(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】表示パネルおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231003BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20231003BHJP
H10K 77/00 20230101ALI20231003BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G09F9/30 365
G09F9/30 330
G09F9/30 338
H10K59/12
H10K77/00
H01L29/78 612B
H01L29/78 618B
H01L29/78 612C
(21)【出願番号】P 2019570479
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2019071409
(87)【国際公開番号】W WO2019227943
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】201820812831.2
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】519385216
【氏名又は名称】北京京▲東▼方技▲術▼▲開▼▲発▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 407,Building 1,No.9 Dize Road,BDA,Beijing,100176,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】シュー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ハオ シュエグアン
(72)【発明者】
【氏名】シエン ジエンボ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ウー シンイン
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0337873(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0316739(US,A1)
【文献】特開2009-169410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0157110(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0338295(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0006098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133
G09F9/00-9/46
G09G3/12-3/14
3/30-3/3291
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルであって、表示領域と表示領域の少なくとも一側に位置する周辺領域を含む基板と、
前記表示領域に位置し、エレクトロルミネッセンス素子である発光単位と前記発光単位に駆動電流を供給するための画素回路構造をそれぞれ有する、複数の画素単位と、
各画素単位の画素回路構造に接続される共に、前記画素回路構造に共通電圧信号を提供する機能信号線と、
前記機能信号線と並列接続すると共に、前記機能信号線とは異なる層に配置される第1導電構造を備え、
前記表示パネルは、ゲート線、データ線、第1電源線
、第2電源線
、初期化信号線、発光制御信号線、及びリセット制御信号線をさらに含み、
前記機能信号線は前記初期化信号線であり、
前記画素回路構造は、前記データ線と前記第1電源線との間に配置される第1安定化容量
と、蓄積容量とをさらに備え
、
前記第1安定化容量は、前記第1電源線に電気的に接続される第1容量電極を含み、前記第1容量電極は、前記蓄積容量の第1極と同層に配置され、前記第1容量電極は、第1ビアホールを介して前記第1電源線に接続され、前記第1容量電極と前記データ線とは、前記基板に垂直な方向において互いに重なり合うことにより、前記第1安定化容量が形成され、前記第1容量電極と前記蓄積容量の第1極とは、独立して設けられ且つ前記ゲート線の両側に位置する、
表示パネル。
【請求項2】
前記複数の画素単位は、複数の行の画素単位及び複数の列の画素単位を形成するように、行の方向及び列の方向に沿って延びており、前記機能信号線は、第1方向に沿って延びる第1信号線を含み、前記第1信号線は、一行の画素単位又は一列の画素単位に沿って延びる、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記機能信号線は、第2方向に沿って延びる第2信号線をさらに含み、前記第2信号線は前記周辺領域に位置し、前記第2信号線は前記第1信号線と接続し、前記第2方向は前記第1方向と交差し、;
前記第2信号線は、信号入力回路に接続される、請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記第1導電構造は、第1方向に沿って延びる第1導電線を含み、前記第1導電線は、一行の画素単位又は一列の画素単位に沿って延びる、請求項3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記第1導電構造は、第2方向に沿って延びる第2導電線をさらに含み、前記第2導電線は前記周辺領域に位置し、前記第2導電線は前記第1導電線に接続される、請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記表示パネルは、前記第1導電構造と前記機能信号線との間に位置する絶縁層をさらに含み、前記第1導電構造と前記機能信号線は、両者の間に位置する前記絶縁層を貫通するビアホールを介して接続され;
前記ビアホールは、前記表示領域に位置する表示領域ビアホール及び前記周辺領域に位置する周辺領域ビアホールのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記表示領域ビアホールの数は複数であり、画素単位ごとに少なくとも1つの表示領域ビアホールが設けられ、
前記周辺領域ビアホールの数は複数であり、前記複数の周辺領域ビアホールのそれぞれは、一行の画素単位又は一列の画素単位に対応する、請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第1導電線は転送パターンを介して前記第1信号線に接続され、前記第1導電線と前記転送パターンは、両者の間に位置する絶縁層を貫通するビアホールを介して接続され 、前記転送パターンと前記第1信号線は、両者の間に位置する絶縁層を貫通するビアホールを介して接続される、請求項4~7のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項9】
各発光単位は第1電極を含み、異なる発光単位の第1電極は互いに絶縁され、前記第1導電構造は第1電極と同層にあり、前記第1導電線は、隣接する行の画素単位又は隣接する列の画素単位の第1電極の隙間に延びる、請求項4~7のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項10】
前記画素回路構造は
、駆動トランジスタ、及びデータ書き込みトランジスタと閾値補償トランジスタを含み、
前記蓄積容量の第1極は前記第1電源線に電気的に接続され、前記蓄積容量の第2極は第1接続電極を介して前記閾値補償トランジスタの第2極に電気的に接続され;
前記データ書き込みトランジスタのゲートは前記ゲート線と電気的に接続され、前記データ書き込みトランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記データ線と前記駆動トランジスタの第1極に電気的に接続され;
前記閾値補償トランジスタのゲートは前記ゲート線に電気的に接続され、前記閾値補償トランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記駆動トランジスタの第2極とゲートに電気的に接続され;
発光素子の第2電極は、前記第2電源線に電気的に接続され;
前記第1導電線は、第1幅を有する第1部分及び第2幅を有する第2部分を含み、前記第1幅は前記第2幅よりも小さく、前記基板に垂直な方向において、前記第2部分は、前記駆動トランジスタのチャネル領域、前記データ書き込みトランジスタのチャネル領域、及び閾値補償トランジスタのチャネル領域のうちの少なくとも1つと重なり合う、請求項4~7のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項11】
前記画素回路構造は、第1発光制御トランジスタ、第2発光制御トランジスタ、第1リセットトランジスタ及び第2リセットトランジスタをさらに含み;
前記第1発光制御トランジスタのゲートは前記発光制御信号線に電気的に接続され、前記第1発光制御トランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記第1電源線と前記駆動トランジスタの第1極に電気的に接続され;
前記第2発光制御トランジスタのゲートは前記発光制御信号線に電気的に接続され、前記第2発光制御トランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記駆動トランジスタの第2極と前記発光素子の第1電極に電気的に接続され;
