(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20231004BHJP
B24B 23/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B24B23/00 Z
(21)【出願番号】P 2021567103
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2020044490
(87)【国際公開番号】W WO2021131510
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2019239450
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003258
【氏名又は名称】弁理士法人北澤・小泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 諒
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/131293(WO,A1)
【文献】国際公開第99/038631(WO,A1)
【文献】特開2014-124728(JP,A)
【文献】国際公開第2017/222049(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B24B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを収容し、作業者が把持可能な把持部を有するハウジングと、
前記把持部の軸方向における第1位置において前記ハウジングに設けられ、前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチであって、前記オン位置と前記オフ位置とを結ぶ方向は前記軸方向と交差する
交差方向である電子式のスイッチと、
前記スイッチからの信号に基づいて前記モータを制御する制御部と、
前記把持部に設けられ、前記モータを駆動及び停止させるために前記交差方向に移動可能
であって、前記スイッチを前記オン位置とするオン操作位置と前記スイッチを前記オフ位置とするオフ操作位置との間で移動可能である操作部と、
前記操作部と前記スイッチとの間に移動可能に介在して
前記スイッチに前記操作部の移動を伝達するとともに、
前記スイッチを前記オン位置とする押圧位置と前記スイッチを前記オフ位置とする解除位置との間で移動可能な介在部と、を有し、
前記操作部及び前記介在部のそれぞれの少なくとも一部は、前記軸方向における前記第1位置に位置しており、
前記第1位置を通る前記交差方向における前記介在部の前記解除位置から前記押圧位置への移動量が、前記第1位置を通る前記交差方向における前記操作部の
前記オフ操作位置から前記オン操作位置への移動
量に比較し
て少な
いことを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記介在部は、レバーと、前記ハウジングに支持され前記レバーを前記ハウジングに対して回動可能に支持する回動軸とを有し、
前記軸方向における第2位置で、前記操作部は前記レバーと当接することにより前記操作部の移動が前記レバーに伝達され、
前記第2位置と前記回動軸との間に前記第1位置が位置するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記操作部は、前記ハウジングに回転可能に支持される支軸を有し、前記支軸を中心に回動可能に構成され、
前記軸方向において、前記第2位置は、前記第1位置と前記支軸の間に位置するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記介在部は、前記スイッチをオン位置に位置するように押圧する押圧位置と前記スイッチから離間する解除位置との間で移動可能に構成され、前記操作部の前記交差方向における移動が伝達されることにより前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項5】
前記介在部と前記操作部とは係合可能に構成され、
前記操作部の前記交差方向における前記モータを駆動させる方向の動作と停止させる方向の動作とが前記介在部に伝達されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記操作部と前記ハウジングとの間には、前記介在部が前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように前記操作部を付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の作業機。
【請求項7】
前記介在部と前記スイッチとの間に設けられ、前記介在部を前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように付勢する第1付勢部材と、
前記操作部と前記ハウジングとの間に設けられ、前記操作部を付勢する第2付勢部材と、をさらに有し、
前記介在部は、前記操作部が前記第2付勢部材により付勢され移動することに伴い前記解除位置へと移動するように構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の作業機。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジングと、前記スイッチを収容するリヤハウジングと、を含み、
前記操作部は前記リヤハウジングに支持され、前記介在部は前記モータハウジングに支持されることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項9】
前記モータハウジングは、筒状に一体成形され、
前記介在部は、レバーと、前記ハウジングに支持され前記レバーを前記ハウジングに対して回動可能に支持する回動軸と、前記回動軸及び前記レバーを支持する支持部を有し、前記支持部が前記モータハウジングに取付けられることで前記モータハウジングに支持されることを特徴とする請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記モータは回転軸を有し、
前記モータハウジングには、前記モータハウジングの内方に位置するとともに前記回転軸を軸支する軸受を保持する保持部が設けられ、前記支持部は前記保持部によって保持されることを特徴とする請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記リヤハウジングには、前記制御部を冷却する空気を導入する吸気口が設けられ、
前記スイッチ及び前記介在部は、前記リヤハウジングの内面に近接した位置に配置されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項12】
前記制御部は、前記モータを制御するための複数のスイッチング素子を有するインバータ回路を有し、
前記軸方向において、前記介在部と前記インバータ回路とは、同一の位置に位置することを特徴とする請求項11に記載の作業機。
【請求項13】
前後方向に延びる軸を中心に回転可能なモータと、
前記モータを収容するハウジングと、
前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチと、
前記ハウジングに支持され
、前記スイッチに対して前記前後方向における一方側に位置する支軸を有し、前記支軸を中心として前記ハウジングに対して第1
回転方向に回動可能な操作部と、
前記操作部と前記スイッチとの間に介在するとともに、前記ハウジングに支持される回動軸を有し、前記回動軸を中心として前記ハウジングに対して第1
回転方向とは反対の第2
回転方向に回動可能であり、
前記操作部の前記第1回転方向における移動が伝達されて前記第2
回転方向に回動することにより前記スイッチを押圧可能な介在部と、を有し、
前記操作部は、前記スイッチの前記前後方向における他方側で操作可能に構成されるとともに、前記スイッチよりも前記支軸に近接した位置に位置
して前記介在部と当接可能な当接部
を有し、前記操作部の回動に伴い前記当接部が前記介在部を押圧することにより前記介在部が前記スイッチを
前記オン位置へと移動させることを特徴とする作業機。
【請求項14】
モータと、
モータを収容し、作業者が把持可能であり所定方向に延びる把持部を有するハウジングと、
前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチであって、前記オン位置と前記オフ位置とを結ぶ方向は前記所定方向と交差する
交差方向であるスイッチと、
前記把持部に設けられ、前記モータを駆動
させるオン操作位置と前記モータを停止させる
オフ操作位置との間で前記交差方向に移動可能な操作部と、
前記操作部と前記スイッチとの間に移動可能に介在する介在部と、を有し、
前記介在部は、前記スイッチを
前記オン位置に位置するように押圧する押圧位置と前記スイッチから離間する解除位置との間で移動可能に構成され
るとともに、
前記オン操作位置から前記オフ操作位置に移動する前記操作部
に付勢されることで前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように構成されていることを特徴とする作業機。
【請求項15】
モータと、
前記モータを収容し、作業者が把持可能な把持部を有するハウジングと、
前記把持部に設けられ、前記モータを駆動及び停止させるために前記ハウジングに対して前記把持部の軸方向と交差する所定方向に移動可能な操作部と、
前記操作部の移動に応じて前記ハウジングに対して
押圧位置と
解除位置との間で移動可能な介在部と、
前記把持部の軸方向における所定位置に位置し前記介在部の前記ハウジングに対する位置を検出する検出部を有し、前記介在部が前記
押圧位置に位置することを前記検出部が検出した場合には前記モータが駆動するように制御するとともに前記介在部が前記
解除位置に位置することを前記検出部が検出した場合には前記モータが停止するように制御するスイッチと、を有し、
前記操作部は、前記スイッチに対して前記軸方向における一方側に位置する支軸を有し、前記支軸を中心として移動可能であり、
前記操作部は、前記スイッチを前記モータが駆動するように制御させるオン操作位置と、前記スイッチを前記モータが停止するように制御させるオフ操作位置との間で移動可能であり、
前記操作部及び前記介在部のそれぞれの少なくとも一部は、前記軸方向における前記所定位置に位置し、
前記操作部は、前記スイッチの前記軸方向における他方側で操作可能に構成され、
前記所定位置を通る前記所定方向における前記介在部の前記解除位置から前記押圧位置への移動量が、前記所定位置を通る前記所定方向における前記操作部の前記オフ操作位置から前記オン操作位置への移動量に比較して少ないことを特徴とする作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハウジングに設けられたレバーに対する作業者の操作に応じて、モータを駆動又は停止させることが可能な電動式の作業機が広く知られている。特許文献1には、このような作業機の一例として、スイッチレバーとスイッチとを有する電動グラインダが開示されている。
【0003】
特許文献1の電動グラインダにおいては、作業者がスイッチレバーをハウジング内方に押し込むとスイッチレバーに設けられた押棒がスイッチの突出部を押し上げることにより、商用電源からの電力がモータへと供給されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような構成ではスイッチレバーを押し込む操作感を作業者が得られるようにスイッチレバーをハウジングに対して大きく回動させることが要求される一方、スイッチをオンする際(特許文献1の場合は、スイッチレバーが突出部と当接後、突出部を押し上げる際)に許容されるスイッチレバーの移動量は小さい。このため、スイッチレバーの回動軌跡の最下流にスイッチを配置する必要があり、ハウジング内におけるスイッチの配置の自由度が小さくなってしまっていた。
