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特許7360224温度計測装置、温度計測プログラムおよび温度計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】温度計測装置、温度計測プログラムおよび温度計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20231004BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20231004BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G01J5/48 C
G01J5/48 A
G01J5/00 101B
B21C51/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023042214
(22)【出願日】2023-03-16
(62)【分割の表示】P 2019126920の分割
【原出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2023098883
(43)【公開日】2023-07-11
【審査請求日】2023-03-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516247166
【氏名又は名称】株式会社シーピーアイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 文信
(72)【発明者】
【氏名】竹村 透
(72)【発明者】
【氏名】大隈 真治郎
(72)【発明者】
【氏名】黒木 寛
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-249637(JP,A)
【文献】特開2019-052889(JP,A)
【文献】特開2010-216858(JP,A)
【文献】特開平07-128151(JP,A)
【文献】特開2016-042246(JP,A)
【文献】特公平06-087194(JP,B2)
【文献】特開2006-177892(JP,A)
【文献】特開2008-232898(JP,A)
【文献】特開平01-105126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00-5/90
G01N 25/00-25/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して画像を得る一または複数の撮像装置に接続され、
一または複数の前記画像の所定の点の前記被写体の表面温度を特定する画像処理部と、
前記画像に対し一または複数の範囲の表面温度を有する点の集合を一または複数の領域として設定する分析処理部と、
前記領域を区別可能に表示し、前記領域の識別子を示す文字情報を前記領域ごとに重畳させた画面情報を生成し、前記表面温度を区分した所定の温度帯に前記領域が複数含まれる場合には、前記識別子を、前記温度帯ごとに前記領域が枝番となるよう設定する出力情報生成部と、を備え、
前記出力情報生成部は、さらに、前記温度帯と前記領域の組み合わせを特定する前記識別子の入力を受け付けると、該識別子により特定される前記領域の位置および範囲を示す情報を表示する別の画面情報を生成する、
とを特徴とする温度計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度計測装置であって、
前記出力情報生成部は、
前記画面情報において、複数の前記画像およびその前記領域を撮影の時系列に表示する、
ことを特徴とする温度計測装置。
【請求項3】
請求項に記載の温度計測装置であって、さらに、
複数の前記画像は、前記被写体が共通する複数の画像である、
ことを特徴とする温度計測装置。
【請求項4】
請求項に記載の温度計測装置であって、さらに、
前記被写体は、所定の工程を経る生産物であって、
前記撮像装置は、前記工程ごとに複数の前記被写体を撮影し、
複数の前記画像は、前記工程が共通する複数の画像である、
ことを特徴とする温度計測装置。
【請求項5】
請求項1に記載の温度計測装置であって、
前記画像処理部は、複数の前記画像を重ねて所定の演算により合成して合成画像を生成し、
前記分析処理部は、
前記合成画像に対して一または複数の範囲の表面温度を有する点の集合を一または複数の領域として設定し、
前記出力情報生成部は、
前記合成画像において前記領域を区別可能に表示する画面情報を生成する、
ことを特徴とする温度計測装置。
【請求項6】
請求項に記載の温度計測装置であって、さらに、
複数の前記画像は、前記被写体が共通する複数の画像である、
ことを特徴とする温度計測装置。
【請求項7】
請求項に記載の温度計測装置であって、さらに、
前記被写体は、所定の工程を経る生産物であって、
前記撮像装置は、前記工程ごとに複数の前記被写体を撮影し、
複数の前記画像は、前記工程が共通する複数の画像である、
ことを特徴とする温度計測装置。
【請求項8】
コンピューターに、温度計測をさせる温度計測プログラムであって、
前記コンピューターは、
被写体を撮影して画像を得る一または複数の撮像装置に接続され、
制御部を備え、
前記制御部に、
一または複数の前記画像の所定の点の前記被写体の表面温度を特定する画像処理ステップと、
前記画像に対し一または複数の範囲の表面温度を有する点の集合を一または複数の領域として設定する分析処理ステップと、
前記領域を区別可能に表示し、前記領域の識別子を示す文字情報を前記領域ごとに重畳させた画面情報を生成し、前記表面温度を区分した所定の温度帯に前記領域が複数含まれる場合には、前記識別子を、前記温度帯ごとに前記領域が枝番となるよう設定する出力情報生成ステップと、を実行させ、
前記出力情報生成ステップでは、前記制御部はさらに、前記温度帯と前記領域の組み合わせを特定する前記識別子の入力を受け付けると、該識別子により特定される前記領域の位置および範囲を示す情報を表示する別の画面情報を生成する、
とを特徴とする温度計測プログラム。
【請求項9】
被写体を撮影して画像を得る一または複数の撮像装置に接続された温度計測装置を用いた温度計測方法であって、
前記温度計測装置は、制御部を備え、
前記制御部は、
一または複数の前記画像の所定の点の前記被写体の表面温度を特定する画像処理ステップと、
前記画像に対し一または複数の範囲の表面温度を有する点の集合を一または複数の領域として設定する分析処理ステップと、
前記領域を区別可能に表示し、前記領域の識別子を示す文字情報を前記領域ごとに重畳させた画面情報を生成し、前記表面温度を区分した所定の温度帯に前記領域が複数含まれる場合には、前記識別子を、前記温度帯ごとに前記領域が枝番となるよう設定する出力情報生成ステップと、を実施し、
