(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】水生生物の陸上養殖装置
(51)【国際特許分類】
A01K 63/04 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
A01K63/04 A
A01K63/04 C
(21)【出願番号】P 2021148178
(22)【出願日】2021-09-10
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】519447857
【氏名又は名称】株式会社西本町鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】坪根 弘直
(72)【発明者】
【氏名】坪根 正典
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-077269(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110296(WO,A1)
【文献】特開2009-011192(JP,A)
【文献】特開2005-000054(JP,A)
【文献】実開平06-003065(JP,U)
【文献】特開2004-081071(JP,A)
【文献】特開2021-151221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留した浅層の飼育水に未成体の水生生物を放流し一定の時間間隔で新たな飼育水を上方から落下流入するように構成した飼育水貯留槽と、
前記飼育水貯留槽の下流側に連通した排水パイプの終端に設けたフイルターよりなり、飼育水から糞体や残餌などの固形汚物を除去する固形汚物除去手段と、
前記固形汚物除去手段の下流側に連通連設し、固形汚物を除去した飼育水の一時貯留槽と、
前記一時貯留槽の下流側に連通連設し、固形汚物を除去した飼育水をエアレーション付加により泡沫分離処理する泡沫濾過槽と、
前記泡沫濾過槽の下流側に連通連設し、泡沫処理した飼育水を生物分解処理する生物濾過槽と、
前記生物濾過槽の下流側に連通連設し、生物分解処理した飼育水の硝酸除去処理を行う脱窒装置と、
飼育水を前記飼育水貯留槽から順次、前記固形汚物除去手段、前記一時貯留槽、前記泡沫濾過槽、前記生物濾過槽、前記脱窒装置へ循環流通させて最終的に前記飼育水貯留槽に供給する飼育水循環手段と、
より
なり、
前記飼育水貯留槽は、
飼育水を浅層に貯留する貯留槽本体と、
前記貯留槽本体の上方で枢支部を介して連設され、循環した飼育水を前記貯留槽本体へ間欠的に供給する反転自在のタンク本体と、を備え、
前記タンク本体は通常は水平姿勢で供給水を受入れ、供給水の偏奇荷重により前記枢支部を中心に傾斜姿勢に変位して飼育水を下方の前記貯留槽本体に供給するように構成した
ことを特徴とする水生生物の陸上養殖装置。
【請求項2】
前記タンク本体は、前記貯留槽本体の内幅と略同幅の注水口を有し、傾斜姿勢となった際に前記注水口から飼育水を前記貯留槽本体の内幅方向略全域に広げて供給するように構成したことを特徴とする請求項
1に記載の水生生物の陸上養殖装置。
【請求項3】
前記固形汚物除去手段は、フイルターとして前記排水パイプの終端開口部に固形汚物を貯留する布袋を包皮して構成したことを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の水生生物の陸上養殖装置。
【請求項4】
前記泡沫濾過槽は、有害物質を含有する泡沫を分離貯留するための泡沫貯留槽を連通連設したことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の水生生物の陸上養殖装置。
【請求項5】
前記生物濾過槽は、
飼育水の貯溜処理空間を、上流側から下流側にかけて、所定間隔で立設する複数の越流隔壁により少なくとも2つ以上の処理部に区画形成しており、
各処理部には飼育水中に含有されるタンパク質やアンモニアの生物分解処理を行う分解菌を定着させた濾材を配置し、
飼育水を前記越流隔壁を順次越流させて各処理部で段階的に生物分解処理を行うように構成したことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の水生生物の陸上養殖装置。
【請求項6】
前記脱窒装置は、生物濾過処理された飼育水から水生生物の養殖妨害となる硝酸の除去を行うように構成したことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の水生生物の陸上養殖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水生生物の陸上養殖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水生生物の陸上養殖は、海洋養殖に比較して、育成環境を人為的に管理することができるため餌不足や赤潮などの自然環境に影響されず、水生生物を安定して養殖できる点で評価されている。
【0003】
近年、かかる水生生物の陸上養殖方法としては、養殖された水生生物の可食部の味や色合い、美しい外観などを呈するように特別な成分の食餌を与えることで、商品価値や歩留りを高めようとするもの(例えば特許文献1参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、水生生物の養殖には、稚ウニや稚魚などの未成体から商品として出荷可能な成ウニや成魚などの成体となるまでに、最低でも約1~2年の長期の養殖期間を要することが知られている。
【0006】
また、陸上養殖において水生生物を高品質な成体まで成育するためには、上述の食餌管理は勿論のこと、海洋養殖のように自然な水入替えのない閉鎖的な飼育槽内で水環境を常時新鮮な状態に維持する水管理を継続的に行うことが重要となる。
【0007】
すなわち、水生生物は、成長代謝に伴って、残餌や糞などの難溶性の固形汚物と粘膜や屎尿に含有されるタンパク質や有毒なアンモニアや亜硝酸、硝酸などの溶性汚物を排出するが、閉鎖的な飼育槽を使用する陸上養殖ではこれらの汚物が飼育水中に蓄積濃縮されてしまい、水環境が汚染されやすくなる。
【0008】
なかでも固形汚物のうち水生生物が大量に排泄する糞体は溶性汚物として水生生物の生育不良を引き起こす有毒のアンモニアの主発生源でもあり、陸上養殖においては同アンモニアを飼育水中に溶解濃縮させないためにも糞体を飼育槽から頻繁に取り除くことが必要となる。
【0009】
かかる陸上養殖における水環境汚染の問題に対し、上記従来の水生生物の陸上養殖方法では、飼育水中の汚物を充分に除去処理することができずに経年で水質を悪化させて、養殖期間中に水生生物の成育不良を引き起こして品質を低下させたり水生生物を死滅させて歩留りを低下させたりする虞があった。
【0010】
すなわち、水生生物の残餌や糞体などの固形汚物については、水生生物を避難用の予備槽に移し替え、飼育槽から飼育水を抜水して底部に堆積した同固形汚物をブラシを使用して除去処理する清掃作業を行えばよいとも考えられるが、かかる清掃作業は基本的に人手で行われるため頻繁に行うには作業負担が大きすぎる。
【0011】
特に、残餌や糞体など水生生物の固形汚物は、大比重・高粘稠の性質を有するため、飼育水中で沈降して時間の経過とともに飼育槽の内底部に強固に粘着してしまい、頑固で落ちにくいこびり付き汚れとなってしまう。
【0012】
その結果、人手による清掃作業をより一層煩雑困難なものとして清掃時間が長時間となってしまう。すなわち、同清掃作業を頻繁に行うことは、作業負荷となるだけでなく、結果的に予備槽の水生生物に無用な環境ストレスを与えて成育不良を助長させる原因となる。
【0013】
また、水生生物や糞体から溶出されるタンパク質やアンモニアや有機酸などの溶出汚物については、飼育槽内で溶出汚物を分解する一定の有機酸分解菌や硝化菌等の分解菌を投入して有機酸やアンモニアを硝酸にして弱毒化したり、或いは大型の飼育槽で大容量の飼育水を用いて毒性を可及的薄めたりする対応が考えられる。
【0014】
しかしながら、分解菌による溶性汚物の最終産物たる硝酸に毒性があることには変わりがない。すなわち、硝酸が閉鎖された飼育水槽中で蓄積濃縮されてしまい水生生物に毒性を示すこととなる。
【0015】
硝酸濃度を薄めるべく飼育水を大型化し且つ飼育水を大容量化した場合には、その分余計に広い設置スペースや大量の水が必要となって、養殖施設のイニシャルコストやランニングコストが嵩む問題がある。
