IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タリェレス・セタベ・ソシエダッド・アノニマの特許一覧

特許7359452金属材料用の向上した安全性を有する可動式シュレッダ
<>
  • 特許-金属材料用の向上した安全性を有する可動式シュレッダ 図1
  • 特許-金属材料用の向上した安全性を有する可動式シュレッダ 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】金属材料用の向上した安全性を有する可動式シュレッダ
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/14 20060101AFI20231003BHJP
   B02C 21/02 20060101ALI20231003BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20231003BHJP
   B02C 13/06 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B02C18/14 B ZAB
B02C21/02
B09B3/35
B02C13/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020572628
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 ES2019070115
(87)【国際公開番号】W WO2019175450
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】U201830333
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】520352148
【氏名又は名称】タリェレス・セタベ・ソシエダッド・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】TALLERES ZB, S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】アドルフォ・マンサナレス・メルセロ
(72)【発明者】
【氏名】ミケル・マシアス・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】アンヘル・マリア・モンテロ・ニエト
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03335968(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0203124(US,A1)
【文献】特開平11-188282(JP,A)
【文献】特開昭58-153542(JP,A)
【文献】特表2010-539359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 9/00-11/08、
13/00-13/31、
18/00-18/38、
19/00-25/00
B09B 1/00- 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料用の向上した安全性を有する可動式シュレッダであって、
細断すべき材料を受け入れて破砕するように構成された供給装置(1)と、
ロータ(7)に接続された複数のハンマ(6)を用いて、供給装置(1)により受け入れた材料を破砕する粉砕ミル(2)と、
粉砕ミル(2)によって細断された材料を排出するように構成された排出装置(3)と、
前記供給装置(1)と、前記粉砕ミル(2)と、前記排出装置(3)とに動力を供給するように構成された駆動装置(4)とを備え、
前記供給装置(1)は、ホッパー(12)及びクラッシャー(9)を有し、前記クラッシャー(9)は、第1の歯付きローラ(10)と、前記第1の歯付きローラ(10)と反対方向に、且つより高速に回転する第2の歯付きローラ(11)とを含み、
前記駆動装置(4)は、単一のモータ(5)を含み、
制御システム(16)を更に備え、
前記制御システム(16)は、前記歯付きローラ(10、11)を動かすための複数の油圧ポンプ(14)と、前記ロータ(7)を動かすための可変流量油圧クラッチ(13)とを含み、前記複数の油圧ポンプ(14)及び前記可変流量油圧クラッチ(13)は、前記モータ(5)に連結されており、
前記制御システム(16)は、前記粉砕ミル(2)に接続されたモータの負荷に応じて、前記第1の歯付きローラ(10)及び/又は前記第2の歯付きローラ(11)の回転スピードを変化させるように構成され、
