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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20231003BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231003BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231003BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20231003BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20231003BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20231003BHJP
   B60L 53/63 20190101ALI20231003BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20231003BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20231003BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231003BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H02J7/04 C
H02J7/00 P
H02J7/02 F
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/53
B60L53/63
B60L53/67
B60L58/12
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019164656
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021044911
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道願 能宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 周志
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-135877(JP,A)
【文献】特開2019-205278(JP,A)
【文献】国際公開第2015/040742(WO,A1)
【文献】特開2018-014850(JP,A)
【文献】特開2014-045536(JP,A)
【文献】特開2014-033554(JP,A)
【文献】特許第6516905(JP,B1)
【文献】国際公開第2014/128871(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/04
H02J 7/00
H02J 7/02
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/53
B60L 53/63
B60L 53/67
B60L 58/12
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両のバッテリを充電していないときに電源により充電される蓄電器と、前記電源からの電力を使用せずに前記蓄電器に蓄えられている電力を用いて前記バッテリを急速充電する充電器とを有する充電装置と、
複数の前記作業車両のバッテリの状態及び複数の前記充電装置の状態を監視する管理装置と、を備え
前記管理装置は、前記作業車両からの充電要求と前記作業車両の位置データとに基づいて、前記作業車両の充電に最適な充電装置の所在地データを前記作業車両の報知装置に報知する、
充電システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記作業車両に係る作業車両データを取得する作業車両データ取得部と、
前記充電装置に係る充電装置データを取得する充電装置データ取得部と、
前記作業車両データ及び前記充電装置データをデータ処理する処理部と、を有し、
前記作業車両データは、前記バッテリの残存容量及び前記バッテリの平均消費電力を含み、
前記充電装置データは、前記蓄電器が蓄電中か放電中かを示す蓄電状態及び前記蓄電器の残存容量を含み、
前記処理部は、
前記バッテリの残存容量及び前記平均消費電力に基づいて、前記バッテリの容量がゼロになる時点までの時間を示す残り稼働時間を算出し、
前記蓄電器の蓄電状態及び前記残存容量に基づいて、前記蓄電器の蓄電が終了するまでの時間を示す残り蓄電時間を算出する、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記処理部は、
前記残り稼働時間に基づいて、充電を必要とする前記作業車両を示す充電必要車両が存在するか否かを判定し、
前記残り蓄電時間に基づいて、蓄電が最も早期に完了する前記蓄電器を有する前記充電装置又は蓄電が既に完了している前記充電装置を示すリコメンド充電装置を算出する、
請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記リコメンド充電装置の所在地を示す所在地データを出力する報知データ出力部を有する、
