(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】眼安全性走査LIDARシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021100687
(22)【出願日】2021-06-17
(62)【分割の表示】P 2019549550の分割
【原出願日】2018-03-08
【審査請求日】2021-06-17
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518370091
【氏名又は名称】オプシス テック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジェイ. ドノバン
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-146417(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/306358(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LIDAR照明器であって、
a)複数のレーザ源であって、前記複数のレーザ源は、前記複数のレーザ源のうちの少なくとも2つによって生成された光学ビームが標的における開口内で空間的に重複し、前記複数のレーザ源のうちの前記少なくとも2つによって生成された各光学ビームが前記開口内で許容される最大エネルギーにあるエネルギーを生産し、かつ、前記複数のレーザ源のうちの他の少なくとも2つのレーザ源によって生成された少なくとも2つの光学ビームが前記標的において空間的に重複しないように、配列され、前記複数のレーザ源のそれぞれは、前記複数のレーザ源のそれぞれに光学ビームを生成させる変調駆動信号を受信する電気入力を備える、複数のレーザ源と、
b)複数の電気出力を有するコントローラであって、前記複数の電気出力の個々のものは、前記複数のレーザ源の個々のものの電気入力に接続され、前記コントローラは、前記標的における前記開口内で空間的に重複する光学ビームを生成するように配列された前記複数のレーザ源のうちの前記少なくとも2つが同時に励起されず、かつ、前記標的において空間的に重複しない光学ビームを生成する前記複数のレーザ源のうちの前記他の少なくとも2つのレーザ源が、前記標的における測定開口内の光学ビームのピーク光学エネルギーが前記開口内で許容される前記最大エネルギーにあるように同時に励起されるように、複数の変調駆動信号を生成する、コントローラと
を備え、前記
生成された複数の変調駆動信号
は、前記LIDAR照明器のフル動作中に
常にクラス1の眼安全性である前記ピーク光学エネルギーを伴う前記光学ビームを前記標的における前記測定開口内で生成するように
生成され、前記フル動作は、前記標的に向けて前記光学ビームを生成するためのものである、LIDAR照明器。
【請求項2】
前記複数のレーザ源は、複数の垂直キャビティ面発光レーザを備える、請求項1に記載のLIDAR照明器。
【請求項3】
前記コントローラは、擬似ランダム時間において前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成するように構成される、請求項1に記載のLIDAR照明器。
【請求項4】
前記測定開口は、前記標的において約7mmである、請求項1に記載のLIDAR照明器。
【請求項5】
前記コントローラは、前記複数のレーザ源が、所望のパルス幅、ピークパワー、および繰り返し率を伴うパルス状光学ビームを生成し、それにより、各ビームが、前記標的における前記測定開口内で最大許容可能暴露(MPE)限界を超えないように、複数の変調駆動信号を生成するように構成される、請求項1に記載のLIDAR照明器。
【請求項6】
前記コントローラは、前記LIDAR照明器のリフレッシュレートを最大限にするように、複数の変調駆動信号を生成するように構成される、請求項1に記載のLIDAR照明器。
【請求項7】
前記コントローラは、前記コントローラに電気的に接続されたメモリをさらに備え、前記メモリは、前記複数の変調駆動信号を表すデータを記憶する、請求項1に記載のLIDAR照明器。
【請求項8】
エネルギー密度を測定する光学センサをさらに備え、前記光学センサは、前記コントローラに電気的に接続された出力を有する、請求項1に記載のLIDAR照明器。
【請求項9】
前記光学ビームが時間の関数として変化する、請求項1に記載のLIDAR照明器。
【請求項10】
LIDAR照明の方法であって、
a)複数のレーザ源を提供することであって、前記複数のレーザ源は、前記複数のレーザ源のうちの少なくとも2つによって生成された光学ビームが標的における開口内で空間的に重複し、前記複数のレーザ源のうちの前記少なくとも2つによって生成された各光学ビームが前記開口内で許容される最大エネルギーにあるエネルギーを生産し、かつ、前記複数のレーザ源のうちの他の少なくとも2つのレーザ源によって生成された少なくとも2つの光学ビームが前記標的において空間的に重複しないように、配列される、ことと、
b)標的における前記開口内で空間的に重複する光学ビームを生成するように配列された前記複数のレーザ源のうちの少なくとも2つが同時に励起されず、かつ、前記標的において空間的に重複しない光学ビームを生成する前記複数のレーザ源のうちの他の少なくとも2つが、前記標的における測定開口内の組み合わせられた光学ビームのピーク光学エネルギーが前記開口内で許容される前記最大エネルギーにあるように同時に励起されるように、光学ビームを前記複数のレーザ源の各々に生成させる変調駆動信号を前記複数のレーザ源の各々に対して生成することと
を含み、
前記複数のレーザ源の各々に対して生成
された前記変調駆動信号は、LIDAR照明器のフル動作中に
常にクラス1の眼安全性である前記ピーク光学エネルギーを伴う前記組み合わせられた光学ビームを前記標的における前記測定開口内で生成するように
生成され、前記フル動作は、前記標的に向けて前記組み合わせられた光学ビームを生成するためのものである、方法。
【請求項11】
