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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】紙製容器
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20231004BHJP
   B65D 5/50 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B60N2/68
B65D5/50 101Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019100205
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020192911
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390019493
【氏名又は名称】中央紙器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粟谷 知広
(72)【発明者】
【氏名】下村 和也
(72)【発明者】
【氏名】日見 博美
(72)【発明者】
【氏名】片本 龍也
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮
(72)【発明者】
【氏名】小川 健次
(72)【発明者】
【氏名】伊東 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】越智 勝重
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 僚一
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-231563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0205498(US,A1)
【文献】独国実用新案第202017006084(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行して延びる左右一対のスライドレールを備えたシートスライドレール装置を収容して運搬する紙製容器であって、
前記シートスライドレール装置は、前記左右一対のスライドレール間を連結する連結部を有して上面視で略H字状に形成されており、
前記紙製容器は、前記左右一対のスライドレールの前端部と後端部を前記左右一対のスライドレールの上面部を露出させた状態で支持して中央部に上下に貫通する開口部が設けられており、
前記前端部を支持する係止切欠が設けられた角筒状の前枠部と、前記後端部を支持する係止切欠が設けられた角筒状の後枠部と、前記前枠部と前記後枠部を左右端部で連結する左右一対の側枠部と、を有し、
上面視で矩形状に形成されており、
前記開口部は、前記前枠部と前記後枠部と前記左右一対の側枠部とで囲まれた領域において上下に貫通して形成されている紙製容器。
【請求項2】
請求項1において、前記前枠部又は前記後枠部には前記シートスライドレール装置の前後方向を表示する表示切欠が設けられている紙製容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記前枠部又は前記後枠部には前記連結部を覆う被覆部が配設されている紙製容器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記前枠部の前記係止切欠と前記後枠部の前記係止切欠との間に橋渡し状に配設される湿度変化による伸縮が小さい帯状部材を有しており、
前記シートスライドレール装置を前記帯状部材に配設された位置決め孔に前記左右一対のスライドレールに配設された位置決めピンを挿入した状態で収容する紙製容器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記紙製容器は一枚の段ボール又は厚紙を折り曲げて形成されている紙製容器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製容器に関する。詳しくは、シートスライドレール装置を収容して運搬する紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用シート、例えば、自動車用シートにあっては、乗員が着座するシートクッションの骨格をなすシートクッションフレーム装置がフロアに対して取付けられている。図14に示すように、特許文献1に記載のシートクッションフレーム装置100は、その左右側部において前後方向に延びるサイドフレーム101と、左右のサイドフレーム101の間に架け渡し状に配置されたフロントロッド102と、リアロッド103と、を有する。