【0006】
そこで本発明は、モータを駆動するためにレバー式の操作部を設けた場合においてもスイッチをハウジングに容易に配置することが可能な作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、モータと、前記モータを収容し、作業者が把持可能な把持部を有するハウジングと、前記把持部の軸方向における第1位置において前記ハウジングに設けられ、前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチであって、前記オン位置と前記オフ位置とを結ぶ方向は前記軸方向と交差する方向である電子式のスイッチと、前記スイッチからの信号に基づいて前記モータを制御する制御部と、前記把持部に設けられ、前記モータを駆動及び停止させるために前記交差方向に移動可能な操作部と、前記操作部と前記スイッチとの間に移動可能に介在して、前記第1位置を通る前記交差方向における前記操作部の移動に比較してより少ない移動量で前記スイッチに移動を伝達する介在部と、を有することを特徴とする作業機を提供している。
【0008】
上記構成の作業機によれば、スイッチと操作部との間に介在部が介在することにより、第1位置における操作部の移動を介在部の小さい移動に変換してスイッチに伝達することができるため、スイッチレバーを押し込む操作感を作業者が得られるように操作部をハウジングに対して大きく回動するように構成した場合においても、操作部の回動軌跡の最下流にスイッチを配置する必要がなく、ハウジング内におけるスイッチの配置の自由度が確保される。
【0009】
上記構成において、前記介在部は、レバーと、前記ハウジングに支持され前記レバーを前記ハウジングに対して回動可能に支持する回動軸とを有し、前記軸方向における第2位置で、前記操作部は前記レバーと当接することにより前記操作部の移動が前記レバーに伝達され、前記第2位置と前記回動軸との間に前記第1位置が位置するように構成されていることが好ましい。
【0010】
これによれば、第1位置における操作部の移動を介在部の小さい移動に変換してスイッチに伝達するような構成を好適に実現することが可能となる。
【0011】
また、前記操作部は、前記ハウジングに回転可能に支持される支軸を有し、前記支軸を中心に回動可能に構成され、前記軸方向において、前記第2位置は、前記第1位置と前記支軸の間に位置するように構成されていることが好ましい。
【0012】
これによれば、第1位置における操作部の移動を介在部の小さい移動に変換してスイッチに伝達するような構成を好適に実現することが可能となる。
【0013】
また、前記介在部は、前記スイッチをオン位置に位置するように押圧する押圧位置と前記スイッチから離間する解除位置との間で移動可能に構成され、前記操作部の前記交差方向における移動が伝達されることにより前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように構成されていることが好ましい。
【0014】
これによれば、作業者が操作部に対する操作を解除することに伴い介在部が押圧位置から解除位置へと移動するように構成できるため、モータを好適に停止させることが可能となる。
【0015】
また、前記介在部と前記操作部とは係合可能に構成され、前記操作部の前記交差方向における前記モータを駆動させる方向の動作と停止させる方向の動作とが前記介在部に伝達されるように構成されていることが好ましい。
【0016】
これによれば、介在部を介してスイッチをオンオフするように構成した場合において、作業者の操作部に対する操作に応じて好適にモータを駆動又は停止させることが可能となる。
【0017】
また、前記操作部と前記ハウジングとの間には、前記介在部が前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように前記操作部を付勢する付勢部材が設けられていることが好ましい。
【0018】
これによれば、簡易な構成で、介在部を押圧位置から解除位置へと移動させることが可能となる。
【0019】
また、前記介在部と前記スイッチとの間に設けられ、前記介在部を前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように付勢する第1付勢部材と、前記操作部と前記ハウジングとの間に設けられ、前記操作部を付勢する第2付勢部材と、をさらに有し、前記介在部は、前記操作部が前記第2付勢部材により付勢され移動することに伴い前記解除位置へと移動するように構成されていることが好ましい。
【0020】
これによれば、簡易な構成で、介在部を押圧位置から解除位置へと移動させることが可能となる。また、仮に第1付勢部材が劣化した場合においても操作部を付勢する第2付勢部材の付勢力により介在部を解除位置に移動させることができる。
【0021】
また、前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジングと、前記スイッチを収容するリヤハウジングと、を含み、前記操作部は前記リヤハウジングに支持され、前記介在部は前記モータハウジングに支持されることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、介在部がモータを収容するモータハウジングに支持されるため、リヤハウジングに介在部を支持する機構を設ける必要がない。このため、リヤハウジングにスイッチを設ける場合にリヤハウジング内にスイッチを収容する空間を容易に確保することができる。
【0023】
また、前記モータハウジングは、筒状に一体成形され、前記介在部は、レバーと、前記ハウジングに支持され前記レバーを前記ハウジングに対して回動可能に支持する回動軸と、前記回動軸及び前記レバーを支持する支持部を有し、前記支持部が前記モータハウジングに取付けられることで前記モータハウジングに支持されることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、支持部がモータハウジングに取付けられることにより介在部がモータハウジングに支持されるように構成されているため、介在部を筒状に形成されたモータハウジングにネジボスを設けてネジ止めする必要がなく、モータハウジングの外形が大型化することを抑制することが可能となる。
【0025】
また、前記モータは回転軸を有し、前記モータハウジングには、前記モータハウジングの内方に位置するとともに前記回転軸を軸支する軸受を保持する保持部が設けられ、前記支持部は前記保持部によって保持されることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、簡易な構成で、介在部をモータハウジングに支持させることが可能となる。
【0027】
また、前記リヤハウジングには、前記制御部を冷却する空気を導入する吸気口が設けられ、前記スイッチ及び前記介在部は、前記リヤハウジングの内面に近接した位置に配置されることが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、介在部がリヤハウジングの内面に近接した位置に設けられるため、リヤハウジングに形成された吸気口から導入された冷却風が介在部によって遮られることが抑制され、冷却効率が向上する。
【0029】
また、前記制御部は、前記モータを制御するための複数のスイッチング素子を有するインバータ回路を有し、前記軸方向において、前記介在部と前記インバータ回路とは、同一の位置に位置することが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、冷却風の流路が把持部の軸方向に延びている場合において、介在部がインバータ回路よりも冷却風の流路の上流に位置することがないため、冷却風がインバータ回路の上流側で介在部によって遮られることがなく、インバータ回路の冷却効率が向上する。
【0031】
本発明はさらに、モータと、前記モータを収容するハウジングと、前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチと、前記ハウジングに支持される支軸を有し、前記支軸を中心として前記ハウジングに対して第1方向に回動可能な操作部と、前記操作部と前記スイッチとの間に介在するとともに、前記ハウジングに支持される回動軸を有し、前記回動軸を中心として前記ハウジングに対して第1方向とは反対の第2方向に回動可能であり、前記ハウジングに対して前記第2方向に回動することにより前記スイッチを押圧可能な介在部と、を有し、前記操作部には、前記スイッチよりも前記支軸に近接した位置に位置するとともに前記介在部と当接可能な当接部が設けられ、前記操作部の回動に伴い前記当接部が前記介在部を押圧することにより前記介在部が前記スイッチをオン位置へと移動させることを特徴とする作業機を提供している。
【0032】
上記構成の作業機によれば、操作部の移動を介在部の小さい移動に変換してスイッチに伝達することができるため、スイッチレバーを押し込む操作感を作業者が得られるように操作部をハウジングに対して大きく回動するように構成した場合においても、操作部の回動軌跡の最下流にスイッチを配置する必要がなく、ハウジング内におけるスイッチの配置の自由度が確保される。
【0033】
本発明はさらに、モータと、モータを収容し、作業者が把持可能であり所定方向に延びる把持部を有するハウジングと、前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチであって、前記オン位置と前記オフ位置とを結ぶ方向は前記所定方向と交差する方向であるスイッチと、前記把持部に設けられ、前記モータを駆動及び停止させるために前記交差方向に移動可能な操作部と、前記操作部と前記スイッチとの間に移動可能に介在する介在部と、を有し、前記介在部は、前記スイッチをオン位置に位置するように押圧する押圧位置と前記スイッチから離間する解除位置との間で移動可能に構成され、前記操作部の前記交差方向における動作が伝達されることにより前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように構成されていることを特徴とする作業機を提供している。
【0034】
上記構成の作業機によれば、作業者が操作部に対する操作を解除することに伴い介在部が押圧位置から解除位置へと移動するように構成できるため、モータを好適に停止させることが可能となる。
【0035】
本発明はさらに、モータと、前記モータを収容し、作業者が把持可能な把持部を有するハウジングと、前記把持部に設けられ、前記モータを駆動・停止させるために前記ハウジングに対して前記把持部の軸方向と交差する所定方向に移動可能な操作部と、前記操作部の移動に応じて前記ハウジングに対してモータ駆動位置とモータ停止位置との間で移動可能な介在部と、前記把持部の軸方向における所定位置に位置し前記介在部の前記ハウジングに対する位置を検出する検出部を有し、前記介在部が前記モータ駆動位置に位置することを前記検出部が検出した場合には前記モータが駆動するように制御するとともに前記介在部が前記モータ停止位置に位置することを前記検出部が検出した場合には前記モータが停止するように制御するスイッチと、を有し、前記介在部は、前記所定位置を通る前記所定方向において、前記操作部の移動に比較してより少ない移動量で前記モータ停止位置から前記モータ駆動位置へと移動可能であることを特徴とする作業機を提供している。
【0036】
上記構成の作業機によれば、操作部の移動を介在部の小さい移動に変換して検出部に伝達することができるため、スイッチレバーを押し込む操作感を作業者が得られるように操作部をハウジングに対して大きく回動するように構成した場合においても、操作部の回動軌跡の最下流にスイッチを配置する必要がなく、ハウジング内におけるスイッチの配置の自由度が確保される。
