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特許7359989浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造及びその施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 31/04 20060101AFI20231003BHJP
   E04B 1/02 20060101ALI20231003BHJP
   E02D 5/80 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
E02D31/04
E04B1/02 A
E04B1/02 Z
E02D5/80 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023501685
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2021107839
(87)【国際公開番号】W WO2022017456
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】202010720325.2
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520510128
【氏名又は名称】中建科工集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA CONSTRUCTION SCIENCE AND INDUSTRY CORPORATION LTD.
【住所又は居所原語表記】3801, 38 / F, Zhongjian Science And Technology Building, No. 3331, Weilan Coast Community Center Road, Yuehai Street, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518055 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲雲▼▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲華▼周
(72)【発明者】
【氏名】王 淑保
(72)【発明者】
【氏名】夏 ▲遠▼哲
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲歩▼亭
(72)【発明者】
【氏名】李 浩
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲曉▼▲歡▼
(72)【発明者】
【氏名】李 旭
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-172734(JP,U)
【文献】実開平02-054844(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0255169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 31/04
E04B 1/02
E02D 5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造であって、
一端がセメント注入体(2)内に埋設され、且つ下から上までコンクリートパッド層(3)、第1防水塗料層(4)及び第1可撓性防水層(5)を順次貫通するアンカーケーブル本体(1)と、
前記第1可撓性防水層(5)に設けられ、前記第1可撓性防水層(5)に押圧力を加え、前記アンカーケーブル本体(1)が貫通してロックされる引っ張り部材と、を備えることを特徴とする浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造。
【請求項2】
前記第1防水塗料層(4)が2層設けられ、2層の前記第1防水塗料層(4)の間に第2可撓性防水層(6)が設けられ、前記引っ張り部材の第1引っ張り板(12)は上層の前記第1防水塗料層(4)と前記第2可撓性防水層(6)との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造。
【請求項3】
前記アンカーケーブル本体(1)の外周を被覆する第2防水塗料層(7)をさらに備え、前記第2可撓性防水層(6)は前記第2防水塗料層(7)の周辺に設けられ、前記アンカーケーブル本体(1)は前記第2防水塗料層(7)を貫通することを特徴とする請求項2に記載の浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造。
【請求項4】
前記アンカーケーブル本体(1)にスリーブ(8)が套設され、前記スリーブ(8)は前記コンクリートパッド層(3)に埋設されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造。
【請求項5】
前記スリーブ(8)内に、浸透防止セメントペースト(9)及び漏れ止め層(10)が下から上まで順に設けられ、前記漏れ止め層(10)は前記スリーブ(8)の外まで延びていることを特徴とする請求項4に記載の浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造。
【請求項6】
前記第1可撓性防水層(5)に防水保護層(11)が設けられ、前記引っ張り部材の一部が前記防水保護層(11)内に埋設されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造。
