(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】毛髪特性を測定するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 3/00 20060101AFI20231003BHJP
A45D 1/00 20060101ALI20231003BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20231003BHJP
G01N 19/00 20060101ALI20231003BHJP
G01N 19/02 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G01N3/00 G
A45D1/00 501Z
G01L5/00 G
G01N19/00 F
G01N19/02 A
(21)【出願番号】P 2020515933
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2018074558
(87)【国際公開番号】W WO2019057575
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-09
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ブラダ,イペ ベルナルデュス
(72)【発明者】
【氏名】スハウテン,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】クーネン,マウリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ジルーハ,ニコライ ヴァシーリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】レリーフェルト,マルク ヨーハネス
(72)【発明者】
【氏名】パン,チュエン ユ サイラス
(72)【発明者】
【氏名】ファン エス,ミヘル
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-158526(JP,A)
【文献】特表2017-525430(JP,A)
【文献】特開2012-239615(JP,A)
【文献】特開2007-252657(JP,A)
【文献】特開2019-131896(JP,A)
【文献】特開2014-117365(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0147323(US,A1)
【文献】特開昭63-163143(JP,A)
【文献】実開昭55-072154(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00
A45D 1/00
G01L 5/00
G01N 19/00
G01N 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪の特性を測定するためのデバイスであって、当該デバイスは、
測定プローブを含む第1の部分を含み、且つ、
前記測定プローブに対して前記毛髪を曲げるために配置された第2の部分を特徴とし、その間、前記毛髪が、前記測定プローブに沿って前記第1の部分と前記第2の部分との間を案内されて
おり、
前記第2の部分が、前記毛髪を前記測定プローブに対してプレスするための圧力要素を含む、デバイス。
【請求項2】
前記測定プローブは、当該デバイスが毛髪を通って移動する場合、前記測定プローブに沿って案内される前記毛髪から生じる摩擦力と、前記測定プローブに対して前記第2の部分によって曲げられる前記毛髪から生じる変形力との両方を受ける、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
当該デバイスは、前記測定プローブに沿って案内される前記毛髪から生じる摩擦力と、前記測定プローブに対して前記第2の部分によって曲げられる前記毛髪から生じる変形力との両方を前記測定プローブに受けさせるように配置されている、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記毛髪が前記圧力要素と前記測定プローブとの間を案内されている間に、当該デバイスは、前記圧力要素が前記測定プローブの方向に押し込むことにより、前記毛髪を圧迫するように構成される一方、当該デバイスは、前記毛髪が前記圧力要素と前記測定プローブとの間を案内される前に、前記毛髪を圧迫しないように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記圧力要素及び前記測定プローブの一方がピンを含む一方、前記圧力要素及び前記測定プローブの別の一方が、前記ピンを受け入れるための穴を備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記測定プローブと前記圧力要素との間に最小のギャップを提供するように、前記第1の部分と前記第2の部分との間にスペーサが適用される、請求項4~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記最小のギャップは、約0.2mmの幅を有する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の部分は、前記第1の部分と向かい合って配置されており、前記測定プローブに対して前記毛髪を曲げるために前記第1の部分と前記第2の部分との間の境界に平行な平面において前記測定プローブの両側にアライメント要素を含む、請求項1、2又は3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の部分は、前記第1の部分と向かい合って配置されており、前記測定プローブに対して前記毛髪を曲げるために前記第1の部分と前記第2の部分との間の境界に平行な平面において前記測定プローブの両側にアライメント要素を含み、
前記摩擦力及び/又は前記変形力に対する、当該デバイスが前記毛髪に適用される角度の影響を緩和するように構成されたガイダンス要素をさらに含む、請求項