また、シートクッションフレーム装置100は、その左右側部において前後方向に延びてフロアに固定されるスライドレール104と、その左右側部においてフロントロッド102及びリアロッド103とスライドレール104とを連結する上下アジャスト機構105と、を有する。スライドレール104は、フロアに固定されたロアレール104aと、ロアレール104aに対して前後に摺動するアッパレール104bと、を有する。上下アジャスト機構105は、上端部側がフロントロッド102に連結され下端部側がブラケット106を介してアッパレール104bに対して上下方向に回転可能に取付けられたフロントリンク107と、上端部側がリアロッド103に連結され下端部側がブラケット108を介してアッパレール104bに対して上下方向に回転可能に取付けられたリアリンク109と、を有する。サイドフレーム101、フロントリンク107、アッパレール104b、リアリンク109は、4節リンクを構成している。リアロッド103に連結されたセクタギア110を回転させることによって左右のスライドレール104に対して左右のサイドフレーム101が上下動するようになっている。
【0003】
スライドレール104に故障が生じ、交換修理の必要が生じた場合、スライドレール104だけを修理工場等で交換しようとすると、上下アジャスト機構105に対するスライドレール104の位置決めに大掛かりな位置決め冶具が必要であった。そこで、各修理工場でかかる位置決め冶具を保有しておくことができず、シートクッションフレーム装置100の全体を交換していた。そして、シートクッションフレーム装置100を運搬するのに特許文献2に記載されるような段ボール製の梱包ケースを利用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-67136号公報
【文献】特開2013-32176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにスライドレール104に故障が生じた場合にシートクッションフレーム装置100の全体を運搬して修理工場等において交換修理をした場合、交換する部品代金が高額になってしまうという問題があった。一方、それを回避するためにスライドレール104のみを運搬して修理工場等において交換修理をしようとしても位置決め冶具がないために過度な調整作業が必要となり作業工数の増加を招いてしまう。
【0006】
このような問題に鑑み本発明の課題は、シートスライドレール装置を収容して運搬できるとともに、シートスライドレール装置の交換修理が容易にできる紙製容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1発明は、平行して延びる左右一対のスライドレールを備えたシートスライドレール装置を収容して運搬する紙製容器であって、前記シートスライドレール装置を収容した状態でシートクッションフレームに対する組み付け作業が可能であることを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、シートスライドレール装置を収容して運搬することができるとともに、紙製容器に収容され左右一対のスライドレールの位置決めがされた状態でシートクッションフレームに対する組み付け作業が可能である。これによって、シートスライドレール装置のみの交換修理が容易にでき修理における部品代金、作業料金の低減を図ることができる。
【0009】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記シートスライドレール装置は、前記左右一対のスライドレール間を連結する連結部を有して上面視で略H字状に形成されており、前記紙製容器は前記左右一対のスライドレールの前端部と後端部を支持して中央部に上下に貫通する開口部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、紙製容器は左右一対のスライドレールの前端部と後端部を支持して中央部に上下に貫通する開口部が設けられている。これによって、シートクッションフレームにシートスライドレール装置をあてがった状態でシートスライドレール装置のフロア固定側から開口部に手を入れてシートクッションフレームに対する取付け作業がしやすい。
【0011】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記前端部を支持する係止切欠が設けられた角筒状の前枠部と、前記後端部を支持する係止切欠が設けられた角筒状の後枠部と、前記前枠部と前記後枠部を左右端部で連結する左右一対の側枠部と、を有し、上面視で矩形状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