前記出力情報生成ステップでは、前記制御部はさらに、前記温度帯と前記領域の組み合わせを特定する前記識別子の入力を受け付けると、該識別子により特定される前記領域の位置および範囲を示す情報を表示する別の画面情報を生成する、
とを特徴とする温度計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度計測装置、温度計測プログラムおよび温度計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光学検出装置から入力された二次元輝度画像信号を被検査材の幅方向と移動方向に複数に分割した二次元配列データに変換し、所定の座標の温度が閾値以下か否かで傷の有無を判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-279161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術は異常のある部分、すなわち検査材の傷を検出することはできるが、検査材等の不具合の兆候を示すことはできない。
【0005】
本発明の目的は、温度の分布情報を図示して不具合の兆候を示す技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。本発明の一態様に係る温度計測装置は、被写体を撮影して画像を得る一または複数の撮像装置に接続され、一または複数の上記画像の所定の点の上記被写体の表面温度を特定する画像処理部と、上記画像に対し一または複数の範囲の表面温度を有する点の集合を一または複数の領域として設定する分析処理部と、上記領域を区別可能に表示する画面情報を生成する出力情報生成部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記の温度計測装置であって、上記出力情報生成部は、上記画面情報において、複数の上記画像およびその上記領域を撮影の時系列に表示するものであってもよい。
【0008】
また、上記の温度計測装置であって、複数の上記画像は、上記被写体が共通する複数の画像である、ことを特徴とするものであってもよい。
【0009】
また、上記の温度計測装置であって、上記被写体は、所定の工程を経る生産物であって、上記撮像装置は、上記工程ごとに複数の上記被写体を撮影し、複数の上記画像は、上記工程が共通する複数の画像である、ことを特徴とするものであってもよい。
【0010】
また、上記の温度計測装置であって、上記画像処理部は、複数の上記画像を重ねて所定の演算により合成して合成画像を生成し、上記分析処理部は、上記合成画像に対して一または複数の範囲の表面温度を有する点の集合を一または複数の領域として設定し、上記出力情報生成部は、上記合成画像において上記領域を区別可能に表示する画面情報を生成するものであってもよい。
【0011】
また、上記の温度計測装置であって、複数の上記画像は、上記被写体が共通する複数の画像である、ことを特徴とするものであってもよい。
【0012】
また、上記の温度計測装置であって、上記被写体は、所定の工程を経る生産物であって、上記撮像装置は、上記工程ごとに複数の上記被写体を撮影し、複数の上記画像は、上記工程が共通する複数の画像である、ことを特徴とするものであってもよい。
【0013】
また、本発明の別の態様にかかる温度計測装置は、被写体を撮影して画像を得る一または複数の撮像装置に接続され、一または複数の上記画像の所定の点の上記被写体の表面温度を特定する画像処理部と、上記画像上の座標値と、該座標値における上記表面温度と、を軸とする三次元ヒストグラムを表示する画面情報を生成する出力情報生成部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、上記の温度計測装置であって、上記出力情報生成部は、複数の上記画像の撮影の時系列に上記三次元ヒストグラムを表示する画面情報を生成するものであってもよい。
【0015】
また、上記の温度計測装置であって、複数の上記画像は、上記被写体が共通する複数の画像である、ことを特徴とするものであってもよい。
【0016】
また、上記の温度計測装置であって、上記被写体は、所定の工程を経る生産物であって、上記撮像装置は、上記工程ごとに複数の上記被写体を撮影し、複数の上記画像は、上記工程が共通する複数の画像である、ことを特徴とするものであってもよい。
【0017】
また、上記の温度計測装置であって、上記画像処理部は、複数の上記画像を重ねて所定の演算により合成して合成画像を生成し、上記出力情報生成部は、上記合成画像上の座標値と、該座標値における上記表面温度と、を軸とする三次元ヒストグラムを表示する画面情報を生成するものであってもよい。
【0018】
また、上記の温度計測装置であって、複数の上記画像は、上記被写体が共通する複数の画像である、ことを特徴とするものであってもよい。
【0019】
また、上記の温度計測装置であって、上記被写体は、所定の工程を経る生産物であって、上記撮像装置は、上記工程ごとに複数の上記被写体を撮影し、複数の上記画像は、上記工程が共通する複数の画像である、ことを特徴とするものであってもよい。
【0020】
また、本発明の別の態様にかかるプログラムは、コンピューターに、温度計測をさせる温度計測プログラムであって、上記コンピューターは、被写体を撮影して画像を得る一または複数の撮像装置に接続され、制御部を備え、上記制御部に、一または複数の上記画像の所定の点の上記被写体の表面温度を特定する画像処理部と、上記画像に対し一または複数の範囲の表面温度を有する点の集合を一または複数の領域として設定する分析処理部と、上記領域を区別可能に表示する画面情報を生成する出力情報生成部と、を実行させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の別の態様にかかる温度計測方法は、被写体を撮影して画像を得る一または複数の撮像装置に接続された温度計測装置を用いた温度計測方法であって、上記温度計測装置は、制御部を備え、上記制御部は、一または複数の上記画像の所定の点の上記被写体の表面温度を特定する画像処理ステップと、上記画像に対し一または複数の範囲の表面温度を有する点の集合を一または複数の領域として設定する分析処理ステップと、上記領域を区別可能に表示する画面情報を生成する出力情報生成ステップと、を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、温度の分布情報を図示して不具合の兆候を示す技術を提供することができる。
【0023】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る温度計測システム例を示す構成図である。
図2】画像記憶部のデータ構造例を示す図である。
図3】分析情報記憶部のデータ構造例を示す図である。
図4】温度計測装置のハードウェア構成例を示す図である。
図5】撮像処理のフローの例を示す図である。
