(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ガイド位置調整装置
(51)【国際特許分類】
B21B 39/14 20060101AFI20231004BHJP
B21B 39/16 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B21B39/14 B
B21B39/16
(21)【出願番号】P 2020012503
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】上西 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大西 和也
(72)【発明者】
【氏名】中村 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 夏輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 周也
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-161467(JP,A)
【文献】特開平10-052709(JP,A)
【文献】特開平09-225515(JP,A)
【文献】特開平09-285811(JP,A)
【文献】特開2007-111702(JP,A)
【文献】特開2013-086128(JP,A)
【文献】特開2003-053413(JP,A)
【文献】特開2007-296577(JP,A)
【文献】特開2000-233215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置であって、
基部と、
前記基部に取り付けられたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに収納されて前記ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、
前記ガイドホルダーに固定されて前記鋼材を案内する前記ガイドと、
前記ガイドボックスに対する前記ガイドホルダー及び前記ガイドの位置を、前記圧延スタンドに備えられた圧延ロールの軸方向または軸方向の直交方向のいずれかである第1の方向に沿って調整する第1位置調整機構と、
前記基部の位置を、前記パスラインの方向及び前記第1の方向にそれぞれ直交する第2の方向に沿って調整する第2位置調整機構と、が備えられ、
前記ガイドボックスの内部には、前記第1の方向に沿って前記ガイドボックスを移動自在とするためのスペースが設けられ、
前記第1位置調整機構は、
前記ガイドホルダーに設けられ、前記第1の方向に沿って延在する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に固定されたナット部と、
前記貫通孔及び前記ナット部に挿入されるとともに、前記ガイドボックスに回転可能に支持された回転軸体と、
前記回転軸体に設けられて前記ナット部に噛み合う送りねじ部と、
前記ガイドボックスの外面側に備えられて前記回転軸体を回転させる駆動用軸体と、
前記ガイドボックス及び前記ガイドホルダー並びに前記ガイドを固定する第1固定手段と、
前記ガイドボックス及び前記ガイドホルダーを固定する第2固定手段と、を備えることを特徴とするガイド位置調整装置。
【請求項2】
圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置であって、
基部と、
前記基部に取り付けられたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに収納されて前記ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、
前記ガイドホルダーに固定されて前記鋼材を案内する前記ガイドと、
前記ガイドボックスに対する前記ガイドホルダー及び前記ガイドの位置を、前記圧延スタンドに備えられた圧延ロールの軸方向または軸方向の直交方向のいずれかである第1の方向に沿って調整する第1位置調整機構と、
前記基部の位置を、前記パスラインの方向及び前記第1の方向にそれぞれ直交する第2の方向に沿って調整する第2位置調整機構と、が備えられ、
前記ガイドボックスの内部には、前記第1の方向に沿って前記ガイドボックスを移動自在とするためのスペースが設けられ、
前記第1位置調整機構は、
前記ガイドホルダーに設けられ、前記第1の方向に沿って延在する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に固定されたナット部と、
前記貫通孔及び前記ナット部に挿入されるとともに、前記ガイドボックスに回転可能に支持された回転軸体と、
前記回転軸体に設けられて前記ナット部に噛み合う送りねじ部と、
前記ガイドボックスの外面側に備えられて前記回転軸体を回転させる駆動用軸体と、
を備え、
前記ガイドボックスの内面に、スケール排出用の凹部が設けられていることを特徴とするガイド位置調整装置。
【請求項3】
圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置であって、
基部と、
前記基部に取り付けられたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに収納されて前記ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、
前記ガイドホルダーに固定されて前記鋼材を案内する前記ガイドと、
前記ガイドボックスに対する前記ガイドホルダー及び前記ガイドの位置を、前記圧延スタンドに備えられた圧延ロールの軸方向または軸方向の直交方向のいずれかである第1の方向に沿って調整する第1位置調整機構と、
