(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】めっき鋼板
(51)【国際特許分類】
C23C 2/06 20060101AFI20231004BHJP
C23C 2/40 20060101ALI20231004BHJP
C23C 2/26 20060101ALI20231004BHJP
C22C 30/06 20060101ALI20231004BHJP
C22C 18/04 20060101ALI20231004BHJP
C21D 9/00 20060101ALN20231004BHJP
C22C 38/00 20060101ALN20231004BHJP
C22C 38/04 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
C23C2/06
C23C2/40
C23C2/26
C22C30/06
C22C18/04
C21D9/00 A
C22C38/00 301T
C22C38/04
(21)【出願番号】P 2022556435
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2021030398
(87)【国際公開番号】W WO2022085287
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2020175786
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】光延 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 武寛
(72)【発明者】
【氏名】竹林 浩史
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139619(WO,A1)
【文献】特開2018-150593(JP,A)
【文献】特表2021-508777(JP,A)
【文献】特開2021-172878(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213686(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/169085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00- 2/40
C22C 5/00-45/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板と、
前記鋼板の表面の少なくとも一部に形成されためっき層と
を有し、
前記めっき層の化学組成が、質量%で、
Al:6.00~35.00%、
Mg:3.00~15.00%、
La+Ce:合計で0.0001~0.5000%、
Si:0~2.00%、
Ca:0~2.00%、
Fe:0~2.00%、
Sb:0~0.50%、
Sr:0~0.50%、
Pb:0~0.50%、
Sn:0~1.00%、
Cu:0~1.00%、
Ti:0~1.00%、
Ni:0~1.00%、及び
Mn:0~1.00%、
を含有し、残部がZn及び不純物からなり、
前記めっき層は、表面において、
(Al-Zn)相とMgZn
2相とが層状に並んだラメラ組織の面積率が10~95%であり、
前記ラメラ組織のラメラ間隔が、2.5μm以下であり、
(Al-Zn)デンドライトの面積率が10%以下である
ことを特徴とする、めっき鋼板。
【請求項2】
前記めっき層の前記化学組成が、質量%で、
Al:11.00~30.00%、
Mg:5.00~11.00%、
La+Ce:合計で0.0010~0.1000%、
の1種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載のめっき鋼板。
【請求項3】
前記めっき層は、前記表面において、前記ラメラ組織の面積率が60~95%である
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のめっき鋼板。
【請求項4】
前記めっき層は、前記表面において、前記ラメラ組織の面積率が80~95%である
ことを特徴とする、請求項3に記載のめっき鋼板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はめっき鋼板に関する。
本願は、2020年10月20日に、日本に出願された特願2020-175786号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車構造部材には、防錆の観点からめっき鋼板が使用され、主に日本国内市場では合金化溶融亜鉛めっき鋼板等の溶融亜鉛めっき鋼板が適用されている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後に合金化熱処理し、めっき層内に鋼板(下地鋼板)からFeを拡散させることによって、溶接性や塗装後耐食性を向上させためっき鋼板である。しかしながら、溶融亜鉛めっき鋼板に対しては、塗装後耐食性や耐赤錆性などの更なる耐食性の向上が求められている。
