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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B65D81/38 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020087459
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181327
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高木 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】澤田 恵一
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-049150(JP,U)
【文献】実開平04-128277(JP,U)
【文献】特開昭61-190274(JP,A)
【文献】実開昭48-22253(JP,U)
【文献】特開昭59-115963(JP,A)
【文献】特開平2-26712(JP,A)
【文献】特開平11-44040(JP,A)
【文献】特開2003-53762(JP,A)
【文献】特開平3-102180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
F25D 23/08
B29C 44/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方へ延びる側壁部とを備える内側部材と、
内側に前記内側部材が嵌合される外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材との間の空間に充填される断熱部材と、
通気性および柔軟性を有する材料からなり、前記内側部材と前記外側部材との間における前記断熱部材が充填される領域の周囲に、前記内側部材と前記外側部材とにより押圧された状態で設けられる漏れ抑制部材とを備え、
前記内側部材および前記外側部材のうち少なくとも何れか一方における、前記漏れ抑制部材と当接する領域の一部に前記内側部材と前記外側部材との距離が他の領域よりも大きくなるように設けられた切欠き部が設けられている、
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
前記内側部材は、前記側壁部から水平方向外側に延びる内側部材水平壁と、前記内側部材水平壁から下方に延びる内側部材対向壁とを有し、
前記外側部材は、前記内側部材が嵌合された状態において、前記内側部材対向壁よりも内側にて前記内側部材対向壁と対向する外側部材対向壁を有しており、
前記漏れ抑制部材は、
前記内側部材水平壁と前記外側部材対向壁の上端部との間および前記内側部材対向壁と前記外側部材対向壁との間、のうち少なくとも何れか一方に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記外側部材は、前記外側部材対向壁から水平方向外側に延びる外側部材水平壁を有し、前記内側部材と前記外側部材とが嵌合された状態において、前記内側部材対向壁の下端部が前記外側部材水平壁の水平面に当接または近接する、ことを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記内側部材と前記外側部材とにより押圧されていない状態とした場合の前記漏れ抑制部材の厚みは、前記切欠き部の深さよりも大きい、ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記切欠き部は、底面と、前記底面を挟み前記底面の両端部から上方に向かうにつれ外方向へ向かって延びる一対の傾斜面とにより形成されている、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記内側部材および前記外側部材のうち、何れか一方は前記断熱部材との接着効果を有する樹脂で成形され、他方は前記断熱部材が充填される空間に対向する面に前記断熱部材と係合する係合部を有する、ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱部材を有する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内側部材と外側部材との間に断熱部材を有する断熱性の容器が多用されている。特許文献1に開示されている容器は、内側部材と外側部材との間の空間に、発泡性の断熱部材を注入することにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-202365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内側部材と外側部材との間の空間に、発泡性の断熱部材を注入すると、内側部材と外側部材との端部から発泡性の断熱部材が漏れる恐れがある。そこで、上記従来の容器においては、内側部材と外側部材との端部を溶着加工などにより接合している。しかしながら、内側部材と外側部材との端部を接合した状態で発泡性の断熱部材を充填すると、断熱部材の発泡により発生するガス等が容器の外部へ抜けにくくなり、充填された断熱部材の発泡を妨げる恐れがある。また、ガス等が容器の外部へ抜けずに内側部材と外側部材との間の空間に滞留すると断熱部材を隅々にまで行き渡らせることが困難となり、容器の保冷性や保温性の低下を招く恐れがある。
【0005】