【0016】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、低コストで省スペースに設置することができ、長い養殖期間に亘って、飼育水貯溜槽内の残餌や糞体などの固形汚物や、有機酸やアンモニア、亜硝酸、硝酸などの水生生物に毒性を示す溶性汚物を確実且つ簡単に除去でき、飼育水を再利用する浄化循環系を備えて水の消費と汚水の排出を可及的抑制すると共に水質の安定化を図り、良好な水環境下で水生生物を安定して養殖できる水生生物の陸上養殖装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記従来の課題を解決するために、本発明では、(1)貯留した浅層の飼育水に未成体の水生生物を放流し一定の時間間隔で新たな飼育水を上方から落下流入するように構成した飼育水貯留槽と、前記飼育水貯留槽の下流側に連通した排水パイプの終端に設けたフイルターよりなり、飼育水から糞体や残餌などの固形汚物を除去する固形汚物除去手段と、前記固形汚物除去手段の下流側に連通連設し、固形汚物を除去した飼育水の一時貯留槽と、前記一時貯留槽の下流側に連通連設し、固形汚物を除去した飼育水をエアレーション付加により泡沫分離処理する泡沫濾過槽と、前記泡沫濾過槽の下流側に連通連設し、泡沫処理した飼育水を生物分解処理する生物濾過槽と、前記生物濾過槽の下流側に連通連設し、生物分解処理した飼育水の硝酸除去処理を行う脱窒装置と、飼育水を前記飼育水貯留槽から順次、前記固形汚物除去手段、前記一時貯留槽、前記泡沫濾過槽、前記生物濾過槽、前記脱窒装置へ循環流通させて最終的に前記飼育水貯留槽に供給する飼育水循環手段と、よりなることを特徴とする水生生物の陸上養殖装置を提供する。
【0018】
また、本発明に係る水生生物の陸上養殖装置は、以下(2)~(7)の点にも特徴を有する。
(2)前記飼育水貯留槽は、飼育水を浅層で貯留する貯留槽本体と、前記貯留槽本体の上方で枢支部を介して連設され、循環した飼育水を前記貯留槽本体へ間欠的に供給する反転自在のタンク本体と、を備え、前記タンク本体は通常は水平姿勢で供給水を受入れ、供給水の偏奇荷重により前記枢支部を中心に傾斜姿勢に変位して飼育水を下方の前記貯留槽本体に供給するように構成したこと。
(3)前記タンク本体は、前記貯留槽本体の内幅と略同幅の注水口を有し、傾斜姿勢となった際に前記注水口から飼育水を前記貯留槽本体の内幅方向略全域に広げて供給するように構成したこと。
(4)前記固形汚物除去手段は、フイルターとして前記排水パイプの終端開口部に固形汚物を貯留する布袋を包皮して構成したこと。
(5)前記泡沫濾過槽は、有害物質を含有する泡沫を分離貯留するための泡沫貯留槽を連通連設したこと。
(6)前記生物濾過槽は、飼育水の貯溜処理空間を、上流側から下流側にかけて、所定間隔で立設する複数の越流隔壁により少なくとも2つ以上の処理部に区画形成しており、各処理部には飼育水中に含有されるタンパク質やアンモニアの生物分解処理を行う分解菌を定着させた濾材を配置し、飼育水を前記越流隔壁を順次越流させて各処理部で段階的に生物分解処理を行うように構成したこと。
(7)前記脱窒装置は、生物濾過処理された飼育水から水生生物の養殖妨害となる硝酸の除去を行うように構成したこと。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、貯留した浅層の飼育水に未成体の水生生物を放流し一定の時間間隔で新たな飼育水を上方から落下流入するように構成した飼育水貯留槽と、前記飼育水貯留槽の下流側に連通した排水パイプの終端に設けたフイルターよりなり、飼育水から糞体や残餌などの固形汚物を除去する固形汚物除去手段と、前記固形汚物除去手段の下流側に連通連設し、固形汚物を除去した飼育水の一時貯留槽と、前記一時貯留槽の下流側に連通連設し、固形汚物を除去した飼育水をエアレーション付加により泡沫分離処理する泡沫濾過槽と、前記泡沫濾過槽の下流側に連通連設し、泡沫処理した飼育水を生物分解処理する生物濾過槽と、前記生物濾過槽の下流側に連通連設し、生物分解処理した飼育水の硝酸除去処理を行う脱窒装置と、飼育水を前記飼育水貯留槽から順次、前記固形汚物除去手段、前記一時貯留槽、前記泡沫濾過槽、前記生物濾過槽、前記脱窒装置へ循環流通させて最終的に前記飼育水貯留槽に供給する飼育水循環手段と、より構成したため、次の(1)~(7)の飼育水の浄化循環作用を発揮する。
【0020】
(1)飼育水を上方から落下流入するように構成した飼育水貯留槽により、貯溜槽内全域において、水流方向を一定方向とした人工波、すなわち槽内で貯溜した飼育水中に一定の振動流を生起し、同振動流により貯溜槽の内底部で堆積する糞体や残餌などの固形汚物やアンモニアなどの溶出汚物を貯溜された飼育水中全域に散逸撹拌して淀みをなくし、固形汚物が内底部に固着することを防止しつつ空気を飼育水中で撹拌して溶存酸素量を安定化させ、清掃作業を容易にして頻繁に行うことができ、水生生物の摂食行動を助長することができる。
【0021】
すなわち、常に一定量の新たな飼育水を上方から貯留槽へ反復供給させて貯留槽内の飼育水中に人工波を間欠的に生起することにより、貯留槽の内底部で堆積した固形汚物を飼育水中で一定時間ごとに舞い上がらせて拡散させ、貯留槽の内底部に頑固なこびり付き汚れが生じることを防止する汚物拡散作用を果たす。
【0022】
同時に、新たに供給された飼育水により槽内の飼育水を増加供給分だけ排水しつつ飼育水中の溶性汚物の濃度を薄めて水質を希釈均一化すると共に落水時に空気を飼育水中に取り込み撹拌することで溶存酸素量を安定化させ、新鮮な飼育水を水生生物に可及的供給する水希釈交換作用を果たす。
【0023】
さらに、振動流により未成体の水生生物近傍で食餌を浮遊揺動させたり移送させたりして水生生物の摂食行動を助長させて養殖スピードの向上を図る養殖促進作用を果たす。
【0024】
特に飼育水貯留槽は、貯留槽本体の上方には循環した飼育水を一定量、一定時間ごとに定期的に供給する反転自在のタンク本体を枢支部を介して連設すると共に、タンク本体は通常は水平姿勢で供給水を受入れ、供給水の偏奇荷重により枢支部を中心に傾斜姿勢に変位して飼育水を下方の貯留槽本体に供給するように構成したため、タンク本体がシシオドシ機能を果たして、倒伏傾動変位に伴う復元衝撃により、槽本体内で貯水された飼育水に波及衝撃を生じさせる。
【0025】
すなわち、タンク本体が回動変位付勢を規制された際の衝撃力が貯留槽本体へ効果的に伝達され、槽本体内の飼育水に波及作用する。したがって、槽本体内での糞体や残餌などの固形汚物の偏りを散逸させて分散することができ、残餌や糞体が水槽内底部にこびり付いて除去しにくくなることを回避する汚物拡散作用をより向上させる。
【0026】
また、飼育水貯留槽の清掃時には、溶性汚物を含有する飼育水を抜水して空状態となった貯溜槽に新たな飼育水を上方から落下流入することにより、同貯留槽の底部に残った固形汚物を排水口へと押し流し排出して一掃できる。
【0027】
すなわち、本装置は、人手によらず、タンク本体により大容量の飼育水を洗浄水として上方から空状態の槽本体に一気に落下流入させて、その流勢により底部の固形汚物を洗い流しつつ排出口へ一掃する流水清掃作用を有しており、清掃作業負担が劇的に軽減化できる効果がある。
【0028】
換言すれば、本装置による流水清掃作業は「貯留槽からの溶性汚物含有の飼育水の抜水操作」と「貯留槽への洗浄水(飼育水)の落下流入による固形汚物の洗浄操作」の2つの簡潔操作より短時間で完了することができるため、予備槽等の水生生物の環境ストレスを最小限に留めつつも貯留槽の清掃を頻繁且つ簡単に行うことができ、したがって、養殖対象の水生生物の水環境を常時清潔な環境に保持することができる。
【0029】
このように、飼育水貯留槽は造波装置機能を有して、簡易な構造でありながら、通常の湛水養殖時には貯留槽内での汚物拡散作用、水希釈交換作用、養殖促進作用を、貯留槽の清掃時には流水清掃作用を省エネルギーで実現し、水生生物の良好な生育にとって、常時新鮮且つ健全な水環境を提供することができる効果がある。
【0030】
また、飼育水貯留槽は、以下の各種構成に連通しているため、貯留槽から排出された飼育水を順次浄化処理して再利用することができる。
(2)固形汚物除去手段により、排水口を不用意に閉塞することなく排水パイプから排水される飼育水中に浮沈する大型の固形汚物を効率よくフィルター濾過処理し、安定した排水流量を保持した状態で固形汚物除去水を生成する。
【0031】
(3)一時貯留槽により、固形汚物除去水を貯溜すると共に一定時間静置して、固形汚物除去手段で漉しとれなかった比較的小型の固形汚物を沈殿処理すると共に、連通パイプを介してサイフォンの原理により連通連設する下流側の泡沫濾過槽への固形汚物除去水の供給量や供給タイミングを調節する。
【0032】
(4)泡沫濾過槽により、貯溜した固形汚物除去水に対してエアレーションを付加して、固形汚物除去水中で浮遊するタンパク質などの比重が小さく微細な固形汚物や溶解されたアンモニア、亜硝酸、硝酸、有機酸塩などの溶出汚物の泡沫分離処理し、固形汚物の大半を除去すると共に飼育水中の溶存酸素を増加させた泡沫処理水を生成する。
【0033】
(5)生物濾過槽により、泡沫濾過槽で除去できなかった泡沫処理水中の有機酸塩やアンモニア、亜硝酸、硝酸、有機酸塩などの溶出汚物を有機物分解菌及び硝化菌で生物分解処理し、生物濾過水を生成する。
