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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法及び二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20231003BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20231003BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20231003BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20231003BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20231003BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20231003BHJP
   H01M 50/564 20210101ALI20231003BHJP
   H01M 50/567 20210101ALI20231003BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/04 W
H01M10/04 Z
H01M10/0587
H01M50/176
H01M50/474
H01M50/531
H01M50/564
H01M50/567
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020059903
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021158070
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592204886
【氏名又は名称】冨士発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正也
(72)【発明者】
【氏名】町田 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 啓
(72)【発明者】
【氏名】小田垣 敏弘
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/152372(WO,A1)
【文献】特開2016-219122(JP,A)
【文献】特開2017-059506(JP,A)
【文献】特開2011-216436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 10/04
H01M 10/0587
H01M 50/176
H01M 50/474
H01M 50/531
H01M 50/564
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質が塗工された活物質領域と前記活物質が未塗工の領域であって前記活物質領域から突出した形状を有するタブ部とを有する複数の電極シートを、各電極シートの間にセパレータを挟んで積層して、積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を、開口部を有するケースに前記開口部から収納する収納工程と、
蓋部材を前記開口部に取り付けて前記ケースを封止する封止工程と、
を備え、
同一の極性となる前記電極シートの複数の前記タブ部の束を集電部品に接合するとともに、前記開口部を塞ぐ蓋部材に前記集電部品を取り付ける取付工程をさらに備え、
前記集電部品は、前記タブ部の束と接合される平面状の集電部と、前記蓋部材の表面側の取り出し電極に前記蓋部材の裏面側から接続する平面状の電極接続部と、前記集電部及び前記電極接続部の間を繋ぐ接続部と、を有する一枚の板状部材を有し、
前記取付工程は、前記電極接続部を前記取り出し電極に接続し、前記集電部に前記タブ部の束を接合し、前記集電部と前記電極接続部とが空隙を挟んで略平行になるように前記接続部を折り曲げ、
前記タブ部の幅方向を第1方向とし、
前記集電部の前記第1方向の幅は、前記電極接続部の前記第1方向の幅より長く、
前記取付工程は、前記タブ部の束を接合した後であって前記接続部を折り曲げる前に、折り曲げ後において前記タブ部の束が接合された前記集電部と前記蓋部材の裏面との間に絶縁体が位置するように、前記絶縁体を配設し、前記接続部を折り曲げる、
二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記接続部は、前記取付工程を実施する前において、前記集電部と前記電極接続部とが略垂直になるように屈曲した状態になっている、
請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記取付工程における前記集電部に前記タブ部の束を接合した後に、前記収納工程を実施する、
請求項1又は2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
記接続部の前記第1方向の幅は、前記電極接続部の前記第1方向の幅より短く且つ前記集電部の前記第1方向の幅より短い、
請求項1~のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記接続部における少なくとも折り曲げられた部分の厚みは、前記集電部の厚みより薄く且つ前記電極接続部の厚みより薄い、
請求項1~のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記集電部品は、前記蓋部材に設けられた穴を貫通する柱状部材を有するかしめ部材を有し、
前記取付工程では、前記柱状部材を前記穴に貫通させた状態で、前記かしめ部材で接合を行う、
請求項1~のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記積層体は、捲回された状態で前記ケースに収納される捲回体構造の積層体であり、
一方の極性の前記電極シートにおける前記タブ部は、捲回された一端部から突出した形状を有し、他方の極性の前記電極シートにおける前記タブ部は、捲回された他端部から突出した形状を有する、
請求項1~のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項8】
活物質が塗工された活物質領域と前記活物質が未塗工の領域であって前記活物質領域から突出した形状を有するタブ部とを有する複数の電極シートを、各電極シートの間にセパレータを挟んで積層した積層体と、
