(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】スピーカー装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
H04R1/02 101Z
(21)【出願番号】P 2023541601
(86)(22)【出願日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2022047892
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2022044762
(32)【優先日】2022-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509233655
【氏名又は名称】河邉 倉司
(74)【代理人】
【識別番号】100181582
【氏名又は名称】和田 直斗
(72)【発明者】
【氏名】河邉 倉司
【審査官】上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/073431(WO,A1)
【文献】特開2000-125387(JP,A)
【文献】米国特許第6062338(US,A)
【文献】特開平09-009384(JP,A)
【文献】特開2021-197666(JP,A)
【文献】Sound KOUBE,Facebook,[オンライン],2021年09月01日,インターネット:<URL:https://www.facebook.com/SoundKoube/posts/pfbid02MhYVDaJ7U8FwgvCZoApB3sLwd9RPWzgBXVAWXHpWswNtZasoVwM96vSpfvzoXnN1l>,[検索日:2023年9月7日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された筐体と、
前記筐体内を第1内部空間と第2内部空間とに区画する区画部と、
前記筐体の前記第1内部空間側に設けられた少なくとも1つのスピーカーユニットと、を備え、
前記区画部は、少なくとも1つの貫通孔が設けられた基部と、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状であり、前記基部から前記第1内部空間側又は前記第2内部空間側に膨らみ、頂部に前記第1内部空間と前記第2内部空間とを連通する連通孔が設けられた少なくとも1つのドーム部と、を有し、
前記少なくとも1つのドーム部には、前記連通孔の位置から前記第1内部空間側及び前記第2内部空間側の少なくとも一方に突出するように延びる第1筒状部が設けられ、
前記第1筒状部は、一端が前記第1内部空間に開口し、他端が前記第2内部空間に開口し、
前記基部には、前記少なくとも1つの貫通孔の位置から少なくとも前記第1内部空間側に突出するように延びる第2筒状部が設けられ、
前記第2筒状部は、一端が前記第2内部空間に開口し、他端が閉塞されている、
スピーカー装置。
【請求項2】
前記第1筒状部は、前記少なくとも1つのドーム部の前記連通孔の位置から前記第1内部空間側及び前記第2内部空間側に突出するように延び、前記連通孔を挿通して設けられている、請求項1に記載のスピーカー装置。
【請求項3】
前記第2筒状部は、前記基部の前記少なくとも1つの貫通孔の位置から前記第1内部空間側及び前記第2内部空間側に突出するように延び、前記少なくとも1つの貫通孔を挿通して設けられている、請求項1に記載のスピーカー装置。
【請求項4】
前記第2筒状部は、他端が前記筐体の前記第1内部空間側の内壁面によって閉塞されている、請求項1に記載のスピーカー装置。
【請求項5】
前記区画部の前記少なくとも1つのドーム部は、内部が中空の半球状である、請求項1に記載のスピーカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のスピーカー装置が知られている。スピーカー装置は、全ての音域を1つのスピーカーユニットでまかなうフルレンジスピーカー装置が理想的であるが、全ての音域の音、特に重低音を精度良く再生することは容易ではない。
【0003】
例えば、広い音域の音を再生するために、音域を分割して複数のスピーカーユニット(ウーハー、スコーカー、ツイーター等)を備えた、2WAY、3WAY等のマルチウェイ方式のスピーカー装置が知られている。しかしながら、マルチウェイ方式のスピーカー装置は、スピーカーユニット同士の音が干渉しあって音が歪み、音像がぼやけてしまう。
【0004】
一方で、重低音を再生する方法として、開口部を有するエンクロージャー(筐体)に筒状のダクトを設け、ヘルムホルツ共鳴原理に基づいてスピーカーユニットの背面から発せられた低音を共振・増強する、バスレフ型スピーカー装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のバスレフ型スピーカー装置は、低音域が少し強調されるものの、共振周波数よりもさらに低い低音はほとんど出なくなってしまう。そのため、全音域を再生することが困難である。
【0007】