【0034】
(6)脱窒装置により、生物濾過槽で除去できなかった生物濾過水中のアンモニア、亜硝酸、硝酸などの溶出汚物を硝化菌及び脱窒菌の酸化作用及び還元作用で順次に生物分解処理し、脱窒され浄化された新たな飼育水を生成する。
【0035】
(7)飼育水循環手段により、浄化された新たな飼育水を一定の時間間隔で飼育水貯留槽に供給すると共に、飼育水貯留槽から供給量と同じ量の汚染された飼育水のの排水を促して亜硝酸、硝酸などの毒性物の高濃縮化を防止しつつて水生生物の水環境を正常化する。さらに、排水された飼育水を上記した(2)~(6)を循環させて飼育水の浄化処理を行い、水質改善がされた大量の飼育水の再利用を図る。
【0036】
このように発明によれば、低コストで省スペースに設置することができ、養殖期間の長期に亘って、飼育水貯溜槽内の残餌や糞などの固形汚物や、アンモニア、亜硝酸、硝酸などの水生生物に毒性を示す溶性汚物を除去する清掃作業を容易に行うことができ、飼育水を再利用する浄化循環系を備えて養殖に使用される水の消費量を可及的抑制して環境に配慮でき、良好な水環境下で水生生物を安定して養殖できる。すなわち、持続可能な開発目標(SDGS)のうち、「つくる責任つかう責任」および「海の豊かさを守ろう」に寄与することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の水生生物の陸上養殖装置の全体概要を示す模式的側面図である。
【
図2】本発明の水生生物の陸上養殖装置の全体概要を示す模式的平面図である。
【
図3】本発明のタンク本体の構成を示す説明図である。
【
図4】本発明のタンク本体の姿勢変位の状態を示す模式的側面図である。
【
図5】本発明の飼育水貯留槽を2段式とした構成を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の要旨は、貯留した浅層の飼育水に未成体の水生生物を放流し一定の時間間隔で新たな飼育水を上方から落下流入するように構成した飼育水貯留槽と、前記飼育水貯留槽の下流側に連通した排水パイプの終端に設けたフイルターよりなり、飼育水から糞体や残餌などの固形汚物を除去する固形汚物除去手段と、前記固形汚物除去手段の下流側に連通連設し、固形汚物を除去した飼育水の一時貯留槽と、前記一時貯留槽の下流側に連通連設し、固形汚物を除去した飼育水をエアレーション付加により泡沫分離処理する泡沫濾過槽と、前記泡沫濾過槽の下流側に連通連設し、泡沫処理した飼育水を生物分解処理する生物濾過槽と、前記生物濾過槽の下流側に連通連設し、生物分解処理した飼育水の硝酸除去処理を行う脱窒装置と、飼育水を前記飼育水貯留槽から順次、前記固形汚物除去手段、前記一時貯留槽、前記泡沫濾過槽、前記生物濾過槽、前記脱窒装置へ循環流通させて最終的に前記飼育水貯留槽に供給する飼育水循環手段と、よりなることを特徴とする水生生物の陸上養殖装置を提供することにある。
【0039】
また、前記飼育水貯留槽は、飼育水を浅層で貯留する貯留槽本体と、前記貯留槽本体の上方で枢支部を介して連設され、循環した飼育水を前記貯留槽本体へ間欠的に供給する反転自在のタンク本体と、を備え、前記タンク本体は通常は水平姿勢で供給水を受入れ、供給水の偏奇荷重により前記枢支部を中心に傾斜姿勢に変位して飼育水を下方の前記貯留槽本体に供給するように構成したことに特徴を有する。
【0040】
また、前記タンク本体は、前記貯留槽本体の内幅と略同幅の注水口を有し、傾斜姿勢となった際に前記注水口から飼育水を前記貯留槽本体の内幅方向略全域に広げて供給するように構成したことに特徴を有する。
【0041】
また、前記固形汚物除去手段は、フイルターとして前記排水パイプの終端開口部に固形汚物を貯留する布袋を包皮して構成したことに特徴を有する。
【0042】
また、前記泡沫濾過槽は、有害物質を含有する泡沫を分離貯留するための泡沫貯留槽を連通連設したことに特徴を有する。
【0043】
また、前記生物濾過槽は、飼育水の貯溜処理空間を、上流側から下流側にかけて、所定間隔で立設する複数の越流隔壁により少なくとも2つ以上の処理部に区画形成しており、各処理部には飼育水中に含有されるタンパク質やアンモニアの生物分解処理を行う分解菌を定着させた濾材を配置し、飼育水を前記越流隔壁を順次越流させて各処理部で段階的に生物分解処理を行うように構成したことに特徴を有する。
【0044】
また、前記脱窒装置は、生物濾過処理された飼育水から水生生物の養殖妨害となる硝酸の除去を行うように構成したことに特徴を有する。
【0045】
また、前記飼育水循環手段は、飼育水貯留槽から順次、固形汚物除去手段、一時貯留槽、泡沫濾過槽、生物濾過槽、脱窒装置へ順次飼育水を循環流通させて最終的には元の飼育水貯留槽の上部に設けたタンク本体に供給するように構成したことに特徴を有する。
【0046】
以下、本発明に係る水生生物の陸上養殖装置の実施例について、図面を参照しながら詳説する。
図1は本装置の全体的な概要構成を示す模式的側面図、
図2は本装置の全体的な概要構成を示す模式的平面図、
図3(a)~(c)はそれぞれタンク本体の構成を示す平面図、正面図、及び拡大側面図、
図4(a)及び
図4(b)はそれぞれ、タンク本体の水平姿勢及び傾斜姿勢を示す模式的側面図、
図5は本装置の飼育水貯留槽を2段式とした構成を示す側面図である。
【0047】
[1.水生生物の陸上養殖装置の概要]
本発明に係る水生生物Uの陸上養殖装置Aは、概略的には、
図1及び
図2に示すように、貯留した浅層の飼育水Wに稚水生生物Uを放流し一定の時間間隔で新たな飼育水W1を上方から落下流入するように構成した飼育水貯留槽1と、該貯留槽1の下流側に連通した排水パイプ20の終端に設けたフイルター24よりなる固形汚物除去手段2と、固形汚物除去手段2の下流側に連通連設した固形汚物除去水W2の一時貯留槽3と、連通パイプ30を介して一時貯留槽3から流入した固形汚物除去水W2にエアレーションを付加して有害物質を泡沫分離する泡沫濾過槽4と、泡沫濾過槽4の下流側に連通連設し生物分解作用を行う生物濾過槽5と、生物濾過槽5の下流側に連通連設し硝酸除去を行う脱窒装置6と、上記の各部材間で飼育水Wを循環する飼育水循環手段7と、を備えて構成している。
【0048】
本装置Aは、
図1及び
図2に示すように、各機能部材1~5を、飼育水循環手段7を介して自然落差やサイフォンの原理を利用して飼育水を高位から低位へと各機能部材間で順次移送し、省エネルギー化を図り各機能部材における水位調整や供給排出調整を行って節水可能とする機能的レベル差を設けて構成としている。
【0049】
すなわち、本装置Aは、
図1に示すように、各機能部材1~5のレベル差として、最上側位置から最下側位置にかけてそれぞれ順次、飼育水貯留槽1、固形汚物除去手段2、一時貯留槽3、泡沫濾過槽4、生物濾過槽5を配置することにより、落水差を利用した自然循環流路を飼育水循環手段7を介して形成するように構成している。
【0050】
しかも、本装置Aは、
図2に示すように、自然落差やサイフォンの原理を発揮させる機能的なレベル差を保持した状態であるにも関わらず、比較的狭いスペースでも設置できるように工夫を凝らしており、各機能部材1~7を互いに密集集合した配置構成としている。
【0051】
すなわち、本装置Aは、水生生物Uの養殖の中核的機能をなす飼育水貯留槽1を中心にその周囲で飼育水循環手段7を介して、固形汚物除去手段2と一時貯留槽3と泡沫濾過槽4と生物濾過槽5と脱窒装置6とを機能的に順次配置して各機能部材へ飼育水Wを連続的に循環送水するように構成している。
【0052】
本装置Aに使用する飼育水Wの性質や種類は、養殖対象となる水生生物の種類に応じて適宜選択する。飼育水Wは、例えば養殖対象が海水生物であれば海洋からくみ上げた自然海水は勿論、水道水等に塩を添加して塩分濃度を約3.5%に調製した人工海水を、養殖対象が淡水生物であれば河川等からくみ上げた自然汽水や自然淡水、所定成分に調製された人工汽水や人工淡水を採用する。
【0053】
本装置Aに使用される飼育水Wの全容量は、飼育水貯留槽1、固形汚物除去手段2、一時貯留槽3、泡沫濾過槽4、生物濾過槽5、脱窒装置6、飼育水循環手段7を連続的に循環可能とする量に設定される。本実施例で使用される飼育水Wの総量は約300~400Lである。なお、飼育水Wは、後述する飼育水貯留槽1に貯溜された飼育水W1、固形汚物除去水W2、泡沫処理水W3、第1生物濾過水W4a、第2生物濾過水W4b、脱窒処理水W5(新たな飼育水又は供給水とも言う。)を意図する。
【0054】
飼育水Wは各機能部材をめぐるうちに温度条件や湿度条件により気化してしまい総量が不足したり塩分濃度などの水質が変化する場合があるが、本装置Aでは各機能部材によって飼育水を循環再利用して節水効率を向上させているため、清掃時等のタイミングで、数カ月に一度程度で、養殖条件に合わせて調整した新しい飼育水を適宜補給したり総入れ替えしたりするだけでよい。
【0055】
