28)は、前記前端(18)と前記後端(20)の間にあって、前記後端(20)から離れていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のベールラッパ。
【請求項7】
前記受取りステーション(12)と前記ラッピングステーション(14)との間で前記ラッピング台(24)を動かすための前記アクチュエータは、前記ロッカ(26a、26b)を回転させるように構成されることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のベールラッパ。
【請求項8】
前記アクチュエータは油圧シリンダ(42)であり、その第1の端部で前記フレーム(10)に取り付けられ、かつその第2の端部で前記ロッカ(26a、26b)に取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載のベールラッパ。
【請求項9】
前記ロッカ(26a、26b)は、それにより前記ラッピング台(24)が前記受取りステーション(12)の位置となる第1の位置と、それにより前記ラッピング台(24)が前記ラッピングステーション(14)の位置となる第2の位置とすることが可能なことを特徴とする、請求項1~請求項8に記載のベールラッパ。
【請求項10】
前記ラッピング台(24)は、前記ベールラッパが通常の使用位置にあるとき、前記ラッピング台(24)の前記前端(18)が前記後端(20)よりも実質的に垂直方向の上にある排出位置とし得ることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のベールラッパ。
【請求項11】
前記支持レール(16a、16b)の前記長手方向の支持面(30)の形状は、直線ではないことを特徴とする、請求項2~請求項10のいずれか一項に記載のベールラッパ。
【請求項12】
前記支持面(30)は、前記ロッカ(26a、26b)の第2の端部の移動経路の形状と実質的に同じ形状の部分を備えることを特徴とする、請求項11に記載のベールラッパ。
【請求項13】
前記ラッピング台(24)は、第2の支持部材(29)を更に有し、それにより前記ラッピング台(24)は、前記支持レールの長手方向に移動可能なように前記支持レール(16a、16b)上に支持され、前記第2の支持部材(29)は前記支持レール(16a、16b)の支持面(30)に沿って動く支持車輪を備えることを特徴とする、請求項5~請求項10のいずれか一項に記載のベールラッパ。
【請求項14】
前記ラッピング台(24)の前記前端(18)にピボットピン(25)があり、前記ラッピング台(24)に接続される前記ロッカ(26a、26b)の第2の端部に細長いスロット(33)があって、前記ピボットピン(25)は前記スロットに嵌合して動くことを特徴とする、請求項13に記載のベールラッパ。
【請求項15】
前記スロット(33)は第1の端部と第2の端部を有し、前記ロッカ(26a、26b)が第2の位置にあるとき、前記第1の端部は前記第2の端部よりも垂直方向の下にあることを特徴とする、請求項14に記載のベールラッパ。
【請求項16】
前記スロット(33)は湾曲形状を有することを特徴とする、請求項14又は請求項15に記載のベールラッパ。
【請求項17】
ベール(100)を形成するためのベーリングチャンバ(60)と、
前記形成されたベール(100)の周りに保護フィルムを巻くためのベールラッパと、
を備え、
前記ベールラッパは、請求項1~請求項16に記載のベールラッパである、組合せ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームと、そのフレームに対して移動可能なラッピング台と、ラッピング台がベールを受け取るために移動可能な受取りステーションと、保護フィルムをラッピングする間ラッピング台をそこへ移動させることができるラッピングステーションと、ラッピング台を受取りステーションとラッピングステーションの間で移動させるアクチュエータと、ベールの周りに保護フィルムをラッピングするラッピング装置と、を備えるベールラッパに関する。ここで、ラッピング台は前端と後端を有し、ラッピングされたベールが後端を越えてラッピング台から転がり落ちるように構成され、フレームは長手方向を有する少なくとも1つの支持レールを備え、ラッピング台は第1の支持部材を有してラッピング台が支持レールの長手方向に可動なように支持レールに支持される。本発明はさらに、本発明によるベールラッパを備える組合せ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
