(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】周辺モデル内の走行レーン推移推定
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231003BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20231003BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231003BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W40/06
B60W60/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021203046
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】10 2021 202 571.4
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2021 203 809.3
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Ringlerstrasse 17, 85057 Ingolstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ラッコフ
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-115349(JP,A)
【文献】特開2010-160777(JP,A)
【文献】特開2014-006588(JP,A)
【文献】特表2021-519720(JP,A)
【文献】特開2011-145743(JP,A)
【文献】特開2010-073080(JP,A)
【文献】特開2013-073620(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102359784(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107480638(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 30/00 - 60/00
G05D 1/00 - 1/12
G09B 29/00 - 29/10
G01C 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムにより実行される、以下の、
-少なくとも一つの周辺把握センサを用いて車両周辺部を捕捉するステップ(S1)と、-車両周辺部内においてオブジェクトを検出するステップ(S2)と、
-複数のグリッド・セル(1a,1b)を有するグリッド・マップ(1)を作成するステップ(S3)と、
-検出物をグリッド・マップ(1)に記入するステップ(S4)であって、検出物は、記入前に拡大(V)されるステップと、
-フリーなグリッド・セル(1a)のみからなるグリッド・マップ(1)を通る少なくとも一本のパス(P1,P2)を割出すステップ(S5)と、
-該少なくとも一本のパス(P1,P2)を段階的に走査するステップ(S6)であって、パス(P1,P2)の走査
方向に対して直交する方向
の両側に、検出物を割出すステップと、
-少なくとも一本のパス(P1,P2)に沿った検出物を道路境界(Sb)へ帰属させるステップ(S7)と、
-これまでに割出した情報を基にして道路モデルを作成するステップ(S8)と、を包含することを特徴とするエゴ車両の軌道を計画するための道路モデルを作成するための方法。
【請求項2】
道路モデルが、続くステップにおいて、少なくとも一つの走行機能に対して提供されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
グリッド・マップ(1)が、グリッド・セル毎に、少なくとも0.5mのグリッド解像度を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一つの割出されたパス(P1,P2)用に、最低幅が予め定められていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
検出
物が、パスの最低幅とグリッド(1)の解像度の差の少なくとも半分に相当する値分、拡大(V)されることを特徴とする請求項1及び4に記載の方法。
【請求項6】
検出物の拡大(V)が、特定の一空間方向へ、或いは、全空間方向へ実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
検出物の拡大(V)が、各空間方向において異なっていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも二本の仮定的
なパス
が予め算出さ
れ、これらの
