(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】PLCの制御システムへの統合のためのスマート機能ブロック及びそのための方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
G05B19/05 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018185821
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-09-28
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512132022
【氏名又は名称】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100138357
【氏名又は名称】矢澤 広伸
(72)【発明者】
【氏名】デボラ アール. コルクレイジャー
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリー ロウ
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド マーク スミス
(72)【発明者】
【氏名】ケネス マークス
(72)【発明者】
【氏名】アルパー エンヴァー
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0084431(US,A1)
【文献】特開2016-197384(JP,A)
【文献】特表2006-517320(JP,A)
【文献】特開2011-40059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスプラント内のプロセスを制御するためのプロセス制御システムを構成する方法であって、
逐次、複数のフィールドデバイスに通信可能に連結されたPLC(プログラマブルロジックコントローラ)に
I/O(入力/出力)モジュールを通信可能に連結することであって、前記PLCは、前記複数のフィールドデバイスのそれぞれのフィールドデバイスについて、前記それぞれのフィールドデバイスと関連付けられた値のデータを記憶する1つ以上のレジスタを有し、前記PLCは、前記それぞれのフィールドデバイスがPLC制御タグと関連付けられるように構成され、各PLC制御タグは、前記それぞれのフィールドデバイスについての前記1つ以上のレジスタに対応する1つ以上のタグパラメータと関連付けられている、連結することと、
前記タグパラメータをコントローラの対応するパラメータと関連付けて、それにより、前記PLC制御タグの各々について、前記PLC制御タグについての前記タグパラメータと関連付けられている前記コントローラの一組のパラメータが存在するように、前記I/Oモジュールを構成することと、
統合機能ブロックオブジェクトをインスタンス化することと、
前記統合機能ブロックオブジェクトを前記PLC制御タグのうちの1つと関連付けることと、
を含み、
前記統合機能ブロックオブジェクトは、それ自体を、前記PLC制御タグについての前記タグパラメータと関連付けられている前記コントローラの前記一組のパラメータに従って、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、離散出力機能ブロック、及びカスタム入力または出力機能ブロックからなる群のうちの1つとして自動的に構成する、方法。
【請求項2】
前記統合機能ブロックオブジェクトは、それ自体を、前記PLC制御タグのうちの前記1つについての前記タグパラメータが変化した場合、
アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、離散出力機能ブロック、及びカスタム入力または出力機能ブロックからなる群のうちの別のものとして自動的に再構成するように動作可能であり、および/または、
新しいタグパラメータに対応する入力を追加するか、前記PLC制御タグのうちの前記1つともはや関連付けられていないタグパラメータに対応する入力を除去するか、またはその両方を行うために自動的に再構成するように動作可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記統合機能ブロックオブジェクトは、前記PLC制御タグのうちの前記1つと関連付けられる際、タグ定義に基づいて前記PLC制御タグのうちの前記1つと関連付けられた前記タグパラメータに対応する入力及び/または出力を前記統合機能ブロック
オブジェクトに追加する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PLC制御タグのうちの前記1つと関連付けられたフィールドデバイスと関連付けられたグラフィカルオブジェクトに前記統合機能ブロックオブジェクトをプログラム的に連結することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プロセスプラント内のプロセスを制御するためのプロセス制御システム内のコントローラにダウンロードされる統合機能ブロックであって、
前記統合機能ブロックは、前記コントローラに
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)に連結された、前記プロセスプラント内の複数のフィールドデバイスのうちの1つに対応する制御タグを構成パラメータとして受信することと、
前記統合機能ブロック自体を、前記制御タグと関連付けられた一組のパラメータに従って、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、離散出力機能ブロック、及びカスタム入力または出力機能ブロックからなる群のうちの1つとして自動的に構成することと、
を実現させる、統合機能ブロック。
【請求項6】
前記統合機能ブロックは、前記コントローラに、前記統合機能ブロック自体を、前記制御タグと関連付けられた新しい一組のパラメータに従って、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、離散出力機能ブロック、及びカスタム入力または出力機能ブロックからなる群のうちの別のものとして自動的に再構成することを実現させる、請求項5に記載の統合機能ブロック。
【請求項7】
前記統合機能ブロックは、それ自体を、一組のタグ定義に従って、部分的に、自動的に構成する、請求項5に記載の統合機能ブロック。
【請求項8】
前記一組のタグ定義の各々は、
機能ブロックタイプについて、前記制御タグと関連付けられた前記一組のパラメータと、前記機能ブロックタイプと関連付けられた一組のコントローラパラメータとの間の対応を定義する、または、
前記一組のタグ定義は、複数のPLC(プログラマブルロジックコントローラ)タイプと関連付けられた機能ブロックについてのタグ定義を含み、前記統合機能ブロックは、それ自体を、前記制御タグと関連付けられた前記一組のパラメータと前記PLCタイプに対応する前記タグ定義のうちの1つの一組のパラメータとの間の対応に従うPLCタイプに対応する機能ブロックとして自動的に構成する、請求項7に記載の統合機能ブロック。
【請求項9】
前記統合機能ブロックは、それ自体を、前記制御タグと関連付けられた前記一組のパラメータが変化した場合に自動的に再構成する、請求項5に記載の統合機能ブロック。
【請求項10】
前記制御タグと関連付けられた前記一組のパラメータが変化した場合に前記統合機能ブロック自体を再構成することは、
1つ以上の新しいパラメータが前記制御タグと関連付けられた場合に1つ以上の入力及び/もしくは出力を加えること、並びに/または
前記制御タグと関連付けられた1つ以上のパラメータがもはや前記制御タグと関連付けられていない場合に、1つ以上の入力及び/もしくは出力を除去すること
を含む、請求項9に記載の統合機能ブロック。
【請求項11】
プロセスプラント内のプロセスを制御するためのシステムであって、
前記プロセスプラント内で材料を処理するために動作する複数のフィールドデバイスと、
前記プロセスプラント内での前記プロセスの制御をもたらすために、前記複数のフィールドデバイスに信号を送信し、かつそれらから信号を受信するようにプログラムされたコントローラと、
前記コントローラと前記複数のフィールドデバイスとの間に配設され、かつ前記信号を前記コントローラから前記複数のフィールドデバイスに伝達する、及び前記信号を前記複数のフィールドデバイスから前記コントローラに伝達するように動作する
I/O(入力/出力)モジュールと、
前記複数のフィールドデバイスのサブセットと前記I/Oモジュールとの間に配設されたPLC(プログラマブルロジックコントローラ)
デバイスであって、前記複数のフィールドデバイスの前記サブセットに対して制御するように動作し、かつ前記複数のフィールドデバイスの前記サブセットの各々と関連付けられた複数のレジスタを有する、PLC
デバイスと、
前記コントローラ内でインスタンス化された統合機能ブロックであって、前記統合機能ブロックは、構成中に、
前記PLCデバイスの一組の前記レジスタの割り当てを受信することであって、前記PLCデバイスの前記一組の前記レジスタは、前記複数のフィールドデバイスの前記サブセットのうちの1つの
サブセットのPLCパラメータに対応し、各レジスタは、前記複数のフィールドデバイスの前記サブセットのうちの前記1つの
サブセットのパラメータに対応する、受信することと、
前記一組のレジスタ内の各レジスタについての前記PLCパラメータと前記コントローラの対応するパラメータとの間の関連付けを作成することと、
を行うように動作可能である、統合機能ブロックと
を備える、システム。
【請求項12】
