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特許7360153内照式サイン用の受け部材、内照式サイン及び内照式サインの組み立て方法
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  • 特許-内照式サイン用の受け部材、内照式サイン及び内照式サインの組み立て方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】内照式サイン用の受け部材、内照式サイン及び内照式サインの組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20231004BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G09F13/04 F
H05K5/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019198815
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021071637
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】316016830
【氏名又は名称】株式会社オガワ
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 博敏
(72)【発明者】
【氏名】島崎 正
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-086564(JP,U)
【文献】特開昭53-010299(JP,A)
【文献】実開昭56-127611(JP,U)
【文献】実開平05-077812(JP,U)
【文献】特表2010-509717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/04
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏板と前記裏板から正面開口に向かって延在する側板とを含み、正面が開口した箱状の筐体フレームと、
前記側板の開口側縁部に設けられる受け部材と、
前記受け部材に載置される透光板と、
前記透光板を前記筐体フレームに固定する押し縁と、
を備え、
前記受け部材は、
第一幅を有して第一方向に延在する板状の第一面と、
前記第一面のうち前記第一方向の第一端部から前記第一面に対して略直角に屈曲し、第二幅を有して第二方向に延在する第二面と、
前記第二面のうち前記第二方向の第二端部から前記第二面に対して鋭角に屈曲し、第三幅を有して第三方向に延在し、前記第三方向の第三端部が前記第一面に当接または近接する第三面と、
を有することを特徴とする内照式サイン。
【請求項2】
第一幅を有して第一方向に延在する板状の第一面と、
前記第一面のうち前記第一方向の第一端部から前記第一面に対して略直角に屈曲し、第二幅を有して第二方向に延在する板状の第二面と、
前記第二面のうち前記第二方向の第二端部から前記第二面に対して鋭角に屈曲し、第三幅を有して第三方向に延在し、前記第三方向の第三端部が前記第一面に当接または近接する板状の第三面とを備える内照式サイン用の受け部材を用いて、内照式サインを組み立てる内照式サインの組み立て方法であって、
前記第一面と前記第三面の前記第三端部との間に、正面が開口した箱状の筐体フレームを構成する側板を差し込み、前記第二面に前記側板の開口側縁部を当接させることで、前記受け部材を前記筐体フレームに装着し、
前記筐体フレームに装着された受け部材のうち前記第二面に対して、内照式サインの透光板を当接させ、前記筐体フレームの開口を前記透光板で塞ぎ、
前記筐体フレームの開口を塞いた前記透光板に押し縁を設けて前記透光板を前記筐体フレームに固定することを特徴とする内照式サインの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内照式サイン用の受け部材に関し、より詳細には、内照式サイン用の透過板を筐体フレームに固定する場合に当該透過板を受ける受け部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED照明を用いた内照式サインに関する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、2次元配列LED照明を用いた大型内照式サインが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の大型内照式サインは、フレーム(1)と、透光板(2)と、2次元配列LED照明(3)とを備えている(特許文献1の図1参照)。
