(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】不燃物選別装置及びこれを備えた廃棄物処理設備
(51)【国際特許分類】
B07B 9/00 20060101AFI20231003BHJP
B02C 4/02 20060101ALI20231003BHJP
B02C 1/02 20060101ALI20231003BHJP
B02C 17/00 20060101ALI20231003BHJP
B02C 17/02 20060101ALI20231003BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B07B9/00 A
B02C4/02 ZAB
B02C1/02 Z
B02C17/00 D
B02C17/02
B09B5/00 M
(21)【出願番号】P 2019199917
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187908
【氏名又は名称】山本 康平
(72)【発明者】
【氏名】小野 雄基
(72)【発明者】
【氏名】島 孝一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇之
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-122526(JP,A)
【文献】特開平11-173521(JP,A)
【文献】実開昭60-053343(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
B02C 1/00- 7/18
B02C 15/00-17/24
F23G 5/00- 5/05
F23G 7/00
F23J 1/00-1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物焼却炉から排出される不燃物を瓦礫と金属とに分ける不燃物選別装置であって、
互いに隙間を空けて配置された一対の粉砕機構を有し、前記一対の粉砕機構のうち少なくとも一方を可動させつつ前記不燃物を前記隙間に通過させることにより、前記不燃物のうち前記瓦礫を優先的に粉砕する第1粉砕機と、
前記第1粉砕機の後段に配置され、前記第1粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第1スクリーンと、
前記第1スクリーンの後段に配置され、粉砕処理容器と前記粉砕処理容器内に収容された粉砕用媒体とを有し、
前記第1粉砕機で処理された後に前記第1スクリーンの篩目を通過して前記粉砕処理容器内に投入された前記不燃物を前記粉砕用媒体との接触により粉砕する第2粉砕機と、
前記第2粉砕機の後段に配置され、
前記第1粉砕機で処理された後に前記第1スクリーンの篩目を通過して前記第2粉砕機に投入されて当該第2粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第2スクリーンと、を備え
、
前記第1粉砕機は、前記一対の粉砕機構として、軸方向に延びると共に軸回りに回転可能な一対のロール体を有し、
前記第1粉砕機は、前記一対のロール体のうち少なくとも一方を軸回りに回転させつつ前記不燃物を前記隙間に噛み込んで圧縮することによって、当該不燃物のうち前記瓦礫を粉砕すると共に、前記一対のロール体により前記不燃物のうち前記金属を粉砕せずに引き延ばすように構成されている、不燃物選別装置。
【請求項2】
廃棄物焼却炉から排出される不燃物を瓦礫と金属とに分ける不燃物選別装置であって、
互いに隙間を空けて配置された一対の粉砕機構を有し、前記一対の粉砕機構のうち少なくとも一方を可動させつつ前記不燃物を前記隙間に通過させることにより、前記不燃物のうち前記瓦礫を優先的に粉砕する第1粉砕機と、
前記第1粉砕機の後段に配置され、前記第1粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第1スクリーンと、
前記第1スクリーンの後段に配置され、粉砕処理容器と前記粉砕処理容器内に収容された粉砕用媒体とを有し、前記第1粉砕機で処理された後に前記第1スクリーンの篩目を通過して前記粉砕処理容器内に投入された前記不燃物を前記粉砕用媒体との接触により粉砕する第2粉砕機と、
前記第2粉砕機の後段に配置され、前記第1粉砕機で処理された後に前記第1スクリーンの篩目を通過して前記第2粉砕機に投入されて当該第2粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第2スクリーンと、を備え、
前記第1粉砕機は、前記一対の粉砕機構として、前記隙間を挟んで対向する一対の粉砕板を有し、
前記第1粉砕機は、前記一対の粉砕板のうち少なくとも一方を可動させつつ前記不燃物を前記隙間に通過させて圧縮する
ことによって、当該不燃物のうち前記瓦礫を粉砕すると共に、前記一対の粉砕板により前記不燃物のうち前記金属を粉砕せずに引き延ばすように構成されている、不燃物選別装置。
【請求項3】
前記第1スクリーンの篩目の大きさは、前記一対のロール体の前記隙間よりも大きい、請求項1記載の不燃物選別装置。
【請求項4】
前記第1粉砕機の前段に配置され、前記不燃物を篩選別する前段スクリーンをさらに備え、
前記前段スクリーンの篩目の大きさは、前記前段スクリーンを通過する前記不燃物が前記一対のロール体の前記隙間へ噛み込み可能な大きさとなるように設計されている、請求項1記載の不燃物選別装置。
【請求項5】
廃棄物焼却炉から排出される不燃物を瓦礫と金属とに分ける不燃物選別装置であって、
