(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】紫外線放電ランプ装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20231003BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
(21)【出願番号】P 2020031310
(22)【出願日】2020-02-27
(62)【分割の表示】P 2018147681の分割
【原出願日】2012-06-08
【審査請求日】2020-02-27
(32)【優先日】2011-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513310461
【氏名又は名称】ゼネックス・ディスインフェクション・サービシィズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】スティビッチ,マーク,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフォード,ジェームズ,ブレイン
(72)【発明者】
【氏名】ガーフィールド,アレクサンダー,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ラスジバー,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】フライデンドール,エリック,マーティン
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0284109(US,A1)
【文献】実開平05-041551(JP,U)
【文献】実開昭63-135646(JP,U)
【文献】実公昭39-032277(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0011397(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0074546(US,A1)
【文献】特開平10-314280(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104491908(CN,A)
【文献】米国特許第06656424(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0244138(US,A1)
【文献】特表平09-509340(JP,A)
【文献】特表2009-504244(JP,A)
【文献】中国実用新案第201487874(CN,U)
【文献】特開2018-167081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0056933(US,A1)
【文献】特開2001-327590(JP,A)
【文献】特開2005-312978(JP,A)
【文献】中国実用新案第201755324(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
A61L 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
殺菌光を放出するように構成したランプであって、前記装置は、前記ランプから放出された殺菌光が前記装置の外側に発射されるように構成する、ランプと、
前記ランプを支持する
支持構造と、
前記
装置の外側表面から延在する押し/引きハンドルであって、前記押し/引きハンドルの最上表面は、前記ランプの最上表面よりも低い高さで配置する、押し/引きハンドルと、
前記
装置の底部に沿って配置したホイールと、
前記装置を中に配置する室又は領域の少なくとも一部にわたり、前記装置に自動化した移動をもたらすモータと、
プロセッサと、
前記ランプが殺菌光を放出している間、前記装置が前記室又は前記領域内を移動するように前記モータを起動する、前記プロセッサによって実行可能なプログラム命令を有する記録媒体と、
を備える装置。
【請求項2】
装置であって、
殺菌光を放出するように構成したランプであって、前記装置は、前記ランプから放出された殺菌光が前記装置の外側に発射されるように構成されるランプと、
前記ランプを支持する支持構造であって、自身の外側表面を超えて前記ランプが延在し、これにより、前記装置
が室又
は領域に配置された際に前記室又は前記領域の床から2~4フィートの領域へ前記殺菌光を伝播するように構成される支持構造と、
前記装置の底部に沿って配置したホイールと、
前記室又は前記領域の少なくとも一部にわたり、前記装置に自動化した移動をもたらすモータと、
プロセッサと、
前記ランプが殺菌光を放出している間、前記装置が前記室又は前記領域内を移動するように前記モータを起動する、前記プロセッサによって実行可能なプログラム命令を有する記録媒体と、
を備える装置。
【請求項3】
装置であって、
殺菌光を放出するように構成したランプであって、前記装置は、前記ランプから放出された殺菌光が前記装置の外側に発射されるように構成する、ランプと、
前記装置の底部に沿って配置したホイールと、
前記装置を中に配置する室又は領域の少なくとも一部にわたり、前記装置に自動化した移動をもたらすモータと、
前記装置を中に配置する前記室又は前記領域内で個体の存在を決定する占有センサと、
プロセッサと、
前記ランプが殺菌光を放出している間、前記装置が前記室又は前記領域内を移動するように前記モータを起動し、前記占有センサが前記室又は前記領域内に個体が存在することを検知すると前記装置の外側に殺菌光が発射されるのを阻止および終了する、前記プロセッサによって実行可能なプログラム命令を有する記録媒体と、
を備える装置。
【請求項4】
前記ランプは、キセノン閃光ランプである、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ランプは、水銀蒸気ランプである、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
反射器組立体を更に備え、前記反射器組立体は、前記装置を中に配置する前記室又は前記領域の床から2フィートから4フィートの間で、前記ランプから放出される殺菌光を前記装置外側の領域に再配向するように構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記ランプから放出される殺菌光が前記装置の外側部分の少なくとも一部分の周りに連続的なリングを形成するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記
装置の外側表面から延在する押し/引きハンドルを更に備える、請求項2~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記押し/引きハンドルの最上表面は、前記ランプの最上表面よりも低い高さで配置する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
装置であって、
殺菌光を放出するように構成した1つ又は複数のランプであって、自身から放出された殺菌光が、前記装置の外側部分の少なくとも一部分の周りに連続的なリングを形成するように前記装置を構成する、1つ又は複数のランプと、
前記装置の底部に沿って配置したホイールと、
前記装置を中に配置する室又は領域の少なくとも一部にわたり、前記装置に自動化した移動をもたらすモータと、
プロセッサと、
前記1つ又は複数のランプが殺菌光を放出している間、前記装置が前記室又は前記領域内を移動するように前記モータを起動する、前記プロセッサによって実行可能なプログラム命令を有する記録媒体と、
を備える装置。
【請求項11】
前記1つ又は複数のランプは、キセノン閃光ランプを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ又は複数のランプは、水銀蒸気ランプを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ又は複数のランプを支持する支持構造体をさらに備え、前記1つ又は複数のランプは、前記装置を前記室又は前記領域の床に配置した際に前記室又は前記領域の床から2~4フィートの領域へ前記殺菌光を伝播するように、前記支持構造体の外側表面を超えて延在する、請求項10~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
超音波センサ又は紫外線光センサを更に備え、前記装置は、前記超音波センサ又は前記紫外線光センサから得た情報を使用して前記室又は前記領域の至る所に前記装置を案内するように構成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記プログラム命令は、前記プロセッサによって、前記室又は前記領域に関するマップ及び
前記殺菌光の用量要件に基づき、前記装置の速度を変化させるように更に実行可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ランプは放電ランプである、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記1つ又は複数のランプは放電ランプである、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
1つ又は複数の反射システムをさらに備え、前記1つ又は複数の反射システムは、前記前記1つ又は複数のランプから放出される光を反射するために、異なる前記1つ又は複数のランプに対してそれぞれ配置される、請求項10~13および17のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に紫外線放電ランプ装置及び殺菌デバイスの動作を制御するためのシステムに関し、より具体的には、1つ又は複数の反射器を有する紫外線放電ランプ装置、このような装置を操作する方法、及び殺菌デバイスの動作パラメータ及び消毒スケジュールを決定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の記載及び例は、本項目に含まれているという理由で、先行技術とは認められない。
【0003】
一般に殺菌システムは、1つ又は複数の表面及び/若しくは対象物を殺菌剤にさらして、1つ又は複数の表面及び/若しくは対象物上に残留する微生物を不活性化するか又は殺すように設計されている。殺菌システムの応用は、滅菌、対象物の消毒、及び室/領域の汚染除去を含むがこれらに限定されない。滅菌システムの例としては、手術器具、食品又は医薬品梱包の滅菌に使用されるものがある。領域/室の汚染除去システムの例としては、病室においてその表面及び病室内の対象物を消毒するために使用されるもの、並びに飼育動物及び/又は家畜に対して使用されるもの等、農業関連の活動において使用されるものがある。領域/室の消毒は、病原性微生物が環境内に存在して感染を引き起こすことが明らかとなったため、ますます重要となっている。これは、特に抗菌剤に耐性を有する微生物が環境内により一般的に見られ、対処がますます難しくなっているため、重要となってきている。
【0004】
従来の室/領域汚染除去システムの課題は、消毒が必要な全ての表面に対して殺菌剤を効率的に拡散することである。特に、多くの従来の室/領域汚染除去システムでは、コスト及びサイズ面での制約によって、システムが含む消毒剤源の数が限定されている。更に、従来の室/領域汚染除去システムにおける殺菌剤の指向性が固定されている。その結果、従来のシステムは、室内又は領域内の多数の表面を同時に消毒できるよう、大用量の殺菌剤を供給するように構成されることが多い。大用量の殺菌剤を全面的に拡散することによる問題は、室又は容積のいくつかの部分が殺菌剤に過剰にさらされることであり、これは事実上殺菌剤の無駄であるばかりか、潜在的に、消毒プロセスを実施するための時間及び/又はエネルギの無駄である。更に場合によっては、殺菌剤を室全体に全面的に拡散する際、室/領域の一部、特に消毒剤源から比較的遠距離にある表面及び/又は消毒源と一直線上にない表面は、十分な量の殺菌剤を受け取ることができない。殺菌剤への曝露が不足すると、表面又は対象物に望ましくない多数の病原性微生物を残留させることになり、これらの表面と後に接触するヒトが感染しやすくなる。
【0005】
従来の室/領域汚染除去システムの更なる問題は、消毒プロセスを実施するにあたって、室内の対象物及び表面に対する考察及び優先順位がないことである。結果として、割り当てられた時間よりも早く室/領域の消毒プロセスが中断された場合、室内のうち、強く汚染されている可能性のある対象物及び/又は表面が十分に消毒されていない可能性がある。特に、室/領域汚染除去システムの消毒剤源は、この消毒剤源から室/領域の周縁部までの殺菌剤の曝露が、室/領域全体にわたって実質的に均一となるように(1つ又は複数の特定の対象物の近傍ではなく)室の中心点付近に位置付け又は設置されることが多い。同様に、システムが複数の消毒デバイスを含む場合、所定の消毒プロセスで室全体を消毒するために、デバイスは、1つ又は複数の特定の対象物の近傍ではなく、室全体にわたって均一に分散されることが多い。
【0006】
いくつかの実施形態では、室/領域汚染除去システムにおける消毒剤源は、病室内のベッド等の対象物又は表面の近傍に位置付けしていてもよいが、消毒剤源を特定の対象物の近傍に位置付けすると、ドアのハンドル又は室の電灯のスイッチ等、より強く汚染されている可能性があると考えられる室/領域内の他の対象物又は表面を消毒する必要性に対処できない。更に、消毒剤源を室内の特定の位置に固定して設置する場合、特定の対象物に対する消毒剤源の配置の効果は、その対象物が移動すると無くなる。汚染除去システムが、室内で自由に位置付けできる1つ又は複数の消毒剤源を含む場合、1つ又は複数の消毒剤源の位置付けという作業は一般に手作業で行われ、したがってこれは大きな労働力を要し、配置誤差を発生させる傾向がある。更に、後で挙げたこれらの構成は、室内に消毒剤源を配置するための室の特徴(例えばサイズ、面積構成及び/又は室内での対象物の相対配置)の分析を伴わない。
【0007】
漂白等の化学的方法から紫外線(UV)消毒等の先進的な方法にわたる、表面及び対象物を消毒するための多数の異なる方法が存在する。特に、約200~約320nmのスペクトルでのUV照射は、微生物を不活性化したり、場合によっては微生物を殺すことに効果的であることが知られており、これが、物品の消毒及び/又は滅菌のための紫外線光技術の使用の理由になっている。いくつかのUV消毒デバイスは、放電ランプを利用して紫外線光を生成する。消毒及び滅菌用途に使用するのに加えて、放電ランプは例えばポリマー硬化等の広範な用途において紫外線(UV)光を生成するために使用される。一般に、放電ランプとは、ガス中の電極の間での内部放電を利用して光を生成するランプを指す。この放電は、放射光を供給するプラズマを生成する。水銀蒸気ランプ等いくつかの例においては、生成される光はひとたびランプをトリガすると途切れない。閃光電球又は閃光ランプとも呼ばれる放電ランプの他の構成は、極めて短時間だけ光を生成する。このような放電ランプは、光の循環パルスを供給するために使用されることがあり、したがってパルス光源と呼ばれることがある。一般に使用される閃光ランプはキセノン閃光電球である。
【0008】
様々な用途にUV光を提供するために、様々なタイプの放電ランプが研究されてきたが、特に紫外線光の伝播(すなわち、標的となる対象物への距離及び入射角度)に関して、放電ランプを有する装置において生成される紫外線光の効率を改善する放電ランプの研究は殆ど行われていない。このように進歩が起きない理由は、食品滅菌デバイス及び単一対象物消毒デバイス等、放電ランプを有する多くの装置は、ランプに近接してランプと一直線上に整列させて配置した物品を処理するように構成されており、したがってUV光の伝播を変更することによるUV光の効率の改善は殆ど又は全く実現できないことである。更に、室/領域汚染除去システムは、UV光を広い領域にわたって分散させるよう特に設計されており、したがってシステムからのUVの伝播を変更すると、このような目的の妨げとなる。更に、放電ランプを備えた多くの装置の用途及び多用途性は限定されている。例えば、多くの食品滅菌デバイス及び単一対象物消毒デバイスは自己完結型装置であり、特定の物品の処理のために構成されており、したがって一般には、他の物品の処理のために又は他の用途における使用のためにシステムの多用途性を改善する特徴をもたない。更に、装置によっては、ユーザを怪我から保護するために、時間がかかり及び/又は厄介な対策が必要なものもある。例えば、パルス紫外線光技術は、一般に極めて明るく強い可視光を含む深紫外線から赤外線までの広範なスペクトルの光のパルスを生成するキセノン閃光ランプを使用する。可視光及び紫外線光の曝露は有害であり、したがって、装置の領域内又は室汚染除去ユニットを使用する室の遮蔽窓内にパルス光を閉じ込める等の対策が必要となる。
【0009】
したがって、その利用を改善するような特徴を有する紫外線放電ランプ装置を開発することは有益であり、このような特徴は、生成される紫外線光の効率を改善し、装置の多用途性を向上させ、従来のシステムが必要とする時間のかかる厄介な対策を削減及び/又は排除するような特徴を含むがそれに限定されない。更に、従来の室/領域汚染除去システ
ムよりも効果的で効率の良い室/領域汚染除去システムを開発すると有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
システムの様々な実施形態に関する以下の説明は、決して添付した請求項の主題を限定するものと解釈するべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書で開示する装置の実施形態は、紫外線光を放出するように構成された放電ランプ、放電ランプを動作させるように構成された電源回路、及び放電ランプが放出した紫外線光を再配向するよう構成された反射器システムを含み、放電ランプが放出した光からレーザを生成するための光学装置を備えていない。いくつかの実施形態では、装置は、電源回路を含みかつ放電ランプを支持する支持構造を含む。このような実施形態のうちのいくつかでは、反射器システムは、支持構造から離れる方向に伝播する紫外線光を、装置の外側の、装置を配設する室の床から約2~約4フィートである領域へと再配向するように構成されている。更に又は代替として、他の実施形態では、反射器システムは、支持構造から離れる方向に伝播する紫外線光を、装置の外側表面を取り囲む領域へと再配向するように構成され、反射器システムは、更に装置の動作中にこの取り囲み領域へと再配向された紫外線光を全て集めると、この取り囲み領域全体を占めるように構成されている。いずれの場合においても、いくつかの実施形態では、本明細書で開示する装置の反射器システムは、再位置付け可能な反射器を含んでいる。
【0012】
システムの実施形態は、消毒剤源並びにプロセッサ及びプログラム命令を備えた処理サブシステムを含み、上記プログラム命令は、消毒剤源を配設する室の物理的属性に関するデータを受信するためにプロセッサが実行可能なものである。更に処理サブシステムは、受信したデータに基づいて室内での位置を決定し、これによって消毒剤源及び/又は消毒剤源を備えた構成部品の配向を位置付けするために、プロセッサが実行可能なプログラム命令を含む。
【0013】
システムの他の実施形態は、複数の消毒剤源、並びに1つ又は複数のプロセッサ及びこの1つ又は複数のプロセッサが実行可能なプログラム命令を備えた処理サブシステムを含む。場合によっては、複数の消毒剤源を配設する室の特徴に関するデータを受信し、受信したデータに基づいて複数の消毒剤源に関する1つ又は複数の独立した動作パラメータを決定するために、1つ又は複数のプロセッサがプログラム命令を実行可能である。他の場合には、複数の消毒剤源のそれぞれに関して、消毒剤源を配設する室内の標的位置、領域、対象物又は表面を判別して、この標的位置、領域、対象物又は表面のうち2つ以上を比較するために、1つ又は複数のプロセッサがプログラム命令を実行可能である。このようなシステムでは、更に2つ以上の標的位置が互いから所定の距離内にあることを検知するとすぐに、及び/又は2つ以上の標的領域が重なっていることを検知するとすぐに、複数の消毒剤源のうちの少なくとも1つの計画された消毒プロセスを変更するための1つ又は複数の補正動作を実行するために、1つ又は複数のプロセッサがプログラム命令を実行可能である。
