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▶ 株式会社山田養蜂場本社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】毛穴ケアのための食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/18 20160101AFI20231003BHJP
   A23L 21/20 20160101ALI20231003BHJP
【FI】
A23L33/18
A23L21/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020012578
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021114977
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140888
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 欣乃
(72)【発明者】
【氏名】浅間 孝志
(72)【発明者】
【氏名】長江 英世
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-025718(JP,A)
【文献】特開2007-295919(JP,A)
【文献】世界のウェブアーカイブ|ウェブサイトsupernaturalacnetreatment.comに掲載された2015年 1月24日付けの記事Is Royal Jelly the Greatest Acne Treatment Ever? ( http://supernaturalacnetreatment.com/royal-jelly-greatest-acne-treatment-ever/)の2018年 5月26日付けアーカイブ,2016年,[オンライン],[検索日:2023年 4月13日],URL,https://web.archive.org/web/20180526033905/http://supernaturalacnetreatment.com/royal-jelly-greatest-acne-treatment-ever/
【文献】臨床試験登録サイトUMIN-CTRにおいて一般公開日2019年 6月30日に掲載された試験ID:UMIN000034539(試験名:健常人を対象とした酵素分解ローヤルゼリーが肌に与える影響確認試験)について2018年11月22日付けで更新された情報,2019年,[オンライン],[検索日:2023年 4月13日],URL,https://center6.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_his_list.cgi?recptno=R000039376
【文献】世界のウェブアーカイブ|通販サイトAmazon.co.jpに掲載された「スーパー毛穴ローション 角質オフ ふきとり 化粧水 100ml」の商品情報( https://www.amazon.co.jp/ラボラボ-スーパー毛穴ローション-角質オフ-ふきとり-100ml/dp/B00855VQH8)の2019年 6月22日付けアーカイブ,2019年,[オンライン],[検索日:2023年 4月13日],URL,https://web.archive.org/web/20190622162556/https://www.amazon.co.jp/ラボラボ-スーパー毛穴ローション-角質オフ-ふきとり-100ml/dp/B00855VQH8
【文献】岐阜薬科大学紀要,2013年,62,pp.32-37
【文献】BMC Complementary and Alternative Medicine,17:392,2017年,[オンライン],[検索日:2023年 4月13日],URL,https://bmccomplementmedtherapies.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12906-017-1888-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,A61K,A61P,A61Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAPlus/MEDLINE/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてローヤルゼリーのみを含み、前記ローヤルゼリーが、有効成分としてタンパク質分解酵素で処理して得られる酵素分解ローヤルゼリーである、毛穴ケアのための食品組成物。
【請求項2】
前記タンパク質分解酵素が、エンドペプチダーゼ作用を有する酵素、エキソペプチダーゼ作用を有する酵素、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を有する酵素からなる群から選択される、請求項に記載の食品組成物。
【請求項3】
前記毛穴ケアは、目立つ毛穴、開きが目立つ毛穴及び/又は黒ずみが目立つ毛穴を改善することを含む、請求項1又は2に記載の食品組成物。
【請求項4】
さらに、色素沈着の改善効果を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の食品組成物。
【請求項5】
健康食品、機能性表示食品、栄養機能食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品からなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛穴ケアのための食品組成物に関し、特にローヤルゼリーを含む毛穴ケアのための食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ローヤルゼリーは働き蜂が女王蜂の特別食として花粉や花蜜を体内で消化、分解し、下咽頭腺と大顎腺から分泌する乳白色のクリーム状物質であり、特有成分の10-ヒドロキシ-2-デセン酸、10-ヒドロキシデカン酸のほか、タンパク質、アミノ酸、ビタミン及びミネラルなどを含有している。また、古くから滋養強壮を目的として珍重されており、近年ではメタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、血糖値及び脂質代謝、耳鳴り、血圧、更年期症状、更年期周辺女性の肩こり、冷え症及び月経前症候群に対する改善作用が報告されている。
