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7359803潮流情報表示装置、ARナビゲーションシステム、潮流情報表示方法、及び潮流情報表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】潮流情報表示装置、ARナビゲーションシステム、潮流情報表示方法、及び潮流情報表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/22 20060101AFI20231003BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20231003BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231003BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20231003BHJP
   G08G 3/00 20060101ALI20231003BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20231003BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G01C21/22
B63B49/00 Z
G08G1/09 F
G08G1/0969
G08G3/00 A
G09B29/00 C
G09B29/10 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021086530
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022127564
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】21158110.3
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西山 浩二
【審査官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-036201(JP,A)
【文献】特開2016-169968(JP,A)
【文献】特開2012-022446(JP,A)
【文献】特開平07-248727(JP,A)
【文献】香港水流預測系統,中国,香港特別行政區政府 海事處 海道測量部,2015年03月01日,https://current.hydro.gov.hk/main/prediction_static.php
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
B63B 1/00-99/00
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に表示される画像に潮流情報を重畳する潮流拡張現実(AR)ナビゲーションシステムであって、 移動体を含む領域のチャートにおける潮流の位置と、該位置における潮流の1又は複数の複数の時刻における予想潮流方向とを含む潮流情報を受信する潮流情報受信部と、 潮流表示データ生成部と、を備え、 前記潮流表示データ生成部は、 前記潮流の前記表示画面上の位置を受信し、 前記1又は複数の時刻に応じて決定される時間スケールを含むインディケータを生成し、 前記時間スケールの基準軸の方向を前記表示画面の垂直軸に一致させ、 前記各時刻における時間スケール上の前記各潮流の予測方向の位置を算定し、 前記インディケータ上の前記時間スケール上の各位置に、前記各時刻における前記各予測潮流方向を示す1又は複数のシンボルを生成し、 前記1又は複数のシンボルを前記表示画面上の潮流の表示位置に関連付ける、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、さらに、 前記移動体に取り付けられ、画像を撮像して画像データを出力する画像センサと、 前記画像センサの位置及び方位を含む画像センサ情報を受信する画像センサ情報部と、 前記移動体を含む領域のチャートを示すチャート情報を受信するチャート情報部と、 前記画像センサ情報に基づいて前記表示画面における潮流の表示位置を算出する位置算出部と、 前記潮流の表示位置に対応する表示シンボルを生成し、該表示位置の画像に重畳して重畳画像を生成する潮流重畳部と、 を備える潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記潮流重畳部は、さらに、 前記複数のシンボルを含むインディケータを受信し、 前記表示画面上の前記重畳画像に前記表示シンボルを含む前記インディケータを重畳させインディケータ重畳画像を生成する、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記表示画面は、前記重畳画像、前記インディケータ、及び前記インディケータ重畳画像のうちの少なくとも一つを表示する、潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記時間スケールは、所定の時間間隔で区切られた前記複数の時刻を含む直線であり、 各シンボルは、前記各時刻に前記直線上に位置する、潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記時間スケールは、各同心円の半径が前記複数の時刻に対応する、複数の同心円を含む同心円型の時間スケールであり、 前記各シンボルは、それぞれの同心円の円周上の予測潮流方向に対応する位置に配置されている、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記各シンボルの位置は、前記時間スケールにおいて時間とともに移動する、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記潮流表示データ生成部は、前記表示画面に表示された地理情報の基準軸に対する各シンボルの時間スケール上の方向を決定する、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、さらに表示画面を備え、 前記表示画面は、 前記チャートを受信して表示し、 前記1又は複数のシンボルを含む前記インディケータを受信して前記チャート上の対応する前記潮流の位置にそれぞれ、前記チャートの基準軸を基準に決定された方向に前記1又は複数のシンボルを表示する、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、さらに表示画面を備え、 前記表示画面は、 前記チャートを受信して表示し、 前記移動体の位置と方位に基づいて該移動体のヘッディング方向を基準軸とし、前記チャートの一部を含むローカルチャートを生成し、 前記複数のシンボルを含む前記インディケータを受信し、 前記ローカルチャート上の対応する前記潮流の位置に、前記各シンボルの方向が前記ローカルチャートの基準軸に対して決定されるインディケータを表示する、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項11】
