(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】バルブの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20231003BHJP
【FI】
F01N13/08 B
(21)【出願番号】P 2021164922
(22)【出願日】2021-10-06
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】都築 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小林 新
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-195749(JP,A)
【文献】特開2006-9850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気流路におけるバルブの取り付け構造であって、
前記排気流路を構成する筒状の設置部と、
前記設置部に取り付けられるバルブであって、前記設置部が挿入される、又は、前記設置部に挿入される筒状の連結部を有する弁座と、前記排気流路を閉じるための弁体と、を備えるバルブと、
前記設置部と前記連結部との間に配置され、前記設置部及び前記連結部のそれぞれに対して固定されたクッション部と、を備え、
前記設置部及び前記連結部のうちのいずれか一方を第1部とし、他方を第2部としたとき、前記第1部を構成する周壁には、当該周壁が形成されていない開口部が形成されており、
前記第2部と前記クッション部とを固定する固定部は、少なくとも一部が、前記設置部の径方向に前記開口部と隣接する位置に設けられる、バルブの取り付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブの取り付け構造であって、
前記クッション部は、前記弁体が閉じたときに前記弁体と前記弁座との間に挟まれる位置にある、バルブの取り付け構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のバルブの取り付け構造であって、
前記クッション部と前記第1部との固定位置と、前記クッション部と前記第2部の固定位置と、は前記設置部の周方向に交互に配置されている、バルブの取り付け構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバルブの取り付け構造であって、
前記開口部は、前記第1部における前記第2部の側の端部に形成された切欠きである、バルブの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルブの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気系には、弁体を用いて排気流路を切り換える切換バルブが取り付けられている場合がある。この切換バルブは、マフラの内部で開口している排気管の開口部などに取り付けて用いられる。特許文献1では、弁座における弁体と当接する部分にクッション部を配置することで、閉弁時の打音を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弁座における弁体と当接する部分にクッション部を配置するだけでは、十分な打音の抑制が達成できない場合がある。また、打音を抑制するための部材を多く配置すると排気系のサイズが大きくなってしまう場合がある。
【0005】
本開示の目的は、大型化を抑制しつつ、バルブを閉じたときの異音の発生を抑制する技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、排気流路におけるバルブの取り付け構造であって、設置部と、バルブと、クッション部と、を備える。設置部は、筒状であり、排気流路を構成する。バルブは、設置部に取り付けられる。このバルブは、弁座と、排気流路を閉じるための弁体と、を備える。弁座は、設置部が挿入される、或いは、設置部に挿入される筒状の連結部を有する。クッション部は、設置部と連結部との間に配置され、設置部及び連結部のそれぞれに対して固定される。設置部及び連結部のうちのいずれか一方を第1部とし、他方を第2部としたときに、第1部を構成する周壁には、当該周壁が形成されていない開口部が形成されている。第2部とクッション部とを固定する固定部は、少なくとも一部が、設置部の径方向に開口部と隣接する位置に設けられている。
【0007】