前記複数のレーザ源を提供することは、複数の垂直キャビティ面発光レーザを提供することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の変調駆動信号を生成することは、擬似ランダム時間において前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記測定開口は、前記標的において約7mmである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記変調駆動信号を前記複数のレーザ源の各々に対して生成することは、前記複数のレーザ源が、所望のパルス幅、ピークパワー、および繰り返し率を伴うパルス状光学ビームを生成し、それにより、各ビームが、前記測定距離における前記測定開口内で最大許容可能暴露(MPE)限界を超えないように、前記駆動信号を生成することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記変調駆動信号を前記複数のレーザ源の各々に対して生成することは、前記LIDAR照明器のリフレッシュレートを最大限にする複数の変調駆動信号を生成するように、前記変調駆動信号を生成することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
メモリにアクセスし、前記変調駆動信号を取得することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記測定距離における前記測定開口内のエネルギー密度を測定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記組み合わせられた光学ビームが時間の関数として変化する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中で用いられるセクションの見出しは、編成目的のみのためのものであり、いかようにも本願に記載されている主題を限定していると解釈されるべきではない。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年3月13日に出願され“Eye-Safe Scanning LIDAR System”と題された米国仮特許出願第62/470,827号の通常出願である。米国仮特許出願第62/470,827号の全体の内容は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0003】
光検出および測距(LIDAR)システムは、物体距離のリアルタイム測定を可能にする最も重要なセンサのうちの1つである。LIDARシステムは、オブジェクトをレーザ光で照明することによって、それらのオブジェクトまでの距離を測定する。ある場合には、LIDARシステムは、車両の周囲を感知するために使用される。これらおよび他の用途では、照明されたオブジェクトは、人々であってもよい。したがって、LIDARシステムからのレーザ光が人間の眼を照明するであろう、機会が存在する。
【0004】
レーザ光は、人間の眼にとって非常に危険であり得る。レーザ光のコヒーレンスかつ小ビーム発散角度は、眼の水晶体と組み合わせられると、レーザ光が網膜上の極度に小スポットサイズに集束される結果をもたらす。十分に高レーザ光パワーを伴う、本小スポットサイズは、網膜の熱傷および眼への恒久的損傷をもたらし得る。したがって、眼安全性レベルのレーザ光エネルギーで動作し得る、LIDARシステムが、必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本教示は、光を反射および/または散乱させる種々の物体または標的までの距離を測定する、光検出および測距システム(LIDAR)に関する。特に、本教示は、70m超の長距離にわたって、最大1KHzの高リフレッシュレートを伴うLIDAR測定を提供することが可能であって、クラス1の眼安全性規格と一致するシステム動作を確実にする、LIDARシステムに関する。
【0006】
本教示のシステムは、単一エミッタおよび/または複数のエミッタを含む、レーザ光源を使用してもよい。例えば、単一要素VCSELまたは単一縁放出レーザデバイスを使用する、光源は、単一エミッタと見なされるであろう。1つ以上の基板上に配列される複数のVCSEL要素または複数の縁放出レーザ源を使用する、光源は、複数のエミッタ源と見なされるであろう。多要素エミッタは、1次元および2次元アレイを含む、種々のアレイ構成において構成されてもよい。当業者は、本教示の下記の説明が、単一エミッタ源および/またはマルチエミッタレーザ源を伴う、眼安全性走査LIDARシステムの種々の実施形態を指すことを理解されるであろう。本教示のLIDARシステムの特定の実施形態の特徴は、単一エミッタおよび/またはマルチエミッタレーザ源のいずれかに限定されるものと見なされるべきではなく、むしろ、単一エミッタおよび/またはマルチエミッタレーザ源の両方に適用されるものとより広義に解釈されるべきであることが、当業者に明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
LIDAR照明器であって、
a)複数のレーザ源であって、前記複数のレーザ源のそれぞれは、前記複数のレーザ源のそれぞれに光学ビームを生成させる変調駆動信号を受信する電気入力を備える、複数のレーザ源と、
b)複数の電気出力を有する、コントローラであって、前記複数の電気出力の個々のものは、前記複数のレーザ源の個々のものの電気入力に接続され、前記コントローラは、前記複数のレーザ源に組み合わせられた光学ビームを形成する複数の光学ビームを生成させる複数の変調駆動信号を生成し、測定距離における測定開口内の前記組み合わせられた光学ビームのピーク光学エネルギーは、所望の値未満である、コントローラと
を備える、LIDAR照明器。
(項目2)
前記複数のレーザ源は、複数の垂直キャビティ面発光レーザを備える、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目3)
前記複数のレーザ源は、前記測定距離における前記測定開口内の組み合わせられた光学ビームが前記複数の光学ビームのうちの1つのみを備えるように位置付けられる、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目4)
前記コントローラは、擬似ランダム時間において前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目3に記載のLIDAR照明器。
(項目5)
前記コントローラは、前記複数の光学ビームのいずれも、任意の特定の時間において、前記測定距離における前記測定開口内で重複しないように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目6)
前記コントローラは、1つを上回る光学ビームが、前記時間の少なくとも一部において、前記測定距離における前記測定開口を照射するように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目5に記載のLIDAR照明器。
(項目7)
前記コントローラは、前記測定距離における前記測定開口内の組み合わせられた光学ビームが、前記複数の光学ビームのうちの1つの前記測定距離における前記測定開口内のピーク光学エネルギー以下であるピーク光学エネルギーを備えるように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目8)
