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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20231004BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/1339 505
G09F9/30 308A
G09F9/30 309
G09F9/30 320
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019099647
(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2020112771
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2019000659
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 順子
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200739(JP,A)
【文献】特開2011-022212(JP,A)
【文献】特開2013-238729(JP,A)
【文献】特開2008-165171(JP,A)
【文献】特開2013-190551(JP,A)
【文献】特開2002-207225(JP,A)
【文献】特開2001-117107(JP,A)
【文献】特開2009-139672(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0095317(US,A1)
【文献】特開2008-292770(JP,A)
【文献】特開2009-063990(JP,A)
【文献】特開2018-072416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G09F 9/30
G02F 1/1334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配向膜を含む第1基板を製造し、
第1突起および第2突起を第2基板に形成し、
前記第1突起および前記第2突起を覆う第2配向膜を前記第2基板に形成し、
前記第2配向膜を覆うフォトレジストを前記第2基板に形成し、
前記フォトレジストを露光し、
薬液によって前記フォトレジストを現像することにより、前記第1突起の上に接着剤を形成し、
前記接着剤が前記第1基板と接触し、かつ前記第2突起が前記第1基板と隙間を介して対向するように、前記第1基板と前記第2基板をシール材により貼り合わせ、
前記シール材および前記接着剤を硬化させることにより、前記接着剤によって前記第1突起と前記第1基板を接着させる、
ことを含む表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1突起と前記第2突起は、同じ高さを有している、
請求項1に記載の表示装置の製造方法
【請求項3】
前記接着剤は、熱硬化剤を含む、
請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法
【請求項4】
前記接着剤の幅は、前記第1突起の先端の幅以下である、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法
【請求項5】
前記第1基板および前記第2基板は、可撓性を有している、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
接着された前記第1基板および前記第2基板曲げることをさらに含む
請求項に記載の表示装置の製造方法
【請求項7】
前記第1基板と前記第2基板の間に液晶層を形成することをさらに含む
求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法
【請求項8】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第2基板から前記第1基板に向けて突出する第1突起および第2突起と、を備え、
前記第1突起は、接着されずに前記第1基板と接しており、
前記第2突起は、前記第1基板に接着されており
前記第2突起に荷重を加えた場合の復元率は、前記第1突起に当該荷重を加えた場合の復元率よりも小さい、
表示装置。
【請求項9】
前記第2突起の幅は、前記第1突起の幅よりも小さい、
請求項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2基板から前記第1基板に向けて突出し、かつ前記第1基板と隙間を介して対向する第3突起をさらに備え、
前記第1突起および前記第2突起の幅は、前記第3突起の幅よりも小さい、
請求項8または9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2基板は、前記第1基板に対向する配向膜を備え、
前記配向膜は、前記第1突起の少なくとも一部を覆い、
前記第2突起は、前記配向膜と前記第1基板の間に位置している、
請求項乃至10のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
第1配向膜を含む第1基板を製造し、
第1突起を第2基板に形成し、
前記第1突起を覆う第2配向膜を前記第2基板に形成し、
前記第2配向膜を覆うフォトレジストを前記第2基板に形成し、
前記フォトレジストを露光し、
薬液によって前記フォトレジストを現像することにより、前記第2配向膜の上に第2突起を形成し、
前記第1突起および前記第2突起の先端が前記第1配向膜と接触するように、前記第1基板と前記第2基板をシール材により貼り合わせ、
前記シール材および前記第2突起を硬化させることにより、前記第2突起の先端を前記第1基板に接着させる、
ことを含み、
前記第2突起の硬化後の前記第1突起は、接着されずに前記第1基板と接している、
表示装置の製造方法。
【請求項13】
硬化後の前記第2突起に荷重を加えた場合の復元率は、前記第1突起に当該荷重を加えた場合の復元率よりも小さい、
請求項12に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2突起の幅は、前記第1突起の幅よりも小さい、
請求項12または13に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2基板に第3突起を形成することをさらに含み、
前記第3突起の高さは、前記第1突起の高さおよび前記第2突起の高さよりも小さい、
請求項12乃至14のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1突起および前記第2突起の幅は、前記第3突起の幅よりも小さい、
請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1基板と前記第2基板の間に液晶層を形成することをさらに含む、
請求項12乃至16のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置および表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶表示装置などの表示装置は、互いに対向する一対の基板を備えている。一対の基板の間には、一方の基板から他方の基板に向けて突出する突起が配置される。この突起の一例としては、表示領域における基板間のセルギャップを保つためのスペーサが挙げられる。表示領域の外側の周辺領域において、各種の目的で突起が配置されることもある。
【0003】
一般的に、スペーサなどの突起の先端は、他方の基板に接着されていない。したがって、外力が表示装置に加わると、突起の先端が本来あるべき位置から動くことがある。これに起因して、両基板に配置された要素がずれるなど、表示品位の低下に繋がる各種の不具合を生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-91200号公報
【文献】特開2006-84906号公報
【文献】特開2009-80280号公報