請求項3に記載の充電システム。
【請求項5】
前記作業車両データは、前記作業車両の位置を含み、
前記処理部は、前記充電必要車両から前記リコメンド充電装置までの第1ルートを算出し、
前記報知データ出力部は、前記所在地データとして前記第1ルートを出力する、
請求項4に記載の充電システム。
【請求項6】
前記処理部は、
前記残り稼働時間及び前記平均消費電力に基づいて、前記充電必要車両が充電を開始すべき時刻を示すリコメンド充電開始時刻を算出し、
前記残り稼働時間に基づいて、前記リコメンド充電開始時刻において使用可能な作業車両を示すリコメンド代替車両を算出する、
請求項4又は請求項5に記載の充電システム。
【請求項7】
前記報知データ出力部は、前記リコメンド代替車両の所在地を示す所在地データを出力する、
請求項6に記載の充電システム。
【請求項8】
前記処理部は、前記リコメンド充電装置から前記リコメンド代替車両までの第2ルートを算出し、
前記報知データ出力部は、前記所在地データとして前記第2ルートを出力する、
請求項7に記載の充電システム。
【請求項9】
前記作業車両及び前記充電装置は、産業施設において稼働し、
前記管理装置は、
前記産業施設が使用可能な電力量の最大値を示す目標電力量を取得する目標電力量取得部と、
前記産業施設において使用されている電力量を示す電力総使用量を取得する電力総使用量取得部と、
前記目標電力量と前記電力総使用量とに基づいて、前記充電装置が使用可能な電力量を示す余裕電力量を算出する処理部と、
前記充電装置が前記バッテリの充電のために使用する電力量を示す充電電力量を決定する充電電力量決定部と、を有し、
前記充電電力量決定部は、前記充電電力量が前記余裕電力量を超えないように、前記充電電力量を決定する、
請求項1に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両に係る技術分野において、バッテリを動力源とする電動式の作業車両が知られている。バッテリは、充電装置により充電される。特許文献1には工場等の敷地内に設置された複数の充電器の稼働状態を表示する充電電力表示システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-082766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電装置は、電源から供給される電力に基づいてバッテリを充電する。充電装置によるバッテリの充電速度は、電源の容量(ブレーカ容量)に依存する。そのため、バッテリを急速充電する場合、電源は大容量である必要がある。また、複数の作業車両のバッテリを同時に充電する場合、大規模な電源が必要である。大規模な電源が無い場合、例えば休憩時間のような決められた時間に複数の作業車両のバッテリを急速充電することは困難である。
【0005】
本開示は、大規模な電源が無くても、複数の作業車両のバッテリを急速充電することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、電源により充電される蓄電器と作業車両のバッテリを充電可能な充電器とを有する充電装置と、複数の前記作業車両のバッテリの状態及び複数の前記充電装置の状態を監視する管理装置と、を備える、充電システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、大規模な電源が無くても、複数の作業車両のバッテリを急速充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る充電システムを模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る充電システム及び作業車両を示すブロック図である。
図3図3は、本実施形態に係るリコメンド処理を示すフローチャートである。
図4図4は、本実施形態に係る報知装置を模式的に示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る充電電力量制限処理を示すフローチャートである。
図6図6は、本実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[充電システム]
図1は、本実施形態に係る充電システム1を模式的に示す図である。作業車両2は、バッテリ21を搭載する。充電システム1は、作業車両2のバッテリ21を充電する。バッテリ21は、2次電池(充電式バッテリ)を含む。作業車両2は、バッテリ21を動力源とする電動式の作業車両である。本実施形態においては、作業車両2が電動式のフォークリフトであることとする。充電システム1は、工場又は倉庫のような産業施設に設置される。複数の作業車両2が産業施設で稼働する。
【0011】
図1に示すように、充電システム1は、充電装置3と、管理装置4と、検出器5とを備える。給電線を含むケーブル9を介して電源6から充電装置3に電力が供給される。電源6は、家庭用電源のような小容量の電源でもよいし、産業施設に設置される動力電源のような大容量の電源でもよい。また、電源6は、充電装置3のみならず、産業施設に存在する電気機器に電力を供給する。発電所7(電力会社)から電源6に電力が供給される。電源6は、交流電源(商用電源)を含む。なお、電源6は、自家発電機でもよいし、太陽光発電機でもよい。電源6は、スマートグリッドを含んでもよい。