前記コントローラは、前記複数の光学ビームの1つのみが、任意の特定の時間において、前記測定距離における前記測定開口を照射するように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目9)
前記コントローラは、任意の所与の時間において、前記測定距離における前記測定開口内で時間内に重複する光学ビームが存在しないように、前記複数のレーザ源を励起するように、複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目10)
前記コントローラは、前記複数の光学ビームのうちの少なくとも2つが前記測定距離における前記測定開口内で時間内に同時に重複するように、前記複数のレーザ源を励起するように、複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目11)
前記コントローラは、前記複数の光学ビームのうちの少なくとも2つが前記測定距離における前記測定開口内で時間内に同時に部分的に重複するように、前記複数のレーザ源を励起するように、複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目12)
前記測定開口は、約7mmであり、前記測定距離は、約100mmである、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目13)
前記コントローラは、前記複数のレーザ源が、所望のパルス幅、ピークパワー、および繰り返し率を伴うパルス状光学ビームを生成し、それにより、各ビームが、前記測定距離における前記測定開口内で最大許容可能暴露(MPE)限界を超えないように、複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目14)
前記複数の光学ビームは、クラス1の眼安全性である前記測定距離における前記測定開口内にピーク光学エネルギーを伴う組み合わせられた光学ビームを生成する、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目15)
前記コントローラは、前記LIDAR照明器のリフレッシュレートを最大限にするように、複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目16)
前記コントローラはさらに、前記コントローラに電気的に接続されたメモリを備え、前記メモリは、前記LIDAR照明器に特定の所望のパターンの光を生成させる前記複数の変調駆動信号を表すデータを記憶する、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目17)
エネルギー密度を測定する光学センサをさらに備え、前記光学センサは、前記コントローラに電気的に接続された出力を有する、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目18)
前記コントローラは、複数の変調駆動信号が、時間の関数として変化する組み合わせられた光学ビームを形成する複数の光学ビームを生成するように、複数の変調駆動信号を生成するように構成される、項目1に記載のLIDAR照明器。
(項目19)
LIDAR照明の方法であって、
a)複数のレーザ源を提供することと、
b)前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数のレーザ源に、組み合わせられた光学ビームを形成する複数の光学ビームを生成させる複数の変調駆動信号を生成することであって、測定距離における測定開口内の前記組み合わせられた光学ビームのピーク光学エネルギーは、所望の値未満である、ことと
を含む、方法。
(項目20)
前記複数のレーザ源を提供することは、複数の垂直キャビティ面発光レーザを提供することを含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、擬似ランダム時間において前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、前記複数の光学ビームのいずれも、前記測定距離における前記測定開口内で任意の特定の時間において重複しないように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、1つを上回る光学ビームが、前記時間の少なくとも一部において、前記測定距離における前記測定開口を照射するように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目24)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、前記測定距離における前記測定開口内の組み合わせられた光学ビームが、前記測定距離における前記測定開口内の前記複数の光学ビームのうちの1つのピーク光学エネルギー以下であるピーク光学エネルギーを備えるように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目25)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、前記複数の光学ビームの1つのみが、任意の特定の時間において、前記測定距離における前記測定開口を照射するように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目26)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、任意の所与の時間において、前記測定距離における前記測定開口内で時間内に重複する光学ビームが存在しないように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目27)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、前記複数の光学ビームのうちの少なくとも2つが前記測定距離における前記測定開口内で時間内に同時に重複するように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目28)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、前記複数の光学ビームのうちの少なくとも2つが前記測定距離における前記測定開口内で時間内に同時に部分的に重複するように、前記複数のレーザ源を励起するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目29)