飼料植物及び干し草は丸いベールとして保管されることが多い。トラクタの後ろで牽引される組合せ機械がベーリングに使用される。これはピッキングロールを用いて圃場の飼料床を持ち上げて装置内のベーリングチャンバに入れ、ベーラの移動と共に円筒形のベールを形成する。丸いベールがベーリングチャンバからベールラッピング装置に移送され、そこで気密かつ耐水性のプラスチックの保護フィルムが、ベールの周りに密にラッピングされる。ベールラッパは分離された装置でもあってよく、別のベーラで作られたベールがこれを用いて保護フィルムでラッピングされる。
【0003】
既知の組合せ機械では、ラッピング装置が装置の後部に配置され、ベーリングチャンバが装置の前部に配置される。丸いベールはベーリングチャンバからコンベヤに沿って、ベールラッピング装置に属する分離されたラッピング台に移送される。ラッピング台は典型的には2つの平行な支持ロールから成り、その上にベールが水平に配置されてその長手軸を中心に回転される。ベールの回転と同時に、ラッピング装置の助けにより展伸可能な保護フィルムがベールの周りにラッピングされる。保護フィルムをラッピングした後、ラッピング台を傾けて、保護フィルムでラッピングされたベールをラッピング台から圃場へ転がり落とし、そこに放置して、保管場所又は使用場所への輸送を待つ。
【0004】
欧州特許第0865723(B1)号明細書及び欧州特許第1438889(B1)号明細書には、移動可能なラッピング台を有する組合せ機械が開示されている。このラッピング台はベーリングチャンバの受取りステーションとベールラッピング装置のラッピングステーションの間の案内軌道上を移動可能である。移動可能ラッピング台における典型的な問題は、その移動速度が小さいことであり、これにより装置の運転が遅くなる。欧州特許第0865723(B1)号明細書では、ラッピング台はチェーン駆動機構によって移動され、欧州特許第1438889(B1)号明細書では複数の分離された油圧シリンダで移動される。案内軌道及びチェーン駆動機構は誤動作をする可能性がある。特に濡れて泥のついた作業環境においてはそうである。上記の移送機構はまた、構造的に複雑であり、その製造コストが高い。
【0005】
独国実用新案第20015653(U1)号明細書は、丸いベールのラッピング装置を開示する。これはフレームと、L字型支持アームによってフレームから吊り下げられたラッピング台とから成る。ベールラッピング装置に属する大型フレームは大きな空間を必要とし、例えば移動式の組合せ機械に装置を配置することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第0865723(B1)号明細書
【文献】欧州特許第1438889(B1)号明細書
【文献】独国実用新案第20015653(U1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術に関する欠点と欠陥を低減可能な、ベールラッピング装置及び組合せ機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、独立請求項に提示されることを特徴とする、ベールラッパと組合せ機械により達成される。本発明のいくつかの有利な実施形態は、従属請求項に提示される。
【0009】