2又は3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記アライメント要素は互いに結合され、且つ前記ガイダンス要素は互いに結合される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記測定プローブは、それぞれ摩擦力及び変形力を測定するために二次元で負荷を測定するように構成されたロードセルモジュールに取り付けられる、請求項1、2、3、8又は9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記測定プローブの重量を補償するように構成された装置をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記測定プローブの測定方向の重力を測定するように構成された加速度計をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記測定プローブは、少なくとも部分的に可撓性であるか又は傾斜している、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の部分の要素は、少なくとも部分的に可撓性であるか又は傾斜している、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
複数のブラシの毛を有するブラシに埋め込まれた、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
毛髪が当該デバイスに進入することを可能にするため、前記測定プローブが移動可能である、請求項1~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記毛髪が前記毛髪に垂直な方向に当該デバイスを離れるのを防ぐように構成された部品をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
当該デバイスは、トリートメントプレートを
さらに含み、前記測定プローブが前記トリートメントプレートに沿って位置決めされる、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記測定プローブの長さが、前記トリートメントプレートの長さと実質的に一致する、請求項19に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪特性を測定するためのデバイスに関する
【背景技術】
【0002】
US 2009/0071228A1は、クランプ部材及びロードセルを備えた手持ち式摩擦センサを使用することにより、毛髪の表面平滑性を測定するための方法を開示する。毛髪の全体的な状態の重要な指標は摩擦である。ロードセルは、摩擦を測定するための当技術分野で周知であり、且つさまざまなデバイスに容易に組み込むことができる。毛髪の束をクランプ部材とロードセルとの間に配置し、クランプ部材を閉じると、毛髪のサンプルとロードセルに対して実質的に一定の垂直力を作り出す。デバイスは、毛髪束の根から先端方向に実質的に一定の速度で毛髪束を横切って引っ張られ、そして材料の摩擦係数によりロードセルに電圧が発生し、これは測定された摩擦係数に基づいて毛髪の滑らかさの値に相関する。
【0003】
DE2719482A1には、トリートメント前及びトリートメント後のコーミングに対する毛髪の抵抗を測定することにより、さまざまな種類のヘアトリートメントの有効性を定量的に評価することができるひずみゲージを組み込んだ専門の美容院のコームを開示している。スチール製のコームには、歯とハンドルの間に大まかに取り付けられたひずみゲージがあり、ケーブルとプラグが取り付けられている。毛髪をとかすとき、測定値は、コームのたわみの歪みゲージ、及び髪のコーミングに対する抵抗に関連する回路から取得される。
【0004】
FR2442607A1は、リベットで留められた金属プレートを備えた、且つブリッジ配置で接続された4つのひずみゲージを含むセンサを支持する、可撓性のプラスチック製のコームを開示している。ブリッジは、その対角線の1つに接続されたバッテリーから給電される。ケーブルを使用すると、バッテリーをカウンター回路に配置でき、且つブリッジ出力を電圧/周波数変換器に適用することもできる。出力は、数値表示付きのパルスカウンターに適用される。カウンターの読み取り値は、毛髪をほどくのに必要な力に比例する。この装置(arrangement)により、異なるシャンプーの相対的特性を比較することができる。
【0005】
US4167869Aは、コーミング中に毛髪房が受ける増分グルーミング力を測定し、且つその力の瞬間的な読み出しを提供する装置を開示している。この装置には、機械的に変形すると抵抗が変化するひずみゲージが取り付けられたコーム又はブラシが含まれている。抵抗の変化は電気的に測定され、増分グルーミング力の指標を提供する。グルーミング力の増分を瞬時に表示するために、結果として生じる電気信号に連続モニターが接続される。
【0006】
US2010147323A1は、2つのアームを有するヘアスタイリングデバイスを開示している。各アームは、ヘアスタイリング操作のために他のアームのスタイリングパーツと連携するスタイリングパーツを持つ。少なくとも1つのスタイリングパーツは、スタイリングパーツ間に位置するヘアスタイリングギャップに挿入された毛髪を加熱するために設計されている。圧力測定デバイスは、2つのアームの1つに含まれている。圧力測定デバイスは、ヘアスタイリングギャップが閉じられたときにスタイリングパーツ間の毛髪にかかる圧力、又はこの圧力を表す値、を検出する。ヘアスタイリングデバイスはまた、このようにして検出された圧力又は圧力値を表示するための表示デバイスを持つ。
【0007】
EP1958531A1は、メインフレームと、メインフレームに設けられ、超音波振動を発生する超音波振動発生手段と、人体の毛髪以外の部分が超音波発生手段の振動面に触れることを防ぐ火傷防止手段と、を含む超音波ヘアセット装置を開示している。実施形態は、毛を振動面に押し付ける押し付け面を有する押し付け手段と、押圧面にかかる圧力を検出する圧力検出センサと、圧力検出センサにより検出された圧力が所定の圧力以上になった場合にのみ、超音波振動発生手段を駆動して超音波振動を発生させる駆動回路と、をさらに含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】US2009/0071228A1
【文献】DE2719482A1
【文献】FR2442607A1
【文献】US4167869A
【文献】US2010147323A1
【文献】EP1958531A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