本発明はさらに、モータと、前記モータを収容し、作業者が把持可能な把持部を有するハウジングと、前記把持部の軸方向における第1位置において前記ハウジングに設けられ、前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチであって、前記オン位置と前記オフ位置とを結ぶ方向は前記軸方向と交差する交差方向である電子式のスイッチと、前記スイッチからの信号に基づいて前記モータを制御する制御部と、前記把持部に設けられ、前記モータを駆動及び停止させるために前記交差方向に移動可能であって、前記スイッチを前記オン位置とするオン操作位置と前記スイッチを前記オフ位置とするオフ操作位置との間で移動可能である操作部と、前記操作部と前記スイッチとの間に移動可能に介在して前記スイッチに前記操作部の移動を伝達するとともに、前記スイッチを前記オン位置とする押圧位置と前記スイッチを前記オフ位置とする解除位置との間で移動可能な介在部と、を有し、前記操作部及び前記介在部のそれぞれの少なくとも一部は、前記軸方向における前記第1位置に位置しており、前記第1位置を通る前記交差方向における前記介在部の前記解除位置から前記押圧位置への移動量が、前記第1位置を通る前記交差方向における前記操作部の前記オフ操作位置から前記オン操作位置への移動量に比較して少ないことを特徴とする作業機を提供する。
本発明はさらに、前後方向に延びる軸を中心に回転可能なモータと、前記モータを収容するハウジングと、前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチと、前記ハウジングに支持され、前記スイッチに対して前記前後方向における一方側に位置する支軸を有し、前記支軸を中心として前記ハウジングに対して第1回転方向に回動可能な操作部と、前記操作部と前記スイッチとの間に介在するとともに、前記ハウジングに支持される回動軸を有し、前記回動軸を中心として前記ハウジングに対して第1回転方向とは反対の第2回転方向に回動可能であり、前記操作部の前記第1回転方向における移動が伝達されて前記第2回転方向に回動することにより前記スイッチを押圧可能な介在部と、を有し、前記操作部は、前記スイッチの前記前後方向における他方側で操作可能に構成されるとともに、前記スイッチよりも前記支軸に近接した位置に位置して前記介在部と当接可能な当接部を有し、前記操作部の回動に伴い前記当接部が前記介在部を押圧することにより前記介在部が前記スイッチを前記オン位置へと移動させることを特徴とする作業機を提供する。
本発明はさらに、モータと、モータを収容し、作業者が把持可能であり所定方向に延びる把持部を有するハウジングと、前記モータを駆動させるオン位置と前記モータを停止させるオフ位置との間で切替可能なスイッチであって、前記オン位置と前記オフ位置とを結ぶ方向は前記所定方向と交差する交差方向であるスイッチと、前記把持部に設けられ、前記モータを駆動させるオン操作位置と前記モータを停止させるオフ操作位置との間で前記交差方向に移動可能な操作部と、前記操作部と前記スイッチとの間に移動可能に介在する介在部と、を有し、前記介在部は、前記スイッチを前記オン位置に位置するように押圧する押圧位置と前記スイッチから離間する解除位置との間で移動可能に構成されるとともに、前記オン操作位置から前記オフ操作位置に移動する前記操作部に付勢されることで前記押圧位置から前記解除位置へと移動するように構成されていることを特徴とする作業機を提供する。
本発明はさらに、モータと、前記モータを収容し、作業者が把持可能な把持部を有するハウジングと、前記把持部に設けられ、前記モータを駆動及び停止させるために前記ハウジングに対して前記把持部の軸方向と交差する所定方向に移動可能な操作部と、前記操作部の移動に応じて前記ハウジングに対して押圧位置と解除位置との間で移動可能な介在部と、前記把持部の軸方向における所定位置に位置し前記介在部の前記ハウジングに対する位置を検出する検出部を有し、前記介在部が前記押圧位置に位置することを前記検出部が検出した場合には前記モータが駆動するように制御するとともに前記介在部が前記解除位置に位置することを前記検出部が検出した場合には前記モータが停止するように制御するスイッチと、を有し、前記操作部は、前記スイッチに対して前記軸方向における一方側に位置する支軸を有し、前記支軸を中心として移動可能であり、前記操作部は、前記スイッチを前記モータが駆動するように制御させるオン操作位置と、前記スイッチを前記モータが停止するように制御させるオフ操作位置との間で移動可能であり、前記操作部及び前記介在部のそれぞれの少なくとも一部は、前記軸方向における前記所定位置に位置し、前記操作部は、前記スイッチの前記軸方向における他方側で操作可能に構成され、前記所定位置を通る前記所定方向における前記介在部の前記解除位置から前記押圧位置への移動量が、前記所定位置を通る前記所定方向における前記操作部の前記オフ操作位置から前記オン操作位置への移動量に比較して少ないことを特徴とする作業機を提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の作業機によれば、モータを駆動するためにレバー式の操作部を設けた場合においてもスイッチをハウジングに容易に配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダを略左下方から視た外観斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダの内部構造を示す全体断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのテールカバー及びフィルタ部を略左後方から視た斜視図であり、フィルタ部がテールカバーから取り外された状態が示されている。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのテールカバーへのフィルタ部の取付作業を示す説明図であり、フィルタ部がテールカバーから取り外された状態が示されている。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのテールカバーへのフィルタ部の取付作業を示す説明図であり、右フィルタ及び左フィルタの爪部がテールカバーの吸気口部と係合している状態が示されている。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのテールカバーへのフィルタ部の取付作業を示す説明図であり、フィルタ部の係合部と連結部の被係合部とが係合している状態が示されている。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのフィルタ部がテールカバーに取付けられた状態を示すテールカバー及びフィルタ部を略左後方から視た斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのレバー部の介在部のハウジング内における配置を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのレバー部の介在部を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダの介在部の配置を示す断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのレバー部の動作を示す一部断面図であり、パドルレバーに対する作業者の操作が解除されている状態が示されている。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのレバー部の動作を示す一部断面図であり、作業者によってパドルレバーがハウジング内方に押し込まれた状態が示されている。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダのレバー部の動作を示す一部断面図であり、作業者によるハウジング内方へのパドルレバーに対する押圧が解除された直後の状態が示されている。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係るディスクグラインダの電気的構成を示す回路図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係るディスクグラインダのフィルタ部がテールカバーに取付けられた状態を示すテールカバー及びフィルタ部を略左後方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の第1の実施形態に係る作業機の一例であるディスクグラインダ1について
図1乃至
図14を参照しながら説明する。ディスクグラインダ1は、円盤状に形成された先端工具(砥石等)を用いて被加工材の研削、切断等を行うための電動式の作業機である。
【0040】
以下の説明においては、図中に示されている「前」を前方向、「後」を後方向、「上」を上方向、「下」を下方向と定義する。また、ディスクグラインダ1を後から視た場合の「右」を右方向、「左」を左方向と定義する。本明細書において寸法、数値等に言及した場合には、当該寸法及び数値等と完全に一致する寸法及び数値だけでなく略一致する寸法及び数値等(例えば、製造誤差の範囲内である場合)を含むものとする。「同一」、「直交」、「平行」、「一致」、「面一」等についても同様に「略同一」、「略直交」、「略平行」、「略一致」、「略面一」等を含むものとする。
【0041】
図1、
図2及び
図14に示されるように、ディスクグラインダ1は、ハウジング2と、フィルタ部3と、レバー部4と、モータ5と、回路基板部6と、動力伝達部7と、先端工具の一例として砥石Pを着脱可能な出力部8と、電力供給回路9(
図14)と、制御部10(
図14)と、スイッチプランジャ11Aを有する電子スイッチ11(
図14)とを有している。
【0042】
図1に示されるように、ハウジング2は、モータハウジング21と、テールカバー22と、ギヤハウジング23とを主に有している。本実施の形態においては、ハウジング2は前後方向に並んだ3つの部分より構成されているが、これに限られない。例えば、モータハウジング21とテールカバー22とを一体に構成しても良いし、その他の分割形状でも良い。また、
図2に示されるように、ハウジング2は、固定ネジ2B、2C、2D及び2Eを有している。ハウジング2は、本発明における「ハウジング」の一例である。
【0043】
図1及び
図2に示されるモータハウジング21は、樹脂製または金属製であり、モータ5を収容している。モータハウジング21は、前後方向に延びるとともにその径方向に分割不能な筒状ハウジングとして構成されている。モータハウジング21の内部の後部には、軸受ホルダ部211が設けられている。モータハウジング21は、本発明における「モータハウジング」の一例である。
【0044】
軸受ホルダ部211の上部には軸受ホルダ部211を前後方向に貫通する雌ネジ孔211aが形成され、下部には軸受ホルダ部211を前後方向に貫通する雌ネジ孔211bが形成されている。また、軸受ホルダ部211の径方向における略中央部には前後方向に貫通する貫通孔が形成され、その内面にはボールベアリング21Aが設けられている。モータハウジング21のより詳細な構成については、後述する。
【0045】
テールカバー22は、樹脂製または金属製であり、回路基板部6を収容している。テールカバー22は、前後方向に延びるとともにその径方向に分割不能な筒状ハウジングとして形成されている。テールカバー22には、その後壁を前後方向に貫通する貫通孔22aが形成されている。また、
図2に示されるように、テールカバー22には、突起部221、支持部22B、電源コード2A及び基部60が設けられている。突起部221は、テールカバー22の後部に設けられ、テールカバー22の外周面から下方に向かって突出している。支持部22Bは、テールカバー22の下部に設けられ、前後方向に延びている。
図1に示されるように、支持部22Bは、左右対称に構成された壁部を有し、壁部のそれぞれには壁部を左右方向に貫通する貫通孔22bが形成されている。テールカバー22は、本発明における「リヤハウジング」の一例である。