かかる本装置Aの貯留槽1の飼育水W1に放流され養殖される水生生物Uは、海水生物や淡水生物の別を問わず、例えばナマコ、アワビ、サザエなどの巻貝類、エビ、カニなどの甲殻類、フグ、ヒラメなどの海水魚類、ニジマスやヤマメなどの淡水魚類であってもよい。
【0056】
本実施例に係る水生生物の陸上養殖装置Aにおける養殖対象は、例えばアカウニ、ムラサキウニ、バフンウニなどのウニ類であり、特に本装置Aによれば飼育水貯留槽1内で発生させる人工波により、ウニにコンブやワカメなどの主食餌の摂食量を増加させて、養殖スピードの促進や品質の向上が期待できる。
【0057】
本装置Aによる養殖可能な水生生物Uの個体数、すなわち、飼育水貯留槽1に放流される水生生物Uの数は、放流された個体同士が互いに干渉しない程度であれば特に限定されることはないが、本装置Aの飼育水浄化能と給餌量のバランスによる水環境の汚染度を考慮して単位面積あたり100匹程度/m2とすることが望ましい。
【0058】
ここで、本発明に特筆すべき点は、完全閉鎖型で簡易構造であるにも関わらず、飼育水貯留槽1が、飼育水貯留槽内で水流方向を排水口方向とする人工波を生起させる造波装置機能を有して、次の(1)~(4)の4つの作用を果たすように構成していることにある。
(1)養殖時において、飼育水中の糞体や残餌などの固形汚物やアンモニアなどの溶性汚物の飼育水中での浮上分散を繰り返し行い固形汚物の槽底部への粘着を回避する汚物拡散作用
(2)養殖時において、新たに供給された飼育水により槽内の飼育水を供給分だけ排水すると共に飼育水中の溶性汚物の濃度を薄めて水質を希釈均一化すると共に落水時に空気を飼育水中に取り込み撹拌することで溶存酸素量を安定化させ、新鮮な飼育水を水生生物に可及的供給する水希釈交換作用
(3)養殖時において、未成体の水生生物近傍で食餌を浮遊揺動させたり移送させたりして水生生物の摂食行動を助長させて養殖スピードの向上を図る養殖促進作用
(4)清掃時において、大容量の飼育水を洗浄水として上方から空状態の貯留槽に一気に落下流入させて、その流勢により底部の固形汚物を洗い流しつつ排出口へ一掃する流水清掃作用
【0059】
本実施例において養殖対象するウニは、一般的に、管足を使って海底を這うように移動して海底で生息するコンブやワカメなどの海藻類を主食餌として摂食する棘皮動物であり、移動速度が遅く海藻類をうまく捕捉できないことで知られる。
【0060】
すなわち、海底のウニは、海洋中の海流でたなびき流れて偶発的に周囲近傍に運ばれてきた海藻類を管足で察知して捕食しているにすぎない。この海底海流は、一般的に、波浪により生起された振動流といわれている。
【0061】
振動流には、ウニが察知摂食しやい海藻類の適度な揺動を生起する流速が存在する。かかる振動流の摂食流速は20cm/s~30cm/sとされ、20cm/sよりも遅くなると海藻類がウニ近傍まで運ばれず、30cm/sより速くなると海藻類の運搬移動速度が速くなりすぎてウニがうまく捕捉できない。
【0062】
また、ウニから排泄される糞体は多量であって、有毒なアンモニアの主発生源として知られる。さらに、ウニの成長に伴って排出される固形汚物は主食餌となるワカメや昆布などの海藻類残物や糞体などで特に大比重・高粘稠である。
【0063】
陸上養殖において、ウニの固形汚物は、沈降後に飼育槽の内底部に粘着してこびりつき、除去が困難となる。さらに、有毒なアンモニアとしての溶性汚物を飼育水に溶出させ続けないためにも固形汚物の頻繁な清掃作業が必要となる。
【0064】
本発明は、このウニの摂食行動や排泄物等の特性に着目し、飼育水貯留槽1内で人工的な波浪を生起させつつ反復継続的に振動流を生起させ、前述の(1)汚物拡散作用(2)水希釈交換作用(3)養殖促進作用(4)流水清掃作用を実現し、省エネルギーでウニ養殖に適した擬似的環境を容易に作り出すことができる画期的なウニの陸上養殖装置Aであるとも言える。
【0065】
[2.飼育水貯留槽]
飼育水貯留槽1は、
図1及び
図2に示すように、貯留槽本体10の上方で循環した飼育水W5を一定量、一定時間ごとに定期的に供給する反転自在のタンク本体11を枢支部12を介して連設すると共に、タンク本体11は通常は水平姿勢で供給水W5を受入れ、供給水Wの偏奇荷重により枢支部12を中心に傾斜姿勢に変位して飼育水W5を下方の貯留槽本体10に供給するように構成している。
【0066】
貯留槽本体10は、
図1及び
図2に示すように、平面視長方形状の底側壁10aと、底側壁10aの四側縁部からそれぞれ立ち上げた長尺帯板状の左右側壁10b、10b’と、短尺帯板状の前後側壁10c、10c’と、により上方開放した細長箱型状に形成している。
【0067】
かかる貯留槽本体10の寸法は、幅(前後側壁10c、10c’の長さ)を約幅100cm、(左右側壁10b、10b’の長さ)奥行き400cm、深さ(各側壁10c、10c’、10b、10b’の高さ)約15~30cmとし、最大容積を0.6~1.2m3となるように形成している。
【0068】
また、貯留槽本体10には、飼育水W1としての海水が約5~9cmの浅層となるように貯溜湛水されており、同飼育水W1中には水生生物Uとして複数の稚ウニが放流されている。かかる貯留槽本体10の飼育水の容量は、約350L~450Lである。
【0069】
また、貯留槽本体10は、貯留槽本体10は、長手方向の前半部にタンク本体11を設けて前方側を飼育水の上流側とする共に、長手方向の後方面部に排水口21を設けて後方側を飼育水の下流側とするように構成している。
【0070】
かかる貯留槽本体10は、所望とする貯溜湛水面高さに排水口21をレベル合わせするように、底側壁11Bの後方面部で同底側壁11Bよりも上方に排水パイプ始端部20aを突出している。
【0071】
換言すれば、すなわち、貯留槽本体10における湛水高さは、貯留槽本体10の底部から上方突出させた排水パイプ始端部20aの高さ位置、すなわち排水口21の開口面高さ位置に等しい。
【0072】
これにより、通常の養殖時において、槽本体10内に新たな飼育水W5がタンク本体11により供給されて水位が排水パイプ始端部20aの高さよりも上がった場合には、内部で貯溜された飼育水W1をその供給分量だけ排水口21へオーバーフローさせて排水し、槽本体10内での飼育水W1を一定の浅層に貯溜保持することを可能としている。
【0073】
また、排水パイプ始端部20aの周壁には、開閉可能な排水スリット22を貫通して形成している。排水スリット22は、排水パイプ20の筒軸と平行伸延する縦線孔であって、排水パイプ始端部20aの周方向に所定間隔を隔てて複数形成している。
【0074】
これにより、通常養殖時には排水スリット22を閉塞して貯留槽本体10内に飼育水W1を貯溜すると共に清掃時には排水スリット22を開放して貯留槽本体10内に飼育水W1を排水パイプ20に排出可能としている。
【0075】
また、貯留槽本体10は、
図1及び
図2に示すように、長手方向の後側(下流側)で水生生物が排水口21へ進入することを防ぐための保護ネット15を幅方向に張設している。
【0076】
保護ネット15は、排水口21よりも上流側位置で貯留槽本体10の前後方向に網面を向け、槽本体10の内底面から水面よりも上方突出すると共に左右側壁10b、10b’間で張設されることにより、貯留槽本体10の内部を長手方向で水生生物の養殖領域と排水領域とに区画する。
【0077】
なお、保護ネット15は、網目孔が糞体や残餌などの固形汚物が通過可能とするが、稚ウニや稚魚などの未成体の水生生物Uが通過できないメッシュ径としたものを採用している。
【0078】
また、貯留槽本体10の上方位置には、反転自在のタンク本体11が、回動軸Xを幅方向と平行とする枢支部12を介して、内部の貯水量に応じて前後方向に重心を偏位させて倒伏傾動可能に枢支されている。タンク本体11は、貯留槽本体10の長手方向の後部と中間部の二箇所で、後方タンク本体11Fと中央タンク本体11Rの2つを設けている。
【0079】
タンク本体11は、
図2に示すように、貯留槽本体10の幅員と略同じ幅員を有する内部中空略扁平状であって、同内部空間を新たな飼育水W5を受けて貯溜するための貯水空間Sに形成している。
【0080】
タンク本体11の飼育水W5の貯溜量(貯水空間Sの容積)、すなわち、タンク本体11の傾斜姿勢による槽本体10への飼育水W5の一回あたりの供給量は、少なくとも毎分20L~30Lである。
【0081】
また、タンク本体11は、約20~30秒に1回のペースで、槽本体10へ新たな飼育水W5の間欠的供給を行うように構成している。すなわち、タンク本体11は、単位時間あたりの傾動回数を120回~180回/時間とするように構成している。
【0082】
換言すれば、槽本体10内で貯溜された飼育水W1の静置時間は、空状態となったタンク本体11が満水状態となるまでの時間と略同じであり、約20~30秒である。この飼育水の静置時間は、タンク本体11からの給水により槽本体10の内部で人工波を反復減衰させて水面を鎮静化させ、水生生物Uの摂食行動を助長させる時間となる。