前記第1リセットトランジスタのゲートは前記リセット制御信号線に電気的に接続され、前記第1リセットトランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記初期化信号線と前記駆動トランジスタのゲートに電気的に接続され;
前記第2リセットトランジスタのゲートは前記リセット制御信号線と電気的に接続され、前記第2リセットトランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記初期化信号線と前記発光素子の第1電極に電気的に接続され;
前記ゲート線、前記駆動トランジスタのゲート、と前記蓄積容量の第2極は同層に配置され;
前記初期化信号線、
及び、前記蓄積容量の第1極は同層に配置され;
前記データ線、
及び、前記第1電源線
と、第1接続電極は同層に配置され
る、請求項10に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記ゲート線、前記発光制御信号線と前記リセット制御信号線は第1導電パターン層に配置され;
前記第1信号線は、第2導電パターン層に配置され;
前記データ線、前記第1電源線と前記第2信号線は、第3導電パターン層に配置され; 前記第1電極、前記第1導電線と第2導電線は、第4導電パターン層に配置され;
前記第1信号線と前記第2信号線は前記初期化信号線を構成し、前記第1導電線と前記第2導電線は前記第1導電構造を構成する、請求項11に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記表示パネルは第2導電構造をさらに含み、ここで
、前記第2導電構造は前記第1電源線と並列接続し、前記第2導電構造は前記第3導電パターン層と前記第4導電パターン層との間に位置する、請求項
12に記載の表示パネル。
【請求項14】
請求項1から請求項
13のいずれかに記載の表示パネルを備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、表示パネル及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示技術の分野では、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)表示パネルは、自発光、高コントラスト比、低消費電力、広視野角、高速応答、可撓性パネルに好適で、適用可能な温度範囲が広く、製造方法が簡単などの利点を有し、より幅広い適用が期待される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の実施例は、表示パネル及び表示装置を提供する。該表示パネルは、表示均一性と解像度の向上を両立させ、よって、表示パネルの表示品質を向上させ得る。
【0004】
本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルは、
表示領域と表示領域の少なくとも一側に位置する周辺領域を含む基板と、
前記表示領域に位置し、エレクトロルミネセンス素子である発光単位と前記発光単位に駆動電流を供給するための画素回路構造をそれぞれ含む複数の画素単位と;
各画素単位の画素回路構造に接続される共に、前記画素回路構造に共通電圧信号を提供する機能信号線と;
前記機能信号線と並列接続し、且つ前記機能信号線とは異なる層に配置される第1導電構造とを備える。
【0005】
幾つかの実施例において、前記複数の画素単位は、及び複数行の画素単位及び複数列の画素単位を形成するように、行の方向及び列の方向に延びており、前記機能信号線は、第1方向に沿って延びる第1信号線を含み、前記第1信号線は、一行の画素単位又は一列の画素単位に沿って延びる。
【0006】
幾つかの実施例において、前記機能信号線は、第2方向に沿って延びる第2信号線を含み、前記第2信号線は前記周辺領域に位置し、前記第2信号線は前記第1信号線と接続し、前記第2方向は前記第1方向と交差する。
【0007】
幾つかの実施例において、前記第2信号線は信号入力回路に接続される。
【0008】
幾つかの実施例において、前記第1導電構造は、第1方向に沿って延びる第1導電線を含み、前記第1導電線は、一行の画素単位又は一列の画素単位に沿って延びる。
【0009】
幾つかの実施例において、前記第1導電構造は、第2方向に沿って延びる第2導電線を含み、前記第2導電線は前記周辺領域に位置し、前記第2導電線は前記第1導電線に接続される。
【0010】
幾つかの実施例において、前記第2導電線と前記第1導電線は異なる層に配置される。
【0011】
幾つかの実施例において、表示パネルは、前記第1導電構造と前記機能信号線との間に位置する絶縁層をさらに含み、前記第1導電構造と前記機能信号線は、両者の間に位置する前記絶縁層を貫通するビアホールを介して接続される。
【0012】
幾つかの実施例において、前記ビアホールは、前記表示領域に位置する表示領域ビアホール及び周辺領域に位置する周辺領域ビアホールのうちの少なくとも一方を含む。
【0013】
幾つかの実施例において、前記基板に垂直な方向において、前記第1信号線及び第1導電線は第1重なり領域を有し、前記表示領域ビアホールは前記第1重なり領域に位置し、前記第1信号線と前記第1導電線は、前記表示領域ビアホールを介して接続される。
【0014】
幾つかの実施例において、前記基板に垂直な方向において、前記第2信号線及び第2導電線は第2重なり領域を有し、前記周辺領域ビアホールは前記第2重なり領域に位置し、前記第2信号線と前記第2導電線は、前記周辺領域ビアホールを介して接続される。
【0015】
幾つかの実施例において、前記表示領域ビアホールの数は複数であり、画素単位毎に少なくとも1つの表示領域ビアホールが設けられる。
【0016】
幾つかの実施例において、前記周辺領域ビアホールの数は複数であり、前記複数の周辺領域ビアホールのそれぞれは、一行の画素単位又は一列の画素単位に対応する。
【0017】
幾つかの実施例において、前記第1導電線は転送パターンを介して前記第1信号線に接続され、前記第1導電線と前記転送パターンは、両者の間に位置する絶縁層を貫通するビアホールを介して接続され 、前記転送パターンと前記第1信号線は、両者の間に位置する絶縁層を貫通するビアホールを介して接続される。
【0018】
幾つかの実施例において、各発光単位は第1電極を含み、異なる発光単位の第1電極は互いに絶縁され、前記第1導電構造は第1電極と同層にあり、前記第1導電線は、隣接する行の画素単位又は隣接する列の画素単位の第1電極の隙間に延びる。
【0019】
幾つかの実施例において、表示パネルは、ゲート線、データ線、第1電源線、及び第2電源線をさらに含み、前記画素回路構造は、蓄積容量、駆動トランジスタ、データ書き込みトランジスタ、及び閾値補償トランジスタを含み、前記蓄積容量の第1極は前記第1電源線に電気的に接続され、前記蓄積容量の第2極は第1接続電極を介して前記閾値補償トランジスタの第2極に電気的に接続され;前記データ書き込みトランジスタのゲートは前記ゲート線に電気的に接続され、前記データ書き込みトランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記データ線と前記駆動トランジスタの第1極に電気的に接続され;前記閾値補償トランジスタのゲートと前記ゲート線は電気的に接続され、前記閾値補償トランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記駆動トランジスタの第2極とゲートに電気的に接続され;前記発光素子の第2電極は前記第2電源線に電気的に接続される。
【0020】
幾つかの実施例において、前記第1導電線は、第1幅を有する第1部分及び第2幅を有する第2部分を含み、前記第1幅は第2幅よりも小さく、前記基板に垂直な方向において、前記第2部分は、前記駆動トランジスタのチャネル領域、前記データ書き込みトランジスタのチャネル領域、及び閾値補償トランジスタのチャネル領域のうちの少なくとも1つと重なり合う。
【0021】
幾つかの実施例において、表示パネルは、初期化信号線、発光制御信号線、及びリセット制御信号線をさらに含み、ここで、前記画素回路構造は、第1発光制御トランジスタ、第2発光制御トランジスタ、第1リセットトランジスタ及び第2リセットトランジスタをさらに含み;前記第1発光制御トランジスタのゲートは前記発光制御信号線に電気的に接続され、前記第1発光制御トランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記第1電源線と前記駆動トランジスタの第1極に電気的に接続され;前記第2発光制御トランジスタのゲートは前記発光制御信号線に電気的に接続され、前記第2発光制御トランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記駆動トランジスタの第2極と前記発光素子の第1電極に電気的に接続され;前記第1リセットトランジスタのゲートは前記リセット制御信号線に電気的に接続され、前記第1リセットトランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記初期化信号線と前記駆動トランジスタのゲートと電気的に接続され;前記第2リセットトランジスタのゲートは前記リセット制御信号線に電気的に接続され、前記第2リセットトランジスタの第1極と第2極は、それぞれ前記初期化信号線と前記発光素子の第1電極に電気的に接続される。
【0022】
幾つかの実施例において、前記画素回路構造は、前記データ線と前記第1電源線との間に配置される第1安定化容量をさらに含み、前記第1安定化容量は第1容量電極を含み;前記ゲート線、前記駆動トランジスタのゲートと前記蓄積容量の第2極は同層に配置され;前記第1容量電極、前記初期化信号線、及び前記蓄積容量の第1極は同層に配置され;前記データ線、前記第1電源線及び前記第1接続電極は同層に配置され;前記第1容量電極と前記データ線とは、前記基板に垂直な方向で互いに重なり合う。
