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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】端子構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H01R4/48 Z
H01R4/48 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020048814
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021150171
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 智哉
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142527(JP,A)
【文献】特開2009-087688(JP,A)
【文献】特開2004-063212(JP,A)
【文献】特開2008-041610(JP,A)
【文献】実開平06-084549(JP,U)
【文献】米国特許第5451167(US,A)
【文献】米国特許第5564941(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0266275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/24- 4/56
H01R 9/00
H01R 9/15- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が電気的に接続される端子構造であって、
配線が挿入される配線挿入部と、この配線挿入部の奥に位置し、配線が電気的に接続される配線接続部と、この配線接続部の奥に位置し、挿入された配線の先端が当接する配線当接部と、この配線当接部に配線が当接したことを表示する当接表示部とを備え、
この当接表示部は、配線挿入方向に対して垂直であり、かつ端子構造を構成する機器の底面に対しても垂直な軸を中心として回動する構造であることを特徴とする端子構造。
【請求項2】
配線当接部は、配線挿入方向に対して垂直であり、かつ端子構造を構成する機器の底面と平行な軸を中心として回動する構造であり、
当接表示部は、配線当接部の回動に連動して回動する連動部材の端部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子構造。
【請求項3】
配線接続部に、配線を電気的に接続する操作部を設け、この操作部の近傍に当接表示部を位置させたことを特徴とする請求項1または2に記載の端子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線が電気的に接続される端子構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器や端子台などには配線を電気的に接続するための端子構造が組み込まれている。このような端子構造においては、配線が好ましい所定位置まで挿入されたことを表示するための手段が設けられている。
【0003】
例えば特許文献1には、回路遮断器の機器の後方に配線挿入孔を設け、この配線挿入口に配線を前向きに挿入すると、配線の先端に押されてレバーが前後方向に揺動し、レバーの停止位置によって配線の挿入位置が表示される構造が開示されている。
【0004】
このように従来は配線の挿入方向と同一の方向に表示手段を回動させていたため、その分のスペースを機器の内部に確保しなければならず、端子構造の小型化を妨げる要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-48875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、配線が所定位置まで挿入されたことを表示する表示手段のために必要なスペースを削減することができる端子構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、配線が電気的に接続される端子構造であって、配線が挿入される配線挿入部と、この配線挿入部の奥に位置し、配線が電気的に接続される配線接続部と、この配線接続部の奥に位置し、挿入された配線の先端が当接する配線当接部と、この配線当接部に配線が当接したことを表示する当接表示部とを備え、この当接表示部は、配線挿入方向に対して垂直であり、かつ端子構造を構成する機器の底面に対しても垂直な軸を中心として回動する構造であることを特徴とするものである。
【0008】
なお配線当接部は、配線挿入方向に対して垂直であり、かつ端子構造を構成する機器の底面と平行な軸を中心として回動する構造であり、当接表示部は、配線当接部の回動に連動して回動する連動部材の端部に形成された構造とすることが好ましい。また、配線接続部に配線を電気的に接続する操作部を設け、この操作部の近傍に当接表示部を位置させた構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の端子構造によれば、配線が所定位置まで挿入されたことを表示する表示手段のために必要なスペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の端子構造を適用したレバー式の端子台を示す外観斜視図である。
図2】本発明の端子構造を適用したレバー式の端子台を示す外観斜視図である。
図3】レバー式の端子台の分解斜視図である。
図4】レバー式の端子台の分解斜視図である。
図5】中央の端子ユニットの分解斜視図である。
図6】中央の端子ユニットの分解斜視図である。
図7】レバー式の端子台の背面側から見た外観斜視図である。
図8】レバー式の端子台の背面側から見た分解斜視図である。
図9】配線接続前のレバー式の端子台の断面図である。
図10】配線接続後のレバー式の端子台の断面図である。
図11】中央の端子ユニットの平面図と内部構造図である。
図12】中央の端子ユニットの平面図と内部構造図である。
図13】配線当接部と当接表示部の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。以下に説明する実施形態は本発明の端子構造をレバー式の端子台に適用したものであるが、ねじ式の端子台であってもよく、速結端子構造の回路遮断器や端子台に適用することもできる。
【0012】
図1図2は本発明の端子構造を適用したレバー式の端子台を示す外観斜視図、図3から図7はその分解斜視図である。この端子台は図1図2に示すように、中央の端子ユニット10を左右のベース11で挟み込んで構成されている。図5に示すように、中央の端子ユニット10は左側ケース12と右側ケース13との間に、端子構造を組み込んだものである。