【0083】
かかるタンク本体11は、
図1、
図3(c)及び
図5に示すように側面視で扁平薄板状且つ略逆直角台形状に形成しており、
図3(a)~
図3(c)に示すように上下で所定間隔を隔てて平行に配置した幅広状の上下側壁11a、11a’と、上下側壁11a、11a’の左右端縁の間で前後方向へ伸延する帯板状の一対の左右側壁11b、11b’と、上下側壁11a、11a’の後端縁の間で左右方向に伸延する帯板状の後側壁11cと、下側壁11a’の前端部から前方側へ上方傾斜して突出する傾斜前側壁11dと、より構成し、内側に貯水空間Sを形成している。
【0084】
なお、
図3(a)及び
図3(b)の符号11eは、タンク本体11の幅方向中央部で上下側壁11a、11a’の間で立設する支持板であり、タンク本体11の上側壁11aを下方支持すると共に後端部を切欠してタンク本体11の貯水空間S全体に飼育水が行き届くようにしている。
【0085】
かかるタンク本体11は、
図3(a)に示すように、飼育水循環手段7の循環供給パイプ70を介して供給される新たな飼育水W5を受け入れるための受水口14を、上側壁11aに枢支部12の回動軸X上で方形窓状に開口形成している。
【0086】
循環供給パイプ70は、
図2及び
図3に示すように、平面視でタンク本体11の左右側壁11b、11b’の一側外方位置且つタンク本体11よりも上方位置でタンク本体11の長手方向に沿って伸延している。
【0087】
循環供給パイプ70の中途部と終端部にはそれぞれ、
図1及び
図2に示すようにタンク本体11の幅方向中へ分岐すると共に枢支部12の軸線X上に沿って伸延する2つの供給吐出部75を有している。
【0088】
各供給吐出部75は、L字状に下方折曲しており、
図1及び
図2、
図4(a)及び
図4(b)に示すように折曲終端の吐水口74をタンク本体11の受水口14に上方で臨ませるように構成している。
【0089】
すなわち、循環供給パイプ70の吐水口74とタンク本体11の受水口14とはそれぞれ、
図2に示すように平面視で、枢支部12の回動軸X上に同位相で重合配置することにより、タンク本体11が枢支部12を中心に回動して水平姿勢や傾斜姿勢となっても受水口14を偏位させずに吐水口74から常時新たな飼育水W5を受水可能としている。
【0090】
また、タンク本体11は貯水空間Sに貯溜した新たな飼育水W5を槽本体10へ供給するための注水口13を前端部に形成し、同注水口13は貯留槽本体10の内幅と略同幅にすると共に幅方向全域に上方開口しタンク本体が傾斜姿勢となった際に飼育水W5を貯留槽本体10の内幅方向略全域に広げて流下させるように形成している。
【0091】
すなわち、タンク本体11は、
図1~
図4(b)に示すように、上側壁11a前端縁より前方且つ下側壁11a’前端縁から前方且つ上方傾斜した傾斜前側壁11dと、傾斜前側壁11dの左右縁部の左右側壁11b、11b’と、により注水鍔部13aを前方突出して形成し、その上側開口部分を平面視細長矩形状で拡幅する注水口13に形成している。
【0092】
換言すれば、注水口13は、注水鍔部13aの上縁部によりその開口幅をタンク本体11の幅方向に沿って伸延すると共に貯留槽本体10の内幅長さと略同じ幅長さとなるように形成している。
【0093】
また、タンク本体11は、後述するストッパー14により傾斜姿勢となった際に、注水鍔部13aの傾斜前側壁11dを略水平状、すなわち槽本体10内の飼育水W1の水面と面平行にすると共に、注水口13を前方向且つ斜め上側に向けるように枢支部12に枢支している。
【0094】
これにより、タンク本体11が傾斜姿勢となった場合には、注水口13からの飼育水W5を、一気に落下させることなく、下側の傾斜前側壁11dでガイドしながら前方向且つ斜め上方向に向けて吐出させ、槽本体10の内幅全域に沿って注水量を均一にして略流線形を描いた緩慢な落水形態にすることができる。
【0095】
かかる注水口13の開口面積は、平面視におけるタンク本体11の上側壁11aの面積に対して、上側壁面積:注水口面積=1:4~5とする面積比とし、貯水空間S内の飼育水W5の急激落水防止機能を向上している。
【0096】
また、傾斜姿勢となったタンク本体11の注水口13先端と槽本体10の内底面との距離(槽本体10の内底面を基準とした注水口13先端の高さ位置)は、タンク本体11の注水口13から流下する新たな飼育水W5の供給により槽本体10に貯溜された飼育水の水面が不用意に荒立たずに前方へ向かう人工波を形成する位置としている。
【0097】
換言すれば、傾斜姿勢となったタンク本体11の注水口13先端の高さ位置は、槽本体10に貯溜された飼育水の水面位置を基準にして、同水面に可及的近接した位置に設定され、本実施例では槽本体10に貯溜された飼育水の水面位置までの上下方向の距離を約10~30cmとしている。
【0098】
また、タンク本体11は、シシオドシ機能を果たすように、
図4に示すように、回動軸Xをやや後方寄りにした枢支部12を介して貯留槽本体10の上方に枢支している。
【0099】
すなわち、タンク本体11は、
図4に示すように、貯水空間Sが満水状態の場合には枢支部12よりも前方側に重心を偏位することにより枢支部12を中心に下方回動して傾動姿勢になると共に、貯水空間Sが空状態の場合には枢支部12よりも後方側に重心を偏位することにより枢支部12を中心に上方回動して水平姿勢となるように構成している。
【0100】
タンク本体11は、枢支部12を中心に傾斜回動して傾斜姿勢となった場合の傾動角度を仮想水平面を基準として鋭角、より好ましくは30°~45°とし、上述の注水口13と共に槽本体10内への緩慢な落水流入を行うように構成している。
【0101】
また、タンク本体11は、
図1~
図4(b)に示すように、バランスウエイト18を後端部に付設しており、貯水空間Sの満水状態と空状態との各状態に合わせて、水平姿勢と傾斜姿勢への変位を行うようにしている。
【0102】
なお、バランスウエイト18の重量は、枢支部12を中心にして、貯水空間Sが完全満水状態となるまでタンク本体11の水平姿勢を保持するように重心を後方側に配置すると共に、貯水空間Sが完全満水状態となったタイミングで重心を前方側へ配置してタンク本体11を傾斜姿勢へと転移させる重量としている。
【0103】
枢支部12は、
図2、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、貯留槽本体10に設けた左右一対の軸受部16、16’と、両軸受部16、16’に枢着対応すると共にタンク本体11の左右側壁11b、11b’で外方突設した一対の左右枢軸17、17’と、より構成している。
【0104】
軸受部16、16’は、それぞれ矩形帯板であって、下半部を左右側壁11b、11b’内側面に面対向して固定される固定部とし、上半部を槽本体10の左右側壁11b、11b’上端より上方突出させた枢着部とし、槽本体10の左右側壁10b、10b’の長手方向の後部と中途部との二箇所でそれぞれ互いに対向して設けられている。
【0105】
一方で、軸受部16、16’の上半部の所定位置には、
図4に示すように軸孔16a、16a’が形成されており、タンク本体11は同軸孔16a、16a’に左右枢軸17、17’を遊嵌して軸受部16、16’の間で回動可能に枢着されて槽本体10上方に設けられる。
【0106】
また、軸受部16、16’の下半部の所定位置には、タンク本体11が枢支部12を介して回動した場合に、タンク本体11の外底面(下側壁11a’)に当接して倒伏姿勢又は傾斜姿勢を状態を規制保持する一対のタンクストッパー19、19’が設けられている。換言すれば、上述のタンク本体11の水平角度や傾動角度は、タンクストッパー19、19’の設置位置により調整する。
【0107】
一対のタンクストッパー19、19’は、可撓性の円柱状の突起であって、軸受部16、16’から槽本体10の内方に筒軸を向けて対向して突設している。タンクストッパー19、19’は、タンク本体11の回動軌跡によりなす仮想半径の中途部に設けられる。
【0108】
具体的には、タンクストッパー19、19’は、
図2、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、軸受部16、16’の内側面において、枢支部12よりも前方位置且つタンク本体11が傾動変位して前端の注水口13を前方へ向ける位置で突出する一対の傾動ストッパー19a、19a’と、枢支部12よりも後側位置且つタンク本体11が倒伏変位して前端の注水口13を上方へ向ける位置で突出する一対の水平ストッパー19b、19b’と、で構成している。
【0109】
これにより、タンク本体11がシシオドシ機能を果たして、倒伏傾動変位に伴う復元衝撃により、槽本体10内で湛水された飼育水W1に波及衝撃作用を生起する。
【0110】
