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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/30 20200101AFI20231004BHJP
【FI】
D06F33/30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018204142
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020068988
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】辻野 圭則
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-275561(JP,A)
【文献】特開2002-239286(JP,A)
【文献】特開2010-075351(JP,A)
【文献】特開2017-003244(JP,A)
【文献】特開2010-088595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物の投入口を開閉する蓋体と、電源オン状態と電源オフ状態とを切り替える電源キーと、洗濯行程の開始及び一時停止を指示するためのスタート/一時停止キーとを備え、
洗濯行程の運転が一時停止されている状態において、前記電源キーが押される第1操作により電源オフ状態となった後、再度、前記電源キーが押される第2操作により電源オン状態になった場合には、
前記一時停止状態または前記第1操作から前記第2操作までの間に、前記蓋体の開閉動作があった場合に、前記第1操作により電源オフ状態となったときの運転状態から洗濯行程を再開し、
前記一時停止状態または前記第1操作から前記第2操作までの間に、前記蓋体の開閉動作がなかった場合に、洗濯行程を終了することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
洗濯行程を途中から再開する際、洗濯工程を一時停止状態とし、前記スタート/一時停止キーが押された後で、洗濯行程を途中から再開することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程を行う洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯工程の運転が行われている状態の洗濯機において、電源キーを誤って押してしまった場合、電源オフ状態になり洗濯工程が停止されてしまうが、再度、電源キーを押して電源オン状態にした際に、洗濯行程の途中から運転を再開できない場合、洗濯工程の設定操作からやり直す必要があり、非常に煩わしい。
【0003】
また、洗濯行程が一時停止状態である洗濯機において、電源キーを誤って押してしまった場合も同様に、再度、電源キーを押した際に、洗濯行程の途中から運転を再開できない場合、洗濯工程の設定操作からやり直す必要があり、非常に煩わしい。
【0004】
そこで、従来の洗濯機として、洗濯工程の途中で誤って停止してしまった場合に、その停止状態から洗濯工程の運転を再開可能とした洗濯機がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-275561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の洗濯機では、洗濯工程の運転が行われている状態において、電源キーを誤って押してしまった場合、所定時間内に特殊操作を行うことにより、誤って停止された状態から洗濯工程の運転が再開可能である。しかし、電源キーを誤って押した後、所定時間内に特殊操作を行わなければ、洗濯工程の運転を再開できず、洗濯工程を設定操作からやり直さなければならない。
【0007】
本発明は、洗濯工程の運転が行われている状態または洗濯行程の運転が一時停止されている状態において、電源キーを誤って押してしまった場合に、誤操作と判断されるときに洗濯工程の再開を自動的に可能とする洗濯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明の洗濯機は、洗濯物の投入口を開閉する蓋体と、電源オン状態と電源オフ状態とを切り替える電源キーと、洗濯行程の開始及び一時停止を指示するためのスタート/一時停止キーとを備え、洗濯行程の運転が一時停止されている状態において、前記電源キーが押される第1操作により電源オフ状態となった後、再度、前記電源キーが押される第2操作により電源オン状態になった場合には、前記一時停止状態または前記第1操作から前記第2操作までの間に、前記蓋体の開閉動作があった場合に、前記第1操作により電源オフ状態となったときの運転状態から洗濯行程を再開し、前記一時停止状態または前記第1操作から前記第2操作までの間に、前記蓋体の開閉動作がなかった場合に、洗濯行程を終了することを特徴とする。