このような構成であれば、異音の発生の低減と、排気流路におけるバルブの取り付け構造の小型化と、の両方を実現することができる。異音の発生の抑制については、以下の理由で実現できる。弁体が閉じたときに弁座に生じる振動は、クッション部により減衰される。また、クッション部によって、バルブで発生した振動が排気流路に伝わることが抑制される。これらの理由により、排気脈動によって発生したチャタリングによる異音の発生を低減できる。さらに上記の構成であれば、第1部とクッション部との固定位置(以下、第1固定位置と記載する)と、第2部とクッション部の固定位置(以下、第2固定位置と記載する)とがクッション部における異なる位置となる。そのため、第1固定位置と第2固定位置が近接することにより振動が伝わり易くなってしまうことが抑制され、クッション部による振動減衰効果を良好に発揮することができる。
【0008】
小型化については、以下の理由で説明できる。固定部の位置、すなわち第2固定位置は、設置部の径方向(以下、単に径方向とも記載する)に関して第1部と隣接していない位置であると、固定部の形成が製造上容易になり好ましい。ここで、仮に上述した開口部が形成されていない構成を想定すると、第2固定位置は、少なくとも第1部における第2部の側の端部よりも第2部側に位置することとなる。一方、本開示の一態様のように開口部が形成されていると、第2固定位置の少なくとも一部を開口部に隣接した位置に配置することができる。つまり、第2固定部の位置をより第1部側に設けることができる結果、設置部に対してバルブが飛び出す大きさを抑制することができる。
【0009】
上述したバルブの取り付け構造において、クッション部は、弁体が閉じたときに弁体と弁座との間に挟まれる位置にあってもよい。このような構成であれば、クッション部は、弁体が閉じたときに弁座と接触することで発生する振動の発生を抑制することができ、バルブで生じた振動の設置部への伝達をより良好に抑制できる。また、クッション部が弁体に当接する位置まで広く配置されることで、クッション部と弁座との間の隙間を介した排気の漏れが低減される。よって、クッション部と弁座との間から漏れてしまう排気が極めて大きくなってしまうことを抑制できる。
【0010】
また上述したバルブの取り付け構造において、クッション部と第1部の固定位置と、クッション部と第2部の固定位置と、は、設置部の周方向に交互に配置されていてもよい。このような構成であれば、固定により生じる応力やひずみが特定の位置に偏在しにくくなる。その結果、バルブが傾いて固定されてしまうことや、クッション部と第1部との固定、及び、クッション部と第2部との固定(すなわち上述した固定部)が剥離してしまうことなどを抑制できる。
【0011】
また上述したバルブの取り付け構造において、開口部は、第1部における第2部の側の端部に形成された切欠きであってもよい。このような構成であれば、開口部の形成を容易に行うことができる。
【0012】
また上述したバルブの取り付け構造において、クッション部は、少なくとも第1部と第2部の間において筒状であってもよい。このような構成であれば、クッション部が設置部の周囲に広く配置されることで、広い範囲において振動の減衰及び振動の伝達の抑制を実現できる。また、クッション部が設置部の外周を環状に切れ目無く配置されるため、第1部と第2部の間を通過して漏れる排気の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態のバルブの取り付け構造を示す斜視図である。
【
図3】実施形態のバルブの取り付け構造をマフラに適用した状態を示す斜視図である。
【
図4】排気ガスの流れを説明するためのマフラの模式的な側面図である。
【
図5】参考例のバルブの取り付け構造を示す断面図である。
【
図6】変形例のバルブの取り付け構造を示す斜視図である。
【
図7】変形例のバルブの取り付け構造を示す斜視図である。
【
図8】参考例のバルブの取り付け構造を示す断面図である。
【
図9】変形例のバルブの取り付け構造を示す斜視図である。
【
図10】変形例のバルブの取り付け構造を示す斜視図である。
【
図11】参考例のバルブの取り付け構造を示す断面図である。
【
図12】変形例のバルブの取り付け構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.全体構成]
図1-
図2に示すバルブの取り付け構造1は、排気流路3の設置部11にバルブ5を取り付けるための取り付け構造である。バルブの取り付け構造1は、バルブ5、設置部11、及びクッション部7を含む。設置部11は、第1部の一例である。
