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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】学習玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20231004BHJP
   A63H 11/00 20060101ALI20231004BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20231004BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20231004BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231004BHJP
【FI】
A63H33/00 302Z
A63H11/00 Z
G09B9/00 Z
G09B19/00 Z
G05D1/02 J
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019136110
(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公開番号】P2021010703
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/27150
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】505022563
【氏名又は名称】株式会社ICON
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】土屋 敏子
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/029354(WO,A1)
【文献】特開平07-178257(JP,A)
【文献】特開2018-149221(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0007915(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の動作の命令であるコマンド情報が記録された複数枚のコマンド・パネルを連続して配置し、前記コマンド・パネルの上を前記移動体が自走しながら前記コマンド情報を読み取り、前記コマンド情報に基づいて動作する学習玩具であって、
前記移動体は、前記コマンド・パネルの上を自走するための移動手段と、前記コマンド・パネルに記録された前記コマンド情報を読み取る読取手段と、読み取った前記コマンド情報を記憶する記憶手段と、前記コマンド情報に基づいて前記移動体に動作をさせる制御手段とを備え、
連続して配置された前記コマンド・パネルの中の複数の前記コマンド・パネルには、前記読取手段により読み取ることができるそれぞれ異なる前記コマンド情報が記録され、
前記複数の前記コマンド・パネルに記録されているそれぞれ異なる前記コマンド情報には、絵柄または文字の情報が含まれており、
前記記憶手段は、前記複数の前記コマンド・パネルから読み取った前記絵柄または前記文字の情報を含む複数の前記コマンド情報を記憶し、
前記制御手段は、
前記記憶手段に記憶されている前記絵柄または前記文字の情報を含む前記複数の前記コマンド情報を読み出して、前記絵柄の情報に対応する単語の綴りと、前記複数の前記コマンド・パネルから読み取った順序の前記文字の情報の並びとを比較して、一致しているか判定し、その判定結果に基づいて、前記移動体に所望の動作をさせるように構成されている、
ことを特徴とする学習玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットの動作をプログラミングする玩具に関し、パネルの上を自走するロボットが、パネルに記録されているコマンド情報を読み取り、そのコマンド情報に基づき動作をする学習玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自走型の移動体に移動路上を移動させる玩具として、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の玩具は、走行面の右半分と左半分にデータ用のパターンとクロック用のパターンが、走行経路に沿って並行して形成されている。移動体は、これら二種類のパターンを読み取りながら、その走行面を移動する。走行経路は、直線形状、カーブ形状、およびスロープ形状の各種形状を有する複数のコースパーツが連結され経路全体が無端状すなわちループ状に形成される。走行面に形成されているデータ用のパターンは、各コースパーツの形状を特定するコースパーツIDを示しているため、移動体がデータ用のパターンを読み取ることでコース形状が識別できる。移動体は、コース形状を識別できるだけでなく、コースアウト発生区間やジャンプ区間などの実走行結果データも取得できる。遊技者は、コース形状や実走行結果データに基づいて、走行経路の各位置における移動体の速さや加速度などの走行制御データを設定し、走行時間を短縮するように改良して楽しむことができる。
【0003】
また、遊技者が任意に設定したコマンドに基づいて対象物の動作を適宜変更できる玩具として、下記特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献2の玩具では、マスターブロック(すなわち、操作デバイス)のポケットに、所望のアクティビティブロックを嵌め込むことで、ディスプレイの画面上に映し出されたアバターの動作を任意に設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-167149号公報
【文献】米国特許第9333427号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の玩具は、移動体が走行面のデータを読み取ることでコース形状を識別し、遊技者が、走行制御データを設定することで移動体に動作をさせるという構成を備えている。
【0006】
しかしながら、移動体は、走行経路を走行するのみであり、動作の形態としては一定の範囲に限られている。この出願の発明者は、移動体が走行面からデータを読み取り、移動体に動作をさせるという構成の応用として、移動体をロボットに代え、このロボットの動作をより多様化することを考えた。ロボットの動作を多様化し、ロボットの動き、色、及び音声などを変化させることで、視覚や聴覚により認識できるため、小さな子供にも理解しやすいと考えたからである。
【0007】
また、本出願の発明者は、特許文献1の玩具は、遊技を想定しているにすぎないが、これを学習に応用すれば利用範囲が広がると考えた。特に、ロボットが読み取るデータを入力とし、ロボットの動作を出力とすれば、入力と出力の関係が、子供にも理解しやすいという特徴から子供向けのプログラミングの学習に有効であると考えた。
【0008】
特許文献2の玩具では、遊技者が動作をさせるアバターは、ディスプレイ上の画像として動作するのみであり、遊技者は、直接、アバターに触れることができない。このため、幼児等の小さな子供には操作が困難であると考えられる。
【0009】
本出願の発明者は、まず、例えば三歳以下の幼児にコンピュータ・プログラミングの基礎を学ばせるための学習玩具として検討した。例えば三歳以下の幼児に、コンピュータ言語を理解させることは困難であるが、ロボットが走行面からデータを読み取り、ロボットに動作をさせるという特徴を活かせば、コンピュータ・プログラミングの手法を学習させることが可能であると考えたからである。また、ディスプレイ上の画像を動作させるのではなく、三次元の物体であるロボットに動作をさせる方が、幼児等の子供にも動作が認識しやすく興味を持って学習できると考えた。
【0010】
一方で、対象年齢を例えば三歳以下の幼児など、狭い年齢層に限定すると、学習玩具の動作を単純なものに制限せざるを得ず、子供が飽きてしまうことや、子供の成長により、玩具が短期間のうちに使われなくなってしまうことが想定された。
【0011】
子供の発達段階に応じて、長期間にわたり使用できるようにするためには、ロボットの動作を通して、より高度なプログラミングの学習を実現できるようにしておくことが望ましい。
【0012】
そこで、この発明の課題は、低年齢の幼児だけでなくそれ以上の年齢層の子供も対象に含められるように、段階的に高度なプログラミングが学習できる玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するために、発明は、移動体の動作の命令であるコマンド情報が記録された複数枚のコマンド・パネルを連続して配置し、前記コマンド・パネルの上を前記移動体が自走しながら前記コマンド情報を読み取り、前記コマンド情報に基づいて動作する学習玩具であって、前記移動体は、前記コマンド・パネルの上を自走するための移動手段と、前記コマンド・パネルに記録された前記コマンド情報を読み取る読取手段と、読み取った前記コマンド情報を記憶する記憶手段と、前記コマンド情報に基づいて前記移動体に動作をさせる制御手段とを備え、連続して配置された前記コマンド・パネルの中の複数の前記コマンド・パネルには、前記読取手段により読み取ることができるそれぞれ異なる前記コマンド情報が記録され、前記複数の前記コマンド・パネルに記録されているそれぞれ異なる前記コマンド情報には、文字の情報が含まれており、前記記憶手段は、前記複数の前記コマンド・パネルから読み取った前記文字の情報を含む複数の前記コマンド情報を記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記文字の情報を含む前記複数の前記コマンド情報を読み出して、前記複数の前記コマンド・パネルから読み取った前記文字の情報の並びに基づいて前記移動体に所望の動作をさせる学習玩具としたことを特徴とする。
【0014】
発明は、移動体の動作の命令であるコマンド情報が記録された複数枚のコマンド・パネルを連続して配置し、前記コマンド・パネルの上を前記移動体が自走しながら前記コマンド情報を読み取り、前記コマンド情報に基づいて動作する学習玩具であって、前記移動体は、前記コマンド・パネルの上を自走するための移動手段と、前記コマンド・パネルに記録された前記コマンド情報を読み取る読取手段と、読み取った前記コマンド情報を記憶する記憶手段と、前記コマンド情報に基づいて前記移動体に動作をさせる制御手段と、前記コマンド情報に基づいて前記移動体から音声を発生させるスピーカとを備え、連続して配置された前記コマンド・パネルの中の複数の前記コマンド・パネルには、前記読取手段により読み取ることができるそれぞれ異なる前記コマンド情報が記録され、前記複数の前記コマンド・パネルに記録されているそれぞれ異なる前記コマンド情報には、文字の情報が含まれており、前記記憶手段は、前記複数の前記コマンド・パネルから読み取った前記文字の情報を含む複数の前記コマンド情報を記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記文字の情報を含む前記複数の前記コマンド情報を読み出して、前記複数の前記コマンド・パネルから読み取った順序の前記文字の情報の並びにより構成される単語の発音を、前記スピーカから発生させる学習玩具としたことを特徴とする。
【0015】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体の動作の命令であるコマンド情報が記録された複数枚のコマンド・パネルを連続して配置し、前記コマンド・パネルの上を前記移動体が自走しながら前記コマンド情報を読み取り、前記コマンド情報に基づいて動作する学習玩具であって、前記移動体は、前記コマンド・パネルの上を自走するための移動手段と、前記コマンド・パネルに記録された前記コマンド情報を読み取る読取手段と、読み取った前記コマンド情報を記憶する記憶手段と、前記コマンド情報に基づいて前記移動体に動作をさせる制御手段とを備え、連続して配置された前記コマンド・パネルの中の複数の前記コマンド・パネルには、前記読取手段により読み取ることができるそれぞれ異なる前記コマンド情報が記録され、前記複数の前記コマンド・パネルに記録されているそれぞれ異なる前記コマンド情報には、絵柄または文字の情報が含まれており、前記記憶手段は、前記複数の前記コマンド・パネルから読み取った前記絵柄または前記文字の情報を含む複数の前記コマンド情報を記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記絵柄または前記文字の情報を含む前記複数の前記コマンド情報を読み出して、前記絵柄の情報に対応する単語の綴りと、前記複数の前記コマンド・パネルから読み取った順序の前記文字の情報の並びとを比較して、一致しているか判定し、その判定結果に基づいて、前記移動体に所望の動作をさせるように構成されている学習玩具としたことを特徴とする。
【0016】
発明は、請求項1に記載の学習玩具に用いられる学習玩具用移動体であることを特徴とする。
【0017】
発明は、請求項1に記載の学習玩具に用いられる学習玩具用コマンド・パネルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、文字の情報を含むコマンド情報が記録されている複数のコマンド・パネルを移動体が読み取り、それら複数のコマンド・パネルから読み取った文字の情報を含む複数のコマンド情報が移動体の記憶手段に記憶される。そして、移動体の制御手段は、記憶手段に記憶されている文字の情報を含む複数のコマンド情報を読み出して、複数のコマンド・パネルから読み取った文字の情報の並びに基づいて移動体に所望の動作を行わせる。このため、コマンド情報を順次読み取り、それに応じて順次移動体の動作が実行されるような単純なプログラミングだけでなく、読み取るコマンド情報が適切な文字の並びを構成するように複数のコマンド・パネルを配置して移動体の移動経路を形成するような高度なプログラミングの作成が可能になる。このように、学習者は、文字の学習や、文字の並びである文字列の学習も含めて、高度なプログラミングの学習を行うことができる。単純なものから高度なものまで段階的にプログラミングの難易度を調整できるため、低年齢の幼児だけでなくそれ以上の年齢層の子供もこの玩具で学習することができる。この結果、子供の発達段階に応じて、長期間にわたり玩具を使用することができる。
【0019】
発明によれば、文字の情報を含むコマンド情報が記録されている複数のコマンド・パネルを移動体が読み取り、読み取った順序の文字の情報の並びにより構成される単語の発音が、再生される。このため、学習者は、複数のコマンド・パネルを並べ替えることにより、様々な単語や、それら単語の正確な発音を学習することができる。このように、学習者は、単語に関する学習も含めて、高度なプログラミングの学習を行うことができる。
【0020】
請求項の発明によれば、絵柄または文字の情報を含むコマンド情報が記録されている複数のコマンド・パネルを移動体が読み取り、絵柄の情報に対応する単語の綴りと、読み取った順序の文字の情報の並びとを比較して、一致しているか判定し、その判定結果に基づいて、移動体が所望の動作を行う。このため、学習者は、絵柄に対応する単語の綴りと、複数のコマンド・パネルを配置して構成した文字の並びとが、一致しているか、移動体の動作を通して、認識することができる。学習者は、複数のコマンド・パネルを並べ替えることにより、単語の正しい綴りを学習することができる。このように、学習者は、単語の綴りに関する学習も含めて、高度なプログラミングの学習を行うことができる。
【0021】
発明によれば、学習玩具用移動体は、プログラミングされる動作として有効となるコマンド情報の適用範囲を段階的に制限、または許可することができる。このため、学習者の発達段階に応じたプログラミングの学習が可能になる。
【0022】
発明によれば、学習玩具用コマンド・パネルは、記録されるコマンド情報の種類を増加させることができるため、より多様な動作を移動体に命令することができる。この結果、多様で高度なプログラミングの学習をすることができる。また、学習玩具用コマンド・パネル単体で、販売できるため、学習者は、必要に応じて、学習玩具用コマンド・パネルを買い足すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態に係る学習玩具の全体構成を概略的に示す斜視図である。
図2】同実施の形態に係る移動ロボットを概略的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。
図3】同実施の形態に係る移動ロボットの走行機構を下側から見た概略的斜視図である。
図4】同実施の形態に係る移動ロボットの制御回路を概略的に示すブロック図である。
図5】同実施の形態に係るコマンド・パネルの複数の例を示す平面図である。
図6】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数のコマンド・パネルの例を示す平面図である。
図7】同実施の形態に係るコマンド・パネルの複数の例を示す平面図である。
図8】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数枚のコマンド・パネルの例を示す平面図であり、色の三原色に関するコマンド情報を含む場合を説明する図である。
図9】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数のコマンド・パネルの例を示す平面図である。
図10】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数枚のコマンド・パネルの例を示す平面図であり、第一比較対象情報を構成する第一比較コマンド情報が1個である場合を説明する図である。
図11】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数枚のコマンド・パネルの例を示す平面図であり、第一比較対象情報を構成する第一比較コマンド情報が複数種類である場合を説明する図である。
図12】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数枚のコマンド・パネルの例を示す平面図であり、第一比較対象情報を構成する第一比較コマンド情報が1個である場合を説明する図である。
図13】同実施の形態に係るコマンド・パネルの例を示す平面図であり、(a)は、移動ロボットの進行方向に配置された複数枚のコマンド・パネルを示す図であり、(b)は、単語の発音を発生させるコマンド情報を含むコマンド・パネルを示す図である。
図14】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数のコマンド・パネルの例を示す平面図である。
図15】同実施の形態に係るコマンド・パネルの例を示す平面図であり、(a)は、移動ロボットの進行方向に配置された複数枚のコマンド・パネルを示す図であり、(b)は、スタート位置に配置されるコマンド・パネルを示す図である。
図16】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数のコマンド・パネルの例を示す平面図である。
図17】同実施の形態に係る移動ロボットの進行方向に配置された複数枚のコマンド・パネルの例を示す平面図であり、スタート位置に配置されるコマンド・パネルとゴール位置に配置されるコマンド・パネルを含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[発明の実施の形態]
この発明の実施の形態について、図1図17を用いて説明する。
【0025】
図1に示したように、この実施の形態に係る学習玩具100は、「移動体」としての1台の移動ロボット110と、複数枚のコマンド・パネル121とで構成されている。また、複数枚のコマンド・パネル121が連続して配置され、移動路120が形成されている。これらのコマンド・パネル121には、移動ロボット110の動作の命令である異なるコマンド情報が記録されている。学習者は、移動ロボット110にさせたい動作に応じて、複数枚のコマンド・パネル121を順次並べて、任意の移動路120を形成する。移動ロボット110は、これらのコマンド・パネル121の上を自走しながら、コマンド・パネル121に記録されているコマンド情報を読み取り、コマンド情報に基づいて様々な動作を行う。
【0026】
<移動ロボット>
この実施の形態に係る移動ロボット110は、自走するための「移動手段」である移動機構230と、コマンド・パネル121のコマンド情報を読み取る「読取手段」である光学読取モジュール240と、読み取った複数のコマンド情報を記憶する「記憶手段」であるコマンド情報用メモリ508(図4参照)と、移動ロボット110に動作をさせる「制御手段」である制御部501(図4参照)とを有している。また、移動ロボット110には、この移動ロボット110を発光させる「発光素子」であるRGB光源502(図4参照)と、この移動ロボット110から音声を発生させるスピーカ507(図4参照)とが内蔵されている。また、移動ロボット110の機能は、これらに限定されず、他の機能を追加してもよい。
