(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】光視野均一性の改善のための光学システムと方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20231004BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2020564903
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 IB2019054230
(87)【国際公開番号】W WO2019224740
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-22
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルビン,ユバル
(72)【発明者】
【氏名】シャーリン,エラド
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0314564(US,A1)
【文献】特開2017-135605(JP,A)
【文献】特表2017-522591(JP,A)
【文献】特開2009-042838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者によって見られる画像を生成する表示装置であって、前記表示装置は、光学システムと制御ユニットを備え、
前記光学システムは、
出口瞳孔を有する光伝播チャネルを含むとともに、
表示されるべき画像を示す入力画像搬送光を受信するように動作可能かつ構成され、且つ、
前記出口瞳孔において観察者に提示された前記画像に対応する視野(FOV)を有する出力光を生成し、
前記光伝播チャネルの構成は、出口瞳孔の横方向の寸法xと前記FOVの角度のスパンφにわたる光学システムを特徴づける強度伝達関数マップI
1(x、φ)を画定することを特徴としてなり、
前記制御ユニットは、前記光学システムを特徴づける強度伝達関数マップI
1(x、φ)の中の強度非均一性を少なくとも部分的に補償するように構成された較正強度マップに基づいた輝度変調を適用することにより、画像データに影響を与えるように構成され動作可能とされ、
前記入力画像搬送光は、表示されるべき画像と光学システムの出口瞳孔における出力光とを示す強度変調画像データID
modに対応し、
前記表示されるべき画像は、改善された強度均一性を具備し観察者に観察される変調された強度マップを有することを特徴とし、
前記制御ユニットはさらに、強度マップ生成モジュールと強度マップ変調ユーティリティーを含み、
前記強度マップ生成モジュールはあらかじめ定められた目瞳孔関連データと、光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI
1(x、φ)を分析し、出口瞳孔から目瞳孔への角強度伝達を示す対応する強度伝播関数マップを画定し、較正された強度マップを生成するように動作可能かつ構成され、
前記強度マップ変調ユーティリティーは、対応する輝度変調を生成し、光学システムへの入力である画像データに前記輝度変調を適用する前記較正強度マップを利用するように動作可能かつ構成され、
前記強度マップ生成モジュールは、あらかじめ定められた目瞳孔寸法x’および、あらかじめ定められた横方向の出口瞳孔と目瞳孔との間のオフセット(x’-x)に対して特徴つける強度伝達関数マップI
1(x、φ)を畳み込むように構成された統合モジュールを含み、出口瞳孔からあらかじめ定められた目瞳孔寸法x’まで角強度の伝達を示す畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)を示すデータを得ることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記あらかじめ定められた目瞳孔関連データは、目瞳孔寸法x’を示すデータを有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記あらかじめ定められた目瞳孔関連データは、出口瞳孔と目瞳孔との間の距離z、および出口瞳孔と目瞳孔との間の横方向のオフセット(x’-x)を示すデータを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは目瞳孔寸法x’を示す与えられたデータを利用することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)を示すデータは、様々な
目瞳孔寸法x’に対応する複数の畳み込まれた強度伝達関数マップを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記強度マップ生成モジュールは、選択モジュールを含み、当該選択モジュールは、出口瞳孔と目瞳孔との間の距離zおよび横方向のオフセット(x’-x)を示すデータを利用し、前記畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)の中で、対応した距離zとオフセット(x-x’)の値に対応する領域を見分けるために、畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)を分析し、前記較正強度マップを生成するように動作可能および構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
