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特許7359815抵抗スポット溶接方法及び抵抗スポット溶接装置
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  • 特許-抵抗スポット溶接方法及び抵抗スポット溶接装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】抵抗スポット溶接方法及び抵抗スポット溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/11 20060101AFI20231003BHJP
   B23K 11/16 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B23K11/11 593Z
B23K11/11 540
B23K11/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021153185
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023045014
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安田 圭吾
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-093726(JP,A)
【文献】実開昭57-152388(JP,U)
【文献】特開2019-171450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0001428(US,A1)
【文献】特開平08-118038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/00 - 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鋼板が重ね合わされたワークを抵抗スポット溶接装置により溶接する工程を備える抵抗スポット溶接方法であって、
前記抵抗スポット溶接装置は、
前記複数の鋼板のうち高張力鋼板である第1鋼板に接触するように構成された第1電極と、
前記複数の鋼板のうち前記第1鋼板よりも引張強さが小さい第2鋼板に接触し、前記第1電極と共に前記ワークを挟むように構成された第2電極と、
を備え、
前記溶接する工程では、少なくとも前記ワークの溶接中から前記ワークの溶接後の冷却が完了するまで、前記第1鋼板の厚み方向と交差する方向に前記第1鋼板を圧縮する、抵抗スポット溶接方法。
【請求項2】
請求項1に記載の抵抗スポット溶接方法であって、
前記溶接する工程では、前記ワークの溶接開始前から、前記第1鋼板の厚み方向と交差する方向に前記第1鋼板を圧縮する、抵抗スポット溶接方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の抵抗スポット溶接方法であって、
前記溶接する工程では、互いに対向する第1加圧部及び第2加圧部によって前記第1鋼板を挟むことで、前記第1鋼板の厚み方向と交差する方向に前記第1鋼板の溶接部分を圧縮する、抵抗スポット溶接方法。
【請求項4】
複数の鋼板が重ね合わされたワークを溶接するように構成された抵抗スポット溶接装置であって、
前記複数の鋼板のうち高張力鋼板である第1鋼板に接触するように構成された第1電極と、
前記複数の鋼板のうち前記第1鋼板よりも引張強さが小さい第2鋼板に接触し、前記第1電極と共に前記ワークを挟むように構成された第2電極と、
少なくとも前記ワークの溶接中から前記ワークの溶接後の冷却が完了するまで、前記第1鋼板の厚み方向と交差する方向に前記第1鋼板を圧縮するように構成された圧縮機構と、
を備える、抵抗スポット溶接装置。
【請求項5】
請求項4に記載の抵抗スポット溶接装置であって、
前記圧縮機構は、前記ワークの溶接開始前から、前記第1鋼板の厚み方向と交差する方向に前記第1鋼板を圧縮するように構成される、抵抗スポット溶接装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の抵抗スポット溶接装置であって、
前記圧縮機構は、互いに対向する第1加圧部及び第2加圧部を有し、
前記第1加圧部及び前記第2加圧部は、前記第1鋼板を挟むことで、前記第1鋼板の厚み方向と交差する方向に前記第1鋼板の溶接部分を圧縮するように構成される、抵抗スポット溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抵抗スポット溶接方法及び抵抗スポット溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引張強さの大きい高張力鋼板(いわゆるハイテン材)のスポット抵抗溶接において、溶接部分には、電極による加圧が解除された際に引張応力が発生する。この引張応力は、材料の復元力と、溶融部の凝固とに起因する。
【0003】
