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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】沈殿池
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20231003BHJP
   B01D 21/18 20060101ALI20231003BHJP
   B01D 21/30 20060101ALI20231003BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20231003BHJP
   B01D 24/16 20060101ALI20231003BHJP
   B01D 24/26 20060101ALI20231003BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20231003BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20231003BHJP
   B01D 36/04 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B01D21/02 Q
B01D21/02 E
B01D21/18 F
B01D21/30 Z
B01D21/30 G
C02F1/52 E
B01D23/10 C
B01D23/24 A
B01D36/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020015753
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122756
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡村 知也
(72)【発明者】
【氏名】神座 豊
(72)【発明者】
【氏名】手金 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-059912(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161339(WO,A1)
【文献】特開2018-202296(JP,A)
【文献】特開2004-230348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00-21/34
C02F 1/52
B01D 24/00-37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に含まれる固形分を沈殿させる沈殿部と
深さ方向に延在する隔壁によって前記沈殿部に対して周囲を区画され、底部において前記沈殿部と連通するろ過部と、
前記ろ過部に保持されたろ材層と、
前記ろ過部の上部開口に隣接して配置され、前記ろ過部から越流した処理水が流入する流出トラフと、
前記ろ材層の下方又は内部に配置され、前記ろ材層を曝気して洗浄するための曝気部と
浄排水の水質を検出する水質センサを備え、
前記流出トラフには、前記流出トラフに流入した処理水を外部に流出させるための処理水排出ゲート、及び、前記流出トラフに流入した洗浄排水を前記沈殿部に直接流下させるための洗浄排水排出ゲートが設けられており、
前記曝気部により前記ろ材層を曝気して洗浄する際には、前記処理水排出ゲートを閉じ、かつ、前記洗浄排水排出ゲートを開いて、外部からの前記沈殿部内への被処理水の通水を停止しながら、前記ろ過部から流出した洗浄排水が、前記流出トラフ及び前記洗浄排水排出ゲートを介して前記沈殿部に直接流下するように構成されており、
前記水質センサによって検出された前記洗浄排水の清浄度が所定値以上良好になったときに、前記曝気部からの曝気を終了するように構成したことを特徴とする沈殿池。
【請求項2】
被処理水に含まれる固形分を沈殿させる沈殿部と、
深さ方向に延在する隔壁によって前記沈殿部に対して周囲を区画され、底部において前記沈殿部と連通するろ過部と、
前記ろ過部に保持されたろ材層と、
前記ろ過部の上部開口に隣接して配置され、前記ろ過部から越流した処理水が流入する流出トラフと、
