(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】極低温保管のための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/04 20060101AFI20231003BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231003BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231003BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20231003BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231003BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231003BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20231003BHJP
C12M 1/38 20060101ALI20231003BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20231003BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20231003BHJP
【FI】
C12N1/04
A61P35/02
A61P35/00
A61P37/02
A61P31/00
A61P29/00
C12N5/071
C12M1/38
C12N5/0783
C12N5/078
(21)【出願番号】P 2020500011
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(86)【国際出願番号】 US2018022522
(87)【国際公開番号】W WO2018170188
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-15
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519332069
【氏名又は名称】チャーチ, サラ エリザベス
(73)【特許権者】
【識別番号】519332070
【氏名又は名称】ガンター, ジョン チャールズ
(73)【特許権者】
【識別番号】519332081
【氏名又は名称】ポロック, キャサリン
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】チャーチ, サラ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ガンター, ジョン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ポロック, キャサリン
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/069283(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/057651(WO,A1)
【文献】特開2004-000119(JP,A)
【文献】特開2005-332046(JP,A)
【文献】特表2014-526887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
C12M 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)工程を含む操作T細胞の組成物を産生するための方法:
(a)極低温で保管した
解凍T細胞に、組換え受容体を導入し、それによって、操作T細胞
の組成物を生成する工程、ここで、前記操作T細胞は、ドナーの疾患または状態を処置するためであり、前記
T細胞は以下の工程を含む方法によって極低温で保管されてい
た:
(i)ドナーに由来する生物学的試料から得られた
濃縮T細胞
の集団を、
3v/v%~
9v/v%のジメチルスルホキシド(DMSO)および
1w/v%~
5w/v%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む極低温保存媒体中
に懸濁して、約
10x10
6
個の細胞/mLと約
150x10
6
個の細胞/mLとの間の
密度の懸濁組成物を形成すること、ここで、濃縮T細胞の集団が、少なくとも80%T細胞を含む;
(ii)前記T細胞を含む
懸濁組成物を、
チャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用する
チャンバを含む、制御された速度の凍結装置において、
極低温で凍結すること;および
(iii)極低温で凍結した細胞を保管すること。
【請求項2】
下記工程を含む操作T細胞の組成物を産生するための方法:
(a)ドナーに由来する生物学的試料から得られた
濃縮T細胞
の集団を、
3v/v%~
9v/v%のジメチルスルホキシド(DMSO)および
1w/v%~
5w/v%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む凍結保存媒体中
に懸濁して、約
10x10
6
個の細胞/mLと約
150x10
6
個の細胞/mLとの間の
密度の懸濁組成物を形成すること、ここで、濃縮T細胞の集団が、少なくとも80%T細胞を含む;
(b)前記T細胞を含む
懸濁組成物を、前記
チャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用する
チャンバを含む、制御された速度の凍結装置において、
極低温で凍結すること;
(c)極低温で凍結した
T細胞を保管すること;
(d)極低温で保管した
T細胞を解凍すること;および
(e)解凍
T細胞に、組換え受容体を導入し、それによって、操作T細胞の組成物を生成すること、ここで、前記操作T細胞は、ドナーの疾患または状態を処置するためである。
【請求項3】
前記T細胞を含む生物学的試料が、前記ドナーが前記疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の1つ以上の処置を受ける前である時点で、前記ドナーから得られるものである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記T細胞を含む生物学的試料が、前記ドナーが前記疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または前記処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、前記ドナーから得られる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記T細胞を含む生物学的試料が、前記ドナーが前記疾患または状態であると診断されていないか、またはそれを有することが判明していないか、またはそれを有することが疑われていない時点で、前記ドナーから得られる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記生物学的試料が、アフェレーシス試料を含み、前記生物学的試料中の前記細胞のうちの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%が、白血球である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記
T細胞が、極低温で凍結される前に
、(a)免疫親和性に基づくまたは標的特異的な選択ステップおよび/または(b)血液細胞集団、T細胞集団またはT細胞サブセット集団の濃縮ステップに供されていない、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記
T細胞が、極低温で凍結される前に
、(a)免疫親和性に基づくまたは標的特異的な選択ステップおよび/または(b)血液細胞集団、T細胞集団またはT細胞サブセット集団の濃縮ステップに供されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記血液細胞集団、T細胞集団またはT細胞サブセット集団が、CD4
+細胞もしくはそのサブセットおよび/またはCD8
+細胞もしくはそのサブセットを含み、CD4
+細胞またはそのサブセットの選択または濃縮が、CD8
+細胞またはそのサブセットの選択または濃縮とは別個にまたはそれと組み合わせてのいずれかで行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記血液細胞集団、T細胞集団またはT細胞サブセット集団が、メモリー細胞、セントラルメモリーT(T
CM)細胞、エフェクターメモリー細胞(T
EM)、ステムセントラルメモリー(T
SCM)細胞、エフェクターT(T
E)細胞、エフェクターメモリーRA T(T
EMRA)細胞、ナイーブT(T
N)細胞、および/または調節性T(T
REG)細胞を含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記
T細胞が、少なくとも約1.5x10
7個の細胞/mLの密度で懸濁される、請求項1から
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記極低温保存媒体が、約7.5%のDMSOを含む、請求項1から
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記
T細胞の保管が、-80℃を下回る温度においてである、請求項1から
12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
段階的な凍結プロファイルが、極低温で凍結した
T細胞を保管する前に、-80℃を上回るかまたは-20℃を下回る温度まで前記
チャンバを冷却することを含む、請求項1から
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
段階的な凍結プロファイルが、一連の複数の冷却および加熱プロファイルを含む、請求項1から
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
段階的な凍結プロファイルが、下記ステップを含む、請求項1から
15のいずれか1項に記載の方法:
(a)4.0℃での保持ステップ;
(b)T細胞
の組成物を
含有するチャンバを、-6℃の温度に達するまで1分間につき1.2℃の冷却ステップ;
(c)T細胞
の組成物を
含有するチャンバを、-65℃の温度に達するまで1分間につき25℃の冷却ステップ;
(d)T細胞
の組成物を
含有するチャンバを、-30℃の温度に達するまで1分間につき15℃の加熱ステップ;
(e)T細胞
の組成物を
含有するチャンバを、-40℃の温度に達するまで1分間につき1℃の冷却ステップ;
(f)T細胞
の組成物を
含有するチャンバを、-90℃の温度に達するまで1分間につき10℃の冷却ステップ;および
(g)-90℃での保持ステップ。
【請求項17】
極低温で凍結された
T細胞の保管が、液体窒素の気相に入れた容器においてである、請求項1から
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記
T細胞が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、極低温で保管されていた、請求項1から
17のいずれか1項に方法。
【請求項19】
前記
T細胞が、ある期間極低温で保管された後、生存細胞もしくは生存T細胞またはそれらのサブタイプもしくはサブセットの割合が、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、もしくは90%である、請求項1~
18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患もしくは状態が、がん、炎症性疾患もしくは状態、自己免疫性疾患もしくは状態、または感染性疾患もしくは状態である、請求項1~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
極低温保管の前に、前記
T細胞を、1つまたは複数の表現型マーカーについて、前記細胞の表面発現を評価することによって、分析することをさらに含む、請求項1~
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
組換え受容体が、T細胞受容体(TCR)、またはキメラ受容体を含む、請求項1~
21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)を含む、請求項1~
21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記
T細胞を、極低温で凍結する前または凍結した後のいずれかで、保管施設に輸送することをさらに含み、 前記保管施設が、中央または共通のリポジトリの保管施設である、請求項1~
23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記
T細胞または生物学的試料が、処理、極低温保存、および/または保管の間、前記細胞を分類するために、1つまたは複数のコードまたは識別子で印を付けた容器に入れられ、 前記1つまたは複数のコードまたは識別子が、文字識別子、バーコード、QRコード(登録商標)、RFID、またはトランスポンダを含み、前記1つまたは複数のコードまたは識別子が、ドナー、試料、バイアル、容器、疾患、および/または保管施設のうちの1つまたは複数の識別に対応するか、またはそれを示す、請求項1~
24のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願情報
本出願は、2017年3月14日に出願された米国仮特許出願番号第62/471,343号に基づく優先権を主張しており、その全体の内容は、参考として本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
概要
細胞療法は、治療目的を達成するために、細胞をレシピエントに投与する技法である。任意の所与のレシピエントについて、投与される細胞は、別の人物を起源とするものであってもよく、またはレシピエント自身を起源とするものであってもよい。後者の事例は、自家細胞療法と称される場合があり、すなわち、細胞が収集されたレシピエントへと細胞を戻して投与することである。自家細胞療法の利点としては、細胞を収集したドナーが、レシピエントであるため、レシピエントの身体が、投与された細胞を拒絶する可能性が低減されることを挙げることができる。
【0003】
細胞療法に関して、細胞をいつどのようにしてドナーから収集するか、ならびに収集後および投与前に細胞をどのように処置するかにより、治療法の有効性および利用可能性、たとえば、必要となった場合に細胞をどれほど迅速にレシピエントに投与することができるかが、影響を受け得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的で、細胞および細胞組成物の極低温保管、ならびに/またはそれらの操作および/もしくは対象、たとえば、レシピエントへの投与のための方法、システム、および組成物、ならびに製品が、提供される。一部の態様では、これらの実施形態の利点には、とりわけ、細胞療法の利用可能性、有効性、および/または他の側面を強化することがある。方法は、さらに、または代替として、ドナーから収集された細胞を使用する他の医療プロセスまたは研究プロセスに、利益をもたらし得る。
【0005】
一部の態様では、本開示は、細胞の極低温保管、処理、操作、および投与の方法、ならびに患者が細胞療法を必要とする前に収集され、将来的な使用のための極低温保存されたアフェレーシスが関与する、関連する物品、組成物、およびシステムに関する。
【0006】
一部の態様では、本開示の細胞および組成物、ならびに製品は、たとえば、ドナーおよび/または別のレシピエントなどにおいて、疾患または状態の後続の治療的処置に使用することができるものである。一部の実施形態では、方法は、ドナーの血液に由来する細胞を極低温で保管することを伴う。極低温で保管した細胞は、一部の実施形態では、次いで、疾患または状態を処置するための細胞療法に使用され得る。
【0007】
一部の実施形態では、細胞は、ドナーが疾患または状態であると診断された後、かつドナーが以下の:疾患もしくは状態の任意の初回処置、疾患もしくは状態の処置のための任意の標的化処置もしくはそれを対象とする任意の処置、または放射線照射および/もしくは化学療法以外の任意の処置のうちの1つまたは複数を受ける前に、収集される。一部の実施形態では、細胞は、疾患の初回処置の後の疾患の1回目の再発の後、かつドナーまたは対象が疾患の後続の処置を受ける前に、収集される。初回および/または後続の処置は、ある特定の実施形態によると、細胞療法以外の治療法であり得る。一部の実施形態では、収集された細胞は、初回および/または後続の処置の後に、細胞療法において使用され得る。
【0008】
一部の実施形態では、細胞は、疾患の第2の処置過程の後の疾患の2回目の再発の後、かつドナーまたは対象が疾患の後続の処置を受ける前に、収集される。一部の実施形態では、患者は、たとえば、ある特定のリスク因子を評価することによって、第2の処置過程の後に、再発する可能性が高いと識別される。一部の実施形態では、リスク因子は、疾患の種類および/または遺伝学、たとえば、ダブルヒットリンパ腫、原発性難治性がん、または活性化B細胞リンパ腫に基づく。一部の実施形態では、リスク因子は、臨床症状、たとえば、第1の処置過程の後の早期再発、または処置後の予後の悪さを示すその他のもの(たとえば、IPIが2を上回る)に基づく。
【0009】
一部の実施形態では、細胞は、ドナーまたは対象が疾患と診断される前に収集される。一部の態様では、ドナーまたは対象は、疾患を発症するリスクがあると判定され得るか、または疾患を発症するリスクがあるとみなされることも疾患と診断されることもないが、寿命の後期に細胞療法が必要となった場合のために細胞を貯蔵もしくは保管することを選択する可能性がある。一部の実施形態では、ドナーまたは対象は、遺伝子の変異、遺伝子の異常、遺伝子の破壊、家族の病歴、タンパク質の異常(たとえば、タンパク質産生および/もしくはプロセシングの欠如)、ならびに疾患を発症するリスクを増加させ得る生活スタイルの選択などの因子に基づいて、疾患を発症するリスクがあるとみなされ得る。一部の実施形態では、細胞は、予防として収集される。
【0010】
一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、または48時間、保管もしくは貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1週間、2週間、3週間、または4週間、保管または貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、長期保管または長期貯蔵される。一部の態様では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、40年間、またはそれを上回る期間、保管される。
【0011】
本開示はまた、一部の態様では、アフェレーシス試料を処理する方法にも関する。一部の実施形態では、方法は、ドナーから取得されたアフェレーシス試料を、低温環境で、保管施設に輸送すること、および保管施設において、アフェレーシス試料を極低温で保管することを伴う。一部の実施形態では、輸送する前に、試料は、たとえば、T細胞、たとえば、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を選択することによって、処理される。一部の実施形態では、そのような処理は、試料を輸送した後、かつ試料を極低温で保管する前に、行われる。一部の実施形態では、処理は、極低温での保管後、試料を解凍した後に行われる。
【0012】
一部の実施形態では、記載される実施形態による方法の利点としては、細胞療法の効率性および/または有効性の改善が挙げられる。ドナー、したがってドナーの細胞が、疾患の広範囲な処置を受けていない段階、および/または疾患もしくは状態もしくはその診断が行われる前の段階で、ドナーが細胞を保管することを可能にすることにより、そのような細胞は、1回の処置または複数回の処置の後に採取された細胞と比較して、細胞療法における使用について、ある特定の利点を有し得る。たとえば、1回または複数回の処置の前に採取した細胞は、複数回の処置を受けた後の細胞よりも、より健康であり得る、より高いレベルのある特定の細胞活性を示し得る、より急速に成長し得る、および/または遺伝子操作に対してより受容性があり得る。本明細書に記載される実施形態による利点の別の例としては、利便性を挙げることができる。たとえば、細胞が細胞療法に必要とされる前にドナーの細胞を収集し、必要に応じて処理し、保管することによって、細胞は、レシピエントが、後の時点でそれらを必要とした場合および必要としたときに、容易に利用することができるであろう。これにより、アフェレーシスラボの能力が増加し得、技師に提供されるアフェレーシス収集プロセスのスケジュール決定の柔軟性がより大きくなる。
【0013】
一部の実施形態では、細胞および/または組成物および/または製品、たとえば、細胞を含有する容器(たとえば、細胞バイアルまたはバッグ)には、たとえば、処理、極低温保存、および/または保管、たとえば、長期保管の際の細胞および試料の分類のために、1つまたは複数のコードまたは他の識別子で印が付けられる。一部の実施形態では、システムおよび物品には、それぞれが、極低温保存された細胞組成物、たとえば、提供される方法の実施形態に従って生成されたものを含む、複数の容器が含まれ、ここで、複数の容器のそれぞれは、異なるドナーから得られた極低温保存試料を含有する。一部の実施形態では、容器には、ドナー、試料、組成物、バイアル、容器、状態、疾患、収集施設、病院、および/またはレシピエントのうちの1つまたは複数の識別に対応するかまたはそれを示す、1つまたは複数の識別子、たとえば、バーコード、無線周波数識別(RFID)タグ、または他の識別子で、印が付けられる。一部の態様では、容器に含まれるかまたは容器に貼付される追加の情報には、アフェレーシス収集および/もしくは極低温保存の日付、ならびに/または消費期限、ならびに/または貯蔵所もしくは保管施設内の場所に関する情報が含まれる。一部の実施形態では、コードは、患者識別のブレスレットまたは病院または医療施設もしくは収集施設のシステムもしくは書類、たとえば、ドナーもしくは関連施設に出現するコードに対応する。
【0014】
好適なコード付けまたは印付けの方法またはシステムとしては、光、電子、または磁気を用いて読み取ることができる、印刷、磁気、または電子形態のタグを使用してコードすること、たとえば、バーコード、QRコード(登録商標)、RFID、またはトランスポンダ、たとえば、光活性化マイクロトランスポンダ、固有の30ビットの読取り専用識別コードを保管し、光放出リーダデバイスで電力供給し、取り出すと、無線周波数シグナルとしてコードを放出する、低コストのシリコンデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、処理の構成要素(試料収集チューブ、細胞精製の構成要素、細胞の培養および増大の構成要素など)は、すべてが、施設の構成要素レジストリに事前に登録され、このレジストリには、処理ワークフローにおけるそれぞれの構成要素の機能および意図される使用段階が、構成要素の固有の識別子コードに対して記録される。一部の実施形態では、トランスポンダが使用され、一部の態様では、トランスポンダは、読み取ることができる固有の試料識別をコードするための任意の方法または物品を指す。
【0015】
一部の実施形態では、方法の様々な段階、たとえば、それぞれの段階、たとえば、処理ワークフローおよび/またはレシピエントへの投与の前もしくは投与の時点で、1つまたは複数の識別子コードは、レコード、たとえば、中央データベース内の固有の患者特異的レコードに読み取られる、かつ/あるいは試料および/もしくは試料が由来する患者または試料を投与しようとする患者の識別ならびに/または試料および/またはその収集もしくは処理に関する他の情報を確認するため、ならびに/または正しい保管過程を確認するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
以下の詳細な説明および例は、本開示のある特定の実施形態を例示する。当業者であれば、本開示の多数の変化形および修正形が存在し、本開示の範囲内に含まれることを認識するであろう。したがって、ある特定の実施形態の説明は、制限として解釈されるものではない。
【0017】
本明細書において使用されるとき、「極低温で保管する」または「極低温保管」という用語は、一般に、試料、たとえば、細胞を含有する試料を、-210℃~-80℃の温度で保管することであり、細胞をそのような保管期間の後に解凍することができ、解凍時または解凍後に、試料中の細胞の少なくとも一部分または大部分が、生存可能なままであるおよび/またはその生物学的機能の少なくとも一部分を保持するような条件下で、保管することを指す。一態様では、細胞試料は、試料中の細胞の少なくともある特定の割合、たとえば、以下の割合、またはおよそ以下の割合、または以下を上回る割合が、生存可能なままとなる、ならびに/またはアポトーシスマーカーもしくはその指標、たとえば、切断されたカスパーゼおよび/もしくはアネキシンV染色について陰性のままとなるように、解凍することができる:20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%。
【0018】
本明細書において使用されるとき、極低温で凍結させるという用語は、試料、たとえば、細胞を含有する試料の温度を、-210~-80℃の温度まで低下させることを意味する。
【0019】
一部の実施形態では、細胞を含有する試料の文脈で本明細書において使用される、濃縮するまたは濃縮という用語は、1種類または複数種類の細胞が、より高濃度で得られるように、その1種類または複数種類の細胞を、試料から分離、選択、または精製することを意味する。「濃縮する」という用語は、必ずしも、絶対またはほぼ絶対の細胞純度を達成することを含むわけではないが、一部の実施形態では、それを含み得る。
【0020】
本明細書において使用されるとき、対象またはドナーは、哺乳動物、たとえば、ヒトまたは他の動物であり、典型的には、ヒトである。一部の実施形態では、細胞、細胞集団、または組成物が投与される対象、たとえば、患者は、哺乳動物であり、典型的には、霊長類、たとえば、ヒトである。一部の実施形態では、霊長類は、サルまたは類人猿である。対象は、雄性であっても雌性であってもよく、幼児、少年期、青年期、成人、および/または老人期の対象を含め、任意の好適な年齢であり得る。一部の実施形態では、対象は、非霊長類の哺乳動物、たとえば、げっ歯動物である。
【0021】
一部の実施形態では、「凍結溶液」という用語は、細胞を含有する試料、たとえば、アフェレーシス試料と合わせたときに、試料または細胞の冷却、極低温での凍結、および/または極低温での保管のプロセスの間、細胞の1つまたは複数の生物学的機能を保存するのを補助する、溶液を意味する。一部の実施形態では、凍結溶液および極低温媒体という用語は、互換可能である。
【0022】
一部の実施形態では、「極低温後に修飾すること」または「極低温後の修飾」という用語は、細胞を含有する極低温で保管された試料の文脈で本明細書において使用されるとき、細胞を解凍した後に試料に適用されるプロセスを意味する。
【0023】
一部の実施形態では、「再発」という用語は、本明細書において使用されるとき、一般に、改善期間の後に、疾患の兆候または症状が戻ることを意味する。
【0024】
アフェレーシスは、一般に、ドナーまたは対象の血液を収集するプロセスを指す。このプロセスには、ドナーの血液から細胞を収集するプロセスが含まれ得る。白血球アフェレーシスは、ドナーの血液から白血球を収集するそのようなプロセスを指して使用される。一部の実施形態では、提供される実施形態および組成物は、たとえば、アフェレーシスによる、ドナーからの血液試料の収集に関し、一部の実施形態では、方法および組成物は、組成物、たとえば、細胞療法の組成物を、レシピエントに投与することに関する。一部の実施形態では、ドナーおよびレシピエントは、同じ個体である。一部の実施形態では、ドナーに由来する細胞は、異なる対象であるレシピエントに投与される。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、ドナーの血液に由来する細胞を極低温で保管することを伴う。一部の実施形態では、極低温で保管された細胞は、続いて、疾患を処置するためにレシピエントに投与される。たとえば、米国特許出願公開第2016/0158359号および同第2016/0206656号およびPCT国際出願第2016/064929号および同第2016/033570号に記載されているように、細胞は、細胞療法処置、たとえば、T細胞療法の一部として、使用され得、これらの文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
一部の実施形態では、ドナーは、対象、たとえば、収集した細胞を後で受ける人物、すなわち、レシピエントである。そのような実施形態では、この治療法は、自家細胞療法と称される。本明細書において考察されるように、自家細胞療法の利点としては、細胞を収集したドナーが、レシピエントであるため、レシピエントの身体が、投与された細胞を拒絶する可能性が低減されることを挙げることができる。一部の実施形態では、ドナーおよびレシピエントは、異なる人物である。そのような実施形態では、治療法は、同種細胞療法と称され得る。同種療法の利点としては、細胞試料全体での均一性および一貫性を挙げることができる。他の利点としては、一部の態様では、たとえば、レシピエントに由来する細胞が利用可能でない可能性がある時点で、ドナーの細胞が利用可能であるという状況において、たとえば、レシピエントがそのような細胞を提供することができないおよび/またはアフェレーシスを受けることができない状況、たとえば、レシピエントの具合が悪すぎる場合に、自家細胞療法と比較して、細胞の利用可能性が高いことを挙げることができる。
【0027】
一部の実施形態では、細胞は、アフェレーシス、たとえば、多数の公知のアフェレーシス技法のうちのいずれかによって、収集される。例示的なアフェレーシス収集方法としては、医療従事者によって行われる一般的に許容される慣例方法を使用して、ドナーから採血することが挙げられる。医療従事者は、たとえば、ドナーの身体における部位、典型的には、腕を選択し、その部位を滅菌し、静脈穿刺を行い、血液を保存するのに好適な容器、たとえば、抗凝血剤を含有する滅菌血液バッグに、採血することができる。たとえば、医療従事者は、World Health Organization(「WHO」)、WHO guidelines on drawing blood: best practices in phlebotomy(2010年)に記載されている慣例方法を行うことができる。従事者は、以下に記載されるように、ドナーにおいて疾患を診断する従事者であってもよく、またはそうでなくてもよい。血液の収集の後に、血液の成分、たとえば、血漿および様々な血液細胞を、遠心分離を用いて分離してもよい。
【0028】
一部の実施形態では、細胞は、ドナーが疾患と診断された後、かつドナーが疾患の任意の処置を受ける前、および/またはドナーが標的化された処置、たとえば、疾患もしくは状態と関連する抗原もしくは他のリガンドを特異的に認識するかもしくはそれに特異的に結合する処置を受ける前に、収集される。一部の実施形態では、細胞は、ドナーが疾患または状態と診断される前の時点で、収集される。そのような実施形態の利点としては、ドナーが疾患の処置を受けた後に収集される細胞と比較して、細胞の生存性、活性、および遺伝子操作に対する受容性の改善を挙げることができる。一部の実施形態では、細胞は、疾患の初回処置の後の疾患の1回目の再発の後、かつドナーが疾患の後続の処置を受ける前に、ドナーから収集される。そのような実施形態の利点としては、ドナーが疾患の2回またはそれを上回る処置を受けた後に収集される細胞と比較して、細胞の生存性、活性、および遺伝子操作に対する受容性の改善を挙げることができる。他の実施形態では、細胞は、疾患の2回目の再発の後、かつドナーが疾患の後続の処置を受ける前に、ドナーから収集される。
【0029】
ドナーおよび/もしくはレシピエントの、ならびに/または本明細書におけるドナーおよび/もしくはレシピエントが有するかもしくは有することが疑われる、ならびに/または組換え受容体によって標的とされる、疾患、状態、および障害には、固形腫瘍を含む腫瘍、造血系悪性腫瘍、ならびに黒色腫があり、局所的腫瘍および転移腫瘍が含まれる。疾患、状態、および障害にはまた、感染性疾患、たとえば、ウイルスまたは他の病原体、たとえば、HIV、HCV、HBV、CMV、HPVによる感染、および寄生虫性疾患がある。疾患、状態、および障害にはまた、自己免疫性疾患および炎症性疾患がある。一部の実施形態では、疾患または状態は、腫瘍、がん、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾患もしくは障害である。そのような疾患としては、白血病、リンパ腫、たとえば、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性白血病(SLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、難治性濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、B細胞悪性腫瘍、結腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、皮膚がん、黒色腫、骨がん、および脳のがん、卵巣がん、上皮がん、腎細胞癌、膵臓腺癌、ホジキンリンパ腫、子宮頸癌、結腸直腸がん、膠芽腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、髄芽細胞腫、骨肉腫、滑膜肉腫、および/または中皮腫が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、疾患または状態は、DLBCL、特定できないもの(NOS、濾胞性リンパ腫に由来する形質転換DLBCLを含む)、DLBCL組織学を有するMYCおよびBCL2ならびに/またはBCL6再配列を伴う高悪性度B細胞リンパ腫である。
【0030】
一部の実施形態では、対象は、iwCLLのガイドラインに基づく処置の兆候を有するCLL、および臨床的に測定可能な疾患、または生検によって実証されるSLLであるSLLを呈する。一部の態様では、対象は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)処置を受け、それが失敗したか、BTKi療法に不適格であるとみなされている。
【0031】
一部の実施形態では、CLLまたはSLL、および高リスクの特徴、たとえば、複合染色体異常(3つまたはそれを上回る染色体異常)、17p欠失、TP53変異、または未変異の免疫グロブリン重鎖可変領域(IGHV)を有する対象は、BTKiを含め、これまでの治療法の少なくとも2回の過程が失敗している。一部の実施形態では、CLLまたはSLL、および標準的なリスクの特徴を有する対象は、BTKiを含め、これまでの治療法の少なくとも3回の過程が失敗している。一部の実施形態では、BTKi不耐性であり、少なくとも6カ月間のBTKi療法を受けていないか、またはBTKiに不適格である、CLLまたはSLLを有する対象は、非BTKi療法の少なくとも1回(高リスク)または2回(標準的なリスク)の過程が失敗している。
【0032】
一部の実施形態では、対象は、1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操作細胞免疫療法に適格でない。一部の実施形態では、対象は、まだ1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操作細胞免疫療法に適格でないが、適格となるリスクがあるかまたは適格となり得る。一部の実施形態では、対象は、以前の治療法の1回もしくは複数回の過程に対する、または自己HSCT後の、予測応答もしくは実際の応答に起因して、1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操作細胞免疫療法に適格でない。一部の実施形態では、対象は、以前の治療法の1回または複数回の過程(たとえば、以前の治療法の2回もしくはそれを上回る、3回もしくはそれを上回る、または4回もしくはそれを上回る過程)、または自己HSCT後に、再発していない、および/またはこれらに対して不応性でない場合、1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操作細胞免疫療法に適格でない。一部の実施形態では、対象は、高リスクの染色体異常の不在に起因して、1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操作細胞免疫療法に適格でない。
【0033】
一部の態様では、対象は、多数の転移および/または広範囲に拡がった転移の局在化を有する。一部の態様では、対象における腫瘍負荷は、低く、対象は、転移をほとんど有さない。一部の実施形態では、投薬のサイズまたはタイミングは、対象における初期疾患負荷によって判定される。たとえば、一部の態様では、対象は、初回用量では、比較的低い数の細胞が投与され得るが、より低い疾患負荷の状況では、用量はより高くなり得る。
【0034】
一部の実施形態では、疾患または状態は、感染性疾患または状態、たとえば、ウイルス、レトロウイルス、細菌、および原虫の感染、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスなどであるが、これらに限定されない。
【0035】
一部の実施形態では、疾患または状態は、自己免疫性または炎症性の疾患または状態、たとえば、関節炎、たとえば、リウマチ性関節炎(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息、免疫不全、および/または移植と関連する疾患もしくは状態である。
【0036】
一部の実施形態では、疾患または状態は、移植片対宿主病(GVHD)、たとえば、移植、たとえば、同種器官移植ならびに/または骨髄および/もしくは造血幹細胞移植を受けているかまたは受けた対象におけるGVHDである。天然の単離したCD4+CD25+T細胞、たとえば、in vitroで増大させたTreg細胞の付加により、一部の状況では、移植片対宿主病を遅延および/または予防することができる。一部の実施形態では、提供されるTreg組成物および方法は、GVHDのリスクまたはその症状もしくは兆候を予防および/または減少させる。一部の実施形態では、疾患または状態は、心臓、肝臓、角膜、腎臓、肺、膵臓、または他の器官の移植片など、器官移植片拒絶またはそのリスクである。
【0037】
一部の実施形態では、自己免疫性疾患または炎症性疾患は、慢性および/または急性炎症性疾患である。一部の態様では、疾患または障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ性関節炎(RA)、多発性筋炎、多発性硬化症(MS)、糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、I型真性糖尿病もしくは自己免疫性膵島炎、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性ブドウ膜炎もしくは網膜ブドウ膜炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性卵巣炎、乾癬、白斑、自己免疫性前立腺炎、任意の望ましくない免疫応答または他の炎症性もしくは自己免疫性疾患もしくは状態、たとえば、望ましくない免疫応答および/もしくはウイルスに誘導される免疫病理を特徴とする状態であるか、またはこれらを含む。一部の態様では、抗原、たとえば、T細胞および/または組換え受容体が特異的に結合する抗原は、自己抗原(self antigen)または自己抗原(auto-antigen)、たとえば、正常なまたは非罹患組織に発現されるヒト抗原である。一部の態様では、抗原は、がんに発現される抗原でもなく、対象においてがんに発現もされない。一部の態様では、対象は、がんを有することが判明していない、および/またはがんを有することが疑われていない。
【0038】
一部の実施形態では、細胞、キメラ抗原受容体(CAR)もしくはT細胞受容体(TCR)、または他の組換え受容体によって認識される抗原は、自己抗原または自己抗原と交差反応する抗原、たとえば、自己免疫性疾患の病態生理学における病原性抗原であるか、またはそれを含む。一部の実施形態、たとえば、疾患または状態が炎症性腸疾患(IBD)である場合には、抗原は、罹患した結腸または回腸に発現されるものである。一部の実施形態、たとえば、RAの状況では、抗原またはリガンドは、コラーゲンのエピトープまたは関節に存在する抗原である。一部の実施形態、たとえば、I型真性糖尿病または自己免疫性膵島炎の処置または予防については、抗原は、膵臓β細胞抗原である。一部の実施形態、たとえば、MSについては、抗原は、ミエリン塩基性タンパク質抗原、MOG-1、MOG-2、または別の神経細胞抗原である。一部の実施形態、たとえば、疾患または状態が自己免疫性甲状腺炎である場合には、抗原またはリガンドは、甲状腺抗原である。一部の実施形態、たとえば、疾患または状態が自己免疫性胃炎である場合には、抗原は、胃抗原である。一部の実施形態、たとえば、自己免疫性ブドウ膜炎または網膜ブドウ膜炎の処置については、抗原は、S抗原または別のブドウ膜もしくは網膜抗原である。一部の実施形態、たとえば、疾患または状態が精巣炎である場合には、抗原は、精巣抗原である。一部の実施形態、たとえば、自己免疫性卵巣炎を処置または予防する場合には、抗原は、卵巣抗原である。一部の実施形態、たとえば、乾癬の処置または予防については、抗原は、ケラチノサイト抗原または別の真皮もしくは上皮抗原である。一部の実施形態、たとえば、白斑の処置または予防については、抗原は、メラノサイト抗原である。一部の実施形態、たとえば、自己免疫性前立腺炎の処置または予防については、抗原は、前立腺抗原である。一部の実施形態では、抗原は、望ましくない免疫応答の部位に存在するエフェクターT細胞に発現する活性化抗原を含み得る。
【0039】
一部の実施形態では、抗原は、シトルリン化ビメンチンである。
【0040】
一部の実施形態、たとえば、疾患または状態が、組織または器官の拒絶であるかまたはそれを含む場合には、抗原は、移植された組織のハプロタイプを有するMHC分子またはその部分を含み得る。
【0041】
一部の実施形態では、疾患または障害と関連する抗原は、GPRC5D、神経膠腫関連抗原、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、B細胞成熟抗原(BCMA、BCM)、B細胞活性化因子受容体(BAFFR、BR3)、膜貫通型活性化因子およびCAML相互作用因子(TACI)、Fc受容体様5(FCRL5、FcRH5)、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、Her2、Ll-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体(fetal acethycholine receptor)、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子である。
【0042】
一部の実施形態では、疾患は、がんである。たとえば、米国特許出願公開第2016/0158359号および同第2016/0206656号、ならびにPCT特許出願公開第2016/064929号に記載されているように、細胞は、がん療法の処置、たとえば、T細胞療法の一部として使用され得、これらの文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
がんは、たとえば、良性または悪性であり得る。がんには、たとえば、原発性がんまたは転移性がんが含まれ得る。一部の実施形態では、がんは、任意のステージ、たとえば、ステージTX、ステージT0、ステージT1、ステージT1a、ステージT1b、ステージT2、ステージT2a、ステージT2b、ステージT3、ステージT3a、ステージT3b、ステージT4、ステージT4a、ステージT4b、ステージNX、ステージN0、ステージN1、ステージN1a、ステージN1b、ステージN2、ステージN2a、ステージN2b、ステージN2c、ステージN3、ステージMX、ステージM0、ステージM1、ステージM1a、ステージM1b、ステージM1c、ステージM2、ステージM3、ステージM3V、ステージM4、ステージM4E、ステージM5、ステージM6、またはステージM7のものであり得る。