とりわけ、本発明の目的は、毛髪特性を測定するための改良されたデバイスを提供することである。本発明は、独立請求項によって定義される。有利な実施形態は、従属請求項に定義されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、毛髪特性を測定するためのデバイスを提供する。このデバイスは、毛髪が案内される第1の部分と第2の部分とを有する。前記第1の部分は測定プローブを含み、前記第2の部分は、前記測定プローブに対して毛髪を変形する(例えば、圧迫する(squeezing)、曲げる)ために配置される。前記デバイスが毛髪に沿って移動する間、前記測定プローブは、前記測定プローブに沿って案内される毛髪から生じる摩擦力と、前記測定プローブに対する前記第2の部分によって変形する毛髪から生じる変形力との両方を受ける。
【0011】
前記第2の部分は、前記測定プローブに対して毛髪を押し付けて毛髪を圧迫するための圧力要素を含んでもよい。好ましくは、この圧迫は、前記圧力要素と前記測定プローブとの間で毛髪が案内されている間に前記圧力要素を前記測定プローブの方向に押すことにより生じるが、毛髪が前記圧力要素と前記測定プローブとの間を案内される前に、毛髪は圧迫されない。前記圧力要素及び前記測定プローブのうち一方はピンを備えてもよいが、前記圧力要素及び前記測定プローブのうちのもう一方は前記ピンを受け入れるための穴を備えている。前記測定プローブと前記圧力要素との間に最小のギャップを提供するために、前記第1の部分と前記第2の部分との間にスペーサが適用されてもよい。最小ギャップは、約0.2mmの幅を有してよい。
【0012】
代替実施形態において、前記第2の部分は、前記測定プローブに対して毛髪を曲げるために、前記測定プローブの両側にアライメント要素と、前記摩擦力及び/又は前記変形力に対する前記デバイスが毛髪に適用される角度の影響を緩和するための案内要素とを含む一方、前記測定プローブは、それぞれ摩擦力及び変形力を測定するために2次元で負荷を測定するためのロードセルモジュールに取り付けられている。
【0013】
毛髪測定は、トリートメントプレートを有するヘアスタイリングデバイスに埋め込まれていてもよい。そうである場合、前記測定プローブは好ましくは前記トリートメントプレートに沿って位置決めされ、且つ有利には、前記測定プローブの長さは前記トリートメントプレートの長さと実質的に一致する。
【0014】
好ましくは、前記測定デバイスは、前記測定プローブの重量を補償する装置(arrangement)をさらに含む。前記装置は、有利には、前記測定プローブの測定方向の重力を測定するための加速度計を包含する。
【0015】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に説明する実施形態を参照して明らかになり、且つ解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1Aは、ヘアスタイリングデバイスに埋め込まれた毛髪特性を測定するためのデバイスの一実施形態を示す。
【
図2】
図2は、本発明を実施するための第1の方法の一実施形態を説明する。
【
図3】
図3は、毛髪特性を測定するためのスタンドアローン型(stand-alone)デバイスの一実施形態を示す。
【
図4】
図4A~4Dは、本発明を実施する第1の方法の実施形態の原理を説明している。
【
図5】
図5は、本発明を実施する第1の方法による毛髪特性を測定するためのデバイスの第2の実施形態を示す。
【
図6】
図6は、本発明を実施する第1の方法による毛髪特性を測定するデバイスの第3の実施形態を示す。
【
図7】
図7は、本発明を実施する第2の方法の一実施形態の一実施形態を示す。
【
図8】
図8は、
図7の実施形態で使用するためのロードセルモジュールを示す。
【
図9A-9B】
図9A~9Bは、本発明を実施する第2の方法によるスタンドアローン型の毛髪特性測定デバイスの一実施形態を示す。
【
図10A-10D】
図10A~10Dは、ブラシの上面の一部としての測定デバイスの一実施形態を示す。
【
図11A-11C】
図11A~11Cは、本発明の測定デバイスの別の実施形態を示す。
【
図12A-12E】
図12A~12Eは、剛毛(bristles)が位置する側に測定デバイスを有するブラシの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ヘアケア分野において、毛髪の状態や髪の健康を分析及び評価したいという要望がある。女性は、自分の髪を自分の指で触わり、コーミングすることで自分自身の毛髪を判断する傾向がある。一実施形態は、「毛髪の感触」、すなわち、髪の表面の粗さと髪の房の変形しやすさとの組み合わせ、を決定する原理が実験室環境の外部の別個のアナライザで測定され、毛髪の健康の指標に変換される製品を提供する。
【0018】
本発明の実施形態の第1のグループは、単一のセンサで毛髪の房の表面摩擦力と圧迫性(squeeziness)(毛髪の束を圧迫する)の組み合わせを測定することにより、毛髪特性の決定及び定量化を可能にする。摩擦と圧迫性の組み合わせは、人間の指が毛髪を評価する方法と密接に関連している。センサは、測定プローブ(例えば、ロードセル、例えば、円筒形として成形されている)と、前記測定プローブに一定の力で毛髪房を押し付けるカウンターパートとを包含してもよい。前記測定プローブと圧力バーとの間で毛髪房を引っ張ることにより、反力が前記ロードセルによって測定される。測定値をフィルタリング及び処理することにより、毛髪の特性が導き出される。当該デバイスは、ヘアスタイリングデバイス又は他のハンドヘルドデバイスに組み込まれるのに十分小さいながら、表面摩擦と圧迫性の組み合わせを測定することにより「毛髪の感触」を定量化し、且つ特別な処理を必要とせずに、スタイリングプロセスと一緒に1つのフローになる。「毛髪の感触」の最も良い説明は、毛髪の表面の粗さと毛髪の束の変形のしやすさ(圧迫性(squeeziness))との組み合わせである。そのために、測定デバイスの一実施形態は以下の主要な特徴を含む。:
・わずか2つの接触要素だけで摩擦と房の変形との組み合わせを測定すること。
・開閉操作だけで毛髪の房を捕捉すること(entrapping)。
・摩擦と変形の組み合わせを測定する1つのセンサ。ここで、摩擦と変形力の寄与の比率は、2つの接触要素の幾何学的側面を変更することで制御できる+。前記接触要素のうちの一方は、力を測定するのにも使用される(例えば、測定プローブによる)。
【0019】
一実施形態において、センサは、ヘアストレートナー(hair straightener)のようなスタイリングデバイスに組み込まれているが、あるいは、センサは、開閉機能を備えた他のデバイス、又はスタンドアローン型デバイスに組み込まれることができる。