【0003】
溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性を向上させる方法として、Zn系めっきへのAlの添加が挙げられる。例えば建材分野では高耐食性めっき鋼板として溶融Al-Zn系めっき鋼板が広く実用化されている。こうした溶融Al-Zn系めっきのめっき層は、溶融状態から最初に晶出したデンドライト状のα-(Zn,Al)相(Al初晶部:Al-Zn系二元状態図等において、初晶として晶出するα-(Zn,Al)相。必ずしもAlリッチな相ではなく、ZnとAlの固溶体として晶出。)と、デンドライト状のAl初晶部の隙間に形成したZn相とAl相とからなる組織(Zn/Al混相組織)から形成される。Al初晶部は不動態化しており、かつ、Zn/Al混相組織はAl初晶部に比べZn濃度が高いので、腐食はZn/Al混相組織に集中する。結果として、腐食はZn/Al混相組織を虫食い状に進行し、腐食進行経路が複雑になるので、腐食が容易に下地鋼板に到達しにくくなる。これにより、溶融Al-Zn系めっき鋼板は、めっき層の厚みが同一の溶融亜鉛めっき鋼板に比べ優れた耐食性を有する。
【0004】
このような溶融Al-Zn系めっき鋼板を自動車外板パネルとして使用する場合、めっき鋼板は連続式溶融めっき設備でめっきが施された状態で自動車メーカー等に供され、そこでパネル部品形状に加工された後に化成処理、さらに電着塗装、中塗り塗装、上塗り塗装の自動車用総合塗装が施されることが一般的である。しかしながら、溶融Al-Zn系めっき鋼板を用いた外板パネルは、塗膜に損傷が生じた際、上述したAl初晶部とZn/Al混相組織の二相から成る独特なめっき相構造に起因して、傷部を起点にZnの優先溶解(Zn/Al混相組織の選択腐食)が塗膜/めっき界面で発生する。これが塗装健全部の奥深くに向けて進行して大きな塗膜膨れを起こす結果、十分な耐食性(塗装後耐食性)を確保できないという課題がある。
【0005】
耐食性向上を目的に、Al-Zn系めっきへさらにMg等の元素を添加することも検討されている。しかしながら、Mgを添加しても溶融Al-Zn系めっき鋼板には依然として不動態皮膜を有するAl初晶部が形成されると推測されるので、塗装を施した後、塗膜に損傷が生じたときの耐食性(塗装後耐食性)の課題は解消されていない。
【0006】
このような課題に対し、特許文献1には、塗装後耐食性に優れた溶融Zn系めっき鋼板が開示されている。特許文献1では、めっき層がZn、Al、Mg及びSiを含有し、めっき層中に層状Zn相と層状Al相とが交互に整列したラメラ組織が面積率の合計値で5%以上含有される場合、塗装した状態での塗膜膨れが抑制されると開示されている。
【0007】
特許文献2には、質量%で、Al:25~90%及びSn:0.01~10%を含有し、さらに、Mg、Ca及びSrからなる群より選択される一種以上を合計で0.01~10%含有しためっき層を有することを特徴とする、溶融Al-Zn系めっき鋼板が開示されている。特許文献2では、Snによって、上述したα-Al相の周囲に形成されるAl酸化膜が破壊され、α-Al相の溶解性が上がるので、α-Al相とZnリッチ相との両方が溶解するめっき層の均一腐食が起こることで、Znリッチ相の選択腐食を抑制でき、塗装後耐食性が向上すると開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、めっき層最表面に占める〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕の割合が60面積%以上である溶融Zn-Al-Mg合金めっき鋼板を基材とし、めっき層表面が化成皮膜で覆われた化成処理鋼板が開示されている。
【0009】
また、特許文献4には、Al:0.18~5%を含有し、さらに、Mg:0.01~0.5%、La:0.001~0.5%、および、Ce:0.001~0.5%のうちのいずれか1種または2種以上を含有し、残部がZnからなるZn-Al系合金めっきを有する亜鉛系合金めっき鋼板が開示されている。特許文献4では、Zn-Al-Mg系、Zn-Al-Mg-Si系などの亜鉛系合金めっきは、従来のZn系めっきよりも耐食性が高いことが示されている。
【0010】
自動車用部品は、水が溜まる環境で使用される場合があり、そのような厳しい環境でも十分な耐食性を有することが求められる。本発明者らが検討した結果、Alを一定量以上含むZn-Al-Mg系めっきは、優れた犠牲防食性を有する一方、水が溜まる環境では、塗膜剥離が生じ易く、塗装後耐食性に課題があることが分かった。しかしながら、特許文献1~4では、このような厳しい環境での塗装後耐食性については考慮されていなかった。
