(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】位置決めユニットと接触方法
(51)【国際特許分類】
B60L 5/28 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B60L5/28 Z
(21)【出願番号】P 2022511337
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2019072936
(87)【国際公開番号】W WO2021037351
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】521205102
【氏名又は名称】シュンク トランジット ジステムズ ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】514217808
【氏名又は名称】シュンク トランジット ジステムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルディンガー マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ハイアイス ニルス
(72)【発明者】
【氏名】シュタウバッハ ティモ
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/179740(WO,A1)
【文献】特表2016-534694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と定置式の充電ステーションとの間に導電接続を形成するために、車両ルーフ上に配置されるように構成され、
接触装置(11)が、前記充電ステーションの充電接点装置に対して移動可能であり、
接触位置において前記充電接点装置と電気的に接続可能であり、
前記接触装置を位置決めするための関節式アーム装置(12)と、
前記関節式アーム装置を駆動するための駆動装置(17)とを有する
、電気駆動車両用の位置決めユニット(10)であって、
前記関節式アーム装置は、
前記接触装置が、前記接触装置を格納するための位置決めユニットの格納位置の格納状態から格納位置の垂直接触状態へ、及びその逆に揺動可能であるようにする第1揺動アーム(14)を有する第1揺動機構(13)を備えると共に、
前記接触装置が、前記格納位置から前記接触位置へ、及びその逆に揺動可能であるようにする第2揺動アーム(16)を有する第2揺動機構(15)を備え、
前記第1揺動アームが、前記第2揺動アームの先端部(21)に揺動可能に配置されて
おり、
前記第2揺動アーム(16)の位置に関わらず、前記接触装置(11)が揺動可能に構成されている
ことを特徴とする位置決めユニット。
【請求項2】
前記位置決めユニット(10)が、前記位置決めユニットを車両の屋根に取り付けるための保持フレーム(18)を備え、
前記第2揺動アーム(16)が、前記保持フレーム上で回動可能となるように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置決めユニット。
【請求項3】
前記関節式アーム装置(12)によって、前記接触装置(11)が、前記充電接点装置に対して垂直方向及び水平方向に配置可能であり、前記接触位置に移動可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置決めユニット。
【請求項4】
前記駆動装置(17)が、前記第1揺動アーム(14)に作用する調整力を発生させ、機械的に相互作用する第1バネ要素を備える第1調整駆動装置(31)を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の位置決めユニット。
【請求項5】
前記第1バネ要素は、前記第1揺動アーム(14)と前記第2揺動アーム(16)とを連結する揺動軸(22)上に配置される少なくとも1つの捩りバネ(32)を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の位置決めユニット。
【請求項6】
前記第1調整駆動装置(31)が、電気モータ、ロープ駆動装置及びチェーン駆動装置の少なくとも1つを有し、これらを介して前記第1揺動アーム(14)が揺動軸(22)上で回転可能である
ことを特徴とする請求項4に記載の位置決めユニット。
