(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電池搭載構造
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20231003BHJP
B62D 21/00 20060101ALI20231003BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20231003BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231003BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D21/00 B
B62D25/20 G
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2017108535
(22)【出願日】2017-05-31
【審査請求日】2019-08-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山中 篤
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】八木 誠
【審判官】筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0347160(US,A1)
【文献】特表2003-518463(JP,A)
【文献】国際公開第2013/044645(WO,A1)
【文献】特開2017-174556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00- 1/04
B62D21/00-25/20
H01M50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両水平方向に並んで配置され、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材と、
各々が互いに車体骨格部材の延長方向に交差する方向に積層された複数の電池セルを含んで構成され且つ前記交差する方向の両端面及び前記延長方向の
両端面を覆う、前記車体骨格部材とは別体の枠体によって囲まれることがないと共に、各々が前記複数の車体骨格部材間の空間に露出し且つ各々が前記複数の車体骨格部材間に直接又はスペーサを介して挟まることで車体に拘束された複数の電池スタックと、
を備え、
前記電池セルが二次電池であり、
前記スペーサが、前記電池セル及び前記車体骨格部材と前記電池セルの積層方向にのみ対向する電池搭載構造。
【請求項2】
車両水平方向に並んで配置され、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材と、
前記複数の車体骨格部材の下部間に架け渡されて車体の下面を形成する底板と、
各々が互いに車体骨格部材の延長方向に交差する方向に積層された複数の電池セルを含んで構成され且つ前記交差する方向の両端面及び前記延長方向の
両端面を覆う、前記車体骨格部材とは別体の枠体によって囲まれることがないと共に、各々が前記複数の車体骨格部材間の空間に露出し且つ各々が前記底板及び前記複数の車体骨格部材に拘束されるための
ブラケット及び締結具を用いずに前記複数の車体骨格部材間に拘束された複数の電池スタックと、
を備え、
前記電池セルが二次電池である電池搭載構造。
【請求項3】
車両水平方向に並んで配置され、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材と、
各々が互いに車体骨格部材の延長方向に交差する方向に積層された複数の電池セルを含んで構成され且つ前記交差する方向の両端面及び前記延長方向の
両端面を覆う、前記車体骨格部材とは別体の枠体によって囲まれることがないと共に、各々が前記複数の車体骨格部材間の空間に露出し且つ前記電池セルの積層方向に押された状態で前記複数の車体骨格部材間に搭載された複数の電池スタックと、
を備え、
前記電池セルが二次電池である電池搭載構造。
【請求項4】
前記複数の電池セルは、前記複数の車体骨格部材が並ぶ方向に積層されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の電池搭載構造。
【請求項5】
前記複数の車体骨格部材は、車室の車幅方向両端下部で車両前後方向に延在する左右のロッカを含んでおり、
前記左右のロッカの上部間に架け渡されて車室の床面を形成するフロアパンと、前記左右のロッカの下部間に架け渡されて車体の下面を形成する底板とによって、前記複数の電池スタックが車両上下方向両側から覆われている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の電池搭載構造。
【請求項6】
前記複数の車体骨格部材は、車両前後方向に延在しており、
前記複数の車体骨格部材間には、車幅方向に延在するクロスメンバが架け渡されている請求項1~請求項5の何れか1項に記載の電池搭載構造。
【請求項7】
