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特許7359861シリコーンエラストマー組成物及びエラストマー材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】シリコーンエラストマー組成物及びエラストマー材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20231003BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20231003BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231003BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20231003BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20231003BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20231003BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K3/013
C08K5/14
C08K3/36
C08L83/08
C08L27/18
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021557426
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2019080316
(87)【国際公開番号】W WO2020198905
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオフイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ユーシェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ、ハンス ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、マーク ディー.
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-065414(JP,A)
【文献】特表昭57-501681(JP,A)
【文献】特開2006-089532(JP,A)
【文献】特開昭56-005852(JP,A)
【文献】特開2008-156564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/16
C08K 3/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物であって、
(i)0.01~0.1重量%のアルケニル及び/又はアルキニル含有量を有する50~75重量%の1つ以上のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(ii)0.5重量%以上のアルケニル又はアルキニル含有量を有する3~15重量%のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(iii)10~35重量%の補強充填剤と、
(iv)過酸化物触媒、若しくは
(v)ヒドロシリル化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーと、
b.ヒドロシリル化触媒と、を含むパッケージ、若しくは
(vi)(iv)及び(v)の組合せ、のいずれかと、を含み、
成分(i)及び(ii)が、ASTM D-926-08に従って、30mm/100より大きいウィリアムス可塑度を有するシリコーンガムを含むか、成分(i)及び(ii)が、ASTM D-926-08に従って、30mm/100より大きいウィリアムス可塑度を有するフルオロシリコーンガムを含む組成物。
【請求項2】
自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物であって、
(i)0.01~0.1重量%のアルケニル及び/又はアルキニル含有量を有する50~75重量%の1つ以上のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(ii)0.5重量%以上のアルケニル又はアルキニル含有量を有する3~15重量%のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(iii)10~35重量%の補強充填剤と、
(iv)過酸化物触媒、若しくは
(v)ヒドロシリル化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーと、
b.ヒドロシリル化触媒と、を含むパッケージ、若しくは
(vi)(iv)及び(v)の組合せ、のいずれかと、を含み、
成分(i)及び(ii)がフルオロシリコーンガムを含み、前記組成物がヒドロシリル化硬化性である場合に、前記ポリジオルガノシロキサンポリマー(v)(a)がフッ素を含有する組成物。
【請求項3】
前記補強充填剤(iii)が、処理されたヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカエアロゲル、又はそれらの混合物である、請求項1又は2に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項4】
自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物であって、
(i)0.01~0.1重量%のアルケニル及び/又はアルキニル含有量を有する50~75重量%の1つ以上のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(ii)0.5重量%以上のアルケニル又はアルキニル含有量を有する3~15重量%のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(iii)10~35重量%の補強充填剤と、
(iv)過酸化物触媒、若しくは
(v)ヒドロシリル化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーと、
b.ヒドロシリル化触媒と、を含むパッケージ、若しくは
(vi)(iv)及び(v)の組合せ、のいずれかと、を含み、
成分(v)が存在する場合に、前記組成物の0~1重量%の量のヒドロシリル化硬化抑制剤が追加的に任意に提供される、及び/又は、前記組成物が、成分(i)、(iii)及び(v)(b)を含む第1剤、すなわちA剤と、成分(i)、(iii)、存在する場合に(v)(a)及び(v)(c)を含む第2剤、すなわち、B剤との2剤系で保存され、成分(ii)が、A剤若しくはB剤に存在し得る、又はA剤とB剤との間で分割され得る組成物。
【請求項5】
成分(v)が存在する場合に、前記組成物の0~1重量%の量のヒドロシリル化硬化抑制剤が追加的に任意に提供される、及び/又は、前記組成物が、成分(i)、(iii)及び(v)(b)を含む第1剤、すなわちA剤と、成分(i)、(iii)、存在する場合に(v)(a)及び(v)(c)を含む第2剤、すなわち、B剤との2剤系で保存され、成分(ii)が、A剤若しくはB剤に存在し得る、又はA剤とB剤との間で分割され得る、請求項1~3のいずれか一項に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項6】
自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物であって、
(i)0.01~0.1重量%のアルケニル及び/又はアルキニル含有量を有する50~75重量%の1つ以上のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(ii)0.5重量%以上のアルケニル又はアルキニル含有量を有する3~15重量%のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(iii)10~35重量%の補強充填剤と、
(iv)過酸化物触媒、若しくは
(v)ヒドロシリル化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーと、
b.ヒドロシリル化触媒と、を含むパッケージ、若しくは
(vi)(iv)及び(v)の組合せ、のいずれかと、を含み、
250~750μmの粒径を有するか、あるいは、350~550μmの粒径を有する、ポリテトラフルオロエチレンを更に含む組成物。
【請求項7】
250~750μmの粒径を有するか、あるいは、350~550μmの粒径を有する、ポリテトラフルオロエチレンを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項8】
非オイルブリード性及び/又は非オイル充填である、請求項1~のいずれか一項に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項9】
組成物が、相溶化剤、導電性及び熱伝導性充填剤、非伝導性充填剤、ポットライフ延長剤、難燃剤、非補強性充填剤、顔料着色剤、接着促進剤、鎖延長剤、シリコーンポリエーテル、及びそれらの混合物のうちの1つ以上を含む1つ以上の追加の任意の成分を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物の硬化生成物である自己潤滑性シリコーンエラストマー材料。
【請求項11】
後硬化後の動摩擦係数が>0かつ≦0.8である、又はフルオロシリコーンエラストマー材料の場合には、後硬化後の動摩擦係数が>0かつ≦1.25である、請求項10に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー材料。
【請求項12】
