(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ヒドロキシチロソール含有軟カプセル剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20231004BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20231004BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20231004BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231004BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20231004BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231004BHJP
A61K 36/63 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P39/06
A61P9/10
A61K9/48
A61K47/42
A61K47/02
A61K36/63
(21)【出願番号】P 2019115827
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000222200
【氏名又は名称】東洋カプセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅人
(72)【発明者】
【氏名】仲亀 達也
(72)【発明者】
【氏名】瀧 博文
(72)【発明者】
【氏名】池田 成希
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-175714(JP,A)
【文献】特開2018-127450(JP,A)
【文献】特開2012-036112(JP,A)
【文献】特開2011-079786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/05
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチンを皮膜基材とする軟カプセル中にヒドロキシチロソール又はその含有物をヒドロキシチロソールとして、内容物の充填液質量に対して、0.1~6.0質量%含むヒドロキシチロソール含有軟カプセル剤であって、カプセルの皮膜若しくは内容物中又はその両方に塩化ナトリウム
、塩化カリウ
ム及びチオ硫酸ナトリウ
ムから選ばれる1種以上の塩類化合物を含有してなる軟カプセル剤。
【請求項2】
ヒドロキシチロソール含有物が、ヒドロキシチロソールを含む植物の抽出物である請求項1に記載の軟カプセル剤。
【請求項3】
ヒドロキシチロソール含有物が、オリーブ葉抽出物である請求項1又は2に記載の軟カプセル剤。
【請求項4】
カプセル内容物中の塩類化合物の含有量が、カプセル内容物の充填液質量に対して、0.1~10質量%である請求項1~3のいずれか1項に記載の軟カプセル剤。
【請求項5】
カプセル皮膜中の塩類化合物の含有量が、ゼラチン100質量部に対して、1~10質量部である請求項1~4のいずれか1項に記載の軟カプセル剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシチロソールを含有する軟カプセル剤に関する。
【背景技術】
【0002】
地中海地方や小豆島等で、長年食経験のあるオリーブオイルは脳梗塞、心筋梗塞等循環器系の障害を予防することが示唆されている。これらの効果発現に関与する成分として、オリーブのポリフェノールが推定されている。これらのポリフェノールはガン、老化のような酸化によるダメージと関連する領域に有効であるという臨床医学研究報告がある。
【0003】
オリーブの主要ポリフェノールの一つであるヒドロキシチロソールは、抗酸化作用、抗炎症作用、血中の酸化抑制等の効果を示し、欧州食品安全委員会(EFSA)でもその効果が認められている。
したがって、最近では、オリーブポリフェノールやオリーブ葉抽出物を含有するサプリメントが多数上市されている。
【0004】
一方、ゼラチンを基材とするカプセルにポリフェノール類を充填すると、皮膜部ゼラチン分子と充填内容物との相互作用によりカプセルの溶解性が低下するという問題があった。従来、この問題を解消するために、内容物中に抗酸化剤を添加する方法(特許文献1)が報告されている他、カプセル基材をゼラチン以外のものに変更する等の処置が講じられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、崩壊遅延が抑制された、ヒドロキシチロソール含有軟カプセル剤を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、斯かる状況に鑑み、ゼラチンを皮膜基材とする軟カプセル中にヒドロキシチロソールを充填した軟カプセル剤の溶解性について検討したところ、カプセル中に塩類化合物を存在させることにより、皮膜の溶解性低下が抑制できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の1)~7)に係るものである。
1)ゼラチンを皮膜基材とする軟カプセル中にヒドロキシチロソール又はその含有物を含むヒドロキシチロソール含有軟カプセル剤であって、カプセルの皮膜若しくは内容物中又はその両方に塩類化合物を含有してなる軟カプセル剤。
2)塩類化合物が塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄、チオ硫酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム及びアスコルビン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である1)に記載の軟カプセル剤。
