(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】バーナーキャップ、コンロバーナー、及び加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F23D 14/06 20060101AFI20231003BHJP
F24C 3/08 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F23D14/06 L
F24C3/08 Q
F23D14/06 C
(21)【出願番号】P 2019050030
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 哲太
(72)【発明者】
【氏名】石野 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 真次
(72)【発明者】
【氏名】谷野 涼
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-230100(JP,A)
【文献】特開平07-077315(JP,A)
【文献】実公平07-029369(JP,Y2)
【文献】実開昭50-037780(JP,U)
【文献】特開2014-037961(JP,A)
【文献】特開2016-038127(JP,A)
【文献】特開平05-126320(JP,A)
【文献】特開平02-251430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/06
F24C 3/08
F24C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナー本体の上に置かれるバーナーキャップであって、
前記バーナーキャップの上面は、中央部を除いた残りの部分全体に、前記上面の外縁に近い部分ほど下方に位置するように断面円弧状に湾曲した湾曲面である液受け面を有
し、
前記バーナーキャップの前記上面の前記外縁から下側に真っすぐ延びる外周面には、複数の炎孔が周方向に間隔をおいて設けられている、
バーナーキャップ。
【請求項2】
前記上面の外形は、平面視円形状である、
請求項1に記載のバーナーキャップ。
【請求項3】
前記上面は、その中央部を上下方向に貫通する孔を有する、
請求項1または2に記載のバーナーキャップ。
【請求項4】
前記上面は、前記孔の周囲の部分から上方に突出した平面視環状のリブを有する、
請求項3に記載のバーナーキャップ。
【請求項5】
前記外周面は、前記複数の炎孔のうち周方向に隣接する二つの炎孔の間に位置し、前記二つの炎孔のそれぞれに繋がった凹所を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のバーナーキャップ。
【請求項6】
前記上面は、耐熱塗膜の表面で構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のバーナーキャップ。
【請求項7】
前記耐熱塗膜は、セラミック塗膜である、
請求項6に記載のバーナーキャップ。
【請求項8】
前記バーナーキャップの前記外周面の一部から外側に向けて突出し、点火プラグの上方に配置される庇部を更に備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載のバーナーキャップ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバーナーキャップと、
前記バーナーキャップが上に置かれる前記バーナー本体と、を備える、
コンロバーナー。
【請求項10】
請求項9に記載のコンロバーナーと、
前記コンロバーナーが通される孔を有する天板と、を備え、
前記バーナーキャップの前記上面は、前記天板よりも上方に位置する、
加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーナーキャップ、コンロバーナー、及び加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコンロバーナは、バーナボディと、その上に載置される環状のバーナキャップと、バーナキャップの上面を覆う環状のバーナカバーとを備える。
【0003】
コンロバーナは、ガスコンロの天板に設けた開口にバーナボディが挿通された状態で、ガスコンロに設置されている。