このような引張応力によって、溶接後の溶接部分に割れが生じ得る。そこで、鋼板の亜鉛成分量の規定によって割れを抑制する方法が考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-179413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の抵抗スポット溶接方法では、亜鉛成分量の調整が必要であるため、鋼板の材質が限定される。また、亜鉛成分量を規定の範囲にするために、試作を繰り返し行う必要がある。
【0006】
本開示の一局面は、材質の制限を受けずに高張力鋼板の割れを抑制できる抵抗スポット溶接方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、複数の鋼板が重ね合わされたワークを抵抗スポット溶接装置により溶接する工程を備える抵抗スポット溶接方法である。抵抗スポット溶接装置は、複数の鋼板のうち高張力鋼板である第1鋼板に接触するように構成された第1電極と、複数の鋼板のうち第1鋼板よりも引張強さが小さい第2鋼板に接触し、第1電極と共にワークを挟むように構成された第2電極と、を備える。溶接する工程では、少なくともワークの溶接中からワークの溶接完了まで、第1鋼板の厚み方向と交差する方向に第1鋼板を圧縮する。
【0008】
このような構成によれば、高張力鋼板である第1鋼板に圧縮応力が発生した状態でワークが溶接される。その結果、溶接後に発生する引張応力が圧縮応力によって相殺されることで、第1鋼板の割れが抑制される。
【0009】
本開示の一態様では、溶接する工程では、ワークの溶接後の冷却が完了するまで、第1鋼板の厚み方向と交差する方向に第1鋼板を圧縮してもよい。このような構成によれば、引張応力の発生が終了する冷却完了後まで第1鋼板に圧縮応力が発生し続けるため、割れの抑制効果を促進できる。
【0010】
本開示の一態様では、溶接する工程では、ワークの溶接開始前から、第1鋼板の厚み方向と交差する方向に第1鋼板を圧縮してもよい。このような構成によれば、第1鋼板が動的に安定した状態でワークの溶接を開始することができる。その結果、溶接の品質を向上できる。
【0011】
本開示の一態様では、溶接する工程では、互いに対向する第1加圧部及び第2加圧部によって第1鋼板を挟むことで、第1鋼板の厚み方向と交差する方向に第1鋼板の溶接部分を圧縮してもよい。このような構成によれば、安定して第1鋼板に圧縮応力を付与することができる。
【0012】
本開示の別の態様は、複数の鋼板が重ね合わされたワークを溶接するように構成された抵抗スポット溶接装置である。抵抗スポット溶接装置は、複数の鋼板のうち高張力鋼板である第1鋼板に接触するように構成された第1電極と、複数の鋼板のうち第1鋼板よりも引張強さが小さい第2鋼板に接触し、第1電極と共にワークを挟むように構成された第2電極と、少なくともワークの溶接中からワークの溶接完了まで、第1鋼板の厚み方向と交差する方向に第1鋼板を圧縮するように構成された圧縮機構と、を備える。
【0013】
このような構成によれば、溶接後に発生する引張応力が圧縮応力によって相殺されることで、第1鋼板の割れが抑制される。
【0014】
本開示の一態様では、圧縮機構は、ワークの溶接後の冷却が完了するまで、第1鋼板の厚み方向と交差する方向に第1鋼板を圧縮するように構成されてもよい。このような構成によれば、引張応力の発生が終了する冷却完了後まで第1鋼板に圧縮応力が発生し続けるため、割れの抑制効果を促進できる。
【0015】
本開示の一態様では、圧縮機構は、ワークの溶接開始前から、第1鋼板の厚み方向と交差する方向に第1鋼板を圧縮するように構成されてもよい。このような構成によれば、第1鋼板が動的に安定した状態で溶接を開始することができる。その結果、溶接の品質を向上できる。
【0016】
本開示の一態様では、圧縮機構は、互いに対向する第1加圧部及び第2加圧部を有してもよい。第1加圧部及び第2加圧部は、第1鋼板を挟むことで、第1鋼板の厚み方向と交差する方向に第1鋼板の溶接部分を圧縮するように構成されてもよい。このような構成によれば、的確に第1鋼板に圧縮応力を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態における抵抗スポット溶接装置の模式図である。
図2図2Aは、抵抗スポット溶接装置によるワークの溶接の一工程を示す模式図であり、図2Bは、図2Aの次の工程を示す模式図であり、図2Cは、図2Bの次の工程を示す模式図である。
図3図3Aは、図2Cの次の工程を示す模式図であり、図3Bは、図3Aの次の工程を示す模式図である。
図4図4は、実施形態における抵抗スポット溶接方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す抵抗スポット溶接装置1は、第1鋼板P1と第2鋼板P2とが重ね合わされたワークWを溶接するように構成されている。抵抗スポット溶接装置1は、抵抗溶接機2と、圧縮機構3とを有する。
【0019】