第1粉砕処理容器と前記第1粉砕処理容器内に収容された第1粉砕用媒体とを有し、前記第1粉砕用媒体との接触により前記第1粉砕処理容器内に投入された前記不燃物のうち前記瓦礫を優先的に粉砕する第1粉砕機と、
前記第1粉砕機の後段に配置され、前記第1粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第1スクリーンと、
前記第1スクリーンの後段に配置され、第2粉砕処理容器と前記第2粉砕処理容器内に収容された第2粉砕用媒体とを有し、
前記第1粉砕機で処理された後に前記第1スクリーンの篩目を通過して前記第2粉砕処理容器内に投入された前記不燃物を前記第2粉砕用媒体との接触により粉砕する第2粉砕機と、
前記第2粉砕機の後段に配置され、
前記第1粉砕機で処理された後に前記第1スクリーンの篩目を通過して前記第2粉砕機に投入されて当該第2粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第2スクリーンと、を備え、
前記第1粉砕処理容器内における前記第1粉砕用媒体の充填率が、前記第2粉砕処理容器内における前記第2粉砕用媒体の充填率よりも低い、不燃物選別装置。
【請求項6】
前記第2粉砕機はロッドミルである、請求項1~
5のいずれか1項に記載の不燃物選別装置。
【請求項7】
前記第2粉砕機はボールミルである、請求項1~
5のいずれか1項に記載の不燃物選別装置。
【請求項8】
廃棄物を焼却する廃棄物焼却炉と、
前記廃棄物焼却炉から排出される不燃物を瓦礫と金属とに分ける請求項1~
7のいずれか1項に記載の不燃物選別装置と、を備えた、廃棄物処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不燃物選別装置及びこれを備えた廃棄物処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
流動床式ガス化溶融炉においては、前段のガス化炉において廃棄物が熱分解されると共に当該熱分解ガスが後段の溶融炉へ導入され、瓦礫や金属類を含む不燃物がガス化炉の底部から炉外へ排出される。そして、当該不燃物は、瓦礫と金属類とに選別された後、各用途においてそれぞれ利用される。
【0003】
特許文献1には、この種の技術として、流動床ガス化炉の底部から排出される不燃物を選別する装置を備えたガス化溶融設備が記載されている。この設備は、流動床ガス化炉より排出された不燃物から鉄を分離する磁選機と、磁選機より排出された不燃物からアルミニウム等の非鉄金属を分離する非鉄金属(アルミ)選別機と、非鉄金属選別機より排出された不燃物を粉砕する粉砕装置と、粉砕装置の後段に配置された振動篩と、を備えている。当該粉砕装置は、有底円筒形状のドラム内に複数のロッドが入れられたロッドミルにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された不燃物選別装置では、ロッドミルによる不燃物の粉砕前に磁選機及び非鉄金属選別機による選別が行われるが、少なからず不燃物中に金属類が残存するため、多量の金属類を含む不燃物がロッドミルのドラム内へ投入される。
【0006】
ロッドミルは、ドラム内に収容された複数のロッドとの接触により不燃物に含まれる瓦礫を主に粉砕する装置であるが、多量の金属類がドラム内へ投入されると、金属類の介在により瓦礫とロッドとの接触が阻害される。これにより、ロッドミルにおける瓦礫の粉砕効率が低下してしまう。その結果、ロッドミルから排出される不燃物中に未粉砕の瓦礫が残存する割合が増加し、ロッドミルの後段の篩において瓦礫と金属類とを高精度に分離することが困難になる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃棄物焼却炉から排出される不燃物から瓦礫と金属とを高精度に選別することが可能な不燃物選別装置及びこれを備えた廃棄物処理設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る不燃物選別装置は、廃棄物焼却炉から排出される不燃物を瓦礫と金属とに分ける装置である。この不燃物選別装置は、互いに隙間を空けて配置された一対の粉砕機構を有し、前記一対の粉砕機構のうち少なくとも一方を可動させつつ前記不燃物を前記隙間に通過させることにより、前記不燃物のうち前記瓦礫を優先的に粉砕する第1粉砕機と、前記第1粉砕機の後段に配置され、前記第1粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第1スクリーンと、前記第1スクリーンの後段に配置され、粉砕処理容器と前記粉砕処理容器内に収容された粉砕用媒体とを有し、前記粉砕処理容器内に投入された前記不燃物を前記粉砕用媒体との接触により粉砕する第2粉砕機と、前記第2粉砕機の後段に配置され、前記第2粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第2スクリーンと、を備えている。
【0009】