【0004】
このコンロバーナでは、煮こぼれがバーナカバーで受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のコンロバーナでは、バーナカバーの上面が平面であり、煮こぼれがバーナカバーの上面に残って付着しやすく、掃除がしにくいといった問題がある。
【0007】
また、バーナカバーの上面に落下した煮こぼれは、バーナカバーの内側の開口に流れて、ガスコンロ内に落下する場合がある。このようにガスコンロ内に落下した煮こぼれは、掃除が難しい。
【0008】
上記事情に鑑みて、本開示は、煮こぼれ等の液体の掃除がしやすいバーナーキャップ、コンロバーナー、及び加熱調理器を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る一態様のバーナーキャップは、バーナー本体の上に置かれるバーナーキャップであって、前記バーナーキャップの上面は、前記上面の外縁に近い部分ほど下方に位置する液受け面を有する。
【0010】
また、本開示に係る一態様のコンロバーナーは、前記バーナーキャップと、前記バーナーキャップが上に置かれる前記バーナー本体と、を備える。
【0011】
また、本開示に係る一態様の加熱調理器は、前記コンロバーナーと、前記コンロバーナーが通される貫通孔を有する天板と、を備え、前記バーナーキャップの前記上面は、前記天板よりも上方に位置する。
【発明の効果】
【0012】
本開示では、煮こぼれ等の液体の掃除がしやすいバーナーキャップ、コンロバーナー、及び加熱調理器を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示に係る一実施形態のコンロバーナーを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のコンロバーナーを示す断面図である。
【
図3】
図3は、同上のコンロバーナーを備える加熱調理器を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のコンロバーナーが備えるバーナーキャップを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のバーナーキャップを示す平面図である。
【
図6】
図6は、同上のバーナーキャップを示す断面図である。
【
図7】
図7は、同上のバーナーキャップの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
(1)概要
図1及び
図2に示す一実施形態のバーナーキャップ1は、バーナー本体2の上に置かれる。バーナーキャップ1の上面30は、上面30の外縁30cに近い部分ほど下方に位置する液受け面30aを有する。
【0015】
上記構成を備えることで、一実施形態のバーナーキャップ1では、煮こぼれ等の液体を液受け面30aで受けたときに、液受け面30aによってこの液体を上面30の外縁30c側へと送ることができ、上面30に液体が残って付着することを抑制できる。これにより、一実施形態のバーナーキャップ1では、煮こぼれ等の液体の掃除がしやすい。
【0016】
また、一実施形態のコンロバーナー4は、上記のバーナーキャップ1と、バーナーキャップ1が上に置かれるバーナー本体2と、を備える。
【0017】
上記構成を備えることで、一実施形態のコンロバーナー4では、バーナーキャップ1の上面30に煮こぼれ等の液体が残って付着しにくく、このような液体の掃除がしやすい。
【0018】
また、
図3に示す一実施形態の加熱調理器100は、上記のコンロバーナー4と、コンロバーナー4が通される貫通孔50を有する天板5と、を備え、バーナーキャップ1の上面30は、天板5よりも上方に位置している。
【0019】
上記構成を備えることで、一実施形態の加熱調理器100では、バーナーキャップ1の上面30の液受け面30aで受けた煮こぼれ等の液体を、上面30の外縁30c側へと送ることができ、この液体を天板5の上面へ送ることができる。そのため、一実施形態の加熱調理器100では、比較的面積の大きい天板5上において煮こぼれ等の液体を掃除することができるため、このような液体の掃除がしやすい。
【0020】
(2)詳細
続いて、本実施形態のバーナーキャップ1、コンロバーナー4、及び加熱調理器100について、更に詳しく説明する。
【0021】
(2-1)バーナーキャップ
図4から