前記複数の車体骨格部材は、車室の車幅方向両端下部で車両前後方向に延在する左右のロッカ、及び、前記左右のロッカ間で車両前後方向に延在するセンタトンネルである請求項6に記載の電池搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の下部に複数の電池スタックを搭載するための電池搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された電気自動車では、車体の下部に設けられた左右のサイドメンバ間に、バッテリケースを備えた大型のバッテリユニットが搭載されている。このバッテリユニットは、バッテリケースの下面に設けられた4つの桁部材がボルト締結によって左右のサイドメンバに固定されると共に、バッテリケースの前端に設けられた前側支持部材がボルト締結によってクロスメンバに固定されている。このバッテリケースの内部には、複数のバッテリモジュールが収容されている。各バッテリモジュールは、複数個のセルが直列に接続されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の電気自動車では、大型のバッテリユニットが車体の下部に搭載されているため、電気自動車にとって重要な性能である航続距離を伸ばす観点で好適である。しかしながら、この電気自動車では、左右のサイドメンバ(車体骨格部材)の間にバッテリケース(筐体;電池ケース)が搭載され、当該筐体内に複数のバッテリモジュール(電池スタック)が収容された構成になっている。このため、筐体と車体との間に設定される搭載隙(筐体と車体との干渉防止用の隙間)や、筐体の壁部の配設スペースが、電池スタックを搭載できない無駄な空間となる。また、例えば複数の電池スタックを筐体に拘束(保持)させるために拘束専用の拘束部材を用いる場合、当該拘束部材の配設スペースや、工具隙(工具を挿入するための隙間)が無駄な空間となる。このため、上記先行技術は、電池スタックの搭載スペースを拡大する観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、車体下部における電池スタックの搭載スペースを拡大することができる電池搭載構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る電池搭載構造は、車両水平方向に並んで配置され、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材と、各々が互いに車体骨格部材の延長方向に交差する方向に積層された複数の電池セルを含んで構成され且つ前記交差する方向の両端面及び前記延長方向の両端面を覆う、前記車体骨格部材とは別体の枠体によって囲まれることがないと共に、各々が前記複数の車体骨格部材間の空間に露出し且つ各々が前記複数の車体骨格部材間に直接又はスペーサを介して挟まることで車体に拘束された複数の電池スタックと、を備え、前記電池セルが二次電池であり、前記スペーサが、前記電池セル及び前記車体骨格部材と前記電池セルの積層方向にのみ対向する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材が、車両水平方向に並んで配置されている。また、複数の電池スタックは、各々が複数の電池セルを含んで構成されると共に、各々が上記複数の車体骨格部材間に直接又はスペーサを介して挟まることで車体に拘束されている。さらに、スペーサが、電池セル及び車体骨格部材と電池セルの積層方向にのみ対向する。これにより、複数の電池スタックと複数の車体骨格部材との間に無駄な空間が形成されることを防止又は抑制できるので、車体下部における電池スタックの搭載スペースを拡大することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る電池搭載構造は、車両水平方向に並んで配置され、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材と、前記複数の車体骨格部材の下部間に架け渡されて車体の下面を形成する底板と、各々が互いに車体骨格部材の延長方向に交差する方向に積層された複数の電池セルを含んで構成され且つ前記交差する方向の両端面及び前記延長方向の両端面を覆う、前記車体骨格部材とは別体の枠体によって囲まれることがないと共に、各々が前記複数の車体骨格部材間の空間に露出し且つ各々が前記底板及び前記複数の車体骨格部材に拘束されるためのブラケット及び締結具を用いずに前記複数の車体骨格部材間に拘束された複数の電池スタックと、を備え、前記電池セルが二次電池である。
【0009】
請求項2に記載の発明では、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材が、車両水平方向に並んで配置されている。また、複数の電池スタックは、各々が複数の電池セルを含んで構成されると共に、各々が拘束専用の拘束部材(例えば、ブラケット、締結具等)を用いずに複数の車体骨格部材間に拘束されている。これにより、複数の電池スタックと複数の車体骨格部材との間に無駄な空間が形成されることを防止又は抑制できるので、車体下部における電池スタックの搭載スペースを拡大することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る電池搭載構造は、車両水平方向に並んで配置され、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材と、各々が互いに車体骨格部材の延長方向に交差する方向に積層された複数の電池セルを含んで構成され且つ前記交差する方向の両端面及び前記延長方向の両端面を覆う、前記車体骨格部材とは別体の枠体によって囲まれることがないと共に、各々が前記複数の車体骨格部材間の空間に露出し且つ前記電池セルの積層方向に押された状態で前記複数の車体骨格部材間に搭載された複数の電池スタックと、を備え、前記電池セルが二次電池である。