すなわち、タンク本体11が一対のタンクストッパー19、19’にそれぞれ当接して回動規制された際には、その回動付勢力は、同タンクストッパー19、19’から左右の軸受部16、16’へ、左右の軸受部16、16’から槽本体10の左右側壁10b、10b’へ、左右側壁10b、10b’から底側壁10aへと順次伝達され、波及衝撃となって槽本体10や飼育水W1を振動させる。したがって、槽本体10内での糞体や残餌などの固形汚物を散逸させて分散することができる。
【0111】
しかも、常に一定量の飼育水W5を反復供給することができるため、簡易な構造でありながら槽本体10内に人工的な波を形成して飼育水W1を揺動させ、残餌や糞が槽本体10の内底部に付着して除去しにくくなることを回避する作用がある。
【0112】
また、タンク本体11の直下位置の貯留槽本体10の内底部にはエアレーション装置110を配設している。具体的には、エアレーション装置110は、タンク本体11の直下位置の貯留槽本体10の左右側壁11b、11b’の近傍で飼育水中に浸漬配置しており、タンク本体11からの飼育水の落下流水に伴って飼育水中のエアレーション作用をより効果的に生起するようにしている。
【0113】
すなわち、タンク本体11が傾動姿勢となった場合には、注水口13が前方側へ向き、同注水口13からタンク本体11内部に貯水された飼育水Wが槽本体10の幅方向の略全域に沿って均一に供給され、この際に空気を飼育水中に多分に取り込み撹拌さえて溶存酸素濃度を向上させる。
【0114】
さらには、落下供給された飼育水W5により、タンク本体11内で貯水された飼育水W1全域に、水流方向を排水口21側へ向けた人工波が生起される。すなわち、タンク本体11に貯溜された飼育水W5中に一定の振動流が生起する。
【0115】
これにより、槽本体10の内底部で堆積した固形汚物を飼育水W1中で一定時間ごとに舞い上がらせて拡散させ、貯留槽の内底部に頑固なこびり付き汚れが生じることを防止する汚物拡散作用を果たす。
【0116】
さらには、新たに供給された飼育水W5により槽内の飼育水W1をその増加供給分だけ排水口21から排水しつつ飼育水中の溶性汚物の濃度を薄めて水質を希釈均一化する水希釈交換作用を果たす。
【0117】
また、未成体の水生生物U近傍で食餌を浮遊揺動させたり移送させたりして水生生物の摂食行動を助長させて養殖スピードの向上を図る養殖促進作用を果たす。
【0118】
具体的には、貯留槽本体10で静置状態にある貯水に新たな多量の飼育水W5が供給された際に発生する振動流の流速は、糞体や残餌などの比較的小型で軽く浮力ある固形汚物については流動移送させる一方、海藻類などの比較的大型で重く浮力が少ない食餌については揺動させつつウニの近傍位置へ移動させる摂食流速約20cm/s~30cm/sとなる。
【0119】
特に本実施例のタンク本体11は、貯留槽本体10の長手方向において、後部と中途部(中間部)の二箇所で後方タンク本体11’と中央タンク本体11’’との2つを設けているため、各タンク11’、11’’の傾動タイミングをずらすことにより給水動作に伴って交互に汚物拡散作用、水希釈交換作用、養殖促進作用を果たし、より安定した水環境で水生生物Uを養殖できる。
【0120】
また、飼育水貯留槽1の清掃時には、人手によらず、タンク本体11により大容量の飼育水を洗浄水として上方から空状態の槽本体10に一気に落下流入させて、その流勢により底部の固形汚物を排出口へ一掃する流水清掃作用を果たす。
【0121】
具体的には、水生生物Uを槽本体10から予備槽などに移し替えた後、排水パイプ始端部20aの排水スリット22を開放して溶性汚物を含有する飼育水W1を排水し槽本体10を空状態とする。
【0122】
次いで、空状態となって底部に固形汚物が残った槽本体10に、タンク本体11から新たな飼育水W5を上方から落下流入させて槽本体10の底部で幅方向全域に広がりながら下流側へ流れる人工波を生起し、底部に残った固形汚物を排水スリット22へと押し流し排出して一掃する。
【0123】
特に排水直後で槽本体10に残る固形汚物は、通常養殖時に簡潔的に行ってきた前述の汚物拡散作用により、槽本体10の内底部に固着していないため人工波により容易に押し流すことができる。
【0124】
このように「槽本体10からの溶性汚物含有の飼育水W1の抜水操作」→「空状態の槽本体10へ洗浄水(飼育水W5)の落下流入による固形汚物の洗浄操作」の2つの簡潔操作より槽本体10の清掃作業を短時間で完了することができるため、予備槽等の水生生物の環境ストレスを最小限に留めつつも貯留槽の清掃を頻繁且つ簡単に行うことができる。したがって、養殖対象の水生生物の水環境を常時清潔な環境に保持することができる。なお、本実施例では、朝と夕方の1日2回の流水清掃作用による清掃作業を実行する。
【0125】
また、水生生物の養殖の中核的機能をなす飼育水貯留槽1は、
図5に示すように、上下方向に2つ積層配置した上側貯留槽1Uと下側貯留槽1Dとからなる二段構成としている。上側貯留槽1Uと下側貯留槽1Dとは、それぞれ同様の構成であって、縦横に組み上げた支柱フレームを介して所定の高さ位置に支持された状態で上下二段にしている。
【0126】
これにより、狭いスペースであっても飼育水貯留槽1を上下方向に積層して設置することができ、省スペース化を図りつつ水生生物Uの養殖数を増加させることができる。また、上下二段の各貯留槽1U、1Dは、それぞれ浅層の飼育水を貯溜すると共に単純構造化されているため、重量を軽減して支柱フレームに不用意な支持負荷とならない。
【0127】
また、上側貯留槽1Uと下側貯留槽1Dとはそれぞれ、
図5に示すように、上部で循環供給パイプ70を介して脱窒装置6に連通連設すると共に、下部で排水パイプ20を介して一時貯留槽3に連通連設しており、給排水切り替えを可能に構成している。
【0128】
循環供給パイプ70は、
図5に示すように、脱窒装置6に始端部で接続する給水本流部71と、同給水本流部71の終端から二又分岐してそれぞれ終端部で上側貯留槽1Uと下側貯留槽1Dとに接続する上側給水支流部72Uと下側給水支流部72Dと、により、脱窒装置6と飼育水貯留槽1との間に介設する二又状の給水流路に形成している。これにより、脱窒装置6による浄化処理済の飼育水W5を各貯留槽1U、1Dへ移送可能としている。
【0129】
また、循環供給パイプ70は、給水本流部71の始端開口を脱窒装置6により脱窒処理された飼育水W5を貯溜する生物濾過槽5の第3処理部53に臨ませた吸引口73に形成して生物濾過槽5に連通接続すると共に、上側給水支流部72Uと下側給水支流部72Dのそれぞれの終端開口を飼育水貯留槽1のタンク本体11の受水口14へ臨ませた吐水口74に形成して飼育水貯留槽1に連通接続している。
【0130】
また、排水パイプ20は、
図5に示すように、排水パイプ終端部20bを排水本流部200とし、同排水本流部200の始端から二又状に分岐してそれぞれ始端部で上側貯留槽1Uと下側貯留槽1Dの底部にそれぞれ接続する上側排水支流部201Uと下側排水支流部201Dと、により一時貯留槽3と飼育水貯留槽1との間に介設する二又状の汚水流路に形成している。これにより、飼育水貯留槽1内の固形汚物や溶性汚物を含有した汚水を固形汚物除去手段2を介して一時貯留槽3へ移送可能としている。
【0131】
また、排水パイプ20は、
図5に示すように、排水本流部200の終端開口を固形汚物除去手段2により除去処理された固形汚物除去水を貯溜する一時貯留槽3に臨ませた吐出口23に形成すると共に、上側排水支流部201Uと下側排水支流部201Dのそれぞれの始端開口を飼育水貯留槽1のタンク本体11の底部から吐出させた排水口21に形成している。
【0132】
これにより、上下側貯留槽1U、1Dのそれぞれへの給排水制御を可能にして、上下側貯留槽1U、1Dのそれぞれで収穫期(成熟期)の異なる成体の水生生物Uの収穫作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。特に清掃作業時には、上述のとおり人手によらずタンク本体11の流水清掃作用により簡易に行えるため、高い位置にある上側貯留槽1Uの清掃も容易に行うことができ、清潔な水環境を水生生物Uに提供できる。
【0133】
また、上側貯留槽1Uから下側貯留槽1Dへ飼育水を流通させることなく、上下側貯留槽1U、1Dのそれぞれに循環供給パイプ70を介して新鮮な飼育水Wを給水すると共に、上下側貯留槽1U、1Dのそれぞれの汚水を排水パイプ20を介して中途部で合流させて一時貯留槽3に排水するように構成しているため、各貯留槽1U、1Dの水質を良好に維持することができる。
【0134】
[3.固形汚物除去手段]
飼育水貯留槽1の下流側には、糞体や残餌を濾過する固形汚物除去手段2が設けられている。固形汚物除去手段2は、
図1及び
図3に示すように、飼育水貯留槽1の下流側に連通した排水パイプ20終端に設けられ、フイルター24として排水パイプ20の終端部開口(吐出口23)に糞体を貯留する布袋25を着脱可能に包皮して構成している。
【0135】
