(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフアセンブリにより分析されるガス混合物中の試料ガスの濃度を調整する方法およびこれに用いるクロマトグラフアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01N 30/06 20060101AFI20231003BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20231003BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20231003BHJP
G01N 30/74 20060101ALI20231003BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G01N30/06 C
G01N30/88 G
G01N30/86 P
G01N30/74 E
G01N30/26 M
(21)【出願番号】P 2021504195
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019070160
(87)【国際公開番号】W WO2020021057
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヘルグレーン・ヨーアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンネルバリ・ヘンリク
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0320362(US,A1)
【文献】米国特許第04220040(US,A)
【文献】特表2016-519772(JP,A)
【文献】特開2011-038994(JP,A)
【文献】特開平06-130045(JP,A)
【文献】特開2002-243599(JP,A)
【文献】中国実用新案第207366326(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 -37/00
G01N 27/60 -27/92
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスクロマトグラフアセンブリ(10)により分析されるガス混合物中の試料ガスの濃度を調整する方法であって、
前記ガスクロマトグラフアセンブリ(10)は、
分析される試料ガスを導入する試料ガス入口(20)と、
第2のガス入口(40)と、
ガスクロマトグラフセンサ(24)と、ガスクロマトグラフカラム(26)と、前記カラム(26)に
並行なガスクロマトグラフバイパス(28)と、
を備える方法において、
a)前記試料ガス入口(20)を通じて所定量の試料ガスを導入し、
b)前記第2のガス入口(40)を通じて所定量の第2のガスを導入し、
c)前記試料ガスおよび前記第2のガスを混合してガス混合物とし、前記ガス混合物を、前記ガスクロマトグラフバイパス(28)を経由して案内し、
d)前記ガスクロマトグラフバイパス(28)および前記ガスクロマトグラフセンサ(24)を備えるガス案内ループ(52)において前記ガス混合物を循環させ、
e)前記ガス混合物中の前記試料ガスの濃度が所望の所定レベルに達するまで、ステップa)を行わずにステップb)、c)およびd)を繰り返して、前記ガス混合物中の前記試料ガスの濃度を徐々に低下させ、
f)これにより得られた前記ガス混合物を、前記ガスクロマトグラフカラム(26)および前記ガスクロマトグラフセンサ(24)を用いたガスクロマトグラフィにより分析する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、ステップd)の間またはその前に、前記試料ガス濃度を測定し、前記試料ガス濃度が前記所定レベルに達しているかどうかを判断する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、ステップd)の間またはその前の前記試料ガス濃度の前記測定は