ウェアラブルデバイスのストラップ及びバンド、携帯電話及び他のパーソナル電子デバイスの保護カバー、医療用途のカテーテル、ガスケット及び/又はシール、ワイパーブレード、コネクタシール、マットシール、ワイヤシール キッチン用品、下水設備用物品、高電圧産業用の絶縁体及び/又はアレスタに使用するための請求項10又は11に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー材料。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の自己潤滑性シリコーンゴムエラストマー材料からなる、又はそれを含む、ウェアラブルデバイスのストラップ及びバンド、携帯電話及び他のパーソナル電子デバイスの保護カバー、医療用途のカテーテル、ガスケット及び/又はシール、ワイパーブレード、コネクタシール、マットシール、ワイヤシール キッチン用品、下水設備用物品、高電圧産業用の絶縁体及び/又はアレスタから選択されるデバイス。
【請求項14】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物の成分を混合し、前記組成物を硬化させることによって、自己潤滑性シリコーンエラストマー材料を製造する方法。
【請求項15】
自己潤滑性シリコーンゴムエラストマー材料からなる、又はそれを含むウェアラブルデバイスのストラップ及びバンド、携帯電話及び他のパーソナル電子デバイスの保護カバー、医療用途のカテーテル、ガスケット及び/又はシール、ワイパーブレード、コネクタシール、マットシール、ワイヤシール キッチン用品、下水設備用物品、高電圧産業用の絶縁体及び/又はアレスタから選択される物品を製造するための請求項10又は11に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー材料の使用。
【請求項16】
非オイルブリード性で低摩擦係数のエラストマー材料としての請求項10又は11に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
本発明は、自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物、及びそれから製造される摩擦係数が低く、「セルフブリーディング」の必要性を回避する自己潤滑性エラストマー材料に関する。また、エラストマー材料から製造される物品も開示する。
【0002】
付加(ヒドロシリル化と呼ばれることもある)による硬化又は過酸化物ラジカルによる硬化によって架橋するシリコーンエラストマー組成物は、シリコーンゴムの分野において既知である。それらから得られるエラストマーの物理的特性により、それらは広い範囲の用途に使用することができる。多くの用途において、シリコーンエラストマー材料(シリコーンゴム)は天然ゴムよりも優れている。例えば、硬化性ポリジオルガノシロキサン系組成物を用いて製造されたシリコーンエラストマーは、物理的特性に明らかな影響を与えることなく、広い範囲の温度変化に耐えることができる。更に、それらは長期間にわたる場合であっても、紫外線にる影響を実質的に受けない。それらはまた、オゾン、油、塩、水、及び他の道路や自動車の化学物質に対しても耐性である。しかしながら、一般的に、シリコーンエラストマー材料は、それらが様々な他の材料と摩擦接触するときに高い摩擦係数を有するという欠点を有する。
【0003】
例えば、シリコーン系エラストマー材料は、車両のフロントガラス用のワイパーブレード中のブレード材料として利用されてきた。しかしながら、シリコーンエラストマーブレードとフロントガラス表面との間の許容できないほどの高い摩擦のため、このような用途へのこれらのシリコーンエラストマー材料の使用はもともとは困難であった。実際、一部の初期のシリコーンワイパーブレードは、非常に高いレベルの摩擦を示したために、フロントガラスを拭く際にワイパーフレームから外れてしまったり、また、しばしばフロントガラス表面と相互作用する間にフロントガラスワイパーのモータに過度に高い負荷をかける結果となる許容できないほど大きな軋み音及び/又は「振動」雑音を生じた。
【0004】
今日、摩擦係数がはるかに低いシリコーンエラストマー材料を使用して製造されるため、シリコーンエラストマー材料を使用して製造されたワイパーブレードは著しく改善されている。これは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末(一般的には、粒径が≧1μmかつ≦50μm)を、エラストマー材料の調製に使用されるシリコーン組成物に導入することによって、予備硬化させたシリコーンエラストマーのワイパーブレードをPTFEコーティングでコーティングすることによって、また、硬化後にエラストマー体から液体潤滑剤を滲みださせて、後者の二次コーティングプロセスの必要を排除して、滑らかな表面を形成するように設計されたセルフブリーディングシリコーンエラストマーの開発を通じて、自己潤滑性シリコーンエラストマーが開発されたためである。しかしながら、上記のコーティング及びセルフブリーディングシリコーンエラストマー材料は、この用途に利点をもたらすことは認められるが、潤滑コーティングが経時的に摩耗して、それにより、ワイパーブレードの改善された摩擦特性が低下し、また、ワイパーブレードとしてのセルフブリーディングエラストマーの使用は、フロントガラス表面をフィルムでコーティングしてドライバーの視界を遮る可能性があるため、完全な解決策とはなっていない。
【0005】
自己潤滑性シリコーンエラストマー材料の他の用途としては、実用中に1つの部品が別の部品若しくは要素に沿って移動し、摺動し、又は接触する2つ以上の部品を有するセミダイナミックシール、又は、2つ以上の部品が、同様に接触する、若しくは互いに対して移動するダイナミックシールの一部として挙げられ、例として、ガスケット、バルブ、カバーなどが挙げられる。そのような用途/使用において、自己潤滑性シリコーンエラストマー材料から製造された物品は、摩擦表面又は接触表面の間の摩擦を、最も重要なこととしては境界潤滑の条件で効果的に低減するために、及び/又は低い表面エネルギーを継続して維持するために、及び/又は流体を効果的にはじいて、生じる接触表面上の抗力を効果的に防ぐために設けられる。これらは通常、自動車の電気的接続部のコネクタシールに、ウェザーパックシールに、適切な場合に、特定の医療用途に利用することができるOリング、バルブ、ストッパー、シール、バルーンとして使用される。使用されるエラストマー材料の潤滑性を向上させることにより、構造体の上又は内部を摺動するために必要な力を低減しながら、特定の構造体の変形の程度を限定し、漏れ防止シールを形成又は維持することができる。
【0006】
一般的に、このような自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物は、合成油及び/又は固体潤滑剤などの1つ以上の潤滑剤を含む。合成油の場合、これらとしては、例えば、パーフルオロポリエーテル(PFPE)合成油、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)合成油、及びエチレンとオレフィンとのいわゆるコオリゴマーを例とする炭化水素系合成油を挙げることができる。このような材料は一般に、業界ではオイルブリード液体シリコーンゴムとして知られ、それらは摩擦係数を低減するための二次コーティングプロセスの必要性を回避するように特別に設計されている。これらの自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物は、成形部品の長寿命化を促進し、スリットの癒着を防止し、金型を汚すことなく容易かつ効率的な部品の成形を可能にすることを目的としている。好ましい固体潤滑剤としては、小粒径(≧1μmかつ≦50μm)のポリテトラフルオロエチレン粉末、二酸化チタン微粉末、二硫化モリブデン微粉末、グラファイトの微粉末又はフレーク、及び窒化ホウ素微粉末などが挙げられる。
【0007】
しかしながら、エラストマー材料からの油の滲出、粉末の添加による未硬化組成物の粘度の大幅上昇、及び硬化後の機械的特性の明白な劣化という問題が認められている。
【0008】
したがって、製造業者は、シリコーンエラストマー材料の摩擦係数を低減し、上記の問題を回避する組成物を与える別の改善された解決策を絶えず模索している。
【0009】
本明細書では、自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物であって、
(i)0.01~0.1重量%のアルケニル及び/又はアルキニル含有量を有する50~75重量%の1つ以上のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(ii)0.5重量%以上のアルケニル又はアルキニル含有量を有する3~15重量%のポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(iii)10~35重量%の補強充填剤と、
(iv)過酸化物触媒、若しくは
(v)ヒドロシリル化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーと、
b.ヒドロシリル化触媒と、を含むパッケージ、若しくは
(vi)(iv)と(v)の組合せ、のいずれかと、を含む組成物を提供する。
【0010】
疑義を避けるために、本開示における上記及び他の全ての組成物の重量%(wt%)に関する言及において、全ての場合における組成物の総wt%は100%であることは理解されたい。
【0011】
本明細書はまた、本明細書に記載の組成物の硬化生成物である自己潤滑性シリコーンエラストマー材料も提供する。一実施形態において、シリコーンエラストマー材料は、>0かつ≦0.8の後硬化後の動摩擦係数を有し、又はフルオロシリコーンエラストマー材料の場合は、>0かつ≦1.25の後硬化後の動摩擦係数を有する。
【0012】
本明細書はまた、本明細書に記載の自己潤滑性シリコーンゴムエラストマー材料からなる、又はそれを含むウェアラブルデバイスのストラップ及びバンド、携帯電話及び他のパーソナル電子デバイスの保護カバー、医療用途のカテーテル、ガスケット及び/又はシール、ワイパーブレード、コネクタシール、マットシール、ワイヤシール キッチン用品、下水設備用物品、高電圧産業用の絶縁体及び/又はアレスタから選択されるデバイスを提供する。