【0003】
ローヤルゼリーの肌に関する機能性についても複数報告があり、動物に対する投与試験では、マウスのアトピー性皮膚炎様の皮膚損傷進行抑制作用(非特許文献1)、卵巣摘出ラットの皮膚におけるコラーゲン産生促進作用(非特許文献2)が報告されている。細胞試験では、ローヤルゼリー及び10-ヒドロキシ-2-デセン酸によるB16メラノーマ細胞におけるメラニン産生抑制作用(非特許文献3~5)、10-ヒドロキシ-2-デセン酸によるヒト角化細胞のフィラグリン産生誘導作用(非特許文献6)、10-ヒドロキシ-2-デセン酸による3次元表皮モデルにおけるフィラグリン産生誘導作用(非特許文献7)、ローヤルゼリー及び10-ヒドロキシ-2-デセン酸による紫外線照射ヒト線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進作用(非特許文献8、9)などが報告されている。
【0004】
ローヤルゼリーは有用な天然素材であるが、一方でアレルギー反応を引き起こす場合があることが知られている。アレルゲンとなりえるタンパク質を分解又は低分子化してアレルゲン量を低減させる方法が種々検討されており、例えば、ペプチダーゼ又はプロティナーゼなどの酵素処理によって得られる低アレルゲン化した酵素処理ローヤルゼリー(特許文献1、非特許文献10)などが提案されている。これまでヒトにおいて、群内比較にて高用量の酵素分解ローヤルゼリーによる保湿効果が確認されている(非特許文献11)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-295919号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Taniguchi Y, Kohno K, Inoue S,Koya-Miyata S, Okamoto I, Arai N, et al. Oral administration of royal jellyinhibits the development of atopic dermatitis-like skin lesions in NC/Nga mice.Int Immunopharmacol 2003; 3: 1313-24.
【文献】Park HM, Cho MH, Cho Y, Kim SY.Royal jelly increases collagen production in rat skin after ovariectomy. J MedFood 2012; 15: 568-75.
【文献】Han SM, Yeo JH, Cho YH, Pak SC.Royal jelly reduces melanin synthesis through down-regulation of tyrosinaseexpression. Am J Chin Med 2011; 39: 1253-60.
【文献】Han SM, Kim JM, Hong IP, Woo SO,Kim SG, Jang HR, et al. Whitening Effect of Watersoluble Royal Jelly from SouthKorea. Korean J Food Sci Anim Resour. 2015; 35: 707-13.
【文献】Peng CC, Sun HT, Lin IP, Kuo PC,Li JC. The functional property of royal jelly 10-hydroxy-2-decenoic acid as amelanogenesis inhibitor. BMC Complement Altern Med 2017; 17: 392.
【文献】Duplan H, Questel E,Hernandez-Pigeon H, Galliano MF, Caruana A, Ceruti I, et al. Effects ofHydroxydecine (10-hydroxy-2-decenoic acid) on skin barrier structure andfunction in vitro and clinical efficacy in the treatment of UV-induced xerosis.Eur J Dermatol 2011; 21: 906-15.
【文献】Lihao Gu, Haifeng Zeng, KazuhisaMaeda. 10-Hydroxy-2-Decenoic Acid in Royal Jelly Extract Induced Both Filaggrinand Amino Acid in a Cultured Human Three-Dimensional Epidermis Model. Cosmetics2017; 4: 48.
【文献】Park HM, Hwang E, Lee KG, Han SM,Cho Y, Kim SY. Royal jelly protects against ultraviolet B-induced photoaging inhuman skin fibroblasts via enhancing collagen production. J Med Food. 2011; 14:899-906.
【文献】Zheng J, Lai W, Zhu G, Wan M,Chen J, Tai Y, et al. 10-Hydroxy-2-decenoic acid prevents ultraviolet A-induceddamage and matrix metalloproteinases expression in human dermal fibroblasts. JEur Acad Dermatol Venereol 2013; 27: 1269-77.
【文献】Moriyama T, Yanagihara M, YanoE, Kimura G, Seishima M, Tani H, et al. Hypoallergenicity and immunologicalcharacterization of enzyme-treated royal jelly from Apis mellifera. BiosciBiotechnol Biochem 2013; 77: 789-95.