、第2のセンサアセンブリ(12)を用いて行う、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、ステップa)の間、前記試料ガス入口(20)からの前記試料ガスを、前記第2のセンサアセンブリ(12)を通じて前記ガスクロマトグラフセンサ(24)へと案内する、方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法において、前記ループ(52)は、前記第2のセンサアセンブリ(12)をさらに備える、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記試料ガス濃度の測定を行うことなく、ステップd)に従った前記繰り返しを所定回数行う、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法において、前記ループ(52)は、前記試料ガス入口(20)および前記第2のガス入口(40)の一方を前記ループ(52)に交互に接続するように適合されたガス変調弁(42)を備える、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、ステップa)の間、前記ガス変調弁(42)は、前記第2の入口(40)を前記ループ(52)から分離しつつ、前記試料ガス入口(20)を前記ループ(52)に接続する、方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の方法において、ステップb)の間、前記ガス変調弁(42)
は、前記試料ガス入口(20)を前記ループ(52)から分離しつつ、前記第2のガス入口(40)を前記ループ(52)に接続する、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法において、ステップc)の間、前記試料ガス入口(20)および前記第2の入口(40)はいずれも前記ループ(52)から分離されている、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法により分析されるガス混合物中の試料ガスの濃度を調整するガスクロマトグラフアセンブリ(10)であって、
分析される試料ガスを導入する試料ガス入口(20)と、
第2のガス入口(40)と、
ガスクロマトグラフセンサ(24)と、ガスクロマトグラフカラム(26)と、前記カラム(26)をバイパスするために前記カラム(26)に並行するように設けられたガスクロマトグラフバイパス(28)と、
前記ガスクロマトグラフバイパス(28)および前記ガスクロマトグラフセンサ(24)を備えるガス案内ループ(52)と、
を備えるガスクロマトグラフアセンブリ(10)。
【請求項12】
請求項11に記載のガスクロマトグラフアセンブリ(10)において、ステップd)の間またはその前に前記試料ガス濃度を測定す
る第2のセンサアセンブリ(12)をさらに備えるガスクロマトグラフアセンブリ(10)。
【請求項13】
請求項11または12に記載のガスクロマトグラフアセンブリ(10)において、前記ループ(52)は、前記試料ガス入口(20)および前記第2のガス入口(40)の一方を前記ループ(52)に交互に接続するように適合されたガス変調弁(42)を備える、ガスクロマトグラフアセンブリ(10)。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方
法において、前記ループ(52)は、前記ガスクロマトグラフカラム(26)と前記ガスクロマトグラフバイパス(28)との間を切り換えて、ガスを、前記ガスクロマトグラフカラム(26)または前記ガスクロマトグラフバイパス(28)を通じて前記ガスクロマトグラフセンサ(24)に案内するように適合されたガスクロマトグラフ弁(30)を備える方
法。
【請求項15】
請求項11から13のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフアセンブリ(10)において、前記ループ(52)は、前記ガスクロマトグラフカラム(26)と前記ガスクロマトグラフバイパス(28)との間を切り換えて、ガスを、前記ガスクロマトグラフカラム(26)または前記ガスクロマトグラフバイパス(28)を通じて前記ガスクロマトグラフセンサ(24)に案内するように適合されたガスクロマトグラフ弁(30)を備える、ガスクロマトグラフアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフアセンブリにより分析されるガス混合物中の試料ガスの濃度を調整する方法および分析される試料ガスの濃度を調整するガスクロマトグラフアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィは、ガス混合物からガス成分を分離し、分離されたこれらのガス成分を検出するために用いられる。これは、少量のガス混合物をチューブ状のカラムに注入することにより実現される。通常、このカラムは、内面に表面活性コーティングがなされた細い毛細管または表面活性粉末で充填された僅かに大きい管である。いずれの場合においても、このカラムは「固定相」と称される。分析対象の少量のガス混合物をカラムを通過させて案内するために、水素、ヘリウム、または空気などのキャリアガスが用いられる。キャリアガスは、通常、「移動相」と称される。これにより、分析対象のガス混合物が移動相に追従して固定相を通過することにより、ガス混合物がこの固定相からゆっくりと押し出される。ガス混合物中のより軽量の成分はより早く移動するので、注入されたガスパルス中の異なるガス成分は異なるときにカラムから出る。これにより、異なるガス成分を1種類ずつ検出することができる。ガス成分の到達時間または移動時間は、これらのガス成分を同定するために用いられる。ガスクロマトグラフセンサは、各ガス成分の到達時間または移動時間を測定するために用いられる。ガスクロマトグラフィは、法科学、医薬および環境保護分野において用いられる。