前記基部の位置を、前記パスラインの方向及び前記第1の方向にそれぞれ直交する第2の方向に沿って調整する第2位置調整機構と、が備えられ、
前記ガイドボックスの内部には、前記第1の方向に沿って前記ガイドボックスを移動自在とするためのスペースが設けられ、
前記第1位置調整機構は、
前記ガイドホルダーに設けられ、前記第1の方向に沿って延在する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に固定されたナット部と、
前記貫通孔及び前記ナット部に挿入されるとともに、前記ガイドボックスに回転可能に支持された回転軸体と、
前記回転軸体に設けられて前記ナット部に噛み合う送りねじ部と、
前記ガイドボックスの外面側に備えられて前記回転軸体を回転させる駆動用軸体と、
を備え、
前記ガイドボックスの前記圧延ロール側に、前記スペースを塞ぐ蓋体が着脱自在に取り付けられていることを特徴とするガイド位置調整装置。
【請求項4】
圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置であって、
基部と、
前記基部に取り付けられたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに収納されて前記ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、
前記ガイドホルダーに固定されて前記鋼材を案内する前記ガイドと、
前記ガイドボックスに対する前記ガイドホルダー及び前記ガイドの位置を、前記圧延スタンドに備えられた圧延ロールの軸方向または軸方向の直交方向のいずれかである第1の方向に沿って調整する第1位置調整機構と、
前記基部の位置を、前記パスラインの方向及び前記第1の方向にそれぞれ直交する第2の方向に沿って調整する第2位置調整機構と、が備えられ、
前記ガイドボックスの内部には、前記第1の方向に沿って前記ガイドボックスを移動自在とするためのスペースが設けられ、
前記第1位置調整機構は、
前記ガイドホルダーに設けられ、前記第1の方向に沿って延在する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に固定されたナット部と、
前記貫通孔及び前記ナット部に挿入されるとともに、前記ガイドボックスに回転可能に支持された回転軸体と、
前記回転軸体に設けられて前記ナット部に噛み合う送りねじ部と、
前記ガイドボックスの外面側に備えられて前記回転軸体を回転させる駆動用軸体と、
を備え、
前記ガイドホルダーに、スケール排出用の切欠部が設けられていることを特徴とするガイド位置調整装置。
【請求項5】
前記ガイドボックスの内面に、スケール排出用の凹部が設けられている、
請求項1に記載のガイド位置調整装置。
【請求項6】
前記ガイドボックスの前記圧延ロール側に、前記スペースを塞ぐ蓋体が着脱自在に取り付けられている、請求項1
または請求項2に記載のガイド位置調整装置。
【請求項7】
前記ガイドホルダーに、スケール排出用の切欠部が設けられている、請求項1乃至
請求項3の何れか一項に記載のガイド位置調整装置。
【請求項8】
前記圧延スタンドの出側に配置されている、請求項1乃至
請求項4の何れか一項に記載のガイド位置調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド位置調整装置に関するものであり、特に、棒線材の熱間圧延機に備えられるガイド位置調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒線材の熱間圧延設備には、鋼材のパスライン方向に沿って、複数の圧延スタンドが配置されている。各圧延スタンドには、鋼材を圧延するためのカリバーロール(以下、圧延ロールと言う場合がある)が備えられている。熱間圧延設備においては、圧延スタンドを通過させた鋼材を、次段の圧延スタンドのロール孔型に向けて正しい姿勢で送り出す必要がある。また、次段の圧延スタンドにおいては、前段の圧延スタンドから送り出された鋼材を、ロール孔型に対して正しい姿勢で装入させる必要がある。そのため、全ての圧延スタンドには、圧延ロールの入側及び出側にそれぞれ、鋼材を導くためのガイドが設置されている。特に、圧延ロールの出側に配置されたガイドの位置が、当該ガイドを通過しようとする鋼材のパスラインから大きく外れると、圧延ロールの出側において鋼材を正しい方向に案内することができなくなり、また、鋼材とガイドとが接触して鋼材表面に疵が発生する恐れもある。そのため、従来のガイドには、位置調整機構が設けられている。
【0003】
特許文献1には、ガイドを保持するためのレストバー装置が記載されている。このレストバー装置は、パスライン方向と直交する方向に案内シャフトに沿って移動可能である横スライドサドルと、パスライン方向に対して前後に移動可能である前後スライドサドルとを備えている。横スライドサドルに前後スライドサドルが載せられており、前後スライドサドルにガイドが載せられている。特許文献1では、前後スライドサドルによってガイドをパスライン方向に沿って移動させることにより、ガイドを圧延スタンドのロールに接近させ、次いで、横スライドサドルによってガイドをロール軸方向に沿って動かすことで、ガイドの位置とロールの位置とを位置合わせしている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のレストバー装置には、ガイドの位置をロール軸方向と直交する方向に調整する機構が備えられていないため、レストバー装置単体でガイドの位置をパスラインの位置に適切に位置合わせさせることができなかった。
【0005】