【0023】
幾つかの実施例において、前記機能信号線は、初期化信号線、第1電源線、第2電源線のうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
幾つかの実施例において、前記ゲート線、前記発光制御信号線、及び前記リセット制御信号線は第1導電パターン層に配置され;前記第1信号線は第2導電パターン層に配置され;前記データ線、前記第1電源線及び前記第2信号線は第3導電パターン層に配置され;前記第1電極、前記第1導電線、及び前記第2導電線は第4導電パターン層に配置され;前記第1信号線と前記第2信号線は前記初期化信号線を構成し、前記第1導電線及び前記第2導電線は前記第1導電構造を構成する。
【0025】
幾つかの実施例において、前記閾値補償トランジスタ及び前記第1リセットトランジスタは、金属酸化物半導体薄膜トランジスタである。
【0026】
幾つかの実施例において、表示パネルは第2導電構造をさらに含み、前記機能信号線は前記初期化信号線であり、前記第2導電構造は前記第1電源線と並列接続し、前記第2導電構造は前記第3導電パターン層と前記第4導電パターン層との間に位置する。
【0027】
幾つかの実施例において、前記画素回路構造は、第2安定化容量及び第3安定化容量のうちの少なくとも1つをさらに含み、前記第2安定化容量は、前記データ線と前記駆動トランジスタの第1極の間に提供され、前記第3安定化容量は、前記第1電源線と前記駆動トランジスタの第1極の間に提供される。
【0028】
本開示の実施例は、本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルを備える表示装置をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、実施例又は関連技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。以下の説明における図面は、ただ本開示の実施例の一部であり、本開示を限定することではないのは明らかである。
【0030】
【
図1A】本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルの上面図である。
【
図1B】本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルの1つの画素単位を示す図である。
【
図1C】本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルの各画素単位に信号を提供するための信号線を示す図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルの上面図である。
【
図4A】
図2におけ
る4つの導電パターン層の各々を示す上面図である。
【
図4B】
図2におけ
る4つの導電パターン層の各々を示す上面図である。
【
図4C】
図2におけ
る4つの導電パターン層の各々を示す上面図である。
【
図4D】
図2におけ
る4つの導電パターン層の各々を示す上面図である。
【
図5】本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける機能信号線と信号入力回路との接続を示す図である。
【
図6A】本開示の他の1つの実施例に係る表示パネルの上面図である。
【
図7】本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける第4導電パターン層を示す図である。
【
図8】本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける第1導電線を示す図である。
【
図9】本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける第1信号線と薄膜トランジスタのチャネル領域の上面図である。
【
図10】本開示の1つの実施例に係る表示パネルの断面を示す図である。
【
図11】本開示の1つの実施例に係る表示パネルの構造を示す図である。
【
図12】本開示の1つの実施例に係る表示パネルの平面を示す図である。
【
図13】本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける1つの画素単位のタイミング信号図である。
【
図14】本開示の他の実施例に係る表示パネルの構造を示す図である。
【
図15】本開示の1つの実施例に係る表示パネルの平面を示す図である。
【
図16】
図15における表示パネルの切断線I-I’に沿った断面図である。
【
図17】
図15における表示パネルの切断線II-II’に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面と合わせて、添付図面に示される後述で詳述される非限定的な例示的な実施例を参照して、本開示の実施例の技術案を明確かつ完全に説明し、本開示の実施例とそれらの様々な特徴及び有利な細部をさらに全面的に説明する。図面に示される特徴は必ずしも縮尺通りに描かれていないことに注意されたい。本開示は、本開示の例示的な実施例の不明瞭を回避するため、既知の材料、構成要素、及びプロセス技術の説明を省略する。例示的な実施例は、本開示の実施を容易に理解し、当業者に例示的な実施例を実施できるように挙げている。したがって、これらの実施例は、本開示の実施例の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0032】
特に定義されない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって理解される通常の意味で理解されるものとする。本開示で使用される用語「第1」、「第2」、及びこれらに類する用語は、いかなる順序、数量、又は重要性も示さなく、単に異なる構成部分を区別するために使用される。同様に、「1つ」、「1」、又は「該」などに類する用語は、数量の制限を示すものではなく、少なくとも1つあることを示す。「含む」又は「包含」などに類する用語は、その用語の前に存在する要素又は物品が、その用語の後にある要素又は物品及びその均等物を包含することを意味すると同時に、他の要素又は物品を排除すると意図しない。「接続する」又は「互いに接続する」などの類似する用語は、物理的又は機械的な接続に限定されず、直接的に又は間接的にを問わず、電気的に接続されることを含むとする。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対位置関係を示すためのみに使用され、記載されるオブジェクトの絶対位置が変わると、相対位置関係もそれに応じて変わる場合がある。さらに、本開示の各々の実施例において、同一又は類似の参照符号は、同一又は類似の構成要素を示す。
【0033】
表示製品の適用が幅広くなるに伴い、消費者は表示均一性や及び解像度などの表示品質に対する要求がますます高まっている。例えば、以下は表示が不均一になる原因である。ワイヤの電圧入力末端は、電圧入力開始端よりも明らかな電圧降下(IR drop)効果を持ち、よって信号遅延の問題が容易に発生し、表示パネルの表示が不均一になる。例えば、ワイヤのサイズを大きくすることは表示均一性を向上させる簡単な方法であるが、ワイヤのサイズを大きすることは解像度の向上に不利である。解像度を高めるためには、例えば、線の幅を減らすなど、回路構造のサイズを小さくすることできるが、線の幅を減らすと、表示の不均一性が悪化する同時に、線の幅を減らすと、プロセスの歩留まりも低下する。現在、OLEDの回路構造は液晶表示器(Liquid crystal display、LCD)の回路構造よりも複雑であり、解像度を改善する余地は限られる。したがって、高解像度と表示均一性の要求を両立させる、新しいデザインの提供が要求される。
【0034】
本開示の少なくとも1つの実施例は、表示パネルの表示均一性と表示パネルの解像度向上を両立させることができる表示パネルを提供する。
【0035】
図1Aは本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルの上面図である。該表示パネルは、基板200と複数の画素単位101を備える。基板200は、表示領域201と、表示領域201の少なくとも一側に位置する周辺領域202とを含み、複数の画素単位101は、表示領域201に位置する。
図1Aには、周辺領域202が表示領域201を囲むように設けられているが、本開示はこれに限定されない。画素単位101の数及び配置方式は、図に示すものに限定されない。
【0036】
図1Bは本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルの1つの画素単位を示す図である。
図1Bに示すように、各画素単位101は、発光単位20と、発光単位20に駆動電流を供給するための画素回路構造10とを含み、発光単位20は、エレクトロルミネセンス素子、例えば、有機発光ダイオード(OLED)のような有機エレクトロルミネセンス素子であってもよい。エレクトロルミネッセンス素子の駆動原理は、例えば以下に示す通りである。エレクトロルミネッセンス素子は電流によって駆動され、電流の大きさが表示階調を決定するため、異なる画素の間が同じ駆動信号の制御の下で、異なる位置での画素の機能信号線の電圧降下の差異は電流の差異を引き起こす可能性があり、電流の差異は表示の不均一を引き起こすことができる。
【0037】
図1Cは本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルにおける各画素単位に信号を提供するための信号線を示す図である。