【0013】
図5において、14は端子板、15は逆U字状のヨークであり、ヨーク15の下端は端子板14の端部にかしめ固定されている。図6の分解図に示すように、ヨーク15の内部には板状の押圧部材16が設けられている。この押圧部材16の左右の端部はヨーク15の側面に上下方向に形成されたスリット17から突出し、引っ掛け部18となっている。押圧部材16はその上方の圧縮ばね19により下向きに弾発されている。
【0014】
ヨーク15の上方にはレバー状の操作部20が配置されており、その屈曲された基部にフック21の上部が掛かっている。フック21は全体として逆U字状であるがその下端部は屈曲部22となっており、前記した押圧部材16の引っ掛け部18が掛かっている。図9に示すように、レバー状の操作部20を上方に起こすとフック21は持ち上げられ、圧縮ばね19を撓ませながら押圧部材16を上昇させる。また図10に示すようにレバー状の操作部20を倒すと押圧部材16は下降し、圧縮ばね19の弾発力によって下方の端子板14に向かって押し付けられる。
【0015】
図6に示すように、端子板14の一方の端部には配線接続用の孔23が形成されている。また他方の端部には複数の突起24が形成されている。図9のように押圧部材16を上昇させると、下方の端子板14との間に配線が電気的に接続される配線接続部25が形成される。また図9に示されるように、配線接続部25の手前側には配線挿入部26が形成されている。配線挿入部26は端子ユニット10の左側ケース12と右側ケース13とにより形成され、配線を配線接続部25にガイドする部分である。
【0016】
図9のようにレバー状の操作部20を起こした状態で配線挿入部26から配線を配線接続部25に挿入したうえで、図10のようにレバー状の操作部20を倒すと押圧部材16は下降し、圧縮ばね19の弾発力によって配線を保持する。このとき端子板14の配線接続部25に形成された複数の突起24が配線に喰い込み、脱落を防止する。
【0017】
このように配線挿入部26の奥に配線接続部25が配置され、さらにこの配線接続部25の奥に、挿入された配線の先端が当接する配線当接部30が設けられている。配線当接部30は図10に示すように上部を水平な軸31によって、端子ユニット10の右側ケース13に軸支されている。この軸31は、配線挿入方向に対して垂直であり、かつ端子構造を構成する機器の底面と平行な軸である。配線当接部30の下端は端子板14の至近位置にあり、配線接続部25に挿入された配線の先端が当接すると、図10のように軸31を中心として小角度だけ背面側に揺動する構造である。
【0018】
なお、配線当接部30の背面の凹部32には弾性手段33である線状バネが挿入され、この弾性手段33の上端は右側ケース13に当接している。このため配線当接部30まで挿入された配線により配線当接部30が押されると弾性手段33は弾性変形し、配線による配線当接部30への当接状態が解除されると、弾性手段33が配線当接部30を図9に示される原位置まで戻す。配線当接部30の片側上部には軸31よりも突出する板状の連動面34が形成されている。
【0019】
端子ユニット10の右側ケース12には、配線当接部30に配線が当接したことを表示する当接表示部40が設けられている。この実施形態では、当接表示部40は配線当接部の回動に連動して回動する連動部材41の端部に形成されている。連動部材41は上下方向に延びる円柱状のもので、その回転軸、即ち円柱の中心軸は配線挿入方向に対して垂直であり、かつ端子構造を構成する機器の底面に対しても垂直な軸である。
【0020】
連動部材41はその上端に当接表示部40を備え、その下端に配線当接部30の連動面34が当接する第1当接部35と第2当接部36が、ほぼ直交するように突設されている。図13(A)に示すように、配線接続部25に配線が挿入される前は、連動部材41の板状の連動面34は第1当接部35と第2当接部36との間に位置する。しかし配線が挿入されると、図13(C)に示すように連動面34が第1当接部35を押しながら移動するため、連動部材41は回転する。その回転角度は、この実施形態ではほぼ90°である。なお、配線が引き抜かれると弾性手段33が配線当接部30を原位置まで戻し、連動面34が第2当接部36を押しながら移動するので、連動部材41も図13(A)の初期位置に復帰する。
【0021】
当接表示部40は連動部材41の上端から側方に突出しており、その上面は着色面42となっている。図11図12に示されるように端子ユニット10の左側上部には表示窓43が形成されており、連動部材41が図13(C)の位置まで移動したとき、表示窓43から着色面42が表示され、連動部材41が図13(A)の原位置にあるときには、図11のように着色面42は表示窓43に表れない。これによって、配線が所定位置まで確実に挿入されたか否かを表示することができる。なお、配線が途中位置まで挿入されたときには、連動部材41は図13(B)のような位置を取り、着色面42の一部が表示窓43に表れるので、挿入が不十分であることも確認することができる。
【0022】
このように、連動部材41の回転軸を配線挿入方向に対して垂直であり、かつ端子構造を構成する機器の底面に対しても垂直な軸としたことにより、当接表示部40の全体構成を小型化することができ、スペースの削減を図ることが可能となる。
【0023】
なお、この実施形態では当接表示部40を備えた連動部材41と配線当接部30を別体で形成しているが、当接表示部40を備えた連動部材41を、配線挿入方向に対して垂直であり、かつ端子構造を構成する機器の底面に対しても垂直な軸の回りに回転するように一体に形成することもできる。
【0024】
以上に説明したように、本発明の端子構造によれば、配線が所定位置まで挿入されたことを表示する表示手段のために必要なスペースを、従来よりも削減することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 端子ユニット
11 ベース
12 左側ケース
13 右側ケース
14 端子板
15 ヨーク
16 押圧部材
17 スリット
18 引っ掛け部
19 圧縮ばね
20 操作部
21 フック
22 屈曲部
23 配線接続用の孔
24 突起
25 配線接続部
26 配線挿入部
30 配線当接部
31 軸
32 凹部
33 弾性手段
34 連動面
35 第1当接部
36 第2当接部
40 当接表示部
41 連動部材
42 着色面
43 表示窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13