IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特許7359542集積回路の感温構成要素のためのオンチップ温度安定化のためのシステム及び方法
<>
  • 特許-集積回路の感温構成要素のためのオンチップ温度安定化のためのシステム及び方法 図1
  • 特許-集積回路の感温構成要素のためのオンチップ温度安定化のためのシステム及び方法 図2A
  • 特許-集積回路の感温構成要素のためのオンチップ温度安定化のためのシステム及び方法 図2B
  • 特許-集積回路の感温構成要素のためのオンチップ温度安定化のためのシステム及び方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】集積回路の感温構成要素のためのオンチップ温度安定化のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/03 20060101AFI20231003BHJP
   G01K 7/32 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H03K3/03
G01K7/32 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018236354
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2019149792
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】15/853,140
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハース, ラースロー
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-165796(JP,A)
【文献】特開2013-130434(JP,A)
【文献】米国特許第08981810(US,B1)
【文献】米国特許第09602110(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K1/00-G01K19/00
G09C1/00-G09C5/00
H03K3/00-H03K3/86
H03K19/003-H03K19/091
H04K1/00-H04K3/00
H04L9/00-H04L9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路システムであって、
リング構成で接続された第1の複数の論理ゲートを含むリングオシレータであって、そのリング構成において前記複数の論理ゲートのうちの最後のものを除く各々の出力が前記複数の論理ゲートの次のもののための入力として使用され、前記複数の論理ゲートの前記最後のものの前記出力は前記複数の論理ゲートのうちの最初のものにフィードバックされ、そのための入力として使用されるリングオシレータ(101)と;
制御された量の熱を発生するように構成されたヒータ(103)を実装するように構成された第2の複数の論理ゲートであって、前記リングオシレータの温度を測定するように構成された温度センサ(104)も実装するように構成されている第2の複数の論理ゲート(102)と;
前記ヒータと前記温度センサとに接続された1つ以上の論理回路であって、前記リングオシレータの前記温度が複数の所定の温度のうちの1つになるまでに限り前記リングオシレータを加熱する前記ヒータを制御し、その間又はその後で前記リングオシレータが起動し動作するように構成されている1つ以上の論理回路(105,106)と
を備え、
前記第2の複数の論理ゲート(102)が、前記ヒータ(103)である第2のリングオシレータと、前記温度センサ(104)である他のリングオシレータとを実装するように構成されている、集積回路システム(100)。
【請求項2】
記ヒータを制御するように構成されている前記1つ以上の論理回路(105,106)が、調整可能な数の前記第2の複数の論理ゲートを切り替えて前記第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによって前記リングオシレータ(101)を加熱するように構成されていることを含む、請求項1に記載の集積回路システム(100)。
【請求項3】
前記第2の複数の論理ゲート(102)が、直列に接続され、かつ、前記ヒータを実装するように構成されている複数の否定論理積(NAND)ゲート(210)を含み、前記複数のNANDゲートの最初のものの入力(215)がクロック信号を受信するように構成されており、
前記ヒータを制御するように構成されている前記1つ以上の論理回路(105,106)が、調整可能な数の前記複数のNANDゲートを切り替えて前記複数のNANDゲートに調整可能な量の熱を発生させ、それによって前記リングオシレータ(101)を加熱するように構成されていることを含む、請求項1又は2に記載の集積回路システム(100)。
【請求項4】
前記1つ以上の論理回路(105,106)が更に、前記リングオシレータ(101)を起動させ、動作させて、それによって、前記リングオシレータが運転モードで動作可能になる前に前記ヒータ(103)からの熱に追加するために熱を発生させるように構成されている、請求項1-3のいずれか一項に記載の集積回路システム(100)。
【請求項5】
記リングオシレータ(101)の前記温度を測定するように構成されている前記温度センサが、前記他のリングオシレータの発振周波数と、前記他のリングオシレータの前記発振周波数と前記他のリングオシレータの温度との間の既知の関係とに基づいて前記他のリングオシレータの前記温度を測定するように構成されていることを含み、前記リングオシレータの前記温度が前記他のリングオシレータの前記温度と解釈される、請求項1-4のいずれか一項に記載の集積回路システム(100)。
【請求項6】
前記他のリングオシレータの前記発振周波数と前記他のリングオシレータの前記温度との間の前記既知の関係が、前記複数の所定の温度のそれぞれに対する前記温度センサのそれぞれの発振周波数を示すデータにおいて規定される、請求項5に記載の集積回路システム(100)。
【請求項7】
記ヒータを制御するように構成されている前記1つ以上の論理回路(105,106)が、調整可能な数の前記第2の複数の論理ゲートを切り替えて前記第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによって前記リングオシレータ(101)を加熱するように構成されることを含み、かつ、
前記リングオシレータの前記温度を測定するように構成された前記温度センサが、前記他のリングオシレータの発振周波数と、前記他のリングオシレータの前記発振周波数と前記他のリングオシレータの温度との間の既知の関係とに基づいて前記他のリングオシレータの前記温度を測定するように構成されることを含み、前記リングオシレータの前記温度は前記他のリングオシレータの前記温度と解釈される、請求項1-6のいずれか一項に記載の集積回路システム(100)。
【請求項8】
前記第2の複数の論理ゲート(102)が、互いに接続されている複数のリングオシレータを実装するように構成され、かつ、前記温度センサ(104)を実装するように構成されており、
前記リングオシレータ(101)の前記温度を測定するように構成されている前記温度センサが、前記複数のリングオシレータの発振周波数と、前記複数のリングオシレータの前記発振周波数と温度との間の既知の関係とに基づいて前記複数のリングオシレータの温度を測定するように構成されていることを含み、前記リングオシレータの前記温度が前記複数のリングオシレータの前記温度から導出される、請求項1-7のいずれか一項に記載の集積回路システム(100)。
【請求項9】
前記リングオシレータ(101)が前記温度センサ(104)であり、前記リングオシレータの前記温度を測定するように構成されている前記温度センサが、前記リングオシレータの発振周波数と、前記リングオシレータの前記発振周波数と前記リングオシレータの温度との間の既知の関係とに基づいて前記リングオシレータの前記温度を測定するように構成されることを含む、請求項1-8のいずれか一項に記載の集積回路システム(100)。
【請求項10】
前記リングオシレータ(101)は、複数の所定の発振周波数が複数の所定の発振周波数のうちの1つで動作するように構成されており、前記複数の所定の温度が前記複数の所定の発振周波数に対するそれぞれの温度を含む、請求項1-9のいずれか一項に記載の集積回路システム(100)。