【0004】
フレーム(1)の奥側が裏板になっており、全体として正面が開口した箱型になっている。2次元配列LED照明(3)は裏板に固定される。透光板(2)は、はめ込みやネジ止め、あるいは両面テープといった着脱可能な方法により、フレーム(1)の正面開口部に固定される。
【0005】
また、内照式サインに関する他の技術として、押し縁を使用して透光板を筐体フレームの正面開口に固定するものが存在する。
【0006】
具体的には、図1に示すように、内照式サイン8は、正面に開口を有する筐体フレーム81と、透光板として機能するアクリル板83と、アクリル板83を固定するのに用いる押し縁85とを備えて構成される。
【0007】
筐体フレーム81は、図示しないLED照明を固定する裏板811と、裏板811から正面開口に向かって延在する側板813とを備えて構成される。側板813のうち正面側の内周面には、予めレーザーカットされたステンレス板815が全周溶接されている。このステンレス板815によってアクリル板83を当接するための幅及び強度が確保される。アクリル板83は、ステンレス板815に載置され、押し縁85によって固定される。
【0008】
上述した内照式サインにおいては、ステンレス板815がアクリル板83を受ける受け部材として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2014-010184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ステンレス板を受け部材として用いる技術では、筐体フレームの側板の形状に沿ってステンレス板を個別に作製しなければならず、データ作製やレーザーカット等に大きな作業時間を要していた。また、レーザーカットしたステンレス板は、筐体フレームの内周面に沿って全周溶接しなければならず、溶接にも大きな作業時間を要していた。更に、ステンレス板は、筐体フレームの側板の形状に依存するため、異なる形状の筐体フレームには使用することができず、汎用性が低いという問題もあった。
【0011】
そこで、本発明は、製造に伴う作業時間を大幅に低減しつつ、汎用性の高い内照式サイン用の受け部材及びそれに関連する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、第一幅を有して第一方向に延在する板状の第一面と、前記第一面のうち前記第一方向の第一端部から前記第一面に対して略直角に屈曲し、第二幅を有して第二方向に延在する板状の第二面と、前記第二面のうち前記第二方向の第二端部から前記第二面に対して鋭角に屈曲し、第三幅を有して第三方向に延在し、前記三方向の第三端部が前記第一面に当接または近接する板状の第三面と、を備えることを特徴とする内照式サイン用の受け部材であって、正面が開口した箱状の筐体フレームの開口縁部に設けられ、前記筐体フレームに固定される透光板を受けるための内照式サイン用の受け部材を提供している。
【0013】
ここで、前記第三面の前記第三端部から屈曲し、第四幅を有して前記第一面から離間する第四方向に延在する板状の第四面を更に備えるのが好ましい。
【0014】
また、前記第一面のうち前記第一方向に関して前記第一端部とは反対側の端部と、前記第四面のうち前記第四方向に関して前記第三端部とは反対側の第四端部とは、前記第一方向に関して異なる位置に配置されるのが好ましい。
【0015】
更に、前記第三面及び前記第四面には、乱反射防止用の開口が形成されているのが好ましい。
【0016】
また、前記第二面のうち前記第二方向に関して前記第二端部とは反対側の端部近傍には、嵌合溝が形成されているのが好ましい。
【0017】
また、前記第一面と前記第一面の前記第一端部との少なくとも一方には、溶接孔が形成されているのが好ましい。
【0018】
また、前記筐体フレームは、裏板と前記裏板から正面開口に向かって延在する側板とを含み、前記内照式サイン用の受け部材が前記側板の開口側縁部に設けられた状態において、前記第一面は、前記筐体フレームの側板と略平行となるように当該側板の外側に当接した状態で配置され、前記第三面の前記第三端部は、前記筐体フレームの側板の内側に当接した状態で配置され、前記第二面には、前記第一面と前記第三面の前記第三端部とに挟持された前記側板の開口側縁部が当接するのが好ましい。