前記ろ材層の下方又は内部に配置され、前記ろ材層を曝気して洗浄するための曝気部と、 前記沈殿部の水位を検出する水位センサを備え、
前記流出トラフには、前記流出トラフに流入した処理水を外部に流出させるための処理水排出ゲートと、前記流出トラフに流入した洗浄排水を前記沈殿部に戻すための洗浄排水排出ゲートとが設けられており、
前記曝気部から曝気して前記ろ材層を洗浄する際に、前記処理水排出ゲートを閉じ、前記洗浄排水排出ゲートを開いて、前記ろ過部から前記流出トラフに流入した洗浄排水を前記洗浄排水排出ゲートから前記沈殿部に戻すように構成するとともに、
前記水位センサで検出された水位に応じて、前記洗浄排水排出ゲートを開いた際のゲート高さを決定するように構成したことを特徴とする沈殿池。
【請求項3】
前記流出トラフの複数個所に前記洗浄排水排出ゲートが配設されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の沈殿池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿池に関し、特に、下水処理場の最終沈殿池などとして好適に使用し得る沈殿池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場などでは、最初沈殿池、生物反応槽及び最終沈殿池を備える水処理システムが用いられている。
【0003】
近年においては、最初沈殿池や最終沈殿池などの沈殿池として、被処理水中の固形分を沈殿させる沈殿部と、沈殿部で固形分の一部を沈殿させた被処理水をろ過するろ過部とを備える沈殿池を用いることが提案されている。この沈殿部及びろ過部を備える沈殿池によれば、沈殿部において固形分の一部を沈殿させた被処理水をろ過部において更にろ過することができるので、固形分が十分に除去された処理水を得ることができる。
【0004】
ここで、ろ過部を備える上記従来の沈殿池では、通常、所定時間毎に、あるいは、ろ過部の固液分離性能が低下した際にろ過部のろ過材の洗浄を実施する。そして、ろ過材の洗浄は、通常、ろ過部内に空気等の気体を噴き込んで曝気し、この際に生じた水流によりろ過材を揺動させることによって行う。
【0005】
一方、ろ過材を洗浄した後の洗浄排水は、排水用ポンプの動力を用いて沈殿池外の貯留槽に排出・貯留し、配管を介して沈殿池の流入口のところに返送するようにしていた(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3015274号公報
【文献】特許第3394839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のように、洗浄排水は沈殿池外に排出して、さらに沈殿池の流入口に返送するために、排水用ポンプと配管とが必須であり、費用面で問題となっていた。また、排水用ポンプや配管を設置する場所が必要であることから、このような設置場所の確保の問題もあった。さらに、ポンプには維持管理が必要であり、さらなる費用面の問題があるとともに、異常時に洗浄ができない等の問題もあった。
【0008】
本発明は、沈殿部とろ過部とを有する沈殿池の、当該ろ過部のろ過材の洗浄を、ポンプや配管を用いない簡易かつ安価な構成で行うことができる沈殿池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、被処理水の流入側に対する上流側に沈殿部が配設され、下流部にろ過部が配設された沈殿池において、ろ過部と隣接して流出トラフを配設するとともに、この流出トラフの所定の箇所にゲートを配設し、このゲートを開閉することによりろ過部を洗浄した洗浄排水を沈殿部に還流させることができることを見出し、本発明を想到するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の沈殿池は、被処理水に含まれる固形分を沈殿させる沈殿部と、深さ方向に延在する隔壁によって前記沈殿部に対して周囲を区画され、底部において前記沈殿部と連通するろ過部と、前記ろ過部に保持されたろ材層と、前記ろ過部の上部開口に隣接して配置され、前記ろ過部から越流した処理水が流入する流出トラフと、前記ろ材層の下方又は内部に配置され、前記ろ材層を曝気して洗浄するための曝気部とを備え、前記流出トラフには、前記流出トラフに流入した処理水を外部に流出させるための処理水排出ゲートと、前記流出トラフに流入した洗浄排水を前記沈殿部に戻すための洗浄排水排出ゲートとが設けられており、前記曝気部から曝気して前記ろ材層を洗浄する際に、前記処理水排出ゲートを閉じ、前記洗浄排水排出ゲートを開いて、前記ろ過部から前記流出トラフに流入した洗浄排水を前記洗浄排水排出ゲートから前記沈殿部に戻すように構成したことを特徴とする。