【請求項7】
前記アンカーケーブル本体(1)が複数設けられ、複数の前記アンカーケーブル本体(1)は平行に設けられ、前記引っ張り部材の底部に複数の第1引っ張り孔(15)が設けられ、前記引っ張り部材の頂部に1つの第2引っ張り孔(16)が設けられ、複数の前記アンカーケーブル本体(1)はそれぞれ複数の前記第1引っ張り孔(15)を対応して貫通した後、一体として前記第2引っ張り孔(16)から延出し、前記引っ張り部材の頂部に前記アンカーケーブル本体(1)に固定接続された固定部材が取り付けられることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造。
【請求項8】
浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工方法であって、
アンカーケーブル本体(1)の施工位置にセメント注入体(2)を打設し、アンカーケーブル本体(1)の一端をセメント注入体(2)内に埋設するステップと、
セメント注入体(2)の上方にコンクリートパッド層(3)、第1防水塗料層(4)及び第1可撓性防水層(5)を順次設けるステップと、
アンカーケーブル本体(1)に応力を加え、且つ前記第1可撓性防水層(5)に引っ張り部材を取り付けてアンカーケーブル本体(1)を固定するステップと、を含むことを特徴とする浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工方法。
【請求項9】
コンクリートパッド層(3)を設けるステップは、
アンカーケーブル本体(1)にスリーブ(8)を套設し、且つスリーブ(8)の一部をセメント注入体(2)内に挿入し、スリーブ(8)の外にコンクリートを打設してコンクリートパッド層(3)を形成することと、
スリーブ(8)内に、浸透防止セメントペースト(9)及びスリーブ(8)の外まで延びている漏れ止め層(10)を順次打設することと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工方法。
【請求項10】
第1防水塗料層(4)を設けるステップは、
コンクリートパッド層(3)に第1層の第1防水塗料層(4)を塗設し、孔が設けられた第2可撓性防水層(6)をアンカーケーブル本体(1)に貫通させ、孔内に第2防水塗料層(7)を塗設することと、
引っ張り部材の第1引っ張り板(12)を第2可撓性防水層(6)と第2防水塗料層(7)に設けることと、
第1引っ張り板(12)に第2層の第1防水塗料層(4)を塗設することと、を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、地下構造施工の技術分野に関し、具体的には、浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下室付きの超高層建築、地下大型ショッピングセンター、共同溝や地下駐車場等の建物の出現、地下空間建築の大量開発に伴い、地下水の浮力の問題は徐々に現在の構造設計と施工において解決が急がれる問題となり、浮き上がり防止用プレストレスアンカーケーブルは鉛直方向のアンカー固定技術である。プレストレスアンカーケーブルにプレストレスを加えるため、地下水の浮力作用で地下室底板に生じる浮き上がりを効果的に防止することができるだけでなく、施工過程において各アンカーケーブルの施工品質を検査することができ、それにより、工事全体の品質を保証する。
【0003】
従来技術では、浮き上がり防止用プレストレスアンカーケーブルと本体構造基礎には施工交差が存在し、浮き上がり防止用アンカーケーブルは施工時にコンクリートを利用して地下構造内に打設され、プレストレスアンカーケーブルが引っ張れられると、アンカーケーブルとコンクリート構造との間に大きな応力が存在し、コンクリート構造とアンカーケーブルとの間に大きな隙間が発生しやすく、アンカーケーブルの取り付け位置で地下水が染み出ることが発生し、地下建築の使用に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本願が解決しようとする技術的課題は、地下構造におけるアンカーケーブルの取り付け位置で地下水が染み出ることが発生しやすいという従来技術における欠陥を解決するために、浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造及びその施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本願は、
一端がセメント注入体内に埋設され、且つ下から上までコンクリートパッド層、第1防水塗料層及び第1可撓性防水層を順次貫通するアンカーケーブル本体と、第1可撓性防水層に設けられ、第1可撓性防水層に押圧力を加え、アンカーケーブル本体が貫通してロックされる引っ張り部材と、を備える浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造を提供する。
【0006】
好ましくは、第1防水塗料層が2層設けられ、2層の第1防水塗料層の間に第2可撓性防水層が設けられ、引っ張り部材の第1引っ張り板は上層の第1防水塗料層と第2可撓性防水層との間に設けられる。
【0007】
好ましくは、アンカーケーブル本体の外周を被覆する第2防水塗料層をさらに備え、第2可撓性防水層は第2防水塗料層の周辺に設けられ、アンカーケーブル本体は第2防水塗料層を貫通する。
【0008】
好ましくは、アンカーケーブル本体(1)にスリーブが套設され、スリーブはコンクリートパッド層に埋設される。
【0009】
好ましくは、スリーブ内に、浸透防止グラウト及び漏れ止め層が下から上まで順に設けられ、漏れ止め層はスリーブの外まで延びている。
