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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ナースカート用什器
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20231004BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61G12/00 Z
A47B13/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019100555
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020192176
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】390005452
【氏名又は名称】伊藤喜オールスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昇
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-104950(JP,A)
【文献】特開2013-017703(JP,A)
【文献】特開2007-020657(JP,A)
【文献】特開2006-136542(JP,A)
【文献】特開2013-017709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A47B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のナースカートを集合配置するためのカートターミナルとして機能するナースカート用什器であって、
側面視略逆T状のサイドフレームと、
左右に離間させて配置する前記サイドフレームの対面する上部と下部の間を繋ぐ上部連結フレーム及び下部連結フレームと、
左右の前記サイドフレームの前面と後面に上下方向の位置を可変に設ける2枚の天板と、
前記上部連結フレーム又は天板に配置した電源コンセントを含む電気コネクタと、
ナースカートを停車した際のストッパとして機能するバンパーと、
を備え、
前記バンパーは、前側の前記天板の下方に配置され前記サイドフレームよりも前側に位置する前側のバンパー本体と、後側の前記天板の下方に配置される後側のバンパー本体と、を含む、
ナースカート用什器。
【請求項2】
前記サイドフレームは、前後方向に水平に延びた足部と、該足部の略中央部位から立上がった支柱部とを備え、
前記支柱部が、横向き略凹状の平断面形状を有する強度部材と該強度部材の開放面を塞ぐ着脱式のカバー部材を備える
請求項1のナースカート用什器。
【請求項3】
前面と後面に上下方向の位置を可変に設ける前記2枚の天板は、左右の前記支柱部の前後両面の少なくとも上半側に、上下方向で位置可変に設けたブラケット状の天板支持部材に支持させて設ける
請求項のナースカート用什器。
【請求項4】
前面と後面に高さが異なるように設けた前記2枚の天板は、高い天板を立ち姿勢で使用する高さとして900mmに、低い天板を椅子に掛けて使用する高さとして720mmに、夫々に設定して設ける)
請求項1~3のいずれかのナースカート用什器。
【請求項5】
前記高い天板は、接近配置されるナースカートのトップボードの上に非接触で被さる高さである
請求項4のナースカート用什器。
【請求項6】
前記低い天板は、接近配置されるナースカートのトップボードの下に非接触で位置する
請求項4又は5のナースカート用什器。
【請求項7】
前記電源コンセントを含む電気コネクタは、前記上部連結フレームの上面又は前後両面、又は前記2枚の天板の下面に設ける
請求項1~6のいずれのナースカート用什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等で使用されるナースワゴンやナースカート等と称されるカートや台車(以下、ナースカートという。)の複数台を集合配置させ、必要な備品等の搭載や電子機器の充電等を行うためにナースセンターやその隣接場所に設置されるナースカート用什器(以下、ナースカートターミナル又はカートターミナルという)に関する。
【背景技術】
【0002】
入院患者がいる病院では、看護師が各患者の間を巡回し、各患者の血圧、心拍数、体温等の測定、点滴液や包帯等の交換など必要な措置を採るために、パソコンを含む必要な機器、機材、用具、用品等を搭載するナースカートが使用されている。
【0003】
上記ナースカートは、例えばナースセンターに各看護師が集合するとき、各人が携行していた夫々のナースカートを、カートターミナルの周囲に接合状態で並べて配置することが行われる。
【0004】
ナースカートが集合したカートターミナルでは、各看護師が業務上使用しているパソコンやPHS等の電源を充電したり、配置したナースカート上でパソコンを操作するなどの業務も行われる。
【0005】
ところで、従来のカートターミナルには、図7図8に示すように、正面視略横向き長方形状で前後幅が小さめの筺体部Sbの左右を、略逆T状のサイドフレームSFで支持してカートターミナルCTを形成し、このカートターミナルCTの筐体部Sbの上部の前後に広がる天板Btを設けたものがある。なお、Spは天板Btを支持するブラケット状支持部材である。
【0006】
従来のカートターミナルには、ナースカートをカートターミナルに接近させた天板Tbの高さがナースカートのトップボードの上に被さる高さに設定し、看護師等が立ち姿勢で天板Btの上で作業等ができるようにしたものと、図7図8に示したように天板Btの高さを椅子に掛けて使用できる低い高さにしたものがある。
【0007】