【0015】
排気流路3は、本実施形態においては、車両の内燃機関から排出される排気ガスを車両の外部に排出するための流路である。設置部11は、排気流路3においてバルブ5が取り付けられる部分であり、排気流路3を構成する筒状形状の配管である。設置部11は、例えば、インレットパイプの端部、アウトレットパイプの端部、消音器内に設置され複数の部屋を跨ぐ連結管等の端部、内管と外管とを有する二重管構造において内管の端部が外管の内部で短絡している箇所における端部であってもよく、あるいは、これらの端部に取り付けられる配管であってもよい。また設置部11の先端部には、複数の切欠き51が形成されている。本実施形態では、5つの切欠き51が形成されている。ここでいう先端部とは、バルブ5が設けられる側の端部を意味する。以下の説明において、
図2に示す設置部11の中心軸Aの長さ方向に関し、設置部11を基準としてバルブ5が設けられる方向を第1方向とし、バルブ5を基準として設置部11が設けられる方向を第2方向とする。切欠き51は、設置部11における第1方向側の端部を基準として第2方向側に位置する領域のうち、設置部11を構成する周壁が形成されていない部分を指す。設置部11を構成する周壁とは、設置部11の本体部分を構成する筒状部分である。切欠き51は、開口部の一例である。
【0016】
バルブ5は、弁座13、弁体15、回転軸17、コイルバネ19などを有する。弁座13は、クッション部7を介して設置部11に取り付けられ、排気が通過する開口を有する。弁体15は回転軸17を介して弁座13に回転可能に連結されており、弁座13に接近したときに上記開口を閉じることにより排気流路を閉じる。コイルバネ19は回転軸17に巻きつけるように配置されており、弁体15を弁座13の開口を閉じる位置に向けて付勢する。
【0017】
弁座13は、連結部31、拡径部33、鍔部35、及び一対の軸支持部37を有する。連結部31と拡径部33は、一体に形成された筒状形状である。連結部31は、軸方向に直径が変化しない部分である。拡径部33は、連結部31から離れるに連れて円錐台状に拡径する。連結部31と拡径部33は中心軸が一致する。この連結部31と拡径部33とによって、弁座13の開口が形成される。連結部31は、上述した設置部11の第1方向の端部が挿入される。連結部31が、第2部の一例である。
【0018】
鍔部35は、拡径部33における連結部31とは逆の縁部から拡径部33の中心軸と交差する方向に広がる板状の部材である。一対の軸支持部37は、鍔部35における間隔を開けた2箇所にて、鍔部35を基準として連結部31が存在する側とは反対に延び出す。一対の軸支持部37は、回転軸17を定められた位置にて支持する。
【0019】
弁体15は、当接部41、底部43、鍔部45、及び一対の縦板部47を有する。当接部41は、円錐台状である。当接部41の縮径した側の縁部を塞ぐように板状の底部43が形成されている。鍔部45は、当接部41における底部43とは逆の縁部から当接部41の中心軸と交差する方向に広がる板状の部材である。一対の縦板部47は、鍔部45における間隔を開けた2箇所にて、鍔部45を基準として底部43がある側とは反対に延び出す。一対の縦板部47は、それぞれ、回転軸17が通過する貫通孔を有している。これにより、弁体15は回転軸17を中心に回転可能となる。弁体15が弁座13の開口を閉じたときに、当接部41は底部43側から弁座13の開口に進入し、当接部41は拡径部33に対向する位置となる。
【0020】
クッション部7は、全体として略筒状である。
図2に示されるように、クッション部7は、設置部11の周囲に位置する部分であって、かつ、弁座13の開口の内部に位置する部分を有する。つまり、クッション部7は、設置部11と、弁座13の連結部31と、の間に配置される。より詳細には、クッション部7の第2方向側の一部が設置部11の周囲を取り囲むように配置されている。またクッション部7の第1方向側の一部は、弁座13における開口の内部において、連結部31及び拡径部33の内周面を覆うように配置されている。
【0021】
クッション部7は、糸状の金属を織って、或いは織らずに絡み合わせて形成されたワイヤーメッシュである。ワイヤーメッシュは厚みを有するものであり、弾性変形可能である。このようなクッション部7は、バルブ5の振動を減衰させる。また、弁体15が開口を閉じたときには、クッション部7は弁座13と弁体15との間に挟まれる。なお上述した中心軸Aは、クッション部7、連結部31及び拡径部33の中心軸と一致する。