【0046】
電源コード2Aは、テールカバー22の後端部から後方に延出している。電源コード2Aは、交流電源(例えば、
図14に示されている商用交流電源Q)に接続可能に構成されている。電源コード2Aの後部には、円筒部222が設けられている。円筒部222は、上下方向に延びる略円筒形状をなしている。円筒部222には、突出部222Aが設けられている。突出部222Aは、円筒部222の内面から円筒部222の径方向内方に向かって突出している。
【0047】
基部60は、回路基板部6をテールカバー22内部に固定するとともにモータハウジング21とテールカバー22とを互いに固定するために設けられている。基部60の前部の上部には、基部60の前部を前後方向に貫通する貫通孔60aが形成され、下部には、基部60の前部を前後方向に貫通する貫通孔60bが形成されている。貫通孔60a及び60bのそれぞれは、モータハウジング21の軸受ホルダ部211に形成された雌ネジ孔211a及び211bのそれぞれと上下方向及び左右方向において同一の位置に位置する。言い換えると、貫通孔60a及び60bのそれぞれは、雌ネジ孔211a及び211bのそれぞれと前後方向において連通している。基部60の後部の上部には、前後方向に延びる雌ネジ穴60cが形成されている。雌ネジ穴60cは、テールカバー22の後壁に形成された貫通孔22aと上下方向及び左右方向において同一の位置に位置する。言い換えると、雌ネジ穴60cは、貫通孔22aと前後方向において連通している。また、基部60は、延出部60Aを有している。延出部60Aは、基部60の後端部において、上下方向に延びる略円柱状をなしている。延出部60Aの外周面の形状は、円筒部222の内面の形状と同一に形成されている。延出部60Aには、上下方向に延びる雌ネジ穴60dが形成されている。
【0048】
本実施の形態においては、モータハウジング21とテールカバー22とは、基部60を介して接続されている。具体的には、基部60の貫通孔60aを介してモータハウジング21の軸受ホルダ部211の雌ネジ孔211aに固定ネジ2Bが螺合されるとともに、基部60の貫通孔60bを介して軸受ホルダ部211の雌ネジ孔211bに固定ネジ2Cが螺合させることによりモータハウジング21と基部60とが互いに固定される。一方、テールカバー22の後壁に形成された貫通孔22aを介して基部60の雌ネジ穴60cに固定ネジ2Dを螺合させることにより基部60とテールカバー22とが互いに固定される。なお、本実施の形態においては、基部60の延出部60Aが電源コード2Aの円筒部222に嵌合するとともに、突出部222Aを介して雌ネジ穴60dに固定ネジ2Eが螺合されることにより、電源コード2Aのハウジング2からの離脱が抑制されるように構成されている。
【0049】
また、
図1に示されるように、モータハウジング21の後部及びテールカバー22の前部に跨るように、作業時に作業者が把持する領域である把持部20が設けられている。テールカバー22のより詳細な構成については後述する。
【0050】
図1及び
図2に示されるギヤハウジング23は、例えば、アルミニウム等の金属の一体成形によって製造されており、動力伝達部7を収容するとともに出力部8を回転可能に支持している。ギヤハウジング23の内部には、ボールベアリング23A及び23B、ニードルベアリング23Cが設けられている。また、ギヤハウジング23の下端部後部には、ホイールガード24が設けられている。ホイールガード24は、出力部8に取付けられた砥石Pの後部を覆うように形成されている。また、
図1に示されるように、ギヤハウジング23の上部には、ギヤハウジング23の前部を前後方向に貫通する排気口が形成された排気口部2aが設けられている。なお、本実施の形態においては、ギヤハウジング23とモータハウジング21とは、所定の機構若しくはネジ止めにより、互いに固定されている。
【0051】
図2に示されるモータ5は、ACブラシレスモータであり、回転軸51、ロータ52、ステータ53及び3つの磁気センサ54(
図14)を有している。モータ5は、本発明における「モータ」の一例である。
【0052】
回転軸51は、前後方向に延びている。回転軸51は、その後端部がボールベアリング21Aに回転可能に支持されるとともに、その前部がボールベアリング23Aに回転可能に支持されることにより、モータハウジング21及びギヤハウジング23に左右方向に延びる軸心を中心として回転可能に支持されている。回転軸51の前部には、冷却ファン51Aが設けられている。回転軸51は、本発明における「回転軸」の一例である。
【0053】
冷却ファン51Aは、回転軸51と一体に回転可能に回転軸51に設けられている。冷却ファン51Aは、モータ5の駆動力を受けて回転することによりハウジング2内において吸気口部22Aと排気口部2aとの間でモータ5を冷却するための空気流を発生させることが可能に構成されている。
【0054】
ロータ52は永久磁石を有する回転子であり(
図14参照)、回転軸51と同軸一体回転するように回転軸51に固定されている。ステータ53は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、スター型接続されたステータコイルU、V、W(
図14)を有している。3つの磁気センサ54は、ステータ53の後方に設けられる図示せぬ基板上に配置されるホール素子である。3つの磁気センサ54は、基板上において、回転軸51の周方向に略60度間隔で並んで配置されている。3つの磁気センサ54のそれぞれは、信号線を介して制御部10に接続されている。
【0055】
図2に示される動力伝達部7は、ハウジング2内でモータ5と出力部8との間に介在し、モータ5の回転軸の回転を減速して出力部8に伝達する。動力伝達部7は、互いに噛合するピニオンギヤ71と、ベベルギヤ72とを有している。
【0056】
ピニオンギヤ71は、前後方向に延びる略円筒形状に形成され、回転軸51と同軸一体回転するように回転軸51の前端部に固定されている。ピニオンギヤ71は、その外形が前方に向かうにしたがって先細るように形成されている。ピニオンギヤ71の外周面には、複数のギヤ歯が設けられている。
【0057】
ベベルギヤ72は、平面視において略円環状に形成され、回転軸51及びピニオンギヤ71の回転軸心と直交する方向(上下方向)に延びる軸心を中心可能に構成されている。ベベルギヤ72には、ピニオンギヤ71の複数のギヤ歯と噛合する複数のギヤ歯が設けられている。
【0058】
図2に示される出力部8は、出力軸81と、砥石Pを着脱可能に保持するワッシャ82及びナット83とを有している。
【0059】
出力軸81は、上下方向に延びる略円柱形状をなし、ニードルベアリング23C及びボールベアリング23Bを介してギヤハウジング23に回転可能に支持されている。出力軸81は、雄ネジ部81Aを有している。雄ネジ部81Aは、出力軸81の下部をなし、その外周面には雄ネジが切られている。
【0060】
ワッシャ82は、出力軸81の下部に設けられている。ワッシャ82は、円筒部82Aを有している。円筒部82Aの内径は雄ネジ部81Aの外径と同一に構成され、円筒部82Aには雄ネジ部81Aが挿通されている。
【0061】
ナット83は、出力軸81の下端部に設けられている。ナット83は、雄ネジ部81Aに螺合可能に構成されている。砥石Pの出力軸81への固定は、砥石Pの平面視中央に形成された貫通孔にワッシャ82の円筒部82Aを挿通させ、砥石Pの上面をワッシャ82の下面に当接させた状態で、雄ネジ部81Aにナット83を螺合することにより行う。また、砥石Pの出力軸81からの取外しは、雄ネジ部81Aとナット83との螺合を解除することにより行う。
【0062】
砥石Pは、例えば、平面視略円形状の直径100mmのレジノイドフレキシブル砥石、フレキシブル砥石、レジノイド砥石、サンディングディスク等の砥石であり、用いる材質や砥粒の種類の選択により金属、合成樹脂、大理石、コンクリート等の表面研磨、曲面研磨が可能である。砥石Pの後部は、砥石Pが出力軸81に固定された状態で、ギヤハウジング23の下端部後部に設けられたホイールガード24に覆われる。なお、本実施の形態においては、出力部8に砥石Pを取り付けたがこれに限られない。例えば、ベベルワイヤブラシ、不織布ブラシ、ダイヤモンドホイール等のその他の先端工具も出力軸81に取付可能である。
【0063】
図2に示されるように回路基板部6はテールカバー22内に収容され、回路基板61及びコネクタ62(
図10参照)を有している。回路基板61は、基部60に固定されている。回路基板61には、インバータ回路96を構成するスイッチング素子Q1~Q6等の各種回路素子や制御部10等が実装されている。コネクタ62は、各種信号線を接続するために設けられている。回路基板部6は、本発明における「制御部」の一例である。
【0064】
次に、
図14を参照しながら、ディスクグラインダ1の電気的構成について説明する。ディスクグラインダ1は、
図14に示されるように電力供給回路9及び制御部10を有している。電力供給回路9及び制御部10は、回路基板61に実装されている。
【0065】
電力供給回路9は、商用交流電源Qの電力をモータ5に供給可能に構成されており、ノイズフィルタ回路91と、整流回路92と、プラスライン93と、マイナスライン94と、平滑回路95と、インバータ回路96と、定電圧電源回路97と、を有している。
【0066】
ノイズフィルタ回路91は、ノイズ低減のための回路である。
図14に示されるように、ノイズフィルタ回路91は、第1端子91A、第2端子91B、チョークコイル91C及びコンデンサ91Dを有している。第1端子91A及び第2端子91Bは、電源コード2Aが商用交流電源Qに接続された状態で商用交流電源Qの電圧が印可される端子である。チョークコイル91C及びコンデンサ91Dは、商用交流電源Qから電力供給回路9に伝搬するノイズを低減するためのフィルタ素子である。チョークコイル91Cは整流回路92と商用交流電源Qとの間に直列に接続されており、コンデンサ91Dは商用交流電源Qと並列に接続されている。
【0067】
図14に示されるように、整流回路92は、4つのダイオード92A(4つの整流素子)を有するダイオードブリッジ回路であり、外部電源Qからノイズフィルタ回路91を介して出力される交流電圧を整流して平滑回路95に出力する。言い換えると、整流回路92は、外部電源Qの交流電圧を直流電圧に変換して平滑回路95に出力する。
【0068】
図14に示されるように、プラスライン93及びマイナスライン94は、整流回路92とインバータ回路96とを接続している。また、マイナスライン94は、図示せぬGNDに接続されている。
【0069】
平滑回路95は、整流回路92とインバータ回路96との間に接続され、整流回路92から出力される直流電圧を平滑し、インバータ回路96へ出力する。平滑回路95は、第1コンデンサ95A、第2コンデンサ95B及び抵抗95Cを有している。
【0070】
第1コンデンサ95Aは、有極性の電解コンデンサであり、プラスライン93とマイナスライン94との間に接続されている。本実施の形態において、第1コンデンサ95Aは、静電容量が約180μFであるが、これに限定されず、静電容量が40~200μFの小型のコンデンサを採用可能である。第2コンデンサ95Bは、無極性のフィルムコンデンサであり、プラスライン93とマイナスライン94との間に接続されている。本実施の形態において、第2コンデンサ95Bは、静電容量が約4.7μFのコンデンサである。抵抗95Cは、放電用の抵抗であり、プラスライン93とマイナスライン94との間に接続され第2コンデンサ95Bと並列に接続されている。
【0071】
インバータ回路96は、3相ブリッジ形式に接続された6個のスイッチング素子Q1~Q6を有している。本実施の形態において、スイッチング素子Q1~Q6は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるが、これに限定されず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のスイッチング素子であってもよい。