【文献】特許第4912643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一態様における目的は、一対の基板の間に配置される突起の構造を改善することにより、表示品位に優れた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第2基板から前記第1基板に向けて突出する第1突起および第2突起と、前記第1突起と前記第1基板を接着する接着剤と、を備えている。前記第2突起と前記第1基板は、隙間を介して対向している。
【0007】
他の実施形態に係る表示装置は、可撓性の第1基板と、前記第1基板に対向する可撓性の第2基板と、前記第2基板から前記第1基板に向けて突出する第1突起および第2突起と、前記第1突起と前記第1基板を接着する第1接着剤と、前記第2突起と前記第1基板を接着する第2接着剤と、を備えている。前記第2突起は、前記第1突起よりも前記第2基板の端部に近い位置にあり、前記第1突起の幅は、前記第2突起の幅よりも大きい。
【0008】
さらに他の実施形態に係る表示装置は、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、画素を含む表示領域の外側の周辺領域において前記第1基板と前記第2基板を接着するシール材と、前記第2基板から前記第1基板に向けて突出する突起と、前記突起と前記第1基板を接着する接着剤と、を備えている。前記突起は、前記周辺領域において前記シール材に沿って延在している。
【0009】
さらに他の実施形態に係る表示装置は、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第2基板から前記第1基板に向けて突出する第1突起および第2突起と、を備えている。前記第1突起は、接着されずに前記第1基板と接しており、前記第2突起は、前記第1基板に接着されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置の概略的な構成を示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態において副画素に適用し得る構造の概略的な平面図である。
図3図3は、図2のF3-F3線に沿う表示パネルの概略的な断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスの一例を示す図である。
図5図5は、図4に続く製造プロセスを示す図である。
図6図6は、図5に続く製造プロセスを示す図である。
図7図7は、図6に続く製造プロセスを示す図である。
図8図8は、図7に続く製造プロセスを示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る液晶表示装置の概略的な断面図である。
図10図10は、第3実施形態に係る液晶表示装置の概略的な断面図である。
図11図11は、透明状態にある液晶層の一例を示す断面図である。
図12図12は、散乱状態にある液晶層の一例を示す断面図である。
図13図13は、散乱状態にある液晶層の他の一例を示す断面図である。
図14図14は、透明状態にある液晶層の他の一例を示す断面図である。
図15図15は、第3実施形態における表示パネルの概略的な平面図である。
図16図16は、図15におけるF16-F16線に沿う表示パネルの概略的な断面図である。
図17図17は、第4実施形態に係る液晶表示装置が備える表示パネルの概略的な平面図である。
図18図18は、図17におけるF18-F18線に沿う表示パネルの概略的な断面図である。
図19図19は、第5実施形態に係る液晶表示装置の概略的な断面図である。
図20図20は、遮光層、カラーフィルタおよび複数のスペーサの形状の一例を示す概略的な平面図である。
図21図21は、第5実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスの一例を示す図である。
図22図22は、図21に続く製造プロセスを示す図である。
図23図23は、図22に続く製造プロセスを示す図である。
図24図24は、図23に続く製造プロセスを示す図である。
図25図25は、図24に続く製造プロセスを示す図である。
図26図26は、スペーサに加えられる荷重とスペーサの変形量との関係の一例を示すグラフである。
図27図27は、第6実施形態に係る液晶表示装置の概略的な断面図である。
図28図28は、第6実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスの一例を示す図である。
図29図29は、図28に続く製造プロセスを示す図である。
図30図30は、図29に続く製造プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0012】
各実施形態においては、表示装置の一例として、液晶表示装置を開示する。なお、各実施形態は、他種の表示装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。他種の表示装置としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示素子またはLight Emitting Diode(LED)表示素子を有する自発光型の表示装置、電気泳動素子を有する電子ペーパ型の表示装置、Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)を応用した表示装置、或いはエレクトロクロミズムを応用した表示装置などが想定される。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置100(以下、表示装置100と呼ぶ)の概略的な構成を示す平面図である。図中において、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに交差する方向である。本実施形態においては、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zが互いに直交するが、これら方向が90度以外の角度で交差してもよい。
【0014】
表示装置100は、表示パネルPNLと、バックライトBLと、フレキシブル回路基板FPCと、コントローラCTLとを備えている。表示パネルPNLは、アレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向する対向基板CTと、シール材SEと、液晶層LCとを備えている。アレイ基板ARおよび対向基板CTは、第1基板および第2基板の一例である。シール材SEは、アレイ基板ARと対向基板CTを接着する。液晶層LCは、アレイ基板AR、対向基板CTおよびシール材SEで囲われた領域に封入されている。
【0015】
図1の例において、アレイ基板ARは、対向基板CTの図中下方の端部より延出した延出領域EAを有している。延出領域EAは、外部接続用の端子Tを含む。フレキシブル回路基板FPCは、端子Tに接続されている。図1の例においてはアレイ基板ARおよび対向基板CTが矩形状であるが、これら基板は他の形状であってもよい。
【0016】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの外側の周辺領域PAとを有している。周辺領域PAは、延出領域EAを含む。表示領域DAにおいて、アレイ基板ARは、複数の走査線Gと、複数の信号線Sとを備えている。複数の走査線Gは、第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。複数の信号線Sは、第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。
【0017】
表示領域DAは、マトリクス状に配列された複数の画素PXを有している。画素PXは、異なる色に対応する複数の副画素SPを含む。一例として、画素PXは赤色、緑色、青色の副画素SPを含むが、画素PXは白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。アレイ基板ARは、各副画素SPに配置された画素電極PEおよびスイッチング素子SWを備えている。さらに、アレイ基板ARは、複数の副画素SPに延在する共通電極CEを備えている。共通電極CEには、共通電圧が印加される。
【0018】
コントローラCTLは、画像表示のための駆動に必要な信号を表示パネルPNLに供給する。図1の例においては、コントローラCTLがフレキシブル回路基板FPCに実装されているが、コントローラCTLは他の部材に実装されてもよい。
【0019】