画像表示期間の間、観察者の目瞳孔の1つ以上のパラメーターを監視するように構成され、且つ動作可能である視点制御装置を含み、目瞳孔に関連するデータを決定し、これにより制御ユニットが動的に較正強度マップを調節することを可能にすることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
光学システムは、導光光学素子(LOE)を含み、当該導光光学素子(LOE)は、導波路の主面からの全内部反射によって導波路を介して光伝播を導くために構成された導波管を含み、導波管に埋め込まれ導波管の外に光を導くための出口瞳孔を画定するために配置された1つ以上の光を導く表面をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記制御ユニットは、光学システムにおいて特徴づける前記強度伝達関数マップI
1(x,φ)を示すデータを受け取る記憶装置と通信するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記制御ユニットはシミュレーター・モジュールを含み、前記シミュレーター・モジュールは光学システムの光伝播チャネルの構成を示すデータを受信し、シミュレートされたデータを決定するように動作可能かつ構成され、前記シミュレートされたデータは、光学システムにおいて特徴づける前記強度伝達関数マップI
1(x、φ)を示すデータを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
15
光学システムを有する表示装置から観察者が観察する画像の照度均一性を制御するための制御システムであって、前記制御システムは、データ入出力ユーティリティー、メモリユーティリティーとデータ処理装置と、アナライザーを含み、
前記アナライザーは、強度マップ生成モジュールと、強度マップ変調ユーティリティーとを含み、
前記強度マップ生成モジュールは、
観察者の目瞳孔に関連するデータと、
光学システムの出口瞳孔の横方向の寸法xと視野(FOV)の角度スパンφにわたる光学システムを特徴づける強度伝達関数マップI
1(x、φ)であって、前記光学システムによって観察者に提示される画像に対応する強度伝達関数マップI
1(x、φ)と、
を含む入力データを、受け取り分析し、
前記出口瞳孔から目瞳孔への角度強度伝達を示す対応する強度伝達関数マップを決定し、較正強度マップを生成するように構成され動作可能とされ、
前記強度マップ変調ユーティリティーは、
前記較正強度マップを利用し、光学システムに入力される画像を示す画像搬送光へと変換された画像データに適用するための対応する強度変調を生成するように構成され動作可能とされ、
前記強度変調は、画像データに影響を及ぼし、光学システムを特徴付ける強度伝達関数マップI
1(x、φ)における強度非均一性を少なくとも部分的に補償し、前記画像を示す光学システムの出口瞳孔における出力光を提供するために、観察者によって観察される変調された強度マップが改善された強度均一性を有するように構成され、
ここで、前記強度マップ生成モジュールは、あらかじめ定められた目瞳孔寸法x’および、あらかじめ定められた横方向の出口瞳孔と目瞳孔との間のオフセット(x’-x)に対して特徴つける強度伝達関数マップI
1(x、φ)を畳み込むように構成された統合モジュールを含み、出口瞳孔からあらかじめ定められた目瞳孔寸法x’まで角強度の伝達を示す畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)を示すデータを得ることを特徴とする、制御システム。
【請求項12】
前記あらかじめ定められた目瞳孔関連データは目瞳孔寸法x’を示すデータを含むことを特徴とする請求項11に記載の制御システム。
【請求項13】
前記あらかじめ定められた目瞳孔に関連したデータは、出口瞳孔と目瞳孔との間の距離z、および出口瞳孔と目瞳孔との間の横方向のオフセットx’-xを示すデータを含むことを特徴とする請求項11に記載の制御システム。
【請求項14】
強度マップ生成モジュールデータは、目瞳孔寸法x’を含む入力データを受信する請求項11に記載の制御システム。
【請求項15】
畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)を示す前記データは、様々な目瞳孔寸法x’に対応する複数の畳み込まれた強度伝達関数マップを含むことを特徴とする請求項11に記載の制御システム。
【請求項16】
前記強度マップ生成モジュールは、選択モジュールを含み、当該選択モジュールは、出口瞳孔と目瞳孔との間の距離zおよび横方向のオフセット(x’-x)を示すデータを利用し、前記畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)の中で、対応した距離zとオフセット(x-x’)の値に対応する領域を見分けるために、畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)を分析し、前記較正強度マップを生成するように動作可能および構成されることを特徴とする請求項11に記載の制御システム。
【請求項17】
画像表示期間の間、観察者の目瞳孔の1つ以上のパラメーターを含む入力データに反応するように構成され、目瞳孔に関連するデータを決定し、動的に較正強度マップを調節することを特徴とする請求項11に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、光学システムの視界内の光視野均一性を改善するための光学の技術の分野に存する。本発明は、導光体カップラーに基づいて、仮想現実画像を表示することためのニアアイディスプレイに特に役立つ。
【背景技術】
【0002】