第3発明によれば、紙製容器は、角筒状の前枠部及び後枠部と、左右一対の側枠部と、で形成された上面視で矩形状に形成されているので、左右一対のスライドレールの位置決めがされた状態を維持しやすい。これによって、シートスライドレール装置の交換修理作業を円滑にすることができる。
【0013】
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記前枠部又は前記後枠部には前記シートスライドレール装置の前後方向を表示する表示切欠が設けられていることを特徴とする。
【0014】
第4発明によれば、前枠部又は後枠部に表示切欠を設けるだけでシートスライドレール装置の前後を表示することができるので、安価に交換作業において重要なシートスライドレール装置の前後を表示することができる。
【0015】
本発明の第5発明は、上記第3発明又は上記第4発明において、前記前枠部又は前記後枠部には前記連結部を覆う被覆部が配設されていることを特徴とする。
【0016】
第5発明によれば、前枠部又は後枠部に連結部を覆う被覆部が配設されているので、被覆部が被せられた部分が上側であることが容易にわかり、交換作業の円滑化が図られる。
【0017】
本発明の第6発明は、上記第3発明ないし上記第5発明のいずれかにおいて、前記前枠部の前記係止切欠と前記後枠部の前記係止切欠との間に橋渡し状に配設される湿度変化による伸縮が小さい帯状部材を有しており、前記シートスライドレール装置を前記帯状部材に配設された位置決め孔に前記左右一対のスライドレールに配設された位置決めピンを挿入した状態で収容することを特徴とする。
【0018】
第6発明によれば、左右一対のスライドレールに配設された位置決めピンが挿入される位置決め孔は湿度変化による伸縮が小さい帯状部材に設けられているので環境湿度が変化しても安定して紙製容器内にシートスライドレール装置を位置決めして収容することができる。
【0019】
本発明の第7発明は、上記第1発明ないし上記第6発明のいずれかにおいて、前記紙製容器は一枚の段ボール又は厚紙を折り曲げて形成されていることを特徴とする。
【0020】
第7発明によれば、紙製容器を安価に製造できるとともに保管時のスペース効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の紙製容器に収容されるシートクッションフレーム装置の斜視図である。
図2】上記シートクッションフレーム装置の分解斜視図である。
図3】上記実施形態の紙製容器の斜視図である。
図4】上記実施形態の紙製容器の平面図である。
図5図4のV-V矢視線断面図である。
図6図4のVI-VI矢視線断面図である。
図7】上記実施形態の紙製容器の展開図である。
図8】上記実施形態の紙製容器の固定部材の平面図である。
図9】外箱の展開図である。
図10】上記実施形態の紙製容器にシートスライド装置を収容した状態を示す斜視図である。
図11】上記実施形態の紙製容器にシートスライド装置を収容した状態を示す図5に対応する断面図である。
図12】上記実施形態の紙製容器にシートスライド装置を収容した状態を示す図6に対応する断面図である。
図13】上記実施形態の紙製容器にシートスライド装置を収容して外箱に入れた状態を示す斜視図である。
図14】従来のシートクッションフレーム装置の概要を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
最初に、本発明の一実施形態である紙製容器30に収容して運搬されるシートスライドレール装置10について説明する。自動車用シートSにあっては、乗員が着座するシートクッションS1の骨格をなすシートクッションフレーム装置1がフロアFに対して取付けられている。上記した、背景技術におけるシートクッションフレーム装置100との違いは、スライドレール104が手動式のいわゆるマニュアルタイプであるのに対し、シートスライドレール装置10は電動式のいわゆるパワータイプである点である。図1及び図2に示すように、シートクッションフレーム装置1は、シートスライドレール装置10と、上下アジャスト装置20と、を有している。シートスライドレール装置10は、前後方向に平行に延びる左右一対のスライドレール11と、各スライドレール11の前後方向略中央部を連結する連結部12と、を有する。各スライドレール11は、フロアに固定されるロアレール11aと、ロアレール11aに対して前後に摺動するアッパレール11bと、を有する。ロアレール11aとアッパレール11bとの間は、図示しないスクリュで連結されており、連結部12に配設されたモータ12aを作動させることにより図示ない減速機構を介してスクリュが回転するように構成されている。これによって、ロアレール11aに対してアッパレール11bは前後に摺動可能とされている。ロアレール11aに対するアッパレール11bの位置を最後部(リアモースト)とした状態でシートスライドレール装置10は、上面視で略H字状をしている。ロアレール11aの下面側(フロアF側)にはフロアFに対する位置決めをするための前ピン11a1と後ピン11a2が下方に向かって延びて配設されている(図11参照)。ここで、上下アジャスト装置20が、特許請求の範囲の「シートクッションフレーム」に相当する。また、前ピン11a1と後ピン11a2が、それぞれ特許請求の範囲の「位置決めピン」に相当する。