請求項9に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記潮流情報は、さらに、前記潮流の前記1又は複数の時刻における予測速度を含む、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項12】
請求項11記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記各シンボルは、前記潮流の予測方向を示す矢印である、潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の潮流ARナビゲーションシステムであって、 前記潮流の予測速度に基づいて、矢印の長さ、矢印の太さ、矢印の色を含む各シンボルの特性のうちいずれかを変化させる、 潮流ARナビゲーションシステム。
【請求項14】
潮流情報を表示画面に表示する潮流ARナビゲーション方法であって、 移動体を含む領域のチャート上の潮流の位置と、対応する1又は複数の時刻における当該位置での潮流の複数の予測潮流方向とを含む潮流情報を受信し、 前記1又は複数の時刻に従って決定される時間スケールを含むインディケータを生成し、 前記各時刻における時間スケール上の前記各潮流予測方向の位置を決定し、 前記時間スケール上の各位置において前記各時刻における前記各予測潮流方向を示す複数のシンボルを生成し、 前記時間スケールの基準軸の方向を表示画面の垂直軸とさせ、 前記1又は複数のシンボルを含む前記インディケータを表示画面に出力する、 潮流情報表示方法。
【請求項15】
潮流情報を電子計算機に実行させて表示画面に表示させる潮流ARナビゲーションプログラムであって、 移動体を含む領域のチャート上の潮流の位置と、対応する1又は複数の時刻における当該位置での潮流の複数の予測潮流方向とを含む潮流情報を受信するステップと、 前記1又は複数の時刻に従って決定される時間スケールを含むインディケータを生成するステップと、 前記各時刻における時間スケール上の前記各潮流予測方向の位置を決定するステップと、 前記時間スケール上の各位置において前記各時刻における前記各予測潮流方向を示す複数のシンボルを生成するステップと、 前記時間スケールの基準軸の方向を表示画面の垂直軸に一致させるステップと、 前記1又は複数のシンボルを含む前記インディケータを表示画面に出力するステップと、 を含む潮流ARナビゲーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に潮流情報表示装置に関し、より具体的には、船舶の航行に伴う潮流情報の経時変化を表示に関する。
【背景技術】
【0002】
潮流は船舶の航行に影響を及ぼすことが知られている。船長、乗組員その他の船舶に乗り組んでいる航海要員は、それぞれの潮流がいつ、どのように船舶の針路に影響を及ぼすかがわからないことがある。例えば、潮流が船舶によって遭遇する可能性があるか、又は状況が異なる可能性がある水域では、潮流の位置、方向及び/又は速度は、船舶航行職員にとって未知である可能性があり、その結果、船舶航行職員は、そのような水域にいる船舶が必ずしも最適ではない移動経路を選択し、あるいは選択することを余儀なくされる怖れもある。
【0003】
これらの潮流は、船舶航行に必要な時間のみならず燃料費用にも大きくかかわっており、潮流の状態を船員が的確に知ることは環境保護の観点からも重要である。また、船舶が長期間にわたって潮流の影響を受けることによって、船舶の構造又は運航性能、あるいは双方に対して悪影響を及ぼすことがあり安全航行の観点からも潮流を的確に把握することは重要である。
【0004】
船舶の航行を支援するためのシステムが過去にいくつか開発されている。通常、当該船舶が航行する海域の海図(いわゆる「チャート」と呼ばれるものであり、陸地部分を含む場合もある。また、海洋に限らず、河川や湖も含む。本明細書では、これらを含め「チャート」と呼ぶことにする。)とその地域内の各地点の潮流を示すチャートは、外部のサーバから通信手段を介して提供される。潮流を示す情報には、一般に、計測位置と、その計測位置における潮流の方向及び速度が含まれる。
【0005】
この海域を航行する船舶は、衛星通信等の通信手段を用いて潮流の情報を得ることができる。得られた情報は、船舶の航行モニタに表示され、船舶の航路を決定するのに役立つ。
【0006】
しかしながら、これらのシステムの多くは、船舶の周囲に関連する様々なパラメータを感知するために、主に搭載機器に依存している。それにもかかわらず、このような船上装置を用いて潮流などの状況を検出又は測定することは複雑で困難であり、ときには不可能なこともある。また、検出等は自船周辺に限られ、検出対象の位置が自船から離れるに従って一般的には精度も低下せざるをえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-121876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、潮流情報を表示画面に表示する船舶などの移動体の潮流情報表示装置、これを用いたARナビゲーションシステム、潮流情報表示方法、潮流情報表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の潮流情報表示装置は、潮流情報を表示画面に表示する潮流情報表示装置であって、移動体が存在する領域のチャートにおける潮流の位置と、当該位置における潮流の1又は複数の時刻における予想潮流方向とを含む潮流情報とを受信する潮流情報受信部と、1又は複数の時刻に従って決定される時間スケールを生成し、各時刻における時間スケール上の各潮流の予測潮流方向の位置を決め、時間スケール上の各位置のそれぞれに対応する各予想潮流方向を示すシンボルをそれぞれ生成し、シンボルを含むインディケータを表示画面に出力する、潮流表示データ生成部と、を備えている。
【0010】
ここで、潮流情報表示装置であって、時間スケールは所定の時間間隔で区切られた複数の時刻を含む直線とし、各シンボルは各時刻に直線上に位置するようにしてもよいし、時間スケールは各同心円の半径が複数の時刻に対応する複数の同心円を含む同心円型の時間スケールとし、各シンボルはそれぞれの同心円の円周上の予測潮流方向に対応する位置に配置されるようにしてもよい。そして、各シンボルの位置を時間スケールにおいて時間とともに移動させてもよい。
【0011】
また、潮流表示データ生成部は表示画面に表示された地理情報の基準軸に対する各シンボルの時間スケール上の方向を決定する。
【0012】