【0011】
請求項3に記載の発明では、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材が、車両水平方向に並んで配置されている。また、複数の電池スタックは、各々が複数の電池セルを含んで構成されると共に、各々が複数の車体骨格部材間の空間に露出した状態、すなわち外殻となる筐体内に収容されない状態で、上記複数の車体骨格部材間に搭載されている。さらに複数の電池スタックは、前記電池セルの積層方向に押された状態で、上記複数の車体骨格部材間に搭載されている。これにより、複数の電池スタックと複数の車体骨格部材との間に無駄な空間が形成されることを防止又は抑制できるので、車体下部における電池スタックの搭載スペースを拡大することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明に係る電池搭載構造は、請求項1~請求項3の何れか1項において、前記複数の電池セルは、前記複数の車体骨格部材が並ぶ方向に積層されている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、複数の車体骨格部材間に位置する複数の電池スタックは、複数の車体骨格部材が並ぶ方向に積層された複数の電池セルを含んで構成されている。このため、例えば電池スタックが複数の電池セルの積層方向に膨張した際に、当該電池スタックに対して上記積層方向の両側に位置する車体骨格部材によって、上記の膨張を抑制することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明に係る電池搭載構造は、請求項1~請求項4の何れか1項において、前記複数の車体骨格部材は、車室の車幅方向両端下部で車両前後方向に延在する左右のロッカを含んでおり、前記左右のロッカの上部間に架け渡されて車室の床面を形成するフロアパンと、前記左右のロッカの下部間に架け渡されて車体の下面を形成する底板とによって、前記複数の電池スタックが車両上下方向両側から覆われている。
【0015】
請求項5に記載の発明では、左右のロッカの上部間に架け渡されて車室の床面を形成するフロアパンと、左右のロッカの下部間に架け渡されて車体の下面を形成する底板とによって、複数の電池スタックが車両上下方向両側から覆われている。これにより、車体の一部である左右のロッカ、フロアパン及び底板が、複数の電池スタックを収容した電池ケースとして機能する。このため、車体とは別体に構成されて車室床下に搭載された筐体(電池ケース)内に複数の電池スタックが収容された構成と比較して、車室床下に車両上下方向の無駄空間が形成されることを防止又は抑制できる。その結果、車両の低床化を実現することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明に係る電池搭載構造は、請求項1~請求項5の何れか1項において、前記複数の車体骨格部材は、車両前後方向に延在しており、前記複数の車体骨格部材間には、車幅方向に延在するクロスメンバが架け渡されている。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、車両前後方向に延在する複数の車体骨格部材間には、複数の電池スタックが配置されると共に、車幅方向に延在するクロスメンバが架け渡されている。これにより、車両の側面衝突時における複数の電池スタックの損傷を防止又は抑制できる。
【0018】
請求項7に記載の発明に係る電池搭載構造は、請求項6において、前記複数の車体骨格部材は、車室の車幅方向両端下部で車両前後方向に延在する左右のロッカ、及び、前記左右のロッカ間で車両前後方向に延在するセンタトンネルである。
【0019】
請求項7に記載の発明では、左右のロッカとセンタトンネルとの間に複数の電池スタックが配置されると共に、車幅方向に延在するクロスメンバが架け渡されている。これにより、車両の側面衝突時に、上記クロスメンバを介してセンタトンネルに衝突荷重を伝達することができるので、センタトンネルの変形によって衝突荷重を吸収することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る電池搭載構造では、車体下部における電池スタックの搭載スペースを拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る電池搭載構造が適用された電池搭載車両の車体下部の構成を示す平面図である。
【
図2】同電池搭載車両を車両左方側から見た断面図である。
【
図3】
図1に示される車体下部の一部を示す斜視図である。
【
図4】
図3のF4-F4線に沿った切断面を拡大して示す断面図である。
【
図5】
図3において複数の電池スタックの図示を省略した斜視図である。
【
図6】電池スタックの搭載方法について説明するための
図5に対応した斜視図である。
【
図7】電池スタックを部分的に分解した分解斜視図である。
【
図8】比較例に係る電池搭載車両を示す斜視図である。
【
図9】比較例に係る電池パックの一部を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る電池搭載構造を適用可能な車体下部の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る電池搭載構造10について、
図1~
