(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6477 20110101AFI20231003BHJP
【FI】
H01R13/6477
(21)【出願番号】P 2019072175
(22)【出願日】2019-04-04
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英生
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-247013(JP,A)
【文献】特開2017-204487(JP,A)
【文献】特開2009-021068(JP,A)
【文献】特開2004-206908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/56-13/72
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物と電気的に接触する接触部を有している端子と、
前記接続対象物と嵌合方向に沿って嵌合しかつ絶縁性を有すると共に、前記端子におけ
る先端側の接触部近傍の部位における前記接続対象物が前記接触部と当接する当接方向及び前記嵌合方向と直交する方向の変位を規制可能とする規制面が設けられた幅狭部と、前記端子における前記接触部近傍の部位よりも基端側の主な部位との間に空間を形成している空間部とを有しているハウジングと、
を有し、
前記当接方向及び前記嵌合方向と直交する方向から見て、前記接触部近傍の部位と前記規制面とが重なる面積よりも前記主な部位と前記空間部とが重なる面積の方が大きくなるように前記端子が前記ハウジングに対して配置されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記空間部の少なくとも一部を構成する壁部は、前記幅狭部の規制面と連続して設けられている、
請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子における接触部は、前記当接方向にて前記幅狭部から突出されており、
前記規制面は、前記端子の前記接触部近傍の部位における前記嵌合方向にて前記接触部を挟んで対向した一対の部位の前記当接方向及び前記嵌合方向と直交する方向の変位をそれぞれ規制可能とする、
請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記規制面は、前記端子の前記接触部近傍の部位及び前記接触部における前記当接方向及び前記嵌合方向と直交する方向の変位を規制可能とする、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、コネクタに関する発明が開示されている。このコネクタは、接続対象物と電気的に接触する接触部を有している端子と、絶縁性を有しかつ内部に端子の接触部を収容する端子溝が形成されたハウジングと、を有している。これにより、端子の幅方向の変位を抑制して接続対象物と端子とを確実に接触させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に開示された構成では、端子の幅方向にて端子の接触部が端子溝に隙間なく配置されている。このため、端子溝内にて端子の接触部のインピーダンスが低下する可能性がある。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、相手端子との接続信頼性に優れると共に、端子のインピーダンスを上昇させることができるコネクタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るコネクタは、接続対象物と電気的に接触する接触部を有している端子と、前記接続対象物と嵌合方向に沿って嵌合しかつ絶縁性を有すると共に、前記端子の接触部近傍の部位における前記接続対象物が前記接触部と当接する当接方向及び前記嵌合方向と直交する方向の変位を規制可能とする規制面が設けられた幅狭部と、前記端子における前記接触部近傍の部位以外の少なくとも一部との間に空間を形成している空間部とを有しているハウジングと、を有している。
【0007】
上記第1の態様では、コネクタは、端子とハウジングとを有している。端子は、接続対象物と電気的に接触する接触部を有している。ハウジングは、接続対象物と嵌合方向に沿って嵌合しかつ絶縁性を有すると共に、幅狭部と空間部とを有している。幅狭部は、端子の接触部近傍の部位における接続対象物が接触部と当接する当接方向及び嵌合方向と直交する方向(以下、単に「幅方向」と称する。)の変位を規制可能とする規制面が設けられている。したがって、コネクタと接続対象物との嵌合時において端子が端子の幅方向に変位するのを抑制できるので、接続対象物と端子とを確実に接触をさせることができる。
【0008】
一方、空間部は、端子における接触部近傍の部位以外の少なくとも一部との間に空間を形成していることから、空間部におけるハウジングと端子との間には空気層が設けられる。空気層は、ハウジングと比べて誘電率が低いため、この空気層により端子のインピーダンスを上昇させることができる。