上記潮流情報表示装置はさらに表示画面を備え、この表示画面はチャートを受信して表示し、1又は複数のシンボルを含むインディケータを受信してチャート上の対応する潮流の位置にそれぞれ、チャートの基準軸を基準に決定された方向に1又は複数のシンボルを表示する。或いは、表示画面はチャートを受信して表示し、移動体の位置と方位に基づいて当該移動体のヘッディング方向を基準軸としチャートの一部を含むローカルチャートを生成し、複数のシンボルを含む前記インディケータを受信しこのローカルチャート上の対応する潮流の位置に各シンボルの方向がローカルチャートの基準軸に対して決定されるインディケータを表示するようにしてもよい。
【0013】
また、潮流情報は、さらに潮流の1又は複数の時刻における予測速度を含むようにしてもよい。各シンボルは潮流の予測方向を示す矢印としてもよい。そして、潮流の予測速度に基づいて、矢印の長さ、矢印の太さ、矢印の色を含む各シンボルの特性のうちいずれかを変化させてもよい。
【0014】
本発明の潮流拡張現実(AR)ナビゲーションシステムは、表示画面に表示される画像に潮流情報を重畳するARナビゲーションシステムであって、移動体を含む領域のチャートにおける潮流の位置と、当該位置における潮流の1又は複数の複数の時刻における予想潮流方向とを含む潮流情報を受信する潮流情報受信部と、潮流表示データ生成部とを備えており、潮流表示データ生成部は、潮流の表示画面上の位置を受信し、1又は複数の時刻に応じて決定される時間スケールを含むインディケータを生成し、時間スケールの基準軸の方向を表示画面の垂直軸に一致させて各時刻における時間スケール上の各潮流の予測方向の位置を算定し、インディケータ上の時間スケール上の各位置に各時刻における各予測潮流方向を示す1又は複数のシンボルを生成し、1又は複数のシンボルを表示画面上の潮流の表示位置に関連付ける。
【0015】
本発明のARナビゲーションシステムであって、さらに、移動体に取り付けられ画像を撮像して画像データを出力する画像センサと、画像センサの位置及び方位を含む画像センサ情報を受信する画像センサ情報部と、移動体を含む領域のチャートを示すチャート情報を受信するチャート情報部と、表示画面と、画像センサ情報に基づいて表示画面における潮流の表示位置を算出する位置算出部と、潮流の表示位置に対応する表示シンボルを生成し表示位置の画像に重畳して重畳画像を生成する潮流重畳部とを備えている。
【0016】
ここで、前記潮流重畳部は、さらに複数のシンボルを含むインディケータを受信し、表示画面上の重畳画像に表示シンボルを含むインディケータを重畳させインディケータ重畳画像を生成するようにしてもよい。表示画面は、重畳画像、インディケータ、及びインディケータ重畳画像のうちの少なくとも一つを表示する。
【0017】
本発明の潮流情報を表示画面に表示する潮流情報表示方法は、移動体を含む領域のチャート上の潮流の位置と、対応する1又は複数の時刻における当該位置での潮流の複数の予測潮流方向とを含む潮流情報を受信し、1又は複数の時刻に従って決定される時間スケールを含むインディケータを生成し、各時刻における時間スケール上の前記各潮流予測方向の位置を決定し、時間スケール上の各位置において前記各時刻における前記各予測潮流方向を示す複数のシンボルを生成し、時間スケールの基準軸の方向を表示画面の垂直軸とさせ、1又は複数のシンボルを含む前記インディケータを表示画面に出力する。
【0018】
本発明の潮流情報を電子計算機に実行させて表示画面に表示させる潮流情報表示プログラムは、移動体を含む領域のチャート上の潮流の位置と、対応する1又は複数の時刻における当該位置での潮流の複数の予測潮流方向とを含む潮流情報を受信するステップと、1又は複数の時刻に従って決定される時間スケールを含むインディケータを生成するステップと、各時刻における時間スケール上の前記各潮流予測方向の位置を決定するステップと、時間スケール上の各位置において前記各時刻における前記各予測潮流方向を示す複数のシンボルを生成するステップと、時間スケールの基準軸の方向を表示画面の垂直軸に一致させるステップと、1又は複数のシンボルを含む前記インディケータを表示画面に出力するステップとを含んでいる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の潮流情報表示装置によれば、時間の経過に伴って様々に方向や速度が変化する潮流の状態を視覚的に的確に把握することができる。また、このようなシンボルは、潮流の位置及び向きをカメラ画像の表面方位及び海面の位置に合わせることにより、船舶の周囲の画像に重ねて表示することができる。
【0020】
これにより、同一位置での潮流情報の経時変化をより視覚的、直感的に把握し海面上の潮流の状態を知ることができ、船舶のより安全な航行や燃費の節約に繋げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本主題の図示された実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解できることが期待される。ここで、同様の部分は全体を通して同様の数字で示される。以下の説明は、一例としてのみ意図されており、本明細書に請求される主題と一致するデバイス、システム、及びプロセスの特定の選択された実施形態を単に例示するものである。
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係る移動体(船舶等)の潮流情報を表示する潮流情報表示装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】潮流情報表示装置を用いたARナビゲーションシステムの全体構成を示す図である。
図3】移動体を含む領域の例示的なチャートを示す図である。
図4】船舶の船首方向を基準軸とする領域を示すローカルチャート(局所海図)を示す図である。
図5】潮流情報を示すための第1のタイプのインディケータを示す図である。
図6】第1のタイプのインディケータの時間スケール上をシンボルが移動する様子を示す図である。
図7】(A)チャート上に潮流情報を表示するための第2のタイプのインディケータを示す図である。(B)ローカルチャート上で潮流情報を表示するための第2のタイプのインディケータを示す図である。
図8】第1のタイプのインディケータを含むチャートの第1の表示を示す図である。
図9】第1のタイプのインディケータを含むローカルチャートの第1の表示を示す図である。
図10】(A)第2のタイプのインディケータを含むチャートの第2の表示を示す図である。(B)第2のタイプのインディケータを含むローカルチャートの第2の表示を示す図である。
図11】本発明の一実施形態による潮流情報を表示する方法を示すフローチャートである。
図12】潮流の位置情報を示すために生成された重畳画像を示す図である。
図13】表示画面上に潮流情報を表示するための第3のタイプのインディケータを示す図である。