【0014】
本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を読み、かつ添付した図面を参照すれば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、水平に位置付けされた放電ランプを有する紫外線放電ランプ装置の概略断面図である。
【
図2a】
図2aは、
図1に示す紫外線放電ランプ装置に光学フィルタを収容するための代替構成を示す。
【
図2b】
図2bは、
図1に示す紫外線放電ランプ装置に光学フィルタを収容するための他の代替構成を示す。
【
図2c】
図2cは、
図1に示す紫外線放電ランプ装置に光学フィルタを収容するための更に他の代替構成を示す。
【
図3】
図3は、装置の支持構造の外側に設けられた放電ランプを有する
図1に示す紫外線放電ランプ装置の代替構成を示す。
【
図4】
図4は、垂直に位置付けされた放電ランプを有する紫外線放電ランプ装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す紫外線放電ランプ装置のための放電ランプアセンブリの代替構成を示す断面図。
【
図6】
図6は、
図4に示す紫外線放電ランプ装置のための光学フィルタの代替構成を示す斜視図。
【
図7】
図7は、
図4に示す紫外線放電ランプ装置のための光学フィルタの他の代替構成を示す斜視図。
【
図8】
図8は、複数の紫外線放電ランプ装置を含むシステムを示す説明図。
【
図9】
図9は、1つ又は複数の消毒剤源と、1つ又は複数の消毒剤源に関して動作パラメータ及び消毒スケジュールを決定するためのプロセッサ実行可能プログラム命令を有する処理サブシステムとを含むシステムを示す。
【
図10】
図10は、ある方法の概略を示すフローチャートであり、
図9に示すシステムのプロセッサ実行可能なプログラム命令は、上記方法のために実行されるように構成している。
【
図11】
図11は、他の方法の概略を示すフローチャートであり、
図9に示すシステムのプロセッサ実行可能なプログラム命令は、上記他の方法のために実行されるように構成している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は様々な改変及び代替形態を許容するものであるが、特定の実施形態を例として図示し、ここで詳細に説明する。しかしながら、図面及び図面に対する詳細な説明は、本発明を最初に開示した特定の形態に本発明を限定することを意図したものではなく、反対に、添付した請求項によって定義される本発明の精神及び範囲内にあるあらゆる改変、均等物及び代替形態を包含することを意図していることを理解するべきである。
【0017】
ここで図面に戻ると、放電ランプ装置の例示的実施形態が提供されている。より具体的には、
図1~3には、ランプを支持する装置の平面に対して平行に縦方向に配設された放電ランプ(これ以降「水平に位置付けされたランプ」と呼ぶ)を有する装置の例示的な構成を示す。更に
図4~7には、ランプを支持する装置の平面に対して垂直に縦方向に設けられた放電ランプ(これ以降「垂直に位置付けされたランプ」と呼ぶ)を有する装置の例示的な構成を示す。更に
図8には、2つの放電ランプ装置を有するシステムを示す。以下、詳細に説明するように、本明細書で説明する装置及び特徴は、放電ランプが「水平」及び「垂直」位置に限定されないことを含めて、図面に描写したものに限定されない。更に、特定の特徴部分を他の特徴部分よりも大きな縮尺で描くことでその特徴を強調する場合、図面は必ずしも正確な縮尺で描かれている必要がないことに留意されたい。
【0018】
図1~8を参照して説明する各装置は、紫外線光を生成するよう構成された放電ランプを含み、したがって
図1~8を参照して説明する装置を「紫外線放電ランプ装置」と呼ぶことがある。いくつかの実施形態では、他の範囲の光を生成するように装置の放電ランプを更に構成してもよいが、「紫外線放電ランプ装置」として本明細書で説明する装置の参照を妨げるものではない。いずれの場合においても、
図1~8を参照して説明する装置は、放電ランプが放出する光からレーザを生成するための光学装置を備えておらず、したが
って本明細書では、いくつかの実施形態においてこの装置を非レーザ装置と呼ぶこともできる。言い換えると、
図1~8を参照して説明する装置は、放電ランプが放出する光をレーザではない様式で伝播するよう構成されている。以下に、詳細に説明するように、
図1~8を参照して説明する装置は、領域及び室並びに対象物全体を紫外線光に曝露するよう構成され、したがって特に、レーザが生成するような、回折が限定された狭い光線を生成するのではなく、広い範囲に光を分配するよう構成されている。
【0019】
本明細書で使用する用語「放電ランプ」は、ガス中の電極の間での内部放電を利用して光を生成するランプを指す。この用語はガス放電ランプも内包し、これはイオン性ガスを通して放電を送ることによって光を生成する(すなわち、プラズマ)。この用語は、また表面放電ランプも内包し、これはガスの存在下で誘電性基材の表面に沿って放電を送り、基材の表面に沿ってプラズマを生成することによって光を生成する。したがって、本明細書で説明する装置に関して考えられる放電ランプは、ガス放電ランプ及び表面放電ランプを含む。放電ランプ、は更に使用する1つ又は複数のガスのタイプ、及びランプを動作させる圧力によって特徴づけることができる。本明細書で説明する装置に関して考えられる放電ランプは、低圧、中圧及び高強度の放電ランプを含んでいる。更に、使用する1つ又は複数のガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素、酸素、水素、水蒸気、二酸化炭素、水銀蒸気、ナトリウム蒸気及びこれらのいずれの組み合わせを含んでいてもよい。更に、本明細書で説明する装置に関して考えられる放電ランプは、装置の設計仕様に応じていずれのサイズ及び形状のものであってもよい。更に、本明細書で説明する装置に関して考えられる放電ランプは、連続した光を生成するもの及び短期間だけ光を生成するものを含んでいてもよく、本明細書では後者を閃光電球又は閃光ランプと呼ぶ。光の回帰パルスを供給するために使用される閃光電球又は閃光ランプを、本明細書ではパルス光源と呼ぶ。
【0020】
連続した光を生成するために通常使用するガス放電ランプは水銀蒸気ランプであり、本明細書で説明する装置うちのいくつかに関してこれを想定できる。水銀蒸気ランプは、ピーク強度253.7mmの光を放出し、この光は殺菌消毒に特に応用できると考えられ、したがって紫外線殺菌放射(UVGI)において一般的に挙げられる。本明細書で説明する装置に関して考えられる通常使用される閃光ランプは、キセノン閃光電球である。水銀蒸気ランプとは反対に、キセノン閃光電球は、紫外線から赤外線までの広範なスペクトルの光を生成し、したがって殺菌性のものとして公知であるスペクトル(すなわち、約200~約320nm)全体にわたる紫外線光を提供する。更にキセノン閃光電球は、最適な殺菌性を有するとして公知であるスペクトル(すなわち、約260~約265nm)において比較的十分な強度を提供できる。更にキセノン閃光電球は極めて多量の熱を生成し、これもまた微生物を不活性化するか殺すために更に役立たせることができる。
【0021】
現在に至るまで容易には入手できないものの、上述のように、本明細書で説明する装置のうちのいくつかに関して表面放電ランプを想定している。キセノン閃光電球と同様、表面放電ランプは、殺菌性のものとして公知であるスペクトル(すなわち、約200~約320nm)全体にわたる紫外線光を生成する。しかしながら対照的に、表面放電ランプは、キセノンランプと比べてパルスに対してより高いエネルギレベルで動作し、したがってより優れたUV効率で動作し、またより長い寿命を提供する。水銀蒸気ランプ、キセノン閃光ランプ及び表面放電ランプに関する以上の説明及び比較は、このようなランプを含むように本明細書で説明する装置を限定するものではないことに留意されたい。むしろ、以上の説明及び比較は、特に装置の目的及び応用に応じて紫外線放電ランプ装置のための放電ランプを選択する際に当業者が考慮できる因子を提供するためだけに提供されたものである。
【0022】
上述のように、
図1~8を参照して説明する装置は、対象物全体及び/又は領域/室を
処理できるように、広い範囲にわたって紫外線光を分配するように構成される。言い換えると、
図1~8を参照して説明する装置は、レーザの適用のために使用できるような、特定の小さな標的のための狭い光線を生成するようには構成されていない。広い範囲に紫外線光を分配するように構成すれば、
図1~8を参照して説明する装置は、対象物全体並びに領域及び/又は室を消毒、汚染除去、及び/又は滅菌するために特に応用可能である。例えば、
図1~8を参照して説明する装置は、病室を消毒するために使用してもよく、又は農業関連の活動において使用してもよく、これは飼育動物及び/若しくは家畜に対して使用されるものを含む。更に又は代替として、
図1~8を参照して説明する装置は、植物上の微生物の成長を低減するために、又は手術器具、食品若しくは医薬品梱包を滅菌するために使用してもよい。紫外線光に対する広い範囲の曝露を伴う
図1~8を参照して説明する装置の他の応用は、ポリマー硬化及び医療的手順であってもよい。
【0023】
場合によっては、本明細書で説明する装置は、特に室の消毒を対象としてもよい。より具体的には、かつ以下により詳細に説明するように、
図1~8を参照して説明する装置に関して提示する特徴のうちのいくつか(特に、光学フィルタを備えていること、装置の支持構造から伝播する紫外線光を再配向するための反射器システムを備えていること、動作中に室内全体にわたって移動するよう適合されていること、及び/又はシステムが複数の放電ランプ装置を含むこと)は、室内消毒装置に特に適している。このような理由から、
図1~8を参照して説明する装置の多くは、室内消毒装置を対象とする。更に、以下に記載する理由から、
図1~8を参照して説明する装置は、具体的には床をベースとして自立する持ち運び可能な室内消毒装置を対象とする。しかしながら、
図1~8を参照して説明する装置に関して説明する特徴は、室内消毒装置又は床をベースとする、持ち運び可能な若しくは自立する構成に必ずしも限定されない。むしろ、
図1~8を参照して説明する特徴は、いずれのタイプの紫外線放電ランプ装置に適用できる。本明細書で使用する用語「室内消毒」は、ヒトの住居に適した境界を定められた領域を洗浄して、この領域において保菌微生物を不活性化し、破壊し、又は保菌微生物の成長を防止することを意味する。
【0024】
本明細書で説明する室内消毒装置は、床をベースとするもの、壁をベースとするもの及び天井をベースとするものを含む幅広い構成を採り得る。しかしながら、室内消毒装置を室の天井内に又は壁内に若しくは壁に対して配置してよいものの、多くの場合、紫外線室内消毒装置をこのような構造から離して位置付けすると有利である。特に、対象物に対するUV光の強度(したがってUVの消毒効率)に影響する主因子の1つは、対象物との距離であり、したがって多くの場合、紫外線室内消毒装置を室の中心付近、又は汚染が疑われる対象物の近傍に位置付けして、対象物との距離を最小化すると有利である。その上、室内消毒装置をビル(例えば病院等)の複数の室で使用できる環境では、装置を持ち運び可能とすると一般に有益である。これらの理由から、本明細書で説明し図面に示す装置の多くは、自立型、持ち運び可能かつ床をベースとする室内消毒装置を対象とする。
【0025】
一般に、
図1~8を参照して説明する装置は、実質的に一方向又は多方向に光を分配するよう構成してもよい。本明細書で使用している「実質的に一方向に光を分配するよう構成される」とは、放電ランプから放出された光の大部分を単一の方向に伝播させ、副次的な光をこの方向から30°未満の角度に伝播するような装置の構成を指している。これ以外の全ての光の分配は、「多方向に光を分配するように構成される」という言葉で表している。実質的に一方向に光を分配するように構成された室内消毒装置は、壁若しくは天井内に配置されるものであってもよく、及び/又は、装置の境界内にある放電ランプを有し、かつ装置から離れる方向に伝播する光を再配向するための副次的な光学構成部品システムをもたないものであってもよい。対照的に、多方向に光を分配するように構成された室内消毒装置は、放電ランプが支持される構造及び/又は装置から離れる方向に伝播する光を再配向するための副次的な光学構成部品システムを有する構造から外側へ延在する放電ランプを有するものであってもよい。
【0026】
室が一般に、室内の所定の地点から様々な高さ及び距離に位置する(これは消毒する表面の数を増やし、位置を変化させる)、異なるサイズ及び形状の対象物を含むとすると、室内消毒のために用いる紫外線装置を、多くの方向に(すなわち、多方向に)紫外線光を分配するように構成すると有利である場合がある。更に、上述したように、室内の様々な対象物への距離を縮め、装置が放出するUV光の消毒効率を効果的に増大させるために、紫外線室内消毒装置を室の壁から離間して位置付けすると有利である場合がある。このような着想に更に加えて、放電ランプが生成する少なくともある程度の紫外線光が、装置の外側表面を取り囲む領域に伝播するように、及び更に、装置の動作中にこの取り囲み領域へと伝播する紫外線光を全て集めると、この取り囲み領域全体を占めるように、紫外線室内消毒装置を構成すると効果的である場合がある。このような構成は、天井又は壁に配置された紫外線室内消毒装置とは異なっており、図示した装置のうちのいくつかを参照して以下により詳細に説明する。
【0027】
図1に戻ると、水平に位置付けされたランプを有する紫外線放電ランプ装置の例示的な構成が提供される。特に、支持構造24内に配置され、かつ放電ランプ22を支持する装置20の平面に対して平行に縦方向に特に設けられた(すなわち、支持構造24の上側表面に対して平行に設けられた)放電ランプ22を有する装置20を示す。上述のように、また以下により詳細に説明するように、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、放電ランプを「水平位置」に設ける実施形態に限定されない。むしろ、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、放電ランプを支持する支持構造の表面平面に対していずれの角度で設けた放電ランプを含んでいてもよい。更に、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、装置の上側表面に近接して放電ランプを設ける実施形態に限定されない。特に、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、側壁及び底部表面を含む装置のいずれの外側表面に近接して設けた放電ランプを有していてもよい。
【0028】
本明細書では、支持構造の上側表面に近接して設けられた、水平に位置付けられた及び垂直に位置付けられたランプについて特に記載しているが、それは、これらランプが、本明細書で開示する紫外線放電ランプ装置の新規の特徴のうちのいくつかを高めるために使用された構成であるからである。しかしながら、このような開示は、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置内での放電ランプの配置を必然的に限定するものと解釈されるべきではない。更に、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、
図1に示すような支持構造の境界内に放電ランプが配置されている実施形態に限定されない。むしろ、その代わりに紫外線放電ランプ装置は、
図3~7に示す例示的実施形態に関して説明するように、少なくとも部分的に支持構造の外側に配設された放電ランプを有していてもよい。
【0029】
放電ランプ22に加えて、装置20は、支持構造24内に配置された電源回路26及びトリガ回路30、並びに
図1に示すように電源回路及びトリガ回路を放電ランプ22に接続する電気回路構成を含む。一般に、電源回路26、トリガ回路30及び接続用電気回路構成は、放電ランプ22を動作させるよう(すなわち、ランプへ放電を送って、ランプ内で放射プラズマを生成するよう)に構成される。特に、トリガ回路30を使用して、放電ランプ22の点火電極にトリガ電圧を印加し、ここでこの点火電極は、ランプの周りに巻き付けられていてもよく、又はランプのアノード若しくはカソードであってもよく、また電源回路26(例えばキャパシタ)を使用して、ランプのカソードとアノードとの間に電位を印加する。場合によっては、特に放電ランプ装置が閃光電球を含む場合、本明細書ではトリガ回路30をパルス生成器回路と呼んでもよい。トリガ電圧はランプ内部のガスをイオン化し、これによってガスの導電性が上昇して、カソードとアノードとの間にアークを形成できるようになる。
【0030】
上述のように、場合によっては、放電ランプ22は水銀蒸気ランプ等の連続光ランプで
あってもよい。このような実施形態では、トリガ回路30は、一般に1000ボルト未満の信号を生成でき、高電圧を考慮することはできない。(本明細書で使用する用語「高電圧」は、1000ボルト超の電圧を表す。)他の実施形態では、放電ランプ22は閃光電球であってもよい。閃光電球は、より高い電圧、すなわち一般に2000~150000ボルトでの点火を必要とする。キセノン電球のためのトリガ回路の電圧範囲の例は、約20~30kVである。これと比較すると、キセノン電球のための電力貯蔵回路の電圧範囲の例は、約1~約10kVである。いずれにせよ、装置20は、装置内の、
図1に示すような中央演算処理装置(CPU)32、ユーザインタフェース34及び室内占有センサ36を含むがこれらに限定されない他の特徴部分に電力を提供するための、追加の電気回路を含んでいてもよい。
【0031】
不可欠ではないが、装置20の1つ又は複数の動作はコンピュータで操作されていてもよく、したがっていくつかの実施形態では、装置20は適用可能なプログラム命令を実行するためのCPU32を含んでいてもよい。更に、装置20は任意に、装置20の動作及び場合によっては特定の動作モードを起動するための手段をユーザに提供するために、並びに装置から収集したデータにアクセスするための手段をユーザに提供するために、ユーザインタフェース34を含んでいてもよい。場合によっては、ユーザインタフェース34は上記の代わりに、装置20とは別個ではあるものの、装置20と有線又は無線通信するように構成されたデバイスであってもよい。このようにして、装置20を遠隔制御してもよい。室内占有センサ36は任意の安全機構であり、一般には、室内に人が居るかどうかを、移動検知又は光認識等によって決定するように構成されている。装置20において示す他の任意の特徴部分としては、装置の可搬性に影響を与えるようにホイール38及びハンドル39が挙げられるが、装置の設計仕様に応じてこれらを省略してもよい。
【0032】
図1に示すように、装置20は光学フィルタ40、冷却システム44及び反射器システム60を含んでいる。以下により詳細に説明するように、光学フィルタ、冷却システム及び反射器システムの構成並びに放電ランプの配置は、本明細書で説明する紫外線光装置の間で変化し得る。実際、
図2~7を参照して、このような特徴部分のうちの1つ又は複数に関して、
図1を参照して図示及び説明した構成に対する代替実施形態を説明する。このような実施形態はそれぞれ、
図1に関して説明したような支持構造及びこれに付随する構成部品、具体的には支持構造24、電源回路26、トリガ回路30、CPU32、ユーザインタフェース34、室内占有センサ36、ホイール38及びハンドル39を含む。しかしながら、簡略化のため、並びに図示した光学フィルタ及び反射器システムの異なる構成並びに放電ランプの配置を強調するために、
図2~7にはこのような特徴部分を示していない。
【0033】
上述のように、