【0072】
スイッチング素子Q1~Q6の各ゲートは、制御部10に接続されており、制御部10から入力される制御信号に基づいてスイッチング動作を行う。また、スイッチング素子Q1~Q6の各ドレインまたは各ソースは、ステータコイルU、V、Wに接続されている。なお、
図10に示されるように、スイッチング素子Q1~Q6は、テールカバー22の左右方向における略中央部において左右に2列且つ前後に3列となるように配置されている。
【0073】
図14に示されている定電圧電源回路97は、プラスライン93とマイナスライン94との間に接続されている。定電圧電源回路97は、ダイオード97A、コンデンサ97B、IPD回路97C、コンデンサ97D及びレギュレータ97Eを有しており、整流回路92から出力される直流電圧を変換して安定化された基準電圧を生成し、制御部10等へ供給する。
【0074】
制御部10は、図示せぬ演算部、ROM、RAM等を有しており、電子スイッチ11からの信号に基づき、インバータ回路96を制御してモータ5を駆動するように構成されている。制御部10は、3つの磁気センサ54のそれぞれから出力された信号に基づいてロータ52の回転位置を検出し、当該検出結果に基づいてスイッチング素子Q1~Q6のそれぞれのオン・オフを切り替えるための制御信号を形成する。制御部10は、当該制御信号をスイッチング素子Q1~Q6に出力し、ステータコイルU、V、Wのうちの通電されるコイルを順次切替え、ロータ52を所定の回転方向に回転駆動させる。
【0075】
次に、
図3及び
図4を参照しながら、テールカバー22及びフィルタ部3の詳細な構成について説明する。
【0076】
図3に示されるように、テールカバー22は、回路基板61に実装された回路素子や制御部10等を冷却するための冷却風を導入する吸気口部22Aを有している。吸気口部22Aは、複数の吸気口から構成される吸気口群22c、22d、22e、22f、22h及び22iを有している。吸気口群22c、22d、22e及び22fのそれぞれは、テールカバー22の後部において、テールカバー22の右側壁及び左側壁に左右対称に形成されている。言い換えると、吸気口部22Aは、左右方向におけるテールカバー22の左側面に形成される吸気口群と右側面に形成される吸気口群とを有している。このため、以下の説明において、吸気口群22c、22d、22e及び22fに言及する場合には、テールカバー22の左側面に形成された吸気口群を基準に説明を行う。
【0077】
吸気口群22cは、テールカバー22の前後方向における略中央部において、テールカバー22の左側壁を左右方向に貫通している。本実施の形態においては、吸気口群22cは、6個の吸気口が上下方向に連なって形成されている。
【0078】
吸気口群22d、22e及び22fは、吸気口群22cの後方において、吸気口群22d、22e、22fの順に並んで形成されている。吸気口群22d、22e及び22fは、テールカバー22の左側壁を左右方向に貫通している。本実施の形態においては、吸気口群22d、22e及び22fのそれぞれは、6個の吸気口が上下方向に連なって形成されている。
【0079】
吸気口群22gは、吸気口群22fの後方に位置し、テールカバー22の左側壁を左右方向に貫通している。本実施の形態においては、吸気口群22gは、7個の吸気口が上下方向に連なって形成されている。吸気口群22gを形成する7個の吸気口は、前後方向に延びて形成されている。
【0080】
吸気口群22h及び22iは、テールカバー22の前後方向における後端部に設けられ、テールカバー22の後壁を前後方向に貫通している。吸気口群22hは、テールカバー22の後壁の右部に形成され、上下方向に延びる3つの吸気口が左右方向に並んで形成されている。吸気口群22iは、テールカバー22の後壁の略中央部に形成され、上下方向に延びる4つの吸気口が縦横2列に並んで形成されている。
【0081】
図3及び
図4に示されるフィルタ部3は、テールカバー22の吸気口部22Aを覆うようにテールカバー22の後半部に着脱可能に構成され、作業中における吸気口部22Aからの粉塵の侵入を抑制するように構成されている。本実施の形態においては、フィルタ部3は、吸気口部22Aの略全体を覆うように構成されているが、フィルタ部3は吸気口部22Aの一部を覆うように構成されていても良い。フィルタ部3は、左フィルタ31と、右フィルタ32と、後フィルタ33とを有している。言い換えると、フィルタ部3は、左フィルタ31と、右フィルタ32と、後フィルタ33とに分割可能に構成されている。左フィルタ31と、右フィルタ32と、後フィルタ33とは、樹脂製である。左フィルタ31は、吸気口部22Aの吸気口群の内テールカバー22の左側面に形成された吸気口群を覆うように構成されている。一方、右フィルタ32は、吸気口部22Aの吸気口群の内テールカバー22の右側面に形成された吸気口群を覆うように構成されている。左フィルタ31と右フィルタ32とは、左右対称に構成されている。このため、図面において左フィルタ31及び右フィルタ32の対応する構成要素には同一の参照番号を付し、以下の左フィルタ31及び右フィルタ32の各構成要素の説明においては、左フィルタ31及び右フィルタ32のいずれか一方の構成要素を基準に説明を行い、説明を適宜省略することがある。
【0082】
図3に示されるように、左フィルタ31及び右フィルタ32は、上壁部311と、側壁部312と、下壁部313とを有している。上壁部311と、側壁部312と、下壁部313とは、一体に形成されている。上壁部311は、前後方向に延び、左フィルタ31がテールカバー22に取付けられた状態において、テールカバー22の左側の上面を覆うように形成されている。上壁部311には、上係合部31Aが設けられている。
【0083】
上係合部31Aは、上壁部311の右端部から後方へと突出する略板状をなしている。上係合部31Aは、上壁部311に対して弾性変形可能に構成されている。上係合部31Aは、引っ掛かり部31Bを有している。引っ掛かり部31Bは、上係合部31Aの後端部に位置し、上係合部31Aが後フィルタ33と弾性変形を伴って係合可能とするために上方に向かって爪状に突出している。
【0084】
右フィルタ32の側壁部312は、上壁部311の右端から下方に延びるように形成されている。側壁部312は、右フィルタ32がテールカバー22に取付けられた状態において、テールカバー22の側面を覆うように形成されている。側壁部312には、前後方向に並ぶ3つの開口312aが形成されている。図には、表れていないが、開口312aにはきめの細かい金属製のメッシュが設けられている。側壁部312には、爪部312Aと、突出部312Bと、突出部312Cとが設けられている。なお、左フィルタ31の側壁部312も上記と同様に構成されている。
【0085】
爪部312Aは、側壁部312の内面から突出する略L字状をなしている。本実施の形態においては、爪部312Aは、上下方向に4個並んで設けられている。4個の爪部312Aのそれぞれは、テールカバー22の吸気口部22Aの吸気口群22cの吸気口の内の4つに対応するように構成されている。4個の爪部312Aのそれぞれは、吸気口群22cの対応する吸気口を形成する壁と係合可能に構成されている。4個の爪部312Aのそれぞれは、第1部分312Dと、第2部分312Eとを有している。
【0086】
第1部分312Dは、側壁部312の内面からフィルタ部3の径方向内方に延びている。第2部分312Eは、第1部分312Dの延出端部から前方へと延出している。
【0087】
突出部312Bは、側壁部312の内面からフィルタ部3の径方向内方に突出している。本実施の形態において、突出部312Bは、側壁部312の上部において2つ設けられている。2つの突出部312Bのそれぞれは、テールカバー22の吸気口部22Aの吸気口群22fの吸気口の内の上部の2つに対応するように構成されている。2つの突出部312Bのそれぞれの側面視における面積は、対応する吸気口の側面視における面積よりも小さく形成されている。2つの突出部312Bのそれぞれは、フィルタ部3がテールカバー22に取付けられる場合において、対応する吸気口に進入するように構成されている。
【0088】
突出部312Cは、側壁部312の内面からフィルタ部3の径方向内方に突出している。本実施の形態において、突出部312Cは、側壁部312の下部において1つ設けられている。突出部312Cは、吸気口部22Aの吸気口群22fの下部の1つに対応するように構成されている。突出部312Cの側面視における面積は、対応する吸気口の面積よりも小さく構成されている。突出部312Cは、フィルタ部3がテールカバー22に取付けられる場合において、対応する吸気口に進入するように構成されている。
【0089】
下壁部313は、側壁部312の後端部の下端から下方に延びるように形成されている。下壁部313には、下被係合部313Aが設けられている。下被係合部313Aは、下壁部313の外面からフィルタ部3の径方向内方に窪むように形成されている。下被係合部313Aは、被係合突起313Bを有している。被係合突起313Bは、下被係合部313Aの内部空間においてフィルタ部3の径方向外方に突出している。
【0090】
後フィルタ33は、ハウジング2に対して取付可能且つ左フィルタ31及び右フィルタ32と係合可能に構成されている。後フィルタ33は、後面視において略円盤状に形成されている。後フィルタ33は、一対の下係合部33Aと、上被係合部33Cと、突出部33Dと、突出部33Eとを有している。なお、本実施の形態において、後フィルタ33はフィルタとして機能するように構成されているが、後フィルタ33は左フィルタ31と右フィルタ32とを左右方向で連結するためだけに設けられていても良い。
【0091】
下係合部33Aは、後フィルタ33の下部において左右対称に設けられている。2つの下係合部33Aのそれぞれは、左フィルタ31及び右フィルタ32の下被係合部313Aと係合可能に構成されている。2つの下係合部33Aのそれぞれは、後フィルタ33の前面から前方に向かって突出する略板状に形成されている。下係合部33Aは、後フィルタ33の本体部分に対して弾性変形可能に構成されている。下係合部33Aは、引っ掛かり部33Bを有している。引っ掛かり部33Bは、下係合部33Aの前端部に位置し、下係合部33Aが左フィルタ31及び右フィルタ32の下被係合部313Aと弾性変形を伴って係合可能とするためにフィルタ部3の径方向内方且つ略下方に向かって爪状に突出している。
【0092】
上被係合部33Cは、後フィルタ33の上部に設けられている。上被係合部33Cは、左フィルタ31及び右フィルタ32の上係合部31Aと係合可能に構成されている。図には表れていないが、上被係合部33Cには上係合部31Aの引っ掛かり部31Bを受け入れ可能に上方に窪む凹部が設けられている。
【0093】
突出部33Dは、後フィルタ33の前面から前方に突出している。本実施の形態において、突出部33Dは、後フィルタ33の右部において3つ設けられている。3つの突出部33Dのそれぞれは、テールカバー22の吸気口部22Aの吸気口群22hの3つの吸気口のそれぞれに対応するように構成されている。3つの突出部33Dのそれぞれの前面視における面積は、対応する吸気口の前面視における面積よりも小さく形成されている。3つの突出部33Dのそれぞれは、フィルタ部3がテールカバー22に取付けられる場合において、対応する吸気口に進入するように構成されている。
【0094】
突出部33Eは、後フィルタ33の前面から前方に突出している。本実施の形態において、突出部33Eは、後フィルタ33の下部において2つ設けられている。2つの突出部33Eのそれぞれは、吸気口部22Aの吸気口群22iの吸気口の内の2つの吸気口に対応するように構成されている。2つの突出部33Eのそれぞれの前面視における面積は、吸気口群22iの対応する吸気口の前面視における面積よりも小さく形成されている。2つの突出部33Eのそれぞれは、フィルタ部3がテールカバー22に取付けられる場合において、対応する吸気口に進入するように構成されている。