図1Cは、ゲート線11、データ線12、第1電源線13、第2電源線14、及び初期化信号線16を示すである。例えば、ゲート線11は、画素回路構造10に走査信号Scanを提供するように配置され、データ線12は、画素回路構造10にデータ信号Dataを提供するように配置され、第1電源線13は、画素回路構造10に一定の第1電圧信号ELVDDを提供するように配置され、第2電源線14は、画素回路構造10に一定の第2電圧信号ELVSSを提供するように配置され、そして、第1電圧信号ELVDDは第2電圧信号ELVSSより大きくされる。初期化信号線16は、画素回路構造10に初期化信号Vintを提供するように配置される。初期化信号Vintは一定の電圧信号であり、その大きさは、例えば、第1電圧信号ELVDDと第2電圧信号ELVSSの間にあるが、これに限定されない、例えば、初期化信号Vintは第2電圧信号ELVSS以下とする。例えば、第1電源線13、第2電源線14、及び初期化信号線16などの信号線は、前述の信号遅延の問題を有する。
【0038】
図2は本開示の少なくとも1つの実施例に係る表示パネルの上面図である。該表示パネルは、機能信号線01をさらに含む。機能信号線01は各画素単位101の画素回路構造10に接続される共に、画素回路構造10に共通電圧信号を提供する。例えば、共通電圧信号は一定の電圧信号であってもよい。
なお、異なる実施例では、機能信号線01の機能が異なると、共通電圧信号も異なる。
【0039】
図2に示すように、該表示パネルは、第1導電構造02をさらに含む。第1導電構造02
は機能信号線
01と並列接続し、且つ前記機能信号線01とは異なる層に配置される。例えば、第1導電構造02と機能信号線
01が異なる層に配置される構成は、ビアホールを介する両者の並列接続に有利である。
【0040】
本開示の実施例に係る表示パネルにおいて、第1導電構造02は機能信号線01と並列接続され、機能信号線01の抵抗を低減することができるため、機能信号線01の抵抗問題に起因する信号遅延問題が抑制される。同時に、第1導電構造02と機能信号線01との並列接続が信号遅延の問題を抑制することができるので、幅の比較的な広い機能信号線01を使用する必要がなく、解像度の向上に有利である。したがって、本開示の実施例に係る表示パネルは、表示均一性と解像度の向上を両立させることができ、ひいては表示パネルの表示品質が向上される。
【0041】
例えば、
図2に示すように、複数の画素単位101は、及び複数の行の画素単位及び複数の列の画素単位を形成するように行方向及び列方向に沿って延びる。
図2には、3行と3列の画素単位が示されており、本開示の実施例は、これを例として説明する。例えば、行方向は水平で、列方向は垂直である。機能信号線01は、第1方向D1に沿って延びる第1信号線011を含み、第1信号線011は一行の画素単位に沿って延びる。例えば、第1信号線011は表示領域201に位置する。
【0042】
例えば、
図2に示すように、抵抗をさらに低減するため、機能信号線01は、第2方向D2に沿って延びる第2信号線012をさらに含み、第2信号線012は周辺領域202に位置し、第2信号線012は第1信号線011と接続し、第2方向D2は第1方向D1と交差する。さらに例えば、第2方向D2は第1方向D1に垂直である。
図2に示すように、第1信号線011と第2信号線012は異なる層に配置され、絶縁層を貫通するビアホールを介して電気的に接続される。もちろん、第1信号線011と第2信号線012は同層に配置してもよい。
【0043】
例えば、
図2に示すように、第1導電構造02は、第1方向D1に沿って延びる第1導電線021を含み、第1導電線021は一行の画素単位に沿って延びる。例えば、第1導電線021は表示領域に位置する。
【0044】
例えば、
図2に示すように、抵抗をさらに低減するために、第1導電構造02は、第2方向D2に沿って延びる第2導電線022をさらに含み、第2導電線022は周辺領域202に位置し、第2導電線022は第1導電線021と接続する。
図2に示すように、第1導電線021と第2導電線022は同層に配置される。もちろん、第1信号線021と第2信号線022は異なる層に配置され、絶縁層を貫通するビアホールを介して電気的に接続されてもよい。
【0045】
異なる導電パターン層の間に絶縁層を設けてもよい。例えば、
図2に示すように、表示パネルは、絶縁層(図示せず、
図3を参照)をさらに含み、絶縁層は第1導電構造02と機能信号線01の間に位置し、第1導電構造02と機能信号線01は絶縁層を貫通するビアホールVを介して接続される。
【0046】
例えば、
図2に示すように、ビアホールVは、表示領域に位置する表示領域ビアホールV1及び周辺領域に位置する周辺領域ビアホールV2のうちの少なくとも一方を含む。
【0047】
例えば、
図2に示すように、表示パネルの上面図において、第1信号線011と第1導電線021は第1重なり領域OL1を有し、表示領域ビアホールV1は第1重なり領域OL1に位置し、第1信号線011と第1導電線021は、表示領域ビアホールV1を介して接続される。本開示の実施例において、表示パネルの上面図は、基板200に垂直な方向の表示パネルの上面図であることに留意されたい。
【0048】
例えば、本開示の実施例において、基板200に垂直な方向は、基板200の厚さの方向、又は基板200の主面に垂直な方向であってもよい。例えば、表示パネルの上面図は、表示パネルの上からの正投影により得られた図である。
【0049】
例えば、
図2に示すように、機能信号線の抵抗をさらに低減するために、表示領域ビアホールV1の数は複数であり、各画素単位101には少なくとも1つの表示領域ビアホールV1が設けられる。例えば、表示領域ビアホールV1の数は、少なくとも画素単位
101の数と同じであり得る。例えば、表示領域ビアホールV1の数は、画素単位
101の数の少なくとも1倍(例えば、2倍)であり得る。
【0050】
例えば、
図2に示すように、表示パネルの上面図において、第2信号線012と第2導電線022は第2重なり領域OL2を有し、周辺領域ビアホールV2は第2重なり領域OL2に位置し、第2信号線012と第2導電線022は、周辺領域ビアホールV2を介して接続される。
【0051】
例えば、
図2に示すように、機能信号線の抵抗をさらに低減するため、周辺領域ビアホールV2の数は複数である。例えば、複数の周辺領域ビアホールV2の2つ毎は、一行の画素単位に対応する。
【0052】
図2において、第1導電構造02と機能信号線01は、表示領域ビアホールV1と周辺領域ビアホールV2を介して並列接続される場合を例として説明する。説明すべきなのは、第1導電構造02と機能信号線01は、表示領域ビアホールV1のみを介して並列接続されてもよいし、周辺領域ビアホールV2のみを介して並列接続されてもよい。また、表示領域ビアホールV1及び周辺領域ビアホールV2の配置は、
図2に示されるものに限定されない。
【0053】
例えば、
図2に示すように、パターニングプロセスに適すると共に、ビアホールの作製の難しさを低減するため、第1導電線021は、転送パターン271を介して及び第1信号線011と接続され、第1信号線011と及び転送パターン271とは、それらの間の絶縁層を貫通するビアホールV11を介して接続され、接続パターン271と第1導電線021とは、それらの間の絶縁層を貫通するビアホールV11を介して接続される(
図3も参照)。もちろん、転写パターン271は設けられなくてもよく、本開示の実施形態はこれを限定しない。
【0054】
図3は
図2のMーN線に沿った断面図である。
図3に示すように、機能信号線01は第1信号線011と第2信号線012を含み、第1信号線011と第2信号線012は層間絶縁層を貫通するビアホールV0を介して電気的に接続される。周辺領域
202において、第2導電線022と第2信号線012は、第2導電線022と第2信号線012(機能信号線01)との間の絶縁層30を貫通するビアホールV2を介して電気的に接続される。表示領域
201において、転送パターン271と第1信号線011とは、第1信号線011と転送パターン271との間に位置する層間絶縁層26を貫通するビアホールV11を介して電気的に接続され、
第1導電線021と転送パターン271は、それらの間に位置する絶縁層30を貫通するビアホールV12を介して電気的に接続される。
図3は、ベース基板200及びその上のバッファ層28も示している。
図3は、第1重なり領域OL1及び第2重なり領域OL2も示している。
【0055】
図4A-
図4Dは、
図2における4つの導電パターン層の各々の上面図である。
図2及び
図4A-
図4Dに示すように、表示パネルは、第1導電パターン層23、第2導電パターン層25、第3導電パターン層27、及び第4導電パターン層29を含む。
【0056】
図4Aに示すように、第1導電パターン層23は、ゲート線11、発光制御信号線15、及びリセット制御信号線17を含む。
【0057】
図4Bに示すように、第2導電パターン層25は、第1信号線011を含む。
図4A及び
図4Bに示すように、第1信号線011とゲート線11は同じ方向に沿って延びる。複数の第1信号線011は、互いに離間する。例えば、各第1信号線011は、一行の画素単位に対応してもよい。
【0058】
図4Cに示すように、第3導電パターン層27は、第2信号線012、データ線12、第1電源線13、及び転送パターン271を含む。例えば、第2信号線012とゲート線12は同じ方向に沿って延びる。例えば、データ線12は一列の画素単位に対応し、第1電源線13は一列の画素単位に対応してもよい。
【0059】
図4Dに示すように、第4導電パターン層29は第1導電構造02を含み、第1導電構造02は電気的に接続される第1導電線021及び第2導電線022を含む。例えば、第1導電線021と第2導電線022は同層に配置されてもよいし、もちろん、異なる層に配置され、絶縁層を貫通するビアホールを介して電気的に接続されてもよい。