前記供給装置(1)と、前記粉砕ミル(2)と、前記排出装置(3)と、前記駆動装置(4)とは、シャーシ(15)に取り付けられている、
向上した安全性を有する可動式シュレッダ。
【請求項2】
前記第1の歯付きローラ(10)の歯は、前記第2の歯付きローラ(11)の歯の間に散在している、請求項1に記載の向上した安全性を有する可動式シュレッダ。
【請求項3】
前記可変流量油圧クラッチ(13)によって前記モータ(5)に連結され、次に、前記粉砕ミル(2)の前記ロータ(7)に連結された一連のプーリ及びベルトを有する、請求項1又は2に記載の向上した安全性を有する可動式シュレッダ。
【請求項4】
前記クラッシャー(9)の前記ローラ(10、11)のシャフトの動作圧力を示すための圧力トランスデューサと、
前記クラッシャー(9)の前記ローラ(10、11)のスピードを示すためのスピードセンサ又は流量計と、
前記モータ(5)によって送出される動力を決定するために、前記モータ(5)のスピード及びモータのトルクを示すためのモータ制御ユニットと、
ロータスピードセンサ(7)と、
前記可変流量油圧クラッチの油圧回路の温度センサと、
を備え、
これらの要素の全てがモータの作業負荷を制御するように構成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の向上した安全性を有する可動式シュレッダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料の細断処理の安全性、例えば、細断すべき金属材料の中に可燃性又は爆発性の物が存在する場合の問題を回避するために、事前低速破砕を有する可動式シュレッダに関する。本発明の可動式シュレッダは、金属産業、特に金属リサイクル産業に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
シュレッダは、サイズを下げ、密度を上げることを目的として、金属材料(廃棄金属)を処理する機械である。このように、主にリサイクルに注目して、産業分野における多くの用途に適した材料が得られる。
【0003】
廃棄金属の利用は鉄鋼業界において不可欠な部分となり、産業界の経済活力を向上させ、環境への影響を軽減する。鉱物抽出に比べ、リサイクルされた金属鉄の使用は、COの排出量、エネルギー及び水の消費量、並びに大気汚染を大幅に軽減する。同時に、鉄鋼のリサイクルは、地球の天然資源をより効率的に利用する。
【0004】
金属のリサイクルはピラミッド型の産業であり、ピラミッドの基部にある多くの中小企業は、ピラミッドの上部にある大規模な多国籍企業に廃棄金属を供給する。鉄鋼のリサイクルは、以下のステップの一部又は全てを実行する。
分類:磁石は鋼材を引き付けるため、リサイクル工場において、金属を紙などの他のリサイクル可能な材料から簡単に分離することができる。
シュレッダ:シュレッダに回転する磁気ドラムが組み込まれ、金属と他の材料との混合物から鉄と鋼を抽出する。
材料の分離:分離は、電流、高圧空気流、及び液体浮選システムを使用して実現される。場合によっては、他のプロセスを実行する必要な場合がある。
せん断:鉄道及び船から回収された大きくて厚い鋼材を切断するために、高圧をかける油圧機械が利用される。他のせん断技術、例えば、ガス又はプラズマアークを使用する技術が利用される場合もある。
梱包:鉄鋼製品は、取り扱い及び輸送を容易にするように大きなブロックに圧縮される。
【0005】
鋼材は、リサイクル処理中にその固有の物理的特性を失うことなく、リサイクル処理が何度でも繰り返すことができるため、リサイクルには最適である。鋼材は100%リサイクル可能な材料であるため、リサイクル鋼材は、未使用材料から製造された鋼材と同じ用途に使用することができる。
【0006】
世界の鉄鋼製品の大凡40%は廃棄金属により製造されている。1トンの鉄鋼をリサイクルすると、1,100キログラムの鉄鉱石、630キログラムの石炭、55キログラムの石灰石を節約することができる。鉄屑を使用することで、COの排出量が58%削減される。
【0007】
基本的に、シュレッダは、
粉砕処理に機械的動力を供給し、そして、他の機械システム、例えば、供給システム、冷却モータ、送出ベルトなどに必要な油圧及び電力を供給する駆動システムと、
細断すべき材料が他の手段によって配置されると、当該材料を機械に供給する供給システムと、
材料を粉砕し、そのサイズを下げ、密度を上げるようにする粉砕システムであって、粉砕は、ロータ内に配置されたハンマによって行われ、回転するとき、ハンマは、一定の開口を有する格子を通過して排出エリアに出ることができるサイズになるまで、粉砕チャンバ内の材料に打撃を与える、前記粉砕システムと、
細断された材料を外部に輸送し、施設の後続の処理に向ける排出システムと、
を含むように構成される。
【0008】