図6に示すように、バーナーキャップ1は、主体をなす平面視環状(本実施形態では平面視円環状)のキャップ本体3と、キャップ本体3の内周縁から下方に突出したキャップ筒部6と、キャップ本体3の外周面31の一部から外側に突出した庇部7と、を備える。キャップ本体3、キャップ筒部6及び庇部7のそれぞれは、例えば、アルミニウムで形成されている。キャップ本体3、キャップ筒部6及び庇部7は、例えば、アルミダイキャスト成形品である。
【0022】
バーナーキャップ1の上面30は、キャップ本体3の上面である。上面30は、その中央部に上下方向に貫通する孔32を有する。孔32は、キャップ本体3の中央部を上下方向に貫通している。孔32は、キャップ筒部6の内側の空間に連通している。バーナーキャップ1の外周面31(キャップ本体3の外周面)には、複数の炎孔33が周方向に間隔をおいて設けられている。キャップ本体3の下面34には、キャップ本体3の径外方向に延びる複数の炎孔用溝35が上方に凹むように形成されている(
図6参照)。複数の炎孔用溝35のそれぞれの径外方向の先端の開口部分が、炎孔33である。
【0023】
バーナーキャップ1の外周面31は、複数の炎孔33のうち周方向に隣接する二つの炎孔33の間に位置し、二つの炎孔33のそれぞれに通じる凹所36を有する。凹所36の底面360は、外周面31よりも径内方向に位置している。底面360の周方向の両側に、炎孔33が位置している。
【0024】
バーナーキャップ1の上面30の外形は、平面視円形状である。本実施形態では、上面30は、平面視円環状であり、周方向にわたって径方向の長さが一定である。
【0025】
上面30は、孔32の周縁30bを除いた残りの部分全体が、液受け面30aである。液受け面30aは、上面30の外縁30cに近い部分ほど下方に位置する。本実施形態では、液受け面30aは、断面円弧状に湾曲した湾曲面である。
【0026】
液受け面30aは、平面視円環状である。液受け面30aは、その内周縁30dが最も上方に位置し、その外周縁(外縁30c)が最も下方に位置する。
【0027】
液受け面30aは、液受け面30aで受けた煮こぼれ等の液体が外周縁(外縁30c)に向かって流れるように傾いている。液受け面30aの内周縁30dと外周縁(外縁30c)を繋ぐ仮想的な直線の水平面に対する角度は、3°程度である。
【0028】
上面30の孔32の周縁30bは、孔32に近い部分ほど下方に位置するように水平面に対して傾斜した傾斜面である。
【0029】
庇部7は、バーナーキャップ1の外周面31のうち、上端から下方に距離をおいた部分から径外方向に突出している。庇部7は、矩形板の本体部70と、本体部70の上面700の両端部(バーナーキャップ1の周方向の両端部)に設けられた上方に突出する一対の突条部71とを有している。本体部70の上面700は、突出方向(径外方向)の先端に近い部分ほど下方に位置するように水平面に対して傾斜した傾斜面となっている。本体部70の下面には、点火プラグ8に向けて突出する凸部72が設けられている(
図2参照)。
【0030】
本実施形態では、キャップ本体3及び庇部7は、耐熱塗膜で覆われたアルミダイキャスト成形品である。
【0031】
バーナーキャップ1の上面30(キャップ本体3の上面)は、耐熱塗膜の表面で構成される。本実施形態では、耐熱塗膜は、セラミック塗膜であり、耐熱温度は、例えば400℃である。セラミック塗膜の主成分は、例えばシリカである。セラミック塗膜は、撥水性を有する。
【0032】
バーナーキャップ1の外周面31(キャップ本体3の外周面)は、耐熱塗膜の表面で構成される。加えて、庇部7の本体部70の一対の突条部71を含む上面700と、本体部70の周方向の両端面と、本体部70の径外方向の先端面のそれぞれも、耐熱塗膜の表面で構成される。
【0033】
バーナーキャップ1の上面30及び外周面31と、庇部7の本体部70の上面700、両端面、及び先端面のそれぞれは、耐熱塗膜の表面で構成されることで、煮こぼれ等の液体をはじきやすく、この液体が付着しにくい。また、耐熱塗膜を表面に有することで、バーナーキャップ1の意匠性が向上している。
【0034】
バーナーキャップ1は、
図1及び
図2に示すように、バーナー本体2の上に着脱可能に載せられて、コンロバーナー4を形成する。
【0035】
(2-2)コンロバーナー
コンロバーナー4は、バーナーキャップ1と、バーナー本体2とを備える。
【0036】