本発明の目的は、フレームと、フレームに対して移動可能なラッピング台とを有するベールラッパである。ラッピング台は前端と後端とを有し、その後端越しにラッピングされたベールがラッピング台から転がり落ちるようになっている。フレームは、長さ方向を有する少なくとも1つの支持レールを備える。ラッピング台は、ラッピング台が支持レールの長手方向に移動可能となるようにラッピング台を支持レールに支持する第1の支持部材と、ベールを受け取るためにラッピング台がそこへ移動可能な受取りステーションと、保護フィルムのラッピングを継続する間ラッピング台がそこへ移動可能なラッピングステーションと、受取りステーションとラッピングステーションの間でラッピング台を移動させるためのアクチュエータと、ベールの周りに保護フィルムを巻くためのラッピング装置と、を有する。ラッピング台はその先端が少なくとも1つのロッカによりフレームに支持される。有利なことには、支持レールは、実質的に支持レールの長手方向に支持面を有し、かつ第1の支持部材は支持レールの支持面に沿って移動する支持車輪を備える。
【0010】
本発明によるベールラッパの1つの有利な実施形態は、2つの平行なロッカを備え、かつラッピング台が第1のロッカと第2のロッカに関節式に取り付けられている。
【0011】
本発明によるベールラッパの第2の有利な実施形態は、ロッカがL字型の部品であり、フレームに接続される第1の端部と、ラッピング台に接続される第2の端部を有する。
【0012】
本発明によるベールラッパの第3の有利な実施形態は、2つの平行な支持レールを備え、ラッピング台が、第1の支持レールに支持される第1の側端と第2の支持レールに支持される第2の側端を有する。
【0013】
本発明によるベールラッパのさらに別の有利な実施形態においては、第1の支持部材が前端と後端の間に、後端から距離を置いて位置している。
【0014】
本発明によるベールラッパのさらに別の有利な実施形態においては、ラッピング台を受取りステーションとラッピングステーションの間で移動させるためのアクチュエータが、ロッカを回転させるようになっている。そのアクチュエータは有利には油圧シリンダであり、その第1の端部が架台に取り付けられ、かつその第2の端部がロッカに取り付けられている。
【0015】
本発明によるベールラッパのさらに別の有利な実施形態においては、ロッカを、それによりラッピング台が受取りステーションの位置となる第1の位置と、それによりラッピング台がラッピングステーションの位置となる第2の位置とすることができる。
【0016】
本発明によるベールラッパのさらに別の有利な実施形態においては、ベールラッパが通常の使用位置にあるとき、ラッピング台の前端が後端よりも実質的に垂直方向の上にある、排出位置とすることが可能である。
【0017】
本発明によるベールラッパのさらに別の有利な実施形態においては、支持レールの長手方向の支持面の形状は直線ではない。この支持面は有利には、ロッカの第2の端部の移動経路の形状と実質的同じ形状の部分を有する。
【0018】
本発明によるベールラッパのさらに別の有利な実施形態においては、ラッピング台は、第2の支持部材を更に有し、それによりラッピング台は、支持レールの長手方向に移動可能なように支持レール上に支持され、第2の支持部材は支持レールの支持面に沿って動く支持車輪を備える。
【0019】
本発明によるベールラッパのさらに別の有利な実施形態においては、ラッピング台の前端にピボットピンがあり、ラッピング台に接続されるロッカの第2の端部に細長いスロットがあって、スロットにピボットピン(25)が嵌まって動く。細長いスロットとそのスロット内を移動するピボットピンの助けで実装される、ラッピング台とロッカの間の接続により、ロッカの第2の端部の曲線的な移動経路は、ラッピング台の前端の垂直位置に影響を与えず、ラッピング台は第1と第2の支持部材に支持されて直線的な支持面に沿って移動可能である。
【0020】
本発明によるベールラッパのさらに別の有利な実施形態においては、スロットは第1の端部と第2の端部を有し、ロッカが第2の位置にあるとき、第1の端部は第2の端部よりも垂直方向の下にある。こうして、ラッピング台の前端のピボットピンは、ロッカが第2の位置にあるときはラッピング台の重力によってスロットの第1の端部までの全体を移動しようとする。スロットは有利には湾曲形状を有する。スロットを有するロッカの部分は、スロットと同じように湾曲形状を有することができる。
【0021】
本発明による組合せ機械は、ベールを形成するためのベーリングチャンバと、形成されたベールの周りに保護フィルムを巻くためのベールラッパとを備える。このベールラッパは上記の説明によるあるベールラッパである。