【請求項7】
前記駆動装置(17)が、前記第2揺動アーム(16)に作用する調整力を発生させ、機械的に相互作用する第2バネ要素を備える第2調整駆動装置(33)を有する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の位置決めユニット。
【請求項8】
前記第2バネ要素が、少なくとも1つの接触バネを備え、
前記第2調整駆動装置(33)及び前記接触バネが、接触面上に接触力を生成するように、互いに直列に機械的に結合されるように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の位置決めユニット。
【請求項9】
前記第2揺動アーム(16)が、クランク状態になるように形成され、先端部(21)を形成する前記第2揺動アームの一部(40)が水平に格納状態で位置決めされている
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の位置決めユニット。
【請求項10】
前記格納状態では、前記接触装置(11)を有する前記第1揺動アーム(14)が、前記第2揺動アーム(16)の基端部に向かって揺動され、その上に載置される
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項11】
前記接触装置(11)が、前記関節式アーム装置(12)を用いて下接触位置と上接触位置との間に位置決め可能であり、
前記上接触位置の高さ(Ko)に対する前記位置決めユニット(10)の構造高さ(B)の比が1:4
であり、
前記下接触位置の高さ(Ku)に対する前記構造高さ(B)の比が1:4
である
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項12】
前記接触装置(11)が、接触要素(27)を有する接触要素キャリア(26)を有し、
前記接触要素が、それぞれ、接触対を形成する前記接触位置において、前記充電接点装置の充電接触要素に電気的に接続可能である
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項13】
前記第1揺動機構(13)は、前記接触装置(11)が前記充電接点装置に対して横方向に位置決め可能とする横方向ガイド(24)を有し、
前記横方向ガイドが、前記第1揺動アーム(14)の先端部(23)に配置される
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の位置決めユニット。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の充電接点装置及び位置決めユニット(10)を有する、高速充電システム。
【請求項15】
位置決めユニットの接触装置(11)が、充電ステーションの充電接点装置に対して移動され、前記充電接点装置に接触位置で電気的に接続され、前記充電接点装置が、前記位置決めユニットの関節式アーム装置(12)によって位置決めされ、前記関節式アーム装置が、前記位置決めユニットの駆動装置(17)によって駆動される、
電気的に駆動される車両
と、位置決めユニット(10)を有する静止充電ステーションとの間に導電接続を形成する方法であって、
前記接触装置が、第1揺動アーム(14)を用いる前記関節式アーム装置の第1揺動機構(13)によって、前記接触装置を格納する位置決めユニットの後退位置の格納状態から後退位置の垂直接触状態に揺動され、
前記接触装置が、第2揺動アーム(16)を用いる関節式アーム装置の第2揺動機構(15)によって後退位置から接触位置に揺動され、
前記第1揺動アームが、前記第2揺動アームの先端部(21)に揺動可能に配置され
、
前記第2揺動アームの位置に関わらず、前記接触装置が揺動される
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記接触装置(11)が、まず、格納状態から垂直接触状態へ、次いで、垂直接触状態から接触位置へ、及びその逆へ揺動される
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2揺動アーム(16)を用いて前記接触装置(11)を揺動させる間、前記第1揺動機構(13)が、常に前記接触装置を垂直接触状態に位置付ける