バーナー本体2は、平面視円環状の空間を有する混合室20と、混合室20の上流側に連通した混合管21と、を備える。バーナー本体2は、例えば、アルミニウムにて形成される。バーナー本体2は、例えば、アルミダイキャスト成形品である。
【0037】
混合管21は、その上流側の一端に、燃料としてのガス(燃料ガス)を吐出するガスノズル(図示せず)が配置される。ガスノズルから燃料ガスが吐出されると、混合管21の基端から一次空気が吸入されて、混合管21内で燃料ガスと一次空気とが混合される。
【0038】
混合室20は、内筒20aと外筒20bとで形成されており、いわゆる二重筒構造となっている。混合室20は、内筒20aと外筒20bとの間の空間が混合管21に連通している。外筒20bの周方向の一部には、点火プラグ8が設けられる。点火プラグ8は、バーナーキャップ1の庇部7の凸部72との間でスパークを起こすことで、炎孔33から流出した混合ガスに点火する。
【0039】
バーナーキャップ1は、キャップ本体3が内筒20a及び外筒20bの上に置かれ、キャップ筒部6が、内筒20a内に嵌入され、これにより、コンロバーナー4を形成する。バーナーキャップ1は、庇部7が点火プラグ8の上方に位置するように、バーナー本体2上に配置される。
【0040】
混合室20の混合ガスは、炎孔用溝35を通って各炎孔33から吹き出され、点火プラグ8によって点火される。これにより、複数の炎孔33のそれぞれに、火炎が生じる。
【0041】
複数の炎孔33のそれぞれに生じる炎には、バーナー本体2及びバーナーキャップ1の外周の空気や、混合室20の内筒20aの内側を通った空気が燃焼用の二次空気として供給される。
【0042】
本実施形態では、周方向に隣接する二つの炎孔33は、凹所36を介して連通している。そのため、隣接する二つの炎孔33から生じる火炎を凹所36にて合流させることができ、弱火の場合に燃焼が不安定になる等して火炎が消えることを抑制することができる。
【0043】
コンロバーナー4は、内筒20aの内側に配置される温度センサ9を更に備える。温度センサ9は、五徳10の上に載せられた鍋等の調理容器の底部に接して、底部の温度を検出する。
【0044】
コンロバーナー4は、
図3に示すように、加熱調理器100に設置される。
【0045】
(2-3)加熱調理器
加熱調理器100は、コンロバーナー4と、コンロバーナー4が通される貫通孔50を有する天板5と、貫通孔50に取り付けられるリングカバー11と、コンロバーナー4を囲むように天板5の上に置かれる五徳10と、を備える。
【0046】
加熱調理器100は、図示しない筐体を更に備える。筐体は、上面が開口した箱型であり、天板5が上に設置されて上面の開口が閉塞される。筐体内に、コンロバーナー4が設置される。
【0047】
加熱調理器100は、調理台(図示せず)のカウンターに形成された孔に、上方より挿入されて設置されるドロップインガスこんろである。なお、加熱調理器100は、テーブルこんろであってもよい。
【0048】
天板5は、例えば耐熱性を有する強化ガラスで形成される天板本体と、天板本体の外縁を囲むフレーム部と、を備える。天板本体の上面は、平面である。天板本体には、複数(図では三つ)の貫通孔50が上下方向に貫通するように設けられている。複数の貫通孔50のそれぞれは、円孔である。
【0049】
コンロバーナー4は、バーナー本体2の外筒20bの上部が貫通孔50を通じて、天板5よりも上方に突出するように、加熱調理器100に設置される。天板本体の貫通孔50の周縁部とバーナー本体2の外筒20bとの間の隙間は、リングカバー11によって上方から覆って塞がれる。
【0050】
(3)作用効果
以上説明した本実施形態の加熱調理器100では、五徳10の上に載せた鍋等の調理容器から煮こぼれ等の液体が落下したときに、バーナーキャップ1の上面30の液受け面30aでこの液体を受けることができる。
【0051】
液受け面30aで受けた液体は、液受け面30aを伝って、上面30の外縁30c側へと流れ、外周面31、及びバーナー本体2の外筒20bの外周面を伝って、天板5の上面へと流れ落ちる。
【0052】
このように本実施形態の加熱調理器100では、バーナーキャップ1の上面30に落下した煮こぼれ等の液体を、天板5の上面へと送ることができる。そのため、煮こぼれ等の液体がバーナーキャップ1の上面30に残って、炎孔33からの熱によって蒸発して、上面30に付着することを抑制できる。また、本実施形態の加熱調理器100では、バーナーキャップ1の上面30の中央部の孔32に、煮こぼれ等の液体が流れ込むことも抑制することができる。