ニアアイディスプレイ(NED)の中で使用される導光体カップラーの動作の主な物理的な原理は、仮想現実画像を示す光波が、基板の主面からの全内部反射によって基板の内部で捕捉され、1つ以上(内部)の少なくとも部分的に反射する表面あるいは回折する表面によって観察者の目へ外結合されるというものである。NEDの性能を画定する重要な因子のうちの1つは、導光体カップラーからの光線出力によって形成された照明の均一性の要件に関係している。非均一性または不規則性は、外結合の物理学的意義にかかわらず、導光体に基づいたNEDに固有である。不規則性は角周波数が凡そ視界(FOV)の1/4とFOV/100との間の範囲において分布して、縁のように見えることもあり、画像の上の低い/高い強度の帯のように見えることもある。色を独立して処理する導波路構造では、不規則性が場面を横切る色変動として現われる。
【0003】
照明の均一性を改善するために様々な手法が開発されており、例えば米国特許第6829095号明細書、米国特許第7724442号明細書、米国特許第8004765号明細書、米国特許第9551874号明細書と国際公開16132347号公報に記載されている。これらすべては本出願の出願人に譲渡される。
【発明の概要】
【0004】
上記されるよう、システム出力の視界を横切った照明/輝度の均一性は、システム性能、とりわけ1つの仮想の画像システムを含む表示装置にとって重要な要件である。上記に言及された初期の技術は、画像の暗部と明部の輝度を平均する光伝播路に沿って、様々な表面上でコーティングを利用することにより、この問題を解決した。
【0005】
本出願の発明者によって開発されたさらに他の手法は、最近出願された国際特許出願PCT/IL2018/050010号明細書に記載されている。この技術によれば、光学的ユニットの出力に光学的に結合される、マスキングする光学的要素が使用され、それは光学的ユニットの視界を横切って非均一の強度プロファイルの光を生み出す。マスキング要素は、非均一の強度プロファイルに合わせて要素を横切って空間的に変化する透過プロファイルを伴って構成される。その結果、マスキング光学要素との光相互作用は、強度プロファイルの中で比較的高光強度の領域に影響を与え、光学的要素のマスキングを通じて光通過に強度変調を適用し、光の強さ均一性を改善する。
【0006】
本発明は、観察者によって観察されるようなシステムによって生み出された画像の強度/輝度均一性を改善するために新規な手法を提供する。本発明は、導光光学素子(LOE)を通って光伝播をガイドするための導光光学素子(LOE)を利用する種類の光学システムに特に有用である。そのようなLOEは仮想現実画像の投影のためのニアアイディスプレイの中で使用される。LOEは、それらの主面からの全内部反射によってLOEを通した仮想現実画像光伝播を導くために構成され、1つ以上の方向へ、仮想現実画像光を向けるためにそこに埋め込まれた、1つ以上の光を導く表面(例えば少なくとも部分的な反射面)を含んでもよい。
【0007】
本発明によれば、観察者によって観察されるような画像(つまり観察者の目瞳孔における画像)の照度均一性プロファイルは、画像を搬送する光学的視野に輝度変調を適用することにより改善され、光学システムの入射瞳孔を介した、光学システムへの入力である。入力視野輝度変調は、電子的に(例えば空間光モジュレータの動作によって)適用される。入力視野輝度変調は電子的に適用されることは光学システムの中への入力である画像データの生成と同時に行なわれるかもしれないし、以前に光学システム中の入力であった以前に作成された画像データに適用される。
【0008】
本発明によれば、光学システムに関するデータは提供される。つまり、測定される、あるいは光学システムによって画定された光伝播チャネルの既知の構成に基づいてシミュレートされる。光学システムに関するそのようなデータは、光学システムの出口の瞳孔の横方向寸法xを横切る特徴をなす強度伝達関数マップI1(x,φ)、および光学システムによって観測者に提示される画像に対応する視界(FOV)の角度のスパンφを含む。言いかえれば、光学システムは角度で規定される空間の中にその特徴的な強度プロファイルを有している。このデータは、光学システム中の入力部であるこの画像データ適切に影響を与えるために、解析される。結果として、表示されている画像は改善された強度均一性を持って観察者によって観察される。
【0009】
発明の1つの広い態様によれば、観察者によって見られる画像を生み出すための表示装置が設けられる。表示装置は光学システムと制御ユニットを含む。光学システムは、出口瞳孔を有する導光チャネルを含み、画像を示す入力光を受け取るよう、出口瞳孔において、観察者に提示される画像に対応する視界(FOV)を有する出力光を産みだすよう構成され、動作可能である。一方、導光チャネルの構成は、出口の瞳孔の横方向寸法xを横切る特徴をなす強度伝達関数マップI1(x,φ)、およびFOVの角度スパンφを画定する。制御ユニットは、画像データに影響を与えるように構成され、動作可能である。当該画像データは、光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)中における強度非均一性を、少なくとも部分的に償うように構成された較正強度マップに基づいた輝度変調をI1(x、φ)に適用することにより光学システムにおける入力部となろう。その結果、光学システムの出口瞳孔であり画像を示す光線出力は、改善された強度均一性を有し観察者によって観察される変調された強度マップを有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、制御ユニットは、あらかじめ定められた目瞳孔関連データと特徴をなす強度伝達関数マップI1(x、φ)を分析するために構成され、動作可能である強度マップ生成モジュールを含み、結果として、出口瞳孔から目瞳孔までの角度強度伝達を示す、対応する強度伝達関数マップを決定し、較正強度マップを生成する。較正強度マップは、対応する輝度変調を生成するために較正強度マップを利用する強度マップ変調ユーティリティーによって解析され、光学システムへの入力である画像データにこの輝度変調を適用する。画像に適用された輝度変調は、較正強度マップの少なくとも一部を示すデータの反転として適用される。