【0022】
構造的に簡単であり、機能的に信頼性があることが本発明によるベールラッパの利点である。構造が簡単なために、ベールラッパの製造及び維持のコストが削減される。
【0023】
以下において本発明を添付の図面により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1a】一例として本発明によるベールラッパを側面から見た図である。
【
図1b】
図1aに示すベールラッパを背面から見た図である。
【
図2】一例として本発明によるベールラッパの有利な実施形態を側面から見た図である。
【
図3a】本発明によるベールラッパの有利な実施形態を側面から見た図である。
【
図3b】本発明によるベールラッパの有利な実施形態を側面から見た図である。
【
図3c】本発明によるベールラッパの有利な実施形態を側面から見た図である。
【
図3d】本発明によるベールラッパの有利な実施形態を側面から見た図である。
【
図4】一例として本発明による組合せ機械を側面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1a及び
図1bは一例として本発明によるベールラッパを示す。
図1aは横から見たベールラッパであり、
図1bは背後から見たベールラッパである。以下においては両方の図面を同時に説明する。
【0026】
ベールラッパには2つの隣接する、実質的に平行な支持レール16a、16bがあり、それらは一端で、支持レールの長手方向を横切る接続梁31によって牽引バー32に接続される。支持レールは鋼から製造されたU形状であり、樋状のその表面が互いに向かって開放されている(
図1b)。両方の支持レールの一端面がL字型支持柱34に取り付けられて、支持柱の第1の点が、支持レールに対して実質的に垂直な位置でその端部を支持レールに取り付けられ、かつ支持柱の第2の点同士がその端部で相互接続される。支持レールと、それらを接続する接続梁と、支持柱とがベールラッパのフレームを形成する。支持柱の第2の点同士の間の接合点にモータ36があって、そこに2つのL字型ラッピングアーム56が回転可能に取り付けられ、そのラッピングアームの自由端は実質的に垂直に下方を向いている。ラッピングアームにはブラケットがあって、そこに保護フィルムのロールが取りつけられる。ラッピングアームの円運動経路の中心に、ラッピングステーション14(
図1a)があり、ラッピング台上にあるベール100が保護フィルムでラッピングされる間、ラッピング台24がそこに配置される。
【0027】
ベールラッパに属するラッピング台24は、2つの平行な支持ロールと、支持ロールの周りを回転する連続ベルトと、支持ロールの1つを回転させるモータとを備えるものとして知られる装置である。モータを使用することで、保護フィルムロールがベールの周りを垂直回転軸を中心に回転するのと同時に、ラッピング台上のベールがその水平軸を中心に回転させられる。こうして、保護フィルムがベールの外表面上に均等に巻かれる。
【0028】
ラッピング台24は2つのL字型ロッカ26a、26b上で支持柱34に吊るされる。したがってロッカはその第1の端部がピボットピンで支持柱に取り付けられ、第2の端部がラッピング台の前端18に取り付けられる。ロッカはラッピング台の側端が画定する平面の外側に位置して、ラッピング台はロッカー同士の間にある。ラッピング台の前端では、ピン状の懸吊部材22があり、ロッカの第2の端部がそこに取り付けられる。ラッピング台は、車輪28の形状をした2つの支持部材で支持レール16a、16aに更に支持される。支持車輪は軸上でラッピング台の両側に取り付けられ、第1の支持車輪がラッピング台24の第1の側にあり、第2の支持車輪がラッピング台の第2の側にある。支持車輪は支持レールの樋状部分の内側に配置されて、支持レールのフランジの内側表面に沿って回転可能である。支持レール16a、16bのフランジ面は支持面30を形成し、それに沿ってラッピング台が支持レールの長手方向に移動可能となる。
【0029】