【0020】
図1は、トリートメントプレートHPを有するヘアスタイリングデバイスHSに埋め込まれた毛髪特性を測定するためのデバイスの一実施形態を示す。前記トリートメントプレートHPは、ヘアアイロンの従来の加熱プレートであってもよいか、又は毛髪をスタイリングするため、光放射が毛髪に適用される場合の透明プレートであってもよい。ヘアスタイリングデバイスHSの下肢IのトリートメントプレートHPと並んで、測定プローブMPがある。
図1Aの矢印は、毛髪の移動方向を示す。
【0021】
図2は、本発明を実施する第1の方法の一実施形態を示している。
図2の実施形態において、ヘアスタイラーHSの上肢IIの内側に、ばねSによって下方に押された圧力バーPBによって形成される圧力要素がある。ヘアスタイラーHSの下肢Iの内側に、測定プローブMPより下側に、ロードセルLCがある。
【0022】
図2の前記実施形態は、次の4つの主要なコンポーネントを有する。:
・測定プローブMP: 特定の直径(例えば、5mm、ただしその寸法に限定されない)と、一定の長さ(例えば、90mm、但し少なくともの5mmの任意の長さであることができる)と、特定の粗さと、を有する円筒形要素(但し必ずしも円筒形ではない)。粗さは、測定の結果にとって非常に重要なパラメーターである、汚染による影響が最も少ないため、好ましくは低い。粗さと円筒の直径は、表面摩擦と変形力の寄与率に影響する。好ましくは、測定プローブMPがヘアストレートナーHSに埋め込まれている場合、測定プローブMPの長さは、毛髪が測定システムから簡単に絞り出されるのを防ぐために、トリートメントプレートHPの長さに等しくなる。測定プローブMPの長さに起因して、摩擦及び変形(例えば、圧迫)の力を測定するロードセルLCに運動量(momentum)が発生し、毛髪の房Hが測定プローブMPに接触する場所に応じたセンサ信号が生成される。この問題は、重量計に適用されるロードセルでも見られる、平行ヒンジ構造の適用によって簡単に克服できる。
・ロードセルLC: 一実施形態において、これは、最大荷重が1Nの標準的なせん断型ひずみゲージセンサであり得る。測定方向がクランプ方向に垂直になるように測定プローブMPに取り付けられる。センサはこのタイプのセンサに限定されず、あらゆる種類の力測定システムであり得る。例えば、ピエゾロードセルを使用できる。
・圧力バーPB: この要素は、毛髪房をプローブに擦り付け、反力の測定を可能にする。当該例において、要素は平らな表面を有するが、ジオメトリは表面摩擦と変形力の寄与率に大きく影響している。
・圧力ばねS: この要素は、デバイスが閉じているときに、測定プローブMPに対して定義された力で圧力バーPBをプレスする。したがって、毛髪の房が圧力バーPBと測定プローブMPとの間にあるとき、毛髪は定義された力で圧迫される。一例において、ばねのプリテンション(pre-tension)は0.75Nである。力が小さいと、信号の振幅が小さくなる。力を大きくするとより良い信号をもたらすが、頭の毛髪が引っ張られやすくなる。この力は、摩擦力と変形力との比率にも影響する。
【0023】
図3は、毛髪特性を測定するためのスタンドアローン型デバイスの一実施形態を示している。
図3は測定プローブMPのみを示しているが、デバイスの上半分IIにはばねSによって下向きに押された圧力バーPBがあり、且つデバイスの下半分Iには、ちょうど
図2におけるように、測定プローブMPに取り付けられた、ロードセルLCがある。
【0024】
図4A~4Dは、実施形態の前記第1のグループに属する本発明の実施形態の原理を説明する。
図4Aは、人の頭から垂れ下がる(falling from)毛髪の房Hを示している。
図4Bは、一方の側で、測定プローブMPが毛髪房Hに対して配置されることを示している。ヘアスタイリングデバイスHSが閉じられると、圧力バーPBは、測定プローブMPの反対側にプレスされ、毛髪房Hはその間に閉じ込められる。圧力ばねSは一定の力を保証する。デバイスを下方向に動かすことにより、毛髪の房Hがシステムを通して引っ張られる。
図4Cに示すように、センサの反力RFで2つのことが起こる(図における矢印による測定方向)。:
・圧力バーPBの垂直力NFにより、測定プローブMPの反対側で、毛髪の房Hの純粋な表面摩擦Fが測定される。
・変形力DFをもたらす、圧迫効果により、毛髪の房Hが測定プローブMPの下部を押し、反力RFを引き起こす。この力の大きさは、毛髪の房Hの圧迫のしやすさ、ひいては毛髪の性質に大きく依存する。
【0025】
図4Dは、表面摩擦と変形力DFとの比率をどのように変更する方法についての一例を示す。圧力バーPB上の毛髪曲げ要素HBは、毛髪房Hを圧迫しにくくし、測定プローブMPの下部により大きい反力を生じさせる。ただし、多くの異なる実行が考えられる。
【0026】
毛髪の特性の重要な側面は、毛髪の房のもつれのレベルである。表面摩擦と変形のみに基づいて、この絡み合いを決定することは困難です。そのため、
図5の実施形態において、ピンEPが測定プローブMPに取り付けられ、且つ穴HLが圧力バーPBに作られている。一種のコーミング動作により、毛髪の房が絡まっているかどうかを判断できる。1つの実行は示されているとおりであり、もう1つ別の実行はピンが容易に取り付けと取り外しができるものである。
【0027】
上記の測定システムの結果は満足のいくものであるが、数本の毛髪を引っ張ると信号が汚染される場合がある。測定プローブMPと圧力バーPBとの間に十分な毛髪が存在する限り、接触圧力は比較的低い。ほんの数本の毛髪がシステム内にあり、且つこれが房の最終的な先端で頻繁に発生する場合、圧力が非常に大きくなり、結果として毛髪の変形(ヘルツ接触圧力)を生じ、結果として締め付けられる。センサの出力が非現実的な値で汚染されるだけでなく、ユーザの頭に痛みを感じることもある。そのために、
図6の実施形態において、測定プローブMPと圧力バーPBとの間に保証されたギャップを提供するように、第1の部分Iと第2の部分IIとの間にスペーサが適用される。測定プローブMPと圧力バーPBとの間に約0.2mmの保証された開口を提供すれば十分である。このサイズは、毛髪の太さの最大値に基づいている。毛髪を捕捉する可能性を最小限に抑えるには、ギャップを作成する要素を狭くする必要がある。この両方の要件を満たすための可能な方法は、圧力バーPB又は測定プローブMPの周りに直径0.2mmのワイヤを適用することである。別の実行では、高さ約0.2mmの狭い要素を測定プローブMP又は圧力バーPBに固定できる。