現在、シュレッダにおける主な問題の1つは、粉砕処理がハンマを高速で回転させて行うため、可燃物(例えば、燃料の痕跡がある燃料タンク、ガスボンベなど)が導入されたときに、爆発が発生する可能性があることである。このような爆発が材料を鉄床にぶつけるため、処理中に大量の火花及び熱が発生される。このような処理に可燃性物質の痕跡を含む要素又は容器が当たると、多かれ少なかれ爆発が発生し、これらの爆発は、機械のオペレータ、及びその付近の人員及び財産にとってリスクとなる。
【0009】
爆発を回避する1つの方法は、この目的のために設計された機械を使用して、材料の事前破砕を実行することである。
【0010】
事前破砕を実行するように設計された機械は、2つ又は3つのローラを備え、材料が入口ホッパーに堆積された材料は、重力によって(約2~3rpmで回転する)第1のローラに向けられる。当該第1のローラにおいて、材料と第1のローラとの間に設置されたプッシャーコンタクトによって材料が捕捉されて第2のローラに向けられる。第2のローラは、第1のローラよりも回転が速い(8~11rpm)。これらのローラは回転方向が反対であり、幅に関して散在している歯を有する。
【0011】
したがって、材料は、事前破砕において、ローラの歯によって引き裂かれ、処理された後、材料送出領域に向けられる。
【0012】
この処理は、低速で実行されるとき、爆発を引き起こさず、次の粉砕のために材料を準備し、爆発が発生する可能性のある状況を排除する。
【0013】
これらのマシンは別々に動作するように設計されているため、それぞれの設計された動力は、一定の生産を満たすための必要な動力でなければならない。これらの機械が一列に並んで動作するとき、すなわち、先ず事前破砕、次にシュレッダが動作する場合、2台の機械が全負荷で動作する時間の割合が最低限に抑えられる。これは、シュレッダを作動させるモータの負荷に応じてシュレッダの供給の調整が行われ、当該モータが事前に設定された負荷になるとすぐに、供給が減少し、制御設計パラメータに応じて停止することもある。このように、低速粉砕は全負荷で動作する必要がない。全負荷で動作すると、2台の機械が一列に並んで動作するとき、モータの設計が過大となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述した目的を達成し、欠点を回避するために、本発明は、最先端技術で知られている金属材料用の可動式シュレッダに関して、向上した動作安全条件を提供する金属材料用の可動式シュレッダを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の金属材料対象物用の可動式シュレッダは、細断すべき材料を受け入れるように構成された低速粉砕処理を含む供給装置と、ロータに接続された複数のハンマを用いて供給装置によって受け入れた材料を細断する粉砕ミルと、細断された材料を排出するように構成された排出装置と、供給装置と粉砕ミルとの両方、及び排出装置にエネルギーを提供するように構成された駆動装置とを備える。
【0016】
本発明の金属材料対象物用の可動式シュレッダにおいて、供給装置は、ホッパー及びクラッシャーを有し、クラッシャーは、第1の歯付きローラと、第1の歯付きローラと反対方向に、且つより高速に回転する第2の歯付きローラとを含む。
【0017】
本発明の金属材料対象物用の可動式シュレッダの駆動装置は、単一のモータを備え、当該単一のモータは、供給装置と、粉砕ミルと、排出装置とにエネルギーを提供する。
【0018】
本発明の金属材料対象物用の可動式シュレッダは、複数の油圧ポンプ及び可変流量油圧クラッチを有する制御システムを含み、複数の油圧ポンプ及び可変流量油圧クラッチは、モータに連結されている。
【0019】
本発明の金属材料対象物用の可動式シュレッダにおいて、複数の油圧ポンプは、歯付きローラの動きを制御し、可変流量油圧クラッチは、ロータの動きを制御する。
【0020】
本発明の金属材料対象物用の可動式シュレッダの制御システムは、粉砕ミルに接続されたモータの負荷に応じて、第1の歯付きローラ及び第2の歯付きローラの回転スピードを変化させるように構成されている。
【0021】
本発明のシュレッダにおいて、供給装置、粉砕ミル、排出装置、及び駆動装置は、シャーシに取り付けられている。
【0022】
本発明の安全性が向上した可動式シュレッダにおいて、第1の歯付きローラの歯は、第2の歯付きローラの歯の間に散在している。
【0023】
本発明の向上した安全性を有する可動式シュレッダは、可変流量油圧クラッチによってモータに連結された一連のプーリ及びベルトを備え、そして、前記一連のプーリ及びベルトは、粉砕ミルのロータに連結されている。
【0024】
本発明の向上した安全性を有する可動式シュレッダは、モータの作業負荷を制御するための一連の測定システムを備える。
【0025】