また、特許文献2は、棒線圧延に関する技術分野とは異なる技術分野であるが、この特許文献2には、パスラインに沿って形鋼圧延機の誘導部に向けて進退可能としたガイドボックスと、パスラインと直交する状態でガイドボックスに取り付けられる上、下スライド軸と、上、下スライド軸に、パスラインを中心にして左右対称に摺動自在に取り付けられる上、下形鋼ガイドと、上、下形鋼ガイドを左右方向に対称的に移動可能なガイド開閉機構とを有する形鋼圧延機のガイド装置が記載されている。
【0006】
特許文献2に記載のガイド装置は、パスラインに対して上下左右方向に、上、下形鋼ガイドの位置を調整可能になっているが、特許文献2では、パスラインに対する上、下形鋼ガイドの位置調整を油圧機構によって調整しており、調整精度はせいぜい5~10mm程度である。つまり、狙いの位置に対して5~10mm程度の誤差が生じる恐れがある。一方、棒線圧延においては、ガイドの位置の調整精度として0.1mm程度の精度が求められる場合があることから、形鋼圧延機のガイドを、棒線圧延のガイドに適用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-296577号公報
【文献】特開2000-233215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、熱間圧延の操業中であっても、ガイドの位置を圧延ロールの軸方向及び軸方向と直交する方向に調整可能であり、かつ、ガイドの位置の調整精度に優れたガイド位置調整装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置であって、
基部と、
前記基部に取り付けられたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに収納されて前記ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、
前記ガイドホルダーに固定されて前記鋼材を案内する前記ガイドと、
前記ガイドボックスに対する前記ガイドホルダー及び前記ガイドの位置を、前記圧延スタンドに備えられた圧延ロールの軸方向または軸方向の直交方向のいずれかである第1の方向に沿って調整する第1位置調整機構と、
前記基部の位置を、前記パスラインの方向及び前記第1の方向にそれぞれ直交する第2の方向に沿って調整する第2位置調整機構と、が備えられ、
前記ガイドボックスの内部には、前記第1の方向に沿って前記ガイドボックスを移動自在とするためのスペースが設けられ、
前記第1位置調整機構は、
前記ガイドホルダーに設けられ、前記第1の方向に沿って延在する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に固定されたナット部と、
前記貫通孔及び前記ナット部に挿入されるとともに、前記ガイドボックスに回転可能に支持された回転軸体と、
前記回転軸体に設けられて前記ナット部に噛み合う送りねじ部と、
前記ガイドボックスの外面側に備えられて前記回転軸体を回転させる駆動用軸体と、を備えることを特徴とするガイド位置調整装置。
[2] 圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置であって、
基部と、
前記基部に取り付けられたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに収納されて前記ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、
前記ガイドホルダーに固定されて前記鋼材を案内する前記ガイドと、
前記ガイドボックスに対する前記ガイドホルダー及び前記ガイドの位置を、前記圧延スタンドに備えられた圧延ロールの軸方向または軸方向の直交方向のいずれかである第1の方向に沿って調整する第1位置調整機構と、
前記基部の位置を、前記パスラインの方向及び前記第1の方向にそれぞれ直交する第2の方向に沿って調整する第2位置調整機構と、が備えられ、
前記ガイドボックスの内部には、前記第1の方向に沿って前記ガイドボックスを移動自在とするためのスペースが設けられ、
前記第1位置調整機構は、
前記ガイドホルダーに設けられ、前記第1の方向に沿って延在する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に固定されたナット部と、
前記貫通孔及び前記ナット部に挿入されるとともに、前記ガイドボックスに回転可能に支持された回転軸体と、
前記回転軸体に設けられて前記ナット部に噛み合う送りねじ部と、
前記ガイドボックスの外面側に備えられて前記回転軸体を回転させる駆動用軸体と、を備え、
前記ガイドボックスの内面に、スケール排出用の凹部が設けられていることを特徴とするガイド位置調整装置。
[3] 圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置であって、
基部と、
前記基部に取り付けられたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに収納されて前記ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、
前記ガイドホルダーに固定されて前記鋼材を案内する前記ガイドと、
前記ガイドボックスに対する前記ガイドホルダー及び前記ガイドの位置を、前記圧延スタンドに備えられた圧延ロールの軸方向または軸方向の直交方向のいずれかである第1の方向に沿って調整する第1位置調整機構と、
前記基部の位置を、前記パスラインの方向及び前記第1の方向にそれぞれ直交する第2の方向に沿って調整する第2位置調整機構と、が備えられ、