【0013】
本発明の洗濯機において、洗濯行程の開始を指示するためのスタート/一時停止キーを備え、洗濯行程を途中から再開する際、洗濯工程を一時停止状態とし、前記スタートキーが押された後で、洗濯行程を途中から再開することが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の洗濯機では、洗濯行程の一時停止状態において、電源キーを誤って押して電源オフ状態にしたとしても、蓋体の開閉動作があった場合、例えば使用者が洗濯行程を一時停止して洗濯物を追加したり、洗濯物のほぐし動作を行った可能性が高いことから、電源キーを誤って押した誤操作と判断される場合は、再度、電源キーを押して電源オン状態にしたときに、洗濯行程が電源キーを誤って押して電源オフ状態にしたときの運転状態から自動的に再開される。
【0018】
本発明の洗濯機では、洗濯工程が一時停止状態となりスタート/一時停止キーが押された後で、洗濯行程が途中から再開されることから、洗濯行程を再開するか否かを使用者が判断可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る洗濯機100の概略構成を示す縦断面図である。
図2図1の洗濯機100の制御ブロック図である。
図3図1の洗濯機100の操作パネル25の構成を示す図である。
図4図1の洗濯機100における標準的な洗濯行程の流れを示すフローチャートである。
図5】洗濯行程の一時停止状態において、使用者が電源キー61を誤って押した場合の動作の流れを示すフローチャートである。
図6】洗濯行程の運転が行われている状態において、使用者が電源キー61を誤って押した場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の洗濯機100について、図面を参照して説明する。
【0021】
洗濯機100は、外箱1を有し、外箱1の内部には有底円筒形状の外槽2が図示しない複数の吊棒により吊支されている。外槽2の内部には、周囲に多数の通水孔を有する洗濯脱水槽3が、その底壁に固定された支持軸4を中心に回転自在に軸支されている。洗濯脱水槽3の内底部には、撹拌翼5が支持軸4に嵌挿された内軸6を中心に回転自在に設けられている。
【0022】
外槽2の下面に取り付けられたモータ7の回転動力は、モータ軸8に固定された小プーリ9、Vベルト10、大プーリ11などから成る伝達機構と、クラッチ機構12及びトルクモータ13を含む動力切換機構14とを介して、支持軸4と内軸6とに伝達される。
【0023】
主として洗い運転や濯ぎ運転時には、トルクモータ13の動作に応じてクラッチ機構12は、大プーリ11と支持軸4との接続を解除し、内軸6を介して撹拌翼5を一方向又は両方向に回転させる。一方、脱水運転時には、クラッチ機構12は、大プーリ11と支持軸4とを接続し、洗濯脱水槽3と撹拌翼5とを一体に一方向に回転させる。
【0024】
外箱1の上部後方には、外部の水道栓に接続された給水管15が配設され、給水バルブ16が開放されると、給水管15を通して導入された水が、洗剤容器を備えた注水口17に流入し、外槽2内に注がれる。一方、外槽2の底部には、排水口18が設けられ、排水口18に接続された排水管19は、排水バルブ20により開閉される。
【0025】
排水バルブ20の開閉動作は、クラッチ機構12の動作と連携しており、撹拌翼5が洗濯脱水槽3と切り離されて単独で回転可能な状態のときには、排水バルブ20は閉鎖しており、撹拌翼5と洗濯脱水槽3とが一体に回転する状態のときには、排水バルブ20が開放するようになっている。
【0026】
外箱1の上面に開口した洗濯物の投入口21には、開閉自在の蓋体22が設けられている。外箱1内の上部前方には、安全装置24が設置されている。安全装置24は、図2に示す蓋体22の開閉を検知する蓋開閉検知装置52と、外槽2の振動を検知する振動検知装置53と、蓋体22が閉鎖された状態でその開放を禁止すべく施錠するための蓋ロック装置55とを一体化したものである。
【0027】
図1に図示されてないが、外箱1の上面の投入口21の側方には、各種キースイッチを備えた操作パネル25が設けられている。
【0028】
洗濯機100の背面には、電源プラグ100aが取り付けられている。したがって、洗濯機100には、電源プラグ100aを介して電源が供給される。
【0029】
図2は、本実施形態の洗濯機100の制御ブロック図である。洗濯機100の制御部50は、図2に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、洗濯機100の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。洗濯機1の運転動作は、この制御部50によって制御される。
