(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】下肢用マッサージ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
(21)【出願番号】P 2018130483
(22)【出願日】2018-07-10
【審査請求日】2021-07-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (イ) 公開者名:株式会社カタログハウス ウェブサイトのアドレス: https://www.cataloghouse.co.jp/health_and_fitness/massage/1106352.html 掲載年月日:2018年4月16日 (ロ) 発行者名:株式会社カタログハウス 刊行物名:通販生活夏号 頒布年月日:2018年4月16日 (ハ) 発行者名:株式会社カタログハウス 刊行物名:通販生活盛夏号 頒布年月日:2018年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】509154268
【氏名又は名称】株式会社惣田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼遠 裕之
(72)【発明者】
【氏名】惣田 亘
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】後藤 泰輔
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528335(JP,A)
【文献】特開2000-189477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の足先から脹脛までの範囲に下肢の形成方向に沿って並べられて前記下肢を独立して圧迫または開放する複数の下肢エアバッグと、
前記複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給するエアポンプと、
前記複数の下肢エアバッグと前記エアポンプとの間のエア配管上に設けられて各エアバッグへの空気の流通または流通の遮断を行う流通弁と、
前記エアポンプおよび前記流通弁の作動を制御して前記複数の下肢エアバッグをそれぞれ膨張または収縮させる制御装置と、
前記複数の下肢エアバッグの各エアバッグ内の空気圧を検出して前記制御装置に出力する圧力検出器とを備え、
前記制御装置は、
前記圧迫時における前記複数の下肢エアバッグの各空気圧が足先側から脹脛側の順で低くなるように前記エアポンプおよび前記流通弁の作動を制御するものであって、前記被施術者の下肢を圧迫していない前記複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給する過程において、前記複数の下肢エアバッグの各空気圧が足先側から脹脛側の順で空気を供給して前記下肢を圧迫するように前記エアポンプおよび前記流通弁の作動を制御するとともに、前記複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給する過程において、現に空気を供給しているエアバッグよりも足先側のエアバッグの空気圧が低下した場合には、前記現に空気を供給しているエアバッグへの空気の供給を中断または同空気の供給の終了後に直ちに前記空気圧が低下したエアバッグに空気を供給するように前記エアポンプおよび前記流通弁の作動を制御することを特徴とする下肢用マッサージ装置。
【請求項2】
被施術者の足先から脹脛までの範囲に下肢の形成方向に沿って並べられて前記下肢を独立して圧迫または開放する複数の下肢エアバッグと、
前記複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給するエアポンプと、
前記複数の下肢エアバッグと前記エアポンプとの間のエア配管上に設けられて各エアバッグへの空気の流通または流通の遮断を行う流通弁と、
前記エアポンプおよび前記流通弁の作動を制御して前記複数の下肢エアバッグをそれぞれ膨張または収縮させる制御装置とを備え、
前記複数の下肢エアバッグは、
前記被施術者の少なくとも足先を圧迫する足先用エアバッグと、
前記被施術者の少なくとも脹脛の一部を圧迫する脹脛用エアバッグと、
前記足先用エアバッグと前記脹脛用エアバッグとの間に配置されてこれらの各エアバッグの間に位置する下肢部分を圧迫する中間エアバッグとを備え、
前記足先用エアバッグは、
前記被施術者の足における前足部を圧迫するものであり、
前記中間エアバッグは、
前記被施術者の足における中足部および後足部をそれぞれ圧迫するものであり、
前記制御装置は、
前記圧迫時における前記複数の下肢エアバッグの各空気圧が足先側から脹脛側の順で低くなるように前記エアポンプおよび前記流通弁の作動を制御することを特徴とする下肢用マッサージ装置。
【請求項3】
請求項2に記載した下肢用マッサージ装置において、
前記足先用エアバッグは、