前記一組のレジスタ内の各レジスタについての前記PLCパラメータと前記コントローラの対応するパラメータとの間の関連付けを作成することは、前記レジスタの前記パラメータと前記コントローラの前記パラメータとの間の既知の関係に従って、前記関連付けを作成することを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記統合機能ブロックは、構成中に、それ自体を、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、または離散出力機能ブロックからなる群のうちの1つとして自動的に構成するようにさらに動作可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記PLCデバイスの一組のレジスタの割り当てを受信することは、PLC制御タグの割り当てを受信することを含み、前記PLC制御タグは、前記一組のレジスタと関連付けられており、
前記統合機能ブロックは、それ自体を、前記PLC制御タグと関連付けられた前記レジスタが変化した場合、再構成するようにさらに動作可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記統合機能ブロックは、入力を追加して、前記PLC制御タグと新たに関連付けられたレジスタに対応するように動作可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記統合機能ブロックは、入力を除去して、前記PLC制御タグとの関連付けから除去されたレジスタに対応するように動作可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記統合機能ブロックは、構成中に、それ自体を、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、または離散出力機能ブロックからなる群のうちの1つとして自動的に構成するようにさらに動作可能であり、
前記統合機能ブロックは、それ自体を、前記PLC制御タグと関連付けられた前記レジスタが変化した場合、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、または離散出力機能ブロックからなる群のうちの異なる1つとして再構成するように動作可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記PLCデバイスの一組のレジスタの割り当てを受信することは、前記一組のレジスタと関連付けられたPLC制御タグの割り当てを受信することを含み、
前記統合機能ブロックは、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、または離散出力機能ブロックのうちの1つに対応する特定のタイプを有するものとしてユーザによって選択される、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記PLCデバイスの一組のレジスタの割り当てを受信することは、前記一組のレジスタと関連付けられたPLC制御タグの割り当てを受信することを含み、
前記統合機能ブロックは、前記PLC制御タグと関連付けられたタグパラメータに従って、前記PLCのデバイスタイプを決定し、かつ前記統合機能ブロックを、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、または離散出力機能ブロックからなる群のうちの1つとして自動的に構成するように動作可能である、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、プロセスプラント内での使用のための機能ブロック、より具体的には、プログラマブルロジックコントローラ及び同様のデバイスの分散型制御システムへの統合を容易にする機能ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
化学プラント、石油プラント、または他のプロセスプラント内で使用されるもののような、分散型プロセス制御システムは、アナログバス、デジタルバス、もしくは混合アナログ/デジタルバスを経由して、または無線通信リンクもしくはネットワークを経由して、1つ以上のフィールドデバイスに通信可能に連結された1つ以上のプロセスコントローラを典型的に含む。例えば、バルブ、バルブポジショナ、スイッチ、ならびに送信器(例えば、温度、圧力、レベル、及び流速センサ)であり得るフィールドデバイスは、プロセス環境内に配置され、概して、バルブの開放または閉鎖、プロセスパラメータの測定等の物理的機能またはプロセス制御機能を行って、プロセスプラントまたはシステム内で実行中の1つ以上のプロセスを制御する。周知のFieldbusプロトコルに準拠するフィールドデバイス等のスマートフィールドデバイスは、制御計算、アラーム機能、及びコントローラ内で一般に実装される他の制御機能も行い得る。プロセスコントローラも典型的にはプラント環境内に配置され、このプロセスコントローラは、フィールドデバイスによって行われるプロセス測定を示す信号及び/またはフィールドデバイスに関する他の情報を受信し、例えば、プロセス制御判断を行い、受信した情報に基づき制御信号を生成し、HART(登録商標)、WirelessHART(登録商標)、及びFOUNDATION(登録商標)Fieldbusフィールドデバイス等のフィールドデバイスで行われる制御モジュールまたはブロックと連携する、異なる制御モジュールを実行するコントローラアプリケーションを実行する。コントローラの制御モジュールは、通信線またはリンクを通じて、制御信号をフィールドデバイスに送信し、それによって、プロセスプラントまたはシステムの少なくとも一部の動作を制御する。
【0003】
フィールドデバイス及びコントローラからの情報は、制御室もしくはより厳しいプラント環境から離れた他の場所に典型的に配置される、オペレータワークステーション、パーソナルコンピュータもしくはコンピューティングデバイス、データヒストリアン、レポートジェネレータ、集中データベース、または他の集中管理コンピューティングデバイス等の1つ以上の他のハードウェアデバイスに対して、通常、データハイウェイを通じて利用可能にされる。これらのハードウェアデバイスの各々は、典型的には、プロセスプラントにわたって、またはプロセスプラントの一部分にわたって集中化される。これらのハードウェアデバイスは、例えば、オペレータが、プロセス制御ルーチンの設定の変更、コントローラもしくはフィールドデバイス内の制御モジュールの動作の修正、プロセスの現在の状態の閲覧、フィールドデバイス及びコントローラによって生成されたアラームの閲覧、担当者の訓練もしくはプロセス制御ソフトウェアの試験を目的としたプロセスの動作のシミュレーション、構成データベースの保守及び更新等の、プロセスの制御及び/またはプロセスプラントの動作に関する機能を行うことを可能にし得るアプリケーションを実行する。ハードウェアデバイス、コントローラ、及びフィールドデバイスにより利用されるデータハイウェイは、有線通信パス、無線通信パス、または有線及び無線通信パスの組み合わせを含むことができる。
【0004】
例として、Emerson Process Managementによって販売されている、DeltaV(商標)制御システムは、プロセスプラント内の多様な場所に配置
された異なるデバイス内に記憶され、それらの異なるデバイスによって実行される複数のアプリケーションを含む。1つ以上のワークステーションまたはコンピューティングデバイス内に備わる構成アプリケーションは、ユーザによる、プロセス制御モジュールの作成または変更、及びデータハイウェイを経由した、これらのプロセス制御モジュールの、専用分散型コントローラへのダウンロードを可能にする。典型的には、これらの制御モジュールは、通信可能に相互接続された機能ブロックで構成され、これらの機能ブロックは、それに対する入力に基づき制御スキーム内で機能を行い、出力を制御スキーム内の他の機能ブロックに提供するオブジェクト指向プログラミングプロトコル内のオブジェクトである。構成アプリケーションはまた、データをオペレータに対して表示するため、かつプロセス制御ルーチン内の設定点等の設定のオペレータによる変更を可能にするために閲覧アプリケーションが使用するオペレータインターフェースを、プロセスエンジニアが作成または変更することを可能にし得る。各専用コントローラ、及びいくつかの場合においては、1つ以上のフィールドデバイスは、実際のプロセス制御機能を実装するために、それらに割り当てられてダウンロードされた制御モジュールを実行するそれぞれのコントローラアプリケーションを記憶及び実行する。閲覧アプリケーションは、1つ以上のオペレータワークステーション(またはオペレータワークステーション及びデータハイウェイと通信可能に接続された1つ以上のリモートコンピューティングデバイス)上で実行され得、この閲覧アプリケーションは、コントローラアプリケーションからデータハイウェイを経由してデータを受信し、ユーザインターフェースを使用してこのデータをプロセス制御システム設計者、オペレータ、またはユーザに表示して、オペレータのビュー、エンジニアのビュー、技師のビュー等のいくつかの異なるビューのうちのいずれかを提供し得る。データヒストリアンアプリケーションが、典型的には、データハイウェイにわたって提供されたデータの一部または全てを収集及び記憶するデータヒストリアンデバイスに記憶され、それによって実行される一方で、構成データベースアプリケーションが、現在のプロセス制御ルーチン構成及びそれと関連付けられたデータを記憶するために、データハイウェイに取り付けられたさらに離れたコンピュータで実行され得る。代替的に、構成データベースは、構成アプリケーションと同じワークステーションに配置されてもよい。