3)塩類化合物が塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄、チオ硫酸ナトリウム及びリン酸二水素カリウムから選ばれる1種以上である1)に記載の軟カプセル剤。
4)ヒドロキシチロソール含有物が、ヒドロキシチロソールを含む植物の抽出物である1)~3)のいずれかに記載の軟カプセル剤。
5)ヒドロキシチロソール含有物が、オリーブ葉抽出物である1)~3)のいずれかに記載の軟カプセル剤。
6)カプセル内容物中の塩類化合物の含有量が、カプセル内容物の全質量に対して、0.1~10質量%である1)~5)のいずれかに記載の軟カプセル剤。
7)カプセル皮膜中の塩類化合物の含有量が、ゼラチン100質量部に対して、1~10質量部である1)~6)のいずれかに記載の軟カプセル剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヒドロキシチロソールとカプセル皮膜由来のゼラチン分子との反応により生じる崩壊遅延が防止又は抑制され、品質性、安定性に優れたヒドロキシチロソール含有軟カプセル剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の軟カプセル剤は、ゼラチンを皮膜基剤とする軟カプセル剤である。本発明の軟カプセル剤の製造手段は特に限定されず、ロータリーダイを利用して二枚の皮膜シートの間に内容物をそのまま充填しながら成形し打ち抜く方式で製造されるロータリーダイ式ソフトカプセルや、二重ノズルを用いた滴下方式等で製造されるシームレスカプセルが包含される。
【0011】
皮膜基剤であるゼラチンは、牛、羊、豚、鶏、魚等の皮、骨、腱等の主タンパク成分であるコラーゲン由来原料を、酸やアルカリで処理したのち温水で抽出することにより得られるコラーゲンの変性体である。本発明において用いられるゼラチンとしては、コラーゲンの由来や、処理方法は特に限定されない。
【0012】
カプセル皮膜中におけるゼラチンの含有率は、特に制限されず、例えば、カプセル皮膜の全質量に対して、60~90質量%であることが好ましい。
【0013】
カプセル皮膜には、柔軟性や弾力性を付与すべく可塑剤を適宜配合できる。可塑剤としては、グリセリン、糖アルコール(ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、二糖類、オリゴ糖等が挙げられる。斯かる可塑剤の配合比率は、例えばゼラチン100質量部に対して、3~80質量部、好ましくは5~50質量部、より好ましくは15~35質量部が挙げられる。
【0014】
また、カプセル皮膜は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて色素類、付着防止剤(加工澱粉、二酸化ケイ素等)等を含んでいても良い。
【0015】
本発明の軟カプセル剤は、カプセルの内容物としてヒドロキシチロソール又はその含有物が含まれる。
ヒドロキシチロソール(Hydroxytyrosol)は、下記式で示される2-(3,4-Dihydroxyphenyl)ethanolを指し、抗酸化作用を持ち、血中のLDL-コレステロールが酸化され酸化LDL-コレステロールになることを抑制させること等が報告されている(Food Funct. 2014 Jul 25;5(7):1556-63. Comparative evaluation of the metabolic effects of hydroxytyrosol and its lipophilic derivatives (hydroxytyrosyl acetate and ethyl hydroxytyrosyl ether) in hypercholesterolemic rats.)。
【0016】
【0017】
ヒドロキシチロソールは、その入手方法に特に制限はなく、化学的に合成されたものでもよく、天然物由来のものでもよい。
【0018】
本発明において、ヒドロキシチロソール含有物としては、例えばヒドロキシチロソールを含む植物の抽出物や分画物等が挙げられる。好ましくはヒドロキシチロソールを10~50質量%、より好ましくは15~25質量%含む植物抽出物が挙げられる。
【0019】
ヒドロキシチロソールを含む植物としては、モクセイ科のオリーブ(Olea europaea)やマメ科のエンジュ(Styphnolobium japonicum)が挙げられヒドロキシチロソール含有量の点から、好ましくはオリーブである。
【0020】
ヒドロキシチロソールを含む植物の抽出物は、前記植物の植物体から抽出することにより得ることができ、前記植物体としては、例えば、葉、茎、実等が挙げられるが、オリーブについては葉が好ましい。
抽出法としては、特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン等の水溶性有機溶媒又は含水有機溶媒を用いて抽出する方法が挙げられる。
【0021】
本発明の軟カプセル剤において、ヒドロキシチロソール又はその含有物は、ヒドロキシチロソールとして、内容物の充填液質量に対して、0.1~6.0質量%、好ましくは0.3~3.0質量%含むのが好ましい。
【0022】
本発明の軟カプセル剤においては、カプセルの皮膜若しくは内容物中又はその両方に塩類化合物を含む。
塩類化合物としては、無機化合物の塩(無機塩)でもよく有機化合物の塩(有機塩)でもよく、概ね電離度が0.5~1.0であるものが挙げられるが、これに限定されない。ここで、電離度は、25℃で水溶液の濃度が0.1モル/Lのときの値である。