第1鋼板P1は、いわゆる高張力鋼板であり、引張強さが980MPa以上3000MPa以下である。第1鋼板P1の引張強さとしては、1180MPa以上が好ましい。第2鋼板P2は、引張強さが270Mpa以上980MPa未満である非高張力鋼板であるか、又は、引張強さが第1鋼板P1の引張強さよりも小さい高張力鋼板である。本実施形態では、第2鋼板P2が第1鋼板P1の上に重ね合わされている。
【0020】
第1鋼板P1は、溶接部分Xにおいて、第2鋼板P2と接触している。また、第1鋼板P1は、第2鋼板P2から厚み方向に離れた領域も有する。つまり、ワークWは、第1鋼板P1と第2鋼板P2との間に設けられた空隙Sを有する。
【0021】
ワークWは、下方に突出した凸部W1を有し、溶接部分Xは、凸部W1内に配置されている。第2鋼板P2は、第1鋼板P1のうち、凸部W1を構成している湾曲部の内側に配置されている。
【0022】
<抵抗溶接機>
抵抗溶接機2は、ワークWとして配置された第1鋼板P1と第2鋼板P2とを厚み方向に抵抗スポット溶接する。
【0023】
抵抗溶接機2は、第1電極21と、第2電極22とを備える。第1電極21は、ワークWの下方に配置されている。第2電極22は、ワークWの上方において、第1電極21と共にワークWを厚み方向に挟むように配置されている。第1電極21は、第2電極22に対し、相対的に上下方向に移動可能である。
【0024】
第1電極21及び第2電極22は、それぞれ、溶接時にワークWに接触する。具体的には、第1電極21は、第1鋼板P1に接触するように構成されている。第2電極22は、第2鋼板P2に接触するように構成されている。第1電極21と第2電極22との間には、溶接電流がワークWを介して流れる。
【0025】
<圧縮機構>
圧縮機構3は、少なくともワークWの溶接中からワークWの溶接完了まで、第1鋼板P1の厚み方向と交差する方向に第1鋼板P1を圧縮するように構成されている。
【0026】
具体的には、圧縮機構3は、ワークWの溶接開始前から、ワークWの溶接後の冷却が完了するまで、第1鋼板P1を圧縮し続ける。圧縮機構3は、台座31と、第1加圧部32と、第2加圧部33と、駆動部34とを有する。
【0027】
台座31は、ワークWを保持する部位である。台座31には、ワークWのうち、凸部W1の周辺部が載置されている。台座31は、上下方向において溶接部分Xと重ならないように配置されている。
【0028】
第1加圧部32及び第2加圧部33は、水平方向において互いに対向するように配置されている。第1加圧部32及び第2加圧部33は、第1鋼板P1のうち少なくとも溶接部分Xを含む部位を、厚み方向と交差する方向(具体的には厚み方向と直交する方向)に挟むことで圧縮する。
【0029】
駆動部34は、第2加圧部33を水平方向に移動させる。駆動部34は、例えば、油圧、気圧、電力、バネ等で動作するシリンダーである。第2加圧部33は、駆動部34によって、第1加圧部32へ近づく方向、及び第1加圧部32から離れる方向に移動する。
【0030】
図2Aに示すように、溶接の開始前(つまり、第1電極21及び第2電極22がワークWから離れている状態)では、第1加圧部32のみがワークWに接触する。具体的には、第1加圧部32は、ワークWの凸部W1に対し、外側から接触している。
【0031】
図2Aの状態から、第2加圧部33が第1加圧部32に向かって移動することで、図2Bに示すように、ワークWの凸部W1が第1加圧部32と第2加圧部33とによって挟まれる。これにより、凸部W1の底壁を構成する第1鋼板P1の部位が、厚み方向と交差する方向(具体的は厚み方向と直交する方向)に圧縮される。
【0032】
なお、本実施形態では、第2鋼板P2は、凸部W1を構成する第1鋼板P1の内部に配置されており、第1加圧部32及び第2加圧部33によって厚み方向と交差する方向に直接圧縮されない。ただし、第2鋼板P2は、第1鋼板P1よりも小さい圧縮力で厚み方向と交差する方向に圧縮されてもよい。
【0033】
このように第1鋼板P1が圧縮された状態で、図2Cに示すように、抵抗溶接機2が第1電極21及び第2電極22を移動させることで、第1電極21及び第2電極22によってワークWが厚み方向に加圧される。
【0034】
なお、第1電極21及び第2電極22によるワークWの加圧後に、第1加圧部32及び第2加圧部33によって第1鋼板P1が圧縮されてもよい。また、本実施形態では、第1電極21及び第2電極22がワークWを挟む方向は、第1鋼板P1の厚み方向に対し傾斜している。ただし、第1電極21及び第2電極22がワークWを挟む方向は、第1鋼板P1の厚み方向と平行であってもよい。
【0035】
抵抗スポット溶接装置1がワークWを挟んだ第1電極21及び第2電極22間に電流を供給することで、ワークWの溶接が行われる。ワークWの溶接の進行により、ワークWの溶接部分にナゲットNが形成される。
【0036】
つまり、抵抗スポット溶接装置1は、第1鋼板P1の溶接部分を厚み方向と交差する方向に圧縮しながら、ワークWの溶接を行う。抵抗スポット溶接装置1による溶接により、ワークWの溶接部分において第1鋼板P1と第2鋼板P2とがナゲットNによって厚み方向に接合される。
【0037】