仮定的なパスは、ODDに依存したその理論的なおおよその確率に応じたスコアが各パスに対して定められ、パスに割り当てられた当該スコアとともにそのパスの長さから求められた総確率を基にして
それぞれ加重されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実施するために
、方法のステップをシステムに実行させるようにデザインされている車両用のコンピュータープログラム・プロダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
運転タスクにおいてドライバーをサポートするためのドライバーアシストシステムが、益々採用されるようになってきている。
【背景技術】
【0002】
その際、レーダセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、カメラセンサなどにより、車両の周辺部が捕捉される。捕捉されたデータは、好ましくは、周辺モデル内に要約される。周辺モデルは、車両周辺部を、空間的部分領域毎に、セグメントとして描写することができ、これらの部分領域は、(周辺)グリッドのセルとも呼ばれる。周辺モデルでは、個々のグリッド・セルには、好ましくは、一つの、或いは、複数の、例えば、フリー、占有中、通過可能、静的障害物などといった属性を与えることができる、或いは、セルのステータスは、一つの或いは複数の状態、例えば、フリーである、占有されている、通過可能である、通過不可能であるといった状態の確率によって、記述されることもできる。
【0003】
周辺分析の重要な構成要素の一つとして、道路推移の認識が挙げられる。道路や境界を認識するため、現行のレーダーシステムは、センサデータを静的及び動的検出に区別している。
【0004】
静的検出は、大きなクラスタ(塊)にまとめられトラッキング(追跡)される、或いは、グリッド(グリッド・セルを有する周辺モデル、占有グリッド)に登録される。道路を検出するためには、データセット内に、左右の道路脇、乃至、左右の道路境界を識別する必要がある。この際、特に目立つ点を識別し、複雑なアルゴリズムを用いて、左の道路境界に属している点と右の道路境界に属している点を分類する試みが実施される。
【0005】
これらの点から、好ましくは、カルマンフィルタ(或いは、任意の他の近似法)を用いて、道路の推移を記述するためのモデル、例えば、クロソイドモデルが作成される。
【0006】
使用されたモデルは、ここでは、分離した(左右の道路境界は、全く異なる推移を有することができる)、或いは、統合された(左右の縁は、同じ推移、乃至、互いの間隔のみが異なる)道路縁と言う観点から区別される。
【0007】
上記の方法(および、良く知られているその応用形)は、特に以下の点から、改善されるべきである:
・左右の道路縁の分離は、困難であり、部分的には、不正確、且つ、エラーが起こりやすい。
・「目立つ点」は、確かに目立っていたとしても、道路の境界/通過できる領域であるとは限らず、非常に良く反射する静的オブジェクト(例えば、ガードレール、家の壁、庭の柵など)である場合が多々ある。しかしながら実際の車線境界は、これらの目立つ抽出された点よりもかなり近くにあることが多々ある。
・十字路、分岐路、ランプ(インター)、車線数の変更部などを認識できず、道路境界誤認の原因となる。
・道路縁を記述するために使用された数学モデルは、限定的であり、アウトバーンにおいてのみ良好に利用できる。
・或いは、使用された数学モデルでは、順応性が高すぎて、そのため、道路縁の短い区間のみ、或いは、片側の道路縁のみを記述することとなり得る。
・現行のアプローチは、アウトバーンなど、単純な周辺部にのみ限定され、市中と言った周辺部では、十分に機能していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明の課題は、センサデータから、関連する全ての(走行)機能を改善するに足り得る十分な情報を提供できる道路モデルを作成することにある。
【0009】
特に市街地の様な領域において様々な応用範囲を有する緊急ブレーキ・アシスタント(EBA)を改善することが、特に重要な課題である。しかしながらこれらの課題は、以下に説明する発明の利用範囲を限定するものでは無く、本発明は、全ての考え得る走行機能やマヌーバにおいて応用できるものである。
【0010】
本発明の基になっているアイデアは、自動車を道路上で走行させるには、十分な空間が必要であると言うことに基づいている。即ち、結果として得られる走行チューブ(車両の実際の走行レーン)は、その上を車両が、動けるためには、最低幅(例えば、2.5m)を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのため本発明では、エゴ車両(自車両)の軌道を計画するための道路モデルを作成するための以下のステップを包含する方法が提案される:
-少なくとも一つの周辺把握センサを用いて車両周辺部を捕捉するステップ、
-車両周辺部内においてオブジェクトを検出するステップ、
-複数のグリッド・セルを有するグリッド・マップを作成するステップ、