カートターミナルで行う作業や業務には、立ち姿勢で行う方が作業等が行い易いものと、椅子に掛けて落ち着いて行う必要があるものとがあるため、カートターミナルの天板の高さがどちらか一方に固定されていると、他方の高さに向いた業務が行い難いという問題がある。この点に鑑み、近時、天板の高さをモータシリンダ等の動力で自由に変更できるようにした天板を備えたカートターミナル等の什器が提案されている。
【0008】
しかし、動力を用いて高さを変更できる天板の構成を、従来のカートターミナルに適用すると、構造が複雑になって製品価格が高額になってしまう難点のほか、付加される天板の昇降機構が嵩張ってナースカートをカートターミナル接近させにくくする問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2013-226188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来のナースカートターミナルの天板の高さが一定であったため使い勝手の面で難点があったことに鑑み、異なる高さの天板を備えた一台のカートターミナルで立ち姿勢と椅子に掛けた姿勢の何れの姿勢による作業等であっても適切な姿勢で行うことを可能にするカートターミナルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明カートターミナルの構成は、側面視略逆T 状のサイドフレームと、左右に離間させて配置する前記サイドフレームの対面する上部と下部の間を繋ぐ上部連結フレーム及び下部連結フレームと、左右の前記サイドフレームの前面と後面に上下方向の位置を可変に設ける前面と後面で高さが異なる2枚の天板と、前記上部連結フレーム又は天板に配置した電源コンセントを含む電気コネクタを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記サイドフレームは、前後方向に延びた水平な足部と、該足部の略中央部位から立上がった支柱部とを備え、前記支柱部が、横向き略凹状の平断面形状を有する強度部材と該強度部材の開放面を塞ぐ着脱式のカバー部材を備えている。
【0013】
本発明カートターミナルにおける高さが異なる前記2枚の天板は、左右の前記支柱部の前後両面の少なくとも上半側に、上下方向で位置可変に設けたブラケット状の天板支持部材に支持させて設けることができる。
【0014】
また、高さが異なる前記2枚の天板は、高い天板を立ち姿勢で使用する高さに、低い天板を椅子に掛けて使用する高さに、夫々に設定して設ける。
【0015】
上記天板において高い天板は、カートターミナルに接近配置されるナースカートのトップボードの上に非接触で被さる高さであり、低い天板は、接近配置されるナースカートのトップボードの下に非接触で位置する高さである。
【0016】
本発明カートターミナルにおいて、電源コンセントを含む電気コネクタは、前記上部連結フレームの上面又は前後両面、又は前記2枚の天板の下面に設けることができる。
【0017】
本発明においては、対面する前記サイドフレームの下部に、ナースカートが接近配置されるときそのナースカートのキャスタ付の足に対しストッパとして機能するバンパーを設ける。このバンパーは左右のサイドフレームの連結フレームの機能もある。
【0018】
また本発明では、前記上部連結フレームと下部のバンパーの間には、幕板を含むパネル部材を設けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、ナースカート用のターミナル什器であるカートターミナルを、立ち姿勢で作業等を行える高さの天板と、椅子に掛けた姿勢で作業等を行うことができる高さの天板を備えた構成にしたから、一台のカートターミナルで高さ違いの天板を利用した適切な姿勢で作業等を行うことができる。また、そのための構成は、機械式昇降機構を用いたものに比べ支柱部周りの形態が簡素であり、従ってナースカートの接近配置をさせ易く、しかも構造が簡単であるから容易かつ低コストで製造、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明カートターミナルの一例の正面側の斜視図。
図2図1のカートターミナルの側面側の斜視図。
図3図1のカートターミナルの縦断側面図
図4】サイドフレームの支柱部の拡大平断面図。
図5】本発明カートターミナルの別例の斜視図。
図6】本発明カートターミナルの他の例の斜視図
図7】従来カートターミナルの一例の斜視図。
図8図7のカートターミナルの縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図を参照しつつ本発明カートターミナルの実施の形態例について説明する。図1図6において、1は前後方向に延びた水平な足部、1aは足部1の下面の両端部に設けたアジャスタ、2は前記足部1の長さ方向の略中央において垂直に立上げた細目の支柱部である。
【0022】
前記足部1と支柱部2により側面視略逆T状のサイドフレームSFを構成する。サイドフレームSFにおける支柱部2は、図4に示すように、横向き略凹状の強度部材2aとこの強度部材2aの開放部を塞ぐ着脱自在のカバー部材2bによって形成されている。
【0023】
上記支柱部2の構造と形態は一例であって本発明の支柱部2はこれに限られるものではない。また、支柱部2の高さも、本発明カートターミナルが備える機能等のために、図1に示した高さの支柱部2は一例であって、図5図6に例示する高さの支柱部2を備えた本発明カートターミナルもある。
【0024】
本発明において、前記サイドフレームSFは、その2つを左右方向で離間して配置し、配置した左右のサイドフレームSFの対向面の上部に、上部連結フレーム3を架設し、サイドフレームSFの対向面の下部にバンパー4を架設して結合することにより、左右のサイドフレームSF,上部結合フレーム3、及び下部のバンパー4によるカートターミナルの基体を構成する。