図7を用いて説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印LHは、本実施形態に係る電池搭載構造10が適用された電池搭載車両12の前方向(進行方向)、上方向、左方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。また、各図においては、図面を見易くする関係から一部の部材や一部の符号の図示を省略している場合がある。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る電池搭載車両12(以下、「車両12」と略称する)は、図示しない電動モータの駆動力を用いて走行する電気自動車であり、セダンタイプの車体14を備えている。この車体14の下部には、上記の電動モータに駆動用の電力を供給する複数(ここでは20個)の電池スタック(バッテリモジュール)40が搭載されている。先ず、車体14の下部の構成について説明し、その後に電池スタック40の構成、及び本実施形態の要部である車体14への電池スタック40の搭載構造について説明する。
【0024】
(車体下部の構成)
図1~
図6に示されるように、上記の車体14は、車室16(
図2及び
図4参照)の車幅方向両端下部で車両前後方向に延在する左右一対のロッカ18L、18R(
図1、
図3~
図6参照)と、左右のロッカ18L、18Rの前端部間に車幅方向に沿って架け渡されたフロントクロスメンバ20(
図1~
図3、
図5、
図6参照)と、左右のロッカ18L、18Rの後端部間に車幅方向に沿って架け渡されたリヤクロスメンバ22(
図1~
図3、
図5、
図6参照)とを備えている。
【0025】
また、この車体14は、左右のロッカ18L、18Rの間における車幅方向の中央部で車両前後方向に延在し、フロントクロスメンバ20とリヤクロスメンバ22との間に架け渡されたセンタトンネル24(
図1、
図3~
図6参照)を備えている。さらに、この車体14は、左右のロッカ18L、18Rとセンタトンネル24との間に車両前後方向に並んで配置され、左右のロッカ18L、18Rとセンタトンネル24との間に架け渡された複数(ここでは8つ)の中間クロスメンバ26(
図1~
図3、
図5、
図6参照)を備えている。また、この車体14は、左右のロッカ18L、18Rの上部間に架け渡されて車室16の床面を形成するフロアパン28(
図2、
図4参照;
図2、
図4以外では図示省略)と、左右のロッカ18L、18Rの下部間(下端部間)に架け渡されて車体14の下面を形成する底板30(
図2、
図4~
図6参照)とを備えている。
【0026】
上記のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24は、本発明における「車体骨格部材」に相当しており、上記の中間クロスメンバ26は、本発明における「クロスメンバ」に相当している。ロッカ18L、18R及びセンタトンネル24は、車両水平方向(ここでは車幅方向)に並んで配置されており、上記のフロントクロスメンバ20、リヤクロスメンバ22及び中間クロスメンバ26と共に、車体14の下部の骨格の一部を構成している。
【0027】
左右のロッカ18L、18R、フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22は、例えばアルミニウム合金等の軽金属の押出成形によって製造されたものである。左右のロッカ18L、18Rは、車両前後方向を長手とする長尺状に形成されており、車両前後方向から見た断面が略矩形状をなしている。フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22は、車幅方向を長手とする長尺状に形成されており、車幅方向から見た断面が略矩形状をなしている。フロントクロスメンバ20長手方向両端部は、左右のロッカ18L、18Rの前端部と結合されており、リヤクロスメンバ22の長手方向両端部は、左右のロッカ18L、18Rの後端部と結合されている。
【0028】
センタトンネル24及び中間クロスメンバ26は、例えばアルミニウム合金等の軽金属からなる板材がプレス成形されて製造されたものである。センタトンネル24は、車両前後方向を長手とする長尺状に形成されており、車両前後方向から見た断面が略ハット形状をなしている。センタトンネル24の長手方向両端部は、フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22と結合されている。
【0029】
中間クロスメンバ26は、車幅方向を長手とする長尺状に形成されており、車幅方向から見た断面が略ハット形状をなしている。左側のロッカ18Lとセンタトンネル24との間、及び右側のロッカ18Rとセンタトンネル24との間には、それぞれ4つの中間クロスメンバ26が配設されている。左右各4つの中間クロスメンバ26と、フロントクロスメンバ20と、リヤクロスメンバ22とは、車両前後方向に等間隔に並んで配置されている。また、車両左側に位置する4つの中間クロスメンバ26と、車両右側に位置する4つの中間クロスメンバ26とは、車両前後方向の位置が一致している。車両左側に位置する4つの中間クロスメンバ26の長手方向両端部は、左側のロッカ及びセンタトンネル24と結合されており、車両右側に位置する4つの中間クロスメンバ26の長手方向両端部は、右側のロッカ及びセンタトンネル24と結合されている。
【0030】