前記被施術者の前記足先における側方および上下方向の各両側から同時に圧迫することを特徴とする下肢用マッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施術者の膝から足先までの下肢をマッサージする下肢用マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被施術者の膝から足先までの下肢をマッサージすることができる下肢用マッサージ装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、被施術者の下肢を収容する袋状のマッサージ具内に下肢の形成方向に並ぶ複数の空気室が形成された空気圧式マッサージ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された空気圧式マッサージ装置においては、複数の各空気室が互いに同じ圧力に圧迫されるため、圧迫感が単調でマッサージ効果が薄いという問題があった。特に、下肢に浮腫みを有する被施術者においては、浮腫みの解消感が薄いという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、マッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる下肢用マッサージ装置を提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
削除
【0007】
削除
【0008】
削除
【0009】
削除
【0010】
削除
【0011】
削除
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被施術者の足先から脹脛までの範囲に下肢の形成方向に沿って並べられて下肢を独立して圧迫または開放する複数の下肢エアバッグと、複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給するエアポンプと、複数の下肢エアバッグとエアポンプとの間のエア配管上に設けられて各エアバッグへの空気の流通または流通の遮断を行う流通弁と、エアポンプおよび流通弁の作動を制御して複数の下肢エアバッグをそれぞれ膨張または収縮させる制御装置と、複数の下肢エアバッグの各エアバッグ内の空気圧を検出して制御装置に出力する圧力検出器とを備え、制御装置は、圧迫時における複数の下肢エアバッグの各空気圧が足先側から脹脛側の順で低くなるようにエアポンプおよび流通弁の作動を制御するものであって、被施術者の下肢を圧迫していない複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給する過程において、複数の下肢エアバッグの各空気圧が足先側から脹脛側の順で空気を供給して下肢を圧迫するようにエアポンプおよび流通弁の作動を制御するとともに、複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給する過程において、現に空気を供給しているエアバッグよりも足先側のエアバッグの空気圧が低下した場合には、現に空気を供給しているエアバッグへの空気の供給を中断または同空気の供給の終了後に直ちに空気圧が低下したエアバッグに空気を供給するようにエアポンプおよび流通弁の作動を制御することにある。
【0013】
このように構成した本発明の特徴によれば、下肢用マッサージ装置は、下肢の形成方向に沿って並べられた複数の下肢エアバッグにおける各空気圧が圧迫時において足先側から脹脛側の順で低くなるように調整されるため、足先側の静脈血の脹脛側への押し上げが促進されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。
【0014】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、下肢用マッサージ装置は、被施術者の下肢を圧迫していない状態から複数の下肢エアバッグの各空気圧が足先側から脹脛側の順で空気を供給して圧迫するため、足先側の静脈血の脹脛側への押し上げが十分に促進されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。
【0015】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、下肢用マッサージ装置において、複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給する過程において、現に空気を供給しているエアバッグよりも足先側のエアバッグの空気圧が低下した場合には、現に空気を供給しているエアバッグへの空気の供給を中断または同空気の供給の終了後に直ちに空気圧が低下したエアバッグに空気を供給するため、足先部分の静脈血の脹脛側への押し上げが十分に促進されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被施術者の足先から脹脛までの範囲に下肢の形成方向に沿って並べられて下肢を独立して圧迫または開放する複数の下肢エアバッグと、複数の下肢