ベールラッパはさらに、両端が車輪40を有する軸39を備える。軸は支持レール16a、16bの下面に取り付けられる。車輪があるために、ベールラッパは面上を引っ張ることにより移動可能である。
図1aでは、ベールラッパの構造を分かり易くするために車輪の1つが省略されている。
【0030】
図1aに示すベールラッパのラッピング台24は牽引バー32の近くの支持柱34の間である、その移動経路の第1の極端位置にある。ラッピング台のこの位置は、本開示では受取りステーション12と呼ばれる。保護フィルムを巻こうとする新しいベール100がラッピング台状に置かれると、ラッピング台は受け取り位置に移動する。ラッピング台の移動は、ロッカを
図1aの第1の位置に回転させることにより生じる。これによりロッカが支持レール沿いに受取りステーションまでラッピング台を引っ張る。ロッカの位置を変えるために、ベールラッパは2つの目的を持った油圧シリンダ42を有し、その長さを変えることによりロッカを第1の端部の取り付け位置の周りで回転させる。油圧シリンダのフレームは、支持柱34の張り出し35の端部に取り付けられ、ピストンロッドの端部がロッカに取り付けられる。回転台が受取りステーションにある場合、油圧シリンダはもっとも短い位置にある。油圧シリンダは有利には、油圧ホースによって、ベールラッパを牽引する作業機械の油圧システムに接続することができる。
【0031】
図1cと
図1dは、ラッピング台の
図1aに示す受取りステーションからラッピングステーション14までの移動を一連の図によって示す。
図1cと
図1dは
図1aに示すベールラッパが、ラッピング台の移動経路の異なる段階にあることを示す。以下においては両方の図面を同時に説明する。
【0032】
ベール100がラッピング台24の受取りステーションに持ってこられたとき、油圧シリンダ42を延ばすことによりロッカ26aが時計方向に回転され、それによりラッピング台がラッピングステーションに向かって移動し始める。ラッピング台の移動中に、ラッピング台はその前端でロッカ上に支えられ、また支持車輪28を介して支持レール16aに支えられる。ラッピング台が移動する間、支持車輪は支持レールの支持面に沿って転動する。ロッカ26aは
図1dによれば回転して第2の位置となり、ここでロッカの第1の点は実質的に支持柱34の方向になり、ロッカの第2の点は実質的に支持レール16aの方向になる。同時に、ラッピング台24が
図1cに示す中間ステーションを経由して、
図1dに示すラッピングステーション14に移動する。ラッピングステーションにおいて保護フィルムのロール58をベールの周りに搬送するラッピングアーム56の回転によって、保護フィルムがベールの周りに巻かれる。ラッピングアームの回転と同時に、ベールが載っているベルトであるラッピング台ベルトをモータで回転させることにより、ラッピング台上のベールが、その中心軸の周りで回転する。
【0033】
図1eは、
図1a~
図1dに示すベールラッパを側面から見た図である。この図は、保護フィルムがベール100の周りの所定位置に巻かれ、ベールがラッピング台24から取り外された状態を示す。ベールの取り外しは、
図1eによれば、ラッピング台24を傾けて排出位置とすることで生じる。油圧シリンダ42の長さを増加させ、それによってロッカ26aが回転してその第2の点の端部が上方向に上昇することによって、ラッピング台が排出位置に設定される。こうして、ラッピング台は支持車輪の取り付け軸28を中心に回転して排出位置となる。そこではラッピング台の先端18がラッピング台の後端20よりも実質的に高くなる。保護フィルムを巻かれたベール100はこうしてラッピング台の後端を越えて、ラッピング台から転がり落ちる。ベールがラッピング台から離れると、油圧シリンダ42はその最短長さに戻り、それによってラッピング台が中間ステーションを経由して受取りステーションに移動する。
【0034】
図2は一例として本発明によるベールラッパの有利な実施形態を側面から示す。本発明のこの実施形態は、
図1a~
図1eで説明したベールラッパとすべて同じ構造部品から構成される。
図2の実施形態は、上記で説明した発明とは、支持レール16a、16bの形状と構造が異なる。