図1~8を参照して説明する装置は、それぞれ紫外線光を生成するよう構成された放電ランプを含む。いくつかの実施形態では、装置の放電ランプは、更に可視光を含むがこれに限定されない他の範囲の光を生成するように構成してもよい。このような場合のうちのいくつかにおいては、生成した可視光が極めて明るい及び/又は散乱しがちである場合、特に(ただし必ずしもこのような場合に限定されないが)可視光を減衰させることが有利となる。例えばキセノン閃光ランプは、太陽光のスペクトルと同様の広範なスペクトルの光のパルスを生成するが、可視光の強度は太陽光の可視光の強度の最大20000倍にもなる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で説明する装置は、可視光を減衰させるように構成された光学フィルタを含んでいる。場合によっては、本明細書で説明する装置は、可視光スペクトルの大部分、可視光スペクトルの75%超、又は全可視光スペクトルの光を減衰させるように構成された光学フィルタを含んでいる。しかしながら他の実施形態では、光学フィルタを、可視光スペクトルの大部分より少ない部分の光を減衰させるよう構成してもよい。いずれの場合においても、光学フィルタを、可視光スペクトルの所定の部分の光の大部分を減衰させるように構成してもよく、また場合
によっては、可視光スペクトルの所定の部分の光の75%超、又は全てを減衰させるように構成してもよい。
【0034】
図1~8を参照して説明する装置は、紫外線光曝露のために構成されるため、光学フィルタは、可視光を減衰させる上に紫外線光を通過させなければならない。したがって場合によっては、光学フィルタは可視光帯域阻止フィルタである。しかしながら他の実施形態では、光学フィルタは紫外線帯域通過フィルタであってもよい。いずれの場合においても、光学フィルタは、紫外線光スペクトルの所定の部分の光の大部分を通過させるように構成してもよく、いくつかの実施形態では、紫外線光スペクトルの所定の部分の光の75%超又は全てを通過させるように構成してもよい。場合によっては、紫外線光スペクトルの所定の部分は、紫外線光スペクトルの大部分、紫外線光スペクトルの75%超、又は全紫外線光スペクトルであってもよい。しかしながら他の実施形態では、紫外線光スペクトルの所定の部分は、紫外線光スペクトルの大部分より少ない部分であってもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルタは紫外線スペクトルの特定の部分の光を通過させるように特に構成している。例えば、装置を消毒、汚染除去又は滅菌目的に使用する場合、光学フィルタを、殺菌UVスペクトル(すなわち、約200~320nm)の大部分、75%超、又は全体の光を通過させるように構成してもよい。更に又は代替として、光学フィルタは、最適な殺菌性を有するものとして公知である紫外線光スペクトルの大部分(すなわち、約260~265nm)、75%超、又は全体の光を通過させるように構成してもよい。
【0035】
本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置のための光学フィルタとして使用できる例示的な光学フィルタガラス材料は、ニューヨーク州エルムズフォードのSCHOTT North America,Inc.から入手可能なSchott UG5ガラスフィルタである。Schott UG5ガラスフィルタは、可視光スペクトルの大部分を減衰させる一方で、約260~約265nmの紫外線光の約85%を通過させることができる。装置の設計仕様に応じて、同様の特徴又は異なる特徴を有する他の光学フィルタガラス材料を使用してもよい。他の場合においては、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置に関して考えられる光学フィルタは、上述の光学特性のいずれを有するフィルムであってもよい。このような実施形態では、フィルムを水晶等の光学的に透明な材料上に配置してもよい。他の実施形態では、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置に関して考えられる光学フィルタは、光学フィルタガラス材料と、その上に配置されるフィルムとの組み合わせであってよく、光学フィルタガラス材料及びフィルムは、それぞれ可視光を減衰させるように構成されている。
【0036】
本明細書で使用する用語「光学フィルタ材料」は、特定の波長スペクトルをブロックするか又は減衰させることにより、光の分光透過率に影響を与えるように設計された材料を表す。対照的に、本明細書で使用する用語「光学的に透明な」は、特定の波長のスペクトルを実質的にブロックするか又は減衰させることなく光を通過させることができる材料を表す。推奨は、よく知られた光学的に透明な材料である。本明細書で使用する用語「フィルム」は、物質の薄い層を表し、ある表面上に広がる物質の層を表す用語「コーティング」を包含する。本明細書で説明する光学フィルタに関して考えられるフィルムは、固体又は半固体形態であり、したがって固体物質及びゲルを包含する。更に、本明細書で説明する光学フィルタに関して考えられるフィルムは、材料に適用する際には、液体、半固体、又は固体形態であってもよく、適用後、液体及び半固体形態は後に固体又は半固体形態に変換できる。
【0037】
いずれの場合においても、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置内に配置される光学フィルタの効率は、時間が経つとソラリゼーションによって低下するので、光学フィルタを定期的に交換する必要が生じる。ソラリゼーションは、紫外線放射を伝達する光学構
成要素の能力の、UV放射への曝露時間に関係する低下に関わる現象である。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置に関して考えられる光学フィルタは、装置が備えた放電ランプの劣化率のほぼ整数倍であるソラリゼーション率を含んでいてもよい。言い換えると、放電ランプは、光学フィルタのソラリゼーション率の因数にほぼ等しい劣化率を有していてもよい。光学フィルタの特徴付けにおける用語「因数」は、この用語の数学的な定義を表しており、具体的には、別の数を均等に分割することができる、すなわち余り無く分割することができる数を表す。光学フィルタのソラリゼーション率は、放電ランプの劣化率のいずれの整数(1を含む)倍にほぼ等しく、したがっていくつかの実施形態では、光学フィルタのソラリゼーション率は放電ランプの劣化率と同様又は同一であってもよい。
【0038】
一般に、放電ランプは使用回数(すなわち、プラズマを生成するための特定のトリガ回数)が保証されており、これは、その構成部品のうちの1つ又は複数の予測される劣化に応じて決定される。例えばパルス光源は、特定のパルス回数を保証されていることが多い。本明細書で説明する装置に関しては、このような使用回数を用いて、各動作時間中に放出される紫外線光の量と、放電ランプの使用が保証されているトリガ回数とを積算することにより、放電ランプの劣化率を特徴付けることができる。このようにして、光学フィルタのソラリゼーション率と相関している劣化率を計算してもよい。光学フィルタのソラリゼーション率は、装置内の放電ランプの劣化率のほぼ整数倍である場合、有利には構成部品を同時に交換する。したがって装置の休止時間を、構成部品をそれぞれ独立した特長に基づいて交換する実施形態と比べて短縮できる。更に、物品の交換のタイミングを決定するために光を監視する場合、1つの構成部品のみからの光を測定すればよいように、監視プロセスを簡略化してもよい。本明細書で説明する装置に組み込まれる光学フィルタのソラリゼーションに対処する他の特徴部分については、
図1、3を参照して、具体的には放電ランプの動作に関連するパラメータ、光学フィルタの透過率、及び装置内に熱回復システムが含まれているかどうかを監視するように構成されたセンサシステムを参照して、以下により詳細に説明する。
【0039】
光学フィルタの複数の異なる例示的構成及び配置並びに任意の付随的な構成部品について、特に
図1~7を参照して以下に詳細に説明する。より具体的には、放電ランプと整列された状態で光学フィルタを収容するための、装置の複数の異なる構成を以下に説明する。
図1~7を参照して説明する実施形態の光学フィルタは、それぞれ上述のような光学フィルタの特徴を有している。簡潔にするために、これらの特徴を各実施形態について繰り返さない。上述の通り、必ずしもこれに限定するものではないが、光学フィルタは特に室内消毒装置に適していている。これが、室内消毒装置が装置の環境に光を分配するように一般に構成されており、したがって光を閉じ込めるためのハウジングを含まない理由である。光学フィルタを含むことは、本明細書で説明する装置のうちのいくつかにおいては有益で有るが、これは必ずしも必要なものではなく、したがっていくつかの実施形態では省略してもよいことに留意されたい。
【0040】
本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置のために例示する他の明確な特徴は、装置の支持構造から離れる方向に伝播する紫外線光を再配向するよう構成された反射器システムである。一般に、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置に関して考えられる反射器システムを使用して、装置によって紫外線光に曝露される領域のサイズを増大させ、紫外線光が標的対象物若しくは領域へと伝播する距離を減少させ、及び/又は標的対象物若しくは領域上への紫外線光の入射角度を改善することができる。このような目的のうちの1つ又は複数を実現するために構成される反射器システムの複数の異なる例示的な構成及び配置を、以下により詳細に説明し、
図1~7に示す。特に、再位置付け可能な反射器を有する装置について説明する。更に、装置の支持構造から離れる方向に伝播する紫外線光を、装置の外側表面を取り囲むよう再配向するように構成された反射器システムを有する装置
について説明する。上述のように、このような構成は室内消毒装置に特に適用可能である。
【0041】
更に、装置の支持構造から離れる方向に伝播する紫外線光を、装置の外側の、装置を配設する室の床から約2~約4フィートである領域へと再配向するよう構成された反射器システムを有する装置について説明する。一般に、室の床から約2~約4フィートである領域は、使用頻度の高い対象物をこのような領域に一般に配置するため、室の「高接触」領域と考えられる。室の高接触領域に典型的に見られる対象物の例としては、デスクトップコンピュータ、キーボード、電話機、椅子、ドア及びキャビネットのハンドル、電灯スイッチ並びに流し台が挙げられるがこれらに限定されない。更に又は代替として、病室の高接触領域にある対象物の例としては、ベッド、ベッドサイドテーブル、トレーテーブル、及び点滴スタンドが挙げられる。このような領域を高接触領域と考えることにより、このような領域は一般に、菌と接触する蓋然性が最も高い領域と考えられ、いくつかの研究により、高接触領域は最も高い密度の菌を有する領域となり得ることが示されている。このような理由から、少なくともいくつかの紫外線光を、室の床から約2~約4フィートである領域に向けると有利である。本明細書で説明するような反射器システムは、このような目的を達成するために使用するために装置に含んでいる。
【0042】
必ずしもこのように限定する必要はないが、本明細書で説明する反射器システムは、室内消毒装置に特に適している。これは、室内消毒装置は、一般に装置の環境内に光を分配するよう構成され、よって、光を閉じ込めて反射するためのハウジングを含まないためである。上述の理由から、本明細書で説明し図面に示す紫外線放電ランプ装置のうちの多くは、床をベースとする室内消毒装置を対象とし、ここで放電ランプは、装置の支持構造の上側表面上に光を伝播するように配設される。しかしながら上述のように、このように強調した開示内容は、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置の構成を不必要に限定するものと解釈されるべきではない。例えば、装置の支持構造の側壁表面に隣接するように光を伝播するように放電ランプを配設する実施形態では、装置の反射器システムは、紫外線光を集中領域へと下方向又は上方向に反射するように、側壁表面の最上部分に連結された反射器及び/又は側壁表面の最下部分に連結された反射器を含んでいる。装置の支持構造の下側表面の下に光を伝播するように放電ランプを設けるその他の場合においては、装置の反射器システムは、放電ランプの下側に反射器を含んでいる。特に、装置によって紫外線光に曝露される領域のサイズを増大させ、紫外線光が標的対象物若しくは領域へと伝播する距離を減少させ、及び/又は標的対象物若しくは領域上への紫外線光の入射角度を改善するために、複数の他の配置も同様に適切である。
【0043】
いずれの場合においても、以下により詳細に説明するように、本明細書で説目する装置に関して考えられる反射器システムは、1つ又は複数の反射器を含んでおり、この反射器はいずれのサイズ又は形状であってもよく、光の所望の再配向を達成するために装置内のいずれの位置に設けてもよい。更に、1つ又は複数の反射器の材料は、所望の光の再配向に適切であると判明しているいずれの材料であってもよい。本明細書で説明する装置の構成の多くに適切であると判明している例示的な反射器材料は、ALANOD Aluminium-Veredlung GmbH&Co.KGから入手可能な4300UP Miro-UVである。本明細書で説明する装置の構成の多くに適切であると判明している他の例示的な反射器材料は、W.L.Gore&Associates,Inc.から入手可能なGORE(登録商標)DRP(登録商標)Diffuse Reflector
Materialである。反射システムの設計仕様に応じて、他の反射器材料を追加又は代替として使用してもよい。いずれの場合においても、
図1~7を参照して説明する反射システムの実施形態のそれぞれは、上述の反射システムの特徴を有している。簡潔にするために、これらの特徴を各実施形態について繰り返さない。本明細書で説明する装置に光学フィルタを含めるのと同様、いくつかの装置に反射器システムを含めることは有益で
あるものの、これは必ずしも必要なものではなく、したがっていくつかの実施形態では省略してもよい。更に、光学フィルタ及び反射器システムの特徴は、装置に対して互いに排他的又は包括的ではなく、したがって装置はこれらの特徴の一方又は両方を含んでいてもよい。
【0044】
図1に戻ると、装置20は、放電ランプ22から放出される可視光を減衰させるように構成された光学フィルタ40を含む。
図1の、放電ランプ22から放出される可視光を減衰させるための光学フィルタ40の構成は、具体的には、可視光を減衰させるためのフィルタの光学特性、及び放電ランプ22の上側において放電ランプ22と整列させた光学フィルタの配置を伴う。
図1に示すように、光学フィルタ40を、カップ状のハウジング42の側壁の間であって、支持構造24の上側表面と同一平面上をなすように設け、これにより光学フィルタ40は、放電ランプ22を封止するハウジングの一部を構成する。以下により詳細に説明するように、本明細書で説明する装置は、放電ランプの温度を統御するための冷却システムを含み、包囲体内にランプを格納することは、所望の温度を達成するための効率のよい方法を提供する。光学フィルタ40を放電電球22のハウジングの一部として使用することによって、装置20への光学フィルタの組み込みを簡略化でき、したがって設計面である程度有益となる。しかしながら、いくつかの実施形態では、放電ランプ22のハウジングと分離させて光学フィルタ40を設けると有益である。例えば場合によっては、装置の所望の動作に応じて、放電ランプと整列させて及び整列させずに光学フィルタを配置できると有利となる。このような構成については以下で詳細に説明し、このような構成を内包する装置20の例示的な変形例を
図2a~2cに示す。
【0045】
本明細書で説明する装置に関して考えられる冷却システムは様々であってよく、一般には装置の設計仕様に左右される。使用できる例示的な冷却システムは、強制通風システム及び液体冷却システムを含むがこれらに限定されない。
図1に示す冷却システム44は、空気流入口46、空気吸入ダクト48、ファン50、温度センサ52、空気ダクト54及び空気流出口56を含む強制通風システムである。場合によっては、空気流入口46、空気吸入ダクト48、空気ダクト54及び空気流出口56のうちの1つ又は複数は空気フィルタを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、空気ダクト54及び/又は空気流出口56は、追加又は代替としてオゾンフィルタを含んでいてもよい。しかしながら、他の場合においては、装置からオゾンフィルタを省略してもよい。オゾンは一般に、特にランプが約240nmより短い波長の紫外線光を生成する場合に、放電ランプ22の使用による副産物として生成され、これはUV光のこのようなスペクトルが、酸素分子の酸素原子の結合の分離を引き起こし、オゾン生成プロセスを開始させるためである。オゾンは健康及び空気の品質にとって害があることで知られており、したがって、デバイスによるオゾンの放出は、環境保護庁(EPA)によって規制されている。オゾンが効果的な殺菌剤であることもまた公知であり、したがって、放電ランプが生成するオゾンの量がEPAによるオゾン曝露制限よりも低い場合、このような放電ランプを含む装置からオゾンフィルタを取り除くと有益である。
【0046】
いずれの場合においても、装置20及び本明細書で説明する他の装置に関して、冷却システム44のため流出口ダクトの様々な構成が考えられる。例えばいくつかの構成では、冷却システムを、支持構造24の側壁の下部又は支持構造24の底部表面上に空気流出口を有するように構成してもよい。このような代替構成による利点としては、特に空気流出口を支持構造24の底部表面に位置付けした場合の、オゾンフィルタの性能の向上及び環境への悪影響の低減が挙げられる。いずれの場合においても、本明細書で説明する装置は、支持構造24内の残りの構成部品のための冷却システムを含んでいてもよい。場合によっては、支持構造冷却システムは、放電ランプ22用の冷却システム44と一体であってもよい。しかしながら他の実施形態では、2つの冷却システムは別個のものであってもよい。1つ又は複数の冷却システムを含めることは、本明細書で説明する装置のうちのいく
つかにおいて有益であるものの、これは必ずしも必要なものではなく、したがっていくつかの実施形態では省略してもよい。
【0047】
上述のように、装置20は反射器システム60を含んでいてもよい。一般に、反射器システム60は、支持構造24から離れる方向に伝播する紫外線光を再配向するように構成される。このような目的を達成するための反射器システム60の構成は、反射器62の配置、形状、サイズ及び角度に関係する。特に、支持構造24の上側表面の上側に光を伝播するように装置20内に放電ランプ22を設け、伝播した紫外線光を再配向するために、反射器62を放電ランプ22の上側に設ける。一般に、紫外線光の再配向は、紫外線光が装置と隣接する対象物(対象物の下側表面並びに対象物の上面及び側壁表面を含む)まで移動する距離を縮める。特に、反射器62を介した紫外線光の再配向は、装置の上側の表面(例えば装置が配設される室の天井)へ移動して装置に隣接する対象物へと戻るように反射するのを防ぐ。このように、装置の上側の表面への移動を防ぐことによっても、(装置を配設する室の床からの反射を介して等によって)対象物の下側に入射するために紫外線光が移動しなければならない距離を短縮できる。したがって、反射器システム60は、
図1の反射器62に示すように、支持構造24の上側に、装置を構成する空間の天井から離間して配置される反射器を含んでいてもよい。しかしながら場合によっては、反射器システム60は、装置を設ける室の天井内又は天井上に反射器を配置してもよい。
【0048】
場合によっては、反射器システム60は、紫外線光を対象物表面へと配向する入射角度を最適化するよう構成する。例えば反射器62は、特定のサイズ及び/若しくは形状で設計してもよく、並びに/又は対象物上への最適な入射角度を得られるように再位置付け可能としてもよい。反射器62が再位置付け可能である例示的構成について、以下でより詳細に説明する。いずれの場合においても、いくつかの実施形態では、反射器システム60は1つ又は複数の追加の反射器を(すなわち、反射器62に加えて)設けることができる。例えば場合によっては、反射器システム60は支持構造24の側壁に連結された反射器を含んでいてもよく、これは反射器62から受信した紫外線光を再配向するよう構成される。このような追加の反射器を含めることは、室内の対象物の下側に紫外線光を配向するために有益である。追加の反射器は、同様に又は代替として使用してもよく、また一般に、反射器62と関連する反射器システム60に関して上述したような目的のうちのいずれの1つを達成するように設計(すなわち、サイズ、形状及び配置に関して)される。