バックライトBLは、アレイ基板ARの裏面に対向している。例えば、バックライトBLは、導光板と、導光板の端部に対向する光源とを備えるエッジライト型であってもよいし、アレイ基板ARの裏面に対向する光源を備えた直下型であってもよい。また、表示装置100は、バックライトBLを備えない反射型であってもよい。
【0020】
図2は、副画素SPに適用し得る構造の概略的な平面図である。この例において、画素電極PEは、2本の線部LPを有した形状である。画素電極PEは、より多くの線部LPを有してもよいし、線部LPを1本のみ有してもよい。画素電極PEおよび上述の共通電極CEは、例えばインジウム・ティン・オキサイド(ITO)のような透明導電材料で形成することができる。
【0021】
線部LPは、第2方向Yに対して傾いている。信号線Sも線部LPと同様に傾いている。図示した副画素SPと第2方向Yに隣り合う副画素SPにおいては、画素電極PEおよび信号線Sの形状が、図示した副画素SPにおける形状と第2方向Yに関して線対称の形状となる。これにより、疑似的なマルチドメインの画素レイアウトを実現できる。ただし、画素レイアウトはこの例に限られず、1つの副画素SPにおいてマルチドメインを実現する構造であってもよいし、シングルドメインの構造であってもよい。
【0022】
スイッチング素子SWは、半導体層SCと、中継電極REとを備えている。半導体層SCは、信号線SとコンタクトホールCH1を通じて接続され、中継電極REとコンタクトホールCH2を通じて接続されている。半導体層SCは、コンタクトホールCH1,CH2の間で走査線Gと1回交差しているが、2回交差してもよい。中継電極REは、コンタクトホールCH3を通じて画素電極PEと接続されている。
【0023】
表示領域DAにおいては、複数のメインスペーサMSと、複数のサブスペーサSSとが配置されている。メインスペーサMSは第1突起の一例であり、サブスペーサSSは第2突起の一例である。
【0024】
図2の例においては、2つの副画素SPを挟んでメインスペーサMSとサブスペーサSSが配置されているが、この例に限られない。メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、様々な密度で配置することができる。表示領域DAに配置されるメインスペーサMSの数とサブスペーサSSの数は同じであってもよいし、異なってもよい。
【0025】
メインスペーサMSとサブスペーサSSは、走査線Gと信号線Sの交点の近傍に配置されている。図2の例においては、各副画素SPのコンタクトホールCH3と各スペーサMS,SSが第1方向Xに並んでいる。
【0026】
図3は、図2におけるF3-F3線に沿う表示パネルPNLの概略的な断面図である。アレイ基板ARは、第1基材10と、第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第3絶縁層13と、第4絶縁層14と、第1配向膜15とを備えている。絶縁層11~14は、第3方向Zに積層されている。
【0027】
半導体層SCは、第1基材10と第1絶縁層11の間に配置されている。半導体層SCと第1基材10の間に他の絶縁層が介在してもよい。図3の断面には示されていないが、走査線Gは、第1絶縁層11と第2絶縁層12の間に配置されている。信号線Sおよび中継電極REは、第2絶縁層12と第3絶縁層13の間に配置されている。図3の断面には示されていないが、共通電極CEは、第3絶縁層13と第4絶縁層14の間に配置されている。
【0028】
画素電極PEは、第4絶縁層14の上に配置されている。第1配向膜15は、画素電極PEおよび第4絶縁層14を覆っている。第3絶縁層13は、例えば有機樹脂材料で形成されており、他の絶縁層11,12,14よりも厚い。
【0029】
第3絶縁層13には上述のコンタクトホールCH3が設けられており、このコンタクトホールCH3を通じて画素電極PEが中継電極REに接続されている。図3の断面には示されていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2は、いずれも第1絶縁層11および第2絶縁層12を貫通している。
【0030】
対向基板CTは、第2基材20と、遮光層21と、カラーフィルタ層22と、オーバーコート層23と、第2配向膜24とを備えている。遮光層21は、第2基材20の下面に形成され、走査線G、信号線Sおよび中継電極REと対向している。図3の断面においては、全体的に遮光層21が設けられているが、遮光層21は副画素SPにおいて開口している。
【0031】
カラーフィルタ層22は、遮光層21を覆っている。カラーフィルタ層22は、副画素SPの色にそれぞれ対応する複数のカラーフィルタを含む。オーバーコート層23は、カラーフィルタ層22を覆っている。第2配向膜24は、オーバーコート層23を覆っている。
【0032】
第1基材10の下面には、第1偏光板PL1が配置されている。第2基材20の上面には、第2偏光板PL2が配置されている。液晶層LCは、第1配向膜15と第2配向膜24の間に配置されている。
【0033】
第1基材10および第2基材20は、例えばガラスで形成することができる。また、第1基材10および第2基材20は、ポリイミドなどの樹脂材料で形成することもできる。この場合、可撓性を有するアレイ基板ARおよび対向基板CTが得られるので、表示パネルPNLを曲げることができる。
【0034】
メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、対向基板CTからアレイ基板ARに向けて突出している。図3の例においては、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSが第2配向膜24で覆われている。ただし、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSの少なくとも一部が第2配向膜24にて覆われていなくてもよい。
【0035】
例えば、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、図2に示すように平面形状が円形であり、図3に示すように断面形状が台形である。ただし、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSの平面形状および断面形状は、これらの例に限られない。他の例として、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、所定方向に長尺な平面形状を有してもよい。
【0036】
本実施形態において、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、同じ高さHを有している。高さHは、アレイ基板ARと対向基板CTの間のセルギャップGPよりも小さい。なお、メインスペーサMSの高さとサブスペーサSSの高さが異なってもよい。
【0037】
メインスペーサMSとアレイ基板ARの間には、接着剤ADが配置されている。接着剤ADは、第1方向Xに並ぶ2つのコンタクトホールCH3の間において、第1配向膜15の上に配置されている。接着剤ADは、メインスペーサMSの先端とアレイ基板ARとを接着している。接着剤ADの高さは、例えばメインスペーサMSの高さHよりも小さい。
【0038】
図3の例においては、メインスペーサMSの先端の幅よりも、接着剤ADの幅が若干大きい。ただし、接着剤ADの幅は、メインスペーサMSの先端の幅と同じであってもよいし、当該先端の幅より小さくてもよい。
【0039】
一方、サブスペーサSSとアレイ基板ARの間には、接着剤が配置されておらず、隙間が形成されている。したがって、サブスペーサSSとアレイ基板ARは、上記隙間に存在する液晶層LCを介して対向している。
【0040】
メインスペーサMSは、アレイ基板ARと対向基板CTの間のセルギャップを一定に保つ。サブスペーサSSは、例えば表示パネルPNLに外力が加わった際にアレイ基板ARに接触し、セルギャップの過度な変形を抑制する。
【0041】
続いて、表示装置100の製造方法の一例につき、図4ないし図8を用いて説明する。先ず、第1基材10、絶縁層11~14、第1配向膜15、走査線G、信号線S、スイッチング素子SW、画素電極PEおよび共通電極CEを備えるアレイ基板ARを作製する。さらに、第2基材20、遮光層21、カラーフィルタ層22およびオーバーコート層23を備える対向基板CTを作製する。
【0042】