【請求項11】
請求項1-10のいずれか一項に記載の集積回路システム(100)によって実施される方法であって、前記集積回路システムが、リング構成で接続された第1の複数の論理ゲートを含むリングオシレータ(101)を備え、このリング構成において前記複数の論理ゲートのうちの最後のものを除く各々の出力が前記複数の論理ゲートの次のもののための入力として使用され、前記複数の論理ゲートの前記最後のものの前記出力は前記複数の論理ゲートのうちの最初のものにフィードバックされ、そのための入力として使用され;前記方法が、
ヒータ(103)を実装する第2の複数の論理ゲート(102)を使用して、制御された量の熱を発生させること(301);
温度センサ(104)を実装する前記第2の複数の論理ゲートを使用して、前記リングオシレータの温度を測定すること(302);及び
前記リングオシレータの前記温度が複数の所定の温度のうちの1つになるまでに限り前記リングオシレータを加熱する前記ヒータを制御し、その間又はその後で前記リングオシレータが起動し動作する、制御すること(303)を含む、方法(300)。
【請求項12】
前記ヒータ(103)を実装する前記第2の複数の論理ゲート(102)を使用することが、前記ヒータである第2のリングオシレータを実装する前記第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、かつ、
前記ヒータを制御することが、調整可能な数の前記第2の複数の論理ゲートを切り替えて前記第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによって前記リングオシレータ(101)を加熱することを含む、請求項11に記載の方法(300)。
【請求項13】
前記第2の複数の論理ゲート(102)が直列に接続されている複数の否定論理積(NAND)ゲート(210)を含み、前記ヒータ(103)を実装する前記第2の複数の論理ゲートを使用することが、前記ヒータ(103)を実装する前記複数のNANDゲートを使用することを含み、前記複数のNANDゲートの最初のものの入力(215)がクロック信号を受信し、かつ、
前記ヒータを制御することが、調可能な数の前記複数のNANDゲートを切り替えて前記複数のNANDゲートに調整可能な量の熱を発生させ、それによって前記リングオシレータ(101)を加熱することを含む、請求項11又は12に記載の方法(300)。
【請求項14】
前記リングオシレータ(101)を起動させ、動作させて、それによって、前記リングオシレータが運転モードで動作可能になる前に前記ヒータ(103)からの熱に追加するために熱を発生させることを更に含む、請求項11-13のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項15】
前記温度センサ(104)を実装する前記第2の複数の論理ゲート(102)を使用することが、前記温度センサである他のリングオシレータを実装する前記第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、かつ、
前記リングオシレータ(101)の前記温度を測定することが、前記他のリングオシレータの発振周波数と、前記他のリングオシレータの前記発振周波数と前記他のリングオシレータの温度との間の既知の関係とに基づいて前記他のリングオシレータの前記温度を測定することを含み、前記リングオシレータの前記温度が前記他のリングオシレータの前記温度と解釈される、請求項11-14のいずれか一項に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、集積回路の感温構成要素の内部温度安定化に関し、特にヒータ及び温度センサを使用する集積回路の感温構成要素の内部温度安定化に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路内のいくつかの電子機器は、温度に敏感である。感温回路は、変化する温度の下では予測不能に動作する。 リングオシレータは、そのような温度に敏感な回路である。リングオシレータは、情報セキュリティで使用される真の乱数を生成するためのエントロピー源として、及びチップに実質的に一意のID番号を提供する物理的複製不可能関数(PUF)の構成要素として使用され得る。しかしリングオシレータは、起動時に内部温度を急速に変化させ、それが回路ノイズ及び環境影響と共に多数の予測不可能な発振周波数をもたらす。リングオシレータの起動時の挙動のこの不確実性が、利用可能なエントロピーを予測不可能にし、PUF値を信頼できないものにし、ゆえに情報セキュリティに害を及ぼす可能性がある。したがって、起動時にリングオシレータの温度を安定させることが望まれる。
【0003】
リングオシレータなどの感温回路の温度を安定させるための既存の解決策の一つは、感温回路をサーモスタット制御エンクロージャー内に配置することが含まれるが、これは大きすぎ、高価な上に、まだ実用には時間がかかる。もう一つの既存の解決策は、感温回路を修正してその熱特性を改善することであるが、これは限定的で、不安定かつ高価である。第3の既存の解決策は、製造時に回路挙動を測定し、それを現場で埋め合わせることであるが、これではリングオシレータの多数の予測不可能な発振周波数を扱うことができない。
【0004】
したがって、上記の問題点のうちの少なくともいくつかと、起こりうる他の問題点を考慮した、システム及び方法を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示の例示的な実装形態 は、ヒータ及び温度センサを使用した感温回路用の温度安定化に関する。既存の解決策とは対照的に、例示的な実装形態は、リングオシレータなどの感温回路に直接温度安定化を提供する。したがって、例示的な実装形態は、任意の外部調整温度に対する大幅かつ変わりやすい温度差をなくすことができる。また、例示的な実装形態は、低コストで標準的な論理ゲートによって構築されたヒータ及び高感度温度センサを提供する。
【0006】
ゆえに本開示は、下記の例示的な実装形態を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0007】
いくつかの例示的な実装形態は、方法を提供する。該方法は、リング構成で接続された第1の複数の論理ゲートを含むリングオシレータを備えた集積回路システムによって実施される方法であって、このリング構成において複数の論理ゲートのうちの最後のものを除く各々の出力が複数の論理ゲートの次のもののための入力として使用され、複数の論理ゲートの最後のものの出力は複数の論理ゲートのうちの最初のものにフィードバックされ、そのための入力として使用される。該方法は、ヒータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用して制御された量の熱を発生させること、温度センサを実装する第2の複数の論理ゲートを使用してリングオシレータの温度を測定すること、及びリングオシレータの温度が複数の所定の温度のうちの1つになるまでに限りリングオシレータを加熱するヒータを制御し、その間又はその後でリングオシレータは起動し動作する、制御することを含む 。
【0008】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、ヒータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することは、ヒータである第2のリングオシレータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、この場合ヒータを制御することが、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータを加熱することを含む。
【0009】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、第2の複数の論理ゲートは、直列に接続された複数の否定論理積(NAND)ゲートを含み、かつ、ヒータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することは、ヒータを実装する複数のNANDゲートを使用することを含み、この場合ヒータを制御することが、調整可能な数の複数のNANDゲートを切り替えて複数のNANDゲートに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータを加熱することを含む。