前記測定開口は、約7mmであり、前記測定距離は、約100mmである、項目19に記載の方法。
(項目30)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、前記複数のレーザ源が、所望のパルス幅、ピークパワー、および繰り返し率を伴うパルス状光学ビームを生成し、それにより、各ビームが、前記測定距離における前記測定開口内で最大許容可能暴露(MPE)限界を超えないように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目31)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、クラス1の眼安全性である、前記測定距離における前記測定開口内にピーク光学エネルギーを伴う組み合わせられた光学ビームを生成するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目32)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、前記LIDAR照明器のリフレッシュレートを最大限にする複数の変調駆動信号を生成するように、前記複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
(項目33)
メモリにアクセスし、前記複数の変調駆動信号を取得することをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目34)
前記測定距離における前記測定開口内のエネルギー密度を測定することをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目35)
前記複数のレーザ源の各々に対し、前記複数の変調駆動信号を生成することは、複数の変調駆動信号が、時間の関数として変化する組み合わせられた光学ビームを形成する複数の光学ビームを生成するように、複数の変調駆動信号を生成することを含む、項目19に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本教示は、好ましい例示的な実施形態に応じて、そのさらなる利点とともに、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明においてさらに具体的に説明される。当業者は、以下で説明される図面は、説明のみを目的とすることを理解するであろう。図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、概して、本教示の原理を説明することに重点が置かれている。図面は、出願人の教示の範囲をどのような点からも制限することを意図しない。
【0008】
【
図1】
図1は、車両上に実装される、本教示のLIDARシステムを図示する。
【0009】
【
図2】
図2は、本教示のLIDARシステムのための最大許容可能暴露(MPE)限界を決定するための略図を図示する。
【0010】
【
図3】
図3は、本教示のLIDARシステム照明器のためのレーザアレイの実施形態を図示する。
【0011】
【
図4A】
図4Aは、個々に配列される複数のクラスタVCSELデバイスを備える、チップを図示する。
【0012】
【
図4B】
図4Bは、バーに配列される複数のクラスタVCSELデバイスを備える、チップを図示する。
【0013】
【
図4C】
図4Cは、本教示の複数のクラスタVCSELデバイスを備える、チップのアノード金属接点パッドの上面図を図示する。
【0014】
【
図4D】
図4Dは、
図4Cに図示される複数のクラスタVCSELデバイスを備える、チップのカソード金属接点パッドの底面図を図示する。
【0015】
【
図5】
図5は、本教示による、眼安全性LIDARシステムのためのコンパクトVCSELレーザドライバアセンブリの実施形態のシステムブロック図を図示する。
【0016】
【
図6A】
図6Aは、第1のレンズシステムを伴う異なる波長のVCSELの2つのアレイを使用する、本教示のLIDAR照明器の実施形態の概略図を図示する。
【0017】
【
図6B】
図6Bは、第2のレンズシステムを伴う異なる波長のVCSELの2つのアレイを使用する、本教示のLIDAR照明器の実施形態の概略図を図示する。
【0018】
【
図6C】
図6Cは、第3のレンズシステムを伴う異なる波長のVCSELの2つのアレイを使用する、本教示のLIDAR照明器の実施形態の概略図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、添付の図面に示されているその例示的な実施形態を参照しながら、本教示をより詳細に説明する。本教示は、多様な実施形態および実施例に関連して説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。そうではなく、本教示は、当業者によって理解されるように、多様な代替、変形および相当物に及ぶ。本明細書の本教示に対するアクセスを有する当業者は、本明細書に説明される本開示の範囲内である、追加の実装、修正および実施形態、および他の使用分野を認識するであろう。
【0020】
本明細書では、「一実施形態」または「ある実施形態」の言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本教示の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。本明細書内の種々の場所における語句「一実施形態では」の表出は、必ずしも全て同一実施形態を参照するわけではない。
【0021】
本教示の方法の個々のステップは、本教示が動作可能のままである限り、任意の順序でおよび/または同時に実施されることができることを理解されたい。さらに、本教示の装置および方法は、本教示が動作可能のままである限り、説明される実施形態の任意の数または全てを含むことができることを理解されたい。
【0022】
図1は、車両に実装される、本教示のLIDARシステム100の動作を図示する。LIDARシステム100は、標的場面に向かって光源によって生成された光ビーム102を投影する、時として、照明器とも称される、レーザプロジェクタを含む。LIDARシステム100はまた、その標的場面における人間106として示される物体から反射する光104を受信する、受信機を含む。LIDARシステム100はまた、反射光からオブジェクト106までの距離を算出する、コントローラを含むことができる。種々の実施形態では、コントローラは、特定のLIDAR要件に応じて、単純電気回路またはより複雑なプロセッサであることができる。加えて、LIDARシステム100はまた、所望の範囲および視野(FOV)を横断して静的パターンであり得る光の特定のパターンを走査または提供し得る要素を含む。受信機およびコントローラは、受信された信号光を、LIDARシステム範囲およびFOV内にある周囲環境の点毎3次元(3D)マップを表す、測定値に変換するために使用される。