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動式車両、特に電気バス等のための位置決めユニット、及び電気駆動式車両と静止充電ステーションとの間に導電接続を形成する方法に関し、位置決めユニットは、車両ルーフ上に配置されるように構成され、位置決めユニットの接触装置は、充電ステーションの充電接点装置に対して移動可能であり、接点位置において充電接点装置に電気的に接続可能であり、位置決めユニットは、接触装置を位置決めするための関節式アーム装置と、関節式アーム装置を駆動するための駆動装置とを有する。
【背景技術】
【0002】
この種の位置決めユニット及び方法は、従来技術から知られており、例えば、バス停の間で作動する電気駆動式車両に定期的に使用されている。これらの車両は、電車又は路面電車のような電気バス又は様々な車両であってもよく、これらの車両は架線等に恒久的に接続されていない。これらの車両の電気エネルギー蓄積は、車両がバス停で停止している間、充電ステーションによって充電される。バス停では、車両は充電ステーションに電気的に接続されており、これにより、エネルギー蓄積は、車両が少なくとも充電ステーションを備えた次のステーションに到達できるように、十分に再充電される。このようにして、運転時間外の電気エネルギーを車両に供給することも可能である。
【0003】
車両と充電ステーションとの間の電気的接続を確立するために、車両屋根に取り付けることができ、車両の接触装置を車両の上方にある充電ステーションの充電接点装置に接続する位置決めユニットが使用される。次いで、接触装置の接触面は、車両ルーフの上方の充電接点面に向かって移動され、電気的接続が確立される。
【0004】
接触装置と充電接点装置を一緒に案内する場合、接触装置を比較的正確に充電接点装置上に配置することができ、信頼性のある電気的接続を形成するために、十分に大きな接触力を用いて接触装置を充電接点面に押し付けることが不可欠である。特許文献1に記載されているような、同様の位置決めユニットが知られている。既知の位置決めユニットの欠点は、それらが定められた高さにおいてのみ充電接点装置と接触することができることである。関節式アーム装置によって接触装置を持ち上げると、接触装置は垂直位置に移動するが、接触装置が意図した接触位置にあるとき、又は意図した高さにあるときのみ、この垂直位置に到達する。したがって、バス停での充電接点装置は、常に、道路上で本質的に均一な高さを有することが要求されるか、又は車両上のそれぞれの位置決めユニットは、車両の高さ又は充電接点装置の高さと調整されなければならない。道路上の充電接点装置の高さは、それぞれの構造によって予め決められているので、充電接点装置を、例えば橋の下や柱の上などの経路に沿って柔軟に配置することは容易には可能ではない。
【0005】
さらなる欠点は、位置決めユニットの構造上の高さによって、構造よりも下での駆動が不可能となり、したがって位置決めユニットを備えた車両の適用範囲が制限されることである。さらに、それぞれの車両の乗客にとっては、位置決めユニットができるだけ小さい範囲でのみ見えることが望ましい。したがって、位置決めユニットを隠すために、又は車両の様式が依然として乗客にとって魅力的に見えるように車両に一体化するために、車両ルーフ上にトリムを配置することも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2015/018887号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、車両の柔軟な使用を可能にする、電動車両と静止充電ステーションとの間の導電性接続を形成するための位置決めユニット及び方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する位置決めユニットと、請求項14の特徴を有する高速充電システムと、請求項15の特徴を有する方法とによって達成される。
【0009】
電気駆動式車両、特に電気バスなどのための本発明による位置決めユニットは、車両と静止充電ステーションとの間の導電接続を形成する役割を果たし、位置決めユニットは、車両ルーフ上に配置されるように構成され、位置決めユニットの接触装置は、充電ステーションの充電接触装置に対して移動可能であり、充電接触装置に接触位置で電気的に接続可能であり、位置決めユニットは、接触装置を位置決めするための関節式アーム装置と、関節式アーム装置を駆動するための駆動装置とを有し、関節式アーム装置は、第1揺動アームを有する第1揺動機構を備え、接触装置は、接触装置を格納するための位置決めユニットの格納位置の格納状態から格納位置の垂直接触状態へ、及びその逆に揺動可能であり、関節式アーム装置は、第2揺動アームを有する第2揺動機構を備え、第2揺動アームは、接触装置が格納位置から接触位置へ、及びその逆に揺動可能であり、第1揺動アームは、第2揺動アームの先端部上で揺動可能であるように配置される。