フロアパン28及び底板30は、例えばアルミニウム合金等の軽金属からなる板材がプレス成形されて製造されたものであり、車両上下方向を板厚方向とする板状をなしている。フロアパン28の左右の縁部は、左右のロッカ18L、18Rの上部側に形成された段部に対して車両上方側から当接しており、フロアパン28の前後の縁部は、フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22の上面に対して車両上方側から当接している。底板30の左右の縁部は、左右のロッカ18L、18Rの下面に対して車両下方側から当接しており、底板30の前後の縁部は、フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22の下面に対して車両下方側から当接している。これらのフロアパン28及び底板30は、左右のロッカ18L、18R、フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22と結合されており、底板30は、センタトンネル24とも結合されている。
【0031】
なお、上述した車体14の下部の構成は、一例であり、適宜変更可能である。また、本実施形態のように、車体14の下部の構成部材が同じ種類の軽金属(例えばアルミニウム合金)によって構成されている場合、各構成部材の結合方法としては、例えばスポット溶接、摩擦撹拌接合、リベット止め、ボルト締結等の手段を用いることができる。また、互いに結合される構成部材が異なる種類の材料(例えば鋼とアルミニウム合金)からなる場合、その結合方法としては、例えばボルト締結、リベット止め等の手段を用いることができる。
【0032】
上記左右のロッカ18L、18R、フロントクロスメンバ20、リヤクロスメンバ22、フロアパン28及び底板30は、複数の電池スタック40を収容したケースを構成している。つまり、本実施形態では、左右のロッカ18L、18R、フロントクロスメンバ20、リヤクロスメンバ22、フロアパン28及び底板30によって車室16の床下に閉空間(電池収容室)が形成されており、当該閉空間内に複数の電池スタック40が収容されている。複数の電池スタック40は、左右のロッカ18L、18Rによって車両左右方向両側から覆われ、フロアパン28及び底板30によって車両上下方向両側から覆われ、フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22によって車両前後方向両側から覆われている。なお、上記閉空間の後端側には、図示しないジャンクションボックス、スイッチボックス、制御ユニット等が収容されている。
【0033】
(電池スタックの構成)
図7に示されるように、電池スタック40は、積層された複数の電池セル(蓄電池)42を主要部として構成されており、複数の電池セル42が例えば電気的に直列に接続されてモジュール化されている。なお、
図1~
図3、
図6では、電池スタック40を概略的に記載している。複数の電池セル42の積層方向は、左右のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24が並んだ方向(互いに対向した方向)である車幅方向とされている。各電池セル42は、例えばリチウムイオン二次電池であり、扁平な直方体形状のケースを備えた角型電池とされている。各電池セル42の上面には、正極端子42A及び負極端子42Bが設けられている。なお、電池セル42の種類は、リチウムイオン二次電池に限らず、ニッケル水素二次電池等の他の種類であってもよい。
【0034】
積層された複数の電池セル42の間には、それぞれ絶縁体46が挟まれており、電池セル42と絶縁体46とが交互に積層された構成になっている。絶縁体46は、例えば樹脂によって成形されたものであり、上記積層方向を厚さ方向とする略矩形板状をなしている。この絶縁体46の外周縁部には、上記積層方向の両側へ枠状に突出した枠状部46Aが設けられており、当該枠状部40Aの内側に電池セル42が嵌合している。
【0035】
また、上記のように電池セル42と絶縁体46とが積層された積層体の両端部には、それぞれ電池セル42が位置しており、これら両端部の電池セル42には、上記積層方向の両外側からそれぞれエンドプレート48が重ね合わされている。各エンドプレート48は、例えば樹脂によって成形されたものであり、上記積層方向を厚さ方向とする略矩形板状をなしている。
【0036】
上記構成の電池スタック40は、全体として車幅方向を長手とする長尺な直方体状に形成されている。この電池スタック40では、隣り合う電池セル42の正極端子42A及び負極端子42Bが、導電性部材であるバスバー(図示省略)を介して互いに接続されている。なお、電池スタック40の構成は、上記に限らず適宜変更可能である。例えばエンドプレート48が省略された構成にしてもよい。次に、本実施形態の要部について説明する。
【0037】
(本実施形態の要部)
本実施形態では、
図1、
図3、
図4に示されるように、左側のロッカ18Lとセンタトンネル24との間、及び右側のロッカ18Rとセンタトンネル24との間に、それぞれ複数(ここでは10個)の電池スタック40が車両前後方向に並んで搭載(配置)されている。詳細には、左側のロッカ18Lとセンタトンネル24との間、及び右側のロッカ18Rとセンタトンネル24との間には、それぞれ4つの中間クロスメンバ26によって前後に仕切られた5つの小空間56(
図5及び