【0010】
好ましくは、第1可撓性防水層に防水保護層が設けられ、引っ張り部材の一部が防水保護層内に埋設される。
【0011】
好ましくは、アンカーケーブル本体が複数設けられ、複数のアンカーケーブル本体(1)は平行に設けられ、引っ張り部材の底部に複数の第1引っ張り孔が設けられ、引っ張り部材の頂部に1つの第2引っ張り孔が設けられ、複数のアンカーケーブル本体はそれぞれ複数の第1引っ張り孔を対応して貫通した後、一体として第2引っ張り孔から延出し、引っ張り部材の頂部にアンカーケーブル本体に固定接続された固定部材が取り付けられる。
【0012】
本願は、アンカーケーブル本体の施工位置にセメント注入体を打設し、アンカーケーブル本体の一端をセメント注入体内に埋設するステップと、セメント注入体の上方にコンクリートパッド層、第1防水塗料層及び第1可撓性防水層を順次設けるステップと、アンカーケーブル本体に応力を加え、且つ第1可撓性防水層に引っ張り部材を取り付けてアンカーケーブル本体を固定するステップと、を含む浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工方法をさらに提供する。
【0013】
好ましくは、コンクリートパッド層を設けるステップは、
アンカーケーブル本体にスリーブを套設し、且つスリーブの一部をセメント注入体内に挿入し、スリーブの外にコンクリートを打設してコンクリートパッド層を形成することと、
スリーブ内に、浸透防止グラウト及びスリーブの外まで延びている漏れ止め層を順次打設することと、を含む。
【0014】
好ましくは、第1防水塗料層を設けるステップは、
コンクリートパッド層に第1層の第1防水塗料層を塗設し、孔が設けられた第2可撓性防水層をアンカーケーブル本体に貫通させ、孔内に第2防水塗料層を塗設することと、
引っ張り部材の第1引っ張り板を第2可撓性防水層と第2防水塗料層に設けることと、
第1引っ張り板に第2層の第1防水塗料層を塗設することと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本願の技術的解決手段は、以下の利点を有する。
1、本願に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造は、一端がセメント注入体に埋設され、且つ下から上までコンクリートパッド層、第1防水塗料層及び第1可撓性防水層を順次貫通するアンカーケーブル本体と、第1可撓性防水層に設けられ、第1可撓性防水層に押圧力を加え、アンカーケーブル本体が貫通してロックされる引っ張り部材と、を備える。
コンクリートパッド層に第1防水塗料層及び第1可撓性防水層が設けられ、剛性のコンクリートパッド層及び可撓性の第1可撓性防水層の組み合わせにより防水し、アンカーケーブル本体が縦方向に引っ張られる時にコンクリートパッド層が緩むことによりコンクリートパッド層とアンカーケーブル本体との間に大きな隙間が発生した場合に発生する水漏れを回避する。アンカーケーブル本体を引っ張った後にも、第1可撓性防水層がアンカーケーブル本体に密接に係合されることを保証し、地下水がアンカーケーブル本体に沿って染み出ないことを保証することができる。
2、本願に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造では、第1防水塗料層が2層設けられ、2層の第1防水塗料層の間に第2可撓性防水層が設けられ、引っ張り部材の第1引っ張り板は上層の第1防水塗料層と第2可撓性防水層の間に設けられる。これにより、第2可撓性防水層と第1可撓性防水層は共にアンカーケーブル本体とコンクリートパッド層との接続箇所を防水し、引っ張り部材を利用して第2可撓性防水層を押圧することにより、第2可撓性防水層の接続安定性を保証し、第1可撓性防水層を利用して第1引っ張り板を覆うことにより、地下水が第1引っ張り板に沿って染み出ることを回避する。
3、本願に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造では、アンカーケーブル本体の外周を被覆する第2防水塗料層をさらに備え、第2可撓性防水層は第2防水塗料層の周辺に設けられ、アンカーケーブル本体は第2防水塗料層を貫通する。第2防水塗料層を利用してアンカーケーブル本体をシールすることにより、第2可撓性防水層と引っ張り部材との間に隙間が発生することによる地下水の染み出しを回避する。
4、本願に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造では、スリーブ内に浸透防止グラウトと漏れ止め層が下から上まで順に設けられ、漏れ止め層はスリーブの外まで延びている。アンカーケーブル本体の周囲に防水構造がさらに設けられることにより、アンカーケーブル本体の周囲の密閉性が向上する。
5、本願に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造では、アンカーケーブル本体が複数設けられ、複数のアンカーケーブル本体は平行に設けられ、引っ張り部材の底部に複数の第1引っ張り孔が設けられ、引っ張り部材の頂部に1つの第2引っ張り孔が設けられ、複数のアンカーケーブル本体はそれぞれ複数の第1引っ張り孔を対応して貫通した後、第2引っ張り孔から一体として延出し、引っ張り部材の頂部にアンカーケーブル本体に固定接続された固定部材が取り付けられる。複数の第1引っ張り孔が設けられることにより、複数のアンカーケーブル本体が互いに交差することによりアンカーケーブル本体の間にコンクリートが充填できない隙間が存在することを回避し、最終的に複数のアンカーケーブル本体を同時に第2引っ張り孔から延出させ、複数のアンカーケーブル本体を同時に引っ張ることで、複数のアンカーケーブル本体の周囲の構造が同時に力を受けることを保証し、各アンカーケーブル本体の周囲の構造の受ける力が異なるときに過大な変形が発生し、アンカーケーブル本体の周囲のコンクリート構造が破断することを回避する。