【0049】
いくつかの実施形態では、反射器システム60を、支持構造24から離れる方向に伝播する紫外線光を、装置20を配設した室の床から約2~約4フィートである領域へと再配向するよう構成すればよい。特に上述のように、このような領域は高接触領域であるため、紫外線光をこのような領域に再配向すると有利である。場合によっては、追加又は代替として、反射器システム60を、支持構造24から離れる方向に伝播する紫外線光を、装置の外側表面を包囲する領域へと再配向するように構成してもよい。例えば反射器62は、支持構造24を包囲する領域へと紫外線光を再配向するような形状及びサイズのものであってもよい。代替として、反射器62は、反射器システム60を包囲する領域へと紫外線光を再配向するような形状及びサイズのものであってもよい。いずれの場合においても、このような再配向を達成するためには、円錐形の反射器62が特に適切である。
【0050】
本明細書で使用する用語「包囲する」とは、対象物の周りでの連続的な円の形成を表す。この用語は、対象物全体又は対象物の大部分を取り囲む実施形態に限定されない。よって、「紫外線光が装置の外側表面を包囲するように本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置を構成してもよい」という表現は、装置の外側部分の少なくともある程度の部分の周りに紫外線光の連続的なリングを形成することを表す。更に、「装置の動作中に装置を包囲する領域へと伝播する紫外線光を全て集めると、包囲領域全体を占めるように、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置を構成してもよい」という表現は、装置の動作中のあ
る程度の時間に、装置の周りの連続的なリング領域の各部分が紫外線光に曝露されることを表す。
【0051】
反射システム60の構成に関わらず、又は装置20が反射システム60をも含むかどうかに関わらず、いくつかの実施形態では、装置20は、支持構造24内に設けられ、放電ランプ22から放出された光を、支持構造から離れる方向への光の伝播方向に再配向するよう構成された他の反射システムを含んでいてもよい。特に、装置20は、放電ランプ22の側部表面及び底部表面から放出される光を、放電ランプ22の上部表面から放出される光と同じ方向に再配向するよう構成された反射システムを含んでいてもよい。このような反射システムがある実施例は、反射材料を有するカップ状のハウジング42の床及び/又は側壁を伴ってもよい。しかしながら本明細書で説明する装置に関して、他の構成の反射システムも考えられる。
【0052】
図1に示すように、反射器システム60は、反射器62を懸架するための支持ビーム64、66を備えている。このようなカンチレバー式支持構造は単なる一例であり、反射器62に関して様々な他の支持構造が考えられる。放電ランプ22の上側に反射器62を懸架するための構造に関わらず、場合によっては反射器システム60は、反射器システム60へと伝播するある程度の光を反射器システム60の上側へ通過させることができるような貫通孔を設けていてもよい。貫通孔68を含む支持ビーム66を有する実施形態の例を
図1に示す。追加又は代替として、反射器62がこのような目的の貫通孔を備えていてもよい。他の実施形態では、反射器システム60はこのような貫通孔を全くもたなくてもよい。上記に関わらず、反射器システム60のサイズ及びより具体的には反射器62のサイズは、装置によって変化させてもよい。場合によっては、反射器62の面積的寸法は、放電ランプ22を内包するハウジングの面積的寸法と同一であるか又はこれより大きくてもよい。このようにして、支持構造24から伝播する光のほぼ全てが反射器62へと配向されることになる。しかしながら他の実施形態では、反射器62の面積的寸法は、放電ランプ22を内包するハウジングの面積的寸法より小さくてもよい。このような場合、支持構造24から伝播する光のうちのいくらかは、反射器62を超えて配向される。
【0053】
場合によっては、反射器システム60を、そのサイズ及び構成に関わらず、
図1に白抜きの両矢印で示すように水平及び/又は垂直方向に反射器62を移動させるように構成してもよい。このようにして、反射器62を再位置付け可能な反射器とすることができる。いくつかの実施形態では、反射器62は装置20の複数の動作の間で移動してもよく、したがって、場合によっては反射器システム60は、再配置可能な反射器を装置20内の異なる位置に固定するための手段を含んでいる。他の実施形態では、反射器システム60は、装置20の動作中に反射器62を移動させるための手段を含んでいてもよい。反射器62の移動は、装置20の動作中において連続的であっても又は周期的であってもよく、したがって反射器62は、場合によっては放電ランプ22が光を放出している間に移動できる。装置20が動作中であるという表現は、放電ランプ22を動作させる(具体的には放電ランプ内で放射プラズマを生成するための動作を行う)ために、装置の構成部品が起動されている期間を表す。上述のように、いくつかの実施形態では、放電ランプ22は、ひとたびランプがトリガされると連続的な光を生成するよう構成されており、したがって、このような場合には、装置20が動作中であるという表現は、ランプをトリガするために使用される時間、及び連続的な光を放出する時間を表す。他の実施形態では、閃光ランプ又はパルス光源が放電ランプ22のために使用されており、装置20が動作中であるという表現は、ランプから光が放出されている時間及び閃光の間の時間を表す。
【0054】
いずれの場合においても、いくつかの実施形態では、反射器62を移動させるため、及び反射器62を装置20内の異なる位置に固定するための手段は、ビーム64及び/若しくはビーム66用の1つ又は複数のリニアアクチュエータ、並びに1つ又は複数のリニア
アクチュエータの移動及びそのタイミングに影響を及ぼすためにCPU32が処理するプログラム命令を備えている。いくつかの実施形態では、装置20を、反射器62が手動で移動可能であるように構成している。このような場合、装置20内の異なる位置に反射器62を固定するための例示的な手段は、支持ビーム64及び/若しくは支持ビーム66に沿ったノッチ並びにこれを受承する反射器62上の突出部、又はこの逆の構造を備えている。反射器62を移動させる及び/又は反射器62を装置20内の異なる位置に固定するための他の様々な手段も同様に考えられる。したがって、装置は上述の実施例に限定されない。いずれの場合においても、放電ランプ22に対する反射器62の移動に影響を与えるために及び/又は装置20の保管の容易さ若しくは可搬性のために、反射器62は場合によっては装置20から取り外し可能であってもよい。
【0055】
場合によっては、反射器62の移動は装置20を配設する室の特徴に基づいている。より一般には、いくつかの実施形態では、室の特徴にアクセスして及び/又はこれを分析して、このような情報を用いて、反射器62の配置及び/又は反射器62の移動特性を含むがこれらに限定されない、装置20のための多数の動作パラメータを決定すると有利である。例えば、室内の比較的多数の対象物が同一の一般領域にある場合、室の他の領域に比べてこの領域に多くの光を配向するように反射器62を位置付けすると有益である。室の特徴に基づいて消毒剤源の動作パラメータを決定する他の実施例について、
図2a~2cを参照して(室の特徴に基づいて光学フィルタ40の位置を決定する)、
図7を参照して(室の特徴に基づいて光学フィルタ/反射器アセンブリの位置を決定する)、及び
図9、10を参照して説明する。
【0056】
一般に、本明細書で使用する句「室の特徴」は、室の物理的特質及び非物理的特質を表す。室の非物理的特質は、室を参照するために使用される識別子(例えば、室番号及び/又は室名)並びに室に関する占有情報(例えば、室を占有していた患者の感染情報又は患者が室を占有するスケジュール)を含むが、必ずしもこれらに限定されない。室の物理的特質は、室のサイズ及び/若しくは寸法、並びに/又は室内の表面、対象物及び/若しくは物品の数、サイズ、距離、位置、反射率及び/若しくは識別を含むが、必ずしもこれらに限定されない。場合によっては、室の物理的特質は、室内の1つ又は複数の病理学的有機体の識別であってもよく、及び更には、室内、特に室の特定の領域内又は室の特定の表面上の1つ又は複数のこのような有機体の数又は密度である場合もある。本明細書で使用する「消毒剤源の動作パラメータ」とは、消毒剤源の動作に影響を与えるいずれのパラメータをも表し、これは、消毒剤源の実行時間、消毒剤源の位置、消毒剤源を備えた構成部品の配向、及び/又は消毒剤源に供給される電力を含むがこれらに限定されない。本明細書で使用する用語「消毒剤源」とは、殺菌剤を生成及び分配するために使用される1つ又は複数の構成部品の集合体を表し、場合によっては殺菌剤の生成又は分配を実行するために使用されるいずれの追加の構成部品を包括する。例えば、
図1の放電ランプ22、電源回路26、トリガ回路30、光学フィルタ40及び反射器システム60を総合して、消毒剤源と呼んでもよい。代替として、装置20全体を消毒剤源と呼んでもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、装置20は、装置20を配設する室の特徴を列挙したデータベースを含むか、又はこのようなデータベースにアクセスするよう構成してもよい。更に又は代替として、装置20は、装置を配設する室の特徴に関するデータを収集及び/又は生成するためのシステム70を含んでいてもよい。このような場合、生成されるデータに応じて、室の特徴を収集、生成及び/又は分析するための、当該技術分野で公知のいずれのシステムを用いてもよい。例としては、空間センサ、光認識システム及び/又は線量計が挙げられる。
図1に示すように、いくつかの実施形態では、システム70は操作上CPU32と連結していてもよい。代替として、CPU32は、データベースからの室の特徴のデータにアクセスするように構成される。いずれの場合においても、CPU32は、装置20を配設する室の特徴に関するデータを取得し、及びこのようなデータにアクセスし
、このデータに基づいて、反射器62の位置等、装置20の動作パラメータを決定するよう構成してもよい。いくつかの実施形態では、決定された動作パラメータをユーザインタフェース34を介して中継してもよく、これにより装置20のユーザに、反射器62を特定の位置に移動させる等、装置20の動作パラメータを発動させることを知らせてもよい。他の場合では、CPU32は、決定された動作パラメータと関連するコマンドを、自動的に反射器62を移動させる等、動作パラメータを自動的に発動させるための装置20内の手段に送信するよう構成してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム70を用いて、装置20を配設する室内の対象物又は地点において受け取られる紫外線光の用量を測定してもよい。特に、室内の対象物又は地点において受け止められる紫外線光の用量を測定することは、反射器62の位置を最適化する等、装置20の動作パラメータの決定を助けることができる。上述のように、対象物上のUV光強度に影響を与える主因子の1つは、対象物への距離である。他の主因子は、光の入射角度である。以上に鑑みて、室内の対象物又は地点において受け止められる紫外線光の用量を測定でき、このような測定を用いて、装置20の動作パラメータを決定できる(例えば、対象物又は地点への入射角度を最適化する等のために反射器62を移動させる)。CPU32へのシステム70の動作可能な連結を通して、CPU32は、システム70から測定結果を取得し、この測定結果に基づいて反射器62の位置等の装置20の動作パラメータを決定し、決定された動作パラメータをユーザインタフェース34に中継する及び/又は決定された動作パラメータに関連するコマンドを、動作パラメータを自動的に発動させる(反射器62を移動させる等)ための装置20内の手段に送信するよう構成してもよい。一般に、紫外線光用量を測定するための当該技術分野で公知のいずれのシステムを、システム70として使用してもよい。例としては、紫外線線量計及び放射計が挙げられる。
【0059】
上述のように、放電ランプ及び光学フィルタの効率は、時間が経つとソラリゼーションによって低下する。更に、放電ランプは、一般に相当な回数使用するとその構成部品が疲労するため、限定された寿命を有する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で考える紫外線放電ランプ装置は、放電ランプの動作に関連する1つ又は複数のパラメータ、及び場合によっては光学フィルタの透過率に関する1つ又は複数のパラメータを監視するよう構成されたセンサシステムを含んでいる。特に、このようなセンサシステムは、放電ランプ及び場合によっては光学フィルタを交換する時期を決定するため、並びに装置が放出するUV光の効率を(これがUV強度及び用量に関係するため)監視するために有益である。一般に、光学フィルタの透過率に関連する1つ又は複数のパラメータは、紫外線容量又は紫外線強度であってもよい。放電ランプの動作に関して同じパラメータを監視してもよいが、放電ランプは一般に特定のパルス回数を保証されているため、追加又は代替としてパルス回数を監視してもよい。いずれの場合においても、センサシステムを用いて放電ランプの動作及び光学フィルタの透過率の両方に関連する1つ又は複数のパラメータを監視する場合、センサシステムは、2つの構成部品に関して同じパラメータ又は異なるパラメータを監視するよう構成してもよい。いくつかの実施形態では、センサシステムは、放電ランプ及び光学フィルタに関連する1つ又は複数のパラメータを測定するよう構成された単一のセンサを含んでいる。しかしながら他の実施形態では、センサシステムは、放電ランプ及び光学フィルタの各パラメータを測定するための別個のセンサを含んでいてもよい。
【0060】
図1の装置20のための例示的なセンサシステムは、反射器システム60の下側に配設されたセンサ72、及び放電ランプ22を備えたハウジング内に設けたセンサ74を含む。一般に、センサ74を用いて、放電ランプ22の動作に関連するパラメータを監視してもよく、より具体的には、光学フィルタ40を通過する前の、放電ランプ22が放出する光を監視している。
図1は、カップ状のハウジング42の側壁表面上に配置されたセンサ
74を示すが、センサ74は放電ランプ22のハウジング内のいずれの位置に設けてもよい。他の実施形態では、センサ74は装置20から省略してもよい。特に、いくつかの実施形態では、センサ72は、放電ランプ22の動作に関連するパラメータを(パルス回数等によって)監視するよう構成しており、したがってセンサ74は不要である。いずれの場合においても、センサ72を用いて、光学フィルタ40の透過率に関連するパラメータを監視していてもく、したがってセンサ72は、光学フィルタ40を通過した光を受け止めるように、装置20上又は装置20近傍のいずれの場所に設けてよい。
図1は反射器システム60の下側に設けたセンサ72を示すが、このような配置は一例示である。
【0061】
上術したように、場合によっては、装置の所望の動作に応じて、放電ランプと整列させて及び整列させずに光学フィルタを配置できると有利となる。例示的な実施形態は、装置が様々な室内で使用される実施形態を含み、窓を有する場合と有さない場合がとある。上述のように、窓を有する室内で放電ランプと整列された光学フィルタを有すると有利である。しかしながら対照的に、光学フィルタの不必要な劣化を防ぐために、窓をもたない閉鎖された室内で放電ランプと整列させずに光学フィルタを配設できると有益である。より具体的には、放電ランプが閉鎖された室内で生成する可視光は見えないため、この光をフィルタリングする必要はなくなる。更に上述のように、紫外線放射を伝達する光学フィルタの能力は、ソラリゼーションによって、UV放射への曝露時間と関連して低下する。したがって、放電ランプと整列させずに光学フィルタを配設できることにより、所定の装置のための光学フィルタの寿命を延ばす方法を提供できる。
【0062】
放電ランプ22と整列させて及び整列させずに光学フィルタを配置できるよう構成された装置20の例示的変形形態を、
図2a~2cに示す。特に、
図2a~2cは、放電ランプ22のハウジングの一部として、
図1に示す配置に対する光学フィルタ40の配置の変形例を示す。
図2a~2cは放電ランプと整列させて及び整列させずに光学フィルタを内包するための構成の単なる例を挙げているに過ぎず、このような例示的な開示及び図示は、本明細書で説明する装置の構成をこのような対象物に関して限定するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。更に、
図2a~2cは、
図1に示す装置20の変形例として記載されたものであるが、
図2a~2cは図を簡略化するために装置の一部のみを示していることに留意されたい。特に、
図2a~2cは、支持構造24内の放電ランプ22を収納したハウジングに対する光学フィルタ40の配置のみを示している。
図1を参照して説明したものと同一の構成を有する
図2a~2cに示す特徴には同一の参照番号(すなわち、放電ランプ22、支持構造24、光学フィルタ40及びカップ状のハウジング42)が付されており、簡略化のために、このような特徴に関する説明は繰り返さないことに留意されたい。
図2a~2cに示す実施形態は、放電ランプ22を収納したハウジングの一部としての光学フィルタ40をもたさないため、
図2a~2cそれぞれは
図1に対して新規の特徴、具体的にはハウジングの蓋部82を含む。一般にハウジングの蓋部82は、水晶を含むがこれに限定されない光学的に透明な材料製である。
【0063】
図2aに示すように、装置20の変形例80は、ハウジングの蓋部82の上に光学フィルタ40を設けたものである。このような構成では、いくつかの実施形態では、光学フィルタ40は支持構造24の上(すなわち、ハウジングの蓋部82を含む支持構造24の部分)に、光学フィルタ40を支持構造に固定する手段を用いずにただ配置してもよい。代替として、変形例80は光学フィルタ40を支持構造24に固定するための手段を含んでいてもよい。いずれの場合においても、筐体蓋部82上への光学フィルタ40の配置は手動であってもよく、又は自動化されていてもよい。
図2bは、
図2aの変形例80に対して若干修正を加えた装置20の変形例84を示す。特に
図2bは、光学フィルタ40の片側に設けたヒンジ86を含む構成を示す。このようにして、光学フィルタ40をハウジングの蓋部82上に設けてもよく、装置から分離させることなくこの位置から取り外すことができる。ヒンジ86は、
図2bに示す光学フィルタ40の位置に対して90~180°
の間のいずれの角度でも光学フィルタ40を枢動させるように構成してもよい。したがって光学フィルタ40は、直立位置と、放電ランプの上側から移動させる場合の、放電ランプ22と反対側の支持構造24上の位置との間のいずれの位置をも採ることができる。このような実施形態における光学フィルタ40の移動は手動であってもよく、又は自動化されていてもよい。装置20の異なる変形例を
図2cに示す。これは、水平な両矢印で表すように、光学フィルタを支持構造24の上側表面に沿って、放電ランプ22と整列する及び整列しないように移動させるための図示していないスライダ上に設けた、光学フィルタ40を有する。スライダ上の光学フィルタ40の移動は手動であっても自動化されていてもよい。
【0064】
放電ランプ22と整列させて及び整列させずに光学フィルタ40を配置できるという装置20の構成に関わらず、装置20は、光学フィルタ40が放電ランプ22と整列されていない時に紫外線光に対する曝露から保護されるよう構成している。例えばいくつかの実施形態では、装置20は、光学フィルタ40を装置から取り外す及び/又は装置内で再位置付けする際に光学フィルタ40を配置できる区画を含んでいる。更に又は代替として、装置20は、光学フィルタ40を放電ランプ22と整列しない位置とした時に光学フィルタ40を覆う区画を含んでいてもよい。いずれの場合においても、上述のように、