図6以外では符号省略)が形成されている。そして、各小空間56内には、それぞれ2個ずつの電池スタック40が車両前後方向に並んで配置(収容)されている。なお、以下の説明では、左側のロッカ18L及び右側のロッカ18Rを、単にロッカ18と称する場合がある。
【0038】
各電池スタック40は、ロッカ18とセンタトンネル24との間に直接挟まることで車体14に拘束(保持)されている。つまり、各電池スタック40は、ロッカ18及びセンタトンネル24が並ぶ方向の両端部(すなわち各電池スタック40の長手方向両端部)に設けられた一対のエンドプレート48が、ロッカ18及びセンタトンネル24に当接することで車体14に拘束されている。なお、上記の「挟まる」は、「(上記並ぶ方向の)両側から押さえられて、動けない状態になる。」ことを意味しており、上記の「拘束」は、少なくとも車両12の通常の走行時に、各電池スタック40が車体14に対する前後左右上下の変位を規制されるものであればよい。また、本実施形態では、各電池スタック40の長手方向両端部が、ロッカ18及びセンタトンネル24に直接当接しているが、これに限るものではない。例えば各電池スタック40の長手方向両端部が、板状のスペーサ等を介してロッカ18及びセンタトンネル24に当接した構成、すなわち各電池スタック40が、ロッカ18とセンタトンネル24との間に別部材を介して挟まる構成にしてもよい。
【0039】
上記のようにロッカ18とセンタトンネル24との間に挟まった(長手方向両端部がロッカ18及びセンタトンネル24に当接した)各電池スタック40は、
図4に示されるように、ロッカ18及びセンタトンネル24から車幅方向(複数の電池セル42の積層方向)の拘束力(挟持力;圧縮力)Fを受けている。これにより、各電池スタック40が車体14に対する前後方向、左右方向及び上下方向の相対変位を規制されている。このため、本実施形態では、底板30や中間クロスメンバ26が車体14から取り外された状態でも、各電池スタック40が車体14に拘束(保持)された状態が維持される構成になっている。
【0040】
つまり、本実施形態では、複数の電池スタック40は、拘束専用の拘束部材(例えば、ブラケット、締結具等)を用いずに左右のロッカ18L、18Rとセンタトンネル24との間に拘束されている。また、複数の電池スタック40は、各々がロッカ18とセンタトンネル24との間の空間に露出した状態、すなわち外殻となる筐体(電池ケース)に収容されない状態で、ロッカ18とセンタトンネル24との間に搭載されている。これにより、本実施形態では、車室16の床下の略全面に複数の電池スタック40が搭載された構成になっている。なお、フロントクロスメンバ20、リヤクロスメンバ22及び中間クロスメンバ26は、電池スタック40に対して当接又は近接して対向している。
【0041】
また、本実施形態では、各電池スタック40が、車両上方側からロッカ18とセンタトンネル24との間に搭載(挿入)される構成になっている(
図6の矢印D参照)。この電池スタック40の搭載は、例えば
図6に示されるように、車体14の下部の骨格に底板30が取り付けられた後で、かつフロアパン28が取り付けられる前の状態で行われる。また、ロッカ18とセンタトンネル24との間に電池スタック40が挿入される際には、例えば電池スタック40が図示しない治具によって車幅方向(複数の電池セル42の積層方向)に圧縮される構成になっている。
【0042】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0043】
上記構成の電池搭載構造10では、車幅方向に並んで配置され、車体14の下部の骨格の一部を構成する左右のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24の間に、複数の電池セル42を含んで構成された複数の電池スタック40が配置されている。これらの電池スタック40は、左右のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24が並ぶ方向の両端部が、左右のロッカ18L、18Rのうちの何れかとセンタトンネル24とに当接しており、左右のロッカ18L、18Rとセンタトンネル24との間に挟まっている。これにより、複数の電池スタック40が車体14に拘束されているので、複数の電池スタック40と左右のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24との間に無駄な空間(デッドスペース)が形成されないようにすることができる。したがって、車体14の下部における電池スタック40の搭載スペースを拡大することができる。
【0044】
つまり、本実施形態では、複数の電池スタック40が、拘束専用の拘束部材(例えばブラケット、締結具等)を用いずに左右のロッカ18L、18Rとセンタトンネル24との間に拘束されているので、上記拘束部材の配設スペースや工具隙等が不要となる。また、本実施形態では、複数の電池スタック40がロッカ18とセンタトンネル24との間の空間に露出した状態、すなわち外殻となる筐体(電池ケース)に収容されない状態で左右のロッカ18とセンタトンネル24との間に搭載されているので、上記電池ケースの搭載隙や、上記電池ケースの壁部の配設スペース等が不要となる。これにより、車体14の下部(ここでは車室16の床下)により多くの電池セル42を詰め込むことが可能となり、車室16の床下に搭載可能な電池の容量(エネルギー量)を増大させることができる。
【0045】
以下、