【0013】
本明細書はまた、本明細書に記載の組成物の成分を混合することによって自己潤滑性シリコーンエラストマー材料を製造する方法も提供する。
【0014】
本発明はまた、本明細書に記載の自己潤滑性シリコーンゴムエラストマー材料からなる、又はそれを含むウェアラブルデバイスのストラップ及びバンド、携帯電話及び他のパーソナル電子デバイスの保護カバー、医療用途のカテーテル、ガスケット及び又はシール、ワイパーブレード、コネクタシール、マットシール、ワイヤシール キッチン用品、下水設備用物品、高電圧産業用の絶縁体及び/又はアレスタから選択される物品を製造するための本明細書に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー材料の使用も提供する。
【0015】
本明細書は更に、非オイルブリード性で低摩擦係数のエラストマー材料としての本明細書に記載の自己潤滑性シリコーンエラストマー材料の使用を提供する。
【0016】
自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物は硬化して自己潤滑性シリコーンエラストマー材料を形成することができる。組成物は、1つ以上の任意の添加剤を含んでもよいが、組成物の総重量%は100wt%である。ポリマー(i)のアルケニル及び/又はアルキニル含有量は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して決定される。
【0017】
本明細書のシリコーンエラストマー組成物の成分(i)は、成分(i)の重量の0.01~0.1wt%のアルケニル及び/又はアルキニル含有量を有する1つ以上のポリジオルガノシロキサンポリマーである。一実施形態において、成分(i)のポリジオルガノシロキサンポリマーは、フルオロシリコーンポリマーであってもよい。ポリジオルガノシロキサンポリマーは、複数の式(I):
SiO(4-a)/2 (I)
[式中、各Rは独立して、脂肪族ヒドロカルビル基、芳香族ヒドロカルビル基、又はオルガニル基(すなわち、官能基の種類にかかわらず、炭素原子において1つの自由原子価を有する、任意の有機置換基)から選択される]の複数の単位を有する。飽和脂肪族ヒドロカルビルとしては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルなどのアルキル基、並びにシクロヘキシルなどのシクロアルキル基が例示されるが、それらに限定されない。不飽和脂肪族ヒドロカルビルとしては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、シクロヘキセニル、及びヘキセニルなどのアルケニル基、並びにアルキニル基が例示されるが、それらに限定されない。芳香族炭化水素基としては、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、及び2-フェニルエチルが例示されるが、それらに限定されない。オルガニル基としては、以下に詳細に説明するフルオロシリコーンポリマーの場合のフルオロアルキル基、クロロメチル及び3-クロロプロピルなどのハロゲン化アルキル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基などの窒素含有基、ポリオキシアルキレン基、カルボニル基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基などの酸素含有基が例示されるが、それらに限定されない。更なるオルガニル基としては、硫黄含有基、リン含有基、及び/又はホウ素含有基が挙げられ得る。下付き文字「a」は、0、1、2又は3であってもよいが、一般的には主に2又は3である。
【0018】
シロキシ単位は、Rがメチル基のとき、簡略表記(略記)、すなわち、「M」、「D」、「T」、及び「Q」で表記される場合がある(シリコーンの命名法についての更なる教示は、Walter Noll,Chemistry and Technology of Silicones,dated 1962,Chapter 1,page 1~9を参照)。M単位は、式中、a=3であるシロキシ単位、すなわち、RSiO1/2に相当し、D単位は、式中、a=2であるシロキシ単位、すなわち、RSiO2/2に相当し、T単位は、式中、a=1であるシロキシ単位、すなわち、RSiO3/2に相当し、Q単位は、式中、a=0であるシロキシ単位、すなわち、SiO4/2に相当する。
【0019】
ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)上の一般的な基の例としては、主にアルケニル基、アルキル基、及び/又はアリール基が挙げられる。それらの基は、ペンダント位置(D又はTシロキシ単位上)であってもよく、又は末端(Mシロキシ単位上)であってもよい。前述のように、アルケニル及び/又はアルキニル基は必須である。ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)中の好適なアルケニル及び/又はアルキニル基は、一般的に、例えば、アルケニル基としてはビニル、イソプロペニル、アリル、及び5-ヘキセニルなど2~10個の炭素原子を含有する。アルケニル基又はアルキニル基は、アルケニル基、あるいはビニル基であることが好ましい。
【0020】
一般的に、アルケニル及び/又はアルキニル基以外のポリジオルガノシロキサンポリマー(i)に結合したケイ素結合有機基は、一般的には1~10個の炭素原子を含有する一価の飽和炭化水素基、及び一般的には6~12個の炭素原子を含有する一価の芳香族炭化水素基から選択され、それらの基は、非置換であるか、又は、ハロゲン原子のような本発明の組成物の硬化を妨げることのない基によって置換される。ケイ素結合有機基の好ましい種は、例えば、メチル、エチル、及びプロピルなどのアルキル基、並びにフェニルなどのアリール基である。
【0021】
ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)の分子構造は、一般的に直鎖状であるが、(前述のように)分子内にT単位が存在するため、ある程度の分岐が存在していてもよい。
【0022】
前述の組成物を硬化させて調製されるエラストマーにおいて有用なレベルの物理的特性を得るためには、ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)の粘度は、ASTM D 1084 Method Bのカップ/スピンドル法に従い、粘度範囲に最も適切なBrookfield(登録商標)RV又はLVシリーズのスピンドルを使用して、25℃で少なくとも1000mPa・sでなければならない。ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)の粘度の上限は特には制限されず、一般的には、液状シリコーンゴム(LSR)組成物が望まれる場合、加工性によってのみ制限され、あるいは、LSRポリマー(i)の粘度は、25℃で500,000mPa・sまで上昇してもよい。あるいは、しかしながら、ポリジオルガノシロキサン(i)は、1つ以上のポリジオルガノシロキサンガム及び/又はフルオロシリコーンポリマー若しくはガムであってもよい。
【0023】
ポリジオルガノシロキサンガムは、一般的には、25℃において少なくとも1,000,000mPa・sの粘度を有する。しかしながら、シリコーンガムのような高粘度の流体の粘度の測定は困難であるため、ガムは、粘度ではなく、ASTM D-926-08に従ったウィリアムス可塑度値で記述される傾向がある。ポリジオルガノシロキサンガム(i)は、ASTM D-926-08に従って測定される少なくとも30mm/100、あるいはASTM D-926-08に従って測定される少なくとも50mm/100、あるいはASTM D-926-08に従って測定される少なくとも100mm/100、あるいは100mm/100~300mm/100のウィリアムス可塑度を与える粘度を有する。
【0024】
ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)は、各ポリマーが1分子当たり少なくとも2つのアルケニル又はアルキニル基(通常はアルケニル基)を含むことを条件として、例えば、アルケニル及び/又はアルキニル基を含むポリジメチルシロキサン、アルキルメチルポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン、又はそれらのコポリマーから選択されてよく、また、任意の適切な末端基を有してもよく、例えば、それらはトリアルキル末端、アルケニルジアルキル末端であってよく、又は、他の適切な末端基の組合せで終端していてもよい。したがって、ポリジオルガノポリシロキサンポリマー(i)は、例えば、ジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルメチルフェニルシロキサン、トリアルキル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサン、又はジアルキルビニル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサンコポリマーであってもよい。
【0025】
例えば、2つの末端にアルケニル基又はアルキニル基を含有するポリジオルガノシロキサンポリマー(i)は、一般式(II)で表される:
R’R’’R’’’SiO-(R’’R’’’SiO)-SiOR’’’R’’R’ (II)
【0026】
式(II)において、各R’は、アルケニル基又はアルキニル基であってよく、あるいは、一般的には2~10個の炭素原子を含有するアルケニル基であってよい。アルケニル基としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、アルケニル化シクロヘキシル基、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、又は同様の直鎖状及び分岐状アルケニル基、並びにアルケニル化芳香族環構造が挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、アルキニル化シクロヘキシル基、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、又は同様の直鎖状及び分岐状アルケニル基、並びにアルケニル化芳香族環構造から選択され得るが、これらに限定されない。