図6】分析処理のフローの例を示す図である。
図7】設定値入力画面の例を示す図である。
図8】分析情報表示画面の例を示す図である。
図9】領域重畳画像画面の例を示す図である。
図10】3Dヒストグラム処理のフローの例を示す図である。
図11】3Dヒストグラム画面の例を示す図である。
図12】アニメーション表示処理のフローの例を示す図である。
図13】アニメーション画面の例を示す図である。
図14】設備状態確認処理のフローの例を示す図である。
図15】第二の実施形態に係る温度計測システム例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一態様に係る実施形態を適用した温度計測システム1について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0026】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0027】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0028】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0029】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0030】
図1は、実施形態に係る温度計測システム例を示す構成図である。温度計測システム1は、利用者が分析指示装置300を利用するが、これに限られず、分析指示装置300に利用者のスマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット装置等(以降、利用者端末と称呼)のブラウザソフトウェアやアプリケーションソフトウェアを経由して接続して利用するものであってもよい。あるいは温度計測装置100に利用者端末のブラウザソフトウェアやアプリケーションソフトウェアを経由して接続して利用するものであってもよい。
【0031】
なお、利用者端末から分析指示装置300あるいは温度計測装置100に接続する際には、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、携帯電話網等、あるいはこれらが複合した通信網であるネットワーク50を介して接続される。なお、当該ネットワーク50は、携帯電話通信網等の無線通信網上のVPN(Virtual Private Network)等であってもよい。
【0032】
温度計測装置100は、撮像装置170と、分析指示装置300とに、通信可能に有線あるいは無線で接続されている。温度計測装置100は、撮像装置170と、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface)、USB(Universal Serial Bus)、2.4GHz(ギガヘルツ)帯あるいは5GHz帯の無線通信、Bluetooth(登録商標)等の有線あるいは無線の通信路により接続される。撮像装置170は、温度計測装置100からの指示に応じて、被写体となる測定物10を撮影する。
【0033】
被写体となる測定物10には、例えば鋼板等、高温処理されて製造される生産物が含まれる。鋼板は、高温処理されるため検温を非接触で行う必要があり、かつ、例えばウォーキングビーム、搬送ロール、コンベア等を含む搬送ラインの流れを一定速度以上に保つ必要があるため停止させることができない。しかし、測定物10は、このような特性を有するものであれば、鋼板に限られるものではない。例えば、ガラス、セラミック、樹脂、冷凍食品等、製造時の温度により品質の優劣が発生するものであってもよい。またさらには、低体温症患者を効率よく発見する場合(例えば、大規模災害時のトリアージ等)においては、生体が測定物10となるものであってもよい。
【0034】
撮像装置170は、測定物10を非接触で、短時間に表面温度を測定(例えば、秒あたり8コマ測定)することのできる撮像装置である。例えば、撮像装置170は、各種の撮像素子を用いて、赤外線の放射強度を記録するサーマルカメラ装置である。
【0035】
温度計測システム1では、温度計測装置100は、分析指示装置300に対してネットワーク50を介して通信可能に接続する。
【0036】
温度計測装置100は、分析指示装置300から分析指示を受け付けると、指示に応じた分析処理を行い、その結果となる出力情報を生成して分析指示装置300に受け渡す。また、温度計測装置100は、所定のタイミングで、測定物10を撮影するよう撮像装置170に撮影を指示する。例えば、温度計測装置100は、測定物10がコンベヤで流れて所定の位置に来ると、測定物10の撮影を行う。この撮影では、露光時間が長すぎると測定物10の移動により、あるいは飽和により適切な撮影が行えず、露光時間が短すぎると光量が不足して充分なコントラストとS/N比を得られない。そのため、移動する測定物10を適切に撮影できるシャッター速度、絞り等の露出値と、測定物10までの距離に応じた被写界深度および撮影距離が制御されなければならない。この制御を、温度計測装置100が行う。ただし、これに限られず、撮像装置170が所定の固定値あるいは自動算出した値により撮影するものであってもよい。
【0037】
分析指示装置300は、利用者が指示するタイミングあるいは所定のタイミングで温度計測装置100に分析指示を出し、温度計測装置100から出力情報(例えば、画面情報)を得る。
【0038】
分析指示装置300は、いわゆるサーバー装置やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、キーボードやディスプレイ等の入出力装置を備え、ネットワーク50を介して温度計測装置100に接続可能である。
【0039】
温度計測装置100は、記憶部110と、制御部120と、入力部130と、出力部140と、カメラIF(インターフェース)部150と、通信部160と、撮像装置170と、を備える。記憶部110には、画像記憶部111と、分析情報記憶部112と、が含まれる。
【0040】
図2は、画像記憶部のデータ構造例を示す図である。画像記憶部111には、画像ID111Aと、撮影日時111Bと、画像データ111Cと、測定対象ID111Dと、撮像パス数111Eと、が含まれる。
【0041】
画像ID111Aは、撮像装置170が測定物10を撮像した結果得られる画像を特定する情報である。撮影日時111Bは、撮像装置170が測定物10を撮像した日時を特定する情報である。画像データ111Cは、撮像装置170が測定物10を撮像した結果得られる画像データ(静止画)である。測定対象ID111Dは、測定物10の個体を特定する情報である。撮像パス数111Eは、測定物10の個体が、どの工程で撮影されたのかを特定する情報である。
【0042】