-検出物をグリッド・マップに記入するステップ、但し、検出物は、記入前に拡大される、
-フリーなグリッド・セルのみからなるグリッド・マップを通る少なくとも一本のパスを割出すステップ、
-該少なくとも一本のパスを段階的に走査するステップ、但し、パスの走査方向両側に対して直交する方向に、検出物を割出す、
-少なくとも一本のパスに沿った検出物を道路境界へ帰属させるステップ、
-これまでに割出した情報を基にして道路モデルを作成するステップ。
【0012】
上述の方法は、好ましくは、少なくとも一台のレーダセンサを使用するが、これは、容易に、レーダセンサ以外のセンサ・タイプにも拡張することができる。加えて、カメラ検出、乃至、地図データを同じ方法により、グリッドに導入する、或いは、拡張されたスコアリング/加重に用いることも問題なく可能である。これにより、非常に容易であるにもかかわらず効率的に、センサデータ統合を実施することができる。
【0013】
この際、グリッド乃至コース・グリッドを作成するため、(レーダ)検出は、通常とは異なり、直接的にグリッド(占有グリッド)に記入されない。その代わり、検出物が、拡大される。レーダ検出に加えて他のデータもグリッドに記入されることができる。これにより、全ての様々なセンサデータに対して維持するべき間隔を別途にグリッド内においてモデリングできると言う長所が得られる。この様に、例えば、左の縁石を、右側へは(該当する走行チューブ幅を得るために)1m分拡大するが、左側へは、縁石の後ろにフリーな走行チューブができないように、5m分左に拡大することができる。
【0014】
そして、コース・グリッドを用いることにより、グリッドを通る非常に単純なパスを見つけることができる。この際、フリーなセルのみから成り立っている少なくとも一つのパスが探される。この少なくとも一つのパスは、(特別な方法でグリッドに記入されることにより)自動車が通過するのに十分な幅を有している。
この様なパスの検索は、状況に依存しており、効率的、且つ、特に、好ましいパスに(そして結果的には道路推移に)個別に対応した、細やかな加重を可能にしている。拡張として、誤検出である、或いは、その上を、或いは、その下を通過できると個別には評価でき得る占有セルを有するパスも考慮することができる。
【0015】
本方法においては更に、パスを走査するステップを実施することも有利である。これは、予め定めることのできる規則的な間隔(例えば、2m)毎に、パスの推移に対して左右の直交方向に、センサデータに検出物に遭遇するまで走査することを意味している。この点は、特に、道路縁の一部を示している。全く検出物に遭遇しない場合は、例えば、非常に低い存在確率を与えた他の検出物をベースにした推定を実施することができる。この方法は、第一に、左右の道路縁の検出物の区別を非常に信頼性高く実施することを可能にする。更に、本方法は、特にこの様にして検出された点が、必ずしも(強い反射/レーダ測定と言う意味で)「より良好な」検出にのみ対応しているだけでなく、通過可能な領域と通過できない領域を分離すると言う観点からもそれらを際立たせるため、より良好な目立つ点を選択することをも可能にしている。
【0016】
直交方向への走査の代案としては、他の定まった方向、例えば、y方向への走査も可能である。
【0017】
各々の点/検出物は、その強度、帰属しているクラスタの大きさに基づいて、センサ分級において、加重され、それらの一部は、ポジションシフトされる。要するに、例えば、縁石に帰属し、カメラセンサによって捕捉される一つの点は、大きめに加重され、非常に弱いレーダクラスタ(検出)に帰属している点は、非常に低く加重される。
【0018】
よってこの様に検出された点は、道路縁を与えるために使用されることができる。尚、点を用いて道路推移を推定するためには、近似法(例えば、加重された線形最小二乗法)や追跡法(例えば、カルマンフィルタ)を、使用することができる。加えて、検出の強度やグリッド内での大きさは、加重として用いられることもできる。
【0019】
ある好ましい実施形態においては、道路モデルは、続くステップにおいて、少なくとも一つの走行機能に対して提供される。
【0020】
更に特に好ましくは、該グリッド・マップは、グリッド・セル毎に、少なくとも0.5mのグリッド解像度を有している。
【0021】
更なる有利な形態においては、少なくとも一つの割出されたパス用に、最低幅を予め定めることが想定されている。
【0022】
検出物は、パスの最低幅とグリッドの解像度の差の少なくとも半分に相当する値分、拡大されることが特に好ましい。この様に拡大することは、ある空のセルにおいて該自動車がそのフリー領域に進入することが可能であると直接的に帰納推理できることから有利である。これを以下の例によって、より詳しく説明する。
