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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/035 20120101AFI20231004BHJP
   B60W 50/023 20120101ALI20231004BHJP
   B60W 50/04 20060101ALI20231004BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20231004BHJP
   B60W 10/184 20120101ALI20231004BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20231004BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20231004BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20231004BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20231004BHJP
   B60R 99/00 20090101ALI20231004BHJP
【FI】
B60W50/035
B60W50/023
B60W50/04
B60W30/06
B60W10/184
B60W10/10
B60W10/26
B60W60/00
B60R16/033 B
B60R99/00 310
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020146747
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041514
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 航太
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-104529(JP,A)
【文献】特開2017-093070(JP,A)
【文献】特開2011-218863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
B60W 10/00 ~ 10/30
B60R 16/033
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪のうちの駆動輪に駆動力を付与する駆動装置と、
前記車輪に対して制動力を付与する制動装置と、
前記車両のトランスミッションのシフト位置を、前進位置、後進位置及び駐車位置を含む複数の位置のうちの一つへ切替えるシフト切替装置と、
前記車輪のうちの操舵輪の舵角を制御するステアリング装置と、
携帯装置から発生される支援要求を無線通信を通して受信可能に構成され、当該受信した支援要求に応じて、現時点における前記車両の位置から所定の目標位置まで前記車両を移動させることが可能な移動経路を決定し、前記決定された移動経路に沿って前記車両が移動するように、前記駆動装置、前記制動装置、前記シフト切替装置及び前記ステアリング装置を制御するための駐車支援制御を実行する少なくとも1つの制御ユニットと、
前記車両に搭載された第1電源装置と、
前記車両に搭載された第2電源装置と、
前記駐車支援制御が実行されている間において前記第1電源装置が正常である場合、前記駆動装置、前記制動装置、前記シフト切替装置、前記ステアリング装置及び前記制御ユニットに、前記第1電源装置から電力を供給し、
前記駐車支援制御が実行されている間において前記第1電源装置に異常が発生した場合、前記制動装置及び前記シフト切替装置の一方又は両方に、前記第2電源装置から電力を供給する電力供給回路と、
を備え、
前記駐車支援制御が実行されている間において前記第1電源装置に異常が発生した場合、前記制動装置及び前記シフト切替装置の一方又は両方は、前記車両を緊急停止させるフェールセーフ制御を実行するように構成され、
更に、前記制御ユニットは、前記駐車支援制御を開始した後において、
前記第2電源装置の蓄電量を監視し、
前記第2電源装置の前記蓄電量が所定の第1閾値より小さくなった場合、前記制動装置及び前記シフト切替装置の一方又は両方を制御して前記車両を停止させる停止制御を実行する
ように構成された、
車両制御装置において、
前記第1電源装置は、前記第2電源装置を充電できるように前記第2電源装置に接続されており、
前記制御ユニットは、前記停止制御を実行した後において、
前記第1電源装置に前記第2電源装置への充電を実行させ、
前記第2電源装置への前記充電が終了した後に、前記停止制御を解除し、且つ、前記駐車支援制御を再開させる
ように構成された、
車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記制御ユニットは、前記第2電源装置の前記蓄電量が、前記第1閾値よりも大きい所定の第2閾値以上になった場合、前記第1電源装置に前記第2電源装置への前記充電を終了させるように構成された、
車両制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記制御ユニットは、前記移動経路として、現在位置から進行方向切替位置まで前記車両を移動させる第1経路と、前記進行方向切替位置から前記目標位置まで前記車両を移動させる第2経路と、を演算するように構成され、前記進行方向切替位置は、前記シフト位置を切替えるために前記車両が一時停止する位置であり、
前記制御ユニットは、前記車両が前記第1経路を移動している間に前記第2電源装置の前記蓄電量が前記第1閾値より小さくなった場合、
前記車両を前記進行方向切替位置まで走行させ、且つ、前記進行方向切替位置にて、前記第1電源装置に前記第2電源装置への前記充電を実行させるように構成された、
車両制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両制御装置において、
前記第1電源装置は、第1の電源容量を有し、
前記第2電源装置は、前記第1の電源容量より小さい第2の電源容量を有する、
車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の周辺状況に応じて設定された目標領域に車両が移動するように駐車支援制御を実行する車両制御装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に提案されている装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、運転者が車両から降りた状態で駐車支援制御を実行することができる。このような制御は「リモート駐車支援制御」とも称呼される。運転者は、車両から降りると、リモートコントローラ(送信機)を操作する。リモートコントローラは、運転者の操作に応じて、駐車支援制御を開始させるための信号を従来装置に対して送信する。従来装置は、上記信号を受け取ると、車両に搭載された電源(バッテリ)の残量が所定閾値以下であるか否かを判定する。従来装置は、電源の残量が閾値以下である場合、トランスミッションのシフト位置をニュートラル位置に変更する。この構成によれば、電源の電力の不足に起因してエンジンが始動しない場合でも、運転者が車両の外側から力を加えることにより車両を移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-101225号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、リモート駐車支援制御の実行中に電源の異常(失陥)が生じる場合がある。しかしながら、従来装置においては、このような事態が生じた場合の処理について何ら検討されていない。駐車支援制御の実行中に電源の異常が生じた場合、電源の電力が少なくとも制動装置に供給されなくなる。これにより、車両の車輪に制動力を付与できない。更に、運転者が車両から降りているので、運転者がブレーキペダルを操作することもできない。従って、車両が移動し続ける可能性がある。
【0006】
上記を考慮して、第1の電源(主電源)及び第2の電源(バックアップ電源)を搭載した車両が提案される。この構成によれば、第1の電源の異常時に第2の電源の電力を用いて車両を停止させることができる。しかし、駐車支援制御の実行中において第2の電源の電力が各種の構成要素(例えば、回路内のダイオード及び抵抗等)により消費され、第2の電源の蓄電量が低下する場合がある。この場合、第1の電源の異常時に、第2の電源の電力の不足により車両を停車させることができない。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、駐車支援制御の実行中において第2の電源の電力の不足に応じて適切な処理を実行することが可能な車両制御装置を提供することである。
【0008】
1つ以上の実施形態における車両制御装置は、
車両の車輪のうちの駆動輪に駆動力を付与する駆動装置(20)と、
前記車輪に対して制動力を付与する制動装置(30)と、
前記車両のトランスミッション(24)のシフト位置を、前進位置、後進位置及び駐車位置を含む複数の位置のうちの一つへ切替えるシフト切替装置(40)と、
前記車輪のうちの操舵輪の舵角を制御するステアリング装置(50)と、
携帯装置から発生される支援要求を無線通信を通して受信可能に構成され、当該受信した支援要求に応じて、現時点における前記車両の位置から所定の目標位置まで前記車両を移動させることが可能な移動経路を決定し、前記決定された移動経路に沿って前記車両が移動するように、前記駆動装置、前記制動装置、前記シフト切替装置及び前記ステアリング装置を制御するための駐車支援制御を実行する少なくとも1つの制御ユニットと、
前記車両に搭載された第1電源装置(200)と、
前記車両に搭載された第2電源装置(210)と、
前記駐車支援制御が実行されている間において前記第1電源装置が正常である場合、前記駆動装置、前記制動装置、前記シフト切替装置、前記ステアリング装置及び前記制御ユニットに、前記第1電源装置から電力を供給し、
前記駐車支援制御が実行されている間において前記第1電源装置に異常が発生した場合、前記制動装置及び前記シフト切替装置の一方又は両方に、前記第2電源装置から電力を供給する電力供給回路(220)と、
を備える。
前記駐車支援制御が実行されている間において前記第1電源装置に異常が発生した場合、前記制動装置及び前記シフト切替装置の一方又は両方は、前記車両を緊急停止させるフェールセーフ制御を実行するように構成されている。
更に、前記制御ユニットは、前記駐車支援制御を開始した後において、
前記第2電源装置の蓄電量(Vd)を監視し、
前記第2電源装置の前記蓄電量が所定の第1閾値(Vd1)より小さくなった場合、前記制動装置及び前記シフト切替装置の一方又は両方を制御して前記車両を停止させる停止制御を実行する
ように構成されている。