【0003】
ガスクロマトグラフィは、ガス漏洩検出の分野においても用いられており、特に、地表で測定された特定のガス成分が、天然ガスを案内する地下のパイプラインにおけるリークに由来するものであるかどうかを評価するために用いられる。天然ガスおよび生物学的分解過程によるガス(「沼気ガス」)の主成分はメタンである。沼気ガスは、微生物が生物学的廃棄物を分解する際に生じる。埋設された地下のパイプラインにおけるリークを補修するための補修作業を開始する前に、地表で検出されたガスが沼気ガスの放出に由来するものでないことを確認する必要がある。
【0004】
これは、ガスクロマトグラフィにより実現することができる。このとき、天然ガスは常に所定量のエタンを含み、一方で、沼気ガスは決してエタンを含まないということを考慮する必要がある。したがって、ガスクロマトグラフィによりエタンが検出された場合、このことは、地表で検出されたガスは沼気ガスに由来するものではなく、メタンなどの天然ガスを案内する地下のパイプラインにおけるガスリークに由来するものであることを示唆する。
【0005】
ガスクロマトグラフにより分析されたガス試料中の試料ガスの濃度は極めて重要である。この濃度は、十分な測定シグナルを得るために十分に高いものである必要があり、一方で、ガスクロマトグラフカラム内の固定相に対する試料のロードのしすぎを回避するために、前記この濃度は一定値を越えてはならない。試料をロードしすぎると測定シグナルに歪んだピークを生じさせ、ガスの種類を誤って解釈させ得ることになるか、幾つかのガス成分のピークを覆ってしまうまたは隠してしまうことにさえなり得る。この点は、温度制御がされない簡易なカラムの場合に特に重大となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ガスクロマトグラフアセンブリにより分析されるガス混合物中の試料ガスの濃度を調整する方法を提供することである。また、分析されるガス混合物中の試料ガスの濃度を調整するガスクロマトグラフアセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主題は、それぞれ独立請求項1および11により定められる。
【0008】
本発明のガスクロマトグラフアセンブリは、分析される試料ガスを導入する試料ガス入口と、第2のガス入口と、ガスクロマトグラフセンサと、ガスクロマトグラフカラムと、前記カラムに平行なガスクロマトグラフバイパスとを備える。
【0009】
本発明によれば、
a)前記試料ガス入口を通じて前記ガスクロマトグラフアセンブリに所定量の試料ガスを導入し、
b)前記第2のガス入口を通じて所定量の第2のガスを導入し、
c)前記試料ガスおよび前記第2のガスを混合して、前記ガスクロマトグラフバイパスを介して案内されるガス混合物とし、
d)前記ガスクロマトグラフバイパスおよび前記ガスクロマトグラフセンサを備えるガス案内ループにおいて前記ガス混合物を循環させ、
e)前記ガス混合物中の前記試料ガスの濃度が所望の所定レベルに達するまで、ステップa)は行わずにステップb)、c)およびd)を繰り返して、前記ガス混合物中の前記試料ガスの濃度を徐々に低下させ、
f)これにより得られた前記ガス混合物を、前記ガスクロマトグラフカラムおよび前記ガスクロマトグラフセンサを用いたガスクロマトグラフィにより分析する。
【0010】
換言すれば、ガス混合物は、前記試料ガス入口を通じて進入する前記試料ガスと、前記第2のガス入口を通じて進入する前記第2のガスとから生成される。前記ガス混合物は、当該ガス混合物が前記カラムにより妨害されることなく前記ガスクロマトグラフアセンブリ内で実際に流れることができるように、前記ガスクロマトグラフバイパスを介して案内される。前記ガスクロマトグラフバイパスにより、2種類のガス成分の混合が促進される。
【0011】
本発明により、試料ガスをさらに導入することなく、前記第2のガスを導入し、新たに導入された第2のガスを、前記ガスクロマトグラフアセンブリ内に既に存在するガス混合物と混合することを繰り返すことにより、前記ガス混合物中の試料ガスの濃度を徐々に低下させることができる。試料ガス濃度の低下は、前記ガス混合物中の試料ガスの濃度が所望の所定レベルに達するまで行われる。この所定レベルでは、前記カラムの固定相に試料をロードしすぎることなく、前記ガスクロマトグラフセンサから十分な測定シグナルが生成される。