図2a~2cに開示した各実施形態は自動化されていてもよく、したがって、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、放電ランプと整列させて及び整列させずに光学フィルタを内包するように構成してよいだけではなく、いくつかの実施形態では、装置は、放電ランプと整列した及び整列していない位置に光学フィルタを自動的に移動させるための手段を含んでいる。このような手段は、対象物を移動させるための当該技術分野で公知のいずれの1つ又は複数の手段を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルタを移動させるかどうかの決定及び/又は光学フィルタを移動させるタイミングの決定は、装置20のユーザが行う。しかしながら他の場合では、光学フィルタを移動させるかどうかの決定及び/又は光学フィルタを移動させるタイミングの決定は自動化されていてよいものとするために、装置20はCPU32が実行可能なプログラム命令を含んでいる。
【0065】
上述のように、いくつかの実施形態では、室の特徴にアクセスする及び/又は室の特徴を分析し、この情報を用いて装置20の多数の動作パラメータを決定すると有利である。特に、装置20を配設する室に窓があるかどうかを決定し、このデータに基づいて光学フィルタ40の位置を決定すると有利である。このようにして、装置20を配設する室内に窓が検知される実施形態では、放電ランプを動作させて光を生成する前に、光学フィルタ40を放電ランプ22と整列させて配設してもよい。反対に、装置20を配設する室内に窓が検知されない実施形態では、放電ランプを動作させて光を生成する前に、光学フィルタ40を放電ランプ22と整列させずに配設してもよい。光学フィルタ40の移動に影響を与える任意の構成を、反射器62の移動に影響を与えるための上述の構成要素に追加するか又はその代替としてよいことに留意されたい。上述のように、装置20は1つ又は複数の室の特性を列挙したデータベースを含むか若しくはこのようなデータベースにアクセスできるよう構成され、並びに/又は室の特性に関するデータを収集及び/若しくは生成するためのシステム70を含んでいる。一般に、反射センサを含むがこれに限定されない。室内に窓があるかどうかを決定するための当該技術分野で公知のいずれのシステムを、この場合のシステム70として使用してもよい。更に上述のように、装置20のCPU32は、データを取得し及び/又はデータにアクセスして、このデータに基づいて光学フィルタ40の位置を決定し、決定された位置をユーザインタフェース34に中継する及び/又は決定された位置に関するコマンドを、光学フィルタ40を自動的に移動させるための装置20内の手段に送信するよう構成してもよい。
【0066】
図2cは、光学フィルタ40のための図示していないスライダを一体として設け、具体的には支持構造24に隣接する熱回復チャンバ90を有する、装置20の任意の特徴を示
す。上述のように、紫外線放射を伝達する光学フィルタの能力は、ソラリゼーションによって、UV放射への曝露時間と関連して低下する。しかしながら場合によっては、光学フィルタを500℃程度等の高温に加熱すると、ソラリゼーション効果は逆転する。このようなプロセスは装置20と無関係に実施してよいが、いくつかの実施形態では、装置の休止時間を短縮するために及び/又は光学フィルタ40を回復させる間に交換用光学フィルタを用意する必要がないようにするために、このプロセスを装置20に組込むと有利である。ソラリゼーションの効果を逆転させるために必要な高温のために、熱回復チャンバ90は支持構造24から分離したチャンバであることが好ましい。更に、支持構造24内の構成部品の熱による劣化/損傷を防ぐために、熱回復チャンバ90を、その中で生成される熱に耐えられるだけではなく、実質的にその熱を閉じ込めるように構成すると有利である。
【0067】
図2cの下方向を指向する矢印によって示すように、いくつかの実施形態では、装置20は光学フィルタ40を熱回復チャンバ90内へと移動させるよう構成してもよい。他の実施形態では、これを手動で行ってもよい。いずれの場合においても、いくつかの実施形態では、熱回復チャンバ90内への光学フィルタ40の移動は、光学フィルタ40の透過率に関して行われる測定に依存している。特に、光学フィルタ40の透過率に関してセンサ72から収集される情報を用いて、光学フィルタを熱回復チャンバ90内へと移動させるタイミングを決定する。熱回復チャンバを含めることはいくつかの装置においては有益であるが、これは必要な要件ではなく、したがっていくつかの実施形態では省略してもよい。更に、
図2cに示すように、熱回復チャンバ90及び光学フィルタ40がスライダ上にあるという特徴は、装置に対して互いに排他的又は包括的ではなく、したがって装置はこれらの特徴の一方又は両方を含んでいてもよい。実際、本明細書で説明する光学フィルタを含むいずれかの装置は、
図1、2a、2bを参照して上述した装置及び
図3~7を参照して以下に説明するものを含む熱回復チャンバを含んでいる。
【0068】
上述したように、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、
図1に示すような支持構造の境界内に放電ランプが配置されている(すなわち、入っている)実施形態に限定されない。むしろその代わりに紫外線放電ランプ装置は、少なくとも部分的に支持構造24の外側に配設された放電ランプを有していてもよい。放電ランプ22が少なくとも部分的に支持構造の外側に配設される装置20の変形例の例示的な実施形態を
図3に示す。
図3に示すように、変形例92は、装置20に関して
図1に示したものとは異なる光学フィルタ構成を備えている。具体的には光学フィルタ40の代わりに他の光学フィルタ94を備えている。放電ランプ22の上側に伝播する可視光を減衰させるように構成するのに加えて、光学フィルタ94は、放電ランプ22が支持構造24の上側に設けられることを考慮して、放電ランプから横方向に伝播する可視光を減衰させるよう構成されている。放電ランプ22のこのような転換により、いくつかの実施形態では、
図3に示すようにカップ状のハウジング42を支持構造24から省略してもよい。この例では、光学フィルタ94内が本発明のハウジングに相当する。このような場合、
図3に示すように、いくつかの実施形態では、放電ランプ22の底部から放出される光を上向きに再配向するために、変形例92は放電ランプ22の下側に配置された反射平面96を含んでいる。
【0069】
更に上述のように、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、放電ランプを「水平位置」に配設する実施形態に限定されない。むしろ、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は、放電ランプを支持する表面平面に対していずれの角度で設けた放電ランプを含んでいる。「垂直位置」に配設された(すなわち、ランプを支持する装置の平面に対して縦方向に垂直に設けた)放電ランプを有する紫外線放電ランプ装置の例を、
図4~7に示す。
図1に示すように、このような実施形態はそれぞれ、支持構造、電源回路、トリガ回路並びに付随する任意の構成部品(例えばCPU、ユーザインタフェース、センサ、室特徴システム、ヒンジ、スライダ及び/又は熱回復チャンバ)を含む。しかしながら、簡略
化のため並びに図示した光学フィルタ及び反射器システムの異なる構成を強調するために、
図4~7それぞれにおいてこれらの各特徴部分は図示されていない。更に、簡略化のために、これらの各特徴部分については
図4~7を参照して説明していない。
【0070】
図4を参照すると、支持構造102上に支持され、支持構造102の平面に対して縦方向に垂直に設けた放電ランプアセンブリを有する装置100が示されている。放電ランプアセンブリは、光学フィルタ106に取り囲まれかつファン108とオゾンフィルタ119との間に垂直に配置された放電ランプ104を含む。更に、放電ランプアセンブリは、ベース114において支持されたベース110及び空気フィルタ112を含む
。いくつかの実施形態では、光学フィルタ106は放電ランプ104を封止するハウジングの壁を構成し、ファン108と共に、装置100のための強制空冷システムを構成する。更に装置100は、光学フィルタ106の頂部においてオゾンフィルタ119に固定された反射器118を含む。反射器118、放電ランプ104及び装置100の冷却システムの特徴、並びに光学フィルタ106の光学特性は、一般に、本明細書で考えられる全ての紫外線放電ランプ装置に関して上述したものを含んでおり、簡略化のために、これらについては繰り返して説明しない。上述の実施形態と同様に、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置の他の構成のために、装置100が含む構成部品のうち複数、特に光学フィルタ106、反射器118、オゾンフィルタ119及び装置100の冷却システムを交換及び/又は省略してもよい。したがって、
図4に示す構成部品の完成品及び構成は必ずしも互いに包括的ではない。
【0071】
更に、装置100は追加の構成部品(すなわち、
図4に示したもの以外の構成部品)を備えていてもよいことに留意されたい。例えばいくつかの実施形態では、装置100は、放電ランプ104と光学フィルタ106との間にこれらから離間して設けられた光学的に透明な中間バリアを含んでいてもよい。中間バリアの例示的な材料は水晶であってもよいが、その組成はこれに限定されない。中間バリアは放電ランプ104を封止するハウジングの壁であってもよく、したがって、ファン108とオゾンフィルタ119との間に垂直に配置されており、装置100の冷却システムの一部であってもよい。このような場合、光学フィルタ106は、中間バリアから離間した別個のガラス部品として中間バリアを取り囲み、ベース110、ファン108及び/又は反射器118に固定される。放電ランプ104と光学フィルタ106との間に中間バリアを組み込むことは、放電ランプ104と整列させて及び整列させずに光学フィルタ106を設けることができるようにすることが望ましい場合、又は装置の動作中に光学フィルタ106を放電ランプ104と独立して移動させることが望ましい場合に有利である。特に、中間バリアは放電ランプ104のハウジングの一部としての役割を果たすことができ、これによって、放電ランプ104のための冷却システムを犠牲にすることなく光学フィルタ106の移動が可能となる。
【0072】
以下により詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、本明細書で説明する装置の光学フィルタを装置の動作中に中心軸の周りで移動させる(例えば、回転又は振動させる)と有利である。しかしながら一般には、放電ランプの損傷に対する懸念から、放電ランプを同じ様式で移動させることは望ましくない。したがって、いくつかの実施形態では、光学フィルタ106をベース110若しくはファン108に固定してもよい一方で反射器118から離間させるか、又はその逆であってもよい。このような場合、装置100は光学フィルタ106に連結された1つ又は複数の追加の構成部品を備えていてもよく、この追加の構成部品は、光学フィルタ106と、ベース110、ファン108又は反射器118との間の空隙において、光、特に可視光を遮断するよう構成されている。このような機能に特に適切である例示的な構成部品は、高密度に密集した剛毛である。
【0073】
いずれの場合においても、装置から吐出される冷却ガスの量及び流速は大幅に変化し、かつ一般に装置の設計仕様に左右されるものであるが、いくつかの実施形態では、本明細
書で説明する装置の開発中に発見されたように、特に冷却システムの流出口ダクトを天井に向けた場合、ガスの量及び流速は、室内の散水システムをトリガするために十分なものであってもよい。したがって場合によっては、装置100は放電ランプアセンブリの上側に離間してキャップ構成部品を備えていてもよく、これによって装置の上側ではなく装置の側方への空気の吐出が可能となる。キャップ構成部品の例示的な構成を
図5に示し、以下により詳細に説明する。冷却システムの排気ガスから散水システムがトリガされるのを防ぐための代替的な解決法は、これによって放電ランプが所定の最高動作温度を上回ることがない限りにおいて、ランプアセンブリを通過するガスの流速を低下させることである。反対に、より低い温度で放電ランプを動作させると一般にランプの寿命が伸び、また理論的にはより多くの紫外線光を生成できるため、ガスの流速を低下させることは場合によっては(すなわち、これによって放電ランプがその最高動作温度を超過しない場合であっても)望ましくない。
【0074】
図5は、冷却システムからの排気ガスを装置の上側ではなく側方に配向できるよう、装置の放電ランプアセンブリの上側、より具体的には放電ランプアセンブリ内の冷却システムの流出口の上側に設けたキャップ構成部品117を有する装置100に対する変形例115を示す。
図5に示すように、キャップ構成部品117は、対象物がその上に配置されるのを防ぐためにドーム型としている。このようなドーム型による構成は、装置が放電ランプアセンブリの上側にキャップ構成部品を含む実施形態に限定されない。特に、場合によっては、放電ランプアセンブリの頂部はその上に対象物が配置されるのを防ぐためにドーム型としてもよい。更に、キャップ構成部品117を含めることは、
図5に示すようにオゾンフィルタ119が放電ランプアセンブリの頂部全体を含む実施形態に対して互いに包括的ではない。特に、本明細書で開示するいずれの装置も、冷却システムからの排気ガスを配向するための冷却システムの流出口から離間した構成部品を備えていてもよい。
【0075】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、装置100はベース114に連結されたリニアアクチュエータ116を含んでいる。一般にリニアアクチュエータ116は、放電ランプアセンブリ及びこれに取り付けられた反射器118を支持構造102内及び外
で移動させるために使用できる。このような構成は、装置100が使用されていない間、特に輸送時に、放電ランプアセンブリ及びこれに取り付けられた反射器を損傷から保護するために有利である。他の実施形態では、リニアアクチュエータ116は、装置100の動作中に、及び場合によっては放電ランプ104が光を放出している間に、放電ランプ及びこれに取り付けられた反射器を移動させるために使用できる。特にいくつかの実施形態では、装置を配設する室内での紫外線光の分配を助けるために、放電ランプ及びこれに取り付けられた反射器を装置100の動作中に移動させると有利である。放電ランプアセンブリ及びこれに取り付けられた反射器の移動を実行するための他の方法を用いてもよく、したがって本明細書で考えた装置は、このような目的を達成するにあたって、リニアアクチュエータ116に必ずしも限定されない。例えば代替として、装置100は固定されたレールを備えていてもよく、このレールに沿って放電ランプアセンブリ及びこれに取り付けられた反射器が移動できる。いずれの場合においても、装置の動作中に放電ランプアセンブリを移動させる構成は、装置が放電ランプアセンブリに取り付けられた反射器及び/又は放電ランプアセンブリの上側に取り付けられた反射器を含む実施形態に対して排他的ではない。
【0076】
装置100は、放電ランプ104が支持構造102の外側表面を超えて延在するように構成されるため、光学フィルタ106は放電ランプ104を取り囲むよう構成され、したがって
図4に示すような場合においては円筒形であってもよい。このような光学フィルタ106の構成は、直円柱状に形成された光学フィルタガラスでもよく、又は、例えば水晶等の光学的に透明な直円柱状基材上に配置された所望の光学特性を有するフィルムでもよい。
図6、7を参照して以下に詳細に説明するように、放電ランプ104を取り囲む光学
フィルタの他の構成も可能である。更に他の場合では、光学フィルタ106を装置100から省略してもよい。特に上述のように、光学フィルタを含むことは本明細書で説明する装置のうちのいくつかにおいては有益であるが、これは必ずしも必要な要件ではない。
【0077】
放電ランプ104を支持構造102の外側表面を超えて延在させるように装置100を構成することによる利点は、放電ランプ104が放出し、場合によっては光学フィルタ106を通過する紫外線光が、反射器118を含む必要なしに、装置の外側表面を包囲することである。特に、本質的には支持構造102の外側表面を超えて放電ランプ104が延在することによって、放電ランプ104が放出し、場合によっては光学フィルタ106を通過する紫外線光が、ランプのハウジングを包囲し、このハウジングは装置の外側表面を構成する。支持構造102の高さ及び放電ランプアセンブリの高さに応じて、支持構造102の外側表面を超えて放電ランプ104が延在することによって、放電ランプ104が放出する紫外線光が支持構造102を同様に包囲している。更にいくつかの実施形態では、支持構造102の外側表面を超えて放電ランプ104が延在することによって、紫外線光が、装置を配設する室の床から約2~約4フィートである領域へと伝播する。これは上述のように、室内の高接触領域が特に効果的な消毒を必要とする場合に関して考えられる。更に他の場合には、放電ランプ104を支持構造102の上側に懸架することは装置100の周りに光を分配するにあたって有益であるが、放電ランプ104の配置は必ずしもこのように限定されない。特に代替として、放電ランプ104を支持構造102上に設けてもよく、又は部分的に支持構造102と共に配置してもよい。
【0078】
支持構造の外側表面を超えて放電ランプが延在することは、装置の周りに光を伝播するにあたって効果的であるため、装置から離れる方向に伝播する紫外線光を再配向するための反射器システムは、本明細書で説明する装置のいくつかの実施形態、特に垂直に位置付けされた放電ランプを有する装置においては不要となる。しかしながら場合によっては、
図4に示すように、装置100はこのような反射器システムを含んでいてもよい。上述のように、装置100の反射器システムは、光学フィルタ106の頂部においてオゾンフィルタ119に固定された反射器118を含んでいる。このような構成は、反射器118を放電ランプアセンブリと共に(すなわち、支持構造102内及び外において垂直方向に)移動させるにあたって有利であるが、装置の構成はこれに限定されない。特に代替として、反射器118は装置100内の放電ランプアセンブリから取り外してもよい。このような構成は、特定の領域への紫外線光の再配向を最適化する等のために、反射器を放電ランプアセンブリと独立して移動させることが望ましい実施形態において有利である。装置100の他の代替的な構成は、同一又は同様の直径を有しかつ
図5に示すように互いに対して垂直に配置された、反射器118及びオゾンフィルタ119を含む。特に
図5は、オゾンフィルタ119が放電ランプアセンブリの頂部を構成し、反射器118がアセンブリの底部を含むような装置100の変形例115を示す。このような構成は有利には、より多くの空気流にランプのハウジングを通過させることができ、より効率的な冷却システムを提供する。更に他の実施例では、オゾンフィルタ119を装置100から省略して、空気フィルタ及び/又は光学フィルタと交換してもよい。
【0079】
いずれの場合においても、反射器118は
図4に示すように円形であってもよく、いくつかの実施形態では特に円錐形であってもよい。しかしながら、反射器118に関して他の形状も考えられる。いくつかの実施形態では、反射器118はある程度の紫外線光を装置100の上側に伝播できるように孔を含んでいてもよい。いずれの場合においても、いくつかの実施形態では、装置100は放電ランプ104及び/又は反射器118から伝播する紫外線光を再配向するための追加の1つ又は複数の反射器を含んでいてもよい。例えばいくつかの実施形態では、装置100は放電ランプアセンブリのベースの周りに配置された反射器を含んでいてもよい。場合によっては、追加の反射器を放電ランプアセンブリに取り付けて、追加の反射器が放電ランプアセンブリと共に移動するようにしてもよい。
他の実施形態では、追加の反射器を支持構造102の上部表面に固定し、放電ランプアセンブリはこれを通り抜けて移動してもよい。反射器118の形状と同様、場合によっては追加の反射器は円形及び円錐形でさえあってもよいが他の形状も考えられる。反射器118の構成に関わらず、又は装置100がこれを含むかどうかにさえ関わらず放電ランプ104を支持するベース(例えば、ファン108の頂部)は反射器を備えていてもよい。
【0080】
上述したように、本明細書で開示する紫外線放電ランプ装置に関して、放電ランプ104を取り囲む光学フィルタの他の構成が考えられ、これを
図6、7に示す。