本発明の一態様は、断熱部材の発泡により発生するガス等が容器の外部へ抜けにくくなる事態や、断熱部材を隅々にまで行き渡らせることが困難となる事態を防止することができる容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1に係る容器は、底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方へ延びる側壁部とを備える内側部材と、内側に前記内側部材が嵌合される外側部材と、前記内側部材と前記外側部材との間の空間に充填される断熱部材と、通気性および柔軟性を有する材料からなり、前記内側部材と前記外側部材との間における前記断熱部材が充填される領域の周囲に、前記内側部材と前記外側部材とにより押圧された状態で設けられる漏れ抑制部材とを備え、前記内側部材および前記外側部材のうち少なくとも何れか一方における、前記漏れ抑制部材と当接する領域の一部に前記内側部材と前記外側部材との距離が他の領域よりも大きくなるように設けられた切欠き部が設けられている、構成である。
【0007】
上記の構成によれば、内側部材と外側部材との間における断熱部材が充填される領域の周囲を漏れ抑制部材で塞ぐことができる。また、内側部材および外側部材のうち少なくとも何れか一方における、漏れ抑制部材と当接する領域の一部に内側部材と外側部材との距離が他の領域よりも大きくなるように切欠き部が設けられている。すなわち、切欠き部が設けられた部分は漏れ抑制部材の押圧量が低く気体を通し易くなり、切欠き部の無い部分は漏れ抑制部材の押圧量が高く気体を通し難くなる。従って、漏れ抑制部材により内側部材と外側部材との間の空間から外部への断熱部材の漏れを抑制しつつ、切欠き部からは、断熱部材の発泡時に発生するガス等が抜けやすくすることができる。よって、断熱部材の発泡により発生するガス等が容器の外部へ抜けにくくなる事態や、断熱部材を隅々にまで行き渡らせることが困難となる事態を防止することができる。
【0008】
本発明の態様2に係る容器は、上記の態様1において、前記内側部材は、前記側壁部から水平方向外側に延びる内側部材水平壁と、前記内側部材水平壁から下方に延びる内側部材対向壁とを有し、前記外側部材は、前記内側部材が嵌合された状態において、前記内側部材対向壁よりも内側にて前記内側部材対向壁と対向する外側部材対向壁を有しており、前記漏れ抑制部材は、前記内側部材水平壁と前記外側部材対向壁の上端部との間および前記内側部材対向壁と前記外側部材対向壁との間、のうち少なくとも何れか一方に配置される、構成としてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、内側部材と外側部材とが嵌合された状態において、外側部材対向壁は内側部材対向壁よりも内側に設けられる。また、漏れ抑制部材は、内側部材水平壁と外側部材対向壁の上端部との間、または、内側部材対向壁と外側部材対向壁との間のうち少なくとも何れか一方に配置される。
【0010】
よって、内側部材と外側部材との間の空間に充填された断熱部材が外側部材対向壁を越えて漏れたとしても、内側部材対向壁により隠れるため、漏れた断熱材が容器の外側から見え難くなる。
【0011】
本発明の態様3に係る容器は、上記の態様2において、前記外側部材は、前記外側部材対向壁から水平方向外側に延びる外側部材水平壁を有し、前記内側部材と前記外側部材とが嵌合された状態において、前記内側部材対向壁の下端部が前記外側部材水平壁の水平面に当接または近接する、構成としてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、内側部材と外側部材との間の空間に充填された断熱部材が外側部材対向壁を越え、更に外側部材対向壁の下端部近傍まで断熱部材の漏れが進行したとしても、外側部材水平壁により漏れ出した断熱部材を留めることができる。また、内側部材対向壁の下端部が外側部材水平壁の水平面に当接または近接しているため、外側部材水平壁により留められた断熱部材の水平方向への進行を抑制する。よって、断熱部材の容器からのはみ出しを防止することができる。
【0013】
本発明の態様4に係る容器は、上記の態様1から3の何れか一項において、前記内側部材と前記外側部材とにより押圧されていない状態とした場合の前記漏れ抑制部材の厚みは、前記切欠き部の深さよりも大きい、構成としてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、押圧された漏れ抑制部材を隙間なく切欠き部に設けることができる。よって、断熱部材の容器からのはみ出しを防止することができる。
【0015】
本発明の態様5に係る容器は、上記の態様1から4の何れか一項において、前記切欠き部は、底面と、前記底面を挟み前記底面の両端部から上方に向かうにつれ外方向へ向かって延びる一対の傾斜面とにより形成されている、構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、押圧された漏れ抑制部材を隙間なく切欠き部に設けることができる。よって、断熱部材の容器からのはみ出しを防止することができる。
【0017】