【0012】
好ましくは、ステップd)の間またはその前に、前記試料ガス濃度が測定される。つまり、試料ガスまたは第2のガスの導入が繰り返される前に、前記試料ガス濃度が既に前記所定レベルに達しているかどうかを判断するために、前記試料ガス濃度が測定される。この測定は、赤外線センサアセンブリなどの第2のセンサアセンブリを用いて行うことができる。ステップa)の間に導入された試料ガスは、前記第2のセンサアセンブリを通じて前記ガスクロマトグラフセンサへと案内することができる。
【0013】
ステップd)の間またはその前に前記試料ガス濃度を測定する別の態様として、前記試料ガス濃度を測定することなく、ステップd)に従った前記繰り返しが所定回数行われる。
【0014】
前記ガスクロマトグラフアセンブリは、前記ガスクロマトグラフバイパスおよび前記ガスクロマトグラフセンサを備えるガス案内ループを備え、このループを介して循環を行う間に前記試料ガスおよび前記第2のガスの混合を実現する。前記ループが前記第2のセンサアセンブリをさらに備える場合、前記試料ガス濃度は、前記試料ガス濃度の徐々の上昇または低下を計測し制御できるようにするために、サイクル毎に、さらには連続的に測定することができる。
【0015】
前記ループは、前記試料ガス入口および前記第2のガス入口の一方を前記ループに交互に接続するように適合されたガス変調弁を備えていてもよい。この例では、前記第2のガス入口は、通常、ガス試料と基準ガスとを比較するために用いられる基準ガス入口とすることができる。特に、前記ガス変調弁は、ステップa)の間、前記第2のガス入口/基準ガス入口を前記ループから分離しつつ、前記試料ガス入口を前記ループに接続してもよい。同様に、前記ガス変調弁は、ステップb)の間、前記試料ガス入口を前記ループから分離しつつ、前記第2のガス入口を前記ループに接続する。
【0016】
典型的な実施形態において、前記ガス変調弁は、前記試料ガス入口および前記第2のガス入口/基準ガス入口を前記第2のセンサアセンブリ(通常、赤外線センサアセンブリ)に接続する。
【0017】
前記第2のセンサアセンブリは、当該第2のセンサアセンブリの第1の端における第2のセンサアセンブリ入口と、当該第2のセンサアセンブリの第2の端における第2のセンサアセンブリ出口とを有する。ステップa)の間、前記第2のセンサアセンブリ入口は前記試料ガス入口に接続され、前記基準ガス入口は前記第2のセンサアセンブリ入口から分離されていてもよい。そして、ガスは前記試料ガス入口から前記第2のセンサアセンブリを通過して引き込まれ、前記ガスクロマトグラフバイパスを経由して前記ガスクロマトグラフセンサへと案内される。同様に、ステップb)において、前記第2のセンサアセンブリ入口は前記基準ガス入口に接続され、前記試料ガス入口は前記第2のセンサアセンブリ入口から分離されていてもよい。この場合、ガスは前記基準ガス入口から前記第2のセンサアセンブリを通過して引き込まれる。
【0018】
前記試料ガスおよび前記第2のガス(基準ガス)のガス混合物は、前記第2のセンサアセンブリと、前記ガスクロマトグラフセンサバイパスと、前記ガスクロマトグラフセンサと、前記ガス変調弁と、ガスクロマトグラフ弁とを備えるガス案内ループを通して循環させてもよい。
【0019】
前記ガスクロマトグラフ弁は、前記ガスクロマトグラフカラムと前記ガスクロマトグラフバイパスとの間を切り換えて、前記ガスクロマトグラフカラムまたは前記ガスクロマトグラフバイパスを通して前記ガスクロマトグラフセンサへとガスを案内するように適合された切換弁とすることができる。
【0020】
好ましくは、ステップc)の間、前記試料ガス入口および前記第2の入口はいずれも前記ループから分離されている。特に、前記試料ガス入口は依然として前記第2のセンサアセンブリ入口から分離されたままで、前記第2のセンサアセンブリ入口が前記基準ガス入口から分離されてもよい。
【0021】
総じて、前記第2のガスおよび前記試料ガスを混合するために、前記ガス混合物は前記ループ内でしばらく循環できるようにしておくことが好ましい。特に、前記第2のガスは空気であってもよい。これを実現するために、前記第2の入口は、開放大気に対する入口、つまり、大気に開放された入口であってもよい。
【0022】
前記ガスクロマトグラフ弁を所定時間開放することにより、所定量の前記ガス混合物を前記ガスクロマトグラフカラムに注入してもよい。前記ガスクロマトグラフ弁が閉止された後、前記試料ガス入口または前記第2のガス入口/基準ガス入口から空気を引き込み、この空気を前記第2のセンサアセンブリおよび前記ガスクロマトグラフセンサへと前記ガスクロマトグラフバイパスを介して案内することにより、前記ガスクロマトグラフセンサをパージしてもよい。その後、前記ガスクロマトグラフ弁を開放してもよく、ガスクロマトグラフィにより前記ガス混合物を分析するために、前記ガスクロマトグラフカラムを経由して前記ガスクロマトグラフセンサへと空気を引き込むまたは押し出すことができる。