【0023】
上下アジャスト装置20は、クッションフレーム21と、クッションフレーム21をシートスライドレール装置10に対して上下動させる上下アジャスト機構22と、を有する。クッションフレーム21は、前後方向に平行に延びる左右一対のサイドフレーム21aと、各サイドフレーム21aの間に架け渡し状に配置されたフロントロッド21bと、リアロッド21cと、を有し、上面視で略矩形状に形成されている。上下アジャスト機構22は、上端部側がフロントロッド21bに連結され下端部側がブラケット22a1を介してアッパレール11bに対して上下方向に回転可能に取付けられた左右一対のフロントリンク22aと、上端部側がリアロッド21cに連結され下端部側がブラケット22b1を介してアッパレール11bに対して上下方向に回転可能に取付けられた左右一対のリアリンク22bと、を有する。サイドフレーム21a、フロントリンク22a、アッパレール11b、リアリンク22bは、4節リンクを構成している。リアロッド21cに連結されたセクタギア21c1を図示しないモータを作動させて回転させることによって左右のスライドレール11に対して左右のサイドフレーム21aが上下動するようになっている。
【0024】
ここで、自動車用シートSに取付けられたシートスライドレール装置10に故障が生じ、交換修理の必要が生じた場合、シートクッションフレーム装置1から故障したシートスライドレール装置10を取り外し、新しいシートスライドレール装置10を取付ける作業を行う。このとき、シートスライドレール装置10が単体状態であると各スライドレール11間の平行度や前後位置が自由に変化するので上下アジャスト装置20の各ブラケット22a1及び各ブラケット22b1に対する連結作業が煩雑となり作業工数の増加を招いてしまう。そこで、以下において説明する紙製容器30にシートスライドレール装置10を収容して運搬し、収容状態のまま上下アジャスト装置20に対してシートスライドレール装置10を連結することとした。
【0025】
図3図8は、本発明の一実施形態である紙製容器30を示す。各図において、矢印によって示す上下前後左右の方向は、自動車用シートSに着座した着座者を基準としたシートスライドレール装置10の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。なお、左右方向がシート幅方向に相当する。
【0026】
紙製容器30は、図7に示す一枚の段ボール300を組み立てて形成される本体部30Aと、樹脂板製の部材である2枚の帯状部材30Bと、を有する。
【0027】
本体部30Aは、角筒状で左右方向に延びる前枠部31と、角筒状で左右方向に延びる後枠部32と、前枠部31と後枠部32の左右端部をそれぞれ連結して前後方向に延びる断面が略U字状の左右一対の側枠部33と、を有する。
【0028】
図7に示す段ボール300において、上面視で長辺方向を左右方向とする略矩形状の底板部301と、折線f1より前側の部分により前枠部31が形成され、折線f6より後側の部分により後枠部32が形成され、折線f11より右側又は左側の部分により側枠部33が形成されている。底板部301は、前よりの中央部に後方に開口する略U字状の開口301aを有する。開口301aの後端部には、折線f13で繋がる上面視で略矩形状の被覆部301bが設けられている。被覆部301bは、後述するように、紙製容器30に収容されたシートスライドレール装置10の連結部12に被せられる部分である。被覆部301bの前端部における左右方向中央部には略矩形状の係止部301b1が設けられている。底板部301において、開口301aの前端部と折線f1との間の部分は、前第1底面部301cとして形成されている。また、底板部301において、開口301aの後端部及び折線f13と、折線f6と、の間の部分は、後第1底面部301dとして形成されている。さらに、底板部301において、開口301aの左端部と左側の折線f11との間の部分と、開口301aの右端部と右側の折線f11との間の部分と、は側底面部301eとして形成されている。開口301aの前端部における左右方向中央部には後方に向かうにつれて左右方向の幅が徐々に広がる前係止部301c1が設けられている。折線f13の左右方向中央部には前方に向かうにつれて左右方向の幅が徐々に広がる後係止部301d1が設けられている。被覆部301bには折線f13と平行に折線f14が設けられている。
【0029】