【0027】
図2(a)及び(b)は、この移動ロボット110の外観の概要を示しており、本体部211と、底面部212とを有する。本体部211と底面部212とは、着脱できる構造になっている。本体部211には、周囲に渦巻き状に発光部220が形成されている。また、正面の2個の円形部221は、顔の目を模したデザインとして設けられている。底面部212には、移動機構230と光学読取モジュール240と電源スイッチ503などが設けられている。
【0028】
本体部211は、例えば樹脂等の安全性が高い材料で形成することが望ましく、球形部213と円錐形状部214とを組み合わせて形成されている。但し、この本体部211の形状や寸法等は、任意である。
【0029】
発光部220は、例えば透明の樹脂等の安全性が高い材料で形成される。本体部211内に設けられたRGB光源502(例えばLEDを用いたもの、図1及び図2では示さず)が発光することで、この発光部220が発光して見えるように構成されている。RGB光源502の赤、緑、及び青の発光の組合せによって、移動ロボット110の発光部220を任意の色に発光させることができる。この実施の形態では、発光部220の形状を渦巻き状としたが、この発光部220の形状は任意である。
【0030】
底面部212は、例えば樹脂等の安全性が高い材料で形成することが望ましく、下側に突出する凸面を有している。但し、底面部212の形状等は任意である。図3には、本体部211から底面部212を取り外した状態で、底面部212に配置された移動機構230を示している。図3には斜め下方から見た斜視図を示している。
【0031】
移動機構230は、この移動ロボット110を移動・回転等させるための機構である。この移動機構230は、図2及び図3に示したように、一対の回転脚231と、一対の補助ボール232とを備えている。
【0032】
一対の回転脚231は、底面部212の外縁付近から、外側に傾斜した状態で、突出して配置されている。これら回転脚231は、底面部212の中心を挟んで、対称な位置に配置されている。これら回転脚231は、先端に形成された球面で、床面に接する。これら回転脚231は、本体部211内に配置された、一対のモータ401(図4参照)の駆動軸(図示せず)にそれぞれ連結されており、これらの駆動軸によって回転駆動される。
【0033】
一対の補助ボール232は、底面部212の外縁付近に、この底面部212から突出した状態で、回転自在に設けられている。すなわち、これら補助ボール232は、底面部212の上側に設けられた保持部材(図示せず)で保持されているにすぎず、駆動力を有さない。また、補助ボール232は、本体部211の内部に確実に保持されるようになっている。補助ボール232が、底面部212の孔径から外側に絶対に飛び出さない安全対策がされているため、万が一にも、補助ボール232が、脱落することはなく、学習者は安心して学習をすることができる。また、これら補助ボール232は、底面視で回転脚231からそれぞれ略90゜の位置に配置されると共に(図2(b)参照)、これら回転脚231と同時に床面に接するような高さに配置されている(図2(a)参照)。
【0034】
回転脚231及び補助ボール232を、このように配置することで、移動ロボット110の本体部211が傾くこと無しに安定した状態で床面に置くことができると共に、移動ロボット110の移動・回転等の動作をスムーズに行うことができる。但し、移動機構230の具体的構造は任意であり、前進や回転等の動作を行うことができるものであればよい。
【0035】
移動ロボット110は、一対の回転脚231の回転制御をそれぞれ個別に行うことで、直進、回転、右折、左折等を行うことができる。例えば、移動ロボット110を直進させたい場合は、一対の回転脚231を同じ回転速度で同じ方向に回転させればよい。一方、移動ロボット110を、移動することなくその場で回転させたい場合には、一対の回転脚231を、同じ回転速度で逆方向に回転させればよい。また、一対の回転脚231を全て停止させれば、動いている移動ロボット110は停止する。
【0036】
移動ロボット110は、コマンド・パネル121の上に乗った状態で、コマンド・パネル121に記録されたコマンド情報を読み取り、読み取ったコマンド情報に基づいて所望の動作をする。
【0037】
移動ロボット110の光学読取モジュール240は、図2及び図3に示したように、底面部212の中心位置部分に下向きに取り付けられており、真下にあるコマンド・パネル121を読み取ることができるようになっている。
【0038】
光学読取モジュール240は、「二次元パターン」である二次元のドットパターンを使用した方式(日本国特許第3829143号、日本国特許第4054339号)を用いてコマンド・パネル121に記録されたコマンド情報を光学的に読み取ることができる構成になっている。
【0039】
コマンド・パネル121表面には、コマンド情報と一対一に対応する二次元のドットパターンが印刷されており、この光学読取モジュール240に内蔵されている二次元配列の光センサが光学的にこのドットパターンの画像を検出できるようになっている。また、二次元のドットパターンは方向性を有するように構成されているため、この画像から、コマンド・パネル121に対する移動ロボット110の方向を検出できるようになっている。さらに、二次元のドットパターンは、小さく目立ちにくいように印刷されている。
【0040】
二次元のドットパターンを使用したこの方式は、十分に大きい容量のデータをコマンド・パネル121に記録することができ、また、二次元のドットパターンが視覚的に認識し難い状態で付加できるため、光学読取モジュール240がコマンド・パネル121を読み取る方法として好適である。
【0041】
なお、コマンド・パネル121にコマンド情報を付加する方法は、特に限定されない。例えば、バーコードや、QRコード(登録商標)などの二次元コード等を光学的に読み取る方法であっても良いし、情報を磁気的に記録する方法であっても良いし、IC(Integrated Circuit)チップ等を用いる方法であってもよいし、他の方法であってもよい。また、コマンド情報は、コマンド・パネル121の表面に印刷等で付加してもよいし、コマンド・パネル121の内部や裏面に付加してもよい。すなわち、そのコマンド・パネル121上に移動ロボット110が位置しているときに、その移動ロボット110がコマンド情報を読み取れさえすれば、どのような方法であってもよい。
【0042】
移動ロボット110の電源スイッチ503は、移動ロボット110の電源を入れたり、切ったりするためのスイッチである。電源スイッチ503は、底面部212以外に配置してもよいし、無くしてしまってもよい。また、電源スイッチ503の種類は、どのような種類のスイッチを使用してもよい。
【0043】
移動ロボット110の本体部211には、図4に示したような制御回路500が配置されている。
【0044】
図4に示したように、この制御回路500は制御部501を有し、この制御部501には、RGB光源502、電源スイッチ503、光学読取モジュール240、モータコントローラ505、音声再生部506、コマンド情報用メモリ508が接続されている。
【0045】
制御部501は、接続されている電子要素を制御するプログラムに従って処理を行うCPU(Central Processing Unit)520と、CPU520を動作させるためのプログラムやデータを保持している制御部用ROM(Read Only Memory)(フラッシュメモリ)521と、CPU520の動作に必要なデータを一時的に保持する制御部用RAM(Random Access Memory)522などから構成されている。制御部用ROM(フラッシュメモリ)521としてフラッシュメモリ、制御部用RAM522としてSRAM(Static Random Access Memory)が用いられている。なお、制御部用ROM(フラッシュメモリ)521としてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などのその他の種類のメモリを使用してもよい。フラッシュメモリやEEPROMは、電気的にデータを書き換えることができ、電源を切ってもそのデータが保存される不揮発性メモリである。フラッシュメモリは、フラッシュROM(Flash ROM)とも呼ばれている。また、SRAMは、電源を切るとデータが消滅する揮発性メモリである。なお、制御部用RAM522として、SRAM以外のその他の種類のメモリを使用してもよい。
【0046】
制御部501は、光学読取モジュール240から受け取ったコマンド情報に基づいてRGB光源502、モータコントローラ505、音声再生部506を制御することにより、移動ロボット110に動作を実行させる。
【0047】
RGB光源502は、上述したように、制御部501の制御に基づいて、移動ロボット110の発光部220を所定の色に発光させる。このRGB光源502は、赤、緑及び青のLEDで構成される。
【0048】
電源スイッチ503は、移動ロボット110の電源をオン/オフするためのスイッチであるが、必須では無い。この電源スイッチ503は、移動ロボット110の本体部211或いは底面部212の、目立たない場所に配置することが望ましい。
【0049】
光学読取モジュール240は、読み取った光学情報からコマンド情報及び移動ロボット110のコマンド・パネル121に対する方向を検出して、制御部501へ送る。
【0050】
モータコントローラ505は、制御部501の制御に基づいて、一対のモータ401を駆動する。上述のように、これらモータ401の回転速度や回転方向は、対応するコマンド・パネル121のコマンド情報に応じて、個別に決定される。
【0051】
移動ロボット110には、音声やサウンドを再生するためのスピーカ507が設けられている。スピーカ507は、コマンド情報に基づいて、音符の音階、楽器の音色を表現する音、動物の鳴き声などを発生させるように構成されている。
【0052】
音声再生部506は、制御部501の制御に基づいて、スピーカ507に音声を再生させる。スピーカ507が再生する音声の種類や音階等は、対応するコマンド・パネル121のコマンド情報に基づいて決定される。
【0053】
コマンド情報用メモリ508は、光学読取モジュール240が読み取り、この光学読取モジュール240から制御部501へ送られた複数のコマンド情報を記憶する。移動ロボット110が、コマンド・パネル121上の中央部に達したときに、制御部501は、コマンド・パネル121から読み取ったコマンド情報をコマンド情報用メモリ508に記憶させるようになっている。また、移動ロボット110は、通過したコマンド・パネル121の複数のコマンド情報の全てをコマンド情報用メモリ508に記憶させるようになっている。なお、移動ロボット110は、通過したコマンド・パネル121の複数のコマンド情報の一部をコマンド情報用メモリ508に記憶させるようにしてもよい。
【0054】
また、移動ロボット110は、通過したコマンド・パネル121の複数のコマンド情報をコマンド情報用メモリ508のアドレスの順序の記憶領域に連続して記憶させるようになっている。なお、移動ロボット110は、通過したコマンド・パネル121の関連するコマンド情報ごとにコマンド情報用メモリ508のアドレスを分けて、関連するコマンド情報のまとまりごと記憶領域に記憶させるようにしてもよい。
【0055】
コマンド情報用メモリ508は、SRAMなどで構成される。ただし、コマンド情報用メモリ508には、SRAMに限らず、その他のRAMなどの揮発性メモリや、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを用いることができる。
【0056】
また、コマンド情報用メモリ508は、制御部501のCPU520の処理のため一時的にデータを記憶している制御部用RAM522と別個に存在する必要はなく、制御部用RAM522によって、コマンド情報用メモリ508の機能を実現させることができる。このような構成にする方が、コストも低減され、電子基板の面積も小型化されるなど利点がある。もちろん、データを保持している制御部用ROM(フラッシュメモリ)521にコマンド情報用メモリ508の機能を実現させてもよい。この場合には、コマンド情報を不揮発性メモリに保存することになるため、電源を切り、再度、移動ロボット110の電源を入れた後も、前回読み取ったコマンド情報を取り出すことができる。コマンド情報を保存することで、過去のコマンド情報を、実行中の移動ロボット110の動作に反映させるようなプログラミングも可能になる。
【0057】
制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を、記憶された順序に関わりなく、任意の順序で取り出すことができる。このため、複数のコマンド情報をコマンド情報用メモリ508の任意の記憶順序の位置から取り出して移動ロボット110に動作を実行させることができる。この結果、コマンド情報を順次読み取り、それに応じて順次移動ロボット110の動作が実行されるような単純なプログラミングだけでなく、コマンド情報の読み取りと読み取られたコマンド情報に基づいて行われる移動ロボット110の動作が時間的に隔てて行われるようなプログラミングなど、高度なプログラミングの作成が可能になる。また、あらかじめ実行順位の情報を設定しておき、その順位情報にしたがって、読み取ったコマンド情報に基づく移動ロボット110の動作を行わせることもできる。
【0058】
また、制御部501は、移動ロボット110の動作に必要なコマンド情報が、コマンド情報用メモリ508に記憶されていれば、そのコマンド情報を自動的に抽出して取り出すことができる。このため、移動ロボット110の動作がコマンド情報の読み取り順序に従わないようなプログラミングができる。
【0059】
本体部211には、このような制御回路500の他、バッテリ(図示せず)等も収容されている。バッテリの種類は限定されず、例えば乾電池でもよいし、充電池等でもよい。
【0060】
なお、図4には示さなかったが、制御回路500に加速度センサや音声録音用マイク等を接続して、より複雑な動作を移動ロボット110に実行させることができるようにしてもよい。
【0061】
<コマンド・パネル>
次に、コマンド・パネル121について説明する。
【0062】
コマンド・パネル121は、正方形のプレートの角部を切断した形状を呈している。正方形の角部を切断した形状にしたことで、コマンド・パネル121を隙間なく平面状に配置しても、コマンド・パネル121の角部の部分に指の入る隙間ができ、平面内部に配置されたコマンド・パネル121であっても取り外しやすくなるという利点がある。さらに、角部の角度が鈍角になるため、コマンド・パネル121を角部から落下させても破損しにくくなり、子供にひっかき傷などの怪我を負わせることも防止できる。
【0063】
また、コマンド・パネル121に四面あるプレート端面の両端部にはそれぞれ極性が逆になるように磁石が組み込まれている。このようにプレート端面に磁石を組み込むことにより、二枚のコマンド・パネル121を隣接して配置すると、対向するプレート端面同士が、磁石により互いに引き付け合うために、プレート端面の長手方向にずれることなく、かつ、隙間なく接触状態が維持され、安定した移動ロボット110の移動路120が形成される。
【0064】
コマンド・パネル121は、例えば樹脂等の安全性が高い材料で形成することが望ましい。
【0065】
例えば、コマンド・パネル121は、ABS樹脂などのプラスチックにより成形されることが考えられる。この場合のコマンド・パネル121の形態としては、数ミリメートル程度の厚さをなして、柔軟性のない硬化した成形品になることなどが考えられる。
【0066】
しかし、コマンド・パネル121は、ビニールシートや紙などで形成することもできる。柔軟性のある材料を使用することにより、折り畳むことができるため、小スペースで収納することができるという利点が生ずる。また、安価にコマンド・パネル121を形成できるという利点が生じる。
【0067】
コマンド・パネル121をビニールシートや紙で形成した場合、コマンド・パネル121の寸法の1枚の大きさのものをそれぞれ複数枚、用意してもよい。また、コマンド・パネル121の1枚の大きさのものを1枚の大きなシートに隙間なく平面状に敷き詰めて配置するように貼り付けて、ビニールシートや紙で形成された複数枚のコマンド・パネル121からなる1枚の大きなシートとすることもできる。この場合には、学習者が、この学習玩具100を用いて学習する際、1枚の大きなシートを床の上に広げて使用することになる。
【0068】
例えば、ビニールシートや紙のコマンド・パネル121を、行方向に7枚分、列方向に7枚分敷き詰めて配置して平面領域を構成するように1枚の大きなシートの上に貼り付けるようにしてもよい。
【0069】
1枚の大きなシートに貼り付けるコマンド・パネル121の枚数は任意であり、7行7列の範囲の大きさ以外の大きさで構成してもよいし、複数枚のコマンド・パネル121を貼り合わせて形成される領域が、正方形以外の形状を構成するようにしてもよい。
【0070】
コマンド・パネル121が貼り付けられるこの1枚の大きなシートは、ビニールシートや紙を使用して作成することができる。
【0071】
また、コマンド・パネル121を1枚ずつ大きなシートに貼り付けていく形態だけでなく、あらかじめ、ビニールシートや紙の1枚の大きなシートに複数枚のコマンド・パネル121を平面状に敷き詰めて配置するように印刷しておいてもよい。
【0072】
印刷する場合には、1枚の大きなシートの中で、コマンド・パネル121の配置を任意に変更することができなくなる。しかし、コマンド・パネル121と、コマンド・パネル121に基づいて行われる移動ロボット110の動作の関係を認識させるような基礎的な学習を繰り返して行う場合には、有効となる。
【0073】
また、1枚の大きなシートに印刷されるコマンド・パネル121の種類や配置を様々に変更したものを複数種類、用意しておいてもよい。このようにすることで、1枚の大きなシートを交換することにより、移動ロボット110の動作が様々に変化することになる。このため、学習者は、コマンド・パネル121と、コマンド・パネル121に基づいて行われる移動ロボット110の動作の関係について、多くのパターンを学習できるようになる。
【0074】
また、コマンド・パネル121をビニールシートや紙で形成した場合、コマンド・パネル121の1枚の大きさのものを、床に隙間なく平面状に敷き詰めて配置するように貼り付けてもよい。
【0075】
柔軟性がある材料や安価な材料として、ビニールシートや紙だけでなく、布などその他の材料を使用してもよい。
【0076】
<二次元のドットパターン>
次に、コマンド・パネル121に印刷されている二次元のドットパターンについて説明する。
【0077】
コマンド・パネル121には、それぞれ異なるコマンド情報が記録されている。上述したように、コマンド・パネル121表面には、コマンド情報に対応する二次元のドットパターンが印刷されており、光学読取モジュール240により検出されるようになっている。
【0078】
二次元のドットパターンは、例えば、行方向に6個のドットが配列されて、列方向にも6個のドットが配列される36個のドットから構成することができる。二次元のドットパターンを構成するドットの数は、36個に限られず、それ以外のドット数を採用してもよい。例えば、1個のドットで1ビットを表現する場合、学習玩具100を構成するのに必要なビット数が24ビットであれば、二次元のドットパターンを構成するドットの数を24個としてもよいことは、もちろんである。この36個のドットから構成される二次元のドットパターンを、光学読取モジュール240に内蔵されている二次元配列の光センサで光学的に読み取り、このドットパターンの画像データを処理する。こうすることによって、二次元のドットパターンに記録されている情報を検出できるようになっている。光学読取モジュール240の二次元配列光センサには、画素サイズの小さいセンサが採用されているため、ドットの大きさやドットの間隔を小さくしても二次元のドットパターンを検出ができるようになっている。このため二次元のドットパターンの大きさは、小さく構成されている。こうすることにより、二次元のドットパターンが目立ちにくくなる。また、光学読取モジュール240により一度に複数の二次元のドットパターンを読み取ることができるようになるため、コマンド・パネル121の表面の一部が汚れても、汚れていない部分の二次元のドットパターンを検出することで、読み取り不能になることを防ぐことができる。
【0079】
また、使用されている二次元のドットパターンには、大きい容量のデータを記録させることができるようになっている。このため、コマンド・パネル121に記録されるコマンド情報の種類の数を超えて、さらに大きなデータの記録ができるようになっている。
【0080】