【0010】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、リングオシレータを起動させ、動作させて、それによって、リングオシレータが運転モードで動作可能になる前にヒータからの熱への補給として熱を発生させることを更に含む。
【0011】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、温度センサを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することは、温度センサである他のリングオシレータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、この場合リングオシレータの温度を測定することが、他のリングオシレータの発振周波数と、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係とに基づいて他のリングオシレータの温度を測定することを含み、リングオシレータの温度は他のリングオシレータの温度と解釈される。
【0012】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係は、複数の所定の温度のそれぞれに対する温度センサのそれぞれの発振周波数を示すデータにおいて規定される。
【0013】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、ヒータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することは、ヒータである第2のリングオシレータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、また、温度センサを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することは、温度センサである他のリングオシレータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、この場合ヒータを制御することが、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータを加熱することを含み、かつ、リングオシレータの温度を測定することが、他のリングオシレータの発振周波数と、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係とに基づいて他のリングオシレータの温度を測定することを含み、リングオシレータの温度は他のリングオシレータの温度と解釈される。
【0014】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、温度センサを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することは、温度センサであり、 互いに接続された複数のリングオシレータを実装する第2の 複数の論理ゲートを使用することを含み、この場合リング・オシリングオシレータの温度を測定することは、複数のリングオシレータの発振周波数と、複数のリングオシレータの発振周波数と温度の間の既知の関係とに基づいて複数のリングオシレータの温度を測定することを含み、リングオシレータの温度は複数のリングオシレータの温度から導出される。
【0015】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、リングオシレータは温度センサであり、この場合リングオシレータの温度を測定することは、リングオシレータの発振周波数と、リングオシレータの発振周波数とリングオシレータ.の温度の間の既知の関係とに基づいてリングオシレータの温度を測定することを含む。
【0016】
前述の例示的実装形態の方法のいくつかの例示的実装形態、又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせにおいて、リングオシレータは、複数の所定の発振周波数のうちの1つで動作し、この場合複数の所定の温度は、複数の所定の発振周波数のそれぞれに対するそれぞれの温度を含む。
【0017】
いくつかの例示的な実装形態は、前述の例示的実装形態の方法又は前述の例示的実装形態の任意の組み合わせを少なくとも実施するように構成された1つ以上の論理回路を備える集積回路システムを提供する。
【0018】
本開示のこれら及びその他の特徴、態様及び利点は、後に簡単に記載する添付図面と共に以下の詳細な説明を読むことから明らかになろう。本開示は、本開示に明記される2つ、3つ、4つ又はそれ以上の特徴又は要素の任意の組み合わせ(それらが本明細書に記載の特定の例示的な実装形態において明示的に組み合わされているか、あるいは列挙されているか否かにかかわらず)を含む。本開示は、本開示のいかなる分離可能な特徴又は要素も、本開示の文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、その態様及び例示的な実装形態のいずれにおいても組合せ可能であるとみなされるように、全体として読まれることが意図される。
【0019】
したがって、この「発明の概要」は、本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、いくつかの例示的な実装形態を要約することのみを目的に提供されている。したがって、上述の例示的な実装形態は単なる例であり、本開示の範囲又は趣旨を狭めるものと解釈されるものでは決してない。その他の例示的な実装形態、態様及び利点は、添付図面と併せて下記の詳細な説明を参照することで明らかになろう。添付図面は、例として、いくつかの記載されている例示的な実装形態の原理を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
上記のように本開示の例示的な実装形態を一般的な用語で説明したが、これより添付図面を参照する。これらの図面は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
図1】本開示の例示的な実装形態による集積回路システムを示す。
図2A】様々な例示的な実装形態によるリングオシレータを示す。
図2B】様々な例示的な実装形態による、直列に接続された複数の否定論理積(NAND)ゲートを示す。
図3】様々な例示的な実装形態による、集積回路システム内のリングオシレータの温度を安定化させる方法における様々なステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面を参照して、本開示のいくつかの実装形態について、以下でより詳しく説明する。添付図面には本開示の実装形態の一部が示されているが、すべてが示されているわけではない。実際のところ、本開示の様々な実装形態は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に明記されている実装形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの例示的な実装形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本開示の範囲が十分に伝わるように提供されている。例えば、特に明記されない限り、何かを「第1の」、「第2の」などと称することは、特定の順序を意味すると解釈されないものとする。また、(特に明記されない限り)何かが他の何かの上方にあると説明されることがあっても、そうではなく下にあることもあり、逆もまた然りである。同様に、何かが他の何かの左側にあると説明される物が、そうではなく右側にあることもあり、逆もまた然りである。全体を通して、同じ 参照番号は同じ要素を指す。
【0022】
本開示に例示的な実装形態は、概して、集積回路の感温構成要素の内部温度安定化に関し、特にヒータ及び温度センサを使用する集積回路の感温構成要素の内部温度安定化に関する。
【0023】
図1は、本開示の例示的な実装形態による集積回路システム100を示す。集積回路システムは、少なくともいくつかがマルチプレクサ、レジスタ、論理演算装置、メモリ、マイクロプロセッサ等の論理回路を含むか、又はそれらを使用して実装することができる各複数の構成要素、装置 等(一般に「構成要素」)のうちの1つ以上を含み得る。集積回路システムは、複数の異なるアプリケーションのいずれのために設計されてもよく、集積回路システム内のリングオシレータの温度を安定させるために特定の適応性 を有してもよい。