更に、前記第1電源装置は、前記第2電源装置を充電できるように前記第2電源装置に接続されている。
前記制御ユニットは、前記停止制御を実行した後において、
前記第1電源装置に前記第2電源装置への充電を実行させ、
前記第2電源装置への前記充電が終了した後に、前記停止制御を解除し、且つ、前記駐車支援制御を再開させる
ように構成されている。
【0009】
第2電源装置の蓄電量が第1閾値より小さくなった状況において第1電源装置に異常が生じた場合、第2電源装置の電力の不足により制動装置及びシフト切替装置が作動できない可能性がある。従って、車両を停車させることができない可能性がある。上記の構成によれば、車両制御装置は、駐車支援制御の実行中において第2電源装置の電力が不足した場合に車両を停止させる。これにより、安全性を高めることができる。
又、上記の構成によれば、車両制御装置は、第2電源装置の電力の不足を解消して、駐車支援制御を再開できる。駐車支援制御を再開した後に第1電源装置に異常が発生した場合でも、制動装置及びシフト切替装置の一方又は両方は、第2電源装置の電力を用いて、フェールセーフ制御を実行できる。
【0012】
1つ以上の実施形態において、前記制御ユニットは、前記第2電源装置の前記蓄電量(Vd)が、前記第1閾値(Vd1)よりも大きい所定の第2閾値(Vd2)以上になった場合、前記第1電源装置に前記第2電源装置の前記充電を終了させるように構成されている。
【0013】
1つ以上の実施形態において、前記制御ユニットは、前記移動経路として、現在位置から進行方向切替位置まで前記車両を移動させる第1経路と、前記進行方向切替位置から前記目標位置まで前記車両を移動させる第2経路と、を演算するように構成されている。前記進行方向切替位置は、前記シフト位置を切替えるために前記車両が一時停止する位置である。前記制御ユニットは、前記車両が前記第1経路を移動している間に前記第2電源装置の前記蓄電量が前記第1閾値より小さくなった場合、前記車両を前記進行方向切替位置まで走行させ、且つ、前記進行方向切替位置にて、前記第1電源装置に前記第2電源装置への前記充電を実行させるように構成されている。
【0014】
上記の構成によれば、車両制御装置は、停止制御を実行することなく、進行方向切替位置にて第2電源装置への充電を行うことができる。第2電源装置の電力の不足に応じて車両が急に停止されないので、車両の外側にいるユーザ(運転者)が違和感を感じる可能性を低減できる。
【0015】
1つ以上の実施形態において、前記第1電源装置は、第1の電源容量を有し、前記第2電源装置は、前記第1の電源容量より小さい第2の電源容量を有する。
【0017】
一以上の実施形態において、上記の制御ユニットは、本明細書に記述される1以上の機能を実行するためにプログラムされたマイクロプロセッサにより実施されてもよい。一以上の実施形態において、制御ユニットは、1以上のアプリケーションに特化された集積回路、即ち、ASIC等により構成されたハードウェアによって、全体的に或いは部分的に実施されてもよい。上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る車両制御装置の概略構成図である。
図2図1に示した車両制御装置の各構成要素と、車両に搭載された電源装置(第1電源装置及び第2電源装置)との接続関係を説明するための図である。
図3図2に示した選択回路の構成を示した図である。
図4】駐車支援制御が開始された後の駐車支援ECU及びSBW・ECUの一連の処理の流れを示すシーケンス図である。
図5図4の一連の処理が実行されている間の第2蓄電部の電圧Vdの時間に対する変化を表すグラフである。
図6】駐車支援ECUのCPUが実行する「並列駐車支援実行ルーチン」を示したフローチャートである。
図7】SBW・ECUのCPUが実行する「充電実行ルーチン」を示したフローチャートである。
図8】駐車支援ECUのCPUが実行する「停止制御実行ルーチン」を示したフローチャートである。
図9】ブレーキECUのCPUが実行する「第1フェールセーフ制御実行ルーチン」を示したフローチャートである。
図10】SBW・ECUのCPUが実行する「第2フェールセーフ制御実行ルーチン」を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る車両制御装置は、車両に搭載される。車両制御装置が搭載された車両は、他の車両と区別するために「自車両」と称呼される場合がある。図1に示したように、車両は、駐車支援ECU10、駆動装置20、制動装置30、シフト切替装置40、及び、ステアリング装置50を備えている。
【0020】
本明細書において、「ECU」は電気制御ユニット(Electric Control Unit)を意味する。ECUは、CPU、RAM、ROM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを含む。CPUはROMに格納されたインストラクションを実行することにより各種機能を実現する。例えば、駐車支援ECU10は、CPU10a、RAM10b、ROM10c及びインターフェース(I/F)10d等を含むマイクロコンピュータを備える。
【0021】
駐車支援ECU10は、CAN(Controller Area Network)90を介して、他のECU(後述する各種ECU21、31、41、51、71及び72)と相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。
【0022】
駆動装置20は、駆動力を発生させ、当該駆動力を車輪(左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪)のうちの駆動輪に付与する。駆動装置20は、エンジンECU21、エンジンアクチュエータ22、内燃機関23、トランスミッション24、及び、駆動力を車輪に伝達する図示しない駆動力伝達機構等を含む。エンジンECU21は、エンジンアクチュエータ22に接続されている。エンジンアクチュエータ22は、内燃機関23のスロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU21は、エンジンアクチュエータ22を駆動することによって、内燃機関23が発生するトルクを変更することができる。内燃機関23が発生するトルク(以下、「駆動トルク」と称呼する。)は、トランスミッション24及び駆動力伝達機構を介して駆動輪に伝達される。従って、エンジンECU21は、エンジンアクチュエータ22を制御することによって、車両の駆動力を制御することができる。
【0023】
なお、車両が、ハイブリッド車両である場合、エンジンECU21は、車両駆動源としての「内燃機関及び電動機」の何れか一方又は両方によって発生する駆動力を制御することができる。更に、車両が電気自動車である場合、エンジンECU21は、車両駆動源としての電動機によって発生する駆動力を制御することができる。
【0024】
制動装置30は、車輪に対して制動力を付与する。制動装置30は、ブレーキECU31、ブレーキアクチュエータ32、及び、ホイールシリンダ33等を含む。ブレーキECU31は、ブレーキアクチュエータ32に接続されている。ブレーキアクチュエータ32は、公知の油圧回路を含み、図示しないリザーバ、オイルポンプ及び種々の弁装置等を含む。ブレーキアクチュエータ32は、ブレーキECU31からの指示に応じてホイールシリンダ33に供給する油圧(即ち、制動圧)を調整する。制動圧に応じて車輪に発生する摩擦制動力が変化する。従って、ブレーキECU31は、ブレーキアクチュエータ32を制御することによって、車両の制動力を制御することができる。
【0025】
シフト切替装置40は、トランスミッション24のシフト位置(変速段)の切替えを行う。本例において、シフト位置は、駐車位置、ニュートラル位置、前進位置、及び、後進位置を少なくとも含む。シフト位置が駐車位置であるとき、シフト切替装置40は、駆動輪に駆動トルクが伝達されず且つ車輪が回転不能となるように車輪を機械的にロックする。具体的には、シフト位置が駐車位置になると、トランスミッション24の出力軸が回転しないように当該出力軸がロックされる。このような状態は、パーキングロック(Pロック)状態とも称呼される。シフト位置がニュートラル位置であるとき、シフト切替装置40は駆動トルクを駆動輪に伝達しない。但し、シフト位置がニュートラル位置であるとき、シフト切替装置40は車輪を機械的にロックしない。シフト位置が前進位置にあるとき、シフト切替装置40は駆動トルクが車両を前進させる駆動力となるように駆動トルクを駆動輪に伝達する。シフト位置が後進位置であるとき、シフト切替装置40は駆動トルクが車両を後退させる駆動力となるように駆動トルクを駆動輪に伝達する。
【0026】
シフト切替装置40は、SBW(Shift-by-Wire)・ECU41、シフトレバーセンサ42、SBWアクチュエータ43、及び、シフト切替機構44等を含む。SBW・ECU41は、シフトレバーセンサ42及びSBWアクチュエータ43に接続されている。シフトレバーセンサ42は、シフトレバーの位置を検出する。SBW・ECU41は、シフトレバーの位置をシフトレバーセンサ42から受け取り、そのシフトレバー位置に基いてSBWアクチュエータ43を制御するようになっている。SBWアクチュエータ43は、SBW・ECU41からの指示に応じてシフト切替機構44を制御して、トランスミッション24のシフト位置を、複数のシフト位置(駐車位置、ニュートラル位置、前進位置及び後進位置)のうちの一つへと切り替える。
【0027】
より具体的に述べると、SBW・ECU41は、シフトレバーの位置が「P」であるとき、SBWアクチュエータ43を駆動して、トランスミッション24のシフト位置が駐車位置になるようにシフト切替機構44を制御する。SBW・ECU41は、シフトレバーの位置が「N」であるとき、SBWアクチュエータ43を駆動して、トランスミッション24のシフト位置がニュートラル位置になるようにシフト切替機構44を制御する。SBW・ECU41は、シフトレバーの位置が「D」であるとき、SBWアクチュエータ43を駆動して、トランスミッション24のシフト位置が前進位置になるようにシフト切替機構44を制御する。更に、SBW・ECU41は、シフトレバーの位置が「R」であるとき、SBWアクチュエータ43を駆動して、トランスミッション24のシフト位置が後進位置になるようにシフト切替機構44を制御する。なお、SBW・ECU41は、シフトレバーセンサ42から受け取ったシフトレバーの位置に関する信号を駐車支援ECU10にも出力するようになっている。
【0028】
なお、SBW・ECU41は、車速Vsがゼロであるときのみならず、車速Vsが所定の速度閾値Vsth(例えば、3km/h)以下であるときにも、トランスミッション24のシフト位置を駐車位置以外のシフト位置から駐車位置へと切替えることができる。
【0029】