【0011】
あらかじめ定められた目瞳孔に関連するデータは、目瞳孔寸法x’(特定の観察者のために与えられたか測定された)を示すデータ、且つ/又は特定のヘッドマウントニアアイ表示装置に対して固定されるか装置の使用の間に測定される出口瞳孔と目瞳孔の間の距離zを示すデータを含み、さらに出口瞳孔と目瞳孔の間の横方向のオフセット(x’-x)を示すデータを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、強度マップ生成モジュールは、あらかじめ定められた目瞳孔寸法x’および、あらかじめ定められた横方向の出口瞳孔と目瞳孔との間のオフセット(x’-x)に対して特徴つける強度伝達関数マップI1(x、φ)を畳み込むように構成された統合モジュールを含み、出口瞳孔からあらかじめ定められた目瞳孔寸法x’まで角強度の伝達を示す畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)を示すデータを得る。
【0013】
上に示されるように、制御ユニットは目瞳孔寸法x’を示す与えられたデータを利用してもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)を示すデータは、様々な瞳孔範囲x’に対応する複数の畳み込まれた強度伝達関数マップを含む。
【0015】
強度マップ生成モジュールは、選択モジュール/ユーティリティを含んでもよく、該選択モジュール/ユーティリティは、出口と目の瞳孔間で出口瞳孔と目瞳孔との間の距離zおよび、出口瞳孔と目瞳孔との間の横方向のオフセット(x’-x)を示すデータを利用し、畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)において、対応した距離zとオフセット(x-x’)の値に対応する領域を見分けるために、畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)を分析し、そして、較正強度マップを生成するように構成され、動作可能である。
【0016】
強度マップ変調ユーティリティーは、畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)の選択された領域の反転として輝度変調を生成するように構成される。
【0017】
上に示されるように、目瞳孔に関連するデータの1つ以上のパラメーターが画像表示期間の間に測定されてもよい。この目的のために、システムは、観察者の目瞳孔の1つ以上のパラメーターを監視するように構成され、且つ動作可能である視点制御装置を含み、目瞳孔に関連するデータを決定し、これにより制御ユニットが動的に較正強度マップを調節することを可能にする。
【0018】
さらに上に示されるように、いくつかの実施形態では、本発明にかかる表示装置は、仮想現実画像を表示するためのニアアイディスプレイ装置、あるいは追加的に同時に実際の画像を表示するためのシースルーディスプレイとして構成される。そのようなニアアイディスプレイ装置の光学システムは、導波路の主面からの全内部反射によって導波路を介して光伝播を導くために構成された導波管を含み導波管に埋め込まれ導波管の外に光を導くための出口瞳孔を画定するために配置された1つ以上の光を導く表面をさらに含む導光光学素子(LOE)を含みうる。
【0019】
いくつかの実施形態において、制御ユニットは光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップを示すデータを受け取る記憶装置と通信するように構成される。代替的に、又は追加的に、制御ユニットは、光学システムの光伝播チャネルの構成を示すデータを受信するように動作可能かつ構成されたシミュレーター・モジュールを含んでもよく、また光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップを示すデータを含むシミュレートされたデータを決定してもよい。
【0020】
本発明の別の広い態様によれば、それは、光学システムを有する表示装置から観察者によって観察された画像の照度均一性を制御するための制御システムを提供する。制御システムは、強度マップ生成モジュールおよび、データ処理装置とアナライザーを含むコンピュータシステムとして構成され、前記アナライザーは強度マップ生成モジュールとのデータ通信における強度マップ変調ユーティリティーを含む。強度マップ生成モジュールは、観察者の目瞳孔に関連するデータと、光学システムの出口瞳孔の横方向の寸法xを横切った光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)とを含む入力データと、光学システムにより観察者に提示される画像に対応する視界(FOV)の角度のスパンφを受け取り、分析するように動作可能且つ構成される。強度マップ生成モジュールは出口瞳孔から目瞳孔まで角度の強度伝達を示す対応する強度伝達関数マップを決定し、較正強度マップを生成する。