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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電極アセンブリ及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20231003BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20231003BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20231003BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20231003BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20231003BHJP
   H01M 50/595 20210101ALN20231003BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M10/0525
H01M50/531
H01M50/586
H01M50/595
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021516951
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 CN2020091386
(87)【国際公開番号】W WO2021232314
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-03-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 攀
(72)【発明者】
【氏名】劉 慧君
(72)【発明者】
【氏名】張 遠兵
(72)【発明者】
【氏名】石 長川
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109755461(CN,A)
【文献】特開2014-035877(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163392(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106410265(CN,A)
【文献】特開2006-286496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0044274(US,A1)
【文献】特開平05-234620(JP,A)
【文献】国際公開第2019/169546(WO,A1)
【文献】特開2002-343419(JP,A)
【文献】特開2010-055906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/05-10/0587
H01M 50/531
H01M 50/586-50/595
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極シートと、極性が前記第1電極シートと逆である第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に配置されたセパレータと、を含み、且つ前記第1電極シート、前記セパレータ及び前記第2電極シートが巻回することにより形成される電極アセンブリであって、
前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体の表面に設けられた第1活性物質層とを含み、前記第1電極シートの巻き終わり端は、前記第2電極シートの巻き終わり端の巻芯から遠く離れた外側に位置し、
前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1活性物質層は、前記第1集電体の前記第2電極シートに向かう側の表面を被覆しており、
前記電極アセンブリの外面は、第1平面、第2平面、第1弧面及び第2弧面を含み、前記電極アセンブリ厚さ方向に沿って、前記第1平面と前記第2平面とが対向して配置され、前記電極アセンブリの幅方向に沿って、前記第1弧面と前記第2弧面が対向して配置され、
前記電極アセンブリは、厚さが15μm~25μmの接着部材をさらに有し、前記接着部材は、前記第1電極シートの巻き終わり端に接続され、且つ前記第1弧面に貼り付けられ、前記第1電極シートの巻き終わり端を固定し、
前記第2電極シートの巻き終わり端は、巻取方向に沿って前記第1電極シートの巻き終わり端から張り出しており、張り出した長さが2mmよりも大きいか若しくはそれに等しいことを特徴とする電極アセンブリ。
【請求項2】