【0024】
一例では、リングオシレータを含む集積回路システム100は、安全なアプリケーションによってコンピュータシステム内にセキュリティを提供することができる。例えば、リングオシレータは、真の乱数を生成し、シードとして疑似乱数発生器に提供することができる。疑似乱数発生器は、シードを使用して疑似乱数を生成し、コンピュータシステム内に安全なアプリケーションを提供することができる。安全なアプリケーションは、疑似乱数を使用してコンピュータシステム内で使用される暗号文又はメッセージ認証コードのブロックを生成するためのキージェネレータを含み得る。
【0025】
いくつかの例では、図のように、集積回路システムはリングオシレータ101(又は別の感温回路)を含む。リングオシレータは、リング構成で接続された第1の複数の論理ゲートを含む。リング構成では、複数の論理ゲートのうちの最後のものを除く各々の出力は、複数の論理ゲートのうちの次のもののための入力として使用される。複数の論理ゲートのうちの最後のものの出力は、複数の論理ゲートのうちの最初のものにフィードバックされ、そのための入力として使用される。リングオシレータはまた、リングオシレータを有効にするためにイネーブル信号を受信するように構成されたイネーブル入力を含む。リングオシレータのいくつかの例を下記の図2Aに記載する。
【0026】
いくつかの例では、集積回路システム100は、第2の複数の論理ゲートを含む。第2の複数の論理ゲートは、制御された量の熱を発生するように構成されているヒータ103と、リングオシレータ101の温度を測定するように構成されている温度センサ104とを実装するように構成されている。
【0027】
いくつかの例では、集積回路システム100は、ヒータ103と温度センサ104とに接続された温度コントローラ105を含む。温度コントローラは、リングオシレータの温度が複数の所定の温度のうちの1つになるまでに限りリングオシレータ101を加熱するヒータを制御し、その間又はその後でリングオシレータが起動し動作するように構成されている。一例では、複数の所定の温度は、0、20、40、60、80、100、120及び140C°とするか又はそれらを含むことができる。
【0028】
いくつかの例では、第2の複数の論理ゲート102は、ヒータ103である第2のリングオシレータ(下記の図2Aに示す)を実装するように構成されている。温度コントローラ105は、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ101を加熱するように構成されている。
【0029】
いくつかの例では、第2の複数の論理ゲート102は、(下記の図2Bに示すように)直列に接続された複数のNANDゲートを含む。複数のNANDゲートは、ヒータ103を実装するように構成される。複数のNANDゲートのうちの最初のものの入力は、クロック信号を受信するように構成される。温度コントローラ105は、調整可能な数の複数のNANDゲートを切り替えて複数のNANDゲートに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ101を加熱するように構成される。
【0030】
いくつかの例では、集積回路システム100は、制御論理106を含む。制御論理106は、リングオシレータ101を起動させ、動作させて、それによって、リングオシレータが運転モードで動作可能になる前にヒータ103からの熱への補給として熱を発生させるように構成されている。
【0031】
いくつかの例では、第2の複数の論理ゲート102は、温度センサ104である他のリングオシレータ(下記の図2Aに示す)を実装するように構成される。温度センサは、他のリングオシレータ(温度センサ自体)の発振周波数と既知の関係とに基づいて、他のリングオシレータの温度を測定するように構成されている。既知の関係は、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の関係である。リングオシレータ101の温度は、他のリングオシレータの温度と解釈される。例えば、他のリングオシレータは、リングオシレータ101の隣にあっても内部にあってもよく、他のリングオシレータの温度は、リングオシレータ101の温度とみなすことができる。
【0032】
いくつかの例において、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係は、複数の所定の温度のそれぞれに対する温度センサのそれぞれの発振周波数を示すデータにおいて規定される。データは、温度センサ104又は温度コントローラ105のメモリに格納することができる。例えば、他のリングオシレータを較正することができる。較正されたデータは、多数の(周波数、温度)対、例えば20…50のそのような対を含む。各対は、他のリングオシレータの所定の温度及び他のリングオシレータの対応する発振周波数を示し得る。
【0033】
いくつかの例では、第2の複数の論理ゲート102は、ヒータ103である第2のリングオシレータ及び温度センサ104である他のリングオシレータを実装するように構成される。温度コントローラ105は、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ101を加熱するように構成されている。
温度センサは、他のリングオシレータ(温度センサ自体)の発振周波数と既知の関係とに基づいて、他のリングオシレータの温度を測定するように構成されている。既知の関係は、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の関係である。これらの例では、リングオシレータ101の温度は、他のリングオシレータの温度と解釈される。
【0034】
いくつかの例では、第2の複数の論理ゲート102は、互いに接続された複数のリングオシレータを実装するように構成され、かつ、温度センサ104を実装するように構成される。温度センサは、複数のリングオシレータの温度を測定するように構成される。測定は、複数のリングオシレータの発振周波数と、複数のリングオシレータの発振周波数と温度の間の既知の関係とに基づく。リングオシレータ101の温度は、複数のリングオシレータの温度から導出される。
【0035】
いくつかの例では、リングオシレータ101は、温度センサ104である。温度センサ(リングオシレータ自体)は、リングオシレータの発振周波数と既知の関係とに基づいてリングオシレータの温度を測定するように構成される。既知の関係は、リングオシレータの発振周波数とリングオシレータの温度の間の関係である。
【0036】
いくつかの例では、リングオシレータ101は、複数の所定の発振周波数のうちの1つで動作するように構成される。複数の所定の温度は、各複数の所定の発振周波数に対するそれぞれの温度を含む。例えば、リングオシレータを較正することができる。較正されたデータは、多数の(周波数、温度)対、例えば20…50のそのような対を含む。各対は、リングオシレータが所定の発振周波数で動作しているときに、所定の発振周波数及び対応する温度を示し得る。
【0037】
図2Aは、様々な例示的な実装形態によるリングオシレータ200を示す。いくつかの例では、図のように、リングオシレータは、リング構成で接続された複数の論理ゲート、例えば論理ゲート201-204を含む。リング構成では、複数の論理ゲートのうちの最後のものを除く各々の出力は、複数の論理ゲートのうちの次のもののための入力として使用される。例えば、図のように、論理ゲート201の出力は、論理ゲート202のための入力として使用され、論理ゲート202の出力は、論理ゲート203のための入力として使用される。また、リング構成においても、複数の論理ゲートのうちの最後のものの出力は、複数の論理ゲートのうちの最初のものにフィードバックされ、そのための入力として使用される。例えば、直列の最後の論理ゲート204の出力は、直列の最初の論理ゲート201にフィードバックされ、そのための入力として使用される。
【0038】
一例では、リングオシレータ200は、リングオシレータの発振を開始及び停止するためのイネーブル信号を受信することができる。イネーブル信号は、発振を開始又は停止する入力と共に、リングオシレータの論理ゲート間のNAND若しくはNORゲート又はラッチの使用を含む当該技術分野で知られている任意の手段によってリングオシレータを開始又は停止することができる。イネーブル信号は、論理ゲート201-204のいずれにも提供され得る。別の例では、イネーブル信号を使用して、ファームウェア搭載マイクロプロセッサかステートマシンを含み得る温度コントローラ105を制御することができる。