【0023】
総じて、本発明により、繰り返しサイクルで(つまり徐々に)制御された方法により前記試料ガスを希釈することが可能である。前記試料ガス濃度の測定後、まずシステム全体をパージし、その後、前記ガス変調弁を用いて前記試料ガス入口から複数の短パルスを引き込むことで、ガス混合物流または前記第2の入口から引き込まれる空気流に、試料ガスを注入してもよい。その後、試料ガスおよび第2のガスの流れは混合を行うために前記ループ内を循環可能とされた後、得られたガス混合物を少量、前記ガスクロマトグラフカラムへと注入する。
【0024】
以下において、図面に言及しつつ、本発明の例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の概略的なレイアウトを示す図である。
【
図2】第2実施形態の概略的なレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
いずれの図にも、分析対象の試料ガスを導入する試料ガス入口20と、大気に開放された基準ガス入口である第2のガス入口40とを備えるガスクロマトグラフアセンブリ10が示されている。ガスクロマトグラフアセンブリ10は、さらに、ガスクロマトグラフセンサ24と、ガスクロマトグラフカラム26と、カラム26に並行しているガスクロマトグラフバイパス28とを備える。
【0027】
ガスクロマトグラフ弁30が設けられており、このガスクロマトグラフ弁は、ガスクロマトグラフカラム26とガスクロマトグラフバイパス28との間を切り換えて、ガスを、ガスクロマトグラフカラム26またはガスクロマトグラフバイパス28を通じてガスクロマトグラフセンサ24に案内するように適合されている。
【0028】
前記試料ガス濃度を測定するために、赤外線センサアセンブリからなる第2のセンサアセンブリ12が設けられている。第2のセンサアセンブリ12は、当該第2のセンサアセンブリ12の第1の端に第2のセンサアセンブリ入口16を有し、第2の端に第2のセンサアセンブリ出口18を有する。
【0029】
試料ガス入口20および第2のガス入口40は平行にガス変調弁42に接続されており、ガス変調弁42は、試料ガス入口20および第2のガス入口40の一方を第2のセンサアセンブリ12に交互に接続するように適合されている。試料ガス入口20は、チェック弁50を介してガス変調弁42に接続されている。
【0030】
ガスクロマトグラフセンサ24は、排気ライン32を介して排気出口22に接続されている。排気ライン32は、試料ガス入口20およびガス変調弁42を接続してループ52を形成するガス流路に接続されている。特に、ループ52は、ガス変調弁42と、第2のガスセンサアセンブリ12と、ガスクロマトグラフ弁30と、第2のセンサアセンブリ12およびガスクロマトグラフセンサ24を接続するガス流路の追加のガスポンプ54と、バイパス28と、ガスクロマトグラフセンサ24と、排気ライン32とを備える。あるいは、排気ライン32およびループ52は、それぞれセンサ24の別々の出口に接続されていてもよい。
【0031】
ループ52は、第2のガスセンサアセンブリ12により試料ガス濃度を測定する前に、前記試料ガスおよび前記第2のガスのガス混合物を複数回循環させるように適合されている。試料ガス濃度が十分に低下すると、ガスクロマトグラフ弁30は、ガス混合物の短ガスパルスをカラム26に注入するために、所定時間、ガスクロマトグラフバイパス28からガスクロマトグラフカラム26へと流路を切り換える。
【0032】
両実施形態において、ガスクロマトグラフ弁30はカラム26とバイパス28との間で切り換えを行う。
図1の実施形態では、ガスクロマトグラフ弁30、カラム26およびバイパス28は、第2のセンサ出口18をガスクロマトグラフセンサ24に接続するガス流路に設けられている。このガス流路は、追加のガスポンプ54をさらに備える。
図2に係る実施形態では、ガスクロマトグラフ弁30、カラム26およびバイパス28は、ガス変調弁42と第2のセンサアセンブリ入口16とを接続するガス流路に設けられている。
なお、本発明は実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
ガスクロマトグラフアセンブリ(10)により分析されるガス混合物中の試料ガスの濃度を調整する方法であって、
前記ガスクロマトグラフアセンブリ(10)は、
分析される試料ガスを導入する試料ガス入口(20)と、
第2のガス入口(40)と、
ガスクロマトグラフセンサ(24)と、ガスクロマトグラフカラム(26)と、前記カラム(26)に平行なガスクロマトグラフバイパス(28)と、