【0011】
また、特許文献1の技術では、組織制御のために複雑な熱履歴の処理を施す必要があり、製造コストが増加するという課題もある。
また、特許文献2のめっき鋼板では、自動車用電着塗膜との密着性が劣る。また、特許文献2ではSn添加を必須とするので、合金コストが増加し、さらにはめっき浴の管理が難しくなるという課題もある。
また、特許文献3では、化成皮膜の構成を制御することで耐食性の向上を図っている。また、化成皮膜との反応性を高めるため、めっき層についてはAl/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織を主相としている。そのため、通常の化成処理を行う場合には、化成処理性は向上するものの、塗装後耐食性が十分に得られないと考えられる。
【0012】
従って、従来、近年の自動車構造部材に求められる、十分な塗装後耐食性を確保できる溶融亜鉛系めっき鋼板は提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】日本国特許第6350780号公報
【文献】日本国特開2015-214747号公報
【文献】日本国特許第4579715号公報
【文献】日本国特開2006-249521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記の課題に鑑みてなされた。本発明は、溶融亜鉛系めっき鋼板を前提として、塗装後耐食性に優れるめっき鋼板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、Al、Mg及びZnを含むめっき層を有する鋼板(Zn-Al-Mg合金めっき鋼板)において、塗装後耐食性を向上させるための検討を行った。
その結果、めっき層にLa及び/またはCeを含有させ、めっき層の表面において、めっき組織を制御することで、塗装後耐食性が向上することを新たに見出した。具体的には、めっき層の表面において、(Al-Zn)相とMgZn2相とのラメラ組織の面積率を大きくするとともに、(Al-Zn)デンドライトの面積率を小さくすることで、塗装後耐食性が向上することを見出した。
【0016】
本発明は上記の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]本発明の一態様に係るめっき鋼板は、鋼板と、前記鋼板の表面の少なくとも一部に形成されためっき層とを有し、前記めっき層の化学組成が、質量%で、Al:6.00~35.00%、Mg:3.00~15.00%、La+Ce:合計で0.0001~0.5000%、Si:0~2.00%、Ca:0~2.00%、Fe:0~2.00%、Sb:0~0.50%、Sr:0~0.50%、Pb:0~0.50%、Sn:0~1.00%、Cu:0~1.00%、Ti:0~1.00%、Ni:0~1.00%、及びMn:0~1.00%、を含有し、残部がZn及び不純物からなり、前記めっき層は、表面において、(Al-Zn)相とMgZn2相とが層状に並んだラメラ組織の面積率が10~95%であり、前記ラメラ組織のラメラ間隔が、2.5μm以下であり、(Al-Zn)デンドライトの面積率が10%以下である、めっき鋼板。
[2]上記[1]に記載のめっき鋼板では、前記めっき層の前記化学組成が、質量%で、Al:11.00~30.00%、Mg:5.00~11.00%、La+Ce:合計で0.0010~0.1000%、の1種以上を含有してもよい。
[3]上記[1]または[2]に記載のめっき鋼板では、前記めっき層は、前記表面において、前記ラメラ組織の面積率が60~95%であってもよい。
[4]上記[3]に記載のめっき鋼板では、前記めっき層は、前記表面において、前記ラメラ組織の面積率が80~95%であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記態様によれば、塗装後耐食性に優れるめっき鋼板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】比較例であるNo.23のめっき層の表面の組織写真である。
【
図2】発明例であるNo.19のめっき層の表面の組織写真である。
【
図3】発明例であるNo.19のめっき層の表面の組織写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係るめっき鋼板(本実施形態に係るめっき鋼板)は、鋼板と、鋼板の表面の少なくとも一部に形成されためっき層とを有する。また、本実施形態に係るめっき鋼板は、めっき層の化学組成が、質量%で、Al:6.00~35.00%、Mg:3.00~15.00%、La+Ce:合計で0.0001~0.5000%、Si:0~2.00%、Ca:0~2.00%、Fe:0~2.00%、Sb:0~0.50%、Sr:0~0.50%、Pb:0~0.50%、Sn:0~1.00%、Cu:0~1.00%、Ti:0~1.00%、Ni:0~1.00%、及びMn:0~1.00%を含有し、残部がZn及び不純物からなる。また、本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層は、表面において、(Al-Zn)相とMgZn2相とが層状に並んだラメラ組織の面積率が10~95%であり、前記ラメラ組織のラメラ間隔が、2.5μm以下であり、(Al-Zn)デンドライトの面積率が10%以下である。