【0044】
一部の実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、カポジ肉腫、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、ユーイング肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、脳のがん、乳がん、気管支がん、バーキットリンパ腫、カルチノイドがん、心臓がん(cardiac cancer)、非定型奇形腫様もしくは横紋筋肉腫様腫瘍、胚芽腫、胚細胞腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、胆管癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、卵管がん、胆嚢がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、膠芽腫、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がん、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞性白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、腎臓がん、肺がん(非小細胞および小細胞)、悪性線維性組織球腫、メルケル細胞癌、中皮腫、正中線管癌(midline tract carcinoma)、口腔がん、多発性内分泌新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成性もしくは骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性新生物、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫、傍神経節腫、副鼻腔がんおよび鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、形質細胞腫、多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、腹膜がん、前立腺がん、直腸がん、網膜芽細胞腫、唾液腺がん、横紋筋肉腫、セザリー症候群、小腸がん、小リンパ球性白血病、扁平上皮細胞癌、扁平上皮頸部がん、精巣がん、咽喉がん、鼻咽頭がん、口腔咽頭がん、下咽頭がん、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、またはウィルムス腫瘍である。
【0045】
一部の実施形態では、がんは、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、前リンパ球性白血病、有毛細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、null型急性リンパ芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、または急性骨髄性白血病である。
【0046】
一部の実施形態では、がんは、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、EGFR、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、B細胞成熟抗原(BCMA)、FCRL5/FCRH5、GPRC5D、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子のうちの少なくとも1つまたは複数を発現する細胞を含む。一部の実施形態では、がんは、CD19を発現する細胞を含む。一部の実施形態では、がんは、BCMAを発現する細胞を含む。
【0047】
一部の実施形態では、疾患は、医療従事者(たとえば、国、州(state)、州(province)、郡、地方自治体、または町区における医療規制当局による免許を得た人物)によって診断され、この人物が、ドナーを検査し、ドナーにおいて構造または機能の障害を観察することによってドナーにおける疾患の存在を確認する。医療従事者としては、たとえば、医師、たとえば、血液学者、免疫学者、腫瘍学者、または実地看護師を挙げることができる。
【0048】
一部の実施形態では、診断は、ドナーによる自己診断を除外する、および/または遺伝子試験サービスによる診断を除外する。
【0049】
一部の実施形態では、初回処置および後続の処置は、それぞれ、互いに独立して、がん療法、たとえば、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、および/または外科手術を含み得る。化学療法には、たとえば、シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、エトポシド、シスプラチン、エピルビシン、カペシタビン、フォリン酸、オキサリプラチン、および他の少分子キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つを投与することが含まれ得る。免疫療法には、たとえば、抗体および免疫細胞、たとえば、ナチュラルキラー細胞、リンホカイン活性化キラー細胞、細胞傷害性T細胞、および樹状細胞のうちの少なくとも1つを投与することが含まれ得る。一部の実施形態では、処置(初回または後続のいずれか)には、放射線療法(たとえば、4000cGy照射)、自家幹細胞救援(autologous stem cell rescue)、幹細胞移植、骨髄移植、および造血幹細胞移植(HSCT)のうちのいずれかまたはすべてが含まれ得る。一部の実施形態では、処置には、CAR T細胞療法が含まれ得る。一部の実施形態では、処置には、チサゲンレクロイセル(Kymriah)が含まれ得る。一部の実施形態では、処置には、アキシカブタゲンシロロイセル(Yescarta)が含まれ得る。一部の実施形態では、初回および/または後続の治療法には、シタラビン(ara-C、高用量シタラビンを含む)、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、イダルビシン、またはクラドリビン(ロイスタチン、2-CdA)のうちのいずれかまたはすべてが、単独または組合せで、含まれ得る。一部の実施形態では、初回および/または後続の治療法には、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、ならびにコルチコステロイド、たとえば、プレドニゾンおよびデキサメタゾンのうちのいずれかまたはすべてが含まれ得る。一部の実施形態では、初回および/または後続の治療法には、アルキル化剤、たとえば、シクロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、およびイホスファミド;白金薬物、たとえば、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン;プリン類似体、たとえば、フルダラビン、ペントスタチン、およびクラドリビン、シタラビン;抗代謝薬、たとえば、ゲムシタビン、メトトレキサート、およびプララトレキサート;ならびに他の薬剤、たとえば、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、エトポシド、およびブレオマイシンのうちのいずれかまたはすべてが含まれ得る。一部の実施形態では、初回および/または後続の治療法には、プロテアソーム阻害剤、たとえば、ボルテゾミブ;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、たとえば、ロミデプシンおよびベリノスタット;キナーゼ阻害剤、たとえば、イブルチニブおよびイデラリシブのうちのいずれかまたはすべてが含まれ得る。一部の実施形態では、初回および/または後続の治療法には、CD20を標的とする抗体、たとえば、リツキシマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、およびイブリツモマブチウキセタン;CD52を標的とする抗体、たとえば、アレムツズマブ;CD30を標的とする抗体、たとえば、ブレンツキシマブベドチン;インターフェロン;ならびに免疫調節剤、たとえば、サリドマイドおよびレナリドマイドが含まれ得る。一部の実施形態では、初回および/または後続の治療法は、組合せ療法、たとえば、CHOP、CHOP+R(またはR-CHOP)、CVP、EPOCH、EPOCH+R、DHAP、およびDHAP+R(またはR-DHAP)であってもよい。CHOPには、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾンの薬物が含まれる。R-CHOP(またはCHOP+R)は、リツキシマブでの処置をさらに含む。CVPには、シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾンが含まれる。CVPはまた、リツキシマブとの組合せで投与してもよい。EPOCHには、エトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、およびドキソルビシンの薬物が含まれる。EPOCH-Rは、リツキシマブでの処置をさらに含む。DHAPは、デキサメタゾン、高用量シタラビン、およびシスプラチンの薬物を含む。DHAP+R(またはR-DHAP)は、リツキシマブでの処置をさらに含む。本明細書に記載される方法に従って使用することができるさらなる組合せレジメンには、ベンダムスチンに加えてリツキシマブ(BR);リツキシマブ、シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、およびプレドニゾン(R-CEPP);リツキシマブ、シクロホスファミド、エピルビシン、およびプレドニゾン(R-CEOP);リツキシマブ、ゲムシタビン、シスプラチン、およびデキサメタゾン(R-GDP);リツキシマブおよびレナリドマイドのうちのいずれか1つまたは複数が含まれる。本明細書に記載される方法に従って使用することができるさらなる抗がん療法には、クロラムブシル、ベンダムスチン、シクロホスファミド、フルダラビン、オファツムマブ、オビヌツズマブ、リツキシマブ、イデラリシブ、ベネトクラックス、レナリドマイド、およびメチルプレドニゾロンのうちのいずれか1つもしくは複数、または組合せが含まれる。
【0050】
一部の実施形態では、ドナーは、疾患の初回処置および改善の期間の後に、1回目の再発に入る場合がある。一部の実施形態では、改善の期間は、疾患の兆候および症状の完全な不在によって示される。一部の実施形態では、改善の期間の間、疾患の兆候および症状は、緩和または低減されるが、完全に不在ではない。一部の実施形態では、疾患の兆候および症状の完全な不在、または兆候および症状の緩和もしくは低減は、初回処置の結果である。
【0051】
一部の実施形態では、ドナーは、疾患の、1回または複数回のこれまでの処置、および1回または複数回の改善の期間の後に、2回目の再発に入る場合がある。一部の実施形態では、改善の期間は、疾患の兆候および症状の完全な不在によって示される。一部の実施形態では、改善の期間の間、疾患の兆候および症状は、緩和または低減されるが、完全に不在ではない。一部の実施形態では、疾患の兆候および症状の完全な不在、または兆候および症状の緩和もしくは低減は、これまでの処置の結果である。
【0052】
一部の実施形態では、再発は、医療従事者によって診断され、この人物が、ドナーを検査し、ドナーにおける疾患の兆候および症状の戻りを確認する。一部の実施形態では、医療従事者は、国、州(state)、州(province)、郡、地方自治体、または町区における医療規制当局による免許を有する人物である。医療従事者としては、たとえば、医師、たとえば、血液学者、免疫学者、もしくは腫瘍学者、または実地看護師を挙げることができる。疾患を診断する医療従事者および再発を診断する医療従事者は、同じ人物であってもよく、またはそうでなくてもよい。
【0053】
一部の実施形態では、ドナーの血液に由来する細胞は、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。一部の実施形態では、ドナーから収集されたとき、および/またはアフェレーシス試料中の合計の、細胞の数は、以下の数もしくはおよそ以下の数であるか、または以下の数もしくはおよそ以下の数を上回らない:500×106個、1000×106個、2000×106個、3000×106個、4000×106個、もしくは5000×106個、またはそれよりも多くの合計細胞もしくは合計有核細胞。一部の実施形態では、対象に投与する際の試料は、ドナーの体重1キログラム当たり105個~106個もしくは約105個~約106個の細胞もしくはT細胞もしくは操作細胞、および/または5×106個もしくは10×106個または約5×106個もしくは約10×106個の合計細胞もしくはT細胞もしくは操作細胞もしくはそのサブセットを含有する。一部の実施形態では、ドナーから収集されたときの血液の体積は、ドナーの体重1キログラムに対して、0.5~5ミリリットルである。
【0054】
一部の実施形態では、細胞は、T細胞および/またはその集団を含む、および/またはそれらの存在が濃縮されている。一部の実施形態では、細胞は、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を、別個または組合せのいずれかで、含む。T細胞および/またはCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞のサブタイプおよび部分集団には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞、およびそれらのサブタイプ、たとえば、ステムセントラルメモリーT細胞(TSCM)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT細胞(TEM)、または最終分化型エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然および適応性調節性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、たとえば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞がある。一部の実施形態では、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒球、たとえば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。一部の実施形態では、T細胞は、バルクT細胞、たとえば、CD3発現、CD4もしくはCD8発現、または血液細胞上に見出される非T細胞マーカーの陰性に基づいて選択されるものを含むか、またはそれらである。
【0055】
一部の実施形態では、細胞は、T細胞、たとえば、CD8+T細胞(たとえば、CD8+ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、もしくはエフェクターメモリーT細胞)、CD4+T細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、調節性T細胞(Treg)、幹細胞メモリーT細胞、リンパ球前駆細胞、造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、または樹状細胞であるか、またはこれらを含む。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒球、たとえば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。ある実施形態では、細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞またはiPS細胞に由来する細胞、たとえば、対象から生成され、1つまたは複数の標的遺伝子を改変する(たとえば、標的遺伝子における変異を誘導する)かまたはその発現を操作するように操作され、たとえば、T細胞、たとえば、CD8+T細胞(たとえば、CD8+ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、またはエフェクターメモリーT細胞)、CD4+T細胞、幹細胞メモリーT細胞、リンパ球前駆細胞、または造血幹細胞に分化した、iPS細胞である。
【0056】
一部の実施形態では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、たとえば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその部分集団、たとえば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増大、再循環、局在化、および/または持続能力、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官もしくはコンパートメントにおける存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化の度合いによって定義されるものを含む。
【0057】
一部の実施形態では、T細胞および/またはCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞のサブタイプおよび部分集団には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞、およびそれらのサブタイプ、たとえば、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化型エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然および適応性調節性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、たとえば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞がある。一部の実施形態では、細胞は、ドナーから収集された後、さらなる処理なしに、極低温で凍結される、および/または極低温で保管される。一部の実施形態では、細胞は、極低温で凍結および/または保管される前に、1回または複数回、濃縮される。一部の実施形態では、細胞は、極低温で保管された後に、1回または複数回、濃縮される。一部の事例では、極低温で凍結および/または保管する前に細胞に濃縮もさらなる処理も行わないことにより、コストの低減および/または時間の節約の利点が得られる。一部の事例では、極低温で凍結および/または保管する前に細胞に濃縮もさらなる処理も行わないことにより、さらに、細胞の濃縮および/または処理を行うことができる施設へのアクセスを有さないドナーに対して、より広範な収集施設の選択肢が可能となり得る。濃縮は、たとえば、PCT出願公開第2015/164675号に記載される通りであってもよく、これは、その全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、細胞は、極低温で凍結および/または保管する前に、処理される。
【0058】
特定の実施形態では、細胞は、たとえば、例として、血漿および血小板を除去するための洗浄ステップの後に、凍結される。一部の実施形態では、細胞は、細胞、たとえば、組換え受容体、たとえば、CARを発現する、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を製造および/または生成することと関連するステップうちのいずれかよりも前、それに続いて、および/またはその最中に、凍結される。ある特定の実施形態では、そのようなステップには、細胞のサブセット、たとえば、CD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞の選択および/もしくは単離、細胞、たとえば、T細胞もしくはそのサブセットの刺激および/もしくは増大、または細胞のトランスフェクションもしくは形質導入を含むがこれらに限定されない、操作細胞の生成と関連する任意のステップが含まれ得る。一部の実施形態では、細胞は、細胞の選択および/もしくは単離、細胞の刺激および/もしくは増大、または細胞のトランスフェクションもしくは形質導入の前に、対象から収集されたアフェレーシス試料の細胞である。
【0059】
細胞処理方法
【0060】
一部の実施形態では、対象から収集された細胞を、洗浄して、たとえば、血漿画分を除去し、細胞を、後続の処理ステップに適した緩衝液または媒体に入れる。一部の実施形態では、細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。一部の実施形態では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/もしくはマグネシウム、ならびに/または多数もしくはすべての二価カチオンを含まない。一部の態様では、洗浄ステップは、半自動化された「フロースルー」遠心分離(たとえば、Cobe 2991 cell processor、Baxter)を製造業者の説明に従って使用して、達成される。一部の態様では、洗浄ステップは、遠心分離チャンバ、たとえば、A-200/FおよびA-200遠心分離チャンバを含め、Sepax(登録商標)およびSepax(登録商標)2システムで使用するためのものを含む、Biosafe SAによって製造および販売されているものにおいて、製造業者の説明書に従って、行われる。一部の態様では、洗浄ステップは、製造業者の説明に従って接線流濾過(TFF)によって、達成される。一部の実施形態では、細胞は、洗浄後に、たとえば、Ca++/Mg++不含PBSなど、様々な生体適合性緩衝液中に再懸濁される。ある特定の実施形態では、血液細胞試料の成分が除去され、細胞が、直接、培養媒体中に再懸濁される。
【0061】
一部の実施形態では、方法には、密度に基づく細胞分離方法、たとえば、赤血球を溶解し、PercollまたはFicoll勾配を通じた遠心分離による、末梢血からの白血球の調製が含まれる。
【0062】
一部の実施形態では、単離方法には、細胞における、1つまたは複数の特定の分子、たとえば、表面マーカー、たとえば、表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の発現または存在に基づく、異なる細胞型の分離が含まれる。一部の実施形態では、そのようなマーカーに基づく任意の公知の分離方法を、使用することができる。一部の実施形態では、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。たとえば、一部の態様では、単離には、細胞の、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの発現または発現レベルに基づいて、たとえば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、一般的にはそれに続く洗浄ステップおよび抗体または結合パートナーに結合した細胞の、抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの分離による、細胞および細胞集団の分離が含まれる。
【0063】
そのような分離ステップは、試薬に結合した細胞が、さらなる使用のために保持される、陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持される、陰性選択に基づき得る。一部の例では、両方の画分が、さらなる使用のために保持される。一部の態様では、不均一集団において細胞型を特異的に特定する抗体が利用可能でなく、その結果、分離は、所望される集団以外の細胞が発現するマーカーに基づいて行われるのが最もよくなるという場合には、陰性選択が、特に有用であり得る。
【0064】
分離は、必ずしも、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去をもたらすものではない。一部の実施形態では、濃縮した集団は、集団のうちの少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%を含む。たとえば、特定の種類の細胞、たとえば、マーカーを発現するものの陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数または割合を増加させることを指すが、必ずしも、そのマーカーを発現しない細胞の完全な不在をもたらすわけではない。同様に、特定の種類の細胞、たとえば、マーカーを発現するものの陰性選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数または割合の減少を指すが、必ずしも、すべてのそのような細胞の完全な除去をもたらすわけではない。
【0065】
一部の例では、複数回の分離ステップが行われ、ここで、1つのステップから陽性選択または陰性選択された画分が、別の分離ステップ、たとえば、後続の陽性選択または陰性選択に供される。一部の例では、たとえば、細胞を、それぞれが陰性選択の標的とされるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーとともにインキュベートすることによって、単回の分離ステップにより、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、細胞を、様々な細胞型に発現される複数の抗体または結合パートナーとともにインキュベートすることによって、複数の細胞型を、同時に陽性選択することができる。
【0066】
たとえば、一部の態様では、T細胞の特定の部分集団、たとえば、1つまたは複数の表面マーカーが陽性であるかまたはそれらを高いレベルで発現する細胞、たとえば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞が、陽性選択または陰性選択の技法によって単離される。
【0067】
たとえば、CD3+、CD28+T細胞は、CD3/CD28コンジュゲート磁性ビーズ(たとえば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用して、陽性選択することができる。
【0068】
一部の実施形態では、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮、または陰性選択による特定の細胞集団の枯渇によって、行われる。一部の実施形態では、陽性選択または陰性選択は、細胞を、それぞれ、陽性選択または陰性選択される細胞に発現される(マーカー+)かまたは比較的高いレベルで発現される(マーカー高)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する、1つまたは複数の抗体または他の結合剤とともにインキュベートすることによって、達成される。
【0069】
一部の実施形態では、T細胞は、非T細胞、たとえば、B細胞、単球、または他の白血球に発現されるマーカー、たとえば、CD14の陰性選択によって、PBMC試料から分離される。一部の態様では、CD4+またはCD8+の選択ステップを使用して、CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞を分離させる。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞部分集団に発現されるかまたは比較的高い程度で発現されるマーカーの陽性選択または陰性選択によって、部分集団にさらに分類することができる。
【0070】
一部の実施形態では、CD8+細胞は、さらに、たとえば、それぞれの部分集団と関連する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択によって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはステムセントラルメモリー細胞の濃縮または枯渇が行われる。一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、有効性を増加させるため、たとえば、長期生存、増大、および/または投与後の生着を改善するために、行われ、これは、一部の態様では、そのような部分集団において特にロバストである。Terakuraら(2012年)、Blood.、1巻:72~82頁、Wangら(2012年)、J Immunother.、35巻(9号):689~701頁を参照されたい。一部の実施形態では、TCMを濃縮したCD8+T細胞およびCD4+T細胞を組み合わせることにより、有効性が、さらに強化される。
【0071】
いくつかの実施形態では、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62L-の両方のサブセットに存在する。PBMCは、たとえば、抗CD8抗体および抗CD62L抗体を使用して、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+の画分を濃縮または枯渇させることができる。
【0072】
一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性または高い表面発現に基づき、一部の態様では、これは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するかまたは高度に発現する細胞の陰性選択に基づく。一部の態様では、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって、行われる。一態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4の発現に基づいて選択された陰性の細胞画分で開始して行われ、これが、CD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択、ならびにCD62Lに基づく陽性選択に供される。そのような選択は、一部の態様では、同時に行われ、他の態様では、いずれかの順序で順に行われる。一部の態様では、CD8+細胞集団または部分集団の調製に使用される同じCD4発現に基づく選択ステップは、CD4に基づく分離から得られた陽性画分および陰性画分の両方が、保持され、方法の後続のステップにおいて、必要に応じて1つまたは複数のさらなる陽性選択または陰性選択のステップの後に、使用されるように、CD4+細胞集団または部分集団を生成するためにも使用される。
【0073】
特定の例では、PBMCの試料または他の白血球試料を、CD4+細胞の選択に供し、ここで、陰性画分および陽性画分の両方が保持される。陰性画分は、次いで、CD14およびCD45RAまたはROR1の発現に基づく陰性選択、ならびにセントラルメモリーT細胞の特徴であるマーカー、たとえば、CD62LまたはCCR7に基づく陽性選択に供され、ここで、陽性選択および陰性選択は、いずれかの順序で行われる。
【0074】
CD4+ヘルパーT細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによって、ナイーブ、セントラルメモリー、およびエフェクター細胞に分類される。CD4+リンパ球は、標準的な方法によって得ることができる。一部の実施形態では、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。一部の実施形態では、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。一部の実施形態では、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0075】
1つの例では、陰性選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的に、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択による細胞の分離を可能にするために、固体支持体または基質、たとえば、磁性ビーズまたは常磁性ビーズに結合されている。たとえば、一部の実施形態では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(たとえば、親和性磁気)分離技法(Methods in Molecular Medicine、58巻:Metastasis Research Protocols、2巻:Cell Behavior In Vitro and In Vivo、17~25頁:S. A. Brooks and U. Schumacher編(著作権)Humana Press Inc.、Totowa、NJにおいて考察されている)を使用して、分離または単離される。
【0076】
一部の態様では、2つまたはそれを上回る選択ステップが、順次行われ得る。たとえば、分離しようとする細胞の試料または組成物は、CD8+細胞の選択に供され、ここで、陰性画分および陽性画分の両方が、保持される。CD8陰性画分を、さらに、CD4+細胞の選択に供してもよい。一部の態様では、分離しようとする細胞の試料または組成物は、CD4+細胞の選択に供され、ここで、陰性画分および陽性画分の両方が保持され、CD4陰性画分は、CD8+細胞の選択に供され得る。細胞選択のための例示的な方法は、PCT特許出願公開第2015/157384号および/または同第2015/164675号に記載されており、これらは、参照によりその全体が組み込まれ、そのすべてまたは一部分が、本明細書に記載される方法と併せて使用され得る。
【0077】
一部の態様では、分離しようとする細胞の試料または組成物は、小さな磁化可能または磁気応答性の材料、たとえば、磁気応答性粒子またはマイクロ粒子、たとえば、常磁性ビーズ(たとえば、DynalbeadsまたはMACSビーズなど)とともに、インキュベートされる。磁気応答性材料、たとえば、粒子は、一般に、分離することが所望される、たとえば、陰性選択または陽性選択することが所望される細胞、複数の細胞、または細胞集団に存在する分子、たとえば、表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、たとえば、抗体に、直接的または間接的に結合されている。
【0078】
一部の実施形態では、磁性粒子またはビーズは、特定の結合メンバー、たとえば、抗体または他の結合パートナーに結合された、磁気応答性材料を含む。磁気分離方法において使用される周知の磁気応答性材料が、多数存在する。好適な磁性粒子としては、Molday、米国特許第4,452,773号および欧州特許明細書第452342号Bに記載されているものが挙げられ、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。コロイドサイズ粒子、たとえば、Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているものは、他の例であり、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
インキュベーションは、一般に、抗体もしくは結合パートナー、またはそのような抗体または結合パートナーに特異的に結合する磁性粒子またはビーズに結合した分子、たとえば、二次抗体もしくは他の試薬が、試料内の細胞に存在する場合に細胞表面分子に特異的に結合する条件下において、行われる。
【0080】
一部の態様では、試料は、磁場に置かれ、磁気応答性または磁化可能粒子が結合した細胞が、磁石に引き寄せられ、未標識細胞から分離される。陽性選択については、磁石に引き寄せられた細胞が保持され、陰性選択については、引き寄せられていない細胞(未標識細胞)が保持される。一部の態様では、陽性選択および陰性選択の組合せが、同じ選択ステップの間に行われ、ここで、陽性画分および陰性画分が保持され、さらに処理されるか、またはさらなる分離ステップに供される。
【0081】
ある特定の実施形態では、磁気応答性粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンでコーティングされる。ある特定の実施形態では、磁性粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して、細胞に結合する。ある特定の実施形態では、ビーズというよりは細胞が、一次抗体または結合パートナーで標識され、次いで、細胞型特異的な二次抗体または他の結合パートナー(たとえば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子が、添加される。ある特定の実施形態では、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性粒子は、ビオチン化一次または二次抗体とともに使用される。
【0082】
一部の実施形態では、磁気応答性粒子は、続いて、インキュベート、培養、および/または操作しようとする細胞に結合したままであり、一部の態様では、粒子は、患者への投与のために細胞に結合したままである。一部の実施形態では、磁化可能または磁気応答性粒子は、細胞から除去される。磁化可能粒子を細胞から除去するための方法は、公知であり、たとえば、競合する非標識抗体、切断可能なリンカーにコンジュゲートした磁化可能粒子または抗体などの使用が挙げられる。一部の実施形態では、磁化可能粒子は、生体分解性である。
【0083】
一部の実施形態では、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞分類(MACS)(Miltenyi Biotech、Auburn、CA)によるものである。磁気活性化細胞分類(MACS)システムは、磁化した粒子が結合している細胞の高純度での選択が可能である。ある特定の実施形態では、MACSは、非標的種および標的種が、外部磁場の適用後に、順に溶出される形態で、動作する。すなわち、磁化した粒子に結合した細胞は、その場所に保持されるが、未結合の種は、溶出される。次いで、この第1の溶出ステップが完了した後に、磁場に捕捉された種および溶出が防止された種が溶出され、回収され得るような何らかの様式で、これらの種は、解放される。ある特定の実施形態では、非標的細胞は、標識され、不均一な細胞集団から枯渇される。
【0084】
ある特定の実施形態では、単離または分離は、方法のなかの単離、細胞の調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化のステップのうちの1つまたは複数を行うシステム、デバイス、または装置を使用して、行われる。一部の態様では、システムは、これらのステップのそれぞれを、たとえば、エラー、ユーザの取扱い、および/または汚染を最小限に抑えるために、閉鎖または滅菌の環境において行うために使用される。1つの例では、システムは、PCT特許出願公開第2009/072003号、または米国特許出願公開第2011/0003380号A1に記載されているシステムであり、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、PCT特許出願公開第2016/073602号または米国特許出願公開第2016/0122782号に記載されているシステム、デバイス、装置、および/または方法を使用して、アフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物、またはそれらに由来する試料が処理される、ならびに/あるいはこれらを使用して、単離または選択が行われ、これらの文献の内容は、参照によりその全体が組み込まれる。一部の実施形態では、単離または分離は、PCT特許出願公開第2015/164675号に記載されている方法に従って行われ、この内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0085】
一部の実施形態では、システムまたは装置は、単離、処理、操作、および製剤化のステップのうちの1つまたは複数、たとえば、すべてを、統合もしくは内蔵型システムにおいて、および/または自動化もしくはプログラム可能な様式で、行う。一部の態様では、システムまたは装置は、システムまたは装置と通信状態にあり、ユーザが、処理、単離、操作、および製剤化のステップの様々な側面をプログラム、制御、その結果を評価、および/または調整するのを可能にする、コンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含む。
【0086】
一部の態様では、分離および/または他のステップは、たとえば、閉鎖および滅菌システムにおける臨床規模レベルでの細胞の自動化された分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotic)を使用して、行われる。構成要素には、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチバルブが含まれ得る。統合コンピュータは、一部の態様では、機器のすべての構成要素を制御し、標準的な順序で反復される手順を行うように、システムに指示する。磁気分離ユニットは、一部の態様では、可動性永久磁石および選択カラムのホルダを含む。蠕動ポンプは、チュービングセット全体の流速を制御し、ピンチバルブとともに、システムを流れる緩衝液の流動の制御および細胞の継続的な懸濁を確実にする。
【0087】
CliniMACSシステムは、一部の態様では、滅菌の非発熱性溶液で供給される、抗体にカップリングされた磁化可能粒子を使用する。一部の実施形態では、細胞を磁性粒子で標識した後、細胞を、洗浄して、過剰な粒子を除去する。細胞調製バッグを、次いで、チュービングセットに接続し、これが、緩衝液を含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続される。チュービングセットは、前カラムおよび分離カラムを含む、事前にアセンブルされた滅菌チュービングからなり、単回使用に限られる。分離プログラムの開始後に、システムは、自動的に、細胞試料を分離カラムに適用する。標識された細胞が、カラム内に保持され、一方で、未標識細胞は、一連の洗浄ステップによって除去される。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法で使用するための細胞集団は、未標識であり、カラムに保持されない。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法で使用するための細胞集団は、標識されており、カラムに保持される。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法で使用するための細胞集団は、磁場を除去した後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0088】
ある特定の実施形態では、分離および/または他のステップは、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行われる。CliniMACS Prodigyシステムは、一部の態様では、自動化された細胞の洗浄および遠心分離による分画を可能にする細胞処理ユニティ(unity)が装備されている。CliniMACS Prodigyシステムにはまた、搭載されたカメラおよび画像認識ソフトウェアも含まれ得、これは、肉眼で見える源細胞産物の層を認識することによって、最適な細胞分画のエンドポイントを判定する。たとえば、末梢血は、赤血球、白血球、および血漿の層に自動的に分離され得る。CliniMACS Prodigyシステムにはまた、細胞培養プロトコール、たとえば、細胞の分化および増大、抗原の負荷、および長期細胞培養などを達成する、一体型細胞培養チャンバも含まれ得る。入力ポートは、媒体の滅菌除去および補充を可能にすることができ、細胞は、組み込まれた顕微鏡を使用して監視することができる。たとえば、Klebanoffら(2012年)、J Immunother.、35巻(9号):651~660頁、Terakuraら(2012年)、Blood.、1巻:72~82頁、およびWangら(2012年)、J Immunother.、35巻(9号):689~701頁を参照されたい。
【0089】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、複数の細胞表面マーカーに関して染色した細胞を、流体流に流す、フローサイトメトリーを介して収集および濃縮(または枯渇)される。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、分取規模の(FACS)分類を介して収集および濃縮(または枯渇)される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、微小電気機械システム(MEMS)チップをFACSに基づく検出システムと組み合わせて使用することによって、収集および濃縮(または枯渇)される。たとえば、国際公開第2010/033140号、Choら(2010年)、Lab Chip、10巻、1567~1573頁、およびGodinら(2008年)、J Biophoton.、1巻(5号):355~376頁を参照されたい。いずれの事例においても、細胞は、複数のマーカーで標識することができ、十分に定義されたT細胞サブセットを高純度で単離することが可能である。