例えば、一つの実施例において、第1導電線021は依然として第4導電パターン層29に位置し、第2導電線022は第2導電パターン層25に位置してもよい。例えば、1つの実施例において、第1導電線021は第1電極2001(
図7を参照)と同層にあり、第2導電線022は初期化信号線16
(初期化信号線16は図6Aを参照)の周辺領域
202に位置する部分と同層にある。
【0060】
例えば、
図2の機能信号線01は、画素回路構造の中の初期化信号線16であってもよい。もちろん、機能信号線01は第1電源線13であってもよく、これについては
図6Aで詳細に説明する。初期化信号線16は、表示領域
201に位置する部分(第1信号線011に対応する)と周辺領域
202に位置する部分(第2信号線012に対応する)とを含んでもよい。
【0061】
図5は本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける機能信号線
01と信号入力回路
80との接続を示す図である。
図5に示すように、第2信号線012は信号入力回路80に接続される。例えば、
図5に示すように、第2信号線012と第1信号線011は異なる層に配置され、ビアホールV2を介して接続される。
【0062】
図5に示すように、機能信号線01の信号入力回路80に近接する部分は電圧入力開始端、機能信号線01の信号入力回路80から離れる部分は電圧入力末端であってもよい。本開示の実施例において、第1導電構造02が機能信号線01と並列接続されるため、電圧入力末端と電圧入力開始端の間の電圧降下効果に起因する信号遅延の問題が抑制される。同時に、信号遅延の問題が抑制されるため、幅の比較的な広い機能信号線を使用する必要がなく、表示パネルの解像度の向上に有利であり、表示品質の向上にも有利である。
【0063】
図6Aは本開示の1つの実施例に係る表示パネルの上面図である。
図6Aに示すように、第1信号線011は一列の画素単位に沿って延び、第1導電線021は一列の画素単位に沿って延び、複数の周辺領域ビアホールV2のうちの四つごとには、一列の画素単位が対応付けられる。
図6Aに示すように、第2信号線012は一行の画素単位に沿って延び、第2導電線022は一行の画素単位に沿って延びる。
【0064】
図6Bは、
図6Aの中のXーYに沿った断面図である。
図6A及び6Bに示すように、第1信号線011と第2信号線012は、それらの間の層間絶縁層26を貫通するビアホールV0を介して電気的に接続されて機能信号線01を構成する。第1導電線021と第1信号線011は、それらの間の絶縁層30を貫通する表示領域ビアホールV1を介して電気的に接続される。転送パターン272と第2信号線012とは、それらの間の層間絶縁層26を貫通するビアホールV21(周辺領域ビアホールV2)を介して電気的に接続される。第2導電線022と転送パターン272とは、それらの間に位置する絶縁層30を貫通するビアホールV22(周辺領域ビアホールV2)を介して電気的に接続される。
【0065】
図7は、本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける第4導電パターン層を示す図である。例えば、
図7に示すように、各発光単位(例えば、有機エレクトロルミネセンスダイオード)は、第1電極2001を含み、異なる発光単位の第1電極2001は互いに絶縁され、第1導電構造02は第1電極2001と同層にある。第1導電構造02は同層に配置されると共に電気的に接続される第1導電線021及び第2導電線022を含む。
【0066】
図8は本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける第1導電線
021を示す図である。
図8に示すように、第1導電線021は、隣接する行の画素単位101の第1電極2001の隙間に延びる。もちろん、同様に、第1導電線021は、隣接する列の画素単位101の第1電極2001の隙間に延びることができる。
図8に示すように、第1導電線021と第2導電線022は異なる層に配置される。例えば、第1導線021及び第2導線022の一方は第1電極2001と同層に配置され、他方は他の導電構造と同層に配置されてもよいが、これに限定されない。
【0067】
図9は本開示の1つの実施例に係る表示パネルにおける
第1導電構造02と薄膜トランジスタのチャネル領域の上面図である。
【0068】
例えば、第1導電線021は、第1幅を有する第1部分0211及び第2幅を有する第2部分0212を含み、第1幅d
1は第2幅d
2よりも小さい。表示パネルの上面図において、第2部分0212は、駆動トランジスタのチャネル領域T1a、データ書き込みトランジスタのチャネル領域T2a、及び閾値補償トランジスタのチャネル領域T3aのうちの少なくとも1つと重なり合う。ここでの駆動トランジスタ、データ書き込みトランジスタ、及び閾値補償トランジスタは、以下に記載する駆動トランジスタT1、データ書き込みトランジスタT2、及び閾値補償トランジスタT3(例えば、
図11に示す)を参照すればよい。駆動トランジスタのチャネル領域T1a、データ書き込みトランジスタのチャネル領域T2a、閾値補償トランジスタのチャネル領域T3aは、
図15を参照してもできる。第1導電線
021の第2部分
0212を用いて薄膜トランジスタのチャネル領域を遮蔽することにより、薄膜トランジスタの安定性をさらに向上し、漏れ電流を低減できる。
図9の表示パネルの上面図において、第2部分0212は、駆動トランジスタのチャネル領域T1a、データ書き込みトランジスタのチャネル領域T2a、及び閾値補償トランジスタのチャネル領域T3aと重なり合うことを例として説明したい。本開示の実施例において、第2部分0212は、駆動トランジスタのチャネル領域T1a、データ書き込みトランジスタのチャネル領域T2a、及び閾値補償トランジスタのチャネル領域T3aのうちの1つ又は2つと重なってもよい。
【0069】
図10は本開示の1つの実施例に係る表示パネルの断面を示す図である。
図3に示される表示パネルと比較して、
図10に示す表示パネルは、第5導電パターン層290をさらに含む。第5導電パターン層290は、第3導電パターン層27と第4導電パターン層29との間に位置しても良い。第5導電パターン層290は、第2導電構造03を含んでもよく、該実施例において、機能信号線01は初期化信号線16であり、
第1導電構造02と初期化信号線16は並列接続され、第2導電構造03と第1電源線13は並列接続される。例えば、表示パネルの上面図において、第2導電構造03はグリッド形状であってもよい。
【0070】
図10に示すように、第5導電パターン層290は、パターニングプロセスとの適合性を促進すると共に、ビアホールの作製の難しさを低減するため、さらに転送パターン2901及び2902を含むことができる。
図10には、さらに、第5導電パターン層290と第4導電パターン層29との間の絶縁層31が示される。
【0071】
以下、画素回路の構造を具体的に説明する。例えば、機能信号線01は、初期化信号線16、第1電源線13、第2電源線14のうちの少なくとも1つである。上記の実施例では、機能信号線01は初期化信号線16及び/又は第1電源線13を例として説明した。画素回路構造に共通電圧信号を提供する信号線が機能信号線01である限り、本開示の実施例はそれに限定されないことに留意されたい。
【0072】
図11は本開示の実施例に係る表示パネルの
等価回路の構造を示す図であり、
図12は本開示の実施例に係る表示パネルの平面構造を示す図である。
図11及び
図12を併せて参照すると、表示パネル100は、マトリックス状に配置される複数の画素単位101を含み、各画素単位101は、画素回路構造10、発光素子20、及びゲート線11、データ線12、電圧信号線を含む。発光素子20は有機発光素子OLEDであり、発光素子20は、対応する画素回路構造10の駆動下で、赤色光、緑色光、青色光、又は白色光などを発する。該電圧信号線は1本であっても複数本であってもよい。例えば、図
11に示すように、該電圧信号線は、第1電源線13、第2電源線14、発光制御信号線15、初期化信号線16、及びリセット制御信号線17などのうちの少なくとも1つを含む。
【0073】
例えば、第1電源線13は、画素回路構造10に一定の第1電圧信号ELVDDを提供するように配置され、第2電源線14は、画素回路構造10に一定の第2電圧信号ELVSSを提供するように配置され、ここで、第1電圧信号ELVDDは第2電圧信号ELVSSより大きくされる。発光制御信号線15は、画素回路構造10に発光制御信号EMを提供するように配置される。初期化信号線16とリセット制御信号線17は、それぞれ画素回路構造10に初期化信号Vintとリセット制御信号Resetを提供するように配置され、ここで、初期化信号Vintは一定の電圧信号であり、その大きさは、例えば、第1電圧信号ELVDDと第2電圧信号ELVSSの間であってもよいが、これに限定されない、例えば、初期化信号Vintは第2電圧信号ELVSS以下である。
【0074】
図11に示すように、該画素回路構造10は、駆動トランジスタT1、データ書き込みトランジスタT2、閾値補償トランジスタT3、第1発光制御トランジスタT4、第2発光制御トランジスタT5、第1リセットトランジスタT6、第2リセットトランジスタT7、及び蓄積容量Cstを含む。
発光制御信号EMの制御下で、駆動トランジスタT1は、発光素子20に電気的に接続されており、走査信号Scan、データ信号Data、第1電圧信号ELVDD、第2電圧信号ELVSSなどの信号の制御の下で駆動電流を出力し、発光素子20を駆動して発光させる。
【0075】