エアバッグにそれぞれ空気を供給するエアポンプと、複数の下肢エアバッグとエアポンプとの間のエア配管上に設けられて各エアバッグへの空気の流通または流通の遮断を行う流通弁と、エアポンプおよび流通弁の作動を制御して複数の下肢エアバッグをそれぞれ膨張または収縮させる制御装置とを備え、複数の下肢エアバッグは、被施術者の少なくとも足先を圧迫する足先用エアバッグと、被施術者の少なくとも脹脛の一部を圧迫する脹脛用エアバッグと、足先用エアバッグと脹脛用エアバッグとの間に配置されてこれらの各エアバッグの間に位置する下肢部分を圧迫する中間エアバッグとを備え、足先用エアバッグは、被施術者の足における前足部を圧迫するものであり、中間エアバッグは、被施術者の足における中足部および後足部をそれぞれ圧迫するものであり、制御装置は、圧迫時における複数の下肢エアバッグの各空気圧が足先側から脹脛側の順で低くなるようにエアポンプおよび流通弁の作動を制御することにある。
【0017】
このように構成した本発明の特徴によれば、下肢用マッサージ装置は、下肢の形成方向に沿って並べられた複数の下肢エアバッグにおける各空気圧が圧迫時において足先側から脹脛側の順で低くなるように調整されるため、足先側の静脈血の脹脛側への押し上げが促進されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。
【0018】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、下肢用マッサージ装置は、複数の下肢エアバッグが被施術者の少なくとも足先を圧迫する足先用エアバッグ、被施術者の少なくとも脹脛の一部を圧迫する脹脛用エアバッグおよび足先用エアバッグと脹脛用エアバッグとの間に配置されてこれらの各エアバッグの間に位置する下肢部分を圧迫する中間エアバッグの3つのエアバッグで構成されているため、少ないエアバッグで効果的にマッサージ効果および浮腫みの解消感を向上させることができる。
【0019】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、下肢用マッサージ装置は、足先用エアバッグが被施術者の足における前足部を圧迫するものであるとともに中間エアバッグが被施術者の足における中足部および後足部をそれぞれ圧迫するものであるため、足先部分の静脈血の脹脛側への押し上げが十分に促進されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。なお、中足部は足の甲または土踏まずの部分であり、後足部は中足部よりも後方の足の踵の部分である。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、下肢用マッサージ装置において、足先用エアバッグは、被施術者の足先における側方および上下方向の各両側から同時に圧迫することにある。
【0021】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、下肢用マッサージ装置は、足先用エアバッグが被施術者の足先における側方および上下方向の各両側から同時に圧迫するため、足先部分の静脈血の脹脛側への押し上げが十分に促進されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る下肢用マッサージ装置の外観構成、配管構成および制御構成を模式的に示すシステム構成図である。
【
図2】
図1に示す下肢用マッサージ装置内に被施術者の下肢を挿入した使用状態を模式的に示した側面断面図である。
【
図3】
図1に示す下肢用マッサージ装置における足先用エアバッグが被施術者の足先を挟む状態を足先の前方側から模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る下肢用マッサージ装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る下肢用マッサージ装置100の外観構成、配管構成および制御構成を模式的に示すシステム構成図である。また、
図2は、
図1に示す下肢用マッサージ装置100内に被施術者Uの下肢LEを挿入した使用状態を模式的に示した側面断面図である。この下肢用マッサージ装置100は、被施術者Uの足先から脹脛(ふくらはぎ)までの範囲の下肢LEに対して圧迫または圧迫の開放によるマッサージを行う機械装置である。
【0024】
(下肢用マッサージ装置100の構成)
下肢用マッサージ装置100は、主として、マッサージ本体101とコントローラ110とを備えて構成されている。マッサージ本体101は、足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104がそれぞれ形成される部品であり、被施術者Uの足先から脹脛までの範囲の下肢LEを挿入可能な有底筒状に形成されている。
【0025】