【0022】
クッション部7は、設置部11と、弁座13の連結部31と、のそれぞれに対して固定されている。固定はスポット溶接により行ってもよい。クッション部7と設置部11との溶接が為された第1固定部61と、クッション部7と連結部31との溶接が為された第2固定部63とは、異なる位置に設けられている。第1固定部61は、設置部11とクッション部7とが重なる位置に設けられている。一方、第2固定部63は、連結部31とクッション部7とが重なる位置に設けられるが、設置部11とは重ならない位置に設けられる。また、第2固定部63の一部が、設置部11の径方向に切欠き51と隣接する位置に設けられる。別の言い方をすると、中心軸Aの位置を視点として径方向外側を見たときに、第2固定部63は、その一部が切欠き51と重なる位置となるように設けられる。なお、第2固定部63はその一部が切欠き51に設けられているとも言える。ここでいう径方向とは、設置部11の中心軸Aと直交する面において中心軸Aから延びる方向である。
【0023】
また第1固定部61は、5つの切欠き51の間の5箇所に設けられる。また第2固定部63は、5つの切欠き51に隣接した5箇所に設けられる。5つの第1固定部61と、5つの第2固定部63とは、設置部11の周方向に交互に配置されている。すなわち、クッション部7と設置部11との固定位置と、クッション部7と連結部31の固定位置と、は設置部11の周方向に交互に配置され、より好ましくは等間隔に交互に配置されている。
【0024】
第1固定部61の第1方向側の端部を示す直線L1と、第2固定部63の第2方向側の端部を示す直線L2と、を比較したとき、L1の方が第1方向側に位置する。すなわち、中心軸A方向に関して、第1固定部61と第2固定部63の位置は重複している。
【0025】
以上説明した取り付け構造において、バルブ5は排気流路3の少なくとも一部を開閉する。なお、弁体15が弁座13に最も接近した状態が、バルブ5が閉じた状態である。また、図示しない、コイルバネ19に反して弁体15が弁座13から最も離れた状態が、バルブ5が最も開いた状態である。バルブ5が閉じた状態において、バルブ5の開口は完全に閉塞されていなくてもよい。本実施形態において、排気の一部は、ワイヤーメッシュの隙間を通過することによって、閉じた状態のバルブ5を通過することが可能である。
【0026】
[1-2.取り付け構造の使用例]
バルブ5は、筒状の配管以外の対象物にも取り付けることができる。
図3、
図4に、マフラ81のセパレータ89にバルブ5を取り付ける場合の例を示す。マフラ81は、アウタシェルを構成する筒状体83、第1閉塞部85、及び第2閉塞部87と、アウタシェルの内部を仕切るセパレータ89と、インレットパイプ91と、アウトレットパイプ93と、を有する。セパレータ89には筒状の設置部95が形成されており、その設置部95に対してバルブ5が取り付けられている。
【0027】
このようなマフラ81においては、インレットパイプ91を介して流入した排ガスが第1室97に入り、バルブ5の開口を通過して第2室99に入る。排気ガスは、その後、アウトレットパイプ93を介して排出される。
【0028】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)バルブの取り付け構造1では、弁体15が閉じたときに弁座13に生じる振動がクッション部7により減衰されると共に、クッション部7により振動が設置部11に伝わることが抑制される。また、第1固定部61と第2固定部63が離れた位置に設けられているため、これらが同じ位置又は非常に近接している場合と比較してクッション部7による振動減衰効果を良好に発揮することができる。これらの理由により、排気脈動によって発生したチャタリングによる異音の発生を低減できる。
【0029】
また、仮に設置部11に切欠き51を形成しない場合、
図5に示されるように、弁座13が設置部11に対して第1方向よりに配置されてしまう。これは、スポット溶接により形成される第2固定部63は、設置部11が存在する位置においては形成が困難になるためである。その結果、設置部11に対するバルブ5の第1方向の端部までの距離が、バルブの取り付け構造1と比較して大きくなってしまう。一方、実施形態のバルブの取り付け構造1では、設置部11に設けられた切欠き51と径方向に隣接するように第2固定部63を配置することで、バルブ5をより設置部11側に近づけて配置することができる。その結果、排気流路におけるバルブの取り付け構造の小型化を実現できる。