【0019】
更に、前記第一面の前記第一幅は、前記筐体フレームの側板のうち側方に向けて凸な曲面形状を有する部分に装着された場合に前記第一幅方向の両端部と前記側板との距離が許容値以下となる値に設定されているのが好ましい。
【0020】
また、本発明は、裏板と前記裏板から正面開口に向かって延在する側板とを含み、正面が開口した箱状の筐体フレームと、前記側板の開口側縁部に設けられる受け部材と、前記受け部材に載置される透光板と、前記透光板を前記筐体フレームに固定する押し縁と、を備え、前記受け部材は、第一幅を有して第一方向に延在する板状の第一面と、前記第一面のうち前記第一方向の第一端部から前記第一面に対して略直角に屈曲し、第二幅を有して第二方向に延在する第二面と、前記第二面のうち前記第二方向の第二端部から前記第二面に対して鋭角に屈曲し、第三幅を有して第三方向に延在し、前記三方向の第三端部が前記第一面に当接または近接する第三面と、を有することを特徴とする内照式サインを更に提供している。
【0021】
また、本発明は、第一幅を有して第一方向に延在する板状の第一面と、前記第一面のうち前記第一方向の第一端部から前記第一面に対して略直角に屈曲し、第二幅を有して第二方向に延在する板状の第二面と、前記第二面のうち前記第二方向の第二端部から前記第二面に対して鋭角に屈曲し、第三幅を有して第三方向に延在し、前記三方向の第三端部が前記第一面に当接または近接する板状の第三面とを備える内照式サイン用の受け部材を用いて、内照式サインを組み立てる内照式サインの組み立て方法であって、前記第一面と前記第三面の前記第三端部との間に、正面が開口した箱状の筐体フレームを構成する側板を差し込み、前記第二面に前記側板の開口側縁部を当接させることで、前記受け部材を前記筐体フレームに装着し、前記筐体フレームに装着された受け部材のうち前記第二面に対して、内照式サインの透光板を当接させ、前記筐体フレームの開口を前記透光板で塞ぎ、前記筐体フレームの開口を塞いた前記透光板に押し縁を設けて前記透光板を前記筐体フレームに固定することを特徴とする内照式サインの組み立て方法を更に提供している。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の受け部材を筐体フレームの開口縁部に差し込むといった極めて簡単な方法により受け部材を設置できるため、内照式サインの製造に要する作業時間を大幅に低減できる。また、受け部材は、筐体フレームの側板の形状に依存せず、異なる形状の筐体フレームに使用することができるため、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の内照式サインを分解した分解斜視図。
図2】本実施形態に係る内照式サインを分解した分解斜視図。
図3】本実施形態に係るアクリルキャッチャー(受け部材)を示す第1斜視図。
図4】本実施形態に係るアクリルキャッチャー(受け部材)を示す第2斜視図。
図5図4のV矢視図。
図6図3のVI矢視図。
図7図4のVII矢視図。
図8】アクリルキャッチャーが筐体フレームに差し込まれている様子を示す図。
図9】アクリルキャッチャーの嵌合溝部に筐体フレームの端部が嵌合した状態を示す図。
図10】アクリルキャッチャーにアクリル板(透過板)を載置した状態を示す図。
図11】アクリル板に押し縁を取り付けた状態を示す図。
図12】アクリルキャッチャーを曲面形状の筐体フレームに装着した状態を示す図。
図13】変形例に係るアクリルキャッチャーを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<1.実施形態(構成)>
本発明の実施形態による内照式サイン及び受け部材について図1から図12に基づいて説明する。以下では、本発明に係る内照式サインの一例として、図2に示す内照式サイン9を例示する。また、本発明に係る内照式サイン用の受け部材の一例として、図2に示すアクリルキャッチャー10を例示する。
【0025】
本実施形態に係る内照式サイン9は、図1に示す内照式サイン8とほぼ同様の構成を備えている。ただし、内照式サイン9は、図1に示すステンレス板815が溶接されていない点において図1に示す内照式サイン8とは相違する。
【0026】
図2に示すように、内照式サイン9は、正面(図面上側)に開口を有する筐体フレーム91と、正面開口を塞ぐアクリル板93と、アクリル板93を筐体フレーム91に固定するための押し縁95と、アクリルキャッチャー10とを備えて構成される。
【0027】