図3は、分析情報記憶部のデータ構造例を示す図である。分析情報記憶部112には、画像ID112Aと、温度帯識別子112Bと、温度帯(低、高)112Cと、検出領域数112Dと、検出領域ID112Eと、中心座標112Fと、範囲112Gと、面積112Hと、が含まれる。
【0043】
画像ID112Aは、撮像装置170が測定物10を撮像した結果得られる画像を特定する情報であり、画像記憶部111の画像IDと同じである。温度帯識別子112Bは、所定の温度帯についてラベリングする情報である。温度帯(低、高)112Cは、温度帯すなわち最低温度と最高温度とを特定する情報である。検出領域数112Dは、被写体のうち、温度帯識別子112Bにより特定される温度帯に属する領域の数を特定する情報である。検出領域ID112Eは、領域を他の領域から識別する情報である。中心座標112Fと、範囲112Gと、面積112Hとは、領域の中心となる座標と、その中心座標からその領域の範囲を特定する情報と、その領域の面積と、を特定する情報である。
【0044】
分析情報は、一つの画像について、検出した領域数N(Nは自然数)が1:Nの関係となるよう構成される。すなわち、検出領域数112Dの値に応じて、検出領域ID112E、中心座標112F、範囲112G、面積112Hのセットが0あるいは一以上対応付けられる。
【0045】
図1の説明に戻る。制御部120には、カメラ制御部121と、画像処理部122と、分析処理部123と、出力情報生成部124と、が含まれる。カメラ制御部121は、撮像装置170に対して、撮像に関する指示(例えば、画角、撮影距離に合うピント位置、絞り値、露光時間、データサイズ、キャプチャータイミング、露出補正、コントラスト設定、トリムレート等)やデータ通信の制御を行う処理部である。
【0046】
画像処理部122は、カメラ制御部121が撮像して得た情報から画像データを生成する処理部である。具体的には、画像処理部122は、撮像装置170から撮像素子のRAWデータを取得して、現像処理を行い、画像記憶部111に格納する。また、すでに保存された現像済みの画像データについて、座標ごとの温度を特定し、他の画像との各種演算処理等を行う。
【0047】
分析処理部123は、画像データに対して、所定の範囲の表面温度を有する点の集合を領域として設定する。
【0048】
出力情報生成部124は、分析処理部123が設定した領域を区別可能に表示する画面情報を生成する。例えば、出力情報生成部124は、分析処理部123が設定した領域ごとに表示色を異ならせて画像に重畳して表示する画面情報を生成する。しかしこれに限られず、例えば、出力情報生成部124は、分析処理部123が設定した領域ごとに濃淡を異ならせて画像に重畳して表示する画面情報を生成してもよいし、分析処理部123が設定した領域ごとにハッチングの表記を異ならせて画像に重畳して表示する画面情報を生成してもよい。他にも、出力情報生成部124は、分析処理部123が設定した領域ごとに輪郭線を抽出して画像に重畳して表示する画面情報を生成してもよい。また、出力情報生成部124は、さらに、画像上の二次元の座標値と、該座標値における表面温度と、を軸とする三次元ヒストグラムを表示する画面情報を生成する。また、出力情報生成部124は、さらに、被写体が共通する画像を一つまたは複数特定し、各画像上の二次元の座標値と、該座標値における表面温度と、を軸とする三次元ヒストグラムを撮影時刻順に表示する画面情報を生成する。
【0049】
またさらに、出力情報生成部124は、同一の工程ごとに複数の測定物10の画像を測定物10の位置、大きさが共通するよう補正した上で重ねて合成(レイヤー処理)して合成画像を生成し、合成画像に対して上記した各種の画面情報を生成する。なお、出力情報生成部124は、同一の工程ごとに複数の測定物の画像を重ねて合成(レイヤー処理)して合成画像を生成するだけでなく、同一の工程ごとに複数の測定物10の画像を測定物10の位置、大きさが共通するよう補正した上で各種の演算(例えば、論理和、論理積、排他的論理和、偏差値算出、差分算出等)を行って合成画像を生成する。
【0050】
入力部130は、温度計測装置100への利用者からの入力を受け付ける。例えば、入力部130は、受け付けたタイピングやタッチ、フリック入力等の各種の接触入力、あるいは音声入力、または視線入力等の各種の入力を受け付ける。
【0051】
出力部140は、温度計測装置100からの利用者への出力を行う。出力される情報は、画面、帳票等の各種出力情報である。
【0052】
カメラIF部150は、HDMIケーブル等を用いた有線接続、あるいはBluetooth等の無線接続を介して撮像装置170との接続管理および通信処理を行う。
【0053】
通信部160は、ネットワーク50を介して他の装置との間で通信を行う。その通信には、TCP/IPプロトコルによるパケット通信を採用するが、これに限られるものではない。
【0054】
図4は、温度計測装置のハードウェア構成例を示す図である。温度計測装置100は、いわゆるサーバー装置、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、スマートフォンあるいはタブレット端末の筐体により実現されるハードウェア構成を備える。温度計測装置100は、演算装置101と、主記憶装置102と、補助記憶装置103と、入力装置104と、表示装置105と、有線通信装置106と、無線通信装置107と、各装置をつなぐバス108と、を備える。
【0055】
演算装置101は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置である。
【0056】
主記憶装置102は、例えばRAM(Random Access Memory)などのメモリ装置である。
【0057】
補助記憶装置103は、デジタル情報を記憶可能な、いわゆるハードディスク(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)あるいはフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。
【0058】
入力装置104は、キーボードやマウス、タッチパネル、マイクのいずれかまたは複数の入力を受け付ける装置である。表示装置105は、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の各種出力装置のいずれかまたは複数の表示を行う装置である。
【0059】
有線通信装置106は、ネットワークを介して他の装置と通信するネットワークインターフェースカード(NIC)や、HDMIケーブルを介して他の装置と通信するボード等である。
【0060】
無線通信装置107は、無線ネットワークを介して他の装置と無線により通信するアンテナ装置や、一対一の無線通信により他の装置と通信する通信モジュール等である。
【0061】