この不燃物選別装置によれば、第1粉砕機により不燃物のうち瓦礫を優先的に粉砕し、その後不燃物を第1スクリーンにより篩選別することにより、第2粉砕機への投入前の不燃物から金属を主に除去することができる。このため、第1粉砕機及び第1スクリーンが第2粉砕機の前段に配置されない場合に比べて第2粉砕機へ投入される金属の量が少なくなり、第2粉砕機の粉砕処理容器内における金属の滞留を抑制することができる。これにより、第2粉砕機による処理中に瓦礫と粉砕用媒体との間に金属が介在するのを抑制することができるため、第2粉砕機による瓦礫の粉砕効率の低下を抑制することができる。その結果、第2粉砕機により瓦礫をより確実に粉砕可能となり、後段の第2スクリーンにおいて瓦礫と金属とを高精度に分離することが可能になる。また第1粉砕機は、一対の粉砕機構の隙間に不燃物を通過させて処理するものであるため、多量の金属を含む不燃物を処理する場合であっても、第2粉砕機に比べて粉砕効率への影響は小さい。以上の通り、上記不燃物選別装置によれば、廃棄物焼却炉から排出される不燃物から瓦礫と金属とを高精度に選別することができる。
【0010】
ここで、「瓦礫(がれき)」とは、廃棄物焼却炉から排出される不燃物のうち金属以外のものを意味し、瓦片、小石や砂等を含む。
【0011】
上記不燃物選別装置において、前記第1粉砕機は、前記一対の粉砕機構により前記不燃物のうち前記瓦礫を粉砕すると共に、前記一対の粉砕機構により前記不燃物のうち前記金属を粉砕せずに引き延ばすように構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1粉砕機により不燃物のうち瓦礫のみを選択的に粉砕することにより、第1スクリーンにおいて瓦礫と金属とを高精度に分離することができる。その結果、第2粉砕機へ投入される瓦礫の量を確保しつつ、第2粉砕機へ投入される金属の量を減らすことが可能になる。
【0013】
上記不燃物選別装置において、前記第1粉砕機は、前記一対の粉砕機構として、軸方向に延びると共に軸回りに回転可能な一対のロール体を有していてもよい。前記第1粉砕機は、前記一対のロール体のうち少なくとも一方を軸回りに回転させつつ前記不燃物を前記隙間に噛み込んで圧縮するように構成されていてもよい。
【0014】
この構成(ダブルロールクラッシャー)によれば、不燃物のうち瓦礫のみを容易に選択的に粉砕することができる。またダブルロールクラッシャーは、ロール体同士の隙間により瓦礫の粉砕粒径を調整可能であり、しかも装置がコンパクトで低振動というメリットもある。
【0015】
上記不燃物選別装置において、前記第1スクリーンの篩目の大きさは、前記一対のロール体の前記隙間よりも大きくなっていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1粉砕機により粉砕された瓦礫を、第1スクリーンの篩下へより確実に落とすことができる。
【0017】
上記不燃物選別装置は、前記第1粉砕機の前段に配置され、前記不燃物を篩選別する前段スクリーンをさらに備えていてもよい。前記前段スクリーンの篩目の大きさは、前記前段スクリーンを通過する前記不燃物が前記一対のロール体の前記隙間へ噛み込み可能な大きさとなるように設計されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、第1粉砕機の前段において粗大な不燃物を予め分離することにより、ロール体の隙間へ噛み込むことができない粗大な不燃物が、ロール体上に滞留するのを抑制することができる。
【0019】
上記不燃物選別装置において、前記第1粉砕機は、前記一対の粉砕機構として、前記隙間を挟んで対向する一対の粉砕板を有していてもよい。前記第1粉砕機は、前記一対の粉砕板のうち少なくとも一方を可動させつつ前記不燃物を前記隙間に通過させて圧縮するように構成されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、ダブルロールクラッシャーと同様に、不燃物のうち瓦礫のみを容易に選択的に粉砕することができる。
【0021】
本発明の他の局面に係る不燃物選別装置は、廃棄物焼却炉から排出される不燃物を瓦礫と金属とに分ける装置である。この不燃物選別装置は、第1粉砕処理容器と前記第1粉砕処理容器内に収容された第1粉砕用媒体とを有し、前記第1粉砕用媒体との接触により前記第1粉砕処理容器内に投入された前記不燃物のうち前記瓦礫を優先的に粉砕する第1粉砕機と、前記第1粉砕機の後段に配置され、前記第1粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第1スクリーンと、前記第1スクリーンの後段に配置され、第2粉砕処理容器と前記第2粉砕処理容器内に収容された第2粉砕用媒体とを有し、前記第2粉砕処理容器内に投入された前記不燃物を前記第2粉砕用媒体との接触により粉砕する第2粉砕機と、前記第2粉砕機の後段に配置され、前記第2粉砕機により処理された前記不燃物を篩選別する第2スクリーンと、を備えている。前記第1粉砕処理容器内における前記第1粉砕用媒体の充填率が、前記第2粉砕処理容器内における前記第2粉砕用媒体の充填率よりも低くなっている。
【0022】
この不燃物選別装置によれば、第1粉砕機により不燃物のうち瓦礫を優先的に粉砕し、その後不燃物を第1スクリーンにより篩選別することにより、第2粉砕機への投入前の不燃物から金属を主に除去することができる。このため、第2粉砕機へ投入される金属の量が少なくなり、第2粉砕処理容器内における金属の滞留が抑制される。その結果、瓦礫と第2粉砕用媒体との間に金属が介在するのを抑制し、第2粉砕機による瓦礫の粉砕効率の低下を抑制することができる。また第1粉砕機は、第2粉砕機に比べて粉砕用媒体の充填率が低いため、多量の金属を含む不燃物が粉砕処理容器内へ投入される場合であっても、第2粉砕機に比べて粉砕効率への影響は小さい。
【0023】
上記不燃物選別装置において、前記第2粉砕機はロッドミルであってもよい。また前記第2粉砕機はボールミルであってもよい。
【0024】
この構成によれば、不燃物に含まれる瓦礫を細かく粉砕することができる。