【文献】織部恵莉、美肌食品の最前線-注目の素材の美肌効果・機能性-酵素分解ローヤルゼリーの長期飲用による肌への効果、ファインケミカル、2013、42:20-25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ローヤルゼリーによる肌に対するさらなる有利な効果を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、酵素分解ローヤルゼリーが毛穴ケア作用を有すること見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
[1]
ローヤルゼリーを含む、毛穴ケアのための食品組成物。
[2]
有効成分としてローヤルゼリーのみを含む、[1]の食品組成物。
[3]
上記ローヤルゼリーが、タンパク質分解酵素で処理して得られる酵素分解ローヤルゼリーである、[1]又は[2]の食品組成物。
[4]
上記タンパク質分解酵素が、エンドペプチダーゼ作用を有する酵素、エキソペプチダーゼ作用を有する酵素、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を有する酵素からなる群から選択される、[3]の食品組成物。
[5]
上記毛穴ケアは、目立つ毛穴、開きが目立つ毛穴及び/又は黒ずみが目立つ毛穴を改善することを含む、[1]~[4]のいずれかの食品組成物。
[6]
さらに、色素沈着の改善効果を有する、[1]~[5]のいずれかの食品組成物。
[7]
健康食品、機能性表示食品、栄養機能食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品からなる群から選択される、[1]~[6]のいずれかの食品組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、毛穴ケアできる食品組成物、特に、目立つ毛穴、開きが目立つ毛穴、黒ずみが目立つ毛穴を改善できる食品組成物を提供できる。また、本発明によれば、毛穴ケアとともに、角層水分量、及び色素沈着をも改善できる食品組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本発明の毛穴ケアのための食品組成物は、ローヤルゼリーを含む。ローヤルゼリーは、蜜蜂のうち日齢3~12日の働き蜂が下咽頭腺及び大腮腺から分泌する分泌物を混合して作る乳白色のゼリー状物質である。ローヤルゼリー中の主な生理活性成分としては、例えば、ローヤルゼリーに特有な10-ヒドロキシ-2-デセン酸、10-ヒドロキシデカン酸等の有機酸類をはじめ、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、脂質、糖類、ビタミンB類、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸等のビタミン類、各種ミネラル類等が挙げられる。
【0013】
本明細書においてローヤルゼリーは、例えば生ローヤルゼリーであってもよく、生ローヤルゼリーに処理を施したローヤルゼリー処理物であってもよい。生ローヤルゼリーは、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。ローヤルゼリーの産地は、制限されず、日本、中国、ブラジル、ヨーロッパ諸国、オセアニア諸国、アメリカ等のいずれであってもよい。
【0014】
ローヤルゼリー処理物としては、生ローヤルゼリーを濃縮又は希釈したローヤルゼリー濃縮物又は希釈物、生ローヤルゼリーを乾燥させて粉末化したローヤルゼリー粉末、ローヤルゼリーをエタノール等の有機溶媒で抽出したローヤルゼリーエタノール抽出物等のローヤルゼリー有機溶媒抽出物、ローヤルゼリーをタンパク質分解酵素で処理した酵素分解ローヤルゼリーなどが挙げられる。ローヤルゼリー処理物は複数の処理が施されたものであってもよい。ローヤルゼリーは酵素分解及び粉末化された酵素分解ローヤルゼリー粉末であってもよい。
【0015】
ローヤルゼリー濃縮物は、例えば、生ローヤルゼリーから水分を除去することにより得ることができる。ローヤルゼリー希釈物は、例えば、生ローヤルゼリーに水分を添加することにより得ることができる。
【0016】
ローヤルゼリー粉末は、例えば、凍結乾燥及び噴霧乾燥等の本技術分野における公知の方法により生ローヤルゼリーを粉末化することにより得ることができる。乾燥方法としては、通風乾燥や天日乾燥などの自然乾燥、電気などで加熱して乾燥させる強制乾燥、凍結乾燥など、一般食品加工で採用される公知のいずれの方法を使用することができる。好ましくは、凍結乾燥である。なお、乾燥時間は特に制限されず、通風や天日乾燥などの自然乾燥の場合は、約3日程度、電気などで加熱して強制乾燥させる場合は、50℃程度で1~3日程度を挙げることができる。通常、水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下になるように乾燥させることが好ましい。なお、通風や天日乾燥などの自然乾燥の場合のように水分含量を10質量%以下にすることが難しい場合は、その後、凍結乾燥機にかけて更に水分を下げる処理を行ってもよい。また、凍結乾燥又は噴霧乾燥後に粉砕機(例えば、ピンミル、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル)により粉砕してローヤルゼリー粉末を得てもよい。