図14】(A)第3のタイプのインディケータのシンボルの時間変化を示す図である。(B)第3のタイプのインディケータのシンボルの時間変化を示す図である。
図15】(A)各時刻の潮流情報を示す、シンボルに色を付した第3のタイプのインディケータを示す図である。(B)潮流速度に基づいてシンボルが決定される第3のタイプのインディケータを示す図である。
図16】潮流情報を示すために表示画面に表示される例示的な最終的な重畳画像を示す図である。
図17】潮流情報を示すために表示画面に表示される例示的な最終的な重畳画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここでは、装置例について説明する。本明細書に提示される主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の例示的な実施形態又は特徴をさらに利用し、他の変更を行ってもよい。以下の詳細な説明では、その一部を構成する添付図面を参照する。
【0024】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、限定するものではない。本明細書に一般的に記載され、図面に例示されている本開示の態様は、本明細書で明示的に意図されているように、多種多様な異なる構成で配列され、置換され、結合され、分離され、設計され得ることは容易に理解されるであろう。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係る潮流情報表示装置1の構成を示すブロック図である。図2は、潮流情報表示装置1を用いたARナビゲーションシステム2の全体構成を示す。本一実施形態において、潮流情報表示装置1はARナビゲーションシステム2に必要な部分である。本発明の他の実施形態では、潮流情報表示装置1は、ARナビゲーションシステム2に対して動作可能に接続することができる独立した装置として開示されている。ARナビゲーションシステム2の詳細については後述する。
【0026】
図3は、移動体11を含む領域301の例示的なチャート300を示す。ここでは船舶を例に説明するので、以下、適宜「船舶11」という。この船舶11は、自船でも、通信手段により他の船舶や陸上の監視局から遠隔で視る自船以外の船舶であってもよい。チャート300は、子午線面(上向きを北方位とする)に対する基準軸302を有する。チャート300は、様々な潮流303、304及び305と、船舶11を囲むサブ領域306とを示す。
【0027】
図4は、船舶11の船首方向に合わせた基準軸310を有するサブ領域306のローカルチャート308(船首を図中上向きにして)を示している。ローカルチャート308の基準軸310は、チャート300の基準軸302に対して角度θ1をなす。
【0028】
図1及び図3に示されるように、潮流情報表示装置1は、潮流情報受信部12、潮流表示データ生成部13及び表示画面14を備える。潮流情報受信部12は、船舶を含む領域301の水面Wにおける1又は複数の潮流303、304、305に関する潮流情報を受信して記憶する。ここでは、表示されるべき3つの潮流が存在する例を示している。潮流毎に、潮流情報は、チャート上の位置300と対応する複数の将来時刻における当該位置での複数の予測される方向及び速度とを含んでいる。潮流情報受信部12は、チャート300の基準軸に対する潮流の位置及び予想される将来の方向及び速度を受信し記憶する。ここに示す実施形態の説明では、時間が経過しても各潮流の位置は一定のままであり、その方向及び速度が変化し得ると仮定する。このように、潮流の向きや速度は時々刻々変化するのが普通であり、得られる潮流情報は同じ位置であっても異なる時刻の情報を含んでいる。
【0029】
本一実施形態において、潮流情報受信部12は、船舶11が出発時に予め潮流情報を取得し、あるいは出発後に周期的に通信手段により外部から潮流情報を取得し、各種潮流の位置毎に、将来時刻における予測された方向や速度をメモリ(図示は省略)に記憶する。潮流情報受信部12は、例えば、陸上局、全地球航法衛星システム(GNSS)受信機、電子チャート表示情報システム(ECDIS)、自動識別システム(AIS)受信機、レーダ装置等の外部通信装置に接続され、潮流情報を無線通信によって受信することができる。また、潮流情報受信部12は、船舶11に取り付けられたセンサからの潮流情報を受信し、気象や周囲の海洋情報に加えて、過去の測定値に基づいて潮流情報を予測してもよい。
【0030】
潮流毎に、潮流表示データ生成部13は様々な時刻に応じて決定される時間スケールを含むインディケータを生成した後、各時刻における時間スケール上の各潮流予測方向の位置を決定する。そして、各時刻における各潮流予測方向を示すシンボルを時間スケール上の各位置に対応させて複数生成し、複数のシンボルを含むインディケータを表示画面14に出力する。潮流表示データ生成部13は、表示画面14に表示された地理情報の基準軸に対して、各シンボルの時間スケール上の方向を決定する。ここでいう時間スケールとは、潮流の予測がなされている各時刻を示す時間軸をいう。これは直線で示される軸に限られず、後述するように同心円を用いた時間スケールも含まれる。
【0031】
以上の説明の通り、潮流情報表示装置1は、潮流303に関する潮流情報を生成して表示するものとして説明したが、当業者であれば、領域301の他の潮流についても同様にして潮流情報を生成して表示することができることは明らかである。
【0032】
続いて、線形時間スケール、即ち直線によって示される時間スケールによる表示について、図1図3及び図5を適宜参照して説明する。潮流表示データ生成部13は、予め定められた時刻t1、t2、t3、t4を含む直線である線形時間スケール404と、予め定められた時刻t5とt1、t2、t3、t4とを含む第1種のインディケータ402を生成する。潮流表示データ生成部13は、時間スケール404における潮流303の各予測潮流方向の各時刻における位置を決定し、時間スケール404上の各位置について複数のシンボル406を生成する。
【0033】
各シンボル406は、各時刻における予測潮流方向を示し、各時刻における直線上に位置している。時間スケール404の左端は、船舶11が存在する基準時刻t0を示しており、シンボル406は、予め定められた時間Tが経過する毎に潮流情報を表示する。潮流表示データ生成部13は、複数のシンボル406を含む第1種のインディケータ402を表示画面14に出力する。
【0034】
本一実施形態では、潮流表示データ生成部13は、時間スケール404上の各シンボル406の方向を、チャート300の基準軸302を基準として決定し、チャート300上で表示画面14上に第1のタイプのインディケータ402を表示する。他の実施形態では、潮流表示データ生成部13は、時間スケール404上の各シンボル406の方向を、ローカルチャート308の基準軸310を基準として決定し、表示画面14上のローカルチャート308上に第1のタイプのインディケータ402を表示する。