【0053】
本実施形態の加熱調理器100では、液受け面30aが、外縁30cに近い部分ほど下方に位置するように断面円弧状に湾曲した湾曲面であるため、液受け面30aで受けた煮こぼれ等の液体が、外縁30c側へと流れやすい。
【0054】
加えて、本実施形態の加熱調理器100では、上面30が耐熱塗膜の表面で構成されるため、液受け面30aが円滑化されており、液受け面30aで受けた煮こぼれ等の液体が、外縁30c側へと流れやすい。また、セラミック塗膜の撥水性によって、液受け面30aには液体が付着しにくい。
【0055】
また、本実施形態の加熱調理器100では、バーナーキャップ1が点火プラグ8を覆う庇部7を備えているため、液受け面30aによって外縁30c側へと送られる煮こぼれ等の液体が、点火プラグ8にかかることを庇部7によって抑制することができる。庇部7上に至った煮こぼれ等の液体は、一対の突条部71及び本体部70の上面700によって、径外方向に送られ、このため、この液体が点火プラグ8にかかりにくい。
【0056】
また、本実施形態の加熱調理器100では、複数の炎孔33のそれぞれが、外周面31の一段凹んだ部分(凹所36の底面360の周方向に並ぶ位置)に位置するため、外周面31を伝う煮こぼれ等の液体によって、各炎孔33が塞がれにくい。
【0057】
(4)変形例
続いて、上述した実施形態のバーナーキャップ1、コンロバーナー4、及び加熱調理器100の変形例について説明する。
【0058】
バーナーキャップ1の上面30は、
図7及び
図8に示すバーナーキャップ1の変形例のように、孔32の周囲の部分から上方に突出した平面視環状のリブ37を有してもよい。この変形例では、リブ37は、平面視円環状であり、上面30の孔32の周縁30bと液受け面30aの内周縁30dとの間の部分から上方に突出している。リブ37の上端は、液受け面30aよりも上方に位置している。また、この変形例では、液受け面30aのうち外縁30cに隣接する部位は、水平面に対して傾斜した傾斜面であり、これよりも内周側の部位よりも水平面に対する傾きが大きい。この変形例では、液受け面30aで受けた煮こぼれ等の液体が、孔32に流れ込むことをリブ37によって抑制することができる。
【0059】
バーナーキャップ1の上面30は、煮こぼれ等の液体を受けた際にこの液体が外縁30cの外側へ流れるように液受け面30aを有すればよく、液受け面30aが形成される範囲は、適宜選択可能である。例えば、上面30は、その外周部分を除く残りの部分全体が液受け面30aであり、外周部分は水平面に対して平行な平面であってもよい。また、上面30は、周縁30bを含む全体が、液受け面30aであってもよい。
【0060】
液受け面30aは、断面円弧状に湾曲した湾曲面に限らず、断面直線状に傾斜した平面からなる傾斜面であってもよい。また、液受け面30aは、内周縁30dと外周縁(外縁30c)の間に少なくとも一つの段差を有する面であってもよい。
【0061】
上面30の外形は、円形状に限らず、円形以外のその他の形状であってもよい。
【0062】
上面30は、その中央部に孔32を有さないものであってもよい。
【0063】
バーナーキャップ1の外周面31は、凹所36を有さなくてもよい。
【0064】
上面30は、耐熱塗膜の表面でなくてもよい。また、耐熱塗膜は、セラミック塗膜に限定されない。
【0065】
バーナーキャップ1は、庇部7を備えなくてもよい。
【0066】
コンロバーナー4は、ガスコンロの天板5から上方に突出するように設置されるものに限らず、グリル庫内に設置されるグリル用のバーナー等を構成してもよい。
【0067】
(5)まとめ
以上説明した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第一態様のバーナーキャップ(1)は、下記の構成を備える。
【0068】
すなわち、第一態様のバーナーキャップ(1)は、バーナー本体(2)の上に置かれる。バーナーキャップ(1)の上面(30)は、上面(30)の外縁(30c)に近い部分ほど下方に位置する液受け面(30a)を有する。
【0069】
上記構成を備えることで、第一態様のバーナーキャップ(1)では、煮こぼれ等の液体を液受け面(30a)で受けたときに、液受け面(30a)によってこの液体を上面(30)の外縁(30c)側へと送ることができ、上面(30)に液体が残って付着することを抑制できる。これにより、第一態様のバーナーキャップ(1)では、煮こぼれ等の液体の掃除がしやすい。