次に、図4に示すように、対向基板CTの上(オーバーコート層23の上)にメインスペーサMSおよびサブスペーサSSの基となるフォトレジストRを形成する。さらに、フォトレジストRを焼成した後(プリベーク)、フォトレジストRにおいてメインスペーサMSおよびサブスペーサSSを形成する位置に光Lを照射する(露光)。
【0043】
その後、薬液を用いて余分なフォトレジストRを除去することにより(現像)、図5に示すようにメインスペーサMSおよびサブスペーサSSを形成する。ここでは一例として、1つのメインスペーサMSと2つのサブスペーサSSを示している。メインスペーサMSおよびサブスペーサSSをさらに焼成することで、これらの強度を増すことができる(ポストベーク)。
【0044】
メインスペーサMSおよびサブスペーサSSを形成した後、図6に示すように第2配向膜24を形成する。メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、第2配向膜24により覆われる。硬化前の第2配向膜24は流動性を有するために、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSの先端から第2配向膜24が流れ落ちることもある。この場合、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSの先端は第2配向膜24から露出するか、あるいは他の部分よりも薄い第2配向膜24で覆われる。
【0045】
図7に示すように、アレイ基板ARにおいては、メインスペーサMSに対応する位置に、例えばインクジェット方式により接着剤ADを形成する。接着剤ADとしては、例えばアクリル樹脂を用いることができるが、この例に限られない。
【0046】
このように作製された対向基板CTおよびアレイ基板ARは、図8に示すようにシール材SEにより貼り合わされる。メインスペーサMSの先端は、直接あるいは第2配向膜24を介して接着剤ADに接触する。
【0047】
液晶層LCは、例えば滴下方式(ODF方式)にて形成することができる。すなわち、アレイ基板ARおよび対向基板CTの一方に枠状のシール材SEを形成し、その内側に液晶材料を滴下し、両基板を真空雰囲気中で貼り合せる。ただし、液晶層LCは、真空注入方式にて形成することもできる。この場合、シール材SEに注入口を設け、両基板を貼り合せた後に当該注入口を通じて液晶材料を注入する。
【0048】
シール材SEは、例えばUV硬化型の材料であり、UV光の照射により硬化される。さらに、UV光による硬化の後、熱を加えることでシール材SEの硬化がさらに進行する。このとき、接着剤ADも共に熱硬化する。接着剤ADの熱硬化を促進するために、接着剤ADに熱硬化剤を含ませてもよい。例えば、熱硬化剤としては、イミダゾール系熱硬化剤、アミン系熱硬化剤、フェノール系熱硬化剤、ポリチオール系熱硬化剤、酸無水物および熱カチオン開始剤等を用いることができる。熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
比較的低温であるシール材SEの熱硬化温度でも接着剤ADの架橋が進行するように、接着剤ADとして低温硬化樹脂を使用してもよい。この場合には、高温を加える必要が無いので、対向基板CTとアレイ基板ARの熱膨張差によるメインスペーサMSの剥がれを防止する効果も得られる。
【0050】
仮に、メインスペーサMSが接着剤ADによりアレイ基板ARに接着されていない場合、アレイ基板ARと対向基板CTは周辺領域PAのシール材SEによってのみ接着されることになる。この場合、表示領域DAにおいては、アレイ基板ARの画素電極PEなどの要素と、対向基板CTのカラーフィルタ層22などの要素とのずれが生じやすい。このようなずれが生じると、ある副画素SPのカラーフィルタ層22を通過すべき光が隣の副画素SPを通過する混色が生じ得る。さらに、メインスペーサMSの先端が第1配向膜15を傷付け、不所望な配向能を第1配向膜15に与える可能性もある。これらにより、表示装置100の表示品位が低下し得る。
【0051】
一方、本実施形態のようにメインスペーサMSが接着剤ADによりアレイ基板ARに接着されている場合、表示領域DAにおいてアレイ基板ARと対向基板CTがずれにくい。さらに、メインスペーサMSの先端が第1配向膜15を傷付けることもない。
【0052】
また、メインスペーサMSとサブスペーサSSの高さHが同じである場合、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSの製造プロセスが容易となる。すなわち、仮にメインスペーサMSおよびサブスペーサSSの高さが異なる場合、図4に示すプロセスにおいて、マルチトーンの露光が必要である。これに対し、メインスペーサMSとサブスペーサSSの高さHが同じであれば、マルチトーンの露光が不要である。
【0053】
なお、本実施形態においては、対向基板CTからアレイ基板ARに向けて第1突起および第2突起の一例であるメインスペーサMSとサブスペーサSSが突出する構成を例示した。ただし、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、アレイ基板ARから対向基板CTに向けて突出してもよい。
【0054】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。特に言及しない構成および効果については、第1実施形態と同様である。
【0055】
図9は、第2実施形態に係る液晶表示装置200(以下、表示装置200と呼ぶ)の概略的な断面図である。図示した例においては、表示パネルPNLが曲げられている。このような可撓性を有するアレイ基板ARおよび対向基板CTは、上述の通り第1基材10および第2基材20を樹脂材料で形成することにより実現できる。
【0056】
図9の例においては、アレイ基板AR側が凸となるように、アレイ基板ARおよび対向基板CTが全体的に曲げられている。すなわち、曲げられたアレイ基板ARおよび対向基板CTの曲率中心Oは、対向基板CT側に位置している。他の例として、対向基板CT側が凸となるように表示パネルPNLが曲げられてもよい。また、表示パネルPNLは、曲げられた部分と平坦な部分とを含んでもよい。
【0057】
表示パネルPNLの第1方向Xにおける中心CLの近傍には第1メインスペーサMS1が配置され、第1メインスペーサMS1よりも対向基板CTの端部に近い位置には第2メインスペーサMS2が配置されている。図9においては1つの第1メインスペーサMS1と2つの第2メインスペーサMS2を示しているが、表示パネルPNLはより多くのメインスペーサMS1,MS2を備えている。また、表示パネルPNLは、第1実施形態と同じく複数のサブスペーサSSを備えてもよい。
【0058】
第1メインスペーサMS1の幅はW1であり、高さはH1である。第1メインスペーサMS1は、第1接着剤AD1によりアレイ基板ARに接着されている。第1メインスペーサMS1は、本実施形態における第1突起の一例である。
【0059】
第2メインスペーサMS2の幅はW2であり、高さはH2である。第2メインスペーサMS2は、第2接着剤AD2によりアレイ基板ARに接着されている。第2メインスペーサMS2は、本実施形態における第2突起の一例である。
【0060】
中心CLの近傍においては、厚さ方向に曲げに起因した大きな力が加わる。そこで、第1メインスペーサMS1の幅W1(または断面積)を大きくすることが好ましい。これにより、第1メインスペーサMS1に加わる応力が軽減されるので、第1メインスペーサMS1の座屈を抑制できる。
【0061】
一方で、表示パネルPNLの端部近傍では、アレイ基板ARおよび対向基板CTの面と平行な方向に曲げに起因した大きな力が加わる。そこで、第2メインスペーサMS2の高さH2を大きくすることが好ましい。これにより、アレイ基板ARと対向基板CTのずれに対する第2メインスペーサMS2の追従性が高まり、第2メインスペーサMS2とアレイ基板ARとの剥がれを抑制できる。
【0062】
以上のことから、本実施形態においては、W1>W2かつH1<H2となるように各メインスペーサMS1,MS2の形状を定める。幅W1,W2は、各メインスペーサMS1,MS2の根元の幅であってもよいし、先端の幅であってもよいし、根本と先端の間の中間部の幅であってもよい。好ましくは、根本、先端、中間部のそれぞれにおいて、W1>W2が成立するとよい。サブスペーサSSの形状は特に限定されないが、一例としてサブスペーサSSの幅をW2とし、高さをH1としてもよい。