そこで、大きい容量のデータを記録できる二次元のドットパターンの特徴を活かして、コマンド・パネル121に記録されるコマンド情報だけでなく、コマンド・パネル121の表面上の位置とコマンド・パネル121の表面上にあらかじめ定められている方向も検出できるように二次元のドットパターンに情報が付加されている。
【0081】
<コマンド・パネルと移動ロボットの動作>
次に、この学習玩具100の使用方法について説明する。学習者は、複数枚のコマンド・パネル121を並べて、その上を移動ロボット110に走行させるようにして使用する。
【0082】
コマンド情報は、学習者には直接認識できないため、コマンド情報に基づく移動ロボット110の動作を表示する絵柄がコマンド・パネル121に描かれており、学習者は、この絵柄を通してコマンド情報を認識できるようになっている。コマンド・パネル121に描かれる絵柄は、コマンド情報を学習者にイメージさせるような絵柄であることが好ましい。
【0083】
また、コマンド・パネル121の表面と裏面に同一の絵柄を印刷して同一のコマンド情報を記録してもよいし、異なる絵柄を印刷して異なるコマンド情報を記録してもよい。
【0084】
以下に、コマンド・パネル121に描かれた絵柄と、その絵柄に対応するコマンド情報に基づく移動ロボット110の動作を説明する。
【0085】
図5には、一部のコマンド・パネル121の絵柄を示している。図5の絵柄の表示は一例であり、これ以外の絵柄を用いて、コマンド情報を表示してもよい。
【0086】
図5(a)に示されているコマンド・パネル121aは、移動ロボット110に移動を開始させるコマンド情報を含むパネルであり、移動路120のスタート地点に配置される。
【0087】
学習者が、移動路120の上に移動ロボット110を乗せてスタートさせる際、このコマンド・パネル121a以外の位置からスタートさせてしまうことも想定される。このような場合には、移動ロボット110から通知音を発生させて、学習者に正しい位置からスタートさせていないことを知らせるようにしてもよい。
【0088】
学習者は、この通知音を認識することにより、プログラムの処理は、スタート位置から正しく実行させることが必要であることを学習することができる。
【0089】
図5(b)に示されているコマンド・パネル121bは、移動ロボット110に移動を停止させるコマンド情報を含んでおり、移動路120のゴール地点に配置される。なお、例えば移動ロボット110を停止させると同時にファンファーレ音を再生させて、移動ロボット110の発光部220を発光させるというように、1枚のコマンド・パネル121bに含まれるコマンド情報に基づいて複数種類の動作を行わせることもできる。
【0090】
コマンド・パネル121cは、移動ロボット110の進行方向を決定させるコマンド情報を含んでいる(図5(c)参照)。例えば、このコマンド・パネル121cに印刷されている矢印の方向と移動ロボット110の進行方向が、同じ方向になるように配置する場合、移動ロボット110はそのまま直進する。一方、このコマンド・パネル121cに印刷されている矢印の方向が右方向を指すように配置する場合、移動ロボット110は、このコマンド・パネル121c上の中央部で右折する。同様に、このコマンド・パネル121cに印刷されている矢印の方向が左方向を指すように配置する場合、移動ロボット110は、このコマンド・パネル121c上の中央部で左折する。
【0091】
コマンド・パネル121dは、移動ロボット110にそのコマンド・パネル121d上で一回転させるコマンド情報を含んでいる(図5(d)参照)。
【0092】
コマンド・パネル121eは、ランダムパネルと呼ばれており、あらかじめ移動ロボット110にさせる動作が決定されていない(図5(e)参照)。移動ロボット110が、このコマンド・パネル121e上の中央部に達したときに、移動ロボット110の制御部501は、乱数を発生させて、発生した乱数に基づいて移動ロボット110に動作をさせる。
【0093】
コマンド・パネル121fは、移動ロボット110の発光部220を所定の色に発光させるコマンド情報を含んでいる(図5(f)参照)。例えば、このコマンド・パネル121fに印刷されている絵柄の色がマゼンタ色の場合、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121f上の中央部に達すると、移動ロボット110の発光部220はマゼンタに発光する。一方、このコマンド・パネル121fの絵柄の色が青の場合、発光部220は青に発光する。このように、発光部220の発光色を絵柄の色に対応させて設定することができる。移動ロボット110は、絵柄が異なる色で印刷されているこのコマンド・パネル121f上の中央部を通過するたびに、発光部220の発光色が切り換えられる。この切り換えは、移動ロボット110の「着替え」に該当する。
【0094】
移動ロボット110がこのコマンド・パネル121f上の中央部に達すると、制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121fからコマンド情報を読み取らせる。そして、制御部501は、読み取られた発光部220を所定の色に発光させるコマンド情報を、コマンド情報用メモリ508に新たに追加して記憶させるとともに、RGB光源502を所定の色に発光させる。
【0095】
コマンド・パネル121gは、移動ロボット110に、発光部220の発光色に応じて移動ロボット110の進行方向を決定させるコマンド情報を含んでいる(図5(g)参照)。このコマンド・パネル121gの表面には、中央部から4方向に向けて4個の矢印が印刷されており、上向きの矢印は青色、左向きの矢印は黄色、下向きの矢印は緑色、右向きの矢印はマゼンタ色で表示されている。例えば、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121gに印刷されている黄色の矢印の先端側から進入してマゼンタ色の矢印の先端が向いている方向に進行し、このコマンド・パネル121g上の中央部に達する場合、発光部220がマゼンタに発光していればそのまま直進し、緑に発光していれば右折し、黄に発光していれば後退し、青に発光していれば左折するというように、移動ロボット110の進行方向を決定させることが可能である。移動ロボット110は、このコマンド・パネル121gに印刷されている4個の矢印のどの方向にも進む可能性があるが、どの矢印の方向に進むかの選択は、事前に移動ロボット110が通過している発光部220を発光させるコマンド・パネル121fの絵柄の色に基づいて決定されるという構成になっている。
【0096】
なお、発光部220の発光が、このコマンド・パネル121gに4方向の矢印の色として表示されている青、黄、マゼンタ、緑以外の場合、移動ロボット110は、このコマンド・パネル121gの矢印にかかわらずそのまま直進するようになっている。例えば、発光部220が赤に発光している場合、このコマンド・パネル121gの矢印のどの色にも一致しないため、移動ロボット110は、矢印と無関係に直進する。
【0097】
移動ロボット110がこのコマンド・パネル121g上の中央部に達すると、制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121gからコマンド情報を読み取らせる。制御部501は、読み取られた発光部220の発光色に応じて移動ロボット110の進行方向を決定させるコマンド情報を、コマンド情報用メモリ508に新たに追加して記憶させるとともに、すでにコマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を時系列の新しい側から古い側に向けて順次、読み出していく。そして、発光部220を所定の色に発光させるコマンド・パネル121fに記録されているコマンド情報が読み出されたところで、制御部501は、その時点の発光部220の発光色を検出できるため、コマンド情報用メモリ508からのコマンド情報の読み出しを終了する。上述したようにコマンド・パネル121を読み取ることで、コマンド情報とともに移動ロボット110のコマンド・パネル121に対する方向が検出できる。このため、制御部501は、発光部220の発光色と色が一致するこのコマンド・パネル121gに印刷されている矢印の方向を検出することができる。その後、制御部501は、モータコントローラ505を制御して、移動ロボット110を発光部220の発光色と色が一致する矢印の方向に移動させる。
【0098】
このように、発光部220を所定の色に発光させるコマンド・パネル121fと、発光部220の発光色に応じて移動ロボット110の進行方向を決定させるコマンド・パネル121gの複数のコマンド・パネル121を組み合わせることにより、移動ロボット110の動作が決定される。すなわち、先に読み取られたコマンド・パネル121fのコマンド情報に応じて、制御部501は、後に読み取られるコマンド・パネル121gのコマンド情報に基づいて行われる移動ロボット110の動作を変化させるようになっている。このため、学習者は、発光部220を発光させるコマンド・パネル121fの絵柄の色を選択することにより、移動ロボット110の進行方向を変化させることができる。発光部220の発光色に応じて移動ロボット110の進行方向を決定させるこのコマンド・パネル121gは、プログラム言語の‘IF’文(すなわち、分岐命令)に相当し、学習者は、プログラミングの条件分岐の学習をすることができる。
【0099】
ここで、例えば、移動ロボット110の発光部220を青に発光させるコマンド・パネル121fがコマンド・パネル121gの手前に配置されているにもかかわらず、進行方向決定用のコマンド・パネル121gの左側(すなわち、青色発光時に移動ロボット110が進行する方向)にコマンド・パネル121が配置されていないような場合には、この移動ロボット110は移動路120から外れてしまうことになる。このような場合には、移動ロボット110にエラー動作を行わせる。エラー動作としては、例えば、移動ロボット110が、移動路120から外れたときに、エラー音を発しながら、移動を停止する動作を採用できる。
【0100】
また、例えば、移動ロボット110が、発光部220を発光させるコマンド・パネル121fを通過していないにもかかわらず、進行方向決定用のコマンド・パネル121gに到達したような場合には、移動ロボット110にエラー動作をさせるようにしてもよい。エラー動作としては、例えば、移動ロボット110が、このコマンド・パネル121g上の中央部でそのまま停止してエラー音を発する動作をさせるようにしてもよい。移動ロボット110が発光部220を発光させるコマンド・パネル121fを通過していないことを検出するには、制御部501が、コマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を時系列の新しい側から古い側に向けて順次、読み出していき、全てのコマンド情報を読み出しても、発光部220を発光させるコマンド・パネル121fに記録されているコマンド情報が読み出されないことを判断すればよい。
【0101】
コマンド・パネル121hは、移動ロボット110に、再生音の楽器を設定させるコマンド情報を含んでいる。このコマンド・パネル121hには、図5(h)に示すようにピアノの絵が描かれており、再生音はピアノ音に設定される。また、この他に、木琴、トランペット、アコーディオンの絵が描かれており、再生音をそれぞれの楽器の音に設定させるコマンド・パネル121hも用意されている。なお、これ以外の他の楽器に設定するためのコマンド・パネル121hを設けてもよいことはもちろんである。移動ロボット110がこのコマンド・パネル121h上の中央部に達すると、制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121hからコマンド情報を読み取らせる。制御部501は、読み取られた再生音の楽器を設定させるコマンド情報を、コマンド情報用メモリ508に新たに追加して記憶させるとともに、再生音がピアノに設定されたことを学習者に通知するため、音声再生部506を制御してスピーカ507からピアノ音を発生させる。
【0102】
コマンド・パネル121iは、移動ロボット110に、所定の音階の再生音を出力させるコマンド情報を含んでいる。図5(i)には、五線と音符により‘ド’を表現する絵柄が描かれており、このコマンド・パネル121iは再生音階が‘ド’の例を示している。移動ロボット110がこのコマンド・パネル121i上の中央部に達すると、スピーカ507から‘ド’の音階が再生される。この際、このコマンド・パネル121iの通過に先立って、移動ロボット110が、再生音の楽器を設定させるコマンド・パネル121hを通過している場合、設定された楽器の音色でこのコマンド・パネル121iに印刷されている絵柄の音階が再生されるようになっている。移動ロボット110が、このコマンド・パネル121i上で再生する音階の音色は、ピアノ、木琴、トランペット、アコーディオンなどのようにコマンド・パネル121hで設定できる楽器の音色で再生可能である。どの楽器の音色で音階が再生されるかの選択は、事前に移動ロボット110が通過している再生音の楽器を設定させるコマンド・パネル121hに印刷されている絵柄の楽器に基づいて決定されるという構成になっている。
【0103】
移動ロボット110がこのコマンド・パネル121i上の中央部に達すると、制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121iからコマンド情報を読み取らせる。制御部501は、読み取られた所定の音階の再生音を出力させるコマンド情報を、コマンド情報用メモリ508に新たに追加して記憶させるとともに、すでにコマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を時系列の新しい側から古い側に向けて順次、読み出していく。そして、再生音の楽器を設定させるコマンド・パネル121hに記録されているコマンド情報が読み出されたところで、制御部501は、その時点で設定されている楽器の種類を検出できるため、コマンド情報用メモリ508からのコマンド情報の読み出しを終了する。
【0104】
その後、制御部501は、音声再生部506を制御してスピーカ507を通して、設定されている楽器の音色でこのコマンド・パネル121iに記録されている音階を再生させる。
【0105】
このように、再生音の楽器を設定させるコマンド・パネル121hと、所定の音階の再生音を出力させるコマンド・パネル121iの複数のコマンド・パネル121を組み合わせることにより、移動ロボット110のスピーカ507から出力される音色と音階が決定される。すなわち、制御部501は、先に読み取られたコマンド・パネル121hによって設定された楽器の音色で、後に読み取られる音階のコマンド・パネル121iによって再生される音階を発生するようになっている。このため、学習者は、これらコマンド・パネル121hとコマンド・パネル121iを組み合わせて選択することにより、自らイメージする音を、移動ロボット110に再生させることができる。
【0106】
また、図5(i)に示すコマンド・パネル121iの再生音階である‘ド’以外にも、‘レ’、‘ミ’、‘ファ’、‘ソ’、‘ラ’、‘シ’及び1オクターブ高い‘ド’の各音階のコマンド・パネル121iが用意されている。なお、これ以外の他の音階を設定するコマンド・パネル121iを設けてよいことはもちろんである。
【0107】
このように、この実施の形態に係る移動ロボット110は、二枚のコマンド・パネル121h及びコマンド・パネル121iに含まれるコマンド情報の組み合わせに基づいて、一つのサウンド再生動作を実行することができる。また、再生音の楽器を設定させるコマンド・パネル121hの後に、所定の音階の再生音を出力させるコマンド・パネル121iを、複数枚並べることにより、移動ロボット110に所望の音色で所望のメロディを再生させることもできる。
【0108】
さらに、これら複数のコマンド・パネル121i上を通過する際に、移動ロボット110が移動する速さを変化させて、所望のメロディが再生される速さを変化させるようにしてもよい。一方、移動ロボット110が移動しながらサウンド再生を行うのでは無く、音階出力用のコマンド・パネル121i上の中央部を通過する際に、音階の再生はせず、移動ロボット110が音階を順次記憶することとし、これらの音階で構成されるメロディを、移動ロボット110がゴール地点に配置されるコマンド・パネル121bに到達した際に所定回数だけ再生することにしてもよい。
【0109】
また、コマンド情報用メモリ508の中のコマンド情報の並び順序について、音階のコマンド情報が連続せず、音階のコマンド情報の間に、例えば、移動ロボット110の発光部220を発光させるコマンド情報や、移動ロボット110に一回転させるコマンド情報などが挟まって並んでいる場合、制御部501は、音階のコマンド情報以外のコマンド情報を取り除いて、音階のコマンド情報のみから、移動ロボット110に音階の再生をさせてもよい。この際、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されている複数のコマンド情報の中から、音階のコマンド情報のみを自動的に抽出して移動ロボット110に順次、その音階を再生させる。
【0110】
コマンド・パネル121jは、移動ロボット110に、移動開始以降に読み取った音階の再生音を出力させるコマンド・パネル121iに基づく音階を連続して最大20音再生させるコマンド情報を含んでいる(図5(j)参照)。なお、再生される音階の最大の個数は、20音に限らず、20音より多くてもよいし、20音よりも少なくてもよい。また、読み取った全ての音階を再生させてもよい。このコマンド・パネル121jには、音符の絵柄が、1個描かれている。移動ロボット110は、このコマンド・パネル121j上の中央部に達すると、その位置で一時的に停止して、それ以前に音階のコマンド・パネル121iからコマンド情報を読み取って再生した音階のうちの最大20音を連続して1回再生するようになっている。
【0111】
移動ロボット110が、このコマンド・パネル121j上の中央部に達すると、制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121jからコマンド情報を読み取らせる。そして、制御部501は、読み取られたコマンド情報を、コマンド情報用メモリ508に新たに追加して記憶させる。
【0112】
その後、制御部501は、モータコントローラ505を制御して、このコマンド・パネル121j上で移動ロボット110の移動を一時的に停止させる。
【0113】
続いて、制御部501は、すでにコマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を時系列の古い側から新しい側に向けて順次、読み出していく。このとき、制御部501は、コマンド・パネル121hに記録されている再生音の楽器を設定させるコマンド情報と、コマンド・パネル121iに記録されている所定の音階の再生音を出力させるコマンド情報のみを自動的に抽出して、音階のコマンド・パネル121iのコマンド情報の個数を計数していく。
【0114】
制御部501は、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121j上に達したときに記憶させたコマンド・パネル121jのコマンド情報をコマンド情報用メモリ508から読み出したところで、コマンド情報用メモリ508に記憶されている全てのコマンド情報を読み出したことを検出できる。これにより、制御部501は、コマンド情報用メモリ508からのコマンド情報の読み出しを終了するとともに、音階のコマンド・パネル121iのコマンド情報の計数も終了する。
【0115】
その後、制御部501は、音声再生部506を制御してスピーカ507から、再生される音階の個数が最大20音となるように、設定された楽器の音色で、音階を順次再生させていく。
【0116】
最後に、制御部501は、モータコントローラ505を制御して、このコマンド・パネル121jの次に配置されているコマンド・パネル121に移動ロボット110を前進させる。
【0117】
図6(a)には、移動ロボット110の移動開始位置に配置されるコマンド・パネル121aから、複数のコマンド・パネル121を連続して配置して、コマンド・パネル121jまでの移動路120の一例が示されている。移動ロボット110が、コマンド・パネル121aから移動を開始して、コマンド・パネル121j上に達したときの移動ロボット110の動作について説明する。
【0118】
移動ロボット110が、コマンド・パネル121j上の中央部に達すると、制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121jからコマンド情報を読み取らせる。そして、制御部501は、読み取られたコマンド情報を、コマンド情報用メモリ508に新たに追加して記憶させる。
【0119】
次に、制御部501は、モータコントローラ505を制御して、移動ロボット110の移動を停止させる。