【0011】
本発明において、前記洗浄排水の水質を検出する水質センサを有し、前記水質センサによって検出された前記洗浄排水の清浄度が所定値以上良好になったときに、前記曝気部からの曝気を終了するように構成することが好ましい。
【0012】
本発明において、前記沈殿部の水位を検出する水位センサを有し、前記水位センサで検出された水位に応じて、前記洗浄排水排出ゲートを開いた際のゲート高さを決定するように構成することが好ましい。
【0013】
本発明において、前記流出トラフの複数個所に前記洗浄排水排出ゲートを配設することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、沈殿部とろ過部とを有する沈殿池の、当該ろ過部のろ過材の洗浄を、ポンプや配管を用いない簡易かつ安価な構成で行うことができる沈殿池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の沈殿池を示す平面図である。
図2図1に示す沈殿池のII-II線断面図である。
図3図1に示す沈殿池のA-A線断面図である。
図4図1に示す沈殿池のB-B線断面図である。
図5】本発明の第1実施形態における沈殿池のろ過部におけるろ過材の洗浄操作を説明する図である。
図6】本発明の第1実施形態における沈殿池のろ過部におけるろ過材の洗浄操作を説明する図である。
図7】本発明の第1実施形態における沈殿池のろ過部におけるろ過材の洗浄操作を説明する図である。
図8】本発明の第1実施形態における沈殿池のろ過部におけるろ過材の洗浄操作を説明する図である。
図9】本発明の第2実施形態の沈殿池を示す平面図である。
図10】本発明の第3実施形態の沈殿池を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の沈殿池を示す平面図であり、図2は、図1に示す沈殿池のII-II線断面図であり、図3は、図1に示す沈殿池のA-A線断面図であり、図4は、図1に示す沈殿池のB-B線断面図である。
【0017】
図1図4に示すように、本実施形態の沈殿池10は、被処理水の流入側に対する上流側に沈殿部11を有するとともに、被処理水の下流側において、沈殿部11と隣接するようにして配設されたろ過部12を有する。なお、ろ過部12は、深さ方向に延在する仕切り板(隔壁)13によって沈殿部11に対して周囲を区画されている。仕切り板13は、その上端が水面よりも高く、下端が水深の中間、具体的には以下に説明するろ過部12のろ過材の下端に達する深さまで延在している。
【0018】
また、図1図4に示すように、ろ過部12の底部は沈殿部と連通している。
【0019】
また、ろ過部12に隣接して樋状に形成された流出トラフ14が配設されており(本実施形態では、ろ過部12の両側)、ろ過部12から流出した浄化済みの処理水は、ろ過部12の上縁部から越流して流出トラフ14に流れ込み、流出トラフ14の下流側に配設された一対の処理水排出ゲート15から沈殿池10外に取り出されるようになっている。
【0020】
また、流出トラフ14の上流側、具体的には仕切り板13が配設された箇所と略面同一に一対の第1洗浄排水排出ゲート16が配設されており、流出トラフ14の下流側、具体的には処理水排出ゲート15と直交接触するようにして、流出トラフ14の内側に一対の第2洗浄排水排出ゲート17が配設されている。
【0021】
沈殿部11は、特に限定されることなく、被処理水中の固形分を重力沈降により沈降させて被処理水から固形分を分離する横流式沈殿槽よりなる。そして、沈殿部11の底部には、図示しない固形分排出弁を有する固形分排出配管が設けられており、沈殿部11で沈殿した固形分は、固形分排出配管に設けられた固形分排出弁を、例えば所定の開度で常時開いておく、あるいは所定時間毎に開くことにより、沈殿池10から排出されて処理される。
【0022】
なお、沈殿部11は、固形分の沈降を促進する傾斜板や、底部に沈殿した固形分を掻き寄せる往復式掻寄機などを備えていてもよい。