図6、7に示す装置の変形例は、本明細書で説明する装置に関して考えられる光学フィルタの様々な構成を強調するために使用されることに留意されたい。図示してはいないが、
図6、7に示す装置の変形例は、
図1~5に示し説明した構成部品のいずれを含んでいてもよい。例えばこれらの変形例は、
図4を参照して説明したランプアセンブリのいずれの構成部品及び反射器118を含んでいてもよい。更に、装置の設計仕様に応じて、
図6、7のオゾンフィルタ119のサイズは図示したものから変更してもよく、及び/又はオゾンフィルタ119は
図6、7の構成から省略してもよい。
【0081】
図6は、放電ランプ104を取り囲む多面光学フィルタ122を有する装置100の変形例120を示す。
図6は、支持構造102上に設けた多面光学フィルタ122を示すが、このような配置は例示的なものである。光学フィルタ106に関して
図4に示したものと同様、多面光学フィルタ122を支持構造102上に懸架してもよい。更に他の実施形態では、多面光学フィルタ122及び付随する放電電球104を部分的に支持構造102内に配置してもよい。いずれの場合においても、多面光学フィルタは一般に、1つに融着された複数の光学フィルタのパネルを含む。多面光学フィルタ122は6つのパネルを含むものとして示されているが、これに限定されない。特に、本明細書で説明する装置に関して考えられる多面光学フィルタは、いずれの数の光学フィルタパネルを含んでいてもよい。更に光学フィルタパネルは、光学フィルタガラス材料製であってもよく、又は例えば水晶等の光学的に透明な基材製であってもよく、所望の光学特性を有するフィルムがその上に配置される。いずれの場合においても、いくつかの実施形態では、光学フィルタパネルは、構造を指示するための異なる材料(金属又はプラスチック等)の幅狭ストリップを備えている。場合によっては、幅狭ストリップのうちの1つ又は複数は、部分的又は全体的に反射性材料を有しており、これによって、幅狭ストリップが周りに設けた放電ランプから放出される光の再配向を助ける。
【0082】
いくつかの実施形態では、特に光学フィルタが光学フィルタガラス材料製である実施形態について、多面光学フィルタは真円筒形光学フィルタより安価である。しかしながら、多面光学フィルタを使用する際の欠点は、プレートが融着されたところ及び/又は支持ストリップが配置されたところで紫外線光が阻止され、したがって装置を設けた室の複数の領域が十分に消毒されないことである。このような欠点を克服する1つの方法は、装置の動作中に多面光学フィルタを移動させることである。特に、装置の動作中に装置100を包囲する領域に伝播する紫外線光を集めるとこの包囲領域全体を占めることができるように、多面光学フィルタを中心軸の周りで移動させる。装置の動作中に多面光学フィルタを1回転以上回転させ、又は装置の動作中に多面光学フィルタを1回転未満だけ回転させてもよい。いくつかの実施形態では、多面光学フィルタは1回転のうちの一部分だけ移動し、この一部分は、多面光学フィルタを備える光学パネルの数に対応する。例えば、多面光学フィルタが6つの光学パネルを含む実施形態では、多面光学フィルタを1回転の1/6だけ移動させればよい。
【0083】
いずれの場合においても、本明細書で説明する装置のうちのいくつかは、中心軸の周りで光学フィルタを移動させるための手段を含んでいてもよい。このような手段は、対象物を移動させるための当該技術分野で公知のいずれの機構でよく、さらなる実施形態では、
中心軸の周りで光学フィルタを移動させるタイミングを自動化することができるようにCPU32が実行可能なプログラム命令を備えているとよい。上述のように、いくつかの実施形態では本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置の光学フィルタを、装置の動作中に中心軸の周りで移動させると有利であるが、一般に放電ランプの損傷に対する懸念から、放電ランプを同じ様式で移動させることは望ましくない。したがっていくつかの実施形態では、変形例120は放電ランプ104と多面光学フィルタ122との間に中間バリアを含んでいる。上述のように、中間バリアは放電ランプ104の周りのハウジングの一部であってもよい。更に多面光学フィルタ122は、中間バリアと独立して移動するよう構成してもよい。
【0084】
更に他の実施形態では、多面光学フィルタ122は、装置の動作中に中心軸の周りで移動するよう構成しなくてもよい。特に、多面光学フィルタ122の隣接した光学フィルタパネルから伝播される光はある1点で収斂し、したがって装置100の動作中に中心軸の周りで多面光学フィルタ122を移動させることなく、紫外線光が装置100の外側表面を包囲できると考えられる。更に他の実施形態では、放電ランプ104は、光学フィルタパネルの融着領域及び/又は多面光学フィルタ122上に配置された支持ストリップからの潜在的な遮断と相互作用する構成を含んでいる。例えば放電ランプ104は、U字の「バー」の間に融着領域及び/又は支持ストリップの幅より大きい空間を有する、U字型電球であってもよい。このような場合のいずれにおいても、装置100は、放電ランプ104から放出され多面光学フィルタ122を通過する紫外線光のうちの少なくともある程度が、装置の外側表面を包囲するように構成されているものと言える。代替として、光学フィルタパネルの融着領域及び/又は多面光学フィルタ122上に支持ストリップが配置されている箇所によって発生する隙間は重大なものとはならず、したがって多面光学フィルタ122の移動は不要となる。
【0085】
図7は、本明細書で説明する装置内で使用できる光学フィルタの更に他の構成を示す。特に
図7は、放電ランプ104を取り囲む光学フィルタ126及び反射器128のアセンブリを有する装置100の変形例124を示す。
図7に示すように、いくつかの実施形態では、光学フィルタ126及び反射器128は、アセンブリの円筒形側壁に沿ってほぼ等しいサイズであってもよい。しかしながら、光学フィルタ126が反射器128のアセンブリの側壁に沿った部分よりも大きいもの、及び光学フィルタ126が反射器128のアセンブリの側壁に沿った部分よりも小さいものを含む他の構成も可能である。したがって、本明細書で説明する装置に関して考えられる光学フィルタ/反射器アセンブリのより一般的な説明は、光学フィルタ及び光学フィルタに対向する反射器、又はその逆を含むアセンブリとなる。
【0086】
図7に示すように、場合によっては反射器128は更にアセンブリの頂部を備えていてもよい。しかしながら、代替として光学フィルタ126がアセンブリの頂部を含む構成、又はアセンブリの頂部をを含む反射器128及び光学フィルタ126の組合せを有する構成といったアセンブリの頂部に関する他の構成も考えられる。更に、光学フィルタ/反射器アセンブリの形状は、
図7に示すような真円筒形に限定されないことに留意されたい。むしろ、反射器128及び光学フィルタ126のうちの1つ又は複数は、複数のパネルを含んでいてもよく、したがって場合によってはアセンブリは多角柱形状であってよい。更に又は代替として、アセンブリの頂部は傾斜していてもよく、又はより一般には、高さが変化する。このような構成は、紫外線光を室内の所望の領域へと下向きに再配向できるように、頂部の少なくとも一部が反射器128を含む場合に特に有利である。更に又は代替として、このような構成は、装置の冷却システムからの排気ガスが、装置を配設した室の天井へと直接送られるのを防ぐために有利である。
【0087】
いずれの場合においても、
図7の光学フィルタ/反射器アセンブリは、対象物の密度が
高い領域等、装置と隣接した室内の特定の領域を標的とするにあたって効果的である。いくつかの実施形態では、光学フィルタ/反射器アセンブリは移動するように構成してもよい。例えば場合によっては、光学フィルタ/反射器アセンブリは振動するように構成してもよい。このような構成は、所定の標的領域が、光学フィルタ/反射器アセンブリが静止時に効果的に紫外線を放出できる範囲より大きい場合に有利である。他の実施形態では、光学フィルタ/反射器アセンブリは回転するように構成してもよい。いずれの場合においても、いくつかの実施形態では、光学フィルタ/反射器アセンブリの移動は装置100を配設する室の特徴に基づいていればよい。例えば、室内の比較的多数の対象物が同一の一般領域にある場合、室内の他の領域に比べて特定の領域に光を配向するように光学フィルタ/反射器アセンブリを位置付けすると有益である。
【0088】
図1、2a~2cを参照して説明した装置20と同様に、装置100は、1つ若しくは複数の室の特徴を列挙したデータベースを含むか、若しくはこのようなデータベースにアクセスできるよう構成され、並びに/又は装置100は、室の特性に関するデータを収集及び/若しくは生成するためのシステム70を備えている。室の特徴を生成、収集及び/又は分析するための当該技術分野で公知のいずれのシステムを使用してもよい。例としては、線量計、空間センサ及び/又は光認識システムが挙げられる。場合によっては、装置100は更に、データを取得し、このデータに基づいて光学フィルタ/反射器アセンブリの位置を決定し、決定された位置をユーザインタフェース34に中継する及び/又は決定された位置に関するコマンドを、光学フィルタ/反射器アセンブリを自動的に移動させるための装置100内の手段に送信するための、CPU32を含んでいるとよい。
【0089】
上述の特徴に加えて又はその代替として、いくつかの実施形態では、本明細書で説明する紫外線放電ランプ装置は複数の放電ランプを含んでいる。このような装置は、このような特徴に関する上記の説明にしたがって、各放電ランプに対して光学フィルタ及び/又は反射器システムを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、装置は、放出した可視光の大半を減衰させるように構成された光学フィルタを有する放電ランプを備えており、更に、近接して光学フィルタが設けられていない放電ランプを備えていてもよい。このような構成は、装置の動作中に可視光を減衰させることが望まれるかどうかに応じて放電ランプの使用を交替させるにあたって有利である。場合によっては、複数の放電ランプのうちのいくつか又は全てを、同一の電源回路及び/又は同一のトリガ回路によって動作させてもよい。他の実施形態では、装置は各放電ランプに対して別個の電源回路及び/又は別個のトリガ回路を含んでいる。いずれの場合においても、本明細書では、それぞれ1つ又は複数の放電ランプを有する複数の装置を、互いに連携して(すなわち、システムを形成して)動作させて室を消毒するように構成するとよいと考えられる。
図8は、それぞれ放電ランプアセンブリ134、144及びセンサ136、146を含む複数の紫外線放電ランプ装置132、142を含む、例示的なシステム130を示す。装置132と装置142との間の点線は、これらのユニットを互いに連携するよう構成できること、及び/又は中央処理ユニットを介して接続できることを表している。
【0090】
いずれの場合においても、複数の放電ランプを有する装置又は複数の放電ランプ装置を有するシステムは、これらの放電ランプを同時に、連続して又は装置/システムの別個の動作において動作させるよう構成している。複数の放電ランプを同時に動作させると、ある領域を処理するために必要な時間が短縮でき有利である。過剰なUV光による領域への「過量使用」を防ぎつつ、ある領域を処理するために必要な時間を更に最小化するために、装置/システムは、各ランプの強度又はパルス周波数等の装置/システムの動作パラメータを、装置/システムを配設する室の特徴又は標的対象物から反射した紫外線光に基づいて修正するよう構成している。ここで、室の特徴又は標的対象物から反射した紫外線光の量若しくは強度を決定するために、データベース又は1つ若しくは複数のセンサ及び場合によっては各放電ランプユニットのためのセンサを使用している。場合によっては、装
置/システムは装置/システムを配設する室をマッピングするために超音波、赤外線又はその他のセンサを含んでおり、またいくつかの実施形態では、装置/システムは各放電ランプユニットに対して室をマッピングするよう構成している。このようなマッピング適合は、必ずしも複数装置システムの一部ではない単一の放電ランプを含む装置にも含まれていてもよい。
【0091】
いずれの場合においても、装置/システムのCPUは、全ての標的とする表面上に最小用量が届くようにするために、1つ又は複数のマップを分析して、必要な紫外線光用量を決定するよう構成している。更に、複数ランプ装置/システムのCPUは、室の総処理時間を最適化するために各放電ランプに電力を割り当てるよう構成している。これは、反射した紫外線光を測定するために使用されるセンサからのフィードバックを用いて達成することもできる。全てのセンサからの情報(例えば、放出された紫外線光、室サイズ/形状、及び全電球ユニットの位置付け)を、各電球ユニットの総動作時間を決定する等式又はアルゴリズムに入れることができる。これにより、ある領域内での汚染除去速度を最適化するために、電力をユニットに送電できる。例えばあるシステム構成においては、2つのユニットを用いて、ある領域の異なる部分又は異なる室さえも処理できる。複数の部分のうちの1つが必要な紫外線光用量を受け取っていることをセンサが検知すると、対応するユニットは停止してもよい。いくつかの実施形態では、残ったユニットが送電された電力を受けることができ、必要であればより高い周波数でパルスを発生させることができる。異なる部分間に共通の空間があるかどうかを検知できる、更にこの共通のユニットを処理するよう第2のユニットに指示し、この領域を第1のユニットに関する用量算出から除外できるほど、センサシステムを複雑化してもよい。更に、各電球ユニットに関して放出された紫外線光の配向を、反射器の高さ、方向及び/又は形状を変化させることによって変更することで、動作時間を最適化できる。
【0092】
いくつかの実施形態では、室内を移動して紫外線光分散に複数の焦点を与える装置又はシステムを作成できる。このような場合には、(超音波若しくは赤外線センサ又は反射した紫外線光による)室の感知から得られる情報を用いて室内を移動する装置/システムをガイドしてよい。装置/システムはモータ駆動ホイールを用いて移動でき、障害物を回避するためのセンサを備えていてもよい。装置/システムは、これが移動する際のリアルタイムでの感知、これが移動する際に各表面が受け取る用量のマッピングを通して、室を「学習」できる。ユーザが手動で装置/システムを室内で押してもよく、その一方で装置/システムが室をマッピングし、装置/システムのCPUがこのマップを分析して、装置/システムの動作のための各位置における正確な用量を決定する。マップ及び用量要件を用いて、可動装置/システムが異なる表面を通過する際の速度を変化させることができる。
【0093】
図9~11を参照すると、殺菌デバイスの動作を制御するためのシステム、より具体的には、殺菌デバイスの動作パラメータ及び消毒スケジュールを決定するシステムが提供される。特に
図9は、1つ又は複数の消毒剤源並びに1つ又は複数の消毒剤源の動作パラメータ及び消毒スケジュールを決定するためのプロセッサ実行可能プログラム命令を備えたシステムを示す。
図10は、
図9に示すシステムのプロセッサ実行可能プログラム命令が実行するよう構成される方法の概略を表すフローチャートを示す。
図11は、
図9に示すシステムのプロセッサ実行可能プログラム命令が実行するよう構成される他の方法の概略を表すフローチャートを示す。一般に、
図9~11を参照して説明するシステム及びプロセスは、消毒剤源を含むいずれのシステムにも適用可能である。本明細書で使用する用語「消毒剤源」とは、殺菌剤を生成及び分配するために使用される1つ又は複数の構成部品の集合体を表し、場合によっては殺菌剤の生成又は分散を実行するために使用されるいずれの追加の構成部品を包括する。いくつかの実施形態では、デバイス又は装置は、殺菌剤を生成するための複数の構成部品の1つのセットを含んでいてもよい。このような場合、殺菌剤の生成に関連する構成部品を消毒剤源と呼んでおり、又は代替として、デバイス若
しくは装置全体を消毒剤源と表現している。他の実施形態では、デバイス又は装置は複数の消毒剤源(すなわち、1つ又は複数の殺菌剤の複数の源を生成するための複数の構成部品の複数のセット)を含んでいる。
【0094】
いずれの場合においても、本明細書で使用する用語「殺菌剤」は、微生物、特に病気を保持する及び/又は病気を発生させる微生物(すなわち病原菌)を不活性するか殺すための薬剤を表す。本明細書で使用する用語「殺す」とは、有機体の死を引き起こすことを意味する。対照的に、本明細書で使用する用語「不活性化する」とは、有機体を殺すことなく、繁殖不可能とすることを意味する。したがって、微生物を不活性化するように構成された殺菌剤は、微生物を繁殖不可能とするが、有機体は生きたままとする薬剤を表す。一般に、
図9~11に開示したシステム及びプロセスに関して考えられる1つ又は複数の消毒剤源は、液体、蒸気、ガス、プラズマ、紫外線光及び/又は高強度狭スペクトル(HINS)光の形態の殺菌剤を生成するよう構成している。したがって、
図9~11に開示したシステム及びプロセスに関して考えられる1つ又は複数の消毒剤源は、
図1~8を参照して上述した放電ランプ装置を含む、必ずしもこれに限定されない。液体、蒸気、ガス又はプラズマ殺菌剤を分散させるように構成してもよい消毒剤源の例は、液体霧吹き、噴霧器、プラズマトーチ、並びに湿式及び乾式霧化システムを含む霧化システムを含むが、必ずしもこれらに限定されない。本明細書で使用する用語「霧」とは、液体の微小球がガス中に浮遊したものを表す。本明細書での使用においては、殺菌剤霧は液体殺菌剤に分類される。
【0095】
いくつかの実施形態では、液体、蒸気、ガス又はプラズマ殺菌剤は使用される様式によって不活性化又は殺機能を発揮できる。例えば、沸騰水、蒸気及び加熱された空気は、これらが使用される温度から、効果的な滅菌剤となる場合がある。更に、ある種のプラズマ殺菌剤の殺菌効果は、プラズマを形成する荷電粒子の分子組成ではなく、荷電粒子の存在及び活性によるものである。本明細書で使用する「分子的に構成される」とは、この後に記載される機能を発揮するための物質の元素組成(すなわち、物質を形成する原子の数及びタイプ)を表す。場合によっては、液体、蒸気、ガス又はプラズマ殺菌剤の、微生物を不活性化する及び/又は殺す機能は、殺菌剤を構成する元素に帰するものであり、したがってこのような殺菌剤は、微生物を不活性化する及び/又は殺すように分子的に構成されているものと表現することができる。
【0096】
微生物を殺すように分子的に構成されているガス殺菌剤の例はオゾンである。微生物を不活性化する又は殺すよう分子的に構成されているプラズマ殺菌剤の例は、反応性酸素種を使用又は生成するものである。微生物を不活性化する又は殺すように分子的に構成されている液体及び蒸気殺菌剤の例は、漂白剤、過酸化水素、塩素、アルコール、四価アンモニウム化合物又はオゾン等を含むがこれらに限定されない基本的な消毒剤を有する液体及び蒸気消毒溶液を含む。これらのいずれの場合においても、液体及び蒸気殺菌剤は水性又は非水性であってもよい。
図9~11で開示するシステム及びプロセスに関して考えられる1つ又は複数の消毒剤源は、殺菌剤を使用する様式によって及び殺菌剤の分子的な構成によって不活性化又は殺機能を発揮するよう構成されたものを含んでいてもよい。
【0097】
図9を参照すると、1つ又は複数の消毒剤源160及び任意の1つ又は複数の消毒剤源162、164を含むシステム150が示されている。特に、1つ又は複数の消毒剤源162、164の境界となっている点線は、これらがシステム150の任意的な特徴であることを表す。一般に、システム150は、1つのみの消毒剤源又はいずれかの複数の消毒剤源を含む、いずれかの数の消毒剤源を含んでいてもよい。更にシステム150は、1つ又は複数の消毒剤源を含むいずれかの数のデバイス又は装置を含んでいてもよい。特に、システム150は場合によっては、1つ又は複数の消毒剤源を有する単一の消毒デバイス又は装置を含んでいてもよい。他の実施形態では、システム150は、
図9で示すように
、それぞれ1つ又は複数の消毒剤源を有する複数の消毒デバイス又は装置を含んでいる。
【0098】
いずれの場合においても、システム150内の1つ又は複数の消毒剤源を、室内に固定して配設するか、又は可搬性とする。システム150が複数の消毒剤源を含む実施形態では、消毒剤源のうちのある程度を室内に固定して設けていればよく、残りを可搬性としてもよい。システム150が複数の消毒剤源を含む更に他の実施形態では、消毒剤源の全てを室内に固定しておいても、又は全てを可搬性としてもよい。更に上述のように、