本発明は、簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるスピーカー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様であるスピーカー装置は、密閉された筐体と、筐体内を第1内部空間と第2内部空間とに区画する区画部と、筐体の第1内部空間側に設けられた少なくとも1つのスピーカーユニットとを備える。区画部は、少なくとも1つの貫通孔が設けられた基部と、内部が中空の球欠状又は楕円体球欠状であり、基部から第1内部空間側又は第2内部空間側に膨らみ、頂部に第1内部空間と第2内部空間とを連通する連通孔が設けられた少なくとも1つのドーム部とを有する。
【0009】
少なくとも1つのドーム部には、連通孔の位置から第1内部空間側及び第2内部空間側の少なくとも一方に突出するように延びる第1筒状部が設けられている。第1筒状部は、一端が第1内部空間に開口し、他端が第2内部空間に開口している。基部には、少なくとも1つの貫通孔の位置から少なくとも第1内部空間側に突出するように延びる第2筒状部が設けられている。第2筒状部は、一端が第2内部空間に開口し、他端が閉塞されている。
【0010】
上記スピーカー装置によれば、区画部は、基部とドーム部とを有する。ドーム部には、第1筒状部が設けられている。基部には、第2筒状部が設けられている。筐体内を第1内部空間と第2内部空間とに区画する区画部のドーム部、ドーム部の連通孔を介して第1内部空間と第2内部空間とを連通する第1筒状部、第2内部空間から繋がる第2筒状部により、簡易な構造でありながら、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できる。
【0011】
そのため、例えば、1つのスピーカーユニットで、音域の広い音を再生できる。すなわち、全ての音域を1つのスピーカーユニットでまかなうフルレンジスピーカー装置を実現できる。これにより、従来のように、広い音域の音を再生するために複数のスピーカーユニット(ウーハー、スコーカー、ツイーター等)を備えたマルチウェイ方式を採用する必要がなくなる。
【0012】
上記スピーカー装置において、第1筒状部は、少なくとも1つのドーム部の連通孔の位置から第1内部空間側及び第2内部空間側に突出するように延び、連通孔を挿通して設けられていてもよい。この場合には、第1筒状部により、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0013】
また、第2筒状部は、基部の少なくとも1つの貫通孔の位置から第1内部空間側及び第2内部空間側に突出するように延び、少なくとも1つの貫通孔を挿通して設けられていてもよい。この場合には、第2筒状部により、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0014】
また、第2筒状部は、他端が筐体の第1内部空間側の内壁面によって閉塞されていてもよい。この場合には、第2筒状部の内部容積を十分に確保することができ、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0015】
また、区画部の少なくとも1つのドーム部は、内部が中空の半球状であってもよい。この場合には、ドーム部の形状(ドーム形状)により、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態のスピーカー装置を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【
図4】第1実施形態のスピーカー装置における区画部のドーム部を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態のスピーカー装置における区画部のドーム部を示す断面図である。
【
図6】第2実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【
図7】第2実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【
図8】第3実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【
図9】第4実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【
図10】第5実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【
図11】第6実施形態のスピーカー装置における区画部のドーム部を示す断面図である。
【
図12】第6実施形態のスピーカー装置における区画部のドーム部を示す断面図である。
【
図13】第7実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【
図14】第8実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【
図15】第9実施形態のスピーカー装置の構造を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のスピーカー装置1は、エンクロージャー(筐体)2と、スピーカーユニット3とを備えている。なお、以下の説明では、前後左右上下等の方向を用いて説明するが、あくまでも説明の便宜上の表現であり、特に限定されるものではない。
【0018】
図1、
図2に示すように、エンクロージャー2は、直方体形状である。エンクロージャー2は、前面部21、後面部22、左面部23、右面部24、上面部25及び下面部26を有する。前面部21の下部には、円形状の開口部211が設けられている。前面部21の開口部211には、スピーカーユニット3が前面部21の開口部211を塞ぐように取り付けられている。エンクロージャー2は、閉じられた内部空間20を有する。
