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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】射撃訓練システム
(51)【国際特許分類】
   F41J 5/14 20060101AFI20231003BHJP
   F41J 5/10 20060101ALI20231003BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F41J5/14
F41J5/10
G09B9/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020151715
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022045943
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小峰 幸子
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-41743(JP,A)
【文献】特開2001-224856(JP,A)
【文献】特開2014-134352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41J 5/14
F41J 5/10
G09B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的への弾着を検知する検出器を含む標的装置と、
前記標的装置と通信可能な端末と、を備え、
前記端末は、
表示部と、
前記検出器の検出信号を受信し、着弾位置の画像データを生成して、前記表示部に表示する制御部と、を含み、
前記制御部は、着弾ごとに、各着弾位置が表示されるように、前記画像データを拡大又は縮小して、前記表示部に表示する、射撃訓練システム。
【請求項2】
請求項1に記載の射撃訓練システムにおいて、
前記表示部は、前記画像データが表示される表示領域を含み、
前記制御部は、
着弾ごとに、射撃目標である中心点からの前記着弾位置のX座標及びY座標の最大値が収まる範囲を抽出して表示エリアを設定し、
前記表示エリアを前記表示領域にあわせ拡大または縮小して表示する、射撃訓練システム。
【請求項3】
請求項2に記載の射撃訓練システムにおいて、
前記表示部には、前記着弾位置の前記X座標、前記Y座標および前記中心点から前記着弾位置までの距離および方向が表示される、射撃訓練システム。
【請求項4】
請求項2に記載の射撃訓練システムにおいて、
前記表示部には、訓練時間の残時間の表示と訓練中の着弾状況とが表される、射撃訓練システム。
【請求項5】
請求項2に記載の射撃訓練システムにおいて、
前記表示部は、前記表示領域の表示切替を設定するための表示設定領域を含み、
前記表示設定領域は、自動表示を指示する自動表示ボタンを含み、
前記自動表示ボタンが選択されると、前記制御部は、着弾ごとに、各着弾位置が表示されるように、前記画像データを拡大又は縮小して、前記表示部に表示する、射撃訓練システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射撃訓練システムに係り、特に、射撃訓練システムにおける標的への着弾結果表示に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
射撃訓練のためのシステムが提案されている。このような射撃訓練システムでは、訓練者が標的を射撃し、標的に着弾があった時に、着弾位置を検出するセンサからの座標(X、Y)を取得し、指揮官や射手の近傍に設置された端末のモニタに結果表示を行うものがある。射撃訓練システムの提案としては、たとえば、特開2019-27661号公報、特開2019-60519号公報、特開2020-41743号公報、特開平9-4999号公報等が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-27661号公報
【文献】特開2019-60519号公報
【文献】特開2020-41743号公報
【文献】特開平9-4999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
射手や指揮官の近傍に設置された端末のモニタに射撃結果表示を行っていたため、射撃訓練時における着弾位置の詳細を、射手が発射ごとにリアルタイムに知ることができなかった。そのため、次弾の発射時に目標位置や射撃姿勢を逐次修正しながら訓練を実施して、訓練効率を上げることが難しい。
【0005】
本開示の課題は、射撃訓練時における着弾位置の詳細を、射手が発射ごとにリアルタイムに知ることが可能な射撃訓練システムを提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0008】