前記接着部材は、熱接着剤であり、前記第1電極シートの巻き終わり端及び前記電極アセンブリの外面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
前記接着部材の熱溶融温度は、120℃よりも小さいか若しくはそれに等しく、前記接着部材の熱接着圧力は、3MPaよりも小さいか若しくはそれに等しいことを特徴とする請求項2に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
前記セパレータの巻き終わり端は、巻取方向に沿って前記第2電極シートの巻き終わり端から張り出しており、且つ前記接着部材の内面に貼付されていることを特徴とする請求項に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
前記電極アセンブリは、前記第1電極シートに接続される第1タブと、前記第2電極シートに接続される第2タブと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
前記第1電極シートの巻き始め端には、第1裸箔領域が設けられ、前記第2電極シートの巻き始め端には、第2裸箔領域が設けられ、
前記第1タブは、前記第1裸箔領域に設けられ、前記第2タブは、前記第2裸箔領域に設けられていることを特徴とする請求項に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
前記電極アセンブリは、前記第1裸箔領域に設けられ、且つ前記第1タブを被覆する第1絶縁部材を含むことを特徴とする請求項に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
前記第2裸箔領域は、前記第1裸箔領域を延出しており、前記電極アセンブリは、前記第1裸箔領域の端部を被覆する第2絶縁部材をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の電極アセンブリ。
【請求項9】
電極アセンブリと、包装体と、を備える電池であって、
前記電極アセンブリは、請求項1~の何れか一項に記載の電極アセンブリであり、且つ前記包装体の中に収容されており、前記電極アセンブリのタブは、前記包装体から張り出していることを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池の分野に関し、特に、電極アセンブリと当該電極アセンブリを備える電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、巻回式電池の巻き終わり端において、電池セルの外層の電極シートのテール部には裸アルミ箔が一部存在(両面ともに活性物質コーティング層がない)する。そして、電極シートのコートエッジのリチウムデンドライトによる短絡リスクを低減するために、通常、テール部の裸アルミ箔とそのテール部のコートエッジとに絶縁テープを一層貼り付ける。テール部の裸アルミ箔及びそのテール部のコートエッジの絶縁テープは、電池セルで一定の体積を占め、電池セルのエネルギー密度を低下させている。また、電池セルは、一般的にアルミニウムプラスチックフィルムを用いて密封包装されており、電池セルと電池セルを密封する包装体との間には隙間があり、落下衝撃によって電池セル自身及び外層テール部の裸アルミ箔に割れが生じ易く、破砕された屑は包装体の中に閉じ込められ、電池セルの破砕した電極シートと接触して、短絡や発熱、ひいては爆発などの事故を起こる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような状況に鑑みて、電池セルの外層に裸アルミ箔がなく、且つエネルギー密度を向上させることが可能な電極アセンブリ、及びこの電極アセンブリを備えた電池が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願実施例に係る電極アセンブリは、第1電極シートと、極性が前記第1電極シートと逆である第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に配置されたセパレータと、を含み、前記電極アセンブリは、前記第1電極シート、前記セパレータ及び前記第2電極シートが巻回することにより形成される。前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体の表面に設けられた第1活性物質層とを含み、前記第1電極シートの巻き終わり端は、前記第2電極シートの巻き終わり端の巻芯から遠く離れた外側に位置する。前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1活性物質層は、前記第1集電体の前記第2電極シートに向かう側の表面を被覆する。前記電極アセンブリは、厚さが15μm~25μmの接着部材をさらに有し、前記接着部材は、前記第1電極シートの巻き終わり端に接続され、且つ前記電極アセンブリの外面の一部を被覆する。