【0019】
エンクロージャー2の材質は一般的な合板である。エンクロージャー2に用いられる材料はこれに限定されるものではなく、例えば、ブビンガ等の木材、中密度繊維板(MDF)、樹脂、金属等の各種材料を用いることができる。また、エンクロージャー2の内容積は適宜設定することができる。エンクロージャー2の内容積を小さくすれば、エンクロージャー2、さらにはスピーカー装置1全体の小型化を図ることができる。
【0020】
スピーカーユニット3は、電気信号を振動に変換して音を出す方式の従来公知のスピーカーユニットであり、振動板等を備えている。スピーカーユニット3は、図示を省略したが、ケーブル等を介してアンプやプレーヤーに接続されている。スピーカーユニット3は、コーン型スピーカーである。スピーカーユニット3としては、コーン型スピーカー以外にも、例えばドーム型スピーカー、ホーン型スピーカー等の各種スピーカーユニットを用いることができる。
【0021】
スピーカーユニット3は、前面部21の内壁面にネジ等を用いて固定されている。なお、スピーカーユニット3は、前面部21の外壁面に固定するようにしてもよい。スピーカーユニット3をエンクロージャー2に対して十分に固定することにより、スピーカーユニット3のねじれ等を抑制し、振動板の安定した作動を確保することができる。
【0022】
図2、
図3に示すように、エンクロージャー2内には、エンクロージャー2の内部空間20を2つの空間(第1内部空間201、第2内部空間202)に区画する区画部4が設けられている。区画部4は、基部41と、基部41に取り付けられたドーム部42とを有する。
【0023】
基部41は、平板状に形成されている。基部41は、エンクロージャー2の上面部25及び下面部26に対して平行となる向きに配置されている。基部41の4つの辺部は、エンクロージャー2の前面部21、後面部22、左面部23及び右面部24に固定されている。基部41の前部には、ドーム部42を取り付けるための円形状の取付開口部411が設けられている。基部41の後部には、円形状の貫通孔412が設けられている。
【0024】
図4、
図5に示すように、ドーム部42は、内部が中空の球欠状である。ここで、球欠とは、球を一つの平面で切り取った形状をいう。本実施形態では、ドーム部42は、内部が中空の球体をちょうど半分に切り分けた半球状(半球ドーム形状)である。
【0025】
ドーム部42の外表面421は、凸状の球面により形成されている。ドーム部42の内表面422は、凹状の球面により形成されている。ドーム部42の高さは直径の半分(半径と同じ)である。ドーム部42の直径や高さは適宜変更することができる。ドーム部42の頂部423には、円形状の連通孔424が設けられている。
【0026】
図2、
図3に示すように、基部41の上面において、取付開口部411の外縁部には、半球状のドーム部42が取り付けられている。ドーム部42は、頂部423側(凸側)が上向きとなるように配置されている。ドーム部42は、基部41から上側に膨らむように設けられている。
【0027】
区画部4において、基部41の材質は一般的な合板である。基部41の材質は、これに限定されるものではなく、例えば、木材、樹脂、ステンレス等の金属等の各種材質を用いることができる。また、ドーム部42の材質はアクリル樹脂である。ドーム部42の材質は、これに限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂、金属等の各種材質を用いることができる。
【0028】
区画部4は、エンクロージャー2内の内部空間20を第1内部空間201と第2内部空間202とに区画する。エンクロージャー2内には、区画部4よりも下側の第1内部空間201と、区画部4よりも上側の第2内部空間202とが形成されている。したがって、ドーム部42は、基部41から第2内部空間202側に膨らむように設けられている。
【0029】
区画部4は、スピーカーユニット3よりも上側であって、エンクロージャー2内における上下方向の中間位置よりも上側に配置されている。したがって、スピーカーユニット3は、エンクロージャー2の第1内部空間201側に設けられている。区画部4の位置は、エンクロージャー2内において適宜変更することができる。区画部4の位置を変えることで、エンクロージャー2内の2つの空間(第1内部空間201、第2内部空間202)の内部容積を調整することができ、重低音の音圧の調整が可能となる。
【0030】
区画部4のドーム部42には、連通孔424の位置から第1内部空間201側及び第2内部空間202側に突出するように上下方向に延びる第1筒状部51が設けられている。第1筒状部51は、軸方向に直交する断面が円形の円筒状である。第1筒状部51の外径は、ドーム部42の連通孔424の内径と同じである。
【0031】
第1筒状部51は、ドーム部42の連通孔424を挿通して設けられている。第1筒状部51は、連通孔424を介してドーム部42を貫通するように設けられている。第1筒状部51は、下端(一端)511が第1内部空間201に開口し、上端(他端)512が第2内部空間202に開口している。
【0032】