【0070】
また、上述した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第二態様のバーナーキャップ(1)は、第一態様のバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0071】
すなわち、第二態様のバーナーキャップ(1)では、液受け面(30a)は、断面円弧状に湾曲した湾曲面である。
【0072】
上記構成を備えることで、第二態様のバーナーキャップ(1)では、液受け面(30a)で受けた煮こぼれ等の液体を上面(30)の外縁(30c)側へと流しやすく、また、液受け面(30a)の拭き掃除がしやすい。
【0073】
また、上述した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第三態様のバーナーキャップ(1)は、第一または第二態様のバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0074】
すなわち、第三態様のバーナーキャップ(1)では、上面(30)の外形は、平面視円形状である。
【0075】
上記構成を備えることで、第三態様のバーナーキャップ(1)では、液受け面(30a)で受けた煮こぼれ等の液体を、上面(30)の径外方向、つまり、落下部位から最も近い外縁(30c)へ送ることができて、この液体を上面(30)の外側へ迅速に排出することができる。
【0076】
また、上述した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第四態様のバーナーキャップ(1)は、第一から第三態様のいずれか一つのバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0077】
すなわち、第四態様のバーナーキャップ(1)では、上面(30)は、その中央部を上下方向に貫通する孔(32)を有する。
【0078】
上記構成を備えることで、第四態様のバーナーキャップ(1)では、液受け面(30a)で受けた煮こぼれ等の液体が、孔(32)に流れ込むことを抑制することができる。
【0079】
また、上述した実施形態の変形例のバーナーキャップ1のように、第五態様のバーナーキャップ(1)は、第四態様のバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0080】
すなわち、第五態様のバーナーキャップ(1)では、上面(30)は、孔(32)の周囲の部分から上方に突出した平面視環状のリブ(37)を有する。
【0081】
上記構成を備えることで、第五態様のバーナーキャップ(1)では、液受け面(30a)で受けた煮こぼれ等の液体が、孔(32)に流れ込むことをリブ(37)によって抑制することができる。
【0082】
また、上述した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第六態様のバーナーキャップ(1)は、第一から第五態様のいずれか一つのバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0083】
すなわち、第六態様のバーナーキャップ(1)では、バーナーキャップ(1)の外周面(31)には、複数の炎孔(33)が周方向に間隔をおいて設けられている。
【0084】
上記構成を備えることで、第六態様のバーナーキャップ(1)では、上面(30)に煮こぼれ等の液体が残りにくいため、この液体が複数の炎孔(33)から吹き出される炎の熱によって蒸発して上面(30)に付着することを抑制することができる。
【0085】
また、上述した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第七態様のバーナーキャップ(1)は、第六態様のバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0086】
すなわち、第七態様のバーナーキャップ(1)では、外周面(31)は、複数の炎孔(33)のうち周方向に隣接する二つの炎孔(33)の間に位置し、二つの炎孔(33)のそれぞれに繋がった凹所(36)を有する。
【0087】