より具体的には、マッサージ本体101は、樹脂製(例えば、ポリウレタン樹脂)のシートをブーツ型の袋状に形成して構成されている。この場合、マッサージ本体101には、底部側に足先用エアバッグ102が形成されているとともに、底部側とは反対側の開口部側に脹脛用エアバッグ103が形成されている。また、マッサージ本体101には、足先用エアバッグ102と脹脛用エアバッグ103との間に中間エアバッグ104が形成されている。
【0026】
このマッサージ本体101は、互いに重ね合された2枚の樹脂製のシート材を2つ折りにしてその周囲を縫合することでブーツ型の有底筒状に形成される。また、マッサージ本体101は、前記した互いに重ね合された2枚の樹脂製のシートの一部を環状に溶着することで足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104がそれぞれ形成されている。このマッサージ本体101は、図示は省略しているが被施術者Uの左右の脚にそれぞれ対応して2つ設けられている。
【0027】
足先用エアバッグ102は、被施術者Uの足先を圧迫または圧迫の開放を行うための部分であり、マッサージ本体101の底部側に前記2枚の樹脂製シートで挟まれた密閉空間で構成されている。この足先用エアバッグ102は、
図3に示すように、被施術者Uの足の幅方向の両側に対応してマッサージ本体101の底部における幅方向の両側にそれぞれ独立した密閉空間で形成されている。
【0028】
この場合、2つの足先用エアバッグ102は、被施術者Uの足先の幅方向両側部分に対して側方および上下方向から圧迫するように横向きのU字状にそれぞれ形成されている。また、2つの足先用エアバッグ102は、被施術者Uの前足部を覆う長さに形成されている。ここで、前足部とは、足における足先先端部から概ね足の甲までの範囲の部分である。これら2つの足先用エアバッグ102は、それぞれエア配管112aを介してエアポンプ111に接続されている。なお、
図3においては、下肢LEを二点鎖線で示すとともに、マッサージ本体101の図示を省略している。
【0029】
脹脛用エアバッグ103は、被施術者Uの脹脛を圧迫または圧迫の開放を行うための部分であり、マッサージ本体101の開口部側に前記2枚の樹脂製シートで挟まれた密閉空間で構成されている。この脹脛用エアバッグ103は、被施術者Uの脛側から脹脛を介して再び脛側に至る一繋ぎの平面視でC字状の密閉空間で形成されている。また、脹脛用エアバッグ103は、下肢LEにおける膝から下でかつ足首から上の脹脛を覆う長さに形成されている。この脹脛用エアバッグ103は、それぞれエア配管112bを介してエアポンプ111に接続されている。
【0030】
中間エアバッグ104は、被施術者Uの下肢LEにおける前記足先用エアバッグ102および脹脛用エアバッグ103でそれぞれ覆われる部分の間の部分に対して圧迫または圧迫の開放を行うための部分であり、マッサージ本体101の開口部側に前記2枚の樹脂製シートで挟まれた密閉空間で構成されている。本実施形態においては、中間エアバッグ104は、被施術者Uの足の中足部、足の後足部および足首を圧迫または圧迫の開放を行う。この中間エアバッグ104は、被施術者Uの足の中足部、足の後足部および足首の各前側から各後側を介して再び各前側に至る一繋ぎの平面視でC字状の密閉空間で形成されている。また、中間エアバッグ104は、それぞれエア配管112cを介してエアポンプ111に接続されている。
【0031】
コントローラ110は、エアポンプ111、エア配管112a~112c、二方向流通弁113a~113c、三方向流通弁114a~114c、圧力検出器115a~115cおよび制御装置116を樹脂製の箱体(図示せず)にそれぞれ収容する電子機械装置である。
【0032】
エアポンプ111は、左右のマッサージ本体101における足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104にそれぞれ大気中の空気を供給するための機器である。このエアポンプ111は、制御装置116によって作動が制御される。
【0033】
エア配管112a~112cは、エアポンプ111が出力する空気を足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104にそれぞれ導くとともに、足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104の各内部の空気を三方向流通弁114a~114cに導くための樹脂製のチューブである。
【0034】
このエア配管112a~112cは、エアポンプ111から延びた後、3つに分岐してそれぞれ二方向流通弁113a~113c、三方向流通弁114a~114cおよび圧力検出器115a~115cを介して足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104に接続されている。この場合、エア配管112aは、足先用エアバッグ102の直前に更に2つに分岐して2つの足先用エアバッグ102にそれぞれ接続されている。また、エア配管112a~112cは、三方向流通弁114a~114cの下流側で被施術者Uの両脚に対応する2つのマッサージ本体101ごとにそれぞれ分岐して設けられている。