すなわち、布袋25は、排水パイプ終端部20b全体を外周から覆うようにして吐出口23を閉塞しており、同吐出口23から排出される飼育水W1中の固形汚物をトラップして物理的に濾過すると共に固形汚物除去水W2を生成するように構成している。
【0136】
布袋25は、糞体や残餌などの固形汚物よりも小さいメッシュ径で形成している。また、布袋25の素材は、目詰まりのしにくさ、洗浄のしやすさ、繰り返し使用の観点よりナイロンメッシュが望ましい。
【0137】
かかる固形汚物除去手段2の下流側には、固形汚物除去水W2を貯溜すると共に一定時間静置して、固形汚物除去手段2で漉しとれなかった比較的小型の固形汚物を沈殿処理する一時貯留槽3が設けられている。
【0138】
[4.一時貯留槽]
一時貯留槽3は、上方開放の方形深箱状であって、
図1及び
図2に示すように内部空間に一定量の固形汚物除去水を貯溜する。一時貯留槽3の容量は、タンク本体11の飼育水の給水に伴い貯留槽1から間欠的に排水される排水量に十分に対応できる容量とし、固形汚物除去水の最大貯溜量を約450~550Lとするように形成している。
【0139】
かかる一時貯留槽3は、連通パイプ30を介して下流側の泡沫濾過槽4に連通連設している。連通パイプ30は、略へ字状に屈曲した所謂サイフォン管であって、一時貯留槽3と泡沫濾過槽4との間で屈曲頂部33を所定高さに位置付け、始端部31の開口31aを一時貯留槽3に臨ませると共に終端部32を泡沫濾過槽4に接続することにより、サイフォンの原理で一時貯留槽3内の固形汚物除去水を泡沫濾過槽4へ移送するように構成している。
【0140】
すなわち、連通パイプ30は、屈曲頂部33の所定高さ位置を少なくとも下側貯留槽1Dの湛水面位置より下方とし、パイプ内部を常時泡沫処理水W3を満たしてサイフォン作用を生起するようにしている。
【0141】
[5.泡沫濾過槽]
一時貯留槽3の下流側の泡沫濾過槽4は、
図1に示すように、高さ位置を一時貯留槽3よりも低位置且つ後述する生物濾過槽5よりも高位置に位置付けている。
【0142】
泡沫濾過槽4は、連通パイプ30の終端部32が接続する泡沫処理タンク40と、泡沫処理タンク40上部に付設されてタンク内の固形汚物除去水W2にエアレーションを付加するエアレーション手段41と、エアレーションにより泡沫分離作用を受けて有害物質(主にタンパク質)を含有する泡沫を泡沫処理タンク40上部でタンク40外へ排出する泡沫排出パイプ42と、同排出パイプ42を介して連通連設され、泡沫Bを泡沫処理タンク40から分離貯留するための泡沫貯留槽43と、により構成している。
【0143】
泡沫濾過槽4は、泡沫処理タンク40内部に貯溜した固形汚物除去水W2の下方からエアレーションを付加して気液混合することにより、気液界面での位相差に応じて有害物質を含有した泡沫Bと泡沫処理水W3とに分離する。かかる泡沫濾過槽4は、毎分約40~60Lの泡沫処理水を生成する。
【0144】
これにより水生生物Uから排出されたタンパク質がアンモニアに変化する前に泡と絡めて除去することができ、下流側の生物濾過槽5での処理量を大幅に軽減することができる。
【0145】
このようにして、泡沫濾過槽4は、貯溜した固形汚物除去水に対してエアレーションを付加して、固形汚物除去水W2中で浮遊するタンパク質などの比重が小さく微細な固形汚物や溶解されたアンモニア、亜硝酸、硝酸、有機酸塩などの溶出汚物の泡沫分離処理し、固形汚物の大半を除去すると共に飼育水中の溶存酸素を増加させた泡沫処理水W3を生成する。
【0146】
[6.生物濾過槽]
泡沫濾過槽4の下流側には、
図1及び
図2に示すように泡沫濾過槽4で除去できなかった泡沫処理水W3中の有機酸塩やアンモニア、亜硝酸、硝酸、有機酸塩などの溶出汚物を有機物分解菌及び硝化菌で生物分解処理するための生物濾過槽5が設けられている。
【0147】
すなわち、泡沫濾過槽4は、
図1及び
図2に示すように本装置Aの各種機能部材として最下位に配置された生物濾過槽5にサイフォン管としての連通パイプ44を介して連通連設しており、泡沫処理タンク40内部の泡沫処理水W3を生物濾過槽5へ移送可能に構成している。
【0148】
連通パイプ44は、始端部44аで泡沫濾過槽4に接続すると共に終端開口44bを泡沫濾過槽4よりも低位置の生物濾過槽5内へ下方臨ませて設けられている。
【0149】
生物濾過槽5は、上方開口の方形細長箱状の濾過槽本体50内に有機物分解菌や硝化菌が定着する複数の菌定着濾材56を泡沫処理水W3中に浸漬して配置して構成している。なお、生物濾過槽5に浸漬される菌定着濾材56は、多孔質性であって含水して内部に複数の有機物分解菌や硝化菌を定着させるものであれば特に限定されない。
【0150】
濾過槽本体50の内部空間は、
図1及び
図2に示すように、長手方向の所定位置でそれぞれ立設した前後越流隔壁54、55で仕切られることにより、泡沫処理水W3の生物分解処理を段階的に行う複数の処理部51、52、53に区画形成している。
【0151】
具体的には、生物濾過槽5は、濾過槽本体50の内部空間について、長手方向に一定間隔で立設する2つの前後越流隔壁54、55により、上流側から下流側にかけて順次隣接する第1処理部51と第2処理部52と第3処理部53との合計3つの処理部に区画形成している。
【0152】
前後越流隔壁54、55はそれぞれ、濾過槽本体50の四方側壁の縦長さよりも短い縦長さで生物濾過槽5の幅員と略同じ幅員を有するように形成した矩形板であって、濾過槽本体50の内部空間の長手方向を略三等分するように生物濾過槽5の左右側壁の間で板面を前後方向に向けて立設している。
【0153】
具体的には、前越流隔壁54は、平坦面状に形成しており、第1処理部51に泡沫処理水W3を所定容量で静置貯溜すると共に、同第1処理部51の泡沫処理水W3が所定容量以上に達した場合には同処理水を上端縁54aでオーバーフローさせて第2処理部52へ給水するように構成している。
【0154】
後越流隔壁55は、
図1に示すように、上半部の板面に複数の通水孔55aを貫通して形成しており、下半部で第2処理部52に処理水を所定容量で静置貯溜すると共に、同第2処理部52の処理水が所定容量以上に達した場合には同処理水を上半部の通水孔55aを介して処理水をオーバーフローさせて第3処理部53に給水するように構成している。
【0155】
換言すれば、第1処理部51は、後越流隔壁55よりも前越流隔壁54の越水高さを上げて、貯水容積を第2処理部の貯水容積よりも大きくなるように形成している。
【0156】
上流側の第1処理部51は、内部に複数の菌定着濾材56を収納配置しており、泡沫濾過槽4から連通パイプ44を介して流入する泡沫処理水W3を貯溜して菌定着濾材56に定着させた有機物分解菌等で泡沫処理水W3中の有機酸の殆どを生物分解処理して第1生物濾過水W4aを生成するように構成している。
【0157】
すなわち、第1処理部51は、泡沫処理水W3を一定時間、静置貯溜して、泡沫濾過槽4では分離処理しきれなかった有機酸やアンモニアなどの分解を行い、その大半を取り除いた第1生物濾過水W4aを生成する主要生物濾過機能を果たす。
【0158】
また、中流側の第2処理部52は、第1処理部51と同様に内部に複数の菌定着濾材56を収納配置しており、第1処理部51から前越流隔壁54を越流する第1生物濾過水W4aを貯溜して菌定着濾材56に定着させた有機物分解菌等で第1生物濾過水W4aに残留する有機酸を生物分解処理して第2生物濾過水W4bを生成するように構成している。
【0159】
すなわち、第2処理部52は、第1生物濾過水W4aを一定時間静置貯溜して、第1処理部51では分解処理しきれなかった有機酸やアンモニアの分解を予備的に行い、第2生物濾過水W4bを生成す予備生物濾過機能を果たす。
【0160】
また、下流側の第3処理部53は、内部に菌定着濾材56を配設することなく、第2処理部52から後仕切壁55を介して越流する第2生物濾過水W4bを貯溜し、連通連設した脱窒装置6により第2生物濾過水W4bに残留するアンモニアや硝酸を硝化処理し及び脱窒処理して脱窒処理水W5(浄化処理された新たな飼育水W5)を貯溜するように構成している。
【0161】
すなわち、第3処理部53は、第2処理部52では分解処理しきれなかった第2生物濾過水W4b中の硝酸を脱窒装置6により脱窒循環処理して生成された新たな飼育水W5を貯溜する脱窒循環貯溜機能を果たすと共に、同飼育水W5を飼育水循環手段7を介して飼育水貯留槽1へ供給する給水源機能を果たす。
【0162】
このように、生物濾過槽5は、小容積にも関わらず濾過槽本体50の内部空間に区画形成した生物濾過機能部としての第1処理部51及び第2処理部52により、生分解途中の有機酸やアンモニアの濃度を段階的に低下させ、下流側の脱窒装置6へ供する第2生物濾過水W4bを安定して生成することができる。
【0163】
[7.脱窒装置]
生物濾過槽5の下流側には、
図1及び
図2に示すように同槽内で生物濾過処理された飼育水(第2生物濾過水W4b)から水生生物Uの養殖妨害となる硝酸の除去を行う脱窒装置6を連通連設している。
【0164】