【0030】
制御部50は、洗濯行程における運転状態を記憶する運転状態記憶部50aを有している。したがって、制御部50は、洗濯行程の全工程において、そのときの運転状態を、適宜、運転状態記憶部50aに記憶させる。
【0031】
本実施形態の洗濯機100において、洗濯工程の途中において、使用者により電源キー61が誤って押された場合、洗濯行程を途中から再開する動作を行うが、洗濯行程を再開する際の運転状態を設定する際に、運転状態記憶部50aに記憶された運転状態が使用される。運転状態記憶部50aに記憶された運転状態は、洗濯機100の電源プラグ100aが抜かれた場合に解除される。
【0032】
制御部50には、操作パネル25を含む操作部51と、安全装置24に組み込まれている蓋開閉検知装置52と、振動検知装置53とが接続されている。したがって、制御部30には、操作パネル25を含む操作部51から操作信号が入力されると共に、蓋開閉検知装置52からオン/オフ信号が入力される。蓋開閉検知装置52からのオン信号は、蓋体22がロック状態であることを示し、蓋開閉検知装置52からのオフ信号は、蓋体22がロック解除状態であることを示す。
【0033】
また、制御部30には、モータ7と、クラッチ機構12と排水バルブ20の双方の動作を制御するトルクモータ13と、給水バルブ16と、蓋ロック装置55と、表示部56とが接続されている。
【0034】
したがって、制御部30は、モータ7と、トルクモータ13と、給水バルブ16とにより、給水動作及び排水動作を含む洗濯工程を制御すると共に、蓋ロック装置55により蓋体22をロック状態またはロック解除状態のいずれかに切り替える。また、制御部30は、表示部56に対して運転状態のモニタのための表示制御信号を出力し、洗濯行程についての情報を表示する。
【0035】
表示部56に表示される洗濯行程についての情報には、例えば、使用者により電源キー61が押された操作を誤操作と判断して、再度、電源キー61が押された際に、誤操作が行われるまでの運転を再開したことや、運転を再開するために一時停止状態にしたことが含まれる。
【0036】
本実施形態の洗濯機100は、洗濯行程が途中から再開された場合、または、洗濯行程を途中から再開するために一時停止状態にした場合、そのことを報知する報知手段である表示部56を備える。
【0037】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、洗濯行程が途中から再開されたこと、または、洗濯行程を途中から再開するために一時停止状態にしたことを使用者に知らせることが可能である。
【0038】
操作パネル25は、図3に示すように、操作キーとして、電源キー61と、洗濯行程の開始及び一時停止を指示するためのスタート/一時停止キー62と、ユーザ自身が洗濯水位を指定するための水位キーや、全洗濯行程の連続動作ではなく特定の行程のみの実行を使用者自身が指定するためのお好みキーや、決められた運転コースを選択するためのコースキー等を含む運転指定部63と、閉鎖ロック状態にある蓋体22のロックを強制的に解錠して開放可能とするための蓋開放キー64とを備えている。
【0039】
以下の説明において、スタート/一時停止キー62を、洗濯行程の開始を指示する際は、スタートキー62と称し、洗濯行程の一時停止を指示する際は、一時停止キー62と称する場合がある。
【0040】
洗濯機100の洗濯工程の動作について、図4に基づいて説明する。
【0041】
<ステップS1>
ステップS1において、使用者が洗濯脱水槽3内に洗濯物を投入し、操作部51により適宜の設定を行ってスタートキー62を押すと、制御部50は、まず負荷量検知処理を実行する。
【0042】
具体的には、制御部50は、モータ7を短時間オンさせることによって撹拌翼5を回転駆動させ、その後、モータ7をオフする。負荷量が大きいほど撹拌翼5の回転に対する抵抗が大きいから、惰性回転の継続時間は短くなる。
【0043】
そこで、この惰性回転期間中、モータ7の回転に同期したパルス信号を計数し、制御部50は、その計数値でもって負荷量を判断し、その負荷量に応じて複数段階に定められた洗濯水位を決定する。
【0044】
<ステップS2>
ステップS2において、洗濯水位が決定され実質的な洗濯行程として、洗い行程が開始されると、まず給水バルブ16が開放されて洗濯脱水槽3内に所定水位まで給水が行われ、撹拌翼5を所定速度で一方向又は両方向に回転することによって洗い運転が実行される。洗い行程が終了するとトルクモータ13が駆動されて排水バルブ20が開放され、洗濯脱水槽3内の水は排水される。
【0045】
<ステップS3>