【0030】
(1b)クッション部7は、弁体15が閉じたときに弁体15と弁座13との間に挟まれる。そのため、クッション部7は弁体15が閉じたときに弁座13と接触することで発生する振動を抑制することができ、バルブ5で生じた振動の設置部11への伝達をより良好に抑制できる。また、クッション部7が弁座13に広く隣接して配置されることから、クッション部7と弁座13との間の隙間を介した排気の漏れが低減される。よって、クッション部7と弁座13との間から漏れてしまう排気が極めて大きくなってしまうことを抑制できる。
【0031】
(1c)バルブの取り付け構造1では、第1固定部61と第2固定部63とは、設置部11の周方向に交互に配置されている。言い換えると、クッション部7と第1部の固定位置と、クッション部7と第2部の固定位置と、は、設置部11の周方向に交互に配置されている。そのため、固定により生じる応力やひずみが特定の位置に偏在しにくくなるため、バルブ5が傾いて固定されてしまうことや、第1固定部61及び第2固定部63の剥離などを抑制できる。
【0032】
(1d)バルブの取り付け構造1において、クッション部7は筒状である。そのためクッション部7が設置部11の周囲に広く配置されることとなり、広い範囲において振動の減衰及び振動の伝達の抑制を実現できる。また、クッション部7が設置部11の外周を環状に切れ目無く配置されるため、設置部11と連結部31の間を通過して漏れる排気の増加を抑制できる。
【0033】
[2.その他の実施形態]
以上本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0034】
(2a)上記実施形態では、車両の内燃機関の排気流路3にバルブを取り付ける取り付け構造を例示した。しかしながら排気流路は、排気を通過させるための配管であれば特に限定されない。例えば、車両以外に設けられる排気流路に本開示の取り付け構造を適用してもよいし、内燃機関の排気ガス以外を排出する排気流路に本開示の取り付け構造を適用してもよい。
【0035】
(2b)上記実施形態では、弁体15が弁座13の開口の外部にある回転軸17を中心に移動することで開閉するバルブを例示した。しかしながら、本開示の取り付け構造を適用可能なバルブの構成は特に限定されない。なお、開閉時に衝突音が発生するバルブであれば、本開示の取り付け構造の消音効果を良好に活用できる。
【0036】
(2c)上記実施形態では、クッション部7としてワイヤーメッシュを例示した。しかしながら、振動の減衰及び吸収ができるものであれば、クッション部の具体的な素材、形状などは特に限定されない。例えば、設置部11、弁座13及び弁体15よりも柔軟性が高い素材を含む部品をクッション部として用いてもよい。なお、高温の排気が排出されるシステムでバルブを用いる場合には、クッション部に耐熱性の高い素材を用いることが望ましい。
【0037】
(2d)上記実施形態では、開口部の一例として切欠き51を例示した。しかしながら、開口部の具体的な形状は切欠きに限定されない。例えば、
図6に示すバルブの取り付け構造101のように、設置部11が、複数の矩形の切欠き103を有する構成であってもよい。また、
図7に示すバルブの取り付け構造201のように、設置部11が、複数のV字形状の切欠き203を有する構成であってもよい。また
図8に示すバルブの取り付け構造301のように、設置部11が、台形状の切欠き303を有する構成であってもよい。このように、切欠きは、三角形、四角形、円弧状など、様々な形状を取りうる。
なお、切欠きは、設置部11の端部に比較的容易に形成することができる。また、製造時に弁座13と干渉する可能性が低い。よって、開口部として切欠きを形成すると、製造上の都合がよい。
【0038】
また、開口部は、切欠き以外の形状であってもよい。設置部11及び連結部31のうちのいずれか一方を第1部とし、他方を第2部としたとき、開口部の少なくとも一部が、第1部における第2部が位置する側の端部よりも第2部から離れる側に位置する領域に形成されていればよい。すなわち、設置部11を第1部とした場合には、設置部11の第1方向側の先端部を含まない範囲で開口が形成されていてもよい。具体的には、
図9に示すバルブの取り付け構造401のように、設置部11が、円形の貫通孔403を有していてもよい。貫通孔403は、設置部11の先端部よりもバルブ5から離れる側に形成されている。なお貫通孔403の具体的な形状は特に限定されない。例えば長方形等の多角形や楕円形であってもよい。また開口部は、切欠きと貫通孔とを適宜組み合わせた形態でもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、第2固定部63の一部が切欠き51に隣接する構成を例示したが、