ステアリング装置50は、車輪のうちの操舵輪(左前輪及び右前輪)の舵角を制御する。ステアリング装置50は、電動パワーステアリングECU(以下、「EPS・ECU」と称呼する。)51、アシストモータ(M)52、及び、ステアリング機構53等を含む。EPS・ECU51は、アシストモータ52に接続されている。アシストモータ52は、ステアリング機構53に組み込まれている。ステアリング機構53は、操舵ハンドルSWの回転操作により操舵輪を転舵するための機構である。ステアリング機構53は、操舵ハンドルSW、操舵ハンドルSWに連結されたステアリングシャフトUS、及び、図示しない操舵用ギア機構等を含む。EPS・ECU51は、ステアリングシャフトUSに設けられた操舵トルクセンサ(図示省略)によって、運転者が操舵ハンドルSWに入力した操舵トルクを検出し、この操舵トルクに基いてアシストモータ52を駆動する。EPS・ECU51は、このアシストモータ52の駆動によってステアリング機構53に操舵トルク(操舵アシストトルク)を付与し、これにより、運転者の操舵操作をアシストすることができる。
【0030】
更に、後述するように、駐車支援ECU10は、以降で説明する駐車支援制御の実行中にEPS・ECU51に対して操舵指令を送信する。EPS・ECU51は、駐車支援ECU10から操舵指令を受信した場合、操舵指令で特定される操舵トルクに基いてアシストモータ52を駆動し、もって、操舵輪の舵角を変更する。
【0031】
駐車支援ECU10は、周囲センサ60に接続されている。周囲センサ60は、車両周辺情報を取得するようになっている。車両周辺情報は、車両の周囲に存在する物体についての情報、及び、車両の周囲の路面上の区画線についての情報を含む。物体は、例えば、自動車、歩行者及び自転車などの移動物、並びに、ガードレール及びフェンスなどの固定物を含む。周囲センサ60は、複数の超音波センサ61及び複数のカメラ62を含む。
【0032】
超音波センサ61は、超音波をパルス状に車両の周囲の所定の範囲に送信し、物体によって反射された反射波を受信する。超音波センサ61は、超音波の送信から受信までの時間に基いて、「送信した超音波が反射された物体上の点である反射点」及び「超音波センサと物体との間の距離」等を検出することができる。
【0033】
カメラ62は、例えば、CCD(charge coupled device)或いはCIS(CMOS image sensor)の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。カメラ62は、車両を駐車又は出庫する際に確認すべき車両の周辺状況(物体の位置及び形状、並びに、区画線の位置及び形状を含む。)の画像データを取得し、当該画像データを駐車支援ECU10に出力するようになっている。
【0034】
駐車支援ECU10は、所定時間(便宜上、以降では「第1時間」とも称呼する。)dT1が経過するたびに、超音波センサ61のそれぞれから検出信号を受信する。駐車支援ECU10は、検出信号に含まれる情報(即ち、超音波が反射された点である反射点の位置)を、二次元マップにプロットする。この二次元マップは、車両の位置を原点とし、車両の進行方向をX軸、車両の左方向をY軸とした平面図である。なお、「車両の位置」とは、車両の平面視における所定の中心位置である。駐車支援ECU10は、二次元マップ上における反射点の一群がなす形状に基いて、車両の周囲にある物体を検出し、車両に対する物体の位置(距離及び方位)及び形状を特定する。
【0035】
なお、上述した「車両の位置」は、車両上の他の特定位置(例えば、左前輪及び右前輪の平面視における中央位置、平面視における左後輪及び右後輪の中央位置、又は、平面視における車両の幾何学的中心位置)であってもよい。
【0036】
更に、駐車支援ECU10は、第1時間dT1が経過するたびに、カメラ62から画像データを取得する。駐車支援ECU10は、画像データを解析することによって車両の周囲にある物体を検出し、車両に対する物体の位置(距離及び方位)及び形状を特定する。駐車支援ECU10は、画像データに基いて特定(検出)された物体を上述した二次元マップに描く。従って、駐車支援ECU10は、二次元マップ上に示された情報に基いて、車両の周囲(車両の位置から所定距離範囲内)に存在する物体を検出することができる。
【0037】
駐車支援ECU10は、二次元マップ上に示された情報に基いて、車両の周囲の領域であって、「物体が存在しない領域」を検出する。駐車支援ECU10は、物体が存在しない領域が、車両が余裕をもって駐車(或いは出庫)することが可能な大きさ及び形状を有する領域である場合、その領域を「駐車可能領域(或いは出庫可能領域)」として決定する。なお、車両の周囲において駐車領域を区画する区画線が検出されている場合、駐車可能領域は、区画線を跨がない長方形であり、その長辺が車両の前後方向長さよりも第1マージンだけ大きく、その短辺が車両の左右方向長さよりも第2マージンだけ大きい領域である。
【0038】
更に、駐車支援ECU10は、車輪速センサ63に接続されている。車輪速センサ63は、車輪(左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪)のそれぞれに設けられ、各車輪の回転角速度を表す信号を駐車支援ECU10に出力する。駐車支援ECU10は、車輪速センサ63からの信号に基いて、車速Vs(走行速度)を演算する。
【0039】
更に、駐車支援ECU10は、照合ECU71及び通信ECU72に接続されている。照合ECU71は、無線通信を通してスマートキー81と相互に情報を送信及び受信可能に構成されている。スマートキー81は、車両を一意に識別する識別子(以下、「ID」と称呼する。)を記憶している。同様に、照合ECU71のROMには、車両を一意に識別するIDが記憶されている。照合ECU71は、スマートキー81から送信されたIDと、照合ECU71のROMに記憶されたIDとが一致するか否かを判定する。スマートキー81から送信されたIDと、照合ECU71のROMに記憶されたIDとが一致する場合、照合ECU71は、ユーザ認証が完了したことを通知する信号(以下、「認証完了信号」と称呼する。)を駐車支援ECU10に出力する。
【0040】
通信ECU72は、無線通信を通して携帯装置82と相互に情報を送信及び受信可能に構成されている。携帯装置82は、例えば、スマートフォンである。携帯装置82には、駐車支援制御用のアプリケーション(以下、「駐車アプリケーション」と称呼する。)がインストールされている。駐車支援制御は、車両の周辺状況に応じて設定された目標領域に車両を自動的に移動させる周知の制御である。運転者が駐車アプリケーション上において所定の操作を行うと、携帯装置82は、駐車又は出庫の支援を要求する信号(以下、「支援要求信号」と称呼する。)を通信ECU72に送信する。通信ECU72は、携帯装置82から支援要求信号を受け取ると、その支援要求信号を駐車支援ECU10に出力する。更に、携帯装置82は、駐車支援ECU10から通信ECU72を通して表示指令を受信し、その表示指令に基いて駐車支援制御に関する各種情報を携帯装置82の表示画面に表示する。
【0041】
(駐車支援制御の内容)
ユーザ(運転者)は、駐車アプリケーション上において所定の操作を行うことにより、支援要求信号を通信ECU72を介して駐車支援ECU10に送信する。更に、駐車アプリケーションによって、支援モードが、駐車モード及び出庫モードの何れかに設定される。支援モードは、ユーザによって設定されてもよいし、車両の状況及び車両の周辺の状況に応じて自動的に設定されてもよい。従って、支援要求信号は支援モードの情報を含む。
【0042】
駐車モードは、並列駐車モード及び縦列駐車モードを含む。並列駐車モードは、車両を並列駐車するときの駐車支援を行うモードである。並列駐車は、走行路の進行方向に対して直角方向に車両を駐車することと同義である。より具体的には、並列駐車は、車両(自車両)の一の側面が他車両(第1他車両)の一の側面に対向し且つ自車両の他の側面が別の他車両(第2他車両)の一の側面に対向し、自車両の車幅方向の中央を通る前後方向軸線と、第1及び第2他車両のそれぞれの車幅方向の中央を通る前後方向軸線とが、互いに平行になるように自車両を駐車することである。
【0043】
縦列駐車モードは、自車両を縦列駐車するときの駐車支援を行うモードである。縦列駐車は、走行路の進行方向に対して自車両が平行となるように自車両を駐車することと同義である。より具体的には、縦列駐車は、自車両の前端部が第1他車両の後端部(又は前端部)に対向し且つ自車両の後端部が第2他車両の前端部(又は後端部)に対向し、自車両の車幅方向の中央を通る前後方向軸線と、第1及び第2他車両のそれぞれの車幅方向の中央を通る前後方向軸線とが、実質的に同一直線上に位置するように自車両を駐車することである。
【0044】
出庫モードは、駐車された自車両を出庫する(走行路へと移動させる)ときの支援を行うモードである。
【0045】
駐車モード(並列駐車モード又は縦列駐車モード)が支援モードとして設定された場合、駐車支援ECU10は、駐車可能領域に対して車両を駐車させたと仮定した場合に車両の車体が占有する領域を「目標領域」として決定する。更に、駐車支援ECU10は、車両がその目標領域に駐車された場合における車両の位置を目標位置Ptgtとして設定する。ここでの目標位置Ptgtとは、車両の平面視における中心位置が到達すべき位置である。
【0046】
駐車支援ECU10は、車両を駐車支援制御の開始位置(即ち、現在位置)Pstから目標位置Ptgtにまで移動させる移動経路を演算する。移動経路は、車両の車体が物体(他車両、縁石及びガードレール等)に対して所定の間隔以上をあけながら車両が開始位置Pstから目標位置Ptgtまで移動することができる経路である。なお、駐車支援ECU10は、様々な既知の演算方法の一つ(例えば、特開2015-3565号公報に提案されている方法)に従って、移動経路を演算する。
【0047】
なお、駐車支援ECU10は、車両を1回だけ後進させるだけでは車両を目標位置Ptgtにまで移動させることができない場合、以下のように移動経路を演算する。例えば、駐車支援ECU10は、開始位置Pstから進行方向切替位置(即ち、トランスミッション24のシフト位置を前進位置から後進位置へ切替えるために車両が一時停止する位置)Pswまで車両を前進させる第1経路と、進行方向切替位置Pswから目標位置Ptgtまで車両を後進させる第2経路と、を演算する。
【0048】
駐車支援ECU10は、移動経路が決定されると、当該移動経路に沿って車両を移動させるための「車両の移動方向(具体的には、トランスミッション24のシフト位置)、舵角パターン及び速度パターン」を決定する。
【0049】
駐車支援ECU10は、決定されたシフト位置に応じて、CAN90を介してSBW・ECU41に対してシフト制御指令を送信する。SBW・ECU41は、駐車支援ECU10からシフト制御指令を受信した場合には、SBWアクチュエータ43を駆動して、トランスミッション24のシフト位置をシフト制御指令で特定される位置に変更する(即ち、シフト制御を実行する。)。
【0050】