図9~11で開示するシステム及びプロセスに関して考えられる1つ又は複数の消毒剤源は、液体、蒸気、ガス、プラズマ、紫外線光及び/又は高強度狭スペクトル(HINS)光の形態の殺菌剤を生成するよう構成してもよい。システム150が複数の消毒剤源を含む実施形態では、1つ又は複数の消毒剤源は、液体、蒸気、ガス、プラズマ、紫外線光及び/又は高強度狭スペクトル(HINS)光の形態の殺菌剤を生成するよう構成された源のいずれの組合せであってもよく、又は同一のタイプの消毒剤源のみを含んでいてもよいことに留意されたい。
【0099】
以下により詳細に説明するように、1つ又は複数の消毒剤源160及び任意の1つ又は複数の消毒剤源162、164の動作パラメータ及び消毒スケジュールを決定するための、
図10、11に概略を示すプロセスは、システム150を配設する室の特徴に基づく。したがって、システム150の1つ又は複数の消毒剤源並びに1つ又は複数の消毒剤源を備えた1つ又は複数のデバイス及び1つ又は複数の装置は、特に室内消毒のために構成する。より具体的には、システム150の1つ又は複数の消毒剤源並びに1つ又は複数の消毒剤源を備えた1つ又は複数のデバイス及び1つ又は複数の装置は、室を処理できるような広範囲に殺菌剤を分配させるよう構成している。本明細書で使用する用語「室内消毒」とは、ヒトの住居に適した境界が定められた領域を洗浄して、この領域において保菌微生物を不活性化し、破壊し、又は保菌微生物の成長を防止することを意味する。本明細書で説明する室内消毒デバイス及び装置、特に
図9~11を参照して説明するシステム及びプロセスに関して考えられるものは、床をベースとするもの、壁をベースとするもの及び天井をベースとするものを含む様々な構成を採っている。
【0100】
図9に更に示すように、システム150は、プロセッサ156及びプロセッサ156が実行可能なプログラム命令154を有する処理サブシステム152を含む。
図10、11を参照して以下により詳細に説明するように、プログラム命令154は、システム150を備える消毒剤源(例えば1つ又は複数の消毒剤源160及び場合によっては1つ又は複数の消毒剤源162、164)の動作パラメータ及び/又は消毒スケジュールを決定するよう構成している。本明細書で使用する用語「プログラム命令」とは、一般に、入力の受信、信号の受信の記録、デバイスに動作を開始させることができるタイミング及び/又は動作を開始させることができるかどうかの決定、並びにデバイスの動作を開始及び/又は終了させる信号の送信等、特定の機能を実行するよう構成されたプログラム内の命令を表している。プログラム命令は、いずれの様々な方法で実装しており、とりわけプロシージャベース技術、構成部品ベース技術及び/又はオブジェクト指向技術を含む。プログラム命令は、例えば、所望に応じてアクティブXコントロール、C++オブジェクト、ジャバビーンズ、マイクロソフトファウンデーションクラス(「MFC」)又は他の技術若しくは方法論を用いて実装している。本明細書で説明するプロセスを実装するプログラム命令は、ワイヤ、ケーブル又は無線伝送リンク等のキャリア媒体を通して伝送している。
【0101】
いくつかの実施形態では、処理サブシステム152は、システム150の1つ又は複数の消毒剤源それぞれに接続される単一の処理ユニットであり、したがって特にシステム150が複数の消毒剤源を含む場合、中央処理ユニットと考えてもよい。このような場合、いくつかの実施形態では、処理サブシステム152は、
図9に示すように、システム150の1つ又は複数の消毒剤源を備えた1つ若しくは複数のデバイス又は1つ若しくは複数
の装置から独立した実体である。更に他の場合、処理サブシステム152は、システム150の1つ又は複数の消毒剤源を備えたデバイス又は装置内に配置している。更に他の実施形態では、処理サブシステム152は複数のプロセッサを含んでおり、これらはそれぞれ、システム150の1つ又は複数の消毒剤源を備えた異なるデバイス又は装置上に配置されている。このような場合、処理サブシステム152は、複数の消毒源を備えたデバイス又は装置間に少なくとも部分的に分配することができる。いくつかの実施形態では、システム150の1つ又は複数の消毒剤源を備えた各デバイス又は装置は、プロセッサ及びプログラム命令154を含んでいる。
【0102】
図10を参照すると、1つ又は複数の消毒剤源を配設する室の特徴に基づいて、殺菌システムの1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定するためのプロセスの概略を説明するフローチャートが提供されている。
図10のブロック170に示すように、本方法は、1つ又は複数の消毒剤源を配設する室の特徴に関するデータを受信することを含む。このようなプロセスは、ブロック172に示すように、このようなデータを含むデータベースにアクセスすること及び/又はブロック174に示すように、このようなデータを生成する室内の1つ若しくは複数のセンサからデータを受信することを含んでいる。後者の場合、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサは、殺菌システムの1つ又は複数の消毒剤源及び処理サブシステムから独立していている。他の場合、センサのうちの1つ又は複数は、殺菌システムの消毒剤源のうちの1つ若しくは複数内、又は処理サブシステムが1つ若しくは複数の消毒剤源から分離している場合は処理サブシステム内に配置している。
【0103】
一般に、本明細書で使用する「室の特徴」とは、室の物理的特質及び非物理的特質を表す。室の非物理的特質は、室を参照するために使用される識別子(例えば室番号及び/又は室名)並びに室に関する占有情報(例えば室を占有していた患者の感染情報又は患者が室を占有するスケジュール)を含むが、必ずしもこれらに限定されない。室の物理的特質は、室のサイズ及び/若しくは寸法、並びに/又は室内の表面及び/若しくは対象物の数、サイズ、距離、位置、反射率及び/若しくは識別若しくは優先順位付けを含むが、必ずしもこれらに限定されない。場合によっては、室の物理的特質は、室内の1つ又は複数の病理学的有機体の識別(すなわち、試料分析からの検知)であってもよく、更には、室内、室の特定の領域内又は室の特定の表面上の1つ又は複数のこのような有機体の数又は密度である場合もある。本明細書で使用する「消毒剤源の動作パラメータ」とは、消毒剤源の動作に影響を与え得るいずれかのパラメータを表し、これは、消毒剤源の実行時間、消毒剤源の位置、消毒剤源を備えた構成部品の配向、消毒剤源の殺菌剤用量パラメータ、及び/又は消毒剤源に供給される電力を含むがこれらに限定されない。
【0104】
図10のブロック180に示すように、本方法は更に、室の特徴に関する受信したデータに基づいて、1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の独立した動作パラメータを決定することを含む。一般に、このようなプロセスを実行するにあたって数多くの方法が存在する。特にいくつかの実施形態では、このプロセスは室の特質のリスト及び1つ又は複数の消毒剤源の対応する1つ又は複数の所定の動作パラメータを含むデータベースにアクセスすることを伴う。例えば、室番号、室名又は室に関する占有情報等の室の非物理的特質を、殺菌システムのユーザインタフェースに入力してもよく、このようなデータの入力により、1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数のパラメータを決定するための、上述のデータベースへのアクセスを開始してもよい。
【0105】
特に、予め割り当てられた室識別子(「103」又は「操作室」等)をユーザインタフェースに(キー入力又はバーコード走査等によって)入力しておき、このような相関情報の概略を含むデータベースから、このような室内に配設される1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定してもよい。このような実施形態は特に、1つ又は
複数の可搬性消毒デバイスを含む殺菌システムに適用可能であり、したがって複数の異なる室内で使用される。別の例は、室に関する占有情報(例えば、室を占有していた患者の感染情報又は患者の室占有スケジュール)をユーザインタフェースに入力し、このような情報から、1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定してもよい。このような実施形態は特に、室を占有していた患者が特定の芽胞形成菌感染と診断されていた及び/若しくはそのための治療を受けていた場合、又は低免疫系を有することが分かっている(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)等)患者が入室する場合に適用可能である。このような場合、1つ又は複数の消毒剤源に関して決定される動作パラメータは、患者の病気に基づく。
【0106】
場合によっては、上述のプロセスを、室内に配設する消毒剤源又はデバイスの数及び/又はタイプを因子として、増加させてもよい。特に、室番号、室名又は室に関する占有情報等の室の非物理的特質をユーザインタフェースに入力することに加えて、1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定するために、室内に配設する消毒剤源又はデバイスの数及び/又はタイプをユーザインタフェースに入力してもよい。このような場合、このような入力においてアクセスされるデータベースは、消毒剤源の数及び又はタイプに関する1つ又は複数の追加のフィールドを含んでおり、このフィールドは、列挙された室の特質それぞれ、及びこれに対応する、各消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータの異なるセットに適用可能である。場合によっては、室の特徴に基づいて、特定の消毒源を使用するよう選択する。上述の実施形態は、1つ又は複数の可搬性消毒デバイスを有する殺菌システムのみに排他的に適用可能なものではなく、1つ又は複数の可搬性消毒デバイスを、室内に固定して配置された消毒剤源と組合せて有する殺菌システムにも適用可能であることに留意されたい。このような実施形態のうち後者においては、場合によっては、データベースが挙げる動作パラメータは、室内の固定して配置された消毒剤源の公知の位置に基づいて予め設定されている。
【0107】
1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定するためにデータベースにアクセスすることは、室の非物理的特質(室識別子又は室に関する占有情報等)に限定されないことに留意されたい。特に、追加又は代替として、データベースは、室内に配置され得る1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の物理的特質(室のサイズ及び/若しくは寸法、並びに/又は室内の表面及び/又は対象物の数、サイズ、距離、位置、反射率及び/若しくは識別若しくは優先順位付け等)の値又は範囲のリスト、並びにこれに対応する1つ又は複数の所定の動作パラメータを含んでいる。このような実施形態もまた、1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定するために、室内に配設する消毒剤源又はデバイスの数及び/又はタイプを因子として、増加させてもよい。
【0108】
いずれの場合においても、物理的特質はユーザインタフェースを介して入力しており、又は室内の1つ若しくは複数のセンサを介して得ている。上述の場合が適用可能である実施形態の例は、室のサイズが得られており、アクセス可能なデータベースが、異なる室のサイズ又は室のサイズの範囲に対して、異なる実行時間、異なる殺菌剤排出量、及び/又は消毒剤源に供給される異なる電力レベルを含む場合である。特に、比較的広い室は、より狭い室と比べて長い及び/又は効率のよい殺菌剤曝露を必要とする傾向があり、したがって、実行時間、殺菌剤排出量、及び/又は消毒源に供給される電力レベルを室のサイズに基づいて設定すると有利であると考えられる。データベースに関して、室の特徴と消毒剤源の動作パラメータとの他の相関も考えられ、したがって上述の例は、本明細書で提供する開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0109】
1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを室の特徴に基づいて決定する代替方法は、このような変数と相関するアルゴリズムを使用することである。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは室の物理的特質のみに基づいて1つ又は複数の消毒剤源
の1つ又は複数の動作パラメータを決定している。他の場合では、アルゴリズムは室の物理的特質及び非物理的特質の組合せに基づいて1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定している。いずれの実施形態においても、1つ又は複数の消毒剤源の動作パラメータを決定するのに加えて又はその代替として、特にアルゴリズムの使用によって、室の特徴に基づいて特定の消毒剤源の使用を選択してもよい。上述のデータベースの実施形態と同様、いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、室の特徴に加えて、室内に配設する消毒デバイスの数及び/又はタイプに基づいている。必ずしもこのように限定されるものではないが、1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータの決定に室の複数の特徴が影響する場合、アルゴリズムベースのプロセスを用いると有利である。更に又は代替として、複数の動作パラメータを決定したい場合及び/又は複数の消毒剤源に関して1つ若しくは複数の独立した動作パラメータを決定したい場合、アルゴリズムベースのプロセスを用いると有利である。特に、相関する変数の範囲は、より多くの変数が役割を有するにしたがってより複雑になり、したがってこのような場合は、データベースよりもアルゴリズムの方がより適切である。
【0110】
場合によっては、
図10のブロック170で受信した室の特徴のデータを用いて、ブロック176、178に示すように、室内の位置、領域、対象物及び/又は表面を識別している。このような場合、ブロック180に示す、1つ又は複数の消毒剤源の独立した動作パラメータを決定するプロセスは、ブロック176又はブロック178の(すなわち、データベース又はアルゴリズムによる)、識別した位置、領域、対象物又は表面に基づいている。ブロック176に示すように、いくつかの実施形態では、ブロック170で受信した室の特徴のデータを用いて、室内の位置、領域、対象物及び/又は表面を識別しており、優先順位と識別した位置、領域、対象物及び/又は表面との所定の関連にしたがって(データベース又はアルゴリズムによって等)、識別した位置、領域、対象物及び/又は表面それぞれに優先順位ランキング(例えば数字又は文字)を割り当てている。場合によっては、表面のうちの少なくともいくつかに対する優先順位ランキングは、それらの最後の消毒からの時間量に基づいてもよい。ブロック176における優先順位ランキングの割り当ては、室内の位置、領域、対象物及び/又は表面に優先順位付けを導入するための1つの方法であることに留意されたい。代替として、位置、領域、対象物及び/又は表面に優先順位ランキングを予め割り当ててもよい。いずれの場合においても、優先順位ランキングは、数字、文字及び「高い」「低い」等の単語を含むがこれらに限定されない、室内の位置、領域、対象物及び表面の間の階層的な重要度を表すいずれのタイプの記号を含んでいてもよい。
【0111】
図10に示すように、いくつかの実施形態では、ブロック176で割り当てられる優先順位記号を用いて、ブロック176とブロック178との間の矢印で示すように、室内の標的位置、領域、対象物及び/又は表面を識別している。しかしながら、ブロック176、178の境界となっている点線は、これらのプロセスが任意であることを示していることに留意されたい。したがっていくつかの実施形態では、ブロック176をプロセスから省略しており、ブロック170で受信した室の特徴のデータを用いて、ブロック178において(データベース又はアルゴリズムによって等)、室内の標的位置、領域、対象物及び/又は表面を直接識別している。他の場合では、ブロック178を省略しており、ブロック176で識別された位置、領域、対象物及び/又は表面を用いてブロック180で1つ又は複数の独立した動作パラメータを決定している。更に他の実施形態では、ブロック176、178の両方を本方法から省略しており、したがって
図10に概略を示すプロセスは、場合によってはブロック170から直接ブロック180に続いている。室内の標的位置、領域、対象物及び/又は表面を識別する場合において、ブロック180のプロセスは、各消毒剤源に関して、1つ又は複数の標的位置、領域、対象物及び/若しくは表面に固有の、1つ又は複数の動作パラメータを決定することに留意されたい。
【0112】
ブロック178の、標的位置、領域、対象物及び/又は表面を識別するプロセスは、様々な方法で実装すればよく、一般にはこのような標的に関して室を分析するために使用するセンサのタイプに依存する。例えば場合によっては、標的は各消毒剤源からの最大距離、すなわち装置から対象物までの最大距離又は近傍に他の装置が検知されない場合は消毒剤源からの最大距離の検知によって(すなわち、距離センサを用いて)識別してもよい。他の実施形態では、標的は、各消毒剤源からの最短距離の検知又は各消毒剤源から特定の距離にある表面の検知によって識別してもよい。代替例では、センサを用いて室内の対象物及び/又は表面の寸法を評価し、このデータから、殺菌システムのセンサ及び/又は処理サブシステムは、対象物及び/又は表面が何であるか(病室内のベッド、ナイトテーブル又はIVポール等)を確認できる。
【0113】
このような実施形態のうちのいくつかでは、標的を、確認された対象物又は表面に基づいて選択している。例えば場合によっては、標的領域を、領域内の比較的多数の対象物又は表面に基づいて識別している。他の実施形態では、標的領域は、1つ又は複数の高優先順位対象物及び/若しくは表面が領域内にあることに基づいて識別している。同様に、標的位置、対象物又は表面を、室内の位置、対象物及び/又は表面の優先順位付けに基づいて識別してもよい。場合によっては、標的位置、領域、対象物又は表面の識別は、それぞれ各消毒剤源の近傍に配置された複数の位置、領域、対象物及び表面のサブセットを識別すること、並びに各サブセット内の1つの位置、領域、対象物及び表面を標的として指定することを含んでいてもよい。この指定プロセスは、位置、領域、対象物若しくは表面及び/又は各消毒剤源からの距離の優先順位付けを含むがこれらに限定されない多数の様々な修飾子に基づいていてもよい。
【0114】
1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定するためのデータベース及び/又はアルゴリズムを作り出すための方法は数多く存在する。いくつかの例示的な方法を、
図10のブロック184、186に示す。特にブロック184は、1つ又は複数の独立した動作パラメータを、室の床、壁及び天井ではなく、室内の家具及び/又は設備の優先的に消毒する表面に適合させることを明示している。このような場合のうちのいくつかでは、プロセスは更に、事前に設定した時間量の間に室内の家具及び設備を消毒した後、室の床、壁及び/又は天井を優先的に消毒するために、1つ又は複数の副次的動作パラメータを決定することを含んでいる。一般に、室内の家具及び設備は、室の床、壁及び天井よりも細菌が存在する蓋然性が高く、したがってこれらの表面を優先的に消毒するように消毒プロセスを適合させるのは有利である。特に、このような優先を消毒スケジュールに対して実施することによって、より短く及び/若しくはより効率のよい消毒プロセスが実行でき、又は少なくとも、消毒プロセスが早期に中断された場合に十分な量の消毒が終わっている可能性を高めることができる。
【0115】