一実施の形態によれば、射撃訓練システムは、標的への弾着を検知する検出器を含む標的装置と、前記標的装置と通信可能な端末と、を備える。前記端末は、表示部と、前記検出器の検出信号を受信し、着弾位置の画像データを生成して、前記表示部に表示する制御部と、を含む。前記制御部は、着弾ごとに、各着弾位置が表示されるように、前記画像データを拡大又は縮小して、前記表示部に表示する。
【発明の効果】
【0009】
上記一実施の形態に係る射撃訓練システムによれば、射手が発射ごとにリアルタイムに知ることにより、次弾の発射時に目標位置や射撃姿勢を修正しながら訓練を実施可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例に係る射撃訓練システムの装置構成を示す図である。
図2図2は、図1の標的装置の一構成を示す図である。
図3図3は、ラバータイプのセンサの一構成を示す図である。
図4図4は、弾着結果の表示方法を説明する図である。
図5図5は、各ボタンを選択した場合の表示領域の表示例を示す図である。
図6図6は、5発の射撃を行った際の端末のモニタへの表示例を示す図である。
図7図7は、図6に示す5発の射撃の着弾座標の一例を示す図である。
図8図8は、実施例に係る5発の射撃を行った際の端末のモニタの表示エリアを説明する図である。
図9図9は、実施例に係る5発の射撃を行った際の端末のモニタの表示状態を順番に示す図である。
図10図10は、実施例に係る着弾から表示までの処理フローを示す図である。
図11図11は、実施例に係る端末の構成例を示すブロック図である。
図12図12は、モニタの表示領域の他の表示状態を説明する図である。
図13図13は、モニタの表示領域の他の表示状態を説明する図である。
図14図14は、訓練時間から着弾時間までの時刻データが表示された結果表示の一例を示す図である。
図15図15は、着弾状況の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態、および、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例
【0012】
図1は実施例に係る射撃訓練システムの装置構成を示す図である。射撃訓練システム10において、射手1は銃などの火器2を使用し、実弾を標的装置3に設けられた標的4に向かって発射し、訓練を実施する。着弾位置は、標的装置3の検出器5により検知され、射手1の近傍に設置された端末7に通知することで、端末7のモニタ上に着弾位置を表示する。また、端末7から訓練時の情報(使用標的、使用火器等)の訓練条件の設定が行えるようになっている。端末7は射手1の近くに設置され、射手1と標的4との間に距離があっても射手1は着弾位置や得点等を確認することが可能である。端末7と標的装置3の制御装置6とは無線等によりデータの入出力を行う。
【0013】
図2を用いて標的装置3の一構成例について説明する。なお、図2図1において側面図を示した標的装置3の正面図である。標的装置3は、標的4、検出器5、制御装置6を含んで構成される。標的4は、例えばヒトのシルエット等の板状形状をしており、制御装置6により起立/倒れといった動作制御がなされる。検出器5は標的4の前に設置され、射撃の弾着を検知する。検出器5は標的4よりも広い検出エリア21への弾着が検知でき、また標的4への着弾如何に関わらず、検出エリア21への弾着を検知する。検出エリア21は標的4と同一面上のエリアであって、標的4よりも広い領域が設定される。検出器5は、検出エリア21の通過位置の位置座標を検出して着弾座標とする。実弾の位置座標の検出には、衝撃波を検出する複数のセンサや複数の超音波センサ等を用い、検出器5は複数のセンサが衝撃波を検知した時間、複数のセンサ間の位置関係から検出エリア21におけるXY座標に変換された着弾座標を算出する。
【0014】
ただし、けん銃等の初速の遅い火器の場合は、衝撃波を検知するタイプのセンサでは着弾位置を検知できない。そのような場合には、図3に示すようなラバータイプのセンサを使用することができる。木枠31の裏表をラバー32,33ではさみ、木枠下部に設けた複数のセンサ34で弾の通過位置を検出するものである。弾がラバーを通過したときに、弾の衝撃波が音響センサ、超音波センサ等の複数のセンサで検知され、複数のセンサが衝撃波を検知した時間、センサ間の位置関係から、検出エリア35におけるXY座標に変換された着弾座標を算出する。ラバー32,33は伸縮能力を有し、弾丸貫通時の貫通穴が収縮可能な自己修復材料であることが望ましい。この場合の標的としては、標的4のような形状をした的紙をラバー上に貼りつける。
【0015】
弾着時には、端末7に弾着位置、時間、得点等を表示し、射手1は端末7のモニタを見て射撃結果を得ることが出来る。得点は自動計算され、総得点も表示が可能である。このような射撃訓練システムでは、検出器5の検出結果より算出される着弾座標及び火器の口径サイズから、着弾位置を中心とする弾の外径に応じた採点を可能としている。
【0016】