本発明の態様6に係る容器は、上記の態様1から5の何れか一項において、前記内側部材および前記外側部材のうち、何れか一方は前記断熱部材との接着効果を有する樹脂で成形され、他方は前記断熱材が充填される空間に対向する面に前記断熱部材と係合する係合部を有する、構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、内側部材および外側部材の何れか一方は充填された断熱部材と接着する。また、断熱部材と接着していない他方は、断熱部材が充填される空間に対向する面に断熱部材と係合する係合部を有する。すなわち、内側部材と外側部材との間の空間に断熱部材を充填するのみで、内側部材または外側部材の何れか一方は断熱部材と接着し、他方は係合部により断熱部材と係合するため、内側部材と外側部材とを接合することができる。よって、内側部材と外側部材との間の空間に断熱部材を充填した後の工程において、内側部材と外側部材とを接合する工程を省くことができ、容器の生産効率を向上させることができる。また、別途、接合部品などを用いる必要がなくなるため、生産コストの削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、断熱部材の発泡により発生するガス等が容器の外部へ抜けにくくなる事態や、断熱部材を隅々にまで行き渡らせることが困難となる事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る容器の斜視図である。
図2】本実施形態に係る容器を長手方向に切った場合の縦断面を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る容器における内側部材の斜視図(上の図)、および内側部材を伏せた状態の斜視図(下の図)である。
図4】本実施形態に係る容器における外側部材の斜視図(上の図)、外側部材を伏せた状態の斜視図(下の図)、および外側部材が有する流動規制部の拡大図(中間の図)である。
図5】本実施形態に係る切欠き部の破線部分の拡大図(左下の図)と、係合部の破線部分の拡大図(右下の図)である。
図6】本実施形態に係る容器の破線部分のA-A拡大断面図である。
図7図6で示した破線部分のB-B拡大断面図(左の図)およびC-C拡大断面図(右の図)である。
図8】本実施形態に係る容器をスタンド101の上に配置した状態を示す斜視図(上の図)、この状態から上下反転させた状態を示す斜視図(中間の図)、および上記スタンド101を示す斜視図である。
図9】本実施形態に係る容器の上面の一部を1枚の蓋にて塞いだ状態示す斜視図(上の図)、および容器どうしを段積みした状態を示す斜視図(下の図)である。
図10】本実施形態に係る切欠き部の配置位置に係る変形例を示す拡大図である。
図11】本実施形態に係る切欠き部の配置位置に係る変形例において、図10で示した破線部分のD-D拡大断面図(左の図)およびE-E拡大断面図(右の図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態の容器1の斜視図である。図2は、容器1を長手方向に切った場合の縦断面を示す斜視図である。図3は、容器1における内側部材2の斜視図(上の図)、および内側部材2を伏せた状態の斜視図(下の図)である。図4は、容器1における外側部材3の斜視図(上の図)、外側部材3を伏せた状態の斜視図(下の図)、および外側部材3が有する流動規制部の拡大図(中間の図)である。なお、図2の断面図では、容器1の内部構造を分かり易くするため、図面に向かって左半分の断熱部材4の記載を省略し、右半分の断熱部材4の記載を薄墨色で表している。
【0022】
(容器1の概要)
図1および図2に示すように、容器1は、平面視略矩形の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方へ延びる側壁部(内側部材側壁部22)とを備える内側部材2と、内側に内側部材2が嵌合される外側部材3とを有している。
【0023】
また、容器1は、内側部材2と外側部材3との間の空間に充填される断熱部材4を有している。また、容器1は、内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲に、内側部材2と外側部材3とにより押圧された状態で設けられる漏れ抑制部材5を有している(図6および図7を参照)。
【0024】
ここで、漏れ抑制部材5は、内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲に設けられているが、断熱部材4が充填される領域に漏れ抑制部材5を設ける構成を妨げるものではない。すなわち、漏れ抑制部材5は、断熱部材4が充填される領域に設けられていてもよく、漏れ抑制部材5を内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲に設けた際に、内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域にはみ出して設けられることも許容される。
【0025】
なお、本実施形態において、漏れ抑制部材5は、内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲に設けられるが、内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲の一部に設けられる構成であってもよい。
【0026】
すなわち、漏れ抑制部材5は、内側部材2と外側部材3との間に部分的に設けられ、漏れ抑制部材5が設けられていない部分は、内側部材2と外側部材3とが隙間なく接合されている構成であってもよい。また、漏れ抑制部材5が設けられていない部分は、内側部材2と外側部材3とが隙間なく当接する構成であってもよい。更に、漏れ抑制部材5が設けられていない部分は、内側部材2と外側部材3とが当接する箇所と接合されている箇所とが混在していてもよい。
【0027】
また、内側部材2と外側部材3とを成形する際、成形条件や成形環境等により、同一製品であっても内側部材2あるいは外側部材3の大きさに微差が生じ、それに伴い内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲に隙間が生じる場合がある。この様な場合にも、漏れ抑制部材5によって、内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲の隙間を塞ぐことができ、断熱部材4が容器1の外部へ漏れることを抑制することができる。