上記した温度計測装置100のカメラ制御部121と、画像処理部122と、分析処理部123と、出力情報生成部124とは、演算装置101に処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは、主記憶装置102、補助記憶装置103または図示しないROM装置内に記憶され、実行にあたって主記憶装置102上にロードされ、演算装置101により実行される。
【0062】
また、温度計測装置100の記憶部110は、主記憶装置102及び補助記憶装置103により実現される。また、入力部130および出力部140は、入力装置104、表示装置105によりそれぞれ実現される。カメラIF部150は、有線通信装置106または無線通信装置107により実現される。通信部160は、有線通信装置106または無線通信装置107により実現される。以上が、温度計測装置100のハードウェア構成例である。
【0063】
温度計測装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0064】
また、各制御部(カメラ制御部121と、画像処理部122と、分析処理部123と、出力情報生成部124)は、それぞれの機能を実現する専用のハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各制御部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0065】
なお、分析指示装置300についても、基本的に温度計測装置と同様のハードウェア構成を備える。
【0066】
次に、本実施形態における温度計測システム1の動作を説明する。
【0067】
図5は、撮像処理のフローの例を示す図である。撮像処理は、温度計測装置100が撮像装置170へ定期的に、あるいはリアルタイムで撮像を指示することで開始される。
【0068】
まず、温度計測装置100は、撮像指示を撮像装置170に送信する(ステップS001)。具体的には、温度計測装置100のカメラ制御部121が、カメラIF部150を介して撮像装置170に撮像指示を出す。その指示には、各種の撮像装置170の制御のための指示群が含まれうる。例えば、撮像指示には、必要に応じて画角の調整指示や、撮影距離に応じたピント調整指示が含まれ、少なくとも撮像のタイミングを決定する指示が含まれる。
【0069】
そして、撮像装置170は、測定物10の撮像を行う(ステップS002)。そして、撮像装置170は、撮像画像を温度計測装置100に送信する(ステップS003)。具体的には、撮像画像は撮像素子から出力されたRAW(生)データあるいは現像済みの各種一般的な画像データ(BMP、JPEG、PNG、MPEG、AVI、MOV等)である。
【0070】
そして、温度計測装置100は、送信された撮像画像を記憶する(ステップS004)。具体的には、カメラ制御部121は、受信した撮像画像に画像ID111Aを付与して画像データ111Cとして画像記憶部111に格納する。
【0071】
そして、画像処理部122は、撮影日時111Bと、測定対象ID111Dと、撮像パス数111Eとを、関連付けて記憶する(ステップS005)。具体的には、画像処理部122は、所定の図示しない工程管理装置等から日時、測定対象ID、撮像パスの情報を取得して、画像記憶部111に格納する。
【0072】
以上が、撮像処理のフローの例である。撮像処理によれば、温度計測装置100からの指示タイミングに応じて、撮像装置170に測定物10を撮像させることができる。なお、鋼板製造の場合、測定物10である鋼板は、コンベヤで運ばれて常に移動しているため、撮像装置170がワンショットで撮影する場合には、撮像タイミングは厳密に制御されなければ適切な画像を得にくい。そのため、撮像装置170が映像を動画形式でリアルタイムに温度計測装置100に送信し、カメラ制御部121が適切な映像を選択的に得る(スナップショットする)ことで撮像してもよい。
【0073】
図6は、分析処理のフローの例を示す図である。分析処理は、分析指示装置300が温度計測装置100へ定期的に、あるいはリアルタイムで分析を指示することで開始される。
【0074】
まず、分析指示装置300は、分析に関連する設定値を受け付ける(ステップS101)。具体的には、分析指示装置300は、利用者から温度帯識別子あるいは温度帯の指定入力と分析対象の撮像画像を指定する画像IDとを受け付ける。
【0075】
そして、分析指示装置300は、温度計測装置100に分析を指示する(ステップS102)。具体的には、分析指示装置300は、受け付けた分析の設定値および分析指示を温度計測装置100に送信する。
【0076】
そして、温度計測装置100は、分析対象の撮像画像を読み出す(ステップS103)。具体的には、画像処理部122は、分析の設定値に含まれる分析対象の撮像画像の画像IDをキーとして、画像記憶部111から画像データ111Cおよびその関連情報を読み出す。
【0077】
そして、温度計測装置100は、温度帯識別子ごとに閉領域を特定する(輪郭、着色範囲を特定する)(ステップS104)。具体的には、画像処理部122は、画像の各座標における遠赤外線強度に基いて温度を特定し、受信した温度帯識別子で特定される温度帯、あるいは指定された温度帯に属する座標を特定し、座標の集合に応じて閉領域の輪郭、中心座標、範囲、面積等の分析情報を算出する。
【0078】
そして、温度計測装置100は、表示対象の各温度帯識別子の閉領域を重畳させる(ステップS105)。具体的には、出力情報生成部124は、分析対象の画像についてステップS104にて特定した閉領域について所定の着色したレイヤーを重ねることで重畳画像を作成する。そして、出力情報生成部124は、生成した分析情報と、重畳画像とを含む画面情報を分析指示装置300に送信する。
【0079】
そして、分析指示装置300は、閉領域の分析情報と領域重畳画像とを表示させる(ステップS106)。具体的には、分析指示装置300は、ステップS105で送信された画面情報を表示させる。
【0080】
以上が、分析処理のフローの例である。分析処理によれば、分析指示装置300からの指示タイミングに応じて、温度計測装置100に測定物10の温度の分析をさせ、所定の温度帯に属する部位(範囲)を視覚的に確認することができる。
【0081】
なお、上記の分析処理の例は、これに限られず、例えば読み出す分析対象の撮像画像を複数として、各画像について閉領域を特定し、温度帯の表示を重畳させ、これを水平方向あるいは垂直方向に並列させる画面情報を生成するようにしてもよい。また例えば、読み出す分析対象の撮像画像を複数として、各画像について閉領域を特定し、温度帯の表示を重畳させ、これをアニメーション等の時系列に表示させるように表示する画面情報を生成するようにしてもよい(後述のアニメーション表示処理およびその変形例にて詳述する)。また例えば、読み出す分析対象の撮像画像を複数として、各画像を所定の演算により合成して合成画像を生成し、その合成画像に対して閉領域を特定し、温度帯の表示を重畳させるように表示する画面情報を生成するようにしてもよい。