図10に示されるように、第2固定部63の全体が切欠き51に隣接していてもよい。言い換えると、中心軸Aから径方向外側にみたとき、第2固定部63が切欠き51と完全に重なるように第2固定部63が配置されていてもよい。なお
図10では、第1固定部61と第2固定部63の軸方向の位置がほぼ等しくなっている。そのため、バルブ5の設置部11からの突出量をより小さくできる。
【0040】
(2e)上記実施形態では、設置部11が第1部であり、連結部31が第2部である構成を例示した。つまり、上記実施形態では、開口部の一例である切欠き51が設置部11にのみ形成されている構成を例示した。しかしながら、設置部11が第2部であり、かつ、連結部31が第1部であって、開口部は連結部31に設けられていてもよい。例えば、
図11に示すバルブの取り付け構造501のように、連結部31における設置部11側の端部に複数の切欠き503が形成されていてもよい。この構成においては、第1固定部61は、少なくとも一部が切欠き503と径方向に隣接する位置に配置される。また例えば
図12に示すバルブの取り付け構造601のように、連結部31において貫通孔603が形成されていてもよい。この構成においては、第1固定部61は、貫通孔603と径方向に隣接する位置に配置される。
【0041】
(2f)上記実施形態では、
図2に示されるL1及びL2を用いて説明したように、第1固定部61と第2固定部63の中心軸A方向の位置が一部重なっている構成を例示した。しかしながら、第1固定部61と第2固定部63の中心軸A方向の位置は重なっていなくてもよい。第2固定部63が切欠き51に隣接した位置に設けられていれば、十分に本開示による小型化の効果を得ることができる。
【0042】
(2g)上記実施形態では、第1固定部61と、第2固定部63と、が設置部11の周方向に交互に配置されている構成を例示した。しかしながら、それらの固定位置は上記の配置に限定されない。例えば、複数の第1固定部61と複数の第2固定部63とが、中心軸Aを基準としたときに偏って配置されていてもよい。この場合、第1固定部61と第2固定部63の数は一致しなくてもよい。
また、上記実施形態では、第1固定部61と第2固定部63とが等間隔である構成を例示したが、これらの間の間隔は等間隔でなくてもよい。
【0043】
(2h)上記実施形態では、クッション部7が設置部11の周囲を取り囲むように配置される構成を例示した。しかしながら、クッション部7は設置部11の周方向の一部にのみ配置されていてもよい。言い換えると、クッション部7は筒状に形成されていなくてもよい。
【0044】
(2i)上記実施形態では、スポット溶接によってクッション部7と弁座13及びクッション部7と連結部31を固定する方法を例示した。しかしながら、スポット溶接以外の溶接により固定を行ってもよい。また、溶接以外の方法で固定を行ってもよい。
【0045】
(2j)上記実施形態では、設置部11と弁座13との間に挟まれるクッション部7が弁座13の内面に配置され、弁座13と弁体15との衝突音を抑制する構成を例示した。しかしながら、弁座13と弁体15の衝突音を抑制するためのクッション用部品は、クッション部7とは別個に設けられていてもよい。また、弁座13と弁体15との衝突音を抑制するクッション用部品は設けられていなくてもよい。
(2k)上記実施形態では、設置部11が筒状の連結部31に挿入される構成を例示した。しかしながら、連結部31が設置部11に挿入される構成であってもよい。
【0046】
(2l)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,101,201,301,401,501,601…バルブの取り付け構造、3…排気流路、5…バルブ、7…クッション部、11,95…設置部、13…弁座、15…弁体、17…回転軸、19…コイルバネ、31…連結部、33…拡径部、35,45…鍔部、37…軸支持部、41…当接部、43…底部、47…縦板部、51,103,203,303,503…切欠き、61…第1固定部、63…第2固定部、81…マフラ、83…筒状体、85…第1閉塞部、87…第2閉塞部、89…セパレータ、91…インレットパイプ、93…アウトレットパイプ、97…第1室、99…第2室、403,603…貫通孔