前記ガイドボックスの内部には、前記第1の方向に沿って前記ガイドボックスを移動自在とするためのスペースが設けられ、
前記第1位置調整機構は、
前記ガイドホルダーに設けられ、前記第1の方向に沿って延在する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に固定されたナット部と、
前記貫通孔及び前記ナット部に挿入されるとともに、前記ガイドボックスに回転可能に支持された回転軸体と、
前記回転軸体に設けられて前記ナット部に噛み合う送りねじ部と、
前記ガイドボックスの外面側に備えられて前記回転軸体を回転させる駆動用軸体と、を備え、
前記ガイドボックスの前記圧延ロール側に、前記スペースを塞ぐ蓋体が着脱自在に取り付けられていることを特徴とするガイド位置調整装置。
[4] 圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置であって、
基部と、
前記基部に取り付けられたガイドボックスと、
前記ガイドボックスに収納されて前記ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、
前記ガイドホルダーに固定されて前記鋼材を案内する前記ガイドと、
前記ガイドボックスに対する前記ガイドホルダー及び前記ガイドの位置を、前記圧延スタンドに備えられた圧延ロールの軸方向または軸方向の直交方向のいずれかである第1の方向に沿って調整する第1位置調整機構と、
前記基部の位置を、前記パスラインの方向及び前記第1の方向にそれぞれ直交する第2の方向に沿って調整する第2位置調整機構と、が備えられ、
前記ガイドボックスの内部には、前記第1の方向に沿って前記ガイドボックスを移動自在とするためのスペースが設けられ、
前記第1位置調整機構は、
前記ガイドホルダーに設けられ、前記第1の方向に沿って延在する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に固定されたナット部と、
前記貫通孔及び前記ナット部に挿入されるとともに、前記ガイドボックスに回転可能に支持された回転軸体と、
前記回転軸体に設けられて前記ナット部に噛み合う送りねじ部と、
前記ガイドボックスの外面側に備えられて前記回転軸体を回転させる駆動用軸体と、を備え、
前記ガイドホルダーに、スケール排出用の切欠部が設けられていることを特徴とするガイド位置調整装置。
[5] 前記ガイドボックスの内面に、スケール排出用の凹部が設けられている、[1]に記載のガイド位置調整装置。
[6] 前記ガイドボックスの前記圧延ロール側に、前記スペースを塞ぐ蓋体が着脱自在に取り付けられている、[1]または[2]に記載のガイド位置調整装置。
[7] 前記ガイドホルダーに、スケール排出用の切欠部が設けられている、[1]乃至[3]の何れか一項に記載のガイド位置調整装置。
[8] 前記圧延スタンドの出側に配置されている、[1]乃至[4]の何れか一項に記載のガイド位置調整装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガイド位置調整装置によれば、基部と、ガイドボックスと、ガイドボックス内で移動可能なガイドホルダーと、鋼材を案内するガイドと、第1位置調整機構と、第2位置調整機構とが備えられ、第1位置調整機構及び第2位置調整機構によって、ガイドの位置を第1の方向及び第2の方向に沿って調整することができる。また、第1位置調整機構は、ガイドホルダーのナット部と回転軸体の送りねじ部とからなる送りねじ機構によってガイドホルダー及びガイドの位置を調整するので、ガイドの位置調整を0.1mm程度の精度で調整できる。これにより、鋼材を棒線圧延する際に、鋼材のパスラインと、ガイドの位置を精密に位置合わせできる。
【0011】
また、ガイドボックスとガイドホルダーとに間にスペースが設けられており、このスペースの合計高さがガイドホルダーの可動範囲となるので、ガイドボックスとガイドホルダーのサイズを調整することで、ガイドの可動範囲を設定できるようになる。
【0012】
本発明のガイド位置調整装置は、駆動用軸体を回転させることで、ガイドの位置を調整できるので、鋼材の熱間圧延作業を中断することなく、ガイドの位置を調整できる。
【0013】
また、本発明のガイド位置調整装置によれば、ガイドボックス及びガイドホルダー並びにガイドを固定する第1固定手段と、ガイドボックス及びガイドホルダーを固定する第2固定手段とが備えられているので、ガイドホルダー及びガイドをガイドボックスに確実に固定してこれらの剛性を向上できる。
【0014】
また、本発明のガイド位置調整装置には、ガイドボックスの内部に凹部を設けており、スペース内にスケールが侵入したとしても、スケールは主に凹部内に堆積されるので、ガイドホルダーの位置を調整が、スケールによって阻害されるおそれがない。
【0015】
また、本発明のガイド位置調整装置には、ガイドボックスとガイドホルダーとの間のスペースを塞ぐ蓋体が設置されているので、スペースへのスケールの侵入を防止できる。これにより、スケールの影響を受けることなく、ガイドの位置を調整できる。
【0016】
また、本発明のガイド位置調整装置には、ガイドホルダーにスケール排出用の切欠部が設けられているので、スペース内にスケールが侵入したとしても、切欠部を設けたことによって形成された孔部にスケールを逃がすことができ、スペースにスケールが残存しにくくなる。これにより、スケールの影響を受けることなく、ガイドホルダー及びガイドの位置を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置の側面模式図。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置の平面模式図。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置の背面模式図。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置を示す図であって、