【0005】
一態様によると、前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1集電体の前記第2電極シートとは後ろ向きの面には、前記第1活性物質層がコーティングされていない。
【0006】
一態様によると、前記接着部材は、熱接着剤であり、前記第1電極シートの巻き終わり端及び前記電極アセンブリの外面に貼り付けられている。
【0007】
さらに、前記接着部材の熱溶融温度は、120℃よりも小さいか若しくはそれに等しく、前記接着部材の熱接着圧力は、3MPaよりも小さいか若しくはそれに等しい。
【0008】
一態様によると、第2電極シートの巻き終わり端は、巻取方向に沿って前記第1電極シートの巻き終わり端から張り出しており、張り出した長さが2mmよりも大きいか若しくはそれに等しい。
【0009】
さらに、前記セパレータの巻き終わり端は、巻取方向に沿って前記第2電極シートの巻き終わり端から張り出しており、且つ前記接着部材の内面に貼付されている。
【0010】
一態様によると、前記電極アセンブリは、前記第1電極シートに接続される第1タブと、前記第2電極シートに接続される第2タブと、をさらに含み、前記電極アセンブリの厚さ方向に沿って、前記第1タブと前記第2タブとの投影は重なり合わない。
【0011】
さらに、前記第1電極シートの巻き始め端には、第1裸箔領域が設けられ、前記第2電極シートの巻き始め端には、第2裸箔領域が設けられ、前記第1タブは、前記第1裸箔領域に設けられ、前記第2タブは、前記第2裸箔領域に設けられている。
【0012】
さらに、前記電極アセンブリは、前記第1裸箔領域に設けられ、且つ前記第1タブを被覆する第1絶縁部材を含む。
【0013】
一態様によると、前記第2裸箔領域は、前記第1裸箔領域を延出しており、前記電極アセンブリは、前記第1裸箔領域の端部を被覆する第2絶縁部材をさらに含む。
【0014】
また、本願の実施例に係る電池は、電極アセンブリと、包装体と、を備え、前記電極アセンブリは、上記の何れかの態様に記載の電極アセンブリであり、且つ前記包装体の中に収容されており、前記電極アセンブリのタブは、前記包装体から張り出している。
【発明の効果】
【0015】
上記の電極アセンブリの最外周の電極シートには裸アルミ箔が設けられていないので、リチウムイオン電池のエネルギー密度が向上されるとともに、落下等の使用場面での安全性能が向上され、単一の電極アセンブリのアルミ箔消耗材も減少された。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施例における電極アセンブリの巻取構造を示す図である。
図2】一実施例における電極アセンブリの巻取構造を示す図である。
図3】一実施例における電極アセンブリの構成図である。
図4】一比較例における第1電極シートの展開構造を示す概略図である。
図5】一実施例における第1電極シートの展開構造を示す概略図である。
図6】一比較例における第1電極シートの展開構造を示す概略図である。
図7】一実施例における第1電極シートの展開構造を示す概略図である。
図8】一比較例における電極アセンブリの巻取構造を示す図である。
図9】一実施例における電池の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願実施例における図面を合わせて、本願実施例における技術案を明確且つ全体的に説明するが、ここで述べる実施例は、あらゆる実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本願の実施例に基づき、創造的な労働なしに当業者によって得られるあらゆる他の実施例についても、本願の保護範囲内に属される。
【0018】
ある要素がもう1つの要素に「固定された」と称される場合、それは直接に前記もう1つの要素に存在してもよく、又は他の要素を介して前記もう1つの要素に固定されてもよい。1つの要素がもう1つの要素に「接続される」と考えられる場合、それは前記もう1つの要素に直接に接続されてもよく、又は他の要素を介して前記もう1つの要素に接続されてもよい。ある要素がもう1つの要素に「設けられる」と考えられる場合、それは前記もう1つの要素に直接に設けられてもよく、又は他の要素を介して前記もう1つの要素に設けられてもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」及び類似する表現は、説明の目的だけに使用される。
【0019】
別段の定義がない限り、本文で使用するすべての技術及び科学的用語は、本願の技術分野に属する技術者が一般的に理解する意味と同様である。本願明細書において使用する用語は、具体的な実施例を説明する目的に過ぎず、本願を限定する旨ではない。本明細書で使用される用語「又は/及び」は、1つ又は複数の関連する項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0020】