【0095】
また、後フィルタ33には、開口33a、開口33b及び切欠33cが形成されている。開口33aは、後フィルタ33の右部から中央部に亘り、後フィルタ33を前後方向に貫通するように形成されている。図には表れていないが、開口33aにはきめの細かい金属製のメッシュが設けられている。開口33bは、後フィルタ33の左部において後フィルタ33を前後方向に矩形状に貫通するように形成されている。本実施の形態におけるディスクグラインダ1にはモータ5の回転速度を調整するためのダイヤルが設けられていないが、仮にモータの回転速度を調整するためのダイヤルがテールカバーの後部に設けられている電動式の作業機にフィルタ部3を取り付ける場合において、開口33bを介して調整ダイヤルを露出させることが可能である。切欠33cは、後フィルタ33の下部に形成され、上方に向かって円形状に切り欠かれている。後フィルタ33がテールカバー22に取付けられた状態において、電源コード2Aを切欠33cを介して露出させることが可能である。
【0096】
次に、
図4乃至
図7を参照しながら、フィルタ部3のテールカバー22への着脱作業について説明する。
【0097】
まず、作業者は、
図4及び
図5に示されるように、左フィルタ31及び右フィルタ32の爪部312Aをテールカバー22の吸気口部22Aに係合させる。具体的には、吸気口群22cを介して爪部312Aの第2部分312Eをテールカバー22の内部に進入させる。その後、
図6に示されるように、左フィルタ31及び右フィルタ32をその後部がテールカバー22に近接するように爪部312Aを中心としてテールカバー22に対して回動させることで、左フィルタ31及び右フィルタ32がテールカバー22に取付けられる。この状態において、ハウジング2内に進入した第2部分312Eの側面がハウジング2の内面と対向する。また、爪部312Aの第1部分312Dの前面と吸気口群22cを形成する前壁とが対向するとともに第1部分312Dの後面と吸気口群22cを形成する後壁とが対向することにより左フィルタ31及び右フィルタ32のハウジング2に対する前後方向の移動が規制される。つまり、作業者は、左フィルタ31及び右フィルタ32を
図6に示す位置に爪部312Aを中心として回動させることで爪部312Aをテールカバー22に対して離間不能に保持させることが可能である。以下、
図6に示す位置を固定位置と呼ぶ。
【0098】
また、左フィルタ31及び右フィルタ32の側壁部312に設けられた突出部312B及び突出部312Cが吸気口部22Aの吸気口群22gに進入する。この状態において、突出部312B及び突出部312Cの前面と吸気口群22gを形成する前壁とが対向するとともに突出部312B及び突出部312Cの後面と吸気口群22gを形成する後壁とが対向することにより、左フィルタ31及び右フィルタ32のハウジング2に対する前後方向の移動が規制される。つまり、左フィルタ31及び右フィルタ32は、テールカバー22に対して弾性変形を伴わずに係合(非積極的係合)することが可能である。本明細書では、部材同士の係合において、係合状態に移行する際、または係合状態を解除する際に、部材の少なくとも一方に弾性変形が必要となるような係合を積極的係合と呼称し、逆に部材の弾性変形が必要とならないような係合を非積極的係合と呼称する。
【0099】
この状態において、テールカバー22の側面に形成された吸気口部22Aの吸気口群22c、22d、22e、22f、22gは左フィルタ31及び右フィルタ32の開口31aに設けられた金属製のメッシュによって側方から覆われる。これにより、作業時に吸気口群22c、22d、22e、22f、22gを介して、ハウジング2内に粉塵が侵入することが抑制される。
【0100】
次に、作業者は、
図5及び
図6に示されるように、左フィルタ31及び右フィルタ32の上係合部31Aと後フィルタ33の上被係合部33Cとが係合するように、後フィルタ33を左フィルタ31及び右フィルタ32に対して前方に移動させる。言い換えると、後フィルタ33を左フィルタ31及び右フィルタに対して左右方向に交差する方向に移動させる。上係合部31Aの引っ掛かり部31Bが上被係合部33Cと当接し押圧されることにより、上係合部31Aは左フィルタ31及び右フィルタ32に対して下方に向かって弾性変形する。その後、引っ掛かり部31Bが上被係合部33Cに形成された上方に窪む凹部に進入することにより上係合部31Aに対する押圧が解除され、上係合部31Aは上被係合部33Cに押圧される前の状態に戻るように上方に向かって弾性変形する。
【0101】
そして、作業者は、
図6及び
図7に示されるように、左フィルタ31及び右フィルタ32の下被係合部313Aと後フィルタ33の下係合部33Aとが係合するように、後フィルタ33を左フィルタ31及び右フィルタ32に対して図の時計回り方向に回動させる。言い換えると、後フィルタ33を左フィルタ31及び右フィルタ32に対して左右方向に交差する方向に回動させる。下係合部33Aの引っ掛かり部33Bが下被係合部313Aに設けられた被係合突起313Bに当接しフィルタ部3の径方向外方に向かって押圧されることにより、下係合部33Aは左フィルタ31及び右フィルタ32に対して径方向外方に向かって弾性変形する。その後、
図7に示すように、引っ掛かり部33Bが被係合突起313Bと係合することにより下係合部33Aに対する押圧が解除され、下係合部33Aは被係合突起313Bに押圧される前の状態に戻るように径方向内方に弾性変形する。つまり、左フィルタ31及び右フィルタ32は、上係合部31Aと上被係合部33Cとの係合及び下係合部33Aと下被係合部313Aとの係合によって、後フィルタ33に対して弾性変形を伴って係合(積極的係合)することが可能である。上係合部31Aと上被係合部33Cとの係合及び下係合部33Aと下被係合部313Aとの係合は、係合解除に弾性変形が必要となるために係合力が強く、後フィルタ33の脱落を好適に抑制する。
【0102】
この状態において、テールカバー22の後面に形成された吸気口部22Aの吸気口群22h、22iは後フィルタの開口33aに設けられた金属製のメッシュによって側方から覆われる。これにより、作業時に吸気口群22h、22iを介して、ハウジング2内に粉塵が侵入することが抑制される。
【0103】
なお、上記の説明においては、上係合部31Aと上被係合部33Cとが係合した後に下係合部33Aと下被係合部313Aとが係合するように説明をしたが、係合する順番はこれに限られない。具体的には、下係合部33Aと下被係合部313Aとの係合が上係合部31Aと上被係合部33Cとの係合の前に行われても良いし、それぞれの係合が同時に行われても良い。
【0104】
このときに、後フィルタ33は、上係合部31Aと上被係合部33Cとの係合及び下係合部33Aと下被係合部313Aとの係合によって、左フィルタ31に対する左右方向の移動が規制される。そして、右フィルタ32は、上係合部31Aと上被係合部33Cとの係合及び下係合部33Aと下被係合部313Aとの係合によって、後フィルタ33に対する左右方向の移動が規制される。つまり、後フィルタ33、左フィルタ31及び右フィルタ32のそれぞれの相対位置を好適に決めることが可能となる。
【0105】
また、上係合部31Aの引っ掛かり部31Bが上方に突出するとともに、下係合部33Aの引っ掛かり部31Bがフィルタ部3の略内方に向かって突出しているため、前後方向における後フィルタ33と左フィルタ31及び右フィルタ32との相対移動を好適に規制することが可能となる。
【0106】
また、後フィルタ33の前面に設けられた突出部33Dが吸気口部22Aの吸気口群22hに進入するとともに、突出部33Eが吸気口群22iに進入する。つまり、後フィルタ33は、テールカバー22に対しては弾性変形を伴わずに係合(非積極的係合)する。この状態において、突出部33Dの右面と吸気口群22hを形成する右壁とが対向するとともに突出部33Dの左面と吸気口群22hを形成する左壁とが対向する。同様に、突出部33Eの右面と吸気口群22iを形成する右壁とが対向するとともに突出部33Eの左面と吸気口群22iを形成する左壁とが対向する。これにより、後フィルタ33のテールカバー22に対する左右方向の移動が規制される。
【0107】
上述のように、左フィルタ31及び右フィルタ32の爪部312Aとテールカバー22とを弾性変形を伴わずに非積極的係合させるとともに左フィルタ31及び右フィルタ32の上係合部31Aと後フィルタ33とを弾性変形を伴うように積極的係合させることができる。つまり、ハウジング2の一部を弾性変形させることにより左フィルタ31及び右フィルタ32をハウジング2に固定する必要がなく、ハウジング2の劣化を抑制することが可能となる。また、ハウジング2には積極的係合のための特別な構造が必要とならず、ハウジング2側の係合部としては本実施の形態のように風窓等の単純な穴を利用してフィルタ部3を取り付け可能となる。従って本発明のフィルタによれば、風窓しか有さないような従来の作業機や、シンプルな構造とすることで製造コストを抑えた作業機にもフィルタの着脱を行うことができるようになる。また、フィルタ部3は最終的に積極的係合によってハウジング2に固定されるので、フィルタ部3の固定力も好適に確保することができる。
【0108】
また、後フィルタ33とハウジング2とが弾性変形を伴わずに係合することにより後フィルタ33のハウジング2に対する左右方向における移動が規制されるため、左フィルタ31及び右フィルタ32を後フィルタ33と係合(積極的係合)させることにより左フィルタ31及び右フィルタ32をハウジング2に対して好適に固定することが可能となる。また、後フィルタ33とハウジング2とを弾性変形を伴わずに係合させるため、ハウジング2の劣化を抑制することが可能となる。
【0109】
フィルタ部3をテールカバー22から取り外す場合には、まず作業者は、後フィルタ33と左フィルタ31及び右フィルタ32との係合を解除する。具体的には、
図6及び
図7に示されるように、左フィルタ31及び右フィルタ32の下被係合部313Aと後フィルタ33の下係合部33Aとの係合が外れるように、後フィルタ33を左フィルタ31及び右フィルタ32に対して図の反時計回り方向に回動させる。言い換えると、後フィルタ33を左フィルタ31及び右フィルタ32に対して左右方向に交差する方向に移動させる。この状態において、下係合部33Aの引っ掛かり部33Bが下被係合部313Aに設けられた被係合突起313Bに当接し押圧されることによりフィルタ部3の径方向外方へ向かって弾性変形する。その後、
図6に示されるように、下係合部33Aと下被係合部313Aとが離間すると、下係合部33Aは被係合突起313Bに押圧される前の状態に戻るように弾性変形する。
【0110】
次に、作業者は、
図5及び
図6に示されるように、左フィルタ31及び右フィルタ32の上係合部31Aと後フィルタ33の上被係合部33Cとの係合が外れるように、後フィルタ33を左フィルタ31及び右フィルタ32に対して後方に移動させる。言い換えると、後フィルタ33を左フィルタ31及び右フィルタ32に対して左右方向に交差する方向に移動させる。このときに、上係合部31Aの引っ掛かり部31Bが上被係合部33Cと当接し押圧されることにより、上係合部31Aは左フィルタ31及び右フィルタ32に対して下方に向かって弾性変形する。その後、
図5に示されるように、上係合部31Aと上被係合部33Cとが離間すると、上係合部31Aは上被係合部33Cに押圧される前の状態に戻るように弾性変形する。
【0111】
そして作業者は、左フィルタ31及び右フィルタ32をその後部がテールカバー22から離間するように爪部312Aを中心としてテールカバー22に対して回動させた上、左フィルタ31及び右フィルタ32をテールカバー22から取り外す。つまり、作業者は、左フィルタ31及び右フィルタ32を
図5に示す位置に爪部312Aを中心として回動させることで爪部312Aをテールカバー22から離間させることが可能である。以下、
図5に示す位置を着脱位置と呼ぶ。