【0039】
一例では、リングオシレータ200は、リングオシレータの発振出力のインパルスをカウントするように構成されているカウンタ205を備える。例えば図2に示すように、複数のインバータのうちの最後のもの、例えばインバータ204の出力がカウンタに送られる。カウンタは、1つ以上の所定のカウント期間中に発振期間をカウントすることによってカウンタ値を生成する。カウンタ値は、リングオシレータ200の発振周波数を示す。
【0040】
一例では、リングオシレータ200は、集積回路システム100内のリングオシレータ101とすることができる。別の例では、リングオシレータ200は、ヒータ103である第2のリングオシレータとすることができる。別の例では、リングオシレータ200は、温度センサ104である他のリングオシレータとすることができる。更なる例では、リングオシレータ200は、互いに接続された複数のリングオシレータのうちのいずれか一つであり、かつ、温度センサ104を実装するように構成されているものとすることができる。リングオシレータ200がヒータ103又は温度センサ104として使用される場合、ヒータ103又は温度センサ104は、リングオシレータ101とは異なる数の論理ゲート又は異なる構成を有し得る。
【0041】
図2Bは、様々な例示的な実装形態による、直列に接続された複数のNANDゲート210を示す。一例では、図のように、多数のNANDゲートは、NANDゲート、例えばNANDゲート212-214を含む。前のNANDゲートの出力は、次のNANDゲートの第1の入力に直列に接続されて いる。例えば、NANDゲート211の出力は、NANDゲート212の第1の入力216に接続されている。いくつかの例では、最初のNANDゲート211の第1の入力215は、一定周波数を有するクロック信号によって(例えば周波数=100MHzのシステムクロックによって)供給される。この直列NANDゲート の末尾は、選択されたNANDゲートの第2の入力、例えばNANDゲート214の第2の入力217における論理レベル0のイネーブル信号によって無効にされ得る。この直列 の末尾はまた、異なるNANDゲートの第2の入力において、例えばNANDゲート213の第2の入力において、論理レベル0のイネーブル信号によっても無効にされ得る。いくつかの例では、複数のNANDゲートは、ヒータ103を実装するように構成される。
【0042】
一例では、集積回路の最小寸法(feature size)32nm以下では、温度と共に特定のゲートは減速し、他のゲートは加速する。異なる初期温度では、この傾向は逆になることがある。ゲートが短チャネルMOSFETトランジスタから成る場合、それらの温度に関連する挙動は全く予測不可能であり、製造上のばらつきに左右される。一方、長チャネルトランジスタで組み立てられたゲートは一般に、温度が上昇するにつれて減速する。このようなゲートは、選択された製造技術の標準部品 ライブラリに含まれていても含まれていなくてもよい。
【0043】
一例では、リングオシレータは、発振し始めるとウォームアップする。これは、負荷容量が充電又は放電されている間、エネルギーが内部抵抗で熱に変わるためである(熱に変わるエネルギーは、負荷コンデンサに蓄えられたエネルギーと同じ)。より高い温度は、平衡に達するまで、より速い振動を引き起こし、さらなるウォームアップ(単位時間内のより多くのスイッチングイベントを含み、より多くの容量性負荷が充電又は放電される)をもたらす。高い発振周波数では、信号振幅が減少し始め、消費電力も減少する。このように、平衡は、リングオシレータ.内のシリコンの起こり得る溶融の前に達成される。
【0044】
一例では、上述したこれら2つの傾向の非線形性及び複雑な相互作用は、予測不可能な振動周波数をもたらす可能性がある。特定のリングオシレータの場合、同じ環境条件下で5つを超える、安定しているが予測不可能な発振周波数があり得る。これらのランダム安定発振周波数( random stable oscillation frequencies)(回路ノイズによって多様化する可能性あり)は、リングオシレータを使用する情報セキュリティに害を及ぼす可能性がある。例えば、ランダム安定発振周波数は、リングオシレータベースの物理的複製不可能関数(PUF)回路を誤作動させるか、又はリングオシレータベースのエントロピージェネレータを未知の量の生成エントロピーでテストされていない動作状態にさせることがある。
【0045】
一例では、リングオシレータの予測可能な動作状態は、リングオシレータの周囲の局所温度が安定値に達するまで、リングオシレータ(又は他の感温回路)をしばらく動作させるだけでは達成できない。このように、確かに安定温度に到達させる。しかしながら、これらの温度値は、いくつかの異なる予測不可能な値のうちの1つであり得る。上述のように、同じ環境条件下では、異なる発振周波数と異なる局所温度を有する、5つを超えるリングオシレータに対する安定点(平衡) があり得る。
【0046】
一例では、リングオシレータ101の安定化温度を1つの固定値に設定することは、この温度が集積回路システム100、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)のダイの最大動作温度より高いことを必要とする。集積回路システムは、高温環境で良好に動作することができる。しかし、このアプローチでは、低い周囲温度下で多くのエネルギーを消費する。更に、低温のダイから始まり安定温度に達するまでには長い時間がかかる。一例では、リングオシレータが正確な周波数を有する安定した信号(クロック信号)又は電圧基準を生成するために使用される場合、この単一の高温設定がリングオシレータにとって適切であり得る。
【0047】
一例では、情報セキュリティ用途では、リングオシレータ101の望ましい安定温度は、いくつかのプリセット値のうちの1つであり得る。いくつかのプリセット値は、集積回路システム100の全動作温度範囲内に分布させることができる。望ましい安定温度は、現在の動作条件下でのダイ温度よりも高い可能性がある。安定化温度は、一例では、通常の動作下で、平均ダイ温度より少なくとも20℃高く、又は保護回路(例えばリングオシレータ)から遠く離れて測定された温度に設定することができる。 一例では、集積回路システムが-20…120℃で動作する場合、リングオシレータの目標温度は、0、20、40、60、80、100、120及び140℃とするか又はそれらを含むことができる。非アクティブ保護回路の温度と目標温度との差は、保護回路、例えばリングオシレータ.によって発生する熱に依存し得る。
【0048】
一例では、多温度動作は、ほとんどの用途において較正を必要とする。例えば、リングオシレータに基づくPUF装置は、予め設定された安定温度値のそれぞれにおいて異なる入力を必要とし得る。異なる入力は、PUF装置を配置する前に較正プロセスにおいて決定される必要がある。PUFのための適切な入力は、通常の動作中に簡単に提供される。PUF装置のファームウェアは、現在の安定温度値を取得し、それに応じて動作する。一例では、たとえ温度安定化が実施されないときでも、このような温度較正(例えばリングオシレータベースのPUF装置のためのもの)が必要とされる。この例では、潜在的に多数の対応する較正データセット(例えばリングオシレータベースのPUF装置用のより多くの記憶された入力シーケンス)と共に、多数の温度点が考慮されなければならない。
【0049】
一例では、ヒータ103は、必要に応じて抵抗負荷のオンオフを切り替えることによって、制御された量の熱を発生させることができる。ただし、このアプローチでは、アナログ 部品 、すなわち電流スイッチ及び大きなサイズの(分散)抵抗器が必要であり、これらは高価で、特別に設計された部品であり、一般的に使用されるASIC技術のための標準的なASIC技術のための標準的な部品ライブラリでは入手できない。
【0050】
一例では、ヒータ103は、定期的に多くの論理ゲートのオンオフを切り替えることによって、制御された量の熱を発生させることができる。論理ゲートの負荷コンデンサの充放電電流は、トランジスタの抵抗に熱を発生させる可能性がある。加熱論理ゲートは、リングオシレータ200として、又は直列に接続された複数のNANDゲート210として、それらのスイッチングポイントにおいて自然な遅延を伴って 配置することができる。これらの加熱論理ゲートは、ダイ上の一点に集中していない。代わりに、適切なレイアウト技術を使用して、温度調整を必要とする集積回路システム100の構成要素と共に又はその周りに、加熱論理ゲートをインターリーブすることができる。一例では、ヒータはリングオシレータを加熱するために、リングオシレータ101の隣とすることができる。