強度マップ変調ユーティリティーは、較正強度マップを利用するように、対応する輝度変調を生成するように動作可能であり構成される。対応する輝度変調は、光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップの中で、少なくとも部分的に強度非均一性を償うために画像データに影響を与える光学システムへの入力である画像データに適用される。その結果、強度マップ変調ユーティリティーは、光学システムの出口瞳孔の出力光(それは画像を示す)が、改善された強度均一性を付帯し観察者によって観察された変調された強度マップを有することを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に開示される主題をより良く理解し、その主題が実際にどのようにして実施され得るのかを例証するために、実施形態はここで、添付の図面を参照するとともに非限定的な例のみによって記載される:
【0022】
【
図1】
図1は、観察者によって見られる画像の表示のために本発明によって構成された表示装置のブロック図である;
【
図2】
図2は、観察者によって観察されるように、表示されている画像の照度均一性を制御するために
図1のシステムで使用される発明の制御システムの構成のブロック図である;
【
図3A】
図3Aは、LOEに基づいた光学システムを利用するニアアイディスプレイによって表示された画像を観測する中で、照度均一性を改善するための発明の手法を例証する;
【
図3B】
図3Bは、LOEに基づいた光学システムを利用するニアアイディスプレイによって表示された画像を観測する中で、照度均一性を改善するための発明の手法を例証する;
【
図3C】
図3Cは、LOEに基づいた光学システムを利用するニアアイディスプレイによって表示された画像を観測する中で、照度均一性を改善するための発明の手法を例証する;
【
図3D】
図3Dは、LOEに基づいた光学システムを利用するニアアイディスプレイによって表示された画像を観測する中で、照度均一性を改善するための発明の手法を例証する;
【
図4A】
図4Aは、例証されたLOEを通じて、どのように光スキーム伝播が、LOEの出口瞳孔で強度マップに影響をあたえるかを例証する。このことはLOEに基づいた光学システムの強度マップをシミュレートするために使用され得る;
【
図4B】
図4Bは、例証されたLOEを通じて、どのように光スキーム伝播が、LOEの出口瞳孔で強度マップに影響をあたえるかを例証する。このことはLOEに基づいた光学システムの強度マップをシミュレートするために使用され得る;
【
図4C】
図4Cは、例証されたLOEを通じて、どのように光スキーム伝播が、LOEの出口瞳孔で強度マップに影響をあたえるかを例証する。このことはLOEに基づいた光学システムの強度マップをシミュレートするために使用され得る;
【
図5A】
図5Aは、例証されたLOEを通じて、どのように光スキーム伝播が、LOEの出口瞳孔で強度マップに影響をあたえるかを例証する。このことはLOEに基づいた光学システムの強度マップをシミュレートするために使用され得る;
【
図5B】
図5Bは、例証されたLOEを通じて、どのように光スキーム伝播が、LOEの出口瞳孔で強度マップに影響をあたえるかを例証する。このことはLOEに基づいた光学システムの強度マップをシミュレートするために使用され得る;
【
図5C】
図5Cは、例証されたLOEを通じて、どのように光スキーム伝播が、LOEの出口瞳孔で強度マップに影響をあたえるかを例証する。このことはLOEに基づいた光学システムの強度マップをシミュレートするために使用され得る;
【
図6】
図6は、リニアCCD走査を使用して、角度で規定される空間の中にある、光学システム特徴をなす強度伝達関数マップI
1(x、φ)がどのように測定されるかを例証する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施形態の詳細な説明]
【0024】
本発明の表示装置(10)はブロック図によって
図1に言及する。表示装置(10)は、画像データ発生装置(12)に関連した光学システム(14)を含む。光学システム(14)は、画像データ供給部から画像データを受け取るように、かつ対応する光学的視野(光の強さマップを備えた構造化した光)を生成するように動作可能に構成される。これは空間光モジュレータ(例えばLCDに基づいたモジュレータ)あるいは一般的な光源(例えばOLED)のマトリックスの使用により実施されうる。
【0025】
光学システム(14)は、構造化された光をガイドするための光伝播チャネル(14A)を画定する1つ以上の光学エレメント(図示されず)を含む。当該構造化された光は視界(FOV)を備えた出口瞳孔(14B)への光伝播チャネル(14A)によって、表示される画像に対応し、当該視界は、観察者の目(18)によって見られた/提示された光学システムの画像に相当する。光伝播チャネル(14A)の構成は、出口瞳孔(14B)の横方向の寸法xを横切って光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)およびFOVの角度のスパンφを画定する。
【0026】
さらに本発明によって、観察者によって観察されるような画像の照明/強度均一性を制御するために、制御ユニット(20)が提供され、該制御ユニット(20)は、表示装置(10)の中で、観察者によって観察されるような画像の強度/照度均一性を制御するように動作可能且つ構成される。本発明が、観察者、すなわち目瞳孔(18)によって観察されるような画像の強度プロファイルを改善することを目指していることは理解されるに違いない。これはさらに具体的に下に示すように説明されるだろう。