本発明の向上した安全性を有する可動式シュレッダのモータの作業負荷を制御するための測定システムは、
クラッシャーのローラのシャフトの動作圧力を示すための圧力トランスデューサと、
クラッシャーのローラのスピードを示すためのスピードセンサと、
クラッシャーのローラのスピードを示すための異なるセンサと、
モータによって送出される動力を決定するために、モータのスピード及びモータのトルクを示すためのモータ制御ユニットと、
ロータスピードセンサと、
を含む。
【0026】
本発明の向上した安全性を有する可動式シュレッダは、シュレッダのそれ自体の操作を調整するための一連のシステムを含む。
【0027】
シュレッダのそれ自体の操作を調整するための一連のシステムは、
クラッシャーのローラの供給を行う可変流量ポンプと、
必要に応じてローラの回転を逆転させるシステムと、
燃焼モータのスピードを変化させるシステムと、
粉砕ミルのロータに大なり小なりのトルクを伝達するように、可変流量油圧クラッチの油圧回路へのオールオアナッシング供給システム(all or nothing supply system)と、
を含む。
【0028】
次に、本明細書をよりよく理解するのを助けるために、またその不可欠な部分として、本発明の目的が例示的且つ非限定的に示される一連の図が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の金属材料対象物用の可動式シュレッダの断面側面図である。
図2】本発明の金属材料対象物用の可動式シュレッダのモータ、油圧ポンプ、及び可変流量油圧クラッチを備えた駆動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面において採用された符号を考慮すると、本発明に係る金属材料対象物用の可動式シュレッダは、細断すべき材料を受け入れ、それを粉砕ミル(2)に向ける供給装置(1)を備え、粉砕ミル(2)内で供給装置(1)によって受け入れた材料の細断が行われ、粉砕ミルによって細断された材料は、排出装置(3)によって排出される。
【0031】
更に、本発明に係る金属材料対象物用の可動式シュレッダは、シュレッダ自体の全ての構成要素を作動するのに必要なエネルギーを提供する単一のモータ(5)を有する駆動装置(4)を備える。すなわち、モータ(5)は、供給装置(1)と、粉砕ミル(2)と、排出装置(3)とにエネルギーを供給する。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、粉砕ミル(2)は、粉砕チャンバ(8)内のロータ(7)に接続された複数のハンマ(6)を含み、金属材料の粉砕は、金属材料に対する打撃によって行われる。
【0033】
本発明に係る金属材料対象物用の可動式シュレッダの供給装置(1)は、ホッパー(12)とクラッシャー(9)とを組み入れ、ホッパー(12)において細断すべき材料が堆積され、クラッシャー(9)は、低速で金属材料の第1の粉砕を実行する。このようにすることによって、金属材料が粉砕ミル(2)に入ると、ロータ(7)に接続されたハンマ(6)が非常に高速で回転するため、粉砕チャンバ(8)内で火花及び熱が発生した場合、細断すべき材利に含まれる可能性がある可燃性物質の痕跡が、シュレッダの操作に危険な爆発を引き起こすことを防止する。
【0034】
本発明に係る金属材料用の可動式シュレッダの好ましい実施形態において、クラッシャー(9)は、第1の歯付きローラ(10)と、第1の歯付きローラ(10)と反対方向に回転する第2の歯付きローラ(11)とを備える。本発明の好ましい実施形態において、第1の歯付きローラ(10)は低速(約2~3r/min)で回転し、第2の歯付きローラ(11)は、第1の歯付きローラ(10)のスピードよりも速いスピード(約8~1r/min)で回転する。
【0035】
2つの歯付きローラ(10、11)は、その幅に沿って散在する歯を有し、それによって、破砕すべき材料は、2つの歯付きローラ(10、11)の歯によって捕捉され、破砕されると、粉砕ミル(2)に送入される。
【0036】
粉砕ミル(2)は、クラッシャー(9)の産物により供給されるため、クラッシャー(9)の歯付きローラ(10、11)の回転スピードの調整によって、粉砕ミル(2)への供給が調整される。
【0037】
本発明に係る金属材料対象物用の可動式シュレッダは、一連のプーリ及びベルトによって粉砕ミル(2)のロータ(7)を動かす。一連のプーリ及びベルトは、可変流量油圧クラッチ(13)を介してモータ(5)に連結されている。クラッシャー(9)の2つの歯付きローラ(10、11)は、それらをより高速又はより低速で回転させることができる複数の油圧ポンプ(14)に接続されている。
【0038】