無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄、チオ硫酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム等を好ましく挙げることができ、より好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウムが挙げられる。
有機塩としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等を好ましく挙げることができる。
【0023】
塩類化合物は、カプセルの皮膜若しくは内容物中のいずれか又は両方に配合することができるが、少なくとも皮膜中に配合するのが好ましい。
また、塩類化合物は、1種以上を配合することができるが、カプセルの崩壊遅延の抑制効果の点から、無機塩を配合するのが好ましく、より好ましくは塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄、チオ硫酸ナトリウム及びリン酸二水素カリウムから選ばれる無機塩の1種以上を配合するのが好ましく、より好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム及びチオ硫酸ナトリウムから選ばれる無機塩の1種以上を配合するのが好ましい。
【0024】
塩類化合物の配合量は、期待する効果等を考慮して適宜決定すれば良いが、カプセル内容物に配合する場合、カプセル内容物の充填液質量に対して、0.1~10質量%で好適に用いられ、より好ましくは0.5~7質量%であり、より好ましくは0.5~3質量%である。
カプセル皮膜中に配合する場合は、ゼラチン100質量部に対して、1~10質量部で好適に用いられ、より好ましくは1~7質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
また、塩類化合物をカプセル内容物及び皮膜の両方に配合する場合、塩類化合物は、内容物中にはその充填液質量に対して1~5質量%、好ましくは1~3質量%配合し、カプセル皮膜中には、ゼラチン100質量部に対して1~5質量部、より好ましくは1~3質量部配合することができる。
【0025】
本発明の軟カプセル剤の内容物中には、内容物の分散性、均一性、粘度等を調整すべく、適宜懸濁化剤を配合することができる。
懸濁化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル(例えば、平均重合度が1~10のポリグリセリンと炭素数8~18の脂肪酸とのエステル)、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ミツロウ、ライスワックス、水素添加加工油脂(例えば、大豆硬化油、ナタネ硬化油、魚硬化油、マーガリン、ショートニングオイル等)等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて配合することができる。斯かる懸濁化剤の配合量は、カプセル内容物の充填液質量に対して、1~10質量%、好ましくは1~8質量%、より好ましくは3~8質量%である。
【0026】
本発明の軟カプセル剤の内容物中には、適宜ビタミンE類、ビタミンC、ビタミンB2及びその誘導体であるビタミンB2酪酸エステル等の抗酸化ビタミン、多価不飽和脂肪酸、カテキン類、エリソルビン酸等の抗酸化剤を使用することができる。
【0027】
また本発明の軟カプセル剤の内容物には、マスキング剤や賦形剤を配合することが可能である。ここでマスキング剤としては、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、真珠カルシウム、乳酸カルシウム、ミルクカルシウム、貝カルシウム等のカルシウム誘導体、賦形剤としては、デキストリン、サイクロデキストリン、セルロース、ポリサッカライド等が挙げることができる。
【0028】
本発明の軟カプセル剤の製造は、特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。
すなわち、カプセルの皮膜若しくは内容物中又はその両方に塩類化合物を含むように、内容物及びカプセル皮膜用組成物を調製し、カプセル皮膜用組成物に内容物を封入し、乾燥させることにより製造することができる。
【0029】
内容物や皮膜用組成物を調製する際の各成分の混合手段としては、特に制限はなく、一般的な混合器具又は混合装置を用いることができる。混合器具又は混合装置としては、撹拌機、ミキサー等が挙げられる。混合の際の温度、時間等の条件は、特に制限されず、内容物に含まれる成分の種類により、適宜調整することができる。
【0030】
カプセル皮膜用組成物に内容物を封入する方法としては、特に制限はなく、前述したとおり、ロータリー式(例えば、ロータリーダイ式)、シームレス式、或いは平板式等の公知の製造装置を用いる方法が挙げられる。
【0031】
軟カプセルを乾燥させる方法としては、特に制限はなく、公知の乾燥装置を用いることができる。乾燥装置としては、例えば、タンブラー乾燥機(即ち、回転ドラム式乾燥機)が挙げられる。乾燥の際の温度、時間等の条件は、特に制限されず、内容物に含まれる成分及びカプセル皮膜に含まれる成分の種類により適宜調整することができるが、乾燥温度としては、20℃~30℃程度が好ましく、湿度としては、20%RH~40%RH程度が好ましく、乾燥時間としては、1~2日程度が好ましい。
【0032】
本発明の軟カプセル剤の形状は、楕円形(OVAL)、長方形(OBLONG)、球形(ROUND)等のいずれの形状を採用することもできる。これらの形状にするためには、当業界で周知の方法又は装置のいずれも適用することができる。
【実施例】
【0033】
プラセボソフトカプセル剤の調製
以下に示す内用液(充填液)とカプセル皮膜液を、軟カプセル・ロータリーダイ式充填機で常法により楕円形の軟カプセル剤を製造した。
【0034】
<内容液>