【0027】
制御ユニット(20)は、画像データ発生装置(12)あるいは別々のユニットの一部であってよい。制御ユニット(20)は光強度マップを示す画像データIDを受け取る。光強度マップは、光学システムへの入力であり、変調画像データIDmodを生成するために輝度変調をそれに適用することによって、画像データに影響を与える。この強度変調画像データIDmodは、光学システム(14)によって伝播するために、空間光モジュレータ(例えばLCDに基づいたモジュレータ)(SLM)の任意の適切な既知の構成によって、対応する光学的視野(構造化した光)に変換される。
【0028】
制御ユニット(20)によって加えられた輝度変調は、制御ユニットによって決定され、少なくとも部分的に光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)の中の強度非均一性を補償するように構成される較正強度マップに基づく。その結果、光学システム(14)の出口瞳孔(14B)の画像を搬送する出力光は、観察者によって観察される改善された強度均一性を有するよう変調された強度マップImodを有する。
【0029】
図の中で例証されるように、制御ユニット(20)は、データ供給部(22)(例えば記憶装置)から、入力データ(例えばそのようなデータが保存される記憶装置にアクセスする)を受け取る。入力データは、光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)を示すデータを含んでいる。しかしながら、特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)を示すデータは、以前に生成された(例えば、シミュレートされた、あるいは測定した)そのようなマップデータ自体を含み、記憶装置に保存されているかもしれないことは明記されるべきである。あるいは、強度伝達関数マップI1(x、φ)を特徴づけることを示すそのようなデータは、与えられた光学システムの光伝播チャネルの構成に関するデータを含みうる。後者の場合では、制御ユニット(20)は、光伝播チャネルの構成を分析し、かつ光学システムの強度伝達関数マップI1(x、φ)を特徴づける、シミュレートされたデータを決定するのに動作可能であり、構成されたシミュレーター・モジュールを含む。これは、下のようにさらに説明されるだろう。
【0030】
さらに図で示されるように、制御ユニット(20)は、さらに、強度変調画像データIDmodを生成するために目瞳孔に関連するデータを利用することができる。そのような目瞳孔に関連するデータは、出口瞳孔(14B)と目瞳孔(18)との間の距離z、出口瞳孔(14B)と目瞳孔(18)との間の、横方向のオフセット(x’-x)のような、目瞳孔の横方向の寸法x’としてのパラメーターを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、これらのパラメーターの1つ以上は典型値を与えられるかもしれない。(例えば、目瞳孔の横方向の寸法x’は典型的に約3mmである);観察者に対して表示装置の位置がヘッドマウント表示装置の場合のように固定された場合、出口瞳孔(14B)と目瞳孔(18)との間の距離zと横方向のオフセット(x’-x)に対する値は、ほとんど固定されるかもしれない。
【0032】
他のいくつかの実施形態の中で、以下にさらに説明されるように、表示装置(10)は、画像を表示する時間の間において、距離zおよび/または横方向のオフセット(x’-x)値の変化をモニター/測定する、適切な目追跡装置を装備した目瞳孔制御装置を選択的あるいは追加的に含み、それぞれのデータを生成してもよい。制御ユニットは、強度変調画像データIDmodを動的に調整する/アップデートするために、それらのデータに対して責任がある。目瞳孔制御装置は、さらに観察者の目瞳孔サイズx’を測定するために測定ユニットを含んでもよい。
【0033】
本発明の光学システムあるいは少なくともそれらの一部分(例えば光ガイド素子)は、非常にコンパクトな構成になりえて、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)にマウントされるか、別々のモジュールになり、HUDと共に使用することができる。本発明の別の可能性のある適用はスマートフォンの一部としてである。それはあらかじめ定められたソフトウェアの適用とともにインストールされるだろう。1つの、そのような構成(例えばHUDに連結可能な携帯型の導光素子)の例は、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第8004765号明細書等に記載されている。
【0034】
図2は、典型的な制御ユニット(20)の構成のブロック図を示す。制御ユニット(20)はデータ入出力ユーティリティおよびメモリを含む。それは具体的には示されない。制御ユニット(20)は画像データ供給部(22)の一部であってもよく、あるいは画像データ発生装置(12)とデータ通信するように構成された別々のユニット/回路(20)であってもよい。ここで、画像データ発生装置(12)は、画像データ供給部(22)に連結可能または画像データ供給部(22)の一部である。
【0035】
制御ユニット(20)は、上述のように、光学システム(例えば、与えられたかシミュレートされた)の特徴をなす強度伝達関数マップI1(x、φ)と観察者の目瞳孔のデータを示すデータを分析するように動作可能且つ構成され、出口瞳孔から目瞳孔まで角度の強度伝達を示す対応する強度伝達関数マップを決定し、較正強度マップI2(x、φ)を生成する、強度マップ生成モジュール(24)を含む。