ステップS3において、洗濯脱水槽3と撹拌翼5とを一体に高速で回転することにより中間脱水が実行される。この中間脱水により、洗濯物に染み込んでいる洗剤水が飛散して除去される。
【0046】
<ステップS4>
ステップS4において、1回目の濯ぎとして脱水濯ぎが行われる。脱水濯ぎは、洗濯脱水槽3を回転させながら注水口17から水をシャワー状に洗濯物に降り掛けることにより、洗濯物にきれいな水を吸水させ、その代わりに洗濯物に染み込んでいる洗剤水を押し出そうとするものである。
【0047】
<ステップS5>
そして、ステップS5において、洗濯物に十分に水を含ませた後に、ステップS3と同様に、中間脱水が行われ、洗濯物に染み込んでいる水が飛散される。
【0048】
<ステップS6>
そして、ステップS6において、更に、2回目の濯ぎとして、洗濯脱水槽3内に所定量の給水がなされ、ステップS2の洗い行程時と同様に、撹拌翼5を回転することにより溜め濯ぎが実行される。
【0049】
<ステップS7>
そして、溜め濯ぎが終了すると、ステップS7において、排水バルブ20が開かれて洗濯脱水槽3内の水は排水され、中間脱水と同様に、洗濯脱水槽3と撹拌翼5とを一体に高速で回転することにより最終脱水が実行される。
【0050】
なお、上記動作は最も標準的な動作であって、運転コースに応じて、或いは使用者による種々の設定に応じて、例えば脱水濯ぎ行程の代わりに溜め濯ぎが行われたり、溜め濯ぎの代わりに注水濯ぎが行われる等、各行程の内容は適宜に変更される。
【0051】
本実施形態の洗濯機100の洗濯行程が一時停止された状態において、使用者が電源キー61を誤って押してしまった場合について説明する。
【0052】
本実施形態の洗濯機100では、洗濯工程の途中において、使用者により一時停止キー62が押された場合、洗濯工程が一時停止状態となる。使用者が洗濯工程を一時停止状態とする場合とは、例えば、洗い行程で給水が行われている際や洗い行程が所定時間経過するまでの間に使用者が洗濯物を追加する場合や、脱水工程において洗濯物の偏りが原因で脱水の立ち上げができないときに使用者が洗濯物のほぐし動作を行う場合などがある。
【0053】
上述のように、洗濯工程の途中において、使用者が一時停止キー62を押して、洗濯工程を一時停止状態とした場合に、洗濯行程の一時停止状態において、使用者が電源キー61を誤って押してしまうことがある。洗濯機100では、その際に洗濯機100が受けた操作内容が所定の操作内容である場合に、洗濯行程を途中から再開する動作を行う。
【0054】
本実施形態において、所定の操作内容とは、蓋体22の開閉動作である。したがって、洗濯機100が受けた操作内容が所定の操作内容である場合とは、使用者により蓋体22の開閉動作が行われた場合である。
【0055】
本実施形態の洗濯機100は、電源オン状態と電源オフ状態とを切り替える電源キー61と、洗濯行程の開始及び一時停止を指示するためのスタート/一時停止キー62とを備え、洗濯行程の運転が一時停止されている状態において、電源キー61が押される第1操作により電源オフ状態となった後、再度、電源キー61が押される第2操作により電源オン状態になり、一時停止状態または第1操作から第2操作までの間に洗濯機100が受けた操作内容が所定の操作内容であった場合に、洗濯行程を途中から再開する。
【0056】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、洗濯行程の一時停止状態において、電源キー61を誤って押して電源オフ状態にしたとしても、誤操作と判断される場合は、再度、電源キー61を押して電源オン状態にしたときに洗濯行程が途中から自動的に再開される。
【0057】
また、本実施形態の洗濯機100は、洗濯物の投入口21を開閉する蓋体22と、蓋体22の開閉動作を検知する蓋開閉検知手段である蓋開閉検知装置52とを備え、所定の操作内容は、蓋開閉検知装置52により検知された蓋体22の開閉動作についての内容を含んでいる。
【0058】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、蓋体22の開閉動作があった場合、例えば使用者が洗濯行程を一時停止して洗濯物を追加したり、洗濯物のほぐし動作を行った可能性が高いことから、電源キー61を誤って押した誤操作と判断可能である。
【0059】
したがって、洗濯行程の一時停止状態において、使用者が電源キー61を誤って押した場合の動作について、図5に基づいて説明する。
【0060】
<ステップS101>
ステップS101において、洗濯行程が開始されると、制御部50は、そのときの運転状態を記憶する。制御部50は、洗濯行程の運転が行われている状態において、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック状態にする。