【0005】
多くの分散型プロセス制御システムにおいて、プロセスプラント内の各フィールドデバイスに固有のデバイスタグを割り当てられる。固有のデバイスタグは、対応するフィールドデバイスを参照するための容易な手段を提供する。デバイスタグは、プロセス制御システムの構成中に使用されて、制御モジュール内の機能ブロックへの入力または出力の、それぞれソースまたは行先を特定することができる。各信号タイプには、特定のフォーマットまたは情報のセットが関連付けられ、特定のデバイスのデバイスタグには、特定の信号タイプが関連付けられている場合があり、それによりデバイスタグが機能ブロックの入力または出力と関連付けられている場合に、機能ブロックは、その信号と関連付けられるフォーマット及び情報を知ることができる。フィールドデバイスが、それと関連付けられた複数の信号を有する場合(例えば、バルブは、圧力及び温度の両方を測定し送信する場合がある)、デバイス信号タグは、そのフィールドデバイスの各信号と関連付けられ得る。構成中、特定のフィールドデバイスと関連付けられたI/Oカードは、コントローラ40によって実装されたフォーマットからフィールドデバイスによって実装されたフォーマットへデータを変換するようにプログラムされ、逆もまた同様である。
【0006】
さらに、多くのプロセスにおいて、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)がプロセス内に統合される。PLCは従来から、一連の番号付きメモリレジスタに接続される様々なフィールドデバイスからの値を記憶し、メモリレジスタは、一部の場合において、組織化される場合、緩く組織化される。PLCは、レジスタ内の情報に従ってフィールドデバイスを制御するようにプログラムされる。PLC及び関連付けられたフィールドデバイスを制御システム内に統合することは冗長であり、コントローラにプログラムされた制御戦略で使用される各レジスタが個々に検証される必要があり、大規模プロセスプラン
トに対するプロセスは、数か月を要し得る。加えて、PLCからプロセス制御ネットワークに取り込まれた信号は、分散型制御システムに(即ち、I/Oカードを経由してコントローラに)直接配線されたデバイスタグと同一のフォーマットまたは情報を有しない。中間のPLCを含まない構成内の単一のデバイスタグと関連付けられ得る同一の情報は、PLCに連結されたとき、PLC内の複数の異なるレジスタ内に記憶され得る。その結果、従来のI/O機能ブロックは、これらの機能ブロックが受信すると予想される情報が機能ブロックに容易に提供されないため、PLCからの信号をI/O入力として容易に統合しない。その代わりに、ユーザ(例えば、プロセス制御プラント担当者)は、PLCレジスタから情報を取得し、かつ信号がプロセス制御システムと共に提供される構成要素(例えば、グラフィカル構成要素)と使用され得るように、デバイス信号タグのように挙動する、カスタム機能ブロックを構成することを委ねられる。例として、フィールドデバイスによるアナログプロセス値出力を表示するための標準的なグラフィックは、アナログ入力(AI)機能ブロックからの出力を受信するように予想され得、AI機能ブロックは、それ自体が、デバイスからの出力と関連付けられた一組のパラメータ(例えば、プロセス値、設定点、アラーム限界、モード、縮尺等)を受信するように予想される。フィールドデバイスがPLCを経由してプロセス制御システムに連結されているとき、パラメータのうちの様々なものがPLC内の個々に(しばしば異種の)数値的にアドレス付けられたレジスタ内に記憶されるので、一組のパラメータを機能ブロックに提供する容易な方式が存在しない。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に説明されるシステム及び方法は、分散型プロセス制御システム内へのプログラマブルロジックコントローラ及び関連付けられたハードウェアの統合に関する。
【0008】
実施形態において、プロセスプラント内のプロセスを制御するためのプロセス制御システムを構成する方法は、逐次、複数のフィールドデバイスに通信可能に連結されるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)に入力/出力(I/O)モジュールを通信可能に連結することを含む。PLCは、複数のフィールドデバイスの各々について、それぞれのフィールドデバイスと関連付けられた値のデータを記憶する1つ以上のレジスタを有し、複数のフィールドデバイスの各々がPLC制御タグと関連付けられるように構成される。各PLC制御タグは、それぞれのフィールドデバイスについての1つ以上のレジスタに対応する1つ以上のタグパラメータと関連付けられる。方法はまた、タグパラメータをコントローラの対応するパラメータと関連付けて、それにより、PLC制御タグの各々について、PLC制御タグについてのタグパラメータと関連付けられているコントローラの一組のパラメータが存在するようにI/Oモジュールを構成することを含む。さらに、方法は、統合機能ブロックオブジェクトをインスタンス化することと、統合機能ブロックオブジェクトをPLC制御タグのうちの1つと関連付けることと、を含む。統合機能ブロックは、それ自体を、PLC制御タグについてのタグパラメータと関連付けられているコントローラの一組のパラメータに従って、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、離散出力機能ブロック、及びカスタム入力または出力機能ブロックからなる群のうちの1つとして自動的に構成する。
【0009】
追加の実施形態において、プロセスプラント内でプロセスを制御するためのプロセス制御システム内のコントローラにダウンロードする統合機能ブロックは、プロセスプラント内の複数のフィールドデバイスのうちの1つに対応する制御タグを構成パラメータとして受信するように動作可能である。複数のフィールドデバイスは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)に連結される。統合機能ブロックは、それ自体を、制御タグと関連付けられた一組のパラメータに従って、アナログ入力機能ブロック、離散入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、離散出力機能ブロック、及びカスタム入力または出力機能ブロックからなる群のうちの1つとして自動的に構成するようにさらに動作可能であ
る。
【0010】
さらに別の実施形態において、プロセスプラント内のプロセスを制御するためのシステムは、プロセスプラント内の材料を処理するように動作する複数のフィールドデバイスと、複数のフィールドデバイスに信号を送信し、かつそれらから信号を受信するようにプログラムされたコントローラと、コントローラと複数のフィールドデバイスとの間に配設され、かつコントローラから複数のフィールドデバイスに信号を伝達する、及び複数のフィールドデバイスからコントローラに信号を伝達するように動作する入力/出力(I/O)モジュールと、を含む。システムはまた、複数のフィールドデバイスのサブセットとI/Oモジュールとの間に配設されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を含む。PLCは、複数のフィールドデバイスのサブセットに対して制御するように動作し、かつ複数のフィールドデバイスのサブセットの各々と関連付けられた複数のレジスタを有する。システムは、コントローラ内にインスタンス化され、構成中に、PLCデバイスの一組のレジスタの割り当てを受信するように動作可能な統合機能ブロックをさらに含む。PLCデバイスの一組のレジスタは、複数のデバイスのサブセットのうちの1つのPLCパラメータに対応し、各レジスタは、複数のデバイスのサブセットのうちの1つのパラメータに対応する。統合機能ブロックはまた、構成中に、一組のレジスタ内の各レジスタについてのPLCパラメータとコントローラの対応するパラメータとの間の関連付けを作成するように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に説明される方法、装置、及びシステムの特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することにより最も良く理解されるであろう。
【0012】
【
図1】プロセスプラントの一例のブロック図である。
【
図2】
図1に概略的に例示されたワークステーションの一例のブロック図である。
【
図3A】AI機能ブロックと関連付けられたグラフィックの一例である。
【
図3B】
図3Aに図示された機能ブロックについてのデバイスタグと関連付けられたパラメータを例示する。
【
図4A】PLCのメモリ内の一連のレジスタの一例を図示する。
【
図4B】プロセス変数信号の命名規則の例を例示する。
【
図4D】PLCパラメータ名とPLCのレジスタとの間の対応の例を示す。
【
図4E】制御タグとタグパラメータとの間の対応及びPLCのレジスタ位置を例示する。
【
図5A】機能ブロックを構成するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一部分の一実施形態を図示する。
【
図5B】制御システム内のPLCタグパラメータとパラメータとの関係を定義するパラメータマップの第1の例示である。
【
図5C】制御システム内のPLCタグパラメータとパラメータとの関係を定義するパラメータマップの第1の例示である。
【
図6A】構成シート内のインスタンス化された統合機能ブロックの第1の例である。
【
図6B】構成シート内のインスタンス化された統合機能ブロックの第2の例である。
【
図6C】構成シート内のインスタンス化された統合機能ブロックの第3の例である。
【