【0036】
図で例証されるように、強度マップ生成モジュール(24)は、統合モジュール(24A)を含む。当該統合モジュール(24A)は出口瞳孔と目瞳孔との間のあらかじめ定められた目瞳孔寸法x’およびあらかじめ定められた横方向のオフセット(x’-x)において、特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)を畳み込むように、且つ畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)を示すデータを得るように構成される。そのような畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)は、出口瞳孔に関してあらかじめ定められた横方向の寸法および相対的位置の、出口瞳孔(14B)から目瞳孔(18)まで角度の強度伝達を示す。
【0037】
畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)を示すデータが、異なる瞳孔範囲x’に対応する複数の畳み込まれた強度伝達関数マップを含んで準備されるなどの状態であってもよいことは注目されるべきである。この例で、強度マップ生成モジュール(24)は選択モジュール(24B)をさらに含み、当該選択モジュール(24B)は出口瞳孔(14B)と目瞳孔(18)との間の距離zと出口瞳孔と目瞳孔間での横方向のオフセット(x’-x)を示すデータを利用し、畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)の中で、距離zおよびオフセット(x-x’)値に対応する領域を識別し、較正強度マップI2(x、φ)を生成するように動作可能且つ構成される。
【0038】
さらに、強度マップ変調ユーティリティー(26)が制御ユニット(20)に設けられる。当該強度マップ変調ユーティリティー(26)は、画像データ発生装置(12)から画像データID(例えば仮想現実画像)を受け取り、強度マップ生成プログラム・モジュール(24)から較正強度マップI2(x、φ)を受け取る。強度マップ変調ユーティリティー(26)は、較正強度マップI2(x、φ)を分析し、かつ対応する輝度変調を生成し、また画像データIDにこの変調を適用するように動作可能且つ構成される。結果として、これにより強度変調画像データIDmodを生成する。輝度変調は、例えば較正強度マップの反転(あるいは反転のある近似値)として生成され(つまり畳み込まれた強度伝達関数マップI’1((x’-x),φ)の選択された領域の反転)、画像データIDに適用される。
【0039】
そのように作成された強度変調画像データIDmodは、特徴付ける強度伝達関数マップI1(x、φ)を備えた光学システム(14)に進入する対応する光視野(構造化した光)に転換され、光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)の中の強度非均一性を少なくとも部分的に補償する。その結果、原画像を示す光学システムの出口瞳孔の出力光は、変調された強度マップを有し、結果として、改善された強度マップI’2(x、φ)を備え対応する画像が観察者(目瞳孔において)によって見られる。
【0040】
仮想の画像システムの中で使用される表示装置を考えれば、表示装置は典型的には目瞳孔制御装置(目追跡装置)(28)を含む。該目瞳孔制御装置は、動的に、目瞳孔の1つ以上が関連づけた調パラメーターを調整/更新する(典型的に、距離zおよび横方向のオフセット(x-x’))。それゆえに、制御ユニット(20)(その強度マップ生成装置(24))は動的に較正強度マップI2(x、φ)を調節する。
【0041】
図3A乃至
図3Eに言及すると、ニアアイディスプレイの中で使用される、LOEに基づいた光学システムの作動制御ための発明の手法を例示する。
【0042】
図3Aは、ヘッドアップディスプレイ装置(30)を例証する。ヘッドアップディスプレイ装置(30)は、主面(32)および(34)を有するLOE(16)を利用する光学システム(14)、そこに埋め込まれた導光要素(31)および(35)(少なくとも部分的に反射する)、平行化モジュール(17)を含み、光学システム(14)によって光伝播チャネル(14A)をともに画定する。さらに図で示されるように、ヘッドアップディスプレイ装置(30)は、対応する画像データを搬送する光に転換するために、上記されるように(例えば、プロジェクター、例えば、SLMに基づいた)構成された画像生成装置(36)を含む。画像生成装置は、制御ユニット(20)を含むまたは連結可能な画像データ供給部(22)(例えば上記されるように構成された)によって動作される。図で示されたように、画像を搬送する光は、平行化モジュール(17)を通じて通過し、LOE(導波管/基板)(16に進入する。画像を搬送する光は導光要素(反射器)(31)から反射され、LOEの基板/本体の中に閉じ込められる。ここで、光は主面(32)および(34)からのトータルな全内部反射によって導かれ、引き続き反射要素(35)と少なくとも部分的に作用する。ここで、反射要素(35)は観察者の目の瞳孔(18)の方へ伝搬するために基板から出てくる光と結合する。
【0043】
そのようなLOEに基づいた光学システム(14)の構成と作用は、それ自体で知られており、本出願の譲受人の前述の初期の特許出版物で例証される。そのような光学システムの構成と作用は、本発明の一部を形成せず、したがって、詳細に本明細書で記載されていない。光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)を決定する/シミュレートするために光学システムの構成を使用する原理に関して、これらは、下記のように、より詳細に述べられる。