上記構成を備えることで、第七態様のバーナーキャップ(1)では、隣接する二つの炎孔(33)から生じる火炎を凹所(36)にて合流させることができ、弱火の場合に燃焼が不安定になる等して火炎が消えることを抑制することができる。また、第七態様のバーナーキャップ(1)では、二つの炎孔(33)が、凹所(36)を周方向に挟んで位置することで、外周面(31)よりも内側に位置するため、煮こぼれ等の液体が外周面(31)を伝う際に、この液体によって炎孔(33)が塞がれにくい。
【0088】
また、上述した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第八態様のバーナーキャップ(1)は、第一から第七態様のいずれか一つのバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0089】
すなわち、第八態様のバーナーキャップ(1)では、上面(30)は、耐熱塗膜の表面で構成される。
【0090】
上記構成を備えることで、第八態様のバーナーキャップ(1)では、液受け面(30a)を円滑化しやすく、煮こぼれ等の液体を、上面(30)の外縁(30c)側へと流しやすい。また、第八態様のバーナーキャップ(1)では、耐熱塗膜を表面に有することで、意匠性の向上を図りやすい。
【0091】
また、上述した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第九態様のバーナーキャップ(1)は、第八態様のバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0092】
すなわち、第九態様のバーナーキャップ(1)では、耐熱塗膜は、セラミック塗膜である。
【0093】
上記構成を備えることで、第九態様のバーナーキャップ(1)では、煮こぼれ等の液体をはじきやすくて、この液体が上面(30)に付着しにくい。
【0094】
また、上述した実施形態及びその変形例のバーナーキャップ1のように、第十態様のバーナーキャップ(1)は、第一から第九態様のいずれか一つのバーナーキャップ(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0095】
すなわち、第十態様のバーナーキャップ(1)では、バーナーキャップ(1)の外周面(31)の一部から外側に向けて突出し、点火プラグ(8)の上方に配置される庇部(7)を更に備える。
【0096】
上記構成を備えることで、第十態様のバーナーキャップ(1)では、液受け面(30a)を伝って上面(30)の外縁(30c)側へ流れる煮こぼれ等の液体が点火プラグ(8)にかかることを、庇部(7)によって抑制することができる。
【0097】
また、上述した実施形態及びその変形例のコンロバーナー4のように、第十一態様のコンロバーナー(4)は、第一から第十態様のいずれか一つのバーナーキャップ(1)と、バーナーキャップ(1)が上に置かれるバーナー本体(2)と、を備える。
【0098】
上記構成を備えることで、第十一態様のコンロバーナー(4)では、バーナーキャップ(1)の上面(30)に落下した煮こぼれ等の液体が上面(30)に残って付着することを抑制することができて、バーナーキャップ(1)の上面(30)の掃除がしやすい。
【0099】
また、上述した実施形態及びその変形例の加熱調理器100のように、第十二態様の加熱調理器(100)は、第十一態様のコンロバーナー(4)と、コンロバーナー(4)が通される貫通孔(50)を有する天板(5)と、を備え、バーナーキャップ(1)の上面(30)は、天板(5)よりも上方に位置する。
【0100】
上記構成を備えることで、第十二態様の加熱調理器(100)では、バーナーキャップ(1)の上面(30)に落下した煮こぼれ等の液体を、液受け面(30a)によって上面(30)の外縁(30c)側へと送ることができ、この液体を天板(5)の上面まで送ることができる。そのため、第十二態様の加熱調理器(100)では、比較的面積の大きい天板(5)上において煮こぼれ等の液体を掃除することができるため、このような液体の掃除がしやすい。
【0101】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 バーナーキャップ
2 バーナー本体
30 上面
30a 液受け面
30b 周縁
30c 外縁
31 外周面
32 孔
33 炎孔
36 凹所
37 リブ
4 コンロバーナー
5 天板
50 貫通孔
7 庇部
8 点火プラグ
100 加熱調理器