【0120】
続いて、制御部501は、すでにコマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を時系列の古い側から新しい側に向けて順次、読み出していく。
【0121】
このとき、制御部501は、コマンド・パネル121hとコマンド・パネル121iに記録されているコマンド情報を抽出して、音階のコマンド・パネル121iのコマンド情報の個数を計数していく。
【0122】
まず、最初に読み出されるコマンド情報は、コマンド・パネル121aに記録されているものであるが、これは、音階の再生に関係しないため、制御部501は何もせず、コマンド情報用メモリ508から次のコマンド情報を読み出す。
【0123】
次は、音階の再生音をピアノに設定するコマンド・パネル121hのコマンド情報が読み出されるため、制御部501は、音階の再生音をピアノに設定する。
【0124】
その次に読み出されるコマンド情報は、音階の‘ド’を再生させるコマンド・パネル121iに記録されているものであるため、制御部501は、計数を1個増加させる。このコマンド情報は、ピアノの音色で音階の‘ド’を再生させるものである。
【0125】
続いて読み出されるコマンド情報は、発光部220をマゼンタに発光させるコマンド・パネル121fに記録されているものであり、音階の再生に関係しないため、制御部501は何もせず、次のコマンド情報を読み出す。
【0126】
次に読み出されるコマンド情報は、音階の‘レ’を再生させるものであるため、制御部501は、計数を1個増加させて合計2個とする。このコマンド情報は、ピアノの音色で音階の‘レ’を再生させるものである。
【0127】
その次は、音階の再生音をトランペットに設定するコマンド・パネル121hのコマンド情報が読み出されるため、制御部501は、音階の再生音をトランペットに設定する。
【0128】
続いて読み出されるコマンド情報は、移動ロボット110の進行方向を決定させるコマンド・パネル121cに記録されているものであり、音階の再生に関係しないため、制御部501は何もせず、次のコマンド情報を読み出す。
【0129】
次とその次に読み出されるコマンド情報は、音階の‘ミ’と‘ファ’を再生させるものであるため、制御部501は、それぞれ計数を1個ずつ増加させて合計4個とする。このコマンド情報は、それぞれトランペットの音色で音階の‘ミ’と‘ファ’を再生させるものである。
【0130】
最後に、制御部501は、コマンド情報用メモリ508からコマンド・パネル121jのコマンド情報を読み出す。制御部501は、このコマンド情報によって、移動ロボット110が移動開始から現在位置まで読み取った全てのコマンド情報をコマンド情報用メモリ508から読み出したことを検出できる。このため、制御部501は、コマンド情報用メモリ508からのコマンド情報の読み出しを終了するとともに、音階のコマンド・パネル121iのコマンド情報の計数も終了する。
【0131】
この結果、音階のコマンド・パネル121iのコマンド情報の個数は、合計4個となる。この数値は、コマンド・パネル121jによって再生される音階の最大数である20音よりも少なくなっている。したがって、制御部501は、音声再生部506を制御してスピーカ507から、ピアノの音色で音階の‘ド’と‘レ’を再生させて、続けて、トランペットの音色で音階の‘ミ’と‘ファ’を再生させる。
【0132】
その後、制御部501は、モータコントローラ505を制御して、移動ロボット110を前進させる。
【0133】
以上の音階の再生動作は、プログラミングの1回ループ(繰り返し)処理を表現しており、学習者は、ループ処理の学習をすることができる。
【0134】
このように、この移動ロボット110は、コマンド・パネル121hと、コマンド・パネル121iと、コマンド・パネル121jとのそれぞれのコマンド情報の組み合わせに基づいて、設定された楽器の音色で、複数の音階を連続して再生することができる。
【0135】
また、コマンド情報用メモリ508に記憶されている全てのコマンド情報の中から、コマンド・パネル121hに記録されている再生音の楽器を設定させるコマンド情報と、コマンド・パネル121iに記録されている所定の音階の再生音を出力させるコマンド情報のみが自動的に抽出されて、設定された楽器の音色で、複数の音階が順次再生される。音階のコマンド情報が連続せず、音階のコマンド情報の間に、例えば、移動ロボット110の発光部220を発光させるコマンド情報や、移動ロボット110の進行方向を決定させるコマンド情報などが挟まっている場合、制御部501は、音階のコマンド情報以外のコマンド情報を取り除いて、音階のコマンド情報のみから、移動ロボット110に音階の再生を行わせる。
【0136】
コマンド・パネル121kは、移動ロボット110に、移動開始以降に読み取った音階の再生音を出力させるコマンド・パネル121iに基づく音階を連続して最大20音再生させて、この連続再生を3回繰り返させるコマンド情報を含んでいる(図5(k)参照)。このコマンド・パネル121kには、音符の絵柄が、3個描かれている。移動ロボット110は、このコマンド・パネル121k上の中央部に達すると、その位置で一時的に停止して、それ以前に音階のコマンド・パネル121iからコマンド情報を読み取って再生した音階のうちの最大20音を連続して3回再生するようになっている。
【0137】
コマンド・パネル121kに記録されているコマンド情報に基づいて行われる移動ロボット110の動作は、上述したコマンド・パネル121jのコマンド情報に基づく移動ロボット110の動作と基本的に同じであるが、音階の再生回数が3回繰り返される点が相違している。
【0138】
図6(b)には、上述した図6(a)のコマンド・パネル121の配置のうち、コマンド・パネル121jをコマンド・パネル121kに変更した配置が示されている。
【0139】
移動ロボット110が、図6(b)に示す移動開始位置に配置されるコマンド・パネル121aから、コマンド・パネル121kまで移動したときに、コマンド・パネル121k上で、再生される音階は、ピアノの音色で‘ド’と‘レ’が再生されて、続いて、トランペットの音色で‘ミ’と‘ファ’が再生されて、この‘ド’と‘レ’と‘ミ’と‘ファ’の音階の再生が3回繰り返される。
【0140】
以上の音階の再生動作は、プログラミングの3回ループ(繰り返し)処理を表現しており、学習者は、ループ処理の学習をすることができる。
【0141】
コマンド・パネル121mは、移動ロボット110に、所定の動物の鳴き声を再生させるコマンド情報を含んでいる。このコマンド・パネル121mには、イヌの絵が描かれており、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121m上の中央部を通過する際、イヌの鳴き声が再生される(図5(m)参照)。また、ライオン、ニワトリ、ネコの絵が描かれているコマンド・パネル121mも用意されており、それぞれ設定される動物の鳴き声を再生させるコマンド情報を含んでいる。なお、その他の動物の鳴き声を発生させるコマンド・パネル121mを設けてもよいことはもちろんである。
【0142】
このように、この実施の形態によれば、スタート用のコマンド・パネル121aとゴール用のコマンド・パネル121bとの間に、様々なコマンド・パネル121を配置することで、移動ロボット110の動作をコンピュータ処理に見立てて、学習者にコンピュータ・プログラミングの基礎を学習させることができる。また、例えば進行方向決定用のコマンド・パネル121g(コンピュータ言語のIF文に対応する)等を用いることにより、「分岐」や「ループ」といった基本的なプログラミング手法を学習させることができる。更には、「エラー停止」の概念を導入することで、「デバッグ」の学習も行うことができる。
【0143】
なお、一部又は全部のコマンド・パネル121について、予め絵柄が印刷されたものを使用するのでは無く、学習者等が自分で絵を描くことにしてもよい。
【0144】
図5に示したコマンド・パネル121には、移動ロボット110への基本的な命令となるコマンド情報が記録されている。一方、図7に示したコマンド・パネル121には、移動ロボット110に、より複雑な動作をさせることができるコマンド情報が記録されている。
【0145】
図7(a)に示すコマンド・パネル122gは、移動ロボット110に数字を記憶させるコマンド情報を含んでいる。このコマンド・パネル122gは数字が‘2’の例である。このコマンド・パネル122gには数字の‘2’が印刷されており、移動ロボット110がこのコマンド・パネル122g上の中央部を通過すると、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に数字の‘2’を記憶させる。また、数字が‘0’、‘1’、‘3’、‘4’、‘5’、‘6’、‘7’、‘8’及び‘9’のコマンド・パネル122gも用意されている。なお、他の数字のコマンド・パネル122gを設けてもよいことはもちろんである。学習者は、この学習玩具100で学習することにより数字について学ぶことができる。
【0146】
コマンド・パネル121o、121p、121qは、色の三原色の関係に基づいて移動ロボット110の発光部220を発光させるコマンド情報を含んでいる(図7(b)、(c)、(d)参照)。色の三原色の黄色の絵柄のコマンド・パネル121oは、色の三原色の関係のうち黄色を表すコマンド情報を有し、色の三原色のマゼンタ色の絵柄のコマンド・パネル121pは、色の三原色の関係のうちマゼンタ色を表すコマンド情報を有し、色の三原色のシアン色の絵柄のコマンド・パネル121qは、色の三原色の関係のうちシアン色を表すコマンド情報を有する。
【0147】
色の三原色の関係は、よく知られているように、黄色とマゼンタ色を混合すると赤色になり、シアン色と黄色を混合すると緑色になり、マゼンタ色とシアン色を混合すると青色になる関係である。
【0148】
移動ロボット110が、色の三原色のコマンド・パネル121o、121p、121qの何れかに最初に達すると、その中央部で、発光部220が、その絵柄の色に発光する。そして、色の三原色のコマンド・パネル121o、121p、121qのうちの2枚目となる場合には、発光部220が、1枚目と2枚目の絵柄の色を色の三原色の関係に基づいて混合した色に発光する。
【0149】
図8(a)には、左端にスタート位置に配置されるコマンド・パネル121a、それに隣接して、色の三原色のシアン色のコマンド・パネル121q、そして、マゼンタ色のコマンド・パネル121pの3枚の配置が示されている。
【0150】
移動ロボット110が、2番目のシアン色のコマンド・パネル121qに達すると、発光部220は、シアンに発光する。次に、移動ロボット110が、3番目のマゼンタ色のコマンド・パネル121pに達すると、発光部220は、色の三原色の関係に基づく、シアン色とマゼンタ色の混合色(加算色)である青に発光する。
【0151】
学習者は、コマンド・パネル121o、121p、121qの配置と、それらを通過する移動ロボット110の発光部220の発光の色から、色の三原色の関係を学習できる。
【0152】
図8(b)に示されている、5枚のコマンド・パネル121の配置について、左端のコマンド・パネル121aからスタートする移動ロボット110が、2番目のマゼンタ色のコマンド・パネル121pに達すると、このコマンド・パネル121pは、色の三原色を示す最初のものであるため、発光部220が、マゼンタに発光する。次に、3番目の4方向矢印のコマンド・パネル121gに達すると、移動ロボット110は、発光部220の発光色であるマゼンタ色の矢印の向き(下向き)に進行する。そして、4番目のシアン色のコマンド・パネル121qに達すると、発光部220が、2番目のマゼンタ色と、この4番目のシアン色との混合色である青に発光する。5番目の4方向矢印のコマンド・パネル121gに達すると、発光部220の発光色が青であるため、移動ロボット110は、青色の矢印の向き(右向き)に進行する。
【0153】
なお、移動ロボット110が、黄色のコマンド・パネル121oと、マゼンタ色のコマンド・パネル121pの2枚を通過すると、発光部220が、黄色とマゼンタ色の混合色である赤に発光する。発光部220が赤に発光した状態で、4方向矢印のコマンド・パネル121gに達すると、赤色は、4個の矢印の色のどれにも一致しないため、移動ロボット110は、矢印にかかわらずそのままその上を直進する。
【0154】
図8(c)には、左端にスタート位置に配置されるコマンド・パネル121a、それに隣接して、マゼンタ色のコマンド・パネル121p、その隣に、黄色のコマンド・パネル121o、4番目にシアン色のコマンド・パネル121qとなる4枚の配置が示されている。
【0155】
移動ロボット110が2番目のマゼンタ色のコマンド・パネル121pに達すると、発光部220は、マゼンタに発光し、3番目の黄色のコマンド・パネル121oに達すると、2番目のマゼンタ色とこの3番目の黄色の混合色である赤に発光する。また、移動ロボット110が4番目のシアン色のコマンド・パネル121qに達すると、発光部220は、3番目の黄色と4番目のシアン色の混合色である緑に発光する。
【0156】
このように、色の三原色のコマンド・パネル121o、121p、121qのうち、それぞれ異なる色の3枚が並んでいる場合には、2枚目では、1枚目と2枚目の絵柄の色の混合色となり、3枚目では、2枚目と3枚目の色の混合色となるように、発光部220の発光色が構成される。
【0157】
なお、3枚目においては、1枚目と2枚目の混合色と、3枚目の絵柄の色を、混合した色に、発光部220を発光させるようにしてもよい。このようにする場合、図8(c)に示されている3枚目となるシアン色のコマンド・パネル121q上では、1枚目のマゼンタ色と2枚目の黄色の混合色である赤と、3枚目の絵柄の色であるシアン色とを混合させた色で、発光するようになる。
【0158】
移動ロボット110は、色の三原色の関係の下、複数のコマンド・パネル121に基づき発光部220の発光を変化させるため、学習者は、高度なプログラミングをすることができる。また、学習者は、コマンド・パネル121と移動ロボット110の発光部220の発光の関係を通して、色の三原色の関係について学ぶことができる。また、学習者は、色の混合を通して、加算の演算について学ぶことができる。
【0159】
図7(e)に示されているコマンド・パネル121rには、鍵の絵柄が印刷されており、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121rを通過したことをコマンド情報用メモリ508に記憶させるコマンド情報を含んでいる。移動ロボット110が、このコマンド・パネル121r上の中央部を通過する際、制御部501は、このコマンド・パネル121rを通過したことを示すコマンド情報を、コマンド情報用メモリ508に新たに追加して記憶させる。このとき、制御部501は、移動ロボット110のスピーカ507から鍵を取得したことを示す取得音を発生させる。この取得音は、それまでに移動ロボット110がこのコマンド・パネル121rを通過した回数分、発生される。また、制御部501が、発光部220を所定の色に発光させる動作を行わせてもよいし、それまでに移動ロボット110がこのコマンド・パネル121rを通過した回数だけ、発光部220を点滅させるようにしてもよい。
【0160】
また、コマンド・パネル121sには、鍵穴が1個の扉の絵柄が印刷されており、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121sに達した際、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを前もって1回以上通過していることを検査させるコマンド情報を含んでいる(図7(f)参照)。移動ロボット110は、鍵穴が1個の扉の絵柄が印刷されているこのコマンド・パネル121sに達する前に、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを1回以上通過していなければならないという規則になっている。移動ロボット110がコマンド・パネル121rを1回以上通過している場合には、移動ロボット110は、鍵穴が1個の扉の絵柄が印刷されているこのコマンド・パネル121sをそのまま直進することができる。また、移動ロボット110が、このコマンド・パネル121sを通過する際に、移動ロボット110から扉が開く音を発生させる。鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを通過していない場合には、鍵穴が1個の扉の絵柄が印刷されているこのコマンド・パネル121s上の中央部に達した際、移動ロボット110がその位置で停止してしまいそれ以上進めなくなるようにしてもよいし、移動ロボット110にエラー動作を行わせるようにしてもよい。この検査を行うには、制御部501が、コマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を時系列の新しい側から古い側に向けて順次、読み出していき、全てのコマンド情報を読み出す。そして、読み出したコマンド情報の中に、1個以上、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを通過したことを示すコマンド情報が存在することを判断すればよい。移動ロボット110が鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを1回以上通過しているという条件を満たさずにエラーが発生した場合、学習者は、エラーの発生原因を解消するように、コマンド・パネル121の配置を修正する必要が生じ、デバッグ作業を学ぶことができる。また、エラーの際、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを移動ロボット110が通過しているかについて、移動ロボット110の発光部220の発光などから目視によって確認できず、移動ロボット110の通過した経路を思い返して、コマンド・パネル121の配置を修正する必要があり、高度なデバッグ作業を要する。学習者は、移動ロボット110の経路を考える際、一定の規則の下で、プログラミング設計をする必要が生じ、より高度なプログラミングをすることができる。
【0161】
また、学習者は、移動ロボット110が、鍵穴が1個の扉のコマンド・パネル121sに達する前に、鍵のコマンド・パネル121rを1回以上通過しているかどうかの判定である、条件の判定の処理について学ぶことができる。
【0162】
移動ロボット110は、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rと鍵穴が1個の扉の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121sに記録されている複数のコマンド情報に基づいて動作をする。すなわち、制御部501は、先に読み取られた全てのコマンド・パネル121の中に鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rが1枚以上含まれているかどうかの判断を、後に読み取られる鍵穴が1個の扉の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121s上の中央部に移動ロボット110が達したときに行うようになっている。移動ロボット110が、コマンド・パネル121s上に達すると、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を自動的に抽出して、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを1回以上通過したかを検出する。そして、制御部501は、検出結果に基づいてエラーにするかの判断を行っている。
【0163】
コマンド・パネル121tには、鍵穴が2個の扉の絵柄が印刷されており、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121tに達した際、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを前もって2回以上通過していることを検査させるコマンド情報を含んでいる(図7(g)参照)。移動ロボット110は、鍵穴が2個の扉の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121tに達する前に、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを2回以上通過していなければならないという規則になっている。鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを1回以下のみ通過しているだけである場合には、鍵穴が2個の扉の絵柄が印刷されているこのコマンド・パネル121t上の中央部に達した際、移動ロボット110がその位置で停止してしまいそれ以上進めなくなるようにしてもよいし、移動ロボット110にエラー動作を行わせるようにしてもよい。この検査を行うには、制御部501が、コマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を時系列の新しい側から古い側に向けて順次、読み出していき、全てのコマンド情報を読み出す。そして、読み出したコマンド情報の中に、2個以上の、鍵の絵柄が印刷されているコマンド・パネル121rを通過したことを示すコマンド情報が存在することを判断すればよい。