【0044】
図3Bは、観察者に提示される画像に対応するFOVの、出口瞳孔の横方向の寸法xを横切って光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI
1(x、φ)と角度のスパンφ、およびさらに出口瞳孔と観察者の目瞳孔との間の距離zを例示する。ここでA線および角度方向αは、目瞳孔の横方向の寸法x’および、光学システムの出口瞳孔に関した目瞳孔z位置にそれぞれ対応する。
【0045】
図3Cは畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)を示す。それは、あらかじめ定められた目瞳孔寸法x’と、出口瞳孔と目瞳孔との間のあらかじめ定められた横方向のオフセット(x’-x)の上で、
図3Bの特徴をなす強度伝達関数マップI
1(x、φ)を畳み込むことにより得られる。そのような畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)は、出口瞳孔からあらかじめ定められた目瞳孔寸法x’までの角度の強度伝達を示す。
【0046】
図3Dは較正強度マップI
2(x、φ)を示す。較正強度マップI
2(x、φ)は、畳み込まれた強度伝達関数マップI’
1((x’-x),φ)から、距離zとオフセット(x-x’)の値に対応する領域を抽出するために、距離zおよび横方向のオフセット(x’-x)を利用することにより得られる。
【0047】
上記されるよう、そのように得られた較正強度マップI2(x、φ)は、ついで、較正強度マップI2(x、φ)の反転として画像データに輝度変調を適用し、かつ画像生成装置(36)(例えばプロジェクター)を操作するために使用される。
【0048】
図4A乃至
図4Cと
図5A乃至
図5Cに言及すると、光学システム(つまりLOEの)の出口瞳孔で、LOEに基づいた光学システムによる光スキーム伝播がどのように強度マップに影響を与えるか例証し、そして出口瞳孔の横方向の寸法xを横切って光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI
1(x、φ)、および観察者に提示される画像に対応するFOVの角度のスパンφをシミュレートするために使用されうる。これらの図は、例えば、特定の光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI
1(x、φ)の中で、暗い帯の効果および角度の空間のそれらの表現の性質を例示する。
【0049】
図4Aは、いわゆる「構造的な帯」関連効果を示す:FOVの上で、様々な角を備えLOEに進入する光に対し、導光要素(30)との光相互作用の違いにより、いくつかの射線は他のものより多くの減衰をうける。より詳細には、構造的な帯は各々全内部反射を掛けあわされる。その結果、より多くの導光要素/ファセットにおいて、(LOEによる光伝播の一般的な方角の連続的に構成されたファセットの順序において)例えば、3番目のファセットでは、それらは合計され、視覚的に顕著な帯になる。これは
図5Aに示される。
【0050】
図4Bと
図5Bは、「照明非均一性」が関連した帯を示す:入射瞳孔の上の不均一照明は、LOEによって複製され、輝度の定期的な変化を形成する。
【0051】
図4Cおよび
図5Cは、いわゆる「アンダーラップ帯効果」を示す。小さな角度では、光線が満たすことの出来ない薄い領域が存在し、大きな角度では光線が2倍満たす同様の領域がある。
【0052】
したがって、光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)は、視界上の暗い帯に関する完全なデータを決定するために、あらゆる瞳孔の横方向の寸法とz距離に対して使用することができる。このデータを使用すると、較正マップは決定することができる。また、暗い帯効果は、電子的に(視点知識に依存する精度で)補償される。
【0053】
本発明の手法は上記コーティングに基づいた解決法に加えて使用することができる。例えば、発明者はLOEに基づいた光学システムについては、最も問題のある暗い帯効果は、瞳孔寸法/FOVマップの中心に現われ、適切なコーティング設計によってこれが改善される場合があることを発見した。一方、上記されるような較正マップによって、他の効果は電子的に償うことができる/改善することができる。
【0054】
さらに上に示されるように、与えられた光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI
1(x、φ)が測定されるかもしれない。そのような測定は、例えば、ラインCCDを使用して、出口瞳孔出力を走査することにより実行することができる。これは、ラインCCDマップ、すなわち角度空間において測定された強度分布(出口瞳孔の横方向の寸法xを横切った、出口瞳孔からの距離zに沿った、そして1つのFOVの角度のスパンφ)を示す
図6の中で例証される。ラインプロファイルは瞳孔xを横切ってFOVの上の強度変化であり、勾配αは目の起伏または距離zに相当する。
【0055】
そのような測定されたかシミュレートされたマップは、目起伏(z距離)、目の位置(横方向のオフセット)と目瞳孔直径(横方向の寸法)のためのすべての強度データを含んでいる。したがって、角度で規定される空間の光学システムにおいて特徴づける強度伝達関数マップI1(x、φ)であるこのマップは、強度非均一性ソース(暗い帯効果)を補償するために(目追跡装置によって動的に、あるいは静的に)使用することができる。