舵角パターンは、移動経路上の車両の位置と操舵輪の舵角とを関連付けたデータであり、車両が移動経路を走行する際の舵角の変化を表す。駐車支援ECU10は、決定された舵角パターンに応じて、CAN90を介してEPS・ECU51に対して操舵指令(目標舵角を含む)を送信する。EPS・ECU51は、駐車支援ECU10から操舵指令を受信した場合には、操舵指令で特定される操舵トルクに基いてアシストモータ52を駆動して実際の舵角を目標舵角に一致させる(即ち、舵角制御を実行する。)。
【0051】
速度パターンは、移動経路上の車両の位置と車両の目標速度Vsaとを関連付けたデータであり、車両が移動経路を走行する際の目標速度Vsaの変化を表す。駐車支援ECU10は、速度パターンに従って、CAN90を介してエンジンECU21に対して駆動力制御指令を送信する。エンジンECU21は、駐車支援ECU10から駆動力制御指令を受信した場合には、駆動力制御指令に応じてエンジンアクチュエータ22を制御する(即ち、駆動力制御を実行する)。更に、駐車支援ECU10は、速度パターンに従って、CAN90を介してブレーキECU31に対して制動力制御指令を送信する。ブレーキECU31は、駐車支援ECU10から制動力制御指令を受信した場合には、制動力制御指令に応じてブレーキアクチュエータ32を制御する(即ち、制動力制御を実行する)。
【0052】
出庫モードが支援モードとして設定された場合においても、駐車支援ECU10は、同様の駐車支援制御を実行する。即ち、駐車支援ECU10は、出庫可能領域内に目標領域を決定するとともに、出庫が完了した時の車両の位置である目標位置Ptgtを目標領域内に設定する。駐車支援ECU10は、車両を駐車支援制御の開始位置Pstから目標位置Ptgtにまで移動させる移動経路を演算する。駐車支援ECU10は、移動経路に沿って車両を移動させるための「車両の移動方向、舵角パターン及び速度パターン」を決定する。これらに従って、駐車支援ECU10は、シフト制御、舵角制御、駆動力制御及び制動力制御を実行する。
【0053】
以上のように、駐車支援ECU10は、運転者が車両から降りた状態で、トランスミッション24のシフト位置を変更するシフト制御、操舵輪の舵角を変更する舵角制御、車両の駆動力を制御する駆動力制御及び車両の制動力を制御する制動力制御を駐車支援制御として実行するようになっている。
【0054】
(電源の冗長化構成)
図2に示すように、車両は、第1電源装置200、第2電源装置210及び電力供給回路220を備えている。
【0055】
第1電源装置200は、第1蓄電部201及び第1電力制御部202を含む。第1蓄電部201は、充電及び放電が可能な蓄電要素であり、例えば、二次電池である。二次電池として、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池が採用されてもよい。第1蓄電部201は、第1の電源容量を有する。第1電力制御部202は、第1蓄電部201の充電及び放電を制御する充放電回路202a、周知の昇圧/降圧回路(例えば、DC/DCコンバータ202b)、並びに、充放電回路202a及びDC/DCコンバータ202bを制御するECU202c等を含む。なお、ECU202cは第1蓄電部201の電力により作動する。第1電力制御部202は、第1蓄電部201の出力電圧を予め定められた一定の第1電圧V1(>0)に調整するようになっている。
【0056】
第2電源装置210は、駐車支援制御の実行中に第1電源装置200の異常(失陥)が生じた場合に使用される電源である。第2電源装置210は、第2蓄電部211及び第2電力制御部212を含む。第2蓄電部211は、充電及び放電が可能な蓄電要素であり、1つ以上のキャパシタを含む。例えば、第2蓄電部211は、電気二重層キャパシタであってもよい。第2蓄電部211は、第2の電源容量を有する。車両での積載サイズ及びコスト等の観点から、第2蓄電部211の第2の電源容量は、第1蓄電部201の第1の電源容量に比べて小さい。なお、第2蓄電部211は、第1蓄電部201と同様に二次電池であってもよい。
【0057】
第2電力制御部212は、第2蓄電部211の充電及び放電を制御する充放電回路212a、周知の昇圧/降圧回路(例えば、DC/DCコンバータ212b)、並びに、充放電回路212a及びDC/DCコンバータ212bを制御するECU212c等を含む。なお、ECU212cは第2蓄電部211の電力により作動する。第2電力制御部212は、第2蓄電部211の出力電圧を予め定められた一定の第2電圧V2(>0)に調整するようになっている。第2電圧V2は、第1電圧V1よりも低い電圧である。
【0058】
更に、ECU212cは、第2蓄電部211の蓄電量を検出することができる。例えば、ECU212cは、第2蓄電部211のキャパシタの電圧Vdを検出する。ECU212cは、CAN90を介して、第2蓄電部211の蓄電量に関する情報(即ち、電圧Vdの情報)をSBW・ECU41に送信する。なお、ECU212cは、第2蓄電部211の電圧Vdの情報を他のECU(10、21、31及び51)に送信してもよい。
【0059】
更に、第1電源装置200は、第2蓄電部211を充電できるように、充電ライン260を介して、第2電源装置210に接続されている。第1電源装置200は、第1蓄電部201の電力を用いて第2蓄電部211を充電できる。例えば、第2蓄電部211は、DC/DCコンバータ212bを介して、第1電源装置200と接続されている。従って、第1蓄電部201の電力が、DC/DCコンバータ212bを通して所定の電圧を有する電力に変換される。そして、DC/DCコンバータ212bから出力された電力により第2蓄電部211が充電される。
【0060】
なお、第1電源装置200は、図示しないイグニッションスイッチの状態がオフ状態からオン状態に変更された後の所定のタイミングにて(例えば、車両の走行中において)、第1蓄電部201の電力を用いて第2蓄電部211を充電する。
【0061】
電力供給回路220は、電源冗長化回路230、第1電源ライン240、及び、第2電源ライン250を含む。第1電源ライン240は、第1電源装置200から延びて、駐車支援ECU10、駆動装置20、ステアリング装置50及び電源冗長化回路230に接続されている。第2電源ライン250は、第2電源装置210から延びて、電源冗長化回路230に接続されている。
【0062】
図2に示すように、電源冗長化回路230は、第1選択回路231-1及び第2選択回路231-2を備えている。第1選択回路231-1及び第2選択回路231-2は、それぞれ、第1電源ライン240を介して供給された第1蓄電部201の電力及び第2電源ライン250を介して供給された第2蓄電部211の電力の何れかを選択して、当該選択された電力を出力するようになっている。図3に示すように、第1選択回路231-1及び第2選択回路231-2は、それぞれ、「ダイオードOR回路」である。
【0063】
第1選択回路231-1は、第1電源ライン240にアノードが接続された第1ダイオード301-1と、第2電源ライン250にアノードが接続された第2ダイオード302-1とを備える。第1ダイオード301-1のカソード及び第2ダイオード302-1のカソードは、第1選択回路231-1の出力端231a-1に接続されている。第1選択回路231-1の出力端231a-1は、出力ライン260-1に接続されている。出力ライン260-1は、制動装置30に接続されている。
【0064】
第2選択回路231-2は、第1電源ライン240にアノードが接続された第1ダイオード301-2と、第2電源ライン250にアノードが接続された第2ダイオード302-2とを備える。第1ダイオード301-2のカソード及び第2ダイオード302-2のカソードは、第2選択回路231-2の出力端231a-2に接続されている。第2選択回路231-2の出力端231a-2は、出力ライン260-2に接続されている。出力ライン260-2は、シフト切替装置40に接続されている。
【0065】
第1選択回路231-1及び第2選択回路231-2は同じ構成であるので、以下では、第1選択回路231-1の動作について説明する。第1選択回路231-1は、第1ダイオード301-1のアノードの電圧と第2ダイオード302-1のアノードの電圧とのうちの高い方の電圧を示す電力を選択して出力する。具体的には、第1選択回路231-1においては、第1電源ライン240を介して第1ダイオード301-1に印加される電圧が、第2電源ライン250を介して第2ダイオード302-1に印加される電圧よりも高い場合、第1ダイオード301-1から出力端231a-1へのラインが導通する。この場合、第1選択回路231-1は、第1蓄電部201の電力を出力端231a-1から出力ライン260-1に出力する。第1蓄電部201の電力は、出力ライン260-1を介して制動装置30に供給される。
【0066】
一方、第2電源ライン250を介して第2ダイオード302-1に印加される電圧が、第1電源ライン240を介して第1ダイオード301-1に印加される電圧よりも高い場合、第2ダイオード302-1から出力端231a-1へのラインが導通する。この場合、第1選択回路231-1は、第2蓄電部211の電力を出力端231a-1から出力ライン260-1に出力する。第2蓄電部211の電力は、出力ライン260-1を介して制動装置30に供給される。
【0067】
(作動の概要)
イグニッションスイッチの状態がオフ状態からオン状態に変更されると、第1電力制御部202は、第1電圧V1を第1電源ライン240に印加する。第1蓄電部201の電力は、第1電源ライン240を介して、駐車支援ECU10、駆動装置20及びステアリング装置50に供給される。更に、第1蓄電部201の電力は、第1電源ライン240を介して、電源冗長化回路230に供給される。第1蓄電部201の電力は、電源冗長化回路230を介して制動装置30及びシフト切替装置40に供給される。従って、駐車支援ECU10、駆動装置20、制動装置30、シフト切替装置40及びステアリング装置50は、それぞれ、第1蓄電部201の電力を用いて作動する。なお、駐車支援制御が実行されていない状況においては、第2蓄電部211の電力は、電源冗長化回路230に供給されない。
【0068】
次に、駐車支援制御が実行されている間において、(1)第1電源装置200が正常に作動している場合と、(2)第1電源装置200に異常が生じた場合とについて、車両制御装置の作動を説明する。
【0069】
(1)第1電源装置200が正常に作動している場合
駐車支援ECU10は、支援要求信号を受信し且つ後述する実行条件が成立したとき、第2電力制御部212に対して開始指令を送信する。この開始指令に応じて、第2電力制御部212は、第2電圧V2を第2電源ライン250に印加する。その後、駐車支援ECU10は、上述のように「車両の移動方向、舵角パターン及び速度パターン」を決定し、これらに従って駐車支援制御を開始する。駐車支援制御が実行されている間において第1電源装置200が正常に作動している場合、駐車支援ECU10、駆動装置20及びステアリング装置50が、第1電源ライン240を介して供給された電力(即ち、第1蓄電部201の電力)を用いて作動する。更に、第1電源ライン240の電圧(V1)が第2電源ライン250の電圧(V2)よりも高いので、第1選択回路231-1は、第1電源ライン240を介して供給された第1蓄電部201の電力を出力ライン260-1に出力し、第2選択回路231-2は、第1電源ライン240を介して供給された第1蓄電部201の電力を出力ライン260-2に出力する。従って、制動装置30及びシフト切替装置40は、第1蓄電部201の電力を用いて作動する。