【0112】
このように、本実施の形態によるディスクグラインダ1によれば、後フィルタ33を左右方向と交差する方向に移動させるだけで、左フィルタ31及び右フィルタ32を容易にテールカバー22から取り外すことが可能に構成されているため、作業性が向上する。
【0113】
また、後フィルタ33は、左フィルタ31及び右フィルタ32が固定位置に位置する場合に左フィルタ31及び右フィルタ32とテールカバー22と係合可能であるとともに、後フィルタ33が左フィルタ31及び右フィルタ32及びテールカバー22と係合している状態において、左フィルタ31及び右フィルタ32の固定位置から着脱位置への移動を規制する。このため、左フィルタ31及び右フィルタ32をテールカバー22に係合させるための新たな構成をハウジング2に設ける必要が無い。
【0114】
また、後フィルタ33をテールカバー22から取り外した場合においても、左フィルタ31及び右フィルタ32を固定位置から着脱位置に移動させないと左フィルタ31及び右フィルタ32をテールカバー22から取り外せないため、不意に左フィルタ31及び右フィルタ32がテールカバー22から離脱してしまうことを抑制することができる。
【0115】
また、着脱位置と固定位置との間の移動は、爪部312Aと吸気口部22Aとの係合箇所を基点とするテールカバー22に対する左フィルタ31及び右フィルタ32の回動運動によって行われるため、簡易な構成で左フィルタ31及び右フィルタ32を着脱位置と固定位置との間で移動させることができる。
【0116】
また、左フィルタ31及び右フィルタ32が着脱位置から固定位置へ移動する場合において、爪部312Aと吸気口部22Aとが弾性変形を伴わずに係合するため、ハウジング2の劣化を抑制することが可能となる。
【0117】
また、左フィルタ31及び右フィルタ32は左右対称の2分割のフィルタとして構成されているところ、分割された左フィルタ31及び右フィルタのそれぞれが後フィルタ33と係合することにより着脱位置への移動を好適に規制することが可能である。
【0118】
次に、
図1、
図2、
図8~
図12を参照しながら、モータハウジング21、レバー部4及び電子スイッチ11の詳細な構成及びハウジング2内におけるレバー部4の配置について説明する。
【0119】
図1、
図2及び
図8に示されるように、レバー部4は、テールカバー22の下部に設けられ、パドルレバー41と、介在部42とを有している。パドルレバー41は、モータハウジング21及びテールカバー22に跨る把持部20に設けられ、前後方向に延びている。パドルレバー41には、押圧部41Aと、バネ411と、オフロック機構412と、回動軸413とが設けられている。パドルレバー41は、本発明における「操作部」の一例である。
【0120】
図8に示されるように、押圧部41Aは、パドルレバー41の後部からハウジング2内方に突出する略柱状をなしている。押圧部41Aは、レバー係合部41Bを有している。レバー係合部41Bは、押圧部41Aの延出端部から押圧部41Aの延出方向に直交する方向に突出している。
【0121】
図1に示されるように、回動軸413はパドルレバー41の後部に設けられ、左右方向に延びる略円柱状をなしている。回動軸413は、テールカバー22の支持部22Bに形成された貫通孔22bに挿通されている。これにより、パドルレバー41は、作業者によりハウジング2内方に押し込まれることにより、回動軸413を中心としてテールカバー22に対して
図11の時計回り方向に回動可能に構成されている。言い換えると、パドルレバー41は、モータ5を駆動・停止させるために上下方向に移動可能である。回動軸413は、本発明における「支軸」の一例である。
【0122】
図2に示されるように、バネ411は、パドルレバー41とテールカバー22の外周面との間に設けられている。バネ411は、パドルレバー41がテールカバー22から離間するようにパドルレバー41を付勢している。より具体的には、バネ411は、回動軸413を中心として
図2の反時計回り方向に回動するようにパドルレバー41を付勢している。
【0123】
図2に示されるように、オフロック機構412は、オフロック部材412Aと、スプリング412Bとを有している。オフロック部材412Aは、ディスクグラインダ1に外力が働いていない状態においてパドルレバー41の延出方向に直交する方向に延びる略板状をなしている。オフロック部材412Aの一端部は、パドルレバー41の下面から下方に突出している。スプリング412Bは、オフロック部材412Aを
図2の反時計回り方向に回動させるようにパドルレバー41に設けられている。このため、作業者がスプリング412Bの付勢力に抗してオフロック部材412Aを時計回り方向に回動させない限り、パドルレバー41をハウジング2内方に押し込む際に、オフロック部材412Aの他端部がテールカバー22の外周と当接し、それ以上パドルレバー41をハウジング2内方へ押し込むことができない。これにより、不意にディスクグラインダ1が駆動することが抑制されている。また、本実施の形態においては、テールカバー22の後部に突起部221が設けられているため、ディスクグラインダ1が地面に落下する場合等においても、パドルレバー41よりも先に突起部221が地面と接触することにより、より好適に不意にディスクグラインダ1が駆動することが抑制されている。
【0124】
図9に示されるように、介在部42は、被取付部421と、レバー422と、ピン423とを有している。被取付部421は、基部421Aと、第1突起421Bと、第2突起421Cと、レバー保持部421Eとを有している。被取付部421は、後述するようにモータハウジング21に取付けられる。介在部42は、本発明における「介在部」の一例である。被取付部421は、本発明における「支持部」の一例である。
【0125】
基部421Aは、上下方向に延びる略板状をなしている。図には表れていないが、基部421Aの下部には基部421Aを左右方向に貫通する貫通孔が形成されている。第1突起421Bは、基部421Aの上部から左方へ略台状に突出するように設けられている。第2突起421Cは、基部421Aの前部に設けられている。第2突起421Cは、前後方向及び左右方向に延びる略台状をなしている。また、第2突起421Cの右面は所定の曲率で湾曲する湾曲面421Dを有する。
【0126】
レバー保持部421Eは、被取付部421の下部に位置し、上下方向及び前後方向に延びる略板状をなしている。レバー保持部421Eの前後方向における略中央部にはレバー保持部421Eを左右方向に貫通する貫通孔が形成されている。当該貫通孔は、基部421Aの下部に形成された図示せぬ貫通孔と前後方向及び上下方向において同一の位置に位置する。
【0127】
レバー422は、レバー基部422Aと、被押圧部422Bと、切欠部422Cと、被係合部422Dと、補強部422Eとを有している。レバー基部422Aは、前後方向に延びる略板状をなしている。図には表れていないが、レバー基部422Aの前部には、レバー基部422Aを左右方向に貫通する貫通孔が形成されている。当該図示せぬ貫通孔は、被取付部421の基部421Aの下部に形成された図示せぬ貫通孔及びレバー保持部421Eに形成された貫通孔と上下方向及び前後方向において同一位置に位置する。本実施の形態においては、レバー基部422Aの貫通孔、基部421Aの貫通孔及びレバー保持部421Eの貫通孔にピン423が嵌合されることにより、レバー422がピン423を中心として被取付部421に対して回動することが可能である。レバー422は、本発明における「レバー」の一例である。ピン423は、本発明における「回動軸」の一例である。
【0128】
被押圧部422Bは、レバー基部422Aの後方に位置し前後方向に延びるとともに、レバー基部422Aよりも左右方向の幅が広く形成されている。被押圧部422Bは、パドルレバー41の押圧部41Aと当接可能に構成されている。レバー422は、
図11に示される解除位置とパドルレバー41により押圧されることによる
図12に示される押圧位置との間で移動可能である。切欠部422Cは、レバー422の後端部をなし左方に窪むように切欠かれた形状を有している。押圧位置は、本発明における「モータ駆動位置」の一例である。解除位置は、本発明における「モータ停止位置」の一例である。
【0129】
被係合部422Dは、レバー422の前後方向における略中央部において下方にL字状に突出するように設けられている。被係合部422Dは、パドルレバー41のレバー係合部41Bと係合可能に構成されている。
【0130】
補強部422Eは、レバー基部422Aの下面と被係合部422Dの前面とを連結するように設けられている。補強部422Eが設けられることにより、被係合部422Dを前方に倒す方向の力に対する強度が補強される。
【0131】
図11に示されるように、電子スイッチ11は、テールカバー22に収容され、スイッチプランジャ11A及び板バネ11Bを有している。電子スイッチ11と制御部10とは、信号を送受信するための配線で接続されている。電子スイッチ11はマイクロスイッチであり、わずかな動作をスイッチプランジャ11Aによって検出し、信号を送信するよう構成された小型のスイッチである。
【0132】
図11に示されるように、スイッチプランジャ11Aは、モータハウジング21及びテールカバー22に跨る把持部20の軸線A方向における位置Bに設けられ、介在部42のハウジング2に対する位置を検出するように構成されている。軸線Aは、把持部の略中央を通り前後方向に延びる軸線である。スイッチプランジャ11Aは、スイッチ本体に対して上方に押圧されることにより伸縮可能に構成されている。具体的には、スイッチプランジャ11Aは、上下方向に移動することにより、モータ5を駆動するオン位置(
図11)とモータ5を停止させるオフ位置(
図12)との間で切替可能である。なお、本実施の形態において、スイッチプランジャ11Aのオン位置とオフ位置との間の移動距離は、作業者がパドルレバー41をハウジング2内方に押し込む際のパドルレバーの上下方向の移動距離に比べて極めて小さい。つまり、スイッチプランジャ11Aをオンする際に、スイッチプランジャ11Aが許容するスイッチプランジャ11Aに対する上方への操作量は、パドルレバー41に対する作業者の操作量に比較して小さい。換言すれば、必要とするパドルレバー41の移動量に対して、許容されるスイッチプランジャ11Aの移動量が小さい。スイッチプランジャ11Aは、本発明における「スイッチ」及び「検出部」の一例である。位置Bは、本発明における「第1位置」及び「所定位置」の一例である。上下方向は、本発明における「オン位置とオフ位置とを結ぶ方向」の一例である。
【0133】
また、本実施の形態において、電子スイッチ11は、介在部42が押圧位置に位置することをスイッチプランジャ11Aが検出した場合にはモータ5が駆動するように制御部10へオン信号を送信するとともに、介在部42が解除位置に位置することをスイッチプランジャ11Aが検出した場合にはモータ5が停止するように制御部10へオフ信号を送信する。なお、スイッチプランジャ11Aは検出部の一例であり、磁気センサ、距離センサ等で介在部42の位置を検出し、制御部10へ信号を送信するように構成されていても良い。また、電子スイッチ11からのオン信号がなくなった場合に、介在部42が解除位置に位置したと判断するように構成してもよく、その逆でもよい。このように、制御部10は電子スイッチ11からの信号に基づいてモータ5を制御するように構成されている。
【0134】
板バネ11Bは、スイッチ本体の下面とレバー基部422Aとの間に設けられている。板バネ11Bは、スイッチプランジャ11Aとレバー422とが離間するようにレバー422を付勢している。具体的には、板バネ11Bは、レバー422がピン423を中心として
図11の時計回り方向に回動するようにレバー422を付勢している。
【0135】
ここで、