【0164】
条件を満たさずにエラーが発生した場合、学習者は、エラーの発生原因を解消するように、コマンド・パネル121の配置を修正する必要が生じ、デバッグ作業を学ぶことができる。例えば、1枚の鍵のコマンド・パネル121rを移動ロボット110が2回以上通過するように、コマンド・パネル121の配置を工夫して、経路を設計する。このようにコマンド・パネル121の配置を設計することによって、ループ(繰り返し)について学ぶことができる。
【0165】
なお、移動ロボット110が、鍵のコマンド・パネル121rを2回以上通過していれば、鍵穴が1個の扉のコマンド・パネル121sも、鍵穴が2個の扉のコマンド・パネル121tも、どちらもそのまま直進して通過することができる。
【0166】
コマンド・パネル121uは、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121uを2の倍数回目、すなわち偶数回目に通過するときに移動ロボット110に矢印の方向に移動させるコマンド情報を含んでいる(図7(h)参照)。コマンド・パネル121uに印刷されている絵柄は、数字の‘2’と矢印を組み合わせる形で構成されている。学習者は、移動ロボット110が2の倍数回目、すなわち偶数回目にこのコマンド・パネル121uを通過する際に、印刷されている矢印の方向に移動することを絵柄から認識できるようになっている。
【0167】
移動ロボット110がこのコマンド・パネル121u上の中央部を1回目に通過するとき、移動ロボット110の制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121uからコマンド情報を読み取らせる。そして、制御部501は、読み取られたコマンド・パネル121uに記録されているコマンド情報をコマンド情報用メモリ508に記憶させる。続いて、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されている全てのコマンド情報について時系列の新しい側から古い側に向けて順次、読み出していき、コマンド・パネル121uに記録されているコマンド情報が何個含まれているか検出する。しかし、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121uを1回目に通過する際には、コマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド・パネル121uのコマンド情報は、1個のみ検出されるだけである。このため、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121uに印刷されている矢印の方向に移動する条件を満たさない。この結果、制御部501は、1回目の通過時には、印刷されている矢印とは無関係に移動ロボット110に移動を継続させる。その後、移動ロボット110が2回目に、このコマンド・パネル121u上の中央部を通過するとき、制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121uからコマンド情報を読み取らせる。制御部501は、読み取られたコマンド情報をコマンド情報用メモリ508に記憶させる。そして、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されている全てのコマンド情報を順次、読み出していき、このコマンド・パネル121uのコマンド情報が2個(偶数個)含まれていることを検出する。この結果、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121uに印刷されている矢印の方向に移動する条件を満たすため、制御部501は、モータコントローラ505を制御して、移動ロボット110を印刷されている矢印の方向に向けるように回転させて、その後、矢印の方向に前進させる。
【0168】
なお、制御部501が、コマンド情報用メモリ508の中の全てのコマンド情報を読み出して検査した結果、その中に含まれるコマンド・パネル121uのコマンド情報が3個、5個などの奇数個の場合には、移動ロボット110がコマンド・パネル121uに印刷されている矢印の方向に移動する条件を満たさない。この場合にも、制御部501は、コマンド・パネル121uに印刷されている矢印とは無関係に移動ロボット110に移動を継続させるようになっている。また、コマンド・パネル121uのコマンド情報が4個、6個などの偶数個の場合には、移動ロボット110が矢印の方向に移動する条件を満たし、制御部501は、コマンド・パネル121uに印刷されている矢印の方向に移動ロボット110を移動させるようになっている。
【0169】
図9(a)に示す例のように、このコマンド・パネル121uを含む複数のコマンド・パネル121が配置される場合の移動ロボット110の動作を説明する。
【0170】
図9(a)に示されている配置は、移動ロボット110に音階の‘ド’の再生音を出力させるコマンド・パネル121iの右隣に、2回目の通過時に矢印の方向に移動ロボット110を移動させるこのコマンド・パネル121uが配置されている。また、その右側に音階の再生音を出力させるコマンド・パネル121iが3枚配置され、左から右に向けて、‘レ’、‘ミ’、‘ファ’の順序に並べられている。さらに、その両端には、移動ロボット110の進行方向を決定させる矢印のコマンド・パネル121cが、配置されている。なお、両端の2枚のこれらのコマンド・パネル121cは、印刷されている矢印が向かい合うように配置されている。またさらに、図中のコマンド・パネル121uに印刷されている矢印の方向に、移動ロボット110に移動を停止させるコマンド情報が記録されているコマンド・パネル121bが配置されている。
【0171】
このように配置されたコマンド・パネル121uと、コマンド・パネル121cと、コマンド・パネル121iと、コマンド・パネル121bの上を、移動ロボット110が、左から右へ向けて移動すると、まず、移動ロボット110は、左端に配置されている矢印のコマンド・パネル121cに進入する。左端に配置されているこのコマンド・パネル121cに印刷されている矢印は、右方向を向いているため、左から右に向かって進入する移動ロボット110は、そのまま前進する。このコマンド・パネル121cを通過後、移動ロボット110は、音階の再生音を出力させるコマンド・パネル121i上の中央部を通過し、‘ド’の音階の再生がされる。その後、移動ロボット110は、コマンド・パネル121uを通過するが、1回目の通過であるため、印刷されている矢印の方向には進まず、継続して右方向に移動する。続いて、音階の再生音を出力させるコマンド・パネル121i上の中央部を通過し、‘レ’、‘ミ’、‘ファ’の順序で音階の再生がされる。その後、移動ロボット110は、右端に配置されているコマンド・パネル121cに進入する。右端に配置されているこのコマンド・パネル121cは、印刷されている矢印が左方向を向いているため、左から右に向かって進入した移動ロボット110は、このコマンド・パネル121c上で、半回転し、逆方向である右から左に向かって進む。その後、移動ロボット110は、音階の再生音を出力させるコマンド・パネル121iを右から左に向かって進むため、‘ファ’、‘ミ’、‘レ’の順序で音階が再生される。そして、移動ロボット110は、コマンド・パネル121uを通過するが、2回目(偶数回目)の通過であるため、印刷されている矢印の方向に進み、ゴール地点に配置されるコマンド・パネル121bに達して、移動ロボット110の移動は停止される。
【0172】
このコマンド・パネル121uにおける移動ロボット110の動作を通して、学習者は、何回繰り返したか判定して、条件を満たすときに処理が実行されるというプログラミングの処理について学ぶことができる。このコマンド・パネル121uの場合には、移動ロボット110が2の倍数回目、すなわち、偶数回目に通過するときに、印刷されている矢印の方向に進むようになっている。
【0173】
図7(i)に示されているコマンド・パネル121vは、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121vを3の倍数回目に通過するときに移動ロボット110に矢印の方向に移動させるコマンド情報を含んでいる。
【0174】
このコマンド・パネル121vに記録されているコマンド情報に基づく移動ロボット110の動作は、上述したコマンド・パネル121uに基づく移動ロボット110の動作とほぼ同じである。ただし、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121vに印刷されている矢印の方向に移動する条件が、移動ロボット110がこのコマンド・パネル121vを3の倍数回目に通過するときである点が相違点である。
【0175】
コマンド・パネル121wは、移動ロボット110に矢印の方向に進行させて、このコマンド・パネル121w通過直後の1枚のコマンド・パネル121を無視してスキップする動作をさせるコマンド情報を含んでいる(図7(j)参照)。スキップした後の位置にコマンド・パネル121が存在しない場合には、移動ロボット110にエラー動作を行わせる。
【0176】
移動ロボット110が、このコマンド・パネル121w上の中央部に達すると、制御部501は、光学読取モジュール240にコマンド・パネル121wからコマンド情報を読み取らせる。そして、制御部501は、読み取られたコマンド情報を、コマンド情報用メモリ508に新たに追加して記憶させる。続いて、制御部501は、モータコントローラ505を制御して、コマンド・パネル121wに印刷されている矢印の方向に移動ロボット110を移動させる。制御部501は、このコマンド・パネル121wの次に配置されている1枚のコマンド・パネル121を乗り越えて、移動ロボット110を移動させる。このとき、制御部501は、コマンド・パネル121wの次に配置されている1枚のコマンド・パネル121に基づいて移動ロボット110に動作を行わせることはなく、また、コマンド情報もコマンド情報用メモリ508に記憶させない。すなわち、制御部501は、コマンド・パネル121wの次に配置されている1枚のコマンド・パネル121をスキップする動作を移動ロボット110に行わせる。
【0177】
このコマンド・パネル121wにおける移動ロボット110の動作を通して、学習者は、スキップ処理を学ぶことができる。
【0178】
図9(b)に示されている、4枚のコマンド・パネル121の配置について、左端のコマンド・パネル121aからスタートする移動ロボット110は、2番目の3個の四角形のコマンド・パネル121wを通過した後、3番目の家のコマンド・パネル121bをスキップして、4番目の進行方向を決定するコマンド・パネル121cに到達するように進行していく。
【0179】
図7(k)に示されているコマンド・パネル122jは、1から3までの数値をランダムに発生させて、発生させた数値を移動ロボット110に記憶させるコマンド情報を含んでいる。このコマンド・パネル122jには、黄色の小さな枠に囲まれた数字1と、青色の小さな枠に囲まれた数字2と、マゼンタ色の小さな枠に囲まれた数字3とが描かれている。発生した1から3までのランダムな数字が、学習者に認識できるように、移動ロボット110の発光部220の発光の点滅を変化させたり、移動ロボット110のスピーカ507から発生される音声を変化させたりする。
【0180】
例えば、ランダムに発生させた数値が1のとき、黄、2のとき、青、3のとき、マゼンタに発光部220を発光させる。
【0181】
この場合、移動ロボット110が、このコマンド・パネル122jを通過すると、ランダムに発生させた1から3までの数値に応じて、黄、青、マゼンタに発光するため、その後に、図5(g)に示す4方向矢印のコマンド・パネル121g上に達すると4個の矢印の絵柄のうち、色が一致する矢印の方向に分岐して進行する。
【0182】
また、スピーカ507からの音声は、移動ロボット110が、このコマンド・パネル122jに達してから、数値が発生されるまでの短い時間のみ再生させるようにして、数値をランダムに発生している処理が行われていることを表現するようにしてもよい。
【0183】
また、移動ロボット110が、それまでに通過した数字のコマンド・パネル122gに印刷されている数字を加算した数に、このコマンド・パネル122jで発生した1から3までの数値を加算して、その加算をして得られた回数だけ、発光部220を緑色に点滅発光させるようにしてもよい。そして、その後、発光部220を、このコマンド・パネル122jで、ランダムに発生させた数値が1のとき、黄、2のとき、青、3のとき、マゼンタに発光させるようにしてもよい。
【0184】
図9(c)に示されている配置では、2番目のマゼンタ色のコマンド・パネル121pと、4番目のシアン色のコマンド・パネル121qに間に、数字1から数字3のコマンド・パネル122jが配置されている。
【0185】
このように、色の三原色のコマンド・パネル121o、121p、121qの間に、数字1から数字3のコマンド・パネル122jや、発光部220を指定した色で発光させる、緑色のコマンド・パネル121f、赤色のコマンド・パネル121fなどが配置される場合、2枚目の色の三原色のコマンド・パネル121o、121p、121qであっても、混合色で発光部220を発光させず、そのコマンド・パネル121o、121p、121qの絵柄の色で、発光部220を発光させるようにしてもよい。
【0186】
図9(c)に示されている配置では、移動ロボット110が2番目のマゼンタ色のコマンド・パネル121pに達すると、発光部220は、マゼンタに発光し、4番目のシアン色のコマンド・パネル121qに達すると、シアンに発光する。
【0187】
図7(m)に示されているコマンド・パネル121xは、逆解釈をさせるコマンド情報を含んでいる。例えば、移動ロボット110が、このコマンド・パネル121xを1回でも通過すると、その後に通過する矢印のコマンド・パネル121cでは、矢印の方向と逆向きに移動ロボット110が、進行方向するようにしてもよい。
【0188】
このコマンド・パネル121xにおける移動ロボット110の動作を通して、学習者は、否定演算(逆解釈)について学ぶことができる。
【0189】
コマンド・パネル122hは、移動ロボット110にリンゴを1個獲得したと記憶させるコマンド情報を含んでいる。このコマンド・パネル122hには、1個のリンゴの絵柄が印刷されている(図7(n)参照)。なお、リンゴの個数が2個以上描かれているコマンド・パネル122hも用意されている。移動ロボット110が、このコマンド・パネル122h上の中央部に達したときに、印刷されているリンゴの個数と同じ回数だけ発光部220を赤に点滅発光させるようにしてもよい。発光部220の赤色は、リンゴの色を想像させるものであり、学習者は、この発光の色からリンゴの個数であることを認識できる。また、印刷されているリンゴの個数と発光部220の点滅回数が同一であることから、学習者は、視覚的に数を認識して、数について学習することができる。
【0190】
また、移動ロボット110が、リンゴのコマンド・パネル122h上の中央部を通過するときに、描かれているリンゴの個数分、リンゴの数を加算させていくようにしてもよい。こうすることにより、移動ロボット110が、リンゴのコマンド・パネル122hを通過する毎に、それまで通過したリンゴの個数が加算されていくようになる。このとき、移動ロボット110が、このコマンド・パネル122h上で、加算されたリンゴの個数と同じ回数だけ発光部220を赤に点滅発光させるようにしてもよい。学習者は、発光部220の点滅回数を観察することにより、数字を用いずに視覚的に、加算について学習することができる。このようにすることで、数字を認識することが困難と思われる幼児にも足し算の学習ができるようになっている。
【0191】
コマンド・パネル122iは、移動ロボット110にバナナを3本獲得したと記憶させるコマンド情報を含んでいる(図7(o)参照)。このコマンド・パネル122iには、3本のバナナの絵柄が印刷されている。なお、3本以外のバナナの本数が描かれているコマンド・パネル122iも用意されている。上述したリンゴのコマンド・パネル122hの場合と同様に、移動ロボット110が、このコマンド・パネル122i上で、印刷されているバナナの本数と同じ回数だけ発光部220を黄に点滅発光するようにしてもよい。発光部220の黄は、バナナの色を想像させるものであり、学習者は、この発光の色からバナナの本数であることを認識できる。
【0192】
また、このバナナのコマンド・パネル122iについても、移動ロボット110が、通過することにより、バナナの本数を加算させていくようにしてもよい。上述したリンゴのコマンド・パネル122hの場合と同じように、移動ロボット110が、バナナのコマンド・パネル122i上に達したときに、加算されたバナナの本数と同じ回数だけ発光部220を黄に点滅発光させるようにしてもよい。
【0193】
コマンド・パネル122hやコマンド・パネル122iを使用することにより、学習者は、数字ではなく、リンゴやバナナという身近にあるものを通して、数を学習できるようになっている。
【0194】
また、移動ロボット110が、ゾウの絵柄の印刷されているコマンド・パネル122pを通過すると、ゾウがリンゴを1個食べてしまうイメージを想定して、それまでに移動ロボット110が獲得したリンゴの個数を1個減らすという規則を定めてもよい(図10(b)参照)。このとき、移動ロボット110が、ゾウのコマンド・パネル122p上で、それまでに獲得したリンゴの個数から1個を減じた個数と同じ回数だけ発光部220を赤に点滅発光させるようにしてもよい。学習者は、発光部220の点滅回数を観察することにより、数字を用いずに視覚的に、減算について学習することができる。このようにすることによって、数字を認識することが困難と思われる幼児にも引き算の学習ができるようになっている。
【0195】
このコマンド・パネル122pで、リンゴの数を1減らすのは、ゾウさんにリンゴを1個あげるというイメージを表しており、学習者が興味を持って学習に取り組めるように、工夫がされている。
【0196】
また、移動ロボット110が、サルの絵柄が印刷されているコマンド・パネル122qを通過するときに、サルがバナナを1本食べてしまうイメージを想定して、それまでに移動ロボット110が獲得したバナナの本数を1本減らすという規則を定めてもよい(図12(a)参照)。このときにも、上述したリンゴのコマンド・パネル122hと同様に、移動ロボット110が、バナナのコマンド・パネル122i上で、それまでに獲得したバナナの本数から1本を減じた本数と同じ回数だけ発光部220を黄に点滅発光させるようにしてもよい。
【0197】
こうすることにより、学習者は、数字を使用せずに、足し算と引き算の学習をすることができる。
【0198】
上述したようにコマンド・パネル121には、記録されているコマンド情報を認識できるように絵柄が描かれており、学習者は、この絵柄によってコマンド情報を認識できるようになっている。
【0199】
図10(a)には、連続して配置されている6枚のコマンド・パネル121の平面図が示されている。
【0200】
左端のコマンド・パネル121aには、移動ロボット110に移動を開始させるコマンド情報が記録されている。学習者は、このコマンド・パネル121aを移動路120のスタート位置に配置して、最初に、この上に移動ロボット110を乗せて、スタートさせる。
【0201】
そうすると、移動ロボット110は、このコマンド・パネル121aに描かれている矢印の向きに移動を開始する。
【0202】
図10(a)に示されているように、次に、左括弧の絵柄のコマンド・パネル122a、2個のリンゴの絵柄のコマンド・パネル122e、右括弧の絵柄のコマンド・パネル122bが左から右に向けて配置されている。
【0203】
これら3枚のコマンド・パネル121にそれぞれ記録されている3個のコマンド情報が、第一比較対象情報を構成している。
【0204】
左括弧のコマンド・パネル122aには、中央部に水色の左括弧を表現する絵柄と、その左括弧の左側に移動ロボット110を表現する絵柄が小さく描かれており、それらの絵柄を囲むように水色の枠が描かれている。左側に描かれている移動ロボット110の絵柄は、移動路120のスタート位置に配置されるコマンド・パネル121aの絵柄に対応させている。このコマンド・パネル122aから、第一比較対象情報が開始することを学習者が、イメージできるように、スタート位置の絵柄と関連づけている。
【0205】