図8に示される電池搭載車両100(比較例)を用いて、本実施形態の作用及び効果について詳細に説明する。この比較例に係る電池搭載車両100(以下、「比較例100」と称する場合がある)は、例えば電気自動車であり、電池ケース102を備えた大型の電池パック104が車体106の下部(車室の床下)に搭載される構成になっている。この電池パック104は、車体106とは別体に構成され、車体106に取り付けられる構成になっている。
【0046】
この比較例100では、車体106に電池パック104を搭載するための搭載隙や工具隙等により無駄な空間が発生する。しかも、この比較例100では、
図9に示されるように、電池ケース102内に収容された複数の電池スタック108が、拘束専用の拘束部材であるブラケット110、ボルト112、ナット114等を用いて電池ケース102に拘束(固定)される構成になっているため、電池ケース102内に設定されるブラケット110等の配設スペースや工具隙等も無駄空間となる。このため、車室床下に搭載可能なエネルギー量が減少すると共に、電池ケース102の質量及び製造コストによって電池搭載車両100の質量及び製造コストが増加する。
【0047】
これに対し、本実施形態では、車体14の下部の骨格(アンダーボデー骨格)を電池スタック40の拘束部材として活用しているので、比較例100のような搭載隙や工具隙等が不要となり、電池スタック40(電池セル42)の搭載可能空間が拡大されている。これにより、車室16の床下における電池セル42の搭載数(充填率)を増加させることができるので、電気自動車にとって重要な性能である航続距離を、比較例100よりも大幅に伸ばすことが可能となる。しかも、比較例100のような電池ケース102が不要となるので、車両12の質量及び製造コストが低減される。
【0048】
また、比較例100では、電池ケース102の天壁102Aと車体106のフロアパン(図示省略)との間に設定される搭載隙や、天壁102Aの配設スペース等により、車両上下方向にも無駄空間が生じる。このため、車体106のフロアパンの配設高さが上昇し、乗員のヒップポイントが高くなると共に、車体106のルーフ106Aの配設高さも上昇する。その結果、車体106のデザインに制約が生じると共に、車体106のCD値が悪化し、電費が悪化する。なお、比較例100がハイブリッド車の場合には、燃費が悪化することとなる。
【0049】
一方、本実施形態では、左右のロッカ18L、18Rの上部間に架け渡されて車室16の床面を形成するフロアパン28と、左右のロッカ18L、18Rの下部間に架け渡されて車体14の下面を形成する底板30とによって、複数の電池スタック40が車両上下方向両側から覆われている。つまり、本実施形態では、車体14の一部である左右のロッカ18L、18R、フロアパン28及び底板30が、複数の電池スタック40を収容した電池ケースとして機能する。このため、比較例100のように車体106とは別体の電池ケース102が車室床下に搭載された構成と比較して、車室16の床下に車両上下方向の無駄空間が形成されることを防止又は抑制できる。その結果、車両12の低床化が実現可能となるので、車体14のデザインの自由度が向上する。また、乗員のヒップポイントを下げ、ルーフ14A(
図2参照)の配設高さを低くすることが可能となるので、車体14のCD値を向上させることができる。その結果、電費(車両12がハイブリッド車の場合は燃費)を向上させることができる。
【0050】
また、比較例100では、重量物である複数の電池スタック108が電池ケース102の底板102Bによって支持された構成であるため、当該底板102Bの強度及び剛性を十分に確保する必要があり、当該底板102Bの質量及び製造コストが増加する。この点、本実施形態では、底板30は、複数の電池スタック40を支持するものではなく、複数の電池スタック108が収容された床下空間のシール性を確保するものであればよいため、底板30を軽量でかつ低コストなものとすることができる。
【0051】
また、比較例100では、車体14を衝突要件に基づいて強度設計する一方、電池パック104を法規要件に基づいて強度設計する必要があり、二重の強度設計が必要となるため、冗長な設計となる。この点、本実施形態では、車体14の下部の骨格を電池スタック40の拘束部材として活用しているので、二重の強度設計が不要となり、強度設計が容易になる。しかも、例えば複数の車種間でプラットフォームが共通化される場合、プラットフォーム毎に電池スタック40の搭載構造を設計すればよいため、これによっても設計が容易になる。さらに、プラットフォーム毎に電池スタック40の搭載位置が固定されることにより、周辺部品の種類を削減することも可能となる。
【0052】
また、比較例100では、重量物でかつ大型な電池パック104を車体106に搭載する際に、車体106のドア開口106Bを通過させることができない。このため、
図8に示されるように車体106に対して下側から電池パック104を搭載しなければならず、搭載作業の効率が悪いという問題もある。これに対し、本実施形態では、