図4図5及び図7に示すように、前枠部31は、底板部301に対して折線f1~f5を同一方向に順次折り曲げて、横断面が四角形で左右方向に延びる筒状に形成されている。前枠部31は、前第1底面部301cと、前第1前面部302と、前上面部303と、前後面部304と、前第2底面部305と、前第2前面部306と、を有する。前第2底面部305は前第1底面部301cの上面に重ね合わせられており、前第2前面部306は前第1前面部302の後面に重ね合わされている。前第1前面部302には、折線f2における左右方向中央部に開口を前側とする略U字状の切欠き302aが設けられている。切欠き302aは、前枠部31が形成された状態で、折線f2において後方に向けて折られて形成された開口部が紙製容器30を持ち上げる取っ手として機能する。前上面部303には、長辺が折線f2から折線f3にかけて延びる左右一対の略矩形状の開口303aが形成されている。各開口303aの左右方向の間隔は、シートスライドレール装置10の各スライドレール11の間隔と等しく設定されている。開口303aの短辺は、スライドレール11の左右方向の幅より若干短くなるように形成されている。詳しくは、各開口303aの左右方向中央側の長辺部には突起部303a1が設けられて、後述するように、スライドレール11を開口303aから挿入するときスライドレール11が突起部303a1に干渉するようになっている。前上面部303の左右方向中央部には、前枠部31が形成された状態で、頂点が前方を向くように形成された三角形の表示切欠303bが設けられている。表示切欠303bは、紙製容器30に収容するシートスライドレール装置10の前方向を表示する機能を有する。前後面部304には、前上面部303の左右一対の開口303aと連続して折線f3と折線f4の間の中央付近まで延びる矩形状の左右一対の開口304aが形成されている。前枠部31が形成された状態で、開口304aの上端縁部304a1には帯状部材30Bの前端部側が載置される。前後面部304の左右方向中央部には、前枠部31が形成された状態で、折線f4から上方に延びる矩形状の開口304bが形成されている。開口304bには、前枠部31が形成された状態で、底板部301の前係止部301c1が挿入されて係止される。折線f3の左右端部には、それぞれスリット304cが形成されている。各スリット304cには、後述する側枠部33のスリット323aが挿入されて本体部30Aが組み立てられる。前第2前面部306には、左右方向中央部に略U字状の切欠き306aと、左右一対の矩形状の開口306bと、が形成されている。前枠部31が形成された状態で前方から見て、切欠き306aは切欠き302aに一致し、左右一対の開口306bは左右一対の開口304aに一致する。前枠部31が形成された状態で、開口303aと開口304aによって係止切欠31aが形成されている。
【0030】
図4図5及び図7に示すように、後枠部32は、底板部301に対して折線f6~f10を同一方向に順次折り曲げて、横断面が長辺を前後方向とする長方形で左右方向に延びる筒状に形成されている。後枠部32は、後第1底面部301dと、後第1後面部312と、後上面部313と、後前面部314と、後第2底面部315と、後第2後面部316と、を有する。後第2底面部315は後第1底面部301dの上面に重ね合わせられており、後第2後面部316は後第1後面部312の前面に重ね合わされている。後第1後面部312には、後枠部32が形成された状態で、折線f7の側に上下方向に延びる左右一対の矩形状の開口312aが設けられている。開口312aは、後述する開口313aに連結されている。後上面部313には、長辺が折線f7から折線f8にかけて延びる左右一対の略矩形状の開口313aが形成されている。各313aの左右方向の間隔は、シートスライドレール装置10の各スライドレール11の間隔と等しく設定されている。開口313aの短辺は、スライドレール11の左右方向の幅より若干短くなるように形成されている。詳しくは、各開口313aの左右方向中央側の長辺部には突起部313a1が設けられて、後述するように、スライドレール11を開口313aから挿入するときスライドレール11が突起部313a1に干渉するようになっている。後上面部313の左右方向中央部には、後枠部32が形成された状態で、折線f7から前方に向かって延びる矩形状の開口313bが設けられている。開口313bには、後枠部32が形成された状態で、被覆部301bの係止部301b1が一時的に係止される。後前面部314には、後上面部313の左右一対の開口313aと連続して折線f8と折線f9の間の中央付近まで延びる矩形状の左右一対の開口314aが形成されている。後枠部32が形成された状態で、開口314aの上端縁部314a1には帯状部材30Bの後端部側が載置される。後前面部314の左右方向中央部には、後枠部32が形成された状態で、折線f9から上方に延びる矩形状の開口314bが形成されている。開口314bには、後枠部32が形成された状態で、底板部301の後係止部301d1が挿入されて係止される。折線f8の左右端部には、それぞれスリット314cが形成されている。各スリット314cには、後述する側枠部33のスリット323bが挿入されて本体部30Aが組み立てられる。後第2後面部316には、左右一対の開口316aが形成されている。後枠部32が形成された状態で後方から見て、左右一対の開口316aは左右一対の開口314aに一致する。後枠部32が形成された状態で、開口313aと開口314aによって係止切欠32aが形成されている。