本願実施例に係る電極アセンブリは、第1電極シートと、極性が前記第1電極シートと逆である第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に配置されたセパレータと、を含み、前記電極アセンブリは、前記第1電極シート、前記セパレータ及び前記第2電極シートが巻回することにより形成される。前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体の表面に設けられた第1活性物質層とを含み、前記第1電極シートの巻き終わり端は、前記第2電極シートの巻き終わり端の巻芯から遠く離れた外側に位置する。前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1活性物質層は、前記第1集電体の前記第2電極シートに向かう側の表面を被覆する。前記電極アセンブリは、厚さが15μm~25μmの接着部材をさらに有し、前記接着部材は、前記第1電極シートの巻き終わり端に接続され、且つ前記電極アセンブリの外面の一部を被覆する。上記の電極アセンブリの最外周の電極シートには、裸アルミ箔のが設けられていなく、且つ厚さが15μm~25μmの超薄接着部材と併用して、リチウムイオン電池のエネルギー密度を高めるとともに、落下等の使用場面における安全性能や、単一の電極アセンブリのアルミ箔消耗材も向上させている。
【0021】
本願のいくつかの実施例を詳細に説明する。衝突しない場合、下記の実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせてもよい。
【0022】
図1に示すように、本願の一実施例において、電極アセンブリ100は、第1電極シート10と、第2電極シート20と、セパレータ30とを含む。第1電極シート10と第2電極シート20との極性は、逆である。セパレータ30は、第1電極シート10と第2電極シート20との間に設けられる。電極アセンブリ100は、第1電極シート10とセパレータ30と第2電極シート20とが1つの巻針をめぐって巻き取られることによって、形成される。巻き取りが完了したら、電極アセンブリ100の中から巻針を取り出す。電極アセンブリ100は、第1電極シート10の巻き終わり端13、第2電極シート20の巻き終わり端及びセパレータ30の巻き終わり端を含む巻き終わり端を有する。セパレータ30の巻き終わり端31は、第1電極シート10の巻き終わり端13と第2電極シート20の巻き終わり端との間に位置する。第1電極シート10の巻き終わり端13は、電極アセンブリ100の最外層に位置する。
【0023】
第1電極シート10は、第1集電体11と、第1集電体11の表面に設けられた第1活性物質層12と、を含み、第1電極シート10の巻き終わり端は、第2電極シート20の巻き終わり端の巻芯から遠く離れた外側に位置している。
【0024】
本願の実施例では、第1電極シート10はカソードシートであり、第1集電体11はアルミ箔層を選択して使用し、第1活性物質層12はカソード活性物質層であり、LiCoO、LiFePOなどのリチウムイオンの離脱または吸蔵が可能な電気化学的活性物質を選択することができる。第2電極シート20は、アノードシートであって、第2集電体21と、第2活性物質層22とを含む。第2集電体は、銅箔層であり、第2活性物質層22は、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、LiTi12などのリチウムイオンを吸蔵可能な電気化学的活性物質を選択することができる。
【0025】
第1電極シート10の巻き終わり端13は、電極アセンブリ100の最外層の電極シートであり、第1電極シート10の巻き終わり端13における第1活性物質層12は、第1集電体11の第2電極シート20に向かう表面を被覆し、第1電極シート10の巻き終わり端13における第1集電体11の第2電極シート20とは後ろ向きの面には、前記第1活性物質層がコーティングされていない。電極アセンブリ100は、厚さが15μm~25μmである接着部材40をさらに含む。接着部材40は、第1電極シート10の巻き終わり端に接続され、且つ電極アセンブリ100の外面の一部を被覆する。
【0026】
本願の実施例では、接着部材40は、熱接着剤であり、厚さが15μm~25μmである極薄熱接着剤を採用でき、材料がゴム系接着剤とすることができ、PETと併用する。接着部材40は、一定の圧力(≦3MPa)と温度(≦120℃)の条件下で、粘性を生じることができる。つまり、接着部材40の熱溶融温度は120℃よりも小さいか若しくはそれに等しく、熱接着圧力は3MPaよりも小さいか若しくはそれに等しい。
【0027】