図1のA-A’線における断面模式図。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置に備えられたガイドを示す図であって、(A)は平面模式図、(B)は側面模式図、(C)は背面模式図。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置に備えられたガイドボックスを示す図であって、(A)は平面模式図、(B)は側面模式図、(C)は背面模式図、(D)はAのB-B’線における断面模式図。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置に備えられたガイドボックスカバーを示す平面模式図。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置に備えられたガイドボックスカバーを示す側面模式図。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置に備えられたガイドボックスカバーを示す背面模式図。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置に備えられたガイドボックスカバーを示す図であって、
図7のC-C’線における断面模式図。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置を示す図であって、第1位置調整機構の動作を説明する側面模式図。
【
図12】
図12は、本発明の第1の実施形態であるガイド位置調整装置を示す図であって、第1位置調整機構の動作を説明する背面模式図。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施形態であるガイド位置調整装置の側面模式図。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施形態であるガイド位置調整装置の平面模式図。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施形態であるガイド位置調整装置の背面模式図。
【
図16】
図16は、本発明の第2の実施形態であるガイド位置調整装置を示す図であって、
図13のD-D’線における背面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態であるガイド位置調整装置について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1~
図12に、本発明の第1の実施形態のガイド位置調整装置を示す。本実施形態のガイド位置調整装置1は、圧延スタンドのパスラインに鋼材を案内するためのガイドを備えたガイド位置調整装置である。圧延スタンドには、一対のカリバーロールR(以下、圧延ロールRと言う場合がある)が備えられている。本実施形態のガイド位置調整装置1は、圧延ロールRの出側、すなわち、圧延ロールRよりも鋼材のパスラインLの下流側に設置されている。
【0020】
図1~
図4に示すように、本実施形態のガイド位置調整装置1には、基部2と、基部2に取り付けられたガイドボックス3と、ガイドボックス3に収納され、ガイドボックス3内で移動可能なガイドホルダー4と、ガイドホルダー4に固定されて鋼材を案内するガイド5と、ガイドボックス3に対するガイドホルダー4及びガイド5の位置を調整する第1位置調整機構7と、基部2の位置を調整する第2位置調整機構8と、が備えられている。
【0021】
図1~
図4に示すように、ガイド位置調整装置1では、基部2にガイドボックス3が取り付けられ、ガイドボックス3内部にガイドホルダー4が収納され、ガイドホルダー4にガイド5が固定されている。ガイドホルダー4は、第1位置調整機構7によって、圧延ロールRの軸方向の直交方向(
図1、
図3、
図4の上下方向、以下、第1の方向D1という)に沿って位置の調整が可能となっている。また、基部2は、第2位置調整機構8により、圧延ロールRの軸方向(
図2の上下方向、
図3、
図4の左右方向、以下、第2の方向D2という)に沿って位置の調整が可能となっている。これによりガイド位置調整装置1は、第1位置調整機構7及び第2位置調整機構8によって、ガイド5の位置を圧延ロールRの軸方向及びその直交方向に沿って調整可能となっている。
【0022】
また、
図3及び
図4に示すように、ガイドホルダー4の高さ(上面4aと下面4cの間隔)は、ガイドボックス3の高さ(上部カバー31と基部2との距離)よりも小さくなっている。これにより、ガイドホルダー4の上面4aとガイドボックス3の上部カバー31との間にスペースSがあり、ガイドホルダー4の下面4cと基部2との間にもスペースSがある。これらスペースSの高さの合計寸法が、第1位置調整機構7によるガイドホルダー4の可動幅になる。
【0023】
一方、
図3及び
図4に示すように、ガイドホルダー4の幅(側面4b同士の間隔)とガイドボックス3の幅(側部カバー32同士の間隔)は、ほぼ同じ寸法とされており、クリアランスを確保した分だけ、ガイドホルダー4の幅が小さくなっている。これにより、ガイドホルダー4は、幅方向(第2の方向D2)への位置の変更が規制される。
【0024】
以下、ガイド位置調整装置1を構成する各部材について説明する。
図5(A)~