右括弧のコマンド・パネル122bには、中央部に水色の右括弧を表現する絵柄と、その右括弧の右側に家を表現する絵柄が小さく描かれており、それらの絵柄を囲むように水色の枠が描かれている。右側の家の絵柄は、移動路120のゴール位置に配置されるコマンド・パネル121bの絵柄に対応させている(図9(b)、図13(a)、図17等参照)。第一比較対象情報がこの位置で終了することを、イメージできるように、ゴール位置の絵柄に関連づけている。
【0206】
リンゴのコマンド・パネル122eには、中央部に2個のリンゴを表現する絵柄と、その絵柄を囲むように水色の枠が描かれている。
【0207】
このように、水色の枠が描かれている絵柄のコマンド・パネル121が、左括弧のコマンド・パネル122aと、右括弧のコマンド・パネル122bに挟まれて配置され、第一比較対象情報が構成されるようになっている。水色の枠があるもののみが、括弧内で第一比較対象情報として有効となる。言い換えれば、水色の枠のないコマンド・パネル121は、括弧内に配置されても、第一比較対象情報を構成しない。
【0208】
この第一比較対象情報は、第一比較対象情報の開始位置を示すコマンド情報である開始位置コマンド情報と、第一比較対象情報の終了位置を示すコマンド情報である終了位置コマンド情報と、開始位置コマンド情報と終了位置コマンド情報がそれぞれ記録されている2枚のコマンド・パネル121に挟まれた、コマンド・パネル121に記録されている1個のコマンド情報から構成される1個の第一比較コマンド情報と、により構成されている。
【0209】
左括弧のコマンド・パネル122aには、開始位置コマンド情報が記録されており、右括弧のコマンド・パネル122bには、終了位置コマンド情報が記録されている。
【0210】
また、左括弧のコマンド・パネル122aと、右括弧のコマンド・パネル122bに挟まれている、2個のリンゴのコマンド・パネル122eに記録されているコマンド情報が、第一比較コマンド情報に該当する。
【0211】
図10(a)に示されている配置では、リンゴのコマンド・パネル122eが1枚だけ挟まれているが、複数枚を挟むようにしてもよい。
【0212】
また、リンゴの個数が1個や、3個以上描かれているコマンド・パネル122eも用意されている。
【0213】
このリンゴのコマンド・パネル122eには、描かれているリンゴの個数がコマンド情報として記録されている。移動ロボット110が、このリンゴのコマンド・パネル122eからリンゴの個数を読み取ると、左括弧のコマンド・パネル122aと右括弧のコマンド・パネル122bに挟まれている、すべてのリンゴのコマンド・パネル122eから読み取ったリンゴの個数を加算するようになっている。また、移動ロボット110が、このリンゴのコマンド・パネル122e上の中央部に達したときに、加算したリンゴの数の回数だけ、発光部220を赤に点滅発光させるようにしてもよい。
【0214】
図10(a)に示されているように、右括弧のコマンド・パネル122bの右側に隣接して、1個のリンゴの絵柄が描かれているコマンド・パネル122hが配置されている。このリンゴのコマンド・パネル122hは、上述した左括弧のコマンド・パネル122aと、右括弧のコマンド・パネル122bの外側に配置されている。
【0215】
このコマンド・パネル122hに記録されているコマンド情報が、第二比較対象情報を構成している。
【0216】
第二比較対象情報は、右括弧のコマンド・パネル122bの後ろ側のコマンド・パネル121のみによって構成される。したがって、左括弧のコマンド・パネル122aよりも前に配置されているものは、第二比較対象情報に影響しない。
【0217】
図10(a)に示されている配置では、右括弧のコマンド・パネル122bよりも後ろ側に、このリンゴのコマンド・パネル122hが1枚だけ配置されているが、複数枚を配置するようにしてもよい。この場合には、複数枚のリンゴのコマンド・パネル122hにより第二比較対象情報が構成されることになる。
【0218】
また、リンゴの個数が2個以上描かれているコマンド・パネル122hも用意されている。
【0219】
このリンゴのコマンド・パネル122hには、描かれているリンゴの個数がコマンド情報として記録されている。移動ロボット110が、このリンゴのコマンド・パネル122hからリンゴの個数を読み取ると、左括弧のコマンド・パネル122aと右括弧のコマンド・パネル122bの外側に配置されている、すべてのリンゴのコマンド・パネル122hから読み取ったリンゴの個数を加算するようになっている。また、移動ロボット110が、このリンゴのコマンド・パネル122h上の中央部に達したときに、加算したリンゴの数の回数だけ、発光部220を赤に点滅発光させるようにしてもよい。
【0220】
このリンゴのコマンド・パネル122hに描かれている絵柄と、上述した第一比較コマンド情報を構成するリンゴのコマンド・パネル122eの絵柄とを比較すると、このコマンド・パネル122hには、水色の枠がなく、一方、第一比較コマンド情報を構成するコマンド・パネル122eには、水色の枠が描かれているという相違がある。
【0221】
コマンド・パネル122eのような、水色の枠が描かれているコマンド・パネル121のみが、第一比較対象情報を構成できるようになっている。左括弧のコマンド・パネル122aと右括弧のコマンド・パネル122bの間に挟むように水色の枠のコマンド・パネル121を配置して、第一比較対象情報を構成するように使用される。
【0222】
第二比較対象情報は、第一比較対象情報のなかの第一比較コマンド情報と比較され、それぞれの内容が一致しているか判定される。
【0223】
一致する場合、後述する2方向矢印のコマンド・パネル122c上で発光部220が水色に発光するとともに、コマンド・パネル122cに描かれている水色の矢印の方向に移動ロボット110が進行するようになっている。
【0224】
図10(a)の例では、リンゴ1個を示すコマンド・パネル122hと、第一比較コマンド情報を構成するコマンド・パネル122eが示すリンゴの数2個が比較されて、一致しているか判定されるようになっている。
【0225】
移動ロボット110が、リンゴのコマンド・パネル122hに達したときに、リンゴの数が一致していれば、発光部220を水色に2回点滅発光させたり、水色に点灯発光させたりするようにしてもよい。また、スピーカ507から一致していることを通知する通知音を発生させるようにしてもよい。そして、リンゴの数が一致している状態から、一致しなくなった場合に、水色に点灯発光していた発光部220の発光を消したり、一致しなくなったことを通知する通知音をスピーカ507から発生させたりするようにしてもよい。
【0226】
図10(a)に示されているように、リンゴのコマンド・パネル122hの右隣に、2方向矢印のコマンド・パネル122cが配置されている。
【0227】
この2方向矢印のコマンド・パネル122cには、水色の矢印と灰色の矢印が反対方向を向いている絵柄と、その絵柄を囲むように水色の枠が描かれている。
【0228】
移動ロボット110がこの2方向矢印のコマンド・パネル122cに達したところで、これより前に、移動ロボット110が移動して読み取ったコマンド・パネル121のコマンド情報に基づいて、第一比較コマンド情報と第二比較対象情報とが確定される。
【0229】
この2方向矢印のコマンド・パネル122cに記録されているコマンド情報は、第一比較コマンド情報と第二比較対象情報とを比較して、それぞれの内容が一致していると判定される場合には、水色の矢印の方向(上向きの方向)に、移動ロボット110を移動させて、一致していないと判定される場合には、灰色の矢印の方向(下向きの方向)に、移動ロボット110を移動させる命令となっている。
【0230】
一致する場合、発光部220を水色に発光させるようにしてもよい。また、スピーカ507から一致していることを通知する通知音(正確音)を発生させるようにしてもよい。そして、一致していない場合にも、一致していないことを通知する通知音(不正確音)を発生させるようにしてもよい。こうすることにより、学習者は、第一比較コマンド情報と第二比較対象情報との比較判定結果を移動ロボット110の発光や音声によって確認することができる。
【0231】
この例では、第一比較コマンド情報と第二比較対象情報の内容が一致しているかについて比較して判定することを条件としているが、その他の条件により、判定するようにしてもよい。
【0232】
なお、第一比較対象情報を構成できる水色の枠が描かれているコマンド・パネル121の水色の枠は、この2方向矢印のコマンド・パネル122cに描かれている水色の矢印と、水色が対応するようになっている。学習者は、水色の枠を見て、第一比較対象情報を構成できるコマンド・パネル121であることを認識できるようになっている。
【0233】
次に、図10(a)に示されている、6枚のコマンド・パネル121の上を移動するときの移動ロボット110の動作を詳細に説明する。
【0234】
まず、移動ロボット110が、学習者によって、左端のスタート位置に配置されるコマンド・パネル121aの上に乗せられて、移動が開始する。
【0235】
移動ロボット110は、どの方向に向けてコマンド・パネル121aの上に乗せられても、制御部501が、光学読取モジュール240で読み取られるコマンド情報から、方向を検出することにより、モータコントローラ505を制御し、移動機構230を作動させて、このコマンド・パネル121aに描かれている矢印の向きに移動ロボット110の方向を回転させる。そして、制御部501は、移動機構230を作動させて、この矢印の向きに移動ロボット110を前進させ、隣接する左括弧のコマンド・パネル122aに移動させる。
【0236】
移動ロボット110は、隣接する左括弧のコマンド・パネル122a、2個のリンゴのコマンド・パネル122e、右括弧のコマンド・パネル122b、1個のリンゴのコマンド・パネル122hの上を移動する。制御部501は、それぞれで読み取られるコマンド情報をコマンド情報用メモリ508に記憶させる。
【0237】
移動ロボット110が、5番目に配置されている1個のリンゴのコマンド・パネル122hの中央部に達すると、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を古いものから新しいものに向かう順序で読み出して、内容を確認する。
【0238】
最も古いコマンド情報は、スタート位置に配置されるコマンド・パネル121aのものであり、2番目は、左括弧のコマンド・パネル122a、3番目は、2個のリンゴのコマンド・パネル122e、4番目は、右括弧のコマンド・パネル122bのコマンド情報が読み出される。ここまで読み出すと、制御部501は、2番目から4番目までが、第一比較対象情報を構成していること検出する。また、2番目が、開始位置コマンド情報であり、4番目が、終了位置コマンド情報であり、それらに挟まれている3番目が、第一比較コマンド情報であることを検出する。さらに、第一比較コマンド情報として、リンゴの数が2個であることを読み取る。
【0239】
続けて、制御部501が、コマンド情報用メモリ508からコマンド情報を読み出すと、5番目が、1個のリンゴのコマンド・パネル122hであることが検出される。このリンゴのコマンド・パネル122hは、移動ロボット110の現在位置である。ここで、制御部501は、このリンゴのコマンド・パネル122hが示すリンゴの数が1個という情報と、第一比較コマンド情報が示すリンゴの数が2個という情報を比較して、一致しているか判定するようにしてもよい。この5番目のリンゴのコマンド・パネル122h上では、一致していないため、制御部501は、発光部220の発光を変化させたり、スピーカ507から音声を発生したりすることなく、移動機構230を作動させて、移動ロボット110を前進させ、隣接する2方向矢印のコマンド・パネル122cに移動させる。
【0240】
仮に、このリンゴのコマンド・パネル122hが、リンゴ2個の絵柄であった場合には、第一比較コマンド情報が示すリンゴの数と一致する。この場合、制御部501は、発光部220を水色に2回点滅発光、あるいは、水色に点灯発光させ、スピーカ507から一致していることを通知する通知音を発生させるようにしてもよい。
【0241】
移動ロボット110が、2方向矢印のコマンド・パネル122c上の中央部に達すると、制御部501は、読み取られたコマンド情報をコマンド情報用メモリ508に記憶させる。
【0242】
続いて、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されているコマンド情報を古いものから順次読み出して確認する。こうすることにより、制御部501は、2番目から4番目までが、第一比較対象情報を構成しており、2番目が、開始位置コマンド情報、3番目が、リンゴ2個を示す第一比較コマンド情報、4番目が、終了位置コマンド情報であることを検出する。また、6番目に、2方向矢印のコマンド・パネル122cが配置されていることも検出し、その前の5番目が、リンゴ1個を示す第二比較対象情報であることを検出する。
【0243】
このコマンド・パネル122c上では、第一比較コマンド情報と、第二比較対象情報が比較されて、それぞれの内容が一致するという条件が成立すれば、絵柄の水色の矢印の方向に、移動ロボット110が進行し、不成立であれば、灰色の矢印の方向に進行するようになっている。
【0244】
制御部501は、2方向矢印のコマンド・パネル122cのコマンド情報に基づいて、第一比較コマンド情報と、第二比較対象情報とを比較して、リンゴの数が一致しているか判定する。この比較判定の結果、一致していないため、制御部501は、移動機構230を作動させて、このコマンド・パネル122cに描かれている灰色の矢印の向き(下向き)に移動ロボット110の方向を回転させる。そして、制御部501は、移動機構230を作動させて、この矢印の向きに移動ロボット110を前進させる。このとき、このコマンド・パネル122cの中央部において、制御部501が、スピーカ507から一致していないことを通知する通知音を発生させるようにしてもよい。
【0245】
仮に、第二比較対象情報がリンゴ2個を示すものだった場合には、リンゴの数が一致するという結果になる。この場合、制御部501は、移動機構230を作動させて、このコマンド・パネル122cに描かれている水色の矢印の向き(上向き)に移動ロボット110の方向を回転させ、この矢印の向きに移動ロボット110を前進させることになる。このとき、制御部501が、一致していることを示すように発光部220を水色に発光させたり、スピーカ507から一致していることを通知する通知音を発生させたりするようにしてもよい。
【0246】
なお、図10(a)に示されている例では、第一比較対象情報が、開始位置コマンド情報と、終了位置コマンド情報を含むように構成されているが、これらを含まない構成にすることもできる。例えば、図10(a)に示されている配置から、左括弧のコマンド・パネル122aと、右括弧のコマンド・パネル122bを取り除いた配置として、隣合う、リンゴ2個を示すコマンド・パネル122eと、リンゴ1個を示すコマンド・パネル122hとを比較するように構成してもよい。このようにすることで、1枚のコマンド・パネル121を用いて、第一比較対象情報を構成できるようになる。
【0247】
次に、図10(b)に示されている、7枚のコマンド・パネル121の配置について説明する。
【0248】
図10(b)と図10(a)に示されている配置を比較すると、図10(a)の左端から5番目の1個のリンゴを示すコマンド・パネル122hが、図10(b)では、3個のリンゴを示すコマンド・パネル122hに置き換えられている。また、図10(b)に示されている配置では、右端の2方向矢印のコマンド・パネル122cの左隣に、ゾウの絵柄のコマンド・パネル122pが配置されており、コマンド・パネル121の数が1枚増加している。
【0249】
ゾウのコマンド・パネル122pには、移動ロボット110がこのコマンド・パネル122p上の中央部に達したときに、スピーカ507からゾウの鳴き声を再生させるコマンド情報が記録されている。
【0250】
また、移動ロボット110がこのコマンド・パネル122pに達したときに、それより前のすべてのリンゴのコマンド・パネル122hから読み取ったリンゴの個数を加算した数値から、1だけ減算するようになっている。1を減算した後のリンゴの数の回数だけ、発光部220を赤に点滅発光させるようにしてもよい。
【0251】
このコマンド・パネル122pで、リンゴの数を1減らすのは、ゾウさんにリンゴを1個あげるというイメージを表している。学習者が興味を持って学習に取り組めるように、このような工夫がされている。
【0252】
図10(b)に示されている配置では、左端から2番目から4番目までの3枚に基づいて、第一比較対象情報が構成される。2番目の左括弧のコマンド・パネル122aが、開始位置コマンド情報、3番目の2個のリンゴのコマンド・パネル122eが、第一比較コマンド情報、4番目の右括弧のコマンド・パネル122bが、終了位置コマンド情報にそれぞれ該当する。ここまでは、図10(a)と同様である。
【0253】
左端から5番目の3個のリンゴのコマンド・パネル122hと、6番目のゾウのコマンド・パネル122pのそれぞれに記録されているコマンド情報が、第二比較対象情報を構成している。このように第二比較対象情報が、複数で構成されていることが、図10(a)に示されている配置との相違である。
【0254】
移動ロボット110が、左端のスタート位置に配置されるコマンド・パネル121aから、スタートして、7番目の2方向矢印のコマンド・パネル122cに達すると、第一比較コマンド情報と第二比較対象情報が一致しているか比較される。第一比較コマンド情報は、リンゴ2個を示す内容となっている。また、第二比較対象情報は、リンゴ3個を示すコマンド・パネル122hと、リンゴの数を1減算するゾウのコマンド・パネル122pによって、リンゴ2個を示す内容となっている。したがって、一致しているという判定結果になり、移動ロボット110が、このコマンド・パネル122cに描かれている水色の矢印の向き(上向き)に移動する。また、発光部220を水色に発光させたり、スピーカ507から通知音を発生させるようにしてもよい。
【0255】
次に、図11(a)に示されている、13枚のコマンド・パネル121の配置について説明する。
【0256】
左端から2番目となる左括弧のコマンド・パネル122aから、7番目となる右括弧のコマンド・パネル122bまでの6枚のコマンド情報が、第一比較対象情報を構成している。また、2番目の左括弧のコマンド・パネル122aと、7番目となる右括弧のコマンド・パネル122bのコマンド情報が、ぞれぞれ、開始位置コマンド情報と、終了位置コマンド情報を構成している。そして、3番目の2個のリンゴのコマンド・パネル122eから6番目までの数字3の絵柄のコマンド・パネル122dまでの4枚のコマンド情報が、4個の第一比較コマンド情報を構成している。
【0257】
これらの第一比較コマンド情報は、リンゴのコマンド・パネル122e、バナナの絵柄のコマンド・パネル122f、数字の絵柄のコマンド・パネル122dに記録されている3種類から構成されている。リンゴのコマンド・パネル122eと、バナナのコマンド・パネル122fに基づく第一比較コマンド情報は、リンゴやバナナという絵柄の情報を含んでいる。また、数字のコマンド・パネル122dに基づく第一比較コマンド情報は、数値の情報を含んでいる。
【0258】
図11(a)に示されている、左端から8番目となる数字1の絵柄のコマンド・パネル122gから、12番目となる2個のリンゴのコマンド・パネル122hまでの5枚のコマンド情報が、第二比較対象情報を構成している。また、第二比較対象情報を構成しているこれらの5個のコマンド情報が、5個の第二比較コマンド情報を構成している。
【0259】
これらの第二比較コマンド情報は、リンゴのコマンド・パネル122h、バナナのコマンド・パネル122i、数字のコマンド・パネル122gに記録されている3種類から構成されている。リンゴのコマンド・パネル122hと、バナナのコマンド・パネル122iに基づく第二比較コマンド情報は、リンゴやバナナという絵柄の情報を含んでいる。また、数字のコマンド・パネル122gに基づく第二比較コマンド情報は、数値の情報を含んでいる。
【0260】
図11(a)に示されている、左端から3番目と5番目には、それぞれ2個と3個のリンゴのコマンド・パネル122hが配置されており、4番目には、2本のバナナのコマンド・パネル122fが配置されており、6番目には、数字3のコマンド・パネル122dが配置されている。そして、これらは、第一比較コマンド情報を構成している。
【0261】
このバナナのコマンド・パネル122fには、中央部に2本のバナナを表現する絵柄と、その絵柄を囲むように水色の枠が描かれている。これ以外にも、バナナの本数が1本や、3本以上描かれているコマンド・パネル122fも用意されている。
【0262】
また、この数字のコマンド・パネル122dには、中央部に数字の3を表現する絵柄と、その絵柄を囲むように水色の枠が描かれている。これ以外にも、2以下や、4以上の数字が描かれているコマンド・パネル122dが用意されている。