図1に示すように、電極アセンブリ100の外面は、第1平面101、第2平面102、第1弧面103及び第2弧面104を含む。電極アセンブリ100の厚さ方向(図1の矢印Aで示す方向)に沿って、第1平面101と第2平面102とが対向して配置され、電極アセンブリ100の幅方向(図1の矢印Bで示す方向)に沿って、第1弧面103と第2弧面104が対向して配置される。また、第1弧面103と第2弧面104は、第1平面101と第2平面102との間に接続されている。
【0028】
第1電極シート10の巻き終わり端13は、第1平面101と第1弧面103との境目に略位置している。接着部材40は、第1電極シート10の巻き終わり端に接続され、且つ第1弧面103に貼り付けられて、接着部材40が電極アセンブリ100の厚さを増加させないようにする。他の実施例において、第1タブの巻き終わり端は、第1平面101または第2平面102に位置していてもよく、これに応じて、接着部材40も、第1平面101または第2平面102に貼り付けられている。
【0029】
さらに、第2電極シート20の端部がリチウムを析出することによるバリがセパレータ30を突き抜けて、第1電極シート10と接触して短絡を引き起こすことを回避するために、第2電極シート20の巻き終わり端が電極シートの巻取方向に沿って第1電極シート10の巻き終わり端13から張り出しており、張り出した長さL1が2mmより大きい又は2mmに等しい。セパレータ30の巻き終わり端31は、第2電極シート20の巻き終わり端から張り出しており、且つ接着部材40の内面に貼り付けられる。セパレータ30の巻き終わり端31の第2電極シート20から延出する長さL2は、4mmより大きい又は4mmに等しい。第2電極シート20の巻き終わり端は、前記セパレータの巻き終わり端31により被覆されて、第2電極シート20の巻き終わり端を保護して絶縁させる。
【0030】
図1及び図3に示すように、電極アセンブリ100は、第1電極シート10に接続される第1タブ50と、第2電極シート20に接続される第2タブ60とをさらに備える。電極アセンブリ100の厚さ方向に沿って、第1タブ50と第2タブ60との投影は重ならず、電極アセンブリ100の長手方向(図3の矢印Cで示す方向)に沿って、第1タブ50と第2タブ60は、電極アセンブリ100の同一端から張り出している。他の実施例では、第1タブ50と第2タブ60は、電極アセンブリ100の異なる端から張り出してもよく、本願はこれに限定されない。
【0031】
さらに、第1電極シート10の巻き始め端には、第1裸箔領域14が設けられ、第2電極シート20の巻き始め端には、第2裸箔領域23が設けられている。第1タブ50は、第1裸箔領域14に設けられ、第2タブ60は、第2裸箔領域23に設けられている。電極アセンブリ100は、第1絶縁部材70を含む。第1絶縁部材70は、第1裸箔領域14に設けられ且つ第1タブ50を被覆し、第1タブ50でのバリがセパレータ30を突き抜けて第2電極シート20と接触して短絡するのを防止する。一実施例では、第1絶縁部材70は、絶縁テープであり、第1タブ50から第1活性物質層12の開始端まで延伸し、第1裸箔領域14の全体をほぼ覆って、第1裸箔領域14を効果的に保護し、割れや短絡等が生じないようにする。
【0032】
一実施例では、第2裸箔領域23が第1裸箔領域14から延出し、第2タブ60が第2裸箔領域23における第1裸箔領域14から延出する領域に設けられており、第2タブ60でのバリがセパレータ30を突き抜けても、第2タブ60が第2電極シート20に接触し、第1電極シート10に接触することで短絡が生じることは防止される。また、電極アセンブリ100は、第2絶縁部材80を含み、第2絶縁部材80は、第1裸箔領域14の端部を被覆し、第1裸箔領域14の端部でのバリがセパレータ膜30を突き抜けて第2電極シート20に接触することを回避する。
【0033】
図2に示すように、本願の一実施例では、第1タブ50は、第1集電体11における第1活性物質層12がコーティングされている領域に設けられ、第2タブ60は、第2集電体21における第2活性物質層22がコーティングされている領域に設けられている。第1タブ50及び第2タブ60には、短絡の問題を回避するために第1絶縁部材70が設けられている。第1タブ50と第1集電体11とを接続する際には、第1集電体11の一部が第1活性物質層12から露出するように、一部の第1活性物質層12を先に取り除く必要がある。その後、露出した部分の第1集電体11に第1タブ50が溶接される。第2タブ60と第2集電体21との接続形態は同様であり、ここでは説明を省略する。
【0034】
他の実施例において、第1タブ50と第2タブ60とは、一方が電極アセンブリ100の巻芯における裸箔領域に設けられ、他方が電極シートの他の位置に設けられていてもよく、本願はこれに限定されない。
【0035】