【0025】
本発明のさらに他の局面に係る廃棄物処理設備は、廃棄物を焼却する廃棄物焼却炉と、前記廃棄物焼却炉から排出される不燃物を瓦礫と金属とに分ける上記不燃物選別装置と、を備えている。
【0026】
この廃棄物処理設備によれば、上記不燃物選別装置により、廃棄物焼却炉から排出される不燃物を瓦礫と金属とに高精度に分離することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、廃棄物焼却炉より排出される不燃物から瓦礫と金属とを高精度に選別することが可能な不燃物選別装置及びこれを備えた廃棄物処理設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態1に係る廃棄物処理設備及び不燃物選別装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】上記不燃物選別装置における第1粉砕機の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】ロール軸方向から見た上記第1粉砕機の構成を模式的に示す側面図である。
【
図4】上記不燃物選別装置における第2粉砕機の構成を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る不燃物選別装置における第1粉砕機の構成を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係る不燃物選別装置における第2粉砕機の構成を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の実施形態4に係る不燃物選別装置の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る廃棄物処理設備及び不燃物選別装置を詳細に説明する。
【0030】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る廃棄物処理設備1の構成を、
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、廃棄物処理設備1は、廃棄物を焼却する廃棄物焼却炉3と、廃棄物焼却炉3から排出される不燃物を瓦礫と金属とに分ける不燃物選別装置2と、廃棄物焼却炉3の後段に配置されたボイラ、減温塔、バグフィルタ及び触媒反応塔(図示しない)等の各種排ガス処理設備と、を主に備えている。
【0031】
廃棄物焼却炉3は、例えば都市ごみ等の廃棄物を焼却処理する設備であり、本実施形態では流動床式ガス化溶融炉である。具体的には、
図1に示すように、廃棄物焼却炉3は、廃棄物を可燃性ガス(一酸化炭素、水素、炭化水素等)に熱分解するガス化炉10と、ガス化炉10で発生した可燃性ガスを完全燃焼させると共に当該可燃性ガスに同伴された飛灰を溶融させる溶融炉20と、ガス化炉10から溶融炉20へ可燃性ガスを導くためのガス導入経路30と、を主に有している。
【0032】
ガス化炉10は、炉本体11と、炉本体11内の底部側に配置された炉底板12と、炉底板12上に充填された砂等の流動媒体13と、流動媒体13及び不燃物を炉本体11の外へ抜き出すための抜出管14と、を主に有している。炉本体11は、上下方向に延びる円筒形状からなり、側部のうち流動媒体13よりも上側の部位に廃棄物の投入口11Aが形成され、頂部に可燃性ガスの流出口11Bが形成され、側部のうち炉底板12よりも下側の部位に燃焼用空気の入口11Cが形成されている。炉底板12の中央部には抜出孔12Aが形成されており、抜出管14は上端部が当該抜出孔12Aに接続されると共に、下端部が炉本体11の外側(炉本体11の底壁部よりも下側)に位置している。
【0033】
溶融炉20は、ガス化炉10の後段に配置されており、可燃性ガスの旋回流100を形成しつつ可燃性ガスを炉内で完全燃焼させると共に、当該可燃性ガスに同伴されて炉内へ導入された飛灰を溶融させてスラグを形成する(旋回流溶融炉)。
図1に示すように、溶融炉20には、可燃性ガスの流入口21が上側側部に形成されると共に、溶融スラグの出滓口22が底部に形成されている。ガス導入経路30は、上流端がガス化炉10の流出口11Bに接続されると共に、下流端が溶融炉20の流入口21に接続されている。
【0034】
廃棄物処理設備1は、ガス化炉10から流動媒体13及び不燃物を抜き出すと共に、不燃物から分離された流動媒体13をガス化炉10へ戻す循環機構4をさらに備えている。
図1に示すように、循環機構4は、抜出スクリュ41と、砂分級装置42と、砂循環エレベータ43と、砂分級装置42の砂出口42Aと砂循環エレベータ43の入口43Aとを接続する第1砂循環経路44と、砂循環エレベータ43の出口43Bと炉本体11の側部のうち流動媒体13よりも上側の部位とを接続する第2砂循環経路45と、を主に有している。
【0035】
抜出スクリュ41は、回転駆動によりガス化炉10の底部から流動媒体13及び不燃物を炉外へ抜き出すためのものであり、抜出管14の下端部に設けられている。砂分級装置42は、抜出スクリュ41の下流端に設けられており、篩選別により流動媒体13と不燃物(瓦礫及び金属)とを分離する。砂分級装置42の砂出口42Aから排出された流動媒体13は、第1砂循環経路44、砂循環エレベータ43及び第2砂循環経路45を順に通過してガス化炉10内へ戻される。一方、砂分級装置42の不燃物出口42Bから排出された不燃物は、以下に詳述する本実施形態に係る不燃物選別装置2により瓦礫と金属とに分けられる。
【0036】