同一の極性となる前記電極シートの複数の前記タブ部の束と接合される集電部品と、
開口部を有し、前記積層体を収納するケースと、
前記開口部に取り付けて前記ケースを封止する蓋部材と、
を備え、
前記集電部品は、前記タブ部の束と接合される平面状の集電部と、前記蓋部材の表面側の取り出し電極に前記蓋部材の裏面側から接続する平面状の電極接続部と、前記集電部及び前記電極接続部の間を繋ぐ接続部と、を有する一枚の板状部材を有し、
前記接続部の強度は、前記集電部の強度より低く且つ前記電極接続部の強度より低く、
前記集電部と前記電極接続部とが空隙を挟んで略平行になるように前記接続部が折り曲げられた状態で、前記蓋部材により前記開口部が封止されており
前記タブ部の幅方向を第1方向とし、
前記集電部の前記第1方向の幅は、前記電極接続部の前記第1方向の幅より長く、
前記接続部が折り曲げられた状態において、前記タブ部の束が接合された前記集電部と前記蓋部材の裏面との間に配設された絶縁体を備える、
二次電池。
【請求項9】
記接続部の前記第1方向の幅は、前記電極接続部の前記第1方向の幅より短く且つ前記集電部の前記第1方向の幅より短い、
請求項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記接続部における少なくとも折り曲げられた部分の厚みは、前記集電部の厚みより薄く且つ前記電極接続部の厚みより薄い、
請求項又はに記載の二次電池。
【請求項11】
前記集電部品は、かしめ部材を有し、
前記かしめ部材は、前記蓋部材に設けられた穴を貫通する、前記電極接続部に形成された柱状部材を有する、
請求項10のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項12】
前記積層体は、捲回された状態で前記ケースに収納された捲回体構造の積層体であり、
一方の極性の前記電極シートにおける前記タブ部は、捲回された一端部から突出した形状を有し、他方の極性の前記電極シートにおける前記タブ部は、捲回された他端部から突出した形状を有する、
請求項11のいずれか1項に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の製造方法及び二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池には、正極シートと負極シートとによりセパレータを挟み込む構造により発電体を形成するものがある。また、二次電池は、発電体の面積の大きさにより電池容量が決まる。二次電池では、1つの二次電池の体積あたりの電池容量(以下容量効率と称す)を高めるために、発電体の二次電池内への収納方法が様々考えられている。収納方法の1つとして、広い面積のシート状の発電体を巻いて筒形状とする捲回体構造がある。また、別の収納方法として、複数の正極板と複数の負極板及び複数のセパレータを、正極シートと負極シートとの間にセパレータが挟まれる形態で積層する積層構造がある。
【0003】
二次電池では、集電体を構成するシートを束ね、集電体から電力を取り出す集電部品に要する体積をいかに小さくするかが容量効率に影響する要素の1つとしてある。但し、容積効率を大きくするに際して集電体と集電部品との間の接合強度も考慮する必要がある。
【0004】
特許文献1には、タブ群と導電部材との溶接性を向上させることを目的とした蓄電装置が記載されている。特許文献1に記載の蓄電装置は、一辺から突出した形状のタブを有する電極が積層された電極組立体と、タブが積層されて構成されたタブ群と、それらを収容するケースと、ケースの蓋体に固定され電極組立体と電気を授受する電極端子と、導電部材と、を備える。
【0005】
この導電部材は、タブ群と電極端子とを電気的に接続した金属板の部材であり、蓋体に重なる位置にある基部と、基部に連続し且つタブ群が接合された接続部と、を有し、ケースの開口部を封止する蓋体の内面に絶縁カバーを介して固定される。ここで、接続部の幅は基部の幅より小さく、タブ群は連設方向において基部と離間し、接続部の先端部はタブ群から連設方向に突出している。なお、導電部材の連設方向とは基部と接続部とが並ぶ方向であり、導電部材の幅方向とは基部の面方向に沿い連設方向に直交する方向である。また、上記の電極端子は、外部端子と矩形平板状の接続導体と蓋体に固定される補助端子とを有し、この補助端子は、導電部材とかしめによる接続を行う第1かしめ部と、接続導体とかしめによる接続を行う第2かしめ部と、を有する。接続導体は、外部端子の極柱部を蓋体側から挿入する極柱部挿通孔を有する。接続導体と導電部材とは、それらの間に外部端子の一部と蓋体とが配置された状態で、補助端子の第1、第2かしめ部により接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-107009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の蓄電装置では、その構造上、ケースの蓋体側において接続導体と第2かしめ部とを接合し、電極組立体から突出したタブ群に導電部材を接合し、その後、導電部材を第1かしめ部と接合する必要がある。つまり、特許文献1に記載の蓄電装置では、導電部材の他にかしめ接続のための補助端子が必要となり、また3段階の接合工程が必要となる。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、二次電池のケースを封止する蓋部材と集電部品と電極体とを接合する場合に、接合強度を保ちながら接合工程の数を低減させることが可能な二次電池の製造方法及び二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る二次電池の製造方法は、活物質が塗工された活物質領域と前記活物質が未塗工の領域であって前記活物質領域から突出した形状を有するタブ部とを有する複数の電極シートを、各電極シートの間にセパレータを挟んで積層して、積層体を形成する積層工程と、前記積層体を、開口部を有するケースに前記開口部から収納する収納工程と、蓋部材を前記開口部に取り付けて前記ケースを封止する封止工程と、を備え、同一の極性となる前記電極シートの複数の前記タブ部の束を集電部品に接合するとともに、前記開口部を塞ぐ蓋部材に前記集電部品を取り付ける取付工程をさらに備え、前記集電部品は、前記タブ部の束と接合される平面状の集電部と、前記蓋部材の表面側の取り出し電極に前記蓋部材の裏面側から接続する平面状の電極接続部と、前記集電部及び前記電極接続部の間を繋ぐ接続部と、を有する一枚の板状部材を有し、前記取付工程は、前記電極接続部を前記取り出し電極に接続し、前記集電部に前記タブ部の束を接合し、前記集電部と前記電極接続部とが空隙を挟んで略平行になるように前記接続部を折り曲げる、ものである。