エンクロージャー2の第1内部空間201と第2内部空間202とは、区画部4のドーム部42の連通孔424及び第1筒状部51を介して連通している。すなわち、区画部4のドーム部42の連通孔424に挿通された第1筒状部51によって、エンクロージャー2の第1内部空間201と第2内部空間202とが連通している。したがって、エンクロージャー2内(内部空間20)では、スピーカーユニット3の背面(後面)から発せられた音により生じる空気の流れが、ドーム部42及びドーム部42に設けられた第1筒状部51を介して第1内部空間201と第2内部空間202との間に生じる。
【0033】
区画部4の基部41には、貫通孔412の位置から第1内部空間201側及び第2内部空間202側に突出するように上下方向に延びる第2筒状部52が設けられている。第2筒状部52は、軸方向に直交する断面が円形の円筒状である。第2筒状部52の外径は、基部41の貫通孔412の内径と同じである。
【0034】
第2筒状部52は、基部41の貫通孔412を挿通して設けられている。第2筒状部52は、貫通孔412を介して基部41を貫通するように設けられている。第2筒状部51は、上端(一端)521が第2内部空間202に開口し、下端(他端)522が閉塞されている。第2筒状部52の下端522は、エンクロージャー2の下面部26まで延びており、下面部26の内壁面によって閉塞されている。
【0035】
第2筒状部52は、基部41の貫通孔412の位置から第1内部空間201側に突出するように下方に延びている分だけ、第1内部空間201に入り込むように設けられている。エンクロージャー2の第2内部空間202は、第2筒状部52の上端521の開口部分を介して第2筒状部52内の空間に連通している。そして、エンクロージャー2内(内部空間20)では、スピーカーユニット3の背面(後面)から発せられた音により生じる空気の流れが、第2内部空間202と第2内部空間202から繋がる第2筒状部52内の空間との間に生じる。
【0036】
第1筒状部51及び第2筒状部52の材質は、硬質のポリ塩化ビニル(PVC)である。第1筒状部51及び第2筒状部52の材質は、これに限定されるものではなく、例えば、木材、樹脂、金属等の各種材質を用いることができる。また、第1筒状部51及び第2筒状部52の材質は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
次に、本実施形態のスピーカー装置1における作用効果について説明する。
本実施形態のスピーカー装置1によれば、区画部4は、基部41とドーム部42とを有する。ドーム部42には、第1筒状部51が設けられている。基部41には、第2筒状部52が設けられている。エンクロージャー2内を第1内部空間201と第2内部空間202とに区画する区画部4のドーム部42、ドーム部42の連通孔424を介して第1内部空間201と第2内部空間202とを連通する第1筒状部51、第2内部空間202から繋がる第2筒状部52により、簡易な構造でありながら、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できる。
【0038】
これは、エンクロージャー2の第1内部空間201側に設けられたスピーカーユニット3の背面(後面)から発せられた音により生じる空気の流れが、区画部4のドーム部42及びドーム部42に設けられた第1筒状部51を介して第1内部空間201と第2内部空間202との間に生じ、さらに第2内部空間202と第2内部空間202から繋がる第2筒状部52内の空間との間に生じるためと考えられる。
【0039】
そのため、例えば、本実施形態のように1つのスピーカーユニット3で、音域の広い音を再生できる。すなわち、本実施形態のスピーカー装置1は、全ての音域を1つのスピーカーユニットでまかなうフルレンジスピーカー装置を実現できる。これにより、従来のように、広い音域の音を再生するために複数のスピーカーユニット(ウーハー、スコーカー、ツイーター等)を備えたマルチウェイ方式を採用する必要がなくなる。また、スピーカーユニット3が1つであるため、スピーカー装置1全体の小型化を図ることができる。
【0040】
本実施形態のスピーカー装置1において、第1筒状部51は、ドーム部42の連通孔424の位置から第1内部空間201側及び第2内部空間202側に突出するように延び、連通孔424を挿通して設けられている。そのため、第1筒状部51により、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0041】
また、第2筒状部52は、基部41の貫通孔412の位置から第1内部空間201側及び第2内部空間202側に突出するように延び、貫通孔412を挿通して設けられている。そのため、第2筒状部52により、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0042】
また、第2筒状部52は、下端522がエンクロージャー2の第1内部空間201側の内壁面である下面部26の内壁面によって閉塞されている。そのため、第2筒状部52の内部容積を十分に確保することができ、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。
【0043】
また、区画部4のドーム部42は、内部が中空の半球状である。そのため、ドーム部42の形状(ドーム形状)により、音域の広い音、特に重低音をより一層容易かつ確実に再生できる。また、ドーム部42の連通孔424により、再生される音の解像度を上げることができる。
【0044】
(第2実施形態)
本実施形態は、
図6、
図7に示すように、スピーカー装置1において、第1筒状部51の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0045】