【0020】
<鋼板>
本実施形態に係るめっき鋼板はめっき層が重要であり、鋼板の種類については特に限定されない。適用される製品や要求される強度や板厚等によって決定すればよい。例えば、JIS G3193:2008に記載された熱延鋼板やJIS G3141:2017に記載された冷延鋼板を用いることができる。
【0021】
<めっき層>
本実施形態に係るめっき鋼板では、鋼板の表面の少なくとも一部にめっき層を備える。めっき層は鋼板の片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
めっき層の付着量は、15~250g/m2が好ましい。
【0022】
[化学組成]
本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層の化学組成について説明する。各元素の含有量の%は、質量%を意味する。また、「~」を挟んで示される数値範囲は、その両端の値を、上下限として含む。
【0023】
Al:6.00~35.00%
Alは、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)を含むめっき層において、塗装後耐食性を確保するために有効な元素である。また、本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層において、ラメラ組織を形成するために必要な元素である。また、Alは、合金層(Al-Fe合金層)の形成に寄与し、めっき密着性を確保するために有効な元素でもある。上記効果を十分に得るため、Al含有量を6.00%以上とする。Al含有量は、好ましくは11.00%以上である。
一方、Al含有量が35.00%超であると、(Al-Zn)デンドライトの面積率が高くなり、塗装後耐食性やめっき層の切断端面の耐食性が低下する。そのため、Al含有量は35.00%以下とする。好ましくは30.00%以下である。
【0024】
Mg:3.00~15.00%
Mgは、めっき層の塗装後耐食性を高める効果を有する元素である。また、本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層において、ラメラ組織を形成するために必要な元素である。上記効果を十分に得るため、Mg含有量を3.00%以上とする。Mg含有量は、好ましくは5.00%以上である。
一方、Mg含有量が15.00%超であると、ラメラ組織が十分に形成されず、塗装後耐食性が低下する上、めっき層の加工性が低下する。また、めっき浴のドロス発生量が増大する等、製造上の問題が生じる。そのため、Mg含有量を15.00%以下とする。Mg含有量は、好ましくは11.00%以下である。
【0025】
La+Ce:合計で0.0001~0.5000%
La及びCeは、めっき層中でラメラ組織を安定化するために有効な元素である。めっき層にLa、Ceを含有させなくても、めっき層の内部において表層部以外の領域では、ラメラ組織を形成することができる場合がある。しかしながら、LaとCeの合計含有量が0.0001%未満では表層部にラメラ組織が形成されない。このため、めっき層の表面におけるラメラ組織の面積率を十分に確保できない。
一方、LaとCeの合計含有量が0.5000%を超えると、めっき浴の粘性が上昇し、めっき浴の建浴そのものが困難となることが多く、めっき性状が良好なめっき鋼材を製造できない。そのため、LaとCeの合計含有量を0.5000%以下とすることが好ましい。
【0026】
Si:0~2.00%
Siは、Mgとともに化合物を形成して、塗装後耐食性の向上に寄与する元素である。また、Siは、鋼板上にめっき層を形成するにあたり、鋼板とめっき層との間に形成される合金層が過剰に厚く形成されることを抑制して、鋼板とめっき層との密着性を高める効果を有する元素でもある。そのため含有させてもよい。上記効果を得る場合、Si含有量を0.10%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.20%以上である。
一方、Si含有量を2.00%超にすると、めっき層中に過剰なSiが晶出し、また、ラメラ組織が十分に形成されず、塗装後耐食性が低下する。また、めっき層の加工性も低下する。従って、Si含有量を2.00%以下とする。Si含有量は、より好ましくは1.50%以下である。Siは必ずしも含有させる必要はなく、含有量の下限は0%である。