【0070】
(2)第1電源装置200に異常が発生した場合
駐車支援制御が実行されている間において第1電源装置200に異常が生じると、第1蓄電部201の電力が、第1電源ライン240に供給されなくなる。これにより、第1電源ライン240の電圧が低下する(例えばゼロになる)。駐車支援ECU10、駆動装置20及びステアリング装置50は、それぞれ、作動を停止する。一方、第2電源ライン250の電圧(V2)が第1電源ライン240の電圧(ゼロ)よりも高くなるので、第1選択回路231-1は、第2蓄電部211の電力を出力ライン260-1に出力し、第2選択回路231-2は、第2蓄電部211の電力を出力ライン260-2に出力する。従って、第1電源装置200に異常が生じた場合でも、第2蓄電部211の電力が、第1選択回路231-1を介して制動装置30に供給されるとともに、第2選択回路231-2を介してシフト切替装置40に供給される。従って、制動装置30及びシフト切替装置40は、第2蓄電部211の電力を用いて作動する。
【0071】
駐車支援ECU10は、駐車支援制御を実行している間、所定時間Tmが経過するごとに、CAN90を介して、エンジンECU21、ブレーキECU31、SBW・ECU41及びEPS・ECU51と通信を行う。即ち、駐車支援ECU10は、これらのECUに対して指令信号(上述した制御指令を含む。)を送信し、これらECUから応答信号を受け取る。第1電源装置200に異常が生じた場合、第1蓄電部201の電力が駐車支援ECU10に供給されなくなるので、駐車支援ECU10の作動が停止する。これにより、上述した指令信号の送信が停止する。このような場合でも、上述したように、制動装置30及びシフト切替装置40は、第2蓄電部211の電力を用いて作動する。
【0072】
第1電源装置200に異常が生じた場合、車両制御装置は、車両を緊急停止させるフェールセーフ制御を実行する。フェールセーフ制御は、ブレーキECU31によって実行される制動力制御(以下、「第1フェールセーフ制御」と称呼する。)と、シフト切替装置40によって実行されるシフト制御(以下、「第2フェールセーフ制御」と称呼する。)と、を含む。
【0073】
具体的には、ブレーキECU31は、駐車支援制御の実行中において駐車支援ECU10からの指令信号を所定の時間閾値Tth以上受信しない場合、第1電源装置200に異常が生じたと判定する。なお、時間閾値Tthは、所定時間Tmよりも大きい値である。ブレーキECU31は、第1電源装置200に異常が生じたと判定した場合、第1フェールセーフ制御を実行する。第1フェールセーフ制御は、車輪に対して制動力を付与することにより、車両が目標位置Ptgtに到達する前に車両を停車させる制御である。
【0074】
同様に、SBW・ECU41は、駐車支援制御の実行中において駐車支援ECU10からの指令信号を時間閾値Tth以上受信しない場合、第1電源装置200に異常が生じたと判定する。SBW・ECU41は、第1電源装置200に異常が生じたと判定した場合、第2フェールセーフ制御を実行する。第2フェールセーフ制御は、トランスミッション24のシフト位置を駐車位置に変更する制御である。第2フェールセーフ制御により、トランスミッション24の状態がパーキングロック状態になる。従って、車両を停止させることができる。
【0075】
なお、SBW・ECU41は、第1電源装置200に異常が生じたと判定した時点から所定の時間Taが経過した時点にて、第2フェールセーフ制御を開始する。即ち、SBW・ECU41は、時間Taだけ待機した後に第2フェールセーフ制御を開始する。SBW・ECU41が待機している間にブレーキECU31が第1フェールセーフ制御を開始するので、車速Vsが小さくなる。従って、車速Vsが速度閾値Vsth以下である状況においてトランスミッション24のシフト位置の切替え(駐車位置への切替え)を行う可能性を高めることができる。
【0076】
以上のように、駐車支援制御が実行されている間において第1電源装置200に異常が発生した場合でも、制動装置30及びシフト切替装置40は、第2蓄電部211の電力を用いて作動する。そして、制動装置30は第1フェールセーフ制御を実行し、シフト切替装置40は第2フェールセーフ制御を実行する。従って、運転者が車両から降りた状態で駐車支援制御が実行されている場合において第1電源装置200に異常が生じたとしても、車両を停止させることができる。
【0077】
ところで、駐車支援制御の実行中において第2蓄電部211の電力が各種の構成要素(例えば、回路内のダイオード及び抵抗等)により消費され、第2蓄電部211の蓄電量が低下する場合がある。このような状況において第1電源装置200の異常が発生すると、制動装置30及びシフト切替装置40が作動できない。従って、車両を停車させることができない虞がある。
【0078】
そこで、車両制御装置は、駐車支援制御を実行している間において、第2蓄電部211の蓄電量(電圧Vd)を監視する。車両制御装置は、第2蓄電部211の電圧Vdが所定の第1電圧値Vd1より小さくなった場合、車両を停止させる停止制御を実行する。この構成によれば、駐車支援制御の実行中において第2電源装置210の電力が不足した場合には車両が停止されるので、安全性を高めることができる。
【0079】
更に、車両制御装置は、停止制御を実行した後において、第1電源装置200に第2電源装置210への充電を実行させる。車両制御装置は、第2蓄電部211の電圧Vdが所定の第2電圧値Vd2以上になった場合、第1電源装置200に第2電源装置210への充電を終了させる。第2電圧値Vd2は、第1電圧値Vd1より大きい(Vd2>Vd1)。第2電源装置210の充電が終了した後に、車両制御装置は、停止制御を解除し、且つ、駐車支援制御を再開させる。
【0080】
上記の制御について図4及び図5を用いて説明する。図4は、駐車支援制御が開始された後の駐車支援ECU10及びSBW・ECU41の一連の処理の流れを示すシーケンス図であり、図5は、図4の一連の処理が実行されている間の第2蓄電部211の電圧Vdの時間に対する変化を表すグラフである。
【0081】
ある時点t0にて、駐車支援ECU10が駐車支援制御を開始する(401)。第1電源装置200は、駐車支援制御が開始される前に(例えば、車両が走行している間に)、第1蓄電部201の電力を用いて第2蓄電部211を充電する。従って、図5に示すように、時点t0にて、第2蓄電部211の電圧Vdは第2電圧値Vd2よりも大きい。なお、駐車支援ECU10は、駐車支援制御を開始する時点にて、第2電力制御部212に対して開始指令を送信する。この開始指令に応じて、第2電力制御部212は、第2電圧V2を第2電源ライン250に印加する。
【0082】
SBW・ECU41は、所定時間(後述するdT2)が経過するごとに、第2電力制御部212のECU212cから、第2蓄電部211の電圧Vdの情報を取得する。そして、SBW・ECU41は、所定の充電開始条件が成立するか否かを判定する。充電開始条件は、駐車支援ECU10が現時点にて駐車支援制御を実行しており、且つ、第2蓄電部211の電圧Vdが第1電圧値Vd1よりも小さいときに成立する。上述の通り、第1電圧値Vd1は、第2蓄電部211の蓄電量が不足しているか否かを判定するための閾値である。
【0083】
時点t0の後、第2蓄電部211の電圧Vdが徐々に小さくなる。そして、時点t1にて、第2蓄電部211の電圧Vdが第1電圧値Vd1よりも小さくなる(図5を参照。)。従って、SBW・ECU41は、充電開始条件が成立すると判定する(402)。SBW・ECU41は、第2蓄電部211の蓄電量が不足している旨を通知する第1信号を駐車支援ECU10に送信する(403)。
【0084】
駐車支援ECU10が第1信号を受け取ると、駐車支援ECU10は停止制御を実行する(404)。具体的には、駐車支援ECU10は、ブレーキECU31に対して制動力制御指令を送信する。ブレーキECU31は、制動力制御指令に応じてブレーキアクチュエータ32を制御して車輪に制動力を付与する。これにより、車両を停止させる。更に、駐車支援ECU10は、SBW・ECU41に対してシフト制御指令を送信する。SBW・ECU41は、シフト制御指令に応じてSBWアクチュエータ43を駆動して、トランスミッション24のシフト位置を駐車位置へ変更する。これにより、トランスミッション24の状態がパーキングロック状態になる。
【0085】
更に、駐車支援ECU10は、携帯装置82に対する表示制御を実行する(404)。駐車支援ECU10は、携帯装置82に対して表示指令を送信する。携帯装置82は、表示指令を受信すると、駐車支援制御が中断される(一時的に停止される)旨を駐車アプリケーション上にて表示する。
【0086】
駐車支援ECU10は、停止制御及び表示制御を実行した後、車両が停止した旨を通知する第2信号をSBW・ECU41に送信する(405)。SBW・ECU41が第2信号を受け取ると、SBW・ECU41は第1電源装置200のECU202cに充電開始指令を送信する(406)。充電開始指令は、第1電源装置200に第2蓄電部211への充電を開始させるための指令である。
【0087】
時点t2にて、ECU202cは充電開始指令を受け取る(図5を参照。)。ECU202cは、充電開始指令に応じて、第1蓄電部201の電力を用いて第2蓄電部211への充電を開始する。従って、時点t2以降において、第2蓄電部211の電圧Vdが徐々に大きくなる。
【0088】
上述のように、SBW・ECU41は、ECU212cから、第2蓄電部211の電圧Vdの情報を取得する。SBW・ECU41は、所定の充電終了条件が成立するか否かを判定する。充電終了条件は、第2蓄電部211の電圧Vdが第2電圧値Vd2以上であるときに成立する。第2電圧値Vd2は、第2蓄電部211の蓄電量が十分に確保されたかどうかを判定するための閾値である。
【0089】
時点t3にて、第2蓄電部211の電圧Vdが第2電圧値Vd2以上になる(図5を参照。)。従って、SBW・ECU41は、充電終了条件が成立したと判定する(407)。SBW・ECU41は、ECU202cに充電終了指令を送信する(408)。充電終了指令は、第1電源装置200に第2蓄電部211への充電を終了させるための指令である。
【0090】
次に、SBW・ECU41は、第2蓄電部211の充電が完了した旨を通知する第3信号を駐車支援ECU10に送信する(409)。駐車支援ECU10が第3信号を受け取ると、駐車支援ECU10は停止制御を解除する(410)。具体的には、駐車支援ECU10はSBW・ECU41に対してシフト制御指令を送信する。SBW・ECU41は、シフト制御指令に応じてSBWアクチュエータ43を駆動して、トランスミッション24のシフト位置を、駐車位置から、停止制御が実行される前の位置(前進位置又は後進位置)へと変更する。更に、駐車支援ECU10は駐車支援制御を再開する(411)。