【0035】
二方向流通弁113a~113cは、足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104に対してそれぞれ三方向流通弁114a~114cを介してエアポンプ111を連通または遮断させる電磁弁であり、それぞれ制御装置116によって作動が制御される。
【0036】
三方向流通弁114a~114cは、足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104に対してそれぞれ大気に連通または二方向流通弁113a~113cを介してエアポンプ111に連通させる電磁弁であり、それぞれ制御装置116によって作動が制御される。より具体的には、三方向流通弁114a~114cは、OFF状態において足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104をそれぞれ大気に連通させる。一方、三方向流通弁114a~114cは、ON状態において足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104をそれぞれ二方向流通弁113a~113cを介してエアポンプ111に連通させる。
【0037】
これらの二方向流通弁113a~113cおよび三方向流通弁114a~114cが本発明に係る流通弁に相当する。なお、二方向流通弁113a~113cおよび三方向流通弁114a~114cは、配置関係を相互に入れ替えてもよいものである。
【0038】
圧力検出器115a~115cは、足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104の各内部圧力に対応する検出信号を制御装置116に出力する圧力検出装置である。これらの圧力検出器115a~115cは、コントローラ110内における三方向流通弁114a~114cよりも下流側のエア配管112a~112c上にそれぞれ設けられている。
【0039】
制御装置116は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ROMなどの記憶装置に記憶されている図示しない制御プログラムに従って下肢用マッサージ装置100の全体の作動を総合的に制御する。この場合、制御装置116は、操作パネル117の操作に応じてエアポンプ111、二方向流通弁113a~113cおよび三方向流通弁114a~114cの各作動を制御して足先用エアバッグ102、脹脛用エアバッグ103および中間エアバッグ104に対する空気の供給または排気を行う。
【0040】
操作パネル117は、制御装置116に対して被施術者Uの指示を入力するスイッチ群を備えるとともに、制御装置116からの情報を表示するためのランプを備えたユーザインターフェースである。この操作パネル117は、コントローラ110の外表面に露出した状態で設けられている。
【0041】
また、このコントローラ110は、家庭用電源からの電力の導入するための電源コード(図示せず)およびこの電源コードを介して供給される電力をエアポンプ111、二方向流通弁113a~113c、三方向流通弁114a~114c、圧力検出器115a~115c、制御装置116および操作パネル117にそれぞれ供給する図示しない電源部を備えているが、これらについては、本発明に直接関わらないため、これらの詳しい説明は省略する。
【0042】
(下肢用マッサージ装置100の作動)
次に、このように構成した下肢用マッサージ装置100の作動について説明する。まず、この下肢用マッサージ装置100を使用する被施術者Uは、下肢用マッサージ装置100を用意する。次に、被施術者Uは、下肢用マッサージ装置100を起動させる。具体的には、被施術者Uは、下肢用マッサージ装置100における電源コードを図示しない家庭用電源の差し込み口(所謂コンセント)に差し込んだ後、操作パネル117を操作して下肢用マッサージ装置100の電源を入れる。これにより、下肢用マッサージ装置100の制御装置116は、図示しない所定の制御プログラムを実行することにより被施術者Uからの指令の入力を待つ待機状態となる。
【0043】
次に、被施術者Uは、
図2に示すように、自身の両足の下肢LEをマッサージ本体101内にそれぞれ挿入する。これにより、下肢用マッサージ装置100は、マッサージ本体101内における足先用エアバッグ102に被施術者Uの前足部が対向配置され、中間エアバッグ104に被施術者Uの中足部、後足部および足首がそれぞれ対向配置され、脹脛用エアバッグ103に被施術者Uの脹脛が対向配置される。
【0044】
次に、被施術者Uは、操作パネル117を操作することにより、下肢用マッサージ装置100の制御装置116に対してマッサージ動作の開始を指示する。この指示に応答して、制御装置116は、ROMなどの記憶装置に予め記憶されている図示しない制御プログラムを実行することによってエアポンプ111、二方向流通弁113a~113cおよび三方向流通弁114a~114cの各作動を開始させてマッサージ動作を開始する。
【0045】