図4は、弾着結果の表示方法を説明する図である。図5は、各ボタンを選択した場合の表示領域の表示例を示し、(a)はボタン「左上」を選択した時の表示例を示し、(b)はボタン「左下」を選択した時の表示例を示し、(c)はボタン「右上」を選択した時の表示例を示し、(d)はボタン「右下」を選択した時の表示例を示し、(e)はボタン「的中心」を選択した時の表示例を示している。なお、以下の説明では、検出エリア35を例として説明するが、検出エリア35を検出エリア21へ変更しても良い。
【0017】
図4には、弾着結果を表示する場合における端末7のモニタの表示画面71の構成例が示されている。表示画面71は、検出エリア35の弾着結果を表示するため表示領域711と、表示領域711の表示切替を設定するための表示設定領域712と、を有する。表示設定領域712には、表示切替のための複数の表示切替ボタンBMが配置されている。この例では、表示切替ボタンBMとして、「全体」、「的中心」、「拡大」、「左上」、「左下」、「右上」、「右下」および、「自動表示」BMAが示されている。たとえば、下記に示すボタンBMが選択されると、表示領域711に対応する表示が行われる。
【0018】
ボタン「全体」:図4の表示領域711に示す様に、検出エリア35の全体を表示する。
ボタン「的中心」:図5(e)に示す様に、検出エリア35における標的4の中心を表示する。
ボタン「左上」:図5(a)に示す様に、検出エリア35の左上を表示する。
ボタン「左下」:図5(b)に示す様に、検出エリア35の左下を表示する。
ボタン「右上」:図5(c)に示す様に、検出エリア35の右上を表示する。
ボタン「右下」:図5(d)に示す様に、検出エリア35の右下を表示する。
【0019】
この例では、射手1や指揮官が端末7のモニタの表示切替ボタンBMを操作することにより、着弾位置の表示エリアを切り替える。この方式では、射手1や指揮官が端末7のモニタの表示切替ボタンBMを操作しないと表示切替が行えないため、射撃途中で着弾位置を詳細に確認したい場合には、射撃を中断しなければならなかった。このため、次弾の発射時に目標位置や射撃姿勢を逐次修正しながら訓練を実施することが困難となっていた。
【0020】
この課題を解決する為、表示切替ボタンBMとして、新規に、ボタン「自動表示」BMAが追加されている。ボタン「自動表示」(自動表示ボタンともいう)BMAを追加することで、射撃訓練時における着弾位置の詳細を、射手1が発射ごとにリアルタイムに知ることができようになる。これにより、次弾の発射時に目標位置や射撃姿勢を逐次修正しながら訓練を実施することができるようになる。
【0021】
以下、ボタン「自動表示」BMAが選択された場合の動作等について説明する。図6は、5発の射撃を行った際の端末のモニタへの表示例を示す図である。図7は、図6に示す5発の射撃の着弾座標の一例を示す図である。図8は、実施例に係る5発の射撃を行った際の端末のモニタの表示エリアを説明する図である。図9は、実施例に係る5発の射撃を行った際の端末のモニタの表示状態を順番に示す図である。
【0022】
まず図6を用いて前提を説明する。図6には、5発の射撃を行った際の表示領域711の表示例を示している。この例では、ボタン「全体」が選択された場合であり、検出エリア35の全体が表示された状態である。図6において、検出エリア35は、例えば、X方向1000mm×Y方向1000mmの形状とされ、中心座標が(0、0)であるものとする。また、5発の射撃において、1発目の射撃の着弾位置B1、2発目の射撃の着弾位置B2、3発目の射撃の着弾位置B3、4発目の射撃の着弾位置B4、5発目の射撃の着弾位置B5であるものとする。
【0023】
図7には、1発目の射撃の着弾位置B1から5発目の射撃の着弾位置B5のおのおのの着弾座標(X,Y)のX方向の着弾点XとY方向の着弾点Yとが例示的に示されている。
【0024】
図8には、ボタン「自動表示」MBAが選択された場合の表示領域711に表示される表示エリアが示されている。1発目の射撃の着弾位置B1が表示される時には、表示エリアAR1が表示領域711に自動的に表示される。2発目の射撃の着弾位置B2が表示される時には、表示エリアAR2が表示領域711に自動的に表示される。3発目の射撃の着弾位置B3が表示される時には、表示エリアAR2が表示領域711に自動的に表示される。4発目の射撃の着弾位置B4が表示される時には、表示エリアAR3が表示領域711に自動的に表示される。5発目の射撃の着弾位置B5が表示される時には、表示エリアAR2が表示領域711に自動的に表示される。
【0025】
1発目の着弾時は、射撃目標である中心点(0、0)からの着弾位置B1のX座標及びY座標が収まる範囲を抽出して表示エリアAR1を設定し、表示エリアAR1を表示領域711にあわせ拡大表示する。2発目以降は、射撃目標である中心点(0、0)からの着弾位置(B2、B3,B4,B5)のX座標及びY座標の最大値が収まる範囲を抽出し表示エリア(AR2,AR3)を設定し、表示エリア(AR2,AR3)を表示領域711にあわせ拡大又は縮小表示する。3発目の射撃の着弾位置B3の表示例や5発目の射撃の着弾位置B5の表示例で説明した様に、すでに、表示されている表示エリア(AR2またはAR3)内に新たに着弾した時(B3、B5)は、その新たな着弾点を表示領域711に表示するのみとし、表示エリア(AR2、AR3)自体の拡大又は縮小表示は行わない。