【0263】
これらのバナナのコマンド・パネル122fと、数字のコマンド・パネル122dについての説明は、上述したリンゴのコマンド・パネル122eの説明と同様である。ただし、リンゴを、バナナ、または、数字に置き換えて適用する必要がある。
【0264】
また、左端から9番目には、2本のバナナのコマンド・パネル122iが配置されており、8番目と10番目には、それぞれ数字1と数字2のコマンド・パネル122gが配置されており、11番目と12番目には、それぞれ3個と2個のリンゴのコマンド・パネル122hが配置されている。そして、これらは、第二比較コマンド情報を構成している。
【0265】
これらのバナナのコマンド・パネル122iや数字のコマンド・パネル122gには、水色の枠が描かれていない。この水色の枠の有無が、コマンド・パネル122fやコマンド・パネル122dとの相違である。そして、これ以外の本数のバナナのコマンド・パネル122iや、これ以外の数字のコマンド・パネル122gも用意されている。
【0266】
これらバナナのコマンド・パネル122iと、数字のコマンド・パネル122gについての説明は、上述したリンゴのコマンド・パネル122hの説明と同様である。ただし、リンゴを、バナナ、または、数字に置き換えて適用する必要がある。
【0267】
図11(a)に示されている配置では、左端から3番目と5番目に、リンゴのコマンド・パネル122eが配置されているが、それぞれのリンゴの個数が加算される。このように、第一比較コマンド情報として、同じ種類のものが複数ある場合には、同じ種類同士で加算される。
【0268】
同様に、左端から8番目と10番目には、数字のコマンド・パネル122gが配置されており、それぞれの数値が加算される。また、左端から11番目と12番目には、リンゴのコマンド・パネル122hが配置されており、それぞれの個数が加算される。このように、第二比較コマンド情報として、同じ種類のものが複数ある場合には、同じ種類同士で加算される。
【0269】
また、移動ロボット110が、左端から12番目に配置されている2個のリンゴのコマンド・パネル122hに達するとき、第一比較コマンド情報を構成している加算されたリンゴの個数(5個)、バナナの本数(2本)、数字(3)と、第二比較コマンド情報を構成している加算されたリンゴの個数(5個)、バナナの本数(2本)、加算された数字(3)とが、それぞれ一致している。このような場合には、発光部220を水色に2回点滅発光させたり、水色に点灯発光させたりするようにしてもよい。また、スピーカ507からそれぞれが一致していることを通知する通知音を発生させるようにしてもよい。そして、それぞれが一致している状態から、リンゴの個数、バナナの本数、数字の中の一種類でも一致しなくなった場合には、発光部220の水色の点灯発光を消灯したり、一致しなくなったことを通知する通知音をスピーカ507から発生させたりするようにしてもよい。
【0270】
そして、右端に配置されている2方向矢印のコマンド・パネル122c上では、第一比較コマンド情報と第二比較コマンド情報の間で、同じ種類同士を比較して、一致しているか判定される。すべての種類で、一致している場合には、移動ロボット110が、発光部220を水色に発光させて、スピーカ507から一致していることを通知する通知音(正確音)を発生させた後、このコマンド・パネル122cに描かれている水色の矢印の向き(上向き)に移動する。複数種類のうち一種類でも第一比較コマンド情報と第二比較コマンド情報の間で一致しないものがある場合には、移動ロボット110が、灰色の矢印の向き(下向き)に移動する。
【0271】
図11(a)に示されている配置の場合、第一比較コマンド情報は、リンゴ5個、バナナ2本、数値3であり、第二比較コマンド情報も、リンゴ5個、バナナ2本、数値3となり、すべての種類で一致している。このため、移動ロボット110が、水色の矢印の向きに移動する。
【0272】
図11(b)に示されている配置と、図11(a)の配置とを比較すると、左端から10番目が、数字1から数字3の絵柄のコマンド・パネル122jに置き換えられている。
【0273】
移動ロボット110が、このコマンド・パネル122jによりランダムに発生させた数値は、右括弧のコマンド・パネル122bの後ろ側に配置されている、すべての数字のコマンド・パネル122gから読み取った数値と加算されるようになっている。
【0274】
移動ロボット110が、このコマンド・パネル122j上に達したときに、ランダムに発生させた数値の回数だけ、発光部220を緑に点滅発光させるようにしてもよい。
【0275】
左端のコマンド・パネル121aからスタートした移動ロボット110が、右端に配置されている2方向矢印のコマンド・パネル122cに達すると、第一比較コマンド情報と第二比較コマンド情報の間で、同じ種類同士を比較して、一致しているか判定される。
【0276】
左端から10番目のコマンド・パネル122jでランダムに発生される数値が、2の場合、複数種類の第一比較コマンド情報と第二比較コマンド情報について、リンゴ5個、バナナ2本、数値3となり、すべての種類で一致する。この判定の結果、移動ロボット110は、コマンド・パネル122cの水色の矢印の向き(上向き)に移動する。ランダムに発生される数値が、2以外の場合、種類が数字である第一比較コマンド情報と第二比較コマンド情報について、不一致となる。このため、移動ロボット110は、灰色の矢印の向き(下向き)に移動する。このとき、一致していないことを通知する通知音(不正確音)を発生させて、不一致を知らせるようにしてもよい。
【0277】
ここまで説明したように、第一比較コマンド情報は、リンゴのコマンド・パネル122e、バナナのコマンド・パネル122f、数字のコマンド・パネル122dに基づいて構成される。一方、第二比較対象情報、および、第二比較コマンド情報は、リンゴのコマンド・パネル122h、バナナのコマンド・パネル122i、数字のコマンド・パネル122g、数字1から数字3のコマンド・パネル122j、ゾウのコマンド・パネル122p、サルのコマンド・パネル122q(図12(a)参照)に基づいて構成される。
【0278】
次に、図12(a)に示されている8枚のコマンド・パネル121の配置について、説明する。
【0279】
左から7番目には、サルの絵柄のコマンド・パネル122qが配置されている。
【0280】
このサルのコマンド・パネル122qについての説明は、上述したゾウのコマンド・パネル122pの説明と同様である。ただし、このサルのコマンド・パネル122q上では、スピーカ507からサルの鳴き声が再生される。また、それより前のすべてのバナナのコマンド・パネル122iから読み取ったバナナの本数を加算した数値から、1だけ減算するように、リンゴをバナナに置き換えて適用する必要がある。
【0281】
バナナの数を1減らすのは、サルさんにバナナを1本あげるというイメージを表している。
【0282】
図12(a)に示されている配置では、左端から2番目から4番目までの3枚に基づいて、第一比較対象情報が構成される。また、3番目に配置されている2本のバナナのコマンド・パネル122fに基づいて、第一比較コマンド情報が構成される。
【0283】
一方、5番目と6番目に配置されているバナナのコマンド・パネル122i、7番目に配置されているサルのコマンド・パネル122qの3枚に基づいて、第二比較対象情報が構成される。
【0284】
第一比較コマンド情報は、バナナの数が2本となる。第二比較対象情報は、5番目と6番目のバナナのコマンド・パネル122iの絵柄の本数を加算したバナナの数3本から、7番目のサルのコマンド・パネル122qにより、バナナの数が1本減算されて、バナナ2本となる。この結果、8番目に配置されている2方向矢印のコマンド・パネル122c上において、第一比較コマンド情報と第二比較対象情報とが一致していると判定され、移動ロボット110が、水色の矢印の向きに移動する。
【0285】
次に、図12(b)に示されている10枚のコマンド・パネル121の配置について、説明する。
【0286】
左端のスタート位置に配置されるコマンド・パネル121aから2番目から4番目までの3枚に基づいて、第一比較対象情報が構成される。また、3番目に配置されている3個のリンゴのコマンド・パネル122eに基づいて、第一比較コマンド情報が構成される。
【0287】
一方、5番目に配置されている1個のリンゴのコマンド・パネル122hに基づいて、第二比較対象情報が構成される。
【0288】
左端のコマンド・パネル121aからスタートする移動ロボット110が、最初に、5番目のリンゴのコマンド・パネル122hに達すると、リンゴの数として1個が記憶され
る。
【0289】
その後、移動ロボット110は、コマンド・パネル121cに描かれている矢印の向きに移動して、再度、5番目のリンゴのコマンド・パネル122hに達する。このとき、移動ロボット110は、リンゴの数を1個加算してリンゴ2個とする。
【0290】
次に、移動ロボット110は、隣接する2方向矢印のコマンド・パネル122cに達し、第一比較コマンド情報のリンゴ3個と、第二比較対象情報のリンゴ2個を比較して、一致していないと判定して、灰色の矢印の向き(右向き)に移動する。
【0291】
このコマンド・パネル122cでは、第一比較コマンド情報と、第二比較対象情報とが一致するという条件を満たすまで灰色の矢印の向きに進み、条件が満たされると、水色の矢印の向きに進むようになる。
【0292】
移動ロボット110は、コマンド・パネル121cの矢印の向きに移動して、5番目に配置されているリンゴのコマンド・パネル122hに達する。このとき、移動ロボット110は、リンゴの数を1個加算して3個とする。
【0293】
移動ロボット110が、再度、2方向矢印のコマンド・パネル122cに達すると、第一比較コマンド情報と、第二比較対象情報が一致していると判定されて、水色の矢印の向き(左向き)に移動する。
【0294】
次に、図13(a)に示されている、10枚のコマンド・パネル121の配置について、説明する。
【0295】
図13(a)には、文字であるアルファベットの絵柄のコマンド・パネル122rや、スピーカの絵柄のコマンド・パネル122sなどが示されている。
【0296】
このアルファベットのコマンド・パネル122rは、描かれているアルファベットの発音を移動ロボット110に再生させるコマンド情報を含んでいる。
【0297】
左端のスタート位置に配置されるコマンド・パネル121aから2番目には‘A’、3番目には‘P’のコマンド・パネル122rが配置されており、そこから下側に向かって、‘L’と‘E’の2枚のコマンド・パネル122rが配置されている。移動ロボット110が、これらのコマンド・パネル122rに達すると、スピーカ507からそれぞれの発音が再生される。
【0298】
このコマンド・パネル122rの絵柄としては、‘B’や‘C’などその他のアルファベットの絵柄も用意されている。
【0299】
図中の‘E’のコマンド・パネル122rの次には、スピーカの絵柄のコマンド・パネル122sが配置されている。図13(b)には、このコマンド・パネル122sの絵柄が示されている。スピーカを表現する絵柄の下側に、移動ロボット110を表現する絵柄が描かれており、その両側に多くのアルファベットが描かれている。
【0300】
このスピーカのコマンド・パネル122sは、移動ロボット110が、移動開始以降に順次読み取ったコマンド・パネル122rのアルファベットの並びにより構成される単語の発音を、移動ロボット110に発生させるコマンド情報を含んでいる。
【0301】
図13(a)に示されている配置では、左端のコマンド・パネル121aからスタートする移動ロボット110が、‘A’と‘P’のコマンド・パネル122rを読み取り、それらパネル122r上で、‘A’と‘P’の発音を再生する。その後、3枚のコマンド・パネル121cの矢印の向きに移動して、再び‘P’のコマンド・パネル122rを読み取り、続いて、‘L’と‘E’のコマンド・パネル122rを順次読み取っていく。このように、移動ロボット110が、‘A’、‘P’、‘P’、‘L’、‘E’の順序でコマンド・パネル122rを読み取り、これらの並びは、‘APPLE’という単語を構成する。そして、移動ロボット110が、このスピーカのコマンド・パネル122s上の中央部に達すると、その位置で一時的に停止して、スピーカ507から、‘APPLE’の発音が再生される。この音声は、読み取ったアルファベットを個別に連続して再生するものではなく、読み取ったアルファベットで構成される単語の発音が再生される。その後、移動ロボット110は、移動を開始して、最後に配置されている、ゴール位置のコマンド・パネル121bの中央部で停止して、一連の動作を終了する。
【0302】
制御部501は、移動ロボット110が、アルファベットのコマンド・パネル122rから読み取ったコマンド情報を順次、コマンド情報用メモリ508に記憶させていく。そして、移動ロボット110が、スピーカのコマンド・パネル122sに達すると、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されているアルファベットのコマンド・パネル122rから読み取ったコマンド情報を読み出して、読み取り順序の並びにより構成される単語の発音を、スピーカ507から再生させるようになっている。なお、再生される単語の発音の音声データは、あらかじめ、移動ロボット110の制御部用ROM(フラッシュメモリ)521などに保存されている。
【0303】
学習者は、アルファベットのコマンド・パネル122rを用いて学習することにより、アルファベットやその発音について学ぶことができる。また、複数枚を組み合わせることで、文字列を作成することができる。そして、スピーカのコマンド・パネル122sを用いて学習することにより、その文字列からなる単語の正確な発音を習得することができる。
【0304】
なお、単語は、英単語のみでなくその他の言語の単語であってもよい。また、コマンド・パネル122rの絵柄の文字としては、アルファベット以外の平仮名などのその他の文字であってもよい。
【0305】
このように、複数のアルファベットのコマンド・パネル122rを移動ロボット110が読み取り、それら複数のコマンド・パネル122rから読み取ったアルファベットの情報を含む複数のコマンド情報がコマンド情報用メモリ508に記憶される。そして、制御部501は、このコマンド情報用メモリ508に記憶されているアルファベットの情報を含む複数のコマンド情報を読み出して、複数のコマンド・パネル122rから読み取った順序のアルファベットの並びから構成される単語の発音を移動ロボット110から発生させる。このため、読み取る順序が適切な単語となるアルファベットの並びを構成するように複数のコマンド・パネル122rを配置するような高度なプログラミングを行うことができる。
【0306】
次に、図14に示されている、14枚のコマンド・パネル121の配置について、説明する。
【0307】
スタート位置に配置されるコマンド・パネル121aから数えて2番目から4番目までの3枚のコマンド・パネル121にそれぞれ記録されている3個のコマンド情報が、第一比較対象情報を構成している。このうち、2番目の左括弧のコマンド・パネル122aと、4番目の右括弧のコマンド・パネル122bに挟まれている、3番目のリンゴのコマンド・パネル122eに記録されているコマンド情報が、第一比較コマンド情報に該当する。
【0308】
また、4番目の右括弧のコマンド・パネル122bの後ろ側に配置されている、‘A’、‘P’、‘L’、‘E’の4枚のコマンド・パネル122rに記録されているコマンド情報が、第二比較対象情報を構成する。
【0309】
この図に示されている配置では、左端のコマンド・パネル121aからスタートする移動ロボット110が、3番目のリンゴのコマンド・パネル122eや、5番目以降に配置されている複数のアルファベットのコマンド・パネル122rを読み取っていく。これらアルファベットのコマンド・パネル122rの読み取りは、3枚のコマンド・パネル121cの矢印の向きに移動して、順次、読み取っていくため、‘A’の次に、‘P’のコマンド・パネル122rが2回読み取られ、‘A’、‘P’、‘P’、‘L’、‘E’の順序となる。
【0310】
移動ロボット110が、2方向矢印のコマンド・パネル122cに達すると、第一比較コマンド情報である3番目のリンゴのコマンド・パネル122eのコマンド情報と、第二比較対象情報である複数のアルファベットのコマンド・パネル122rから読み取ったコマンド情報とが比較される。このリンゴのコマンド・パネル122eの絵柄であるリンゴに対応する英単語の綴りは、‘APPLE’である。この綴りと、複数のアルファベットのコマンド・パネル122rの読み取り順序で構成される‘A’、‘P’、‘P’、‘L’、‘E’の並びとが一致しているか判定される。そして、一致していると判定される場合には、この2方向矢印のコマンド・パネル122cに描かれている水色の矢印の方向(左向きの方向)に、移動ロボット110が移動し、一致していないと判定される場合には、灰色の矢印の方向(右向きの方向)に、移動ロボット110が移動する。
【0311】
この図の配置では、一致しているため、移動ロボット110が、水色の矢印の方向(左向きの方向)に移動して、次のスピーカのコマンド・パネル122s上で、‘APPLE’の発音が再生される。移動ロボット110は、最後に、ゴール位置のコマンド・パネル121bに移動して、その上で停止し、一連の動作を終了する。
【0312】
制御部501は、左括弧のコマンド・パネル122aと、右括弧のコマンド・パネル122bに挟まれている、リンゴのコマンド・パネル122eなどの絵柄の情報を含むコマンド・パネル121のコマンド情報(第一比較コマンド情報)をコマンド情報用メモリ508に記憶させる。また、右括弧のコマンド・パネル122bの後ろ側に配置されているアルファベットのコマンド・パネル122rのコマンド情報(第二比較対象情報)を順次、コマンド情報用メモリ508に記憶させていく。
【0313】
そして、移動ロボット110が、2方向矢印のコマンド・パネル122cに達すると、制御部501は、コマンド情報用メモリ508に記憶されている第一比較コマンド情報と第二比較対象情報を読み出して、第一比較コマンド情報に対応するコマンド・パネル121の絵柄の単語の綴りと、第二比較対象情報に対応するコマンド・パネル122rのアルファベットの読み取り順序により構成される並びとを比較する。この比較の結果、一致していれば、移動ロボット110を水色の矢印の方向に移動させ、一致していなければ、灰色の矢印の方向(右向きの方向)に移動させる。
【0314】
なお、比較される単語の綴りは、英語以外の日本語などのその他の言語の単語であってもよい。
【0315】
学習者は、アルファベットのコマンド・パネル122rの配置を変更しながら、単語の綴りを学習することができる。また、正しい単語になるように解決策を考える訓練にもなる。
【0316】
単語の綴りを学習する絵柄としては、リンゴ以外にも、自動車、電車、飛行機などの乗物、ネコ、イヌなどの動物、ピアノ、トランペットなどの楽器等、様々な絵柄が用意されている。このため、学習者は、様々な単語の綴りを習得することができる。
【0317】
以上の説明では、コマンド・パネル121の絵柄に対応する単語の綴りと、複数のコマンド・パネル122rから読み取った順序のアルファベットの並びとを比較して、一致しているか判定している。これ以外にも、コマンド・パネル121の絵柄が示す意味と、複数のコマンド・パネル122rから読み取った順序のアルファベットの並びが示す意味とを比較して、一致しているか判定するようにしてもよい。
【0318】
次に、図15(a)に示されている、12枚のコマンド・パネル121の配置について、説明する。
【0319】
図15(a)の配置と、図14の配置を比較すると、図15(a)の配置は、図14の左端のスタート位置に配置されるコマンド・パネル121aが、コマンド・パネル122tに置き換わっている。また、図14の左端から2番目の左括弧のコマンド・パネル122aと、3番目のリンゴのコマンド・パネル122eと、4番目の右括弧のコマンド・パネル122bの3枚が、図15(a)では、リンゴのコマンド・パネル122hの1枚に置き換わっている。そして、図14の左端から3番目のリンゴのコマンド・パネル122eと、図15(a)の左端から2番目に配置されているリンゴのコマンド・パネル122hを比較すると、図14のコマンド・パネル122eには、絵柄を囲むように水色の枠が描かれているのに対し、図15(a)のコマンド・パネル122hには、水色の枠が描かれていないという相違がある。
【0320】
図15(a)の左端に配置されているコマンド・パネル122tは、移動ロボット110のスタート位置に配置され、第一比較対象情報の構成方法を変更させるコマンド情報を含んでいる。このコマンド・パネル122tには、図15(b)に示されているように、矢印の絵柄の下側に、移動ロボット110を表現する絵柄が描かれており、その両側に多くのアルファベットが描かれている。