【0027】
R’’はエチレン性不飽和を含有せず、各R’’は同一でも、異なってもよく、一般的に1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素基及び一般的に6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から個別に選択される。R’’は、非置換でもよく、又は、本発明の組成物の硬化を妨げることのない1つ以上の基(ハロゲン原子など)によって置換されていてもよい。あるいは、R’’は1~6個の炭素原子を含有するか、あるいはR’’はメチル基である。R’’’は、R’又はR’’である。
【0028】
あるいは、ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)は、フルオロシリコーンポリマー、すなわち、以下の式を有する単位を含むフッ素化ポリジオルガノシロキサンポリマーであってもよい:
(RZ)(RSiO(4-d-e)/2
[式中、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、1~8個の炭素原子を有する分岐状又は直鎖状フルオロアルキル基を示し、
各Zは、同一であっても異なっていてもよく、少なくとも2つの炭素原子を含有する二価のアルキレン基、炭化水素エーテル又は炭化水素チオエーテルを示し、各R基は、Z基を介してケイ素原子に結合し、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、任意に置換された飽和又は不飽和のケイ素に結合した一価の炭化水素基を示し、
ここで、d=0~2、e=0~2であり、dが0である場合、単位あたり少なくとも1つのR基は1つ以上の炭素-フッ素結合を含有する]。
【0029】
好適な飽和R基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル及びデシルなどのアルキル基が挙げられる。eが0より大きい場合、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、アルケニル基を除くフルオロシリコーンポリマー中の全てのR基はメチル基である。dが0である場合、好ましくは、単位当たり平均して少なくとも1つのRが少なくとも1つの炭素-フッ素結合を含有し、あるいは、eが0である場合、単位当たり少なくとも1つのRはCF-である。
【0030】
好ましくは、5~100モル%のフッ素化シロキサン単位の全範囲にわたって、Rは、少なくとも1つの炭素原子を有するか、あるいは1~8個の炭素原子を有するフルオロアルキル基を示す。存在する各フルオロアルキル基は、少なくとも1つの-C-F結合を有する。R基は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状構造又は分岐状構造を有してもよい。好ましくは、少なくともいくつか、最も好ましくは、少なくとも50%のフルオロアルキル基はペルフルオロアルキル基である。その例としては、CF-、C-、C-、例えばCFCFCF-又は(CFCF-、C-、例えばCFCFCFCF-、(CFCFCF-、(CFC-及びCFCF(CF)CF-;C11、例えばCFCFCFCFCF-、C13-、例えばCF(CFCF-;C14-、例えばCF(CFCF-;並びにC17が挙げられる。
【0031】
各ペルフルオロアルキル基は、Z、すなわち、炭素、水素及び任意でエーテル及びチオエーテル結合としてそれぞれ存在する酸素及び/又は硫黄原子を含有する二価のスペーサー基を介してケイ素原子に結合される。硫黄及び酸素原子は、存在する場合、炭素原子のみに結合されなければならない。
【0032】
各Z基は、列記された元素を含む任意の構造を有することができるが、それぞれは、好ましくは、アルキレン基(例えば、非環式、分岐、又は非分岐の飽和の二価の炭化水素基)である。好適なアルキレンラジカルの例としては、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、(CHCH-及び-CH(CH)CHCH-が挙げられる。一実施形態では、各フッ素化基RZは、好ましくは、式RCHCH-を有し、すなわちZはエチレン基である。
【0033】
ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)がフッ素化ポリジオルガノシロキサンである場合、フッ素化ポリジオルガノシロキサンは、以下の式を有する非フッ素化シロキサン単位を1分子当たりの総単位数の最大で約90%まで、あるいは最大で約80%までの割合で更に含んでもよい:
(RSiO(4-c)/2
[式中、Rは、任意選択で置換された飽和又は不飽和のケイ素結合一価炭化水素基を示し、c=0~3であるが、好ましくは、cの平均値は約2である。各Rは、フッ素を含有しない(したがって、Rは、前に特定されたフッ素含有置換基のいずれも含有することはできない)]。
【0034】
前述のように、Rは、任意選択で置換された飽和又は不飽和のケイ素結合一価炭化水素基を示している。好ましくは、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、C~C10アルキル基;ビニル基又はアリル基などのアルケニル基;並びに/又はフェニル、トリル、ベンジル、β-フェニルエチル、及びスチリルなどのアリール基から選択される。好ましくは、1分子当たり少なくとも2つのR置換基は、アルケニル基又はアルキニル基であり、あるいはアルケニル基である。存在する場合、各アルケニル基は2~8個の炭素原子を有し、あるいは各アルケニル基はビニル基である。
【0035】
ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)がフッ素化ポリジオルガノシロキサンである場合、フッ素化ポリジオルガノシロキサンの例としては、ジメチルシロキシ単位及び(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシロキシ単位のコポリマー;ジメチルシロキシ単位、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシロキシ単位、及びビニルメチルシロキシ単位のコポリマー;(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシロキシ単位及びビニルメチルシロキシ単位のコポリマー;並びにポリ(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシロキサンが挙げられる。これらの分子鎖上の末端基は、トリメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジメチルヒドロキシシロキシ基、及び(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルヒドロキシシロキシ基から選択される。
【0036】
フッ素化ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)の分子構造もまた、一般的には直鎖状であるが、分子内に(上記で定めた)T単位が存在するため、ある程度の分岐が存在していてもよい。
【0037】
前述の組成物を硬化させて調製されるエラストマーにおいて有用なレベルの物理的特性を得るためには、フッ素化ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)の粘度は、ASTM D 1084 Method Bのカップ/スピンドル法に従う、粘度範囲に最も適切なBrookfield(登録商標)RV又はLVシリーズのスピンドルを使用して、25℃で少なくとも1000mPa・sでなければならない。フッ素化ポリジオルガノシロキサン(i)の粘度の上限は特には制限されず、一般的には、液状のシリコーンエラストマー組成物が望まれる場合は、加工性によってのみ限定されるが、フッ素化ポリジオルガノシロキサン(i)はまた、1つ以上のガムであってもよい。
【0038】
フッ素化ポリジオルガノシロキサンガム(i)は、一般的に、25℃において少なくとも1,000,000mPa・sの粘度を有する。しかしながら、シリコーンガムのような高粘度の流体の粘度の測定は困難であるため、ガムは、粘度ではなく、ASTM D-926-08に従ったウィリアムス可塑度値で記述される傾向がある。フッ素化ポリジオルガノシロキサンガム(i)はまた、ASTM D-926-08に従って測定される少なくとも30mm/100、あるいはASTM D-926-08に従って測定される少なくとも50mm/100、あるいはASTM D-926-08に従って測定される少なくとも100mm/100、あるいは100mm/100~400mm/100のウィリアムス可塑度を与える粘度を有する。
【0039】
前述のように、アルケニル基及び/又はアルキニル基はポリジオルガノシロキサンポリマー(i)において必須であり、一般的には、各分子は、少なくとも2つのアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有するが、全体のポリジオルガノシロキサンポリマー(i)が、成分(i)の1分子当たり>0wt%かつ≦0.1wt%、あるいは0.01~0.1wt%のアルケニル基を含有することが重要である。ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)中の好適なアルケニル基は、一般的に、2~10個の炭素原子を含有し、好ましい例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、アルケニル化シクロヘキシル基、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、又は同様の直鎖状及び分岐状アルケニル基、並びにアルケニル化芳香族環構造が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、アルケニル基は、ビニル基、又はヘキセニル基である。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、アルキニル化シクロヘキシル基、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、又は同様の直鎖状及び分岐状アルケニル基、並びにアルケニル化芳香族環構造から選択されてよいが、これらに限定されない。ポリマー(i)のアルケニル及び/又はアルキニル含有量は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して決定される。