【0010】
この態様に係る二次電池の製造方法は、ケースを封止する蓋部材と集電部品と積層体とを接合する場合に、一枚の板状部材を用いて取り出し電極及びタブ部の束を接合し、その後その板状部材を折り曲げる。これにより、接合強度を保ちながらも接合工程の数を低減させることができる。
【0011】
また、前記接続部は、前記取付工程を実施する前において、前記集電部と前記電極接続部とが略垂直になるように屈曲した状態になっている、ことが好ましい。これにより、上記板状部材を平行にした状態から作業する場合に比べて、取付工程を容易に実施することができる。
【0012】
また、前記タブ部の幅方向を第1方向とし、前記集電部の前記第1方向の幅は、前記電極接続部の前記第1方向の幅より長く、前記取付工程は、前記タブ部の束を接合した後であって前記接続部を折り曲げる前に、折り曲げ後において前記タブ部の束が接合された前記集電部と前記蓋部材の裏面との間に絶縁体が位置するように、前記絶縁体を配設し、前記接続部を折り曲げる、ことが好ましい。これにより、製造工程において容易に絶縁体を配設することができる。
【0013】
また、前記取付工程における前記集電部に前記タブ部の束を接合した後に、前記収納工程を実施する、ことが好ましい。これにより、集電部品と取り出し電極との接合を先に別の場所で実施しておくことができ、異物混入の可能性を低減させることができる。
【0014】
前記タブ部の幅方向を第1方向とし、前記接続部の前記第1方向の幅は、前記電極接続部の前記第1方向の幅より短く且つ前記集電部の前記第1方向の幅より短い、ことが好ましい。これにより、上記板状部材を折り曲げ易くすることができる。
また、前記接続部における少なくとも折り曲げられた部分の厚みは、前記集電部の厚みより薄く且つ前記電極接続部の厚みより薄い、ことが好ましい。これにより、上記板状部材を折り曲げ易くすることができる。
【0015】
また、前記集電部品は、前記蓋部材に設けられた穴を貫通する柱状部材を有するかしめ部材を有し、前記取付工程では、前記柱状部材を前記穴に貫通させた状態で、前記かしめ部材で接合を行う、ことが好ましい。これにより、電極接続部と蓋部材との接合を蓋部材側だけで済ませることができる。
また、前記積層体は、捲回された状態で前記ケースに収納される捲回体構造の積層体であり、一方の極性の前記電極シートにおける前記タブ部は、捲回された一端部から突出した形状を有し、他方の極性の前記電極シートにおける前記タブ部は、捲回された他端部から突出した形状を有する、ものとすることもできる。
【0016】
本発明の他の態様に係る二次電池は、活物質が塗工された活物質領域と前記活物質が未塗工の領域であって前記活物質領域から突出した形状を有するタブ部とを有する複数の電極シートを、各電極シートの間にセパレータを挟んで積層した積層体と、同一の極性となる前記電極シートの複数の前記タブ部の束と接合される集電部品と、開口部を有し、前記積層体を収納するケースと、前記開口部に取り付けて前記ケースを封止する蓋部材と、を備え、前記集電部品は、前記タブ部の束と接合される平面状の集電部と、前記蓋部材の表面側の取り出し電極に前記蓋部材の裏面側から接続する平面状の電極接続部と、前記集電部及び前記電極接続部の間を繋ぐ接続部と、を有する一枚の板状部材を有し、前記接続部の強度は、前記集電部の強度より低く且つ前記電極接続部の強度より低く、前記集電部と前記電極接続部とが空隙を挟んで略平行になるように前記接続部が折り曲げられた状態で、前記蓋部材により前記開口部が封止されている、ものである。
【0017】
この態様に係る二次電池では、ケースを封止する蓋部材と集電部品と積層体とを接合する場合に、一枚の板状部材を用いて取り出し電極及びタブ部の束を接合し、その後その板状部材を折り曲げている。これにより、接合強度を保ちながらも接合工程の数を低減させることができる。
【0018】
また、前記タブ部の幅方向を第1方向とし、前記接続部の前記第1方向の幅は、前記電極接続部の前記第1方向の幅より短く且つ前記集電部の前記第1方向の幅より短い、ことが好ましい。これにより、上記板状部材を折り曲げ易くすることができる。
【0019】
また、前記接続部における少なくとも折り曲げられた部分の厚みは、前記集電部の厚みより薄く且つ前記電極接続部の厚みより薄い、ことが好ましい。これにより、上記板状部材を折り曲げ易くすることができる。
【0020】
また、前記タブ部の幅方向を第1方向とし、前記集電部の前記第1方向の幅は、前記電極接続部の前記第1方向の幅より長く、前記接続部が折り曲げられた状態において、前記タブ部の束が接合された前記集電部と前記蓋部材の裏面との間に配設された絶縁体を備える、ことが好ましい。これにより、製造工程において容易に絶縁体を配設することができる。
【0021】
また、前記集電部品は、かしめ部材を有し、前記かしめ部材は、前記蓋部材に設けられた穴を貫通する、前記電極接続部に形成された柱状部材を有する、ことが好ましい。これにより、電極接続部と蓋部材との接合を蓋部材側だけで済ませることができる。
また、前記積層体は、捲回された状態で前記ケースに収納された捲回体構造の積層体であり、一方の極性の前記電極シートにおける前記タブ部は、捲回された一端部から突出した形状を有し、他方の極性の前記電極シートにおける前記タブ部は、捲回された他端部から突出した形状を有する、ものとすることもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、二次電池のケースを封止する蓋部材と集電部品と電極体とを接合する場合に、接合強度を保ちながら接合工程の数を低減させることが可能な二次電池の製造方法及び二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態に係る二次電池の外観の一例を示す図である。
図2】実施の形態に係る二次電池の製造方法の一例を説明するためのフロー図である。
図3図1の二次電池のケースに収納される積層体の一例を示す斜視図である。
図4図1の二次電池の集電部品及びその取付部材の一例を示す分解図である。
図5図4の集電部品に含まれる正極集電部品の一例を示す図である。
図6図5の正極集電部品の加工方法を説明するための図である。
図7図1の二次電池の製造過程において、蓋に集電部品を取り付けた様子を示す斜視図である。
図8図1の二次電池の製造過程を説明するための斜視図である。
図9図8に続く製造過程の一例を説明するための斜視図である。
図10図9に続く製造過程を説明するための斜視図である。