モータ(5)に連結されている複数の油圧ポンプ(14)と可変流量油圧クラッチ(13)との全ては、本発明に係る可動式シュレッダの制御システム(16)を構成し、単一のモータ(5)の最大限の利用を確保する。
【0039】
制御システム(16)の操作はシンプルである。なぜなら、クラッシャー(9)と粉砕ミル(2)との間の平衡状態を想定すると、クラッシャー(9)の歯付きローラ(10、11)を動かす油圧ポンプ(14)はフル稼働し、粉砕ミル(2)が細断できる産物の量を粉砕ミル(2)に供給する。しかし、クラッシャー(9)から排出された材料が粉砕ミル(2)に溜まると、粉砕ミル(2)のロータ(7)は、モータ(5)に対し追加の動力を要求することとなる。この追加の動力の提供の代わりに、クラッシャー(9)の歯付きローラ(10、11)を動かす油圧ポンプ(14)の性能が低下されることとなる。したがって、クラッシャー(9)を離れて、粉砕ミル(2)に受け入れられる材料の自動調整が働いている。
【0040】
本発明に係る金属材料対象物用の可動式シュレッダは、モータ(5)と、クラッシャー(9)の油圧ポンプ(14)との作業負荷を制御するための複数の測定システムを更に備える。
【0041】
シュレッダに組み込まれた測定システムは、
クラッシャー(9)のローラ(10、11)のシャフトの動作圧力を示すための圧力トランスデューサと、
クラッシャー(9)のローラ(10、11)のスピードを示すためのセンサ又は同じ目的の流量計と、
モータ(5)のスピード及びモータのトルクを示すためのモータ制御ユニットであって、モータ(5)のスピードは、可変流量油圧クラッチ(13)への送入スピードと同じであり、モータ(5)のスピードのデータ及びトルクのデータにより、モータ(5)によって送出される動力が決定される、前記モータ制御ユニットと、
ロータスピードセンサと、
可変流量油圧クラッチの油圧回路のオイル温度センサと、
を含む。
【0042】
クラッシャー(9)のローラ(10、11)からのスピードデータと、圧力トランスデューサからのデータとによって、モータ(5)からクラッシャー(9)部分に送出された動力を知ることができる。
【0043】
更に、本発明に係る金属材料対象物用の可動式シュレッダは、シュレッダのそれ自体の操作を調整するための一連のシステムを有する。
【0044】
シュレッダのそれ自体の操作を調整するための一連のシステムは、
クラッシャー(9)のローラ(10、11)に供給する油圧ポンプ(14)の流量を変化させるシステムと、
モータ(5)のスピードを変化させるシステムと、
粉砕ミル(2)のロータ(7)に大なり小なりのトルクを伝達するように、可変流量油圧クラッチ(13)の油圧回路へのオールオアナッシング供給システムと、
を含む。
【0045】
歯付きローラ(10、11)に供給する油圧ポンプ(14)の流量を変化させることにより、歯付きローラ(10、11)自体のスピードが変化され、クラッシャー(9)に送入される動力が変化される。油圧ポンプ(14)の圧力は最大値に制限される。
【0046】
可変流量油圧クラッチ(13)の油圧回路へのオールオアナッシング供給システムは、本発明に係る金属材料対象物用の可動式シュレッダのモータ(5)の過負荷を回避するために使用される。
【0047】
これらの制御及び操作調整システムを使用することによって、モータ(5)の動力の何パーセントがシュレッダ自体の各部分、すなわち、クラッシャー(9)、又は粉砕ミル(2)に送出されているかが常に分かる。
【0048】
このように、モータ(5)が所定の値を超えて作動し、且つそれが粉砕ミル(2)の部分に起因したことが検出された場合、クラッシャーの油圧ポンプ(14)の流量を減らして供給量(9)を調整することにより、粉砕ミル(2)により多くの動力を送出することができる。その逆も同様である。
【0049】
本発明に係る金属材料対象物用の可動式シュレッダの全ての構成要素は、シャーシ(15)に組み込まれ、そして、当該シャーシ(15)は、牽引システムによって地面に設置される。当該牽引システムは、本発明の好ましい実施形態ではトラックであるが、複数の車輪であってもよく、又は本発明に係るシュレッダを移動可能にするための任意の他の手段であってもよい。
【0050】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されるべきではない。当業者は、本明細書の記載を参照して、他の実施形態を生み出すことができる。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0051】
1 供給装置
2 粉砕ミル
3 排出装置
4 駆動装置
5 モータ
6 ハンマ
7 ロータ
8 粉砕チャンバ
9 クラッシャー
10 第1の歯付きローラ
11 第2の歯付きローラ
12 ホッパー
13 可変流量油圧クラッチ
14 油圧ポンプ
15 シャーシ
16 制御システム
図1
図2