例として、グリッド解像度は、例えば、0.5m(G)とし(要するに、グリッド・セルは、車両周辺部内のこの寸法を有する領域を象徴している)、そして、仮定された/探している走行チューブ幅は、例えば、2.5m(B_F)とする。この場合、車両周辺部におけるオブジェクトの全検出物を、(B_F-G)/2(例:2.5m-0.5m)/2=1m)分、拡大する。この様な拡大は、ある好ましい一つの空間方向へ、代案的には、全ての空間方法へ実施される。この寸法例において、y=-1mにある一つのオブジェクトは、(1m分拡張された場合)セルを、0m(-1m+1m=0m)までと-2mまでにおいて占有する。他のy=+1.5にあるオブジェクトは、0.5m(1.5m-1m=0.5)のセルと2.5mのセルを占有する。よって、この様にオブジェクトの間隔が2.5mである場合、(0mから0.5mの)セルは、確実にフリーである。
【0023】
ある他の好ましい実施形態においては、検出物の拡大は、特定の一空間方向へ、或いは、全空間方向へ実施される。
【0024】
更には、特に、検出物の拡大が各空間方向において異なっていることが好ましい。該拡張は、例えば、車両とは反対側へは、小さく、車両側へは、乃至、車両の走行軌道候補付近では、大きくすることができる。
【0025】
一般的に、条件として仮定される最低幅が、グリッド(占有グリッド)に前もって記入されるように、検出物の拡大は、記入前に行うことが好ましい。これにより、フリーなセルは常に、その車両が、仮定された幅において通過可能であると言うことを予告している。オブジェクトを単に記入するのとは異なり、隣接するセルがフリーか否か、十分な空間があるか否かを確認する必要はない。
【0026】
これにより(オブジェクトを拡大することにより)、多少多めの計算負荷は発生するが、その代わりオブジェクトをグリッドに記入する際、十分な幅があるか否かと言う各セルにおいて実施されなければならない確認における計算負荷、並びに、パスのサーチにおける計算負荷は、必要なくなる。
【0027】
記入時に幅を広げる代わりに、グリッド内の占有されているセルの幅の拡張を、グリッド内に記入してから実施することも可能である。
【0028】
更なる特に好ましい実施形態においては、複数の、但し、少なくとも二本の仮定的パスを予め算出するが、これらのパスは、予め定めることのできる特徴を基にして加重される。これら各々の仮説に対しては、どのセルが、占有に基づいて確認されなければならないかを正確に示すことができ有利である。要するに、パス(対応する仮説)が、グリッドを通過(即ち、センサ検出物間を道路が通過)できるか否かに関する計算を、グリッド内のメモリへのリードアクセスのみとすることができる。
【0029】
通常のパスを探すためのアルゴリズムは、非常に多くのパスを容認するため、たとえ著しい最適化を実施したとしても計算負荷は、非常に大きい。予め計算された仮説に限定することにより、煩雑さは、好ましいことに、有意に削減でき、検索は、重要なパスのみに限定できる。これにより、計算負荷は、有意に削減される。
【0030】
これらの仮説は、(従来の方法の場合の様に)特別なクラスの関数から構成されている必要は無く、様々な関数クラスから混成していても良く、更には、フリーなパスから構成されていることもできる。この様に、例えば、円弧、スプラインなどの多項式を組み合わせ、これら全てを仮説の総延長に組み入れることが可能である。
【0031】
使用されている関数及びクラスは、ODD(operational domain,例えば、アウトバーン、郊外、市街地など)に依存して選択できる、或いは、計算負荷を削減するために、特定の関数とクラスに限定することが可能である。突然90度カーブが、アウトバーンで現れることはないが、市街地ではあり得る。各々の仮説に対しては、理論的なおおよその確率(例えば、直線的な道路の推移の方が急なカーブよりもあり得るなど)に応じたスコアが定められる。
【0032】
あるパスがグリッドを通るか否かを確かめると共に、そのパスは、どこまで続いているのか、乃至、いつ障害物に当たるのかも確認される。それらの長さからも更なる加重が得られ、仮説のベース・スコア(=確かめられたパスの)と合わせて総確率がもとめられる。時間安定化のため、グリッド内において付加的に前サイクルのパスも別のデータフィールドに記入される(付加的に、隣接するセルも、同様にマーキングできる)。これらのセルを通過するパスには、付加的なスコアが与えられる。これにより、最新の検索において、以前のパスに似通っているパスをより良好に評価することができる。これにより、時間的な安定化を達成できる。
【0033】
この様にして作成されたパスは、「Driving Corridor」、乃至、車両の軌道候補として、直接的に使用されることができる。
【0034】
本発明では、更に、請求項1から8のいずれかに記載の方法を実施するためにデザインされている車両用のコンピュータープログラム・プロダクトも想定されている。
【0035】
これには、より多めの乃至少なめのステップが関与していても良い。これらのステップは、個別に更に最適化される、及び/或いは、変更されることも可能である。また、これらのステップは、それぞれ個別に、乃至、上述された、或いは、されていない他のステップとの組み合わせとして実装されることもできる。例えば、ステップ2と3は、部分問題用の各解決策において、応用次第では、残りのステップを用い無くとも、著しい付加価値を与える。