以下、本実施形態に係る不燃物選別装置2の構成を、
図1~
図4に基づいて説明する。
図1に示すように、不燃物選別装置2は、第1磁選機51と、第2磁選機52と、非鉄金属選別機53と、前段スクリーン54と、鉄分スクリーン55と、高速ドラム磁選機56と、不燃物貯留槽57と、第1粉砕機58と、第1スクリーン59と、第2粉砕機60と、第2スクリーン61と、を主に備え、これらが不燃物の搬送経路により上記の順で接続されている。以下、これらの構成要素をそれぞれ説明する。
【0037】
第1磁選機51及びその後段に配置された第2磁選機52は、磁力によって、砂分級装置42(不燃物出口42B)より排出された不燃物から鉄分を分離する。非鉄金属選別機53は、第2磁選機52の後段に配置されており、第1磁選機51及び第2磁選機52により鉄分が除去された不燃物から非鉄金属を分離する。具体的には、非鉄金属選別機53は、非鉄金属に発生させた渦電流と磁界との相互作用を利用して、不燃物から非鉄金属を選別する。
【0038】
前段スクリーン54(前段篩)は、非鉄金属選別機53の後段で且つ不燃物貯留槽57の前段に配置されており、非鉄金属選別機53から排出された不燃物を篩選別する。第1磁選機51、第2磁選機52及び非鉄金属選別機53による選別後においても不燃物中に金属が未だ残留するが、前段スクリーン54では、当該残留金属の一部(例えば、アルミニウム、銅、真ちゅう等)がさらに分離される。不燃物貯留槽57は、前段スクリーン54の後段で且つ第1粉砕機58の前段に配置されており、前段スクリーン54の篩目を通過した(篩目から落下した)不燃物を一時的に貯留する。
【0039】
鉄分スクリーン55(鉄分篩)は、第1磁選機51及び第2磁選機52により不燃物から分離された鉄分を篩選別する。これにより、比較的大きい鉄分は鉄分スクリーン55の篩上に残存し、比較的小さい鉄分及び砂鉄は鉄分スクリーン55の篩目を通過する。
【0040】
高速ドラム磁選機56は、鉄分スクリーン55の篩目を通過した鉄分及び砂鉄の混合物を、鉄分と砂鉄とに分離する。
図1に示すように、高速ドラム磁選機56により分離された砂鉄は、前段スクリーン54と不燃物貯留槽57との間の経路に合流する。
【0041】
第1粉砕機58は、互いに隙間を空けて配置された一対の粉砕機構を有し、当該一対の粉砕機構のうち少なくとも一方を可動させつつ不燃物を隙間に通過させることにより、不燃物のうち瓦礫110を金属よりも優先的に粉砕する。つまり、第1粉砕機58により粉砕される瓦礫110の割合が、第1粉砕機58により粉砕される金属の割合よりも大きい。より具体的には、第1粉砕機58は、当該一対の粉砕機構により不燃物のうち瓦礫110を粉砕すると共に、当該一対の粉砕機構により不燃物のうち金属を粉砕せずに引き延ばすように構成されている。
【0042】
ここで、第1粉砕機58へ投入される不燃物には、非鉄金属選別機53及び前段スクリーン54により分離されなかった非鉄金属として、例えばアルミニウム箔、アルミニウム缶、銅又は真ちゅう等が含まれるが、これらのうちアルミニウム箔は第1粉砕機58において引きちぎられる。つまり、「第1粉砕機58が不燃物のうち金属を粉砕せずに引き延ばす」とは、第1粉砕機58へ投入される金属の全てが引き延ばされることを意味するのではなく、第1粉砕機58へ投入される金属のうちアルミニウム箔等の低強度のもの(第1粉砕機58の粉砕力に比べて強度が低いもの)が引き延ばされずに引きちぎられる場合をも含むことを意味する。本実施形態における第1粉砕機58は、
図2及び
図3に示すように、一対のロール体62(一対の粉砕機構)を有すると共に、当該一対のロール体62の回転により不燃物を隙間G1に噛み込んで瓦礫110を圧縮粉砕するダブルロールクラッシャーにより構成されている。
【0043】
図2は、第1粉砕機58の斜視図であり、
図3は、ロール体62の軸方向から見た第1粉砕機58の側面図である。第1粉砕機58は、軸方向に延びる円筒形状を有すると共に軸回りに回転可能な一対のロール体62と、各ロール体62の回転駆動力を発生させるモータ等の駆動部(図示しない)と、を有している。
図2及び
図3に示すように、一対のロール体62は、互いに平行であると共に、ロール軸方向に垂直な方向において隙間G1を空けて配置されている。当該隙間G1は、ロール軸方向の全体に亘って略一定に保持されているが、これに限定されない。
【0044】
上記駆動部は、不燃物を隙間G1へ噛み込む方向に各ロール体62を軸回りに回転させる。具体的には、
図3中の矢印で示すように、図中左側のロール体62が時計回りに回転すると共に、図中右側のロール体62が反時計周りに回転する。
【0045】
第1粉砕機58によれば、一対のロール体62をそれぞれ軸回りに回転させつつ不燃物を隙間G1に噛み込んで圧縮することにより、不燃物に含まれる瓦礫110を隙間G1以下のサイズまで粉砕することができる。一方、不燃物に含まれる金属は、粉砕されず、隙間G1に噛み込まれることによりロール軸方向に引き延ばされる。つまり、第1粉砕機58は、不燃物のうち瓦礫110のみを選択的に粉砕する装置である。また第1粉砕機58は、不燃物を隙間G1へ1回通過(落下)させて処理するものであり、投入された不燃物が装置内に滞留しない構造となっている。
【0046】