【0063】
本実施形態のようにメインスペーサMS1,MS2の形状を工夫することにより、表示パネルPNLが曲げられた場合であっても、アレイ基板ARと対向基板CTのずれやセルギャップの変動が抑制され、結果として表示品位を高めることができる。
【0064】
なお、本実施形態においては2種類のメインスペーサMS1,MS2を例示したが、表示パネルPNLは幅および高さが異なる3種類以上のメインスペーサMSを備えてもよい。例えばこの場合においては、中心CLに近いメインスペーサMSほど幅を大きくし、表示パネルPNLの端部に近いメインスペーサMSほど高さを大きくすればよい。
【0065】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態においては、背景を視認可能な透明液晶表示装置を開示する。特に言及しない構成および効果については、第1実施形態と同様である。
【0066】
図10は、第3実施形態に係る液晶表示装置300(以下、表示装置300と呼ぶ)の概略的な断面図である。表示装置300は、表示パネルPNLと、光源LSとを備えている。表示パネルPNLは、アレイ基板ARと、対向基板CTと、液晶層LCと、シール材SEとを備えている。
【0067】
アレイ基板ARは、第1基材10と、画素電極PEとを備えている。対向基板CTは、第2基材20と、共通電極CEとを備えている。第1基材10および第2基材20は、例えばガラスで形成されている。ただし、第1基材10および第2基材20は、透明な樹脂材料で形成することもできる。画素電極PEおよび共通電極CEは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)のような透明導電材料で形成することができる。本実施形態において、対向基板CTは、カラーフィルタ層を備えていない。
【0068】
光源LSは、延出領域EAに配置され、対向基板CTの側面に光を照射する。光源LSは、延出領域EA以外の位置に配置されてもよい。さらに、光源LSは、アレイ基板ARの側面に光を照射してもよい。
【0069】
例えば、光源LSは、赤色の光を発するLEDと、緑色の光を発するLEDと、青色の光を発するLEDとを含む。ただし、光源LSは、赤色、緑色および青色以外の光を発するLEDを備えてもよい。光源LSと対向基板CTの間にレンズ系が配置されてもよい。
【0070】
本実施形態における液晶層LCは、光を散乱する散乱状態と、光を殆ど散乱せずに透過する透明状態とを、印加される電圧に応じて切り替え可能に構成されている。例えば、電圧が印加されていない画素電極PE(図中のOFF)の近傍の液晶層LCは透明状態であり、電圧が印加されている画素電極PE(図中のON)の近傍の液晶層LCは散乱状態である。反対に、電圧が印加されていない画素電極PEの近傍の液晶層LCが散乱状態であり、電圧が印加されている画素電極PEの近傍の液晶層LCが透明状態であってもよい。
【0071】
光源LSが放つ光L1は、対向基板CTの側面に入射し、対向基板CTおよびアレイ基板ARの内部を伝播する。光L1は、散乱状態の液晶層LCにおいて散乱される。この散乱光は、アレイ基板ARおよび対向基板CTから出射し、アレイ基板AR側および対向基板CT側のいずれからも表示画像として視認できる。
【0072】
透明状態の液晶層LCに入射する外光L2は、ほとんど散乱されることなく表示装置1を透過する。すなわち、対向基板CT側から表示装置300を見た場合にはアレイ基板AR側の背景が視認可能であり、アレイ基板AR側から表示装置300を見た場合には対向基板CT側の背景が視認可能である。
【0073】
以上のような構成の表示装置300は、例えばフィールドシーケンシャル方式にて駆動することができる。この方式においては、1つのフレーム期間が複数のサブフレーム期間(フィールド)を含む。例えば、光源LSが赤色、緑色および青色のLEDを含む場合、1つのフレーム期間には、赤色、緑色および青色のサブフレーム期間が含まれる。
【0074】
赤色のサブフレーム期間においては、赤色のLEDが点灯するとともに、赤色の画像データに応じた電圧が各画素電極PEに印加される。これにより、赤色の画像が表示される。緑色および青色のサブフレーム期間においても同様に、それぞれ緑色および青色のLEDが点灯するとともに、それぞれ緑色および青色の画像データに応じた電圧が各画素電極PEに印加される。これにより、緑色および青色の画像が表示される。このように時分割で表示される赤色、緑色および青色の画像は、互いに合成されて多色表示の画像として観察者に視認される。
【0075】
図11および図12は、液晶層LCに適用し得る構成の一例を示す断面図である。液晶層LCは、高分子液晶組成物の一例である液晶ポリマー31および液晶分子32を含む。液晶ポリマー31および液晶分子32は、それぞれ同等の光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。また、液晶ポリマー31および液晶分子32の各々の電界に対する応答性は異なる。すなわち、液晶ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。
【0076】
図11に示す例は、例えば、液晶層LCに電圧が印加されていない透明状態(画素電極PEと共通電極CEの間の電位差がゼロである状態)に相当する。この状態においては、液晶ポリマー31の光軸Ax1および液晶分子32の光軸Ax2は、互いに平行となる。
【0077】
上述の通り、液晶ポリマー31および液晶分子32は略同等の屈折率異方性を有しており、しかも光軸Ax1,Ax2は互いに平行である。そのため、あらゆる方向において液晶ポリマー31と液晶分子32の間にほとんど屈折率差がない。これにより、液晶層LCの厚さ方向(第3方向Z)と平行な光Laや、この厚さ方向に対して傾斜した光Lb,Lcは、殆ど散乱されることなく液晶層LCを透過する。
【0078】
図12に示す例は、液晶層LCに電圧が印加されている散乱状態(画素電極PEと共通電極CEの間に電位差が形成された状態)に相当する。上記の通り、液晶ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。そのため、液晶ポリマー31の配向方向が殆ど変化しないのに対して、液晶分子32の配向方向は電界に応じて変化し、結果として光軸Ax2が光軸Ax1に対して傾斜する。これにより、あらゆる方向において液晶ポリマー31と液晶分子32の間に大きな屈折率差が生ずる。この状態においては、液晶層LCに入射する光La,Lb,Lcが液晶層LC内で散乱される。
【0079】
図13および図14は、液晶層LCに適用し得る構成の他の例を示す断面図である。図13および図14に示す構成は、液晶層LCの中に高分子繊維構造体(ポリマーネットワーク構造体)を形成させたポリマーネットワーク型液晶に相当する。すなわち、液晶層LCは、ネットワーク状に形成されたポリマー41と、液晶分子42とを有している。図13および図14においては複数のポリマー41が不規則に配置されているが、複数のポリマー41がアレイ基板AR(図10参照)の主面に略平行に配置されてもよい。
【0080】
図13は、液晶層LCに電圧が印加されていない散乱状態であり、液晶分子42がポリマー41の作用により不規則に並んでいる。この状態においては、液晶層LCに入射する光が散乱される。図14は、液晶層LCに電圧が印加されている透明状態であり、液晶分子42が所定の方向に配列している。この状態においては、光がほとんど散乱されずに液晶層LCを透過する。
【0081】
図15は、表示パネルPNLの概略的な平面図である。本実施形態においては、ODF方式にて液晶材料をアレイ基板ARと対向基板CTの間に注入することにより、液晶層LCが形成される。シール材SEは、表示パネルPNLの製造プロセスにおいて液晶材料を注入するための注入口INを有している。注入口INは、封止樹脂SRにより閉じられている。
【0082】
周辺領域PAにおいて、アレイ基板ARと対向基板CTの間に壁部WLが配置されている。図15の例において、壁部WLは、対向基板CTの周縁とシール材SEの間に位置し、シール材SEに沿って枠状に延在している。壁部WLは、注入口INを除き、シール材SEを囲っている。
【0083】
壁部WLは、本実施形態における突起の一例である。表示パネルPNLは、第1実施形態および第2実施形態にて開示したメインスペーサMSおよびサブスペーサSSをさらに備えてもよい。