【0027】
Ca:0~2.00%
Caがめっき層中に含有されると、Mg含有量の増加に伴ってめっき操業時に形成されやすいドロスの形成量が減少し、めっき製造性が向上する。そのため、Caを含有させてもよい。Caは必ずしも含有させる必要はなく、下限は0%であるが、上記効果を得る場合、Ca含有量を0.03%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすることがより好ましい。
一方、Ca含有量が多いとラメラ組織が十分に形成されず、さらにはCaZn11相をはじめとしたCa系金属間化合物がその他の金属間化合物相として面積率で10%以上生成し、塗装後耐食性が低下する。また、めっき層の平面部の塗装後耐食性そのものが劣化する傾向にあり、溶接部周囲の耐食性も劣化することがある。そのため、Ca含有量は2.00%以下とする。Ca含有量は、好ましくは1.00%以下である。
【0028】
Fe:0~2.00%
Feはめっき層を製造する際に、不純物としてめっき層に混入する。Feは、2.00%程度まで含有されることがあるが、この範囲であれば本実施形態に係るめっき鋼板の特性への悪影響は小さい。そのため、Fe含有量を2.00%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.50%以下、さらに好ましくは1.00%以下である。
一方、上述の通り、Feは不純物としてめっき層に混入する。Feの混入を完全に防ぐには著しくコストがかかるので、Fe含有量を0.10%以上としてもよい。
【0029】
本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層の化学組成は、上記の化学組成を有し、残部がZn及び不純物であることを基本とする。不純物の含有量は、5.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましい。
しかしながら、本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層は、更にZnの一部に代えて、例えば、Sb、Pb、Cu、Sn、Ti、Sr、Ni、Mnを以下の範囲で含んでもよい(意図的な添加であるか、不純物としての含有であるかは問わない)。これらの元素は必ずしも含まなくてもよいので含有量の下限は0%である。
【0030】
Sb:0~0.50%
Sr:0~0.50%
Pb:0~0.50%
Sr、Sb、Pbがめっき層中に含有されると、めっき層の外観が変化し、スパングルが形成されて、金属光沢の向上が確認される。そのため含有させてもよい。上記効果を得る場合、Sb、Sr、Pbの1種以上を0.01%以上含有させることが好ましい。一方、これらの元素の含有量が0.50%超になると、様々な金属間化合物相が形成され、加工性および耐食性が悪化する。また、これらの元素の含有量が過剰になるとめっき浴の粘性が上昇し、めっき浴の建浴そのものが困難となることが多く、めっき性状が良好なめっき鋼板を製造できない。そのため、Sr含有量を0.50%以下、Sb含有量を0.50%以下、Pb含有量を0.50%以下とすることが好ましい。
【0031】
Sn:0~1.00%
Snは、Zn、Al、Mgを含むめっき層において、Mg溶出速度を上昇させる元素である。Mgの溶出速度が上昇すると、平面部耐食性が悪化する。そのため、Sn含有量を1.00%以下とすることが好ましい。
【0032】
Cu:0~1.00%
Ti:0~1.00%
Ni:0~1.00%
Mn:0~1.00%
これらの元素は、耐食性の向上に寄与する元素である。そのため、含有させてもよい。上記効果を得る場合、Cu、Ni、Ti、Mnの1種以上の含有量を、0.01%以上とすることが好ましい。一方、これらの元素の含有量が過剰になるとめっき浴の粘性が上昇し、めっき浴の建浴そのものが困難となることが多く、めっき性状が良好なめっき鋼板を製造できない。そのため、各元素の含有量をそれぞれ1.00%以下とすることが好ましい。
【0033】
めっき層の化学組成は、次の方法により測定する。
まず、地鉄(鋼材)の腐食を抑制するインヒビターを含有した酸でめっき層を剥離溶解した酸液を得る。次に、得られた酸液をICP分析で測定することで、めっき層の化学組成を得ることができる。酸種は、めっき層を溶解できる酸であれば、特に制限はない。化学組成は、平均化学組成として測定される。
【0034】
[めっき層に含まれる組織(相)]
本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層は、例えば
図2に示すように、表面において、(Al-Zn)相とMgZn
2相とが層状に並んだラメラ組織を含み、その面積率が10~95%である。また、本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層では、表面において、(Al-Zn)デンドライトの面積率が10%以下である。(比較のため、