このように、第1粉砕機58は、ロール体62同士の隙間G1に不燃物を1回通過させることにより粉砕処理するものであるが、サイズが過大な不燃物は隙間G1を通過することができず、ロール体62上で滞留してしまう。このため、前段スクリーン54の篩目の大きさは、前段スクリーン54を通過する不燃物が一対のロール体62の隙間G1へ噛み込み可能な大きさとなるように設計されている。本実施形態では、ロール体62同士の隙間G1が10mmであるのに対し、前段スクリーン54の篩目が40mm以上60mm以下となっている。なお、第1粉砕機58は、ロール体62間の隙間G1を調整可能に構成されており、ロール体62の表面が摩耗した場合でも隙間G1を規定値に維持できるように構成されている。
【0047】
第1スクリーン59(第1篩)は、第1粉砕機58の後段で且つ第2粉砕機60の前段に配置されており、第1粉砕機58により処理された不燃物を篩選別する。第1スクリーン59の篩目の大きさは、第1粉砕機58における一対のロール体62の隙間G1よりも大きく、例えばロール体62同士の隙間G1が10mmであるのに対して第1スクリーン59の篩目の大きさが15mm以上25mm以下となっており、好ましくは20mm以上25mm以下となっている。すなわち、第1スクリーン59の篩目の大きさは、ロール体62同士の隙間G1の1.5倍以上2.5倍以下となっており、好ましくは2.0倍以上2.5倍以下となっている。これにより、第1粉砕機58により処理された不燃物のうち、粉砕された瓦礫110が第1スクリーン59の篩目から落下し、粉砕されずに引き延ばされた金属は第1スクリーン59の篩上に残存する。したがって、金属の含有量が少ない不燃物を、第2粉砕機60へ投入することができる。
【0048】
第2粉砕機60は、第1スクリーン59の後段で且つ第2スクリーン61の前段に配置されており、粉砕処理容器と当該粉砕処理容器内に収容された粉砕用媒体とを有し、粉砕処理容器内に投入された不燃物を粉砕用媒体との接触により粉砕する装置である。本実施形態における第2粉砕機60は、
図4に示すように、複数のロッド71がドラム72内に収容されたロッドミルにより構成されている。
【0049】
図4に示すように、第2粉砕機60は、中空円筒形状からなるドラム72(粉砕処理容器)と、ドラム72内に収容された多数の円柱状のロッド71(粉砕用媒体)と、ドラム72を円振動させる振動発生部(図示しない)と、を有している。ドラム72には、不燃物の入口72Aが軸方向の一方側(
図4中の奥側)に形成されていると共に、不燃物の出口72Bが軸方向の他方側(
図4中の手前側)に形成されている。ロッド71は、瓦礫110よりも硬質な材料(例えば鋼材)からなり、
図4に示すように長さ方向がドラム72の軸方向に沿うように当該ドラム72の中空部内に多数充填されている。なお、第2粉砕機60は、本実施形態のような振動式ロッドミルに限定されず、ドラム72を軸周りに回転させる駆動力を発生する駆動部を上記振動発生部の代わりに備えた回転式ロッドミルであってもよい。
【0050】
第2粉砕機60によれば、上記振動発生部によってドラム72を円振動させることにより、ドラム72内に投入された不燃物とロッド71とが接触し、それにより瓦礫110がさらに小さいサイズまで粉砕される(例えば1mm以下)。なお、ドラム72内に投入された金属は、第1粉砕機58と同様に、粉砕されずに引き延ばされる。
【0051】
第2スクリーン61(
図1)は、第2粉砕機60の後段に配置されており、第2粉砕機60により処理された不燃物を篩選別する。第2スクリーン61の篩目は、第2粉砕機60の粉砕粒度よりも大きく、且つ第1スクリーン59の篩目よりも小さくなっており、例えば3mm程度である。第2スクリーン61では、第2粉砕機60により粉砕された小さな瓦礫110が篩目を通過し、篩上には主に金属が残存する。第2スクリーン61の篩目を通過した瓦礫110(
図1中の粉砕物)は、溶融炉20へ投入されてスラグ化される。一方、第2スクリーン61の篩上に残存した金属は、有価物として別途利用される。
【0052】
以上の通り、本実施形態に係る不燃物選別装置2によれば、第1粉砕機58により不燃物のうち瓦礫110を優先的(選択的)に粉砕し、その後不燃物を第1スクリーン59により篩選別することにより、第2粉砕機60への投入前の不燃物から金属を主に除去することができる。このため、第2粉砕機60へ投入される金属の量が少なくなり、第2粉砕機60のドラム72内における金属の滞留を抑制することができる。これにより、第2粉砕機60による処理中に瓦礫110とロッド71との間に金属が介在するのを抑制することができるため、第2粉砕機60による瓦礫110の粉砕効率の低下を抑制することができる。その結果、第2粉砕機60により瓦礫110をより確実に粉砕可能となり、第2スクリーン61において瓦礫110と金属とを高精度に分離することが可能になり、高純度の瓦礫110及び金属を回収することができる。また第1粉砕機58は、一対のロール体62の隙間G1に不燃物を1回通過させて処理するものであるため、多量の金属を含む不燃物を処理する場合であっても、金属の滞留による粉砕効率低下の問題が生じない。したがって、上記不燃物選別装置2によれば、廃棄物焼却炉3より排出される不燃物から瓦礫110と金属とを高精度に選別することが可能になる。
【0053】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る不燃物選別装置を、
図5に基づいて説明する。実施形態2に係る不燃物選別装置は、基本的に上記実施形態1に係る不燃物選別装置2と同様の構成を備え且つ同様の作用効果を奏するものであるが、第1粉砕機がジョークラッシャーにより構成されている点で上記実施形態1と異なっている。以下、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0054】
図5は、実施形態2における第1粉砕機58A(ジョークラッシャー)の構成を模式的に示している。