【0040】
ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)は、本明細書で前述した組成物中に組成物の50~75重量%、あるいは組成物の50~70重量%、あるいは組成物の50~65重量%の量で存在する。
【0041】
ポリジオルガノシロキサンポリマー(ii)は、上のポリジオルガノシロキサンポリマー(i)について記載した構造のいずれかと同じ一般化学構造及び/又は粘度を有してよいが、それより非常に多いアルケニル基又はアルキニル基の含有量、すなわち、≧0.5wt%のアルケニル基又はアルキニル基、あるいは≧0.6wt%、あるいは≧0.65wt%のアルケニル基又はアルキニル基を含有していなければならない。ポリマー(ii)のアルケニル及び/又はアルキニル含有量もまた、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して決定され得る。一般的に、アルケニル基又はアルキニル基は、アルケニル基、あるいは2~6個の炭素を有するアルケニル基、あるいはビニルである。
【0042】
更に、ポリジオルガノシロキサンポリマー(ii)が、組成物の2.5~15重量%の量、あるいは組成物の3.0~12.5重量%の量でのみ組成物中に存在することも必須である。
【0043】
補強充填剤(iii)
本明細書の前述の組成物は、微細に粉砕されたシリカなどの補強充填剤(iii)を含有する。
【0044】
微細に粉砕された形態のシリカが、補強充填剤(iii)として好ましい。一般に少なくとも50m/gというそれらの比較的大きな表面積から、コロイダルシリカが特に好ましい。BET法に従って測定された100~600m/g、あるいは100~500m/g(ISO9277:2010によるBET法を使用)、あるいは200~400m/g(ISO9277:2010によるBET法を使用)の表面積を有するフィラーが、一般的には使用される。コロイダルシリカは、沈降シリカ又はヒュームドシリカの形態で提供できる。どちらの種類のシリカも、市販されている。
【0045】
本明細書に記載の組成物に使用される微細に粉砕されたシリカ又は他の補強充填剤の量は、一般的には、組成物の約10~40重量%、あるいは組成物の10~35重量%、あるいは組成物の15~35重量%である。
【0046】
補強充填剤がそのままでは親水性である場合(例えば、未処理のシリカ充填剤)、それは一般的には処理剤で処理して疎水性にして、それにより、ポリマー(i)及び(ii)への混合をより容易にする。充填剤は、組成物への導入前に、又はin situで(すなわち、本発明の組成物の他の成分の少なくとも一部の存在下で、充填剤の処理が完了し、かつ、均一に分散して均質な材料になるまで、これらの成分を一緒に混合することによって)処理され得る。一般的には、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンポリマー(i)又は(ii)の存在下で、未処理の充填剤(iii)を処理剤で、in situで処理する。
【0047】
充填剤(iii)の処理に使用される処理剤は、充填剤を疎水性にして取り扱いを容易にし、他の成分との均質な混合物が得られるように、例えば、オルガノシラン、ポリジオルガノシロキサン、又はオルガノシラザン、ヘキサアルキルジシラザン、短鎖シロキサンジオール、脂肪酸又はステアリン酸エステルなどの脂肪酸エステルの1つ以上から選択され得る。具体的な例としては、任意選択でフルオロ基及び/又はフルオロ含有基を含有し得る、各分子中にジオルガノシロキサンの繰り返し単位を平均2~20個含有する液状ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン、必要に応じて、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザンなどが挙げられるが、これらに限定されない。加工助剤として、少量の水を、シリカ処理剤と共に添加してもよい。充填剤の表面処理により、それらはポリマー(i)又は(ii)で容易に湿潤される。これらの表面変性された充填剤は凝集せず、ポリマー(i)及び(ii)に均質に組み込むことができ、より低い粘度というレオロジー挙動及び未硬化組成物の貯蔵中の粘度の安定性が改善され、硬化組成物の室温での機械的特性が改善される。
【0048】
好ましい一実施形態において、充填剤処理剤は、加工中のオルガノシロキサン組成物のクレーピングを防ぐために適用可能な、当該技術分野で開示されている低分子量有機ケイ素化合物である。
【0049】
過酸化物触媒(iv)
本明細書に記載の組成物は、過酸化物触媒(iv)又は異なる種類の過酸化物触媒の混合物で硬化され得る。
【0050】
過酸化物触媒は、シリコーン及び/又はフルオロシリコーンエラストマー組成物を硬化させるために使用される任意の公知の市販の過酸化物であってよい。使用される有機過酸化物の量は、硬化プロセスの性質、使用される有機過酸化物、及び使用される組成物によって決定される。典型的には、本明細書に記載の組成物中で用いられる過酸化物触媒の量は、いずれの場合も組成物の重量に基づいて、0.2~3wt%、あるいは0.2~2wt%である。
【0051】
好適な有機過酸化物は、置換又は非置換のジアルキル-、アルキルアロイル-、ジアロイル-ペルオキシドであり、例えば、ベンゾイルペルオキシド及び2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジターシャリーブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン、2,4-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルペルオキシド及び2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンである。
【0052】
あるいは、組成物は、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
b.ヒドロシリル化触媒の形態のヒドロシリル化触媒パッケージ(v)を使用して硬化され得る。
【0053】
(v)(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
成分(v)(a)は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、それは、以下に記載される副成分(v)(b)で触媒されて、ポリマー(i)及び(ii)中のアルケニル基と成分(v)(a)中のケイ素に結合した水素原子との付加/ヒドロシリル化反応によって、ポリマー(i)及び(ii)を硬化させるための架橋剤として機能する。通常、成分(v)(a)は、3つ以上のケイ素に結合した水素原子を含有し、水素原子がポリマー(i)及び(ii)の不飽和のアルケニル又はアルキニル基と反応してそれらとネットワーク構造を形成し、それによって組成物を硬化させることができる。あるいは、ポリマー(i)及び(ii)がそれぞれ1分子中に2つより多いアルケニル又はアルキニル基を有する場合、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(v)(a)の一部又は全ては、1分子中に2つのケイ素に結合した水素原子を有していてもよい。
【0054】
成分(v)(a)の分子構造は特には制限されず、直鎖でも、分岐を含む直鎖でも、又は環状でもよい。この成分の分子量は特には制限されないが、ポリマー(i)及び(ii)との良好な混和性を得るために、粘度は一般的に、ASTM D 1084 Method Bのカップ/スピンドル法に従って、粘度の範囲に最も好適なBrookfield(登録商標)RV又はLVシリーズのスピンドルを使用して、25℃で0.001~50Pa・sである。
【0055】
一般に、成分(v)(a)は、成分(v)(a)中のケイ素に結合した水素原子の総数のポリマー(i)及び(ii)中の全アルケニル基の総数に対するモル比が0.5:1~20:1となるような量で添加される。この比が0.5:1未満であるときは、十分に硬化した組成物が得られない。この比が20:1より大きい場合、加熱されたときに、硬化した組成物の硬度が増加する傾向がある。
【0056】
成分(v)(a)の例としては、上記のように、
(i)トリメチルシロキシ末端メチルハイドロジェンポリシロキサン、
(ii)トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン、
(iii)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、
(iv)ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン環状コポリマー、
(v)(CHHSiO1/2単位及びSiO4/2単位からなるコポリマー、
(vi)(CHSiO1/2単位、(CHHSiO1/2単位、及びSiO4/2単位からなるコポリマー、並びに(CHHSiO1/2単位及び(RZ)(RSiO(4-d-e)/2を含有するコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。あるいは、成分(v)(a)は、上記の1つで処理されたシリカなどの充填剤であってもよい。