【0090】
一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択のための分離を促進するために、1つまたは複数の検出可能なマーカーで標識される。たとえば、分離は、蛍光標識した抗体への結合に基づくものであってもよい。一部の例では、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、流体流において、たとえば、分取規模の(FACS)を含む蛍光活性化細胞分類(FACS)、および/またはたとえばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップによって、行われる。そのような方法は、複数のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択を同時に可能にする。
【0091】
一部の実施形態では、調製方法には、単離、インキュベーション、および/または操作の前または後のいずれかで、細胞を凍結、たとえば、極低温保存するためのステップが含まれる。一部の実施形態では、凍結およびそれに続く解凍のステップにより、細胞集団における顆粒球、およびある程度の単球が、除去される。一部の実施形態では、細胞は、たとえば、血漿および血小板を除去するための洗浄ステップの後に、凍結溶液中に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかを、一部の態様では、使用することができる。1つの例には、およそ20%のジメチルスルホキシド(DMSO)およびおよそ8%のヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の好適な細胞凍結媒体を使用することが含まれる。一部の態様では、溶液は、次いで、DMSOおよびHSAの最終濃度が、それぞれ、10%および4%となるように、媒体で1:1希釈される。細胞は、次いで、1分間につき1℃の速度で、-80℃に凍結され、液体窒素保管タンクの気相で保管される。
【0092】
様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかを、一部の態様では、使用することができる。一部の実施形態では、細胞試料は、極低温保護剤を含有する極低温保存またはガラス化媒体または溶液を含有し得る。好適な極低温保護剤としては、DMSO、グリセロール、グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール(PEG)、1,2-プロパンジオール(PROH)、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、極低温保存溶液は、ポリビニルピロリジオン、ヒドロキシエチルデンプン、多糖類、単糖類、アルギン酸塩、トレハロース、ラフモース(raffmose)、デキストラン、ヒト血清アルブミン、Ficoll、リポタンパク質、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルデンプン、自家血漿、またはこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない、1つまたは複数の非細胞透過性極低温保存剤を含有し得る。一部の実施形態では、細胞は、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、または約6体積%~約9体積%の最終濃度の極低温保護剤を有する凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、凍結溶液中の極低温保護剤の最終濃度は、約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%である。
【0093】
特定の実施形態では、細胞は、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、または約6体積%~約9体積%の最終濃度のDMSOを有する凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、凍結溶液中のDMSOの最終濃度は、約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%である。
【0094】
一部の実施形態では、組成物は、極低温保存に好適な1つまたは複数のバッグに封入される(たとえば、CryoMacs(登録商標)Freezing Bags、Miltenyi Biotec)。一部の実施形態では、組成物は、極低温保存に好適な1つまたは複数のバイアルに封入される(たとえば、CellSeal(登録商標)Vials、Cook Regentec)。
【0095】
一部の実施形態では、提供される方法は、極低温保存ステップの前または後のいずれかに、培養(cultivation)、インキュベーション、培養(culture)、および/または遺伝子操作のステップを含む。一部の実施形態では、少なくとも遺伝子操作ステップが、極低温保存ステップの後に行われる。たとえば、一部の実施形態では、極低温保存された細胞集団をインキュベートおよび/または操作するための方法が、提供される。
【0096】
したがって、一部の実施形態では、細胞集団は、培養開始組成物中でインキュベートされる。インキュベーションおよび/または操作は、培養容器、たとえば、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チュービングセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養(culture)または培養(cultivate)するための他の容器において行われ得る。
【0097】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作の前またはそれとともに、インキュベートおよび/または培養される。インキュベーションステップには、培養(culture)すること、培養(cultivation)すること、刺激すること、活性化すること、および/または増やすことが含まれ得る。一部の実施形態では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激性薬剤の存在下において、インキュベートされる。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/または生存を誘導し、抗原曝露を模倣し、および/または遺伝子操作、たとえば、組換え抗原受容体の導入のために細胞を予備刺激するように、設計されるものが含まれる。
【0098】
条件には、特定の媒体、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、たとえば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、たとえば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、ならびに細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質のうちの1つまたは複数が含まれ得る。一部の態様では、細胞は、1つまたは複数のサイトカインの存在下においてインキュベートされ、一部の実施形態では、サイトカインカクテル、たとえば、PCT特許出願公開第2015/157384号に記載されるものを利用することができ、これは、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、細胞は、形質導入の前、同時、または後に、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはサイトカインカクテルとともにインキュベートされる。
【0099】
一部の実施形態では、刺激条件または刺激剤には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる、1つまたは複数の作用物質、たとえば、リガンドが含まれる。一部の態様では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動させるかまたは開始する。そのような作用物質としては、抗体、たとえば、TCRに特異的なもの、たとえば、抗CD3を挙げることができる。一部の実施形態では、刺激条件には、共刺激性受容体を刺激することができる、1つまたは複数の作用物質、たとえば、リガンド、たとえば、抗CD28が含まれる。一部の実施形態では、そのような作用物質および/またはリガンドは、固体支持体、たとえば、ビーズ、および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。必要に応じて、増大方法は、さらに、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を、培養媒体に(たとえば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加するステップを含み得る。一部の実施形態では、刺激剤は、IL-2、IL-15、および/またはIL-7を含む。一部の態様では、IL-2の濃度は、少なくとも約10単位/mLである。
【0100】
一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらへの米国特許第6,040,177号、Klebanoffら(2012年)、J Immunother.、35巻(9号):651~660頁;Terakuraら(2012年)、Blood.、1巻:72~82頁;および/またはWangら(2012年)、J Immunother.、35巻(9号):689~701頁に記載されているものなどの技法に従って行われる。一部の態様では、インキュベーションは、PCT特許出願公開第2016/073602号または米国公開第2016/0122782号に記載されているシステム、デバイス、装置、および/または方法を使用して行われ、これらの内容は、参照によりその全体が組み込まれる。一部の実施形態では、インキュベーションおよび/または培養は、PCT特許出願公開第2015/164675号に記載されている方法に従って行われ、この内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0101】
一部の実施形態では、T細胞は、培養開始組成物に、フィーダー細胞、たとえば、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)を添加し(たとえば、結果として得られる細胞集団が、増大させようとする初期集団中のTリンパ球それぞれに対して少なくとも約5個、10個、20個、もしくは40個、またはそれを上回るPBMCフィーダー細胞を含有するように)、培養物をインキュベートすること(たとえば、T細胞の数を増大させるのに十分な時間)によって、増大される。一部の態様では、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PBMCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、PBMCに、約3000~3600ラドの範囲でガンマ線を照射して、細胞分裂を防止する。一部の態様では、フィーダー細胞は、T細胞集団の添加前に、培養媒体に添加される。
【0102】
一部の実施形態では、刺激条件としては、ヒトTリンパ球の成長に好適な温度、たとえば、少なくとも摂氏約25度、一般に、少なくとも約30度、および一般に、摂氏37度または約37度が挙げられる。必要に応じて、インキュベーションは、フィーダー細胞として非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)を添加することをさらに含み得る。LCLには、約6000~10,000ラドの範囲でガンマ線を照射してもよい。LCLフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の好適な量、たとえば、LCLフィーダー細胞の初期Tリンパ球に対する比が少なくとも約10:1で、提供される。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗原特異的T細胞、たとえば、抗原特異的CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。たとえば、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株またはクローンは、T細胞を、感染した対象から単離し、細胞をin vitroにおいて同じ抗原で刺激することによって、生成することができる。
【0104】
一部の実施形態では、細胞は、極低温で凍結および/または保管される前に、濃縮される。細胞を極低温で凍結および/または保管する前に細胞を濃縮する利点には、時間の節約が含まれ得る。たとえば、レシピエントが、細胞置換え療法の一部として細胞を必要としたときに、細胞を、極低温保管から解凍し、さらなる操作なしにレシピエントに投与することができる。一部の実施形態では、方法は、1種または複数種の細胞の濃縮を含む。一部の実施形態では、濃縮される細胞は、T細胞である。一部の実施形態では、CD4+T細胞が、濃縮される。一部の実施形態では、CD8+T細胞が、濃縮される。一部の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の両方が、濃縮される。一部の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、別個のプロセスで濃縮される。一部の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、単一のプロセスで濃縮される。CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の濃縮は、たとえば、PCT出願公開第2015/164675号に記載される通りであってもよく、これは、その全体が本細書に組み込まれる。
【0105】
一部の実施形態では、細胞は、極低温で保管される前に、分析される。一部の実施形態では、細胞は、細胞の活性を測定するために分析され得る。一部の実施形態では、活性は、細胞の生物学的機能である。一部の実施形態では、活性は、B細胞の形質細胞および/もしくはメモリーB細胞への成熟、細胞傷害性T細胞および/もしくはマクロファージの活性化などを含む、免疫学的プロセスを補助する細胞の能力である。一部の実施形態では、活性は、受容体、受容体様分子、抗体、または抗体様分子を使用して、特定のリガンドまたは抗原に結合する、細胞の能力である。一部の実施形態では、活性は、ウイルスに感染した細胞および腫瘍細胞を認識し、それを破壊する、細胞の能力である。一部の実施形態では、細胞は、細胞の活性に関連するかまたはそれに影響を及ぼす、細胞の別の生物学的機能を測定するために、分析される。
【0106】
細胞の選択および/または処理のステップはまた、たとえば、国際公開第2017214207号に記載される通りであってもよく、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、および/または同第2016073602号に記載される通りであってもよく、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0107】
極低温での凍結方法
【0108】
一部の実施形態では、細胞は、たとえば、特定の細胞密度、たとえば、公知または制御された細胞密度で、凍結される。ある特定の実施形態では、凍結プロセスの間の細胞密度は、凍結プロセスの間に生じるおよび/またはそれに起因して生じる、細胞の死および/または細胞の損傷に影響を及ぼし得る。
【0109】
たとえば、特定の実施形態では、細胞密度は、平衡、たとえば、凍結プロセスの間の周囲との浸透平衡に影響を及ぼす。一部の実施形態では、この平衡は、脱水である、脱水を含む、および/または脱水をもたらす。ある特定の実施形態では、脱水は、凍結溶液、たとえば、DMSOおよび/またはDMSO含有溶液との接触、組合せ、および/またはインキュベーションにより生じる細胞の脱水であるか、またはそれを含む。特定の実施形態では、脱水は、たとえば、細胞に曝露される有効液状水分濃度を低減することによって、細胞外空間における氷結晶の核形成および成長により生じる脱水であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、細胞は、異なる細胞密度、たとえば、高いかまたは低い細胞密度で凍結される細胞よりも、ゆっくりおよび/または低速な脱水をもたらす細胞密度で、凍結される。一部の実施形態では、細胞は、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度、たとえば、より高いかまたは低い細胞密度で凍結される細胞よりも、およそ以下の値、少なくとも以下の値、または以下の値だけ遅い脱水をもたらす細胞密度で、凍結される:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、または100倍。
【0110】
ある特定の実施形態では、細胞は、それぞれ、両端の値を含め、1×106個の細胞/mL~1×108個の細胞/mLもしくは約1×106個の細胞/mL~約1×108個の細胞/mL、約1×106個の細胞/mL~約2×107個の細胞/mL、約1×107個の細胞/mL~約5×107個の細胞/mL、または約1×107個の細胞/mL~5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、それぞれの値を含め、約1×106個の細胞/mL、約2×106個の細胞/mL、約5×106個の細胞/mL、約1×107個の細胞/mL、約1.5×107個の細胞/mL、約2×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約3×107個の細胞/mL、約3.5×107個の細胞/mL、約4×107個の細胞/mL、約4.5×107個の細胞/mL、または約5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、両端の値を含め、約1.5×107個の細胞/mL~約6×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、少なくとも約1×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、両端の値を含め、約5×106個の細胞/mL~約150×106個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。特定の実施形態では、細胞は、少なくとも約1.5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。一部の実施形態では、細胞は、生存細胞である。一部の実施形態では、細胞密度は、T細胞の直径によって判定される。
【0111】
一部の実施形態では、細胞は、1つまたは複数の容器において、凍結される。ある特定の実施形態では、容器は、凍結容器および/または極低温保護容器である。極低温凍結に好適な容器としては、バイアル、バッグ、たとえばプラスチックバッグ、およびケーン(cane)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、細胞、たとえば、同じ細胞組成物、たとえば、CARを発現する細胞を含有する細胞組成物中の細胞は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個の容器において、凍結される。たとえば、一部の実施形態では、細胞および/または細胞の組成物は、たとえば、溶液、凍結溶液、および/または極低温保護剤などに、容器に好適な体積よりも大きい体積で懸濁され、そのため、体積は、2つまたはそれを上回る容器に入れられる。一部の実施形態では、体積は、以下の値であるか、およそ以下の値であるか、または以下の値を下回る:100mL、50mL、25mL、20mL、15mL、10mL、5mL、または5mLを下回る。細胞は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個のバイアルにおいて凍結される。特定の実施形態では、同じ体積の細胞が、それぞれのバイアルに入れられる。一部の実施形態では、バイアルは、同一のバイアル、たとえば、同じ製造業者、モデル、および/または製造ロットのバイアルである。特定の実施形態では、体積は、以下の値であるか、およそ以下の値であるか、または以下の値を上回る:10mL、15mL、20mL、25mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、120mL、150mL、200mL、または200mLを上回る。細胞は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個のバッグにおいて凍結される。特定の実施形態では、同じ体積の細胞が、それぞれのバッグに入れられる。一部の実施形態では、バッグは、同一のバッグ、たとえば、同じ製造業者、モデル、および/または製造ロットのバッグである。
【0112】
一部の実施形態では、容器は、バイアルである。ある特定の実施形態では、容器は、以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値の充填容積を有するバイアルである:0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17mL、18mL、19mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、または50mL。一部の実施形態では、バイアルは、それぞれ、両端の値を含め、1mL~120mL、1mL~20mL、1mL~5mL、1mL~10mL、1mL~40mL、または20mL~40mLの充填容積を有する。一部の実施形態では、バイアルは、凍結用バイアル、極低温保護バイアル、および/または極低温バイアルである。好適なバイアルは、公知であり、CellSeal(登録商標)Vials(Cook Regentec)、ならびに米国特許第8,936,905号、同第9,565,854号、および同第8,709,797号に記載されているバイアルが挙げられるがこれらに限定されず、これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0113】
特定の実施形態では、容器は、バッグである。ある特定の実施形態では、容器は、以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値の充填容積を有するバッグである:0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17mL、18mL、19mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、または50mL。一部の実施形態では、バッグは、それぞれ、両端の値を含め、1mL~120mL、1mL~20mL、1mL~5mL、1mL~40mL、20mL~40mL、1mL~70mL、または50mL~70mLの充填容積を有する。一部の実施形態では、バッグには、以下の値、およそ以下の値、または以下の値を下回る体積が、充填される:100mL、75mL、70mL、50mL、25mL、20mL、または10mL。好適なバッグは、公知であり、CryoMacs(登録商標)Freezing Bags(Miltenyi Biotec)が挙げられるが、これに限定されない。ある特定の実施形態では、体積は、室温での体積である。一部の実施形態では、体積は、両端の値を含め、37℃~4℃、16℃~27℃での体積であるか、または以下の温度、およそ以下の温度、もしくは少なくとも以下の温度での体積である:16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃。一部の実施形態では、体積は、25℃での体積である。
【0114】
一部の実施形態では、両端の値を含め、1mL~20mLの体積の媒体または溶液、たとえば、凍結溶液中の細胞は、1つまたは複数のバイアルにおいて、凍結される。一部の実施形態では、1つまたは複数のバイアルは、両端の値を含め、1mL~5mLの充填容積を有する。ある特定の実施形態では、両端の値を含め、20mL~120mLの体積の媒体または溶液、たとえば、凍結溶液中の細胞は、1つまたは複数のバッグにおいて、凍結される。特定の実施形態では、1つまたは複数のバッグは、両端の値を含め、20mL~40mLの充填容積を有する。一部の実施形態では、120mLまたはそれを上回る体積の媒体または溶液、たとえば、凍結溶液中の細胞は、1つまたは複数のバッグにおいて、凍結される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のバッグは、両端の値を含め、50mL~70mLの充填容積を有する。
【0115】
ある特定の実施形態では、細胞は、容器、たとえば、バッグまたはバイアルに入れられた溶液、たとえば、凍結溶液において、表面積対体積の比で、凍結される。特定の実施形態では、表面積対体積の比は、それぞれ、両端の値を含め、以下の値であるかまたはおよそ以下の値である:0.1cm-1~100cm-1、1cm-1~50cm-1、1cm-1~20cm-1、1cm-1~10cm-1、2cm-1~10cm-1、3cm-1~7cm-1、または3cm-1~6cm-1。特定の実施形態では、表面積対体積の比は、3cm-1~6cm-1または約3cm-1~約6cm-1である。一部の実施形態では、表面積対体積の比は、以下の値であるか、およそ以下の値であるか、または少なくとも以下の値である:3cm-1、4cm-1、5cm-1、6cm-1、または7cm-1。
【0116】
一部の実施形態では、細胞は、1分間につき1℃または約1℃の速度で、-80℃に凍結される。一部の実施形態では、細胞は、制御された速度の凍結装置を使用して、1分間につき1℃または約1℃の速度で、能動的および/または効果的に冷却される。一部の実施形態では、細胞は、制御された速度の凍結装置を用いて凍結させることができる。一部の態様では、制御された速度の凍結装置は、プログラムされた冷却プロファイル、たとえば、複数の冷却および/または加熱速度を有するプロファイルで、細胞を凍結させるために使用される。そのような凍結プロファイルは、たとえば、細胞内での氷の形成を低減させるために、核形成、たとえば、氷の形成を制御するようにプログラムすることができる。一部の実施形態では、急速冷却プロファイルを開始するように選択される温度および終了温度は、容器の種類および凍結される体積に関連する。一部の実施形態では、体積が小さすぎるか、または容器が高すぎる表面積対体積の比を有する場合、試料は、温度の低下に対して高速で応答しすぎて、凍結するのが急速すぎるため、細胞内での氷の形成のリスクがある。他の実施形態では、体積が大きすぎるか、または容器の直径が低すぎる表面積対体積の比を有する場合、試料は、温度の低下に対して応答せず、凍結が起こるのが遅すぎて、試料はプロファイルの後半で核形成が制御されないリスクがあり、溶液は、氷結晶が形成される前に、極低温保存剤、たとえば、DMSOへの長時間の曝露による損傷が生じる。
【0117】
一部の実施形態では、細胞は、以下のプロファイルを使用して、凍結される:4.0℃での保持ステップ、続いて、試料が-6℃の温度に達するまで、1分間につき1.2℃の冷却ステップ。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-65℃に達するまで、1分間につき25℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-30℃に達するまで、1分間につき15℃の速度で加熱される。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-40℃に達するまで、1分間につき1℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-90℃に達するまで、1分間につき1℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで、制御された速度の凍結装置から取り出すまで、-90℃で保持される。
【0118】
一部の実施形態では、細胞は、以下のプロファイルを使用して、凍結される:4.0℃での保持ステップ、続いて、試料が-6℃の温度に達するまで、1分間につき1.2℃の冷却ステップ。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-65℃に達するまで、1分間につき25℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-30℃に達するまで、1分間につき15℃の速度で加熱される。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-40℃に達するまで、1分間につき1℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-90℃に達するまで、1分間につき10℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで、制御された速度の凍結装置から取り出すまで、-90℃で保持される。
【0119】
一部の実施形態では、細胞は、極低温で凍結および/または保管される前に、-80℃を上回る温度から0℃の温度に冷却される。たとえば、細胞は、-20℃、または-80℃を上回るかもしくは-20℃を下回る温度に、冷却され得る。
【0120】
一部の実施形態では、細胞は、極低温で保管される前に、-210℃~-80℃の温度に、極低温で凍結される。たとえば、細胞は、-210℃、または-196℃、または-80℃に、極低温で凍結され得る。
【0121】
一部の実施形態では、細胞は、1分間につき0.1℃~5℃の速度で、冷却および/または極低温で凍結される。一部の実施形態では、細胞は、1分間につき0.2℃~4℃の速度で、冷却および/または極低温で凍結される。一部の実施形態では、細胞は、1分間につき0.5℃~3℃の速度で、冷却および/または極低温で凍結される。一部の実施形態では、細胞は、1分間につき0.5℃~2℃の速度で、冷却および/または極低温で凍結される。一部の実施形態では、細胞は、1分間につき1℃の速度で、冷却および/または極低温で凍結される。たとえば、細胞を、上述の速度で冷却および/または極低温で凍結させる方法としては、細胞を、中の温度をそのような速度で低下させるプログラム可能な冷蔵庫に入れることが挙げられる。それを行う別の方法としては、細胞のバイアルを容器に入れ、そこで、バイアルを、イソプロピルアルコールで包囲し、容器を、低温環境または極低温で凍結される環境に置くことが挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、段階的なアプローチを使用して細胞が凍結される場合の温度よりも低い温度において、保管される。たとえば、一部の実施形態では、保管は、-80℃を下回る温度、たとえば、-100、-110、-120、-130、-140、-150、-160℃を下回る温度、またはそれよりも低い温度において、行われる。一部の態様では、そのような保管は、細胞または細胞の生物学的活性を、より多くの程度および/またはより長い期間、維持することをもたらす。
【0122】
一部の実施形態では、冷却または極低温で凍結させる前に、細胞は、細胞が存在する試料中のある特定の成分を除去するために、洗浄される。たとえば、細胞は、血漿および/または血小板を除去するために、洗浄され得る。細胞は、たとえば、PCT出願公開第2015/164675号に記載されているように洗浄され得、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0123】
一部の実施形態では、細胞は、冷却、極低温での凍結、および/または極低温での保管の前に、凍結溶液と合わされる。一部の実施形態では、凍結溶液は、冷却、極低温での凍結、または極低温保管の後、および細胞を解凍した後に、凍結溶液なしで冷却、極低温で凍結、または極低温で保管した細胞と比較して、細胞の1つまたは複数の生物学的機能のより優れた保持をもたらす。
【0124】
一部の実施形態では、凍結溶液は、0.1体積%~50体積%のDMSO、および0.1重量%~20重量%のHSAを含む。一部の実施形態では、凍結溶液は、0.5体積%~40体積%のDMSO、および0.2重量%~15重量%のHSAを含む。一部の実施形態では、凍結溶液は、1体積%~30体積%のDMSO、および0.5重量%~10重量%のHSAを含む。一部の実施形態では、凍結溶液は、1体積%~20体積%のDMSO、および2重量%~7.5重量%のHSAを含む。一部の実施形態では、凍結溶液は、5体積%~20体積%のDMSO、および1重量%~5重量%のHSAを含む。一部の実施形態では、凍結溶液は、10体積%のDMSO、または7もしくは7.5もしくは8体積%もしくはおよそこれらの割合のDMSO、ならびに4重量%のHSAを含む。一部の実施形態では、上述の濃度は、凍結溶液を細胞と合わせる前のDMSOおよびHSAの濃度である。一部の実施形態では、上述の濃度は、凍結溶液を細胞と合わせた後のDMSOおよびHSAの濃度である。
【0125】
一部の実施形態では、細胞は、-210℃~-80℃の温度において、極低温で保管される。一部の実施形態では、細胞は、-210℃~-196℃の温度において、極低温で保管される。一部の実施形態では、細胞は、-196℃~-80℃の温度において、極低温で保管される。一部の実施形態では、細胞は、液体窒素保管タンクの気相において、極低温で保管される。
【0126】
一部の実施形態では、細胞は、1日~12年間の期間、極低温で保管される。たとえば、細胞は、細胞療法において使用するための生存性を失う前、かつレシピエントの処置が必要となるまでの期間、保管され得る。レシピエントの処置が必要となるまで、細胞をそのように保管することにより、ある特定の実施形態では、本開示の方法により、レシピエントが細胞療法のために細胞を必要とした場合に、細胞が容易に利用可能となるという利点が提供される。一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、または48時間、保管もしくは貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1週間、2週間、3週間、または4週間、保管または貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、「長期保管」または「長期貯蔵」される。一部の態様では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、40年間、またはそれを上回る期間、保管される。
【0127】
一部の実施形態では、保管期間の後に、細胞は、解凍される。一部の実施形態では、細胞は、細胞の生物学的機能の少なくとも一部分を回復させるように、細胞の温度を、0℃または0℃よりも高くに上昇させることによって、解凍される。一部の実施形態では、細胞は、細胞の生物学的機能の少なくとも一部分を回復させるように、細胞の温度を、37℃に上昇させることによって、解凍される。ある特定の実施形態によると、解凍することは、細胞を、容器に入れ、37℃の水浴に、60~90秒間入れることを含む。
【0128】
一部の実施形態では、細胞は、解凍される。特定の実施形態では、細胞は、急速に、たとえば、細胞を過熱することも細胞を37℃を上回るなどの高温に曝露することもなく、可能な限り急速に、解凍される。一部の実施形態では、急速な解凍により、細胞が高濃度の極低温保護剤および/またはDMSOに曝露されるのが低減および/または予防される。特定の実施形態では、解凍が起こる速度は、容器、たとえば、中で細胞が凍結および解凍されるバイアルおよび/またはバッグの性質に影響を受け得る。
【0129】
特定の実施形態では、細胞は、以下の温度、およそ以下の温度、または以下を下回る温度において、解凍される:37℃、35℃、32℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、もしくは15℃、またはそれぞれ両端の値を含め、15℃~30℃、23℃~28℃、もしくは24℃~26℃。
【0130】
一部の実施形態では、細胞は、熱ブロック、乾燥解凍装置、または水浴で、解凍される。ある特定の実施形態では、細胞は、熱ブロックでも、乾燥解凍装置でも、水浴でも解凍されない。一部の実施形態では、細胞は、室温で解凍される。
【0131】
一部の実施形態では、容器壁の厚さは、細胞解凍の速度に影響を及ぼし、たとえば、例として、厚い壁を有する容器内の細胞は、より薄い壁を有する容器内よりもゆっくりと解凍され得る。一部の実施形態では、表面積対体積の比が低い容器は、解凍の速度がゆっくりおよび/または不均一であり得る。一部の実施形態では、極低温凍結された細胞は、表面積対体積の比が以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値である容器において、急速に解凍される:1cm-1、2cm-1、3cm-1、4cm-1、5cm-1、6cm-1、または7cm-1、8cm-1、9cm-1、または10cm-1。特定の実施形態では、細胞は、以下の時間以内、およそ以下の時間以内、または以下を下回る時間以内に、解凍される:120分間、90分間、60分間、45分間、30分間、25分間、20分間、15分間、または10分間。一部の実施形態では、細胞は、それぞれ、両端の値を含め、10分間~60分間、15分間~45分間、または15分間~25分間、解凍される。特定の実施形態では、細胞は、20分以内、約20分以内、または20分間を下回る時間以内に、解凍される。
【0132】
ある特定の実施形態では、解凍された細胞は、投与の前に、または任意の後続の操作および/もしくは処理ステップの前に、静置、たとえば、インキュベートまたは培養される。一部の実施形態では、細胞は、低いおよび/もしくは検出不可能な量の極低温保護剤下において、または極低温保護剤、たとえばDMSOの非存在下において、静置される。特定の実施形態では、解凍された細胞は、洗浄ステップの後または直後に、たとえば、極低温保護剤および/またはDMSOを除去するために、静置される。一部の実施形態では、静置は、37℃または約37℃での培養および/またはインキュベーションであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、静置は、任意の処理または操作ステップで使用されるおよび/またはそれと関連する、任意の試薬、たとえば、刺激性試薬、ビーズ試薬、または組換えサイトカインの非存在下において、行われる。一部の実施形態では、細胞は、以下の時間、およそ以下の時間、または少なくとも以下の時間、静置される:5分間、10分間、15分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、12時間、18時間、または24時間。ある特定の実施形態では、細胞は、2時間、約2時間、または少なくとも2時間、静置される。
【0133】
一部の実施形態では、保管期間の後、生存細胞の割合は、24%~100%である。生存細胞の割合は、たとえば、例として、Schulzら、Towards a xeno-free and fully chemically defined cryopreservation medium for maintaining viability, recovery, and antigen-specific functionality of PBMC during long-term storage、382巻、J. Immu. Methods、24、26頁に記載されている、トリパンブルー色素排除技法を使用して、判定することができ、この文献は、ViCell(商標)細胞生存性分析装置(Beckman Coulter、Krefeld、Germany)を使用してトリパンブルー排除を行うことを開示している。トリパンブルー色素排除技法下では、たとえば、死細胞は、青色に見え、したがって、生存細胞と区別することができる。生存細胞の割合はまた、たとえば、フローサイトメーターまたは別の技法もしくは機器を使用することによって、判定することができる。
【0134】
試料または細胞の冷却、極低温での凍結、および/または極低温での保管のプロセスの間、細胞の1つまたは複数の生物学的機能は、保存される。凍結溶液の使用により、これらの生物学的機能を保存するのが補助される。細胞を解凍すると、これらの生物学的機能は、回復される。生存性に加えて、上述の生物学的機能、他の生物学的機能には、細胞の複製能力、遺伝子修飾に対する受容性、ならびにB細胞の形質細胞および/もしくはメモリーB細胞への成熟、ならびに細胞傷害性T細胞および/もしくはマクロファージの活性化などを含め、免疫学的プロセスを補助する能力が含まれ得る。
【0135】
一部の実施形態では、記載される細胞および組成物、たとえば、特定の濃度または細胞密度の細胞組成物、極低温保護剤の存在下において凍結されたもの、および/または特定の体積もしくは表面積対体積の比で容器に充填されたもののうちのいずれかを含む、凍結された細胞の特徴としては、解凍した後、代替的な手段によって凍結された細胞よりも、改善された、増加した、および/もしくはより高速な増大;改善された、増加した、および/もしくは強化された細胞生存、ならびに低減された細胞死、たとえば、壊死、プログラム細胞死、および/もしくはアポトーシスの事象;改善された、強化された、および/もしくは増加した活性、たとえば、細胞溶解活性;ならびに/または低減された老化もしくは休止の事象が挙げられる。
【0136】
特定の実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞密度および/または表面積対体積の比で、凍結され、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、凍結、極低温凍結、および/または極低温保存の間、および/またはそれによって生じる、細胞死、たとえば、壊死および/またはアポトーシスが、低減されている。特定の実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞密度および/または表面積対体積の比で、凍結され、凍結、極低温凍結、および/または極低温保存後48時間以内、たとえば、凍結した細胞の解凍後の、遅延細胞死の低減、たとえば、壊死、プログラム細胞死、またはアポトーシスによって死滅する細胞の量の低減を有する。ある特定の実施形態では、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、少なくとも以下の値またはおよそ以下の値だけ少ない細胞が、凍結および/または極低温保存の間および/またはその結果として、死滅する:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または99%。ある特定の実施形態では、提供される細胞密度および/または表面積対体積の比で凍結させた細胞のうちの40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満が、凍結、極低温凍結、および/または極低温保存の間またはその結果として、死滅する。
【0137】
一部の実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞密度および/または表面積対体積の比で凍結され、同じかまたは類似の条件下において異なる細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、凍結、極低温凍結、および/または極低温保存に起因するおよび/またはその結果として生じる老化または休止の事象が、低減されている。特定の実施形態では、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、少なくとも以下の値またはおよそ以下の値だけ少ない細胞が、老化および/または休止した細胞である:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または99%。ある特定の実施形態では、細胞は、提供される細胞密度および/または表面積対体積の比で凍結され、細胞のうちの40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満が、凍結、極低温凍結、および/または極低温保存の結果として、老化および/または休止した状態となる。