具体的には、制御装置116は、まず、エアポンプ111に対して足先用エアバッグ102のみを連通させて足先用エアバッグ102にのみ空気を供給して膨張させる。この場合、制御装置116は、圧力検出器115aの検出信号を監視することで足先用エアバッグ102内が所定の圧力に達するまでの間足先用エアバッグ102に空気を供給する。本実施形態においては、制御装置116は、足先用エアバッグ102内が24kPaの圧力に達するまでの間足先用エアバッグ102に空気を供給する。これにより、被施術者Uは、両脚の下肢LEにおける足先のみ圧迫された状態となる。
【0046】
次に、制御装置116は、足先用エアバッグ102を密閉するとともにエアポンプ111に対して中間エアバッグ104のみを連通させて中間エアバッグ104にのみ空気を供給して膨張させる。この場合、制御装置116は、二方向流通弁113aを閉じることで足先用エアバッグ102を密閉することができる。また、制御装置116は、圧力検出器115cの検出信号を監視することで中間エアバッグ104内の圧力が足先用エアバッグ102内の圧力よりも低い所定の圧力に達するまでの間中間エアバッグ104に空気を供給する。本実施形態においては、制御装置116は、中間エアバッグ104内が22kPaの圧力に達するまでの間中間エアバッグ104に空気を供給する。これにより、被施術者Uは、両脚の下肢LEにおける足先に加えて中足部、後足部および足首がそれぞれ足先よりも低い圧力で圧迫された状態となる。
【0047】
次に、制御装置116は、足先用エアバッグ102に加えて中間エアバッグ104を密閉するとともにエアポンプ111に対して脹脛用エアバッグ103のみを連通させて脹脛用エアバッグ103にのみ空気を供給して膨張させる。この場合、制御装置116は、二方向流通弁113cを閉じることで中間エアバッグ104を密閉することができる。また、制御装置116は、圧力検出器115bの検出信号を監視することで脹脛用エアバッグ103内の圧力が中間エアバッグ104内の圧力よりも低い所定の圧力に達するまでの間脹脛用エアバッグ103に空気を供給する。本実施形態においては、制御装置116は、脹脛用エアバッグ103内が20kPaの圧力に達するまでの間脹脛用エアバッグ103に空気を供給する。これにより、被施術者Uは、両脚の下肢LEにおける足先、中足部、後足部および足首に加えて脹脛が中足部、後足部および足首よりも低い圧力で圧迫された状態となる。
【0048】
これらの中間エアバッグ104または脹脛用エアバッグ103への空気の供給過程において制御装置116は、既に空気の供給が完了したエアバッグ内の圧力が所定の許容圧力の下限値よりも低下した場合には、現に空気を供給しているエアバッグ内への空気の供給が完了次第、許容圧力の下限値よりも低下したエアバッグに空気を再供給する。
【0049】
具体的には、制御装置116は、中間エアバッグ104への空気の供給過程において足先用エアバッグ102内の圧力が所定の許容圧力の下限値(例えば、23KPa)よりも低下した場合には、中間エアバッグ104への空気の供給が完了次第、足先用エアバッグ102に対して空気を再供給する。また、制御装置116は、脹脛用エアバッグ103への空気の供給過程において足先用エアバッグ102内または中間エアバッグ104内の圧力が所定の許容圧力の下限値(例えば、23kPa、21kPa)よりも低下した場合には、脹脛用エアバッグ103への空気の供給が完了次第、足先用エアバッグ102または中間エアバッグ104に対して空気を再供給する。
【0050】
なお、制御装置116は、これらの中間エアバッグ104または脹脛用エアバッグ103への空気の供給過程において、既に空気の供給が完了したエアバッグ内の圧力が所定の許容圧力の下限値よりも低下した場合には、直ちに現に空気を供給しているエアバッグ内への空気の供給を中断して許容圧力の下限値よりも低下したエアバッグに空気を再供給するようにすることもできる。
【0051】
これにより、被施術者Uは、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103が順に膨張することで足先から脹脛に掛けて順番に圧迫されて足先側の静脈血の脹脛側への押し上げが促されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。
【0052】
次に、脹脛用エアバッグ103への空気の供給が完了した場合には、制御装置116は、エアポンプ111の作動を停止させるとともに二方向流通弁113bを閉じることで脹脛用エアバッグ103を密閉して、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103が前記各所定の圧力で膨張した状態を所定の時間維持する。この場合、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103がそれぞれ膨張した状態を維持する所定の時間は、5秒以上が好ましいが、10秒以上がより好ましい。
【0053】