【0082】
また、読み出す分析対象の撮像画像を複数とする場合に、撮像画像を、任意の複数画像としてもよいし、被写体である測定物10(測定対象ID)が共通する複数画像としてもよいし、工程(撮像パス数)が共通する複数画像としてもよい。
【0083】
図7は、設定値入力画面の例を示す図である。設定値入力画面500は、分析処理のステップS101にて分析処理の設定値を受け付ける画面の例である。設定値入力画面500には、温度帯識別子表示領域501と、温度帯(最低)入力受付領域502と、温度帯(最高)入力受付領域503と、温度帯設定・測定ボタン504と、第二の温度帯識別子表示領域511と、第二の温度帯(最低)入力受付領域512と、第二の温度帯(最高)入力受付領域513と、第二の温度帯設定・測定ボタン514と、閉じるボタン515と、が含まれる。
【0084】
温度帯識別子表示領域501および第二の温度帯識別子表示領域511は、温度帯識別子が表示される領域である。温度帯(最低)入力受付領域502および第二の温度帯(最低)入力受付領域512は、温度帯識別子で識別される温度帯の下限値の指定入力を受け付ける。温度帯(最高)入力受付領域503および第二の温度帯(最高)入力受付領域513は、温度帯識別子で識別される温度帯の上限値の指定入力を受け付ける。温度帯設定・測定ボタン504および第二の温度帯設定・測定ボタン514は、それぞれ入力を受け付けると、温度帯および第二の温度帯のうち下限値および上限値が入力された温度帯について、分析処理のステップS102から処理を開始する。
【0085】
閉じるボタン515は、入力を受け付けると、分析の設定値および分析結果の格納指示を分析処理部123に送信して、設定値入力画面500を閉じる。分析処理部123は、分析結果の格納指示を受け付けると、分析情報記憶部112に分析結果を格納する。
【0086】
図8は、分析情報表示画面の例を示す図である。分析情報表示画面500´は、基本的には設定値入力画面500と同様の画面構成を備えるが、分析した結果の情報が表示される領域に分析結果として温度計測装置100から受け渡された値が表示された状態を示す画面である。分析情報表示画面500´には、設定値入力画面500に示された構成要素に加えて、測定結果表示領域551と、第二の測定結果表示領域561と、が含まれる。
【0087】
測定結果表示領域551には、領域数表示領域552と、領域番号指定受付領域553と、面積表示領域554と、中心X座標表示領域555と、中心Y座標表示領域556と、領域の幅表示領域557と、領域の高さ表示領域558とが含まれる。また、第二の測定結果表示領域561についても同様に、領域数表示領域562と、領域番号指定受付領域563と、面積表示領域564と、中心X座標表示領域565と、中心Y座標表示領域566と、領域の幅表示領域567と、領域の高さ表示領域568とが含まれる。
【0088】
領域数表示領域552および領域数表示領域562は、指定温度帯に該当する領域数の分析結果が示される。領域番号指定受付領域553および領域番号指定受付領域563は、領域番号(検出領域ID)の指定を受け付け、当該検出領域の分析結果を面積表示領域554(564)と、中心X座標表示領域555(565)と、中心Y座標表示領域556(566)と、領域の幅表示領域557(567)と、領域の高さ表示領域558(568)とに表示させる。
【0089】
面積表示領域554および面積表示領域564は、領域番号指定受付領域553および領域番号指定受付領域563がそれぞれ受け付けた領域番号に相当する領域の面積が表示される。
【0090】
中心X座標表示領域555および中心X座標表示領域565は、領域番号指定受付領域553および領域番号指定受付領域563がそれぞれ受け付けた領域番号に相当する領域の中心X座標が表示される。
【0091】
中心Y座標表示領域556および中心Y座標表示領域566は、領域番号指定受付領域553および領域番号指定受付領域563がそれぞれ受け付けた領域番号に相当する領域の中心Y座標が表示される。
【0092】
領域の幅表示領域557および領域の幅表示領域567は、領域番号指定受付領域553および領域番号指定受付領域563がそれぞれ受け付けた領域番号に相当する領域の幅が表示される。
【0093】
領域の高さ表示領域558および領域の高さ表示領域568は、領域番号指定受付領域553および領域番号指定受付領域563がそれぞれ受け付けた領域番号に相当する領域の高さが表示される。
【0094】
図9は、領域重畳画像画面の例を示す図である。領域重畳画像画面600は、撮像した画像表示領域601と、当該画像のうち指定の温度帯に属する領域に所定の着色を施した領域とが重畳されて表示される。
【0095】
温度帯識別子ごとに異なる表示色が所定のルールにより決定され、画像表示領域601に重畳される。この例では、温度帯識別子が「WARN(最低摂氏630度~最高摂氏780度)」である温度帯が、「1-01」611と、「1-02」613と、「1-03」612と、の三箇所に表示されている。また、温度帯識別子が「ERR(最低摂氏500度~最高摂氏630度)」である温度帯が、「2-01」621と、「2-02」622と、の二箇所に表示されている。
【0096】
領域重畳画像画面600によれば、視覚的に指定温度帯の領域を確認することができるため、測定物10の温度異常の判断や測定物10の熱の制御装置(例えば加熱装置や冷却装置)の異常の発生の判断を容易に行うことが可能となる。
【0097】
図10は、3Dヒストグラム処理のフローの例を示す図である。3Dヒストグラム処理は、分析指示装置300が温度計測装置100へ定期的に、あるいはリアルタイムで分析を指示することで開始される。
【0098】
まず、分析指示装置300は、分析に関連する設定値を受け付ける(ステップS201)。具体的には、分析指示装置300は、利用者から3Dヒストグラムの分析対象の撮像画像を指定する画像IDを受け付ける。
【0099】
そして、分析指示装置300は、温度計測装置100にヒストグラム作成を指示する(ステップS202)。具体的には、分析指示装置300は、受け付けた画像IDおよび作成指示を温度計測装置100に送信する。
【0100】
そして、温度計測装置100は、分析対象の撮像画像を読み出す(ステップS203)。具体的には、画像処理部122は、画像IDをキーとして、画像記憶部111から画像データ111Cおよびその関連情報を読み出す。
【0101】
そして、温度計測装置100は、(X,Y)座標の温度Zを座標ごとに算出する(ステップS204)。具体的には、画像処理部122は、画像の各座標における遠赤外線強度に基いて温度Zを特定する。
【0102】