【0057】
ポリマーのケイ素に結合した水素(Si-H)の含有量は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して決定される。本例において、ケイ素に結合した水素のアルケニル(ビニル)に対する比は、ヒドロシリル化によって硬化プロセスを行う場合に重要である。一般に、これは、水素の分子量を1、ビニルの分子量を27とし、ケイ素に結合した水素対ビニルのモル比を27[H]/[V]として、組成物中のアルケニル基、例えば、ビニル[V]の総重量%と、組成物中のケイ素に結合した水素[H]の総重量%を計算することにより決定される。
【0058】
(v)(b)ヒドロシリル化触媒
成分(v)(b)が存在する場合、ヒドロシリル化触媒は、好ましくは、白金金属(白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、及びパラジウム)のうちの1つ、又はそのような金属の1つ以上の化合物である。白金及び白金化合物が、ヒドロシリル化反応におけるこれらの触媒の活性水準の高さから、好ましい。
【0059】
好ましいヒドロシリル化触媒(v)(b)の例としては、白金黒、様々な固体担体上の白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、並びにオレフィンなどのエチレン性不飽和化合物及びケイ素に結合したエチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの塩化白金酸の錯体が挙げられるが、これらに限定されない。触媒(v)(b)は、白金金属、シリカゲル又は粉末木炭などの担体に堆積させた白金金属、又は白金族金属の化合物若しくは錯体であってもよい。
【0060】
好適な白金系触媒の例としては、
(i)米国特許第3,419,593号に記載されている、エチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの塩化白金酸の錯体;
(ii)六水和物形態又は無水形態のいずれかの塩化白金酸;
(iii)塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と反応させることを含む方法によって得られる白金含有触媒;
(iv)(COD)Pt(SiMeCl[式中、「COD」は1,5-シクロオクタジエンである]などの米国特許第6,605,734号に記載されているアルケン-白金-シリル錯体;及び/又は
(v)一般的にはトルエンなどが使用され得る溶媒中に約1wt%の白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体であるKarstedtの触媒が挙げられる。これらは、米国特許第3,715,334号及び同第3,814,730号に記載されている。
【0061】
存在する場合、ヒドロシリル化触媒(v)(b)は全組成物中に、触媒量、すなわち、付加/ヒドロシリル化反応を触媒し、所望の条件下で組成物をエラストマー材料に硬化させるために十分な量又は分量で存在する。ヒドロシリル化触媒(v)(b)の使用レベルを変化させることにより、反応速度及び硬化速度を調整することができる。ヒドロシリル化触媒(v)(b)の触媒量は、一般的に、0.01ppm~組成物のポリマー(i)と(ii)及び充填剤(iii)の合計重量に基づいた百万部当たりの白金族金属の重量として10,000重量部(ppm)、あるいは、0.01~5000ppm、あるいは、0.01~3,000ppm、あるいは0.01~1,000ppmである。特定の実施形態において、触媒の触媒量は、組成物の重量に基づいて、0.01~1,000ppm、あるいは0.01~750ppm、あるいは0.01~500ppm、あるいは0.01~100ppmの範囲の金属である。範囲は、指定に応じて、触媒内の金属含有量のみ、又は触媒全体(その配位子を含む)に関連し得るが、一般的には、これらの範囲は、触媒内の金属含有量のみに関連する。触媒は、単一種として、又は2種以上の異なる種の混合物として添加してよい。一般的には、触媒パッケージが提供される形態/濃度に依存して、存在する触媒の量は、組成物の0.001~3.0重量%の範囲内である。
【0062】
上記の組成物を付加/ヒドロシリル化反応によって硬化させる場合、成分(v)(c)の抑制剤を利用して組成物の硬化を阻害してもよい。これらの抑制剤は、触媒の活性を遅延させる又は抑制することによって、貯蔵中の早期硬化を防止するために、及び/又はヒドロシリル化硬化組成物の作業時間若しくはポットライフをより長くするために利用される。白金金属系触媒などのヒドロシリル化触媒の抑制剤は当該業界では公知であり、ヒドラジン、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、有機窒素化合物、アセチレンアルコール、シリル化アセチレンアルコール、マレエート、フマレート、エチレン性又は芳香族不飽和アミド、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素モノエステル及びジエステル、共役エンイン、ヒドロペルオキシド、ニトリル、及びジアジリジンが挙げられ得る。
【0063】
白金触媒に対する既知の抑制剤の一分類としては、米国特許第3,445,420号に開示されているアセチレン化合物が挙げられる。2-メチル-3-ブチン-2-オールなどのアセチレンアルコールは、25℃で白金含有触媒の活性を抑制する抑制剤の好ましい分類を構成する。一般的には、これらの抑制剤を含有する組成物は、実用的な速度で硬化させるために、70℃以上の温度に加熱される必要がある。
【0064】
アセチレンアルコール及びそれらの誘導体の例としては、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(ETCH)、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、2-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、1-フェニル-2-プロピノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0065】
存在する場合、いくつかの例では、触媒(v)(b)の金属1モル当たり1モルの抑制剤という低い濃度の抑制剤により、十分な貯蔵安定性及び硬化速度が得られる。他の例では、触媒(v)(b)の金属1モル当たり最大で500モルの抑制剤という抑制剤濃度が必要である。所与の組成物における、所与の抑制剤に対する最適な濃度は、通常の実験で容易に決定できる。選択された抑制剤が商業的に提供/市販されている濃度及び形態に応じて、組成物中に存在する場合、抑制剤は、一般的には、組成物の0.0125~10重量%の量で存在する。上記の混合物もまた使用され得る。
【0066】
成分(v)によって組成物を硬化させる場合、一般的に、組成物は、更に下で説明するように、早期硬化を避けるために硬化前には成分(v)(a)と(v)(b)を分離する目的でしばしばA剤及びB剤と呼ばれる2つの剤で保存される。このような2剤系組成物は、使用の直前に容易に混合できるように構成され、一般的に、A剤:B剤の重量比は15:1~1:1である。
【0067】
更なる任意の成分
更なる任意の成分を、その意図された用途に応じて、シリコーンエラストマー組成物中に存在させてもよい。そのような任意の成分の例としては、相溶化剤、導電性及び熱伝導性充填剤、非伝導性充填剤、ポットライフ延長剤、難燃剤、潤滑剤、非補強性充填剤、顔料着色剤、接着促進剤、鎖延長剤、シリコーンポリエーテル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0068】
添加剤の更なる例としては、離型剤、希釈剤、溶媒、UV光安定剤、殺菌剤、湿潤剤、熱安定剤、圧縮永久ひずみ改善添加剤、可塑剤、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
相溶化剤は、ポリマー(i)と(ii)の間の相分離の防止を助けるために適切と判断される場合、組成物に導入してもよい。任意の好適な作用剤、例えば、米国特許第5824736号に記載されているものなどポリマー(ii)とは異なるジメチルシリコーン及びメチルトリフルオロプロピルシリコーンの繰り返し単位を含有するブロック、グラフト又はランダムコポリマーを利用することができる。
【0070】
導電性充填剤としては、金属粉末、例えば、銀、ニッケル及び銅、並びに炭素質粉末が挙げられ、カーボンブラック、グラファイト粉末、カーボンナノチューブ及び/又は炭素繊維などが公知である。
【0071】
熱伝導性充填剤は、限定はされないが、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミニウムトリハイドレート、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、酸化ベリリウム、炭素繊維、ダイヤモンド、グラファイト、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムオキシサルフェート繊維、金属粒子、オニキス、炭化ケイ素、炭化タングステン、酸化亜鉛、被覆充填剤、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0072】
トリアゾールなどのポットライフ延長剤を使用してもよいが、本発明の範囲内では必須とはみなされない。したがって、液状硬化性シリコーンエラストマー組成物は、ポットライフ延長剤を含まなくてもよい。
【0073】
難燃剤の例としては、アルミニウムトリハイドレート、塩素化パラフィン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(臭素化トリス)、及びこれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0074】