これらの足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103の膨張状態の維持過程において制御装置116は、膨張した各エアバッグ内の圧力が所定の許容圧力の下限値よりも低下した場合には、この許容圧力の下限値よりも低下したエアバッグに対して直ちに空気の供給を行う。
【0054】
これにより、被施術者Uは、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103が足先から脹脛に低くなる圧力で所定時間の間継続的に圧迫されることで足先側の静脈血の脹脛側への押し上げが促されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。
【0055】
次に、制御装置116は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103の膨張状態を所定の時間維持した場合には、三方向流通弁114a~114cをそれぞれ同時に大気開放する。これにより、下肢用マッサージ装置100は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103の各内部の空気がそれぞれ大気中に放出されるため、被施術者Uの下肢LEへの圧迫状態が開放される。したがって、被施術者Uは、下肢LEへの血流の阻害状態が解消されて血流状態が復帰する解放感を得ることができる。この場合、制御装置116は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103の膨張状態を20秒以上または30秒以上維持することで足先側の静脈血の脹脛側への押し上げが促されるとともにその後の充填空気の排気による解放感がより強くなりマッサージ効果をより強く感じることができる。
【0056】
なお、制御装置116は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103内の各空気を大気中に排気する際には、脹脛用エアバッグ103側または足先用エアバッグ102側から順に空気を排気することもできる。
【0057】
次に、制御装置116は、上記した足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103への空気の供給、膨張状態の維持および各エアバッグに充填した空気の大気開放の一連のマッサージ動作を数回繰り返してマッサージ動作を終了する。この場合、制御装置116は、一連のマッサージ動作において、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103に対する空気の供給量または膨張維持時間を前回のマッサージ動作との間で同じでもよいし変更してもよい。
【0058】
そして、下肢用マッサージ装置100によるマッサージを終了する場合には、被施術者Uは、操作パネル117を操作してエアポンプ111、二方向流通弁113a~113cおよび三方向流通弁114a~114cの各作動の停止、または直接下肢用マッサージ装置100の電源をOFFにした後、マッサージ本体101内から両脚の下肢LEを抜くことによって下肢用マッサージ装置100の使用を終了することができる。
【0059】
なお、下肢用マッサージ装置100は、電源をOFFすることで三方流通弁114a~114cが大気開放状態となる。この場合、三方流通弁114a~114cは、二方向弁113a~113cを介することなく直接足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103に繋がっているため、二方向弁113a~113cにトラブルが生じて開かない場合であっても足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103を大気開放して圧迫状態を解消することができる。
【0060】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、下肢用マッサージ装置100は、下肢LEの形成方向に沿って並べられた足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103内の各空気圧が下肢LEの圧迫時において足先側から脹脛側の順で低くなるように調整されるため、足先側の静脈血の脹脛側への押し上げが促進されてマッサージ効果を向上させるとともに浮腫みの解消感も向上させることができる。
【0061】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、マッサージ本体101は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103の3つのエアバッグを備えて構成した。すなわち、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103が、本発明に係る下肢エアバッグに相当する。しかし、下肢エアバッグは、被施術者Uの足先から脹脛までの範囲に下肢LEの形成方向に沿って並べられて下肢LEを独立して圧迫または開放する複数のエアバッグで構成されていればよい。したがって、下肢エアバッグは、少なくとも2つのエアバッグを備えて構成されていればよい。この場合、下肢エアバッグを構成する複数のエアバッグは互いに隣接配置される。