図11図10に続く製造過程を説明するための斜視図である。
図12図11で用いられる絶縁体の一例を示す斜視図である。
図13図9に続く製造過程の他の例を説明するための斜視図である。
図14図10に続く製造過程の他の例を説明するための斜視図である。
図15図9に続く製造過程の他の例を説明するための斜視図である。
図16図11に続く製造過程を説明するための斜視図である。
図17図16に続く製造過程を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。また、実施の形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0025】
(実施の形態)
実施の形態について、図1図17を参照しながら説明する。図1は、実施の形態に係る二次電池の外観の一例を示す図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係る二次電池1は、ケース10、蓋部材(蓋)11、負極極柱12、正極極柱13を有する。なお、図1に示す二次電池1は、複数組み合わせることで組電池を形成することができ、二次電池1はその組電池の1つのセルとすることができる。
【0027】
ケース10には、二次電池の電気エネルギーを蓄積する発電体が収納される。蓋11は、発電体をケース10に密閉するための蓋であり、ケース10に設けられる開口部から発電体を収納した状態でその開口部に取り付けて、ケース10を封止できる形状を有する。ケース10及び蓋11は、例えばアルミニウム又はその合金などとすることができる。
【0028】
負極極柱12及び正極極柱13は、ケース10内の発電体と電気的に接続され、発電体に対して電流の入出力を行うための電極である。また、二次電池1では、負極極柱12及び正極極柱13がケース10から突出するように設けられる。
【0029】
図1では図示を省略したが、二次電池1では、ケース内に格納される発電体に取り付けられる負極極柱12及び正極極柱13をケース外に取り出すための取り出し穴が蓋11に設けられる。そして、負極極柱12及び正極極柱13は、蓋11に設けられた取り出し穴を介してケース10内に設けられる集電部品と接合される。
【0030】
本実施の形態では、ケース10内に発電体として機能させる積層体を収納し且つ集電部品を取り付ける、二次電池1の製造方法並びにその集電部品の形状に特徴の1つを有する。そこで、以下では、図2の流れに沿って、二次電池1の製造方法の例を説明しながら集電部品の構成例についても説明する。図2は、二次電池1の製造方法の一例を説明するためのフロー図である。
【0031】
本実施の形態に係る製造方法(以下、本製造方法)は、積層工程(ステップS1)、取付工程(ステップS2)、収納工程(ステップS3)、及び封止工程(ステップS4)を含むことができる。
【0032】
まず、ステップS1の積層工程について、図3を参照しながら簡単に説明する。図3は、二次電池1のケース10に収納される積層体の一例を示す斜視図である。
【0033】
ステップS1の積層工程では、複数の電極シートを、各電極シートの間にセパレータを挟んで積層して、積層体(積層電極体)20を形成する。ここで、各電極シートは、その詳細を図示及び説明しないが、活物質が塗工された活物質領域と、活物質が未塗工の領域であって活物質領域から突出した形状を有するタブ部と、を有する。
【0034】
上記電極シートとしては、正極となる正極シートと負極となる負極シートとが含まれる。例えば、正極シートには、活物質として、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2等が塗工される。また、負極シートには、活物質として、例えば、黒鉛(C)、チタネイト(Li4Ti5O12)等が塗工される。
【0035】
発電体として機能させるために、積層体20では、正極シートと負極シートとが正極シートにおける活物質領域と負極シートにおける活物質領域とが重ね合わされるように交互に積層される。そして、上記セパレータはこの正負の活物質領域の間に挟まれるように設けられる。積層体20の一端又は両端の外側にも極板(正極シート又は負極シート)にセパレータが積層されることができる。なお、正極シートの枚数、負極シートの枚数は問わない。積層体20の積層方向は図1に示す方向とすることができる。
【0036】
また、二次電池1では、同一の極性となる電極シートの複数のタブ部が束ねられる。具体的には、正極シートの正極タブ部21pと負極シートの負極タブ部21nをそれぞれ個別に束ねる。例えば、複数の電極シート及び複数のセパレータの積層方向(図3において上下方向となる方向)において、積層体20の一方の端部(図3において最も下側になるシート)に位置する電極シートの側で複数のタブ部を束ねる。正極タブ部21p、負極タブ部21nはいずれも束ねられた状態で、取付工程において集電部品に接合されることになる。以下、正極タブ部21p、負極タブ部21nはいずれも束ねられた状態であることを前提として説明する。
【0037】
このように、積層体20は、複数の電極シート及び複数のセパレータを積層状態とした構成とすることができる。積層時には部材間に接着剤等を用いることもできる。また、積層工程では、積層した積層体20を両面から加圧するなどしてその体積密度を向上させておくことができる。また、積層体20は、その周囲を例えばPP(ポリプロピレン)等のテープで巻いて積層体20の形状を固めておくこともでき、これによりケース10への挿入を容易にすることができる。
【0038】
ステップS2の取付工程では、同一の極性となる電極シートの複数のタブ部の束(正極タブ部21p、負極タブ部21n)を集電部品に接合するとともに、ケース10の開口部を塞ぐ蓋11に集電部品を取り付ける。
【0039】
ここで集電部品の一例及びその蓋11への取付方法について、図4図7を参照しながら説明する。図4は、二次電池1の集電部品及びその取付部材の一例を示す分解図である。なお、図4では、集電部品の組み立て前の状態で、ケース10へ積層体20が収納されない状態での様子を示している。また、図5は、図4の正極集電部品22pの一例を示す図で、図6は、図5の正極集電部品22pの加工方法を説明するための図である。図7は、二次電池1の製造過程において、蓋11に集電部品を取り付けた様子を示す斜視図である。
【0040】
この集電部品は、導電性を有する部品であり、後述する正極集電部品22p、負極集電部品22nを有する。正極集電部品22p、負極集電部品22nは、それぞれ正極タブ部21p、負極タブ部21nと接合される。また、正極集電部品22p、負極集電部品22nはいずれも、蓋11を介して、台座23及び取り出し電極(それぞれ正極極柱13、負極極柱12)と接合される。これらの接合には、レーザ溶接や超音波接合などを用いることができる。