筐体フレーム91は、図示しないLED照明を固定する裏板911と、裏板911から正面開口に向かって延在する側板913とを備えて構成される。
【0028】
側板913の開口縁部913Eには、アクリル板93を載置するための複数のアクリルキャッチャー10(本発明に係る内照式サイン用の受け部材の一例)が間隔を空けて装着されている。
【0029】
以下、図3乃至図7を参照しながら、アクリルキャッチャー10の構造について詳細に説明する。
【0030】
図3乃至図5に示すように、アクリルキャッチャー10は、極薄のステンレス鋼(詳細にはSUS304)を曲げ加工した部材であり、第一面1、第二面2、第三面3及び第四面4の4つの面を備えて構成される。
【0031】
第一面1は、幅W1(図3)を有して方向D1に延在する板状の部材である。
【0032】
第二面2は、第一面1のうち方向D1における端部1E(図5)から第一面1に対して略直角に屈曲し、幅W2(図3,4)を有して方向D2に延在する板状の部材である。
【0033】
第三面3は、第二面2のうち方向D2における端部2E(図5)から第二面2に対して鋭角に屈曲し、幅W3(図7)を有して方向D3に延在し、方向D3の端部3E(図5)が第一面1に当接する部材である。
【0034】
第四面4は、第三面3の端部3E(図5)から屈曲し、幅W4を有して方向D4に延在する板状の部材である。
【0035】
図3,6に示すように、第一面1には、下部中央に溶接孔51が形成され、かつ、端部1Eから第二面2に屈曲する部分に溶接孔53が形成されている。アクリルキャッチャー10は、溶接孔51または溶接孔53を介して筐体フレーム91の側板913に対して溶接される。
【0036】
ところで、アクリルキャッチャー10は、図12に示すように、側板913のうち側方に向けて凸な曲面形状を有する部分に対して装着されることがある。この場合、第一面1の幅W1が広すぎると、幅W1の方向における両端部が側板913の外周面から大きく浮き上がって押し縁95を被せられない可能性がある。
【0037】
これに対して、本実施形態では、側板のうち最もカーブが大きい(曲率半径が小さい)箇所にアクリルキャッチャー10が装着した場合に、幅W1方向における両端部と側板913との距離FL(図12参照)が予め定めた許容値以下となるように、幅W1の長さを設定している。
【0038】
図3,4に示すように、第二面2の幅W2は、端部2Eの側が端部1Eの側より幅広に構成されている。第二面2の幅W2及び方向D2の長さは、アクリル板93を載置可能な領域及び強度を確保しつつ、図示しない光源(LED照明)からの光を遮らない程度の値に設定されている。
【0039】
また、図5に示すように、第二面2のうち方向D2に関して端部2Eとは反対側の端部近傍(端部1Eから屈曲した部分)には、内側から見て凹形状(外側から見て凸形状)を有する嵌合溝部21が形成されている。嵌合溝部21は、筐体フレーム91を構成する側板913の開口縁部913Eを嵌合可能な幅を備えて構成されている。アクリルキャッチャー10を側板913に装着した場合に、第二面2の嵌合溝部21には側板913の開口縁部913Eが嵌合する。
【0040】
図3及び図5に示すように、第三面3は、第二面2に対して45度程度屈曲し、第一面1に向けて延在している。これに伴い、筐体フレーム91を構成する側板913の開口縁部913Eにアクリルキャッチャー10が装着された場合に、第三面3は、光源(LED照明)からの入射光に対して傾斜している。
【0041】
図4及び図5に示すように、第四面4は、第三面3に対して120度程度屈曲し、第一面1から離れる方向に延在している。これに伴い、第四面4が端部4Eに向かうにつれて第一面1から徐々に離れていき、第四面4と第一面1との間に隙間SP(図5参照)が形成される。
【0042】
また、図5に示すように、方向D1に関して、第四面4の端部4Eと第一面1の端部1Fとは異なる位置に配置される。すなわち、第一面1と第四面4とは、方向D1に関して段差UEが形成されている。なお、端部4Eは方向D4に関して第四面4の両端部のうちの一方の端部であり、端部1Fは方向D1に関して第一面1の端部1Eとは反対側の端部である。
【0043】
図4及び図7に示すように、第三面3及び第四面4には、反射領域を低減すべく、双方に跨がる開口55(長孔)が形成されている。開口55は、本発明に係る乱反射防止用の開口の一例である。
【0044】
なお、本実施形態に係るアクリルキャッチャー10は、第一面1と第三面3の端部3Eとにより筐体フレーム91の側板913を挟持するため、クリップ等とも称される。
【0045】