図6の実施形態において、0.2mmのギャップGを提供するために、0.2mm厚のワイヤWが測定プローブMPに提供される。さらに別の実施において、狭い要素は、測定プローブMP又は圧力バーPBにエンボス加工することができる。スペーサの幅は、反対側の要素へのスペーサの高圧が最大許容接触圧力を超えてはならないという事実によって制限される。
【0028】
本発明の上記の実施形態は、表面摩擦力と毛髪房の圧迫の組み合わせを単一のセンサで測定することにより、毛髪特性の決定及び定量化を可能にする。センサは、制御されていないユーザ環境で使用されることを目的としており、毛髪にかかる力のわずかな違いを測定できる必要がある。本発明の好ましい実施形態は、デバイスを操作するユーザに起因するデバイスの向きの変化が、測定プローブの重量によって引き起こされる重大な誤差を引き起こす可能性があるという認識に基づいている。測定方向の重量の寄与を測定することにより、測定プローブの重量の影響を補正することができる。有利な一実施形態は、1方向加速度計を使用することにより重量の補償を提供する。
【0029】
ヘアスタイラーは、考えられるすべての向きで使用できる。摩擦力と変形力は、特定の重量を有する測定プローブで測定される。一実施形態において、この重量は、スタイラーの向きに依存し、且つ重力ベクトルの方向に基づいて、摩擦信号に追加される。測定プローブの重量は信号内でかなり大きい可能性があるため、重量の寄与は力センサの読み取り値から有利に排除される。この実施形態の主な要素は、変形力センサの信号に対する測定プローブの重量の瞬間的な寄与を知ることである。そのために、実施形態は、:
・測定方向に沿った方向に位置決めされた1方向の絶対加速度計(又は、変形力センサの測定方向で重力の寄与を決定する別の1方向センサ)、及び
・測定プローブの既知の重量、
を使用する。
【0030】
得られた出力は、重量の影響を受けない。:
摩擦及び変形力[N]=センサ出力[N]-(加速度計出力[m/s2]*重量[g])
【0031】
一実施形態において、補償は以下のものを含む。:
・変形力センサの方向と同じ方向に重力を測定するセンサ。当該例において、スマートフォンで使用される加速度計などの標準的な加速度計を用いて実行される。別の実行は、測定プローブを備えた変形力センサと同じ方向に特定の質量が位置決めされた第2の力センサであってもよい。第2の力センサは、測定信号への重力の寄与を測定することができる。実際には、両方のシステムの同じ方向で測定する要件を満たすために、変形力センサと加速度計は測定デバイスの同じ構造に取り付けられる。
・測定プローブの重量に関する知識。
・「実際の」力信号を取得するため、変形力センサ信号から加速度計補正データを減算する、最も可能性の高い(ただし、必ずしもそうではない)マイクロコントローラ。別の実行は、重力センサを使用して重力の寄与を導出する場合のアナログ減算回路である。重力センサに取り付けられた質量が測定プローブの質量に等しい状態で、同じセンサが力の感知と重力の感知に使用される場合、回路をまったく持たないことさえ可能である。この場合、信号は互いに直接減算され、補償された力信号が得られる。
【0032】
ユーザによるデバイスの取り扱いが原因で、変形力センサの向きが、z軸は地球の重力の負の方向にある、世界座標系のz軸に対して角度φを持っている場合、使用中の力センサの出力は次のようになる。:
力センサ出力=摩擦力+重量*gcos(φ)
【0033】
加速度計の向きは、変形力センサの向きに機械的に結合されているため、同時に加速度計の出力は次のようになる。:
加速度計出力=gcos(φ)
【0034】
マイクロコントローラは、測定プローブの既知の重量とともに、加速度計の出力にこの既知の重量を乗算することにより、補正(compensation)を計算することができる。:
計算された補正=重量*加速度計出力=重量*gcos(φ)
【0035】
変形力の測定時に補正が信号に追加される場合、必要な摩擦力のみが測定システムによって決定される。:
システム出力=変形力センサ出力-計算された補正
=摩擦力+重量*gcos(φ)-(重量*gcos(φ))
=摩擦力
【0036】
動きによる加速度の寄与が重力に比べて低いことを保証するために、測定プローブの重量は可能な限り小さいことが好ましい。
【0037】
本発明を実施する第2の方法は、2つのセンサ、これは再びロードセルとして実施できる、を使用して相対摩擦係数を決定することにより毛髪特性の決定及び定量化を可能にする毛髪健康アナライザを提供する。本発明を実施する第2の方法の実施形態の基本原理は、1つの毛髪の房の動摩擦係数を測定する、法線力によって、及び1つの毛髪の房の長さに沿って、形成される変形力を表面に適用するため、毛髪の曲げ剛性を使用することである。1つのセンサ(Y方向のロードセルLC-Y)は毛髪と測定プローブとの間の表面摩擦力を測定し、且つもう1つのセンサ(X方向のロードセルLC-X)は毛髪の1房の動的曲げ剛性を測定する(これは、測定プローブ表面に適用される法線力である)。センサの組み合わせは、ヘア分析デバイスに、又は
図1に示すように、ヘアスタイリングデバイスに組み込まれている。毛髪健康アナライザを使用して、毛髪の1房を2本のピンと測定プローブとの間に挟み、且つ毛髪健康アナライザを先端から根元まで引っ張る。相対摩擦係数は、2つのセンサの出力を使用して、毛髪健康アルゴリズムによって計算してよい。
【0038】
デバイスの一実施形態は、2つのセンサの組み合わせの出力を使用して摩擦係数を決定することにより「毛髪の感触」を定量化する。同時に、センサは、2つの力、すなわち、2つの表面の相互の動きに関係する力及び引っ張り軸に垂直な力、つまりそれぞれ摩擦力と垂直力、を測定する。法線力は、測定プローブ上で毛髪を無理やり曲げることによって生成される。別個のアナライザに組み込むには十分小さいが、両方のセンサ出力を、動作するための特別な取り扱いの必要性を制限し、且つ消費者により及び管理された実験室環境の外で簡単に使用できる、経時的な摩擦係数を決定するのに使用する。
【0039】
一実施形態は、毛髪の摩擦力及び変形力(ここでは、曲げ力)が以下の主要な特徴により決定される測定デバイスを提供する。:
・以下:
o毛髪房(tress)の引っ張り方向に垂直な変形力(ここでは曲げ力)を測定することによる毛髪房変形測定、
o毛髪の曲げ力を使用して摩擦を検出するために、センサ表面に垂直力を適用すること、
について3ポイント曲げ剛性テストのセットアップを使用すること。
・開閉操作だけで毛髪房を捕捉すること。
・2つのセンサを使用して、1つの毛髪房の長さに沿った動的曲げ力(X方向)と摩擦力(Y方向)を同時に測定すること。その一方、摩擦力と曲げ力の比率は、テストシステムの3つの要素、すなわち2つのサポートと1つの測定プローブ(測定デバイスの構成については