【0023】
ろ過部12は、例えば被処理水の導入部から池全長の1/4から3/4の位置に設ければよい。ろ過部12には、浮遊性のろ過材121が配設されており、ろ過材121は、比重が1.0未満の発砲プラスチック、スポンジ、または繊維状など材質は適宜に選択でき、その形状は3~100mm程度の粒状、筒状、中空孔空き球状、らせん状などの廃水との接触面積を大きく設定したものが採用される。ろ過材121は、ろ過部12に配設された図示しないメッシュ状の支持板上に保持されている。
【0024】
図1図4に示す沈殿池10において、例えば、被処理水中の有機分等を除去するには、まず、処理水排出ゲート15を開き、第1洗浄排水排出ゲート16及び第2洗浄排水排出ゲート17は閉状態としておく。そして、被処理水を図示しない生物反応槽においてSS濃度が1000~10000mg/lの範囲となるように生物処理した後、沈殿池10に導入する。導入された被処理水は、沈殿部11において比較的粗大な固形分を自然沈降させて、底部に堆積させる。これによって、被処理水は、粗大な固形分が除去され、SS濃度が例えば5~30mg/lまで低減される。堆積した固形分は、上述したような図示しない固形分排出弁を介して固形分排出配管から沈殿池10外に排出される。
【0025】
こうして、沈殿部11に被処理水が流入し、沈殿部11の水位がろ過部12の水位よりも高くなると、沈殿部11の被処理水がろ過部12に流入し、ろ過部12のろ過材121を上向きに通過して、ろ過材121によって微細な固形分が捕捉されて除去される。そして、ろ過部12の水位が流出トラフ14よりも高くなると、ろ過部12を通過した処理水がろ過部12と流出トラフ14との境界壁を越流して、流出トラフ14に流れ込む。そして、処理水排出ゲート15を通って沈殿池12の外部に流出する。こうして、ろ過部12を通過した処理水を例えば河川等に放流することができる。
【0026】
上述のように、図1図4に示す沈殿池10において被処理水の浄化操作を行っていると、ろ過部12、特にろ過材121に微細な固形分が付着してろ過効率が減少するので、ろ過材121を洗浄する必要がある。
【0027】
図5図8は、沈殿池10のろ過部12におけるろ過材121の洗浄操作を説明する図である。なお、図中の矢印は水の流れ、あるいは空気の流れを示すものである。
【0028】
最初に、図5に示すように、処理水排出ゲート15を閉じ、ろ過部12からの洗浄水の沈殿池10外への流出を止める。また、第1洗浄排水排出ゲート16及び第2洗浄排水排出ゲート17も閉状態としておく。このとき、図5に示すように、沈殿部11の水位とろ過部12の水位とは差があるため、沈殿部11の被処理水がろ過部12に流入する。なお、図5中の矢印Aは水の流れを示している。しかしながら、図6に示すように、沈殿部11とろ過部12との水位が等しくなると、沈殿池10への通水は停止する。
【0029】
次いで、図7に示すように、沈殿池10に配設されたブロワー18からろ過部12のろ過材121に、ろ過部12の下方に設けられた配管20の曝気部20aを介して空気を送り込んで曝気し、その際に発生した水流でろ過材121を揺動する。なお、図7中の矢印Bは空気の流れを示している。これによって、ろ過材121に付着していた固形分は剥離して、水(洗浄排水)中に再懸濁する。なお、上記配管20の曝気部20aは、ろ過部12内、すなわちろ過材121内に配設してもよい。
【0030】
一方、ろ過材121の洗浄排水には曝気した際の空気が含まれるために、当該洗浄排水の水面が上昇する。このとき、一対の第1洗浄排水排出ゲート16をアクチュエータ161で開(ゲートを下げる)とすることにより、図8に示すように、主としてろ過部12の上流側の洗浄排水が図中の矢印で示すように、流出トラフ14を介して第1洗浄排水排出ゲート16から沈殿部11に流出する。また、一対の第2洗浄排水排出ゲート17をアクチュエータ171で開(ゲートを下げる)とすることにより、主としてろ過部12の下流側の洗浄排水が図中矢印で示すように、流出トラフ14を介して第2洗浄排水排出ゲート17から沈殿部11に流出する。
【0031】
なお、第1洗浄排水排出ゲート16及び第2洗浄排水排出ゲート17の高さは、沈殿部11の水位に依存して決定される。すなわち、流出トラフ14を流れる水位よりも低く、かつ、沈殿部11の水位よりも高くなるように設定される。上記水位は、超音波式、電極式等の水位センサ19を用いて計測することができる。