【0023】
レーザ源および光学ビームプロジェクタおよび受信機を含む、照明器は、時として、車両108の正面側上に位置する。人間106および/または車または電柱等の別の物体は、源から受信機に反射された光を提供するであろう。その物体までの範囲または距離は、LIDAR受信機によって、反射光から決定される。LIDAR受信機は、光源から放出される光パルスの飛行時間測定に基づいて、範囲情報を計算する。
【0024】
加えて、例えば、源およびプロジェクタシステムの特定の設計から既知である、特定の範囲と関連付けられる標的平面内の場面を照明する、光学ビームプロファイルについての情報が、場面の完全なx、y、zまたは3次元写真を生成するために、反射表面についての場所情報を決定するために使用される。言い換えると、周囲環境の点毎3次元マップは、LIDARシステムの視野内の源からの照明を受信機に反射させる全ての表面からの位置情報を示す、測定データの集合を表す。このように、LIDARシステムの視野内の物体の3次元表現が、取得される。点毎3次元データマップはまた、測定点群と称され得る。
【0025】
本教示のLIDARシステムの種々の実施形態は、所望の性能に応じて、種々のレーザパルス持続時間およびレーザパルス繰り返し率を用いて動作する。一実施例は、自動車LIDARシステムの一実施形態のために要求される、サンプリングレートである。100キロメートル/時間(kph)で移動する車は、約28ミリメートル/ミリ秒(mm/msec)で進行する。2つの車が、相互に接近する場合、相対的距離は、そのレートの2倍、すなわち、56mm/msecで減少するであろう。測定点毎に50mm(約2インチ)の距離正確度を伴う、全視野を横断して正確であるシステムのために、その時間の間、完全FOVを走査することが可能である必要がある。本教示の眼安全性LIDARシステムは、他のタイプのLIDAR感知用途に適用されてもよく、車両または自動車のための感知に制限されない。
【0026】
多源かつ多波長のLIDARシステムが、本願の譲受人によって提案されている。2017年3月13日に出願され、「Multi-Wavelenght LIDAR System」と題された米国特許出願第15/456,789号を参照されたい。米国特許出願第15/456,789号の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。例証目的のために、特定の所望の3次元点毎測定場所に対応する1,000のレーザクラスタを使用する、多源LIDARシステムを仮定する。上記に説明されるように、完全FOVを横断して位置正確度を達成するために、1ミリ秒毎に1,000のレーザの全てを通して走査する必要があるであろう。単波長システムに関して、一度に1つのレーザのみを動作させ、検出することができ、これは、その測定点に関する位置情報を入手するために、レーザあたり1マイクロ秒を有することを意味する。
【0027】
本教示の多波長LIDARシステムの1つの特徴は、比較的に高リフレッシュレートを提供することである。リフレッシュレートは、時として、フレームレートとも称される。リフレッシュレートは、LIDARによって感知されている3次元または2次元場面の距離測定が更新される頻度に正比例する。本教示のいくつかの実施形態は、典型的には、30Hzのリフレッシュレートを有する、現在の低コストCMOSカメラシステムと少なくとも同一である、システムリフレッシュレートを提供する。しかしながら、リフレッシュレートは、1kHzまたはより高くあることができる。高リフレッシュレートが重要である理由を理解するために、100km/時で進行する自動車を検討する。これらの条件下、自動車は、0.1秒以内に約3メートル移動するであろう。したがって、リフレッシュレートが、わずか10Hzである場合、車の正面の物体は、その時間内に有意に移動し、分解能の有意な損失を生じさせるであろう。
【0028】
例えば、1つのフレーム内で測定されている4,096のレーザを伴う4つの波長と、1マイクロ秒のパルス持続時間とを使用する、本教示のLIDARシステムでは、リフレッシュレートは、単一システムのために1kHzとなるであろう。複数のシステムが、完全な360度視野を網羅するために使用される場合、リフレッシュレートは、依然として、1kHzである必要があるであろう。これは、測定あたり単一パルスを仮定する。しかしながら、測定あたり複数のパルスが、使用される場合、リフレッシュレートは、より低くなるであろう。
【0029】
レーザ眼安全性規制が、眼損傷を生じさせずに眼に進入する許容可能レーザ放射量に関する規格を設定するために確立されている。本規格は、レーザ光を放出する製品が、消費者が特定の製品と関連付けられた安全上のリスクを理解するような方式で標識されることを確実にする。世界で最も一般的に参照される規格は、国際電気標準会議(IEC)によって刊行されたIEC60825-1であって、これは、欧州では、EN60825-1として採用されている。米国では、レーザ製品は、CDRH21 CFR1040.10によって網羅される。EN60825-1への準拠は、米国連邦規格を満たすために容認可能として確立されている。
【0030】
レーザ眼安全性規格は、波長および最大出力パワーによって分類される、異なる安全性カテゴリを有する。本規格は、最大許容可能暴露(MPE)を定義し、これは、任意の損傷を生じさせずに完全開放瞳孔を通して通過し得る、光パワーまたはエネルギーとして規定される。MPEは、エネルギーの関数であって、したがって、レーザがパルス状である(すなわち、持続的に動作しない)システム内のレーザパルス持続時間および繰り返し率に関連する。
【0031】
クラス1レーザは、正常使用の全ての条件下で安全である。最大許容可能暴露(MPE)は、クラス1製品では、超えることができない。自動車LIDARシステムは、クラス1眼安全性であることが非常に望ましい。クラス1定格LIDARシステムでは、LIDARシステムによって生産されたレーザ光は、ヒトの眼への暴露が可能性として考えられる全ての場合においてMPEを超えないであろう。
【0032】
クラス1の眼安全性を確実にしながら、また、最高システム性能を提供するための処置が、LIDARシステムにおいて行われなければならない。システム性能は、角度分解能、リフレッシュレート、視野、および範囲等のパラメータを含んでもよい。これらの性能パラメータの多くは、直接、LIDARシステムの標的平面において生産された光学ビームのレーザパワーおよび/または強度に連結される。例えば、最良可能信号対雑音比を受信機内で有するために、また、長距離最大距離範囲を提供するために、伝送されるレーザパルスのための最高ピーク光パワーを有することが、所望される。しかしながら、クラス1の眼安全性は、各パルスの最大ピーク光パワーを制限する。