【0009】
第2の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記空間部の少なくとも一部を構成する壁部は、前記幅狭部の規制面と連続的に設けられている。
【0010】
上記第2の態様では、空間部の少なくとも一部を構成する壁部が幅狭部の規制面と連続的に設けられていることから、端子に対向する壁部が端子に沿ってハウジングに形成される。つまり、荷重を効率的に伝達させることができる稜線がハウジングに連続的に形成されることから、ハウジング自体の剛性を向上させることができる。
【0011】
第3の態様に係るコネクタは、第1または第2の態様において、前記端子における接触部は、前記当接方向にて前記幅狭部から突出されており、前記規制面は、前記端子の前記接触部近傍の部位における前記嵌合方向にて前記接触部を挟んで対向した一対の部位の前記当接方向及び前記嵌合方向と直交する方向の変位をそれぞれ規制可能とする。
【0012】
上記第3の態様では、規制面は、端子の接触部近傍の部位における嵌合方向にて接触部を挟んで対向した一対の部位の幅方向の変位をそれぞれ規制可能とすることから、幅狭部から突出されていることで接続対象物と接触して荷重を受ける接触部を規制面惹いては幅狭部が確実に支持することができる。すなわち、端子の接触部近傍の部位における嵌合方向にて接触部に対してどちらか一方側のみ支持する構成と比べて、荷重が集中して損傷するのを抑制できると共に、端子における幅狭部に当接された部位を中心に端子が傾くのを抑制することができる。
【0013】
第4の態様に係るコネクタは、第1~第3のいずれか一つの態様において、前記規制面は、前記端子の前記接触部近傍かつ前記接続対象物側の部位における前記当接方向及び前記嵌合方向と直交する方向の変位を規制可能とする。
【0014】
上記第4の態様では、規制面は、端子の接触部近傍かつ接続対象物側の部位における幅方向の変位を規制可能とすることから、接続対象物から荷重を直接的に受ける端子の接触部に近い部位が幅狭部により支持される。したがって、端子の変位をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明は、相手端子との接続信頼性に優れると共に、端子のインピーダンスを上昇させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図2】
図1におけるA-A線に沿って切断した状態を示す断面図である。
【
図3】
図2におけるW方向にて嵌合部を見た場合の拡大図である。
【
図4】
図3におけるB-B線に沿って切断した状態を斜め前方側から見た状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4におけるV部を拡大して示す拡大図である。
【
図6】対比例に係るコネクタにおける端子の変形状態を示す
図3に対応した拡大図である。
【
図7】第2実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図8】第2実施形態に係るコネクタの嵌合部を上下方向にて示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
図1~
図6を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0018】
なお、以下の説明では、各図に示す矢印Xをコネクタ前方向、矢印Yをコネクタ幅方向一方側(右側)、矢印Zをコネクタ上方向として説明する。また、特記なく前後、上下、幅(左右)という語を用いる場合は、コネクタ前後方向の前後、コネクタ上下方向の上下、コネクタ幅方向(左右方向)の幅(左右)を示すものとする。これらの方向は、コネクタの使用状態での方向とは無関係である。また、各図においては、図面を見易くする意図で、一部の符号を省略している場合がある。
【0019】
(全体構成)
図1に示されるように、本実施形態に係るコネクタ10は、所謂ソケットとされており、ハウジング12と複数の端子14(
図2参照)を含んで構成されかつ下側が図示しない回路基板に固定されている。そして、コネクタ10は、接続対象物としての図示しないプラグにZ方向にて嵌合可能とされている。本実施形態において、嵌合方向Zは、コネクタ10の上下方向と一致しており、以下の説明では、嵌合方向Zを「上下方向」と称する場合がある。
【0020】
(ハウジング)
ハウジング12は、略矩形筒状(略直方体状)に形成されている。このハウジング12は、例えば合成樹脂等の絶縁性材料によって製造されたものである。なお、ハウジング12における左右方向の寸法は、端子14の数によって適宜変更される構成とされている。
【0021】