【0084】
図16は、図15におけるF16-F16線に沿う表示パネルPNLの概略的な断面図である。壁部WLは、対向基板CTからアレイ基板ARに向けて突出している。壁部WLの先端とアレイ基板ARの間には、接着剤ADが配置されている。壁部WLおよび接着剤ADは、例えば第1実施形態におけるメインスペーサMSおよび接着剤ADと同様のプロセスで形成することができる。
【0085】
壁部WLの幅Waが大きいと、周辺領域PAが増大する。そこで、幅Waは、シール材SEの幅Wbより小さいことが好ましい(Wa<Wb)。幅Wbは、壁部WLの根元の幅であってもよいし、先端の幅であってもよいし、根本と先端の間の中間部の幅であってもよい。好ましくは、根本、先端、中間部のそれぞれにおいて、Wa<Wbが成立するとよい。幅Waを幅Wbの半分以下とすれば、周辺領域PAの増大をより好適に抑制できる。具体例を挙げると、幅Wbを100μm以上で定め、幅Waを5μm以上かつ10μm以下の範囲で定めることが好ましい。
【0086】
壁部WLおよび接着剤ADは、シール材SEと接している。平面視において、対向基板CTの側面と壁部WLの間には、隙間が設けられている。このような隙間を設けることにより、表示装置300の製造工程においてマザーガラスから表示パネルPNLを切り出す際に、壁部WLおよび接着剤ADが切断を阻害することを抑制できる。例えば、隙間の幅Wcは、幅Waよりも小さい(Wc<Wa)。
【0087】
表示装置300の製造プロセスにおいて液晶材料を注入口INから注入する際に、液晶材料が注入口INを乗り越え、シール材SEの外側におけるアレイ基板ARと対向基板CTの隙間に入り込むことがある。液晶材料は、この隙間を伝って、注入口INが設けられた辺だけでなく、他の辺にも到達し得る。このようなシール材SEの外の液晶材料は、特に光源LSと対向基板CTの間に入り込んだ場合に、光源LSからの光を吸収または反射し、光の利用効率を低下させる一因となる。光の利用効率が低下すれば、画像の輝度が低下するために、表示品位が低下し得る。
【0088】
本実施形態においては、シール材SEと対向基板CTの周縁との間に、壁部WLが設けられている。したがって、シール材SEの外側におけるアレイ基板ARと対向基板CTの隙間への液晶材料の入り込みを抑制することができる。
【0089】
さらに、壁部WLは接着剤ADによりアレイ基板ARに接着されているので、アレイ基板ARと対向基板CTの隙間をより好適に塞ぐことができる。結果として、液晶材料の入り込みを抑制する効果が高まる。
【0090】
なお、本実施形態においては、対向基板CTからアレイ基板ARに向けて突起の一例である壁部WLが突出する構成を例示した。ただし、壁部WLは、アレイ基板ARから対向基板CTに向けて突出してもよい。
【0091】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。本実施形態においては、第3実施形態と同じく透明液晶表示装置を開示する。特に言及しない構成および効果については、第3実施形態と同様である。
【0092】
図17は、第4実施形態に係る液晶表示装置400(以下、表示装置400と呼ぶ)が備える表示パネルPNLの概略的な平面図である。本実施形態において、シール材SEは、液晶材料の注入口を有していない。このような構成の場合、ODF方式にて液晶層LCを形成することができる。
【0093】
本実施形態においては、壁部WLがシール材SEと表示領域DAの間に配置されている。壁部WLは、例えば切れ目なく表示領域DAを囲う枠状である。壁部WLは、本実施形態における突起の一例である。表示パネルPNLは、第1実施形態および第2実施形態にて開示したメインスペーサMSおよびサブスペーサSSをさらに備えてもよい。
【0094】
図18は、図17におけるF18-F18線に沿う表示パネルPNLの概略的な断面図である。第3実施形態と同じく、壁部WLは対向基板CTからアレイ基板ARに向けて突出しており、壁部WLの先端とアレイ基板ARの間には接着剤ADが配置されている。
【0095】
壁部WLは、液晶層LCに接している。シール材SEは、液晶層LCに接していない。ただし、図17の平面図に示した枠状のシール材SEの一部が液晶層LCと接していてもよい。
【0096】
シール材SEと壁部WLの間には、隙間が設けられている。アレイ基板ARと対向基板CTを貼り合せる製造プロセスにおいては、シール材SEが幅方向に広がる。上記隙間を設けることで、シール材SEの幅が広がる際に壁部WLがシール材SEから力を受けて損傷することを抑制できる。
【0097】
上記隙間の幅Wdは、例えば、シール材SEの幅Wbよりも小さく、壁部WLの幅Waよりも大きい(Wa<Wd<Wb)。シール材SEの形成位置の公差やシール材SEの幅の公差を考慮すると、幅Wdは100μm以上であることが好ましい(Wd>100μm)。なお、図17の平面図に示した枠状のシール材SEの一部が壁部WLと接していてもよい。
【0098】
ODF方式にて液晶層LCを形成する場合、アレイ基板ARまたは対向基板CTに形成された半硬化状態のシール材SEの内側に液晶材料が滴下される。さらに、アレイ基板ARと対向基板CTが貼り合わされ、その後にシール材SEが硬化される。このようなプロセスにおいては、液晶層LCが半硬化状態のシール材SEと接するため、シール材SEの樹脂成分が液晶層LCに溶出し、イオン性不純物を生じる可能性がある。
【0099】
これに対し、本実施形態においては、シール材SEが液晶層LCに接していない。したがって、上記イオン性不純物の生成が抑制され、結果として表示品位を高めることができる。
【0100】
なお、本実施形態においては、対向基板CTからアレイ基板ARに向けて突起の一例である壁部WLが突出する構成を例示した。ただし、壁部WLは、アレイ基板ARから対向基板CTに向けて突出してもよい。
【0101】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。特に言及しない構成については、上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0102】
図19は、第5実施形態に係る液晶表示装置500(以下、表示装置500と呼ぶ)の概略的な断面図である。表示装置500は、メインスペーサMSと、サブスペーサSSと、接着スペーサASとを、アレイ基板ARと対向基板CTの間に備えている。これらスペーサMS,SS,ASは、対向基板CTからアレイ基板ARに向けて突出している。メインスペーサMSは、本実施形態における第1突起の一例である。接着スペーサASは、本実施形態における第2突起の一例である。
【0103】
表示領域DAにおいては、複数のメインスペーサMS、複数のサブスペーサSSおよび複数の接着スペーサASが分散配置されている。各スペーサMS,SS、ASは、いずれも遮光層21およびカラーフィルタ層22と重畳している。
【0104】
メインスペーサMSおよび接着スペーサASの先端は、アレイ基板AR(第1配向膜15)に接している。メインスペーサMSの先端は、アレイ基板ARに対して接着はされておらず、アレイ基板ARに対して摺動可能である。一方、接着スペーサASの先端は、アレイ基板AR(第1配向膜15)に接着(密着)されている。サブスペーサSSとアレイ基板ARの間には、隙間が形成されている。
【0105】
カラーフィルタ層22は、赤色のカラーフィルタ22Rと、緑色のカラーフィルタ22Gと、青色のカラーフィルタ22Bとを含む。図19の例においては、メインスペーサMSおよび接着スペーサASがカラーフィルタ22Bと重畳し、サブスペーサSSがカラーフィルタ22R,22Bの境界と重畳しているが、この例に限られない。図19においては省略しているが、カラーフィルタ層22の下面は図3の例と同じくオーバーコート層23で覆われている。
【0106】
第2配向膜24は、メインスペーサMSの側面および先端を覆っている。また、第2配向膜24は、サブスペーサSSの側面および先端を覆っている。これらスペーサMS,SSの先端において第2配向膜24が極めて薄くなるか、あるいはこれら先端において第2配向膜24で覆われていない箇所が存在してもよい。
【0107】
一方、第2配向膜24は、接着スペーサASとカラーフィルタ層22の間を通っている。他の観点からいえば、接着スペーサASは、第2配向膜24とアレイ基板ARの間に位置している。
【0108】