そして、温度計測装置100は、(X,Y,Z)に応じた3Dヒストグラムを生成する(ステップS205)。具体的には、出力情報生成部124は、ステップS204にて特定した温度ZをZ軸として、画像の(X,Y)座標をそれぞれX軸、Y軸上にプロットした点を用いて3Dヒストグラム画像を含む画面情報を作成し、分析指示装置300に送信する。
【0103】
そして、分析指示装置300は、3Dヒストグラムを表示させる(ステップS206)。具体的には、分析指示装置300は、ステップS205で送信された画面情報を表示させる。
【0104】
以上が、3Dヒストグラム処理のフローの例である。3Dヒストグラム処理によれば、分析指示装置300からの指示タイミングに応じて、温度計測装置100に測定物10の温度の3Dヒストグラムを作成させ、測定物の位置と温度の関係を視覚的に確認することができる。
【0105】
なお、上記の3Dヒストグラム処理の例は、これに限られず、例えば読み出す分析対象の撮像画像を複数として、各画像について温度Zを特定し、3Dヒストグラム画像を作成し、これを水平方向あるいは垂直方向に並列させる画面情報を生成するようにしてもよい。また例えば、読み出す分析対象の撮像画像を複数として、各画像について温度Zを特定し、3Dヒストグラム画像を作成し、これをアニメーション等の時系列に表示させるように表示する画面情報を生成するようにしてもよい。また例えば、読み出す分析対象の撮像画像を複数として、各画像を所定の演算により合成して合成画像を生成し、その合成画像に対して温度Zを特定し、3Dヒストグラム画像を作成し、作成した3Dヒストグラム画像を表示する画面情報を生成するようにしてもよい。
【0106】
また、読み出す分析対象の撮像画像を複数とする場合に、撮像画像を、任意の複数画像としてもよいし、被写体である測定物10(測定対象ID)が共通する複数画像としてもよいし、工程(撮像パス数)が共通する複数画像としてもよい。
【0107】
図11は、3Dヒストグラム画面の例を示す図である。3Dヒストグラム画面700には、3Dヒストグラム表示が含まれる。この例では、X軸、Y軸を底面の二軸として、Z軸を高さ方向に取ることで温度の高さを頂の高さで表現している。従って、温度の分布が一目のもとに理解可能となり、測定物10の温度異常が容易に検出可能となる。
【0108】
図12は、アニメーション表示処理のフローの例を示す図である。アニメーション表示処理は、分析指示装置300が温度計測装置100へ定期的に、あるいはリアルタイムで分析を指示することで開始される。
【0109】
まず、分析指示装置300は、分析に関連する設定値を受け付ける(ステップS301)。具体的には、分析指示装置300は、利用者から温度帯識別子あるいは温度帯の指定入力とアニメーション表示対象の測定物10を指定する測定対象IDを受け付ける。
【0110】
そして、分析指示装置300は、温度計測装置100にアニメーション作成を指示する(ステップS302)。具体的には、分析指示装置300は、受け付けた温度帯識別子あるいは温度帯の指定入力と、測定対象IDおよびアニメーション作成指示を温度計測装置100に送信する。
【0111】
そして、温度計測装置100は、指定された測定対象IDを有する撮像画像の全てを読み出す(ステップS303)。具体的には、画像処理部122は、測定対象ID111Dをキーとして、画像記憶部111から画像データ111Cおよびその関連情報を読み出す。
【0112】
そして、温度計測装置100は、画像ごとに温度帯識別子ごとに閉領域を特定する(輪郭、着色範囲を特定する)(ステップS304)。具体的には、画像処理部122は、画像ごとに、各座標における遠赤外線強度に基いて温度を特定し、受信した温度帯識別子で特定される温度帯、あるいは指定された温度帯に属する座標を特定し、座標の集合に応じて閉領域の輪郭、中心座標、範囲、面積等の分析情報を算出する。
【0113】
そして、温度計測装置100は、表示対象の各温度帯識別子の閉領域を重畳させる(ステップS305)。具体的には、出力情報生成部124は、画像ごとに、ステップS304にて特定した閉領域について所定の着色を施したレイヤーを重ねることで重畳画像を作成する。
【0114】
そして、温度計測装置100は、画像間で測定対象の基準位置と大きさ(縮尺)、回転角を統一する(ステップS306)。具体的には、出力情報生成部124は、画像に含まれる測定対象の特徴点を一致させるように、画像の位置と大きさ、回転量を画像ごとに特定する。
【0115】
そして、温度計測装置100は、閉領域が重畳された画像を時系列に繋げる(ステップS307)。具体的には、出力情報生成部124は、閉領域が重畳された画像を時系列に繋げて画像重畳列(アニメーション)を生成し、分析指示装置300に送信する。
【0116】
そして、分析指示装置300は、重畳画像列をアニメーション表示させる(ステップS308)。具体的には、分析指示装置300は、ステップS307で送信された重畳画像列を時系列に沿って表示を順次切り替えることで、アニメーションとして表示させる。
【0117】
以上が、アニメーション表示処理のフローの例である。アニメーション表示処理によれば、分析指示装置300からの指示タイミングに応じて、温度計測装置100に測定物10の温度のアニメーション画像を作成させ、測定物の位置と温度の変化を視覚的に確認することができる。なお、アニメーション表示処理のステップS308では、アニメーションを自動再生する表示に限られず、コマ送りや、早送り、巻き戻し、一時停止、静止画を手動で時系列に沿って切り替える表示(例えば、マウスホイールの回転量および角速度に応じて早送りまたは巻き戻す表示)とするようにしてもよい。
【0118】
図13は、アニメーション画面の例を示す図である。アニメーション画面800は、測定対象を固定して、その表面温度の変化を時系列に表示する画面である。アニメーション画面800には、領域重畳画像801に指定の温度帯に属する領域へ所定の着色を施した領域が重畳されて表示される。また、アニメーション画面800には、アニメーションの進行を制御する再生/停止入力ボタン802と、早送りボタン803と、巻き戻しボタン804と、進行度合いを示すプログレスバー805と、が含まれる。
【0119】
図14は、設備状態確認処理のフローの例を示す図である。設備状態確認処理は、分析指示装置300が温度計測装置100へ定期的に、あるいはリアルタイムで分析を指示することで開始される。
【0120】
まず、分析指示装置300は、分析に関連する設定値を受け付ける(ステップS401)。具体的には、分析指示装置300は、利用者から温度帯識別子あるいは温度帯の指定入力と、所定の工程を特定する撮像パス数を受け付ける。
【0121】
そして、分析指示装置300は、温度計測装置100に設備状態画像の作成を指示する(ステップS402)。具体的には、分析指示装置300は、受け付けた温度帯識別子あるいは温度帯の指定入力と、撮像パス数および設備状態画像作成指示を温度計測装置100に送信する。
【0122】