【0010】
したがって、接触装置の上方に配置された充電ステーションの充電接点装置に対する接触装置の移動は、駆動装置を用いて関節式アーム装置によって行われる。接触装置は、充電接触装置の充電接点によって接触される多数の接点を有することができる。この接触を全て行うためには、接触装置が接触位置において垂直位置にあることが不可欠である。接触装置は、第2揺動アームの先端部上で揺動可能となるように配置され、したがって、垂直接触状態及び格納状態に揺動可能である。次いで、接触装置は、垂直接触状態においても接触位置にある。特に、接触装置を有する第1揺動アームは、第2揺動アームの先端に回動可能に配置されているので、第2揺動アームの位置に関わらず、接触装置を回動させたり、垂直接触状態に移動させたりすることが可能となる。これにより、接触装置を垂直接触状態において異なる高さに配置することができ、例えば、第2揺動アームを下げた位置又は格納状態にするか、又は第2揺動アームを最大限に伸ばした位置にすることができる。これは、接触装置を接触位置に移動させることができる比較的大きな領域をもたらす。したがって、路線に沿って道路上の本質的に一貫した高さに異なる充電接点装置を配置し、それらを1種類の車両用にカスタマイズする必要はもはやない。接触装置が接触位置において車両ルーフの上方に配置され得る比較的広い領域であることを考慮すると、本発明による位置決めユニットは、充電接点装置の設置高さが変化する様々な種類の車両に柔軟に使用することができる。
【0011】
位置決めユニットは、位置決めユニットを車両のルーフに取り付けるための保持フレームを備えることができ、第2揺動アームは、保持フレーム上で揺動可能となるように配置される。保持フレームは、例えば、第2揺動アーム及び駆動装置のための固定ベアリングを形成するか又は有することができる。保持フレームは、車両のルーフに特に容易に取り付けることもできる。例えば、取付は、車両の振動及び/又は動きを減衰させるダンパー要素を介して行うことができる。
【0012】
関節式アーム装置によって、接触装置は、充電接点装置に対して垂直方向及び水平方向に位置決めされ、接触位置に移動させることができる。特に、第1揺動アームが第2揺動アームに対して揺動され、第2揺動アームが車両ルーフに対して揺動されるとき、接触装置は、少なくとも、それぞれの揺動アームの揺動軸受の周りの半径又は円形経路内で移動され、これは、接触装置の水平変位を引き起こし、同時に、垂直変位を引き起こす。この点で、充電接点装置が、接触装置によって異なる位置で水平に接触され得るように形成される場合も有利である。例えば、位置決めユニットは、移動が車両の移動方向に沿って水平方向に行われるように、車両屋根上に取り付けることができる。
【0013】
駆動装置は、第1揺動アームに作用する調整力を生成させ、第1調整駆動装置と機械的に相互作用する第1バネ要素を形成するための第1調整駆動装置を有することができる。第1調整駆動装置は、調整力だけが接触装置を有する第1揺動アームの移動を引き起こし得るように、第1バネ要素と相互作用することができる。第1調整駆動装置は、第1バネ要素と直接相互作用するか、又はレバーのようなさらなる機械的構成要素を介在させることによって揺動アームに接続することができる。
【0014】
第1バネ要素は、第1揺動アームと第2揺動アームとを連結する揺動軸上に配置することができる少なくとも1つの捩りバネを備えることができる。捩りバネは、第1揺動アームが格納状態に、又は代わりに捩りバネによって接触状態に移動されるように、第1揺動アームに調整力を及ぼすことができる。例えば、捩りバネは、第1調整駆動装置の故障の場合に、接触装置を格納状態に移動させて、接触不良を防止し得ることが想定され得る。原理的には、捩りバネの代わりに、圧縮バネのような任意の他のタイプのバネを用いることができる。捩りバネは、揺動軸の周りに、特にコンパクトな方法で配置することができる。
【0015】