【0061】
<ステップS102>
ステップS102において、制御部50は、洗濯行程の全工程の運転時間が終了したか否かを判定する。
【0062】
<ステップS103>
ステップS102で、制御部50が、洗濯行程の全工程の運転時間が終了してないと判定した場合、ステップS103において、制御部50は、一時停止キー62が押されたか否かを判定する。
【0063】
ステップS103で、制御部50が、一時停止キー62が押されてないと判定した場合、ステップS101に進んで、運転状態を記憶して、洗濯工程を継続する。
【0064】
<ステップS104>
ステップS103で、制御部50が、一時停止キー62が押されたと判定した場合、ステップS104において、制御部50は、洗濯行程を一時停止状態とすると共に、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック解除状態にする。
【0065】
<ステップS105>
ステップS105において、制御部50は、洗濯行程の一時停止状態において、スタートキー62が押されたか否かを判定する。
【0066】
ステップS105で、制御部50が、スタートキー62が押されたと判定した場合、ステップS101に進んで、制御部50は、運転状態を記憶して、洗濯行程を再開する。そのとき、制御部50は、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック状態にする。
【0067】
<ステップS106>
ステップS105で、制御部50が、スタートキー62が押されてないと判定した場合、ステップS106に進んで、制御部50は、洗濯行程の一時停止状態において、電源キー61が押されたか否かを判定する。
【0068】
<ステップS107>
ステップS106で、制御部50が、電源キー61が押されてないと判定した場合、ステップS107に進んで、制御部50は、蓋体22が開閉されたかを確認した後、ステップS105に進んで、洗濯行程の一時停止状態を継続する。本実施形態では、ステップS107において、制御部50は、一時停止状態で、洗濯機100に対して蓋体22を開閉する操作が行われたかを確認している。
【0069】
<ステップS108>
ステップS106で、制御部50が、電源キー61が押されたと判定した場合、ステップS108に進んで、制御部50は、洗濯機100を電源オフ状態とする。そのとき、制御部50は、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22のロック解除状態を維持する。
【0070】
<ステップS109>
その後、ステップS109に進んで、制御部50は、電源オフ状態において、再度、電源キー61が押されたか否かを判定する。
【0071】
<ステップS110>
ステップS109で、制御部50が、電源キー61が押されてないと判定した場合、ステップS110に進んで、制御部50は、蓋体22が開閉されたかを確認した後、ステップS109に進む。本実施形態では、ステップS107において、制御部50は、ステップS106で電源キー61が押された後、ステップS109で電源キー61が押されるまでの間に、洗濯機100に対して蓋体22を開閉する操作が行われたかを確認している。
【0072】
<ステップS111>
ステップS109で、制御部50が、電源キー61が押されたと判定した場合、ステップS111に進んで、制御部50は、洗濯機100を電源オン状態とする。
【0073】
<ステップS112>
その後、ステップS112において、制御部50は、ステップS106で電源キー61が押されて電源オフ状態となったときの工程を確認する。
【0074】
<ステップS113>
ステップS113において、制御部50は、ステップS112で確認された電源オフ状態となったときの工程が再開する工程か否かを判定する。本実施形態において、再開する工程とは、図4のステップS2に示した洗い行程と、ステップS3、S5の中間脱水工程と、ステップS7に示した最終脱水工程である。
【0075】
ステップS113で、制御部50が、電源オフ状態となったときの工程が再開する工程でないと判定した場合、制御部50は、洗濯行程を終了する。
【0076】
<ステップS114>
ステップS113で、制御部50が、電源オフ状態となったときの工程が再開する工程であると判定した場合、制御部50は、ステップS114に進んで、蓋体22の開閉履歴があるか否かを判定する。蓋体22の開閉履歴がある場合とは、蓋開閉検知装置52により蓋体22の開閉動作が検知された場合である。制御部50は、ステップS107及びステップS110で確認された内容に基づいて、蓋体22の開閉動作が行われたかを判定する。
【0077】
ステップS114で、制御部50が、蓋体22の開閉履歴がないと判定した場合、制御部50は、洗濯行程を終了する。