図2では、支持レールの腹板の幅が支持レールの長手方向で変化し、支持レールの幅がレール長さの中央領域で最大となる。金属帯材が支持レールの腹板の内面に取り付けられ、その金属帯材の上面が支持面30を形成して、ラッピング台24が受取りステーションとラッピングステーションの間を移動するときに支持車輪28がその面に沿って転動する。ロッカが図中に点線で示した第1の位置から、図中に実線で示した第2の位置へ移動するとき、支持面は、ロッカ26a、26bの第2の点の端部の移動経路の形状と実質的に同じ形状の湾曲部からなる。支持面が湾曲形状であるために、ラッピング台の移動中にラッピング台24は実質的に常に水平位置に留まる。これがベールがラッピング台上に留まることを助ける。
【0035】
図3aは一例として本発明によるベールラッパの有利な実施形態を側面から示す。本発明のこの実施形態は、
図1a~
図1eで説明したベールラッパとすべて同じ構造部品から構成される。
図3aに示す実施形態は、2つの平行な支持レール16a、16bを有し、これが実質的に真っすぐな支持面を有する。
図3aでは第1の支持レール16aしか見えないが、第2の支持レール16bがその後ろに隠れている。ラッピング台は、第1の支持部材28の他に、第2の支持部材29を有し、これらに支えられてラッピング台が支持レール16a、16bに沿って移動可能である。第2の支持部材は第1の支持部材と同一である。すなわちそれらは支持レールの支持面に沿って移動する支持車輪を備えている。第2の支持部材は、ラッピング台の長手方向から見たとき、第1の支持部材よりもラッピング台の前端18のより近くに位置している。ラッピング台はこうして1つの第1の支持部材28と1つの第2の支持部材29で第1の支持レール16aに支持され、かつ1つの第1の支持部材28と1つの第2の支持部材29で第2の支持レール16bに支持される。これに代わり、ラッピング台は、1つの第1の支持部材と1つの第2の支持部材で1つの支持レールに支持され、かつ、ラッピング台の長手方向でラッピング台の実質的に中央に位置する1つだけの支持部材で第2の支持レールに支持されることも可能である。そのような3つの支持部材で実装されるラッピング台の利点は、ラッピング台及び支持レールに万一形状誤差がある場合にも、その移動経路でのラッピング台の移動への影響が小さいことである。
【0036】
図3aに示す実施形態は、上で説明した実施形態とはロッカ26a、26bの形状と構造に関して、またラッピング台24とロッカの間の取り付けに関して更に違いがある。ロッカ26a、26bの、ラッピング台に取り付けられる第2端部は、湾曲形状の細長いスロット33を有する。このスロットはロッカ端部に近い第1の端部と、ロッカのコーナの点に近い第2の端部とを有する。ラッピング台の両側端部において、ラッピング台の前端のすぐ近くにピボットピン25があり、その自由端がスロットを貫通する。
図3aではロッカはその第1の位置にあり、これによりラッピング台が受取りステーション12にある。ラッピング台の各側に1つの、2つのロッカがあってもよい。あるいは、支持柱34の1つにだけ取り付けられた、1つだけのロッカであってもよい。
【0037】
図3bと
図3cは、
図3aに示す受取りステーション12からラッピングステーション14までのラッピング台24の移動を一連の図によって示す。
図3bと
図3cは、ラッピング台の移動経路の異なる段階における、
図3aに示すベールラッパを示す。以下においては両方の図面を同時に説明する。
【0038】
ベール100がラッピング台24の受取りステーションに持ってこられたとき、ロッカ26a、26bは、油圧シリンダ42を延伸させることにより時計方向に回転され、それによりロッカに押されてラッピング台がラッピングステーションに向かって移動し始める。ラッピング台は移動中に、支持レール16a、16b上の第1の支持部材28と第2の支持部材29を介して支えられる。ラッピング台が移動する間、支持部材の支持車輪は支持レール16aの直線的な支持面に沿って転動する。ロッカの回転移動の間、ラッピング台の前端に取り付けられたピボットピンがスロット30内をスロットの長手方向に移動する。ロッカ26aは