図6D】構成シート内のインスタンス化された統合機能ブロックの第4の例である。
【
図7】新しい制御タグを追加するためのGUIの一例を図示する。
【
図8】PLC内のレジスタをタグ定義のためのタグパラメータと関連付けるためのGUIの第2の例を図示する。
【
図9】プロセス制御システムを構成する方法の一例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、グラフィカル構成アプリケーションがプロセス制御システム内へのPLCの容易な統合を容易にするプロセスプラントネットワーク10の一例を例示する。その際、構成アプリケーションは、PLCに接続されたフィールドデバイスを、ユーザディスプレイ用のグラフィカル要素により効率的に連結し得、グラフィカル要素は、1つ以上の閲覧または監視アプリケーション20で使用されて、プロセスプラント10、本具体的ケースにおいて、プロセスプラント10内に実装された分散型制御システム22の動作を管理または制御し得る。閲覧または監視アプリケーション20は、一般に、ユーザインターフェースアプリケーションを含み、様々な異なるディスプレイを使用して、オペレータ及び保守技師、ならびに/またはワークステーション30及び32等のワークステーションにおける他のユーザの各々に、プロセスグラフィックスをグラフで図示する。
【0014】
図1のグラフィカル構成環境はまた、グラフィカル構成システム34も含む。グラフィカル構成システム34は、一般に、グラフィカルディスプレイを含む、プロセスプラントの制御のための制御及び監視スキームの作成を容易にする。グラフィカル構成システム34は、例えば、モジュールを制御するとともにライブラリ内に記憶されたモジュールテンプレート、グラフィカルディスプレイ及びテンプレート、並びに制御システムの他の態様を制御するために使用され得、かつ後に、制御モジュールのインスタンスをコントローラにダウンロードすることにより、またはプラント10の動作中に、例えば、オペレータ及び保守要員に提示されるユーザディスプレイのグラフィカルディスプレイのインスタンスを実行することにより、プロセスプラントの制御内で実際に実行されているインスタンスまたは使用を作成するために使用され得る構成エディタ35を含み得る。当然ながら、グラフィックス構成システム34、構成エディタ35、並びに様々な制御モジュール、テンプレート、及びグラフィカルディスプレイの各々は、有形のコンピュータ可読メモリまたは媒体に記憶され得、1つ以上のプロセッサ上で動作して本明細書に説明される機能を行い得る。
【0015】
典型的にそうであるように、
図1に例示される分散型プロセス制御システム22は、1つ以上のコントローラ40を有し、その各々は、例えば、Fieldbusインターフェース、Profibusインターフェース、HARTインターフェース、標準的な4~20mAインターフェース等であり得る入力/出力(I/O)デバイスまたはカード48を経由して1つ以上のフィールドデバイス44及び46(これらはスマートデバイスであり得る)に接続される。コントローラ40はまた、例えば、Ethernetリンクであり得るデータハイウェイ54を介して1つ以上のホストまたはオペレータワークステーション50~52に連結される。プロセスデータのデータベース58は、データハイウェイ54に接続され得、プロセス変数、プロセスパラメータ、ステータス、ならびにコントローラ、フィールドデバイス、及びプラント10内の任意の他のデバイスと関連付けられた他のデータを収集及び記憶するように動作する。プロセスプラント10の動作中、プロセスデータのデータベース58は、コントローラ40から、及び間接的にデータハイウェイ54を経由してフィールドデバイス44~46からプロセスデータを受信し得る。
図1に例示される分散型プロセス制御システム22はまた、I/Oデバイス48に連結され、フィールドデバイス53のサブセット51を制御するように動作するPLC49を含む。
【0016】
構成データベース60は、コントローラ40ならびにフィールドデバイス44、46及び53にダウンロードされ、かつそれらの中に記憶される際に、プラント10内にプロセス制御システム22の現在の構成を記憶する。構成データベース60は、プロセス制御シ
ステム22、デバイス44、46及び53の構成パラメータ、プロセス制御機能へのデバイス44、46及び53の割り当て、ならびにプロセスプラント10に関連する他の構成データのうちの1つまたはいくつかの制御戦略を定義するプロセス制御機能を記憶する。構成データベース60はさらに、グラフィカルオブジェクトまたはユーザディスプレイ、ならびに本明細書により詳細に説明されるこれらのオブジェクトまたはディスプレイと関連付けられた構成データを記憶して、プロセスプラント10内の要素の様々なグラフィカル表現を提供し得る。記憶されたグラフィカルオブジェクトのうちのいくつかは、プロセス制御機能に対応する場合があり(例えば、一定のPIDループのために開発されたプロセスグラフィック)、他のグラフィカルオブジェクトは、デバイス固有であり得る(例えば、圧力センサに対応するグラフィック)。
【0017】
データヒストリアン62(別のデータベース)は、イベント、アラーム、コメント、及びオペレータによって取られた行動を記憶する。イベント、アラーム、及びコメントは、個々のデバイス(例えば、バルブ、送信器)、通信リンク(例えば、有線Fieldbusセグメント、WirelessHART通信リンク)、またはプロセス制御機能(例えば、所望の温度設定点を維持するためのPI制御ループ)に関連し得る。さらに、知識レポジトリ64は、参照、オペレータログブックエントリ、ヘルプトピック、またはオペレータ及び保守技師がプロセスプラント10の管理及び保守時に有用とみなし得るこれら及び他の文書へのリンクを記憶する。なおさらに、ユーザデータベース66は、オペレータ及び保守技師等のユーザに関する情報を記憶する。各ユーザについて、ユーザデータベース66は、例えば、彼らの組織内での役割、ユーザが関わるプロセスプラント10内の領域、作業チームの連携、セキュリティ情報、システム特権等を記憶し得る。
【0018】
データベース58~66の各々は、任意の所望のタイプのメモリ、及びデータを記憶するための任意の所望のまたは既知のソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアを有する、任意の所望のタイプのデータストレージまたは収集ユニットであり得る。当然ながら、データベース58~66は、別個の物理的デバイス内に存在する必要はない。したがって、いくつかの実施形態においては、データベース58~66のうちのいくつかは、共有されたデータプロセッサ及びメモリ上に実装され得る。一般に、より少ないデータベースまたはより多いデータベースを利用して、
図1のシステムの例におけるデータベース58~66によって集合的に記憶され管理されたデータを記憶することも可能である。
【0019】
コントローラ40、I/Oカード48、及びフィールドデバイス44、46及び53は、典型的には、場合により過酷なプラント環境内に位置し、その全体に分散されるが、オペレータワークステーション50及び52、ならびにデータベース58~64は、通常、制御室、または制御人員、保守人員、及び様々な他のプラント人員が容易にアクセス可能な他の比較的過酷でない環境に位置する。しかしながら、いくつかの場合においては、携帯型デバイスを使用して、これらの機能を実装することができ、これらの携帯型デバイスは、典型的には、プラント内の様々な場所に持ち運ばれる。かかる携帯型デバイス、ならびに一部の場合において、オペレータワークステーション及び他のディスプレイデバイスは、無線通信接続を経由してプラントネットワーク22に接続されてもよい。
【0020】
既知のように、例として、Emerson Process Managementによって販売されているDeltaV(商標)コントローラであり得るコントローラ40の各々は、独立して実行される任意の数の異なる制御モジュールまたはブロック70を使用して、制御戦略を実装するコントローラアプリケーションを記憶し、実行する。制御モジュール70の各々は、一般に機能ブロックと称されるもので構成され得、各機能ブロックは、全体的な制御ルーチンの一部またはサブルーチンであり、(リンクと呼ばれる通信を経由して)他の機能ブロックと共に動作して、プロセスプラント10内でプロセス制御ループを実装する。周知のように、オブジェクト指向プログラミングプロトコル内のオブジ
ェクトであり得る機能ブロックは、典型的には、送信器、センサ、もしくは他のプロセスパラメータ測定デバイスと関連付けられるもの等の入力機能、PID、ファジー論理等の制御を実行する制御ルーチンと関連付けられるもの等の制御機能、またはバルブ等の何らかのデバイスの動作を制御して、プロセスプラント10内で何らかの物理的機能を行う出力機能のうちの1つを行う。当然ながら、ハイブリッド及び他の種類の複雑な機能ブロック、例えば、モデル予測コントローラ(MPC)、オプティマイザ等が存在する。Fieldbusプロトコル及びDeltaVシステムプロトコルが、オブジェクト指向プログラミングプロトコル内で設計され実装された制御モジュール及び機能ブロックを使用するが、一方で制御モジュールは、例えば、逐次機能ブロック、ラダーロジック等を含む任意の所望の制御プログラミングスキームを使用して設計され得、機能ブロックまたは任意の他の特定のプログラミング技法を使用する設計及び実装に限定されない。コントローラ40の各々はまた、Emerson Process Managementによって販売されているアプリケーションのAMS(登録商標)スイートをサポートしてもよく、予測知能を使用して、機械設備、電気系統、プロセス装置、計器、非スマート及びスマートフィールドデバイス44、46等を含むプロダクションアセットの可用性及び性能を改善させ得る。