第1調整駆動装置は、電気モータ、ロープ駆動装置、及び/又はチェーン駆動装置を有することができ、これらを介して、第1揺動アームは揺動軸上で回転可能である。例えば、電気モータは、揺動軸上に直接配置されるか、又はその内部に一体化されることができる。さらに、ロープ駆動装置及び/又はチェーン駆動装置を介して、第1揺動アームに張力を加えることができ、これらの駆動装置は、揺動軸に取り付けられている。したがって、例えば、逆の動きによって揺動アームを揺動させることができる2つのケーブルプーリを揺動軸上に配置することができる。また、ロープ駆動装置又はチェーン駆動装置は、電気モータによって作動させることができ、このモータは、この場合には、位置決めユニットの保持フレーム上の揺動アームから離れて配置することができる。さらに、ロープ駆動装置とチェーン駆動装置とを組み合わせて使用することもできる。チェーン駆動装置は、揺動軸上の歯付車の上に延び、そのそれぞれの端部でケーブルプーリ又はボーデンケーブルに接続されるチェーンによって形成することができる。
【0016】
駆動装置は、第2揺動アームに作用する調整力を生成させ、調整駆動装置と機械的に相互作用する第2バネ要素を形成するための第2調整駆動装置を有することができる。第2調整駆動装置は、第2バネ要素に直接、又はレバーのようなさらなる機械的構成要素を介在させることによって接続することができる。第2調整駆動装置は、電気モータ又はリニア駆動部、好ましくはスピンドル駆動部を有することができる。第2調整駆動装置は、インクリメンタルエンコーダ又は絶対値エンコーダとすることができる変位センサを有することができる。これにより、第2調整駆動装置の正確な動作位置を常に決定することができる。調整駆動装置には、力に応じて操作できる位置及び/又は圧力スイッチに応じて操作できるリミットスイッチを設けることもできる。さらに、接触力又は調整力を制限するために、圧力スイッチをさらに使用することができる。
【0017】
第2バネ要素は、少なくとも1つの接触バネを備えることができ、第2調整駆動装置及び接触バネは、第2調整駆動装置及び接触バネが、接触面上に接触力を生成するように構成されるように、互いに直列に機械的に結合される。第2調整駆動装置と接点バネとを直列に機械的に結合することによって、第2調整駆動装置の調整力を用いて、関節式アーム装置又は第2揺動アームを移動させることができ、充電接点装置の充電接点によって接点表面が接触されるときに、調整力をさらに増加させることができる。次いで、さらに増加した調整力は、第2調整駆動装置に接続され、接触力として接触面に伝達される接触バネによって蓄積され得る。したがって、調整力増加は、関節式アーム装置をさらに移動させるためには使用されず、充電接触面上の接触力を発生又は増加させるために使用される。したがって、本質的に常時一定の接触力が、道路上の充電接点面又は充電接点装置の高さに関係なく、又は、充電接点面と接触装置との間の接触位置の相対的距離に関係なく、充電接点面に働くことができる。この場合、例えば車両の荷重による高さの変化は、接触力を大きく変化させないので、確実な接触が確保される。
【0018】
第2揺動アームは、クランク状に曲がることができ、先端部を形成する第2揺動アームの一部は、格納状態で水平に位置決め可能である。格納状態では、次いで、第2揺動アームを、特にコンパクトな方法で車両のルーフ上に配置することができる。
【0019】
格納状態において、接触装置を有する第1揺動アームは、第2揺動アームの基端部に向かって揺動可能であり、その上に載置可能である。第2揺動アームがクランク状になる場合、接触装置を有する第1揺動アームは、第2揺動アームの一部に水平に配置された第2揺動アーム上に静止することができる。これにより、格納状態における関節式アーム装置の構造高さを比較的低くすることができる。しかしながら、原理的には、接触装置を有する第1揺動アームを第2揺動アームの基端部から離れる反対方向に格納状態で揺動させることも可能であり、この場合、車両のルーフ上の関節式アーム装置の長さは比較的大きくなる。この点において、関節式アーム装置をできるだけコンパクトになるように車両の屋根に格納状態で配置することが有利である。
【0020】