【0041】
負極極柱12及び正極極柱13は、それぞれ台座23の上に設けられる。この台座23は、蓋11に密着され、積層体20がケース10に収納された後の密閉性を高める。正極極柱13と正極側の台座23とは電気的に接続されており、負極極柱12と負極側の台座23も電気的に接続されている。なお、図4では図示しないが、台座23と蓋11との間には絶縁体が設けられる。
【0042】
正極集電部品22pは、平面状の集電部22p_3、平面状の電極接続部22p_1、及び、接続部22p_2と、を有する一枚の板状部材を有するものとする。なお、以下では正極集電部品22pについてのみ説明するが、負極集電部品22nも正極集電部品22pと同様に集電部、電極接続部、及び接続部を有する一枚の板状部材を有することができる。
【0043】
集電部22p_3は、束ねられた正極タブ部21pと接合される部分、つまり積層体20側と接合され集電を行う部分である。正極タブ部21pは、図4に示すように、集電部22p_3の一面側から反対側の面に折り返した状態で接合することができ、図示しないが折り返し側は例えばPP等のテープで固定しておくこともできる。この場合の接合部分は、上記一面側のみとすることができる。また、このような折り返しを行わず、集電部22p_3の一方の面に正極タブ部21pを接合することもできる。
【0044】
電極接続部22p_1は、蓋11の表面側の取り出し電極(電極端子)に蓋11の裏面側から接続する部材である。より具体的には、電極接続部22p_1は、蓋11の裏面側において絶縁体25pを介して配され、正極側の取り出し電極である正極極柱13と接続される部分とすることができる。また、接続部22p_2は、集電部22p_3及び電極接続部22p_1の間を繋ぐ部分である。
【0045】
正極集電部品22pは、取付工程を実施する前において、図4で示すように、接続部22p_2が集電部22p_3と電極接続部22p_1とが略垂直になるように屈曲した状態(つまりL字形状)であることが好ましく、以下ではこの例を挙げる。なお、略垂直とは垂直とみなせるような角度の範囲を含むことができ、同様に以下の説明にある略平行とは平行とみなせるような角度の範囲を含むことができる。
【0046】
図5の上段に示すような平板状の正極集電部品22pを成形しておき、それを接続部22p_2において折り曲げることで、図5の下段に示すようなL字形状の正極集電部品22pを形成することができる。或いは、元々図5の下段に示すようなL字形状に正極集電部品22pを成形しておくこともできる。なお、図5の下段における正極集電部品22pを紙面左側から見た図は、図6の上段のようになる。
【0047】
取付工程では、まず、電極接続部22p_1を正極極柱13に接続する。具体的には、図4に示すように、正極集電部品22pは、絶縁体25pを介して蓋11の一方の面に配され、蓋11の他方の面には台座23及び正極極柱13が配される。そして、正極集電部品22pは、電極接続部22p_1において、蓋11を貫通するかしめ部材24a,24bにより正極極柱13と電気的に接合される。電極接続部22p_1は、かしめ部材24a,24bを取り付ける取付部に相当する。
【0048】
ここで、図4に示すように、電極接続部22p_1には穴24cが設けられ、蓋11には穴24dが設けられる。また、台座23には穴24eが設けられ、絶縁体25pには穴24fが設けられる。そして、二次電池1を組み立てる場合、かしめ部材24aを穴24c、24f、24d、24eに貫通させ、かしめ部材24a及びかしめ部材24bにより、正極集電部品22p、蓋11、及び台座23をかしめることで接合する。ここで、かしめ部材24aは、図示したように穴24cより大きな径の頭部を備えることで、電極接続部22p_1と蓋11側の台座23との溶接等による接合をかしめ部材24b側だけ(つまり蓋11の上面側だけ)で済ませることができる。また、かしめ部材24aと電極接続部22p_1とは一体に形成された部材であってもよく、その場合、電極接続部22p_1に穴24cが存在しないことになる。
【0049】
このように、正極集電部品22pは、次のようなかしめ部材を有することができる。このかしめ部材は、蓋11に設けられた第1穴24dと電極接続部22p_1に設けられた第2穴24cとを貫通する柱状部材と、第1穴24dより大きな径の頭部と、を有するかしめ部材24aとすることができる。第2穴24aを設けない場合、このかしめ部材は、蓋11に設けられた穴24dを貫通する、電極接続部22p_1に形成された柱状部材を有することができる。いずれのかしめ部材を用いることでも、取付工程では、柱状部材を蓋11の穴に24dに貫通させた状態で、台座23側から接合を行うことができる。なお、取付工程では、台座23側から接合を行ったが、蓋11の表面側から接合が可能な構成であれば容易に取り付けを行うことができる。但し、取付工程では、蓋11の裏面側から接合を行うこともでき、その場合、図4におけるかしめ部材24aとかしめ部材24bとの位置を入れ替えた構成、或いは、その構成において台座23に穴24eを設けず柱状部材を台座23と一体化した構成を採用することもできる。
【0050】
このような作業を、正極集電部品22p側だけでなく、負極集電部品22n側も実施することで、図7に示すような状態になる。なお、図7では、開放弁27及び注液口28が設けられた例を示している。開放弁27は、ケース10を密閉状態とした状態でケース10内の内圧が予め設定された圧力以上に高まった場合に、ケース10内の気体を放出するための弁である。
【0051】
このように、集電部品と極柱とを別部品として組み立てることで、接合時の作業性を向上させることができる。また、蓋11により負極集電部品22n、正極集電部品22p、負極極柱12、及び正極極柱13を一体化させることで、以降の工程の作業性を向上させることができる。
【0052】
その後の製造過程について、図8図17を参照しながら説明する。図8図11図16図17は、一連の二次電池1の製造過程の一例を説明するための斜視図で、図12は、図11で用いられる絶縁体の一例を示す斜視図である。また、図13は、図9に続く製造過程の他の例を説明するための斜視図である。図14は、図10に続く製造過程の更に他の例を説明するための斜視図で、図15は、図9に続く製造過程の更に他の例を説明するための斜視図である。
【0053】
まず、図8図12を参照しながら、二次電池1の製造過程のうち、蓋11を閉じる前までの製造工程の一例について説明する。
【0054】