図3cによれば回転して第2の位置となり、ここでロッカの第1の点は実質的に支持柱34の方向になり、ロッカの第2の点は実質的に支持レール16aの方向になる。同時に、ラッピング台24が
図3bに示す中間ステーションを経由して、
図3cに示すラッピングステーションに移動する。ラッピングステーションにおいて保護フィルムのロール58をベールの周りに搬送するラッピングアーム56の回転によって、保護フィルムがベールの周りに巻かれる。ラッピングアームの回転と同時に、ベールが載っているベルトであるラッピング台ベルトをモータで回転させることにより、ラッピング台上のベールが、その中心軸の周りで回転する。
【0039】
図3dは、保護フィルムがベール100の周りの所定位置に巻かれ、ベールがラッピング台24から取り外された状態を示す。ベールの取り外しは、
図3dによれば、ラッピング台24を傾けて排出位置とすることで生じる。ラッピング台は、油圧シリンダ42の長さを増加させ、それによってロッカ26aが回転してその第2の点の端部が上方向に上昇することによって、排出位置に設定される。こうして、ラッピング台は第1の支持部材28の取り付け軸を中心に回転して排出位置となる。そこではラッピング台の前端18がラッピング台の後端20よりも実質的に高くなる。支持レールの上端の構造は、第2の支持部材29の支持車輪が、支持レールの上面の高さより上へ上がることを可能とするようになっている。保護フィルムを巻かれたベール100はこうしてラッピング台の後端を越えて、ラッピング台から転がり落ちる。ベールがラッピング台から離れると、油圧シリンダ42はその最短長さに戻り、それによってラッピング台が中間ステーションを経由して受取りステーションに移動する。
【0040】
図4には一例として、本発明による組合せ機械を側面から示す。組合せ機械は本発明によるベールラッパを装備している。組合せ機械は、梁状の部品で構築された、細長いフレーム10を有し、そのフレームに2つの軸が取り付けられ、その両端に車輪40がある。フレームの第1の端部に牽引バー32があり、作業機械又は牽引車両に取り付けるための牽引ループを有する。フレームの第1の端部には更にベーリングチャンバがあり、その牽引バー方向の端部には圃場からベールとなる材料を収集して、ベーリングチャンバに送る手段がある。ベーリングチャンバの内部には、ベーリング手段があり、それによってベーラが、既にベーリングチャンバに供給された、例えば飼料植物又は干し草などのベーリングされる材料から丸いベールを形成する。ベーリングチャンバは、固定的にフレーム10に取り付けられた前部と、開放可能な後壁62とを備える。この後壁は、その上端が前部の上端にヒンジで取り付けられている。後壁は図中に点線で示す開放位置に回転することが可能である。そうして、ベーリングチャンバで形成されたベール100をベーリングチャンバの外側のベール受取りステーションへ転動させることが可能である。ベーリングチャンバに属するベーリング手段は、従来技術で然るべく既知であり、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0041】
本発明によるベールラッパは、組合せ機械上のベーリングチャンバの後ろに構築可能である。あるいはそれに代わりベーリングチャンバはベールラッパのフレーム上に取り付けることが可能である。組合せ機械はこうして2つの別々のフレームを持たないで、ベーリングチャンバとベールラッパとが同一フレーム上に支持される。
【0042】
上記の実施形態で例示的に示したベールラッパは、垂直のラッピングアームを備え、それが水平軸の周りを回転するベールを中心に回転する。当業者であれば、異なる構造と動作原理を有するベールラッパがまた、本発明によるベールラッパに使用可能であることは明らかであろう。例えば、ベールラッピング装置は、ラッピング台上のベールを垂直軸と水平軸の両方の周りで回転させる従来技術のラッピング台を有することも可能である。こうして、保護フィルムのロールを装置のフレームの所定位置へ取り付け可能である。
【0043】
本発明によるベールラッパと組合せ機械のいくつかの有利な実施形態を上に説明した。本発明は上記の解決策に限定されるものではなく、本発明の思想は特許請求の範囲内の異なる方法で適用することが可能である。