【0017】
ローヤルゼリー有機溶媒抽出物は、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン等の有機溶媒を溶媒として生ローヤルゼリー又はローヤルゼリー粉末を抽出することで得ることができる。抽出時間は、原料として用いられる生ローヤルゼリーの形態、溶媒の種類及び量、抽出の際の温度及び攪拌条件等に応じて適宜設定することができる。抽出後、ろ過、遠心分離等により固形分を除去してもよい。また、抽出された溶液をそのまま用いてもよいし、当該溶液から溶媒を除去して、濃縮液又は粉末として用いてもよい。ローヤルゼリー有機溶媒抽出物としては、ローヤルゼリーエタノール抽出物であることが好ましい。
【0018】
酵素分解ローヤルゼリーは、例えば、生ローヤルゼリー又はローヤルゼリー粉末をタンパク質分解酵素で処理することで得ることができる。タンパク質分解酵素としては、例えば、エンドペプチダーゼ作用を有する酵素、エキソペプチダーゼ作用を有する酵素、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を有する酵素からなる群より選択されることが好ましい。特に、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を同時に有するペプチダーゼであることが好ましい。かかるペプチダーゼを使用した酵素処理によれば、一段階酵素処理でタンパク質を低分子化することができるので、操作が簡便であるとともに、ローヤルゼリーに含まれる有用成分の生理活性の消失及び大幅な低減を防止することができるという利点がある。
【0019】
タンパク質分解酵素は、その由来は特に制限されず、動物、植物、及び微生物(細菌、ウィルス、真菌類(カビ、酵母、キノコ等)、藻類など)に由来するペプチダーゼを広く使用できる。
【0020】
「エキソペプチダーゼ」は、「アミノペプチダーゼ」と「カルボキシペプチダーゼ」に分類される。また、ペプチダーゼは、至適pHによって、それぞれ酸性、中性、アルカリ性という用語を各酵素につけることがあり、例えば、「酸性エキソペプチダーゼ」、「中性アミノペプチダーゼ」、「アルカリ性エンドペプチダーゼ」のように記載することもある。
【0021】
少なくともエンドペプチダーゼ活性を有するタンパク質分解酵素としては、動物由来(例えば、トリプシン、キモトリプシン等)、植物由来(例えば、パパイン等)、微生物由来(例えば、乳酸菌、酵母、カビ、枯草菌、放線菌等)のエンドペプチダーゼなどが挙げられる。
【0022】
少なくともエキソペプチダーゼ活性を有するタンパク質分解酵素としては、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、微生物由来(例えば、乳酸菌、アスペルギルス属菌、リゾープス属菌等)のエキソペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ活性も併せて有するパンクレアチン、ペプシン等が挙げられる。
【0023】
エキソペプチダーゼ活性とエンドペプチダーゼ活性の両方を有する酵素の好ましい例としては、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)産生ペプチダーゼ(商品名:アクチナーゼAS)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼA、フレーバーザイム、プロテアックス、スミチームLP-G)、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼP)を挙げることができる。
【0024】
また、エキソペプチダーゼ活性を有する酵素の好ましい例としては、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:ウマミザイムG、Promod 192P、Promod 194P、スミチームFLAP)、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus sojae)産生ペプチダーゼ(商品名:Sternzyme B15024)、アスペルギルス属産生ペプチダーゼ(商品名:コクラーゼP)、リゾプス・オリゼー(Rhizopus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR)を挙げることができる。