6、本願に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工方法では、コンクリートパッド層を設けるステップは、アンカーケーブル本体の外にスリーブを套設し、且つスリーブの一部をセメント注入体内に挿入し、スリーブの外にコンクリートを打設してコンクリートパッド層を形成することと、スリーブ内に、浸透防止グラウト及びスリーブの外まで延びている漏れ止め層を順次打設することと、を含む。アンカーケーブル本体の外にスリーブを套設することにより、コンクリートパッド層を打設する時に、コンクリートがアンカーケーブル本体に衝撃を与えてアンカーケーブル本体の曲がりを招くことを回避し、アンカーケーブル本体が常に鉛直状態を維持することを保証し、アンカーケーブル本体に引張力を加える時に、アンカーケーブル本体の周囲の構造の変形を減少させることができる。
【0016】
本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用される図面を簡単に説明するが、明らかに、下記の図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願の実施形態に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の構造概略図である。
図2図1におけるA部の拡大図である。
図3】本願の実施形態に係る引っ張り部材の構造概略図である。
図4図3におけるB-B方向の断面図である。
図5図4におけるC-C方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本願の技術的解決手段を明確で、完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要とせずに得られた全ての他の実施例は、本願の特許範囲に属する。
【0019】
なお、本願の説明では、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語で示される方位又は位置関係は図示した方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明を容易にし、且つ説明を簡素化するためにのみ使用され、係る装置又は構成要素が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを指示又は示唆するものではないので、本願を限定するものとして理解すべきではない。また、第1」、「第2」、「第3」という用語「は説明の目的にのみ使用され、相対的な重要性を指示又は示唆するものではないと理解すべきである。
【0020】
なお、本願の説明において、特に明確に規定、制限されていない限り、「取り付ける」、「連結」、「接続」という用語は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接接続、中間媒体を介する間接接続、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願での上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0021】
また、以下に説明される本願の様々な実施形態に係る技術的特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0022】
図1乃至図5に示すように、本願に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の具体的な実施形態は、下から上までコンクリートパッド層3、第1防水塗料層4及び第1可撓性防水層5を順次貫通するアンカーケーブル本体1を備える。第1防水塗料層4はセメント系浸透結晶防水塗料であり、第1可撓性防水層5は4mm厚さのSBS防水コイル材である。
【0023】
図1に示すように、アンカーケーブル本体1の底部はセメント注入体2内に埋設される。第1可撓性防水層5に第1可撓性防水層5に押圧力を加えるための引っ張り部材が設けられ、アンカーケーブル本体1は引っ張り部材を貫通してロックされる。図3に示すように、引っ張り部材は平行に設けられた第1引っ張り板12及び第2引っ張り板13を備え、第1引っ張り板12と第2引っ張り板13との間は4本の山形鋼14によって接続される。図2に示すように、第1防水塗料層4が2層設けられ、2層の第1防水塗料層4の間に第2可撓性防水層6である3mm厚さのSBS防水コイル材が設けられ、引っ張り部材の第1引っ張り板12は上層の第1防水塗料層4と第2可撓性防水層6との間に設けられる。アンカーケーブル本体1の外周に第2防水塗料層7である非硬化性ゴムアスファルト防水塗料が被覆され、第2可撓性防水層6は第2防水塗料層7の周辺に設けられ、アンカーケーブル本体1は第2防水塗料層7を貫通する。アンカーケーブル本体1の外にスリーブ8が套設され、スリーブ8はコンクリートパッド層3に埋設される。スリーブ8内に、下から上まで浸透防止グラウト9及び漏れ止め層10が順に設けられ、漏れ止め層10はスリーブ8の外まで延びている。第1可撓性防水層5に防水保護層11が設けられ、引っ張り部材の一部が防水保護層11内に埋設される。
【0024】