【0035】
図6は、シンボル406が時間スケール404上で時間の経過に伴って移動する様子を示している。時間が経過すると、時間スケール404に表示されているシンボル406が左に移動し、現在の潮流情報は常に時間スケール404の左端に表示される。例えば、期間Tが経過すると、時間スケールAのt1に表示されていたシンボル406は、時間スケールBの左端の位置t0に表示され、期間Tが経過すると、時刻Aのt2に表示されていたシンボル406は、時間スケールCの左端の位置t0に表示される。
【0036】
図1図3図5図7(A)及び図7(B)をそれぞれ参照して説明する。潮流表示データ生成部13は、表示画面14上のチャート300に表示するための同心円型の時間スケール504を含む第2のタイプのインディケータ502と、表示画面14上のローカルチャート308に表示するための同心円型の時間スケール508を含む第2のタイプのインディケータ506を生成する。第2のタイプのインディケータ502は、チャート300の基準軸302に関して基準軸を有し、他方の第2のタイプのインディケータ506は、ローカルチャート308の基準軸310に関して基準軸を有する。
【0037】
同心円型時間スケール504、508の各々は複数の同心円を有し、各同心円の半径は複数の時刻t0からt5の各時刻に対応する。本一実施形態では、最小半径の同心円は現在時刻t0に対応し、最大半径の同心円は時刻t5に対応している。
【0038】
第2のタイプのインディケータ502では、各シンボル510が各時刻の同心円上に位置し、その時刻における潮流303の予想潮流方向をチャート300上に示している。各シンボル510の方向は各時刻における潮流303の予測方向をチャート300上に示している。
【0039】
第2のタイプのインディケータ506では、各シンボル512は各時刻の同心円上に位置し、その時刻におけるローカルチャート308上の潮流303の予測潮流方向を示す。各シンボル512の向きは各時刻308のチャートにおける潮流303の向きを示している。
【0040】
付加的に或いは任意に、第2のタイプのインディケータ506は、第2のタイプのインディケータ502を、基準軸302及び310間の角度だけ反時計回りの方向に回転させることによって生成することもできる。
【0041】
ここで、シンボル510、512は時間の経過に伴って外部から内部へそれぞれ同心の時間スケール504、508上を移動する。
【0042】
図8は、本一実施形態による、様々な時刻における潮流303の予測潮流方向を示すための第1のタイプのインディケータ402を含むチャート300の第1の表示600を示す。
【0043】
表示画面14はチャート300を受信して表示し、複数のシンボル406を含む第1のタイプのインディケータ402を受信して表示し、チャート300上の対応する潮流303の位置にチャート300上に第1のタイプのインディケータ402を表示する。なお、各シンボル406の時間スケール404上の方向はチャート300の基準軸302に対して決定される。また、時間スケール404は基準軸302に対して垂直に、即ち本一実施形態では画面に対して水平に表示される。図示していないが、表示画面14はチャート情報を受信して記憶し、第1のタイプのインディケータ402を含む第1の表示600を生成することができる。
【0044】
図9は、本一実施形態による、様々な時刻におけるローカルチャート308上の潮流303の予測潮流方向を示す別の第1のタイプのインディケータ604を含む、ローカルチャート308の第1の表示602を示す。
【0045】
表示画面14は、チャート300の一部をローカルチャート308として受信して表示するとともに、複数のシンボル606を含む第1のタイプのインディケータ604を線形時間スケール608として受信し、第1のタイプのインディケータ604をローカルチャート308上の潮流303の位置に表示する。なお、各シンボル606の時間スケール608上の方向はローカルチャート308の基準軸310に対して決定される。また、時間スケール608は基準軸310に対して垂直に表示される。付加的に或いは任意に、第1のタイプのインディケータ606は、第1のタイプのインディケータ402を基準軸302と310の間の角度差分θ1だけ回転させることによって生成することができる。
【0046】
さらに、任意に、シンボル406、510、512及び606の各々は、潮流303の対応する潮流方向を示す矢印としてもよい。矢印の長さ、矢印の太さ、矢印の色を含む各シンボルの特性は、対応する潮流303の予測速度に基づいて変化する。従って、各時間スケールにおいて、ある時点における矢印の方向はその時点における予測される潮流303の方向を示し、ある時点における矢印の長さはその時点における潮流303の速度を示すようにしてもよい。
【0047】
図10(A)は、様々な時刻におけるチャート300上の潮流303の予測潮流方向を示すための第2のタイプのインディケータ502を含むチャート300の第2の表示700を示す。表示画面14は、チャート300を受信して表示し、複数のシンボル510を含む第2のタイプのインディケータ502を受信し、チャート300上の潮流303の位置に潮流303の予測される潮流方向を種々の時刻で示す第2のタイプのインディケータ502をチャート300上に表示する。
【0048】
図10(B)はローカルチャート308の別の表示702を示し、第2のタイプのインディケータ506を含み、それぞれの時刻におけるローカルチャート308上の潮流303の予測潮流方向を示す。表示画面14はチャート300の一部をローカルチャート308として受信して表示するとともに、複数のシンボル512を含む第2種のインディケータ506を受信し、ローカルチャート308上の潮流303の位置に第2のタイプのインディケータ506をローカルチャート308上に表示して、潮流303のそれぞれの時刻における予想潮流方向をローカルチャート308上に示す。
【0049】
なお、潮流の向きや速度を示す同心円時間スケール上の各シンボルの位置は、直線時間スケールに比べて、潮流を示すシンボルが円周上のどこにあるかを見ることにより、より直感的かつ視覚的に把握することができる。線形時間スケールでは、表示の垂直方向のスペースが少なくて済みます。但し、シンボルが重ならないように、水平方向に比較的大きなスペースが必要です。一方、同心円時間スケールは、垂直方向、水平方向ともに比較的小さな空間に表示することができる。
【0050】
ここでは、様々な時刻における潮流303の予測される潮流の方向を表示するために、線形時間スケール404及び608、及び同心円型時間スケール504及び508が例示されているが、時間スケールの他の構成も可能であることは当業者には明らかであろう。
【0051】
図11は、本開示の一実施形態による、表示画面14上に潮流情報を表示する方法のフローチャートである。方法は、図1を参照して説明されている。
【0052】