【0091】
このような構成によれば、駐車支援制御の実行中に第2電源装置210の電力の不足が生じた場合、車両制御装置は、駐車支援制御を中断させる(即ち、駐車支援制御を一時的に停止する)。そして、車両制御装置は、第2蓄電部211を充電する。その後、車両制御装置は、駐車支援制御を再開する。車両制御装置は、第2電源装置210の電力の不足を解消しながら、車両を目標位置Ptgtまで移動させることができる。仮に駐車支援制御を再開した後に第1電源装置200に異常が発生した場合でも、制動装置30及びシフト切替装置40は、第2電源装置210の電力を用いて、フェールセーフ制御を実行できる。
【0092】
(作動)
次に、駐車支援ECU10のCPU(単に「CPU1」と称呼する。)の作動について説明する。CPU1は、「前述した第1時間dT1と同じか又は長い第2時間dT2」が経過する毎に、図6にフローチャートにより示した「並列駐車支援実行ルーチン」を実行するようになっている。
【0093】
なお、各種ECU(駐車支援ECU10、SBW・ECU41及びブレーキECU31)は、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態へと変更されたとき、図示しない初期化ルーチンを実行して、以下に述べるフラグX1乃至X3の値を「0」に設定している。更に、上述したように、第1電源装置200に異常が発生すると、駐車支援ECU10に電力が供給されなくなり、その結果、駐車支援ECU10の作動が停止する。この場合、その後に駐車支援ECU10への電力の供給が再開されたときにも、各種ECUは、初期化ルーチンを実行して、それらのフラグの値を「0」に設定する。
【0094】
更に、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態へと変更されると、第1電力制御部202は、第1電圧V1を第1電源ライン240に印加する。
【0095】
加えて、CPU1は、図示しないルーチンを第1時間dT1が経過する毎に実行することにより、周囲センサ60から車両周辺情報を取得している。そして、CPU1は、図示しないルーチンを第1時間dT1が経過する毎に実行することにより、上述した二次元マップを車両周辺情報に基いて更新している。
【0096】
所定のタイミングになると、CPU1は、図6のステップ600から処理を開始してステップ601に進み、第1フラグX1の値が「0」であるか否かを判定する。第1フラグX1の値が「0」であるとき、これは、駐車支援制御が実行されていないことを示す。第1フラグX1の値が「1」であるとき、これは、駐車支援制御が実行されていることを示す。更に、第1フラグX1の値が「2」であるとき、これは、駐車支援制御が中断されていることを示す。
【0097】
いま、第1フラグX1の値が「0」であると仮定すると、CPU1はステップ601にて「Yes」と判定してステップ602に進み、携帯装置82から支援要求信号(支援モードの情報を含む)を受信したか否かを判定する。支援要求信号が受信されていない場合、CPU1はステップ602にて「No」と判定してステップ695に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0098】
いま、支援要求信号が受信されたと仮定すると、CPU1はステップ602にて「Yes」と判定してステップ603に進み、所定の実行条件が成立するか否かを判定する。実行条件は、以下の条件A1乃至条件A4の総てが成立したときに成立する。
(条件A1)CPU1は、照合ECU71から認証完了信号を受信している。
(条件A2)支援要求信号に含まれる支援モードが、並列駐車モードである。
(条件A3)シフトレバーの位置が駐車位置(P)である。
(条件A4)CPU1は、車両が並列駐車できる大きさ及び形状を有する駐車可能領域を検出している。
【0099】
実行条件が成立しない場合、CPU1は、ステップ603にて「No」と判定してステップ695に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。この場合、CPU1は、携帯装置82に対して表示指令を送信してもよい。携帯装置82は、表示指令を受信すると、並列駐車の駐車支援制御が実行できない旨を駐車アプリケーション上にて表示する。
【0100】
これに対し、実行条件が成立している場合、CPU1はステップ603にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ604乃至ステップ609の処理を順に行う。その後、CPU1はステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0101】
ステップ604:CPU1は、第1フラグX1の値を「1」に設定する。
ステップ605:CPU1は、第2電源装置210のECU212cに対して開始指令を送信する。ECU212cは、開始指令を受信すると、第2電圧V2を第2電源ライン250に印加する。
ステップ606:CPU1は、検出されている駐車可能領域に対して車両を駐車させたと仮定した場合に車両の車体が占有する領域を目標領域として決定する。CPU1は、目標領域内に目標位置Ptgtを設定する。加えて、CPU1は、車両の位置を開始位置Pstから目標位置Ptgtまで移動させる移動経路を演算する。
ステップ607:CPU1は、移動経路に沿って車両を移動させるための「車両の移動方向(具体的には、トランスミッション24のシフト位置)、舵角パターン及び速度パターン」を決定する。
【0102】
ステップ608:CPU1は、駐車支援制御を実行する。具体的には、CPU1は、決定されたシフト位置に従ってSBW・ECU41にシフト制御指令を送信することにより、シフト制御を実行する。CPU1は、舵角パターンに従ってEPS・ECU51に操舵指令(目標舵角)を送信することにより、舵角制御を実行する。CPU1は、速度パターンに従ってエンジンECU21に対して駆動力制御指令を送信することにより、駆動力制御を実行する。更に、CPU1は、速度パターンに従ってブレーキECU31に対して制動力制御指令を送信することにより、制動力制御を実行する。
ステップ609:CPU1は、携帯装置82に対して表示指令を送信する。携帯装置82は、表示指令を受信すると、駐車支援制御が実行されている旨を駐車アプリケーション上にて表示する。その後、CPU1はステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0103】
CPU1が、駐車支援制御を開始した後に、図6のルーチンを再び開始する。CPU1がステップ601に進むと、CPU1は、「No」と判定してステップ610に進む。CPU1は、第1フラグX1の値が「1」であるか否かを判定する。
【0104】
第1フラグX1の値が「1」であると仮定する。この場合、CPU1は、ステップ610にて「Yes」と判定してステップ611に進み、CPU1は、所定の終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件は、車両が目標位置Ptgtに到達したときに成立する。終了条件が成立しない場合、CPU1は、ステップ611にて「No」と判定して、ステップ608及びステップ609の処理を前述のように行い、その後、ステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0105】
一方で、CPU1が駐車支援制御を実行している間に、第2蓄電部211の蓄電量が不足したと仮定する。この場合、CPU1は、後述する図8のルーチンにおいて第1フラグX1の値を「2」に設定する。これに伴い、CPU1が、図6のルーチンにおいてステップ610に進むと、「No」と判定してステップ695に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。このように、CPU1はステップ608に進まない。従って、駐車支援制御が中断される。
【0106】
なお、CPU1がステップ611に進んだ時点にて終了条件が成立する場合、CPU1は、ステップ611にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ612及びステップ613の処理を順に行う。その後、CPU1はステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0107】
ステップ612:CPU1は、第1フラグX1の値を「0」に設定する。
ステップ613:CPU1は、所定の終了処理を実行する。具体的には、CPU1は、制動力制御により車両を目標位置Ptgtに停止させる。CPU1は、SBW・ECU41にシフト制御指令を送信し、車両を目標位置Ptgtに停止させた状態でトランスミッション24のシフト位置を駐車位置に変更する。更に、CPU1は、携帯装置82に対して表示指令を送信する。携帯装置82は、表示指令を受信すると、駐車支援制御が終了した旨を駐車アプリケーション上にて表示する。その後、CPU1は、イグニッションスイッチの状態をオン状態からオフ状態へと変更する。
【0108】
更に、SBW・ECU41のCPU(「CPU2」と称呼する。)は、駐車支援制御を開始してから駐車支援制御を終了するまでの駐車支援期間において、図7にフローチャートにより示した「充電実行ルーチン」を実行するようになっている。CPU2は、上記の駐車支援期間において、第2時間dT2が経過する毎に、図7のルーチンを実行する。
【0109】
なお、CPU2は、第2時間dT2が経過する毎に、第2電源装置210のECU212cから、第2蓄電部211の電圧Vdの情報を取得する。
【0110】
従って、所定のタイミングになると、CPU2は、ステップ700から処理を開始してステップ701に進み、第2フラグX2の値が「0」であるか否かを判定する。第2フラグX2の値が「0」であるとき、これは、第2蓄電部211の充電が実行されていないことを示す。第2フラグX2の値が「1」であるとき、これは、第2蓄電部211の充電が実行されていることを示す。
【0111】
いま、第2フラグX2の値が「0」であると仮定すると、CPU2はステップ701にて「Yes」と判定してステップ702に進み、充電開始条件が成立するか否かを判定する。前述の通り、充電開始条件は、駐車支援ECU10が現時点にて駐車支援制御を実行しており、且つ、第2蓄電部211の電圧Vdが第1電圧値Vd1よりも小さいときに成立する。充電開始条件が成立しない場合、CPU2はステップ702にて「No」と判定してステップ795に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0112】
充電開始条件が成立する場合、CPU2はステップ702にて「Yes」と判定してステップ703に進み、第1信号を駐車支援ECU10に対して送信して、第2蓄電部211の蓄電量が不足している旨を通知する。この第1信号に応じて、CPU1は、停止制御を実行し、駐車支援制御を中断させる。その後、CPU2は、ステップ704にて、第2信号を受信したか否かを判定する。CPU2は、第2信号を受信するまで、ステップ704の処理を繰り返し実行する。