【0028】
つまり、漏れ抑制部材5は、内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲の隙間を塞ぐ役割を担っている。
【0029】
また、容器1は、底壁部を貫通する排出部貫通孔11を有している。排出部貫通孔11は、円筒形の形状をしたボルトと該ボルトに対応するナットとによって上下から締結される。円筒形の形状をしたボルトの穴(以下、排出口という)は、栓6(詳細は後述)によって閉じる。
【0030】
内側部材2と外側部材3とは真空成形または射出成形されている。よって、例えば、内側部材2を真空成形し、外側部材3を射出成形することもできるし、内側部材2を射出成形し、外側部材3を真空成形することもできる。
【0031】
断熱部材4は、例えば、ウレタン等の注入発泡成形できる樹脂を素材とする発泡体にて形成されている。また、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂等の型内ビーズ発泡成形できる樹脂を素材とする発泡体にて形成されてもよい。漏れ抑制部材5は、空気は通すが断熱部材4となる発泡成形材料を通さない部材であり、例えばスポンジからなり、通気性と柔軟性を有する。
【0032】
(内側部材2の概要)
図3に示すように、内側部材2は、底壁部21、内側部材側壁部22および内側上枠部24を備え、容器形状を有する。底壁部21の中央には、底壁部21を貫通する内側貫通孔23を有する。
【0033】
内側部材側壁部22は、相対する一対が底壁部21の側辺部からそれぞれ上方に延びて形成されている。
【0034】
内側部材側壁部22は、内側部材側壁部22の上縁部から水平方向外側に延びて形成される水平面からなら蓋受部241を有している。蓋受部241は、内側部材側壁部22の上縁部に沿って環状に設けられた平面を有し、この平面に蓋7(詳細は後述)が載置される。蓋受部241の左右の短辺側には、上方向へ突出した状態のそれぞれ2個の位置決め部245が形成されている。位置決め部245は、それぞれの蓋7の載置位置を規定する。
【0035】
また、内側部材側壁部22は、蓋受部241の水平方向外側の端部から上方へ延びる内壁242を有する。内壁242は、高さ方向において、蓋7の厚み程度の長さを有していればよく、内壁242は、蓋7を蓋受部241に載置した際、蓋7の水平方向の移動を規制する。
【0036】
また、内側部材側壁部22は、内壁242の上縁部から水平方向外側に延びて形成される水平面からなる内側部材水平壁243および内側部材水平壁243の外側端部より下方に延びる内側部材対向壁244を有している。
【0037】
これら、蓋受部241、内壁242、内側部材水平壁243および内側部材対向壁244によって、内側上枠部24が形成される。
【0038】
なお、本実施形態において、内側部材側壁部22は、蓋受部241と内壁242とを有する構成としているが、蓋受部241と内壁242とを有していない構成としてもよい。内側部材側壁部22が蓋受部241と内壁242とを有していない構成とする場合、内側部材水平壁243は、内側部材側壁部22の上縁部から水平方向外側に延びる構成となる。よって、内側上枠部24は、内側部材側壁部22の上方、内側部材水平壁243および内側部材対向壁244により形成される。また、蓋受部241と内壁242とを有していない構成とする場合、内側部材水平壁243の水平面を蓋受部241の代わりに使用する。よって、蓋7は内側部材水平壁243に載置される。
【0039】
(外側部材3の概要)
図4に示すように、外側部材3は、底壁部31、外側部材側壁部32および外側上枠部33を備え、内側部材2と同様に容器形状をする。外側部材3は、内側に内側部材2が嵌合される。外側部材3は、底壁部31を貫通する外側貫通孔311を内側部材2の内側貫通孔23と対向する位置に有している。外側貫通孔311は内側貫通孔23とともに排出部貫通孔11を構成する。
【0040】
また、図4に示すように、外側部材3の底壁部31における長手方向の一方側の端部付近には、注入部36が形成され、この注入部36における外側部材3の裏面側の端部は断熱部材4の注入口361となっている。注入口361はキャップにて塞がれている。外側部材3の内面における注入部36の周りには、断熱部材4の流動規制部362が形成されている。
【0041】
流動規制部362は、図4に示すように、流動規制部362の形成位置側とは反対側、すなわち外側部材3の底壁部31における長手方向の一方側とは反対側が開口した、平面視が例えばV字形あるいはU字形の縦壁形状を有する。流動規制部362の上端部は、内側部材2の底壁部21と当接していてもよい。
【0042】
外側部材3の裏面にはスタンド対応凹部37が形成されている。スタンド対応凹部37には、容器1を図8に示すスタンド101上に載置したときに、スタンド101の上部が入り込むようになっている。
【0043】
[外側部材段部34]
また、外側部材3は、図2および図4で示すとおり、外側部材側壁部32の下側に環状に設けられた外側部材段部34を有している。
【0044】
外側部材段部34は、外側部材側壁部32の外周面よりも内側に一段窪んだ形状を成し、容器1を長手方向および短手方向に切った場合の縦断面における断面形状が蓋受部241の表面形状に沿う鉤型となるよう成形される。
【0045】
つまり、外側部材段部34は、蓋受部241の表面に載置できる形状に成形されている。外側部材段部34は、短辺側において位置決め部245の厚み程度に上方向へ外側部材段部34を窪ませた窪み部35を有している。窪み部35は、容器1を上下に段積みした場合に下側の容器1の位置決め部245と当接する。