ステップ802では、潮流情報受信部12は、船舶11を含む領域301のチャート300上における潮流303の位置と、その位置における潮流303の複数の予想潮流方向とを含む潮流情報を、対応する複数の時刻に受信する。
【0053】
ステップ804において、潮流表示データ生成部13は、複数の時刻に応じて決定される時間スケールを含むインディケータを生成する。
【0054】
ステップ806では、潮流表示データ生成部13は、各時刻における時間スケール上の予想潮流方向の位置を決定する。
【0055】
ステップ808において、潮流表示データ生成部13は、時間スケール上の位置毎に、各時刻における予想潮流方向を示す複数のシンボルを生成する。
【0056】
ステップ810において、潮流表示データ生成部13は、表示画面14に表示された地理情報の基準軸に対する各シンボルの方向を決定する。
【0057】
ステップ812において、潮流表示データ生成部13は、複数のシンボルを含むインディケータを表示画面14に出力する。
【0058】
次に、ARナビゲーションシステム2の全体構成について、図2を参照して詳細に説明する。ARベースのナビゲーション装置2は、船舶11に搭載され、自律的に、又は少なくとも半自律的に、ユーザが船舶11を横断してナビゲートするのを容易にする。ARベースのナビゲーション装置2は、ユーザが理解しやすいように、船舶の周囲のライブ画像にライブ潮流情報を重畳することにより、ユーザが船舶11をナビゲーションすることを可能にする。ARベースのナビゲーション装置2はまた、本開示と一致する様々な機能を実行するためにユーザが操作することができるキーボード及びマウスを含むが、これらに限定されない様々な周辺装置に接続することができる。
【0059】
ARナビゲーションシステム2は、船舶11に取り付けられた画像センサ20を含む。画像センサ20(以下、カメラ20とも称する)は、船舶11に取り付けることができる。カメラ20は、例えば、船舶11の周囲の近傍又は少なくとも一部の周囲の水面Wを撮像する制限視野角又は広角ビデオカメラとして構成することができる。このカメラ20は、撮像結果である映像データ(画像データ)をリアルタイムに生成し、映像データ受信部25に出力して表示画面14に表示するライブ出力機能を有していてもよい。カメラ20は、撮像方向が概ね船体前方の水面Wに向くように、船舶11内に設置されてもよい。カメラ20は、回転機構(図示されない)を介して船舶11に取り付けることができるので、船舶11の船体を基準として撮像方向を所定の角度範囲で変更することができる。また、波浪等により船舶11の高さや姿勢が変化することがあるので、カメラ20の水面Wに対する高さhが変化することがある。
【0060】
ARナビゲーションシステム2は、例えば、船舶11を操作する船舶運航者が参照するナビゲーション支援装置の一部を構成する表示画面として構成される表示画面14を備える。ただし、表示画面14は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、船舶11から周囲の状況を監視する船舶運航補助者が携帯する携帯型コンピュータの表示画面、船舶11の船室内で乗客が見るための表示画面、あるいは、乗客が装着するウェアラブルガラス等のヘッドマウントディスプレイの表示部であってもよい。本開示の一実施形態では、表示画面14は、画像データ受信部25によって生成された画像データを表示するように構成される。
【0061】
また、ARナビゲーションシステム2は、画像センサ情報部22と、チャート情報部23と、潮流情報受信部12と、処理回路24と、画像データ受信部25とを備える。処理回路24は、潮流選択部241と、位置算出部242と、潮流情報重畳部243と、潮流表示データ生成部13とを含む。本開示の文脈において、処理回路24は、プロセッサ、コンピュータ、マイクロコントローラ、又は操作パネル及びメモリなどの様々なコンポーネントの動作を制御する他の回路を含む。処理回路24ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は他の命令を実行することができ、それらは、例えば、揮発性又は不揮発性メモリに記憶されるか、又は他の方法で処理回路24に提供される。
【0062】
画像センサ情報部22は、チャート300の基準軸302に対する画像センサ20の位置及び方位を含む画像センサ情報を受信し記憶する。本一実施形態では、画像センサ20は船舶11に固定して取り付けられているので、画像センサ20の位置は船舶11の位置と同様であると仮定され、船舶11の方位を使用して画像センサ20の方位を決定することができ、逆もまた同様である。
【0063】
チャート情報部23は、予め記憶された電子チャート情報に基づいて船舶11を含む領域301のチャート300を受信して記憶する。
【0064】
潮流選択部241は、チャート情報部23から領域301のチャート300、画像センサ情報部22から画像センサ20の方位及び位置をそれぞれ受信し、画像センサ20の視野(FoV)に基づいて、チャート300のサブ領域306を決定する。潮流選択部241は、潮流情報受信部12からの潮流情報に基づいてサブ領域306における第1及び第2の潮流303、304を選択する。ここでは、二つの潮流が選択されるように示されているが、潮流選択部241は、サブ領域306内にある二つより多い潮流又は二つより少ない潮流どちらを選択してもよいことは当業者には明らかである。
【0065】
位置算出部242は、画像センサ情報に基づいて選択された各潮流303、304の表示画面14における表示位置を算出する。具体的には、位置算出部242は、表示画面14に表示される画像上の潮流303、304の表示座標を算出する。
【0066】
図2及び図12をそれぞれ参照すると、潮流重畳部243は、画像データ受信部25から船舶11の周囲の画像900を受信し、表示画面14上の潮流303、304の表示位置に対応する表示シンボル902、904をそれぞれ生成する。潮流重畳部243は、表示シンボル303、304を画像900の各表示位置に重畳して重畳画像902を生成する。
【0067】
ARナビゲーションシステム2は、潮流303に関する潮流情報を生成し表示するために説明されてきたが、当業者であれば、領域301の他の潮流に関する潮流情報も同様に生成し表示することが可能であることは明らかである。
【0068】
図2において、潮流表示データ生成部13は、位置算出部242から潮流303の表示画面14上の表示位置を受信し、潮流情報受信部12から潮流303の複数の予想潮流方向を種々の時刻に受信する。その後、潮流表示データ生成部13は、複数の時刻に応じて決定される時間スケールを含む表示器を生成し、複数のシンボルを含む表示器を潮流303の表示画面14上の表示位置に関連付ける。
【0069】
本一実施形態では、インディケータは、表示画面の垂直軸に垂直な線形時間スケールを含む第1のタイプのインディケータ14(402、604)である。
【0070】