【0138】
ある特定の実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞密度および/または表面積対体積の比で、凍結、たとえば、極低温凍結され、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度および/または表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、細胞が解凍された後に、たとえば、本明細書に記載される刺激性試薬とのインキュベーションなどによる刺激条件下において、改善された、より高速な、および/またはより急速な、増大を有する。特定の実施形態では、細胞は、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値だけ高速および/またはより急速な速度で、増大する:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍。たとえば、一部の実施形態では、解凍された細胞は、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞を解凍したものよりも、以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値だけ短い時間で、閾値の増大、たとえば、所定の細胞数、密度、または係数、たとえば、2倍の増大に達する:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%。
【0139】
一部の実施形態では、細胞は、その細胞密度で凍結、たとえば、極低温凍結され、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度、たとえば、より高いかまたはより低い密度で凍結させた細胞と比較して、細胞を解凍した後に、改善された、増加した、および/またはより高い、細胞溶解活性、たとえば、本明細書に記載される細胞溶解活性を測定するための任意のアッセイによって測定されるものなどを有する。特定の実施形態では、細胞溶解活性は、同じかまたは類似の条件下において、異なる密度で凍結させた細胞と比較して、以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値増加する:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍。
【0140】
細胞の修飾
【0141】
一部の実施形態では、細胞は、たとえば、新しい、強化された、改変された、増加した、または減少した活性のうちの1つまたは複数を細胞に付与するように、修飾され得る。一部の実施形態では、細胞は、収集の後、かつ極低温での凍結および/または保管の前に、修飾される。一部の実施形態では、細胞は、極低温保管後の解凍の後に、修飾される。例示的な細胞修飾方法は、PCT出願公開第2016/033570号および同第2016/115559号に記載されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例示的な細胞修飾方法はまた、国際公開第2017214207号および/または同第2016073602号にも記載されており、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0142】
一部の実施形態では、活性は、細胞の生物学的機能、たとえば、例として、B細胞の形質細胞および/もしくはメモリーB細胞への成熟、細胞傷害性T細胞および/もしくはマクロファージの活性化などを含む、免疫学的プロセスを補助する細胞の能力である。一部の実施形態では、活性は、受容体、受容体様分子、抗体、または抗体様分子を使用して、特定のリガンドまたは抗原に結合する、細胞の能力である。一部の実施形態では、活性は、ウイルスに感染した細胞および腫瘍細胞を認識し、それを破壊する、細胞の能力である。
【0143】
細胞の遺伝子修飾
【0144】
一部の実施形態では、細胞の修飾には、細胞を遺伝子修飾することが含まれる。たとえば、遺伝子修飾は、PCT出願公開第2016/033570号および同第2016/115559号に記載されている通りであってもよく、これらは、その全体が本明細書に組み込まれる。例示的な遺伝子修飾方法はまた、国際公開第2017214207号および/または同第2016073602号にも記載されており、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0145】
一部の実施形態では、遺伝子修飾には、細胞が、タンパク質を認識する一本鎖可変断片(「scFv」)を含むキメラ分子を発現することを可能にする様式で、細胞を遺伝子修飾することが含まれる。一部の実施形態では、scFvは、特定のタンパク質に結合する。一部の実施形態では、scFvは、特定のタンパク質に結合する抗体の一部分に由来する。一部の実施形態では、scFvが細胞によって発現されると、細胞は、がん細胞を認識し、細胞自身を活性化することができる。一部の実施形態では、scFvは、オーファンチロシンキナーゼ受容体RORI、tEGFR、Her2、LI-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、BCMA、IL-13Ra2、FCRL5/FCRH5、GPRC5D、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子のうちの少なくとも1つに結合する。一部の実施形態では、scFvは、CD19に結合する。一部の実施形態では、scFvは、BCMAに結合する。
【0146】
CAR
【0147】
一部の実施形態では、遺伝子修飾には、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように、細胞を遺伝子修飾することが含まれる。CARを含め、例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を操作し、細胞に導入するための方法としては、たとえば、PCT特許出願公開第2000/14257号、同第2013/126726号、同第2012/129514号、同第2014/031687号、同第2013/166321号、同第2013/071154号、同第2013/123061号、米国特許出願公開第2002/131960号、同第2013/287748号、同第2013/0149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許第2537416号に記載されているもの、ならびに/またはSadelainら、Cancer Discov.、3巻(4号):388~398頁(2013年);Davilaら、PLoS ONE、8巻(4号):e61338頁(2013年);Turtleら、Curr. Opin. Immunol.、24巻(5号):633~39頁(2012年);Wuら、Cancer、18巻(2号):160~75頁(2012年)に記載されているものが挙げられる。一部の態様では、抗原受容体としては、米国特許第7,446,190号に記載されているCAR、およびPCT特許出願公開第2014/055668号A1に記載されているものが挙げられる。CARの例としては、前述の刊行物、たとえば、国際公開第2014/031687号、米国特許第8,339,645号、同第7,446,179号、米国公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、同第8,389,282号、Kochenderferら、Nature Reviews Clinical Oncology、10巻、267~276頁(2013年);Wangら、J. Immunother.、35巻(9号):689~701頁(2012年);ならびにBrentjensら、Sci Transl Med.、5巻(177頁)(2013年)のいずれかに開示されているCARが挙げられる。国際公開第2014/031687号、米国特許第8,339,645号、同第7,446,179号、米国公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、および同第8,389,282号もまた、参照されたい。キメラ受容体、たとえば、CARは、一般に、細胞外抗原結合性ドメイン、たとえば、抗体分子の一部分、一般に、抗体の重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域、たとえば、scFv抗体断片を含む。一部の実施形態では、キメラ受容体は、抗体分子に由来しない細胞外抗原結合性ドメイン、たとえば、リガンドまたは他の結合性部分を含む。
【0148】
一部の実施形態では、受容体によって標的とされる抗原は、ポリペプチドである。一部の実施形態では、それは、炭水化物または他の分子である。一部の実施形態では、抗原は、正常であるかまたは標的とされない細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、たとえば、腫瘍細胞または病原性細胞に、選択的に発現されるかまたは過剰発現される。他の実施形態では、抗原は、正常細胞に発現される、および/または操作細胞に発現される。
【0149】
受容体によって標的とされる抗原としては、一部の実施形態では、オーファンチロシンキナーゼ受容体RORI、tEGFR、Her2、LI-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子が挙げられる。
【0150】
一部の実施形態では、CARは、病原体特異的抗原に結合する。一部の実施形態では、CARは、ウイルス抗原(たとえば、HIV、HCV、HBVなど)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原に特異的である。
【0151】
一部の実施形態では、組換え受容体、たとえば、CARの抗体部分は、さらに、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分、たとえば、ヒンジ領域、たとえば、IgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域を含む。一部の実施形態では、定常領域または部分は、ヒトIgG、たとえば、IgG4またはIgG1のものである。一部の態様では、定常領域の部分は、抗原認識要素、たとえば、scFvと、膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域としての機能を果たす。スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後の細胞の応答性の増加をもたらす長さのものであり得る。例示的なスペーサー、たとえば、ヒンジ領域としては、国際特許出願公開第2014/031687号に記載されているものが挙げられる。一部の例では、スペーサーは、12個もしくは約12個のアミノ酸の長さであるか、または12個を上回らないアミノ酸の長さである。例示的なスペーサーとしては、少なくとも約10~229個のアミノ酸、約10~200個のアミノ酸、約10~175個のアミノ酸、約10~150個のアミノ酸、約10~125個のアミノ酸、約10~100個のアミノ酸、約10~75個のアミノ酸、約10~50個のアミノ酸、約10~40個のアミノ酸、約10~30個のアミノ酸、約10~20個のアミノ酸、または約10~15個のアミノ酸を有するものが挙げられ、列挙された範囲のうちのいずれかの両端の間の任意の整数が含まれる。一部の実施形態では、スペーサー領域は、約12個もしくはそれを下回るアミノ酸、約119個もしくはそれを下回るアミノ酸、または約229個もしくはそれを下回るアミノ酸を有する。例示的なスペーサーとしては、IgG4ヒンジ単独、IgG4ヒンジがCH2およびCH3ドメインに連結されたもの、またはIgG4ヒンジがCH3ドメインに連結されたものが挙げられる。例示的なスペーサーとしては、Hudecekら、Clin. Cancer Res.、19巻:3153頁(2013年)、国際特許出願公開第2014031687号、米国特許第8,822,647号、または米国特許出願公開第2014/0271635号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
一部の実施形態では、定常領域または部分は、ヒトIgG、たとえば、IgG4またはIgG1のものである。一部の実施形態では、スペーサーは、配列ESKYGPPCPPCPを有する。一部の実施形態では、定常領域または部分は、IgDのものである。
【0153】
抗原認識ドメインは、一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達要素、たとえば、CARの場合には、抗原受容体複合体、たとえば、TCR複合体を通じた活性化を模倣する、および/または別の細胞表面受容体を介してシグナル伝達する、シグナル伝達要素に、連結される。したがって、一部の実施形態では、抗原結合性要素(たとえば、抗体)は、1つまたは複数の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインに融合されている。一実施形態では、受容体、たとえば、CARにおけるドメインのうちの1つと天然に会合している膜貫通ドメインが、使用される。一部の事例では、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、そのようなドメインが同じかまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインに結合することを回避するように、選択されるか、アミノ酸置換によって修飾される。
【0154】
膜貫通ドメインは、一部の実施形態では、天然の供給源または合成の供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、ドメインは、一部の態様では、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域としては、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖、またはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来するものが挙げられる(すなわち、少なくとも、これらの膜貫通領域を含む)。あるいは、膜貫通ドメインは、一部の実施形態では、合成である。一部の態様では、合成の膜貫通ドメインは、主として、疎水性残基、たとえば、ロイシンおよびバリンを含む。一部の態様では、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成の膜貫通ドメインのそれぞれの末端に見出されるであろう。一部の実施形態では、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによるものである。
【0155】
細胞内シグナル伝達ドメインには、天然の抗原受容体によるシグナル、共刺激性受容体と組み合わせたそのような受容体によるシグナル、および/または共刺激性受容体単独によるシグナルを模倣するかまたはそれらに近似するものがある。一部の実施形態では、短いオリゴペプチドまたはポリペプチドリンカー、たとえば、長さが2~10個のアミノ酸のリンカー、たとえば、グリシンおよびセリンを含有するもの、たとえば、グリシン-セリンダブレットが、存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間の連結を形成している。
【0156】
受容体、たとえば、CARは、一般に、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、受容体は、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介する、TCR複合体、たとえば、TCR CD3鎖の細胞内構成要素、たとえば、CD3ゼータ鎖を含む。したがって、一部の態様では、抗原結合性部分は、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。一部の実施形態では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、受容体、たとえば、CARは、さらに、1つまたは複数の追加の分子の一部分、たとえば、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16を含む。たとえば、一部の態様では、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γと、CD8、CD4、CD25、またはCD16との間のキメラ分子を含む。
【0157】
一部の実施形態では、CARまたは他のキメラ受容体のライゲーション時に、受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞、たとえば、CARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答のうちの少なくとも1つを活性化する。たとえば、一部の状況では、CARは、T細胞の機能、たとえば、細胞溶解活性またはTヘルパー活性、たとえば、サイトカインもしくは他の因子の分泌を誘導する。一部の実施形態では、抗原受容体要素または共刺激性分子の細胞内シグナル伝達ドメインの短縮された部分は、たとえば、エフェクター機能シグナルを伝達する場合、インタクトな免疫刺激性鎖の代わりに使用される。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、一部の態様ではまた、天然の状況において、そのような受容体と一緒に、抗原受容体の結合後にシグナル伝達を開始するように作用する共受容体のものも含む。
【0158】
天然のTCRの状況では、完全な活性化は、一般に、TCRを通じたシグナル伝達だけでなく、共刺激性シグナルも必要とする。したがって、一部の実施形態では、完全な活性化を促進するために、二次的なまたは共刺激性のシグナルを生成するための構成要素もまた、CARに含まれる。他の実施形態では、CARは、共刺激性シグナルを生成するための構成要素を含まない。一部の態様では、さらなるCARが、同じ細胞において発現され、二次的なまたは共刺激性のシグナルを生成するための構成要素を提供する。
【0159】
T細胞活性化は、一部の態様では、以下の2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列によって媒介されると説明される:TCRを通じて抗原依存性の一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存的様式で、二次的なまたは共刺激性のシグナルを提供するように作用するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)。一部の態様では、CARは、そのようなシグナル伝達要素のうちの一方または両方を含む。
【0160】
一部の態様では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する、一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激性様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体活性化チロシンモチーフまたはITAMとして公知のシグナル伝達モチーフを含み得る。ITAMを含む一次細胞質シグナル伝達配列の例としては、CD3ゼータ鎖、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、およびCD3イプシロンに由来するものが挙げられる。一部の実施形態では、CARにおける細胞質シグナル伝達分子は、CD3ゼータに由来する、細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部分、または配列を含む。
【0161】
一部の実施形態では、CARは、共刺激性受容体、たとえば、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSのシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。一部の態様では、同じCARに、活性化構成要素および共刺激性構成要素の両方が含まれる。
【0162】
一部の実施形態では、活性化ドメインは、1つのCARに含まれ、共刺激性構成要素は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。一部の実施形態では、CARには、活性化または刺激性CAR、共刺激性CARが含まれるが、いずれも、同じ細胞に発現される(国際公開第2014/055668号を参照されたい)。一部の態様では、細胞は、1つまたは複数の刺激性もしくは活性化CARならびに/または共刺激性CARを含む。一部の実施形態では、細胞は、阻害性CAR(iCAR、Fedorovら、Sci. Transl. Medicine、5巻(215号)(2013年)を参照されたい)、たとえば、疾患または状態と関連するものおよび/またはそれに特異的なものではない抗原を認識し、それによって、疾患を標的とするCARを通じて送達される活性化シグナルが、阻害性CARがそのリガンドに結合することによって減少または阻害されて、たとえば、標的外作用が低減される、CARをさらに含む。
【0163】
ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(たとえば、CD3-ゼータ)細胞内ドメインに連結された、CD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結された、キメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激性ドメインを含む。
【0164】
一部の実施形態では、CARは、1つまたは複数の、たとえば、2つまたはそれを上回る、共刺激性ドメインおよび活性化ドメイン、たとえば、一次活性化ドメインを、細胞質部分に含む。例示的なCARには、CD3-ゼータ、CD28、および4-1BBの細胞内構成要素が含まれる。
【0165】
一部の実施形態では、CARまたは他の抗原受容体は、さらに、マーカー、たとえば、細胞表面マーカーを含み、このマーカーは、受容体、たとえば、細胞表面受容体の短縮バージョン、たとえば、短縮型EGFR(tEGFR)を発現する細胞の形質導入または操作を確認するために使用することができる。一部の態様では、マーカーとしては、PSMA、Her2、CD34、NGFR、または上皮成長因子受容体(たとえば、tEGFR)のすべてまたは一部(たとえば、短縮形態)が挙げられる。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、たとえば、切断可能なリンカー配列、たとえば、T2Aをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されている。たとえば、マーカー、および必要に応じてリンカーの配列は、PCT特許出願公開第2014031687号に開示されているように、任意のものであってもよく、これは、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、マーカーは、PCT特許出願公開第2011/056894号に記載されている通りであってもよく、この内容は、その全体が組み込まれる。たとえば、マーカーは、必要に応じて、リンカー配列、たとえば、T2A切断可能なリンカー配列に連結された、短縮型EGFR(tEGFR)であり得る。
【0166】
一部の実施形態では、マーカーは、T細胞に天然に見出されない、またはT細胞の表面に天然に見出されない、分子、たとえば、細胞表面タンパク質、またはその一部分である。一部の実施形態では、分子は、非自己分子、たとえば、非自己タンパク質、すなわち、細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されないものである。
【0167】
一部の実施形態では、マーカーは、治療的機能を果たさず、および/または遺伝子操作のため、たとえば、操作が成功した細胞を選択するためのマーカーとして使用すること以外の作用をもたらさない。他の実施形態では、マーカーは、治療用分子、または別の形で何らかの所望される作用を発揮する分子、たとえば、in vivoで遭遇する細胞のリガンド、たとえば、養子移入およびリガンドとの遭遇の際に細胞の応答を強化および/もしくは低下させる共刺激性もしくは免疫チェックポイント分子であってもよい。
【0168】
一部の事例では、CARは、第1世代、第2世代、および/または第3世代のCARと称される。一部の態様では、第1世代のCARは、単に、抗原結合時にCD3鎖に誘導されるシグナルを提供するものであり、一部の態様では、第2世代のCARは、そのようなシグナルおよび共刺激性シグナルを提供するもの、たとえば、共刺激性受容体、たとえば、CD28またはCD137に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含むものであり、一部の態様では、第3世代のCARは、異なる共刺激性受容体の複数の共刺激性ドメインを含むものである。
【0169】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含む細胞外部分を含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含む細胞外部分、ならびに細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、抗体または断片は、scFvを含み、細胞内ドメインは、ITAMを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを連結する膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激性分子の細胞内ドメインを含む。細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、直接的または間接的に連結され得る。一部の実施形態では、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、スペーサー、たとえば、本明細書に記載される任意のものによって、連結される。一部の実施形態では、受容体は、膜貫通ドメインが由来する分子の細胞外部分、たとえば、CD28細胞外部分を含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激性分子またはその機能性バリアントに由来する細胞内ドメインを、たとえば、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインの間に、含む。一部の態様では、T細胞共刺激性分子は、CD28または41BBである。
【0170】
たとえば、一部の実施形態では、CARは、抗体、たとえば、抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能性バリアントであるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナル伝達部分またはその機能性バリアントおよびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性バリアントを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、抗体、たとえば、抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能性バリアントであるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能性バリアントおよびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性バリアントを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部のそのような実施形態では、受容体は、さらに、Ig分子、たとえば、ヒトIg分子の一部分、たとえば、Igヒンジ、たとえば、IgG4ヒンジを含むスペーサー、たとえば、ヒンジのみのスペーサーを含む。
【0171】
一部の実施形態では、組換え受容体、たとえば、CARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメイン(たとえば、受託番号P01747.1)またはそのバリアントであるか、またはそれを含む。
【0172】
一部の実施形態では、組換え受容体、たとえば、CARの細胞内シグナル伝達要素は、ヒトCD28の細胞内共刺激性シグナル伝達ドメインまたはその機能性バリアントもしくは一部分、たとえば、天然のCD28タンパク質の186位~187位に、LLからGGの置換を有するドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内共刺激性シグナル伝達ドメイン(たとえば、受託番号Q07011.1)またはその機能性バリアントもしくは一部分を含む。
【0173】
一部の実施形態では、組換え受容体、たとえば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータ刺激性シグナル伝達ドメイン、またはその機能性バリアント、たとえば、ヒトCD3ζ(受託番号P20963.2)のアイソフォーム3の112 AA細胞質ドメイン、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。
【0174】
一部の態様では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、たとえば、IgG4またはIgG1のヒンジのみを含む。他の実施形態では、スペーサーは、必要に応じてCH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、たとえば、IgG4由来のヒンジであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、スペーサーは、CH2ドメインおよびCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、たとえば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、CH3ドメインのみに連結された、Igヒンジ、たとえば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他の可動性リンカー、たとえば、公知の可動性リンカーであるか、またはそれを含む。
【0175】
たとえば、一部の実施形態では、CARは、抗体、たとえば、scFvを含む、抗体断片、スペーサー、たとえば、免疫グロブリン分子の一部分、たとえば、重鎖分子のヒンジ領域および/または1つもしくは複数の定常領域を含むスペーサー、たとえば、Igヒンジを含むスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメインのすべてまたは一部分を含む膜貫通ドメイン、CD28由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、抗体または断片、たとえば、scFv、スペーサー、たとえば、Igヒンジを含むスペーサーのうちの任意のもの、CD28由来の膜貫通ドメイン、4-1BB由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3ゼータ由来のシグナル伝達ドメインを含む。
【0176】
一部の実施形態では、そのようなCAR構築物をコードする核酸分子は、さらに、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列をコードする配列を、たとえば、CARをコードする配列の下流に含む。一部の実施形態では、抗原受容体(たとえば、CAR)を発現するT細胞はまた、短縮型EGFR(EGFRt)を非免疫原性選択エピトープとして発現するように生成することができ(たとえば、同じ構築物から2つのタンパク質を発現するように、T2Aリボソームスイッチによって分離されたCARおよびEGFRtをコードする構築物を導入することによって)、これを、次いで、そのような細胞を検出するためのマーカーとして使用することができる(たとえば、米国特許第8,802,374号を参照されたい)。
【0177】
対象に投与された細胞によって発現される組換え受容体、たとえば、CARは、一般に、処置されている疾患もしくは状態またはその細胞に発現される、それらと関連する、および/またはそれらに特異的である分子を認識するか、またはそれに特異的に結合する。分子、たとえば、抗原に特異的に結合すると、受容体は、一般に、免疫刺激性シグナル、たとえば、ITAMにより伝達されるシグナルを、細胞に送達し、それによって、疾患または状態を標的とする免疫応答を促進する。たとえば、一部の実施形態では、細胞は、疾患もしくは状態の細胞もしくは組織によって発現されるかまたは疾患もしくは状態と関連する抗原に特異的に結合するCARを発現する。
【0178】
TCR
【0179】
一部の実施形態では、遺伝子修飾には、標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたはT細胞エピトープ、たとえば、腫瘍、ウイルス、または自己免疫タンパク質の抗原を認識する、1つまたは複数のT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合性部分を発現するように、細胞を遺伝子修飾することが含まれる。
【0180】
一部の実施形態では、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとして公知である)または可変γ鎖およびδ鎖(それぞれ、TCRγおよびTCRδとして公知である)、またはその抗原結合性部分を含む、分子であり、これは、MHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる。一部の実施形態では、TCRは、αβ形態である。典型的には、αβ形態およびγδ形態で存在するTCRは、一般に、構造が類似しているが、それらを発現するT細胞は、異なる解剖学的位置または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面上に見出すことができるか、または可溶性形態で見出すことができる。一般に、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面上に見出され、ここで、TCRは、一般に、主要組織適合複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識することを担う。
【0181】
別途言及されない限り、「TCR」という用語は、完全TCR、ならびにその抗原結合性部分または抗原結合性断片を包含すると理解されるものとする。一部の実施形態では、TCRは、インタクトまたは全長TCRであり、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む。一部の実施形態では、TCRは、全長TCRよりも短いが、MHC分子に結合した特定のペプチドに結合する、たとえば、MHC-ペプチド複合体に結合する、抗原結合性部分である。一部の事例では、TCRの抗原結合性部分または断片は、全長またはインタクトなTCRの構造ドメインの一部分のみしか含まない場合があるが、依然として、完全TCRが結合する、ペプチドエピトープ、たとえば、MHC-ペプチド複合体に結合することができる。一部の事例では、抗原結合性部分は、TCRの可変ドメイン、たとえば、TCRの可変α鎖および可変β鎖を含み、これは、特定のMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分である。一般に、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHC、および/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含む。
【0182】
一部の実施形態では、TCRの可変ドメインは、超可変性ループ、または相補性決定領域(CDR)を含み、これらは、一般に、抗原認識ならびに結合能力および特異性への主要な寄与因子である。一部の実施形態では、TCRのCDRまたはその組合せにより、所与のTCR分子の抗原結合性部位のすべてまたは実質的にすべてが形成される。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは、一般に、フレームワーク領域(FR)によって分離されており、この領域は、一般に、CDRと比較して、TCR分子間で低い変動性を呈する(たとえば、Joresら、Proc. Nat’l Acad. Sci. U.S.A.、87巻:9138頁、1990年、Chothiaら、EMBO J.、7巻:3745頁、1988年を参照されたく、また、Lefrancら、Dev. Comp. Immunol.、27巻:55頁、2003年も参照されたい)。一部の実施形態では、CDR3は、抗原結合もしくは特異性を担う主要なCDRであるか、または所与のTCR可変領域における3つのCDRのなかで、抗原認識および/もしくはペプチド-MHC複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用に最も重要なものである。一部の状況では、アルファ鎖のCDR1は、ある特定の抗原性ペプチドのN末端部分と相互作用し得る。一部の状況では、ベータ鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部分と相互作用し得る。一部の状況では、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはその認識に最も強力に寄与するか、またはそれを担う主要なCDRである。一部の実施形態では、β鎖の可変領域は、さらに、超可変領域(CDR4またはHVR4)を含み得、この領域は、一般に、スーパー抗原結合には関与するが、抗原認識には関与しない(Kotb(1995年)、Clinical Microbiology Reviews、8巻:411~426頁)。
【0183】
一部の実施形態では、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または短い細胞質側尾部を含み得る(たとえば、Janewayら、Immunobiology: The Immune System in Health and Disease、第3版、Current Biology Publications、p.4:33頁、1997年を参照されたい)。一部の態様では、TCRのそれぞれの鎖は、1つのN末端側免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端側の短い細胞質側尾部を有し得る。一部の実施形態では、TCRは、シグナル伝達を媒介することに関与する、CD3複合体の不変タンパク質と会合している。
【0184】
一部の実施形態では、TCR鎖は、1つまたは複数の定常ドメインを含む。たとえば、所与のTCR鎖(たとえば、α鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様ドメイン、たとえば、可変ドメイン(たとえば、VαまたはVβ、典型的には、Kabatの番号付けに基づいて、アミノ酸1~116(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest、US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health、1991年、第5版))および細胞膜に隣接する定常ドメイン(たとえば、α鎖定常ドメインもしくはCα、典型的には、Kabatの番号付けに基づいて鎖の117位~259位、またはβ鎖定常ドメインもしくはCβ、典型的にはKabatに基づいて鎖の117位~295位)を含み得る。たとえば、一部の事例では、2つの鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近傍定常ドメイン、および2つの膜遠位可変ドメインを含み、これらの可変ドメインは、それぞれがCDRを含む。TCRの定常ドメインは、短い接続配列を含み得、そこで、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、それによってTCRの2つの鎖が連結される。一部の実施形態では、TCRは、TCRが、定常ドメインに2つのジスルフィド結合を含むように、α鎖およびβ鎖のそれぞれにさらなるシステイン残基を有してもよい。
【0185】
一部の実施形態では、TCR鎖は、膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、正に荷電している。一部の事例では、TCR鎖は、細胞質側尾部を含む。一部の事例では、この構造により、TCRは、CD3およびそのサブユニットなど、他の分子と会合することが可能である。たとえば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含むTCRは、タンパク質を細胞膜に固定し、CD3シグナル伝達装置または複合体の不変サブユニットと会合することができる。CD3シグナル伝達サブユニット(たとえば、CD3γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖、およびCD3ζ鎖)の細胞内尾部は、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容体活性化チロシンモチーフまたはITAMを含む。
【0186】
一部の実施形態では、TCRは、αおよびβ(または必要に応じてγおよびδ)の2つの鎖のヘテロ二量体であってもよく、または一本鎖TCR構築物であってもよい。一部の実施形態では、TCRは、たとえば、1つまたは複数のジスルフィド結合によって連結された、2つの別個の鎖(α鎖およびβ鎖またはγ鎖およびδ鎖)を含む、ヘテロ二量体である。
【0187】
一部の実施形態では、TCRは、公知のTCR配列、たとえば、Vα、β鎖の配列から生成することができ、これらの鎖の実質的に全長のコード配列は、容易に入手可能である。V鎖配列を含め、全長TCR配列を、細胞源から得るための方法は、周知である。一部の実施形態では、TCRをコードする核酸は、様々な源から、たとえば、所与の1つまたは複数の細胞内にある、もしくは所与の1つまたは複数の細胞から単離されたTCRをコードする核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公的に入手可能なTCR DNA配列の合成によって、得ることができる。
【0188】
一部の実施形態では、TCRは、生物学的源から、たとえば、細胞から、たとえば、T細胞(たとえば、細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公的に入手可能な源から、得られる。一部の実施形態では、T細胞は、in vivoで単離された細胞から得ることができる。一部の実施形態では、TCRは、胸腺選択されたTCRである。一部の実施形態では、TCRは、ネオエピトープ制限TCRである。一部の実施形態では、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであってもよい。一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合性部分は、TCRの配列の知識から合成で生成することができる。
【0189】