ハウジング12の内部には、嵌合部16が設けられている。嵌合部16は、ハウジング12における左右方向及び前後方向それぞれの略中央に設けられていると共に、ハウジング12の内部から上方へ向けて突出されている。嵌合部16は、上下方向を長手方向としかつ上方側へ開口された嵌合孔18を有する有底角筒状に形成されており、前後方向にて対向した一対の側壁部20には、それぞれ複数の端子溝22が左右方向に等間隔に並んで形成されている。各端子溝22は、上下方向に延びていると共に、上方側部を構成する幅狭部22Aと、幅狭部22Aより下方側部を構成する一般部22Bとを有している。
【0022】
(幅狭部)
図3に示されるように、幅狭部22Aは、長手方向に直交する断面形状が規制面としての左右一対の側部収容面22AAと、左右一対の側部収容面22AAの前後方向外側端部を左右方向に繋げる底部収容面22ABとで前後方向内側へ向けて開口された形状とされている。一方の側部収容面22AAから他方の側部収容面22AAまでの寸法は、端子14の幅寸法と略同一とされている。
【0023】
(一般部)
一般部22Bは、幅狭部22Aと同様に、長手方向に直交する断面形状が左右一対の側部収容面22BAと、左右一対の側部収容面22BAの前後方向外側端部を左右方向に繋げる幅狭部22Aと連続した底部収容面22ABとで前後方向内側へ向けて開口された形状とされている。一方の側部収容面22BAから他方の側部収容面22BAまでの寸法は、端子14の幅寸法よりも大きく設定されている。したがって、左右一対の側部収容面22BAと端子14との間には、空間部Sが形成されている。換言すると、左右一対の側部収容面22BAは、請求項2に記載の「空間部の少なくとも一部を構成する壁部」に相当する。なお、一般部22Bの側部収容面22BAと、幅狭部22Aの側部収容面22AAとは、下方側へ向かうに連れて左右方向外側へ向けて傾斜された傾斜壁部22BBにより連結されている。つまり、側部収容面22BAと側部収容面22AAとは連続的に設けられており、幅狭部22Aと一般部22Bとは、連続した溝として形成されている。これにより、ハウジング12の上下方向に連続した稜線Rが複数設けられている。
【0024】
一般部22Bの下端は、嵌合孔18の底壁18A(
図2参照)に上下方向にて貫通して形成された端子挿入孔28(
図2参照)に連結されている。
【0025】
図1に示されるように、嵌合部16の左右方向及び前後方向それぞれの外側には、延設壁部30が嵌合部16と離間して設けられている。延設壁部30は、矩形枠状に形成されかつ嵌合部16の底部に左右方向にて連結されている(不図示)と共に、嵌合部16の下方側に対応した位置にて上下方向に延設されている。これにより、延設壁部30と嵌合部16との間には、間隙32が形成されている。
【0026】
(端子)
図4に示されるように、複数の端子14は、導電性を有する金属板が所定の形状に打ち抜ぬかれて製造されたものであり、前後一対の端子列80、82を構成している。前後の端子列80、82は、それぞれ端子14の厚さ方向が前後方向に沿う向きにて複数の端子14が左右方向に等間隔に並べられた構成とされている。前側の端子列80が有する複数の端子14と、後側の端子列82が有する複数の端子14とは、同一の形状に形成されているが、互いに前後方向にて対向する向きの姿勢で配置されている。前側の端子列80が有する複数の端子14は、嵌合孔18の前の側壁部20に設けられており、後側の端子列82が有する複数の端子14は、嵌合孔18の後側の側壁部20に設けられている。
【0027】
各端子14は、嵌合部16の端子溝22に収容され、
図2に示されるように、端子溝22の幅狭部22Aに位置する端子14における接触部近傍の部位としての湾曲部14Aと、湾曲部14Aから下方へ延出され端子挿入孔28内に一部が挿入された支持部14Bと、支持部14Bにおける湾曲部14Aとは反対側の端部から前後方向に延出されて回路基板に固定される接続部14C(
図1参照)と、を有している。なお、
図1~
図3では、端子溝22の内部をわかり易くするため、端子14を一部省略して図示している。
【0028】
図5に示されるように、湾曲部14Aは、端子14における上方側部を構成しており、前後方向内側へ向けて凸なるように屈曲されている。この湾曲部14Aにおける前後方向内側の頂点部は、幅狭部22A(端子溝22)から突出されており、プラグに設けられた図示しない相手側端子と電気的に接触される接触部14Dとされている。したがって、端子14の湾曲部14Aは、嵌合方向(上下方向)にて接触部14Dを挟んで対向した部位が幅狭部22Aの左右一対の側部収容面22AAに当接されて幅方向の変位が規制可能とされている。また、幅狭部22Aは、端子14の湾曲部14Aにおける前後方向にてプラグ側の部位を含んで当接されている。
【0029】
(第1実施形態の作用効果)
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0030】
本実施形態では、コネクタ10は、端子14とハウジング12とを有している。端子14は、接続対象物と電気的に接触する接触部14Dを有している。ハウジング12は、接続対象物と嵌合方向に沿って嵌合しかつ絶縁性を有すると共に、幅狭部22Aと空間部Sとを有している。幅狭部22Aは、端子14の湾曲部14Aにおける幅方向の変位を規制可能とする側部収容面22AAが設けられている。したがって、コネクタ10と接続対象物との嵌合時において端子14が端子14の幅方向に変位するのを抑制できるので、接続対象物と端子14とを確実に接触をさせることができる。