【0051】
いくつかの例では、第2の複数の論理ゲート102は、ヒータ103である第2のリングオシレータ(可変長を有する)を実装するように構成される。温度コントローラ105は、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ101を加熱するように構成されている。例えば第2のリングオシレータ、例えばリングオシレータ200は、可変長のリングを有し得る(マルチプレクサは多数のフィードバックポイントのうちの1つをアクティブ化し、それにより論理ゲート201-204などの論理ゲートの変数を選択する)。一例では、第2のリングオシレータは、十分な数の論理ゲートを有する十分に長いリングオシレータであり得る。十分に長いリングオシレータは、リングの長さにかかわらず、ほぼ同じ電力を消費する。十分に長いリングオシレータでは、ゲート遅延の各期間後に1つのスイッチングイベントがあり、これらのスイッチングイベントは、負荷コンデンサを完全に充電/放電する。トランジスタのチャネル抵抗によって、ゲートの出力トランジスタに熱が発生する可能性がある。
【0052】
一方、(可変長を有する)第2のリングオシレータが短くなると、消費電力は減少する。つまり、負荷コンデンサが完全に充電又は放電される前に、充電電流が逆になる。信号振幅は、全電源電圧範囲よりも小さい。したがって、第2のリングオシレータの調整可能な数の論理ゲートを切り替えることによって、調整可能な量の熱を発生させることができる。一例では、第2のリングオシレータの調整可能な数の論理ゲートを切り替えるために、第2のリングオシレータ(ロングリングオシレータ)のフィードバックポイントを、リングを短くする(かつ、除外ゲートを停止させる)ように)、マルチプレクサで選択することができる。リングを短くすると消費電力が少なくなり、熱がより少なくなる。
【0053】
いくつかの例では、第2の複数の論理ゲート102は、直列に接続された複数のNANDゲート210(鎖状)を含む。複数のNANDゲートは、ヒータ1003を実装するように構成される。温度コントローラ105は、調整可能な数の複数のNANDゲート(例えばNANDゲート211-214)を切り替えて複数のNANDゲートに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ101を加熱するように構成されている。一例では、NANDゲートは非常に速く切り替わるため、現在のゲートがその負荷コンデンサ(これは次のゲートの入力容量である)をまだ充電している間に、次のゲートはすでに電力を消費し始める。その結果、テールストップポイントに達するまで安定した電流が流れる。鎖が十分に長い場合、多数のゲートが同時に切り替わる(t=1/f間隔のトータル遅延 )。したがって、複数のNANDゲートは、ヒータの制御範囲が広く、温度制御が線形であり、いかなるサイドチャネル漏洩も無関係であるという利点を提供することができる。
【0054】
上記と同様に、調整可能な数の複数のNANDゲートを切り替えることによって、調整可能な量の熱を発生させることができる。一例では、調整可能な数の複数のNANDゲートを切り替えるために、直列NANDゲートの末尾は、選択されたNANDゲートの第2の入力、例えばNANDゲート214の第2の入力217における論理レベル0の論理信号によって無効にされ得る。
【0055】
一例では、保護回路(例えばリングオシレータ101)もまた、安定した動作状態になくても、ウォームアップ期間中に(制御論理106によって)切り替えられ、加熱に寄与することができる。この例では、制御論理106は、リングオシレータを起動させ、動作させて、それによって、リングオシレータが運転モードで動作可能になる前にヒータ103からの熱に追加するために熱を発生させるように構成される。
【0056】
一例では、温度センサは、様々な集積回路技術用に提供されているゲートライブラリの一部ではないアナログ温度センサとすることができる。アナログ温度センサは、大きくて遅くて高価であり得る。アナログ温度センサは一方、あまり熱を発生せず、ヒータ103とは無関係であり、利用可能なサイド,チャネル漏洩が全くない。
【0057】
一例では、温度センサ104は、(例えば論理ゲートの標準ライブラリから取られた)長チャネルの出力トランジスタを有するゲートのリングオシレータ(例えばリングオシレータ200)とすることができる。このようなリングオシレータの発振周波数は温度と共に単調に減少するため、長チャネルトランジスタを有するリングオシレータは、温度を測定することができる。周期カウンタは、予め設定された長さの時間、発振周期をカウントすることによって温度センサ(長チャネルトランジスタを有するリングオシレータ)の発振周波数を測定することができる。測定された発振周波数に基づいて、温度センサの温度は、発振周波数と温度の間の単調な関係に基づいて決定され得る。必要に応じて、測定を再開できる。一例では、温度センサは、リングオシレータ101の隣又は内側とすることができる。したがって、温度センサの温度は、リングオシレータの温度とみなすことができる。すなわち、リングオシレータ101の温度は、温度センサ(長チャネルトランジスタを有するリングオシレータ)の温度と解釈することができる。
【0058】
一例では、目標温度よりも低い/高い比較結果しか必要とされない限り、長チャネルトランジスタを有するリングオシレータは、較正を必要とする。較正データは、各目標温度に対するリングオシレータの予測カウンタ値(予測周波数)を含み得る。リングオシレータベースの温度センサは、熱を発生し、集積回路システム100のダイを局所的に加熱することができる。そのため、消費電力の少ない、高周波のリングオシレータを温度センサとして使用することができる。
【0059】
別の例では、温度センサ104は、短チャネルトランジスタを有するリングオシレータ(例えばリングオシレータ200)とすることができる。このようなリングオシレータの場合、発振周波数対温度関数F=f(T)は、最初に(低い温度から)ある一定のターンアラウンド温度まで上がり、その後該周波数は、更に上昇する温度につれて減少する。ここで、Fは測定された発振周波数であり、Tは温度センサの対応する温度である。ターンアラウンド温度Tは、動作温度範囲外であってもよく、その場合周波数は温度の単調関数である。短チャネルトランジスタを有するリングオシレータを温度センサ104として使用する場合、1)ある周波数値が1つの温度に対応する、及び2)他の周波数値が2つの異なる温度で現れる、という2つの可能性がある。
【0060】
一例では、同じ発振周波数をもたらす2つの温度が存在するとき、発振周波数対温度関数の微分f’(T)は、異なる兆候、 すなわち、より低い温度Tで、該周波数は温度と共に増加し(f’(T)>0)、より高い温度Tで、該周波数は温度と共に減少する(f’(T)<0)という兆候を有する。較正データは、カウンタ値から決定された予測(平均)頻度を使用して、例えば温度槽内の等間隔のいくつか(n)の温度点で収集することができる。関数f(T)が常に滑らかなため、nの実際の値 は、20…50である。内挿を使用して、関数f(T)とその微分f’(T)を妥当な精度で再構築することができる。
【0061】
一例では、真の温度は、逆関数f-1に内挿することによって、測定周波数Fから決定される。測定周波数Fが2つの温度、T<T(f-の2つの分岐 への内挿によって決定される)と一致する場合、発熱体によって発生する熱をわずかに増加させるという追加のステップが実行される。発振器周波数も増加すると、実際の温度はT=T、あるいはT=Tになる。一例では、温度センサ104は、リングオシレータ101の隣又は内側とすることができる。リングオシレータ101の温度は、温度センサ(短チャネルトランジスタを有するリングオシレータ)の温度と解釈することができる。
【0062】
一例では、周波数が目標外であるとき、発熱量 は、記憶された微分から計算された量だけ、及び予測カウンタ値と実際のカウンタ値との差分だけ低減又は増加させることができる。短チャネルトランジスタを有するリングオシレータ(例えばリングオシレータ200)を温度センサ104として使用すると、ハードウェアが低コストの標準論理ゲートのみで単純であるという利点を提供することができる。一例では、温度が頻繁に測定される場合、小さな変化が予想される。小さな変化は、少なくとも温度がターンアラウンド温度Tに近くないとき、余分な熱を加えることなく真の温度値を得ることを可能にする。
【0063】