一部の実施形態では、TCRは、候補TCRライブラリーを、標的ポリペプチド抗原またはその標的T細胞エピトープに対してスクリーニングすることにより特定または選択されたTCRから生成される。TCRライブラリーは、PBMC、脾臓、または他のリンパ系器官に存在する細胞を含め、対象から単離したT細胞からのVαおよびVβのレパートリーの増幅によって生成することができる。一部の事例では、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から増幅することができる。一部の実施形態では、TCRライブラリーは、CD4+細胞またはCD8+細胞から生成することができる。一部の実施形態では、TCRは、正常または健常な対象のT細胞源から、すなわち、正常なTCRライブラリーから増幅することができる。一部の実施形態では、TCRは、罹患した対象のT細胞源から、すなわち、罹患TCRライブラリーから増幅することができる。一部の実施形態では、たとえば、ヒトから得られた試料、たとえば、T細胞におけるRT-PCRによって、VαおよびVβの遺伝子レパートリーを増幅するために、縮重プライマーが使用される。一部の実施形態では、scTvライブラリーを、ナイーブVαおよびVβライブラリーからアセンブルしてもよく、ここで、増幅された産物は、リンカーによって分離されるようにクローニングまたはアセンブルされる。対象および細胞の源に応じて、ライブラリーは、HLAアレル特異的となり得る。あるいは、一部の実施形態では、TCRライブラリーは、親または足場TCR分子の変異生成または多様化によって、生成することができる。一部の態様では、TCRは、たとえば、α鎖またはβ鎖の変異生成などによって、指向型進化に供される。一部の態様では、TCRのCDR内の特定の残基が、改変される。一部の実施形態では、選択されたTCRは、親和性成熟によって修飾され得る。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、たとえば、ペプチドに対するCTL活性を評価するスクリーニングによって、選択され得る。一部の態様では、TCR、たとえば、抗原特異的T細胞に存在するものは、結合活性、たとえば、抗原に対する特定の親和性または結合力などによって、選択され得る。
【0190】
一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合性部分は、修飾または操作が行われたものである。一部の実施形態では、指向型進化方法は、改変された特性を有する、たとえば、特定のMHC-ペプチド複合体に対して高い親和性を有する、TCRを生成するために使用される。一部の実施形態では、指向型進化は、酵母ディスプレイ(Hollerら(2003年)、Nat Immunol、4巻、55~62頁;Hollerら(2000年)、Proc Natl Acad Sci U S A、97巻、5387~92頁)、ファージディスプレイ(Liら(2005年)、Nat Biotechnol、23巻、349~54頁)、またはT細胞ディスプレイ(Chervinら(2008年)、J Immunol Methods、339巻、175~84頁)を含むがこれらに限定されない、ディスプレイ方法によって達成される。一部の実施形態では、ディスプレイアプローチは、公知の親または参照TCRの操作または修飾を伴う。たとえば、一部の事例では、野生型TCRが、変異生成されたTCRを産生するための鋳型として使用され得、ここで、CDRの1つまたは複数の残基が変異され、所望される改変された特性、たとえば、所望される標的抗原に対する高い親和性を有する変異体が、選択される。
【0191】
一部の実施形態では、目的のTCRを産生または生成する際に使用される標的ポリペプチドのペプチドは、当業者に公知であるか、または当業者によって容易に特定することができる。一部の実施形態では、TCRまたは抗原結合性部分の生成に使用するのに好適なペプチドは、目的の標的ポリペプチド、たとえば、以下に記載される標的ポリペプチドにおけるHLA制限モチーフの存在に基づいて判定することができる。一部の実施形態では、HLA-A0201結合モチーフ、プロテアソームおよび免疫プロテアソームの切断部位、ならびにペプチドは、当業者に公知のコンピュータ予測モデルを使用して特定される。一部の実施形態では、MHCクラスI結合部位の予測に関して、そのようなモデルとしては、ProPred1(SinghおよびRaghava(2001年)、Bioinformatics、17巻(12号):1236~1237頁)、およびSYFPEITHI(Schulerら(2007年)、Immunoinformatics Methods in Molecular Biology、409巻(1号):75~93頁、2007年を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、MHC制限エピトープは、HLA-A0201であり、これは、全コーカソイド人類のおよそ39~46%に発現され、したがって、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合性分子の調製に使用するのに好適なMHC抗原の選択肢を表す。
【0192】
一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合性部分は、組換えで産生された天然のタンパク質またはその変異形態であり得、ここで、1つまたは複数の特性、たとえば、結合特性が、改変されている。一部の実施形態では、TCRは、様々な動物種、たとえば、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物のうちの1つに由来し得る。TCRは、細胞結合型または可溶性形態であり得る。一部の実施形態では、提供される方法の目的では、TCRは、細胞の表面に発現される細胞結合型の形態である。
【0193】
一部の実施形態では、TCRは、全長TCRである。一部の実施形態では、TCRは、抗原結合性部分である。一部の実施形態では、TCRは、二量体TCR(dTCR)である。一部の実施形態では、TCRは、一本鎖TCR(sc-TCR)である。一部の実施形態では、dTCRまたはscTCRは、国際公開第03/020763号、同第04/033685号、同第2011/044186号に記載されている構造を有し、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
一部の実施形態では、TCRは、膜貫通配列に対応する配列を含む。一部の実施形態では、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含む。一部の実施形態では、TCRは、CD3とTCR複合体を形成することができる。一部の実施形態では、dTCRまたはscTCRを含め、TCRのいずれも、T細胞の表面に活性なTCRをもたらす、シグナル伝達ドメインに連結され得る。一部の実施形態では、TCRは、細胞の表面上に発現される。
【0195】
一部の実施形態では、dTCRは、TCRα鎖の可変領域配列に対応する配列が、TCRα鎖の定常領域の細胞外配列に対応する配列のN末端に融合された、第1のポリペプチドと、TCRβ鎖の可変領域配列に対応する配列が、TCRβ鎖の定常領域の細胞外配列に対応する配列のN末端に融合された、第2のポリペプチドと、を含み、第1および第2のポリペプチドは、ジスルフィド結合によって連結されている。一部の実施形態では、結合は、天然の二量体αβ TCRに存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応し得る。一部の実施形態では、鎖間ジスルフィド結合は、天然のTCRには存在しない。たとえば、一部の実施形態では、1つまたは複数のシステインが、dTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列に組み込まれ得る。一部の事例では、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が、所望され得る。一部の実施形態では、TCRは、膜に固定するために、膜貫通配列を含む。
【0196】
一部の実施形態では、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメイン、および定常αドメインのC末端に結合した第1の二量体化モチーフを含むTCRα鎖、ならびに可変βドメイン、定常βドメイン、および定常βドメインのC末端に結合した第1の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖を含み、ここで、第1および第2の二量体化モチーフは、容易に相互作用して、第1の二量体化モチーフ内のアミノ酸と、第2の二量体化モチーフ内のアミノ酸との間で共有結合を形成し、TCRα鎖およびTCRβ鎖同士を連結する。
【0197】
一部の実施形態では、TCRは、scTCRである。典型的には、scTCRは、当業者に公知の方法を使用して生成することができ、たとえば、Soo Hoo, W. F.ら、PNAS (USA)、89巻、4759頁(1992年);Wulfing, C.およびPluckthun, A.、J. Mol. Biol.、242巻、655頁(1994年);Kurucz, I.ら、PNAS (USA)、90巻、3830頁(1993年);PCT出願公開第96/13593号、同第96/18105号、同第99/60120号、同第99/18129号、同第03/020763号、同第2011/044186号、およびSchlueter, C. J.ら、J. Mol. Biol.、256巻、859頁(1996年)を参照されたい。一部の実施形態では、scTCRは、TCR鎖の会合を促進するために、導入された非天然の鎖間ジスルフィド結合を含む(たとえば、PCT出願公開第03/020763号を参照されたく、これは、参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、scTCRは、そのC末端に融合された異種ロイシンジッパーにより、鎖の会合が促進される、非ジスルフィド結合の短縮型TCRである(たとえば、PCT出願公開第99/60120号を参照されたく、これは、参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、scTCRは、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインに共有結合した、TCRα可変ドメインを含む(たとえば、PCT出願公開第99/18129号を参照されたく、これは、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0198】
一部の実施形態では、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構築される第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合されたTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構築される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含む。
【0199】
一部の実施形態では、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合されたα鎖可変領域配列によって構築される第1のセグメント、ならびにβ鎖細胞外定常配列のN末端および膜貫通配列に融合されたβ鎖可変領域配列によって構築される第2のセグメント、ならびに必要に応じて、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含む。
【0200】
一部の実施形態では、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合されたTCRβ鎖可変領域配列によって構築される第1のセグメント、ならびにα鎖細胞外定常配列のN末端および膜貫通配列に融合されたα鎖可変領域配列によって構築される第2のセグメント、ならびに必要に応じて、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含む。
【0201】
一部の実施形態では、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCR結合特異性を保持しながら、単一のポリペプチド鎖を形成することができる、任意のリンカーであり得る。一部の実施形態では、リンカー配列は、たとえば、式-P-AA-P-を有し得、ここで、Pは、プロリンであり、AAは、アミノ酸配列を表し、アミノ酸は、グリシンおよび/またはセリンである。一部の実施形態では、第1および第2のセグメントは、それらの可変領域配列が、そのような結合のための配向となるように、対合される。したがって、一部の事例では、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端との間の距離、または逆も同様である距離に及ぶのに十分であるが、scTCRの標的リガンドへの結合を遮断または低減するほど長くはない、長さを有する。一部の実施形態では、リンカーは、10個~45個もしくは約10個~約45個のアミノ酸、たとえば、10個~30個のアミノ酸、または26個~41個のアミノ酸残基、たとえば、29個、30個、31個、または32個のアミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、リンカーは、式-PGGG-(SGGGG)5-P-を有し、ここで、Pは、プロリンであり、Gは、グリシンであり、Sは、セリンである。一部の実施形態では、リンカーは、配列GSADDAKKDAAKKDGKSを有する。
【0202】
一部の実施形態では、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基を、β鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結させる、共有結合のジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、天然のTCRにおける鎖間ジスルフィド結合は、存在しない。たとえば、一部の実施形態では、1つまたは複数のシステインが、scTCRポリペプチドの第1および第2のセグメントの定常領域細胞外配列に組み込まれ得る。一部の事例では、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が、所望され得る。
【0203】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含むdTCRまたはscTCRの一部の実施形態では、天然のジスルフィド結合は、存在しない。一部の実施形態では、天然の鎖間ジスルフィド結合を形成している天然のシステインのうちの1つまたは複数は、別の残基、たとえば、セリンまたはアラニンに置換されている。一部の実施形態では、導入されたジスルフィド結合は、第1および第2のセグメントにおける非システイン残基を、システインに変異させることによって、形成され得る。TCRの例示的な非天然のジスルフィド結合は、PCT出願公開第2006/000830号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0204】
一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合性断片は、標的抗原に対して、10-5M~10-12Mまたは約10-5M~約10-12Mならびにその中に含まれるすべての個々の値および範囲の平衡結合定数で、親和性を呈する。一部の実施形態では、標的抗原は、MHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0205】
一部の実施形態では、TCR、たとえば、α鎖およびβ鎖をコードする1つまたは複数の核酸は、PCRまたは他の好適な手段によって増幅させ、1つまたは複数の好適な発現ベクターにクローニングすることができる。発現ベクターは、任意の好適な組換え発現ベクターであり得、任意の好適な宿主に形質転換またはトランスフェクションを行うために使用することができる。好適なベクターとしては、増やす、および増大させること、または発現させること、またはその両方のために設計されたもの、たとえば、プラスミドおよびウイルスが挙げられる。
【0206】
一部の実施形態では、ベクターは、pUC系列(Fermentas Life Sciences)、pBluescript系列(Stratagene、LaJolla、Calif.)、pET系列(Novagen、Madison、Wis.)、pGEX系列(Pharmacia Biotech、Uppsala、Sweden)、またはpEX系列(Clontech、Palo Alto、Calif.)のベクターであり得る。一部の事例では、バクテリオファージベクター、たとえば、λG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149もまた、使用することができる。一部の実施形態では、植物発現ベクターを使用することができ、これには、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121、およびpBIN19(Clontech)が含まれる。一部の実施形態では、動物発現ベクターとしては、pEUK-Cl、pMAM、pMAMneo(Clontech)が挙げられる。一部の実施形態では、ウイルスベクター、たとえば、レトロウイルスベクターが使用される。
【0207】
一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技法を使用して、調製することができる。一部の実施形態では、ベクターは、調節配列、たとえば、転写および翻訳開始および終結コドンを含み得るが、これらは、適宜、ベクターを導入しようとする宿主の種類(たとえば、細菌、真菌、植物、または動物)に特異的であり、ベクターがDNAに基づくかRNAに基づくかが考慮される。一部の実施形態では、ベクターは、TCRまたは抗原結合性部分(または他のMHC-ペプチド結合性分子)をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された、非天然のプロモーターを含み得る。一部の実施形態では、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、たとえば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復に見出されるプロモーターであり得る。当業者に公知の他のプロモーターもまた、企図される。
【0208】
一部の実施形態では、TCRをコードするベクターを生成するために、α鎖およびβ鎖が、目的のTCRを発現するT細胞クローンから単離した全cDNAからPCR増幅され、発現ベクターにクローニングされる。一部の実施形態では、α鎖およびβ鎖は、同じベクターにクローニングされる。一部の実施形態では、α鎖およびβ鎖は、異なるベクターにクローニングされる。一部の実施形態では、生成されたα鎖およびβ鎖は、レトロウイルスベクター、たとえば、レンチウイルスベクターに組み込まれる。
【0209】
多重標的化
【0210】
一部の実施形態では、遺伝子修飾には、それぞれが、同じかまたは異なる抗原を認識し、一部の実施形態では、それぞれが、異なる細胞内シグナル伝達要素を含む、2つまたはそれを上回る遺伝子操作された受容体を細胞上に発現するように、細胞を遺伝子修飾することが含まれる。そのような多重標的化戦略は、たとえば、PCT特許出願公開第2014/055668号A1およびFedorovら、Sci. Transl. Medicine、5巻(215頁)(2013年)に記載されている。
【0211】
たとえば、一部の実施形態では、細胞は、一般に、第1の受容体によって認識される抗原、たとえば、第1の抗原に特異的に結合したときに、細胞に活性化シグナルを誘導することができる、第1の遺伝子操作された抗原受容体(たとえば、CARまたはTCR)を発現する受容体を含む。一部の実施形態では、細胞は、一般に、第2の受容体によって認識される第2の抗原に特異的に結合したときに、免疫細胞に共刺激性シグナルを誘導することができる、第2の遺伝子操作された抗原受容体(たとえば、CARまたはTCR)、たとえば、キメラ共刺激性受容体をさらに含む。一部の実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は、同じである。一部の実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は、異なる。
【0212】
一部の実施形態では、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(たとえば、CARまたはTCR)は、細胞に活性化シグナルを誘導することができる。一部の実施形態では、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含む、細胞内シグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、第1の受容体によって誘導される活性化は、ITAMリン酸化および/もしくはITAMにより媒介されるシグナル伝達カスケードの開始、免疫シナプスの形成および/もしくは結合した受容体の近傍の分子(たとえば、CD4またはCD8など)のクラスタリング、1つまたは複数の転写因子、たとえば、NF-κBおよび/もしくはAP-1の活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現、増殖、および/もしくは生存の誘導など、免疫応答の開始をもたらすシグナル伝達または細胞におけるタンパク質発現の変化を含む。
【0213】
一部の実施形態では、第1および/または第2の受容体は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激性受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、第1および第2の受容体は、異なる共刺激性受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、第1の受容体が、CD28共刺激性シグナル伝達領域を含み、第2の受容体が、4-1BB共刺激性シグナル伝達領域を含むか、または逆も同様である。
【0214】
一部の実施形態では、第1および/または第2の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含む細胞内シグナル伝達ドメイン、および共刺激性受容体の細胞内シグナル伝達ドメインの両方を含む。
【0215】
一部の実施形態では、第1の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含み、第2の受容体は、共刺激性受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。同じ細胞において誘導される活性化シグナルと組み合わせた共刺激性シグナルは、免疫応答、たとえば、強力かつ持続的な免疫応答、たとえば、遺伝子発現の増加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞殺滅などのT細胞により媒介されるエフェクター機能をもたらすものである。
【0216】
一部の実施形態では、第1の受容体単独のライゲーションも、第2の受容体単独のライゲーションも、強力な免疫応答を誘導しない。一部の態様では、1つの受容体のみがライゲーションされる場合、細胞は、抗原に耐性もしくは非応答性となるか、または阻害されるようになる、ならびに/あるいは増殖するようにも、因子を分泌するようにも、エフェクター機能を実行するようにも誘導されない。一部のそのような実施形態では、しかしながら、複数の受容体がライゲーションされる場合、たとえば、第1および第2の抗原を発現する細胞の遭遇時に、たとえば、1つまたは複数のサイトカインの分泌、増殖、持続、および/または標的細胞の細胞傷害性殺滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示される、所望される応答、たとえば、完全な免疫活性化または刺激が達成される。
【0217】
一部の実施形態では、2つの受容体は、それぞれ、細胞に、活性化シグナルおよび阻害性シグナルを誘導し、結果として、受容体のうちの一方がその抗原に結合することにより、細胞が活性化されるか、または応答が誘導されるが、第2の阻害性受容体がその抗原に結合することにより、その応答を抑制または低下させるシグナルが誘導されることになる。例は、活性化CARおよび阻害性CARまたはiCARの組合せである。たとえば、活性化CARが、疾患または状態に発現されるが正常細胞にも発現される抗原に結合し、阻害性受容体が、正常細胞に発現されるが疾患または状態の細胞には発現されない別の抗原に結合するような戦略を、使用することができる。
【0218】
一部の実施形態では、多重標的化戦略は、特定の疾患または状態と関連する抗原が、非罹患細胞に発現される、および/または一過的(たとえば、遺伝子操作と関連する刺激の際に)もしくは恒久的に操作細胞自体に発現される場合に、利用される。そのような事例では、2つの別個および個々の特定の抗原受容体のライゲーションを必要とすることによって、特異性、選択性、および/または有効性が、改善され得る。
【0219】
一部の実施形態では、複数の抗原、たとえば、第1および第2の抗原は、標的とされる細胞、組織、または疾患もしくは状態、たとえば、がん細胞に、発現される。一部の態様では、細胞、組織、疾患、または状態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。一部の実施形態では、複数の抗原のうちの1つまたは複数はまた、一般に、細胞療法で標的とすることが所望されない細胞、たとえば、正常もしくは非罹患の細胞もしくは組織、および/または操作細胞自体に発現される。そのような実施形態では、細胞の応答を達成するために複数の受容体のライゲーションを必要とすることにより、特異性および/または有効性が達成される。
【0220】
一部の実施形態では、細胞の修飾は、収集後かつ極低温で凍結および/または保管する前に、細胞の分析に基づいて行われる。細胞は、極低温保管の前および/または後に、分析に基づいて修飾してもよい。一部の実施形態では、細胞の修飾は、極低温保管後の解凍の後に、細胞の分析に基づいて行われる。一部の実施形態では、分析は、CD4+細胞のCD8+細胞に対する比を判定することを含む。一部の実施形態では、極低温後の修飾の条件、たとえば、細胞をインキュベートするための時間、細胞をインキュベートするための温度、細胞刺激物質の使用および濃度、ならびに細胞を遺伝子修飾するためのステップは、分析に基づいて選択され得るか、またはCD4+細胞のCD8+細胞に対する比に基づいて選択され得る。
【0221】
細胞を操作するためのベクター
【0222】
組換え受容体および/またはTCRをコードするポリヌクレオチド(核酸分子)は、そのような受容体を発現するように細胞を遺伝子操作するためのベクターに含まれ得る。一部の実施形態では、ベクターまたは構築物は、ポリペプチドまたは受容体の発現を作動させるために、それらをコードするヌクレオチドに作動可能に連結された1つまたは複数のプロモーターを含む。一部の実施形態では、プロモーターは、1つまたは1つを上回る核酸分子に作動可能に連結されている。一部の事例では、ベクターは、ウイルスベクター、たとえば、レトロウイルスベクター、たとえば、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチド、たとえば、ベクターは、たとえば、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換によって、培養された細胞を含む組成物に導入される。
【0223】
遺伝子操作された構成要素、たとえば、組換え受容体、たとえば、CARまたはTCRの導入のための様々な方法は、周知であり、提供される方法および組成物で使用することができる。例示的な方法としては、ウイルスベクター、たとえば、レトロウイルスまたはレンチウイルス、非ウイルスベクターまたはトランスポゾン、たとえば、スリーピングビューティートランスポゾンシステムによるものを含む、ポリペプチドまたは受容体をコードする核酸の移入のためのものが挙げられる。遺伝子移入の方法としては、形質導入、エレクトロポレーション、または細胞内への遺伝子の移入をもたらす他の方法を挙げることができる。
【0224】
一部の実施形態では、遺伝子移入は、たとえば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定されるように、まず、細胞を、たとえば増殖、生存、および/または活性化の応答を誘導する刺激と合わせることなどによって、細胞を刺激すること、続いて、活性化された細胞の形質導入、ならびに培養における臨床適用に十分な数への増大によって、達成される。
【0225】
一部の状況では、刺激因子(たとえば、リンホカインまたはサイトカイン)、たとえば、対象における毒性と関連する因子の過剰発現が、潜在的に対象において望ましくない予後または有効性の低下をもたらし得る可能性に対して防御することが、望ましい場合がある。したがって、一部の状況では、操作細胞は、たとえば、養子免疫療法での投与の際に、細胞をin vivoでの陰性選択を受けやすくさせる、遺伝子セグメントを含む。たとえば、一部の態様では、細胞は、細胞を投与する患者のin vivo条件の変化の結果として、細胞が排除され得るように、操作される。陰性選択可能な表現型は、投与される薬剤、たとえば、化合物に対する選択性を付与する遺伝子の挿入により生じ得る。陰性選択可能な遺伝子としては、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子(Wiglerら、Cell 11巻、:223頁、1977年)、細胞内ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(phosphribosyltransferase)(HPRT)遺伝子、細胞内アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌シトシンデアミナーゼ(Mullenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、89巻:33頁(1992年))などが挙げられる。
【0226】
一部の実施形態では、組換え核酸は、組換え感染性ウイルス粒子、たとえば、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)などに由来するベクターを使用して、細胞に移入される。一部の実施形態では、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、たとえば、ガンマレトロウイルスベクターを使用して、T細胞に移入される(たとえば、Kosteら(2014年)、Gene Therapy、2014年4月3日、doi: 10.1038/gt.2014.25;Carlensら(2000年)、Exp Hematol、28巻(10号):1137~46頁;Alonso-Caminoら(2013年)、Mol Ther Nucl Acids、2巻、e93頁;Parkら、Trends Biotechnol.、2011年11月29日(11巻):550~557頁を参照されたい)。
【0227】
一部の実施形態では、レトロウイルスベクター、たとえば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクターは、長い末端反復配列(LTR)を有する。ほとんどのレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。一部の実施形態では、レトロウイルスとしては、任意の鳥類または哺乳動物の細胞源に由来するものが挙げられる。レトロウイルスは、典型的に、広宿主性である、すなわち、レトロウイルスは、ヒトを含む複数の種の宿主細胞に感染することができる。一実施形態では、発現させようとする遺伝子が、レトロウイルスgag、pol、および/またはenv配列に置き換わる。いくつかの例示的なレトロウイルス系が、説明されている(たとえば、米国特許第5,219,740号、同第6,207,453号、同第5,219,740号、MillerおよびRosman(1989年)、BioTechniques、7巻:980~990頁;Miller, A. D.(1990年)、Human Gene Therapy、1巻:5~14頁;Scarpaら(1991年)、Virology、180巻:849~852頁;Burnsら(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:8033~8037頁;ならびにBoris-LawrieおよびTemin(1993年)、Cur. Opin. Genet. Develop.、3巻:102~109頁)。
【0228】
レンチウイルス形質導入の方法は、公知である。例示的な方法は、たとえば、Wangら(2012年)、J. Immunother.、35巻(9号):689~701頁;Cooperら(2003年)、Blood.、101巻:1637~1644頁;Verhoeyenら(2009年)、Methods Mol Biol.、506巻:97~114頁;およびCavalieriら(2003年)、Blood.、102巻(2号):497~505頁に記載されている。
【0229】
一部の実施形態では、組換え核酸は、エレクトロポレーションによって、T細胞に移入される(たとえば、Chicaybamら(2013年)、PLoS ONE、8巻(3号):e60298頁およびVan Tedelooら(2000年)、Gene Therapy、7巻(16号):1431~1437頁を参照されたい)。一部の実施形態では、組換え核酸は、トランスポジション(transposition)によって、T細胞に移入される(たとえば、Manuriら(2010年)、Hum Gene Ther、21巻(4号):427~437頁;Sharmaら(2013年)、Molec Ther Nucl Acids、2巻、e74頁;およびHuangら(2009年)、Methods Mol Biol、506巻:115~126頁を参照されたい)。遺伝子材料を免疫細胞に導入し、そこで発現させる他の方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション(たとえば、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、N.Y.に記載されている)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介トランスフェクション;タングステン粒子により促進される微粒子衝撃(tungsten particle-facilitated microparticle bombardment)(Johnston、Nature、346巻:776~777頁(1990年));およびストロンチウムリン酸DNA共沈降(Brashら、Mol. Cell Biol.、7巻:2031~2034頁(1987年))が挙げられる。一部の態様では、洗浄ステップは、遠心分離チャンバ、たとえば、A-200/FおよびA-200遠心分離チャンバを含め、Sepax(登録商標)およびSepax(登録商標)2システムで使用するためのものを含む、Biosafe SAによって製造および販売されているものにおいて、製造業者の説明書に従って、行われる。
【0230】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他のアプローチおよびベクターは、たとえば、PCT特許出願公開第2014055668号および米国特許第7,446,190号に記載されているものであり、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0231】
一部の実施形態では、細胞、たとえば、T細胞には、増大の間または後のいずれかで、たとえば、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)がトランスフェクトされ得る。所望されるポリペプチドまたは受容体の遺伝子の導入のためのこのトランスフェクションは、たとえば、任意の好適なレトロウイルスベクターを用いて実行することができる。遺伝子修飾された細胞集団は、次いで、初回刺激(たとえば、CD3/CD28刺激)から解放され、続いて、第2の種類の刺激(たとえば、de novoで導入した受容体を介して)で刺激され得る。この第2の種類の刺激には、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入受容体の同種(架橋)リガンド(たとえば、CARの天然のリガンド)、または新しい受容体のフレームワーク内に直接的に結合する(たとえば、受容体内の定常領域を認識することによって)任意のリガンド(たとえば、抗体)の形態での抗原性刺激が含まれ得る。たとえば、Cheadleら、「Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy」、Methods Mol Biol.、2012年;907巻:645~66頁またはBarrettら、Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine、第65巻:333~347頁(2014年)を参照されたい。
【0232】
さらなる核酸、たとえば、導入のための遺伝子には、治療法の有効性を、たとえば、移入される細胞の生存性および/もしくは機能を促進することによって改善するもの;細胞の選択および/もしくは評価のため、たとえば、in vivoでの生存もしくは局在化を評価するための遺伝子マーカーを提供する遺伝子;ならびにLupton S. D.ら、Mol. and Cell Biol.、11巻:6頁(1991年);およびRiddellら、Human Gene Therapy、3巻:319~338頁(1992年)に記載されているように、たとえば、細胞をin vivoでの陰性選択を受けやすくすることによって、安全性を改善するための遺伝子がある。ドミナント陽性選択可能なマーカーを陰性選択可能なマーカーと融合することによって導出される二官能性の選択可能な融合遺伝子の使用について記載している、LuptonらによるPCT/US第91/08442号およびPCT/US第94/05601号の刊行物もまた参照されたい。たとえば、Riddellら、米国特許第6,040,177号のカラム14~17を参照されたい。
【0233】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作の前またはそれとともに、インキュベートおよび/または培養される。インキュベーションステップには、培養(culture)すること、培養(cultivation)すること、刺激すること、活性化すること、および/または増やすことが含まれ得る。インキュベーションおよび/または操作は、培養容器、たとえば、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チュービングセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養(culture)または培養(cultivate)するための他の容器において行われ得る。一部の実施形態では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激性薬剤の存在下において、インキュベートされる。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/または生存を誘導し、抗原曝露を模倣し、および/または遺伝子操作、たとえば、組換え抗原受容体の導入のために細胞を予備刺激するように、設計されるものが含まれる。一部の実施形態では、インキュベーションステップのうちの1つまたは複数は、ロッキングバイオリアクター、たとえば、WAVE(商標)Bioreactor(GE Healthcare)またはBIOSTAT(登録商標)RM(Sartorius)を使用して、実行され得る。一部の実施形態では、インキュベーションステップのうちの1つまたは複数は、静式バイオリアクターまたはインキュベーションチャンバを使用して、実行され得る。特定の実施形態では、1つまたは複数のインキュベーションステップにロッキングバイオリアクターを使用する場合には、抗せん断剤、たとえば、ポロキサマーが、組成物に添加され得る。
【0234】
条件には、特定の媒体、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、たとえば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、たとえば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、ならびに細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質のうちの1つまたは複数が含まれ得る。一部の態様では、細胞は、1つまたは複数のサイトカインの存在下においてインキュベートされ、一部の実施形態では、サイトカインカクテル、たとえば、PCT特許出願公開第2015/157384号に記載されるものを利用することができ、これは、参照により組み込まれる。一部の実施形態では、細胞は、形質導入の前、同時、または後に、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはサイトカインカクテルとともにインキュベートされる。
【0235】
一部の実施形態では、刺激条件または刺激剤には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる、1つまたは複数の作用物質、たとえば、リガンドが含まれる。一部の態様では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動させるかまたは開始する。そのような作用物質としては、抗体、たとえば、TCR構成要素に特異的なもの、たとえば、抗CD3を挙げることができる。一部の実施形態では、刺激条件には、共刺激性受容体を刺激することができる、1つまたは複数の作用物質、たとえば、リガンド、たとえば、抗CD28が含まれる。一部の実施形態では、そのような作用物質および/またはリガンドは、固体支持体、たとえば、ビーズ、および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。必要に応じて、増大方法は、さらに、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を、培養媒体に(たとえば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加するステップを含み得る。一部の実施形態では、刺激剤としては、IL-2、および/またはIL-15、たとえば、少なくとも約10単位/mLの濃度のIL-2が挙げられる。
【0236】
一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらへの米国特許第6,040,177号、Klebanoffら(2012年)、J Immunother.、35巻(9号):651~660頁;Terakuraら(2012年)、Blood.、1巻:72~82頁;および/またはWangら(2012年)、J Immunother.、35巻(9号):689~701頁に記載されているものなどの技法に従って行われる。一部の態様では、形質導入は、PCT特許出願公開第2016/073602号または米国公開第2016/0122782号に記載されているシステム、デバイス、装置、および/または方法を使用して行われ、これらの内容は、参照によりその全体が組み込まれる。一部の実施形態では、形質導入は、PCT特許出願公開第2015/164675号に記載されている方法に従って行われ、この内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0237】
一部の実施形態では、T細胞は、培養開始組成物に、フィーダー細胞、たとえば、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)を添加し(たとえば、結果として得られる細胞集団が、増大させようとする初期集団中のTリンパ球それぞれに対して少なくとも約5個、10個、20個、もしくは40個、またはそれを上回るPBMCフィーダー細胞を含有するように)、培養物をインキュベートすること(たとえば、T細胞の数を増大させるのに十分な時間)によって、増大される。一部の態様では、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PBMCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、PBMCに、約3000~3600ラドの範囲でガンマ線を照射して、細胞分裂を防止する。一部の態様では、フィーダー細胞は、T細胞集団の添加前に、培養媒体に添加される。
【0238】
一部の実施形態では、刺激条件としては、ヒトTリンパ球の成長に好適な温度、たとえば、少なくとも摂氏約25度、一般に、少なくとも約30度、および一般に、摂氏37度または約37度が挙げられる。必要に応じて、インキュベーションは、フィーダー細胞として非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)を添加することをさらに含み得る。LCLには、約6000~10,000ラドの範囲でガンマ線を照射してもよい。LCLフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の好適な量、たとえば、LCLフィーダー細胞の初期Tリンパ球に対する比が少なくとも約10:1で、提供される。