【0025】
更に、エンドペプチダーゼ活性を有する酵素の好ましい例としては、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)産生ペプチダーゼ(商品名:オリエンターゼ22BF、ヌクレイシン)、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)産生ペプチダーゼ(商品名:アルカラーゼ)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼS)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)産生ペプチダーゼ(商品名:ニュートラーゼ)、バチルス属産生ペプチダーゼ(商品名:プロタメックス)を挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「毛穴ケア」とは、健常者の肌、特に顔の肌における毛穴のトラブル、例えば、毛穴の開き、黒ずみ、角栓などを改善することを意味し、目立つ毛穴、開きが目立つ毛穴、黒ずみが目立つ毛穴を改善する(抑える)ことが挙げられる。
【0027】
目立つ毛穴、開きが目立つ毛穴、黒ずみが目立つ毛穴は、肌画像解析システム(例えば、ロボスキンアナライザーRSA50SII、澁谷工業株式会社製)を用いて測定できる。ロボスキンアナライザーは、高精度の肌画像を撮影したのち、肌画像解析ソフトによる毛穴、しわ、色素沈着、色味、きめ、油水分の数値データと、測定部位の着色表示により、分布が判りやすく表示されるシステムである。また、毛穴に関しては、「目立つ毛穴」、「開きが目立つ毛穴」、「黒ずみが目立つ毛穴」の3項目で解析し、それぞれの数値及び面積を表示する。
【0028】
本発明の食品組成物によれば、健常者の肌において、「目立つ毛穴」の改善、すなわち、目立つ毛穴の面積の減少は、3%以上であり、好ましくは7%以上である。また、「開きが目立つ毛穴」の改善、すなわち、開きが目立つ毛穴の面積の減少は、1%以上であり、好ましくは5%以上である。さらに、「黒ずみが目立つ毛穴」の改善、すなわち、黒ずみが目立つ毛穴の面積の減少は、1%以上であり、好ましくは5%以上である。
【0029】
本発明の食品組成物は、色素沈着の改善効果をも有する。色素沈着は、上記肌画像解析システムによって解析することができる。本発明の食品組成物によれば、健常者の肌において、色素沈着の改善、すなわち、色素沈着の面積(例えば、後述の総合色素沈着面積)の減少は、4%以上であり、好ましくは7%以上である。
【0030】
本発明の食品組成物は、有効成分としてローヤルゼリーのみを含んでもよい。ローヤルゼリー以外の成分として、例えば、食品として許容される成分、例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤などを含んでいてもよい。
【0031】
本発明の食品組成物は、液体の形態、半液体形態又は固体形態であってもよい。液体の形態としては、ドリンク剤、シロップ、懸濁液、乳濁液であってもよく、半液体形態としてはペースト状及びゼリー状の形態であってよく、固体形態としては凍結乾燥物(例えば、凍結乾燥粉末)、錠剤(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤等の剤形であってもよい。これらの各種製剤は、例えば、ローヤルゼリーと、必要に応じて他の成分とを混合して上記剤形に成形することによって調製することができる。
【0032】
本発明の食品組成物は、食品の3次機能、すなわち体調調節機能が強調されたものであることが好ましい。食品の3次機能が強調された製品としては、例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養機能食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品からなる群から選択されることが好ましい。
【0033】
食品組成物としては例えば、コーヒー、ジュース及び茶飲料等の清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、並びに、日本酒、洋酒、果実酒及びハチミツ酒等の酒などの飲料;カスタードクリーム等のスプレッド;フルーツペースト等のペースト;チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ及びプリン等の洋菓子;大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ及び羊羹等の和菓子;アイスクリーム、アイスキャンデー及びシャーベット等の氷菓;カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等の調理済みの食品;ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料及びスープの素等の調味料などが挙げられる。