取付工程では、上述のようにして電極接続部22p_1を正極極柱13に接続した後、図8に示すような状態で、集電部22p_3に正極タブ部21pを接合する。このとき集電部22n_3に負極タブ部21nも接合する。上述したようにこの接合にはレーザ溶接や超音波接合などを用いることができるが、この段階においてケース10に積層体20を収納していないため、ケース10内への金属異物の混入を防ぐことができる。また、図8に示すような状態で作業台に載置して接合を行うことで、上側から容易に接合を行うことができる。なお、図8における集電部22p_3裏側の部分でも正極タブ部21pと接合する場合には上下反転させた状態で行うことができる。
【0055】
このように正極タブ部21p、負極タブ部21nをそれぞれ集電部22p_3,22n_3に接合することで、図8及び図9に示すような状態になる。
【0056】
そして、取付工程では、正極タブ部21p及び負極タブ部21nの接合後に、集電部22p_3と電極接続部22p_1とが空隙を挟んで略平行になるように接続部22p_2を折り曲げ、負極側も同時に同様に折り曲げ(図9の白抜き矢印の方向に略90°折り曲げ)、図10に示すような状態にする。このような折り曲げを行った結果を、正極集電部品22pだけについて図示したものが、図6の下段のようになり、上記空隙がクリアランスDfとして図示する部分となる。なお、接続部22p_2は、図5の上段に示すように平板状の状態で、取付工程を実施することもでき、その場合には取付工程での折り曲げ角度が略180°となる。前者の場合には正極集電部品22p及び負極集電部品22nがL字型からU字型に折り曲げられ、後者の場合には正極集電部品22p及び負極集電部品22nがI字型からU字型に折り曲げられることになる。
【0057】
次に、取付工程では、絶縁体26を図10の上側から蓋11と正極タブ部21pが搭載された集電部22p_3との間及び蓋11と負極タブ部21nが搭載された集電部22n_3との間に差し込み、図11のような状態にする。即ち、取付工程は、正極タブ部21pの接合及び負極タブ部21nの接合を実施し、接続部22p_2,22n_2を折り曲げた後に、正極タブ部21pが接合された集電部22p_3及び負極タブ部21nが接合された集電部22n_3と蓋11の裏面との間に絶縁体26を配設する。
【0058】
ここで、例示した絶縁体26について説明する。絶縁体26は、図12に示すように、板状の部材とすることができ、その長さは両極の電極接続部22p_1,22n_1の間の長さより若干短くしておくことができる。また、絶縁体26は、開放弁27、注液口28のそれぞれに対応する位置に、それらを蓋11の内側に露出させるための穴26b、穴26cを備えることができる。また、絶縁体26は、その長手方向の両端部において、蓋11の内側において正極側及び負極側で位置決めするための凹部26dp,26dn及び凸部26ep,26enを備えることができる。凹部26dp及び凸部26ep、凹部26dn及び凸部26enは、それぞれ、図7で図示したような、蓋11の内側の正極側、負極側においてそれぞれ設けられた位置決め用に設けられた凸部11ap及び凹部11bp、凸部11an及び凹部11bnに嵌合又は係合させる形状を有する。また、絶縁体26は、その長手方向の両端部における短手方向の片端(両端でもよいが一方は挿入のために低くしておくことが好ましい)にケース10の開口部の内壁と合わせるための突起部26fp,26fnを備えることができる。また、絶縁体26は、一部材であり、このような位置決めのための凹凸が形成されているため、蓋11等の他の部材に対して位置ズレを防止することができる。
【0059】
そして、図11に示すように、絶縁体26は、突起部26fp、突起部26fnが設けられる長手方向位置付近においてそれぞれ、正極タブ部21p、負極タブ部21nが位置するように配設しておくことができる。また、絶縁体26は、正極タブ部21p、負極タブ部21nがそれぞれ集電部22p_3,22n_3に接合された後に限らず、接合される前に配設することもできる。
【0060】
正極タブ部21pの幅方向を第1方向として説明する。絶縁体26の凹部26dp及び凸部26ep側は、接続部22p_2が折り曲げられた状態において、正極タブ部21pが接合された集電部22p_3と蓋11の裏面との間に配設されることができる。同時に、絶縁体26の凹部26dn及び凸部26en側は、接続部22n_2が折り曲げられた状態において、負極タブ部21nが接合された集電部22n_3と蓋11の裏面との間に配設されることができる。
【0061】
この場合、絶縁体26は、集電部22p_3と蓋11の裏面との間及び集電部22n_3と蓋11の裏面との間に挿入して配設することができるが、クリアランスDfで示した空隙の厚みから正極タブ部21pの厚み(負極タブ部21nの厚み)を差し引いた分だけ空隙が存在するため、その空隙に挿入することができる。この例では、このような位置に絶縁体26が必要となる前提として、図5で例示するように集電部22p_3の第1方向の幅Wcは、電極接続部22p_1の第1方向の幅Waより長いものとする。集電部22n_3の第1方向の幅Wcも電極接続部22n_1の第1方向の幅Waより長いものとする。また、蓋11の凸部11ap,11an及び絶縁体22の凸部26ep,26enの高さは、絶縁体26の挿入の邪魔にならない程度に決めておけばよい。
【0062】
次に、図13を参照して、図9に続く蓋11を閉じる前までの製造工程の他の例について説明する。本例の取付工程では、正極タブ部21p,負極タブ部21nの接合後に(図9の状態において)、図12の絶縁体26を蓋11の裏面に取り付け又は配置して、図13に示すような状態にすることができる。その後、本例の取付工程では、接続部22p_2,22n_2を折り曲げ、図11に示すような状態にすることができる。なお、配置する場合には治具等を用いて配置させた状態を維持することもできる。
【0063】
この例でも、図10の例と同様に、集電部22p_3と電極接続部22p_1とが空隙を挟んで略平行になるように接続部22p_2を折り曲げ、負極側も同時に同様に折り曲げ(図13の白抜き矢印の方向に折り曲げ)、図11に示すような状態にする。この例でも正極集電部品22p及び負極集電部品22nがL字型からU字型に折り曲げられてもよいし、I字型からU字型に折り曲げられてもよい。また、図13の例の場合、絶縁体26は、その長手方向の両端部における短手方向の両端(両端で同じ高さでもよい)にケース10の開口部の内壁と合わせるための突起部26fp,26fnを備えることもできる。
【0064】