図5(C)には、ガイド位置調整装置1に備えられるガイド5を示す。ガイド5は、例えば、中空の略八角柱状の部材である。ガイド5は、例えば鋼材で構成されている。ガイド5には、圧延ロールR側に配置される先端52と、圧延ロールRとは離れた側に配置される後端53とを有する。ガイド5の先端52の形状は、圧延ロールRの孔型に対応する形状とされている。ガイド5の先端52と後端53との間に、ガイド孔51が設けられている。ガイド孔51の内側をパスラインLが通過するように、ガイド5がガイド位置調整装置1によって位置決めされる。圧延ロールRを通過した鋼材は、ガイド5に設けられたガイド孔51を通過して後段の圧延スタンドに送られる。その際、ガイド5は、鋼材がパスラインLから外れないように鋼材を案内する。
【0025】
図6には、ガイドホルダー4にガイド5が固定された状態を示している。
図6ではガイド5を一点鎖線で示している。
図6(A)~
図6(D)に示すように、ガイドホルダー4は、上面4a、側面4b及び下面4cを有するホルダー本体41と、ホルダー本体41の側面4bから突出する一対の突出部43とを有する。ホルダー本体41及び突出部43は例えば鋼材からなる。
【0026】
ホルダー本体41には、ガイド5を挿入するためのガイド挿入孔42が設けられている。ガイド5は、このガイド挿入孔42に挿入された状態で、ガイドホルダー4に固定される。ガイド5の先端52及び後端53は、ガイドホルダー4から突出している。
【0027】
ホルダー本体41と突出部43との接続箇所には、一対の貫通孔44が設けられている。貫通孔44は、上面4a側から下面4c側に向けて延在している。ガイドホルダー4がガイド位置調整装置1に組み込まれた場合の貫通孔44の延在方向は、圧延ロールRの軸方向の直交方向とほぼ平行な方向、すなわち、第1の方向D1とされる。貫通孔44の上面4a側には、ナット部45が埋め込まれている。ナット部45の内面には雌ねじ部45aが設けられている。
【0028】
ホルダー本体41の上面41aには、固定ネジ用孔46が設けられている。固定ネジ用孔46は、ホルダー本体41を貫通してガイド挿入孔42に達している。固定ネジ用孔46には、ガイド5を固定するための第1固定ネジ91(第1固定手段)が挿入されるようになっている。
【0029】
また、突出部43は、ガイド5の後端53側に向く受面43aと、ガイド5の先端52側に向く突当面43bとを有する。受面43a及び突当面43bは、ガイドホルダー4をガイドボックス3に固定するために用いられる。
【0030】
図7~
図10に、ガイドボックス3及び基部2を示す。ガイドボックス3は基部2に取り付けられている。
図7~
図10に示すように、ガイドボックス3は、基部2から離間して配置された上部カバー31と、上部カバー31と基部2とを接続する4つの側部カバー32とを有する。上部カバー31及び側部カバー32はそれぞれ、板状の部材からなる。ガイドボックス3が基部2に取り付けられることにより、基部2、上部カバー31及び側部カバー32によって囲まれた空間Kが形成される。この空間K内にガイドホルダー4及びガイド5が配置される。
【0031】
側部カバー32は、上部カバー31の下側の面に接合される。側部カバー32は、
図2及び
図7に示すごとくガイドボックス3を平面視したときに、ガイド5を挟む位置に配置され、また、ガイド5の長手方向に沿って離間して配置される。すなわち、ガイド5の先端52寄りの側部カバー32aと、後端53寄りの側部カバー32bとが離間されて配置される。
図1に示すように、側部カバー32aと側部カバー32bとの間には、ガイドホルダー4の突出部43が嵌め込まれるようになる。
【0032】
上部カバー31には、固定ネジ用孔36が設けられている。固定ネジ用孔36には、第1固定ネジ91が挿入される。固定ネジ用孔36に挿入された第1固定ネジ91は、ガイドホルダー4の固定ネジ用孔46に挿入され、更にはガイド5に突き当てられる。これにより、第1固定ネジ91は、ガイドボックス3、ガイドホルダー4及びガイド5を相互に固定する。
【0033】
また、
図7、
図8及び
図10に示すように、ガイド5の先端52寄りの側部カバー32aには、受面32cが設けられている。また、ガイド5の後端53寄りの側部カバー32bには、固定ネジ用孔37が設けられている。固定ネジ用孔37には第2固定ネジ92(第2固定手段)が挿入される。第2固定ネジ92を固定ネジ用孔37に挿入することで、第2固定ネジ92の先端がガイドホルダー4の突出部43の受面43aをガイド5の先端52側に押し付け、突出部43の突当面43bが受面32cに突き当てられる。これにより、第2固定ネジ92は、ガイドボックス3及びガイドホルダー4を相互に固定する。
【0034】
図7~
図10に示すように、ガイドボックス3の外面3aをなす上部カバー31には、2つのギアボックスカバー34が設置されている。ギアボックスカバー34には、駆動用軸体35が挿通されている。駆動用軸体35の両端35aは、ギアボックスカバー34の外部に突出している。これにより、熱間圧延工程中であっても、駆動用軸体35に別の工具を取り付けて駆動用軸体35を回転できるようになっている。また、ギアボックスカバー34内の上部カバー31には、軸受け部33が備えられている。軸受け部33には、回転軸体6が挿入されるようになっている。更に、基部2にも、回転軸体6用の軸受け部21が備えられている。
【0035】
回転軸体6は、
図8及び
図10に示すように、軸本体6aを有している。軸本体6aの基端にギア部62が設けられ、ギア部62の下方に軸受け部63が設けられ、軸受け部63の下方には送りねじ部61が設けられ、軸本体6aの先端には別の軸受け部64が設けられている。
【0036】