図7を参照)、の幾何学的な態様を変更することにより最適化できる。両方のセンサを使用して、毛髪の房に沿った動的な相対摩擦係数を決定することができる。
【0040】
図7に示す一実施形態は、以下の4つの主要なコンポーネントを含む。:
1.測定プローブMP: 特定の直径(ここでは、6mm、ただしその寸法に限定されない)と、特定の長さ(ここでは、12mm、但しいずれの長さであることができる)と、特定の粗さ(ここでは~0.3のRa、但しいずれの表面粗さでありえる)と、を有する円筒形要素(但し必ずしも円筒形ではない)。2つの表面間の摩擦は、表面粗さと接触表面積の関数である。粗さ及び表面接触面積は、表面摩擦の増加又は減少によって引き起こされる摩擦係数の比率に影響を与えると予想される。
2.ロードセルモジュール(詳細について
図8を参照): この場合、最大荷重が1N(Y方向)及び7.8N(X方向)を有する標準的なせん断型ひずみゲージセンサ。これらは、両方のセンサが互いに影響を与えずに意図した方向において測定するような構成で取り付けられている。センサはこのタイプのセンサに限定されず、いずれの種類の力測定システムであり得る。ロードセルモジュールは、測定プローブMPに接続されたY方向の第1のロードセルLC-Yと、接続ピースCPと、X方向の第2のロードセルLC-Xとを含む。第2のロードセルLC-Xは、実世界に接続された表面RWを有する。
3.サポート(例えば、サポートピン)により形成されるアライメント(alighnment)要素AEは、
一定の重なり、長さ、直径及び材料を有する、この場合、4mmの重なり又はたわみD、20mmの長さ、4mmの直径、及び材料としてステンレス鋼を有するが、いずれの寸法、長さ、直径及び材料のものであり得る、測定プローブMPに沿って(測定プローブ半径が2.7mmである一実施形態において例えば6.35mmのサポートスパンSSで)位置決めされる。重なりDは、毛髪の房の体積と個々の毛髪の曲げ剛性の関数である、摩擦係数のX方向の力(垂直力)の寄与を決定する。アライメント要素AEは静的な場合があるが、引っ張り力を減らすか、又は速度センサを組み込むためにローラーを使用するこにより、動的であり得る。アライメント要素AEは、毛髪Hを曲げために使用され、且つ、測定プローブMPに垂直力を加えるために毛髪の柔軟な剛性を使用する。曲率半径は、アライメント要素(サポートピン)AEを測定プローブMPに向かって移動することにより調整することができるか(たわみ)、又は曲率半径をX方向に移動できる(サポートスパンSS)。X方向とY方向の違いにより、システムへの垂直力が増減する。
4.保持角度によって引き起こされるシステム内の引っ張り力の除去に寄与する要素によって形成されるガイダンス要素G。これらの要素は、特定の直径と材料(ここでは4mmとステンレス鋼)を有するが、いずれの直径と材料のものであり得る。ガイダンス要素Gは静的であってもよいが、引っ張り力を減少させるか、速度センサを組み込むため、ローラーを使用することにより動的にすることができる。
【0041】
図7の実施形態において、左ガイダンス要素G、測定プローブMP及びロードセルモジュールは、デバイスの一方の部分Iに属し、右ガイダンス要素G及びアライメント要素AEは、デバイスのもう一方の部分IIに属する。それらの間を毛髪Hが案内される。アライメント要素AE及びガイダンス要素Gは、センサシステムから追加の力を除去するために必要な引っ張り力を吸収し、速度に依存しないY方向のきれいな摩擦測定を保証する。毛髪の先端(tip)部分(遠位)は自由に全方向に動き、毛髪の上部(top)(近位)部分は頭皮に付着する。
【0042】
アライメント要素AE及びガイダンス要素Gは、別の利点を提供する。ハンドヘルドデバイスでは、測定中又は個別の測定ごとに、同じ角度、速度、体積の毛髪房を使用することは困難である。要因の1つは、デバイスに対する入ってくる毛髪房の角度である。これは、エンドユーザがデバイスを使用しているときに変化する。ガイダンスピンGとサポートピンAEの位置決めは、各測定について、毛髪房Hと測定プローブMPとの間の等しい構成を提供する。デフォルトでは、選択したデザインにより、毛髪摩擦が測定される領域で一定の角度が確保される。特に、ガイダンス要素Gは、ユーザがデバイスを毛髪Hに適用する角度に関係なく、同じ角度でテスト領域に入るように毛髪を条件づける。
【0043】
図9A~9Bは、本発明を実施する第2の方法によるスタンドアロン型の毛髪特性測定デバイスの一実施形態を示す。ここで、測定プローブMP及びガイダンス要素Gの半分は、ロードセルモジュールも配置されているボディ部分Iにあり、アライメント要素AE及びガイダンス要素Gの他の半分は、測定デバイスの蓋部分IIにある。ガイダンス要素Gは、好ましくは、毛髪が測定ユニット(サポート及び測定プローブMP)に向かって平らで真っ直ぐに入るように配向され、そのために、それらはヒンジ表面を有し得る。
【0044】
一実施形態において、測定は次のように実行される。:
1.システムは、髪の房Hをシステムに導入する前にデフォルトで開いたり閉じたりする。且つ、例えば、ボタンを押すことによるか、別の適切な方法で、システムは開いたり閉じたりすることができる。
2.測定プローブMPとアライメント要素(例えば、サポートバーなど)AEとの間のシステムに毛髪房Hを導入する。
3.アライメント要素(サポートバー)AEと測定プローブMPとの間に毛髪房Hをクランプするためにシステムを閉じる。ガイダンス要素Gは、間に例えば、2mmの小さなギャップを有する(但し、いずれのギャップサイズであり得る)。ユーザ及びシステム内の毛髪の量によるアナライザの引っ張り力を決定する。
4.アナライザを下向きに毛髪房Hの先端まで引っ張る。下向きの移動中に、測定プローブMPの表面と毛髪房Hとの間の摩擦が決定され、且つ同時に法線力が経時的に又は毛髪房の長さに沿って計算される。これは、アライメント要素AEと測定プローブMPとの間の毛髪房Hの曲げ剛性の関数である。
5.両方のセンサのデータが受信される。その後、次の等式を使用して、経時的な摩擦係数が決定される。
【数1】
【0045】
式中、さまざまな概念は以下の意味を有する。:
【表1】
【0046】
摩擦係数は、ユーザの「毛髪の感触」を決定するパラメータとして使用される。
【0047】