【0033】
例えば、国際電気標準会議(IEC)規格IEC60825-1から、10psec~5μsecの暴露持続時間にわたる、903-nmレーザのための許容可能暴露エネルギーは、0.392μJoulesとなるであろうと計算される。5μsec毎に伝送される持続時間5nsecの単一レーザパルスに関して、方形パルス形状がゼロ立ち上がりおよび立ち下がり時間を伴うと仮定すると、本パルスの最大ピークパワーは、78.4Wとなるであろう。5μsec毎に伝送される50-nsec持続時間を伴う方形パルスに関して、最大ピークパワーは、10分の1、すなわち、7.84Wとなるであろう。
【0034】
暴露エネルギーは、眼の完全開放瞳孔を通して通過するように計算される、エネルギーである。国際電気標準会議(IEC)規格は、測定されるべき方法に関する指示を含み、400nm~1,400nm波長の波長を伴うシステムに関して、適用される2つの条件が存在する。条件1は、開口絞りが2,000mmにおいて50mmと等しい場合に危険が増加されるような望遠鏡または双眼鏡によってコリメートされるビームに適用される。条件3は、100mmにおいて7mmの開口絞り/限界開口を画定するビームを走査するための肉眼に関する照射の決定に適用される。走査される放出のための参照点は、走査頂点(走査ビームの枢動点)である。100メートル範囲を伴う本教示によるLIDARシステムは、公称上、1マイクロ秒毎にパルスを発射し、リフレッシュレートを最大限にするであろう。本実施例では、光学ピークパワーは、1マイクロ秒毎のパルスが、パルスが5マイクロ秒毎に発射される場合の5分の1の大きさであることが必要であり得るように制約される。
【0035】
本教示の一側面は、複数のレーザを使用するLIDARシステムが、レーザが、眼安全システムを作成するように、複数の光学ビームの光パワーにおける重複を低減または実質的に排除するように励起されるように動作され得ることである。本明細書に説明されるように、MPEは、レーザアレイから100mmの距離における任意の固定7-mm開口および2,000mmの距離における50mmにおいて測定される、最大エネルギーを提供する。複数の光学ビームの重複からの特定の測定点において追加されるパワーは、光学ビーム毎に許容される最大パワーに影響を及ぼすであろう。しかしながら、測定点毎の性能、例えば、信号対雑音比は、本最大パワーによって限定されるであろう。
図2は、本概念を図示する。
【0036】
図2は、本教示のLIDARシステム照明器200のためのMPE限界を決定するための略図を図示する。いくつかの用途は、クラス1規格のためのMPE限界における特定のレーザによって生成された各ビームで動作することが望ましい。これらの実施形態では、2つのビームが、同時に動作し、重複する場合、エネルギーは、光学ビーム重複の領域内でMPE限界を超えるであろう。これらの実施形態では、重複光学ビームの問題に対する本教示による1つの解決策は、重複光学ビームを別個の時間に生成するように、レーザを励起または発射することである。このように、両ビームのエネルギーは、2つの光学ビームの重複区分に同時に提供されない。これは、両ビームが、システムが重複ビーム領域内で眼安全性限界を超えるであろう機会を伴わずに、MPEによって許容される完全エネルギーレベルで動作することを可能にする。
【0037】
LIDARシステム照明器200は、レーザアレイ204から100mmの距離202において、離散レーザ208に対応する4つのビーム206が、7mmよりさらに離れて離間されるように設計される。換言すると、光学ビーム206のいずれも、100mmの距離において、7mmより近く、したがって、それらは、100mmにおいて重複しない。本光学構成では、全4つのレーザ206は、光学ビームのうちの任意の2つが組み合わされることにより眼安全性に影響を及ぼすように個々の光学ビームのいずれかよりもより多くの光パワーを有する組み合わせられたビームを形成することなしに、同時に発射され得る。これは、各レーザが一意の波長を伴う光学ビームを放出するかどうか、または光学ビームのうちの少なくとも2つが同一波長を伴う光学ビームを放出するかどうかにかかわらず、当てはまる。本教示の走査LIDARシステムの種々の実施形態は、単一波長で動作するレーザまたはレーザアレイを備える、照明器と、複数の波長で動作するレーザまたはレーザアレイを備える、照明器とを利用する。
【0038】
数百のレーザ等の多数のレーザを利用する、本教示のLIDARシステム照明器のいくつかの実施形態では、一部のレーザからの光学ビームは、眼安全性測定開口において重複し、一部は、重複しないであろう可能性が高い。そのようなシステムでは、レーザの発射のシーケンスは、眼安全性危険を提示し得る重複ビームを防止するために、全体的にランダムであることができない。したがって、本教示の一側面は、レーザの発射の擬似ランダムシーケンスを使用する。発射のパターンは、眼安全性限界を満たす発射の許容シーケンスをもたらす、数学的ルールのセットを満たす。
【0039】
本教示の別の側面は、システムのリフレッシュレートを最大限にしながら、眼安全環境を維持するであろう、好ましい発射シーケンスを選択することである。例えば、非ランダム発射パターンは、全体的パルスレートを最大限にする一方、眼安全性環境を維持するであろうように決定されることができる。そのような発射パターンは、例えば、コントローラのファームウェア内に確立される、レーザを発射するルールのセットを通して実装され得る。
【0040】
本教示のLIDAR照明器の異なる実施形態では、各レーザ源は、光学パルスのパルス幅、繰り返し率、およびピークパワーに基づいて、特定のエネルギーを用いて光学ビームを生成する。各レーザ源によって生成された光学ビームは、測定距離に位置する平面における位置の関数として、特定のエネルギー密度を有することが、当業者によって理解される。測定距離に位置する平面における複数のレーザ源から生産された光のエネルギー密度は、光学ビームの組み合わせから生じる、平面における位置の関数としての個々のエネルギー密度の和である。眼安全性分類は、例えば、位置の関数としての組み合わせられた光学ビームの組み合わせられたエネルギー密度が、MPEを超えない、100-mm測定距離における平面を横断して7-mm開口直径内でサンプリングされる、ピークエネルギーをもたらす場合、満たされる。
【0041】