【0021】
説明されるように、プロセス制御システム22は、制御室内のワークステーション50、52に通信可能に連結された1つ以上のコントローラ40を含む。コントローラ40は、ワークステーション50、52を経由して実装されるプロセス制御戦略を実行することによって、プロセス領域におけるフィールドデバイス44、46及び53の制御を自動化する。プロセス戦略の一例は、圧力センサフィールドデバイスを使用して圧力を測定することと、圧力測定に基づいてフローバルブを開閉するようにバルブポジショナに命令を自動送信することと、を伴う。I/Oカード48は、フィールドデバイス44、46から受信した情報をコントローラ40と互換性のあるフォーマットに翻訳し、コントローラ40からの情報をフィールドデバイス44、46と互換性のあるフォーマットに翻訳する。様々な信号タイプまたはデータタイプが、フィールドデバイス44、46、及び53と関連付けられる。一般的に述べると、これらの信号またはデータタイプは、アナログ入力(AI)、アナログ出力(AO)、離散入力(DI)、離散出力(DO)等を含む。I/Oカード48は、コントローラ40とフィールドデバイス44、46との間で通信された情報を翻訳または変換することによって、異なるデータタイプまたは信号タイプ及び異なるフィールドデバイス通信プロトコルと関連付けられた複数のフィールドデバイス44、46へのコントローラ40の通信可能な連結を可能にする。
【0022】
I/Oカード48を通じて、コントローラ40は、コントローラ40にダウンロードされた制御モジュール70に従って、フィールドデバイス44、46と通信し得る。制御モジュール70は、構成システム34を使用してプログラミングされる。構成システム34において、プロセスエンジニアは、例えば、1つ以上の機能ブロックをインスタンス化することによって制御モジュール70を作成し得る。例として、プロセスエンジニアは、AI機能ブロックをインスタンス化して、フィールドデバイス44、46のうちの1つからアナログ入力を受信し得、このAI機能ブロックは、フィールドデバイス44、46のアナログ出力と関連付けられた様々な値(例えば、信号値、アラーム上下限、信号ステータス等)を受信し得る。AI機能ブロックは、対応する信号を別の機能ブロック(例えば、比例-積分-微分(PID)制御機能ブロック、カスタム機能ブロック、ディスプレイモジュール等)に出力し得る。一度、AI機能ブロックがインスタンス化されると、機能ブロックをフィールドデバイス44、46と関連付けられた固有のデバイスタグ、またはフィールドデバイス44、46の固有の信号と関連付けられたデバイス信号タグと関連付けることは、機能ブロックに、一度、コントローラ40にダウンロードされると、適切なI/Oカード48と協調して、正しいフィールドデバイス44、46からの情報を処理させることになる。
【0023】
しかしながら、いくつかのプロセス制御システムにおいて、PLC49によって制御される、
図1のフィールドデバイス53のサブセット51によって示されるように、プログラマブルロジックコントローラは、フィールドデバイスのサブセットを直接制御するように構成される。PLCは多くの用途で使用されるが、図示された構成が頻繁に見られる、かかる構成の1つは、プロセス制御装置製造業者が、特定の機能を行うために、事前に構成され、別個に動作可能なプロセス制御ハードウェアモジュール(「スキッド」と呼ばれることもある)を提供する場合であり、特定の機能は、スキッドがより大きいプロセス制御システム22から独立して動作することを可能にするフィールドデバイス、配線、及び制御能力を含む。当然ながら、スキッドがワークステーション50及び52を経由して制御及び監視され得るように、スキッドをより大きいプロセス制御システム22内に組み込むことができることがしばしば好ましい。
図1は、I/Oデバイス48を経由してコントローラ40に連結されたPLC49を図示する。より大きいプロセス制御システム22内へのフィールドデバイス53のPLC49及びそのサブセット51の統合を達成するための方法、システム、及び構成が本明細書を通して説明される。
【0024】
任意のイベントにおいて、
図1に例示されるプラントネットワーク10において、コントローラ40に接続されたフィールドデバイス44、46、53は、標準4~20mAデバイスであってもよく、プロセッサ及びメモリを含む、HART(登録商標)、Profibus、またはFOUNDATION(登録商標)Fieldbusフィールドデバイス等のスマートフィールドデバイスであってもよく、または任意の所望のタイプのデバイスであってもよい。これらのデバイスのうちのいくつか、例えばFieldbusフィールドデバイス(
図1の参照番号46で符号付けされる)は、コントローラ40内に実装された制御戦略と関連付けられるか、またはプロセスプラント内でデータ収集、動向、アラーム、較正等の他のアクションを行う、機能ブロック等のモジュールまたはサブモジュールを記憶し実行し得る。2つの異なるFieldbusフィールドデバイス46内に配設されるように
図1に示される機能ブロック72は、周知であるように、コントローラ40内で制御モジュール70の実行と共に実行されて、プロセス制御を実装し得る。当然ながら、フィールドデバイス44、46、53は、センサ、バルブ、送信器、ポジショナ等の任意のタイプのデバイスであり得、I/Oデバイス48は、任意の所望の通信またはコントローラプロトコル、例えばHART、Fieldbus、Profibus等に準拠する、任意のタイプのI/Oデバイスであり得る。
【0025】
続けて
図1を参照すると、ワークステーション50及び52は、プラント10内の人員によって行われる様々な異なる機能に使用される様々なアプリケーションを含み得る。ワークステーション50及び52の各々は、様々なアプリケーション、プログラム、データ構造等を記憶するメモリ80と、メモリ80内に記憶されたアプリケーションのいずれかを実行するために使用され得るプロセッサ82とを含む。
図1に例示される例において、ワークステーション50はまた、表示及び閲覧アプリケーション20に加えて、1つ以上のプロセスコントローラ構成アプリケーション84も含み、これは、例えば、制御モジュール作成アプリケーション、オペレータインターフェースアプリケーション、ならびに制御モジュール70及び72等の制御ルーチンまたはモジュールを作成し、それらをプラント10の様々なコントローラ40及びデバイス46、53にダウンロードするために任意の権限を有するプロセスエンジニアによってアクセスされ得る他のデータ構造を含み得る。構成アプリケーションはまた、本明細書により詳細に説明されるように、制御モジュール70を作成するために使用され得る構成エディタ35を有するディスプレイまたはグラフィカル構成システム34も含む。
【0026】
図2は、ワークステーション50の一例のブロック図である(ワークステーション52は、同一または同様のデバイスを含み得る)。ワークステーション50は、少なくとも1つのプロセッサ82、揮発性メモリ104、及び不揮発性メモリ108(メモリ80を共に含む揮発性メモリ及び不揮発性メモリ104及び108)を含み得る。揮発性メモリ104は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含み得る。いくつかの実施形態において、RAMは、停電時にデータが失われないように、1つ以上のバッテリによってバックアップされ得る。不揮発性メモリ108は、例えば、ハードディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM
(登録商標))、デジタル多用途ディスク(DVD)、フラッシュメモリ等のうちの1つ以上を含み得る。ワークステーション50はまた、ワークステーションI/Oデバイス112も含み得る。プロセッサ82、揮発性メモリ104、不揮発性メモリ108、及びワークステーションI/Oデバイス112は、アドレス/データバス116を経由して相互接続され得る。ワークステーション50はまた、少なくとも1つのディスプレイデバイス120と、例えば、キーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、ライトペン等のうちの1つ以上であり得る少なくとも1つのユーザ入力デバイス124とを含み得る。いくつかの実施形態において、揮発性メモリ104、不揮発性メモリ108、及びワークステーションI/Oデバイス112の
うちの1つ以上は、アドレス/データバス116(図示せず)とは別のバスを経由してプロセッサ82に連結されてもよく、またはプロセッサ82に直接連結されてもよい。
【0027】
ディスプレイデバイス120及びユーザ入力デバイス124は、ワークステーションI/Oデバイス112と連結される。さらに、ワークステーション50は、ワークステーションI/Oデバイス112を経由してネットワーク54に連結される。ワークステーションI/Oデバイス112は、
図2では1つのデバイスとして示されているが、いくつかのデバイスを備えていてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、ディスプレイデバイス120及びユーザ入力デバイス124のうちの1つ以上は、アドレス/データバス116またはプロセッサ82に直接連結されてもよい。
【0028】
ここで
図1及び