【0046】
[外側部材側壁部32と外側上枠部33]
次に、外側部材側壁部32と外側上枠部33について図2および図4を用いて説明する。外側部材側壁部32は、図2および図4に示すとおり、相対する一対が底壁部31の側辺部からそれぞれ上方に延びて形成されている。
【0047】
また、外側部材側壁部32は、外側部材側壁部32の下側において、長辺方向に横長に設けられており、外側部材側壁部32から内側に向かって突出する係合部334を有している。係合部334の詳細は後述する。外側部材側壁部32は、外側部材側壁部32の上縁部に、外側上枠部33を有している。
【0048】
外側上枠部33は、外側部材側壁部32の鉛直面よりも外側の横方向へ突出し、外側部材側壁部32の外周面に沿って設けられた枠である。
【0049】
外側上枠部33は、外側部材対向壁331および外側部材水平壁332を有している。また、外側部材対向壁331は、外側部材対向壁331の上縁部に切欠き部333が設けられている。切欠き部333の詳細は後述する。
【0050】
[外側部材対向壁331]
外側部材対向壁331は、内側部材2が嵌合された状態において、内側部材対向壁244よりも内側にて内側部材対向壁244と対向する位置に設けられている。
【0051】
よって、内側部材2と外側部材3との間の空間に充填された断熱部材4が外側部材対向壁331を越えて漏れたとしても、内側部材対向壁244により隠れるため、漏れた断熱部材4が容器1の外側から見え難くなる。
【0052】
なお、漏れ抑制部材5は、内側部材対向壁244の最下端から所定の距離だけ上方に設けられることが好ましい。所定の距離だけ上方とは、例えば、内側部材対向壁244の中間位置よりも上方に漏れ抑制部材5を設けるなどである。
【0053】
漏れ抑制部材5を内側部材対向壁244の最下端から所定の距離だけ上方に設けることにより、漏れた断熱部材4が容器1の外側から見え難くなる効果を向上させることができる。
【0054】
[外側部材水平壁332]
外側部材水平壁332は、外側部材対向壁331から水平方向外側に延びて設けられている。詳細には、外側部材水平壁332は、外側部材対向壁331の下端部と外側部材側壁部32の上縁部との間から水平方向外側に延びて設けられている。
【0055】
なお、外側部材側壁部32の長辺側よりも短辺側に設けられた外側部材水平壁332の方が外側へ長く延設されている。すなわち、長辺側の外側部材水平壁332は、短辺側の外側部材水平壁332より突出量が小さい。これは、短辺側に設けられた外側部材水平壁332に栓6を載置するスペースを確保するためである。栓6の載置についての詳細は後述する。
【0056】
また、図2に示すとおり、内側部材2と外側部材3とが嵌合された状態において、内側部材対向壁244の下端部が外側部材水平壁332の水平面に当接または近接している。これにより、内側部材2と外側部材3との間の空間に充填された断熱部材4が外側部材対向壁331を越え、外側部材対向壁331の下方に断熱部材4の漏れが進行したとしても、外側部材水平壁332により漏れ出した断熱部材4を留めることができる。
【0057】
また、内側部材対向壁244の下端部が外側部材水平壁332の水平面に当接または近接しているため、外側部材水平壁332により留められた断熱部材4の水平方向への進行を抑制する。よって、断熱部材4の容器1からのはみ出しを防止することができる。
【0058】
次に、図5図6および図7を用いて、外側部材3が有する切欠き部333と係合部334について説明する。図5は、切欠き部333の破線部分の拡大図(左下の図)と、係合部334の破線部分の拡大図(右下の図)である。図6は、本実施形態に係る容器1の破線部分のA-A拡大断面図である。図7は、図6で示した破線部分のB-B拡大断面図(左の図)およびC-C拡大断面図(右の図)である。詳細には、図7のB-B拡大断面図(左の図)は、切欠き部333が設けられている個所の断面であり、C-C拡大断面図(右の図)は、切欠き部333が設けられていない箇所の断面である。なお、図7における薄墨色の部分は断熱部材4を表している。
【0059】
[切欠き部333]
切欠き部333は、図5および図6に示すとおり、外側部材対向壁331の上縁部に設けられている。切欠き部333は、底面3331と、該底面3331を挟み底面3331の両端部から上方に向かうにつれ外方向へ向かって延びる一対の傾斜面3332とにより形成されている。
【0060】
具体的には、図6で示すとおり、切欠き部333のA-A矢視における断面形状は、上底が下底よりも長い台形形状を成している。また、切欠き部333は、漏れ抑制部材5と当接する領域の一部に内側部材2と外側部材3との距離が他の領域よりも大きくなるように設けられている。すなわち、切欠き部333は、切欠き部333が設けられていない領域における内側部材2と外側部材3との距離hよりも切欠き部333が設けられている領域における内側部材2と外側部材3との距離h´のほうが大きくなるように設けられている。
【0061】
ここで、漏れ抑制部材5は、図6および図7に示すとおり、内側部材水平壁243と外側部材対向壁331の上端部との間に設けられている。すなわち、漏れ抑制部材5と当接する領域とは、内側部材水平壁243における外側部材対向壁331と対向する面と、外側部材対向壁331の上縁部との間にある領域のことである。
【0062】
よって、漏れ抑制部材5と当接する領域の一部に切欠き部333を設けると、切欠き部333が設けられた部分は内側部材2と外側部材3との距離が切欠き部333を設けていない部分に比べて、内側部材水平壁243における外側部材対向壁331と対向する面と、外側部材対向壁331の上縁部との間にある領域が大きくなる。