本発明の別の実施形態では、インディケータは同心円時間スケールを含む第2のタイプのインディケータ(502、506)であり、基準軸は表示画面14の垂直軸と一致する。この基準軸を一致させることにより、潮流情報が示す潮流303の向きと撮像した画像センサ20の向きとが一致する。
【0071】
本発明のさらに別の実施形態では、インディケータは、図13に図示される同心楕円タイプの時間スケールを含んでいる。図13は、様々な時刻における潮流303の予測潮流方向を表示画面14に表示するための第3のタイプのインディケータ1002を示す。
【0072】
第3のタイプのインディケータ1002は、表示画面14の垂直軸と一致する短軸を有する同心楕円タイプの時間スケール1004を有している。同心円型時間スケール1004は、複数の同心楕円を含んでおり、各同心楕円の半径は複数の時刻に対応する。同心円型時間スケール1004は、予測潮流方向に対応する位置の同心円の円周上に配置されたシンボル1006を含んでいる。各シンボル1006の位置は各時刻における潮流303の予測方向を表示画面14に示す。
【0073】
付加的に或いは任意に、第3のタイプのインディケータ1002は、別の第2のタイプのインディケータ506を水平方向に座標変換することによって生成することができる。この座標変換は、船体に取り付けられた画像センサ20の俯角と、その水面Wからの高さhとに応じて正確に行うことができるので、別の第2のタイプのインディケータ506を水平面に対して略角度傾斜させて、第3のタイプのインディケータ1002を画像センサ20によって撮像された画像において海面に対して平行にすることにより、潮流303の状態を把握しやすくなる。
【0074】
図14(A)及び図14(B)は、同心円型時間スケール1004のシンボル1006の時間の経過に伴う移動を示す。図14(A)は現在の時刻における同心円型時間スケール1004の状態を示し、図14(B)は設定した所定時間を経過した次の時刻における同心円型時間スケール1004の状態を示す。シンボル1006は時間の経過とともに外側から内側に移動する。具体的には、同心円楕円に対応する時刻が所定の期間Tだけ離れている場合、所定の各期間経過の終了時に、各シンボルが同心円型時間スケール1004の中心に一つの同心円分近づく。
【0075】
図15(A)は、同心円型時間スケール1004において、各時刻における潮流情報を示すシンボル1006がそれぞれの速度に応じて色分けされている状態を示している。図15(B)は、シンボルの大きさや形状、例えばその長さや幅をそれぞれの速度に基づいて決定した状態の同心円型時間スケール1004を示している。
【0076】
それぞれのシンボル1006は表示画面14上の潮流303の予測電流方向を示す矢印である。矢印の長さ、矢印の太さ、矢印の色を含む各シンボル1006の特性は、対応する潮流303の予測速度に基づいて変化する。例えば、画像上の弱い(動きの遅い)潮流を示すために、短い又は薄いサイズの矢印を使用することができる。さらに、このような矢印は、緑色又は黄色を使用して描画することができる。あるいは、画像上の強い(動きの速い)潮流を示すために、長い又は太いサイズの矢印を使用してもよい。長い及び/又は厚いサイズの矢印は、例えば、赤色を使用することでさらにグラフィカルに表示することもできる。
【0077】
さらに、シンボル1006は、それぞれの潮流の深さに基づいて生成され、それを示すことができる。なお、上述したシンボルの説明において、シンボル1006の特徴は、特定の形状、大きさ、色に限定されるものではない。これらの特性、すなわち、形状、サイズ、及び色は、1つ以上の海事規則要件及び/又は他のアプリケーション固有の要件に適合するように変化させることができる。
【0078】
図2に戻って、潮流重畳部243は、潮流表示データ生成部13から第3のタイプのインディケータ1002等のインディケータを複数のシンボル1006を含めて受信する。ここで、第3のタイプのインディケータ1002は潮流303の表示画面14上の表示位置に関連付けられている。
【0079】
図2図12及び図13を適宜参照して、潮流重畳部243は、表示画面14上の表示シンボル902の上方位置において重畳画像900に第3のタイプのインディケータ1002を重畳して最終重畳画像を生成して表示画面14に出力して表示させる。
【0080】
図16は、表示画面14に表示される例示的な最終的な重畳画像1302を示す。この画像1302では、インディケータ1002が潮流の方向を示しており、中心から外側に向けて同心円状に四重に設けられており、外側の円は先の時間を示している。
【0081】
最終的な重畳画像1302は、その表示位置上の各潮流に対する潮流情報の存在を示す表示シンボル902を含んでいる。各種のポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、タッチパネルなど)により表示シンボル902が選択されると、表示シンボル902の上部に表示器1002が枠付きで表示される。ユーザは、表示シンボル902を再度選択することでインディケータ1002を隠すことができ、ユーザの操作に応じて潮流情報を選択的に表示することができる。フレーム内の情報は、三角形の矢印と数値で方向を示し、数値で速度を示すことができる。
【0082】
図17は、第3のタイプのインディケータ1002にある二つの同心楕円を含む最終的な重畳画像1304を示している。本実施形態では、表示する時間情報を少なくしても、簡単で使いやすく、毎回矢印を選択することなく数値を表示する。
【0083】
また、潮流表示データ生成部13は、潮流重畳部243への出力に代えて、インディケータ1002を表示画面14へ直接出力するようにしてもよい。この場合、重畳画像900は表示画面14に表示され、インディケータ1002は同一表示画面14にサブディスプレイとして表示される。
【0084】
サブディスプレイは、船舶11の進行方向に対して基準軸を有することができる。表示器1002は、表示画面14に表示された潮流303に対応付けられている。また、表示画面14の背面ディスプレイにインディケータ1002が表示されている場合には、潮流303の位置を示す表示シンボル902と背面ディスプレイとをポインタ等で対応付けてもよい。
【0085】
或いは、表示画面14は、表示画面14に重畳画像900を表示し、別の表示画面にインディケータ1002を表示する。他の表示画面は、船舶11の進行方向に対して基準軸を有していてもよい。別の表示画面は、インディケータ1002に対応する識別番号によって識別されてもよい。
【0086】
本開示の様々な実施形態は、潮流情報が船舶等の移動体の周囲の画像に重畳されたときに、潮流の位置、方向及び速度を時間と共に視覚的及び直感的に捉えることを容易にする。また、本発明の装置等は、海上を航行する船舶のみならず、例えば、海、湖、川等を航行可能な任意の水上移動体にも広く適用可能である。
【0087】