図2を参照すると、ワークステーション30及び32のうちの1つ以上と関連付けられたプロセス制御構成システム34は、ワークステーション50及び52のうちの1つ以上に記憶され、かつそれらによって実行され得る。例えば、プロセス制御構成システム34は、不揮発性メモリ108及び/または揮発性メモリ104上に記憶され、プロセッサ82によって実行され得る。しかしながら、必要に応じて、このアプリケーションは、プロセスプラント10と関連付けられた他のコンピュータ内で記憶及び実行されてもよい。一般的に述べると、プロセス制御構成システムは、プログラマ(例えば、プロセスエンジニア)が、コントローラ40、I/Oデバイス48、及び/またはフィールドデバイス44、46、53によって実装されることになる制御ルーチン、制御モジュール、機能ブロック、プログラム、論理等を作成及び構成することを可能にする。これらの制御ルーチン、制御モジュール、機能ブロック、プログラム、論理等は、その後、ネットワーク54を経由して、コントローラ40、I/Oデバイス48、及び/またはフィールドデバイス44、46、53のうちの適切なものにダウンロードされ得る。
【0029】
制御ルーチンは、一般に、機能ブロックの各々が1つ以上の信号及び/または他の機能ブロックに(例えば、グラフィカルな「配線」または「接続」を介して)接続されるグラフィカル図の形態を採る。AI機能ブロックは、フィールドデバイス46の1つからの信号に接続された入力及び第2の機能ブロックの入力に接続された出力を有し得、該出力は、AI機能ブロックからデータを受信し、何らかの処理または計算を実行し、出力(例えば、フィールドデバイス46の別の同一のまたは別のものに対するコマンド)を生成し、該出力は、次に、接続を経由して第2の機能ブロックの出力からAO機能ブロックの入力に通信される。AO機能ブロックは、接続から第2の機能ブロックの出力へのコマンドを受信し、コマンドをフォーマットし、AOブロックの出力から出力を提供し得、AOブロ
ックの出力は、コマンドが向けられるフィールドデバイスへの信号に接続され得る。
【0030】
図3Aは、AI機能ブロック126と関連付けられたグラフィックの一例を図示する。AI機能ブロック126は、入力128、出力130、及び信号名132を含む。制御モジュールを設計するプロセスエンジニアは、AI機能ブロック126をインスタンス化し、入力128を、例えば、フィールドデバイス44または46からの信号に接続し得る。いくつかの事例において、フィールドデバイス44または46からの信号への入力128の接続は、グラフィカル接続または配線134(例えば、信号がフィールドデバイスの代わりに別の機能ブロックからのものである場合)を使用することによって達成され得る。他の事例において、入力信号128の所望の信号への接続は、機能ブロックのプロパティを所望の信号と関連付けることによって達成され得る。プロセスエンジニアは、プロパティウィンドウ(図示せず)を開き、デバイスタグ(例えば、「CT001」)またはデバイス信号タグを入力プロパティとして提供し得る。入力128の所望の信号への接続がプロパティフィールドを使用して達成されるような実施形態において、機能ブロック126は、入力配線134を有しなくてもよく、実際には、機能ブロック126は、入力128を全く図示しない場合がある。機能ブロック126の出力130は、一般に、同様の様式、特に、出力130を別の機能ブロックの入力に連結するためにグラフィカル接続または配線136を使用することによって、他の機能ブロックに接続され得る。コントローラ40(例えば、制御モジュール70の1つ)にダウンロードされ実行されたとき、AI機能ブロック126の入力は、入力128と関連付けられるように構成されたデバイスタグまたはデバイス信号タグに対応するデータを受信し、かつ機能ブロック126の出力130から、接続136を経由して接続された機能ブロックの入力にデータを送信することになる。
【0031】
各機能ブロックタイプ(例えば、AI、AO、DI、DO等)は、それと関連付けられた様々な入力パラメータを有し得る。即ち、機能ブロックグラフィック126は、単一の入力を示し得るが、一方でワイヤ134によってまたは対応するパラメータによって特定された機能ブロック入力126内に入る情報が、信号と関連付けられた複数のパラメータを含み得ることが理解されるであろう。同様に、所与の機能ブロックは、その機能に応じて、同様に、複数の出力パラメータを有し得る。AI機能ブロックの例を続けると、一実施形態のフィールドデバイス44、46からプロセス変数を受信するように構成されたAI機能ブロックは、一般に、プロセス変数の値(例えば、4~20mA)に加えて、
図3Bに図示されるように、プロセス変数値の意味を特徴付け、かつ理解するために十分な情報を含む。
図3Bは、デバイスタグ「CT001」138について、単一の信号と関連付けられた7つのパラメータ140~152が利用可能であることを例示する。7つのパラメータ140~152は、プロセス変数140、信号のステータス142、アラーム下限値144、アラーム上限値146、工業単位の最小値148(例えば、4mAでのプロセス変数の値)、工業単位の最大値150(例えば、20mAでのプロセス変数の値)、工業単位の指標152(例えば、「度」)を含む。いくつかの事例において、フィールドデバイス44、46は、プロセス変数信号(例えば、4~20mA)信号のみを送信し得る。いくつかの実施形態において、I/Oデバイス48は、それに付随するパラメトリック値をその信号に加えるようにプログラムされ得る。例えば、I/Oデバイス48は、温度送信器から来る4~20mA信号が、4mAで20度、かつ20mAで100度に対応することを知るためにプログラムされ得る。他の実施形態において、その情報は、コントローラ40内で構成され、コントローラは、フィールドデバイスからプロセス変数を受信し、かつプロセス変数及び関連付けられたパラメータ値を機能ブロックに通信する。
【0032】
任意のイベントにおいて、機能ブロックが関連付けられた入力信号または出力信号が、
図1に図示されたフィールドデバイス44及び46の場合のように、I/Oデバイス48を経由してコントローラ40に直接連結されたフィールドデバイスに送信またはそこから
受信されるとき、機能ブロックは、デバイスタグと関連付けられたパラメータを予測可能な様式で送信/受信する。即ち、フィールドデバイス44、46は、例えば、パラメータ「AI_PV」140(
図3B参照)を機能ブロックによって送信/受信された一連の値の特定の値(例えば、第1の値)と関連付ける標準に従ってデータを送信または受信する。
【0033】
しかしながら、PLCがフィールドデバイスとI/Oデバイス48(及びコントローラ40)との間の通信経路にあるとき、フィールド機器53が連結されるPLC49の場合のように、このプロセスは、複雑になり得る。一般に、PLCは、一連のレジスタ内にデータを記憶する。その結果、特定のフィールドデバイス53と関連付けられたデータは、I/Oデバイス48及びコントローラ40に/から通信される前に、PLC49内の複数のレジスタに記憶される。例えば、上に説明されたAIパラメータに関して、プロセス変数値は、PLC49の第1のレジスタ内に記憶され得、PLC49の他のレジスタは、追加のパラメータを記憶するようにプログラムされ得る。アナログ入力信号のステータスは、PLC49の第2のレジスタ内に記憶されてもよく、アラーム下限は、PLC49の第3のレジスタに記憶されてもよく、以下、同様である。PLC49のメモリは、
図4Aに例示されるように、一連のレジスタ(例えば、メモリ内の位置)及び関連付けられた値として表され得る。
【0034】
上に説明されたAIパラメータの値は、一連のレジスタ内に記憶されるように
図4Aに例示されているが、当業者であれば、関連する値(例えば、特定の信号と関連付けられたパラメータの値)が一連のレジスタ内に記憶される必要はないことを認識し、かついくつかのパラメータ値が複数のレジスタに及び得ることをさらに理解するであろう。実際には、PLC内の一連のレジスタは、異なる信号と関連付けられたパラメータ値を含有し得、特定のパラメータと関連付けられたレジスタ値は、各レジスタとその関連付けられた信号及びパラメータとの間の対応がマッピングされ、システムを構成するプロセスエンジニアによって決定され得る限り、任意であり得る。例えば、能動的に変化する値(プロセス変数のステータス及びプロセス変数の値等)は、第1の一連のレジスタ内に記憶され得るが、一方で各信号に関するプログラム情報(例えば、アラーム上下限、工学単位値等)は、PLCデバイスのメモリ内の他の場所の第2の一連のレジスタ内に記憶され得る。
【0035】
ここまでで理解されるように、プロセスモジュールの構成は、フィールドデバイス53に連結されたPLC49の存在によって非常に複雑であり、フィールドデバイス53のプロセス制御システム22内への統合は、緩和なしで、プロセスエンジニアによるプラントの構成中のプログラミングステップ、ならびに制御スキームを備えるプロセスモジュール及び機能ブロック内への各レジスタ値の適切な統合の冗長で時間のかかる確認及び検証を必要とする。さらに複雑なことに、PLC内のパラメータのマッピングは、機能ブロックによって予想されるパラメータとは異なる命名規則を使用し得る。
図4Bは、仮定のコントローラ及びPLC内のプロセス変数信号についての命名規則の一例を例示する。
【0036】
過去において、一部のプロセスエンジニアは、
図4Cに図示されるようなカスタム機能ブロックを作成することによって、PLC49及び関連付けられたフィールドデバイス53をプロセス制御システム22内に統合することを試みた。PLCパラメータ名とPLC内のレジスタとの間の対応(
図4Dに図示されるように)、及びPLCパラメータ名とコントローラパラメータ名との間の対応(
図4Bにあるように)についての情報を使用して、プロセスエンジニアは、PLC49の関連付けられたレジスタからデータを個々に受信することによって、パラメータ140~152の各々を入力として受信する複合機能ブロック154を作成し得る。
図4Cに図示されるように、第1の入力(IN1)は、コントローラ40の「Val」PLCパラメータ及び「AI_PV」パラメータ(即ち、プロセス変数)に対応するレジスタ9000からデータを受信し得、第2の入力(IN2)は、