図6に示されるように電池スタック40を車体14の下部に対して上側から搭載することができるので、搭載作業の効率を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、左右のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24の間に位置する複数の電池スタック40は、左右のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24が並ぶ方向に積層された複数の電池セル42を含んで構成されている。このため、電池スタック40が複数の電池セル42の積層方向に膨張した際に、当該電池スタック40に対して上記積層方向の両側に位置するロッカ18及びセンタトンネル24によって、上記の膨張を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、左右のロッカ18L、18Rとセンタトンネル24との間に、複数の電池スタック40が配置されると共に、車幅方向に延在する複数の中間クロスメンバ26が架け渡されている。これにより、車両12の側面衝突時における複数の電池スタック40の損傷を、上記複数の中間クロスメンバ26によって防止又は抑制することができる。また、車両12の側面衝突時には、中間クロスメンバ26を介してセンタトンネル24に衝突荷重を伝達することができるので、センタトンネル24の変形によって衝突荷重を吸収することができる。
【0055】
<実施形態の補足説明>
前記実施形態では、セダンタイプの電気自動車である車両12に対して本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明はセダンタイプ以外の車両や、ハイブリッド車などに対しても適用可能である。例えば、
図10にはハイブリッド車の車体70の一部が図示されているが、この車体70に対しても本発明に係る電池搭載構造を適用可能である。すなわち、この車体70においても、左右のロッカ72L、72Rとセンタトンネル74との間(
図10において二点鎖線で囲まれた領域A1~A6参照)に複数の電池スタック(
図10では図示省略)を直接搭載し、左右のロッカ72L、72Rやセンタトンネル74によって複数の電池スタックを拘束すればよい。それにより、ハイブリッド車の小型軽量化や低コスト化等が実現可能となる。なお、
図10において、78はフロアパンであり、80はクロスメンバである。
【0056】
また、前記実施形態では、左右のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24が本発明に係る「複数の車体骨格部材」とされた場合について説明したが、これに限らず、本発明はセンタトンネル24を備えない車両に対しても適用可能である。その場合、例えば複数の電池スタックが左右のロッカ間に挟まることで車体に拘束される構成になる。また、車幅方向に並んで配置された左右のサイドメンバが本発明に係る「複数の車体骨格部材」とされた構成にしてもよいし、車両前後方向に並んで配置された複数のクロスメンバが本発明に係る「複数の車体骨格部材」とされた構成にしてもよい。
【0057】
また、前記実施形態では、左右のロッカ18L、18Rの前端部間及び後端部間に、フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22が架け渡された構成にしたが、これに限らず、フロントクロスメンバ20及びリヤクロスメンバ22が省略された構成にしてもよい。その場合、例えばフロアパン28と底板30との間に形成された床下空間(電池収容室)の前端部及び後端部が板状の閉塞部材によって閉塞される構成になる。
【0058】
また、前記実施形態では、左右のロッカ18L、18Rとセンタトンネル24との間に複数の中間クロスメンバ26(クロスメンバ)が架け渡された構成にしたが、これに限らず、中間クロスメンバ26が省略された構成にしてもよい。また、センタトンネルを備えない車両では、左右のロッカ間にクロスメンバが架け渡された構成にしてもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、車室16の床面を形成するフロアパン28と、車体14の下面を形成する底板30とによって、複数の電池スタック40が車両上下方向両側から覆われた構成にしたが、これに限るものではない。例えば、複数の電池スタック40とフロアパン28との間、又は複数の電池スタック40と底板30との間に別の板状部材が介在された構成にしてもよい。
【0060】
また、前記実施形態では、左右のロッカ18L、18R及びセンタトンネル24(複数の車体骨格部材)が並ぶ方向に、複数の電池セル42が積層された構成にしたが、これに限らず、複数の車体骨格部材が並ぶ方向(複数の車体骨格部材の対向方向)と、複数の電池セルの積層方向とが異なる構成にしてもよい。但し、複数の車体骨格部材が並ぶ方向と、電池スタックの膨張方向とを一致させることが好ましい。
【0061】
また、前記実施形態では、複数の電池スタック40が、拘束専用の拘束部材を用いずに左右のロッカ18L、18Rとセンタトンネル24との間に拘束された構成にしたが、これに限るものではない。すなわち、請求項3に係る発明では、複数の電池スタックが拘束専用の拘束部材(ブラケット、締結具等)を用いて車体に拘束された構成にしてもよい。その場合、例えば各電池スタックを、上記拘束部材を用いて、左右のロッカやセンタトンネルに固定してもよいし、請求項5に記載の底板に固定してもよい。
【0062】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10 電池搭載構造
12 電池搭載車両(車両)
14 車体
16 車室
18L、18R ロッカ(車体骨格部材)
24 センタトンネル(車体骨格部材)
26 中間クロスメンバ(クロスメンバ)
28 フロアパン
30 底板
40 電池スタック
42 電池セル