【0063】
なお、図5などに示す例では、傾斜面3332は、平面形状となっているが、これに限定されるものではない。例えば、曲面によって面取りされた部分を含む面によって傾斜面が構成されていてもよい。また、切欠き部333の底面と傾斜面とにより形成される稜線が面取り形状を有していてもよい。面取り形状は、稜角を削り落として形成されており、その表面の形状は、切面あるいは丸面などに形成されていればよい。
【0064】
また、切欠き部333は、外側部材対向壁331の上縁部に少なくとも一つ設けられていればよく、その個数は限定されるものではない。また、本実施形態においては、切欠き部333は、底面3331と傾斜面3332とにより構成されているが、A-A矢視における断面形状が半円の内面形状のように湾曲した形状により形成されていてもよい。より具体的には、底面3331の断面形状が下に凸の半円であり、傾斜面3332と外側部材対向壁331の上縁部との接続部の断面形状が部分円による面取り形状となっていてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、外側部材対向壁331の長辺側に設けられているが、外側部材対向壁331の短辺側に設けられていてもよく、外側部材対向壁331の短辺側と長辺側との両方に設けられていてもよい。
【0066】
また、外側部材3ではなく、内側部材2に切欠き部333を設ける構成としてもよく、外側部材3と内側部材2との両方に設けられていてもよい。内側部材2に切欠き部333を設ける場合、例えば、内側部材水平壁243における外側部材対向壁331の上縁部に対向する位置に切欠き部333を設ければよい。
【0067】
なお、漏れ抑制部材5は、内側部材2と外側部材3とにより押圧されていない状態において、切欠き部333の深さよりも大きいものを使用する。より詳細には、内側部材2と外側部材3とを嵌合した状態において、内側部材水平壁243の外側部材対向壁331と対向する面と、外側部材対向壁331に設けられた切欠き部333の底面3331との間における距離よりも大きいものを使用する。これにより、押圧された漏れ抑制部材5を図6のA-A断面図で示すように、隙間なく切欠き部333に設けることができる。よって、断熱部材4の容器1からのはみ出しを防止することができる。
【0068】
[係合部334]
係合部334は、図5に示すとおり、外側部材側壁部32に設けられている。本実施形態においては、相対する一対の長辺側の外側部材側壁部32に各2個ずつ、計4つの係合部334が設けられている。
【0069】
係合部334は、外側部材側壁部32の下側において、長辺方向に横長に設けられており、外側部材側壁部32から内側に向かって突出している。よって、内側部材2と外側部材3との間の空間に断熱部材4が充填されると、断熱部材4が充填された空間に対向する外側部材側壁部32に設けられた係合部334と充填後に固まった断熱部材4とが係合する。係合部334と充填後に固まった断熱部材4とが係合すると、係合部334は、断熱部材4との関係において、外側部材3の上下方向の移動が規制される。
【0070】
なお、本実施形態において係合部334は、横長の板状の形状を有しているが、係合部334の形状はこれに限られるものではない。例えば、係合部334の形状は、ひょうたん型、波型であってもよい。また、外側部材側壁部32に溝を設けて、該溝に断熱部材4を流入させることで、断熱部材4との関係において、外側部材3の上下方向の移動が規制される形状としてもよい。
【0071】
また、本実施形態において係合部334は、外側部材3の長辺側の外側部材側壁部32に設けられているが、これに限られるものではない。例えば、係合部334は、外側部材3の短辺側の外側部材側壁部32に設けてもよいし、四方の外側部材側壁部32および四方の内側部材側壁部22の全てに設けられてもよい。
【0072】
(断熱部材4の注入)
断熱部材4は、断熱部材4が未形成の容器1を伏せた状態とし、断熱部材4となる発泡成形材料が注入口361から注入されることにより、内側部材2と外側部材3との間の空間に流入して広がり、形成される。この場合、容器1が流動規制部362を有することにより、発泡成形材料は、注入部36に近い側の内側部材側壁部22と外側部材側壁部32との間にいきなり流れ込み難くなっている。すなわち、発泡成形材料は、内側部材2の底壁部21と外側部材3の底壁部31との間に広がった後、四方の内側部材側壁部22と外側部材側壁部32との間に流れ込む。
【0073】
この時、発泡成形材料は内側部材2と外側部材3との間の空間において、発泡するが、発泡成形材料が発泡することにより発生するガス等は、外側部材側壁部32に設けられた切欠き部333から漏れ抑制部材5を介して容器1の外部へ通り抜ける。
【0074】
これにより、発泡成形材料を略均等に内側部材2と外側部材3との間の空間の隅々に充填することができ、断熱部材4を均一に形成することができる。なお、発泡成形材料の充填は、注入口361の側が少し高くなるように容器1を斜めに持ち上げて行うことが好ましい。断熱部材4の形成後には、キャップによって注入口361に蓋をする。
【0075】
(内側部材2と外側部材3との接合)
次に内側部材2と外側部材3との接合について説明する。本実施形態において、内側部材2は、断熱部材4との接着効果を有する樹脂で成形されている。断熱部材4との接着効果を有する樹脂とは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、PVC樹脂、PS樹脂などである。
【0076】