【0012】
充電装置3は、作業車両2のバッテリ21を充電する。充電装置3は、産業施設に複数設置される。作業車両2にコネクタ22が設けられる。コネクタ22は、プラグ8と接続される。プラグ8は、ケーブル27を介して充電装置3と接続される。ケーブル27は、給電線を含む。コネクタ22とプラグ8とが接続されることにより、充電装置3とバッテリ21とが接続される。充電装置3は、プラグ8及びコネクタ22を介してバッテリ21を充電することができる。また、ケーブル27は、通信線を含む。作業車両2と充電装置3とは、ケーブル27を介して通信することができる。なお、作業車両2と充電装置3とは、無線で通信してもよい。
【0013】
また、充電装置3と管理装置4とは、無線で通信することができる。なお、充電装置3と管理装置4とは、通信線のようなケーブルを介して通信してもよい。同様に、管理装置4と電源6とは、無線で通信してもよいし、ケーブルを介して通信してもよい。電源6と充電装置3とは、無線で通信してもよいし、ケーブルを介して通信してもよい。
【0014】
管理装置4は、コンピュータシステムを含む。管理装置4は、複数の作業車両2のバッテリ21の状態及び複数の充電装置3の状態を監視する。
【0015】
検出器5は、電源6から産業施設に供給される電力の使用状況を監視する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る充電システム1及び作業車両2を示すブロック図である。
【0017】
作業車両2は、バッテリ21と、コネクタ22と、報知装置24と、位置検出装置25と、制御装置26とを有する。
【0018】
報知装置24は、報知データを出力する。報知装置24は、表示データを出力する表示装置でもよいし、音声データを出力する音声出力装置でもよいし、所定の色光を出力する発光装置でもよい。表示装置として、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのようなフラットパネルディスプレイが例示される。なお、報知装置24は、作業車両2に設けられなくてもよい。報知装置24は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータでもよい。
【0019】
位置検出装置25は、作業車両2の位置を検出する。位置検出装置25として、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して作業車両2の位置を検出するGNSSセンサが例示される。GNSSとは、全地球航法衛星システムをいう。全地球航法衛星システムの一例として、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。
【0020】
制御装置26は、コンピュータシステムを含む。制御装置26は、バッテリ21及び報知装置24を制御する。
【0021】
充電装置3は、充電器31と、蓄電器32と、変換器33と、制御装置34とを有する。
【0022】
充電器31は、作業車両2のバッテリ21を充電可能である。充電器31は、第1充電速度又は第1充電速度よりも速い第2充電速度で作業車両2のバッテリ21を充電可能である。充電器31は、バッテリ21を充電するための電圧調整機能及び整流機能を有する。
【0023】
以下の説明においては、第1充電速度による充電を適宜、通常充電、と称し、第2充電速度による充電を適宜、急速充電、と称する。
【0024】
蓄電器32は、電源6から供給された電力を蓄える。蓄電器32は、2次電池(充電式バッテリ)を含む。蓄電器32は、電源6により充電される。コネクタ22とプラグ8とが接続されていない状態、すなわちバッテリ21が充電されていない状態において、蓄電器32は、電源6により充電される。
【0025】
変換器33は、電源6から供給された交流電力を直流電力に変換する。蓄電器32は、変換器33からの直流電力を蓄える。
【0026】
制御装置34は、コンピュータシステムを含む。制御装置34は、充電器31、蓄電器32、及び変換器33を制御する。
【0027】
管理装置4は、作業車両データ取得部41と、充電装置データ取得部42と、処理部43と、報知データ出力部44と、目標電力量取得部45と、電力総使用量取得部46と、充電電力量出力部47と、記憶部48とを有する。
【0028】
[リコメンド処理]
図3は、本実施形態に係る充電システム1によるリコメンド処理を示すフローチャートである。リコメンド処理とは、産業施設に複数の作業車両2及び複数の充電装置3が存在する場合において、充電を必要とする作業車両2の位置データに基づいて、作業車両2の充電に最適な充電装置3の所在地データを提供する処理をいう。
【0029】
管理装置4は、作業車両2からの充電要求と作業車両2の位置データとに基づいて、作業車両2の充電に最適な充電装置3の所在地データを報知装置24に報知する。また、管理装置4は、作業車両2からの充電要求と作業車両2の位置データとに基づいて、充電要求した作業車両2が充電を開始した後に使用可能な他の作業車両2の所在地データを報知装置24に報知する。
【0030】
作業車両データ取得部41は、複数の作業車両2のそれぞれから、作業車両2に係る作業車両データを一定時間ごとに取得する(ステップS101)。
【0031】