<2.実施形態(組み立て方法)>
続いて、図8乃至図11を参照しつつ、上述したアクリルキャッチャー10を用いた内照式サイン9の組み立て方法について詳細に説明する。
【0046】
まず、図2に示すように、筐体フレーム91は、裏板911が下側(載置面側)に配置され、正面開口が上を向くように載置面に載置される。
【0047】
次に、アクリルキャッチャー10の第一面1と第四面4との間(隙間SP)に側板913の開口縁部913Eを配置し、アクリルキャッチャー10を下側に押し込んでいく。これに伴い、図8に示すように、側板913の開口縁部913Eが第一面1と第三面3の端部3Eとの間に挿入される。その際、第一面1と第三面3の端部3Eとがアクリルキャッチャー10の弾性力に反発して離間する。
【0048】
この後、アクリルキャッチャー10を更に下側に押し込んでいくと、最終的には、図9に示すように、第二面2に形成された嵌合溝部21に側板913の開口縁部913Eが嵌合する。
【0049】
図9に示すように、アクリルキャッチャー10が側板913の開口縁部913Eに装着された状態において、第一面1は、側板913と平行となるように側板913の外側に当接した状態で配置される。一方、第三面3の端部3Eは、側板913の内側に当接した状態で配置される。また、第二面2の嵌合溝部21には側板913の開口縁部913Eが当接する。
【0050】
なお、図2に示すように、筐体フレーム91を構成する側板913の開口縁部913Eには、複数のアクリルキャッチャー10が装着される。
【0051】
複数のアクリルキャッチャー10を側板913の開口縁部913Eに装着した後、今度は、図10に示すように、アクリル板93をアクリルキャッチャー10の第二面2に載置(当接)し、筐体フレーム91の正面開口を塞ぐ。
【0052】
その後、図11に示すように、筐体フレーム91の正面開口を塞いだ状態のアクリル板93に押し縁95を設けてアクリル板93を筐体フレーム91に対して固定する。
【0053】
以上のような手順により、内照式サイン9がアクリルキャッチャー10を用いて組み立てられる。
【0054】
<3.実施形態(効果)>
上述した実施形態によれば、複数のアクリルキャッチャー10を筐体フレーム91の側板913の開口縁部913Eに所定の間隔で差し込むといった極めて簡単な方法によりアクリル板93の受け部材を設置できるため、内照式サイン9の製造に要する作業時間を大幅に低減できる。
【0055】
特に、本実施形態に係るアクリルキャッチャー10は、筐体フレーム91の側板913の形状に依存せず、他の形状の筐体フレームにも使用することができるため、汎用性が高い。
【0056】
また、上述した実施形態によれば、アクリルキャッチャー10の素材としてステンレス鋼(SUS304)が用いられるため、屋外における十分な耐腐食性能が確保されると共に、アクリル板93を載置するための十分な強度が確保されている。
【0057】
特に、上述した実施形態によれば、極薄のステンレス鋼が使用されているため、側板913の開口縁部913Eに装着されたアクリルキャッチャー10が押し縁95を被せる場合に邪魔にならない。
【0058】
また、上述した実施形態によれば、図9に示すように、側板913の開口縁部913Eが第二面2に形成された嵌合溝部21に嵌合するため、アクリルキャッチャー10が側板913の側方に倒れ込まずに済む。
【0059】
また、上述した実施形態によれば、図5に示すように、第一面1と第四面4の間に隙間SP及び段差UEが形成されているため、アクリルキャッチャー10を筐体フレーム91の側板913に装着する際、側板913の開口縁部913Eを差し込み易く、ワンタッチで装着できる。
【0060】
また、上述した実施形態によれば、第三面3が光源(LED照明)からの入射光に対して傾斜しているため、入射光に対する反射光がアクリル板93に届きにくい。
【0061】
また、上述した実施形態によれば、第三面3及び第四面4に開口55が形成されているため、光源からの光の反射領域が低減され、筐体フレーム91の内部で乱反射せず、アクリル板93に光ムラが発生しにくい。
【0062】
また、上述した実施形態によれば、溶接孔51または溶接孔53を介してアクリルキャッチャー10が筐体フレーム91の側板913に対して溶接されるため、アクリルキャッチャー10が脱落しにくい。
【0063】
また、上述した実施形態によれば、アクリル板93に押し縁95が被せられるため、アクリルキャッチャー10がアクリル板93に投影されずに済む。
【0064】