内側部材2と外側部材3との間の空間に断熱部材4が充填されると、内側部材2と断熱部材4とが化学反応をして接着し、断熱部材4との関係において、内側部材2が断熱部材4から外れることを抑制できる。また、内側部材2が断熱部材4と接着することで内側部材2の剛性が高まる。
【0077】
そして、断熱部材4が充填された空間に対向する外側部材側壁部32に設けられた係合部334と充填後に固まった断熱部材4とが係合することにより、外側部材3は、断熱部材4と係合する。すなわち、内側部材2と外側部材3との間の空間に断熱部材4を充填するのみで、内側部材2と外側部材3とを接合することができる。
【0078】
よって、内側部材2と外側部材3との間の空間に断熱部材4を充填した後の工程において、内側部材2と外側部材3とを接合する工程を省くことができ、容器1の生産効率を向上させることができる。また、別途、接合部品などを用いる必要がなくなるため、生産コストの削減を図ることができる。
【0079】
なお、本実施形態においては、内側部材2が断熱部材4との接着効果を有する樹脂で成形されているが、外側部材3が断熱部材4との接着効果を有する樹脂で成形されていてもよい。その場合、内側部材2に係合部334を備える構成とすることで、本実施形態と同様の効果を奏することが可能である。また、内側部材2と外側部材3との両方が断熱部材4との接着効果を有する樹脂で成形されていてもよい。
【0080】
また、内側部材2または外側部材3が断熱部材4との接着効果を有する樹脂で成形されていなくとも、内側部材2または外側部材3の表面処理を施すことにより、断熱部材4との接着効果を得る構成としてもよい。すなわち、内側部材2または外側部材3の表面処理を施すことにより、内側部材2または外側部材3の改質を行うことで、断熱部材4と化学反応して接着する。そうすることで、内側部材2または外側部材3の原料そのものを変える必要はなく、製造コストを低減することができる。なお、内側部材2および外側部材3の両方が表面処理を施されていてもよい。また、表面処理は一般的に用いられる方法により施される。
【0081】
また、断熱部材4が発泡することにより、断熱部材4の体積が膨張することを利用して、断熱部材4の充填後に内側部材対向壁244と外側部材対向壁331とが互いに対向する方向へ圧力が加わる。そして、内側部材対向壁244と外側部材対向壁331との間に充填された断熱部材4が内側部材対向壁244と外側部材対向壁331とを押圧し、内側部材2と外側部材3とが外れてしまうことを抑制する効果も期待できる。
【0082】
また、内側部材2と外側部材3とを接合する際、内側部材2と外側部材3との底壁部側に設けられた排出部貫通孔11をボルトと該ボルトに対応する形状を有するナットとによって締結する。ボルトは、排出部貫通孔11に対応した円筒形であって外周面に雄ネジが形成されており、ナットは、内周面に雄ネジに対応した雌ネジが形成されている。該ボルトは排出口の役割も果たしている。
【0083】
次に、栓6の載置と容器1の使用状態とについて、図8を用いて説明する。図8は、容器1をスタンド101の上に配置した状態を示す斜視図(上の図)、この状態から上下反転させた状態を示す斜視図(中間の図)、および上記スタンド101を示す斜視図である。
【0084】
(栓6の載置)
図8に示すように、栓6にはチェーン61(連結部材)の一端部が連結されており、チェーンの他端部は、外側部材3の外側上枠部33の所定の箇所に取付けられる。所定の箇所とは、例えば、外側部材水平壁332における短辺側に栓6の外径よりも小径の開口部62(図9参照)を設け、該開口部62の近傍から下方向に延びるリブなどに取り付ける。また、栓6は、開口部62の上に載置する。なお、チェーンの取り付け位置は、外側部材水平壁332に限定されず、例えば容器1の内部である収容空間の外部に、横方向に延びた延設部であればよい。
【0085】
(容器1の使用状態)
図8に示すように、容器1は、通常、スタンド101の上に配置して使用される。この場合、容器1のスタンド対応凹部37にはスタンド101の上部が嵌り込み、スタンド101上で容器1は横方向に移動せず、安定した状態を維持できる。容器1をスタンド101の上に配置した状態では、注入口を塞ぐキャップの下にスタンド101の上部が位置する。これにより、スタンド101によってキャップの外れを防止することができる。
【0086】
次に、容器1が蓋7を備えた構成および容器1どうしを段積みした状態について、図9を用いて説明する。図9は、容器1の上面の一部を1枚の蓋7にて塞いだ状態示す斜視図(上の図)、および容器1どうしを段積みした状態を示す斜視図(下の図)である。なお、図9(下の図)における薄墨色の部分は断熱部材4を表している。
【0087】
(容器1が蓋7を備えた構成)
図9に示すとおり容器1は、蓋7を備える。図9は、容器1の上面の一部を1枚の蓋7にて塞いだ状態を示しているが、容器1の上面の全てを蓋7にて塞ぐこともできる。本実施形態においては、容器1の上面の全てを蓋7にて塞ぐ場合、3枚の蓋7を用いる。
【0088】
容器1の上面の全てを3枚の蓋7にて塞ぐ場合、それぞれの蓋7の位置は、位置決め部245によって容易に位置決めすることができる。また、容器1を使用する目的や環境等に応じて、適当な枚数の蓋7にて上面を覆うことができる。また、蓋7の分割数はこれに限られるものではなく、適宜に変更することができる。容器1は、スタンド101の上に配置し、例えば氷水および飲用ボトルや飲用缶を収容することができる。
【0089】
(容器1どうしの段積み)
次に容器1どうしの段積みについて説明する。図9に示すとおり、容器1は上下に段積みすることができる。具体的には、容器1に設けられた外側部材段部34と蓋受部241とは、容器1を上下に積み重ねた場合、互いに対向する位置に設けられている。
【0090】