アンカーケーブル本体1が4つ設けられ、4つのアンカーケーブル本体1は平行に設けられ、図5に示すように、引っ張り部材の底部の第1引っ張り板12に4つの第1引っ張り孔15が設けられる。図4に示すように、引っ張り部材の頂部の第2引っ張り板13に1つの第2引っ張り孔16が設けられ、4つのアンカーケーブル本体1はそれぞれ4つの第1引っ張り孔15を対応して貫通した後、一体として第2引っ張り孔16から延出し、引っ張り部材の頂部にアンカーケーブル本体1に固定接続され固定部材として機能する4孔付きアンカーが取り付けられる。
【0025】
本実施例に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造では、スリーブ8を利用してアンカーケーブル本体1とコンクリートパッド層3を分離し、さらにスリーブ8内に浸透防止グラウト9及び漏れ止め層10を打設することにより、アンカーケーブル本体1に引張力を加える時にコンクリートパッド層3がアンカーケーブル本体1により駆動されて大きな変位をして破断することを回避する。漏れ止め層10に第1防水塗料層4を塗設し、且つSBS防水コイル材を敷設し、SBS防水コイル材とアンカーケーブル本体1との間に第2防水塗料層7を設けることにより、SBS防水コイル材を固定するとともに、アンカーケーブル本体1の周囲の隙間をさらにシールする。引っ張り部材によってSBS防水コイル材を押圧することで、SBS防水コイル材をコンクリートパッド層3に安定的に敷設させる。さらに、第1引っ張り板12の周囲及び第1引っ張り孔15の周囲に第2防水塗料層7を塗設し、且つ第1引っ張り板12にSBS防水コイル材を敷設することにより、浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の防水性能をさらに向上させ、地下水が第1引っ張り板12の隙間に沿って染み出ることを回避する。本実施例に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造は、地下水がアンカーケーブル本体1との周囲の接続構造の隙間から染み出ることをよく抑制し、地下構造の安全性を保証することができる。
【0026】
本実施例はさらに、浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工方法の具体的な実施形態を提供し、該実施形態は、
アンカーケーブル本体1の施工位置にセメント注入体2を打設し、4本のアンカーケーブル本体1の一端をセメント注入体2内に埋設するステップと、
アンカーケーブル本体1にスリーブ8を套設し、且つスリーブ8の一部をセメント注入体2内に挿入し、スリーブ8の外にコンクリートを打設してコンクリートパッド層3を形成し、スリーブ8の内径を、アンカーケーブル本体1を固定するための4孔付きアンカーの直径よりも1cm大きくし、スリーブ8のセメント注入体2外での高さをコンクリートパッド層3の高さと同じにし、コンクリートパッド層3の養生強度が80%に達すると、グラウトの頂部がスリーブ8の頂部から2cm離れるように、スリーブ8内に浸透防止グラウト9を順次打設し、続いてスリーブ8内に漏れ止め剤を充填して、スリーブ8の外まで延びている漏れ止め層10とするステップと、
コンクリートパッド層3に第1層のセメント系浸透結晶防水塗料を塗設し、直径15cmの孔が設けられた3mm厚さのSBS防水コイル材を、アンカーケーブル本体1に貫通させ、孔内に非硬化性ゴムアスファルト防水塗料を内部に塗設し、引っ張り部材の第1引っ張り板12を3mm厚さのSBS防水コイル材と非硬化性ゴムアスファルト防水塗料に押圧して取り付け、4本のアンカーケーブル本体1を第1引っ張り板12及び第2引っ張り板13を順次貫通させ、第1引っ張り板12に第2層セメント系浸透結晶防水塗料を塗設し、且つ第1引っ張り板12の縁部及び第1引っ張り板12とアンカーケーブル本体1との接触位置に非硬化性ゴムアスファルト防水塗料を塗設し、非硬化性ゴムアスファルト防水塗料に1層の4mm厚さのSBS防水コイル材を敷設するステップと、
アンカーケーブル本体1に応力を加え、且つ第2引っ張り板13に4孔付きアンカーを取り付けてアンカーケーブル本体1を固定するステップと、を含む。
【0027】
本実施例に係る浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工方法は、まず、第1引っ張り板12を埋設し、さらに第1引っ張り板12に対して防水施工を行うように浮き上がり防止用アンカーケーブルの防水構造の施工ステップを規範化することにより、構造全体の防水の品質を保証する。多層構造を1層ずつ施工するとともに、アンカーケーブル本体1の周囲の防水構造に対して強化施工を行うことにより、アンカーケーブル本体1に引張力を加えた後にも、アンカーケーブル本体1の周囲の構造がアンカーケーブル本体1に密接可能となることを保証し、地下水がアンカーケーブル本体1の周囲から染み出ないことを保証することができる。
【0028】
明らかに、上記実施例は単に明確に説明するための例示であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うことができる。ここで全ての実施形態を網羅する必要がなく、また実施形態を網羅することが不可能なことである。これから導出された明らかな変化又は変動も本発明の特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0029】
1、アンカーケーブル本体
2、セメント注入体
3、コンクリートパッド層
4、第1防水塗料層
5、第1可撓性防水層
6、第2可撓性防水層
7、第2防水塗料層
8、スリーブ
9、浸透防止グラウト
10、漏れ止め層
11、防水保護層
12、第1引っ張り板
13、第2引っ張り板
14、山形鋼
15、第1引っ張り孔
16、第2引っ張り孔
図1
図2
図3
図4
図5