【0113】
CPU2が第2信号を受信すると、CPU2はステップ704にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ705及びステップ706の処理を順に実行する。その後、CPU2は、ステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。これにより、第2蓄電部211の充電が開始される。
【0114】
ステップ705:CPU2は、充電開始指令を第1電源装置200のECU202cに送信する。
ステップ706:CPU2は、第2フラグX2の値を「1」に設定する。
【0115】
第2蓄電部211の充電が開始された後にCPU2が図7のルーチンを再び開始してステップ701に進むと、CPU2は「No」と判定してステップ707に進む。CPU2は、充電終了条件が成立するか否かを判定する。前述の通り、充電終了条件は、第2蓄電部211の電圧Vdが第2電圧値Vd2以上であるときに成立する。充電終了条件が成立しない場合、CPU2は、ステップ707にて「No」と判定してステップ795に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0116】
一方、充電終了条件が成立する場合、CPU2は、ステップ707にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ708乃至ステップ710の処理を順に実行する。その後、CPU2は、ステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0117】
ステップ708:CPU2は、充電終了指令をECU202cに送信する。これにより、第2蓄電部211の充電が終了される。
ステップ709:CPU2は、第3信号を駐車支援ECU10に送信して、第2蓄電部211の充電が完了した旨を通知する。この第3信号に応じて、CPU1は、駐車支援制御を再開させる。
ステップ710:CPU2は、第2フラグX2の値を「0」に設定する。
【0118】
更に、駐車支援ECU10のCPU1は、上記の駐車支援期間において、第2時間dT2が経過する毎に、図8にフローチャートにより示した「停止制御実行ルーチン」を実行するようになっている。
【0119】
CPU1は、ステップ800から処理を開始してステップ801に進み、第3フラグX3の値が「0」であるか否かを判定する。第3フラグX3の値が「0」であるとき、これは、駐車支援制御が中断されていないことを示す。第3フラグX3の値が「1」であるとき、これは、駐車支援制御が中断されていることを示す。
【0120】
いま、第3フラグX3の値が「0」である(即ち、駐車支援制御が実行されている)と仮定する。CPU1は、ステップ801にて「Yes」と判定してステップ802に進み、第1信号を受信したか否かを判定する。CPU1が第1信号を受信していない場合、CPU1はステップ802にて「No」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0121】
一方、CPU1が第1信号を受信した場合、CPU1はステップ802にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ803乃至ステップ806の処理を順に実行する。その後、CPU1は、ステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0122】
ステップ803:CPU1は、第1フラグX1の値を「2」に設定する。これにより、CPU1は、図6のルーチンのステップ610にて「No」と判定する。従って、CPU1は、駐車支援制御を中断させる。更に、CPU1は、第3フラグX3の値を「1」に設定する。
ステップ804:CPU1は、前述したように停止制御を実行する。CPU1は、ブレーキECU31に対して制動力制御指令を送信して、車輪に制動力を付与する。これにより、車両を停止させる。更に、CPU1は、SBW・ECU41に対してシフト制御指令を送信して、トランスミッション24のシフト位置を駐車位置へ変更する。
ステップ805:CPU1は、前述したように表示制御を実行する。CPU1は、携帯装置82に対して表示指令を送信する。携帯装置82は、駐車支援制御が中断される旨を駐車アプリケーション上にて表示する。
ステップ806:CPU1は、第2信号をSBW・ECU41に送信して、車両が停止した旨を通知する。
【0123】
駐車支援制御が中断された後にCPU1が図8のルーチンを再び開始してステップ801に進むと、CPU1は「No」と判定してステップ807に進む。CPU1は、第3信号を受信したか否かを判定する。CPU1が第3信号を受信していない場合、CPU1は、ステップ807にて「No」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0124】
一方、CPU1が第3信号を受信した場合、CPU1はステップ807にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ808乃至ステップ809の処理を順に実行する。その後、CPU1は、ステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ808:CPU1は、停止制御を解除する。具体的には、CPU1は、SBW・ECU41に対してシフト制御指令を送信して、トランスミッション24のシフト位置を駐車位置から前進位置又は後進位置へと変更する。
ステップ809:CPU1は、第1フラグX1の値を「1」に設定する。これにより、CPU1は、図6のルーチンのステップ610にて「Yes」と判定する。従って、CPU1は、駐車支援制御を再開させる。更に、CPU1は、第3フラグX3の値を「0」に設定する。
【0125】
更に、ブレーキECU31のCPU(「CPU3」と称呼する。)は、第2時間dT2が経過する毎に図9にフローチャートにより示した「第1フェールセーフ制御実行ルーチン」を実行するようになっている。
【0126】
所定のタイミングになると、CPU3は、ステップ900から処理を開始してステップ901に進み、駐車支援制御が実行中であるか否かを判定する。現時点にて駐車支援制御が実行されていない場合、CPU3はステップ901にて「No」と判定してステップ995に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0127】
これに対し、駐車支援制御が実行中である場合、CPU3はステップ901にて「Yes」と判定してステップ902に進み、所定の異常条件が成立しているか否かを判定する。異常条件は、駐車支援ECU10からの指令信号が時間閾値Tth以上受信されていないときに成立する。異常条件が成立しない場合、CPU3は、ステップ902にて「No」と判定してステップ995に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0128】
いま、第1電源装置200の第1蓄電部201に異常が生じたことから、第1電源ライン240の電圧がゼロになったと仮定する。この場合、駐車支援ECU10の作動が停止する。第2電源ライン250の第2電圧V2が第1電源ライン240の電圧よりも高くなるので、第1選択回路231-1は、第2蓄電部211の電力を、出力ライン260-1を介して制動装置30に出力する。これにより、第1電源装置200に異常が生じた場合でも、CPU3は作動することができる。
【0129】
上述の仮定により異常条件が成立するので、CPU3は、ステップ902にて「Yes」と判定してステップ903に進み、第1フェールセーフ制御を実行する。具体的には、CPU3は、ブレーキアクチュエータ32を制御して、車輪に対して制動力を付与する。その後、CPU3は、ステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0130】
更に、SBW・ECU41のCPU2は、第2時間dT2が経過する毎に図10にフローチャートにより示した「第2フェールセーフ制御実行ルーチン」を実行するようになっている。
【0131】
所定のタイミングになると、CPU2は、ステップ1000から処理を開始してステップ1001に進み、駐車支援制御が実行中であるか否かを判定する。現時点にて駐車支援制御が実行されていない場合、CPU2はステップ1001にて「No」と判定してステップ1095に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0132】
これに対し、駐車支援制御が実行中である場合、CPU2はステップ1001にて「Yes」と判定してステップ1002に進み、前述のように、異常条件が成立しているか否かを判定する。異常条件が成立しない場合、CPU2は、ステップ1002にて「No」と判定してステップ1095に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0133】
第1電源装置200の第1蓄電部201に異常が生じたと仮定する。この場合、上述のように、第2選択回路231-2は、第2蓄電部211の電力を、出力ライン260-2を介してシフト切替装置40に出力する。これにより、第1電源装置200に異常が生じた場合でも、CPU2は作動することができる。
【0134】
上述の仮定により異常条件が成立するので、CPU2は、ステップ1002にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ1003及びステップ1004を順に実行する。その後、CPU2は、ステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0135】
ステップ1003:CPU2は、時間Taだけ待機する。上述したように、CPU2が時間Taだけ待機している間に、CPU3が第1フェールセーフ制御を開始する。
ステップ1004:CPU2は、第2フェールセーフ制御を実行する。具体的には、CPU2は、SBWアクチュエータ43を制御して、シフト位置を駐車位置に変更する。
【0136】
以上の構成によれば、車両制御装置は、第2蓄電部211の電圧Vdが第1電圧値Vd1より小さくなった場合、停止制御を実行する。この構成によれば、駐車支援制御の実行中において第2電源装置210の電力が不足した場合には車両が停止されるので、安全性を高めることができる。
【0137】
更に、車両制御装置は、停止制御を実行した後において、第1電源装置200に第2蓄電部211への充電を実行させる。車両制御装置は、第2蓄電部211の電圧Vdが第2電圧値Vd2以上になった場合、第1電源装置200に第2蓄電部211への充電を終了させる。更に、車両制御装置は、停止制御を解除し、且つ、駐車支援制御を再開させる。この構成によれば、車両制御装置は、第2電源装置210の電力の不足を解消して、駐車支援制御を再開できる。駐車支援制御を再開した後に第1電源装置200に異常が発生した場合でも、制動装置30及びシフト切替装置40は、第2電源装置210の電力を用いて、フェールセーフ制御を実行できる。