また、外側部材段部34の窪み部35と位置決め部245とは、容器1を上下に積み重ねた場合、互いに対向する位置に設けられている。よって、容器1を上下に段積みすると、上に位置する容器1の外側部材段部34と下に位置する容器1の蓋受部241とが嵌合し、上側の容器1の水平方向への移動が規制される。
【0091】
また、窪み部35は、位置決め部245の厚み程度に上方向へ外側部材段部34を窪ませた形状であり、容器1を上下に段積みした場合に下側の容器1の位置決め部245と当接する。よって、容器1どうしを段積みした際、容器1の短辺側における位置決め部245以外の部分には、位置決め部245の厚み程度の隙間が生じ、該隙間にはチェーン61を通すことができる。従って、下に位置する容器1の排出口に栓6をした状態で容器1を上に積み重ねることができる。
【0092】
(容器1の主たる利点)
本実施形態の容器1は、上記のとおり、内側部材2と外側部材3との間における断熱部材4が充填される領域の周囲の隙間を漏れ抑制部材5で塞ぐことができる。また、内側部材2および外側部材3のうち少なくとも何れか一方における、漏れ抑制部材5と当接する領域の一部に内側部材2と外側部材3との距離が他の領域よりも大きくなるように切欠き部333が設けられている。
【0093】
すなわち、切欠き部333が設けられた部分は漏れ抑制部材5の押圧量が低く気体を通し易くなり、切欠き部333の無い部分は漏れ抑制部材5の押圧量が高く気体を通し難くなる。従って、漏れ抑制部材5により内側部材2と外側部材3との間の空間から外部への断熱部材4の漏れを抑制しつつ、切欠き部333からは、断熱部材4の発泡時に発生するガス等が抜けやすくすることができる。よって、断熱部材4の発泡により発生するガス等が容器1の外部へ抜けにくくなる事態や、断熱部材4を隅々にまで行き渡らせることが困難となる事態を防止することができる。
【0094】
また、内側部材2と外側部材3との間の空間に充填された断熱部材4が外側部材対向壁331を越えて漏れたとしても、内側部材対向壁244により隠れるため、漏れた断熱材が容器1の外側から見え難くなる。
【0095】
また、内側部材2と外側部材3との間の空間に断熱部材4を充填した後の工程において、内側部材2と外側部材3とを接合する工程を省くことができ、容器1の生産効率を向上させることができる。また、別途、接合部品などを用いる必要がなくなるため、生産コストの削減を図ることができる。
【0096】
〔変形例〕
本発明の変形例について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0097】
図10は、切欠き部333の配置位置に係る変形例を示す拡大図である。図11は、切欠き部333の配置位置に係る変形例において、図10で示した破線部分のD-D拡大断面図(左の図)およびE-E拡大断面図(右の図)である。詳細には、図11のD-D拡大断面図(左の図)は、切欠き部80が設けられていない個所の断面であり、E-E拡大断面図(右の図)は、切欠き部80が設けられている箇所の断面である。なお、図11における薄墨色の部分は断熱部材4を表している。
【0098】
実施形態において、切欠き部333は、図5図6および図7に示したとおり、外側部材対向壁331の上縁部に設けられていた。これに対し、変形例における外側部材3aでは、図10に示すとおり、切欠き部80は、外側部材対向壁331のうち、内側部材対向壁244と対向する面に上下方向に設けられている。
【0099】
また、切欠き部80は、外側部材対向壁331に少なくとも一つ設けられていればよく、その個数は限定されるものではない。また、変形例においては、外側部材対向壁331の短辺側に設けられているが、外側部材対向壁331の長辺側に設けられていてもよい。また、外側部材3aではなく、内側部材2に切欠き部80を設ける構成としてもよい。内側部材2に切欠き部80を設ける場合、例えば、内側部材2における外側部材3aの切欠き部80と対向する位置に切欠き部80を設ければよい。
【0100】
変形例のように切欠き部80を設ける場合、図11に示すとおり、漏れ抑制部材5は、前記内側部材対向壁244と前記外側部材対向壁331との間に設けられる。なお、切欠き部80から、断熱部材4の発泡時に発生するガス等が抜けやすくするため、切欠き部80の長さは、外側部材対向壁331における漏れ抑制部材5が設けられている領域の上下方向の長さ以上であることが好ましい。
【0101】
上記の構成においても、内側部材2および外側部材3aのうち少なくとも何れか一方における、漏れ抑制部材5と当接する領域の一部に内側部材2と外側部材3aとの距離が他の領域よりも大きくなるように切欠き部80を設けることができる。よって、断熱部材4の発泡により発生するガス等が容器1の外部へ抜けにくくなる事態や、断熱部材4を隅々にまで行き渡らせることが困難となる事態を防止することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 容器
2 内側部材
3、3a 外側部材
4 断熱部材
5 漏れ抑制部材
7 蓋
11 排出部貫通孔
21、31 底壁部
22 内側部材側壁部
23 内側貫通孔
24 内側上枠部
32 外側部材側壁部
33 外側上枠部
34 外側部材段部
36 注入部
37 スタンド対応凹部
62 開口部
80、333 切欠き部
101 スタンド
241 蓋受部
242 内壁
243 内側部材水平壁
244 内側部材対向壁
311 外側貫通孔
331 外側部材対向壁
332 外側部材水平壁
334 係合部
361 注入口
362 流動規制部
3331 底面
3332 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11