接触装置は、関節式アーム装置を用いて、下接触位置と上接触位置との間に位置決め可能であり、位置決めユニットの構造的高さと上接触位置の高さとの比は、1:4、好ましくは1:6.5であり、構造的高さと下接触位置の高さとの比は、1:4、好ましくは1:3である。したがって、上部接触位置と下部接触位置との間には広い領域があり、その中で、充電接点装置を接触装置によって接触させることができる。同時に、構造高さは、この領域に対して比較的小さい。次いで、位置決めユニットを有する車両は、橋梁のような比較的多くの構造物の下を走行することができ、したがって、車両のより柔軟な使用を可能にする。
【0021】
接触装置は、接触要素を有する接触要素キャリアを有することができ、その接触要素は、それぞれ、接触対を形成するための接触位置において、充電接点装置の充電接触要素に電気的に接続可能である。接触要素キャリアは、接触要素が、接触装置の垂直接触状態において接触要素キャリアの上側に配置されるように形成することができる。充電接触要素は、例えば、充電接点装置の屋根形状の充電接触要素キャリア上に配置される導体ストリップとすることができる。
【0022】
第1揺動機構は、接触装置が充電接触装置に対して横方向に位置決め可能とする横方向ガイドを有することができ、横方向ガイドは、第1揺動アームの先端部に配置される。その結果、接触装置は、第1揺動アームの先端部上で車両の移動方向に対して横方向に変位させることができる。この変位可能性は、例えば、補償されるべき進行方向に対して横断方向のバス停留所における車両の誤った位置決めを発生させることがある。さらに、車両に出入りする人のための車両の片側降下による可能な車両の動きは、接触装置が充電接点装置に対して横方向に変位することができないような方法で補償することができる。さらに、この場合、第1揺動アーム及び第2揺動アームにせん断力は作用しない。横方向ガイドは、直線リニアガイドであっても、曲線リニアガイドであってもよい。接触装置は、自由に変位可能であるように横方向ガイド上に配置することができ、横方向ガイドは、ガイドバーであるか、又は接触装置のためのガイドプロファイルを有するように形成される。さらに、接触装置は、横方向ガイドの中心に置くことができ、すなわち、例えば、休止位置又は非接触位置において、バネによって横方向ガイドに対して中心に置かれるように配置することができる。
【0023】
本発明による高速充電システムは、本発明による充電接点装置と位置決めユニットとを備える。高速充電システムのさらなる有利な実施形態は、請求項1に従属する従属クレームの特徴の説明から明らかである。
【0024】
特に電気バスなどの電気的に駆動される車両と、位置決めユニットを有する静止充電ステーションとの間に導電接続を形成するための本発明による方法では、位置決めユニットの接触装置が、充電ステーションの充電接触装置に対して移動され、充電接触装置に接触位置で電気的に接続され、接触装置は、位置決めユニットの関節式アーム装置によって位置決めされ、関節式アーム装置は、位置決めユニットの駆動装置によって駆動され、接触装置は、第1揺動アームを使用する関節式アーム装置の第1揺動機構によって、接触装置を格納するための位置決めユニットの格納位置から格納位置の垂直接触状態に揺動され、接触装置は、第2揺動アームを使用する関節式アーム装置の第2揺動機構によって、格納位置から接触位置に揺動され、第1揺動アームは、第2ピボットの先端部に揺動可能に配置される。本発明による方法の有利な効果に関するさらなる詳細については、本発明による位置決めユニットの利点の説明を参照されたい。
【0025】
接触装置は、最初に格納状態から垂直接触状態へ、次いで垂直接触状態から接触位置へ、及びその逆へ揺動させることができる。次いで、位置決めユニットは、格納状態において最小の構造的高さを有することができる。車両でバス停留所に向かって走行するとき、次いで、接触装置は、第1ステップで、格納状態から垂直接触状態に揺動することができる。
【0026】
さらに、第2揺動アームを使用する接触装置の揺動中に、第1揺動機構は、接触装置を常に垂直接触状態に位置決めすることができる。接触装置が垂直接触状態に揺動された後、接触装置は、垂直接触状態で持ち上げられ、第2揺動アームを使用して接触装置を有する第1揺動アームを揺動させることによって、第2ステップで充電接点装置に向かって移動することができる。第2揺動アームの揺動中に、第1揺動アーム又は接触装置が常に垂直に配置されるか、又は第1揺動アームが第2揺動アームに対して揺動される場合に有利である。第1揺動アーム及び第2揺動アームのこの同時移動は、駆動装置の適切な機構又は制御によって引き起こすことができる。いずれにせよ、上側接触位置と下側接触位置との間の領域にある充電接点装置によって、接触装置を正しい位置に接触させることが可能となる。