図4及び図5に示すように、図面の破線で示す位置は、隣接する2つの第1電極シート10の製造工程における裁断位置である。第1タブ50が第1裸箔領域14に設けられる場合、比較例の電極アセンブリの最外周には1段の裸アルミ箔が設けられるため、図4に示される比較例における裸アルミ箔領域の長さL3は、図5に示される本願の実施例における裸アルミ箔領域の長さL4よりも明らかに長い。本願実施例における裸アルミ箔領域の長さL4は、電極アセンブリ100の巻き始め端のパラメータ条件を満たすだけでよい。これにより、アルミ箔の消耗材を節約した上に、最外周の裸アルミ箔も除去し、エネルギー密度と電極アセンブリ100の落下等の使用場面での安全性能を向上させている。
【0036】
なお、図6及び図7に示すように、第1集電体11における第1活性物質層12がコーティングされている領域に第1タブ50が設けられる場合、比較例の電極アセンブリの最外周には1段の裸アルミ箔が設けられているため、図6の比較例においては、隣り合う2枚の第1電極シート10の間には第1電極シート10の巻き終わり端13とする片面領域と、一段の裸アルミ箔とが存在している。これに対して、図7に示される本願の実施例においては、隣り合う2枚の第1電極シート10の間の裸アルミ箔が除去され、一段の片面領域(第1電極シート10の巻き終わり端13)しか残っていなく、これにより、第1集電体11の下面の第1活性物質層12が連続して存在し、第1電極シート10の製造過程を簡略化することができ、生産性の向上に役立つ。
【0037】
また、図8に示すように、一比較例において、電極アセンブリの外層テール部には裸アルミ箔105(両面ともに活性物質コーティング層がなし)が一部存在し、そして、テール部の裸アルミ箔とそのテール部のコートエッジには絶縁テープ106が一層貼り付けられている。裸アルミ箔105及び絶縁テープ106は、いずれも電極アセンブリの第2平面102に位置している。
【0038】
上述した本願の実施例と併せて、上記の比較例を参照しながら、各実施例で得られた電極アセンブリ100のエネルギー密度の向上を測定した割合を、以下の表に示す。
【0039】
【0040】
【0041】
比較例と本願の実施例の電極アセンブリとの落下試験データを、以下の表に示す。
【0042】
第1グループの試験における実施例と比較例との電極アセンブリの基本的なパラメータは、以下の通りである。電池セルの容量が3200mAhであり、化学システムが4.35Vであり、S/A overhangが2.0mmであり、Sがセパレータであり、Aがアノードである。overhang:2.0mmは、セパレータの幅がアノードシートの幅とする2mmより大きいことを教示する。アノードシートは、第1電極シートである。
【0043】
【0044】
第2グループの試験における実施例と比較例との電極アセンブリの基本的なパラメータは、以下の通りである。
【0045】
電池セル容量が4000mAhであり、化学システムが4.35Vであり、S/A overhangが2.0mmである。
【0046】
【0047】
図4図8と上記の表で示されたデータとから分かるように、本願の実施例は、比較例と比べて、電極アセンブリ100の最外周には裸アルミ箔が設けられていなく、接着部材40で第1電極シート10の巻き終わり端と電極アセンブリ100の一部の外面とを接続することによって、電極アセンブリ100の厚さは薄くされたと同時に、エネルギー密度及び落下安全性能は向上された。
【0048】
図9に示すように、本願の実施例は、包装体201と、上記の実施例に記載した電極アセンブリ100とを備える電池200をさらに開示した。電極アセンブリ100は、包装体201の中に収容される。電極アセンブリ100のタブは、包装体201から張り出している。
【0049】
以上の実施例は、本出願の技術的な態様を説明するのみ用いられるものであり、限定するものではない。以上のより良い実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者が本出願の技術的な態様を修正または同等に置換しても本出願の技術案の精神的及び範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0050】
100 電極アセンブリ
101 第1平面
102 第2平面
103 第1弧面
104 第2弧面
105 裸アルミ箔
106 絶縁テープ
10 第1電極シート
11 第1集電体
12 第1活性物質層
13 巻き終わり端
14 第1裸箔領域
20 第2電極シート
21 第2集電体
22 第2活性物質層
23 第2裸箔領域
30 セパレータ
31 巻き終わり端
40 接着部材
50 第1タブ
60 第2タブ
70 第1絶縁部材
80 第2絶縁部材
200 電池
201 包装体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9