図1に従来のめっき鋼板のめっき層の表面の組織写真を示す。)
一般に、Zn、Mg、Alを含むめっき浴に浸漬した鋼板を冷却すると、めっき層中には、初晶である(Al-Zn)デンドライトと、Zn/Al/MgZn
2の三元共晶組織とが生成される。この(Al-Zn)デンドライトは、耐食性が低いので、鋼板の塗装がなされた場合であっても塗膜に疵が入った場合等には、めっき層の内部で腐食が進行し、塗膜膨れが生じる。これに対し、めっき層の表面の耐食性が高ければ、塗膜に疵が入った場合であっても、めっき層の表面において腐食の進行を抑制することができる。本発明者らの検討の結果、(Al-Zn)相とMgZn
2相とが層状に並んだラメラ組織は耐食性が高く、表面に(Al-Zn)相とMgZn
2相とが層状に並んだラメラ組織を一定面積率以上で形成することで、耐食性が向上することが分かった。
そのため、本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層では、めっき層の表面において、塗装後耐食性の向上に寄与する(Al-Zn)相とMgZn
2相とが層状に並んだラメラ組織の面積率を10%以上とする。表面におけるラメラ組織の面積率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。ラメラ組織は塗装後耐食性だけでなく、耐LME性も向上させる効果を有する。
一方、上述した化学組成を前提とした場合、ラメラ組織の面積率を95%超とするのは、工業上容易ではない。そのため、ラメラ組織の面積率を95%以下とする。
また、本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層では、表面において、塗装後耐食性を低下させる(Al-Zn)デンドライトの面積率を10%以下とする。(Al-Zn)デンドライトの面積率は少ない方が好ましく、0%であってもよい。
ラメラ組織は、例えば
図3に示すように、(Al-Zn)相とMgZn
2相とが層状に並んだ組織であるが、そのラメラ間隔は微細であるほど塗装後耐食性及び耐LME性の向上効果が大きくなる。十分な性能が得られるラメラ間隔は2.5μm以下(2500nm以下)であり、好ましくは500nm以下である。このようなラメラ組織は、羽毛状組織とも呼ばれる。
Zn/Al/MgZn
2の三元共晶組織が、面積%で、Zn相:45~60%、MgZn
2相:35~45%、Al相:3~10%からなるのに対し、ラメラ組織は、各相の分率が、面積%で、Zn相:0~10%、MgZn
2相:40~65%、Al相:30~45%となる組織である。
【0035】
本実施形態に係るめっき鋼板のめっき層には、表面において、上述のラメラ組織及び(Al-Zn)デンドライト以外の相として、塊状MgZn2相、Zn/Al/MgZn2の三元共晶組織、その他の金属間化合物を含んでもよい。残部の合計は、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。
【0036】
塊状MgZn2相は塗装後耐食性の向上に寄与する。十分な効果を得る場合、塊状MgZn2相の面積率を5%以上とすることが好ましい。一方、加工性の点からは、MgZn2相の面積率は、40%以下であることが好ましい。
【0037】
Zn/Al/MgZn2の三元共晶組織の面積率は45%以下とすることが好ましい。Zn/Al/MgZn2の三元共晶組織の面積率が45%超であると塗装後耐食性の低下が懸念される。
また、MgSi2相およびその他の金属間化合物は、塗装後耐食性を低下させるので、それぞれ面積率で10.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは合計の面積率で10.0%以下である。その他の金属間化合物相としては、例えばCaZn11相、Al2CaSi2相、Al2CaZn2相などが挙げられる。
【0038】
めっき層の組織(各相の面積率、ラメラ間隔)については、以下の方法で測定する。
本実施形態に係るめっき鋼板から、圧延方向に直角方向に25mm×圧延方向に15mmのサイズのサンプルを採取し、このサンプルのめっき層の表面が観察面となるように、樹脂に埋め込み、研磨した後、SEM像ならびにEDSによる元素分布像を得る。めっき層の、ラメラ組織、塊状MgZn2相、Zn/Al/MgZn2三元共晶組織、(Al-Zn)デンドライト、その他の金属間化合物の面積率は、めっき層の断面EDSマッピング像を異なる5サンプルから、各1視野で合計5視野(倍率1500倍:60μm×50μm/1視野)を撮影し、画像から算出する。