【0239】
試料を処理するための方法
【0240】
一部の実施形態では、方法は、アフェレーシス試料を処理するための方法であって、(a)ドナーから取得されたアフェレーシス試料を、低温環境で、保管施設に輸送すること、および(b)保管施設において、アフェレーシス試料を極低温で保管することを含む、方法を含む。方法は、ある特定の実施形態によると、複数のアフェレーシス試料を処理することであって、(a)それぞれが同じかまたは異なるドナーから取得され、同じかまたは異なる時点のいずれかで輸送された、複数のアフェレーシス試料を、低温環境で、保管施設に輸送すること、および(b)保管施設において、アフェレーシス試料のそれぞれを極低温で保管することを含む、処理することをさらに含み得る。
【0241】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料は、上述の実施形態に従ってドナーから収集された血液である。
【0242】
一部の実施形態では、低温輸送環境の温度は、-80℃よりも高い温度から0℃である。一部の実施形態では、低温輸送環境の温度は、-80℃よりも高い温度から-20℃である。一部の実施形態では、低温輸送環境の温度は、-20℃~0℃である。
【0243】
一部の実施形態では、ドナーのアフェレーシス試料が収集される施設および保管施設は、互いに提携しているが、これは、すべての実施形態で必要とされるわけではない。一部の実施形態では、施設は、ドナーまたは別の実体が、収集施設においてアフェレーシス試料を収集し、保管施設においてアフェレーシス試料を保管するよう選択することにより、互いに提携される。一部の実施形態では、収集施設および保管施設は、同じ物理的位置を共有していてもよい。一部の実施形態では、収集施設および保管施設は、異なる位置、たとえば、異なる国または異なる州に位置していてもよい。
【0244】
一部の実施形態では、保管施設は、中央または共通のリポジトリの保管施設であり、ここで、異なる収集施設で得られた様々な患者のアフェレーシス試料が、保管される。一部の実施形態では、中央または共通のリポジトリの保管施設は、アフェレーシス試料を、1つまたは複数の製造施設に送る前に、これらの試料を極低温で保管する。一部の実施形態では、中央または共通のリポジトリの施設ならびに製造施設は、互いに提携している。一部の実施形態では、中央または共通のリポジトリの施設ならびに製造施設は、互いに提携していない。一部の実施形態では、ドナーから得られた試料のすべてが、中央または共通のリポジトリの施設から、製造施設へと送られる。他の実施形態では、ドナーから得られた試料の一部は、製造施設へと送られ、他の試料は、中央または共通のリポジトリの施設で保持される。一部の実施形態では、ドナーから得られた試料のすべてが、中央または共通のリポジトリの施設から、同じ製造施設へと送られる。他の実施形態では、ドナーから得られた試料の一部は、中央または共通のリポジトリの施設から、1つの製造施設へと送られ、ドナーから得られた他の試料は、別の製造施設へと送られる。
【0245】
一部の実施形態では、1種または複数種の細胞が、輸送する前に、アフェレーシス試料から濃縮および/または単離される。別の事例では、細胞は、輸送の後に、アフェレーシス試料から濃縮および/または単離され得る。たとえば、細胞は、上述の実施形態に従って、濃縮および/または単離され得る。
【0246】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮および/もしくは単離された細胞は、輸送される前に、分析される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮および/もしくは単離された細胞は、輸送された後かつ極低温で保管される前に、分析される。アフェレーシス試料または濃縮および/もしくは単離された細胞は、上述の実施形態に従って、分析され得る。
【0247】
一部の実施形態では、アフェレーシス、または濃縮および/もしくは単離された細胞集団、または操作T細胞集団もしくは組成物の、一部分または複数の部分は、アフェレーシス、または濃縮および/もしくは単離された細胞集団、または操作されたT細胞集団もしくは組成物の極低温凍結の前に、取り出される。一部の実施形態では、取り出された一部分または複数の部分は、たとえば、アフェレーシス、または濃縮および/もしくは単離された細胞集団、または操作T細胞集団もしくは組成物の極低温凍結の前または後を含め、任意の時点で、分析される。
【0248】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送される前に、凍結溶液と合わされる。一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送された後かつ極低温で保管される前に、凍結溶液と合わされる。凍結溶液は、上述の実施形態における凍結溶液と同じであってもよい。
【0249】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料は、極低温で凍結させようとする凍結溶液と合わせる前または後に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個の容器に分割される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料は、輸送される前に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個の容器に分割される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料は、輸送された後に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個の容器に分割される。一部の実施形態では、分割されたアフェレーシスを含む任意の数の別個の容器は、輸送される前または輸送された後に、極低温で凍結される。
【0250】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個の容器に分割され、これらは、保管施設において、極低温で保管される。一部の実施形態では、保管施設は、中央または共通のリポジトリの保管施設である。一部の実施形態では、保管施設は、分割されたアフェレーシスを含む任意の数の別個の容器を、1つまたは複数の製造施設に送る。
【0251】
一部の実施形態では、中にアフェレーシス試料が極低温で保管されている1つまたは複数の容器は、極低温保管から取り出され、一方で、残りの容器は、極低温保管で保持される。一部の実施形態では、極低温保管から取り出された1つまたは複数の容器内の細胞は、解凍される。一部の実施形態では、解凍された細胞は、操作される。一部の実施形態では、解凍された細胞は、CAR分子を発現するように操作される。一部の実施形態では、中にアフェレーシス試料が極低温で保管されている1つまたは複数の後続の容器が、極低温保管から取り出され、一方で、残りの容器は、極低温保管で保持される。一部の実施形態では、極低温保管から取り出された1つまたは複数の後続の容器内の細胞は、解凍される。一部の実施形態では、解凍された細胞は、操作される。一部の実施形態では、解凍された細胞は、以前に解凍された細胞と類似または異なるCAR分子を発現する細胞を産生するように、操作される。一部の実施形態では、中にアフェレーシス試料が極低温で保管されている容器は、異なる長さの時間の間、極低温保管で保持される。
【0252】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送される前に、-80℃を上回る温度から0℃の温度に冷却される。アフェレーシス試料または細胞は、上述の実施形態に従った様式で、冷却され得る。一部の実施形態では、細胞の冷却の前に、細胞は、上述の実施形態に従った様式で、洗浄される。
【0253】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送される前に、-210℃~-80℃の温度に、極低温で凍結される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送された後に、極低温で凍結される。アフェレーシス試料または細胞は、上述の実施形態に従った様式で、極低温で凍結され得る。一部の実施形態では、細胞の極低温凍結の前に、細胞は、上述の実施形態に従った様式で、洗浄される。
【0254】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、-210℃~-80℃の温度において、極低温で保管される。たとえば、アフェレーシス試料または細胞は、上述の実施形態に従った様式で、たとえば、液体窒素保管タンクの気相において、たとえば、1日間~12年間の保管期間の間、極低温で保管され得る。一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、または48時間、保管もしくは貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1週間、2週間、3週間、または4週間、保管または貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、長期保管または長期貯蔵される。一部の態様では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、40年間、またはそれを上回る期間、保管される。
【0255】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、-210℃~-80℃の温度において、極低温で保管される。一部の実施形態では、細胞が保管される温度は、約-100℃、または-95℃、または-90℃、または-85℃、または-80℃、または-75℃、または-70℃、または-65℃、または-60℃を上回らない。
【0256】
一部の実施形態では、保管期間の後に、アフェレーシス試料または細胞は、解凍される。たとえば、アフェレーシス試料または細胞は、上述の実施形態に従った様式で、解凍され得る。また、ある特定の実施形態によると、保管期間の後、生存細胞の割合は、24%~100%である。生存細胞の割合は、たとえば、上述の実施形態に従って、判定することができる。
【0257】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮された細胞は、収集の後かつ輸送の前に、分析される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮された細胞は、輸送の後かつ極低温保管の前に、分析される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮された細胞は、保管期間の後に、分析される。一部の実施形態では、分析の後に、アフェレーシス試料または細胞は、修飾され得る。一部の実施形態では、修飾は、輸送する前に生じる。一部の実施形態では、修飾は、輸送した後かつ極低温で保管する前に、生じる。一部の実施形態では、修飾は、極低温で保管した後に、生じる。そのような実施形態では、修飾は、「極低温後の修飾」と称される。アフェレーシス試料または細胞の分析および/または修飾は、上述の実施形態に従って行われ得る。
【0258】
組成物および製剤
【0259】
細胞を含む組成物もまた、提供され、これには、医薬組成物および製剤、たとえば、所与の用量またはその画分での投与のための細胞数を含む単位用量形態の組成物が含まれる。医薬組成物および製剤は、一般に、1つまたは複数の必要に応じた薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0260】
「医薬製剤」という用語は、中に含まれる活性成分の生物学的活性が有効となるのを許容するような形態にあり、製剤が投与されるであろう対象にとって、許容できないほどに毒性である追加の成分を含まない、調製物を指す。
【0261】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性である、医薬製剤中の活性成分以外の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0262】
一部の態様では、担体の選択は、部分的に、特定の細胞および/または投与の方法によって決定される。したがって、様々な好適な製剤が存在する。たとえば、医薬組成物は、保存剤を含有し得る。好適な保存剤としては、たとえば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムを挙げることができる。一部の態様では、2つまたはそれを上回る保存剤の混合物が、使用される。保存剤またはその混合物は、典型的に、全組成物の重量を基準として、約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.編(1980年)によって説明されている。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投薬量および濃度で、レシピエントにとって非毒性であり、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:緩衝剤、たとえば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む、抗酸化剤;保存剤(たとえば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、たとえば、メチルもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基よりも少ない)ポリペプチド;タンパク質、たとえば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、たとえば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、たとえば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシン;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、たとえば、EDTA;糖類、たとえば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール;塩形成対イオン、たとえば、ナトリウム;金属錯体(たとえば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)。
【0263】
一部の態様では、緩衝剤が、組成物に含まれる。好適な緩衝剤としては、たとえば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が挙げられる。一部の態様では、2つまたはそれを上回る緩衝剤の混合物が、使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的に、全組成物の重量を基準として、約0.001%~約4%の量で存在する。投与可能な医薬組成物を調製するための方法は、公知である。例示的な方法は、たとえば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins、第21版(2005年5月1日)により詳細に記載されている。
【0264】
製剤には、水溶液が含まれ得る。製剤または組成物はまた、細胞を用いて処置されている特定の適応症、疾患、または状態にとって有用な1つを上回る活性成分、好ましくは、細胞に相補的な活性を有するものを含有してもよく、ここで、それぞれの活性は、互いに悪影響を及ぼさない。そのような活性成分は、意図される目的に有効な量での組合せで存在することが、好適である。したがって、一部の実施形態では、医薬組成物は、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、たとえば、化学療法剤、たとえば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンをさらに含む。
【0265】
一部の実施形態では、組成物は、疾患もしくは状態の負荷を低減するのに有効な量、ならびに/または対象にCRSもしくは重篤なCRSをもたらさない、および/もしくは本明細書に記載される方法の他の結果のいずれにも影響を及ぼさない量で、細胞を含む。
【0266】
医薬組成物は、一部の実施形態では、疾患または状態を処置または予防するのに有効な量、たとえば、治療有効量または予防的有効量で、細胞を含有する。治療的または予防的な有効性は、一部の実施形態では、処置される対象の周期的な評価によって監視される。所望される投薬量は、細胞の単回ボーラス投与によって、細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の連続的な注入投与によって、送達することができる。
【0267】
細胞および組成物は、標準的な投与技法、製剤、および/またはデバイスを使用して、投与することができる。細胞の投与は、自家であっても異種であってもよい。たとえば、免疫応答性細胞または前駆体を、1人の対象から得て、それを同じ対象または適合性のある別の対象に投与することができる。末梢血由来の免疫応答性細胞またはそれらの子孫(たとえば、in vivo、ex vivo、またはin vitroに由来する)は、カテーテル投与を含む、局所注射、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与によって、投与することができる。治療用組成物(たとえば、遺伝子修飾された免疫応答性細胞を含有する医薬組成物)を投与する場合、それは、一般に、単位投薬量の注射用形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)で製剤化されることになる。
【0268】
製剤には、経口、静脈内、腹腔内、皮下、肺内、経皮、筋肉内、鼻内、頬内、舌下、または坐剤での投与のためのものが含まれる。一部の実施形態では、細胞集団は、非経口で投与される。「非経口」という用語には、本明細書において使用されるとき、静脈内、筋肉内、皮下、直腸内、膣内、および腹腔内の投与が含まれる。一部の実施形態では、細胞は、静脈内、腹腔内、または皮下の注射による末梢全身送達を使用して、対象に投与される。
【0269】
組成物は、一部の実施形態では、滅菌液体調製物、たとえば、等張水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物として提供され、これらは、一部の態様では、選択されたpHに緩衝され得る。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも、調製が容易である。加えて、液体組成物は、特に注射によって、投与するのがいくらかより便利である。粘性組成物は、一方で、特定の組織とのより長い接触期間をもたらすように、適切な粘度範囲内で製剤化することができる。液体または粘性の組成物は、たとえば、水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびこれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る、担体を含み得る。
【0270】
滅菌注射用溶液は、細胞を、溶媒に、たとえば、好適な担体、希釈剤、または賦形剤、たとえば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合物として、組み込むことによって、調製することができる。組成物は、所望される投与経路および調製物に応じて、補助物質、たとえば、湿潤剤、分散剤、もしくは乳化剤(たとえば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化もしくは増粘添加剤、保存剤、香味剤、および/または着色剤を含有し得る。好適な調製物を調製するために、一部の態様では、標準的な文書が参照され得る。
【0271】
抗菌保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および滅菌性を強化する様々な添加剤を、添加することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸によって確実にすることができる。注射用医薬品形態の長期吸収は、吸収を遅延する薬剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって、もたらすことができる。
【0272】
in vivoでの投与に使用しようとする製剤は、一般に、滅菌である。滅菌性は、たとえば、滅菌濾過膜を通じた濾過によって、容易に達成することができる。
【0273】
一部の実施形態では、治療用T細胞組成物は、1ml当たり約1000万個の細胞~1ml当たり約7000万個の細胞、または1mL当たり約1000万個の生存細胞~1mL当たり約7000万個の生存細胞を含む。一部の実施形態では、治療用T細胞組成物は、1ml当たり約1500万個の細胞または生存細胞~1ml当たり約6000万個の細胞または生存細胞を含む。一部の実施形態では、T細胞組成物は、1ml当たり1000万個を上回る細胞または生存細胞を含む。一部の実施形態では、治療用T細胞組成物は、1ml当たり1500万個を上回る細胞または1500万個を上回る細胞を含む。
【0274】
一部の実施形態では、本出願は、治療用T細胞組成物を含む容器を含む、製品を提供する。一部の実施形態では、製品は、容器が、標的単位数の治療用T細胞組成物を含むことを示す情報をさらに含む。一部の実施形態では、製品は、複数の容器を含み、ここで、容器のそれぞれは、標的単位数のT細胞組成物を含む単位用量を含む。一部の実施形態では、容器は、1mL当たり約1000万個の細胞もしくは生存細胞~1mL当たり約7000万個の細胞もしくは生存細胞、1mL当たり約1500万個の細胞もしくは生存細胞~約6000万個の細胞もしくは生存細胞、1mL当たり1000万個を上回る細胞もしくは生存細胞、1mL当たり1500万個を上回る細胞もしくは生存細胞、またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、組成物は、極低温保護剤をさらに含む、および/または製品は、対象に投与する前に組成物を解凍するための説明書をさらに含む。
【0275】
一部の実施形態では、細胞は、たとえば、血漿および血小板を除去するための洗浄ステップの後に、凍結溶液中に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかを、一部の態様では、使用することができる。1つの例には、20%のDMSOおよび8%のHSAを含有するPBS、または他の好適な細胞凍結媒体を使用することが含まれる。これは、次いで、DMSOおよびHSAの最終濃度が、それぞれ、10%および4%となるように、媒体で1:1希釈される。
【0276】
様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかを、一部の態様では、使用することができる。一部の実施形態では、細胞試料は、極低温保護剤を含有する極低温保存またはガラス化媒体または溶液を含有し得る。好適な極低温保護剤としては、DMSO、グリセロール、グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール(PEG)、1,2-プロパンジオール(PROH)、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、極低温保存溶液は、ポリビニルピロリジオン、ヒドロキシエチルデンプン、多糖類、単糖類、アルギン酸塩、トレハロース、ラフモース、デキストラン、ヒト血清アルブミン、Ficoll、リポタンパク質、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルデンプン、自家血漿、またはこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない、1つまたは複数の非細胞透過性極低温保存剤を含有し得る。一部の実施形態では、細胞は、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、または約6体積%~約9体積%の最終濃度の極低温保護剤を有する凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、凍結溶液中の極低温保護剤の最終濃度は、約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%である。
【0277】
一部の実施形態では、極低温保護剤は、DMSOである。特定の実施形態では、細胞は、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、または約6体積%~約9体積%の最終濃度のDMSOを有する凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、凍結溶液中のDMSOの最終濃度は、約3体積%、約4%体積%、約5体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%である。
【0278】
ある特定の実施形態では、細胞は、約1×106個の細胞/ml~約1×108個の細胞/mL、約1×106個の細胞/mL~約2×107個の細胞/mL、約1×107個の細胞/mL~約5×107個の細胞/mL、または約1×107個の細胞/mL~5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、約1×106個の細胞/mL、約2×106個の細胞/mL、約5×106個の細胞/mL、約1×107個の細胞/mL、約1.5×107個の細胞/mL、約2×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約3×107個の細胞/mL、約3.5×107個の細胞/mL、約4×107個の細胞/mL、約4.5×107個の細胞/mL、または約5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、約1.5×107個の細胞/mL~約6×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、約5×106個の細胞/mL~約150×106個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、少なくとも約1×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。特定の実施形態では、細胞は、少なくとも約1.5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。一部の実施形態では、細胞は、生存細胞である。
【0279】
特定の実施形態では、細胞は、それぞれ、両端の値を含め、0.1×106個の細胞/mL~5,000×106個の細胞/mLもしくは約0.1×106個の細胞/mL~約5,000×106個の細胞/mL、1×106個の細胞/mL~500×106個の細胞/mLもしくは約1×106個の細胞/mL~約500×106個の細胞/mL、5×106個の細胞/mL~150×106個の細胞/mLもしくは約5×106個の細胞/mL~約150×106個の細胞/mL、10×106個の細胞/mL~70×106個の細胞/mLもしくは約10×106個の細胞/mL~約70×106個の細胞/mL、または15×106個の細胞/mL~60×106個の細胞/mLもしくは約15×106個の細胞/mL~約60×106個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、それぞれ、両端の値を含め、約1×106個の細胞/mL~約1×108個の細胞/mL、約1×106個の細胞/mL~約2×107個の細胞/mL、約1×107個の細胞/mL~約5×107個の細胞/mL、または約1×107個の細胞/mL~5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、約1×106個の細胞/mL、約2×106個の細胞/mL、約5×106個の細胞/mL、約1×107個の細胞/mL、約1.5×107個の細胞/mL、約2×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約2.5×107個の細胞/mL、約3×107個の細胞/mL、約3.5×107個の細胞/mL、約4×107個の細胞/mL、約4.5×107個の細胞/mL、または約5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、両端の値を含め、約1.5×107個の細胞/mL~約6×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、少なくとも約1×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。特定の実施形態では、細胞は、少なくとも約1.5×107個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。一部の実施形態では、細胞は、生存細胞である。
【0280】
一部の実施形態では、極低温保存媒体への移入には、たとえば、媒体を除去するための試料、たとえば、細胞および/もしくは操作細胞組成物の洗浄、ならびに/または後続の凍結のための適切な極低温保存緩衝液もしくは媒体における細胞の置換えを伴い得る1つまたは複数の処理ステップが付随する。ある特定の実施形態では、極低温保存媒体への移入は、閉鎖および滅菌システムにおいて臨床規模レベルで完全に自動化されている。ある特定の実施形態では、極低温保存媒体への移入は、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行った。
【0281】
一部の実施形態では、細胞は、細胞を処理および/または操作するための前記方法の前、最中、または後のいずれかで、凍結、たとえば、極低温保存される。一部の実施形態では、凍結およびそれに続く解凍のステップにより、細胞集団における顆粒球、およびある程度の単球が、除去される。細胞は、1分間につき1℃の速度で、-80℃に凍結され、液体窒素保管タンクの気相で保管され得る。一部の実施形態では、組成物は、極低温保存に好適なバッグに封入される(たとえば、CryoMacs(登録商標)Freezing Bags、Miltenyi Biotec)。一部の実施形態では、組成物は、極低温保存に好適なバイアルに封入される(たとえば、CellSeal(登録商標)Vials、Cook Regentec)。
【0282】
好適な容器としては、たとえば、ボトル、バイアル、シリンジ、および可撓性バッグ、たとえば、注入バッグが挙げられる。特定の実施形態では、容器は、バッグ、たとえば、可撓性バッグ、たとえば、対象への細胞の注入に好適なもの、たとえば、可撓性プラスチックもしくはPVCバッグ、および/またはIV溶液バッグである。バッグは、一部の実施形態では、細胞および組成物の滅菌溶液および送達を提供することができるように、封止可能である、および/または滅菌することができる。一部の実施形態では、容器、たとえば、バッグは、以下の値もしくはおよそ以下の値、または少なくとも以下の値もしくは少なくともおよそ以下の値の容量を有する:10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、または1000mLの容量、たとえば、それぞれ、両端の値を含め、10もしくは約10~100もしくは約100mL、または10もしくは約10~500もしくは約500mLの容量。一部の実施形態では、容器、たとえば、バッグは、様々な温度、たとえば、低温、たとえば、以下の温度もしくはおよそ以下の温度を下回るか、または以下の温度もしくはおよそ以下の温度:-20℃、-80℃、-120℃、135℃、および/または極低温保存に好適な温度、ならびに/または他の温度、たとえば、例として、対象の場所または処置の場所、たとえば、ベッドのそばで、処置の直前に解凍するのを許容するために、細胞の解凍に好適な温度および体温、たとえば、37℃もしくは約37℃のうちの1つまたは複数において、安定な材料である、および/もしくはそのような材料から作製される、ならびに/または細胞の安定な保管および/もしくは維持を提供する。
【0283】
容器は、ガラスまたはプラスチックなど、様々な材料から形成することができる。一部の実施形態では、容器は、たとえば、チュービングの接続または1つもしくは複数のチューブへのカニューレ挿入のため、たとえば、静脈内もしくは他の注入のため、ならびに/または他の容器、たとえば、細胞培養および/もしくは保管バッグまたは他の容器へおよびこれらからの移入を目的とする接続のための、1つまたは複数のポート、たとえば、滅菌アクセスポートを有する。例示的な容器としては、注入バッグ、静脈内溶液バッグ、および注射用ニードルによる穿刺可能なストッパを有するものを含むバイアルが挙げられる。
【0284】
本発明は、本発明の個々の態様の1つの例示を意図している本明細書において開示される実施形態によって範囲が限定されるものではなく、機能的に同等であるものはすべて、本発明の範囲内に含まれる。本発明のモデルおよび方法に対する様々な修正形は、本明細書に記載されるものに加えて、前述の説明および教示から、当業者には明らかであり、同様に、本発明の範囲内に含まれることが意図される。そのような修正形または他の実施形態は、本発明の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、実施することができる。
【0285】
刺激性試薬
【0286】
一部の実施形態では、濃縮された細胞の組成物を、刺激条件下においてインキュベートすることは、濃縮された細胞の組成物を、T細胞を活性化および/または増大させることができる刺激性試薬とともにインキュベートすることおよび/またはそれと接触させることであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、刺激性試薬は、細胞において1つまたは複数のシグナルを刺激および/または活性化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のシグナルは、受容体によって媒介される。特定の実施形態では、1つまたは複数のシグナルは、シグナル伝達および/または二次メッセンジャー、たとえば、cAMPおよび/もしくは細胞内カルシウムのレベルもしくは量における変化、1つまたは複数の細胞内タンパク質の量、細胞内局在化、確認、リン酸化、ユビキチン化、および/または短縮の変化、ならびに/または細胞活性、たとえば、転写、翻訳、タンパク質分解、細胞形質学、活性化状態、および/もしくは細胞分裂における変化であるか、またはこれらと関連している。特定の実施形態では、刺激性試薬は、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または1つもしくは複数の共刺激性分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化する、および/または活性化することができる。
【0287】
ある特定の実施形態では、刺激性試薬は、細胞、たとえば、T細胞を活性化および/または増大させることができる、1つまたは複数の作用物質、たとえば、生体分子にコンジュゲートまたは連結された粒子、たとえば、ビーズを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、ビーズに結合される。一部の実施形態では、ビーズは、生体適合性である、すなわち、生物学的使用に好適である材料から構成される。一部の実施形態では、ビーズは、培養された細胞、たとえば、培養されたT細胞に対して、非毒性である。一部の実施形態では、ビーズは、作用物質と細胞との間の相互作用を許容する様式で、作用物質に結合することができる、任意の粒子であり得る。
【0288】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、ビーズ、たとえば、ビーズの表面に結合しているか、またはそうでなければ付着している、細胞、たとえば、T細胞を活性化および/または増大させることができる、1つまたは複数の作用物質を含有する。ある特定の実施形態では、ビーズは、非細胞粒子である。特定の実施形態では、ビーズとしては、コロイド粒子、マイクロスフェア、ナノ粒子、磁性ビーズなどを挙げることができる。一部の実施形態では、ビーズは、アガロースビーズである。ある特定の実施形態では、ビーズは、セファロースビーズである。
【0289】
特定の実施形態では、刺激性試薬は、単分散性のビーズを含有する。ある特定の実施形態では、単分散性であるビーズは、直径の標準偏差が互いに5%未満であるサイズ分散を含む。
【0290】
一部の実施形態では、ビーズは、1つまたは複数の作用物質、たとえば、ビーズの表面にカップリング、コンジュゲート、または連結(直接的もしくは間接的)された作用物質を含む。一部の実施形態では、本明細書において企図される作用物質としては、RNA、DNA、タンパク質(たとえば、酵素)、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗体断片、炭水化物、脂質、レクチン、または所望される標的に対する親和性を有する任意の他の生体分子を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、所望される標的は、T細胞受容体および/またはT細胞受容体の構成要素である。ある特定の実施形態では、所望される標的は、CD3である。ある特定の実施形態では、所望される標的は、T細胞共刺激性分子、たとえば、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSである。1つまたは複数の作用物質は、当該技術分野において公知であり利用可能である様々な方法によって、ビーズに直接的または間接的に結合することができる。結合は、共有結合、非共有結合、静電、または疎水性のものであり得、たとえば、化学的手段、機械的手段、または酵素的手段を含む、様々な結合手段によって、達成され得る。一部の実施形態では、生体分子(たとえば、ビオチン化抗CD3抗体)は、ビーズに直接的に結合している別の生体分子(たとえば、抗ビオチン抗体)を介して、ビーズに間接的に結合され得る。
【0291】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、ビーズ、および細胞の表面上の巨大分子と直接的に相互作用する1つまたは複数の作用物質を含有する。ある特定の実施形態では、ビーズ(たとえば、常磁性ビーズ)は、細胞上の1つまたは複数の巨大分子(たとえば、1つまたは複数の細胞表面タンパク質)に特異的な1つまたは複数の作用物質(たとえば、抗体)を介して、細胞と相互作用する。ある特定の実施形態では、ビーズ(たとえば、常磁性ビーズ)は、本明細書に記載される第1の作用物質、たとえば、一次抗体(たとえば、抗ビオチン抗体)または他の生体分子で標識され、次いで、第2の作用物質、たとえば、二次抗体(たとえば、ビオチン化抗CD3抗体)または他の第2の生体分子(たとえば、ストレプトアビジン)が添加され、それによって、二次抗体または他の第2の生体分子は、粒子上のそのような一次抗体または他の生体分子に特異的に結合する。
【0292】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、ビーズ(たとえば、常磁性ビーズ)に結合しており、細胞(たとえば、T細胞)上の以下の巨大分子のうちの1つまたは複数に特異的に結合する、1つまたは複数の作用物質(たとえば、抗体)を含有する:CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD25、CD27、CD28、CD29、CD31、CD44、CD45RA、CD45RO、CD54(ICAM-1)、CD127、MHCI、MHCII、CTLA-4、ICOS、PD-1、OX40、CD27L(CD70)、4-1BB(CD137)、4-1BBL、CD30L、LIGHT、IL-2R、IL-12R、IL-1R、IL-15R;IFN-ガンマR、TNF-アルファR、IL-4R、IL-10R、CD18/CDl la(LFA-1)、CD62L(L-セレクチン)、CD29/CD49d(VLA-4)、ノッチリガンド(たとえば、デルタ様1/4、Jagged 1/2など)、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、およびCXCR3、またはこれらの断片(これらの巨大分子もしくはその断片に対応するリガンドを含む)。一部の実施形態では、ビーズに結合した作用物質(たとえば、抗体)は、細胞(たとえば、T細胞)上の以下の巨大分子のうちの1つまたは複数に特異的に結合する:CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45RO。
【0293】
一部の実施形態では、ビーズに結合される作用物質のうちの1つまたは複数は、抗体である。抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(たとえば、二重特異性抗体、ダイアボディ、および一本鎖分子、ならびに抗体断片(たとえば、Fab、F(ab’)2、およびFv)を挙げることができる。一部の実施形態では、刺激性試薬は、抗体断片(抗原結合性断片を含む)、たとえば、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、または(Fab’)2断片である。IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE定常領域を含め、任意のアイソタイプの定常領域が、本明細書において企図される抗体に使用され得ること、ならびにそのような定常領域が、任意のヒトまたは動物種(たとえば、マウス種)から得ることができることが、理解される。一部の実施形態では、作用物質は、T細胞受容体の1つまたは複数の構成要素に結合する、および/またはそれを認識する、抗体である。特定の実施形態では、作用物質は、抗CD3抗体である。ある特定の実施形態では、作用物質は、共受容体に結合する、および/またはそれを認識する、抗体である。一部の実施形態では、共刺激性試薬は、抗CD28抗体を含む。一部の実施形態では、ビーズは、約0.001μmを上回る、約0.01μmを上回る、約0.1μmを上回る、約1.0μmを上回る、約10μmを上回る、約50μmを上回る、約100μmを上回る、または約1000μmを上回る、かつ約1500μmを上回らない、直径を有する。一部の実施形態では、ビーズは、約1.0μm~約500μm、約1.0μm~約150μm、約1.0μm~約30μm、約1.0μm~約10μm、約1.0μm~約5.0μm、約2.0μm~約5.0μm、または約3.0μm~約5.0μmの直径を有する。一部の実施形態では、ビーズは、約3μm~約5μmの直径を有する。一部の実施形態では、ビーズは、少なくとも以下の値、または少なくともおよそ以下の値、またはおよそ以下の値の直径を有する:0.001μm、0.01μm、0.1μm、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm、5.5μm、6.0μm、6.5μm、7.0μm、7.5μm、8.0μm、8.5μm、9.0μm、9.5μm、10μm、12μm、14μm、16μm、18μm、または20μm。ある特定の実施形態では、ビーズは、4.5μmまたは約4.5μmの直径を有する。ある特定の実施形態では、ビーズは、2.8μmまたは約2.8μmの直径を有する。
【0294】
一部の実施形態では、ビーズは、0.001g/cm3を上回る、0.01g/cm3を上回る、0.05g/cm3を上回る、0.1g/cm3を上回る、0.5g/cm3を上回る、0.6g/cm3を上回る、0.7g/cm3を上回る、0.8g/cm3を上回る、0.9g/cm3を上回る、1g/cm3を上回る、1.1g/cm3を上回る、1.2g/cm3を上回る、1.3g/cm3を上回る、1.4g/cm3を上回る、1.5g/cm3を上回る、2g/cm3を上回る、3g/cm3を上回る、4g/cm3を上回る、または5g/cm3を上回る密度を有する。一部の実施形態では、ビーズは、約0.001g/cm3~約100g/cm3、約0.01g/cm3~約50g/cm3、約0.1g/cm3~約10g/cm3、約0.1g/cm3~約.5g/cm3、約0.5g/cm3~約1g/cm3、約0.5g/cm3~約1.5g/cm3、約1g/cm3~約1.5g/cm3、約1g/cm3~約2g/cm3、または約1g/cm3~約5g/cm3の密度を有する。一部の実施形態では、ビーズは、約0.5g/cm3、約0.5g/cm3、約0.6g/cm3、約0.7g/cm3、約0.8g/cm3、約0.9g/cm3、約1.0g/cm3、約1.1g/cm3、約1.2g/cm3、約1.3g/cm3、約1.4g/cm3、約1.5g/cm3、約1.6g/cm3、約1.7g/cm3、約1.8g/cm3、約1.9g/cm3、または約2.0g/cm3の密度を有する。ある特定の実施形態では、ビーズは、約1.6g/cm3の密度を有する。特定の実施形態では、ビーズまたは粒子は、約1.5g/cm3の密度を有する。ある特定の実施形態では、粒子は、約1.3g/cm3の密度を有する。