【0025】
ここで上部連結フレーム3は、一例としてやや縦長の略凹状の断面形状を有する上部連結フレーム本体3aと、この上部連結フレーム本体3aの上面開口に着脱可能に被せた略細幅板状の蓋部3bとから成り、蓋部3bの略中央ライン上には電源コンセントを含む電気コネクタ3cが配置されている。
【0026】
また上部連結フレーム3の前後幅は、細目の前後幅を持つ支柱部2と同じ大きさに整えてある。また上部連結フレーム3の上下幅(高さ)は、後述の異なる高さの2枚の天板5,6の設置位置との関係で、前後幅の少なくとも2倍の大きさに設定されている。
【0027】
上部連結フレーム3の内部は中空であるから、蓋部3bに設けられる電気コネクタ3cへの配線コードの挿通部やその余長コードの収容部として機能する構成(配線挿通部や配線保持用のフックやトレー等)を備えている。
【0028】
上述した支柱部2と上部連結フレーム3は、高さが異なる2枚の天板5,6を支持するための天板支持部材を備えている。
【0029】
天板支持部材は、高い位置の天板5と低い位置の天板6の両方を、両天板5,6の長さ方向の外側端部で支持するためのブラケット状支持部材7,8と、両天板5,6の中間部分を長さ方向の少なくとも2箇所で支持するための短アーム状支持部材9,10により形成されている。
【0030】
ブラケット状支持部材7,8は、一例として側面視略L状の鋼板製で短辺側に外向きに複数の係止爪7a、8aを備え、この係止爪7a,8aが支柱部2の強度部材2aの前後面に形成した複数の係止スリット21aに係着されることにより、長辺側の上面で天板5,6の下面を下から支える。
【0031】
短アーム状支持部材9,10は、上部連結フレーム本体3aの上面に、適宜ピッチで取付けられ、前記天板5,6の中間部分をその下面から支える。
【0032】
上記のブラケット状支持部材7,8と短アーム状支持部材9,10によって、夫々に支持される高さが異なる2枚の天板5,6の高さは、一例として次のように設定している。
【0033】
高い方の天板5の高さは、立ち姿勢でその天板上で作業等を行うのに適した高さ、例えば900mm程度に設定し、低い方の天板6の高さは、椅子に掛けた姿勢でその天板上で作業等を行うのに適した高さ、例えば720mm程度に設定している。なお、天板5,6の上記高さは一例であって目的に応じた他の高さとすることは任意である。
【0034】
バンパー4は、図の例では、外側寸法の離間幅を200~300mm程度に設定した2本の角パイプ材によるバンパー本体4aと、2本のバンパー本体4a同士を両側端と中間部で繋ぐ結合部材4bにより下部連結フレームの一例に形成され、左右のサイドフレームSFの対向面に、ボルト・ナットやビス止め等により固着している。前記バンパー4におけるバンパー本体4aは、接近配置されるナースカートのキャスタ付の足が当接してそれ以上進めないストッパとして機能する。このバンパー4は、2本の角パイプ材によらず、例えば前後端を略コ状等に折曲げた鋼板部材によって代替することも可能である。下部連結フレームはバンパー機能を果たせば上記実施形態例に限られない。
【0035】
前記バンパー4は、その前後幅が前記支柱部2の前後幅よりも大きく形成されていることによってそのストッパ機能を果している。因みに、図7図8に示した従来のナースカートターミナルでは、筐体部Sbの前後幅が幅広であるためその下部がナースカートを接近配置するときのストッパとして機能している。
【0036】
上部連結フレーム3と下部連結フレームの一形態のバンパー4の間には、上部連結フレーム3の前後幅により、前後2枚の幕板状のパネル部材11が着脱可能に設けられている。なおパネル部材11は、本発明カートターミナルの必須部材ではない。
【0037】
図1図4により説明した本発明の実施形態は、本発明カートターミナルCTの基本形態の一例であるが、図5図6により本発明カートターミナルCTの別例と他の例について説明する。
【0038】
図5に示した本発明カートターミナルCTでは、左右のサイドフレームSFの支柱部2に、その上端が、前記段違い天板5,6の高さより高い位置になる上部側2aを有する支柱部材を使用している。これは、左右の支柱部2の上部側2aの対向面間にディスプレイパネル等を係止する支持バー部材12を架設するためである。
【0039】
図6の本発明カートターミナルCTは、図1図4で説明したカートターミナルCTに比べ、右側の支柱部2が天井付近まで延びた高さを備えている。これは天井側から垂れ下がる電源、信号等の各配線をこの支柱部2の内部を通して支柱部2の下方に導き、その部位から上部連結フレーム3や天板5,6に配置される電気コネクタに導入した配線が接続される。因みに床側から立上る配線は前記パネル部材11の間の配線収納部に導入される。
【0040】
本発明カートターミナルCTは以上の通りであって、カートターミナルCTの前後両面に高さ違いで2枚の天板を設けたから、次の作用効果を奏する。
即ち、高い方の天板の高さは、立ち姿勢でその天板上で作業等を行うのに適した高さに設定され、低い方の天板の高さは、椅子に掛けた姿勢でその天板上で作業等を行うのに適した高さに設定されているから、1台のカートターミナルにおいて作業等の内容に適した立ち姿勢、或は椅子に掛けた姿勢で看護師業務を遂行することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 足部
2 支柱部
3 上部連結フレーム
4 バンパー
5 高さが高い天板
6 高さが低い天板
7,8 ブラケット状支持部材
9,10 短アーム状支持部材
11 幕板状のパネル部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8