コントローラ40の「SrcQ_IO」PLCパラメータ及び「ステータス」パラメータに対応するレジスタ9001からデータを受信し得、以下、同様である。複合機能ブロック154は、様々な入力を受信し、かつAI機能ブロックがそれらを処理して出力を提供する通りにそれらを処理するようにプログラムされ得る。
【0037】
理解されるように、この解決策は、煩雑で時間がかかり、様々な理由でエラーを生じやすい。まず、プロセスエンジニアは、使用される全てのレジスタを検証しなければならない。しかしながら、より重要なことは、様々な機能ブロックタイプ(AI、AO、DI、DO、ならびに専用のI/O及びプロセス/制御のための無数の機能ブロック)が存在するため、プロセスエンジニアは、PLC49及びそれと関連付けられたフィールドデバイス53にデータを送信するか、またはそれらからデータを受信する各タイプの機能ブロックについてのカスタム複合ブロック154を作成しなければならない。
【0038】
いくつかの実施形態において、上に説明される問題のいくつかは、フィールドデバイス53からの特定の信号を参照する制御タグによる信号群化のPLC内の実装によって部分的に緩和される。実施形態において、PLC49内のデータは、レジスタ位置によって排他的にではなく、英数字制御タグ及びタグパラメータに従ってアクセスされ得る。この様式において、単一の信号についてのプロセス値、設定値、アラーム限界、モード、ステータス等のパラメータは、制御タグによって全て組成される。
図4Eは、この概念を例示する。
図4Eにおいて、CT001デバイスについての各PLCパラメータ(「タグパラメータ」)は、制御タグ(「Tank_North_Temp」)と関連付けられる。再び、制御タグ「Tank_North_Temp」についてのタグパラメータの値が、並行の隣接するレジスタに記憶されるように
図4Eに例示されるが、値が記憶されるレジスタが隣接または並行である必要はないことが理解されるべきである。PLC49内の各制御タグについての様々なタグパラメータと関連付けられた値は、制御タグ及びタグパラメータ値を使用してアクセスされる場合があってもよい。
【0039】
実施形態において、構成システム34は、分散型制御システムへのPLCデバイスの自動統合を容易にする1つ以上のスマート機能ブロック(「統合機能ブロック」とも呼ばれる)を含み得る(例えば、構成要素のライブラリ内に)。統合機能ブロックは、制御タグ情報を利用して、PLC内の制御タグと関連付けられたパラメータ及びデータタイプに従って自動的に作成、変形、及び/または変換する。
図5Aは、一実施形態において、構成システム34のグラフィカルユーザインターフェースの一部分159を図示する。一部分159は、プロセス制御システム22内の異なるデバイスタイプと関連付けられた一組のライブラリ定義157を例示する。ライブラリ定義は、プロセス制御システム22(例えば、デバイス53を含む)内のPLC関連デバイス用の統合機能ブロックについての一群の定義160を含む。一群の定義160は、第1のタイプのPLC(例えば、第1のPLCモデルまたは製造業者)と関連付けられる。
図5Aに表示される一群の定義160は、4タイプの統合機能ブロック162、164、166、168:AI機能ブロック定義162、AO機能ブロック定義164、DI機能ブロック定義166、及びDO機能ブロック定義168についての定義を含む。機能ブロックタイプ定義162、164、166、168の各々は、
図5Bに例示されるように、PLC49のタグパラメータ174とコントローラ40の対応するパラメータ172との間の関係を定義する。パラメータマップ170(AIデバイスタイプ162のプロパティボックスの文脈で示される)は、統合AI機能ブロックタイプについてのコントローラパラメータ名とPLCパラメータ名との間の対応を表示する。
【0040】
当然ながら、各機能ブロックタイプが異なるコントローラパラメータを含むため、統合機能ブロックの各々は、PLCパラメータに対するコントローラパラメータの異なるマッピングを有することになる。
図5AのAO機能ブロック定義164は、例えば、AI機能
ブロック定義162とは異なる一組のコントローラパラメータ及びPLCパラメータを有することになる。
図5Cは、コントローラパラメータ名178とPLCパラメータ名180との間の対応を表示する同様のパラメータマップ176(AO機能ブロック定義164のプロパティボックスの文脈で示される)を図示する。
【0041】
加えて、異なるタイプのPLC49は、コントローラパラメータ名に対応する異なるPLCパラメータ名を有し得ることが理解されるべきである。したがって、実施形態において、異なる群のPLC統合機能ブロックが、異なるタイプのPLC(例えば、異なるモデルのPLC、異なる製造業者からのPLC等)に対して定義され得る。
図5Aは、第1のPLCタイプについての一群の統合機能ブロック定義160に加えて、第2のPLCタイプについての一群の統合機能ブロック定義161を図示する。様々な利用可能なPLCタイプの知識によって、プロセス制御システム22、特に、構成システム34は、「そのまま使用可能な」様々なPLC統合機能ブロックである、利用可能な構築要素のライブラリを含むようにプログラムされ得、そのためプロセスエンジニアは、共通機能ブロックタイプ(例えば、AI、AO、DI、DO等)のための統合機能ブロックを作成する必要がない。
【0042】
一般に、構成システム34を使用するプロセスエンジニアは、構成エディタ35(「キャンバス」とも呼ばれる)の構成設計空間内の構成シート及び/またはモジュール上に、例えば、汎用AI機能ブロック等の機能ブロックを配置する。プロセスエンジニアは、その後、1つ以上のデバイスタグまたはデバイス信号タグを入力機能ブロックの入力と関連付け(例えば、入力を配線に接続するか、または入力をタグと関連付けることによって)、1つ以上の出力を出力機能ブロックの出力と関連付け、機能ブロックと、デバイスタグまたはデバイス信号タグと関連付けられたデバイスとの間の通信をインスタンス化する。
【0043】
プロセスエンジニアが、PLC49によって制御されるフィールドデバイス53からの値をプロセスモジュールにもたらす必要がある場合において、プロセスエンジニアは、例えば、統合AI機能ブロックを構成シートまたはプロセスモジュール上に配置する等のように、統合機能ブロックを配置し得、同様に、入力をPLC制御タグ名と関連付けられた配線に接続することによって、またはAI機能ブロックのプロパティフィールドをPLC制御タグ名と関連付けることによって、統合AI機能ブロックを所望のPLC制御タグ名と関連付け得る。統合機能ブロックは各々、
図4Cに図示された複合ブロック154に類似の入力及び/または出力を含む機能ブロック内へのPLC制御タグ名との関連付けに際して変換する汎用機能ブロックであり得る。特定の実施形態において、統合機能ブロックは、複数の出力を有し得、その各々が、PLCタグ名と関連付けられた信号のうちのそれぞれ1つに対応する。
図6A~6Dは、構成シート182内でインスタンス化され、かつPLC制御タグ名で構成された統合機能ブロックの例を図示する。
図6Aは、構成された統合AI機能ブロック184を図示する。AI統合機能ブロック184は、符号186として図示される関連付けられたPLC制御タグ名、及び符号188として図示される関連付けられた機能ブロックタイプを有する。符号192は、関連付けられたフィールドデバイス53を参照するためにコントローラ40によって使用されるデバイスタグを示す。
図6Aに例示されるように、統合AI機能ブロック184は、制御タグ名と関連付けられたPLCタグパラメータ190の各々の指標を含む。AI機能ブロック184において、PLC制御タグ名186との機能ブロック184の関連付けは、PLCから様々な信号を受け入れるためにAI機能ブロック184を構成し、機能ブロック18
4は、出力190のうちの対応する1つから信号の各々を出力する。実施形態において、一次パラメータ(
図6Aに例示される場合において、「AI_PV」)が信号「OUT」として出力される。
【0044】
同様に、
図6B、6C及び6Dの各々は、それぞれの構成された統合機能ブロックを図示し、
図6Bは、統合AO機能ブロック194の一例を図示し、
図6Cは、
統合DI機能ブロック204の一例を図示し、
図6Dは、統合DO機能ブロック214の一例を図示する。統合機能ブロック194、204、及び214の各々は、統合機能ブロック184と同様に、符号196、206、216内のそれぞれのPLC制御タグ名と、それぞれの機能ブロックタイプ符号198、208、218と、それぞれのデバイスタグ符号202、212、222と、制御タグ名と関連付けられたPLCタグパラメータ200、210、220の各々のそれぞれの指標とを含む。
【0045】
ライブラリ定義内で定義された統合機能ブロックの各々が、それが関連付けられた一組のPLCタグパラメータに従って定義されるため、いくつかの実施形態において、汎用統合機能ブロックを実装することが可能である。汎用統合機能ブロックは、それと関連付けられた専用機能ブロックタイプ(例えば、AI、AO、DI、DO等)を有しないものであり、その代わりに、汎用統合機能ブロックに割り当てられた制御タグ名と関連付けられたPLCタグパラメータに基づいて機能ブロックタイプを決定する。一例として、汎用統合機能ブロックは、構成シート182上に配置され得る。プロセスエンジニアは、汎用統合機能ブロックをPLC制御タグ名「Tank_North_Pressure」と関連付け得る。構成システム34は、PLC制御タグ名「Tank_North_Pressure」と関連付けられたタグパラメータを検索またはルックアップし、タグパラメータ名がPLCタイプ1デバイスについてのAO機能ブロック定義164のものと一致することを決定し、その汎用統合ブロックをPLCタイプ1デバイスについてのAO機能ブロックになるように自動的に割り当てる。