【0031】
図4図6及び図7に示すように、各側枠部33は、本体部30Aの左右中心面に関して左右対称形状なので、代表として右側の側枠部33について説明し左側の側枠部33については説明を省略する。側枠部33は、底板部301に対して折線f11とf12を同一方向に順次折り曲げて、横断面が左方に開口する略U字状で前後方向に延びる形状に形成されている。側枠部33は、側底面部301eと、側側面部322と、側上面部323と、を有する。側側面部322は、側枠部33が形成された状態で、前枠部31及び後枠部32の上下方向高さとほぼ同じだけ上方に向かって延びる面部として形成されている。側上面部323は、側側面部322より前後方向の長さが短く、側枠部33が形成された状態で、側底面部301eと平行して前後方向に延びる面部として形成されている。側上面部323の前端部側には、側枠部33が形成された状態で、前枠部31のスリット304cに係合するスリット323aが形成されている。側上面部323の後端部側には、側枠部33が形成された状態で、後枠部32のスリット314cに係合するスリット323bが形成されている。前枠部31のスリット304cにスリット323aが係合させられ、後枠部32のスリット314cにスリット323bが係合させられたとき、側上面部323の前端部側の上面は前枠部31の前上面部303の下面に当接し、側上面部323の後端部側の上面は後枠部32の後上面部313の下面に当接する。
【0032】
図3図7に基づいて、本体部30Aの組み立て手順について説明する。まず、底板部301に対して折線f1~f5を同一方向に順次折り曲げて筒状にし、開口304bに前係止部301c1を挿入して係止する。次に、底板部301に対して折線f6~f10を同一方向に順次折り曲げて筒状にし、開口314bに後係止部301d1を挿入して係止する。そして、底板部301に対して左右の折線f11、f12を同一方向に順次折り曲げてスリット323aをスリット304cに係合し、スリット323bをスリット314cに係合する。このとき、側上面部323が前枠部31の前上面部303の下面と後枠部32の後上面部313の下面に当接するようにする。本体部30Aの前枠部31、後枠部32及び各側枠部33で囲まれた領域は、上下方向に貫通する開口部34として形成されている。
【0033】
図3図4及び図8に示すように、帯状部材30Bは、樹脂板を打ち抜いて形成した部材であり、上面視で前後方向中央部にくびれ30B1を有する長辺方向を前後方向とする略矩形状をしている。そして、前端部側に前ピン孔30B2が設けられ、後端部側に後ピン孔30B3が設けられている。前ピン孔30B2と後ピン孔30B3は、ロアレール11aの前ピン11a1と後ピン11a2に対応する大きさ、位置とされている。帯状部材30Bは、本体部30Aに対し、前端部側が前枠部31の係止切欠31aに係止され、後端部側が後枠部32の係止切欠32aに係止されることで取付けられている。帯状部材30Bは、段ボール300に比べて湿度変化による伸縮が小さい。ここで、前ピン孔30B2と後ピン孔30B3が、それぞれ特許請求の範囲の「位置決め孔」に相当する。
【0034】
図9図13に基づいて、紙製容器30にシートスライドレール装置10を収容して運搬する状態について説明する。シートスライドレール装置10をリアモースト状態にして各スライドレール11の前ピン11a1を各帯状部材30Bの前ピン孔30B2に挿入し、各スライドレール11の後ピン11a2を各帯状部材30Bの後ピン孔30B3に挿入する。このとき、各スライドレール11の前端部側は、係止切欠31aの中に挿入されるとき突起部303a1と干渉しながら挿入され挿入後に突起部303a1が元の状態に復帰するので突起部303a1によって抜け止めがなされる。また、各スライドレール11の後端部側は、係止切欠32aの中に挿入されるとき突起部313a1と干渉しながら挿入され挿入後に突起部313a1が元の状態に復帰するので突起部313a1によって抜け止めがなされる。この状態で、被覆部301bが折線f14を中心に前方に向かって折り返されシートスライドレール装置10の連結部12に被せられる。紙製容器30にシートスライドレール装置10が収容された状態を図10図12に示す。