を備える方法において、
a)前記試料ガス入口(20)を通じて所定量の試料ガスを導入し、
b)前記第2のガス入口(40)を通じて所定量の第2のガスを導入し、
c)前記試料ガスおよび前記第2のガスを混合してガス混合物とし、前記ガス混合物を、前記ガスクロマトグラフバイパス(28)を経由して案内し、
d)前記ガスクロマトグラフバイパス(28)および前記ガスクロマトグラフセンサ(24)を備えるガス案内ループ(52)において前記ガス混合物を循環させ、
e)前記ガス混合物中の前記試料ガスの濃度が所望の所定レベルに達するまで、ステップa)を行わずにステップb)、c)およびd)を繰り返して、前記ガス混合物中の前記試料ガスの濃度を徐々に低下させ、
f)これにより得られた前記ガス混合物を、前記ガスクロマトグラフカラム(26)および前記ガスクロマトグラフセンサ(24)を用いたガスクロマトグラフィにより分析する、
ことを特徴とする方法。
〔態様2〕
態様1に記載の方法において、ステップd)の間またはその前に、前記試料ガス濃度を測定し、前記試料ガス濃度が前記所定レベルに達しているかどうかを判断する、方法。
〔態様3〕
態様2に記載の方法において、ステップd)の間またはその前の前記試料ガス濃度の前記測定は、赤外線センサアセンブリなどの第2のセンサアセンブリ(12)を用いて行う、方法。
〔態様4〕
態様3に記載の方法において、ステップa)の間、前記試料ガス入口(20)からの前記試料ガスを、前記第2のセンサアセンブリ(12)を通じて前記ガスクロマトグラフセンサ(24)へと案内する、方法。
〔態様5〕
態様3または4に記載の方法において、前記ループ(52)は、前記第2のセンサアセンブリ(12)をさらに備える、方法。
〔態様6〕
態様1に記載の方法において、前記試料ガス濃度の測定を行うことなく、ステップd)に従った前記繰り返しを所定回数行う、方法。
〔態様7〕
態様1から6のいずれか一つに記載の方法において、前記ループ(52)は、前記試料ガス入口(20)および前記第2のガス入口(40)の一方を前記ループ(52)に交互に接続するように適合されたガス変調弁(42)を備える、方法。
〔態様8〕
態様7に記載の方法において、ステップa)の間、前記ガス変調弁(42)は、前記第2の入口(40)を前記ループ(52)から分離しつつ、前記試料ガス入口(20)を前記ループ(52)に接続する、方法。
〔態様9〕
態様7または8に記載の方法において、ステップb)の間、前記ガス変調弁(42)
は、前記試料ガス入口(20)を前記ループ(52)から分離しつつ、前記第2のガス入口(40)を前記ループ(52)に接続する、方法。
〔態様10〕
態様1から9のいずれか一つに記載の方法において、ステップc)の間、前記試料ガス入口(20)および前記第2の入口(40)はいずれも前記ループ(52)から分離されている、方法。
〔態様11〕
態様1から10のいずれか一つに記載の方法により分析されるガス混合物中の試料ガスの濃度を調整するガスクロマトグラフアセンブリ(10)であって、
分析される試料ガスを導入する試料ガス入口(20)と、
第2のガス入口(40)と、
ガスクロマトグラフセンサ(24)と、ガスクロマトグラフカラム(26)と、前記カラム(26)をバイパスするために前記カラム(26)に並行するように設けられたガスクロマトグラフバイパス(28)と、
前記ガスクロマトグラフバイパス(28)および前記ガスクロマトグラフセンサ(24)を備えるガス案内ループ(52)と、
を備えるガスクロマトグラフアセンブリ(10)。
〔態様12〕
態様11に記載のガスクロマトグラフアセンブリ(10)において、ステップd)の間またはその前に前記試料ガス濃度を測定する、赤外線センサアセンブリなどの第2のセンサアセンブリ(12)をさらに備えるガスクロマトグラフアセンブリ(10)。
〔態様13〕
態様11または12に記載のガスクロマトグラフアセンブリ(10)において、前記ループ(52)は、前記試料ガス入口(20)および前記第2のガス入口(40)の一方を前記ループ(52)に交互に接続するように適合されたガス変調弁(42)を備える、ガスクロマトグラフアセンブリ(10)。
〔態様14〕
態様1から10のいずれか一つに記載の方法または請求項11から13のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフアセンブリ(10)において、前記ループ(52)は、前記ガスクロマトグラフカラム(26)と前記ガスクロマトグラフバイパス(28)との間を切り換えて、ガスを、前記ガスクロマトグラフカラム(26)または前記ガスクロマトグラフバイパス(28)を通じて前記ガスクロマトグラフセンサ(24)に案内するように適合されたガスクロマトグラフ弁(30)を備える方法またはガスクロマトグラフアセンブリ(10)。