複数のレーザ源を発射する、電気信号のパターンを制御することによって、それらの複数のレーザの組み合わせられた光学ビームによって平面に生産されたエネルギー密度を制御することが可能である。特に、ある特定の測定距離における測定開口内の組み合わせられた光学ビームのピーク光学エネルギーが、所望の値未満である、組み合わせられた光学ビームを複数のレーザ源から生産することが可能である。いくつかの実施形態では、測定開口は、国際電気標準会議によって定義された7-mm開口であって、測定距離は、100mmであって、ピーク光学エネルギーは、国際電気標準会議によって定義されるような、特定のレーザ波長に基づく、MPEである。
【0042】
図3は、本教示のLIDARシステム照明器のためのレーザアレイ300の実施形態を図示する。レーザアレイ300は、それぞれ、2つの異なる波長306を伴う3つのバー304の構成における、30の個々のレーザエミッタ302から成る。本構成では、相互に直隣接する、レーザエミッタ302は、特定の眼安全性測定開口内で重複する、光学ビームを生成するであろう。直隣接しない、レーザエミッタ302によって生成された光学ビームは、重複しないであろう。リフレッシュレートは、隣接するレーザが、同時に発射され得ないが、異なる波長の非隣接レーザが、同時に発射され得る、ルールを使用することによって、眼安全性に影響を及ぼさず、最大限にされることができる。
【0043】
本発射ルールでは、
図3においてB1と標識されたバー304上のレーザ302は、
図3においてA1およびA2と標識されたバー304上のレーザ302が動作されるときは、動作され得ない。加えて、A2と標識されたバー304上のレーザ302は、B1およびB2と標識されたバー304上のレーザ302が、動作されるときは、動作され得ない。また、A1と標識されたバー304上のレーザ302は、B2と標識されたバー304上のレーザ302と同時に動作されてもよい。このように、発射ルールのシステムは、システムの最大パルスレートにおける非隣接バーの同時動作を可能にするが、眼安全性測定開口内の光学ビームにおける結果として生じるエネルギーが、最大許容可能暴露(MPE)限界を下回ることを確実にする。これは、全体的LIDARシステムのクラス1の眼安全性を確実にする。
【0044】
本教示の走査LIDARシステムのいくつかの実施形態では、レーザのための発射パターンに関するルールは、照明器から放出される照明パターンを監視することに基づいて生成される。すなわち、モニタは、ある特定の距離における特定の開口内のピークエネルギーを決定し、発射パターンが、ある特定の距離における特定の開口内のピークエネルギーが特定の値未満であることを確実にするように決定されるであろう。いくつかの実施形態では、レーザの発射パターンのためのルールは、照明器と関連付けられた任意の眼安全性測定開口内で重複する、2つ以上の光学ビームを生産する、いずれのレーザも、同時に動作されないことになるであろう。本ルールは、各レーザが眼安全性測定開口内で許容される最大エネルギーを生産した光学ビームを生成したシステムに適用されるであろう。
【0045】
本教示の別の側面は、レーザパワー動作変動および光学ビームを照明器内に位置付けるための機械的公差等の種々の動作仕様が、レーザのための発射(励起またはアクティブ化)パターンに関するルールの適切な選択肢によって達成され得ることである。
【0046】
本教示のLIDARシステムの種々の実施形態は、複数のクラスタVCSELデバイスを単一チップ上で利用する。
図4Aは、複数のクラスタVCSELデバイス402を備える、アレイ400を図示する。特に、
図4Aは、2次元アレイにおける25のクラスタVCSELデバイス402を図示する。アレイは、個々にバイアスされ得る、25の個々のクラスタVCSELデバイス402のための接点404とともに形成される。
【0047】
図4Bは、複数のクラスタVCSELデバイス452を備える、アレイ450を図示する。
図4Bは、アレイが、各バーが5つのクラスタVCSELデバイス452を含む、5つのバーを形成する、接点454と接続される5つのクラスタVCSELデバイス452を含むように配列されることを図示する。単一モノリシック2D VCSELアレイも同様に生産され得ることは、当業者に明白となるであろう。
【0048】
図4Cは、複数のクラスタVCSELデバイス474を2DモノリシックVCSELアレイ内に備える、チップ472のアノード金属接点パッド470の上面図を図示する。
図4Cに図示されるチップは、VCSELアレイを照明する上部側である。単一列内の全てのVCSELの全てのアノードは、単一金属接点とともに接続される。
【0049】
図4Dは、
図4Cに図示される複数のクラスタVCSELデバイスを備える、チップ472のカソード金属接点パッド476の底面図を図示する。単一行内の全てのカソードは、電気接続の数を低減させるように、単一金属接点とともに接続される。金属化の本パターンを用いることで、個々のVCSELデバイス474(
図4C)は、各行および列接点を所望のバイアスレベルでバイアスすることによって、動作されることができる。一般に、レーザエミッタの1つのグループのアノードが、1つの接点に接続され、レーザエミッタの第2のグループのカソードが、第2の接点に接続されると、レーザエミッタの第1および第2の両方のグループに属するそれらの個々のレーザ、すなわち、接続されたアノードおよびカソードを有するもののみが、第1および第2の接点が適切にバイアスされるときに励起されるであろう。
【0050】
5行および5列を伴う、
図4Dに示される特定の構成に関して、10の電気接続のみが、VCSELデバイス474が個々に接続される場合の25の電気接続に対して要求される。当業者は、
図12Dに示される構成が、多数の可能性として考えられる電気アドレス指定構成のうちの1つであって、本教示が、エミッタの任意の特定の行および列構成または幾何学形状に限定されないことを理解されるであろう。電気接続の数を低減させる本利点は、2D VCSELアレイのサイズが増加するにつれてより大きくなることに留意することが重要である。
【0051】
レーザエミッタの1つのグループのアノードに接続される1つの接点と、レーザエミッタの第2のグループのカソードに接続される第2の接点の使用は、接続の構成に応じた特定のバイアス条件のために、1つのレーザエミッタまたはレーザエミッタのグループを励起するために使用されることができる。種々の接点に対する種々のレーザのアノード接続および種々の接点に接続される種々のレーザのカソード接続は、発射パターンのためのルールを決定する。例えば、個々のレーザエミッタまたはともに励起されるレーザエミッタのグループの既知のパターン、およびこれらのレーザが特定の眼安全性測定開口において生成する光学ビームのエネルギーは全て、同時に発射することを可能にされる、個々のレーザまたはグループを決定するとき、発射制御スキームにおいて考慮される。
【0052】