【0046】
実施形態において、構成システム34は、PLC制御タグ名と関連付けられたタグパラメータに従って自動的に更新するように汎用統合機能ブロックと協調する。プロセスエンジニアが制御タグを機能ブロックと関連付けるとき、構成システム34が制御タグと関連付けられたタグパラメータを汎用統合機能ブロックに自動的に追加する通りに、構成システム34はまた、PLC制御タグ名と関連付けられたタグパラメータが記憶された機能ブロック定義と一致する場合、割り当てられたPLC制御タグと関連付けられるタグパラメータについての変化に基づいて、自動的にタグパラメータを追加するか、タグパラメータを除去するか、またはデータタイプを変更し得る。
【0047】
例として、プロセス変数のみを有し、華氏0~200度の範囲がPLCから制御システム22内に統合されているアナログ温度信号を考える。プロセスエンジニアが汎用統合機能ブロックを追加し、かつ温度制御タグ名を汎用統合機能ブロックと関連付けるとき、温度についてのパラメータが機能ブロックに自動的に追加され、機能ブロックが汎用タイプからAIタイプに変換されることになる。別のアナログ入力である流れ信号もまた、PLCから制御システム22内に統合される。この流れは、プロセス変数、送信器範囲、プロセス範囲、工業単位、モード、模擬イネーブル、模擬値、上下限並びに上上限及び下下限アラームのアラーム限界、送信器ステータス、PLCモジュールステータス、かつ入力リセットを含む。ユーザは、第2の汎用統合機能ブロックを追加し、該機能ブロックを流れ制御タグ名と関連付ける。第2の汎用統合機能ブロックは、流れ制御タグと関連付けられたパラメータを自動的に追加し、機能ブロックを汎用タイプからAIタイプに変換する。ここで、PLCからの温度信号が変更されてアラーム限界が追加されたとする。温度制御タグと既に関連付けられた統合機能ブロックは、一致する定義が記憶されている場合、新しいパラメータを含むように自動的に更新されることになる。代替的に、PLCからの温度信号が、アナログではなく離散的であるように代わりに変更されたとする。温度制御タグと関連付けられた統合機能ブロックは、代わりに自動的にDI機能ブロックに変換される。
【0048】
本明細書に説明された統合機能ブロックはまた、様々な実施形態において、PLCからタグパラメータとして受信された情報を補うようにプログラムされ得る。いくつかのPL
C実装は、フィールドデバイス44、46に直接連結されたとき(I/Oデバイス48を経由して)、コントローラ40によって予想されることになるパラメータの全てを提供しない場合がある。PLC49は、所与のパラメータ(例えば、プロセス変数)についての値を記憶するレジスタを含み得るが、パラメータ値のステータス(例えば、パラメータのステータスが「良好」である、更新された等を示す)を記憶するレジスタを含まなくてもよく、一方で制御システム22のコントローラ40内に実装された1つ以上の機能ブロックは、例えば、制御に依存しているパラメータ値が正確であることを保証すること、デバイスの適切な動作を評価すること等のために、ステータスパラメータを要求し得る。統合機能ブロックは、要求されたパラメータが存在しないことを認識し得、要件に準拠するために欠落したパラメータを作成及び/または挿入し得る。一例として、統合機能ブロックは、レジスタからプロセス変数値を受信し、そしてPLC49が対応するステータスパラメータ値を提供するように構成されていない場合、ステータス値が「良好」であると仮定し、かつ対応するステータス値を内部に作成するようにプログラムされ得、そのため、それが、統合機能ブロックからデータを受信する他の機能ブロックまたは統合機能ブロック内の機能によって利用され得る。代替的に、統合機能ブロックは、プロセス変数値が検索されるレジスタの最近の書き込み時間へのアクセスを有し得、レジスタの書き込み時間に従ってステータスパラメータ値を作成し得、例えば、レジスタが、ステータスが「良好」である以前の所定の時間間隔(例えば、1分、5分等)内に書き込まれたかどうかを判定する。
【0049】
実施形態において、構成システム34は、制御タグを実装しない、及び/または単一の制御タグの下で特定の値と関連付けられたパラメータタグの全てを群化しないか、若しくは組織化された様式でそのようにする、PLCの統合のためのソフトウェア機構を追加的に提供する。かかるPLCにおいて、コントローラ40によって群として予想されるパラメータのうちの1つ以上は、残部とは異なるデータセットの一部であるレジスタ内に存在し得るか、または予想されるパラメータは、単一の制御タグではなく、PLCの2つ以上の制御タグと関連付けられ得る。代替的に、互いと関連付けられるようにコントローラ40によって予想される一群のパラメータタグは、PLC49が制御タグを全く実装しない場合があるため、共に全く群化されない場合がある。理由にかかわらず、本明細書に説明されたシステム及び方法は、実施形態において、新たに制御タグを作成して、PLC49からの複数のレジスタを関連付ける手段を提供し、それにより、新たに作成された制御タグが、次に、上に説明されたように統合機能ブロックと関連付けられ得る。
【0050】
図7は、新しい制御タグを追加するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)250を図示する。GUI250は、プロセスエンジニアが追加されているタグの名前を入力し得るタグ名フィールド252を含む。フィールド254は、複数のタグ定義256のうちの1つを選択するための機構(例えば、プルダウンメニュー、選択リスト、ラジオボタン等)を提供する。例えば、
図7は、既に存在するタグ定義が、固定AI、固定AO、固定DI、及び固定DOタグ定義を含むことを例示する。タグ定義256は、PLC制御タグが追加されるデバイスと関連付けられた特定のPLCタイプに対応し得る。即ち、PLCデバイスが特定の形式及び/またはモデルである場合、タグ定義256は、そのモデルに対応するもののみを含み得る。例として、
図7に追加されているタグ定義と関連付けられたPLCが、
図5Aを参照して、「PLCタイプ1」デバイスである場合、その後、タグ定義256は、群160内の機能ブロック162、164、166、及び168に対応するであろう。
【0051】
タグ定義256のうちの1つを選択すると、ユーザは、
図8に図示されるように、GUI262に移動し得る(例えば、「Assign Registers...」ボタン等の制御258を作動することによって)。GUI262は、プロセスエンジニアが、PLC内のレジスタを、選択されたタグ定義のための様々なタグパラメータ174と関連付け
ることを可能にし得る。
図8は、制御エンジニアがGUI250内のFixedAIタグ定義257を選択した場合に表示され得るGUI262を図示する。
図8に示されるGUI262は、FixedAIタグ定義のためにコントローラパラメータ172及び対応するPLCタグパラメータ174を提供し、タグパラメータ174の各々にタグパラメータ値が位置するレジスタ番号(または、信号タグがPLC内に実装された場合、そのレジスタと関連付けられた信号タグ)をプロセスエンジニアが入力し得るフィールド264を提供する。実施形態において、フィールド264の各々はまた、タグパラメータ174の値が見つかる特定のレジスタまたは信号タグを選択するためにPLCのレジスタ及び/または信号タグを介して閲覧を容易にする、関連付けられた制御266を有し得る。
【0052】
プロセス制御システム22を構成する方法270が
図9に図示される。一般に、方法は、ハードウェアを動作させる分散型制御システムを構成するステップに加えて、プロセス制御システム22内のハードウェアを構成することを含む。方法270は、コントローラ40を入力/出力モジュール48に(ブロック272)、I/Oモジュール48をPLC49に(ブロック274)通信可能に連結することを含む。コントローラ40は、任意の既知の方法によってI/Oモジュール48に連結され得るが、一実施形態において、2つは、Ethernetプロトコルを使用して連結される。同様に、一実施形態において、I/Oモジュール48は、EthernetプロトコルによってPLC49に連結されるが、任意の既知の方法が採用されてもよい。PLC49は、フィールドデバイス53に通信可能に連結され(ブロック276)、フィールドデバイス53の各々について、それぞれのフィールドデバイス53と関連付けられた値のデータを記憶する1つ以上のレジスタを有する。PLCは、上に説明されたように、フィールドデバイス53の各々が、PLC制御タグと関連付けられ、制御タグの各々が、それぞれのフィールドデバイス53用のレジスタに対応する1つ以上のタグパラメータと関連付けられるように構成される。
【0053】
この方法はまた、PLC制御タグの各々について、PLC制御タグについてのタグパラメータと関連付けられているコントローラ40の一組のパラメータが存在するように、タグパラメータをコントローラ40の対応するパラメータと関連付けることも含む(ブロック278)。統合機能ブロックがインスタンス化されたとき(ブロック280)、方法270は、統合機能ブロックをPLC制御タグのうちの1つと関連付けることを含む(ブロック282)。統合機能ブロックは、PLC制御タグの1つと関連付けられると、それ自体を、PLC制御タグについてのタグパラメータと関連付けられたコントローラの一組のパラメータに従って自動的に構成する。統合機能ブロックは、例えば、それ自体を、アナログ入力機能ブロック、アナログ出力機能ブロック、離散入力機能ブロック、離散出力機能ブロック、カスタム機能ブロックタイプ等として自動的に構成し得る。