図5に示すように、第1粉砕機58Aは、隙間G2を挟んで対向する一対の粉砕板(固定側粉砕板81及び可動側粉砕板82)を一対の粉砕機構として有すると共に、可動側粉砕板82を可動(振動)させる駆動部(図示しない)と、を有している。
【0055】
固定側粉砕板81のうち可動側粉砕板82側を向く面(隙間G2に臨む面)には、固定歯81Aが上下方向に沿って複数形成されている。また可動側粉砕板82のうち固定側粉砕板81側を向く面(隙間G2に臨む面)には、動歯82Aが上下方向に沿って複数形成されている。
【0056】
第1粉砕機58Aは、一対の粉砕板のうち可動側粉砕板82を可動(振動)させつつ不燃物を隙間G2に通過させて圧縮することにより、不燃物のうち瓦礫110を優先的(選択的)に粉砕する。より具体的には、第1粉砕機58Aでは、上記実施形態1における第1粉砕機58と同様に、不燃物のうち瓦礫110のみが選択的に粉砕され、金属は粉砕されずに引き延ばされる。これにより、上記実施形態1と同様に、第1スクリーン59(
図1)の篩選別により瓦礫110と金属とを高精度に分離することができる。
【0057】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る不燃物選別装置について、
図6に基づいて説明する。実施形態3に係る不燃物選別装置は、基本的に上記実施形態1に係る不燃物選別装置2と同様の構成を備え且つ同様の作用効果を奏するものであるが、第2粉砕機がボールミルにより構成されている点で上記実施形態1と異なっている。以下、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0058】
図6は、実施形態3における第2粉砕機60Aの構成を示している。
図6に示すように、第2粉砕機60Aは、複数の硬質なボール73(例えばセラミック製ボール)が粉砕用媒体としてドラム72内に収容されたボールミルである。第2粉砕機60Aは、ロッド71(
図4)に代えてボール73がドラム72内に収容されている点を除いて、基本的に上記実施形態1におけるロッドミル(
図4)と同様に構成されている。すなわち、図略の振動発生部によりドラム72が円振動可能となっており、ドラム72内においてボール73と瓦礫110とを接触(衝突)させることにより、瓦礫110を細かく粉砕することができる。このようなボールミルにおいても、ドラム72内における金属の滞留を防ぐことにより、ロッドミルの場合と同様に粉砕効率の低下を抑制することができる。
【0059】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4に係る不燃物選別装置について、
図4及び
図7を主に参照して説明する。実施形態4に係る不燃物選別装置は、基本的に上記実施形態1に係る不燃物選別装置2と同様の構成を備え且つ同様の作用効果を奏するものであるが、第1粉砕機がロッドミルにより構成されている点で上記実施形態1と異なっている。以下、上記実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0060】
実施形態4における第2粉砕機は、
図4を参照して説明したロッドミル(実施形態1における第2粉砕機60)と同様のものである。すなわち、実施形態4における第2粉砕機は、ドラム72(第2粉砕処理容器)と、ドラム72内に収容された多数のロッド71(第2粉砕用媒体)とを有し、ドラム72内に投入された不燃物に含まれる瓦礫110をロッド71との接触により粉砕するように構成されている。
【0061】
図7は、実施形態4における第1粉砕機58Bの構成を示す斜視図である。第1粉砕機58Bは、ドラム82(第1粉砕処理容器)と、ドラム82内に収容された複数のロッド81(第1粉砕用媒体)と、ドラム82を円振動させる振動発生部(図示しない)と、を有している。
図7に示すように、ドラム82には、不燃物貯留槽57(
図1)から排出される不燃物の入口82Aが軸方向の一方側(図中の奥側)に形成されていると共に、不燃物の出口82Bが軸方向の他方側(図中の手前側)に形成されている。ロッド81は、例えば鋼材等の瓦礫110よりも硬質な材料からなり、長さ方向がドラム82の軸方向に沿うように当該ドラム82の中空部内に多数充填されている。なお、第1粉砕機58Bは、振動式ロッドミルに限定されるものではなく、ドラム82を軸周りに回転させる回転式ロッドミルであってもよい。
【0062】
第1粉砕機58Bによれば、上記振動発生部によってドラム82を円振動させることにより、ロッド81との接触によりドラム82内に投入された不燃物のうち瓦礫110を優先的に粉砕する。より具体的には、第1粉砕機58Bは、ドラム82内に投入された不燃物のうち瓦礫110のみを選択的に粉砕し、当該不燃物のうち金属を粉砕せずに引き延ばす。なお、「優先的に粉砕すること」及び「金属を粉砕せずに引き延ばすこと」の意味については、上記実施形態1において説明した通りである。
【0063】
ここで、第1粉砕機58Bのドラム82内におけるロッド81の充填率は、第2粉砕機60(
図4)のドラム72内におけるロッド71の充填率よりも低くなっている。この「充填率」は、ドラム内の中空部の容積に対する、当該中空部に充填されたロッドの体積の合計値の比率(%)により定義される。
図4及び
図7に示すように、本実施形態では、ドラム72,82の各々の中空部の容積が同じであり、ドラム82内に充填されるロッド81の本数がドラム72内に充填されるロッド71の本数よりも少ない場合を一例として説明する。なお、ロッド71,81は、全て同じ大きさのものとする。