有利には、各ロードセルLC-X及びLC-Yにより測定された摩擦力及び変形力の両方に基づいて、このように計算された摩擦係数は体積変化に影響されない。例えば、損傷した毛髪から生じる可能性があるため、又は毛髪房が毛髪房の長さにわたって一定ではないように、レイヤーに(in layers)カットされた毛髪Hから生じる可能性があるため、である。法線力又は摩擦力のみが測定された場合、結果は、ユーザがシステムに入れる毛髪の量によって大きく影響されるシステムになる。
【0048】
図10A~10Dは、背面に検知モジュールを備えたブラシを示す。毛髪は、測定プローブを収容するスロットに手動で挿入される。したがって、測定デバイスは、ブラシBの上面(top side)の一部とすることができ、ブラシBの毛Btは底面に取り付けられている。
図10AはブラシBの上部を示し、
図10Bは
図10Aの中央の水平線に沿った断面を示し、
図10Cは参照符号IIを通る
図10Aの垂直線に沿った断面を示し、及び
図10Dは、このブラシBで使用するための測定プローブMP及びガイダンス及び保持部品GHPのいくつかのスケッチを示す。
【0049】
図10A及び10Bに示されるように、ブラシBの上面にはスリットSが設けられており、このスリットS内で毛髪を案内することができる。
図10A~10Dの測定デバイスの第2の部分IIは固定されているが、
図9A~9Bの実施形態においてそれはヒンジ式であった。測定デバイスの第2の部分IIの上部はブラシBの上部と同じレベルにあるが、測定デバイスの第1の部分IはブラシBの上部のキャビティにある。
図10Cは、前述の要素と同じ要素を有する断面を示している。: 測定プローブMP及びアライメント要素AE。毛髪が測定デバイスに簡単に入っていけるように、毛髪の束が入りこまれると測定プローブMPが下に移動し、その後、第2の部分IIが測定プローブMPに対して毛髪Hを変形させるが、毛髪Hは、第1の部分Iと第2の部分IIとの間で案内されることを保証するように、それは上に移動する。
図10Dにスケッチした実装において、毛髪の進入方向で測定プローブMPの前に位置決めされたガイダンス及び保持部GHPは、毛髪に入りこまれるとダウン位置(
図10Dの上半分に示す)にあり、且つ、
図10Dの下半分に示されるように、毛髪は第1の部分Iと第2の部分IIとの間を案内される間、毛髪が側方(すなわち、毛髪Hに垂直な方向)から逃げるのを防ぐアップ位置(up position)にある。
【0050】
図11A~
図11Cは、本発明の測定デバイスの別の実施形態を示している。
図11Aは正面図を示し、
図11Bは
図11Aの線A-Aを通る断面を示す。
図11Cは、
図11Bの丸で囲まれた部分の代替として、測定プローブMP及びアライメント要素AEの3つの可能なバリエーションを示している。
図11A~11Cの測定デバイスは、上部に3つの歯が配置された基部Bsを有し、これらの歯はそれぞれ、2つのアライメント要素AE及び測定プローブMPを形成する。測定プローブMPは、その最上部にセンサ歯STが配置されるセンサモジュールSMを含む。センサモジュールSMは、基部Bsの内側に位置決めされてもよい。歯AE、STは、完全に中実であるか、又は毛髪がもつれた場合に過剰な毛髪の引っ張りが生じるのを防ぐために、曲げ線BLより上で可撓性であり得る。
図10A~10Dの実施形態と同様に、
図11A~11Cの実施形態は可動部I及びIIを有しない。
【0051】
図11Cに示されるように、アライメント要素AE及び/又はセンサ歯STは、測定デバイスへの毛髪の挿入を容易にするため、好ましくは、曲げ線BLの上に傾斜した先端を有する。デバイスが毛髪を通って移動する間、毛髪がデバイスの最上部(すなわち、毛髪Hに垂直な方向)から逃げないようにするため、アライメント要素AE及び/又はセンサ歯STに、ベンドラインBLの周りに位置決めされた毛髪ブロッキング要素(図示せず)を設けてもよい。この毛髪ブロッキング要素は、手動又は自動で操作される。この毛髪ブロッキング要素は、定義された量の毛髪が感知領域に入ると、毛髪がさらに入らないようにするのにも役立ち得る。この毛髪ブロッキング要素は、例えば、力センサが特定のしきい値を超えると作動し、センサ出力が安定しているように見える場合は無効にすることができる。
【0052】
図12A~12Eは、ブラシの毛Btが位置する側に測定デバイスを有するブラシBの実施形態を示す。このデバイスは、前の実施形態で論じたものと同じ要素、すなわち測定プローブMP、アライメント要素AE、及びガイダンス要素G、を有する。
図10A~10D及び11A~11Cと同様に、第1の部分I及び第2の部分IIは固定された関係で取り付けられる。;
図7の実施形態のように、さまざまな要素を第1の部分Iと第2の部分IIに割り当てることができる。
【0053】
図12Aの実施形態は、
図7の測定デバイスに基づいている。基本的な実行は、毛髪をブラッシングしている間、毛髪Hがアライメント要素AE及び測定プローブMPに沿って案内されるような方法である。毛髪を通してブラシを引くことにより、ロードセルY(LC-Y)の摩擦力とロードセルX(LC-X)の曲げ力が誘導される。
【0054】
図12B~12Eの実施形態は、より強い測定信号を取得するために、システムに捕捉される毛髪の量を増加させることを目的としている。
【0055】
図12Bの実施形態は、
図12Aの実行の改善されたバージョンである。アライメント要素AE及び測定プローブMPの最上部は、毛髪をブラッシングすると、より多くの毛髪が測定システムの開口部に捕捉され、より大きな測定信号が得られるやり方で曲げられる。デバイスのホールド角度への依存を減らすために、追加のガイドピンGが追加されている。
【0056】
図12Cの実施形態において、測定プローブMP全体が小さな角度で配置されている。角度が小さいため、そのために必要な力はわずかであるため、毛髪を捕捉してシステムに保持する。結果として、曲げ力は測定システムの長さにわたってもはや一定ではなくなる。摩擦係数は使用されるパラメータであるため、テストではシステムが歪度の影響を受けないことが示された。
【0057】
図12Dの実施形態において、測定プローブMPだけでなく、アライメント要素AEも斜めになっている。これにより、さらに多くの毛髪がシステムに捕捉され、より大きな測定信号が得られる。
【0058】
図12Eの実施形態は、ブラシが頭髪の方向に対して垂直に置かれないが、特定の角度で、毛髪が測定プローブMPの間違った側に導かれ、誤った測定信号をもたらすという問題に対処する。毛髪が測定プローブMPの間違った側で終わるのを防ぐために、両方のアライメント要素AEと両方のガイダンス要素Gが連結されている。これで、毛髪は測定プローブMPの意図した側にのみ面する。
【0059】