潤滑剤の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(ptfe)樹脂粉末、グラファイト、フッ化グラファイト、タルク、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。本開示ではまた、驚くべきことに、組成物が、組成物の約0.75~5重量%の量で250~750μm、あるいは300~600μm、あるいは350~550μmの粒径を有するポリテトラフルオロエチレンを含む場合に更なる改善が得られる傾向があることも見出された。例えば、1~50μmの粒径を有するより小さいサイズのポリテトラフルオロエチレンは、同等の量で、試験した試料の摩擦係数(CoF)対する正の効果がはるかに小さいことが認められた。ここで、粒径は、サプライヤーのデータシートから得られる。
【0075】
更なる添加剤としては、トリメチルシリル又はOH末端シロキサンなどのシリコーン流体が挙げられる。そのようなトリメチルシロキシ又はOH末端ポリジメチルシロキサンは、一般的に、ASTM D1084メソッドBのカップ/スピンドル法に従って、粘度範囲に最も適切なBrookfield(登録商標)RV又はLVシリーズのスピンドルを使用して、25℃で150mPa・s未満の粘度を有する。存在する場合、そのようなシリコーン流体は、液状の硬化性シリコーンエラストマー組成物中に、組成物の全重量に基づいて0.1~5重量%(wt%)の範囲の量で存在し得る。
【0076】
顔料の例としては、限定はされないが、二酸化チタン、酸化クロム、酸化ビスマスバナジウム、酸化鉄、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0077】
接着促進剤の例としては、限定はされないが、メタクリルオキシメチル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-ジメチルメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-メチルジエトキシシラン、3-メタクリルオキシイソブチル-トリメトキシシラン、又は類似のメタクリルオキシ置換アルコキシシランなどのメタクリル基又はアクリル基を含有するアルコキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-ジメチル-メトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、又は類似のアクリルオキシ置換アルキル含有アルコキシシラン、ジルコニウム(IV)テトラアセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)トリフルオロアセチルアセトネート、テトラキス(エチルトリフルオロアセチルアセトネート)ジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)ジブトキシビス(エチルアセトネート)、ジイソプロポキシビス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、又はβ-ジケトン(それらのアルキル置換及びフッ素置換された形態を含む)を有する類似のジルコニウム錯体などのジルコニウムキレート化合物、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどのエポキシ含有アルコキシシランが挙げられる。
【0078】
鎖延長剤の例としては、限定はされないが、末端位置にケイ素に結合した水素原子2つを含有するジシロキサン又は低分子量ポリオルガノシロキサンが挙げられる。鎖延長剤は、一般的に、ポリマー(i)及び(ii)のアルケニル基と反応して、ポリマー(i)及び(ii)の2つ以上の分子を一緒に結合して、有効分子量及び潜在的な架橋部位間の距離を増加させる。
【0079】
ジシロキサンは、典型的には、一般式(HR Si)Oで表される。鎖延長剤がポリオルガノシロキサンである場合、それは、一般式HR SiO1/2の末端単位及び式R SiOの非末端単位を有する。これらの式において、R及びRは独立して、エチレン性不飽和及びフッ素の含有量を有さない非置換又は置換の一価の炭化水素基を表し、限定はされないが、1~10個の炭素原子を含有するアルキル基、クロロメチルなどの1~10個の炭素原子を含有する置換アルキル基、3~10個の炭素原子を含有するシクロアルキル基、6~10個の炭素原子を含有するアリール、トリル及びキシリルなどの7~10個の炭素原子を含有するアルカリール基、及びベンジル基などの7~10個の炭素原子を含有するアラルキル基が含まれる。
【0080】
鎖延長剤の更なる例としては、テトラメチルジハイドロジェンジシロキサン又はジメチルハイドロジェン末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0081】
鎖延長剤は、ポリマー(i)及び(ii)の重量に基づいて、1~10重量部、一般的には、ポリマー(i)及び(ii)の合計100部当たり1~10部の量で添加される。
【0082】
熱安定剤の例としては、金属化合物、例えば赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、水酸化第二鉄、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化ランタン、銅フタロシアニンが挙げられる。水酸化アルミニウム、ヒュームド二酸化チタン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸セリウム、セリウムジメチルポリシラノレート、及び銅、亜鉛、アルミニウム、鉄、セリウム、ジルコニウム、チタンなどから選択される金属のアセチルアセトン塩が挙げられる。組成物中に存在する熱安定剤の量は、組成物全体の0.01重量%~10重量%の範囲である。
【0083】
したがって、本発明はシリコーンエラストマー組成物を提供し、それは、0.01~0.1wt%のアルケニル基を含有する50~75重量%の1つ以上のポリジオルガノシロキサンポリマー(i)、≧0.5wt%のビニル含有量のアルケニル基を有する2.5~15重量%ポリジオルガノシロキサンポリマー(ii)、組成物の10~35重量%の量の補強充填剤(iii)、及び、過酸化物(iv)、付加/ヒドロシリル化触媒パッケージ(v)、又は上記の(iv)及び(v)の組合せ(vi)を含む。
【0084】
組成物がヒドロシリル化により硬化される場合、組成物は、0.5~10重量%の成分(v)(a)、0.01~1%の成分(v)(b)、及び0~1重量%の成分(v)(c)を含む。上述のように、ヒドロシリル化によって硬化させる場合、組成物は、2つの剤、A剤とB剤として使用前は保存される。一般的に、A剤は、成分(i)及び(ii)の一部、成分(iii)の一部、及びヒドロシリル化触媒(v)(b)を含有し、また、B剤は、ケイ素に結合した水素(Si-H)を含有する架橋剤(v)(a)及び存在する場合は(v)(c)抑制剤と共に、成分(i)と(ii)及び充填剤(iii)の残部を含有する。2剤系組成物は、例えば、使用直前に容易に混合できるように任意の適切な比率で一緒に混合されるように設計されてよく、一般的には、A剤:B剤の重量比で15:1~1:1であるが、本例では、A剤:B剤の比率が1対1であることが一般的に好ましい。
【0085】
本発明の組成物は、環境温度又は必要に応じて高温で成分の全てを混合することによって調製される。この目的のために、先行技術に開示されている、任意の混合技術及びデバイスを用いることができる。使用する具体的なデバイスは、成分及び最終の硬化性コーティング組成物の粘度によって決定される。好適なミキサーとしては、パドルタイプのミキサー又はニーダータイプのミキサーが挙げられるが、これらに限定されない。混合中に成分を冷却して、組成物の早期硬化を避けることが望ましい場合もある。
【0086】
本明細書はまた、本明細書に記載の組成物の成分を混合することによって自己潤滑性シリコーンエラストマー材料を製造する方法も提供する。混合工程は、全ての個々の成分を一緒に混合すること、又は、組成物が2剤系である場合は成分(v)の存在下で2つの剤を一緒に混合することを含む。組成物が2つ以上の剤の系である場合、多剤混合システムで、硬化前に、これらの剤を一緒に混合する。
【0087】
組成物の成分を混合する順序は、本発明においては重要ではない。ポリマー(i)と(ii)を、他の成分を導入する前に一緒に混合してもよい。あるいは、ポリマー(i)と(ii)を含有する組成物の第1A剤、ポリマー(i)を含有する組成物の第2A剤、ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)を含有する組成物の第1B剤、及びポリマー(i)と(ii)を含有する組成物の第2B剤の全てを調製してもよい。補強充填剤(iii)は、必要に応じて任意の又は全てのこれらの剤に存在してもよく、成分(v)の成分は上記のように添加される。次いで、使用の直前に、4つの剤の全てを混合に必要な比率で任意の順序で一緒に混合してもよく、又は必要に応じて、2つのA剤を一緒に混合し、2つのB剤を一緒に混合して、その後、A剤混合物とB剤混合物を一緒に混合してもよい。別のプロセスでは、4成分混合システムを用いて、例えば射出成形による加工の前に、様々な剤を所望の比率で一緒に混合してもよい。
【0088】
本明細書の組成物がLSR組成物であるように設計される場合、コーンアンドプレートレオメーターを使用して10-1秒で測定される組成物の粘度は、25℃でいずれの場合にも、10~1,000Pa・s、あるいは10~500Pa・s、あるいは100~500Pa・sの範囲であるか、又は、例えば、ポリマー(i)及び/又は(ii)がガムであるとき、最も粘稠な材料についてウィリアムス可塑度で測定される。
【0089】
シリコーンエラストマー組成物は、粘度及び用途に応じて、射出成形、封入成形、プレス成形、ディスペンサー成形、押出し成形、トランスファー成形、プレス加硫、遠心鋳造、カレンダー成形、ビード塗布、又はブロー成形によって更に加工することができる。
【0090】