作業車両データは、バッテリ21の状態及び作業車両2の位置を含む。バッテリ21の状態は、バッテリ21の残存容量[%]及びバッテリ21の平均消費電力[kW]を含む。作業車両2の位置は、位置検出装置25により検出される。複数の作業車両2のそれぞれに識別番号(ID:identification)が付されている。また、複数のバッテリ21のそれぞれに識別番号(ID:identification)が付されている。そのため、作業車両データ取得部41は、複数の作業車両2及び複数のバッテリ21を区別することができる。
【0032】
充電装置データ取得部42は、複数の充電装置3のそれぞれから、充電装置3に係る充電装置データを一定時間ごとに取得する(ステップS102)。
【0033】
充電装置データは、蓄電器32の状態を含む。蓄電器32の状態は、蓄電器32が蓄電中か放電中かを示す蓄電状態及び蓄電器32の残存容量[%]を含む。複数の充電装置3のそれぞれに識別番号(ID:identification)が付されている。そのため、充電装置データ取得部42は、複数の充電装置3(蓄電器32)を区別することができる。
【0034】
処理部43は、ステップS101において取得されたバッテリ21の状態に基づいて、現時点からバッテリ21の容量[%]がゼロになる時点までの時間を示す残り稼働時間Taを算出する(ステップS103)。
【0035】
処理部43は、現時点におけるバッテリ21の残存容量と、バッテリ21の平均消費電力とに基づいて、残り稼働時間Taを算出することができる。残り稼働時間Taは、現時点からの作業車両2の稼働可能時間を示す。
【0036】
処理部43は、ステップS102において取得された蓄電器32の状態に基づいて、現時点から蓄電器32の蓄電が完了するまでの時間を示す残り蓄電時間Tbを算出する(ステップS104)。
【0037】
処理部43は、ステップS103で算出した残り稼働時間Taに基づいて、充電を必要とする作業車両2を示す充電必要車両2Aが存在するか否かを判定する(ステップS105)。
【0038】
処理部43は、残り稼働時間Taが予め定められている第1閾値以下である場合、充電必要車両2Aが存在すると判定する。すなわち、処理部43は、作業車両2の稼働可能時間が僅かであると判定した場合、その作業車両2は充電必要車両2Aであると判定する。
【0039】
ステップS105において、充電必要車両2Aが存在すると判定した場合(ステップS105:Yes)、処理部43は、充電必要車両2Aが充電を開始すべき時刻を示すリコメンド充電開始時刻trを算出する(ステップS106)。
【0040】
処理部43は、ステップS103において算出したバッテリ21の残り稼働時間Taと、ステップS101において取得されたバッテリ21の平均消費電力とに基づいて、リコメンド充電開始時刻trを算出することができる。リコメンド充電開始時刻trは、バッテリ21の容量[%]がゼロになると予想される時点を示す。
【0041】
処理部43は、ステップS104において算出した残り蓄電時間Tbに基づいて、蓄電が最も早期に完了する蓄電器32を有する充電装置3又は蓄電が既に完了している充電装置3を示すリコメンド充電装置3Aを算出する(ステップS107)。
【0042】
処理部43は、ステップS103において算出したバッテリ21の残り稼働時間Taに基づいて、リコメンド充電開始時刻trにおいて使用可能な作業車両2を示すリコメンド代替車両2Bを算出する(ステップS108)。
【0043】
処理部43は、残り稼働時間Taが予め定められている第2閾値以上である場合、リコメンド代替車両2Bが存在すると判定する。すなわち、処理部43は、作業車両2の稼働可能時間が十分であると判定した場合、その作業車両2をリコメンド代替車両2Bに決定する。
【0044】
報知データ出力部44は、ステップS107において算出されたリコメンド充電装置3Aの所在地を示す所在地データを出力する(ステップS109)。
【0045】
産業施設における複数の充電装置3のそれぞれの所在地は、既知データであり、記憶部48に登録されている。報知データ出力部44は、リコメンド充電装置3Aの所在地データを出力することができる。
【0046】
本実施形態において、処理部43は、ステップS101において取得された作業車両2の位置と、記憶部48に登録されている充電装置3の所在地と、記憶部48に予め登録されている産業施設のレイアウト図とに基づいて、充電必要車両2Aからリコメンド充電装置3Aまでの第1ルートR1を算出する。報知データ出力部44は、所在地データとして第1ルートR1を出力する。
【0047】
報知データ出力部44は、ステップS108において算出されたリコメンド代替車両2Bの所在地を示す所在地データを出力する(ステップS110)。
【0048】
本実施形態において、処理部43は、リコメンド充電装置3Aの所在地と、ステップS101において取得されたリコメンド代替車両2Bの位置と、産業施設のレイアウト図とに基づいて、リコメンド充電装置3Aからリコメンド代替車両2Bまでの第2ルートR2を算出する。報知データ出力部44は、所在地データとして第2ルートR2を出力する。
【0049】
報知データ出力部44は、第1ルートR1を含むリコメンド充電装置3Aの所在地データと、第2ルートR2を含むリコメンド代替車両2Bの所在地データとを報知装置24に送信する。
【0050】