【0026】
図9に示す様に、ボタン「自動表示」BMAが選択された場合には、表示領域711の表示状態は、着弾ごとに自動的に変化していく。すなわち、1発目の着弾時は表示エリアAR1および着弾位置B1を自動的に表示し、2発目の着弾時は表示エリアAR2および着弾位置B1、B2を自動的に表示する。同様に、3発目の着弾時は表示エリアAR2および着弾位置B1-B3を自動的に表示し、4発目の着弾時は表示エリアAR3および着弾位置B1-B4を自動的に表示し、5発目の着弾時は表示エリアAR3および着弾位置B1-B5を自動的に表示する。
【0027】
したがって、射撃訓練時における着弾位置の詳細を、射手1が発射ごとに表示領域711の表示状態からリアルタイムに知ることができようになる。次弾の発射時に目標位置や射撃姿勢を逐次修正しながら訓練を実施することができる。
【0028】
図10は、実施例に係る着弾から表示までの処理フローを示す図である。図11は、実施例に係る端末7の構成例を示すブロック図である。
【0029】
図10に示す様に、ボタン「自動表示」BMAが選択された場合、以下に示す処理が行われる。
【0030】
(ステップS1:着弾有無の判定)
着弾があったか否かが判定される。着弾があった場合(あり)、ステップS2へ移行する。着弾が無い場合(なし)、再度、ステップS1が繰り返し実行される。
【0031】
(ステップS2:着弾座標の取得)
センサとしての検出器5から着弾点のXY座標を取得する。
【0032】
(ステップS3:着弾座標の取得及び着弾座標の絶対値の最大値の取得)
全ての着弾点のデータからX座標及びY座標を取得し、各着弾点のX座標及びY座標の絶対値を計算し、絶対値の最大値(X1,Y1)を取得する。
【0033】
(ステップS4:モニタ表示の表示率の算出)
ステップS3により取得された絶対値の最大値(X1,Y1)から、モニタ表示の表示率(拡大率、又は、縮小率)を算出する。
【0034】
(ステップS5:表示データの生成)
ステップS4で算出された表示率に基づいて検出エリア35の画像を拡大又は縮小して表示領域711に表示する表示データを準備する。また、ステップS3で取得した各着弾点のX座標及びY座標に基づいて、表示領域711に表示する表示データに、全ての着弾点をプロットし、表示データを生成する。
【0035】
(ステップS6:モニタの表示を更新)
次に、表示データに基づいて、モニタの表示領域711の表示状態が更新される。
【0036】
(ステップS7:訓練終了の判定)
次に、訓練が終了したか否かが判定される。訓練が終了した場合(Y)、処理フローが終了する。訓練が終了していない場合(N)、ステップS1へ戻り、ステップS1-S7の処理が再度実行される。
【0037】
図10の処理フローを実行することにより、図9で説明した様に、着弾ごとに表示領域711の表示状態を自動的に変化させることができるので、射手1は発射ごとに表示領域711の表示状態から着弾位置の詳細をリアルタイムに知ることができようになる。したがって、次弾の発射時に目標位置や射撃姿勢を逐次修正しながら訓練を実施することができる。
【0038】
図11は、図10の処理フローを実施可能な端末7のブロック図を示している。図11に示す様に、端末7はPC(Personal Computer)や専用機等を用いることができる。端末7は、モニタとして表示部41、電源部42、入力部43、送受信部44、記憶部45、制御部46等を有する。表示部41は、液晶などのFPD(Flat Panel Display)で構成される。表示部41は、射撃訓練システム10の制御画面、弾着に関する種々の情報画面、図4に示す表示画面71等を表示することができる。電源部42は端末7に電源を供給する。入力部43はキーボード、マウス、タッチパネル等であり、端末7の操作者からの入力を受ける。
【0039】
送受信部44は制御部46と標的装置3との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。記憶部45は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ等の不揮発メモリなどで構成される。記憶部45は、制御部46で実行するプログラム、図10の処理フローを実行するためのプログラム、標的装置3の制御や、標的装置3への着弾の分析等のために必要なデータを記憶している。ここでは、記憶部45に、着弾の採点に使用する複数の得点テーブル451、口径テーブル452、及び標的損耗テーブル453等を示している。口径テーブル452には、訓練で使用する火器の口径を事前に登録しておく。更に、記憶部45には、射手毎の過去の射撃訓練の結果である着弾位置や得点などを記憶蓄積しておくこともできる。
【0040】