【0031】
一方、空間部Sは、端子14における湾曲部14A以外の少なくとも一部との間に空間を形成していることから、空間部Sにおけるハウジング12と端子14との間には空気層が設けられる。空気層は、ハウジング12と比べて誘電率が低いため、この空気層により端子14のインピーダンスを上昇させることができる。これにより、相手端子との接続信頼性に優れると共に、端子14のインピーダンスを上昇させることができる。
【0032】
また、空間部Sの少なくとも一部を構成する側部収容面22BAが幅狭部22Aの側部収容面22AAと連続的に設けられていることから、端子14に対向する壁部が端子に沿ってハウジングに形成される。つまり、荷重を効率的に伝達させることができる稜線R(
図3参照)がハウジング12に連続的に形成されることから、ハウジング12自体の剛性を向上させることができる。
【0033】
さらに、側部収容面22AAは、端子14の湾曲部14Aにおける嵌合方向にて接触部14Dを挟んで対向した一対の部位の幅方向の変位をそれぞれ規制可能とすることから、端子溝22から突出されていることでプラグと接触して荷重を受ける接触部14Dを側部収容面22AA惹いては幅狭部22Aが確実に支持することができる。すなわち、端子14の湾曲部14Aにおける嵌合方向にて接触部14Dに対してどちらか一方側のみ支持する構成では、
図6に示されるように、幅狭部22Aに支持された部位を中心として端子14が左右方向に変位する可能性がある(図中二点鎖線参照)。これに対し、本実施形態では、荷重が端子14の一部に集中して損傷するのを抑制できると共に、端子14における幅狭部22Aに当接された部位を中心に端子が傾くのを抑制することができる。
【0034】
さらにまた、側部収容面22AAは、端子14の湾曲部14Aかつ接続対象物側の部位における幅方向の変位を規制可能とすることから、プラグから荷重を直接的に受ける端子14の接触部14Dに近い部位が幅狭部22Aにより支持される。したがって、端子14の変位をより確実に抑制することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、
図7、
図8を用いて、本発明の第2実施形態に係るコネクタについて説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0036】
この第2実施形態に係るコネクタ60は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、プラグとされている点に特徴がある。
【0037】
(全体構成)
すなわち、
図7に示されるように、本実施形態に係るコネクタ60は、所謂プラグとされており、ハウジング62と複数の端子64を含んで構成されかつ下側が図示しない回路基板に固定されている。そして、コネクタ60は、接続対象物としての図示しないソケットにX方向にて嵌合可能とされている。本実施形態において、嵌合方向Xは、コネクタ60の前後方向と一致しており、以下の説明では、嵌合方向Xを「前後方向」と称する場合がある。
【0038】
(ハウジング)
ハウジング62は、略矩形筒状(略直方体状)に形成されている。このハウジング62は、例えば合成樹脂等の絶縁性材料によって製造されたものである。なお、ハウジング62における左右方向の寸法は、端子64の数によって適宜変更される構成とされている。
【0039】
ハウジング62の内部には、嵌合部66が設けられている。嵌合部66は、ハウジング62における底壁68の左右方向及び上下方向それぞれの略中央に設けられていると共に、底壁68から前方へ向けて突出されている。嵌合部66は、左右方向を長手方向とする略直方体状に形成されており、上下方向における一対の側壁部70には、それぞれ複数の端子溝72(
図8参照)が左右方向に等間隔に並んで形成されている。各端子溝72は、前後方向に延びていると共に、前方側部を構成する幅狭部72Aと、幅狭部72Aより後方側部を構成する一般部72Bとを有している。
【0040】
(幅狭部)
図8に示されるように、幅狭部72Aは、長手方向に直交する断面形状が規制面としての左右一対の側部収容面72AAと、左右一対の側部収容面72AAの上下方向内側端部を左右方向に繋げる底部収容面72ABとで上下方向外側へ向けて開口された形状とされている。一方の側部収容面72AAから他方の側部収容面72AAまでの寸法は、端子64の幅寸法と略同一とされている。
【0041】
(一般部)