図20は、遮光層21、カラーフィルタ層22および各スペーサMS,SS,ASの形状の一例を示す概略的な平面図である。カラーフィルタ22R,22G,22Bは、副画素SPの形状に合わせて第2方向Yに帯状に延びている。図示した例においては、カラーフィルタ22G,22R,22Bがこの順で第1方向Xに繰り返し配置されている。
【0109】
遮光層21は、図2に示した走査線Gに重畳する第1部分21aと、図2に示した信号線Sに重畳する第2部分21bとを有している。第1部分21aの第2方向Yにおける幅は、第2部分21bの第1方向Xにおける幅よりも大きい。複数の第1部分21aおよび複数の第2部分21bは、各副画素SPにおいて開口21cを形成する。
【0110】
例えば、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、第1部分21aと第2部分21bが交差する位置(走査線Gと信号線Sが交差する位置)に配置されている。メインスペーサMSの周囲において、遮光層21は、円形の拡張部分21dを有している。また、サブスペーサSSの周囲において、遮光層21は、円形の拡張部分21eを有している。拡張部分21dの直径は、拡張部分21eの直径よりも大きい。これら拡張部分21d,21eは、各スペーサMS,SSに起因した液晶分子の配向乱れによる表示不良を抑制する。
【0111】
接着スペーサASは、メインスペーサMSの近傍に配置されている。すなわち、接着スペーサASとメインスペーサMSの間の距離は、接着スペーサASとサブスペーサSSの間の距離よりも小さい。なお、この例に限られず、接着スペーサASはサブスペーサSSの近傍など他の位置に配置されてもよい。
【0112】
接着スペーサASは、第1部分21aと重畳している。図示したように、接着スペーサASが拡張部分21dの円形の範囲内に配置されることが好ましい。これにより、接着スペーサASのために遮光層を拡大する必要がなくなり、接着スペーサASの周囲の開口21cを大きくすることができる。
【0113】
各サブスペーサSSは、カラーフィルタ22R,22Bの境界と重畳している。一方、メインスペーサMSおよび接着スペーサASは、このような境界には重畳せず、カラーフィルタ22Bに重畳している。メインスペーサMSは、先端をアレイ基板ARに接触させてセルギャップを一定に保つ。また、接着スペーサASは、アレイ基板ARと対向基板CTを接着して両者のずれを抑制する。したがって、メインスペーサMSと接着スペーサASの高さには、ある程度の精度が必要とされる。この点に関し、メインスペーサMSおよび接着スペーサASを隣り合うカラーフィルタの境界に重畳させないことで、所望の高さを有するメインスペーサMSおよび接着スペーサASを精度よく形成できる。
【0114】
図20の例においては、カラーフィルタ22Bが隣接するカラーフィルタ22Rに向けて突出する突出部分PTを有している。さらに、この突出部分PTと重畳するようにメインスペーサMSが配置されている。このような構造であれば、メインスペーサMSを走査線Gと信号線Sが交差する位置に配置しながらも、メインスペーサMSとカラーフィルタ22R,22Bの境界との重畳を避けることができる。
【0115】
接着スペーサASは、表示領域DAに分散配置される各メインスペーサMSの全てに対して配置されてもよいし、一部のメインスペーサMSに対して配置されてもよい。
【0116】
セルギャップを規定するスペーサの分布密度が高いと、低温下で表示パネルPNLに衝撃が加わった際に、液晶層LCにおいて気泡が発生することが知られている。このような気泡は、低温衝撃気泡と呼ばれる。本実施形態においては、メインスペーサMSに加えて接着スペーサASを設けているので、低温衝撃気泡を抑制するためにはメインスペーサMSと接着スペーサASの分布密度や大きさを調整する必要がある。
【0117】
図20の例においては、サブスペーサSSの幅WssよりもメインスペーサMSの幅Wmsの方が小さい(Wss>Wms)。また、メインスペーサMSの幅Wmsよりも接着スペーサASの幅Wasの方が小さい(Wms>Was)。このように、幅Wmsおよび幅Wasを小さくすれば、低温衝撃気泡の抑制に寄与し得る。また、幅Wasを小さくすることで、接着スペーサASの周囲を遮光層21により遮光しやすくなる。他の方法として、メインスペーサMSおよび接着スペーサASの分布密度を下げることで、低温衝撃気泡を抑制してもよい。
【0118】
なお、幅Wms,Wss,Wasは、各スペーサMS,SS,ASの根元の幅であってもよいし、先端の幅であってもよいし、根本と先端の間の中間部の幅であってもよい。好ましくは、根本、先端、中間部のそれぞれにおいて、Wss>Wms>Wasが成立するとよい。
【0119】
続いて、表示装置500の製造方法の一例につき、図21ないし図24を用いて説明する。先ず、上述の第1基材10、絶縁層11~14、第1配向膜15、走査線G、信号線S、スイッチング素子SW、画素電極PEおよび共通電極CEを備えるアレイ基板ARを作製する。さらに、上述の第2基材20、遮光層21、カラーフィルタ層22およびオーバーコート層23を備える対向基板CTを作製する。
【0120】
次に、図21に示すように、対向基板CTの上(例えばオーバーコート層23の上)にメインスペーサMSおよびサブスペーサSSの基となるフォトレジストR1を形成する。さらに、フォトレジストR1を焼成した後(プリベーク)、フォトレジストR1においてメインスペーサMSおよびサブスペーサSSを形成する位置に光L1を照射する(露光)。このとき、メインスペーサMSとサブスペーサSSの高さが異なることから、マルチトーンマスクが用いられる。
【0121】
その後、薬液を用いて余分なフォトレジストR1を除去することにより(現像)、図22に示すようにメインスペーサMSおよびサブスペーサSSを形成する。ここでは一例として、メインスペーサMSとサブスペーサSSを1つずつ示している。メインスペーサMSおよびサブスペーサSSをさらに焼成することで、これらの強度を増すことができる(ポストベーク)。
【0122】
メインスペーサMSおよびサブスペーサSSを形成した後、図23に示すように第2配向膜24を形成する。第2配向膜24には、ラビング処理、光分解処理または光硬化処理のような配向処理によって配向能が付与される。いずれの配向処理の場合であっても、第2配向膜24は、例えば230℃程度の温度で焼成される。
【0123】
メインスペーサMSおよびサブスペーサSSは、第2配向膜24により覆われる。上述の通り、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSの先端から第2配向膜24が流れ落ちることもある。この場合、メインスペーサMSおよびサブスペーサSSの先端は第2配向膜24から露出するか、あるいは他の部分よりも薄い第2配向膜24で覆われる。
【0124】
さらに、図23に示すように、接着スペーサASの基となるフォトレジストR2を形成する。このフォトレジストR2を焼成した後(プリベーク)、フォトレジストR2において接着スペーサASを形成する位置に光L2を照射する(露光)。その後、薬液を用いて余分なフォトレジストR2を除去することにより(現像)、図24に示すように接着スペーサASを形成する。
【0125】
このように作製された対向基板CTは、図25に示すようにシール材SEによりアレイ基板ARと貼り合わされる。接着スペーサASの先端は、アレイ基板AR(第1配向膜15)に接触する。この段階においては、接着スペーサASが本焼成されていない。したがって、接着スペーサASは、架橋が十分に進行していない半硬化状態である。
【0126】
その後、対向基板CTおよびアレイ基板ARを互いに貼り合せた状態で加熱することにより、シール材SEを硬化させる。この熱により、接着スペーサASにおいても架橋が進み、接着スペーサASの先端がアレイ基板ARに接着される。
【0127】
なお、図24に示す状態においては、接着スペーサASの高さがメインスペーサMSの高さより大きくてもよい。この場合、その後の貼り合せにおいて、接着スペーサASの先端がアレイ基板ARに密着しやすい。
【0128】
メインスペーサMS、サブスペーサSSおよび接着スペーサASは、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂などの樹脂材料で形成することができる。ただし、メインスペーサMSはセルギャップを維持する役割を有することから、十分に架橋が進んでいて潰れにくい性質を有することが好ましい。一方、接着スペーサASは、アレイ基板ARと対向基板CTを接着する役割を有することから、低架橋で柔軟な性質を有することが好ましい。