【0295】
ある特定の実施形態では、複数のビーズが、一様な密度を有する。ある特定の実施形態では、一様な密度は、平均ビーズ密度の10%未満、5%未満、または1%未満の密度標準偏差を含む。
【0296】
一部の実施形態では、ビーズは、粒子1グラム当たり約0.001m2(m2/g)~約1,000m2/g、約.010m2/g~約100m2/g、約0.1m2/g~約10m2/g、約0.1m2/g~約1m2/g、約1m2/g~約10m2/g、約10m2/g~約100m2/g、約0.5m2/g~約20m2/g、約0.5m2/g~約5m2/g、または約1m2/g~約4m2/gの表面積を有する。一部の実施形態では、粒子またはビーズは、約1m2/g~約4m2/gの表面積を有する。
【0297】
一部の実施形態では、ビーズは、ビーズの表面またはその近傍に、作用物質にカップリング、連結、またはコンジュゲートすることができる少なくとも1つの材料を含む。一部の実施形態では、ビーズは、表面官能化されている、すなわち、結合分子、たとえば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと共有結合を形成することができる官能基を含む。特定の実施形態では、ビーズは、表面に露出したカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、トシル基、エポキシ基、および/またはクロロメチル基を含む。特定の実施形態では、ビーズは、表面に露出したアガロースおよび/またはセファロースを含む。ある特定の実施形態では、ビーズの表面は、結合分子に結合または付着することができる結合型刺激性試薬を含む。特定の実施形態では、生体分子は、ポリペプチドである。一部の実施形態では、ビーズは、表面に露出したプロテインA、プロテインG、またはビオチンを含む。
【0298】
一部の実施形態では、ビーズは、磁場で反応する。一部の実施形態では、ビーズは、磁性ビーズである。一部の実施形態では、磁性ビーズは、常磁性である。特定の実施形態では、磁性ビーズは、超常磁性である。ある特定の実施形態では、ビーズは、磁場に曝露されない限り、いずれの磁気特性も示さない。
【0299】
特定の実施形態では、ビーズは、磁性コア、常磁性コア、または超常磁性コアを含む。一部の実施形態では、磁性コアは、金属を含有する。一部の実施形態では、金属は、鉄、ニッケル、銅、コバルト、ガドリニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、ジルコニウム、またはこれらの任意の組合せであり得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、磁性コアは、金属酸化物(たとえば、酸化鉄)、フェライト(たとえば、マンガンフェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライトなど)、ヘマタイト、ならびに金属合金(たとえば、CoTaZn)を含む。一部の実施形態では、磁性コアは、フェライト、金属、金属合金、酸化鉄、または二酸化クロムのうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、磁性コアは、元素鉄またはその化合物を含む。一部の実施形態では、磁性コアは、マグネタイト(Fe3O4)、マグへマイト(γFe2O3)、またはグレイジャイト(Fe3S4)のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、内部コアは、酸化鉄(たとえば、Fe3O4)を含む。
【0300】
ある特定の実施形態では、ビーズは、表面官能化コート(coat)またはコーティング(coating)によって被覆された磁性コア、常磁性コア、および/または超常磁性コアを含有する。一部の実施形態では、コートは、ポリマー、多糖類、シリカ、脂肪酸、タンパク質、炭素、アガロース、セファロース、またはこれらの組合せが含まれ得るがこれらに限定されない材料を含有し得る。一部の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリグルタルアルデヒド、ポリウレタン、ポリスチレン、またはポリビニルアルコールであり得る。ある特定の実施形態では、外側のコートまたはコーティングは、ポリスチレンを含む。特定の実施形態では、外側のコーティングは、表面官能化されている。
【0301】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、金属酸化物コア(たとえば、酸化鉄コア)およびコートを含有するビーズを含み、ここで、金属酸化物コアは、少なくとも1つの多糖類(たとえば、デキストラン)を含み、コートは、少なくとも1つの多糖類(たとえば、アミノデキストラン)、少なくとも1つのポリマー(たとえば、ポリウレタン)、およびシリカを含む。一部の実施形態では、金属酸化物コアは、コロイド状酸化鉄コアである。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。特定の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含む。一部の実施形態では、刺激性試薬は、抗CD3抗体、抗CD28抗体、および抗ビオチン抗体を含む。一部の実施形態では、刺激性試薬は、抗ビオチン抗体を含む。一部の実施形態では、ビーズは、約3μm~約10μmの直径を有する。一部の実施形態では、ビーズは、約3μm~約5μmの直径を有する。ある特定の実施形態では、ビーズは、約3.5μmの直径を有する。
【0302】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、金属酸化物コア(たとえば、酸化鉄内部コア)およびコート(たとえば、保護コート)を含むビーズに結合した、1つまたは複数の作用物質を含み、ここで、コートは、ポリスチレンを含む。ある特定の実施形態では、ビーズは、常磁性(たとえば、超常磁性)鉄コア、たとえば、マグネタイト(Fe3O4)および/またはマグへマイト(γFe2O3)cを含むコア、ならびにポリスチレンコートまたはコーティングを含む、単分散性の常磁性(たとえば、超常磁性)ビーズである。一部の実施形態では、ビーズは、非多孔性である。一部の実施形態では、ビーズは、1つまたは複数の作用物質が付着する、官能化された表面を含む。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、表面で、ビーズに共有結合する。一部の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体、ならびに標識された抗体(たとえば、ビオチン化抗体)、たとえば、標識された抗CD3抗体または抗CD28抗体に結合することができる抗体またはその抗原断片を含む。ある特定の実施形態では、ビーズは、約1.5g/cm3の密度および約1m2/g~約4m2/gの表面積を有する。特定の実施形態では、ビーズは、約4.5μmの直径および約1.5g/cm3の密度を有する、単分散性の超常磁性ビーズである。一部の実施形態では、ビーズは、約2.8μmの平均直径および約1.3g/cm3の密度を有する、単分散性の超常磁性ビーズである。
【0303】
一部の実施形態では、濃縮されたT細胞の組成物は、ビーズの細胞に対する比が以下の比またはおよそ以下の比で、刺激性試薬とともにインキュベートされる:3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1.25:1、1.2:1、1.1:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.75:1、0.67:1、0.5:1、0.3:1、または0.2:1。特定の実施形態では、ビーズの細胞に対する比は、2.5:1~0.2:1、2:1~0.5:1、1.5:1~0.75:1、1.25:1~0.8:1、1.1:1~0.9:1である。特定の実施形態では、刺激性試薬の細胞に対する比は、約1:1であるか、または1:1である。
【0304】
細胞からの刺激性試薬の除去
【0305】
ある特定の実施形態では、刺激性試薬は、細胞から除去および/または分離される。理論に束縛されることを望むものではないが、特定の実施形態では、刺激性試薬と細胞との間の結合および/または会合が、一部の状況では、インキュベーションの間に、経時的に低減され得ることが企図される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の作用物質が、刺激性試薬と細胞との間の結合および/または会合を低減するために、添加され得る。特定の実施形態では、細胞培養条件、たとえば、媒体の温度またはpHの変化により、刺激性試薬と細胞との間の結合および/または会合が低減され得る。したがって、一部の実施形態では、刺激性試薬は、同様に、たとえば、インキュベーション、細胞培養システム、および/または溶液から細胞を取り出すことなしに、細胞とは別個に、インキュベーション、細胞培養システム、および/または溶液から除去することができる。
【0306】
刺激性試薬(たとえば、ビーズ粒子または磁化可能粒子などの粒子であるか、またはそれを含む、刺激性試薬)を細胞から除去するための方法は、公知である。一部の実施形態では、たとえば、刺激性試薬の一次抗体に結合し、細胞上のその抗原に対するそれの親和性を改変させ、それによって、緩徐な脱離を可能にする、競合抗体、たとえば、非標識抗体の使用が、使用され得る。一部の事例では、脱離後に、競合抗体は、粒子(たとえば、ビーズ粒子)と会合したままであり得るが、未反応の抗体は、洗い流すかまたは洗い流してもよく、細胞は、単離、選択、濃縮、および/または活性化抗体が含まれない。例示的なそのような試薬は、DETACaBEADである(Friedlら、1995年;Entschladenら、1997年)。一部の実施形態では、粒子(たとえば、ビーズ粒子)は、切断可能なリンカー(たとえば、DNAリンカー)の存在下において除去することができ、それによって、粒子が結合した抗体が、リンカーにコンジュゲートされる(たとえば、CELLection、Dynal)。一部の事例では、リンカー領域は、単離後に、たとえば、DNaseまたは他の剥離緩衝剤の添加によって、粒子(たとえば、ビーズ粒子)を細胞から除去するための切断可能な部位を提供する。一部の実施形態では、他の酵素的方法もまた、細胞からの粒子(たとえば、ビーズ粒子)の剥離に利用することができる。一部の実施形態では、粒子(たとえば、ビーズ粒子または磁化可能粒子)は、生体分解性である。
【0307】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、磁性、常磁性、および/もしくは超常磁性である、かつ/または磁性、常磁性、および/もしくは超常磁性であるビーズを含み、刺激性試薬は、細胞を磁場に曝露することによって、細胞から除去することができる。磁場を生成するための磁石を含む好適な機器の例としては、DynaMag CTS(Thermo Fisher)、Magnetic Separator(Takara)、およびEasySepMagnet(Stem Cell Technologies)が挙げられる。
【0308】
特定の実施形態では、刺激性試薬は、本明細書に提供される方法によって産生される操作細胞を採取、収集、および/または製剤化する前に、細胞から除去または分離される。一部の実施形態では、刺激性試薬は、細胞に操作、たとえば、形質導入またはトランスフェクトを行う前に、細胞から除去および/または分離される。特定の実施形態では、刺激性試薬は、細胞を操作するステップの後に、細胞から除去および/または分離される。ある特定の実施形態では、刺激性試薬は、細胞の培養の前、たとえば、増殖および/または増大を促進する条件下における、操作、たとえば、トランスフェクトまたは形質導入を行った細胞の培養の前に、除去される。
【実施例】
【0309】
目的の細胞集団の選択または単離の前に、アフェレーシスを極低温保存することの効果を評価するために、アフェレーシス試料を、操作T細胞を産生するように設計されたプロセスの様々なステップから、取得した。試料を、様々な時点で、細胞生存性、細胞数収率、細胞表現型、および細胞活性に関して、評価した。これらの研究は、アフェレーシス材料の極低温保存が、(1)関連するCD4+T細胞およびCD8+T細胞の集団の表現型比率に影響を及ぼしたかどうか、(2)解凍後の関連するT細胞集団を分類および選択する能力に影響を及ぼしたかどうか、ならびに/または(3)細胞の健康状態および/もしくは機能性に影響を及ぼしたかどうかを判定するように、設計した。
【0310】
以下の例では、アフェレーシスは、ドナーから収集されたアフェレーシスを指す。極低温保存したアフェレーシスは、収集後ではあるが、試料内の目的の任意の細胞集団の選択の前に、アフェレーシス試料の極低温保存により得られた細胞産物を指す。静置したアフェレーシスは、極低温保存したアフェレーシスを解凍した後に、任意のさらなる処理ステップの前に所定の時間静置させたステップにより得られた細胞産物を指す。極低温保存し選択した材料は、目的の細胞(これらの例では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞)を単離した後に、それらに、単離後の極低温保存ステップを受けさせたステップにより得られた細胞産物を指す。
【0311】
(実施例1)
抗CD19 CARを発現するCD4+細胞およびCD8+細胞の治療用組成物を生成するためのプロセス
【0312】
それぞれ、同じ抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作CD4+T細胞および操作CD8+T細胞を、本明細書に概説されるようなプロセスによって、産生させた。以下の実施例2に記載されるように、細胞は、CD4+細胞およびCD8+細胞の別個の組成物を、ヒト白血球アフェレーシス試料から単離したPBMCから選択し、極低温凍結させるプロセスによって、産生させた。選択したCD4+組成物およびCD8+組成物を、続いて、解凍させ、別個に、刺激、形質導入、および増大のステップを受けさせた。第2の例示的なプロセスには、選択ステップの前に、追加の極低温保存ステップが含まれた。
【0313】
単離したCD4+細胞およびCD8+細胞を、別個に、ビーズの細胞に対する比が1:1で、抗CD3抗体および抗CD28抗体が結合した常磁性ポリスチレンコーティングビーズの存在下において、刺激した。細胞を、IL-2、IL-15、およびN-アセチルシステイン(NAC)を含有する媒体において、刺激した。CD4+細胞の媒体は、IL-7もまた含んでいた。
【0314】
ビーズの導入の後に、CD4+細胞およびCD8+細胞に、同じ抗CD19 CARをコードするレンチウイルスベクターを別個に形質導入した。CARは、マウス抗体に由来する抗CD19 scFv、免疫グロブリンスペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激性領域、およびCD3-ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含んでいた。
【0315】
形質導入の後に、ビーズを、磁場への曝露によって、細胞組成物から除去した。CD4+細胞およびCD8+細胞を、次いで、バイオリアクター(Xuri W25 Bioreactor)による継続的な混合および酸素移動を伴う増大のために、別個に培養した。ポロキサマーを、媒体に添加した。いずれの細胞組成物も、IL-2およびIL-15の存在下において培養した。CD4+細胞の媒体は、IL-7もまた含んでいた。CD4+細胞およびCD8+細胞は、それぞれ、採取の前に、所望される細胞数および/または濃度まで、培養した。閾値に達した1日後に、それぞれの組成物から細胞を別個に採取し、製剤化し、極低温凍結させた。
【0316】
段階的な凍結プロファイルを利用する制御された速度の凍結装置を、以下の実施例に記載される極低温保存ステップに使用した。
【0317】
(実施例2)
研究の設計
【0318】
2人の健常なドナー(すなわち、ドナー1およびドナー2)を、この研究に使用し、初回入手アフェレーシス(APH)材料を、それぞれのドナーについて、5つの異なるアームに分割した。入手アフェレーシス量の5分の1(対照アームまたはアーム5および10)を、洗浄し、単離ステップに供して、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を単離し、この時点で、選択した細胞を、2週間極低温保存した。それぞれのドナーに由来する残りのアフェレーシスを、4つの試料に分割した後、極低温保存した(アーム1~4およびアーム6~9)。それぞれの極低温保存した試料を、解凍し、洗浄し、37℃で2時間静置した後に選択したか、または解凍および洗浄の直後に選択ステップに供したかのいずれかであった。アームの半数は、選択後に凍結させ、もう半数は、直接、活性化へと進めた。
【0319】
アーム1、2、6、および7の試料は、2週間極低温保存した後に、細胞を解凍してCD4+T細胞およびCD8+T細胞の集団の単離を行い、細胞活性化方法に供した。アーム1および6には、追加のステップである、解凍した後に細胞を、任意のさらなる処理の前にインキュベーターにおいて2時間静置させる静置ステップが、含まれた。アーム3、4、8、および9の試料は、2~4日間極低温保存した後に、解凍してCD4+T細胞およびCD8+T細胞の集団の選択を受けさせ、その時点で、選択した集団を、1週間極低温保存した後に、細胞を解凍し、続いて、刺激に供した。アーム3および8には、追加のステップである解凍した後に細胞を、任意のさらなる処理の前にインキュベーターにおいて2時間静置させる静置ステップが、含まれた。
【0320】
細胞に、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を単離する選択ステップを含む様々な処理ステップを行った。この選択ステップにおいて、それぞれのアームを、部分アーム(すなわち、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の部分アーム)に分割し、この時点で、選択した細胞を、残りの処理ステップへと進めた。表1は、それぞれのアームが受けた極低温保存ステップを含む研究設計を示す。
【0321】
【0322】
(実施例3)
アフェレーシス材料の極低温保存は、細胞の表現型に、意味がある影響を及ぼさない
【0323】
凍結が異なる表現型の細胞の分布に対して与える影響を評価するために、アフェレーシス試料の極低温保存前および極低温保存後に、フロー分析を行った。T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、単球、樹状細胞、およびメモリーT細胞の表現型の分布を評価するために、特注のフローパネルを開発した。結果により、異なる表現型の細胞の分布は、極低温保存前の試料と極低温保存後の試料で、同等であったことが示唆される。
【0324】
極低温保存したアフェレーシス試料および新しいアフェレーシス試料の両方を、フローサイトメトリーを使用して、細胞表面上のCD4分子およびCD8分子の存在について、分析した。このアッセイの結果は、表面のCD4分子およびCD8分子のレベルが、極低温保存によって影響を受けないことを示した。また、これらの結果により、アフェレーシスの極低温保存は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の割合が、両方のドナーについて、極低温凍結前および極低温凍結後で、同程度であったため、試料中のこれらの細胞の相対的な比率に影響を及ぼさなかったことが示唆される。
【0325】
(実施例4)
CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の集団の単離に対する極低温保存の影響
【0326】
さらに、アフェレーシスを極低温保存することが、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の処理に影響を及ぼすかどうかを評価するために、生存性アッセイを、目的の細胞の選択に至る様々なステップにおいて、行った。細胞生存性を、極低温保存後の静置期間なしで選択ステップの前に極低温保存に供した細胞(アーム2、4、7、および9)、極低温保存後の静置期間ありで選択ステップの前に極低温保存に供した細胞(アーム1、3、6、および8)、ならびに単離ステップの後に極低温保存に供した細胞(アーム5および10、または対照アーム)について、プロセスの様々なステップにおいて、評価した。具体的には、アフェレーシスを収集した後、アフェレーシスを極低温保存用に製剤化した後、アフェレーシスを所定の期間極低温保存し、解凍および希釈を行った後、解凍し希釈したアフェレーシスを洗浄した後、洗浄したアフェレーシスをインキュベーターにおいて2時間静置させた後、抗体をコーティングしたビーズを試料に添加した後、ならびにCD8+T細胞および/またはCD4+T細胞を単離した後に、生存性を評価した。すべてのアームにわたる細胞生存性の値は、それぞれの処理ステップにおいて、対照アームの細胞生存性の値と同程度であった。
【0327】
全有核細胞数(TNC)もまた、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の単離に至る様々なステップの間に、すべての試料について、判定した。細胞喪失は、大部分が、製剤化ステップ中に生じることが見出された。単離後の細胞数の値を、単離前の細胞数の値に対して正規化することによって得られた細胞収率比は、極低温保存したアフェレーシス試料における細胞喪失は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の集団の単離前に生じていたこと、ならびに単離プロセス内でのステップごとの細胞収率は、影響を受けなかったことを示した。しかしながら、この実験において、選択した細胞に対応する最終的なTNCの値は、それぞれのドナーについて、それぞれの細胞型の、一部の極低温保存したアフェレーシスのアームと対照アームとの間で、おそらくは単離前に生じる細胞喪失に起因して、わずかに異なることが見出された。しかしながら、1人のドナーのCD4+T細胞の収率は、極低温保存したアフェレーシスと対照アームとの間で、同程度であることが見出された。
【0328】
(実施例5)
単離ステップおよび凍結ステップの後の細胞の表現型および生存性の評価
【0329】
単離ステップの後に、極低温保存ステップを要した細胞(アーム3、4、5、8、9、および10)を、極低温保存し、次いで、さらなる分析のために解凍した。アーム3、4、8、および9の細胞は、1.5~2週間、極低温で保管した後、さらなる分析および処理のために解凍した。アーム5および10(または対照アーム)の細胞は、2週間、極低温で保管した後、さらなる分析および処理のために解凍した。この時点で、それぞれのドナーのすべてのアームから得られたすべての単離T細胞集団について、任意の細胞活性化ステップの前に、アッセイを行った。TMEMアッセイにより、それぞれのドナーの異なるアームから選択した細胞集団にわたって、様々なT細胞マーカーの存在を評価した。細胞表現型分布(選択したマーカーの検出に基づく)は、それぞれのドナーについて、それぞれの細胞型の、極低温保存したアフェレーシスのアームと対照のアームとの間で、大きな差はなかった。単離後の凍結ステップを受けなかったアームの細胞は、ナイーブ様細胞(CD45RA+/CCR7+、CD27+/CD28+)への傾向が強く、最終エフェクター細胞(CD45RA+、CCR7-)は少なかった。CD62Lは、単離後の凍結ステップに供した試料では、わずかに低減された。
【0330】
細胞生存性を、細胞活性化の前に、それぞれのドナーに由来するそれぞれの細胞型のすべてのアームについて評価した。細胞生存性は、それぞれのドナーに由来するそれぞれの細胞型の、極低温保存したアフェレーシスのアームと対照アームとの間で、大きな差はなかった。加えて、単離後の凍結ステップの作用を評価するために、単離後の凍結ステップの後に得られた細胞数を、単離直後、凍結前に得られた細胞数に対して正規化することによって、細胞収率比を得た。細胞収率比は、極低温保存したアフェレーシスのアームと、対照アームとの間で、同様であった。
【0331】
カスパーゼ3のレベルは、アーム全体で、低いことが見出された(5%未満または約5%)。
【0332】
(実施例6)
活性化、形質導入、および増大の間の細胞生存性および細胞収率の評価
【0333】
既に考察したように、単離ステップの後に、単離後の凍結ステップを受ける必要のある研究アームは、所定の時間、極低温で保管した後に、解凍し、続けて活性化、形質導入、および増大のステップを行った。細胞生存性およびTNCの値は、極低温保存した材料を解凍した後、解凍した材料を、抗CD3抗体および抗CD28抗体が結合した常磁性ポリスチレンコーティングビーズの存在下において刺激した後、活性化した細胞が形質導入を受けた後、ビーズを細胞から除去した後、ならびに細胞を2または3日間増大させた後に、判定した。細胞生存性は、それぞれのドナーについて、それぞれの細胞型の、極低温保存したアフェレーシスのアームと対照アームとの間で、同程度であることが見出された。刺激ステップにおいて、極低温保存したアフェレーシスのアームの細胞生存性の値は、対応する対照アームの値と比較して、20%未満の差を示した。このパーセント差は、すべての他のステップでは、10%よりも低かった。加えて、これらのステップのそれぞれにおいて得られたTNCの値は、極低温保存したアフェレーシスのアームと、それらの対応する対照アームとの間で、同等であった。さらに、それぞれのステップにおいて計算した増大倍数もまた、極低温保存したアフェレーシスのアームと、それらの対応する対照アームとの間で、同等であることが見出された。
【0334】
これらの結果により、この実験において、静置も単離直後のさらなる極低温保存ステップもなしの極低温保存したアフェレーシス試料、および静置ステップはあるが、単離直後のさらなる極低温保存ステップはなしの極低温保存したアフェレーシス試料が、それらの対応する対照アームと比較して、類似かまたは高い最終細胞収率を有することが示された。
【0335】
(実施例7)
極低温保存した組成物の製剤化の間の細胞生存性、細胞収率、および細胞活性の評価
【0336】
増大ステップの後に得られたそれぞれのアームからの細胞を、極低温保存媒体において製剤化し、凍結させた。試料を、次いで、さらなる分析のために解凍した。細胞生存性および細胞収率の値を、このステップの時点で、研究のすべてのアームにおける細胞について、判定した。平均の生存性および細胞数収率は、このステップの時点で、極低温保存したアフェレーシスのアームと、それらの対応する対照アームとの間で、同等であった。
【0337】
さらに、すべてのアームについて、細胞表現型分布を評価するために、アッセイを行った。細胞表現型は、極低温保存したアフェレーシスのアームと、それらの対応する対照アームとの間で、統計学的に同等であることが見出された。単離後の凍結ステップを受けなかったアームは、CD45RA+/CCR7+細胞およびCD27+/CD28+細胞をより高い割合で含み、CD45RA+細胞、CCR7-細胞は少ない傾向にあった。加えて、この実験において、カスパーゼ3のレベルは、CD8+T細胞のアームでは、CD4+T細胞のアームと比較して、わずかに高いことが見出され、単離後の凍結ステップを含んでいたアームは、このステップを含んでいなかったアームよりも高いカスパーゼレベルを示した。
【0338】
インターフェロンガンマ(IFNγ)分泌を使用して、処理後のT細胞機能性を評価した。それぞれのアームからのT細胞を、IFNγを産生するように刺激した。刺激後に、上清を収集し、上清中に分泌されたIFNγを測定した。すべての実験条件について、値は、それらの対応する対照の値と一致しており、最終的な細胞産物の細胞活性が、初期の極低温保存ステップによって影響を受けなかったことが示された。
【0339】
さらに、産生されたCD8+T細胞の細胞溶解活性を評価するために、細胞溶解アッセイも行った。細胞溶解活性を、様々なエフェクター細胞:標的細胞の比で測定して、EC50(標的細胞の50%を殺滅するのに必要な比率)を判定した。極低温保存したアフェレーシスのアームの、それらの対応する対照アームと比較した、細胞溶解EC50の差異倍数は、2倍未満の差異であることが見出され、異なるアーム条件が、結果として得られる細胞の細胞溶解EC50に、意味がある変化を及ぼすことはなかったことが示唆された。
例示的な実施形態
【0340】
1.ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法であって、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断された後であり、かつドナーが以下の:疾患もしくは状態の任意の初回処置、疾患もしくは状態の処置のための任意の標的化処置もしくはそれを対象とする任意の処置、または放射線照射および/もしくは化学療法以外の任意の処置のうちの1つまたは複数を受ける前である時点、(ii)ドナーにおける、疾患もしくは状態の初回処置の後の疾患もしくは状態の1回目の再発の後であり、かつドナーが疾患もしくは状態の再発後の処置を受ける前である時点、あるいは(iii)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されていないか、または疾患もしくは状態を有することが判明していないか、または疾患もしくは状態を有することが疑われていない時点において、ドナーから得られている、方法。
【0341】
2.生物学的試料が、ドナーの血液試料であるか、またはそれに由来する、実施形態1に記載の方法。
【0342】
3.細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞集団および/またはT細胞集団および/またはT細胞サブセットの選択ステップに供されていない、および/またはそれが濃縮されていない、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
【0343】
4.細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞および/またはT細胞集団の選択ステップおよび/または濃縮に供されており、必要に応じて、前記極低温保管の前に、生物学的試料から細胞集団を選択または濃縮することをさらに含む、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
【0344】
5.選択ステップおよび/または濃縮が、免疫親和性に基づく選択を含む、および/または陽性選択もしくは陰性選択を含む、実施形態4に記載の方法。
【0345】
6.選択ステップおよび/または濃縮が、CD4+細胞もしくはそのサブセットおよび/またはCD8+細胞もしくはそのサブセットの濃縮および/または単離を含み、CD4+細胞またはそのサブセットの濃縮または単離が、CD8+細胞またはそのサブセットの選択および/または単離とは別個にまたはそれと組み合わせてのいずれかで行われ、必要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、実施形態2~5のいずれかに記載の方法。
【0346】
7.細胞が、T細胞を含むか、またはT細胞が濃縮されている、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0347】
8.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそのサブセット、またはこれらの混合物を含むか、またはそれらが濃縮されており、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、実施形態7に記載の方法。
【0348】
9.細胞を極低温で保管する前に、細胞を、0℃よりも低いかまたは0℃に等しい温度に冷却することをさらに含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0349】
10.細胞を保管する前および/または冷却する前に、細胞を、凍結溶液と合わせることをさらに含む、実施形態8に記載の方法。
【0350】
11.凍結溶液が、約10%のジメチルスルホキシド(DMSO)および血清タンパク質、必要に応じて、ヒト血清アルブミン、必要に応じて、約4%のヒト血清アルブミンを含む、ならびに/または凍結溶液、および/もしくは細胞が極低温保存および保管される最終濃度の組成物が、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、もしくは約6体積%~約9体積%のDMSOを含む、および/または約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5体積%、もしくは約10体積%のDMSOを含む、実施形態10に記載の方法。
【0351】
12.細胞を冷却することが、1分間につき1℃または約1℃の速度で、必要に応じて、温度が-80℃または約-80℃に達するまで、温度を低下させることを含む、実施形態9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0352】
13.細胞が、液体窒素の気相に入れた容器において極低温で保管され、容器が、必要に応じて、極低温保存に好適なバッグまたはバイアルである、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0353】
14.細胞が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、極低温で保管される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0354】
15.細胞が、ある期間保管され、期間の後、組成物中の生存細胞もしくは生存T細胞またはそれらのサブタイプもしくはサブセットの割合が、約24%~約100%であるか、または少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、もしくは90%である、実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
【0355】
16.疾患が、がん、炎症性疾患もしくは状態、自己免疫性疾患もしくは状態、または感染性疾患もしくは状態である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0356】
17.がんが、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、前リンパ球性白血病、有毛細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、null型急性リンパ芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、または急性骨髄性白血病である、実施形態16に記載の方法。
【0357】
18.がんが、ROR1、EGFR、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、MUC1、MUC16、B細胞成熟抗原(BCMA)、FCRL5/FCRH5、GPRC5D、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、およびサイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)のうちの少なくとも1つを発現する細胞を含む、実施形態16または17に記載の方法。
【0358】
19.初回処置または後続の処置が、化学療法、放射線照射、および/もしくは外科手術である、ならびに/またはデバルキング処置である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0359】
20.初回処置または後続の処置が、化学療法の組合せであるか、またはそれを含む、実施形態19に記載の方法。
【0360】
21.ドナーが、ヒトである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0361】
22.極低温保管の前に、細胞を、必要に応じて、1つまたは複数の表現型マーカーについて、細胞の表面発現を評価することによって、分析することをさらに含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0362】
23.極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0363】
24.細胞の活性を増加させるために、極低温後修飾を行うことをさらに含む、実施形態23に記載の方法。
【0364】
25.極低温後修飾が、極低温保管の前に細胞を分析することに基づく、実施形態24に記載の方法。
【0365】
26.細胞の極低温保管および/または解凍の後に、組換えまたは外因性分子を発現するように細胞を操作することをさらに含み、これが、必要に応じて、組換えタンパク質、必要に応じて、組換え受容体であり、これが、必要に応じて、T細胞受容体(TCR)、キメラ受容体、および/またはキメラ抗原受容体であるか、またはそれらを含む、実施形態23~25のいずれかに記載の方法。
【0366】
27.組換え分子が、疾患または状態によって発現されるか、それらによって特異的に発現されるか、またはそれらと関連する抗原を特異的に認識するか、またはそれに特異的に結合する組換え受容体である、実施形態26に記載の方法。
【0367】
28.ドナーから収集されたとき、および/またはアフェレーシス試料中の合計の、細胞の数が、以下の数もしくはおよそ以下の数であるか、または以下の数もしくはおよそ以下の数を上回らない、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法:500×106個、1000×106個、2000×106個、3000×106個、4000×106個、もしくは5000×106個、またはそれよりも多くの合計細胞もしくは合計有核細胞。
【0368】
29.アフェレーシス試料を処理するための方法であって、(a)ドナーから得られたアフェレーシス試料を、低温環境で、保管施設に輸送すること、および(b)必要に応じて保管施設において、アフェレーシス試料を極低温で保管することを含む、方法。
【0369】
30.試料を輸送する前および/または試料を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料からT細胞を濃縮することをさらに含む、実施形態29に記載の方法。
【0370】
31.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそのサブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが濃縮されており、必要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、ならびに/または試料が、バルクT細胞が濃縮されている、実施形態30に記載の方法。
【0371】
32.輸送する前に、アフェレーシス試料を分析することをさらに含む、実施形態29~31のいずれか1つに記載の方法。
【0372】
33.輸送する前に、アフェレーシス試料に凍結溶液を添加することをさらに含む、実施形態29~32のいずれか1つに記載の方法。
【0373】
34.輸送する前に、アフェレーシス試料に凍結溶液を添加することをさらに含み、凍結溶液が、輸送する前にアフェレーシス試料を分析することに基づいて選択される、実施形態32に記載の方法。
【0374】
35.輸送する前に、アフェレーシス試料を極低温で凍結させることをさらに含む、実施形態29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0375】
36.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料からT細胞を濃縮することをさらに含む、実施形態35に記載の方法。
【0376】
37.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそのサブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが濃縮されており、必要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、ならびに/またはバルクT細胞を含む、実施形態36に記載の方法。
【0377】
38.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料またはT細胞を分析することをさらに含む、実施形態36~37のいずれか1つに記載の方法。
【0378】
39.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料またはT細胞に、凍結溶液を添加することをさらに含む、実施形態36~38のいずれか1つに記載の方法。
【0379】
40.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料またはT細胞に、凍結溶液を添加することをさらに含み、凍結溶液が、必要に応じて、輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料またはT細胞を分析することに基づいて選択される、実施形態38に記載の方法。
【0380】
41.極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、実施形態29~40のいずれか1つに記載の方法。
【0381】
42.解凍の後に、細胞を分析することをさらに含む、実施形態41に記載の方法。
【0382】
43.解凍の後の分析に基づいて、細胞のさらなる修飾のための条件を選択することをさらに含む、実施形態42に記載の方法。
【0383】
44.処置の方法であって、必要に応じて対象に由来するT細胞を含む、極低温で凍結された細胞の試料を得て、必要に応じて解凍することであって、前記得ることの前に、細胞が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年間の期間、極低温で凍結されていることと、組換え抗原受容体を発現するように、細胞を修飾することと、細胞を対象に投与することとを含む、方法。
【0384】
45.試料が、実施形態1~43のいずれかに記載の方法に従って凍結および/または保管されている、実施形態44に記載の方法。
さらなる例示的な実施形態I
【0385】
1.操作細胞の組成物を産生するための方法であって、(a)(i)TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激性分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激性試薬、ならびに(ii)1つまたは複数のサイトカインの存在を含む刺激条件下において、CD4+初代ヒトT細胞が濃縮されたT細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生成することと、(b)組換え受容体を、刺激された組成物に導入し、それによって、操作T細胞を含む、操作組成物を生成することとを含み、インプット組成物が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年間の期間、極低温で保管されている試料であるか、またはそれに由来する、方法。
【0386】
2.刺激性試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合し、必要に応じてCD3に特異的に結合する一次作用物質を含む、実施形態1に記載の方法。
【0387】
3.刺激性試薬が、T細胞共刺激性分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含み、必要に応じて、共刺激性分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSから選択される、実施形態2に記載の方法。
【0388】
4.一次および/または二次作用物質が、抗体を含み、必要に応じて、刺激性試薬が、抗CD3抗体および抗CD28抗体またはそれらの抗原結合性断片とのインキュベーションを含む、実施形態2または実施形態3に記載の方法。
【0389】
5.一次作用物質および/または二次作用物質が、固体支持体の表面上に存在する、実施形態2~4のいずれか1つに記載の方法。
【0390】