有機発光ダイオードの表示パネルの画素単位において、駆動トランジスタT1は有機発光素子に接続されており、データ信号や走査信号などの信号の制御の下で、有機発光素子に駆動電流を出力し、有機発光素子を駆動して発光させる。駆動トランジスタT1のゲート電圧の大きさは、有機発光素子における駆動電流の大きさに直接係るため、ゲート信号の安定化は、有機発光素子の発光安定性と表示パネルの表示安定性を達成するための重要な要素となる。
【0076】
本研究において、発明者は、データ信号がデータ線を介して伝送されるとき、データ信号の変動が駆動トランジスタのゲート信号を容易に干渉することを発見した。例えば、データ信号はデータ線と駆動トランジスタのゲートとの間に形成される寄生容量を介してゲート信号を干渉し、よって、ゲート信号の安定性が影響される。
【0077】
図11に示すように、画素回路構造10は、データ線12と第1電源線13との間の第1安定化容量C1をさらに含み。データ線12上のデータ信号Dataが変化するとき、第1安定化容量C1は、データ線12と駆動トランジスタT1のゲートとの間の寄生容量の駆動トランジスタT1のゲート信号への干渉を低減できる。
【0078】
実際の場合、例えば、第1安定化容量C1の容量値は、データ線12と駆動トランジスタT1のゲートとの間の寄生容量の10倍よりも大きくなるように設計されてもよい。該寄生容量の容量値が第1安定化容量C1と比較して無視される場合、寄生容量を介してゲート信号に対する該データ信号Dataの影響を無視してもよい。
【0079】
第1安定化容量C1は様々な配置方法がある。例えば、第1安定化容量C1は第1容量電極と第2容量電極を含み、第1容量電極は第1電源線13に電気的に接続され、第2容量電極はデータ線12に電気的に接続される。説明すべきなのは、第1容量電極は、第1電源線13の一部であってもよいし、別途設けられて第1電源線13に電気的に接続される電極であってもよく、いずれの場合も「第1容量電極は第1電源線に電気的に接続される」に含まれる。同様に、第2容量電極は、データ線12の一部であってもよいし、別途設けられてデータ線12に電気的に接続される電極であってもよく、いずれの場合も「第2容量電極はデータ線12に電気的に接続される」に含まれる。
【0080】
例えば、作製工程において、表示パネル100の基板の上に、半導体プロセスにより、積層回路層、絶縁層などを含む画素回路構造が作製される。第1容量電極と第2容量電極とは、表示パネル100の基板に垂直な方向において互いに重なり合う共に、絶縁層(誘電体層)によって互いに離隔されてキャパシティを構成することができる。実際の設計では、第1安定化容量C1の容量値は、第1容量電極と第2容量電極の間の距離、それらの絶縁層の材料(すなわち、誘電率)、及び両者間の重なり領域を設計することによって調整できる。
【0081】
図11に示すように、蓄積容量Cstの第1極は第1電源線13に電気的に接続され、蓄積容量Cstの第2極は閾値補償トランジスタT3の第2極に電気的に接続される。データ書き込みトランジスタT2のゲートはゲート線11に電気的に接続され、データ書き込みトランジスタT2の第1極と第2極は、それぞれデータ線12と駆動トランジスタT1の第1極に電気的に接続される。閾値補償トランジスタT3のゲートは、ゲート線11に電気的に接続され、閾値補償トランジスタT3の第1極と第2極は、それぞれ駆動トランジスタT1の第2極とゲートに電気的に接続される。
【0082】
図11に示すように、第1発光制御トランジスタT4のゲートは、発光制御信号線15に電気的に接続され、第1発光制御トランジスタT4の第1極と第2極は、それぞれ第1電源線13と駆動トランジスタT1の第1極に電気的に接続される。第2発光制御トランジスタT5のゲートは、発光制御信号線15に電気的に接続され、第2発光制御トランジスタT5の第1極と第2極は、それぞれ駆動トランジスタT1の第2極と発光素子20の第1電極に電気的に接続される。第1リセットトランジスタT6のゲートはリセット制御信号線17に電気的に接続され、第1リセットトランジスタT6の第1極と第2極は、それぞれ初期化信号線16と駆動トランジスタT1のゲートに電気的に接続される。第2リセットトランジスタT7のゲートはリセット制御信号線17に電気的に接続され、第2リセットトランジスタT7の第1極と第2極は、それぞれ初期化信号線16と発光素子20の第1電極(アノードなどのOLEDの画素電極であってもよい)に電気的に接続される。発光素子20の第2電極(カソードなどのOLEDの共通電極であってもよい)は、第2電源線14に電気的に接続される。
【0083】
本開示の実施例で採用されるトランジスタは、薄膜トランジスタ若しくは電界効果トランジスタ、又は同じ特性を有する他のスイッチングデバイスであり得ることに留意されたい。ここで採用されるトランジスタのソースとドレインは構造的に対称であるため、ソースとドレインは構造的には差異がない。本開示の実施例では、トランジスタのゲート以外の2つの極を区別するために、1つの極は第1極、もう1つの極は第2極と直接記述するので、本開示の実施例のすべて又は一部のトランジスタの第1極と第2極は、必要に応じて交換可能である。例えば、本開示の実施例に記載のトランジスタの第1極はソースであり、第2極はドレインであってもよい;又は、トランジスタの第1極はドレインであり、第2極はソースであってもよい。
【0084】
また、トランジスタの特性によって、トランジスタがN型とP型に分けられる。本開示の実施例は、P型トランジスタを例として取り上げて説明する。本開示の実行方法の説明及び開示に基づいて、当業者は、格別創意を要することなく、本開示の実施例の画素回路構造におけるトランジスタの少なくとも一部にN型トランジスタを採用する、すなわち、N型トランジスタ、又はN型トランジスタとP型トランジスタとの組み合わせを採用する実行方法を容易に想到できる。したがって、これらの実行方法も本開示の保護範囲内である。
【0085】
例えば、本開示の実施例で採用されるトランジスタの活性層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン(例えば、低温多結晶シリコン)、又は金属酸化物半導体材料(例えば、IGZ0、AZ0など)であってもよい。一例では、該トランジスタはすべてP型LTPS(低温多結晶シリコン)薄膜トランジスタである。他の一例では、駆動トランジスタT1のゲートに直接接続される閾値補償トランジスタT3と第1リセットトランジスタT6は金属酸化物半導体薄膜トランジスタであり、すなわち、トランジスタのチャネル材料は金属酸化物半導体材料(例えば、IGZ0、AZ0など)である。金属酸化物半導体薄膜トランジスタは低い漏れ電流を有し、これは、駆動トランジスタT1のゲート漏れ電流を低減することに有利である。
【0086】
例えば、本開示の実施例で採用されるトランジスタは、トップゲート型、ボトムゲート型、又はダブルゲート型などの様々な構造を含むことができる。一例では、駆動トランジスタT1のゲートに直接に接続される閾値補償トランジスタT3及び第1リセットトランジスタT6はダブルゲート型トランジスタであり、駆動トランジスタT1のゲート漏れ電流の低減に有利である。
【0087】
例えば、
図12に示すように、本開示の実施例に係る表示パネル100は、データドライブ102、走査ドライブ103、及びコントローラー104をさらに含む。データドライブ102は、コントローラー104の指示に従いデータ信号Dataを画素単位101に提供するように配置され;走査ドライブ103は、コントローラー104の指示に従い発光制御信号EM、走査信号Scan、及びリセット制御信号Resetを画素単位101に提供するように配置される。例えば、走査ドライブ103は、該表示パネルに設けられるGOA(Gate 0n Array)構造、又は、該表示パネルにボンディング(Bonding)されるドライブチップ(IC)構造である。また、例えば、異なるドライブを利用して、それぞれ発光制御信号EMと走査信号Scanを提供することができる。例えば、表示パネル100は、上記の電圧信号を提供するために、必要に応じて電圧源又は電流源であり得る電源(図示せず)をさらに含む。前記電源は、それぞれ第1電源線13、第2電源線14、及び初期化信号線16を通じて、画素単位101に第1電源電圧ELVDD、第2電源電圧ELVSS、及び初期化信号Vintなどを提供するように配置される。
【0088】
図13は本開示の実施例に係る表示パネルにおける1つの画素単位のタイミング信号図である。以下は
図13を参照し、本開示の実施例に係る表示パネルにおける1つの画素単位の駆動方法を説明する。
【0089】
図13に示すように、1フレームの表示期間内に、画素単位の駆動方法は、リセット段階t1、データ書き込み及び閾値補償段階t2、発光段階t3を有する。
【0090】
リセット段階t1では、発光制御信号EMをオフ電圧に設定し、リセット制御信号Resetをオン電圧に設定し、走査信号Scanをオフ電圧に設定する。
【0091】
データ書き込み及び閾値補償段階t2では、発光制御信号EMをオフ電圧に設定し、リセット制御信号Resetをオフ電圧に設定し、走査信号Scanをオン電圧に設定する。
【0092】
発光段階t3では、発光制御信号EMをオン電圧に設定し、リセット制御信号Resetをオフ電圧に設定し、走査信号Scanをオフ電圧に設定する。
【0093】
例えば、本開示の実施例におけるオン電圧とは、対応するトランジスタの第1極と第2極をオンとを導通可能な電圧を指し、オフ電圧とは、対応するトランジスタの第1極と第2極とを断可能な電圧を指す。トランジスタがP型のトランジスタである場合、オン電圧は低電圧(例えば、0V)であり、オフ電圧は高電圧(例えば、5V)であり;トランジスタがN型のトランジスタである場合、オン電圧は高電圧(例えば、5V)であり、オフ電圧は低電圧(例えば、0V)である。