図10に示されるように、介在部42及び電子スイッチ11は、ハウジング2内部において左側面に近接した位置に配置されている。このため、テールカバー22の吸気口部22Aから導入された冷却風が介在部42及び電子スイッチ11によって遮られることが抑制され、モータ5及び回路基板部6上に実装された回路素子等に対する冷却効率が向上する。また、レバー422に切欠部422Cが設けられているため、レバー422が上下方向に回動した場合に、比較的大きいスイッチング素子を配置する場合においても、レバー422がスイッチング素子Q2と接触することが抑制されている。
【0136】
また、前後方向において、介在部42とインバータ回路96とは、同一の位置に位置している。これによれば、本実施の形態のように、冷却風の流路が前後方向に延びている場合において、介在部42がインバータ回路96よりも冷却風の流路の上流に位置することがないため、冷却風がインバータ回路96の上流側で介在部42によって遮られることがなく、インバータ回路96の冷却効率が向上する。
【0137】
図8に示されるように、モータハウジング21の内部には、介在部42の被取付部421を保持するための介在部保持部212が設けられている。介在部保持部212は、上下一対のレール部212A及び212Bと、上下一対の壁部212C及び212Dと、円筒部212Eとを有している。
【0138】
上下一対のレール部212A及び212Bは、モータハウジング21の径方向内方に突出するとともに前後方向に延びている。レール部212Aの下面とレール部212Bの上面との間の距離は、前方に向かうにしたがって小さくなるように構成されている。レール部212Aとレール部212Bとは、その間に介在部42の被取付部421の第1突起421Bを摺動させることが可能に形成されている。
【0139】
上下一対の壁部212C及び212Dのそれぞれは、一対のレール部212A及び212Bのそれぞれから右方に延びる略板状をなしている。壁部212Cの下面と壁部212Dの上面との間の距離は、被取付部421の第2突起421Cの上下方向における幅と同一に構成されている。
【0140】
円筒部212Eは、モータハウジング21の径方向内方に設けられ、前後方向に延びる略円筒形状をなしている。
図2に示されるように、円筒部212Eは、ボールベアリング21Aが嵌合される部分である。円筒部212Eの左側面の曲率は、第2突起421Cの湾曲面の曲率と同一に構成されている。
【0141】
本実施の形態においては、
図8に示されるように、第1突起421Bを一対のレール部212A及び212Bに対して摺動させつつ第2突起421Cを壁部212Cの下面、壁部212Dの上面及び円筒部212Eの左側面との間に嵌め込むことにより介在部をモータハウジング21に取付けることが可能に構成されている。
【0142】
このように、本実施の形態においては、介在部42がモータ5を収容するモータハウジング21に支持されるため、テールカバー22に介在部42を支持する機構を設ける必要がない。このため、本実施の形態にように、テールカバー22に電子スイッチ11を設ける場合にテールカバー22内に電子スイッチ11を収容する空間を容易に確保することができる。
【0143】
また、被取付部421をモータハウジング21に取付けることにより介在部42がモータハウジング21に支持されるように構成されているため、介在部42を筒状に形成されたモータハウジング21にネジボスを設けてネジ止めする必要がなく、モータハウジング21の外形が大型化することを抑制することが可能となる。
【0144】
また、被取付部421を介在部保持部212に保持させるという簡易な構成で、介在部42をモータハウジング21に支持させることが可能となる。
【0145】
次に、
図11を参照しながら、パドルレバー41、介在部42及び電子スイッチ11の位置関係について説明する。
【0146】
図11及び
図12に示されているように、軸線A方向において、パドルレバー41の押圧部41Aと介在部42のレバー422の被押圧部422Bとが当接する当接箇所とピン423との間にスイッチプランジャ11Aが位置している(位置B)。また、当該当接箇所は、位置Bとパドルレバー41の回動軸413との間に位置している。つまり、押圧部41Aは、スイッチプランジャ11Aよりも回動軸413に近接した位置に位置している。これによれば、当接箇所が軸線A方向においてスイッチプランジャ11Aから離間した位置に位置するとともに当接箇所とピン423との間にスイッチプランジャ11Aが位置することとなる。そのため、よりピン423に近く移動量(回動量)の小さいレバー422のレバー基部422Aの基端部でスイッチプランジャ11Aを押し上げることが可能となる。当接箇所は、本発明における「第2位置」の一例である。
【0147】
つまり、介在部は、位置Bを通る上下方向におけるパドルレバー41の移動に比較してより少ない移動量でスイッチプランジャ11Aに移動を伝達することができる。このため、パドルレバー41を押し込む操作感を得られるようにパドルレバー41をハウジング2に対して大きく回動するように構成した場合においても、パドルレバー41の回動軌跡の最下流にスイッチプランジャ11Aを配置する必要がなく、ハウジング2内における電子スイッチ11の配置の自由度が確保される。
【0148】
次に、
図11乃至
図13を参照しながら、本発明の実施の形態に係るディスクグラインダ1を用いた被加工材に対する加工作業及び加工作業時におけるディスクグラインダ1の動作について説明する。
【0149】
まず作業者は、電源コード2Aを商用交流電源Qに接続した状態で、パドルレバー41をハウジング2内方に押し込む。具体的には、作業者はオフロック機構412をスプリング412Bの付勢力に抗して時計回り方向に回動させた上で、パドルレバー41をハウジング2内方へ押し込む。そうすると、パドルレバー41が回動軸413を中心にテールカバー22に対して
図11の時計回り方向に回動する。
【0150】
この状態において、
図12に示されるように、パドルレバー41の押圧部41A及びレバー係合部41Bが介在部42のレバー422の被押圧部422Bと当接し上方へ押し上げる。そうすると、レバー422がピン423を中心として
図11の反時計回り方向に回動する。この状態において、よりピン423に近く移動量(回動量)の小さいレバー422のレバー基部422Aの基端部が電子スイッチ11のスイッチプランジャ11Aを上方へ押圧する。つまり、レバー422は、スイッチプランジャ11Aがオン位置に位置するようにスイッチプランジャ11Aを押圧する。
【0151】
そうすると、電力供給回路9を介してモータ5に電力が供給され回転軸51が回転を開始する。回転軸51が回転すると回転軸51に固定されたピニオンギヤ71も同軸回転する。この状態において、ピニオンギヤ71の複数のギヤ歯とベベルギヤ72の複数のギヤ歯とが噛合しているため、ベベルギヤ72が閉面視において、時計回り方向に回転を開始する。ベベルギヤ72はピニオンギヤ71の回転速度が減速されて回転する。
【0152】
また、ベベルギヤ72に固定されている出力軸81がベベルギヤ72と一体に回転を開始する。このため、出力軸81に取付けられた砥石Pを用いて被加工材に対する研削等の加工が可能となる。
【0153】
作業を終了する場合には、作業者はパドルレバー41に対するハウジング2内方への押し込みを解除する。パドルレバー41は、バネ411の付勢力により図の反時計回り方向に回動軸413を中心として回動する。一方で、介在部42のレバー422は、電子スイッチ11の板バネ11Bの付勢力により図の時計回り方向にピン423を中心として回動する。レバー422がスイッチプランジャ11Aから離間することにより、スイッチプランジャ11Aに対する押圧も解除され、スイッチプランジャ11Aは下方へ移動する。
【0154】
なお、
図13に示すように、板バネ11Bの劣化により、レバー422が元の位置に復帰しなくなる可能性がある。しかしながら、本実施の形態においては、パドルレバー41のレバー係合部41Bと介在部42のレバー422の被係合部422Dとが係合することにより、レバー422は
図11に示す位置に復帰することが可能である。言い換えると、レバー422は、パドルレバー41とテールカバー22との間に設けられたバネ411の付勢力により
図11に示す位置に復帰することが可能である。つまり、レバー422は、パドルレバー41の上下方向における移動が伝達されることにより
図12に示す押圧位置から
図11に示す解除位置へと移動することが可能である。このため、モータ5を確実に停止させることが可能となる。
【0155】
また、上述のように、本実施の形態においては、パドルレバー41の上下方向におけるモータ5を駆動させる方向の動作と停止させる方向の動作とが介在部42に伝達されるように構成されている。このような構成によれば、本実施の形態のように、介在部42を介して電子スイッチ11をオンオフするように構成した場合において、作業者のパドルレバー41に対する操作に応じて好適にモータを駆動又は停止させることが可能となる。
【0156】
また、パドルレバー41とテールカバー22との間にバネ411と設けるという簡易な構成で介在部42と押圧位置から解除位置へと移動させることができる。バネ411は、本発明における「付勢部材」及び「第2付勢部材」の一例である。板バネ11Bは、本発明における「第1付勢部材」の一例である。
【0157】
次に、
図15を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る作業機の一例であるディスクグラインダ100について説明する。ディスクグラインダ100は、基本的に第1の実施の形態に係るディスクグラインダ100と同一の構成を有しており、相違する構成について主に説明する。また、ディスクグラインダ1と同一の構成については、上記において説明した効果と同様の効果を奏する。
【0158】
第2の実施の形態に係るディスクグラインダ100は、ハウジング2に替えてハウジング120を有しており、フィルタ部3に替えてフィルタ部130を有している。フィルタ部130は、第1の実施形態における左フィルタ31及び右フィルタ32と同様に構成された左フィルタ31及び右フィルタ32と、第1の実施形態における後フィルタ33とは異なる後フィルタ133とを有する。
【0159】
ハウジング120は、テールカバー122を有している。テールカバー122は左右方向に幅広の円筒形状をなしている。言い換えると、テールカバー122は、後面視において略楕円状をなしている。図示は省略されているが、テールカバー122の左側面、右側面及び後面には複数の吸気口が形成されている。
【0160】
後フィルタ133は、上被係合部133Cを有している。上被係合部133Cは、左フィルタ31及び右フィルタ32の上係合部31Aと係合可能に構成されている。また、後フィルタ133には、開口133aが形成されている。開口133aには、きめの細かい金属製のメッシュが設けられ、後フィルタ133がテールカバー122に取付けられた状態においてテールカバー122の後面に形成された吸気口からの粉塵の侵入を抑制するように構成されている。
【0161】
上述の通り、第1の実施の形態におけるフィルタ部3も第2の実施の形態におけるフィルタ部130も3分割されたフィルタによって構成されている。このため、第2の実施の形態に示すように、テールカバーの形状を変更する場合においても、左フィルタ31及び右フィルタ32の形状を変更することなく、左フィルタ31及び右フィルタ32を連結する後フィルタの形状を変更するだけで多様な形状のハウジングに左フィルタ31及び右フィルタ32を着脱することができる。これにより、部品(左フィルタ31及び右フィルタ32)の共用化によるコストダウンを図ることが可能となる。
【0162】
本実施の形態においては、作業機としてディスクグラインダ1を例に説明したが、本発明はディスクグラインダ以外のモータで駆動する作業機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0163】
1…ディスクグラインダ、2…ハウジング、3…フィルタ部、4…レバー部、5…モータ、6…回路基板部、7…動力伝達部、8…出力部、9…電力供給回路、10…制御部、11…電子スイッチ