上述したように、室の床から約2~約4フィートである領域は、使用頻度の高い対象物をこのような領域に一般に配置するため、室の「高接触」領域と考えられる。このような領域を高接触領域と考えることにより、このような領域は一般に、菌と接触する蓋然性が最も高い領域と考えられ、いくつかの研究により、高接触領域は最も高い密度の菌を有する領域となることが示されている。このような理由から、室の床から約2~約4フィートである領域にある家具及び/又は設備の表面を優先して消毒するよう、1つ又は複数の独立した動作パラメータを適合させると有利である。更に又は代替として、1つ又は複数の独立した動作パラメータを、異なる家具及び/若しくは設備の間で、又は家具及び/若しくは設備の異なる構成部品の間で適合させると有利である。例えば、キャビネットのハンドルについて、キャビネットの垂直面よりも高い及び/長い殺菌剤用量を保証する。処理する部屋の消毒の必要に応じて消毒剤源の動作パラメータを適合させるために、家具、設備及び構成部品の間での他の複数の優先も同様に考えられる。
【0116】
図10のブロック186に示すように、いくつかの実施形態では、ブロック180のプロセスは、1つ又は複数の独立した動作パラメータを、室内の位置、領域、対象物及び/又は表面に対してブロック176で割り当ててよい又は事前に割り当ててもよい高い優先順位ランキングを有する優先的に消毒する表面に対して適合させることを含んでいる。ブロック184のプロセスと同様、このような優先を消毒スケジュールに対して実施するブロック186のプロセスによって、より短く及び/若しくはより効率のよい消毒プロセスが実行でき、又は少なくとも、消毒プロセスが早期に中断された場合に十分な量の消毒が終わっている可能性を高めることができる。このような場合のうちのいくつかでは、本方法は、事前に設定した時間量の間に、最高の優先順位ランキングを有する表面を消毒した後、より低い優先順位ランキングを有する表面を優先的に消毒するために、1つ又は複数の副次的動作パラメータを決定することを含んでいる。ブロック184、186は
図10では点線で囲まれており、これはこれらのブロックが任意のものであることを示している。特に、1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを、室の特徴のデータに基づいて適合させるために、多くの他の方法を用いており、したがって本明細書で提供する開示の範囲は、
図10の描写に必ずしも限定されるものではない。
【0117】
更に
図10に示すように、プロセスは任意に、1つ又は複数の消毒剤源の独立した動作パラメータのスケジュールを決定するためのブロック182を含んでいる。このような文脈において、用語「スケジュール」とは、1つ又は複数の消毒剤源に対して連続的に実施される一連の動作パラメータ指定を表す。ブロック180のプロセスを実行するというオプションについて説明したように、動作パラメータのスケジュールの決定は、室内の家具及び設備を優先的に消毒することに基づいており、並びに/又は室内の位置、領域、対象物及び/若しくは表面に事前に割り当てられた優先順位付けに基づいている。他の方法を用いてスケジュールを同様に適合させてもよい。
【0118】
1つ又は複数の消毒剤源の1つ又は複数の動作パラメータを決定する方法に関わらず、いくつかの実施形態では、
図10のプロセスは、1つ又は複数の独立した動作パラメータに応じて情報を1つ又は複数の消毒剤源に送信するブロック188を含んでいる。情報は、1つ若しくは複数の消毒剤源の1つ又は複数の実行時間、1つ若しくは複数の消毒剤源からの殺菌剤の排出量を調整するためのコマンド、及び/又は1つ若しくは複数の消毒剤源が動作する電力レベルの量を含んでいる。更に他の実施形態では、ブロック180を参照して実行される決定プロセスに応じて、1つ又は複数の特定の量の電力を、1つ又は複数の消毒剤源に送っている。場合によっては、1つ又は複数の消毒剤源に送信される情報は、室内で消毒剤源が位置する位置、及び/又は1つ若しくは複数の消毒剤源を構成する1つ若しくは複数の構成部品の1つ若しくは複数の配向であってもよい。このような場合、1つ若しくは複数の消毒剤源を備えた1つ若しくは複数の消毒デバイスは、移動するように構成しており、及び/又はこれらが受信した情報に従うことができるよう、その構成部品の1つ若しくは複数が移動できる。代替として、ブロック180で決定された1つ又は複数の動作パラメータは、ユーザインタフェースに表示しており、殺菌システムのユーザは1つ又は複数の動作パラメータを発動させられる。
【0119】
図10に概略を示すプロセスの、室内消毒に特に用途があると考えられる実施形態を、以下に詳細に説明する。このような実施形態を詳細に説明し、これらに関して更なる強化を考えるが、このような実施形態の特定の開示は、
図10に関して上述した開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0120】
室内消毒に特に用途があると考えられるあるシステムは、消毒剤源並びにプロセッサ及び消毒剤源を配設する室の物理的特質に関するデータを受信するためにプロセッサが実行可能なプログラム命令を備えた処理サブシステムを含む。このようなプログラム命令は、データを含むデータベースにアクセスするため及び/又はデータを生成するシステムの1
つ若しくは複数のセンサからデータを受信するためのものであってよい。いずれの場合においても、処理サブシステムは受信したデータに基づいて、消毒剤源を位置付けする室内の位置及び/又は消毒剤源を構成する構成部品の配向を決定するための、プロセッサが実行可能なプログラム命令を含む。場合によっては、プログラム命令は更に、データに基づいて、消毒剤源を位置付けする室内の位置のスケジュール及び/又は消毒剤源を構成する1つ若しくは複数の構成部品の配向のスケジュールを決定するためのものである。いくつかの実施形態では、消毒剤源はシステムを構成する複数の消毒剤源のうちの1つであってよい。このような場合、システムのプログラム命令は、複数の消毒剤源それぞれを位置付けする室内の位置を決定するため及び/又は複数の消毒剤源それぞれの1つ若しくは複数の構成部品の配向を決定するために、プロセッサが実行可能であってもよい。
【0121】
上述のシステムの1つ又は複数の消毒剤源は、1つ又は複数の液体、蒸気、ガス、プラズマ、紫外線光及び/又は高強度狭スペクトル(HINS)光消毒剤源を含んでいる。更に、1つ又は複数の消毒剤源の調整可能な1つ又は複数の構成部品は、1つ又は複数の消毒剤源のいずれの可動構成部品を含んでいる。光ベースの消毒剤源の可動構成部品の例は、消毒剤源を構成する光学フィルタ、又は
図1~8に示した紫外線放電ランプ装置に関して説明したもの等の、消毒剤源を構成する反射器システムのいずれの構成部品を含んでよいがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、消毒剤源は1つ又は複数の消毒剤を備えるデバイス又は装置に対して移動するよう構成してもよい。可動消毒剤源の可能な構成の例は、180°の移動能力又はほぼ360°の移動能力さえ有する可動スポットライトと同様のものであってもよい。可動消毒剤源の他の構成も考えられる。例えば場合によっては、消毒剤源はトラックに沿って移動するよう構成してもよい。他の実施形態では、消毒剤源を備えるデバイス又は装置全体は、特に室内の異なる位置へと移動するよう構成してもよい。
【0122】
いずれの場合においても、消毒剤源が移動する及び/又は消毒剤源の1つ若しくは複数の構成部品が移動するように消毒剤源が構成された実施形態では、処理サブシステムは更に、消毒剤源を所定の位置に位置付けする及び/又は構成部品を所定の配向に配設するための情報を消毒剤源に送信するためにプロセッサが実行可能なプログラム命令を含んでいる。更に他の実施形態では、所定の位置及び/又は所定の構成部品の配向をユーザインタフェースに表示してもよく、殺菌システムのユーザは1つ又は複数の動作パラメータを発動させてもよい。いずれの場合においても、上述の方法に特に適切であると考えられる消毒剤源は、再位置付け可能な反射器を有する紫外線光消毒剤源である。しかしながら、このような開示は本明細書で説明するシステム及び/又は方法の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。いずれの場合においても、上述のシステムは、
図9、10を参照して上述した構成のうちのいずれかを有していればよい。したがって、システムは室の物理的特質に関するデータを受信するものに必ずしも限定されない。特に、システムは同様に、室の非物理的特質に関するデータを受信するよう構成していればよい。更に、システムは、室の特徴に基づいて消毒剤源のいずれの同差パラメータを決定するためのプログラム命令を含んでいればよい。特に、上述のシステムは、消毒剤源を位置付けする室内の位置及び/又は消毒剤源を構成する構成部品の方向を決定するものに必ずしも限定されない。
【0123】
室内消毒に特に用途があると考えられる別のシステムは、複数の消毒剤源、並びに1つ又は複数のプロセッサ及び複数の消毒剤源を配設する室の特徴に関するデータを受信するために、この1つ又は複数のプロセッサが実行可能なプログラム命令を備えた処理サブシステムを含む。更に、プログラム命令は、データに基づいて、複数の消毒剤源の1つ又は複数の独立した動作パラメータを決定するためのものである。特に、1つ又は複数の独立した動作パラメータは、消毒剤源それぞれについて固有である。1つ又は複数の独立した動作パラメータは、消毒剤源の実行時間、室内における消毒剤源の位置若しくは速度、消毒剤源を構成する構成部品の配向、消毒剤源からの殺菌剤排出量、及び/又は消毒剤源に
供給される電力を含んでいる。場合によっては、プログラム命令は更に、データに基づいて、複数の消毒剤源それぞれの独立した動作パラメータのスケジュールを室の特徴に基づいて決定するためのものである。一般に、複数の消毒剤源は、液体、ガス、蒸気、プラズマ、紫外線光及び/又は高強度狭スペクトル(HINS)光消毒剤源を含んでいる。複数の消毒剤源は、同一のタイプの消毒剤源を含んでもよく、又は、少なくともその一部が互いに異なる消毒剤源の組合せを含んでいてもよい。更に上述のシステムは、
図9、10を参照して上述した構成のうちのいずれかを有していればよい。
【0124】
上述のシステムに特に適切であると考えられる殺菌システムは、複数の消毒剤源、及び更に処理サブシステムが決定したように光消毒剤源それぞれに独立した電力要件を分配するための電力分配手段を有する光消毒システムである。電力分配手段の代わりに、消毒剤源それぞれが電力制御回路を含んでいる。このような場合、処理サブシステム、電力制御回路に独立した信号を送信して、各消毒剤源が光を生成するために使用する電力量を設定するための、プロセッサ実行可能プログラム命令を含んでいる。いずれの場合においても、異なる光消毒剤源は異なる装置間に分配され、同一の装置に配置されており、又はこれらの組合せであってもよい。上述の光消毒剤システムは、複数の消毒剤源を使用する室内消毒に特に適していると考えられるが、このような開示は、本明細書で説明するシステム及び/又は方法の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。特に、他のタイプの殺菌消毒剤源を同様のシステムで使用してもよく、及び/又はシステムを、電力以外の変化する動作パラメータを用いて構成してもよい。
【0125】
図11を参照して以下により詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、特に消毒剤源が消毒の標的とする位置、領域、対象物及び/又は表面に関して、消毒剤源を互いに協働させるように、システムを構成している。場合によっては、協働のための努力は、別個の装置が互いに通信することを伴う。特に、別個の装置上に配置された消毒剤源を含むシステムは、特にその存在/互いに対する配置及び/又はその1つ若しくは複数の消毒剤源が消毒の標的とする位置、領域、対象物及び/又は表面に関して、装置のうちの少なくともいくつかが互いに通信するように構成している。より具体的には、場合によっては装置は、超音波感知又は赤外線感知等を含むがこれらに限定されない感知システムを介して互いを検知するよう構成している。他の実施形態では、少なくとも1つの装置は、プロセッサと、装置の位置又は装置の消毒剤源の標的位置、領域、対象物若しくは表面に関する情報を送信するためにプロセッサが実行可能なプログラム命令とを含んでいる。したがって、本明細書で説明するシステムの殺菌装置は、室内に他の殺菌装置が存在すること又はその位置を知るか又は確認できるように構成していればよい。
【0126】
装置が装置の消毒剤源の標的位置、領域、対象物又は表面に関する情報を送信するように構成されている場合、別の装置は、プロセッサと、この情報を受信して、受信した情報をその消毒剤源の標的位置、領域、対象物又は表面と比較するための、プロセッサ実行可能プログラム命令とを含んでいる。しかしながら、追加又は代替として、協働のための努力は、複数の消毒剤源の標的位置、領域、対象物又は表面に関する情報を中央処理ユニットで比較することを伴う。いずれの状況においても、システムは、
図11を参照して以下により詳細に説明するように、2つ以上の位置、対象物若しくは表面が互いから所定の距離内にあること又は2つ以上の領域が重複していることを検知するとすぐに、1つ又は複数の補正動作を実行するよう構成している。更に、システムは、消毒プロセスの行程中に装置が消毒した領域を記録して、これらの領域の優先順位付けを解除するか、又はこれらの領域を、消毒プロセスの後続の段階において消毒するものとみなさないようにするよう構成している。
【0127】
図11を参照すると、
図9に示すシステムのプロセッサ実行可能プログラム命令がそのために実行されるように構成される方法の概略を示すフローチャートが示されている。特
に
図11は、複数の消毒剤源の標的位置、領域、対象物又は表面に関する情報を協働させるため、並びに2つ以上の位置、対象物若しくは表面が互いから所定の距離内にあること又は2つ以上の領域が重複していることを検知するとすぐに、標的位置、領域、対象物若しくは表面及び/又は消毒剤源のうちの1つ若しくは複数の動作パラメータの変更を実行するための方法の概略を示す。
図11のブロック190、192に示すように、本方法は、複数の消毒剤源それぞれについて、複数の消毒剤源を配設する室内の標的位置、領域、対象物又は表面を弁別することを含む。本明細書で使用する用語「弁別する」とは、
図10のブロック178を参照して説明したように、室の特徴のデータに基づいて標的位置、領域、対象物又は表面を決定/識別することを包含するが、ユーザ入力、バーコード走査又はデータベースへのアクセス等によって標的位置、領域、対象物又は表面を受信することも包含することに留意されたい。いずれの場合においても、ブロック194、196において、2つ以上の標的位置、対象物若しくは表面が互いから所定の距離内にあるかどうか又は2つ以上の標的領域が重複しているかどうかを決定する。所定の距離はいずれの所定の値のものであってもよく、場合によっては、標的位置、対象物若しくは表面が同一であるかどうかを示す閾値であってもよい。
【0128】
ブロック194又はブロック196の決定が「いいえ」である場合、本方法はブロック198へと向かい、消毒剤源に関して識別された標的位置、領域、対象物又は表面に基づいて、消毒プロセスのためのシステムの準備を続行する。場合によっては、ブロック198のプロセスは、
図10を参照して説明したように、各消毒剤源の1つ又は複数の独立した動作パラメータを決定することを含んでいる。しかしながら、代替実施形態では、このようなプロセスはブロック194、196の前に実行してもよい。場合によっては、ブロック198のプロセスは、
図10のブロック188を参照して説明したように、各消毒剤源の独立した動作パラメータに応じて、消毒剤源に情報を送信することを含んでいる。代替実施形態では、ブロック198のプロセスは、1つ又は複数の動作パラメータをユーザインタフェースに表示することを含んでおり、殺菌システムのユーザはこの1つ又は複数の動作パラメータを発動できる。
【0129】
ブロック194又はブロック196の決定が「はい」である場合、本方法はブロック200へと続き、1つ又は複数の補正動作を実行し、特に複数の消毒剤源のうちの少なくとも1つの計画された消毒プロセスを変更する。ブロック202、204は、実行し得る補正動作の例を提示するために提供したものであるが、他の補正動作も考えられる。ブロック202、204の両方をブロック200のために実行し、又はブロック202、204の一方のみをブロック200のために実行してもよい。ブロック202に示すように、1つの補正動作は、2つ以上の検知した位置、領域、対象物及び/又は表面に対応する消毒剤源のうちの少なくとも1つに関して、異なる標的位置、領域、対象物又は表面を識別することであってもよい。別の補正動作は、ブロック204に示すように、2つ以上の検知した位置、領域、対象物及び/又は表面に対応する消毒剤源のうちの少なくとも1つの動作パラメータを変更することであってもよい。このような場合、変更される動作パラメータは、消毒剤源の実行時間、室内での消毒剤源の位置、消毒剤源を構成する構成部品の配向、消毒剤源からの殺菌剤の排出量、及び/又は消毒剤源に供給される電力である。場合によっては、2つ以上の検知した位置、領域、対象物及び/又は表面に対応する消毒剤源に関する所定の動作パラメータを、ブロック200で1つ又は複数の補正動作を実行する前に比較してもよい。特に、ブロック194又はブロック196の決定が「はい」である場合、消毒剤源に関する所定の動作パラメータを比較し、この比較は、ブロック200を参照して実行される1つ又は複数の補正動作の因子となる。
【0130】
図10、11に概略を示したプロセッサ実行可能プログラム命令は、1つ又は複数の消毒剤源を含むシステムの一部として説明したが、プロセッサ実行可能プログラム命令は必ずしもこのように限定されないことに留意されたい。特に、
図10、11に概略を示した
プロセッサ実行可能プログラム命令は、独立しており必ずしも特定の殺菌システムと関連しない記録媒体上に配置してもよい。より具体的には、
図10、11に概略を示したプロセッサ実行可能プログラム命令は、1つ又は複数の殺菌システムに組み込むために商業的に実現可能な記録媒体上に、ソフトウェアとして配布してもよい。一般に、本明細書で使用する用語「記録媒体」とは、プログラム命令の1つ又は複数のセットを保持するよう構成されたいずれの電子媒体をも表しており、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気若しくは光学ディスク又は磁気テープ等を含むがこれらに限定されない。
【0131】
本開示の便益を享受する当業者には、本発明が、1つ又は複数の反射器を有する紫外線放電ランプ装置及びこのような装置を動作させる方法を提供するものと考えられることを理解されたい。更に、本発明は、殺菌デバイスの動作パラメータ及び/又は消毒スケジュールを決定するシステムを提供すると考えられる。特に、システムは「スマートな」様式で動作する(すなわち、室の1つ又は複数の特徴を考慮して、殺菌デバイスの動作パラメータ及び/又は消毒スケジュールを決定する)ように構成されている。場合によっては、室の消毒プロセス(例えば時間、効率及び徹底度)を最適化するようにシステムを構成してもよい。本発明の様々な態様の更なる修正及び代替実施形態は、当業者には本明細書に鑑みて明らかであろう。
【0132】
例えば、以上の議論では消毒目的の紫外線放電ランプ装置の構成を強調しているが、本開示の範囲はこれに限定されない。特に、本明細書で説明した紫外線放電ランプ装置は、紫外線光を利用するいずれの用途に使用してもよい。更に、本明細書で説明した動作パラメータ及び消毒スケジュールを決定するためのシステム及びプロセスは、いずれの殺菌システムにも適切である。したがって、この説明は説明のみを目的としたものと解釈されるべきであり、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示する目的のものである。本明細書に示し説明した本発明の形態は、現時点で好ましい実施形態として解釈されるべきものであると理解されたい。本明細書で図示及び説明した要素及び材料を置換してもよく、また部品及びプロセスを逆転させてもよく、本発明の特定の特徴を独立して利用してもよく、これら全ては、本発明に関するこの説明の便益を享受した後であれば、当業者には明らかであろう。以下の請求項に記載した本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明した要素に変更を加えてよい。