図13に示される駆動波形はすべてP型のトランジスタを例に取って説明し、すなわち、オン電圧は低電圧(例えば、0V)であり、オフ電圧は高電圧(例えば、5V)である。
【0094】
図11及び
図13を併せて参照すると、リセット段階t1では、発光制御信号EMはオフ電圧であり、リセット制御信号Resetはオン電圧であり、走査信号Scanはオフ電圧である。このとき、第1リセットトランジスタT6と第2リセットトランジスタT7は、オン状態になる一方、データ書き込みトランジスタT2、閾値補償トランジスタT3、第1発光制御トランジスタT4、及び第2発光制御トランジスタT5はオフ状態になる。第1リセットトランジスタT6は、初期化信号(初期化電圧)Vintを駆動トランジスタT1のゲートに送信する共に、蓄積容量Cstによって蓄積され、駆動トランジスタT1をリセットして、前回(前フレーム)発光のときに蓄積されたデータを消去し、第2リセットトランジスタT7は、初期化信号Vintを発光素子20の第1電極に送信して発光素子20をリセットさせる。
【0095】
データ書き込み及び閾値補償段階t2では、発光制御信号EMはオフ電圧であり、リセット制御信号Resetはオフ電圧であり、走査信号Scanはオン電圧である。このとき、データ書き込みトランジスタT2と閾値補償トランジスタT3はオン状態になる一方、第1発光制御トランジスタT4、第2発光制御トランジスタT5、第1リセットトランジスタT6及び第2リセットトランジスタT7はオフ状態になる。このとき、データ書き込みトランジスタT2は、データ信号電圧Vdataを駆動トランジスタT1の第1極に転送する、すなわち、データ書き込みトランジスタT2は、走査信号Scan及びデータ信号Dataを受信して、走査信号Scanに応じ、駆動トランジスタT1の第1極にデータ信号Dataを書き込む。閾値補償トランジスタT3がオンして、駆動トランジスタT1をダイオード構造に接続することにより、駆動トランジスタT1のゲートを充電することができる。充電が完了すると、駆動トランジスタT1のゲート電圧はVdata + Vthになり、ここで、Vdataはデータ信号電圧であり、Vthは駆動トランジスタT1の閾値電圧である。すなわち、閾値補償トランジスタT3は走査信号Scanを受け取り、走査信号Scanに応じて駆動トランジスタT1のゲート電圧に閾値電圧補償を実行する。この段階では、蓄積容量Cstの両端の電圧差はELVDD-Vdata-Vthである。
【0096】
発光段階t3では、発光制御信号EMはオン電圧であり、リセット制御信号Resetはオフ電圧であり、走査信号Scanはオフ電圧である。第1発光制御トランジスタT4と第2発光制御トランジスタT5はオン状態になる一方、データ書き込みトランジスタT2、閾値補償トランジスタT3、第1リセットトランジスタT6と第2リセットトランジスタT7はオフ状態になる。第1電源信号ELVDDは、第1発光制御トランジスタT4を介して駆動トランジスタT1の第1極に転送し、駆動トランジスタT1のゲート電圧はVdata + Vthに維持され、発光電流Iは第1発光制御トランジスタT4、駆動トランジスタT1及び第2発光制御トランジスタT5を介して発光素子20に流れ、発光素子20が発光する。すなわち、第1発光制御トランジスタT4及び第2発光制御トランジスタT5は、発光制御信号EMを受信し、そして、発光制御信号EMに応じて発光素子20の発光を制御する。発光電流Iは、以下の飽和電流式を満足する。
【0097】
K(Vgs-Vth)2=K(Vdata+Vth-ELVDD-Vth)2=K(Vdata-ELVDD)2
【0098】
ここで、
μ
nはトランジスタのチャネル移動度であり、Coxは駆動トランジスタT1の単位面積あたりのチャネル容量であり、WとLはそれぞれ駆動トランジスタT1のチャネル幅とチャネル長であり、Vgsは駆動トランジスタT1のゲートとソース(すなわち、本実施例における駆動トランジスタT1の第1極)の間の電圧差である。
【0099】
上記の式から、発光素子20を流れる電流は、駆動トランジスタT1の閾値電圧に関係がないことがわかる。したがって、本画素回路構造は、駆動トランジスタT1の閾値電圧を非常によく補償する。
【0100】
例えば、表示パネルの画素アレイにおいて、配線を簡単にするために、リセット制御信号線17を前の行の画素単位の走査線として設定する、すなわち、リセット制御信号を前の行の画素単位の走査信号Scan(n-1)によって当てるようにして、配線と信号数を削減するようにしてもよい。
【0101】
例えば、1フレームの表示期間に対する発光段階t3の持続時間の比率が調整可能である。このように、1フレームの表示期間に対する発光段階t3の持続時間の比率を調整することにより、発光の輝度を制御できる。例えば、表示パネルにおける走査ドライブ103又は追加のドライブを制御することにより、1フレームの表示期間に対する発光段階t3の持続時間の比率の調整が達成できる。
【0102】
例えば、他の例において、第1安定化容量C1は、データ線12と一定の電圧信号を提供する他の信号線との間に配置されてもよい。例えば、第1安定化容量C1は、データ線12と第2電源線14との間に配置されるか、又はデータ線12と初期化信号線16との間に配置される。他の例において、第1発光制御トランジスタT4若しくは第2発光制御トランジスタT5を設けなくてもよく、又は第1リセットトランジスタT6若しくは第2リセットトランジスタT7などを設けしなくてもよい、すなわち、本開示の実施例は
図11に示される特定の画素回路に限定されなく、駆動トランジスタの補償を可能にする他の画素回路を使用してもよい。本開示の実行方法の説明及び開示に基づいて、当業者は、格別創意を要することなく、容易に想到され得る他の実行方法も本開示の保護範囲内である。
【0103】
図14は本開示の他の実施例に係る表示パネル
の等効回路を示す図である。図に示すように、本実施例係る表示パネルと
図11の表示パネルとの差異は、表示パネル100が第2安定化容量C2及び/又は第3安定化容量C3をさらに含み、第2安定化容量C2がデータ線12と駆動トランジスタT1の第1極との間に配置され、第3安定化容量C3が第1電源線13と駆動トランジスタT1の第1極との間に配置される点にある。第2安定化容量C2の存在により、データ線12と駆動トランジスタT1のゲートとの間の寄生容量が駆動トランジスタT1のゲート信号に与える干渉をさらに減少できる。第3安定化容量C3の存在により、第1電源線13と駆動トランジスタT1のゲートとの間の寄生容量が駆動トランジスタT1のゲート信号に対する干渉を減少される。
【0104】
図15は、
図11に示す表示パネル100の例示的な平面構造を示す図(例示的なレイアウト)である。明確にするために、図中、駆動トランジスタT1、データ書き込みトランジスタT2、閾値補償トランジスタT3、蓄積容量Cst、及び第1安定化容量C1の構造のみが示され、他のトランジスタの構造は示されていない。
図16は
図15における表示パネルの切断線I-I’に沿った断面図であり、
図17は
図15における表示パネルの切断線II-II’に沿った断面図である。これから、
図15~
図17を参照し、本開示の実施例に係る表示パネル100を例示的に説明する。
【0105】
本開示において、「同層」とは、特定のパターンのフィルム層を形成するために、同一の成膜プロセスを使用し、その後、1回のパターニングプロセスで同一のマスクプレートを使用して形成される層構造を指すことを理解されたい。特定のパターンに応じて、同じパターニングプロセスには複数の露光、現像、又はエッチングプロセスを含み、形成される層構造内の特定のパターンは連続的又は非連続的である場合があり、これらの特定のパターンは、異なる高さに位置し、又は異なる厚さを持つ可能がある。例えば、本開示の実施例において、複数の要素/部品のパターンが同層で配置されることは、フィルム層の作製数を増やすことなく、表示パネルの薄型化、作製プロセスの簡素化に有利である。
【0106】
また、本開示で言及されるAとBとの間の電気的接続は、AがBの一部であり、及びBがAの一部である場合を含むことにも留意されたい。
【0107】
説明の便宜のために、図及び以下の説明において、T1g、T1s、T1d、T1aは、それぞれトランジスタT1のゲート、第1極、第2極とチャネル領域を表し、T2g、T2s、T2d、T2aは、それぞれデータ書き込みトランジスタT2のゲート、第1極、第2極、チャネル領域を表し、T3g、T3s、T3d、T3aは、それぞれ閾値補償トランジスタT3のゲート、第1極、第2極、チャネル領域を表し、CsaとCsbは、それぞれ蓄積容量Cstの第1極と第2極を表す。
【0108】
図15~17に示すように、表示イパネル100は、基板200と、基板200上に順次に積層される半導体パターン層21、第1絶縁層22、第1導電パターン層23、第2絶縁層24、第2導電パターン層25、層間絶縁層26及び第3導電パターン層27を含む。
【0109】
例えば、半導体パターン層21は、駆動トランジスタT1の活性層、データ書き込みトランジスタT2の活性層、及び閾値補償トランジスタT3の活性層を含む。
【0110】
例えば、第1導電パターン層23は、ゲート線11、蓄積容量Cstの第2極Csb、駆動トランジスタT1のゲートT1g、データ書き込みトランジスタのゲートT2g、及び閾値補償トランジスタのゲートT3gを含む。
【0111】
例えば、第2導電パターン層25は、蓄積容量Cstの第1極Csaを含む。
【0112】
例えば、蓄積容量Cstの第1極Csaと駆動トランジスターT1のゲートT1gとは、基板200に垂直な方向において互いに重なり合う。
【0113】
例えば、第3導電パターン層27は、データ線12と第1電源線13を含む。
【0114】
図15に示すように、ゲート線11は第1方向D1に沿って延び、データ線12と第1電源線13は第2方向D2に沿って延びると共に、同層に配置される。例えば、第1方向D1と第2方向D2は実質的に垂直である。