図4は、本実施形態に係る報知装置24を模式的に示す図である。報知装置24は、表示装置を含む。図4に示すように、報知装置24は、充電必要車両2Aからリコメンド充電装置3Aまでの第1ルートR1を表示する。報知装置24は、リコメンド充電装置3Aからリコメンド代替車両2Bまでの第2ルートR2を表示する。
【0051】
充電必要車両2Aを運転する作業者は、リコメンド充電開始時刻trまでにリコメンド充電装置3Aに到達するように、報知装置24に表示されている第1ルートR1を参照しながら、充電必要車両2Aを運転する。
【0052】
処理部43は、充電必要車両2Aとリコメンド充電装置3Aとの最短距離を結ぶように、第1ルートR1を算出することができる。なお、産業施設において、例えば産業施設における作業状況又は時刻に基づいて、作業車両2の走行が制限されている制限エリアRAが存在する可能性がある。制限エリアRAが存在する場合、処理部43は、制限エリアRAを回避するように、第1ルートR1を算出することができる。
【0053】
充電必要車両2Aを運転する作業者は、リコメンド充電装置3Aに到着した後、充電必要車両2Aとリコメンド充電装置3Aとを接続して、充電必要車両2Aのバッテリ21を充電させる。充電必要車両2Aのバッテリ21の充電が開始された後、作業者は、報知装置24に表示されている第2ルートR2を参照しながら、リコメンド代替車両2Bまで移動する。作業者は、リコメンド代替車両2Bに搭乗して作業を開始することができる。
【0054】
[充電電力量制限処理]
図5は、本実施形態に係る充電システム1による充電電力量制限処理を示すフローチャートである。充電電力量制限処理とは、充電装置3がバッテリ21の充電に使用する充電電力量を制限する処理をいう。
【0055】
管理装置4は、産業施設の電力総使用量を検出器5から取得する。また、管理装置4は、産業施設が使用可能な電力量を示す目標電力量を取得する。電力総使用量は、産業施設において実際に使用されている電力量である。目標電力量は、例えば電力会社との契約により定められる産業施設が使用可能な電力量の最大値をいう。したがって、充電装置3が使用可能な電力量を示す余裕電力量は、目標電力量と電力総使用量との差である(余裕電力量=目標電力量-電力総使用量)。管理装置4は、充電装置3がバッテリ21の充電のために使用する充電電力量が余裕電力量を超えないように充電電力量を決定する。目標電力量は一定値である。電力総使用量は、産業施設の電気機器の稼働状態に基づいて変動する変動値である。したがって、余裕電力量は変動値である。管理装置4は、充電電力量が余裕電力量を超えないように、充電電力量を変更する。
【0056】
目標電力量取得部45は、目標電力量及び設定時間を取得する(ステップS201)。
【0057】
目標電力量は、例えば電力会社との契約により定められる。本実施形態において、目標電力量は、設定時間によって変更される。一例として、夜間であれば目標電力量は大きくなり、昼間であれば目標電力量は小さくなる。目標電力量と設定時間との関係は、電力会社との契約に定められる。目標電力量取得部45は、予め定められている目標電力量及び設定時間を取得する。目標電力量及び設定時間は、記憶部48に登録されていてもよいし、作業者が入力装置(不図示)を操作して入力してもよい。
【0058】
電力総使用量取得部46は、検出器5から電力総使用量を取得する(ステップS202)。
【0059】
産業施設に存在する複数の充電装置3のうち、ある充電装置3がバッテリ21の充電を開始すると、充電装置3の制御装置34は、バッテリ21の充電を開始したことを示す充電開始信号を管理装置4に出力する。処理部43は、充電装置3から出力された充電開始信号を取得する(ステップS203)。
【0060】
処理部43は、現在の時刻が設定時間内か否かを判定する(ステップS204)。
【0061】
ステップS204において、設定時間内ではない判定された場合(ステップS204:No)、ステップS202の処理に戻る。
【0062】
ステップS204において、設定時間内であると判定した場合(ステップS204:Yes)、処理部43は、電力総使用量と目標電力量とに基づいて、余裕電力量を算出する(ステップS205)。
【0063】
上述のように、余裕電力量は、目標電力量と電力総使用量との差である(余裕電力量=目標電力量-電力総使用量)。
【0064】
充電電力量出力部47は、ステップS205において算出された余裕電力量に基づいて、充電電力量を決定する(ステップS206)。
【0065】
充電電力量とは、充電装置3がバッテリ21の充電のために実際に使用する電力量をいう。充電電力量出力部47は、充電電力量が余裕電力量を超えないように充電電力量を決定する。
【0066】
充電電力量出力部47は、ステップS205において決定した充電電力量を充電装置3に出力する(ステップS207)。
【0067】
充電装置3の制御装置34は、充電電力量出力部47から出力された充電電力量を取得する。制御装置34は、充電電力量に基づいて、バッテリ21を充電する。
【0068】
[コンピュータシステム]
図6は、本実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の管理装置4は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の管理装置4の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0069】
コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、バッテリ21を有する作業車両2の状態と、電源6により充電される蓄電器32とバッテリ21を充電可能な充電器31とを有する充電装置3の状態とを管理することができる。
【0070】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、蓄電器32を有する充電装置3が産業施設に複数設けられる。バッテリ21を充電していないとき、蓄電器32は、電源6により蓄電される。蓄電器32は、バッテリ21を充電しない期間において電源6により蓄電されるので、電源6が小容量でも、蓄電器32は十分に蓄電される。バッテリ21を急速充電するとき、充電装置3は、蓄電器32に蓄えられている電力を用いてバッテリ21を急速充電することができる。バッテリ21の急速充電においては、電源6からの電力は使用されず、蓄電器32から出力される電力が使用される。そのため、産業施設に大規模な電源6が無くても、充電システム1は、複数の作業車両2のバッテリ21を急速充電することができる。
【0071】
また、産業施設において稼働する複数の作業車両2の状態及び複数の充電装置3の状態が、管理装置4により監視される。そのため、複数の充電装置3の少なくとも一つを用いて、作業車両2のバッテリ21を適切に充電することができる。
【0072】
管理装置4は、バッテリ21の残存容量及びバッテリ21の平均消費電力に基づいて、バッテリ21の容量がゼロになる時点までの時間を示す残り稼働時間Taを監視することができる。また、管理装置4は、蓄電器32の蓄電状態及び蓄電器32の残存容量に基づいて、蓄電器32の蓄電が終了するまでの時間を示す残り蓄電時間Tbを管理することができる。
【0073】
管理装置4は、残り稼働時間Taに基づいて、充電必要車両2Aの存否を管理することができる。また、管理装置4は、残り蓄電時間Tbに基づいて、リコメンド充電装置3Aの存否を管理することができる。
【0074】
管理装置4は、リコメンド充電装置3Aの所在地を示す所在地データを報知装置24に出力する。これにより、充電必要車両2Aを運転する作業者は、報知装置24に表示されているリコメンド充電装置3Aの所在地を参照しながら、リコメンド充電装置3Aまで充電必要車両2Aを移動させることができる。
【0075】
管理装置4は、バッテリ21の残り稼働時間Ta及びバッテリ21の平均消費電力に基づいて、リコメンド充電開始時刻trにおいて使用可能なリコメンド代替車両2Bの存否を管理することができる。
【0076】
管理装置4は、リコメンド代替車両2Bの所在地を示す所在地データを報知装置24に出力する。これにより、作業者は、リコメンド充電装置3Aにより充電必要車両2Aのバッテリ21の充電を開始した後、報知装置24に表示されているリコメンド代替車両2Bの所在地を参照しながら、リコメンド代替車両2Bまで移動することができる。作業者は、リコメンド代替車両2Bを用いて作業を開始することができる。作業者の有閑時間が削減されるので、産業施設の作業効率の低下が抑制される。また、リコメンド代替車両2Bの所在地データが出力されることにより、作業者は、産業施設において迷わずにリコメンド代替車両2Bに移動することができる。
【0077】
管理装置4は、目標電力量と電力総使用量とに基づいて、充電装置3が使用可能な電力量を示す余裕電力量を管理することができる。管理装置4は、充電装置3がバッテリ21の充電のために使用する充電電力量が余裕電力量を超えないように、充電電力量を決定する。これにより、産業施設の電力総使用量が目標電力量を超えてしまうことが抑制される。
【0078】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、リコメンド充電装置3Aの所在地データとして、第1ルートR1が報知装置24に表示されることとした。報知装置24に第1ルートR1は表示されなくてもよい。例えば、リコメンド充電装置3Aの所在地を示すマーク(シンボル)が報知装置24に表示されてもよい。また、報知装置24が音声出力装置を示す場合、リコメンド充電装置3Aの所在地データが音声により出力されてもよい。リコメンド代替車両2Bの所在地データについても同様である。
【0079】
なお、上述の実施形態においては、作業車両2がフォークリフトであることとした。上述の実施形態で説明した構成要素は、バッテリを駆動源とする作業車両に適用可能である。例えば、作業車両2がバッテリを駆動源とするホイールローダでもよいし、油圧ショベルでもよいし、ダンプトラックでもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…充電システム、2…作業車両、2A…充電必要車両、2B…リコメンド代替車両、3…充電装置、3A…リコメンド充電装置、4…管理装置、5…検出器、6…電源、7…発電所、8…プラグ、9…ケーブル、21…バッテリ、22…コネクタ、24…報知装置、25…位置検出装置、26…制御装置、27…ケーブル、31…充電器、32…蓄電器、33…変換器、34…制御装置、41…作業車両データ取得部、42…充電装置データ取得部、43…処理部、44…報知データ出力部、45…目標電力量取得部、46…電力総使用量取得部、47…充電電力量出力部、48…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6