【0078】
<ステップS115>
ステップS114で、制御部50が、蓋体22の開閉履歴があると判定した場合、制御部50は、ステップS115に進んで、運転再開する際の運転状態を設定する。本実施形態において、制御部50は、運転再開する際の運転状態として、ステップS106で電源キー61が押されて電源オフ状態となったときの運転状態を設定する。
【0079】
本実施形態では、洗濯行程を途中から再開する際に、洗濯行程を再開する際の運転状態として、使用者により電源キー61が誤って押されて洗濯工程が停止されたときの運転状態が設定されることで、洗濯行程の運転が途中から再開可能となる。
【0080】
<ステップS116>
その後、ステップS115において、制御部50は、表示部56を制御して、電源キー61が押されて電源オフ状態となった際の運転を再開したことを報知する。その後、ステップS101に進んで、制御部50は、運転状態を記憶して、洗濯行程を再開する。そのとき、制御部50は、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック状態にする。
【0081】
<ステップS117>
ステップS102で制御部50が、洗濯行程の全工程の運転時間が終了したと判定した場合、ステップS117に進んで、制御部50は、洗濯行程を終了する。そのとき、制御部50は、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック解除状態にする。
【0082】
本実施形態の洗濯機100の洗濯行程の運転が行われている状態において、使用者が電源キー61を誤って押してしまった場合について説明する。
【0083】
本実施形態の洗濯機100では、洗濯工程の運転が行われている状態、即ち、洗濯工程の一時停止状態でない状態において、使用者が電源キー61を誤って押してしまうことがある。洗濯機100では、その際の使用者の行動が所定の基準を満たした場合に、洗濯行程を途中から再開する動作を行う。本実施形態において、使用者の行動が所定の基準を満たした場合とは、使用者が電源キー61を誤って押した後、再度、電源キー61を押すまでの時間が短い場合である。
【0084】
本実施形態の洗濯機100は、電源オン状態と電源オフ状態とを切り替える電源キー61を備え、洗濯行程の運転状態において、電源キー61が押される第1操作により電源オフ状態となった後、再度、電源キー61が押される第2操作により電源オン状態になり、第1操作から第2操作までの間に洗濯機100が受けた操作内容が所定の操作内容であった場合に、洗濯行程を途中から再開する。
【0085】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、洗濯行程が運転状態において、電源キー61を誤って押して電源オフ状態にしたとしても、誤操作と判断される場合は、再度、電源キー61を押して電源オン状態にしたときに洗濯行程が途中から自動的に再開される。
【0086】
本実施形態の洗濯機100において、所定の操作内容は、第1操作から第2操作までの時間についての内容を含んでいる。
【0087】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、洗濯工程の運転状態において、電源キー61が押された後、再度、電源キー61が押されるまでの時間が短い場合、使用者が電源キー61を押し直した可能性が高いことから、電源キー61を誤って押した誤操作と判断可能である。
【0088】
したがって、洗濯工程の運転が行われている状態において、使用者が電源キー61を誤って押した場合の動作について、図6に基づいて説明する。
【0089】
<ステップS201>
ステップS201において、洗濯行程が開始されると、制御部50は、そのときの運転状態を記憶する。制御部50は、洗濯行程の運転が行われている状態において、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック状態にする。
【0090】
<ステップS202>
ステップS202において、制御部50は、洗濯行程の全工程の運転時間が終了したか否かを判定する。
【0091】
<ステップS203>
ステップS202で、制御部50が、洗濯行程の全工程の運転時間が終了してないと判定した場合、ステップS203において、制御部50は、電源キー61が押されたか否かを判定する。
【0092】
ステップS203で、制御部50が、電源キー61が押されてないと判定した場合、ステップS201に進んで、運転状態を記憶して、洗濯工程を継続する。
【0093】
<ステップS204>
ステップS203で、制御部50が、電源キー61が押されたと判定した場合、ステップS204において、制御部50は、洗濯機100を電源オフ状態とする。