【0035】
紙製容器30にシートスライドレール装置10を収容してこの状態で運搬してもよいが、運搬時におけるシートスライドレール装置10の損傷を防止するために外箱40に入れて運搬してもよい。図9及び図13に示すように、外箱40は、一枚の段ボール400を組み立てて形成される。側板401~404を上面視で矩形状に組立て、底板411~414を組み合わせて底板部とする。この中にシートスライドレール装置10を収容した状態の紙製容器30を入れる。そして、上板421、423を、平行する折線を同一方向に順次折り曲げて角筒状にしてシートスライドレール装置10を収容した状態の紙製容器30に上方から当てがい上板422、424で蓋をする。この状態で、修理作業を行う場所まで運搬する。
【0036】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。紙製容器30は、シートスライドレール装置10を収容して運搬することができるとともに、紙製容器30に収容され左右一対のスライドレール11の位置決めがされた状態で上下アジャスト装置20に対する組み付け作業が可能である。これによって、シートスライドレール装置10のみの交換修理が容易にでき修理における部品代金、作業料金の低減を図ることができる。
【0037】
また、紙製容器30は左右一対のスライドレール11の前端部と後端部を支持して中央部に上下に貫通する開口部34が設けられている。これによって、上下アジャスト装置20にシートスライドレール装置10をあてがった状態でシートスライドレール装置10の下側(フロアF側)から開口部34に手を入れて上下アジャスト装置20に対する取付け作業がしやすい。
【0038】
また、紙製容器30は、角筒状の前枠部31及び後枠部32と、左右一対の側枠部33と、で形成された上面視で矩形状に形成されているので、左右一対のスライドレール11の位置決めがされた状態を維持しやすい。これによって、シートスライドレール装置10の交換修理作業を円滑にすることができる。
【0039】
また、前枠部31にはシートスライドレール装置10の前後方向を表示する表示切欠303bが設けられている。これによって、安価に交換作業において重要なシートスライドレール装置10の前後を表示することができる。
【0040】
また、後枠部32に連結部12を覆う被覆部301bが配設されているので、被覆部301bが被せられた部分が上側であることが容易にわかり、交換作業の円滑化が図られる。
【0041】
さらに、紙製容器30は,前枠部31の係止切欠31aと後枠部32の係止切欠32aとの間に橋渡し状に配設される帯状部材30Bを有している。そして、帯状部材30Bのおり、前ピン孔30B2と後ピン孔30B3に、それぞれ各スライドレール11の前ピン11a1と後ピン11a2を挿入した状態で収容する。これによって、帯状部材30Bは湿度変化による伸縮が小さいので、環境湿度が変化しても安定して紙製容器30内にシートスライドレール装置10を位置決めして収容することができる。
【0042】
加えて、紙製容器30は一枚の段ボール300を折り曲げて形成されているので、紙製容器30を安価に製造できるとともに保管時のスペース効率が良い。
【0043】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0044】
1.上記実施形態においては、シートスライドレール装置10は、電動式のいわゆるパワータイプであるものとし、各スライドレール11が連結部12で連結されているものとした。しかしこれに限らず、手動式のいわゆるマニュアルタイプであって、各スライドレール11が分離しているものであっても適用が可能である。
【0045】
2.上記実施形態においては、シートスライドレール装置10を自動車用シートSのものであるとしたが、これに限らず、航空機、船、電車等に搭載のシートのものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 シートクッションフレーム装置
10 シートスライドレール装置
11 スライドレール
11a1 前ピン(位置決めピン)
11a2 後ピン(位置決めピン)
12 連結部
20 上下アジャスト装置(シートクッションフレーム)
21 クッションフレーム
22 上下アジャスト機構
30 紙製容器
30A 本体部
30B 帯状部材
30B2 前ピン孔(位置決め孔)
30B3 後ピン孔(位置決め孔)
31 前枠部
31a 係止切欠
32 後枠部
32a 係止切欠
33 側枠部
34 開口部
300 段ボール
301b 被覆部
303b 表示切欠
F フロア
f1~f14 折線
S 自動車用シート
S1 シートクッション
図1
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