【0063】
また、上記実施形態においては、足先用エアバッグ102は、被施術者Uの前足部を圧迫するように構成した。しかし、足先用エアバッグ102は、被施術者Uの足における少なくとも足先を圧迫するように構成されていればよい。この場合、足先は、足指部分が相当する。したがって、足先用エアバッグ102は、足指部分のみを圧迫するように構成してもよいし、足の中足部または後足部まで、さらには足首まで圧迫する大きさに形成することもできる。また、足先用エアバッグ102は、足先または前足部のみを圧迫する場合には、足先または前足部の側方のみから圧迫するように構成してもよいが、側方に代えてまたは加えて上下方向から圧迫するように構成することで足先側の静脈血を効果的に脹脛側に押し上げることができる。
【0064】
また、上記実施形態においては、脹脛用エアバッグ103は、被施術者Uの脹脛を圧迫するように構成した。しかし、脹脛用エアバッグ103は、被施術者Uの脚における少なくとも脹脛の一部を圧迫するように構成されていればよい。したがって、脹脛用エアバッグ103は、中間エアバッグ104などの他のエアバッグとともに脹脛を圧迫するように構成してもよいし、脹脛に加えて足首まで圧迫する大きさに形成することもできる。
【0065】
また、上記実施形態においては、下肢用マッサージ装置100は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103が左右の下肢LEで互いに同時に空気の供給、膨張の維持および充填空気の排出が行なわれるように構成した。しかし、下肢用マッサージ装置100は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103が左右の下肢LEで互いに異なるタイミングで空気の供給、膨張の維持および充填空気の排出が行なわれるように構成してもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、下肢用マッサージ装置100は、圧力検出器115a~115bを備えて構成した。これにより、下肢用マッサージ装置100は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103の各圧力をより正確に制御することができる。しかし、下肢用マッサージ装置100は、圧力検出器115a~115bを省略して構成することもできる。この場合、下肢用マッサージ装置100は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103を所定の圧力に上昇させるために必要な空気の供給時間および空気の補充の時間間隔を予め制御装置116に設定しておき、これらの時間に基づいて足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103に空気をそれぞれ供給して所定の圧力に設定することができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、制御装置116は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103について空気が充填されていない状態、すなわち、被施術者Uの下肢LEを圧迫していない状態において足先側のエアバッグから順に空気を充填するように構成した。しかし、制御装置116は、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103について同時に空気を充填するように構成してもよい。
【0068】
また、上記実施形態においては、制御装置116は、下肢LEの圧迫時の圧力を足先用エアバッグ102が24kPa、中間エアバッグ104が22kPaおよび脹脛用エアバッグ103が20kPaに調整した。しかし、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103の各空気圧は、足先側の静脈血の脹脛側への押し上げを促すことができる圧力で足先側から脹脛側に向かって低くなるように調整されていればよく、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。この場合、足先用エアバッグ102、中間エアバッグ104および脹脛用エアバッグ103の各空気圧は、10kPa以上がよいが、20kPa以上がより好適である。
【符号の説明】
【0069】
U…被施術者、LE…下肢、
100…下肢用マッサージ装置、
101…マッサージ本体、102…足先用エアバッグ、103…脹脛用エアバッグ、104…中間エアバッグ、
110…コントローラ、111…エアポンプ、112a~112c…エア配管、113a~113c…二方向流通弁、114a~114c…三方向流通弁、115a~115c…圧力検出器、116…制御装置、117…操作パネル。