【0034】
本発明の食品組成物は、食品組成物の乾燥重量を100重量部とした場合、ローヤルゼリーを0.1重量部以上、10重量部以上、25重量部以上、40重量部以上、又は50重量部以上であってよく、また、100重量部以下、90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下、60重量部以下、55重量部以下であってよい。
【0035】
本発明の食品組成物は、安全であるため、通常の摂取量であれば特に限定されないが、毛穴ケア効果を得るためには、ローヤルゼリーの乾燥物の重量換算で、0.1~10g/日、0.3~9g/日、0.5~8g/日、0.6~7g/日、又は1~6g/日のローヤルゼリーを摂取してもよい。また毛穴効果を得るために、例えば、1~3回/日、2週間以上、4週間以上、8週間以上、又は数か月~数年間摂取してもよい。
【0036】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
【実施例
【0037】
〔酵素分解ローヤルゼリーによる肌に対する作用の試験〕
<1.対象>
株式会社インフォワード恵比寿スキンリサーチセンター(東京都)が一般募集した。主な選択基準及び除外基準は以下の通りである。
(選択基準)
・20歳以上80歳未満の健常な日本人男女
・乾燥肌に悩む者
(除外基準)
・日常的にローヤルゼリー、酵素分解ローヤルゼリー含有食品を摂取している者
・食物アレルギー又は喘息の既往歴・現病歴のある者
・試験結果に影響すると思われる既往歴がある者
・測定部位に外傷や炎症がある者
・妊娠中もしくは妊娠を希望する者
【0038】
<2.試験食品>
被験食品は酵素分解ローヤルゼリー凍結乾燥粉末(酵素分解RJ)を含有する錠剤(酵素分解RJ含有食品、1粒あたりの重量448mg、そのうち酵素分解RJの含有量222mg)とした。なお、酵素分解RJは、ローヤルゼリーを、エンドペプチダーゼ作用を有する酵素とエキソペプチダーゼ作用を有する酵素の両方の作用を有するプロテアーゼで処理し、タンパク質を分解することで低アレルゲン化したものである。プラセボ食品(1粒あたりの重量448mg)は酵素分解RJを澱粉に置き換えたものとし、プラセボ食品とRJ含有食品は外観に類似性をもたせ、食品間で識別がつかないように配慮した。試験食品の成分組成は表1に示す。なお、酵素処理されていないローヤルゼリー乾燥粉末に約35%含まれているタンパク質が、酵素処理によってアミノ酸及び/又はオリゴペプチドに分解されている。
【表1】
【0039】
<3.試験方法及びスケジュール>
本試験は特定非営利活動法人日本美容皮膚研究会 倫理審査委員会の審議及び承認を得た上で(承認日:2018年11月8日)、ヘルシンキ宣言(2013年VMAフォルタレザ総会で修正)及び人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守した。試験プロトコルは大学病院医療ネットワーク臨床試験システムに登録した(UMIN-CTR 000034539)。
【0040】
試験デザインはプラセボ対照無作為化並行群間二重盲検比較試験とし、被験者に対して本試験の目的と方法などを十分に説明した上で、自由意思による同意を書面にて得た。選択基準を満たし除外基準に該当しない108名の被験者を選抜し、年齢、性別、角層水分量が均等になるように2群に割り付けた。なお、割付担当者は、症例IDにA群、B群を割り当てた対応表を作成し、試験に直接関与しない試験食品割付担当者へ送付した。試験食品割付担当者は、割付担当者より入手した対応表を元に症例IDに試験食番号を付与した表を作成し、試験実施機関へ送付した。試験食品割付担当者はデータが固定されるまで原本(症例ID-群-試験食番号対応表)を誰にも開示しないよう厳重に保管した。
【0041】
摂取前検査(身長、体重、血圧、脈拍、角層水分量、経表皮水分蒸散量、各種血液及び尿検査)は2018年12月に実施し、2019年1月中旬から2019年4月初旬までの12週間、プラセボ食品又はRJ含有食品を常温の水とともに1日3粒摂取させた。また、試験食摂取期間の摂取開始日、摂取4週間後、摂取8週間後、摂取12週間後の4時点で検査を実施した。摂取開始日及び摂取12週間後では、身長、体重、血圧、脈拍、角層水分量、経表皮水分蒸散量、皮膚粘弾性、顔面画像(毛穴、色素沈着、シワ)、各種血液及び尿検査の項目を評価し、摂取4週間後及び8週間後は身長、体重、血圧、脈拍、角層水分量、経表皮水分蒸散量、皮膚粘弾性を評価した。また、試験期間中は日誌に試験食品摂取有無に加え体調や医療機関受診状況などを毎日記録させた。