【0036】
更なる、好ましい形態及び実施形態は、図面の対象である。図の説明:
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明のある実施形態に係るグリッドの概略図である。
【
図3】複数のパスを有する本発明のある実施形態に係るグリッドの更なる概略図である。
【
図4】道路境界を含む本発明のある実施形態に係るグリッドの更なる概略図である。
【
図6】本発明のある実施形態に係る道路モデルの概略図である。
【
図7】本発明のある一つの実施形態に係る車両の概略的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明のある実施形態に係るグリッド1の模式的な描写を示している。ここでは、このグリッド1乃至グリッド・マップ1は、フリーな1aと占有されているグリッド・セル1bから構成されている。占有されているグリッド・セル1bに示されている検出物は、グリッド・マップ内に記載する際に拡大される。同様に、幾ばくかのグリッド・セルは、直接的には占有されていないが、拡大Vによって巻き込まれる。検出物の拡大Vを記入することにより、該フリーなグリッド・セル1aは、車両が、検出物付近を問題なく通過でき得る十分な幅を有する領域であることを保証している。
【0039】
図2は、複数の仮説的パスPnの模式的な描写を示している。ここに示されている仮定的パスPn-Pn+1は、後に、フリーなグリッド・セル1aのみを通過しつつグリッド・マップ1を通っているパスPnを選択するために予めシステムにおいて算出しておくことができる。
【0040】
図3には、複数のパスを有する本発明のある実施形態に係るグリッド1の更なる模式的な描写が示されている。この描写では、拡大Vは、占有されているグリッド・セル1bを拡張するために使用されている。
図2に示されている予め計算された仮定的パスPn-Pn+1が、グリッド・マップ1に記入されている。ここでは、占有されているグリッド・セル1b(算出された拡張Vも考慮済み)によってブロックされないパスP1とP2が、選択された。この二本のパスP1とP2は、グリッド・マップ1を、フリーなグリッド・セル1aのみを通って通過している。他のパスPnは、占有されているグリッド・セル1bによってブロックされている。
【0041】
図4は、道路境界Sbを含む本発明のある実施形態に係るグリッド1の更なる模式的な描写を示している。この描写では、パスP1が選択された。パスP1に沿って、規則的な間隔で、パスP1の通過方向に対して垂直方向のパスが、走査される。これらの走査により、走行レーンに沿った検出物に帰属される点が割出される。これらの点は、道路境界Sbに分級される。
【0042】
図5は、仮説的パスの選択の模式的な描写を示している。この描写は、本質的に
図3のパスの選択に相当している。パスP1とP2は、グリッド・マップ1を通る推移を基準にしている。
【0043】
図6は、本発明のある実施形態に係る道路モデルの模式的な描写を示している。この道路モデルでは、フリーなグリッド・セル1a(図示せず)のみを通過しているパスP1が選択されている。更に、本質的に道路縁の推移を記述している道路境界Sbの点も示されている。この道路モデルは、例えば、ドライバーアシストシステムに提供されることができる。
【0044】
図7は、本発明のある一つの実施形態に係る車両の模式的なブロック図を示している。ステップS1では、少なくとも一つの周辺把握センサによって車両周辺部が捕捉される。ステップS2では、車両周辺部内のオブジェクトが、検出される。これらのオブジェクトは、例えば、カメラ画像やレーダ検出に基づいて割出される。ステップS3では、複数のグリッド・セル1a,1bを有するグリッド・マップ1が作成される。ステップ4では、検出物が、グリッド・マップ1に記入されるが、該検出物は、記入前に拡大される。これにより、検出物自身が、占有されているグリッド・セル1bとして、並びに、割出し可能な値が、拡大Vとして、グリッド・マップ1内に記入される。更なるステップS5では、フリーなグリッド・セル1aのみからなるグリッド・マップ1を通る少なくとも一本のパスが割出される。続くステップS6では、該少なくとも一本のパスが、段階的に走査されるが、これにより、パスの走査方向両側に対して直交する方向に、検出物が割出される。ステップS7では、検出物を、少なくとも一本のパスに沿った道路境界Sbに帰属させる。最終的に、ステップS8では、道路モデルが、先に割出された情報に基づいて作成される。即ち、この道路モデルは、フリーなグリッド・セル1aのみを通る選択されたパスと、走査結果に基づいた道路境界の推移を包含している。この様にすることで、エゴ・車両にとって十分に広い選択されたパスが確保される。
【符号の説明】
【0045】
1 グリッド・マップ
1a フリーなグリッド・セル
1b 占有されているグリッド・セル
Pn-Pn+1 仮定的パス
P1,P2 選択されたパス
Sb 道路境界
S1-S8 プロセスステップ
V 拡大