【0094】
そのとき、制御部50は、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22のロック状態を維持する。したがって、使用者は、蓋体22を開放して、洗濯物を洗濯脱水槽3内に追加したり、洗濯脱水槽3内の洗濯物をほぐすことはできない。
【0095】
<ステップS205>
その後、ステップS205において、制御部50は、ステップS203で電源キー61が押されて電源オフ状態となったときの工程を確認する。
【0096】
<ステップS206>
ステップS206において、制御部50は、ステップS205で確認された電源オフ状態となったときの工程が再開する工程か否かを判定する。本実施形態において、再開する工程とは、図4のステップS2に示した洗い行程と、ステップS3、S5の中間脱水工程と、ステップS7に示した最終脱水工程である。
【0097】
ステップS206で、制御部50が、電源オフ状態となったときの工程が再開する工程でないと判定した場合、制御部50は、洗濯行程を終了する。
【0098】
<ステップS207>
ステップS206で、制御部50が、電源オフ状態となったときの工程が再開する工程であると判定した場合、制御部50は、ステップS207に進んで、現在の時刻をTaとして記憶する。
【0099】
<ステップS208>
ステップS208において、制御部50は、現在の時刻をTbとして記憶する。
【0100】
<ステップS209>
ステップS209において、制御部50は、時刻Taから時刻Tbまでの時間(Tb-Ta)が所定時間Tcより長いか否かを判定する。
【0101】
本実施形態では、洗濯工程の運転状態において、電源キー61が押された後、再度、電源キー61が押されるまでの時間が短い場合、使用者が電源キー61を誤って押した後、すぐに電源キー61を押しなおした可能性が高いことから、誤操作と判断する。
【0102】
これに対して、洗濯工程の運転状態において、電源キー61が押された後、再度、電源キー61が押されるまでの時間が長い場合、使用者が電源キー61を押した後、すぐに電源キー61を押しなおしてない。したがって、使用者は洗濯工程を停止するために、電源キー61を押した可能性が高いことから、誤操作と判断しない。
【0103】
<ステップS210>
ステップS209で、制御部50が、時刻Taから時刻Tbまでの時間が所定時間Tcより長いと判定した場合、ステップS210に進んで、制御部50は、運転状態をクリアして、洗濯行程を終了する。そのとき、制御部50は、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック解除状態にする。
【0104】
<ステップS211>
ステップS209で、制御部50が、時刻Taから時刻Tbまでの時間が所定時間Tc以内と判定した場合、ステップS211に進んで、制御部50は、電源キー61が押されたか否かを判定する。
【0105】
ステップS211で、制御部50が、電源キー61が押されてないと判定した場合、ステップS208に進む。
【0106】
<ステップS212>
ステップS211で、制御部50が、電源キー61が押されたと判定した場合、ステップS212に進んで、制御部50は、洗濯機100を電源オン状態とする。
【0107】
<ステップS213>
ステップS213において、制御部50は、運転再開する際の運転状態を設定する。本実施形態において、制御部50は、運転再開する際の運転状態として、ステップS203で電源キー61が押されて電源オフ状態となったときの運転状態を設定する。
【0108】
<ステップS214>
その後、ステップS214において、制御部50は、洗濯機100を一時停止状態とすると共に、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック解除状態にする。
【0109】
<ステップS215>
ステップS215において、制御部50は、表示部56を制御して、電源オフ状態となった際の運転を再開するために一時停止状態にしたことを報知する。
【0110】
<ステップS216>
その後、ステップS216において、制御部50は、洗濯行程の一時停止状態において、スタートキー62が押されたか否かを判定する。
【0111】
ステップS216で、制御部50が、スタートキー62が押されてないと判定した場合、ステップS214に進んで、制御部50は、洗濯機100の一時停止状態を継続する。
【0112】
ステップS216で、制御部50が、スタートキー62が押されたと判定した場合、ステップS201に進んで、制御部50は、運転状態を記憶して、洗濯行程を再開する。そのとき、制御部50は、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック状態にする。