一例では、温度センサ104は、互いに隣接して(かつ、保護リングオシレータ101の隣に)配置された複数のリングオシレータ、例えば多数のリングオシレータ200を含む。例えば、温度センサは、2つのリングオシレータを含むことができる。2つのリングオシレータは、異なる発振周波数対温度関数、F=f(T)とF=f(T)を有する。1つのリングオシレータによる複数の 温度測定値に曖昧さがある場合:f(T)=f(T)、異なる周波数対温度関数を有する第2の異なるリングオシレータは、同じ曖昧さを有しないであろう:f(T)≠f(T)。温度コントローラ105は、両方のリングオシレータの較正データを使用して、正しい温度値を決定することができる。一例では、たとえfが曖昧であっても、曖昧な温度推定値は真の温度とだけ一致する。
【0064】
一例では、リングオシレータ101は、それ自体の温度センサ104とすることができる。したがって、リングオシレータは上述のように、発振周波数対温度関数F=f(T)を使用して、それ自体の温度を測定することができる。リングオシレータがそれ自体の温度センサでもある場合、それを意図した目的のために実際に使用する前に、スイッチをオンにする必要がある。これにより、サイドチャネルで漏洩する情報が増加する可能性がある。しかしながら、起動時にリングオシレータの温度は急速に変化することから、このサイドチャネル漏洩は重大なセキュリティ問題ではなく、したがって漏洩情報は実際の動作条件に関係しない。
【0065】
一例では、集積回路システム100は、温度に敏感な多数のリングオシレータ101を含む。これら多数のリングオシレータはそれ自身の温度センサであり得るため、追加の熱を加える必要がない。この例では、リングオシレータエントロピー源に対する位相トラッキング攻撃 及びリングオシレータベースのPUF装置に対するロックアンドフォロー攻撃 を阻止するために、リングオシレータをオフにして、直ちにオンに戻すことができる。別の例では、ヒータ103と温度センサ104は、同じリングオシレータであり得る。
【0066】
一例では、リングオシレータ101が起動すると、ダイの局部温度が上昇する。温度センサ104がこの熱を検知し、その応答として温度コントローラ105が発生熱を減らす。これは、リングオシレータの起動時に、不安定性を伴う温度スイングを引き起こす。温度スイングは、発熱量をリングオシレータの電力と同じ量だけ減少させることによって緩和することができる。起動時の温度スイングが最小になるように、熱低減量を較正時に決定することができる。別の例では、リングオシレータは、(不安定な)起動時にすぐには使用されず、ある期間後にのみ使用される。しかしながら、これは、サイドチャネルでの情報漏洩を増加させる可能性がある。
【0067】
図3は、様々な例示的な実装形態による、集積回路システム内のリングオシレータの温度を安定化させる方法300における様々なステップを示すフローチャートである。該方法は、集積回路システム100によって実施 される。該集積回路システムは、リング構成で接続された第1の複数の論理ゲートを備えるリングオシレータを含む。リング構成では、複数の論理ゲートのうちの最後のものを除く各々の出力は、複数の論理ゲートのうちの次のもののための入力として使用される。複数の論理ゲートのうちの最後のものの出力は、複数の論理ゲートのうちの最初のものにフィードバックされ、そのための入力として使用される。ブロック301において、該方法は、ヒータ103を実装する第2の複数の論理ゲート102を使用して、制御された量の熱を発生させることを含む。ブロック302において、該方法は、温度センサ104を実装する第2の複数の論理ゲート102を使用して、リングオシレータの温度を測定することを含む。ブロック303において、該方法は、リングオシレータの温度が複数の所定の温度のうちの1つになるまでに限りリングオシレータを加熱するヒータを制御し、その間又はその後でリングオシレータが起動し動作する、制御することを含む。
【0068】
このセクションでは、本開示のシステム及び方法の追加の態様及び特徴が説明されるが、それらは限定されずに一連の段落として提示され、一連の段落の一部又は全部は、明確性及び効率のために英数字で示される。
【0069】
A1. リング構成で接続された第1の複数の論理ゲートを含むリングオシレータ(101)であって、このリング構成において複数の論理ゲートのうちの最後のものを除く各々の出力が、複数の論理ゲートのうちの次のもののための入力として使用され、複数の論理ゲートのうちの最後のものの出力は、複数の論理ゲートのうちの最初のものにフィードバックされ、そのための入力として使用されるリングオシレータと;第2の複数の論理ゲート(102)であって、制御された量の熱を発生するように構成されているヒータ(103)を実装するように構成され、また、リングオシレータの温度を測定するように構成されている温度センサ(104)を実装するように構成されている第2の複数の論理ゲート;及びヒータと温度センサとに接続された1つ以上の論理回路(105,106)であって、リングオシレータの温度が複数の所定の温度のうちの1つになるまでに限りリングオシレータを加熱するヒータを制御し、その間又はその後でリングオシレータが起動し動作するように構成されている1つ以上の論理回路を備える、集積回路システム(100)。
【0070】
A2. 段落A1の集積回路システム(100)であって、第2の複数の論理ゲート(102)が、ヒータ(103)である第2のリングオシレータを実装するように構成され、かつ、ヒータを制御するように構成されている1つ以上の論理回路(105,106)が、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ(101)を加熱するように構成されていることを含む、集積回路システム。
【0071】
A3. 段落A1の集積回路システム(100)であって、第2の複数の論理ゲート(102)が、直列に接続され、かつ、ヒータを実装するように構成されている複数の否定論理積(NAND)ゲート(210)を含み、複数のNANDゲートのうちの最初のものの入力(215)が、クロック信号を受信するように構成され、かつ、ヒータを制御するように構成されている1つ以上の論理回路(105,106)が、調整可能な数の複数のNANDゲートを切り替えて複数のNANDゲートに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ(101)を加熱するように構成されている、集積回路システム。
【0072】
A4. 段落A1の集積回路システム(100)であって、1つ以上の論理回路(105,106)がさらに、リングオシレータ(101)を起動させ、動作させて、それによって、リングオシレータが運転モードで動作可能になる前にヒータ(103)からの熱への補給として熱を発生させるように構成されている、集積回路システム。
【0073】
A5. 段落A1の集積回路システム(100)であって、第2の複数の論理ゲート(102)が、温度センサ(104)である他のリングオシレータを実装するように構成されており、かつ、リングオシレータ(101)の温度を測定するように構成されている温度センサは、他のリングオシレータの発振周波数と、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係とに基づいて、他のリングオシレータの温度を測定するように構成されることを含み、リングオシレータの温度は他のリングオシレータの温度と解釈される、集積回路システム。
【0074】
A6. 段落A5の集積回路システム(100)であって、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係が、複数の所定の温度のそれぞれに対する温度センサのそれぞれの発振周波数を示すデータにおいて規定される、集積回路システム。
【0075】
A7. 段落A1の集積回路システム(100)であって、第2の複数の論理ゲート(102)が、ヒータ(103)である第2のリングオシレータと、温度センサ(104)である他のリングオシレータとを実装するように構成されており、
ヒータを制御するように構成されている1つ以上の論理回路(105,106)が、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ(101)を加熱するように構成されることを含み、かつ、
リングオシレータの温度を測定するように構成された温度センサが、他のリングオシレータの発振周波数と、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係とに基づいて他のリングオシレータの温度を測定するように構成されることを含み、リングオシレータの温度は他のリングオシレータの温度と解釈される、