そして、温度計測装置100は、指定された撮像パスを有する撮像画像の全てを読み出す(ステップS403)。具体的には、画像処理部122は、撮像パス数111Eをキーとして、画像記憶部111から画像データ111Cおよびその関連情報を読み出す。
【0123】
そして、温度計測装置100は、画像のピクセル値を画像枚数で除し、画像間(異なる測定対象の画像)で加算して合成画像を得る(ステップS404)。すなわち、画像処理部122は、異なる測定物10の対応するピクセル間で、画像のピクセル値が飽和しないように加算して合成画像を得る。
【0124】
そして、温度計測装置100は、合成画像について、温度識別子ごとに閉領域を特定する(輪郭、着色範囲を特定する)(ステップS405)。具体的には、画像処理部122は、ステップS404で得た合成画像について、各座標におけるピクセル値に基いて温度を特定し、受信した温度帯識別子で特定される温度帯、あるいは指定された温度帯に属する座標を特定し、座標の集合に応じて閉領域の輪郭、中心座標、範囲、面積等の分析情報を算出する。
【0125】
そして、温度計測装置100は、表示対象の各温度帯識別子の閉領域を重畳させる(ステップS406)。具体的には、出力情報生成部124は、合成画像に、ステップS405にて特定した閉領域について所定の着色を施したレイヤーを重ねることで重畳画像を作成する。そして、出力情報生成部124は、生成した分析情報と、重畳画像とを含む画面情報を分析指示装置300に送信する。
【0126】
そして、分析指示装置300は、閉領域の分析情報と領域重畳画像とを表示させる(ステップS407)。具体的には、分析指示装置300は、ステップS406で送信された画面情報を表示させる。
【0127】
以上が、設備状態確認処理のフローの例である。設備状態確認処理によれば、分析指示装置300からの指示タイミングに応じて、温度計測装置100に異なる測定物10の同じ工程における温度の分析をさせ、所定の温度帯に属する部位(範囲)を視覚的に確認することができる。そのため、測定物10の個体差によらず、測定物10に共通する工程において用いる設備の不具合や劣化を早期あるいは未然に、容易に検出することができる。
【0128】
以上の実施形態のように、温度計測システム1によれば、温度の分布情報を図示して、生産物および生産に用いる設備の不具合の兆候を示すことができる。
【0129】
本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記の実施形態においては、温度計測装置100は、画像情報を自装置の記憶部に格納しているが、これに限られない。例えば、ネットワーク50を介して通信可能に接続されるストレージ装置に格納するものであってもよい。このようにした場合、複数の温度計測装置100からの撮像情報を集中管理することができる。そのため、規模の大きな生産現場でも容易に実現できる。
【0130】
図15は、第二の実施形態に係る温度計測システム例を示す構成図である。第二の実施形態に係る温度計測システム1´においては、ストレージ装置200がネットワーク50を介して温度計測装置100´と通信可能に接続される。ストレージ装置200は、温度計測装置100´から画像を受け付けて格納し、温度計測装置100´からの要求に応じて画像を取り出す点で、第一の実施形態と差異がある。ストレージ装置200は、記憶部210と、通信部220と、を備え、記憶部210には画像記憶部211と分析情報記憶部212とが格納される。画像記憶部211と分析情報記憶部212とは、第一の実施形態に係る温度計測装置100の画像記憶部111と分析情報記憶部112と同様のデータ構造を備える。
【0131】
また、温度計測装置100´の画像処理部122´と、分析処理部123´とは、基本的に第一の実施形態に係る温度計測装置100の画像処理部122と、分析処理部123と同様であるが、画像データへのアクセスを記憶部110に行わないで、ストレージ装置200の記憶部210に行う点で差異が有る。あるいは、これに限られず、キャッシュ情報として温度計測装置100´が記憶部110を備え、直近の撮像データあるいは表示情報に関する情報は記憶部110にキャッシュし、所定の期間が過ぎる、あるいは所定の容量を超えると過去分をストレージ装置200に移動または複写するようにしてもよい。このようにすることで、応答性の低下を避けることができる。
【0132】
以上が、第二の実施形態に係る温度計測システム例である。第二の実施形態に係る温度計測システム1´によれば、データをストレージ装置200に集約して管理できるため、温度計測装置100´を複数設けその数を増減させることが容易に可能となる。そのため、システムのスケーラビリティが高くなり、システムの維持管理にかかるコスト(TCO:Total Cost of Ownership)を抑えることができる。
【0133】
また例えば、温度計測装置100に接続される撮像装置170が複数ある場合であっても、各撮像装置170の画像に対して同一の測定物10に同一の測定対象IDを付与して、撮像パス数が重複しないように画像処理部122が制御することで、実装可能となる。
【0134】
また例えば、上述の設備状態確認処理では、出力情報生成部124は、同一の工程ごとに複数の測定物の画像を重ねて合成(レイヤー処理)して合成画像を生成しているが、これに限られず、各種の演算(例えば、論理和、論理積、排他的論理和、論理否定、偏差値算出、差分算出等)を適宜行って合成画像を生成するようにしてもよい。
【0135】
また例えば、測定物10の仕様から導かれる理想的な温度分布データを予め記憶部110に保持しておき、分析処理部123は、測定物10を撮像したデータと理想的な温度分布データとの差分、あるいは比率において著しく乖離する部位を特定し、出力情報生成部124は、当該部位を異常が検出された領域として撮像データ上で強調表示する画面を生成し利用者端末において出力するようにしてもよい。さらに、異常が発生したことを警報や電子メール等の各種の報知手段により報知するようにしてもよい。
【0136】
また、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品のような複数の部分に分けられて適用されるようにしてもよい。
【0137】
以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0138】
1,1´・・・温度計測システム、10・・・測定物、50・・・ネットワーク、100・・・温度計測装置、110・・・記憶部、111・・・画像記憶部、112・・・分析情報記憶部、120・・・制御部、121・・・カメラ制御部、122・・・画像処理部、123・・・分析処理部、124・・・出力情報生成部、130・・・入力部、140・・・出力部、150・・・カメラIF部、160・・・通信部、170・・・撮像装置、300・・・分析指示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15