以上が本発明の実施形態の例示であるが、すべての目的又は効果、利点が、本明細書に記載される任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではない。従って、例えば、当業者は、特定の実施形態が、本明細書で教示又は示唆されるような他の目的又は効果/利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されることを理解するであろう。1つ以上の効果或いは利点を達成又は最適化するように構成されていることが必要である。
【0088】
本明細書に記載されるすべてのプロセスは、1つ以上のコンピュータ又はプロセッサを含み、完全に自動化され得るコンピューティングシステムによって実行されるソフトウェアコード部によって具現化され得る。コード部は、任意のタイプの非一過性コンピュータ可読媒体又は他のコンピュータ記憶装置に記憶することができる。一部又は全ての方法は、専用のコンピュータ・ハードウェア内で具体化され得る。
【0089】
本開示から明らかなように、本明細書に記載したもの以外にも多くの変形がある。例えば、実施形態に依存して、本明細書に記載されたアルゴリズムのいずれかの特定のアクション、イベント、又は機能は、異なるシーケンスで実行されてもよく、追加されてもよく、併合されてもよく、又は完全に除外されてもよい。(たとえば、説明されているすべてのアクション又はイベントがアルゴリズムの実行に必要なわけではありません。)
【0090】
さらに、特定の実施形態では、動作又はイベントは、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサ又はプロセッサコアを介して、又は他の並列アーキテクチャ上で、順次ではなく並列で実行される。できます。さらに、異なるタスク又はプロセスは、一緒に動作することができる異なるマシン及び/又はコンピューティングシステムによって実行することができる。
【0091】
本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的論理ブロック及び部は、プロセッサなどのマシンによって実施又は実行され得る。プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代わりに、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシン、又はそれらの組み合わせであってもよい。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態では、プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサはまた、デジタル信号プロセッサ(デジタル信号処理装置)及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又はそれらの任意の他のものなどのコンピューティングデバイスの組み合わせであってもよい。このような構成として実装できます。本明細書では主にデジタル技術に関して説明するが、プロセッサは主にアナログデバイスを含んでもよい。例えば、本明細書に記載される信号処理アルゴリズムのいくつか又はすべては、アナログ回路又は混合アナログ及びデジタル回路によって実施することができる。コンピューティング環境には、マイクロプロセッサ、メインフレーム・コンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブル・コンピューティング・デバイス、デバイス・コントローラ、又はデバイス内のコンピューティング・エンジンに基づく任意のタイプのコンピュータ・システムが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
本明細書に記載され、かつ/又は添付の図面に示されるフロー図における任意のプロセス記述、要素又はブロックは、プロセスにおける特定の論理機能又は要素を実装するための1つ以上の実行可能な命令である。を含む、部、セグメント、又はコードの一部を潜在的に表していると理解する必要があります。代替的な実施形態は、本明細書に記載された実施形態の範囲内に含まれ、ここで、要素又は機能は、当業者に理解されるように、関与する機能性に応じて実質的である。
【0093】
特段の記載がない限り、「1」のような数字は、一般に、1つ以上の記載項目を含むものと解釈されるべきである。従って、「~するように構成された一つの装置」などの用語は、1つ以上のリストされたデバイスを含むことを意図している。このような列挙された装置のうちの1つ以上は、記載された引用を実行するように集合的に構成することもできる。例えば、「以下のA、B、Cを実行するように構成されたプロセッサー」は、Aを実行するように構成された第1のプロセッサ、及びBとCを実行するように構成された第2のプロセッサと解釈できる。さらに、導入された例の具体的な数の列挙が明示的に列挙される場合であっても、そのような列挙が典型的には少なくとも列挙された数であることを意味する。「2つの列挙」の単なる列挙は、少なくとも2つの列挙又は2つ以上の列挙を意味するものと解釈されるべきである。
【0094】
上述の実施形態に多くの修正及び修正を加えることができ、それらの要素は、他の許容可能な例の中にあるものとして理解されるべきである。このようなすべての変更及び修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図され、以下の特許請求の範囲によって保護される。
【符号の説明】
【0095】
1 潮流情報表示装置
2 ARナビゲーションシステム
11 移動体(船舶)
12 潮流情報受信部
13 潮流表示データ生成部
14 表示画面
20 画像センサ(カメラ)
22 画像センサ情報部
23 チャート情報部
24 処理回路
25 映像データ受信部
241 潮流選択部
242 位置算出部
243 潮流情報重畳部
300 チャート
302 基準軸
303 潮流
304 潮流
305 潮流
306 サブ領域
308 ローカルチャート
310 基準軸
402 1のタイプのインディケータ
406 シンボル
404 時間スケール
502 第2のタイプのインディケータ
504 同心円型時間スケール
506 第2のタイプのインディケータ
508 同心円型の時間スケール
510 シンボル
512 シンボル
600 第1のディスプレイ
602 第1の表示
604 第1のタイプのインディケータ
606 シンボル
608 線形時間スケール
700 第2のディスプレイ
702 表示
900 重畳画像
902 重畳画像
904 表示シンボル
1002 第3のタイプのインディケータ
1004 同心楕円タイプの時間スケール
1006 シンボル
1302 最終的な重畳画像
1304 第3のタイプのインディケータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17