【0042】
<4.検査項目>
主要評価項目を角層水分量、副次評価項目を経表皮水分蒸散量、皮膚粘弾性、顔面画像(毛穴、色素沈着、シワ)、安全性評価項目を各種血液、尿検査、医師による問診及び有害事象確認とした。各種項目の詳細は以下の通りである。なお、角層水分量、経表皮水分蒸散量、皮膚粘弾性及び顔面画像については、被験者に顔面のメイクを落としてもらったのち、保湿成分無添加の固形石鹸で洗顔してもらい、株式会社インフォワード恵比寿スキンリサーチセンターの恒温恒湿室(温度22±2℃、湿度40±5%)内で30分馴化したのち、測定した。
【0043】
(1)角層水分量
Corneometer(登録商標)CM825(Courage + Khazaka Electronic製)を用いて測定した。測定箇所は左頬(目尻から引いた縦線と小鼻から引いた横線の交点)と左上腕内側(肘窩から7.5cm)で、同一箇所を5回測定し、最大値、最小値を除いた3回分の平均値を測定値とした。
【0044】
(2)経表皮水分蒸散量
Tewameter(登録商標)TM300(Courage + Khazaka Electronic製)を用いて測定した。測定箇所は左頬と左上腕内側で、同一箇所を3回測定し、3回分の平均値を測定値とした。条件としては、20秒以上の連続測定を行い、標準偏差0.2以下の安定域5秒間の平均値を採用した。
【0045】
(3)皮膚粘弾性
Cutometer(登録商標)CT580MP(Courage + Khazaka Electronic製)を用いて測定した。測定箇所は左及び右頬で、同一箇所を3回測定し、左右の3回分の平均値の和を測定値とした。指標R2は伸展・退縮後の皮膚高さ復元率であり、指標R 7 は退縮時の弾性部の割合である。両指標とも1.00(左右の和では2.00)に近いほど弾性があることを示す。なお、これら2指標は皮膚粘弾性における重要な指標であり、R2及びR7は加齢に伴い低下することが報告されている(Kubo M, Yagi M, Kawai H. Anti-glycation effects ofmixed-herb-extracts in diabetes and pre-diabetes. J Clin Biochem Nutr 2008;43(Suppl 1): 66-69.)。
【0046】
(4)顔面画像(毛穴、色素沈着、シワ)
ロボスキンアナライザーRSA50SII(澁谷工業株式会社製)を用いて毛穴、色素沈着及び目尻のシワを測定した。
【0047】
毛穴に関しては、正面の画像解析写真から算出した3タイプの毛穴(目立つ毛穴、開きが目立つ毛穴、黒ずみが目立つ毛穴)のそれぞれの面積を測定値とした。目立つ毛穴は、毛穴と思われる円形部分の面積が0.1mm以上0.6mm未満の円形部分であり、かつ、被験者の通常の肌色と毛穴と思われる円形部分との明度比が37%以下である円形部分とし、開きが目立つ毛穴は、毛穴と思われる円形部分の面積が0.3mm以上0.6mm以下の円形部分であり、かつ、被験者の通常の肌色と毛穴と思われる円形部分との明度比が37%以下である円形部分とし、黒ずみが目立つ毛穴は、毛穴と思われる円形部分の面積が0.1mm以上0.6mm以下の円形部分であり、かつ、被験者の通常の肌色と毛穴と思われる円形部分との明度比が35%以下である円形部分とした。
【0048】
色素沈着に関しては、正面の画像解析写真から算出した総面積を測定値とし、濃淡を3段階(Lv.1、Lv.2、Lv.3)で評価した。なお、Lv.はその数値が高いほど濃い色素沈着を示しており、Lv.2はLv.1の検出感度をおよそ54%にしたものであり、Lv.3はLv.1の検出感度をおよそ35%にしたもので、この割合はロボスキンアナライザーで規定されている数値である。また、Lv.1はLv.2を含み、Lv.2はLv.3を含んでいるため、純粋なLv.1の面積は(Lv.1-Lv.2)で算出され、Lv.2は(Lv.2-Lv.3)で算出される。従って、下記の式のように、Lv.2に54%、Lv.3に35%を加味して重みづけをした色素沈着面積を総合色素沈着面積と定義した。
総合色素沈着面積=(Lv.1-Lv.2)+(Lv.2-Lv.3)/0.54+Lv.3/0.35
【0049】
目尻のシワに関しては、左右の画像解析写真から、右目尻・左目尻各々のしわの総長さを算出し、左右の和を測定値とした。
【0050】
(5)血液検査
白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数、総蛋白、アルブミン、AST、ALT、γ-GTP、クレアチニン、グルコース、HbA1c、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、クレアチンフォスフォキナーゼ、尿酸、尿素窒素、ALP、LDH、Na、K、Cl、総ビリルビンを測定した。