脱窒装置6は、通水パイプ61を介して連通した生物濾過槽5の第3処理部53の間で、第2生物濾過水W4bの貯溜・脱窒を繰り返し行う脱窒循環処理を行い、脱窒処理水W5を生成するように構成している。
【0165】
具体的には、脱窒装置6は、生物濾過槽5の第3処理部53に通水パイプ61を介して連通連設すると共に一定量の飼育水を貯溜する脱窒処理タンク60を備え、同タンク60内の上側にアンモニアを硝酸に還元分解する硝化菌を定着させた硝化濾材62を配置収納すると共に下側に硝酸を酸化して脱窒分解する脱窒菌を定着させた脱窒濾材63を硝化濾材62の配置収納して構成している。
【0166】
脱窒処理タンク60は、
図1及び
図2に示すように内部中空の縦長円筒状の筒状胴部60aと、筒状胴部60aの上下を閉塞する上下側壁60b、60b’とで形成しており、硝化濾材62と脱窒濾材63を収納した内部空間を第2生物濾過水W4bの脱窒処理空間に形成している。
【0167】
硝化濾材62は、硝化菌が定着可能な多孔質性のものであれば特に限定されず、例えば、木炭片やセラミックキューブであってもよい。
【0168】
また、脱窒濾材63は、脱窒菌が定着可能な多孔質であってセルロースを含有するものを採用する。すなわち、セルロースは、脱窒菌の餌となり増殖定着を促して脱窒濾材63の脱窒能力を向上させる。このような脱窒濾材63としては、例えば、セルロース製の多孔質キューブは勿論、セルロース粉末を混合して形成したスポンジであってもよい。
【0169】
これら硝化濾材62と脱窒濾材63の体積比は、飼育水に硝化作用→脱窒作用の一連の作用を施して最終的に脱硝酸するとの体積比1:3~5であり、より好ましくは1:4である。なお、硝化濾材62に定着する硝化菌や脱窒濾材63に定着する脱窒菌は、いずれも好気条件下で硝化反応や脱窒反応をする。
【0170】
また、通水パイプ61は、始端部で吸水ポンプ610bを連設して生物濾過槽5の第3処理部53に連通接続すると共に終端部で脱窒処理タンク60上部に連通接続する吸水パイプ610aと、始端部611cで脱窒処理タンク60下部に連通接続すると共に終端開口部611bを第3処理部53に臨ませて連通接続する排水パイプ611aと、で構成している。
【0171】
吸水パイプ610aは、側面視略逆L字状であって、第3処理部53内の第2生物濾過水W4bを吸水ポンプ610bを介して脱窒処理タンク60内に上部から給水するように構成している。
【0172】
また、排水パイプ611aは、
図1に示すように側面視略逆U字状であって、U字状の折曲頂部611dを脱窒処理タンク60の上面位置よりも下方且つ脱窒処理タンク60内の硝化濾材62の上面位置よりも上方に配置すると共に、終端開口部611bを脱窒処理タンク60と接続する始端部611cよりも下方に配置して構成している。
【0173】
すなわち、排水パイプ611aは、脱窒処理タンク60内の脱窒処理水W5の貯水面位置がU字状の折曲頂部611d位置に達した場合には、脱窒処理タンク60の処理水W5を生物濾過槽5の第3処理部53へ自動的に排水するサイフォン管として機能するように構成している。
【0174】
これにより、第3処理部53からの吸水パイプ610aを介した脱窒処理タンク60内への第2生物濾過水W4bの吸水に連動して、脱窒処理タンク60内からの排水パイプ611aを介した第3処理部53への脱窒処理水W5の排水を繰り返し行い、徐々にアンモニアや硝酸濃度を低下させる脱窒循環処理を可能とする。このようにして、硝酸の濃度を低下させて完全無毒性の新たな飼育水W5を得る。
【0175】
かかる脱窒循環の回数は特に限定されることはないが、毎時15回~20回程、間欠的に実施することが好ましい。また、一回あたりの脱窒処理時間は5分~7分とすることにより脱窒処理効果が向上する。これにより硝酸態窒素が低下してPHが酸性に変化した脱窒処理水W5を生成する。
【0176】
[8.飼育水循環手段]
飼育水循環手段7は、飼育水貯留槽1から固形汚物除去手段2、一時貯留槽3、泡沫濾過槽4、生物濾過槽5、脱窒装置6へ順次飼育水を循環流通させて最終的には元の飼育水貯留槽1の上部に設けたタンク本体11に供給するように構成している。
【0177】
すなわち、飼育水循環手段7は、
図1及び
図2に示すように飼育水貯留槽1と一時貯留槽3との間に介設されると共に固形汚物除去手段2を連設した排水パイプ20と、一時貯留槽3と泡沫濾過槽4との間に介設した連通パイプ30と、泡沫濾過槽4と生物濾過槽5との間に介設した連通パイプ44と、生物濾過槽5と脱窒装置6との間に介設した通水パイプ61と、脱窒装置6と飼育水貯留槽1との間に介設した循環供給パイプ70とにより構成され、装置全体に飼育水の循環経路を形成している。
【0178】
循環供給パイプ70の始端部、すなわち上述した給水本流部71の始端部には吸水ポンプ71aが配設されており、同始端部を第3処理部53内に配置すると共に脱窒処理された新たな飼育水W5を吸水ポンプ71aを介して飼育水貯留槽1まで引き上げるように構成している。
【0179】
このようにして、水生生物Uから飼育水W1中に排出された固形汚物や溶性汚物を取り除き、各種濾過機能部としての固形汚物除去手段2、一時貯留槽3、泡沫濾過槽4、生物濾過槽5、脱窒装置6を循環させて飼育水の再利用を図り節水可能としている。
【0180】
以上、説明してきたように、低コストで省スペースに設置することができ、長い養殖期間に亘って、飼育水貯溜槽内の残餌や糞体などの固形汚物や、有機酸やアンモニア、亜硝酸、硝酸などの水生生物に毒性を示す溶性汚物を確実且つ簡単に除去でき、飼育水を再利用する浄化循環系を備えて水の消費と汚水の排出を可及的抑制すると共に水質の安定化を図り、良好な水環境下で水生生物を安定して養殖できる。
【0181】
すなわち、飼育水を上方から落下流入するように構成した飼育水貯留槽により、貯溜槽内全域において、水流方向を一定方向とした人工波、すなわち槽内で貯溜した飼育水中に一定の振動流を生起し、同振動流により貯溜槽の内底部で堆積する糞体や残餌などの固形汚物やアンモニアなどの溶出汚物を貯溜された飼育水中全域に散逸撹拌して淀みをなくし、固形汚物が内底部に固着することを防止しつつ空気を飼育水中で撹拌して溶存酸素量を安定化させ、清掃作業を容易にして頻繁に行うことができ、水生生物の摂食行動を助長することができる効果がある。
【0182】
また、固形汚物除去手段により、排水口を不用意に閉塞することなく排水パイプから排水される飼育水中に浮沈する大型の固形汚物を効率よくフィルター濾過処理し、安定した排水流量を保持した状態で固形汚物除去水を生成する効果がある。
【0183】
また、一時貯留槽により、固形汚物除去水を貯溜すると共に一定時間静置して、固形汚物除去手段で漉しとれなかった比較的小型の固形汚物を沈殿処理すると共に、連通パイプを介してサイフォンの原理により連通連設する下流側の泡沫濾過槽への固形汚物除去水の供給量や供給タイミングを調節する効果がある。
【0184】
また、泡沫濾過槽により、貯溜した固形汚物除去水に対してエアレーションを付加して、固形汚物除去水中で浮遊するタンパク質などの比重が小さく微細な固形汚物や溶解されたアンモニア、亜硝酸、硝酸、有機酸塩などの溶出汚物の泡沫分離処理し、固形汚物の大半を除去すると共に飼育水中の溶存酸素を増加させた泡沫処理水を生成する効果がある。
【0185】
また、生物濾過槽により、泡沫濾過槽で除去できなかった泡沫処理水中の有機酸塩やアンモニア、亜硝酸、硝酸、有機酸塩などの溶出汚物を有機物分解菌及び硝化菌で生物分解処理し、生物濾過水を生成する効果がある。
【0186】
また、脱窒装置により、生物濾過槽で除去できなかった生物濾過水中のアンモニア、亜硝酸、硝酸などの溶出汚物を硝化菌及び脱窒菌の酸化作用及び還元作用で順次に生物分解処理し、脱窒され浄化された新たな飼育水を生成する効果がある。
【0187】
また、飼育水循環手段により、浄化された新たな飼育水を一定の時間間隔で飼育水貯留槽に供給すると共に、飼育水貯留槽から供給量と同じ量の汚染された飼育水のの排水を促して亜硝酸、硝酸などの毒性物の高濃縮化を防止しつつて水生生物の水環境を正常化する効果がある。
【0188】
すなわち、本発明によれば、低コストで省スペースに設置することができ、養殖期間の長期に亘って、飼育水貯溜槽内の残餌や糞などの固形汚物や、アンモニア、亜硝酸、硝酸などの水生生物に毒性を示す溶性汚物を除去する清掃作業を容易に行うことができ、飼育水を再利用する浄化循環系を備えて養殖に使用される水の消費量を可及的抑制して環境に配慮でき、良好な水環境下で水生生物を安定して養殖できる。したがって、良好な水環境下で水生生物を安定して養殖でき、持続可能な開発目標(SDGS)のうち、「つくる責任つかう責任」および「海の豊かさを守ろう」に寄与することができる効果がある。
【符号の説明】
【0189】
A 水生生物の陸上養殖装置
1 飼育水貯留槽
2 固形汚物除去手段
3 一時貯留槽
4 泡沫濾過槽
5 生物濾過槽
6 脱窒装置
7 飼育水循環手段