【0113】
<ステップS217>
ステップS102で、制御部50が、洗濯行程の全工程の運転時間が終了したと判定した場合、ステップS217に進んで、制御部50は、洗濯行程を終了する。そのとき、制御部50は、蓋ロック装置55を制御して、蓋体22をロック解除状態にする。
【0114】
本実施形態の洗濯機100は、洗濯行程の開始を指示するためのスタートキー62を備え、洗濯行程を途中から再開する際、洗濯工程を一時停止状態とし、スタートキー62が押された後で、洗濯行程を途中から再開する。
【0115】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、洗濯工程が一時停止状態となりスタートキー62が押された後で、洗濯行程が途中から再開されることから、洗濯行程を再開するか否かを使用者が判断可能である。
【0116】
本実施形態の洗濯機100は、表示部56において洗濯行程が途中から再開されたことが報知される間に、特定の操作を行うことにより洗濯行程の再開を解除可能である。
【0117】
洗濯行程の再開を解除するための特定の操作は、例えば、操作パネル25に対するキー操作であってもよいし、蓋体22の開閉操作であってもよい。
【0118】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、洗濯行程が途中から再開された後、特定の操作を行うことにより洗濯行程の再開を解除可能である。
【0119】
本実施形態の洗濯機100は、洗濯行程における運転状態を記憶する記憶手段である運転状態記憶部50aを備え、運転状態記憶部50aに記憶された運転状態は、洗濯機100の電源プラグ100aが抜かれた場合に解除される。
【0120】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、電源プラグ100aが抜かれた場合のように、誤操作でないことが明らかな場合に、洗濯工程が途中から再開されるのを防止可能である。
【0121】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0122】
上記実施形態では、洗濯工程の一時停止状態において、電源キー61が誤って押された場合に、その際に洗濯機100が受けた操作内容が所定の操作内容である場合に、洗濯行程を途中から再開する動作を行うが、所定の操作内容は、蓋体22の開閉動作に限られない。
【0123】
したがって、使用者が洗濯物を追加したことを、使用者が蓋体22の開閉動作を行ったことに基づいて検知する代わりに、例えば、洗濯物を検出するセンサを洗濯機100の投入口21に設置し、そのセンサにより洗濯脱水槽3内に追加される洗濯物を検出して、使用者が洗濯物を追加したことを検知可能である。
【0124】
また、洗濯物を検出するセンサを洗濯脱水槽3に設置し、そのセンサにより洗濯脱水槽3内の洗濯物の変化を検出して、使用者が洗濯物を追加したことを検知可能である。
【0125】
上記実施形態では、洗濯工程の一時停止状態において、電源キー61が誤って押された場合に、その際に洗濯機100が受けた操作内容が所定の操作内容である場合に、洗濯行程を途中から再開するが、洗濯行程を途中から再開する際、洗濯工程を一時停止状態とし、スタートキー62が押された後で、洗濯行程を途中から再開可能である。
【0126】
上記実施形態では、洗濯工程の途中において、電源キー61が誤って押された場合に、その際に洗濯機100が受けた操作内容が所定の操作内容である場合に、洗濯行程を途中から再開する動作を行うが、所定の操作内容は、使用者が電源キー61を誤って押した後、再度、電源キー61を押すまでの時間が短い場合に限られない。
【0127】
上記実施形態では、洗濯工程の途中において、電源キー61が誤って押された場合に、その際に洗濯機100が受けた操作内容が所定の操作内容である場合に、洗濯行程を途中から再開するが、洗濯行程を途中から再開する際、洗濯工程を一時停止状態としないで、洗濯行程を途中から再開可能である。
【0128】
上記実施形態では、洗濯脱水槽3が鉛直方向に延びる回転軸周りに回転するが、本発明は、水平方向または水平方向に対して傾斜方向に延びる回転軸周りに回転するドラムを有する洗濯機に適用可能である。
【0129】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0130】
21 洗濯物の投入口
22 蓋体
50a 運転状態記憶部
52 蓋開閉検知装置(蓋開閉検知手段)
56 表示部
61 電源キー
62 スタート/一時停止キー
100 洗濯機
100a 電源プラグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6