その際、AlとZnとから成る(Al-Zn)相とMgZn2相とが層状に並び、ラメラ間隔が4μm以下であればラメラ組織と判断し、(Al-Zn)相とMgZn2相とが隣り合っていても、(Al-Zn)相またはMgZn2相の短径が4μm超であれば、それぞれを、(Al-Zn)デンドライト、塊状MgZn2相と判断し、ラメラ間隔4μm以下のZn相とα相とMgZn2とのラメラ組織であればZn/Al/MgZn2三元共晶組織と判断し、(Zn、Al、Mg、Si)以外の金属が相中に10%以上含有される場合は、その他の金属間化合物であると判断する。
また、ラメラ組織のラメラ間隔は、SEM観察からラメラ組織を形成する相の内、最も面積率が低い相について隣接する相までの間隔を測定し、その10か所平均を算出することで求める。
また、ラメラ組織、Zn/Al/MgZn2三元共晶組織を構成するZn相、MgZn2相、Al相の面積率は、断面SEM像上の当該組織の存在する領域を、画像処理ソフトなどを用いて線で囲い、線で囲んだ領域の面積を算出する方法で求めることができる。
【0039】
<製造方法>
次に、本実施形態に係るめっき鋼板の好ましい製造方法について説明する。本実施形態に係るめっき鋼板は、製造方法によらず上記の特徴を有していればその効果は得られる。しかしながら、以下の方法によれば安定して製造できるので好ましい。
【0040】
具体的には、本実施形態に係る鋼板は、以下の工程(I)~(IV)を含む製造方法によって製造可能である。
(I)鋼板を還元焼鈍する焼鈍工程
(II)鋼板をAl、Mg、Zn、並びに、La及びCeのうち1種または2種を含むめっき浴に浸漬してめっき原板とするめっき工程
(III)前記めっき原板を、15℃/秒以上の平均冷却速度で、(Al-Zn/MgZn2二元共晶温度-30)℃~(Al-Zn/MgZn2二元共晶温度-10)℃の冷却停止温度まで、冷却する制御冷却工程
(IV)前記制御冷却工程後、335℃までの平均冷却速度が5℃/秒以下となるように、335℃以下まで冷却する緩冷却工程
【0041】
[焼鈍工程]
焼鈍工程では、めっき工程に先立って、公知の方法で得られた鋼板(熱延鋼板または冷延鋼板)に対し、焼鈍(還元焼鈍)を行う。焼鈍条件については公知の条件でよく、例えば露点が-10℃以上の5%H2-N2ガス雰囲気下で750~900℃に加熱して、30~240秒保持する。
【0042】
[めっき工程]
めっき工程では、焼鈍後の降温過程で、鋼板をめっき浴に浸漬させてめっき層を形成させて、めっき原板とする。
めっき浴は、質量%で、Al:6.00~35.00%、Mg:3.00~15.00%、La+Ce:0.0001~0.5000%、Si:0~2.00%、Ca:0~2.00%を含み、残部がZn及び不純物からなることが好ましい。さらに、Fe、Sb、Sr、Pb、Sn、Cu、Ti、Ni、Mnを必要に応じて含んでもよい。めっき浴の組成は形成されるめっき層の組成と略同一となるので、得たいめっき層の化学組成に応じて調整すればよい。
【0043】
[制御冷却工程]
制御冷却工程では、めっき工程後の(めっき浴から引き上げた)めっき原板を、N2などのワイピングガスでめっき付着量を調整した後、冷却する。冷却に際しては、平均冷却速度が15℃/秒以上となるように、(Al-Zn/MgZn2二元共晶温度-30)℃~(Al-Zn/MgZn2二元共晶温度-10)℃の冷却停止温度まで冷却する。
上記の条件で冷却を行うことで、(Al-Zn)デンドライトの生成が抑制されるとともに、ラメラ組織の生成核が形成され、続く緩冷却工程においてラメラ組織が生成する。
平均冷却速度が15℃/秒未満であると、(Al-Zn)相とMgZn2相とがラメラ組織を形成することなく、(Al-Zn)デンドライトが多量に生成し、塗装後耐食性が低下する。
また、冷却停止温度が(Al-Zn/MgZn2二元共晶温度-30)℃よりも低いと、続く緩冷却工程でラメラ組織を十分な量生成させることが困難となる。また、(Al-Zn/MgZn2二元共晶温度-10)℃よりも高いと、α相とMgZn2相とが共晶凝固する条件を満たすことができなくなり、結果として(Al-Mg)デンドライトが多く生成する原因となる。
平均冷却速度の上限は限定する必要はないが、設備等の制約から平均冷却速度を40℃/秒以下としてもよい。
Al-Zn/MgZn2二元共晶温度は、例えばZn-Al-Mg三元系の液相面投影図から求めることが可能である。
【0044】
[緩冷却工程]
緩冷却工程では、制御冷却停止後のめっき原板を、335℃までの平均冷却速度が5℃/秒以下となるように、335℃以下まで冷却する。
この緩冷却工程によって、制御冷却工程で形成されたラメラ組織の生成核が成長し、表面において、所定のラメラ組織の面積率が得られる。
335℃までの平均冷却速度が5℃/秒超となると、核成長が不十分となり、ラメラ組織の面積率が不十分となる。
【0045】
上記の製造方法によれば、本実施形態に係るめっき鋼板が得られる。
【実施例】
【0046】
焼鈍、めっきに供する鋼板として、板厚1.6mmの冷延鋼板(0.2%C-2.0%Si-2.3%Mn)を準備した。