【0129】
図26は、樹脂製のスペーサに加えられる荷重(mN)と、スペーサの変形量(μm)との関係の一例を示すグラフである。この図の例においては、期間T1(例えば20秒)においてスペーサに対して徐々に高さ方向の荷重が加えられ、期間T2(例えば5秒)において荷重が一定とされ、期間T3(例えば20秒)において徐々に荷重が低減されている。
【0130】
期間T1においては、荷重の増加に伴い変形量が増加する。期間T2においても変形量が増加し、期間T3においては荷重の減少に伴い変形量が減少する。スペーサが塑性変形するために、荷重が0となった場合でも変形量が0にならない。
【0131】
ここで、期間T2の完了時における変形量(総変形量)をDa、期間T3の完了時における変形量(塑性変形量)をDbと定義する。さらに、スペーサの高さをHと定義する。この場合、図26のサイクルにおけるスペーサの総変形率(%)は、Da/H×100と表すことができる。また、当該サイクルにおける復元率(%)は、(Da-Db)/Da×100と表すことができる。変形率および復元率は、主にスペーサの材質、加えられる荷重、直径(または断面積)に依存する。メインスペーサMSおよび接着スペーサASは、仮に荷重と直径が同じである場合に、同等の変形率を有することが好ましい。
【0132】
また、メインスペーサMSは、セルギャップを保つために変形しにくい必要があることから、上述の製造工程において十分に本焼成されていることが好ましい。一方、上述の製造工程においては、接着スペーサASが本焼成されていない状態で対向基板CTとアレイ基板ARが貼り合せられ、その後にシール材SEの硬化時の熱で接着スペーサASが硬化する。この場合、接着スペーサASにおいてはメインスペーサMSほどに架橋が進行しにくいため、仮に荷重と直径が同じである場合には、メインスペーサMSの復元率よりも接着スペーサASの復元率の方が小さくなる。なお、このように復元率が小さい接着スペーサASであれば、表示パネルPNLに外力が加わった場合でもアレイ基板ARまたは対向基板CTから剥がれにくい。
【0133】
以上の本実施形態のように、メインスペーサMSとは別の接着スペーサASによりアレイ基板ARと対向基板CTを接着する場合であっても、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0134】
流動性のある接着剤をメインスペーサMSの先端やアレイ基板ARに塗布する場合には、この接着剤が必要以上に広がってしまう可能性がある。本実施形態においては接着スペーサASを対向基板CTにパターニングするため、このような接着剤の広がりが生じない。
【0135】
また、本実施形態においては、メインスペーサMSが第2配向膜24で覆われるとともに、接着スペーサASとカラーフィルタ層22の間に第2配向膜24が位置している。この場合、図23および図24に示したように、第2配向膜24を焼成した後に接着スペーサASを半硬化の状態で形成できる。仮に、先に接着スペーサASを形成して後に第2配向膜24を形成する場合、接着スペーサASの架橋反応が完了しない程度の低温で第2配向膜24を焼成する必要がある。また、接着スペーサASの先端に第2配向膜24が付着して、アレイ基板ARとの接着性が低下する可能性もある。これらに対し、本実施形態の構成であれば、第2配向膜24を低温で焼成する必要がないし、接着スペーサASの先端に第2配向膜24が存在しないのでアレイ基板ARとの接着性も向上する。
【0136】
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。特に言及しない構成については、上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0137】
図27は、第6実施形態に係る液晶表示装置600(以下、表示装置600と呼ぶ)の概略的な断面図である。表示装置600は、第1実施形態と同じく、メインスペーサMSと、サブスペーサSSと、メインスペーサMSとアレイ基板ARの間に位置する接着剤ADとを備えている。
【0138】
本実施形態においては、接着剤ADの幅Wadが、メインスペーサMSの先端の幅Wms以下である(Wad≦Wms)。メインスペーサMSの「先端」は、例えば、メインスペーサMSの表面のうち、メインスペーサMSの最大高さに対して90%以上の高さを有する部分を意味する。接着剤ADは、このような先端とアレイ基板ARの間の領域に収まっており、当該領域からはみ出していない。
【0139】
続いて、表示装置600の製造方法の一例につき、図28ないし図30を用いて説明する。対向基板CTにメインスペーサMS、サブスペーサSSおよび第2配向膜24を形成し、これらの上にフォトレジストR2を形成する工程までは、第5実施形態と同様である。ただし、本実施形態においては、メインスペーサMSとサブスペーサSSの高さが同じであってもよい。
【0140】
フォトレジストR2を形成した後、図28に示すように、メインスペーサMSの上方に光L2を照射する(露光)。さらに、薬液を用いて余分なフォトレジストR2を除去することにより(現像)、図29に示すように接着剤ADを形成する。
【0141】
このように作製された対向基板CTは、図30に示すようにシール材SEによりアレイ基板ARと貼り合わされる。接着剤ADは、アレイ基板AR(第1配向膜15)に接触する。この段階においては、接着剤ADが本焼成されていない。したがって、接着剤ADは、架橋が十分に進行していない半硬化状態である。
【0142】
その後、対向基板CTおよびアレイ基板ARを互いに貼り合せた状態で加熱することにより、シール材SEを硬化させる。このときの熱により、接着剤ADにおいても架橋が進み、接着剤ADによってメインスペーサMSとアレイ基板ARとが接着される。
【0143】
このように、本実施形態においては、第5実施形態における接着スペーサASと同様の方法で接着剤ADが形成される。すなわち、接着剤ADは、図29に示す状態において半硬化の固体状である。
【0144】
仮に流動性のある接着剤をメインスペーサMSの先端やアレイ基板ARに塗布する場合には、この接着剤が必要以上に広がってしまう。そのため、メインスペーサMSの先端とアレイ基板ARの間に収まるように接着剤を配置することが困難である。これに対し、本実施形態における接着剤ADであれば、そのような広がりが生じない。したがって、メインスペーサMSの先端とアレイ基板ARの間に収まった接着剤ADを形成できる。
【0145】
第5実施形態における接着スペーサASと同様に、接着剤ADはメインスペーサMSに比べて復元率が小さい。ここで、メインスペーサMSと接着剤ADとを合わせた合計復元率を想定する。この合計復元率は、メインスペーサMSとその先端に接着された接着剤ADに対して所定の荷重を加えた場合の総変形量から両者の塑性変形量を減算し、さらにその値を総変形量で除した値を百分率表記したものに相当する。
【0146】
仮に、メインスペーサMSとサブスペーサSSの直径(または断面積)が同じであり、かつ加える荷重も同じである場合、接着剤ADが存在することにより、上記合計復元率はサブスペーサSSの復元率よりも小さくなる。
【0147】
なお、本実施形態における接着剤ADは、表示領域DAに分散配置された全てのメインスペーサMSに対して設けられもよいし、一部のメインスペーサMSに対して設けられてもよい。
【0148】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0149】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0150】
また、各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0151】
100,200,300,400,500,600…液晶表示装置、PNL…表示パネル、AR…アレイ基板、CT…対向基板、LC…液晶層、PE…画素電極、CE…共通電極、SE…シール材、DA…表示領域、PA…周辺領域、SP…副画素、MS…メインスペーサ、SS…サブスペーサ、WL…壁部、AD…接着剤,AS…接着スペーサ。
図1
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