図6に示すように、区画部4のドーム部42には、連通孔424の位置から第1内部空間201側に突出するように下方に延びる第1筒状部51が設けられている。第1筒状部51の上端部は、ドーム部42の連通孔424に挿入されている。第1筒状部51の上端512は、ドーム部42の連通孔424と同じ位置にあり、第2内部空間202に開口している。
【0046】
図7に示すように、区画部4のドーム部42には、連通孔424の位置から第2内部空間202側に突出するように上方に延びる第1筒状部51が設けられている。第1筒状部51の下端部は、ドーム部42の連通孔424に挿入されている。第1筒状部51の下端511は、ドーム部42の連通孔424と同じ位置にあり、第1内部空間201に開口している。
【0047】
(第3実施形態)
本実施形態は、
図8に示すように、スピーカー装置1において、第2筒状部52の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0048】
図8に示すように、第2筒状部52は、区画部4の基部41の貫通孔412の位置から、基部41とエンクロージャー2の下面部26との間の位置まで、第1内部空間201側に突出するように下方に延びている。第2筒状部52の下端522は、基部41とエンクロージャー2の下面部26との間に位置している。第2筒状部52の下端522は、閉塞部523によって閉塞されている。
【0049】
(第4実施形態)
本実施形態は、
図9に示すように、スピーカー装置1において、第2筒状部52の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0050】
図9に示すように、区画部4の基部41には、貫通孔412の位置から第1内部空間201側に突出するように下方に延びる第2筒状部52が設けられている。第2筒状部52の上端部は、基部41の貫通孔412に挿入されている。第2筒状部52の上端521は、基部41の貫通孔412と同じ位置にあり、第2内部空間202に開口している。
【0051】
(第5実施形態)
本実施形態は、
図10に示すように、スピーカー装置1において、区画部4のドーム部42の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0052】
図10に示すように、区画部4の基部41の下面において、取付開口部411の外縁部には、半球状のドーム部42が取り付けられている。ドーム部42は、頂部423側(凸側)が下向きとなるように配置されている。すなわち、ドーム部42は、基部41から第1内部空間201側に膨らむように設けられている。
【0053】
(第6実施形態)
本実施形態は、
図11、
図12に示すように、スピーカー装置1において、区画部4のドーム部42の形状を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0054】
図11、
図12に示すように、区画部4のドーム部42は、内部が中空の楕円体球欠状である。ここで、楕円体球欠状とは、楕円体を一つの平面で切り取った形状をいう。本実施形態では、ドーム部42は、内部が中空の回転楕円体をちょうど半分に切り分けた半楕円体状(半楕円体ドーム形状)である。
【0055】
ドーム部42の外表面421は、凸状の楕円面により形成されている。ドーム部42の内表面422は、凹状の楕円面により形成されている。ドーム部42の頂部423には、円形状の連通孔424が設けられている。
【0056】
図11のドーム部42は、回転楕円体をその長軸に垂直な平面で半分に切り取った形状である。ドーム部42の高さは長軸の半分(長軸半径)である。
図12のドーム部42は、回転楕円体をその短軸に垂直な平面で切り取った形状である。ドーム部42の高さは短軸の半分(短軸半径)である。
【0057】
(第7実施形態)
本実施形態は、
図13に示すように、スピーカー装置1において、スピーカーユニット3周辺の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0058】
図13に示すように、スピーカーユニット3とエンクロージャー2の前面部21との間には、厚みを有する平板状の中間部材27が配置されている。中間部材27には、厚み方向に貫通して形成され、前方に向かって徐々に内径が小さくなる略半球状(半球台状)の空間を有するホール部271が設けられている。
【0059】
中間部材27は、ホール部271が前面部21の開口部211に連通するように、前面部21の内壁面に固定されている。前面部21の開口部211は、前方に向かって徐々に内径が大きくなる断面が円形のホーン形状になっている。スピーカーユニット3は、ネジ等を用いて中間部材27の後面に固定されている。
【0060】
スピーカーユニット3の前面には、中間部材27のホール部271及び前面部21の開口部211により、スピーカーユニット3の前面から発せられる音の通路が形成される。このような構成により、略半球状の空間であるホール部271内において音のバランスを整えることができる。また、音の歪み等も軽減される。
【0061】
(第8実施形態)
本実施形態は、
図14に示すように、スピーカー装置1において、第2筒状部52の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。また、
図14は、上述した
図3と同様の位置の断面図である。
【0062】