【0321】
移動ロボット110が、このスタート位置に配置されるコマンド・パネル122tから移動を開始すると、図14の左端から2番目の左括弧のコマンド・パネル122aや、4番目の右括弧のコマンド・パネル122bを使用せずに、第一比較対象情報が構成される。また、図14の左端から3番目には、水色の枠が描かれているリンゴのコマンド・パネル122eが配置され、第一比較対象情報を構成しているが、移動ロボット110が、このスタート位置に配置されるコマンド・パネル122tからスタートすると、図15(a)の左端から2番目に配置されているリンゴのコマンド・パネル122hのように、水色の枠が描かれていないコマンド・パネル121を使用して、第一比較対象情報が構成されるようになる。
【0322】
このように、移動ロボット110が、このコマンド・パネル122tからスタートすると、その後に読み取られるリンゴのような果物や、乗物、動物、楽器などの絵柄のコマンド・パネル121の1枚に記録されているコマンド情報が第一比較対象情報を構成し、第一比較コマンド情報になるようになっている。
【0323】
図15(a)に示されている配置では、移動ロボット110が、左端のこのコマンド・パネル122tの上に置かれ、移動を開始すると、左端から2番目に配置されているリンゴのコマンド・パネル122hに記録されているコマンド情報が、第一比較対象情報を構成する。また、このリンゴのコマンド・パネル122hに記録されているコマンド情報が第一比較コマンド情報となる。
【0324】
そして、このリンゴのコマンド・パネル122hの後ろ側に配置されている、‘A’、‘P’、‘L’、‘E’の4枚のコマンド・パネル122rに記録されているコマンド情報が、第二比較対象情報を構成する。
【0325】
この図に示されている配置では、左端のコマンド・パネル122tからスタートする移動ロボット110が、2番目のリンゴのコマンド・パネル122hや、3番目以降に配置されている複数のアルファベットのコマンド・パネル122rを読み取っていく。これらアルファベットのコマンド・パネル122rの読み取りは、図14と同じように、3枚のコマンド・パネル121cの矢印の向きに移動して、順次、読み取っていくため、‘P’のコマンド・パネル122rが2回読み取られ、‘A’、‘P’、‘P’、‘L’、‘E’の順序となる。
【0326】
移動ロボット110が、2方向矢印のコマンド・パネル122cに達すると、第一比較コマンド情報である2番目のリンゴのコマンド・パネル122hのコマンド情報と、第二比較対象情報である複数のアルファベットのコマンド・パネル122rから読み取ったコマンド情報とが比較される。このリンゴのコマンド・パネル122hの絵柄であるリンゴに対応する英単語の綴りは、‘APPLE’である。この綴りと、複数のアルファベットのコマンド・パネル122rの読み取り順序で構成される‘A’、‘P’、‘P’、‘L’、‘E’の並びとが一致しているか判定される。そして、一致していると判定される場合には、この2方向矢印のコマンド・パネル122cに描かれている水色の矢印の方向(左向きの方向)に、移動ロボット110が移動し、一致していないと判定される場合には、灰色の矢印の方向(右向きの方向)に、移動ロボット110が移動する。
【0327】
この図の配置では、一致しているため、移動ロボット110が、水色の矢印の方向(左向きの方向)に移動して、次のスピーカのコマンド・パネル122s上で、‘APPLE’の発音が再生される。移動ロボット110は、最後に、ゴール位置のコマンド・パネル121bに移動して、その上で停止し、一連の動作を終了する。
【0328】
次に、図16に示されている、11枚のコマンド・パネル121の配置について、説明する。
【0329】
図16の配置と、図15(a)の配置を比較すると、図16の配置では、図15(a)のアルファベットの‘E’のコマンド・パネル122rの次に配置されている2方向矢印のコマンド・パネル122cが、スピーカのコマンド・パネル122sに置き換わっている。そして、このスピーカのコマンド・パネル122sの次に、ゴール位置のコマンド・パネル121bが配置されている。
【0330】
移動ロボット110が、図16中の左端のスタート位置に配置されるコマンド・パネル122tから移動を開始すると、図15(a)と同様に、2番目のリンゴのコマンド・パネル122hに記録されているコマンド情報が、第一比較対象情報を構成し、このコマンド情報が第一比較コマンド情報となる。
【0331】
そして、このリンゴのコマンド・パネル122hの後ろ側に配置されている、‘A’、‘P’、‘L’、‘E’の4枚のコマンド・パネル122rに記録されているコマンド情報が、第二比較対象情報を構成する。これらアルファベットのコマンド・パネル122rの読み取りは、図15(a)と同様に、‘A’、‘P’、‘P’、‘L’、‘E’の順序となる。
【0332】
移動ロボット110が、図16中のスピーカのコマンド・パネル122sに達するとき、第一比較コマンド情報であるリンゴのコマンド・パネル122hのコマンド情報と、第二比較対象情報である複数のアルファベットのコマンド・パネル122rから読み取ったコマンド情報とを比較するようにしてもよい。そして、このリンゴのコマンド・パネル122hの絵柄のリンゴに対応する英単語の綴りである‘APPLE’と、複数のアルファベットのコマンド・パネル122rの読み取り順序で構成される‘A’、‘P’、‘P’、‘L’、‘E’の並びとが一致しているか判定するようにしてもよい。一致していると判定する場合には、‘APPLE’の発音が再生され、一致していないと判定する場合には、一致していないことを知らせるために、スピーカ507から音声を発生させたり、発光部220を発光させたりするようにしてもよい。最後に、移動ロボット110は、ゴール位置のコマンド・パネル121bに移動して、その上で停止し、一連の動作を終了する。
【0333】
<学習玩具の使用方法>
次に、この実施の形態に係る学習玩具100を用いた学習の方法を説明する。
【0334】
学習者は、まず、床面等に、スタート地点用のコマンド・パネル121aを配置する。
【0335】
次に、このコマンド・パネル121aに隣接させて、所望のコマンド・パネル121を順次配置していく。
【0336】
更に、コマンド・パネル121の列の最後に、ゴール地点用のコマンド・パネル121bを配置する。
【0337】
そして、移動ロボット110の電源スイッチ503をオンにして、スタート地点用のコマンド・パネル121a上へ置くと、この移動ロボット110が移動を開始する。これにより、移動ロボット110は、移動路120を移動しながら、コマンド・パネル121のコマンド情報を順次読み取って、そのコマンド情報に基づいた動作を順次実行する。
【0338】
これらの動作の結果、この移動ロボット110がゴール地点用のコマンド・パネル121bまで到達して停止すれば、‘成功’となる。一方、移動ロボット110がコマンド・パネル121bに到達できなければ、‘失敗’となる。
【0339】
学習者は、この学習玩具100を用いて、楽しみながらプログラミングの学習をすることができる。学習者が複数の異なるコマンド・パネル121を並べ、その上を自走する移動ロボット110に所望の動作をさせることが、どのようにプログラミングの学習につながるのかは、次のように対応関係がある。
【0340】
学習者が移動ロボット110をどのように動作させようかと考えることは、プログラミング設計に相当する。そして、コマンド・パネル121の配置作業をすることは、プログラミングの実装に相当する。続いて、移動ロボット110にコマンド・パネル121の上を自走させ、動作を実行させることは、プログラムの実行に相当する。さらに、移動ロボット110に動作をさせた結果、不具合があれば、コマンド・パネル121の選択や配置位置を変更する必要が生ずるが、この作業は、プログラムのデバッグ作業に相当する。
【0341】
学習者の具体的な行為は次のようになる。
【0342】
まず、学習者は、移動ロボット110にどのような動作をさせるかを考える(プログラミング設計)。移動ロボット110にさせる動作を決定した後、学習者は、コマンド・パネル121に描かれた絵柄から移動ロボット110の動作を想像して、最適なコマンド・パネル121を選択し、そのコマンド・パネル121を最適な位置、最適な向きに配置していく(プログラミングの実装)。学習者がコマンド・パネル121の配置を完成させた後、実際に、移動ロボット110に動作をさせ、自ら設計した移動ロボット110の動作と一致するか確認する(プログラムの実行)。もし、移動ロボット110の動作が、想定外であれば、学習者は、再度、最適なコマンド・パネル121を選択し、そのコマンド・パネル121を最適な位置、最適な向きに並べ替えて、移動ロボット110が設計通りの動作をするように修正する(プログラムのデバッグ作業)。
【0343】
例えば、学習者が、図17に示されているように、コマンド・パネル121を配置した場合について、説明する。
【0344】
図17の左端から13番目までは、上述した図11(a)に示されている配置と同一の配置となっている。また、図17の14番目から17番目までは、上述した図8(b)に示されている配置の2番目から5番目までと同一の配置となっている。そして、図17の最後の18番目に、ゴール位置用のコマンド・パネル121bが配置されている。
【0345】
スタート位置のコマンド・パネル121aに乗せられて、スタートする移動ロボット110は、13番目の2方向矢印のコマンド・パネル122cの中央部に達すると、第一比較コマンド情報と、第二比較コマンド情報を比較する。図11(a)により説明したように、第一比較コマンド情報と第二比較コマンド情報は、どちらも、リンゴ5個、バナナ2本、数値3であり、すべての種類で一致している。このため、移動ロボット110は、水色の矢印の向き(上向き)に移動する。
【0346】
また、移動ロボット110が、図17の16番目に配置されている色の三原色のシアン色のコマンド・パネル121qに達すると、図8(b)により説明したように、発光部220が、14番目のマゼンタ色と、この16番目のシアン色との混合色である青に発光する。
【0347】
続いて、移動ロボット110が、次の17番目に配置されている4方向矢印のコマンド・パネル121gに達すると、発光部220の発光色が青であるため、青色の矢印の向き(上向き)に進行する。
【0348】
そして、最後に、移動ロボット110は、ゴール位置に配置されるコマンド・パネル121bに到達して、移動を停止する。
【0349】
<学習玩具の効果>
この実施の形態では、複数のコマンド・パネル121のコマンド情報に基づいて移動ロボット110の動作をさせるため、コマンド情報を順次読み取り、それに基づいて順次移動ロボット110の動作が実行されるような単純なプログラミングだけでなく、コマンド情報の読み取りとそのコマンド情報に基づき生ずる移動ロボット110の動作が時間的に隔てて行われるようなプログラミングなど高度なプログラミングの作成が可能になる。単純なものから高度なものまで段階的にプログラミングの難易度を調整できるため、低年齢の幼児だけでなくそれ以上の年齢層の子供もこの玩具で学習できる。この結果、子供の発達段階に応じて、長期間にわたり玩具を使用することができる。
【0350】
また、この実施の形態によれば、移動ロボット110は、コマンド情報用メモリ508に記憶されている読み取った複数のコマンド情報の中から自動的に抽出して所望の動作をする。このため、移動ロボット110の動作がコマンド情報の読み取り順序に従わないようなプログラミングができる。この結果、より高度なプログラミングの設計をすることができるようになり、より高度なプログラミングの学習が可能になる。
【0351】
さらに、この実施の形態によれば、移動ロボット110は、複数のコマンド情報に基づいて、移動ロボット110の発光部220を発光させる発光素子や、音声を発生させるスピーカ507を備えている。このため、移動ロボット110の発光や発音を視覚や聴覚によって確認することができ、学習者の想定したプログラミングの設計通りに移動ロボット110が動作しているか容易に検証することができる。また、移動ロボット110の発光部220の発光について、色の三原色の関係を考慮してプログラミングすることもでき、より高度なプログラミングの学習ができるとともに、色の三原色について学ぶことができる。また、色の三原色だけでなく、光の三原色の関係を考慮してプログラミングできるようにしてもよく、光の三原色について学ぶことができるようにしてもよい。
【0352】
またさらに、この実施の形態によれば、移動ロボット110は、学習に使用するコマンド・パネル121の種類を選択することで、プログラミングされる動作として有効となるコマンド情報の適用範囲を段階的に制限、または許可することができる。このため、学習者の発達段階に応じたプログラミングの学習が可能になる。
【0353】
さらにまた、この実施の形態によれば、コマンド・パネル121は、記録されるコマンド情報の種類を増加させることができるため、より多様な動作を移動ロボット110に命令することができる。この結果、多様で高度なプログラミングの学習をすることができる。また、コマンド・パネル121単体で、販売できるため、学習者は、必要に応じて、コマンド・パネル121を買い足すことができる。
【0354】
さらに、この実施の形態によれば、コマンド・パネル121は、四角形の角部を切断した形状である。角部のなす角度が鈍角になっているため、コマンド・パネル121を角部から落下させても壊れにくく、また、学習者のけがが発生しにくく、安全性が向上する。
【0355】
この実施の形態では、移動ロボット110が複数のコマンド・パネル121から読み取る複数のコマンド情報は、第一比較対象情報と第二比較対象情報を構成している。移動ロボット110の制御部501は、読み取った複数のコマンド情報から、第一比較対象情報と第二比較対象情報を検出し、比較し、一致しているか判定し、その比較判定結果に基づいて、移動ロボット110に所望の動作をさせる。
【0356】
このため、コマンド・パネル121に記録されているコマンド情報を順次読み取り、それに応じて順次移動ロボット110の動作が実行されるような単純なプログラミングだけでなく、複数配置するコマンド・パネル121のうち、一部分のコマンド・パネル121と、他の部分のコマンド・パネル121に記録されているコマンド情報を比較して、比較判定結果に基づいて移動ロボット110に動作をさせるような高度なプログラミングの作成も可能になる。単純なものから高度なものまで段階的にプログラミングの難易度を調整できるため、低年齢の幼児だけでなくそれ以上の年齢層の子供もこの学習玩具100で学習することができる。
【0357】
また、第一比較対象情報と第二比較対象情報は、数値の情報を含むように構成できるため、学習者は、数値の計算や計算結果の比較をさせるような高度なプログラミングの学習を行うことができる。
【0358】
この結果、子供の発達段階に応じて、長期間にわたりこの学習玩具100を使用することができる。
【0359】
また、この実施の形態によれば、第一比較対象情報は、開始位置コマンド情報と、終了位置コマンド情報と、一枚以上のコマンド・パネル121に記録されている一以上の第一比較コマンド情報とにより構成されている。そして、この一以上の第一比較コマンド情報が、第二比較対象情報と比較される。一以上の第一比較コマンド情報は、コマンド・パネル121の枚数を変えたり、種類を変えたりすることにより様々に変化させることができる。
【0360】
このため、学習者は、配置するコマンド・パネル121を様々に変化させることにより、一以上の第一比較コマンド情報を変化させて学習することができる。このように、学習者は、高度で多様なプログラミングの学習をすることができる。
【0361】
また、この実施の形態によれば、複数の第一比較コマンド情報と複数の第二比較コマンド情報は、数値や絵柄の情報を示す複数種類により構成されている。そして、複数の第一比較コマンド情報と複数の第二比較コマンド情報は、複数種類の対応する種類ごとに、それぞれ比較される。
【0362】
学習者は、複数種類が含まれるように複数の第一比較コマンド情報や複数の第二比較コマンド情報を構成して、学習をすることができる。このように、学習者は、高度で複雑なプログラミングの学習を行うことができる。
【0363】
また、この実施の形態によれば、移動ロボット110が備えているコマンド情報用メモリ508には、複数のコマンド情報を記憶することができ、また、記憶されているコマンド情報を読み出すことができるようになっている。これは、メモリである変数に記憶して、その後、メモリから読み出すという、プログラムの変数への代入と、読み出しの動作を表している。このため、複数のコマンド情報に基づいて、移動ロボット110に動作をさせたり、その動作を観察したりすることを通して、学習者は、プログラミングの変数について学習することができる。
【0364】
特に、数字の絵柄が描かれているコマンド・パネル122d、122gを用いて学習を行うことにより、移動ロボット110に数値を記憶させたり、記憶されている数値を読み出して、計算や、比較を行わせたりすることができるようになっている。学習者は、変数としてのメモリに、数値を代入したり、読み出して比較したりすることにより、プログラミングの変数に数値を代入したり、読み出したりすることについて学ぶことができる。
【0365】
また、第一比較対象情報と第二比較対象情報とが比較されて、一致しているか判定され、その判定結果に基づいて、移動ロボット110が動作するようになっている。第一比較対象情報や第一比較コマンド情報が条件の内容を示していると想定すると、第二比較対象情報がその条件の内容を満たしているか判定されているといえる。このため、第一比較対象情報や第一比較コマンド情報と、第二比較対象情報により様々に構成される条件の内容を通して、学習者は、プログラミングの条件の設定や、条件の比較について学ぶことができる。
【0366】
また、1個の大きな音符のコマンド・パネル122dによって、移動ロボット110がそれ以前に読み取った音符の音階を連続して1回再生するようになっている。移動ロボット110が、音符と五線譜のコマンド・パネル122aを通過する際には、その音符の音階が再生される。このため、このコマンド・パネル122dにより、音符の音階の再生が、繰り返されることになる。この動作を観察することで、学習者は、プログラミングの繰り返し処理について学ぶことができる。
【0367】
また、この実施の形態によれば、アルファベットの情報を含むコマンド情報が記録されている複数のアルファベットのコマンド・パネル122rを移動ロボット110が読み取り、読み取った順序のアルファベットの並びにより構成される単語の発音が、再生される。このため、学習者は、複数のアルファベットのコマンド・パネル122rを並べ替えることにより、様々な単語や、それら単語の正確な発音を学習することができる。このように、学習者は、単語に関する学習も含めて、高度なプログラミングの学習を行うことができる。
【0368】
また、この実施の形態によれば、例えば、リンゴの絵柄の情報を含むコマンド情報が記録されているリンゴのコマンド・パネル122eや、アルファベットの情報を含むコマンド情報が記録されている複数のアルファベットのコマンド・パネル122rを移動ロボット110が読み取り、リンゴの絵柄の情報に対応する単語の綴り(‘APPLE’)と、読み取った順序のアルファベットの並びとを比較して、一致しているか判定し、その判定結果に基づいて、移動ロボット110の移動方向が変化する。このため、学習者は、絵柄に対応する単語の綴りと、複数のアルファベットのコマンド・パネル122rを配置して構成したアルファベットの並びとが、一致しているか、移動ロボット110の移動方向を通して、認識することができる。学習者は、複数のアルファベットのコマンド・パネル122rを並べ替えることにより、単語の正しい綴りを学習することができる。このように、学習者は、単語の綴りに関する学習や、プログラム構文の文字列の学習を含めて、高度なプログラミングの学習を行うことができる。
【0369】
以上のように、この学習玩具100による学習を通して、学習者は、プログラミングの構文である、変数、条件設定、繰り返し処理、文字列について学ぶことができる。
【符号の説明】
【0370】
100 学習玩具
110 移動ロボット
120 移動路
121 コマンド・パネル
211 本体部
212 底面部
220 発光部
222 底面部カバー取付ネジ
223 外観部材取付ネジ
230 移動機構
231 回転脚
232 補助ボール
240 光学読取モジュール
250 外観部材
401 モータ
500 制御回路
501 制御部
502 RGB光源
503 電源スイッチ
505 モータコントローラ
506 音声再生部
507 スピーカ
508 コマンド情報用メモリ
520 CPU
521 制御部用ROM(フラッシュメモリ)
522 制御部用RAM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17