回転軸体6は、上部カバー31の軸受け部33と、基部2の軸受け部21とに挿入される。上部カバー31の軸受け部33には軸本体6aの軸受け部63が挿入され、基部2の軸受け部21には軸本体6aの先端の軸受け部64が挿入される。これにより、回転軸体6は、ガイドボックス3に対して回転自在に支持される。また、回転軸体6は、ガイドホルダー4の貫通孔44に挿通される。回転軸体6の送りねじ部61は、ガイドホルダー4のナット部45に挿入される。更に、回転軸体6のギア部62は、ギアボックスカバー34内に収納され、駆動用軸体35に噛み合わされる。例えば、ギア部62はウォームホイールとされ、駆動用軸体35はウォームとされる。
【0037】
貫通孔44、ナット部45、送りねじ部61を有する一対の回転軸体6及び駆動用軸体35によって、第1位置調整機構7が構成される。駆動用軸体35を回転させることで、回転軸体6が回転する。回転軸体6の回転に伴い送りねじ部61が回転し、これにより、ナット部45が回転軸体6の長手方向に沿って駆動される。ナット部45はガイドホルダー4に固定されているため、駆動用軸体35及び回転軸体6の回転によって、ガイドホルダー4がガイドボックス3の内部を移動するようになる。
【0038】
図1に示すように、基部2には、第2位置調整機構8が接続されている。第2位置調整機構8は、レストバー81と、スライド部82を備えている。また、第2位置調整機構8には、スライド部82を駆動させる図示しない駆動機構が備えられている。レストバー81は、
図1及び
図3に示すように、圧延ロールRの軸方向に沿って延在している。図示略の駆動機構によって、スライド部82をレストバー81に沿って摺動させることにより、基部2に取り付けられたガイド5の位置調整が可能となっている。これにより、ガイド位置調整装置1は、圧延ロールRの軸方向に沿って移動自在であり、かつ、位置の調整が可能とされている。駆動機構は、例えば、操作側の回転運動をスライド部82側の直線運動に変換可能なギア機構を用いることができる。スライド部82は、駆動機構によって0.1mmの精度で調整可能とされている。
【0039】
以下、ガイド位置調整装置1によるガイド5の位置調整方法について
図1~
図4、
図11及び
図12を参照しつつ説明する。
【0040】
ガイド位置調整装置1によって、ガイド5の位置をパスラインLに合わせるための調整する場合は、まず、第1固定ネジ91及び第2固定ネジ92を取り外し、ガイドボックス3に対するガイドホルダー4及びガイド5の固定を解除する。
【0041】
次に、第2位置調整機構8によって、ガイド位置調整装置1の圧延ロールの軸方向(第2の方向D2)の位置を調整する。具体的には、スライド部82をレストバー81の長手方向に沿って摺動させる。スライド部82の位置合わせは0.1mmの精度で調整可能である。
【0042】
次に、第1位置調整機構7によって、ガイド5の圧延ロールの軸方向の直交方向(第1の方向D1)の位置を調整する。具体的には、駆動用軸体35を回動させることによって回転軸体6を回転させ、これにより送りねじ部61を回転させ、ナット部45を有するガイドホルダー4を、第1の方向D1に沿って移動させる。駆動用軸体35、回転軸体6及びナット部45によって、駆動用軸体35の回転の動きをガイドホルダー4の直線の動きに変換する。位置合わせは0.1mmの精度で調整可能になる。
【0043】
位置合わせが終了したら、第1固定ネジ91によってガイドボックス3、ガイドホルダー4及びガイド5を固定し、また第2固定ネジ92によってガイドボックス3及びガイドホルダー4を固定する。
【0044】
ガイド5の位置調整は、図示しない駆動機構によってスライド部82の位置を調整し、また、駆動用軸体35を回転させることによってガイドホルダー4の位置を調整することにより可能になるので、鋼材の熱間圧延中であっても、ガイド5の位置を調整することが可能になる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のガイド位置調整装置1によれば、基部2と、ガイドボックス3と、ガイドボックス3内で移動可能なガイドホルダー4と、鋼材を案内するガイド5と、第1位置調整機構7と、第2位置調整機構8とが備えられ、第1位置調整機構7及び第2位置調整機構8によって、ガイド5の位置を第1の方向D1及び第2の方向D2に沿って調整することができる。また、第1位置調整機構7は、ガイドホルダー4のナット部45と回転軸体6の送りねじ部61とからなる送りねじ機構によってガイドホルダー4及びガイド5の位置を調整するので、ガイド5の位置調整を0.1mm程度の精度で調整できる。これにより、鋼材を棒線圧延する際に、鋼材のパスラインLと、ガイド5の位置を精密に位置合わせできる。
【0046】
また、ガイドボックス3とガイドホルダー4とに間にスペースSが設けられており、このスペースSの合計高さがガイドホルダー4の可動範囲となるので、ガイドボックス3とガイドホルダー4のサイズを調整することで、ガイド5の可動範囲を設定できるようになる。
【0047】
更に、本実施形態では、第2位置調整機構8においてもナット部と送りねじ部とからなる送りねじ機構を採用しているので、ガイド位置調整装置1におけるガイド5の位置の調整を0.1mm程度の精度で調整することができる。これにより、鋼材を棒線圧延する際に、鋼材のパスラインLと、ガイド5の位置を精密に位置合わせできる。
【0048】
本実施形態のガイド位置調整装置1は、図示しない駆動機構によってスライド部82の位置を調整し、また、駆動用軸体35を回転させることによってガイドホルダー4の位置を調整することにより、ガイド5の位置を調整できるので、鋼材の熱間圧延作業を中断することなく、ガイド5の位置を調整することができる。
【0049】