内容処方:1カプセル中
ヒドロキシチロソール20%含有抽出物 14質量部
オリーブオイル 266質量部
ミツロウ 10質量部
グリセリン脂肪酸エステル 10質量部
300質量部
*ヒドロキシチロソール20%含有抽出物:オリーブの葉からヒドロキシチロソールを抽出しデキストリンに分散したもの。
【0035】
<皮膜液>
皮膜処方:以下の処方に水を適量加えて製する
ゼラチン 100質量部
グリセリン 25質量部
125質量部
【0036】
実施例1 塩化ナトリウム配合軟カプセル剤の製造
1)実施例1-1
プラセボ軟カプセル剤の内容処方に塩化ナトリウムを5質量部添加した内用液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
2)実施例1-2
プラセボ軟カプセル剤の皮膜処方に塩化ナトリウムを5質量部添加した皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
3)実施例1-3
プラセボ軟カプセル剤の内容処方と皮膜処方に塩化ナトリウムをそれぞれ5質量部添加した内用液及び皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
【0037】
実施例2 塩化カリウム配合軟カプセル剤の製造
1)実施例2-1
プラセボ軟カプセル剤の内容処方に塩化カリウムを5質量部添加した内用液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
2)実施例2-2
プラセボ軟カプセル剤の皮膜処方に塩化カリウムを5質量部添加した皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
3)実施例2-3
プラセボ軟カプセル剤の内容処方と皮膜処方に塩化カリウムをそれぞれ5質量部添加した内用液及び皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
【0038】
実施例3 チオ硫酸ナトリウム配合軟カプセル剤の製造
1)実施例3-1
プラセボ軟カプセル剤の内容処方にチオ硫酸ナトリウムを5質量部添加した内用液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
2)実施例3-2
プラセボ軟カプセル剤の皮膜処方にチオ硫酸ナトリウムを5質量部添加した皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
3)実施例3-3
プラセボ軟カプセル剤の内容処方と皮膜処方にチオ硫酸ナトリウムをそれぞれ5質量部添加した内用液及び皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
【0039】
比較例1 δ―トコフェロール配合軟カプセル剤の製造
1)比較例1-1
プラセボ軟カプセル剤の内容処方にδ―トコフェロールを5質量部添加した内用液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
2)比較例1-2
プラセボ軟カプセル剤の皮膜処方にδ―トコフェロールを5質量部添加した皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
3)比較例1-3
プラセボ軟カプセル剤の内容処方と皮膜処方にδ―トコフェロールをそれぞれ5質量部添加した内用液及び皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
【0040】
比較例2 カテキン配合軟カプセル剤の製造
1)比較例2-1
プラセボ軟カプセル剤の内容処方にカテキンを5質量部添加した内用液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
2)比較例2-2
プラセボ軟カプセル剤の皮膜処方にカテキンを5質量部添加した皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
3)比較例2-3
プラセボ軟カプセル剤の内容処方と皮膜処方にカテキンをそれぞれ5質量部添加した内用液及び皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
【0041】
比較例3 エリソルビン酸配合軟カプセル剤の製造
1)比較例3-1
プラセボ軟カプセル剤の内容処方にエリソルビン酸を5質量部添加した内用液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
2)比較例3-2
プラセボ軟カプセル剤の皮膜処方にエリソルビン酸を5質量部添加した皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
3)比較例3-3
プラセボ軟カプセル剤の内容処方と皮膜処方にエリソルビン酸をそれぞれ5質量部添加した内用液及び皮膜液を調製し、同様にして軟カプセル剤を製造した。
【0042】
試験例 崩壊試験
プラセボ軟カプセル剤及び実施例1~3、比較例1~3により製した軟カプセル剤をガラス瓶に詰め、40度、湿度75%下で4か月間保存し崩壊試験を行った。
崩壊試験は、第十七改正日本薬局方の一般試験法に記載の「6.09崩壊試験法」に準拠して行った。なお、試験液としては、イオン交換水を使用した。また、崩壊試験器としては、富山産業株式会社のNT-400を使用した。
カプセル剤が溶解したと認められた時間を崩壊時間とした。結果を表1及び2に示す。
【0043】
【0044】
【0045】
表1より、塩類化合物をカプセルに配合することにより、カプセルは速やかに溶解され、ヒドロキシチロソールによる崩壊遅延が抑制された。一方、抗酸化剤をカプセルに配合しても、ヒドロキシチロソールによる崩壊遅延は抑制されず、カプセルは崩壊されなかった(表2)。