また、上述した実施形態によれば、筐体フレーム91の側板913が第一面1と第三面3の端部3Eとで挟持され、挟持された部分にはアクリルキャッチャー10の弾性力がかかるため、アクリルキャッチャー10が外れにくい。
【0065】
続いて、アクリルキャッチャー10を用いた場合のコスト削減率について説明する。
【0066】
本願発明者らは、本実施形態に係るアクリルキャッチャー10を受け部材として用いた場合のコストと、ステンレス板815(図1参照)を受け部材として用いた場合のコストとを比較・検証した。
【0067】
その結果、「500×500通常漢字」のコスト削減率は18.27%となり、「1000×1000通常漢字」のコスト削減率は19.02%となった。よって、内照式サインの大きさにかかわらず、両者とも従来技術よりコストが削減されている。
【0068】
また、「500×500カナ角ゴシック」のコスト削減率が15.89%となり、「1000×1000カナ角ゴシック」のコスト削減率が17.76%となった。よって、内照式サインの大きさにかかわらず、両者とも従来技術よりコストが削減されている。
【0069】
また、「500×500通常漢字」と「1000×1000通常漢字」とを比較すると、サイズの大きい「1000×1000通常漢字」の内照式サインのコスト削減率が高くなっている。また、「500×500カナ角ゴシック」と「1000×1000カナ角ゴシック」とを比較すると、こちらも、サイズの大きい「1000×1000カナ角ゴシック」内照式サインのコスト削減率が高くなっている。すなわち、本実施形態に係るアクリルキャッチャー10は、サイズの大きい内照式サインを製造する場合に特にコスト削減効果が高いことがわかる。
【0070】
<4.変形例>
本発明による内照式サイン及び受け部材は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0071】
例えば、上述した実施形態では、図5に示すように、アクリルキャッチャー10が第一面1、第二面2、第三面3及び第四面4の4つの面で構成される場合を例示したが、これに限定されない。図13に示すように、アクリルキャッチャー10が第一面1、第二面2及び第三面3の3つの面で構成されるようにしてもよい。当該構成によれば、第四面4が存在しなくなるため、アクリルキャッチャー10をワンタッチで装着することはできなくなるものの、ステンレス板を全周溶接する従来技術に比べれば、上述した実施形態と同様に、作業時間を大幅に低減することが可能である。
【0072】
また、上述した実施形態では、2箇所に溶接孔51,53が形成される場合を例示したが、これに限定されず、溶接孔51,53のうち何れか一方のみが形成されるようにしてもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、アクリル樹脂(PMMA)で形成されたアクリル板93を透過板として用いる場合を例示したが、これに限定されず、ポリカーボネート樹脂(PC)で形成されたポリカ板を透過板として用いるようにしてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、第三面3が第二面2に対して45度程度屈曲している場合を例示したが、これに限定されず、第二面2に対する第三面3の角度は、LED照明からの反射光がアクリル板93に届かない範囲で適宜変更してもよい。
また、上述した実施形態では、第三面3の端部3E(図5)が第一面1に当接する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、端部3Eと第一面1との距離が側板913の厚さよりも短い(狭い)或いは同じであれば、必ずしも当接する必要はなく、端部3Eと第一面1とが近接するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように本発明にかかる内照式サイン用の受け部材は、内照式サインの筐体フレームに固定される透光板を載置するのに適している。
【符号の説明】
【0076】
1 第一面、1E 端部、2 第二面、2E 端部、3 第三面、3E 端部、
4 第四面、4E 端部、9 内照式サイン、10 アクリルキャッチャー、
21 嵌合溝部、51,53 溶接孔、55 開口、91 筐体フレーム、
93 アクリル板、95 押し縁、911 裏板、913 側板、913E 開口縁部、
D1~D4 方向、SP 隙間、UE 段差、W1~W4 幅
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