図14に示すように、基部41の後部には、円形状の貫通孔412が2つ設けられている。2つの貫通孔412は、左右方向に並んで配置されている。基部41には、各貫通孔412の位置から第1内部空間201側及び第2内部空間202側に突出するように上下方向に延びる第2筒状部52が2つ設けられている。各第2筒状部52は、基部41の貫通孔412を挿通して設けられている。各第2筒状部52は、貫通孔412を介して基部41を貫通するように設けられている。
【0063】
(第9実施形態)
本実施形態は、
図15に示すように、スピーカー装置1において、ドーム部42及び第1筒状部51の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。また、
図15は、上述した
図3と同様の位置の断面図である。
【0064】
図15に示すように、基部41の前部には、円形状の取付開口部411が2つ設けられている。2つの取付開口部411は、左右方向に並んで配置されている。基部41の上面には、各取付開口部411の外縁部に取り付けられた半球状のドーム部42が2つ設けられている。
【0065】
各ドーム部42には、連通孔424の位置から第1内部空間201側及び第2内部空間202側に突出するように上下方向に延びる第1筒状部51が設けられている。すなわち、区画部4には、第2筒状部52が2つ設けられている。各第1筒状部51は、ドーム部42の連通孔424を挿通して設けられている。各第1筒状部51は、連通孔424を介してドーム部42を貫通するように設けられている。
【0066】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0067】
(1)上記実施形態において、エンクロージャー(筐体)2の形状は、直方体形状としたが、これに限定されるものではない。例えば、円筒形状や立方形状等、内部空間20を有する各種形状を採用することができる。
【0068】
(2)上記実施形態において、スピーカーユニット3の数は1つであるが、これに限定されるものではない。なお、上述したように、全ての音域を1つのスピーカーユニットでまかなうフルレンジスピーカー装置を実現しようとすれば、スピーカーユニット3の数は1つであることが好ましい。
【0069】
(3)上記実施形態において、区画部4のドーム部42の形状は、内部が中空の半球状(半球ドーム形状)や半楕円体状(半楕円体ドーム形状)であるが、これらに限定されるものではない。例えば、ドーム部42の高さがドーム部42の半径よりも長い又は短い球欠状であってもよい。また、ドーム部42の高さがドーム部42の高さ方向の軸の半分(半軸)よりも長い又は短い楕円体球欠状であってもよい。
【0070】
(4)上記実施形態において、区画部4における基部41とドーム部42とを別体で構成したが、両者を一体的に構成してもよい。
【0071】
(5)上記実施形態において、第1筒状部51や第2筒状部52は、軸方向に直交する断面が円形の円筒状としたが、これに限定されるものではなく、軸方向に直交する断面の形状が楕円形、三角形、四角形(正方形、長方形)、その他の多角形等である筒形状であってもよい。また、第1筒状部51や第2筒状部52の形状に応じて、区画部4におけるドーム部42の連通孔424や基部41の貫通孔412の形状を適宜変更してもよい。
【0072】
(6)上記実施形態において、区画部4のドーム部42と第1筒状部51とを別体で構成しているが、両者を一体的に構成してもよい。また、区画部4の基部41と第2筒状部52とを別体で構成しているが、両者を一体的に構成してもよい。
【0073】
(7)上記実施形態において、基部41に第2筒状部52を1つ設けたり、2つ設けたりしたが、3つ以上設けてもよい。
【0074】
(8)上記実施形態において、区画部4にドーム部42を1つ設けたり、2つ設けたりしたが、3つ以上設けてもよい。また、ドーム部42の数に合わせて、第1筒状部51を1つ設けたり、2つ設けたりしたが、3つ以上設けてもよい。
【0075】
(9)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0076】
1…スピーカー装置、2…エンクロージャー(筐体)、3…スピーカーユニット、4…区画部、41…基部、42…ドーム部、51…第1筒状部、52…第2筒状部、201…第1内部空間、202…第2内部空間、412…貫通孔、423…頂部、424…連通孔、511…下端(第1筒状部の一端)、512…上端(第1筒状部の他端)、521…上端(第2筒状部の一端)、522…下端(第2筒状部の他端)
【要約】
【課題】簡易な構造で、音域の広い音、特に重低音を容易かつ確実に再生できるスピーカー装置を提供すること。
【解決手段】スピーカー装置1は、密閉されたエンクロージャー2と、区画部4と、スピーカーユニット3とを備える。区画部4は、基部41と、内部が中空の半球状であり、頂部423に連通孔424が設けられたドーム部42とを有する。ドーム部42には、連通孔424の位置から第1内部空間201側及び第2内部空間202側に突出するように延びる第1筒状部51が設けられている。第1筒状部51は、下端511が第1内部空間201に開口し、上端512が第2内部空間202に開口している。基部41には、貫通孔412の位置から第1内部空間201側及び第2内部空間202側に突出するように延びる第2筒状部52が設けられている。第2筒状部52は、上端521が第2内部空間202に開口し、下端522が閉塞されている。
【選択図】
図2