6.固体支持体が、ビーズであるか、またはビーズを含む、実施形態5に記載の方法。
【0391】
7.ビーズが、3.5μmを上回るかまたは約3.5μmを上回るが、約9μmを上回らない、または約8μmを上回らない、または約7μmを上回らない、または約6μmを上回らない、または約5μmを上回らない直径を含む、実施形態6に記載の方法。
【0392】
8.ビーズが、4.5μmまたは約4.5μmの直径を含む、実施形態6または実施形態7に記載の方法。
【0393】
9.ビーズが、不活性である、実施形態6~8のいずれか1つに記載の方法。
【0394】
10.ビーズが、ポリスチレン表面であるか、またはそれを含む、実施形態6~9のいずれか1つに記載の方法。
【0395】
11.ビーズが、磁性または超常磁性である、実施形態6~10のいずれか1つに記載の方法。
【0396】
12.ビーズの細胞に対する比が、3未満:1である、実施形態6~11のいずれか1つに記載の方法。
【0397】
13.ビーズの細胞に対する比が、2:1または約2:1~0.5:1である、実施形態6~12のいずれか1つに記載の方法。
【0398】
14.ビーズの細胞に対する比が、1:1または約1:1である、実施形態6~13のいずれか1つに記載の方法。
【0399】
15.導入することが、刺激された組成物の細胞に、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入することを含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0400】
16.ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態15に記載の方法。
【0401】
17.ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、実施形態15または実施形態16に記載の方法。
【0402】
18.導入することが、形質導入アジュバントの存在下において行われる、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0403】
19.導入することが、刺激された組成物の細胞に、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターをトランスフェクトすることを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0404】
20.ベクターが、トランスポゾン、必要に応じて、スリーピングビューティー(SB)トランスポゾンまたはピギーバックトランスポゾンである、実施形態19に記載の方法。
【0405】
21.操作細胞の増殖または増大を促進する条件下において、操作組成物を培養し、それによって、操作T細胞を含むアウトプット組成物を産生することをさらに含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0406】
22.刺激性試薬が、培養する前に、操作組成物から除去される、実施形態21に記載の方法。
【0407】
23.ビーズを除去することが、操作組成物の細胞を、磁場に曝露することを含む、実施形態22に記載の方法。
【0408】
24.培養することの少なくとも一部分が、継続的な混合および/または灌流によって行われる、実施形態21~23のいずれか1つに記載の方法。
【0409】
25.操作細胞組成物を産生する方法であって、(a)(i)TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激性分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激性試薬、ならびに(ii)1つまたは複数のサイトカインの存在を含む刺激条件下において、CD4+およびCD8+初代ヒトT細胞のうちの一方または両方が濃縮された、初代T細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生成することと、(b)組換え受容体を、刺激された組成物に導入し、それによって、操作T細胞を含む、操作組成物を生成することとを含み、インプット組成物が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年間の期間、極低温で保管されている試料であるか、またはそれに由来する、方法。
【0410】
26.刺激性試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合し、必要に応じてCD3に特異的に結合する一次作用物質を含む、実施形態24または実施形態35に記載の方法。
【0411】
27.刺激性試薬が、T細胞共刺激性分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含み、必要に応じて、共刺激性分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSから選択される、実施形態26に記載の方法。
【0412】
28.一次および/または二次作用物質が、抗体を含み、必要に応じて、刺激性試薬が、抗CD3抗体および抗CD28抗体またはそれらの抗原結合性断片とのインキュベーションを含む、実施形態26または実施形態27に記載の方法。
【0413】
29.一次作用物質および/または二次作用物質が、固体支持体の表面上に存在する、実施形態26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0414】
30.固体支持体が、ビーズであるか、またはビーズを含む、実施形態29に記載の方法。
【0415】
31.ビーズが、3.5μmを上回るかまたは約3.5μmを上回るが、約9μmを上回らない、または約8μmを上回らない、または約7μmを上回らない、または約6μmを上回らない、または約5μmを上回らない直径を含む、実施形態30に記載の方法。
【0416】
32.ビーズが、4.5μmまたは約4.5μmの直径を含む、実施形態30または実施形態31に記載の方法。
【0417】
33.ビーズが、不活性である、実施形態30~32のいずれか1つに記載の方法。
【0418】
34.ビーズが、ポリスチレン表面であるか、またはそれを含む、実施形態30~33のいずれか1つに記載の方法。
【0419】
35.ビーズが、磁性または超常磁性である、実施形態30~34のいずれか1つに記載の方法。
【0420】
36.ビーズの細胞に対する比が、3未満:1である、実施形態30~35のいずれか1つに記載の方法。
【0421】
37.ビーズの細胞に対する比が、2:1または約2:1~0.5:1である、実施形態30~36のいずれか1つに記載の方法。
【0422】
38.ビーズの細胞に対する比が、1:1または約1:1である、実施形態30~37のいずれか1つに記載の方法。
【0423】
39.導入することが、刺激された組成物の細胞に、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入することを含む、実施形態24~38のいずれか1つに記載の方法。
【0424】
40.ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態39に記載の方法。
【0425】
41.ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、実施形態39または実施形態40に記載の方法。
【0426】
42.導入することが、形質導入アジュバントの存在下において行われる、実施形態24~41のいずれか1つに記載の方法。
【0427】
43.導入することが、刺激された組成物の細胞に、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターをトランスフェクトすることを含む、実施形態24~38のいずれか1つに記載の方法。
【0428】
44.ベクターが、トランスポゾン、必要に応じて、スリーピングビューティー(SB)トランスポゾンまたはピギーバックトランスポゾンである、実施形態43に記載の方法。
【0429】
45.操作細胞組成物が、刺激性試薬を含まない、および/または刺激性試薬が、培養の前に組成物から実質的に除去されており、前記刺激性試薬が、TCR複合体の1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激性分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる試薬を含む、実施形態24または実施形態25に記載の方法。
【0430】
46.培養することが、少なくとも、アウトプット組成物が閾値数のT細胞を含むまで行われる、実施形態21~45のいずれか1つに記載の方法。
【0431】
47.培養することが、閾値数のT細胞が達成された後、少なくとも1日間、継続される、実施形態46に記載の方法。
【0432】
48.培養に続いて、アウトプット組成物の細胞を収集する、実施形態21~47のいずれか1つに記載の方法。
【0433】
49.アウトプット組成物の細胞を、極低温保存および/または対象への投与のために、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤の存在下において、製剤化することをさらに含む、実施形態21~48のいずれかに記載の方法。
【0434】
50.アウトプット組成物の細胞が、極低温保護剤の存在下において製剤化される、実施形態49に記載の方法。
【0435】
51.極低温保護剤が、DMSOを含む、実施形態50に記載の方法。
【0436】
52.アウトプット組成物の細胞が、容器、必要に応じてバイアルまたはバッグにおいて、製剤化される、実施形態49~51のいずれかに記載の方法。
【0437】
53.インキュベートする前に、生物学的試料からCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を単離することをさらに含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
【0438】
54.単離することが、CD4および/またはCD8の表面発現に基づいて、必要に応じて陽性選択または陰性選択によって、細胞を選択することを含む、実施形態53に記載の方法。
【0439】
55.単離することが、免疫親和性に基づく選択を実行することを含む、実施形態53または実施形態54に記載の方法。
【0440】
56.生物学的試料が、対象から得られた初代T細胞を含む、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0441】
57.対象が、ヒト対象である、実施形態56に記載の方法。
【0442】
58.生物学的試料が、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物、または白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれらを含む、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0443】
59.生物学的試料が、極低温保存されたアフェレーシス産物または極低温保存された白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれらを含む、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0444】
60.組換え受容体が、疾患、障害、または状態の細胞または組織と関連する、それに特異的である、および/またはそこに発現される標的抗原に結合することができる、実施形態1~59のいずれか1つに記載の方法。
【0445】
61.疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫性疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、実施形態60に記載の方法。
【0446】
62.標的抗原が、腫瘍抗原である、実施形態60または実施形態61に記載の方法。
【0447】
63.標的抗原が、5T4、8H9、avb6インテグリン、B7-H6、B細胞成熟抗原(BCMA)、CA9、がん-精巣抗原、炭酸脱水酵素9(CAIX)、CCL-1、CD19、CD20、CD22、CEA、B型肝炎表面抗原、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、癌胎児性抗原(CEA)、CE7、サイクリン、サイクリンA2、c-Met、二重抗原、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、エフリンB2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、エストロゲン受容体、胎児性AchR、葉酸受容体アルファ、葉酸結合性タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児性アセチルコリン受容体、G250/CAIX、GD2、GD3、gp100、Gタンパク質共役型受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、NCAM、NKG2D、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、O-アセチル化GD2(OGD2)、癌胎児性抗原、優先的に発現される黒色腫の抗原(PRAME)、PSCA、プロゲステロン受容体、サバイビン、ROR1、TAG72、tEGFR、VEGF受容体、VEGF-R2、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的抗原、およびユニバーサルタグと関連する抗原の中から選択される、実施形態60~62のいずれか1つに記載の方法。
【0448】
64.組換え受容体が、機能性非TCR抗原受容体、またはTCR、またはその抗原結合性断片であるか、またはそれらを含む、実施形態1~63のいずれか1つに記載の方法。
【0449】
65.組換え受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態1~64のいずれか1つに記載の方法。
【0450】
66.組換え受容体が、抗CD19 CARである、実施形態1~65のいずれか1つに記載の方法。
【0451】
67.キメラ抗原受容体が、抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含む、実施形態65に記載の方法。
【0452】
68.抗原結合性ドメインが、抗体またはその抗体断片であるか、またはそれを含み、断片が、必要に応じて、一本鎖断片である、実施形態67に記載の方法。
【0453】
69.断片が、可動性リンカーによって接合された抗体可変領域を含む、実施形態68に記載の方法。
【0454】
70.断片が、scFvを含む、実施形態68または実施形態69に記載の方法。
【0455】
71.キメラ抗原受容体が、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む、実施形態67~70のいずれか1つに記載の方法。
【0456】
72.キメラ抗原受容体が、細胞内シグナル伝達領域を含む、実施形態67~71のいずれかに記載の方法。
【0457】
73.細胞内シグナル伝達領域が、細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態72に記載の方法。
【0458】
74.細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、またはそれらを含む、実施形態73に記載の方法。
【0459】
75.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、必要に応じて、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖、またはそのシグナル伝達部分であるか、またはそれを含む、実施形態74に記載の方法。
【0460】
76.キメラ抗原受容体が、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置される、膜貫通ドメインをさらに含む、実施形態72~75のいずれか1つに記載の方法。
【0461】
77.細胞内シグナル伝達領域が、共刺激性シグナル伝達領域をさらに含む、実施形態72~76のいずれか1つに記載の方法。
【0462】
78.共刺激性シグナル伝達領域が、T細胞共刺激性分子の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む、実施形態77に記載の方法。
【0463】
79.共刺激性シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはこれらのシグナル伝達部分を含む、実施形態77または請求項78に記載の方法。
【0464】
80.共刺激性シグナル伝達領域が、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある、実施形態77~79のいずれか1つに記載の方法。
【0465】
81.閾値数またはそれを上回る数の細胞を含むアウトプット組成物が、方法の反復のうちの85%を上回るかもしくは約85%を上回る、90%を上回るかもしくは約90%を上回る、または95%を上回るかもしくは約95%を上回る割合において産生される、実施形態46~47のいずれか1つに記載の方法。
【0466】
82.実施形態1~79のいずれか1つに記載の方法によって産生される操作細胞を含む、組成物。
【0467】
83.薬学的に許容される担体をさらに含む、実施形態82に記載の組成物。
【0468】
84.極低温保護剤、必要に応じてDMSOを含む、実施形態82または実施形態83に記載の組成物。
【0469】
85.実施形態80~82のいずれかに記載の組成物と、アウトプット組成物を対象に投与するための説明書とを含む製品。
【0470】
86.対象が、疾患または状態を有し、必要に応じて、組換え受容体が、疾患もしくは状態と関連するか、または疾患もしくは状態の細胞上に発現もしくは存在する抗原を特異的に認識するか、またはそれに特異的に結合する、実施形態85に記載の製品。
【0471】
87.アウトプット組成物が、操作CD4+T細胞の組成物である、実施形態85または実施形態86に記載の製品。
【0472】
88.アウトプット組成物が、CD8+T細胞の操作組成物である、実施形態85または実施形態86に記載の製品。
【0473】
89.実施形態1~25または26~81のいずれか1つに記載の方法によって産生された、操作CD4+T細胞の組成物と、請求項2~23、25、または26~81のいずれかに記載の方法によって産生された、操作CD8+T細胞の組成物と、操作CD4+T細胞および操作CD8+T細胞を対象に投与するための説明書とを含む製品。
【0474】
90.説明書により、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を、別個に対象に投与することが指定される、実施形態89に記載の製品。
【0475】
91.説明書により、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を、所望される比で対象に投与することが指定される、実施形態89または実施形態90に記載の製品。
さらなる例示的な実施形態II
【0476】
1.生物学的試料を保管する方法であって、対象から生物学的試料を得ること、生物学的試料を2つまたはそれを上回る別個の容器に分割すること、生物学的試料を極低温保存すること、極低温保存した生物学的試料を保管することを含む、方法。
【0477】
2.対象が、ヒト対象である、実施形態1に記載の方法。
【0478】
3.生物学的試料が、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物である、実施形態1~2のいずれか1つに記載の方法。
【0479】
4.2つまたはそれを上回る別個の容器が、それぞれ、極低温バッグおよび/または極低温バイアルからなる群から選択される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0480】
5.2つまたはそれを上回る別個の容器が、固有の識別子をそこに含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0481】
6.固有の識別子が、文字情報、RFIDタグ、QRコード(登録商標)、および/またはバーコードのうちの任意の1つまたは複数を含む、実施形態5に記載の方法。
【0482】
7.固有の識別子情報が、以下のカテゴリー:対象の識別、試料保管の場所、保管および/または取扱いの説明、受領の日付、極低温保存の日付、消費期限、ならびに意図される使用のうちの任意の1つまたは複数に関する情報を含む、実施形態5~6のいずれか1つに記載の方法。
【0483】
8.生物学的試料が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、保管される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0484】
9.生物学的試料を保管する方法であって、(a)対象から生物学的試料を得ることと、(b)生物学的試料を、1つまたは複数の容器において極低温保存することと、(c)極低温保存した生物学的試料を、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、保管することとを含む、方法。
【0485】
10.対象が、ヒト対象である、実施形態9に記載の方法。
【0486】
11.生物学的試料が、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物である、実施形態9~10のいずれか1つに記載の方法。
【0487】
12.1つまたは複数の容器が、それぞれ、極低温バッグおよび/または極低温バイアルからなる群から選択される、実施形態9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0488】
13.1つまたは複数の別個の容器が、固有の識別子をそこに含む、実施形態9~12のいずれか1つに記載の方法。
【0489】
14.固有の識別子が、文字情報、RFIDタグ、QRコード(登録商標)、および/またはバーコードのうちの任意の1つまたは複数を含む、実施形態13に記載の方法。
【0490】
15.固有の識別子情報が、以下のカテゴリー:対象の識別、試料保管の場所、保管および/または取扱いの説明、受領の日付、極低温保存の日付、消費期限、ならびに意図される使用のうちの任意の1つまたは複数に関する情報を含む、実施形態13~14のいずれか1つに記載の方法。
【0491】
16.対象に対応する生物学的試料を得る方法であって、(a)試料を対象と関連付けている固有の識別子に基づいて、中央施設における極低温保存された試料の位置を特定することと、(b)極低温保存された試料を得ることとを含む、方法。
【0492】
17.生物学的試料が、遺伝子的に対象に適合する、対象の自家産物を産生するのに好適である、および/または対象の細胞を含んでいる、実施形態16に記載の方法。
さらなる例示的な実施形態III
【0493】
1.ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法であって、細胞が、ドナーが疾患または状態であると診断された後、またはそれを有するかもしくはそれを有する疑いがあるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の1つまたは複数の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られ、細胞が、試料および/またはチャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用して、制御された速度の凍結装置において、凍結される、方法。
【0494】
2.ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法であって、細胞が、ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされた後、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつドナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られている、方法。
【0495】
3.ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法であって、細胞が、ドナーが疾患もしくは状態であると診断されていないか、またはそれを有することが判明していないか、またはそれを有することが疑われていない時点で、ドナーから得られており、細胞が、試料および/またはチャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用して、制御された速度の凍結装置において、凍結される、方法。
【0496】
4.(a)ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、(b)極低温で凍結させた細胞を、ある期間保管することとを含む方法であって、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつドナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られるかまたは得られたものであり、保管の期間中に、ドナーが、疾患または状態の少なくとも1つの処置を受けるか、または受けた、方法。
【0497】
5.(a)ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、(b)極低温で凍結させた細胞を、ある期間保管することとを含む方法であって、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつドナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られるかまたは得られたものであり、細胞が、以下を上回るかもしくは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、もしくは40年間、またはドナーが細胞を必要とするまで、極低温で保管される、方法。
【0498】
6.(a)ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、(b)極低温で凍結させた細胞から生成された操作T細胞を含む、治療有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することとを含む方法であって、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつドナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られるかまたは得られたものであり、凍結と投与との間に、ドナーが、疾患または状態の少なくとも1つの処置を受けるか、または受けた、方法。
【0499】
7.(a)ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させ、それによって、極低温で凍結させた細胞組成物を生成することと、(b)極低温で凍結させた細胞組成物の細胞を操作して、操作T細胞を含む組成物を生成することとを含む方法であって、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつドナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られるかまたは得られたものであり、凍結と操作との間に、ドナーが、疾患または状態の少なくとも1つの処置を受けるか、または受けた、方法。
【0500】
8.治療有効量の操作T細胞を、それを必要とする対象に投与することを含む、処置の方法であって、細胞が、(i)対象が疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ対象が疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)対象が疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつ対象が疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、対象から得られるかまたは得られたものであり、細胞が、対象から得られるかもしくは得られた後、かつ操作T細胞の投与の前に、対象が、疾患または状態の少なくとも1つの処置を受けるか、または受けた、方法。
【0501】
9.操作細胞の組成物を産生するための方法であって、(a)極低温で保管した細胞を得て、必要に応じて解凍することと、(b)極低温で保管した細胞に、組換え受容体を導入し、それによって、操作T細胞を含む操作組成物を生成することとを含む方法であって、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつドナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから採取した後に、極低温で保管され、極低温保管の後および極低温で保管した細胞を得る前に、ドナーが、疾患または状態の少なくとも1つの処置を受けるか、または受けた、方法。
【0502】
10.生物学的試料が、アフェレーシス試料であるかまたはそれに由来し、必要に応じて白血球アフェレーシス試料であるかまたはそれに由来し、かつ/または試料が、白血球および/またはリンパ球を含有し、かつ/または試料中の細胞または血液細胞が、白血球から本質的になるか、または試料中の細胞のうちの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、または試料中の血液細胞のうちの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%が、白血球である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0503】
11.細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞集団および/またはT細胞集団および/またはT細胞サブセットの、免疫親和性に基づくおよび/または標的特異的な選択および/または濃縮のステップに供されていない、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0504】
12.細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞および/またはT細胞集団の、免疫親和性に基づくおよび/または標的特異的な選択および/または濃縮ステップに供されており、必要に応じて、前記極低温保管の前に、前記選択または濃縮を行うことをさらに含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0505】
13.選択ステップおよび/または濃縮が、免疫親和性に基づく選択を含む、および/または陽性選択もしくは陰性選択を含む、実施形態12に記載の方法。
【0506】
14.選択ステップおよび/または濃縮が、CD4+細胞もしくはそのサブセットおよび/またはCD8+細胞もしくはそのサブセットの濃縮および/または単離を含み、CD4+細胞またはそのサブセットの濃縮または単離が、CD8+細胞またはそのサブセットの選択および/または単離とは別個にまたはそれと組み合わせてのいずれかで行われ、必要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、実施形態12~13のいずれか1つに記載の方法。
【0507】
15.細胞が、T細胞を含むか、またはT細胞が濃縮されている、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0508】
16.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそのサブセット、またはこれらの混合物を含むか、またはそれらが濃縮されており、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、実施形態15に記載の方法。
【0509】
17.細胞を極低温で保管する前に、細胞を、極低温保存媒体と合わせることをさらに含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0510】
18.極低温保存媒体が、約10%のジメチルスルホキシド(DMSO)および血清タンパク質、必要に応じて、ヒト血清アルブミン、必要に応じて、約4%のヒト血清アルブミンを含む、ならびに/または凍結溶液および/もしくは最終濃度の生物学的試料が、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、もしくは約6体積%~約9体積%のDMSOを含む、および/もしくは約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%のDMSOを含む、実施形態17に記載の方法。
【0511】
19.極低温保管が、1分間につき1℃または約1℃の速度で、必要に応じて、温度が-80℃または約-80℃に達するまで、温度を低下させることを含む、実施形態2または4~18のいずれか1つに記載の方法。
【0512】
20.細胞が、液体窒素の気相に入れた容器において極低温で保管され、容器が、必要に応じて、バッグまたはバイアルである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0513】
21.細胞が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、極低温で保管される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0514】
22.細胞が、ある期間保管され、期間の後、組成物中の生存細胞もしくは生存T細胞またはそれらのサブタイプもしくはサブセットの割合が、約24%~約100%であるか、または少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、もしくは90%である、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0515】
23.疾患が、がん、炎症性疾患もしくは状態、自己免疫性疾患もしくは状態、または感染性疾患もしくは状態である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0516】
24.がんが、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、前リンパ球性白血病、有毛細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、null型急性リンパ芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、または急性骨髄性白血病である、実施形態23に記載の方法。
【0517】
25.がんが、ROR1、EGFR、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、MUC1、MUC16、B細胞成熟抗原(BCMA)、FCRL5/FCRH5、GPRC5D、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、およびサイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)のうちの少なくとも1つを発現する細胞を含む、実施形態23または24に記載の方法。
【0518】
26.処置が、化学療法、放射線照射、外科手術、細胞療法である、および/またはデバルキング処置である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0519】
27.処置が、以下の処置:シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、エトポシド、シスプラチン、エピルビシン、カペシタビン、フォリン酸、オキサリプラチン、小分子阻害剤、免疫細胞、ナチュラルキラー細胞、リンホカイン活性化キラー細胞、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、4000cGy照射、自家幹細胞救援、幹細胞移植、骨髄移植、造血幹細胞移植(HSCT)、CAR T細胞療法、チサゲンレクロイセル、アキシカブタゲンシロロイセル、シタラビン、高用量シタラビン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、イダルビシン、クラドリビン、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、コルチコステロイド、プレドニゾン、デキサメタゾン、アルキル化剤、クロラムブシル、ベンダムスチン、イホスファミド、白金薬物、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、プリン類似体、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、抗代謝薬、ゲムシタビン、メトトレキサート、プララトレキサート、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プロテアソーム阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ロミデプシン、ベリノスタット、キナーゼ阻害剤、イブルチニブ、イデラリシブ、抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、イブリツモマブチウキセタン、抗CD52抗体、アレムツズマブ、抗CD30抗体、ブレンツキシマブ、ベドチン、インターフェロン、免疫調節剤、サリドマイド、CHOP、CHOP+R(もしくはR-CHOP)、CVP、EPOCH、EPOCH+R、DHAP、DHAP+R(もしくはR-DHAP)、ベネトクラックス、メチルプレドニゾロン、またはブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)のうちの1つまたは複数を、単独または組合せで含む、実施形態26に記載の方法。
【0520】
28.ドナーまたは対象が、ヒトである、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0521】
29.極低温保管の前に、細胞を、必要に応じて、1つまたは複数の表現型マーカーについて、細胞の表面発現を評価することによって、分析することをさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0522】
30.極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0523】
31.細胞の極低温保管および/または解凍の後に、組換えまたは外因性分子を発現するように細胞を操作することをさらに含み、これが、必要に応じて、組換えタンパク質、必要に応じて、組換え受容体であり、これが、必要に応じて、T細胞受容体(TCR)、キメラ受容体、および/またはキメラ抗原受容体であるか、またはそれらを含む、実施形態1~30のいずれかに記載の方法。
【0524】
32.組換え分子が、疾患または状態と関連する細胞によって発現されるか、またはそれによって特異的に発現される抗原を、特異的に認識するか、またはそれに特異的に結合する組換え受容体である、実施形態31に記載の方法。
【0525】
33.ドナーもしくは対象から収集されたとき、および/またはアフェレーシス試料中の合計の、細胞の数が、以下の数もしくはおよそ以下の数であるか、または以下の数もしくはおよそ以下の数を上回らない、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法:500×106個、1000×106個、2000×106個、3000×106個、4000×106個、もしくは5000×106個、またはそれよりも多くの合計細胞もしくは合計有核細胞。
【0526】
34.試料を極低温で保管する前に、試料からT細胞を濃縮することをさらに含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0527】
35.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそのサブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが濃縮されており、必要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、ならびに/または試料が、バルクT細胞が濃縮されている、実施形態34に記載の方法。
【0528】
36.試料を極低温で保管する前に、試料を極低温媒体において製剤化することをさらに含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0529】
37.細胞を、極低温で凍結する前または凍結した後のいずれかで、保管施設に輸送することをさらに含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0530】
38.保管施設が、中央または共通のリポジトリの保管施設である、実施形態37に記載の方法。
【0531】
39.試料が、低温環境において、保管施設に輸送される、実施形態37または38に記載の方法。
【0532】
40.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、試料からT細胞を濃縮することをさらに含む、実施形態36~39のいずれか1つに記載の方法。
【0533】
41.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそのサブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが濃縮されており、必要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、ならびに/またはバルクT細胞を含む、実施形態40に記載の方法。
【0534】
42.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、試料および/またはT細胞を、極低温媒体において製剤化することをさらに含む、実施形態40または実施形態41に記載の方法。
【0535】
43.極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0536】
44.試料が、処理、極低温保存、および/または保管の間、細胞を分類するために、1つまたは複数のコードまたは識別子で印を付けた容器に入れられる、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
【0537】
45.1つまたは複数のコードまたは識別子が、文字識別子、バーコード、QRコード(登録商標)、RFID、またはトランスポンダを含む、実施形態44に記載の方法。
【0538】
46.1つまたは複数のコードまたは識別子が、ドナー、試料、バイアル、容器、疾患、および/または保管施設のうちの1つまたは複数の識別に対応するか、またはそれを示す、実施形態44または実施形態45に記載の方法。
【0539】
47.1つまたは複数のコードまたは識別子が、患者識別のブレスレットまたは病院もしくは医療施設もしくは収集施設のシステムもしくは書類に出現するコードに対応する、実施形態44~46のいずれか1つに記載の方法。
【0540】
48.処置の方法であって、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法によって、極低温で保管された細胞を得て、必要に応じて解凍することであって、前記得ることの前に、細胞が、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間の期間、極低温で保管されていることと、組換え受容体を、刺激した組成物に導入し、それによって、操作T細胞を含む操作組成物を生成することと、細胞を対象に投与することとを含む、方法。
【0541】
49.処置が、操作T細胞または極低温で凍結した組成物の細胞を含まない、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。