また、本実施形態のガイド位置調整装置1によれば、ガイドボックス3及びガイドホルダー4を貫通してガイド5を固定する第1固定ネジ91と、ガイドボックス3を貫通してガイドホルダー4を固定する第2固定ネジ92とが備えられているので、ガイドホルダー4及びガイド5をガイドボックス3に確実に固定できる。特に、第1固定ネジ91による締結箇所を、パスラインLの方向に沿って2箇所とすることで、ガイドボックス3に対するガイド5の固定強度を高めることができ、万一、鋼材がガイド5に接触した場合であっても、ガイド5の位置ズレを防止できる。
【0050】
尚、本実施形態では、圧延ロールRの軸方向との関係で、第1位置調整機構7によるガイドホルダー4の移動可能方向を第1の方向D1とし、第2位置調整機構8による基部2の移動可能方向を第2の方向D2としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、圧延ロールRに対するガイド位置調整装置1の姿勢を変更することで、第1位置調整機構7によるガイドホルダー4の移動方向を第2の方向D2とし、第2位置調整機構8による基部2の移動方向を第1の方向D1としてもよい。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態であるガイド位置調整装置について
図13~
図16を参照して説明する。本実施形態のガイド位置調整装置101と、第1実施形態のガイド位置調整装置1との違いは、ガイドホルダー4とガイドボックス3との間のスペースSにスケールが入り込むことによって引き起こされる不具合を防止するための対策が盛り込まれている点にある。
【0052】
すなわち、本実施形態のガイド位置調整装置101には、ガイドボックス3の内側に、スケール排出用の凹部110が設けられている。凹部110は、基部2側に2つ、ガイドボックス3の上部カバー31の内面側に2つ、合計4つが設けられている。凹部110は、パスラインLに沿って延在している。
【0053】
また、本実施形態のガイド位置調整装置101には、ガイドボックス3の圧延ロールR側に、ガイドボックス3とガイドホルダー4との間のスペースSを塞ぐための蓋体120が着脱自在に設置されている。蓋体120は、ガイドホルダー4の位置の調整によってスペースSの大きさが変化した場合でも、スペースSを完全に覆うことができるだけの高さを有している。また、蓋体120は、上側のスペースSのみならず、下側のスペースSを覆うために、2つ取り付けられている。
【0054】
更に、
図13に示すように、本実施形態のガイド位置調整装置101には、ガイドホルダー4の突出部43の外面の角部に切欠部43cが設けられており、これにより、ガイドホルダー4とガイドボックス3との間に、孔部Kが設けられる。孔部Kは、ガイドボックス3内部のスペースSと連通している。
【0055】
ガイド位置調整装置101を圧延ロールRの近くに設置して鋼材の熱間圧延を開始すると、鋼材が圧延ロールRを通過する際にスケールが発生し、ガイド位置調整装置101までスケールが飛散する。本実施形態のガイド位置調整装置101は、ガイド5の位置を調整可能とするために、ガイドボックス3とガイドホルダー4との間にスペースSを設けているが、このスペースSの内部にスケールが入り込みやすい。スケールを清掃せずに放置すると、ガイドホルダー4の側面4bとガイドボックス3との間にスケールが入り込んでガイドホルダー4の動きが阻害され、第1位置調整機構7の動作に不具合を生じさせることがある。
【0056】
そのため、本実施形態のガイド位置調整装置101では、ガイドボックス3の内部に凹部110を設けている。スペースSに侵入したスケールは、凹部110に堆積されるようになる。凹部110は、基部2の表面及び上部カバー31の表面を掘り下げて設けているので、スペースS内にスケールが侵入したとしても、スケールは主に凹部110内に堆積され、ガイドホルダー4の側面4bとガイドボックス3との間にスケールが入り込みにくくなり、ガイドホルダー4の位置調整が阻害されにくくなる。
【0057】
また、本実施形態のガイド位置調整装置101では、ガイドボックス3とガイドホルダー4との間のスペースSを塞ぐための蓋体120が着脱自在に設置されているので、スペースSへのスケールの侵入を防止できる。これにより、スケールの影響を受けることなく、ガイドホルダー4及びガイド5の位置を調整できる。
【0058】
更に、本実施形態のガイド位置調整装置101では、ガイドホルダー4に切欠部43cを設けることにより、ガイドボックス3内部のスペースSに連通する孔部Kが形成されるので、スペースS内にスケールが侵入したとしても、孔部Kにスケールが入り込み、スペースSにはスケールが残留しにくくなるので、ガイドホルダー4の位置調整が阻害されにくくなる。これにより、スケールの影響を受けることなく、ガイドホルダー4及びガイド5の位置を調整できる。
【符号の説明】
【0059】
1…ガイド位置調整装置、2…基部、21…軸受け部、3…ガイドボックス、3a…ガイドボックスの外面、31…上部カバー、32、32a、32b…側部カバー、33…軸受け部、34…ギアボックスカバー、35…駆動用軸体、35a…駆動用軸体の両端、36、37…固定ネジ用孔、4…ガイドホルダー、4a…上面、4b…側面、4c…下面、41…ホルダー本体、42…ガイド挿入孔、43…突出部、43a…受面、43b…突当面、43c…切欠部、44…貫通孔、45…ナット部、45a…雌ねじ部、46…固定ネジ用孔、5…ガイド、51…ガイド孔、52…先端、53…後端、6…回転軸体、6a…軸本体、61…送りねじ部、62…ギア部、63、64…軸受け部、7…第1位置調整機構、8…第2位置調整機構、81…レストバー、82…スライド部、91…第1固定ネジ(第1固定手段)、92…第2固定ネジ(第2固定手段)、110…凹部、120…蓋体、D1…第1の方向、D2…第2の方向、K…孔部、L…パスライン、R…圧延ロール、S…スペース。