一般部72Bは、幅狭部72Aと同様に、長手方向に直交する断面形状が左右一対の側部収容面72BAと、左右一対の側部収容面72BAの上下方向内側端部を左右方向に繋げる幅狭部72Aと連続した底部収容面72ABとで上下方向外側へ向けて開口された形状とされている。一方の側部収容面72BAから他方の側部収容面72BAまでの寸法は、端子64の幅寸法よりも大きく設定されている。したがって、左右一対の側部収容面72BAと端子64との間には、空間部Sが形成されている。換言すると、左右一対の側部収容面72BAは、請求項2に記載の「空間部の少なくとも一部を構成する壁部」に相当する。なお、一般部72Bの側部収容面72BAと、幅狭部72Aの側部収容面72AAとは、後方側へ向かうに連れて左右方向外側へ向けて傾斜された傾斜壁部72BBにより連結されている。つまり、側部収容面72BAと側部収容面72AAとは連続的に設けられており、幅狭部72Aと一般部72Bとは、連続した溝として形成されている。これにより、ハウジング62の前後方向に連続した稜線R(
図8参照)が複数設けられている。
【0042】
一般部72Bの後端は、底壁68(
図7参照)に前後方向にて貫通して形成された端子挿入孔68Aに連結されている。
【0043】
図7に示されるように、嵌合部66の左右方向及び上下方向それぞれの外側には、延設壁部78が一体的に設けられている。延設壁部78は、ハウジング62における底壁68の左右方向及び上下方向のそれぞれの外側端部から前方へ向けて突出されている。延設壁部78の底壁68に対する突出量は、嵌合部66の底壁68に対する突出量よりも大きくされている。これによって、ハウジング62は、内部に嵌合部66を収めた略角筒状に形成されている。
【0044】
(端子)
複数の端子64は、導電性を有する金属板が所定の形状に打ち抜ぬかれて製造されたものであり、上下一対の端子列80、82を構成している。上下の端子列80、82は、それぞれ端子64の厚さ方向が上下方向に沿う向きにて複数の端子64が左右方向に等間隔に並べられた構成とされている。上側の端子列80が有する複数の端子64と、下側の端子列82が有する複数の端子64とは、同一の形状に形成されているが、互いに上下方向にて対向する向きの姿勢で配置されている。上側の端子列80が有する複数の端子64は、嵌合部66の上の側壁部70に設けられており、下側の端子列82が有する複数の端子64は、嵌合部66の下側の側壁部70に設けられている。
【0045】
各端子64は、嵌合部66の端子溝72に収容され、
図7に示されるように、嵌合部66と延設壁部78との間に位置する端子64における接触部近傍の部位としての先端部64Aと、先端部64Aから後方へ延出され端子挿入孔68A内に一部が挿入された支持部64Bと、支持部64Bにおける先端部64Aとは反対側の端部から下側へ延出されて回路基板に固定される接続部64C(
図7参照)と、を有している。なお、
図8では、端子溝72の内部をわかり易くするため、複数の端子64のうち一部の端子64を省略して図示している。
【0046】
先端部64Aは、上下方向外側面が外部に露出されており、ソケットに設けられた図示しない相手側端子と電気的に接触される接触部64Dが設けられている。なお、相手側端子からは、上下方向を当接方向として当接される。
【0047】
端子溝72の上下方向の深さは、端子64の上下方向の寸法よりも若干小さく設定されており、これによって端子64が端子溝72に収容される際は、端子64の接触部64Dが嵌合部66の側壁部70より上下方向外側に突出されている。
【0048】
端子64の前端部64Eは、ガイド形状部64Fを有している。このガイド形状部64Fは、接触部64Dの前縁から前側へ向かうに連れて端子溝72の底部収容面72AB側へ傾けられた傾斜壁面64FAを有しており、これによってソケットがコネクタ60に嵌合される際に相手側端子を円滑に接触部64Dへと移動させることができる。
【0049】
(第2実施形態の作用・効果)
次に、第2実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0050】
上記構成によっても、プラグとされている点以外は第1実施形態のコネクタ10と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
なお、上述した第1、2実施形態では、端子溝22、72に一般部22B、72Bが設けられている構成とされているが、これに限らず、一般部22B、72Bが設けられておらず幅狭部22A、72Aのみ設けられ、端子14、64同士が空間部Sを介して隣接する構成としてもよい。
【0052】
また、端子溝22、72における幅狭部22A、72Aと一般部22B、72Bとは、それぞれ端子14、64の幅方向の寸法が異なる構成とされているが、これに限らず、幅狭部22A、72Aと一般部22B、72Bとの端子14、64の幅方向の寸法を略同一として端子14、64自体の幅の寸法を変化させる構成としてもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
10 コネクタ
12 ハウジング
14 端子
14A 湾曲部(端子の接触部近傍の部位)
14D 接触部
22AA 側部収容面(規制面)
60 コネクタ
62 ハウジング
64 端子
64A 先端部(端子の接触部近傍の部位)
64D 接触部
72AA 側部収容面