【0032】
上記洗浄排水は、沈殿部11において内部に含まれる固形物が沈降して除去された後、ろ過部12に再流入する。その後、再度流出トラフ14を介して第1洗浄排水排出ゲート16から沈殿部11に流出し、流出トラフ14を介して第2洗浄排水排出ゲート17から沈殿部11に流出する。沈殿部11では固形物が再度沈降除去された後、得られた洗浄排水はろ過部12に再流入する。
【0033】
以上のように、ろ過部12のろ過材121は、ろ過部12と沈殿部11とを循環し、固形物が徐々に除去された洗浄排水、すなわち浄化水を用いて洗浄される。したがって、従来のように、排水用ポンプや配管を用いる必要がないので、費用面や設置場所の問題を回避することができ、ポンプの維持管理等の問題も回避することができる。したがって、沈殿部11とろ過部12とを有する沈殿池10の、ろ過部12のろ過材121の洗浄を、ポンプや配管を用いない簡易かつ安価な構成で行うことができる。
【0034】
また、本実施形態では、沈殿部11とろ過部12とを循環させた循環水でろ過材121を洗浄するので、ろ過材121の洗浄効果を向上させることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、ろ過部12の両側に配設した流出トラフ14の上流側及び下流側に複数の洗浄排水排出ゲート、すなわち第1洗浄排水排出ゲート16及び第2洗浄排水排出ゲート17を用いているので、洗浄排水を分散させて沈殿池11に戻すことができ、循環する洗浄排水の浄化作用を高めることができる。
【0036】
但し、洗浄排水排出ゲートの数は任意であり、ろ過部12のろ過材の種類や大きさ等に応じて自在に制御することができる。
【0037】
また、本実施形態では、仕切り板13と略面同一に配設された第1洗浄排水排出ゲート16を開として、ろ過部12のろ過材121の洗浄排水を沈殿部11に流出させているが、洗浄操作の際に仕切り板13の高さを適宜調整して、上記洗浄排水が仕切り板13を越流して、沈殿部11に流れ込むようにしてもよい。
【0038】
ブロアー18を一定時間駆動させた後、あるいは図示しない水質センサによって洗浄排水の水質、例えば濁度もしくはSS濃度が所定の値以下、または光透過率が所定の値以上となって、ろ過部12のろ過材121が十分に洗浄された後は、ブロアー18を停止させ、処理水排出ゲート15を開にし、第1洗浄排水排出ゲート16及び第2洗浄排水排出ゲート17を閉状態にして、前述した被処理水の浄化処理を行う。
【0039】
(第2実施形態)
図9は、本実施形態における沈殿池を示す平面図である。なお、第1実施形態における図1図8における構成要素と類似あるいは同様の構成要素に対しては同じ符号を用いている。
【0040】
図8に示すように、本実施形態の沈殿池20は、ろ過部12の沈殿部11の上流側にもトラフが配設された流出トラフ14がろ過部12のろ過材121を囲むようにコの字型に形成されている。また、ろ過部12の下流側の沈殿部11に隣接する箇所に仕切り板13が配設されており、流出トラフ14の上流側の沈殿部11に隣接する箇所には可動仕切り板23が配設されている。
【0041】
本実施形態におけるろ過部12のろ過材121の洗浄は、基本的には第1実施形態の図5図8に示す場合と同様に行う。すなわち、ろ過材121上方の空気が含まれた洗浄排水には曝気した際の空気が含まれるために、当該洗浄排水の水面が上昇する。
【0042】
このとき、可動仕切り板23を図示しないアクチュエータ等で開く(例えば仕切り板を下げる、あるいは仕切り板を転倒させる)ことにより、ろ過部12を通過した洗浄排水が図中の矢印で示すように、流出トラフ14を介して可動仕切り板23から沈殿部11に流出する。また、一対の第2洗浄排水排出ゲート17を図示しないアクチュエータで開く(例えばゲートを下げる)ことにより、ろ過部12を通過した洗浄排水が、一対の第2洗浄排水排出ゲート17を通して、流出トラフ14の下流側からも沈殿部11に流出する。
【0043】
本実施形態では、ろ過部12のろ過材121の周囲にコの字型に配設した流出トラフ14の上流側及び下流側に可動仕切り板23及び第2洗浄排水排出ゲート17を用いているので、ろ過部12を通過した洗浄排水をろ過部12の外周の広い領域から越流させて流出トラフ14に流入させることができ、ろ過材121を通過する水の偏りを少なくしてろ過材121の上流側及び下流側をほぼ均一かつ安定に洗浄することができる。