【0115】
本実施例において、第1安定化容量C1は、第1電源線13に電気的に接続され、且つ別個に設けられる第1容量電極18を含み、第1安定化容量C1の第2容量電極は、データ線12自体の一部によって提供される。他の実施例において、第2容量電極は、データ線12に接続される電極として別個に設けられてもよい。
【0116】
例えば、
図15と
図16に示すように、第1容量電極18は、データ線12の基板200に近い一側に位置し、そして、蓄積容量Cstの第1極Csaと同層に配置される。第1容量電極18は、層間絶縁層26を貫通する第1ビアホール260を介して第1電源線13に電気的に接続される。第1容量電極18とデータ線12は、基板200に垂直な方向において互いに重なり、よって第1安定化容量C1が形成される。
【0117】
例えば、表示パネル200の作製過程において、半導体パターン層21は、自己整合プロセスを用いて、第1導電パターン層23をマスクとして導体化処理される。例えば、半導体パターン層21は、イオン注入により高濃度にドープされ、半導体パターン層21の第1導電パターン層23に覆われていない部分が導体化され、これにより、駆動トランジスタT1のソース領域(第1極T1s)及びドレイン領域(第2極T1d)、データ書き込みトランジスタT2のソース領域(第1極T2s)及びドレイン領域(第2極T2d)と、閾値補償トランジスタT3のソース領域(第1極T3s)及びドレイン領域(第2極T3d)が形成される。半導体パターン層21の第1導電パターン層23に覆われる部分は、半導体特性を保持し、各トランジスタのチャネル領域T1a、T2a及びT3aを形成する。
【0118】
例えば、
図15と
図17に示すように、表示パネル200は第1接続電極19をさらに含み、第1接続電極19は、閾値補償トランジスタT3のドレイン領域と駆動トランジスタT1のゲートT1gと接続して配置されることにより、閾値補償トランジスタT3の第2極T3dが駆動トランジスタT1のゲートT1gに電気的に接続される。
【0119】
例えば、第1接続電極19は、データ線12と同層に配置されると共に、データ線12と同じ延在方向である。
【0120】
図15及び
図16を併せて参照すると、データ線12と第1接続電極19の間、又は、データ線12と閾値補償トランジスタT3の第2極T3dの間には寄生容量を有するため、第1容量電極18がデータ線12の基板200に近い側に配置されて、該データ線
12を押し上げるように機能し、データ線12と、第1接続電極19及び閾値補償トランジスタT3の第2極T3dの側面との間の距離を大きくすることができ、その結果、該寄生容量が低減される。例えば、閾値補償トランジスタT3の第2極T3dは駆動トランジスタT1のゲートに直接接続されるため、寄生容量の低減は、該データ線の駆動トランジスタT1のゲート信号への干渉を減らすことに役立つ。
【0121】
例えば、第1接続電極19は第1容量電極18が位置する層(すなわち、第2導電パターン層23)における正投影と、データ線12の延在方向に垂直な方向(すなわち、第1方向D1)において第1容量電極18とは互いに重なり合う。
【0122】
例えば、
図16を参照すると、第1接続電極19は第1容量電極18が位置する層(すなわち、第2導電パターン層23)における正投影と、データ線12の延在方向に垂直な方向(すなわち、第1方向D1)において第1容量電極18とは互いに重なり合う。
【0123】
例えば、蓄積容量Cstの第1極Csaには開口部250が設けられ、第1接続電極19は、該開口部と、第2絶縁層24及び層間絶縁層26を貫通する第2ビアホール240とを介して駆動トランジスタT1のゲートT1g(すなわち、蓄積容量Cstの第2極Csb)に電気的に接続される。
【0124】
例えば、第1接続電極19は、第1絶縁層22、第2絶縁層24及び層間絶縁層26を貫通する第3ビアホール220を介して閾値補償トランジスタT3の第2極T3dに電気的に接続される。
【0125】
例えば、第1電源線13は、層間絶縁層26を貫通する第4ビアホール261を介して蓄積容量Cstの第1極Csaに電気的に接続される。
【0126】
例えば、
図15を併せて参照すると、蓄積容量Cstの第1極Csaとデータ線
12とが基板に垂直な方向において互いに重なり合い、第4安定化容量C4を構成する。蓄積容量Cstの第1極Csaは第1電源線13に電気的に接続されるため、該第4安定化容量C4も該第1電源線13と該データ線12の間に形成され、これにより、データ線12と駆動トランジスタT1のゲートの間の寄生容量の駆動トランジスタT1のゲート信号への干渉がさらに削減される。例えば、第1絶縁層22、第2絶縁層24、及び層間絶縁層26の材料は、窒化シリコン、酸窒化シリコンなど、又は酸化アルミニウム、窒化チタンなどの無機絶縁材料を含むことができる。例えば、該絶縁材料は、アクリル酸又はポリメチルメタクリレート(PMMA)などの有機絶縁材料をさらに含むことができる。例えば、該絶縁層は単層構造でも多層構造でもよい。
【0127】
例えば、第1導電パターン層23、第2導電パターン層25、第3導電パターン層27、第4導電パターン層29、機能信号線01、第1導電構造02及び第2導電構造の材料は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、及び上記の金属の組み合わせで構成される合金材料、又は酸化インジウムスズ(IT0)、酸化インジウム亜鉛(IZ0)、酸化亜鉛(Zn0)、酸化亜鉛アルミニウム(AZ0)などの導電性金属酸化物材料を含む。
【0128】
例えば、表示パネル100は、基板200と半導体パターン層21との間のバッファ層28をさらに含んでもよい。例えば、基板200はガラス基板であり、バッファ層28は、基板200中の不純物(金属イオン)が画素回路構造に拡散するのを防ぐための二酸化ケイ素である。
【0129】
本開示の実施例において、機能信号線01は、初期化信号線16、発光制御信号線15、リセット制御信号線17、第1電源線13、及び第2電源線14のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0130】
例えば、1つの実施例において、アレイ基板は、基板、ポリシリコン層、第1ゲート絶縁層、第1導電パターン層(ゲート線、ゲート、及び蓄積容量の第2電極を含む)、第2ゲート絶縁層、第2導電パターン層(初期化信号線、蓄積容量の第1極、第1容量電極を含む)、層間絶縁層、第3導電パターン層(データ線、表示領域の第1電源線、第1接続電極を含む)、パッシベーション層、平坦化層、第4導電パターン層(第1電極、第1導電構造を含み、第1電極はOLEDのアノードでであってもよい)、発光層、及び第2電極(OLEDのカソードであってもよい)を順次に含む。機能信号線は第1電源線であり、第1導電構造は第1電極と同層に配置され、第1導電構造は第1電源線に並列接続される。
【0131】
本開示の実施例において、第1導電構造体02は別個に設けられてもよい。例えば、アレイ基板は、基板、ポリシリコン層、第1ゲート絶縁層、第1導電パターン層(ゲート線、ゲート、及び蓄積容量の第2電極を含む)、第2ゲート絶縁層、第2導電パターン層(初期化信号線、蓄積容量の第1極、第1容量電極を含む)、層間絶縁層、第3導電パターン層(データ線、表示領域の第1電源線、第1接続電極を含む)、有機絶縁層、パッシベーション層、第4導電パターン層(第1導電構造を含む)、第2平坦化層、OLEDのアノード層、発光層、OLEDのカソード層を含む。第4導電性パターン層と第3導電性パターン層との間に有機絶縁層及びパッシベーション層が介在し、パッシベーション層が第4導電性パターン層の直下に位置することにより、第1導電性構造体が位置する層のエッチングが完全であることを保証し、有機絶縁層ができる限り平坦化されることができる。該実施例において、機能信号線01は第1電源線13であり、第1導電構造02は第1電源線13に並列接続される。
【0132】
本発明の実施例に係る表示パネルの中の画素回路構造は、
図11に示すものに限定されず、他の構造の画素回路構造を採用してもよい、例えば、第1安定化容量C1、第1発光制御トランジスタT4、第2発光制御トランジスタT5、第1リセットトランジスタT6、及び第2リセットトランジスタT7のうちの少なくとも1つを備えなくてもよい。
【0133】
例えば、本開示の実施例により提供される表示パネルは、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、ノートコンピュータ、デジタルフォトフレーム、ナビゲーション等のいずれかの表示機能を有する製品又は部品に適用することができる。例えば、該表示パネルは有機発光ダイオードの表示パネルである。
【0134】
本開示の実施例は、上述の表示パネルを備える表示装置を提供する。例えば、該表示装置は、該表示パネルが採用される携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、ノートコンピュータ、デジタルフォトフレーム、ナビゲーション等の電子装置であり得る。例えば、該表示装置は有機発光ダイオードの表示装置である。
【0135】
上記は本開示の具体的な実施形態に過ぎないが、本開示の範囲はこれに限定されず、本開示の技術的範囲内で当業者であれば容易に想到できる変形又は置換は、すべて本開示の技術的範囲内に包含するものである。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準ずるものとする。
【0136】
本出願は、2018年5月29日に出願された、出願番号が201820812831.2である中国特許出願を基礎出願とする優先権を主張し、前記中国特許出願の開示内容の全てが参照によって本出願の一部に組み込まれる。