次に、図14図15を参照して、図12の絶縁体26を2つに分けた絶縁体を備えた二次電池1の製造工程のうち、それぞれ図10図9に続く蓋11を閉じる前までの製造工程の他の2例を説明する。ここで説明する2例ではいずれも、図12に示す絶縁体26の代わりに、図14に示すように、絶縁体26の長手方向中央部分を取り除いた形状の一対の絶縁体26p,26nを使用する。ここで説明する2例に比べ、図12の絶縁体26を用いた例の方が二次電池1の製造は容易である。
【0065】
図14を参照して説明する例における取付工程では、正極タブ部21p及び負極タブ部21nの接合後に、まず正極集電部品22p及び負極集電部品22nをU字型に折り曲げ(図9の白抜き矢印の方向に折り曲げ)、図10に示すような状態にする。なお、本例においても、正極集電部品22p及び負極集電部品22nがI字型からU字型に折り曲げられてもよい。
【0066】
その後、本例における取付工程では、絶縁体26p,26nをそれぞれ正極集電部品22p、負極集電部品22nと蓋11の裏面との間に挿入して配設し、図14に示すような状態にする。なお、絶縁体26p、絶縁体26nは、それぞれ、正極タブ部21p、負極タブ部21nをそれぞれ集電部22p_3に接合する前に取り付け又は配置しておくこともできる。
【0067】
正極タブ部21pの幅方向を第1方向として、絶縁体26pについて説明する。なお、絶縁体26nについても絶縁体26pと同様である。絶縁体26pは、接続部22p_2が折り曲げられた状態において、正極タブ部21pが接合された集電部22p_3と蓋11の裏面との間に挿入されることができる。本例でも、このような位置に絶縁体26pが必要となる前提として、図5で例示するように集電部22p_3の第1方向の幅Wcは、電極接続部22p_1の第1方向の幅Waより長いものとする。
【0068】
また、絶縁体26pは、正極タブ部21pを接合した集電部22p_3の一部を覆う第1面とそれに略垂直な第2面とでなるL字形状を有することができる。上記第2面には、集電部22p_3の先端側(図14の横方向の先端側)の部分を嵌挿できるような細長の穴を設けておくことができる。絶縁体26pは、集電部22p_3と蓋11の裏面との間に挿入して配設することができるが、クリアランスDfで示した空隙の厚みから正極タブ部21pの厚みを差し引いた分だけ空隙が存在するため、その空隙に第1面を挿入することができる。
【0069】
図15を参照して説明する例における取付工程では、正極タブ部21p及び負極タブ部21nの接合後に(図9に示す状態にした後)、絶縁体26p,26nをそれぞれ正極集電部品22p、負極集電部品22nに取り付けるか、或いはそれぞれ正極集電部品22p、負極集電部品22nの位置に治具等を用いるなどして配置させた状態を維持する。これにより、図15に示すような状態とする。つまり、本例における取付工程は、正極タブ部21pを接合した後であって接続部22p_2の折り曲げ前に、折り曲げ後において正極タブ部21pが接合された集電部22p_3と蓋11の裏面との間に絶縁体26pが位置するように、絶縁体26pを配設する。絶縁体26pは、例えば、上記細長の穴に集電部22p_3の先端を差し込むことで、このような位置に容易に取り付けることができる。負極側の絶縁体26nについても同様である。なお、絶縁体26p、絶縁体26nは、それぞれ、正極タブ部21p、負極タブ部21nをそれぞれ集電部22p_3に接合する前に取り付け又は配置しておくこともできる。
【0070】
その後、本例における取付工程では、正極集電部品22p及び負極集電部品22nをU字型に折り曲げ、図14に示すような状態にする。なお、本例においても、正極集電部品22p及び負極集電部品22nがI字型からU字型に折り曲げられてもよい。
【0071】
上述のようにしてステップS2の取付工程が実施される。これに続くステップS3の収納工程では、積層体20をケース10にその開口部から収納する。具体的には、図11に示すような状態から正極タブ部21p及び負極タブ部21nを折り曲げることで、図16に示すような状態(蓋11の面を積層方向に略平行になる状態)にし、フィルム(図示せず)で覆った後、図17に示すようにケース10の開口部から積層体20をケース10に挿入する。なお、正極タブ部21p及び負極タブ部21nを折り曲げは、負極極柱12及び正極極柱13が積層体20の積層面に略平行な方向に突出するように実施されることになる。なお、説明を省略するが、図14に示す状態から正極タブ部21p及び負極タブ部21nを折り曲げることでも、図16に示すような状態(但し、絶縁体26の代わりに絶縁体26p,26n)にすることができる。
【0072】
ステップS4の封止工程では、蓋11を開口部に取り付けてケース10を封止する。この取り付けは、例えばレーザ溶接などで接合することで行うことができる。これにより、蓋11は、一方の面(裏面)に集電部品が設けられ、他方の面(表面)に取り出し電極が取り付けられた状態で、ケース10を封止することになる。このときケース10の開口部は、次のような状態で蓋11により封止されることになる。即ち、封止状態では、集電部22p_3と電極接続部22p_1とが空隙を挟んで略平行になるように接続部22p_2が折り曲げられた状態で、且つ集電部22n_3と電極接続部22n_1とが空隙を挟んで略平行になるように接続部22n_2が折り曲げられた状態となる。
【0073】
また、積層体20を発電体として機能させるために、積層体20をケース10に収納した状態で、蓋11の注液口28から有機溶媒などの非水電解液を注入し、積層体20に含浸させる。積層体20は、非水電解液が積層体20の端面から極板とセパレータとの間を通って積層体20に含浸されることで、発電体として機能させることができる。なお、注液口28を設けた場合には、その後、キャップ等により注液口28を封止しておけばよい。注液口28は設けなくてもよく、その場合には、例えば蓋11を取り付ける前にケース10の開口部から非水電解液を注入しておくことができる。
【0074】
以上のように、本製造方法では、ケース10を封止する蓋11と集電部品と電極体(積層体20)とを接合する場合に、一枚の板状部材を用いて取り出し電極及び正負極のタブ部の束を接合し、その後、その板状部材を折り曲げている。これにより、本製造方法では、接合の強度を保ちながら、接合工程の数を2回に減らすことができ、製造コストを抑えることができる。
【0075】
例えば、本製造方法では、蓋11を含むサブアセンブリを製造するに際して、正極極柱13又はそれに接続された取り出し電極及び負極極柱12又はそれに接続された取り出し電極だけでなく、正極集電部品22p及び負極集電部品22nも一緒に接合(かしめ及び溶接など)する。その後、本製造方法では、そのサブアセンブリを、正極集電部品22p、負極集電部品22nにおいて、それぞれ正極、負極のタブ部の束と接合する。本製造方法では、そのような2段階の接合を経た後、ケース10に収納することで、二次電池1を製造することができる。また、本製造方法によれば、ケース10への収納を接合が終わってから行うことができるため、ケース10の内部に異物が混入する可能性も低減させることができる。