図5は、本教示の多波長LIDARのためのコンパクトVCSELレーザドライバアセンブリ500の実施形態のシステムブロック図を図示する。本実施形態では、パルス生成チェーン502が、VCSELアセンブリ504の同一担体上でローカルで生成される。パルス生成チェーン502は、パルスコントローラ506と、メモリ508と、パルスパターン発生器510と、レーザドライバ512とを備える。レーザドライバ512は、示されるように、VCSELレーザ514に接続される。いくつかの実施形態では、レーザドライバは、複数のVCSELレーザを駆動するために使用される、共通接点に接続される。いくつかの実施形態では、パルス形状は、ローカルメモリ内に記憶され得るか、または、コントローラとパターン発生器の組み合わせによって生成され得る。
【0053】
システムプロセッサ516は、デジタル入力/出力接続518を介して接続される。システムプロセッサ516は、レーザに、発射およびその長さを命令する、命令のセットを生成する。これらの命令は、発射パターンタイプを決定するであろう。しかし、レーザの発射パターン生成およびバイアスは、VCSELアセンブリ上でローカルで行われる。レーザドライバパルスパターンをVCSELアセンブリ上でローカルで生成することは、全体的LIDARシステムに対して要求されるインターフェースを大幅に簡略化する。いくつかの実施形態では、パルスコントローラ506、メモリ508、パルスパターン発生器510、およびレーザドライバ512機能は全て、単一ICパッケージ内に含有される。種々の実施形態では、VCSELデバイスは、密閉してパッケージ化される、または密閉せずにパッケージ化されることができる。
【0054】
レーザを発射するためのルールは、走査LIDARシステム内の種々の場所内に記憶されることができる。いくつかの実施形態では、レーザを発射するためのルールは、メモリ508内に記憶される。いくつかの実施形態では、レーザを発射するためのルールは、デジタルI/O518を介して入力される。さらに他の実施形態では、レーザを発射するためのルールは、LIDARシステムの動作パラメータに基づいて、システムプロセッサ内で生成される。さらに他の実施形態では、レーザを発射するためのルールは、LIDARシステムの動作パラメータに基づいて、コントローラ内で生成される。さらに他の実施形態では、レーザを発射するためのルールは、レーザドライバアセンブリ500によって提供される出力パワー、パルス幅、および繰り返し率の変化に基づいて、経時的に変化する。
【0055】
本教示の1つの特徴は、送信機要素および/または送信機アレイの間隔、送信機要素の発射パターン、投影および/またはコリメーションのために使用される光学の組み合わせが、空間内でレーザビームが重複するであろうかどうかおよびその場所を決定することである。加えて、別個の波長を伴う別個のアレイが、使用されてもよい。
図6Aは、第1のレンズシステムを伴う異なる波長のVCSELの2つのアレイを使用する、本教示のLIDAR照明器600の実施形態の概略図を図示する。2つのVCSELアレイ602、604は、約8mmの距離606だけオフセットされる。ある場合には、VCSELの各アレイからの個々のレーザビーム608、610は、空間内で組み合わせられるであろう一方、他の場合では、レーザビーム612、614は、組み合わせられないであろうことが分かる。ビーム608、610、612、614が組み合わせられるかどうかに関する基準を決定する、幾何学的関係が、存在する。例えば、アレイ602、604間に8mmオフセット距離606を伴うと、同一公称角度において投影されるビーム(すなわち、2つの別個のアレイからのビーム608、614およびビーム612、610)は、100mmの距離618に位置付けられる7mm開口616における眼安全性限界を超えるように空間的に組み合わせられないであろう。7mm開口616のみを考慮する場合、両アレイ602、604からのVCSELの同時発射を可能にするであろう、単純ルールは、アレイ毎のレンズシステムが公称上同じであるという仮定の下、各アレイ内の同一位置を選定することになるであろう。
【0056】
しかしながら、ビームが、高度にコリメートされる場合、双眼鏡の使用に対応する他の眼安全性基準を検討する必要がある。
図6Bは、高度にコリメートされたビームを生産する第2のレンズシステムを伴う異なる波長のVCSELの2つのアレイ632、634を使用する、本教示のLIDAR照明器630の実施形態の概略図を図示する。高度にコリメートされるとき、同一投影角度を伴う2つのビームは、2,000mmにおける50mm開口内で組み合わせられるであろう。ビームが2,000mmにおける50mm開口内で組み合わせられないように、ビームは、相互に対して約1.4°異ならなければならない。したがって、
図6Bに示される実施形態では、2つのアレイ632、634からのレーザビーム636、638は、レーザ眼安全性ルールが双眼鏡の使用の条件に関して満たされるであろうように、相互に対して1.4°の角度において投影される。レーザビーム636、638は、2,000mmの距離644における50mm開口642内で重複しない。いくつかの実施形態では、
図6Bのレンズシステムは、
図6Aに関連して説明される実施形態におけるレンズシステムと同一であって、ビームが組み合わせられるかどうかを決定する投影角度は、VCSELアレイ内のレーザ要素の発射パターンに基づく。いくつかの実施形態では、投影角度はまた、レンズシステムの構成によって影響される。投影角度が決定される機構にかかわらず、レーザ眼安全性ルールを満たす非重複ビームのための条件は、相互に対して1.4°の角度640における投影である。
【0057】
図6Cは、第3のレンズシステム666を伴う異なる波長のVCSELの2つのアレイ662、664を使用する、本教示のLIDAR照明器660の実施形態の概略図を図示する。2つのアレイ662、664は、約8mmの距離668によって分離される。100mm距離672における7mm開口670から除外される角度の範囲は、
図6Cに示される。ここでは、0°~-9.5°の範囲が、下側アレイレーザビームに対する上側アレイレーザビームのために回避される必要があることが分かる。したがって、いくつかの実施形態では、2つの安全性条件を組み合わせるとき、本システムは、レーザの同時発射を実施するために、1.4°~-9.5°の範囲外の上側ビームと下側ビームとの間の相対的投影角度を利用する。
【0058】
(均等物)
本出願人の教示は、多様な実施形態に関連して説明されるが、本出願人の教示がそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。そうではなく、本出願人の教示は、多様な代替、変形および均等物に及び、当業者によって理解されるように、本教示の精神および範囲から逸脱することなくその中に作成されることが可能である。