【0051】
(6)尿検査
糖定性、蛋白定性、ウロビリノーゲン定性、ビリルビン定性、ケトン体、潜血反応、比重、pHを測定した。なお、摂取前検査時に女性のみ妊娠有無を確認する目的でHCG定量検査を実施した。
【0052】
<5.統計処理>
測定値は平均値±標準偏差で示した。摂取前(V0)に対する摂取4週間後(V1)、8週間後(V2)及び12週間後(V3)の比較をPaired t-test(Bonferroni 補正/α=0.0167)にて実施した。またプラセボ群に対する酵素分解RJ群の群間比較をStudent’s t-testにて実施した(α=0.0500)。このときV0を基準とするV1、V2、V3それぞれの相対値又はV0を基準とするV3の変化量(ΔV3-V0)についても群間比較を実施した。なお、検定はいずれも両側検定とした。
【0053】
<6.結果>
(1)被検者背景
108名(各群54名)が被験者として試験に参加し、プラセボ群では10名(自己都合による脱落:4名、両前腕の掻痒感のため試験責任医師の判断により試験中止:1名、花粉症治療薬処方のため試験責任医師の判断により試験中止:1名、胃部不快感による治療薬処方のため試験責任医師の判断により試験中止:1名、感冒症状により処方薬内服のため試験責任医師の判断により試験中止:3名)が脱落し、酵素処理RJ群では2名(自己都合による脱落:1名、花粉症治療薬処方のため試験責任医師の判断により試験中止:1名)が脱落した。また、紫外線への曝露は角層水分量に対する影響が懸念されることから、平日及び休日に1日当たり8時間以上外出している1名(酵素処理RJ群)を解析対象から除外した。さらに、色素沈着は紫外線が主な原因となっており、色素沈着が多めの対象者は習慣的に紫外線に暴露されている可能性が高く、角層水分量に対する影響が懸念されることから、総合色素沈着面積が大きい対象者上位20%程度の17名(プラセボ群9名、酵素処理RJ群8名)を解析対象から除外した。従って、解析対象症例数は79名となった。被験者背景を表2に示す。なお、年齢、性別、BMI及び角層水分量(頬)の項目で群間有意差はなかったものの、角層水分量(腕)で群間有意差が認められた。
【表2】
【0054】
(2)解析結果
1)角層水分量
角層水分量を表3に示す。角層水分量において、プラセボ群と酵素分解RJ群の間に有意差は認められなかった。摂取12週の腕の角層水分量の相対値において、酵素分解RJ群はプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。摂取前を対照とした群内比較における頬の角層水分量に関しては、プラセボ群、酵素分解RJ群ともに摂取4週間後、8週間後、12週間後のいずれの観測点でも有意な改善が認められた。また、腕の角層水分量に関しては、酵素分解RJ群でのみ摂取前と比べて摂取8週及び12週間後で有意な改善が認められた。
【表3】
【0055】
2)経表皮水分蒸散量、皮膚粘弾性、毛穴の状態、色素沈着、シワ
結果を表4及び表5に示す。摂取12週の目立つ毛穴の相対値と色素沈着の変化量(ΔV3-V0)に関して、酵素分解RJ群はプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。また、摂取前を対照とした群内比較ではプラセボ群、酵素分解RJ群ともに複数の項目で有意な変化が認められた。
【表4】

【表5】
【0056】
(3)安全性
プラセボ群で39件、酵素分解RJ群で30件の有害事象が確認された。主に試験食品と因果関係がない一時的な頭痛や咳などであったが、1件のみ酵素分解RJとの「因果関係おそらくなし」の有害事象(過活動膀胱)が確認された。この過活動膀胱は、重篤なものではなく、摂取期間中に症状は消失した。試験期間中に重篤な有害事象は確認されなかったこと、血液及び尿検査結果は生理的変動の範囲内であったことから、試験責任医師により酵素分解RJ含有食品の安全性に問題はないと結論付けられた。
【0057】
(4)考察
酵素分解RJ摂取による肌への有効性を検証した結果、酵素分解RJ群はプラセボ群と比較して、左腕の角層水分量、目立つ毛穴及び色素沈着において改善が認められた。特にヒトにおける酵素分解RJ摂取による毛穴や色素沈着の改善については初めて確認された。
【0058】
酵素分解RJによる肌への有効性のメカニズムはまだ解明されていないものの、フィラグリン産生促進、メラニン産生抑制作用など様々なメカニズムを通して肌の健康に寄与していると考えられる。酵素分解RJは、有効成分の一つと考えられる10-ヒドロキシ-2-デセン酸の吸収率が向上したものであり、さらに、肌の健康に寄与していると思われるタンパク質の分解物であるアミノ酸、オリゴペプチドも含んでいるため、酵素処理していないローヤルゼリーと比較して、より肌状態の改善及び維持に対して有効な食品であると考えられる。