【0076】
以上の例では、より異物混入を防止できるように、取付工程における集電部22p_3に正極タブ部21pを接合し且つ集電部22n_3に負極タブ部21nを接合した後に、収納工程を実施した。
【0077】
一方で、取付工程における電極接続部22p_1を正極極柱13に接続し且つ電極接続部22n_1を負極極柱12に接続した後であって、集電部22p_3,22n_3にそれぞれ正極タブ部21p、負極タブ部21nを接合する前に、収納工程を実施することもできる。この場合でも、図9に示す状態において積層体20がケース10に挿入されただけの状態であるため、接合部分を上側に向けることで、より好ましくはケース10の開口部側に異物混入防止の物体を配することで、ケース10の内部に異物が混入し難くなる。
【0078】
また、本製造方法では、図6に示したように正極集電部品22pをL字形状(又は図5上段のI字形状)からU字形状に折り曲げることになる。よって、接続部22p_2の強度は、集電部22p_3の強度より低く且つ電極接続部22p_1の強度より低くしておくことが好ましい。正極側についてのみ説明するが、負極側についても正極側と同様である。なお、以下の例は、図6の例でも分かるように複数を組み合わせることもできる。
【0079】
正極タブ部21pの幅方向を第1方向として、このような強度の関係を持たせるための構成例について説明する。例えば、図5に示したように、接続部22p_2の第1方向の幅Wbは、電極接続部22p_1の第1方向の幅Waより短く且つ集電部22p_3の第1方向の幅Wcより短いことが好ましい。
【0080】
接続部22p_2における少なくとも折り曲げられた部分の厚みDbは、集電部22p_3の厚みDcより薄く且つ電極接続部22p_1の厚みDaより薄くすることが好ましい。特に、接続部22p_2において肉薄となっている部分は、折り曲げられたときに外側に位置する側とすることが平行なクリアランスDfの形成し易さの点で好ましい。特に、曲げ外側の接続部22p_2の板厚が減少している範囲TbがクリアランスDfよりも大きいことが、曲げ易さの点で好ましい。
【0081】
例えば、図6において、Da=Dc、Db=0.5~0.9×Daとすること、つまり電極接続部22p_1の板厚Da、集電部22p_3の板厚Dcに対し、曲げ外側の接続部22p_2の板厚Dbを10~50%減少させておくことができる。例えば、正極タブ部21pを73組程度設けたような積層体20を採用した場合、クリアランスDfは0.4~1.5mm程度の一定値に折り曲げることができる。
【0082】
(代替例)
なお、本発明は上述した実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、二次電池としてはリチウムイオン二次電池などが挙げられるが、これに限ったものではなく、非水二次電池に限ったものでもない。例えば、上記の実施の形態で説明した各部材の形状や材質など、或いは製造方法は、例示したものに限らず、二次電池としての機能が果たせるもの、或いはそのような製造方法が実施できるものであればよい。
【0083】
例えば、図1等では、二次電池1として角型の二次電池を用いた例を挙げたが、その形状は問わない。さらに、二次電池1として上側にタブを有する上タブ構造の二次電池を例に挙げたが、このような上タブ構造に限らない。例えば、二次電池は、片側面に向けて両極のタブ部が引き出された積層体をケースに収納し片側面に設けられた開口部に蓋を取り付けて封止する構造(以下、横タブ構造)を採用することもできる。或いは、二次電池は、両面(両側面又は上下面)に向けて各極のタブ部が引き出された積層体をケースに収納し両面に設けられた開口部の双方に蓋を取り付けて封止する構造(以下、両タブ構造)を採用することもできる。いずれの構造の二次電池であっても、上述した実施の形態における製造方法を援用することで製造することができる。但し、組電池としての高容量化のためには、一面にタブが集まる上タブ構造が好ましく、二次電池の高容量化のためには上タブ構造又は横タブ構造が両タブ構造より好ましい。
【0084】
また、上述した実施の形態では、積層構造の発電体をケースに収納した例を挙げて説明したが、発電体として捲回体(捲回体構造の発電体)を採用することもできる。この捲回体は、例えばセパレータ、正極シート、セパレータ、負極シート、セパレータが積層された積層体が捲回された状態のものであり、収納前に扁平に形成されることもある。この場合の捲回体の積層方向は捲回体の短軸方向とすることができ、積層方向は例えば図1に示す方向とすることができる。
【0085】
この捲回体は、捲回軸方向の端部を横方向としてケースに収納させることもでき、ケース内には1又は複数の捲回体を収納させることができる。捲回する前において、活物質未塗工領域を所定の間隔(又は捲回されることを考慮して同じ位置にくるように少しずつ長くした間隔)で切り欠いておき、複数のタブ部(集電用のタブ部)を形成しておく。正極側、負極側で異なる端部から突出した形状を有するようにタブ部を形成しておくことで、捲回体において一方の端部(例えば左側端部)で正極シートのタブ部を束ねることができ、他方の端部(例えば右側端部)で負極シートのタブ部を束ねることができる。正極側の束ねたタブ部と負極側の束ねたタブ部は、いずれも上側(蓋側)に導出させておけばよい。このように、タブ部付きの捲回体構造の積層体を備えた二次電池についても、本実施の形態を適用することができる。
【0086】
また、本発明は、上述したような様々な例を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 二次電池
10 ケース
11 蓋
11ap、11an 凸部
11bp、11bn 凹部
12 負極極柱
13 正極極柱
20 積層体
21n 負極タブ部
21p 正極タブ部
22n 負極集電部品
22p 正極集電部品
22p_1 電極接続部
22p_2 接続部
22p_3 集電部
22n_1 電極接続部
22n_2 接続部
22n_3 集電部
23 台座
24a、24b かしめ部材
24c、24d、24e、24f 穴
25p、25n 絶縁体
26、26p、26n 絶縁体
26b、26c 穴
26dp、26dn 凹部
26ep、26en 凸部
26fp、26fn 突起部
27 開放弁
28 注液口
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