溶接完了後(つまり通電停止後)、抵抗溶接機2は、図3Aに示すように、第1加圧部32及び第2加圧部33による第1鋼板P1の圧縮を維持したまま、第2電極22をワークWから離す。この間、例えば第1電極21によってワークWの溶接部分に対する冷却が行われる。
【0038】
冷却完了後、図3Bに示すように、抵抗スポット溶接装置1は、第2加圧部33をワークW及び第1加圧部32から離れるように移動させることで、第1鋼板P1の圧縮を解除する。
【0039】
[1-2.製造方法]
図4に示す抵抗スポット溶接方法は、配置工程S10と、溶接工程S20とを備える。本実施形態の抵抗スポット溶接方法は、例えば、図1の抵抗スポット溶接装置1を用いて実施される。
【0040】
<配置工程>
本工程では、第1鋼板P1と第2鋼板P2とを厚み方向に重ね合わせたワークWを、第1鋼板P1が下になるように圧縮機構3の台座31に載置する。
【0041】
なお、第1鋼板P1のプレス成型に用いる金型を、第1鋼板P1に圧縮応力が発生する形状に調整してもよい。これにより、第1鋼板P1に予め圧縮応力を付与しておくことができる。
【0042】
<溶接工程>
本工程では、重ね合わされた第1鋼板P1と第2鋼板P2とを抵抗スポット溶接装置1により溶接する。溶接工程S20は、圧縮工程S21と、通電工程S22と、冷却工程S23と、解除工程S24とを有する。
【0043】
(圧縮工程)
本工程では、通電工程S22の前(つまり溶接開始前)に、圧縮機構3の第1加圧部32及び第2加圧部33によって第1鋼板P1を厚み方向と交差する方向に圧縮する。
【0044】
(通電工程)
本工程では、第1鋼板P1を圧縮機構3によって圧縮した状態で、第1電極21及び第2電極22でワークWを挟む。その後、第1電極21及び第2電極22間に通電を行い、第1鋼板P1を圧縮しながらワークWの溶接を行う。
【0045】
(冷却工程)
本工程では、第1電極21及び第2電極22間の通電を停止した後、第1鋼板P1を圧縮機構3によって圧縮した状態で、ワークWの溶接部分を冷却する。
【0046】
(解除工程)
本工程では、ワークWの溶接部分の冷却完了後、圧縮機構3による第1鋼板P1の圧縮を解除する。
【0047】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)高張力鋼板である第1鋼板P1に圧縮応力が発生した状態でワークWが溶接される。その結果、溶接後に発生する引張応力が圧縮応力によって相殺されることで、第1鋼板P1の割れが抑制される。
【0048】
(1b)ワークWの冷却完了まで第1鋼板P1が圧縮されることで、引張応力の発生が終了する冷却完了後まで第1鋼板P1に圧縮応力が発生し続ける。そのため、割れの抑制効果を促進できる。
【0049】
(1c)ワークWの溶接開始前から第1鋼板P1が圧縮されることで、第1鋼板P1が動的に安定した状態でワークWの溶接を開始することができる。その結果、溶接の品質を向上できる。
【0050】
(1d)互いに対向する第1加圧部32及び第2加圧部33によって第1鋼板P1を挟むことで、安定して第1鋼板P1に圧縮応力を付与することができる。
【0051】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0052】
(2a)上記実施形態の抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法において、ワークは、必ずしも凸部及び空隙を有しなくてもよい。例えば、ワークは平板状の複数の鋼板が隙なく重ねられたものであってもよい。
【0053】
(2b)上記実施形態の抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法において、圧縮機構は、溶接開始と同時、又は溶接開始後に第1鋼板の圧縮を開始してもよい。また、圧縮機構は、溶接完了(つまり通電の停止)と同時、又は冷却中に第1鋼板の圧縮を解除してもよい。
【0054】
(2c)上記実施形態の抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法において、ワークは3枚以上の鋼板を有してもよい。つまり、第1鋼板と第2鋼板との間に1枚以上の鋼板が配置されてもよい。
【0055】
(2d)上記実施形態の抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法において、第1鋼板が第2鋼板の上に重ね合わされてもよい。また、第1電極と第2電極との対向方向(つまりワークを挟む方向)は、上下方向に限定されない。例えば、第1電極と第2電極とは水平方向にワークを挟むように構成されてもよい。
【0056】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0057】
1…抵抗スポット溶接装置、2…抵抗溶接機、3…圧縮機構、21…第1電極、
22…第2電極、31…台座、32…第1加圧部、33…第2加圧部、34…駆動部、
N…ナゲット、P1…第1鋼板、P2…第2鋼板、S…空隙、W…ワーク、
W1…凸部、X…溶接部分。
図1
図2
図3
図4