【0044】
その他の特徴及び利点については第1実施形態と同様であるので、記載を省略する。
【0045】
(第3実施形態)
図10は、本実施形態における沈殿池を示す平面図である。なお、第1実施形態における図1図7に関する図面と類似あるいは同様の図面に対しては同じ符号を用いている。
【0046】
図10に示すように、本実施形態の沈殿池30では、ろ過部12上において、沈殿部11とろ過部12との間に上横段の流出トラフ141が存在し、ろ過部12の略中央部に中央横段の流出トラフ142が存在し、中央横段の流出トラフ142と直交接触するようにして縦流出トラフ143が存在したはしご型の流出トラフ14が配設されている。また、ろ過部12は、流出トラフ141、142、143で囲まれて2箇所に配置されている。それぞれのろ過部12の下流側には、沈殿池11に連通する開口部が設けられている。そして、中央横段の流出トラフ142と直交接触するようにして、縦流出トラフ143の内側に一対の第1洗浄排水排出ゲート16が配設されており、この第1洗浄排水排出ゲート16を通して沈殿池11に洗浄排水を戻すことができるようになっている。また、第1実施形態同様に、流出トラフ14の下流側、具体的には処理水排出ゲート15と直交接触するようにして、縦流出トラフ143の内側に一対の第2洗浄排水排出ゲート17が配設されており、この第2洗浄排水排出ゲート17を通しても、沈殿池11に洗浄排水を戻すことができるようになっている。
【0047】
なお、上記における「横」及び「縦」などの文言は、部材を区別するために便宜上用いているものであり、これら部材の絶対的な位置関係を特定するものではない。
【0048】
本実施形態におけるろ過部12のろ過材121の洗浄は、基本的には第1実施形態の図5図8に示す場合と同様に行う。
【0049】
すなわち、ろ過材121上方の空気が含まれた洗浄排水には曝気した際の空気が含まれるために、当該洗浄排水の水面が上昇して流出トラフ14に越流した際に、一対の第1洗浄排水排出ゲート16を図示しないアクチュエータで開(仕切り板を下げる)とすることにより、上流側に配置されたろ過部12に隣接する縦流出トラフ143を流れる洗浄排水が第1洗浄排水排出ゲート16から沈殿部11に流出する。
【0050】
また、一対の第2洗浄排水排出ゲート17を図示しないアクチュエータで開(ゲートを下げる)とすることにより、下流側に配置されたろ過部12に隣接する縦流出トラフ143を流れる洗浄排水が第2洗浄排水排出ゲート17から沈殿部11に流出する。
【0051】
本実施形態では、上述のようなはしご型の流出トラフ14を配設し、中央横段の位置の流出トラフ142に直交する縦流出トラフ143の上流側に第1洗浄排水排出ゲート16を配設し、下流側に第2洗浄排水排出ゲート17を用いているので、2箇所に分かれて配置されたろ過部12のろ過材121を通過した洗浄排水を、効率よく分散させて沈殿池11に戻すことができる。したがって、循環する洗浄排水の浄化作用を高めることができる。
【0052】
その他の特徴及び利点については第1実施形態と同様であるので、記載を省略する。
【0053】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0054】
例えば、上記実施形態では、沈殿部11とろ過部12との間に仕切り板13等を配設して区分したが、第2実施形態あるいは第3実施形態で示したように、沈殿部11とろ過部12との間に流出トラフ14を配設し、その壁面によって区分するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10,20,30 沈殿池
11 沈殿部
12 ろ過部
121 ろ過材
13 仕切り板
14 流出トラフ
15 処理水排出ゲート
16 第1洗浄排水排出ゲート
17 第2洗浄排水排出ゲート
18 ブロアー
19 水位センサ
20 配管
20a 曝気部
23 可動仕切り板
141 上横段の流出トラフ
142 中央横段の流出トラフ
143 縦流出トラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10