【0027】
本方法のさらなる有利な実施形態は、請求項1に従属する従属クレームの特徴の説明から明らかである。
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】後退位置の格納状態における位置決めユニットの側面図である。
【
図4】後退位置の垂直接触状態における位置決めユニットの側面図である。
【
図5】接触位置の垂直接触状態における位置決めユニットの側面図である。
【
図6】様々な位置にある位置決めユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1から
図6の全図は、車両(図示せず)、特に電気バスの屋根に取り付けられる位置決めユニット10を示す。位置決めユニット10は、充電ステーションの充電接点装置(図示せず)と電気接点を形成するための接触装置11を備える。充電接点装置は、サスペンション装置(同様に図示せず)によって、車両のバス停の領域で車両のルーフ及び接触装置11の上方に懸架されている。位置決めユニット10は、第1揺動アーム14を有する第1揺動機構13と、第2揺動アーム16を有する第2揺動機構15とによって形成される関節式アーム装置12と、関節式アーム装置12を駆動する駆動装置17とをさらに備える。
【0031】
さらに、位置決めユニット10は、ダンパー要素19を介して位置決めユニット10を車両ルーフに取り付けるための保持フレーム18を有する。揺動軸受20が保持フレーム18上に形成され、第2揺動アーム16が揺動可能となるように揺動軸受20上に取り付けられている。第2揺動アーム16の先端部21上には、揺動軸22が形成され、その周囲に第1揺動アーム14を揺動させることができる。接触装置11は、第1揺動アーム14の先端部23上に配置される。さらに、接触装置11は、第1揺動機構13の横方向ガイド24上で充電接点装置(図示せず)に対して横方向に移動可能である。横方向ガイド24は、先端部23に取り付けられたレール25によって形成される。
【0032】
接触装置11は、その上にバネ装着された接触要素27を有する接触要素キャリア26によって形成される。接触要素27は、接触要素キャリア26の上側28に配置される。接触要素27は、可撓性ケーブル29を介して保持フレーム18上の中継ボックス30に接続される。
【0033】
駆動装置17は、第1揺動アーム14に作用する調整力を発生するための第1調整駆動装置31を備え、第1調整駆動装置31は、揺動軸22上に配置される捩りバネ32を備える。さらに、第1調整駆動装置31は、チェーン及び2つのケーブルプーリによって形成されるロープ及びチェーン駆動装置(さらに図示せず)を備える。チェーンは、揺動軸22上の歯付車(図示せず)にかみ合い、第1揺動アーム14が揺動できるように、ケーブルプーリを介して作動させることができる。
【0034】
さらに、駆動装置17は、第2揺動アーム16に作用する調整力を生成させる第2調整駆動装置33を有する。第2調整駆動装置33は、バネ34とリニア駆動装置35とを有し、この駆動装置を介して、バネ34と協働して調整力を第2揺動アーム16に作用させることができる。バネ34及びリニア駆動装置35は、レバー36又は37を介して揺動軸受20内に配置された揺動軸38に係合する。第1調整駆動装置31及び第2調整駆動装置33は、この場合には保持フレーム18上に配置される制御装置39によって作動される。
【0035】
充電接点装置は、
図3に示す関節式アーム装置12の後退位置の格納状態から始まる接触装置11によって接触される。第1ステップでは、第1揺動アーム14は、
図4に図示されている後退位置の垂直接触状態に移動される。第2ステップでは、第2揺動アーム16が持ち上げられ、第1揺動アーム14は常に垂直に維持されるか、又は垂直接触状態に配置される。したがって、接触装置11は、上部接触位置Koと下部接触位置Kuとの間、又は接触領域内に配置することができ、この場合、充電接点装置を用いて任意の場合に電気的接触を形成することができる。同様に、位置決めユニット10も格納状態において構造高Bが比較的低いものとすることができる。第2揺動アーム16は、構造的高さBを低減するためにクランク状に曲がり、第2揺動アーム16の一部40が格納状態で水平に位置決めされ、接触装置11を有する第1揺動アーム14がコンパクトに一部40上に静止できるようになっている。