この鋼板を100mm×200mmに切断した後、バッチ式の溶融めっき試験装置を用いて、焼鈍及び溶融めっきを続けて行った。
焼鈍に際しては、酸素濃度20ppm以下の炉内において、H2ガスを5%含有し、残部がN2からなるガスからなり、露点0℃である雰囲気の下で、860℃で120秒間焼鈍を行った。
焼鈍後、鋼板をN2ガスで空冷して、鋼板温度が浴温+20℃に到達したところで、表1に示す浴温のめっき浴に約3秒間浸漬させた。
めっき層が形成されためっき原板に対し、N2ガスでめっきの付着量を40~80g/m2に調整した後、表2に示す条件で制御冷却及び緩冷却を行って室温まで冷却した。制御冷却停止温度は、いずれも、(Al-Zn/MgZn2二元共晶温度-30)℃~(Al-Zn/MgZn2二元共晶温度-10)℃の範囲内であった。
鋼板の温度はめっき原板中心部にスポット溶接した熱電対を用いて測定した。
【0047】
形成されためっき層の組成は、表1に示す通りであった。表1の残部は、Zn及び5.0%以下の不純物であった。
得られためっき鋼板に対し、めっき層に含まれる各相の面積率、及びラメラ組織のラメラ間隔を以下の方法で測定した。
得られためっき鋼板をから圧延方向に直角方向に25mm×圧延方向に15mmのサイズのサンプルを採取し、このサンプルのめっき層の表面が観察面となるように、樹脂に埋め込み、研磨した後、SEM像ならびにEDSによる元素分布像を得た。めっき層の、ラメラ組織、塊状MgZn2相、Zn/Al/MgZn2三元共晶組織、(Al-Zn)デンドライト、その他の金属間化合物の面積率は、めっき層の断面EDSマッピング像を異なる5サンプルから、各1視野で合計5視野(倍率1500倍:60μm×50μm/1視野)を撮影し、画像から算出した。
また、ラメラ組織のラメラ間隔は、SEM観察からラメラ組織を形成する相の内、最も面積率が低い相について隣接する相までの間隔を測定し、その10か所平均を算出することで求めた。
ラメラ組織については、いずれも面積%で、Zn相:0~10%、MgZn2相:40~65%、Al相:30~45%で構成される組織であった。
【0048】
また、得られためっき鋼板に対し、塗装後耐食性を評価した。
具体的には、めっき鋼板から50×100mmのサンプルを採取し、Znりん酸処理(SD5350システム:日本ペイント・インダストリアルコーディング社製規格)を実施し、その後、電着塗装(PN110パワーニックス(登録商標)グレー:日本ペイント・インダストリアルコーディング社製規格)を厚みが20μmになるように実施して、焼き付け温度150℃、20分で焼き付けを行った。その後、鋼板を60°、曲率半径が10mmの金型を用いたV曲げに供し、曲げ戻した後、さらに50℃、5%NaAl水溶液に500h浸漬し、V曲げ加工が施された面のみに接着テープを貼り付け瞬時に引き剥がすテープ剥離試験し、接着テープを貼り付けた面積に対し、塗装が剥離した面積の割合を求め、これによって以下のように評価した。
(評価)
B :剥離面積割合25%以上
A :剥離面積割合15~25%未満
AA :剥離面積割合10~15%未満
AAA:剥離面積割合10%未満
【0049】
また、得られた鋼板に対し、以下の条件でスポット溶接を行い、溶接部の断面を観察し、亀裂(LME割れ)の長さで評価した。
すなわち、表に記載のNo.1~30のめっき鋼板を2枚重ね合わせ、打角が7°、荷重が400kgfとなるように、通電電極を押し当て、電流パターンを、ナゲット径が3.5×√t~5.5×√t(t:板厚)となるよう設定してスポット溶接を行った。通電電極にはJIS規格におけるDR6φ型のCu-Cr電極を用いた。
スポット溶接後、打角を設けた方向と並行に鋼板の板厚方向に切断した。切断後、機械研磨と化学研磨とにより鏡面研磨に仕上げた溶接部の断面を光学顕微鏡で観察し、コロナボンド直外部のLME亀裂長さを測定した。
亀裂の有無によって以下のように判断した。
(評価)
A :0.3mm以下の亀裂あり
AA:亀裂無し
結果を表2に示す。
【0050】
【0051】
【0052】
表1~2から分かるように、発明例であるNo.2、3、5、7~10、12~17、19~22、24、26~29については優れた塗装後耐食性が得られている。
【0053】
一方、比較例である、No.1、4、6、11、18、23、25、30はめっき層の化学組成、めっき層の表面における組織の構成が本発明の範囲外だったため、塗装後耐食性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、従来の自動車用めっき鋼板よりも塗装後耐食性に優れるめっき鋼材を提供することができ、自動車用めっき鋼板の長寿命化を通して、産業の発展に貢献することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 (Al-Zn)相とMgZn2相とのラメラ組織
2 (Al-Zn)デンドライト
3 Zn/Al/MgZn2の三元共晶組織