【0064】
上記構成によれば、第1粉砕機58Bにより瓦礫110を選択的に粉砕した後に第1スクリーン59(
図1)により篩選別することにより、上記実施形態1と同様に、第2粉砕機60へ投入される金属の量が抑えられ、第2粉砕機60における粉砕効率の低下を抑制することができる。また本実施形態は、第1粉砕機としてダブルロールクラッシャー(実施形態1)やジョークラッシャー(実施形態2)に代えてロッドミルを採用するものであるが、第1粉砕機58Bにおけるロッド81の充填率が第2粉砕機60におけるロッド71の充填率よりも低くなっている。このため、不燃物貯留槽57(
図1)から多量の金属を含む不燃物が第1粉砕機58Bのドラム82内へ投入されても、第2粉砕機60に比べてロッドと瓦礫110との接触が阻害される頻度が少なく、ドラム内で滞留する金属による粉砕効率への悪影響は少ない。
【0065】
なお、第1粉砕機58B及び第2粉砕機60において、ロッド71,81の本数が同じで、且つドラム82の中空部の容積がドラム72の中空部の容積よりも大きくなっていてもよい。この場合でも、ドラム82内におけるロッド81の充填率が、ドラム72内におけるロッド71の充填率よりも低くなる。また第1粉砕機58B及び第2粉砕機60がそれぞれボールミルであり、第1粉砕機58Bにおけるボール(第1粉砕用媒体)の充填率が、第2粉砕機60におけるボール(第2粉砕用媒体)の充填率よりも低くなっていてもよい。
【0066】
(その他実施形態)
ここで、本発明のその他実施形態について説明する。
【0067】
上記実施形態1~4において、第1粉砕機と第1スクリーンとからなるセットが、第2粉砕機の前段において複数配置されていてもよい。この場合、第1粉砕機における粉砕機構同士の隙間及び第1スクリーンの篩目が、後段に向かって段階的に小さくなるように構成される。また各セットにおいてダブルロールクラッシャー又はジョークラッシャーが第1粉砕機として用いられてもよいし、ダブルロールクラッシャーとジョークラッシャーとが組み合わされてもよい。
【0068】
上記実施形態1において、一対のロール体62のうち一方を固定し、他方のみを回転させてもよい。また上記実施形態2において、両方の粉砕板を可動させつつ不燃物を粉砕してもよい。
【0069】
上記実施形態3において、上記実施形態2で説明したジョークラッシャーが第1粉砕機として用いられてもよい。
【0070】
上記実施形態1において、第1磁選機51及び第2磁選機52のうち一方が省略されてもよい。
【0071】
上記実施形態1において、各ロール体62の円周面からロール径方向外向きに突出する粉砕歯が設けられていてもよい。
【0072】
廃棄物焼却炉は、都市ごみ以外にも、例えば下水汚泥やバイオマス等の他の廃棄物を焼却するものであってもよい。また廃棄物焼却炉は、流動床式ガス化溶融炉に限定されるものではなく、例えばストーカ式焼却炉であってもよい。
【実施例】
【0073】
まず、
図1の廃棄物処理設備1において、砂分級装置42の不燃物出口42Bから排出された不燃物を、第1磁選機51、第2磁選機52及び非鉄金属選別機53により順に処理した後、前段スクリーン54により篩分けを行った。この時、前段スクリーン54の篩目の大きさを53mmとした。
【0074】
そして、第1磁選機51による処理前の不燃物の組成(表1)、前段スクリーン54の篩上に残存した不燃物の組成(表2)及び前段スクリーン54の篩目を通過した不燃物の組成(表3)をそれぞれ調査した。この調査結果は以下の通りである。表1~表3は、不燃物に含まれる各成分について、粒径範囲毎にその割合を示している(単位:重量%)。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
表2に示す通り、前段スクリーン54の篩上に残存した不燃物に含まれる金属の割合(粒径が37.5mm以上のステンレス及び銅の割合)は92.1%と高くなり、また表3に示す通り、前段スクリーン54の篩目を通過した不燃物に含まれる金属以外の成分の割合は92.6%と高くなった。この結果から、前段スクリーン54の篩目の大きさを53mmにすることにより、前段スクリーン54において不燃物を金属とそれ以外の成分とに高精度に分離し、後段の粉砕機へ投入される不燃物中の金属の割合を減らすことにより、粉砕効率の低下を抑制可能であると言える。
【0079】
次に、
図2,3の第1粉砕機58(ダブルロールクラッシャー)において、ロール体62同士の隙間G1を10mmとし、且つ第1スクリーン59の篩目の大きさを16mm又は22.4mmとし、第1粉砕機58による粉砕後の不燃物を第1スクリーン59により篩分けした後に当該第1スクリーン59の篩上に残存した不燃物の組成を調査した。
【0080】
その結果、第1スクリーン59の篩目の大きさが16mmである場合には、篩上に残存した不燃物に含まれる金属の割合が86.9%であったのに対し、当該篩目の大きさが22.4mmである場合には当該金属の割合が97.5%まで改善されることが分かった。
【0081】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 廃棄物処理設備
2 不燃物選別装置
3 廃棄物焼却炉
54 前段スクリーン
58 第1粉砕機
59 第1スクリーン
60 第2粉砕機
61 第2スクリーン
62 ロール体(粉砕機構)
71 ロッド(粉砕用媒体)
72 ドラム(粉砕処理容器)
73 ボール(粉砕用媒体)
81 固定側粉砕板(粉砕板、粉砕機構)
82 可動側粉砕板(粉砕板、粉砕機構)
110 瓦礫
G1,G2 隙間