上記の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであること、及び当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計できることに留意されたい。
図7の実施形態において、測定プローブ半径、たわみD及びサポートスパンSSの寸法は、毛髪Hに接触する測定プローブ表面の面積に合わせて調整できる(size with)。ガイダンス要素Gは、測定デバイスの外側の境界ではなく、アライメント要素AEの近くに位置決めすることができる。毛髪のガイドは、2つのガイドフィーチャ(features)を含有する単一のボディで実行できるが、2つの別々のガイドフィーチャで実行することもできる。スペーサは、ヒンジを使用した実行の場合、構造の別の領域に配置することもできる。請求項では、括弧の間に置かれたいずれ参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されてはならない。「含む(comprising)」という言葉は、請求項にリストされているもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素に先行する単語「a」又は「an」は、複数のそのような要素の存在を排除しない。本発明は、いくつかの別個の要素を含むハードウェアによって、及び/又は測定プローブMPからの信号を分析するために適切にプログラムされたプロセッサによって実装され得る。いくつかの手段を列挙するデバイスクレームでは、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの1つ且つ同一のアイテムによって具現化され得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
1. 毛髪(H)の特性を測定するためのデバイスであって、
測定プローブ(MP)を含む第1の部分(I)と、
前記測定プローブ(MP)に対して前記毛髪(H)を変形させるための第2の部分(II)と、
を含む、その間、前記毛髪(H)が前記第1の部分(I)と第2の部分(II)との間を案内されている、デバイス。
2. 当該デバイスは、前記測定プローブに沿って案内される前記毛髪から生じる摩擦力、及び前記測定プローブ(MP)に対して前記第2の部分(II)によって変形される前記毛髪(H)から生じる変形力(DF)の両方を受けさせるように配置されている、請求項1に記載のデバイス。
3. 前記第2の部分(II)が、前記毛髪(H)を前記測定プローブ(MP)に対してプレスするための圧力要素(PB、S)を含む、請求項1又は2に記載のデバイスであって、前記毛髪(H)が前記圧力要素(PB、S)と前記測定プローブ(MP)との間を案内されている間に、当該デバイスは、前記圧力要素(PB、S)が前記測定プローブ(MP)の方向に押し込むことにより、前記毛髪(H)を圧迫するように構成される一方、前記毛髪(H)は、前記圧力要素(PB、S)と前記測定プローブ(MP)との間を案内される前に圧迫されない、デバイス。
4. 前記圧力要素(PB、S)及び前記測定プローブ(MP)の一方がピン(EP)を含む一方、前記圧力要素(PB、S)及び前記測定プローブの別の一方が、前記ピン(EP)を受け入れるための穴(HL)を備える、請求項3に記載のデバイス。
5. 前記測定プローブ(MP)と前記圧力要素(PB、S)との間に最小のギャップを提供するために、前記第1の部分(I)と前記第2の部分(II)との間にスペーサ(W)が適用される、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
6. 前記最小のギャップ(G)は、約0.2mmの幅を有する、請求項5に記載のデバイス。
7. 前記第2の部分(II)は、前記測定プローブ(MP)に対して前記毛髪(H)を曲げるために前記第1の部分(I)と前記第2の部分(II)との間の境界に平行な平面内の前記測定プローブ(MP)の両側にアライメント要素(AE)を含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
8. 前記摩擦力及び/又は前記変形力に対する、当該デバイスが前記毛髪(H)に適用される角度の影響を緩和するためのガイダンス要素(G)をさらに含む、請求項7に記載のデバイス。
9. 前記アライメント要素(AE)は互いに結合され、且つ前記ガイダンス要素(G)は互いに結合される、請求項8に記載のデバイス。
10. 前記測定プローブ(MP)は、それぞれ摩擦力及び変形力を測定するために二次元で負荷を測定するためのロードセルモジュール(LC-X、LC-Y)に取り付けられる、請求項1、2、7又は8に記載のデバイス。
11. 前記測定プローブ(MP)の重量を補償する装置をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
12. 前記測定プローブ(MP)の測定方向の重力を測定するための加速度計をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
13. 前記測定プローブ(MP)は、少なくとも部分的に可撓性又は傾斜している、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
14. 前記第2の部分(II)の要素は、少なくとも部分的に可撓性又は傾斜している、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
15. 複数のブラシの毛(Bt)を有するブラシ(B)に埋め込まれた、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
16. 毛髪(H)が当該デバイスに進入することを可能にするため、前記測定プローブ(MP)が移動可能である、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス。
17. 前記毛髪(H)が前記毛髪(H)に垂直な方向に当該デバイスを離れるのを防ぐための部品(GHP)をさらに含む、請求項1~16のいずれかに記載のデバイス。
18. トリートメントプレート(HP)を有するヘアスタイリングデバイス(HS)に埋め込まれた、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスであって、前記測定プローブ(MP)が前記トリートメントプレート(HP)に沿って位置決めされる、デバイス。
19. 前記測定プローブ(MP)の長さが、前記トリートメントプレート(HP)の長さと実質的に一致する、請求項18に記載のデバイス。