【0138】
更に、上述のように、車両制御装置は、駐車支援制御の途中で第2電源装置210の電力の不足を解消できるので、第2電源装置210の電源容量を、第1電源装置200の電源容量よりも小さく設定することができる。電源の冗長化の構成を低コストで実現することができる。
【0139】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0140】
(変形例1)
駐車支援ECU10は、移動経路として、開始位置Pstから進行方向切替位置Pswまで車両を移動させる第1経路と、進行方向切替位置Pswから目標位置Ptgtまで車両を移動させる第2経路とを演算する場合がある。この場合、駐車支援ECU10は、以下のように第2蓄電部211の充電を行ってもよい。駐車支援ECU10は、車両が第1経路を移動している間に第2蓄電部211の電圧Vdが第1電圧値Vd1より小さくなった場合、車両を進行方向切替位置Pswまで走行させる。そして、駐車支援ECU10は、進行方向切替位置Pswにて、第1電源装置200に第2蓄電部211への充電を実行させる。この構成によれば、車両制御装置は、停止制御を実行することなく、進行方向切替位置Pswにて第2蓄電部211への充電を行うことができる。第2電源装置210の電力の不足に応じて車両が急に停止されないので、車両の外側にいるユーザ(運転者)が違和感を感じる可能性を低減できる。
【0141】
(変形例2)
駐車支援ECU10は、駐車支援制御を開始した後において、第2蓄電部211の電圧Vdが第1電圧値Vd1より小さくなった場合、停止制御を実行する。この状況において、駐車支援ECU10は、第2蓄電部211の充電を行うことなく、駐車支援制御をキャンセルしてもよい。即ち、車両が目標位置Ptgtに到達する前に、駐車支援制御が強制的に終了される。この場合、駐車支援ECU10は、携帯装置82に対して表示指令を送信してもよい。携帯装置82は、表示指令に応じて、第2電源装置210の電力不足により駐車支援制御が終了された旨を駐車アプリケーション上にて表示させてもよい。この構成によれば、第2電源装置210の電力が不足した場合には、車両が停止され、且つ、駐車支援制御がキャンセルされる。車両が移動する可能性が低減され、安全性を高めることができる。
【0142】
(変形例3)
停止制御は、上述の例に限定されない。停止制御は、制動力制御及びシフト制御の一方であってもよい。例えば、駐車支援ECU10は、第2蓄電部211の充電が終了するまで、シフト制御を実行することなく、ブレーキECU31に対して制動力制御指令を送信し続けて、車両の停止状態を維持してよい。別の例において、駐車支援ECU10は、車速Vsが速度閾値Vsth以下である場合、制動力制御を実行することなく、シフト制御(シフト位置の駐車位置への切替え)のみを実行して、車両を停止させてもよい。
【0143】
(変形例4)
電源冗長化回路230において、第1選択回路231-1が省略されてもよい。この構成において、第1電源ライン240が、制動装置30に直接接続されている。第1電源装置200に異常が生じた場合、制動装置30は作動しない。第2蓄電部211の電力が、第2選択回路231-2を介してシフト切替装置40のみに供給される。従って、シフト切替装置40のみが、第2蓄電部211の電力を用いて作動する。この構成において、駐車支援ECU10は、車速Vsの最大値が速度閾値Vsth以下になるように速度パターンを設定する。シフト切替装置40は、異常条件が成立した場合、時間Taを待つことなく、第2フェールセーフ制御を実行する。これにより、車両を停止させる。
【0144】
(変形例5)
電源冗長化回路230において、第2選択回路231-2が省略されてもよい。この構成において、第1電源ライン240が、シフト切替装置40に直接接続されている。第1電源装置200に異常が生じた場合、シフト切替装置40は作動しない。第2蓄電部211の電力が、第1選択回路231-1を介して制動装置30のみに供給される。従って、制動装置30のみが、第2蓄電部211の電力を用いて作動する。制動装置30は、異常条件が成立した場合、第1フェールセーフ制御を実行する。これにより、車両を停止させる。
【0145】
(変形例6)
SBW・ECU41以外のECU(10、21、31、51、71又は72)が、第2電源装置210のECU212cから第2蓄電部211の電圧Vdの情報を取得し、第1電源装置200のECU202cに充電開始指令及び充電終了指令を送信してもよい。例えば、駐車支援ECU10が、第2電源装置210のECU212cから第2蓄電部211の電圧Vdの情報を取得してもよい。そして、駐車支援ECU10が、第1電源装置200のECU202cに充電開始指令及び充電終了指令を送信してもよい。
【0146】
なお、上述のECU(10、21、31、41、51、71及び72)のうちの2つ以上のECUが、1つのECUに統合されてもよい。
【0147】
(変形例7)
ブレーキECU31及びSBW・ECU41は、それぞれ、第1電源装置200と通信して、第1電源装置200に異常が発生したか否かを判定してもよい。この構成において、例えば、ブレーキECU31は、所定時間が経過するごとに第1電源装置200の第1電力制御部202に所定の信号を送信し、その信号に対する応答信号を受信する。ブレーキECU31は、駐車支援制御の実行中において第1電力制御部202から応答信号を時間閾値Tth以上受信しない場合、第1電源装置200に異常が生じたと判定してもよい。同様のやり方で、SBW・ECU41は、第1電力制御部202と通信して、第1電源装置200に異常が生じたか否かを判定してもよい。
【0148】
(変形例8)
縦列駐車モード及び出庫モードにおいては、最終的に車両を移動させるべき領域(目標領域)が互いに相違する点を除き、前述した駐車支援制御と同様の制御が実行される。従って、図6乃至図10に示したルーチンは、縦列駐車モード及び出庫モードに適用することができる。
【0149】
縦列駐車モードによる駐車支援制御を実行する場合、図6のルーチンのステップ603における実行条件は、以下の条件B1乃至条件B4の総てが成立したときに成立する条件へと置き換えられる。
(条件B1)CPU1は、照合ECU71から認証完了信号を受信している。
(条件B2)支援要求信号に含まれる支援モードが、縦列駐車モードである。
(条件B3)シフトレバーの位置が駐車位置(P)である。
(条件B4)CPU1は、車両が縦列駐車できる大きさ及び形状を有する駐車可能領域を検出している。
【0150】
出庫モードによる駐車支援制御を実行する場合、図6のルーチンのステップ603における実行条件は、以下の条件C1乃至条件C4の総てが成立したときに成立する条件へと置き換えられる。
(条件C1)CPU1は、照合ECU71から認証完了信号を受信している。
(条件C2)支援要求信号に含まれる支援モードが、出庫モードである。
(条件C3)シフトレバーの位置が駐車位置(P)である。
(条件C4)CPU1は、車両が出庫できる大きさ及び形状を有する出庫可能領域を検出している。
【0151】
(変形例9)
第1選択回路231-1及び第2選択回路231-2として、ダイオードOR回路以外の回路が採用されてもよい。例えば、電源冗長化回路230は、所謂「リレー回路」を含んでもよい。リレー回路は、第1電源ライン240と出力ライン(260-1又は260-2)とを接続した状態である「第1状態」を、第2電源ライン250と出力ライン(260-1又は260-2)を接続した状態である「第2状態」へと切り替えるスイッチを含む。このような構成の場合、電源冗長化回路230は、第1電源装置200の異常を検知するECUを更に含み、当該ECUが、第1電源装置200の異常の検知に応じて、スイッチの状態を第1状態から第2状態へと切り替える。この異常を検知するECUは、例えば、第2電源ライン250の電圧が第1電源ライン240の電圧よりも高いか否かを監視し、第2電源ライン250の電圧が第1電源ライン240の電圧よりも高い場合に第1電源装置200の異常が生じたと判定してよい。
【0152】
更に、第1選択回路231-1及び第2選択回路231-2として、MOS-FETを用いた回路が採用されてもよい。この構成においても、選択回路231は、第1電源ライン240を介して供給された第1蓄電部201の電力及び第2電源ライン250を介して供給された第2蓄電部211の電力の何れかを選択して、当該選択された電力を出力できる。
【0153】
(変形例10)
上記の構成は、例えば、バレー駐車(Valet Parking)に適用されてもよい。「バレー駐車」とは、駐車場において車両を自動的に走行させて、車両を空きスペースに自動的に駐車する制御である。バレー駐車を実行する制御装置は、車両ではなく、駐車場に設けられる。制御装置は、駐車場の状態(例えば、車両の台数、空きスペースの数及び位置等)を監視する。制御装置は、運転者が車両を降車した後に、その車両に対してバレー駐車を行うための指示信号を送信する。これにより、駐車場において車両を自動的に走行させて、車両を空きスペースに自動的に駐車することができる。
【0154】
(変形例11)
上記の構成は、自動運転制御に適用されてもよい。自動運転制御は、車両の運転者による運転操作なしに、車両の速度及び操舵輪の舵角等を自動的に変更する制御である。この構成において、車両は、自動運転制御用の自動運転ECUを備える。例えば、自動運転ECUは、車両の速度が所定の目標速度に一致し且つ操舵輪の舵角が目標舵角に一致するように、駆動装置20、制動装置30、シフト切替装置40及びステアリング装置50を制御する。自動運転制御が実行されている間において第1電源装置200に異常が発生した場合、制動装置30及びシフト切替装置40の一方又は両方は、フェールセーフ制御を実行する。更に、自動運転ECUは、自動運転制御を開始した後において、第2蓄電部211の電圧Vdを監視する。自動運転ECUは、第2蓄電部211の電圧Vdが第1電圧値Vd1より小さくなった場合、車両を停止させる停止制御を実行する。
【0155】
自動運転ECUは、停止制御を実行した後において、第1電源装置200に第2蓄電部211への充電を実行させる。第2蓄電部211の電圧Vdが第2電圧値Vd2以上になった場合、自動運転ECUは、第1電源装置200に第2蓄電部211への充電を終了させる。そして、自動運転ECUは、停止制御を解除し、且つ、自動運転制御を再開させる。
【符号の説明】
【0156】
10…駐車支援ECU、20…駆動装置、30…制動装置、40…シフト切替装置、50…ステアリング装置、60…周囲センサ、200…第1電源装置、210…第2電源装置、220…電力供給回路、230…電源冗長化回路、231-1、231-2…選択回路。
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図10