集積回路システム。
【0076】
A8. 段落A1の集積回路システム(100)であって、第2の複数論理ゲート(102)が互いに接続された複数のリングオシレータを実装するように構成され、かつ、温度センサ(104)を実装するように構成されており、リングオシレータ(101)の温度を測定するように構成されている温度センサが、複数のリングオシレータの発振周波数と、複数のリングオシレータの発振周波数と温度の間の既知の関係とに基づいて複数のリングオシレータの温度を測定するように構成されることを含み、リングオシレータの温度は複数のリングオシレータの温度から導出される、
集積回路システム。
【0077】
A9. 段落A1の集積回路システム(100)であって、リングオシレータ(101)が温度センサ(104)であり、リングオシレータの温度を測定するように構成されている温度センサがリングオシレータの発振周波数と、リングオシレータの発振周波数とリングオシレータの温度の間の既知の関係とに基づいて複数のリングオシレータの温度を測定するように構成されることを含む、集積回路システム。
【0078】
A10. 段落A1の集積回路システム(100)であって、リングオシレータ(101)が複数の所定の発振周波数のうちの1つで動作するように構成されており、複数の所定の温度が各複数の所定の発振周波数に対するそれぞれの温度を含む、集積回路システム。
【0079】
B11. 集積回路システム(100)によって実施される 方法(300)であって、集積回路システムは、リング構成で接続された第1の複数の論理ゲートを含むリングオシレータ(101)を備え、このリング構成において複数の論理ゲートのうちの最後のものを除く各々の出力が複数の論理ゲートの次のもののための入力として使用され、複数の論理ゲートの最後のものの出力は複数の論理ゲートのうちの最初のものにフィードバックされ、そのための入力として使用され;ヒータ(103)を実装する第2の複数の論理ゲート(102)を使用して制御された量の熱を発生させること(301);温度センサ(104)を実装する第2の複数の論理ゲートを使用してリングオシレータの温度を測定すること(302);及びリングオシレータの温度が複数の所定の温度のうちの1つになるまでに限りリングオシレータを加熱するヒータを制御し、その間又はその後でリングオシレータが起動し動作する、制御すること(303)
を含む、方法。
【0080】
B12. 段落B11の方法(300)であって、ヒータ(103)を実装する第2の複数の論理ゲート(102)を使用することが、ヒータである第2のリングオシレータを実装する第2の複数論理ゲートを使用することを含み、かつ、
ヒータを制御することが、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ(101)を加熱することを含む、方法。
【0081】
B13. 段落B11の方法(300)であって、第2の複数の論理ゲート(102)が、直列に接続された複数の否定論理積(NAND)ゲート(210)を含み、かつ、ヒータ(103)を実装する第2の複数論理ゲートを使用することは、ヒータを実装する複数のNANDゲートを使用することを含み、複数のNANDゲートののうちの最初のものの入力(215)がクロック信号を受信し、ヒータを制御することが、調整可能な数の複数のNANDゲートを切り替えて複数のNANDゲートに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ(101)を加熱することを含む、方法。
【0082】
B14. 段落B11の方法(300)であって、リングオシレータ(101)を起動させ、動作させて、それによって、リングオシレータが運転モードで動作可能になる前にヒータ(103)からの熱への補給として熱を発生させることを更に含む、方法。
【0083】
B15. 段落B11の方法(300)であって、温度センサ(104)を実装する第2の複数の論理ゲート(102)を使用することが、温度センサである他のリングオシレータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、リングオシレータ(101)の温度を測定することが、他のリングオシレータの発振周波数と、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係とに基づいて他のリングオシレータの温度を測定することを含み、リングオシレータの温度は他のリングオシレータの温度と解釈される、方法。
【0084】
B16. 段落B15の方法(300)であって、他のリングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係が、複数の所定の温度のそれぞれに対する温度センサのそれぞれの発振周波数を示すデータにおいて規定される、方法。
【0085】
B17. 段落B15の方法(300)であって、ヒータ(103)を実装する第2の複数の論理ゲート(102)を使用することは、ヒータである第2のリングオシレータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、また、温度センサ(104)を実装する第2の複数の論理ゲートを使用することは、温度センサである他のリングオシレータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、ヒータを制御することが、調整可能な数の第2の複数の論理ゲートを切り替えて第2のリングオシレータに調整可能な量の熱を発生させ、それによってリングオシレータ(101)を加熱することを含み、かつ、リングオシレータの温度を測定することが、他の リングオシレータの発振周波数と、他の リングオシレータの発振周波数と他のリングオシレータの温度の間の既知の関係とに基づいて他のリングオシレータの温度を測定することを含み、リングオシレータの温度は他のリングオシレータの温度と解釈される、方法。
【0086】
B18. 段落B11の方法(300)であって、温度センサ(104)を実装する第2の複数の論理ゲート(102)を使用することは、温度センサであり、互いに接続された複数のリングオシレータを実装する第2の複数の論理ゲートを使用することを含み、リング・オシリングオシレータ(101)の温度を測定することは、複数のリングオシレータの発振周波数と、複数のリングオシレータの発振周波数と温度の間の既知の関係とに基づいて複数のリングオシレータの温度を測定することを含み、リングオシレータの温度は複数のリングオシレータの温度から導出される、方法。
【0087】
B19. 段落B11の方法(300)であって、リングオシレータ(101)が温度センサ(104)であり、リングオシレータの温度を測定することが、リングオシレータの発振周波数と、リングオシレータの発振周波数とリングオシレータの温度の間の既知の関係とに基づいてリングオシレータの温度を測定することを含む、方法。
【0088】
B20. 段落B11の方法(300)であって、リングオシレータ(101)が複数の所定の発振周波数のうちの1つで動作し、複数の所定の温度が各複数の所定の発振周波数に対するそれぞれの温度を含む、方法。
【0089】
上述の説明及び添付図面に提示されている教示の恩恵を受ける、本開示に関連する当業者には、本書に明記された本開示の多数の修正例及びその他の実装形態が想起されよう。したがって、本開示は開示されている特定の実装形態に限定されるものではないこと、並びに、変形例及びその他の実装形態も添付の特許請求の範囲に含まれるよう意図されていることを理解されたい。更に、上述の説明及び添付図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせに照らして例示的な実装形態を説明しているが、特許請求の範囲から逸脱せずに、代替的な実装形態によって要素及び/又は機能の異なる組み合わせが提供され得ることを理解されたい。これに関連して、例えば添付の特許請求の範囲のいくつかに記載されているように、明示的に上述されているものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせも考えられる。本書では特定の用語が使用されているが、それらは、一般的かつ記述的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。
図1
図2A
図2B
図3