制御部46はCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成され、記憶部45に格納されている各種の処理プログラムを実行する。ここでは、制御部46に実行される機能の一部として、標的を設定し、標的装置3に投影する標的画像を生成する目標設定部461、標的装置3から受信する検出信号に基づき着弾位置を算出し、着弾位置の画像データを作成する着弾位置算出部462、算出した着弾位置に基づき、得点を計算する採点処理部463とを示している。これらは対応する処理プログラムを実行することで実現される。記憶部45に格納される得点テーブル451は、標的装置3のラバータイプのセンサ39に投影される標的画像に対応し、標的画像上の着弾点に応じた得点を記録している。得点テーブル451は、標的装置3に投影される標的画像の種類分作成しておき、採点処理部463は、着弾位置算出部462が算出した着弾位置に基づき、対応する得点テーブルを使って得点を計算する。着弾位置算出部462は、図10に示す処理フローを実施し、図9に示す様に、着弾ごとに表示領域711の表示状態を自動的に変化させる。
【0041】
図12は、モニタの表示領域の他の表示状態を説明する図である。図8に示す表示エリアAR1-AR3では、標的4の中心点(0,0)を起点として表示領域711に表示を行っているが、図12(a)に示す様に、着弾範囲にあわせて表示エリアAR4を設定し、表示する際の中心位置を中心点(0,0)からずらして、図12(b)に示す様に、表示領域711に表示エリアAR4を表示することで、表示の拡大率をあげることもできる。
【0042】
なお、この場合、検出エリア35のどの部分が拡大されているか不明となる場合も想定される。そのため、表示領域711に、検出エリア35全体のどの位置を拡大して表示しているかを示す図12(a)の検出エリア全体表示図と、表示エリアAR4の拡大図を示す図12(b)と、をあわせて表示するのが好ましい。これにより、射手1や指揮官は、検出エリア35のどの位置に着弾点が集まっているか知ることができるので、次弾の発射時に目標位置や射撃姿勢を逐次修正しながら訓練を実施できる。
【0043】
図13は、モニタの表示領域の他の表示状態を説明する図である。図13(a)は、1発目の射撃の着弾位置B1が射撃目標である中心点(0,0)からどれだけ離れているかが表示された状態であり、図13(b)は1発目の射撃の着弾位置B1を表示した検出エリア35の表示例である。モニタの表示領域711には、図13の(a)と(b)との両方を表示することができる。
【0044】
つまり、図7の着弾位置B1の着弾点Xと着弾点Yの着弾座標情報を用いると、図13(a)に示すように、表示領域711に、射撃目標である中心点(0,0)からどれだけ離れているかを表示することができ、射手1や指揮官に次弾を撃つ際の銃口の向きを補正するための情報も提供できる。
【0045】
また、図5(e)に示す的中心表示時に、図13(a)に示す表示を併用することで、的中心の表示エリアから外れた際の着弾位置(距離、方向)を、表示画面を切り替えることなく、知ることができる。
【0046】
図14は、訓練開始からの着弾状況が表示された結果表示の一例を示す図である。図15は、着弾状況の表示例を示す図である。射撃訓練では、既定の弾数を規定時間内で撃つ訓練もある。つまり、図6図7に示す様に、5発の射撃を行った際には、図14に示すように、訓練開始から着弾までの時刻データおよび着弾間隔が、得点、着弾位置のX座標およびY座標、中心点からの距離等とともに、結果として表示されるため、視覚的にわかりにくい。そこで、モニタの表示領域711に図15の着弾状況の表示例に示すように、訓練時間の残時間の表示と、訓練中の着弾状況を視覚的に表示することで、射手1は残り時間の把握ができ、指揮官は訓練者の発射タイミングを知ることができる。
【0047】
実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
【0048】
1)射撃結果により、モニタに表示される着弾点表示画像の縮尺が自動で変わり、画像が拡大または縮小表示されるため、拡大表示時には訓練者は射撃中に目標点に近い箇所に着弾点が集中していることがわかる。逆に直前の着弾により縮小表示された場合は、目標点から着弾点が遠くなっていることがわかる。
【0049】
2)着弾時に、射撃の目標点(中心点)からの距離および方向表示を確認することにより、訓練者は銃口の向きを修正可能となる。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1:射手
2:火器
3:標的装置
4:標的
5:検出器
7:端末
10:射撃訓練システム
21、35:検出エリア
46:制御部
41:表示部
71:表示画面
711:表示領域
712:表示設定領域
BM:表示切替ボタン
BMA:自動表示ボタン
B1,B2,B3,B4,B5:着弾位置
AR1、AR2、AR3、AR4:表示エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15