シリコーンエラストマー組成物の硬化は、使用される硬化パッケージの種類に応じて行われる。一般的な硬化温度は、80~200℃、あるいは100~170℃の範囲である。得られたエラストマー材料は、例えば200℃で4時間など、適切な温度で好適な時間にわたって後硬化処理してもよい。
【0091】
硬化を、例えば、型内で行い、成形シリコーン物品を形成することができる。この組成物を、例えば射出成形して物品を形成することができ、又はかかる組成物を物品の周り又は基材の上に射出成形することによってオーバーモールドすることができる。上記の自己潤滑性シリコーンエラストマー組成物及び組成物を硬化させて得られるエラストマー材料は、非オイルブリード性及び/又は非オイル充填である。
【0092】
本明細書で開示する組成物及び組成物の硬化後に得られるエラストマーは、低摩擦係数を有するシリコーンゴム材料が必要とされる任意の好適な用途に利用することができる。例としては、例えば腕時計及び他のウェアラブル電子デバイスなどのウェアラブルデバイスのストラップ及びバンド、携帯電話及び他のパーソナル電子デバイスの保護カバー、生物医学的用途を例とする医療用途のためのカテーテル、ガスケット及び/又はシール、例えば自動車用途のためのワイパーブレード、コネクタシール、マットシール、ワイヤシール、ケーキ型を例とするキッチン用品、下水設備用物品、高電圧産業用の絶縁体及び/又はアレスタが挙げられ得る。
【0093】
したがって、本明細書は、本明細書に記載の自己潤滑性シリコーンゴムエラストマー材料からなる、又はそれから構成されるウェアラブルデバイスのストラップ及びバンド、携帯電話及び他のパーソナル電子デバイスの保護カバー、医療用途のためのカテーテル、ガスケット及び/又はシール、ワイパーブレード、コネクタシール、マットシール、ワイヤシール キッチン用品、下水設備用物品、高電圧産業用の絶縁体、及び/又はアレスタから選択される1つ以上のデバイスを提供する。
【0094】
本開示は、シリコーンエラストマーを潤滑する表面コーティング手段又はセルフブリーディングエラストマー製品の代わりに自己潤滑性シリコーンエラストマー材料を提供し、最終製品の使用者及び/又は着用者のブリーディングの問題を回避しながら、長続きする潤滑感を提供するように設計されている。
【0095】
BN、MoSなどの潤滑粉末に依存するエラストマー技術と比較して、本明細書で提供するシリコーンエラストマー材料は、一般的に使用されるシリコーンゴム成分の予想外の最適化に基づいており、エラストマーを潤滑粉末で高度に充填する必要がない。これにより、シリコーンエラストマー材料の性能が維持され、例えば、硬度、低い引張強さ、伸び及び引裂き強さなどエラストマーの物理的機械的特性を大幅に低下させ、その密度を増加させるような顕著な量の非補強性充填剤を組み込む必要性が回避される。
【0096】
本明細書の組成物及び/又はシリコーンエラストマー材料とセルフブリーディング流体/オイル充填エラストマーを比較した場合、本明細書に記載の組成物/エラストマーは、容易に拭き取られ、物品などのライフサイクルの間に自己潤滑性外側コーティングの効果を安定して維持することが困難であり得る、エラストマーから滲出してエラストマーの外側表面上に潤滑コーティングを形成するように設計された非反応性の潤滑性液体を組み込む必要性を回避するという利点を有する。
【0097】
表面コーティング技術と比較して、本明細書に記載の組成物/シリコーンエラストマー材料では、安定した低摩擦係数を有する均質な材料を提供し、それにより、コーティングが表面から摩耗したときのコーティングを備えたエラストマー材料とは異なり、その摩耗が回避される。
【0098】
組成物及び組成物の成分、エラストマー、及び方法を示す以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例
【0099】
本開示を支持する一連の比較例(C.1~C.2)及び実施例(Ex.1~Ex.11)を、表1a、1c及び1eに特定された全ての成分を混合して調製し、ここで、これらの例中の成分(i)及び(ii)はシリコーンガム(非フルオロ含有)であった。別途記載のない限り、各ガムのウィリアムス可塑度は、ASTM D-926-08に従って決定した。別途記載のない限り、全ての粘度は、ASTM D 1084 メソッドBのカップ/スピンドル法に従い、粘度範囲に最も適切なBrookfield(登録商標)RV又はLVシリーズのスピンドルを用いて、25℃で測定した。成分のアルケニル及び/又はアルキニル及び/又はケイ素に結合した水素(Si-H)の含有量は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して決定した。組成物のいくつかは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の量を含む。以下の表における標準PTFEとは、(サプライヤーによって提供される)約10μmの平均粒径を有する粉末状PTFEを指す。以下の表におけるLPS PTFEとは、400~500μmの平均粒径を有する大粒径のPTFEを特定することを意図している。
【0100】
表1b、1d及び1fに、それぞれの組成物/エラストマーの摩擦係数及び他の物理的特性の結果を、使用した試験方法と共に示す。試験方法(GB/T 10006-1988)に従って、Labthink MXD-02装置を用いて、静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。これらの表は、ポリマー(i)及び(ii)としてガムを使用した前述の組成物が本開示の範囲内にあるという証拠を示している。
【表1】
【0101】
先ず、充填剤及び充填剤処理剤をガムと混合し、均一に分散させて、シリコーンゴムベースを形成した。次に、残りの成分を添加し、ベースに分散させて、最終組成物を170℃の温度で10分間プレス硬化した。いくつかの試料を200℃で4時間にわたって後硬化処理して、後硬化なしサンプルと後硬化サンプルとの間の摩擦係数を比較した。
【表2】
【0102】
比較組成物1(C.1)と実施例1(Ex.1)を比較すると、後者がはるかに低減された動摩擦係数を示し、それぞれで過酸化物硬化系と共にポリマー(i)のみ、またポリマー(i)と(ii)の両方及び少量のLPS PTFE粉末と使用した場合の違いを示していることが分かる。C2とEx.2及びEx.3を比較すると、LPS PTFE粉末の添加は、ポリマー(i)単独との組み合わせでは低下させるが、結果から、成分(ii)とLPS PTFE粉末の存在下では更なる改善を示すことが分かる。
【0103】
本開示に従う実施例を、下の表1cに示す組成物から同様に調製して硬化させた。
【表3】
【0104】
得られたエラストマーの物理的特性を測定し、下の表1dに示す。
【表4】
【0105】
E4及びE5とEx.6及び7の比較から、PTFE、特にLPS PTFE粉末の添加によって摩擦係数が更に改善されることが示される。
【0106】
本開示に従う更なる実施例を、下の表1eに示す組成物から同様に調製して硬化させた。
【表5】
【0107】
得られたエラストマーの物理的特性を測定し、下の表1fに示す。
【表6】
【0108】
E8~E11は、ヒドロシリル化硬化系を用いるポリマーの特定の構造と添加されたLPS PTFE粉末との間の摩擦係数の低減における本明細書で認められた相乗効果を示している。
【0109】
全体として、動摩擦係数の結果が、表1a/1bの比較例よりもかなり顕著に低いことが分かる。特に注目すべきことは、前の実施例で使用した過酸化物硬化剤が成分(v)の付加硬化パッケージによって置き換えられており、摩擦係数の結果が、エラストマーの硬化にパッケージを使用した場合に更に低かったことである。
【0110】
一連のフッ素化オルガノポリシロキサン組成物を、本開示に従って調製した。使用した組成物を表2a及び2cに示し、それぞれの物理的特性を下の表2b及び2dに示す。
【表7】
【0111】
得られたエラストマーの物理的特性を測定し、下の表2bに示す。物理的特性は、上記と同じ方法及び/又は下の表に示した方法を使用して測定した。
【表8】
【0112】
ここでも、実施例12の動摩擦係数は、上の表の比較例よりもはるかに低い結果を与えることが分かる。
【0113】
更なる一連のフッ素化オルガノポリシロキサン組成物を本開示に従って調製し、下の表2cに示す。
【表9】
【0114】
得られたエラストマーの物理的特性を測定し、下の表2dに示す。
【表10】
【0115】
特に表2bのC3~C5及びE12と表2c及びdのE13と比較すると、成分(ii)が存在するときだけでなく、これがLPS PTFE粉末と組み合わされて存在するときに、相乗効果の増強が明らかであることが分かる。ここでも、本開示の組成物の動摩擦係数が、上の表の比較例よりもはるかに低い結果を与えることが分かる。
E15~16とC6の間の比較から、上で示したフルオロシリコーン実施例のフッ素含有架橋剤の利用が有益であることが分かる。ここでも、摩擦係数の値は、LPS PTFE粉末の添加によって改善されることが、特にEx.16において分かるが、Ex.14の場合、ptfeが存在しなくても非常に良好な結果が得られることが分かる。
【0116】
本開示に従った一連の液状シリコーンゴム(LSR)組成物もまた調製し、下の表3a及び3bに示す。表3aに、表3bに記載の2剤系LSR組成物で使用するために調製された2つのマスターバッチを示す。
【表11】
【0117】
組成物を調製し、2つの剤(A剤及びB剤)で保存して、早期硬化を回避した。C.7及びEx.17aの両方の場合で、白金触媒をA剤組成物中に組み込み、Si-H含有架橋剤と抑制剤の両方をB剤組成物中に存在させた。2つの剤を、塗布及び硬化の直前に1:1比で混合した。組成物を150℃の温度で5分間硬化させ、いくつかの試料は200℃で4時間にわたって後硬化処理した。
【表12】
【0118】
得られたエラストマーの物理的特性を測定し、下の表3cに示す。
【表13】
【0119】
ここでも、Ex.17の組成物の動摩擦係数が、上記の成分(i)のみを組成物中に含有するC.7と比べて、上記の異なるビニル含有量を有する成分(i)及び(ii)をヒドロシリル化硬化パッケージと一緒に組み合わせることにより、C.7の動摩擦係数よりもはるかに低いことが分かる。この場合、ptfeは存在しなかった。