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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】光照射システム及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/165 20200101AFI20231004BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231004BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231004BHJP
   F21Y 105/12 20160101ALN20231004BHJP
【FI】
H05B47/165
F21S2/00 350
F21Y115:10
F21Y105:12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019227224
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021096949
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-12-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】倉野 一俊
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112479(JP,A)
【文献】特開2019-035609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21S 2/00
F21Y 115/10
F21Y 105/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングに保持された複数の光源から形成される発光面を具備し、当該発光面が個別に調光可能な複数の発光領域に分割されており、当該複数の発光領域が、複数のステップにわたって定められた、ステップ毎に1つの発光態様を有する所定の調光パターンに従って発光するように構成された光照射装置と、
前記複数の発光領域の複数ステップにわたって定められた前記調光パターンを画面に表示する表示部とを具備し、
前記表示部が、
前記発光面を模した1つの仮想発光面を前記画面に表示させるとともに
当該1つの仮想発光面を、前記複数の発光領域に係る1つの発光態様を前記調光パターンに基づきステップ毎に反映させて、かつ、ステップ毎に画面を切り替えて、同じ位置に表示する光照射システム。
【請求項2】
前記表示部が、各ステップにおける前記発光領域の調光値を前記仮想発光面と共に表示する請求項1に記載の光照射システム。
【請求項3】
前記発光領域の調光値が前記仮想発光面と共に表示されている状態でユーザからの所定の入力操作を受け付けると、前記発光領域の調光値を変更できるように構成された請求項2に記載の光照射システム。
【請求項4】
前記表示部が、表示されている前記仮想発光面が、前記発光面を表面側又は裏面側のいずれの方向から視たものかを示すシンボルを前記仮想発光面と共に表示する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光照射システム。
【請求項5】
ユーザの入力操作により前記発光面に対する視点位置の設定が前記表面側と前記裏面側との間で切り替えられると、前記表示部が前記仮想発光面を左右反転して表示する請求項4に記載の光照射システム。
【請求項6】
ケーシング内に収容された複数の光源から形成される発光面を具備し、当該発光面が個別に調光可能な複数の発光領域に分割されており、当該複数の発光領域が複数のステップにわたって定められた、ステップ毎に1つの発光態様を有する所定の調光パターンに従って発光するように構成された光照射装置を調光するものであって、
前記複数の発光領域の複数ステップにわたって定められた前記調光パターンを画面に表示する表示部を具備し、
前記表示部が、
前記発光面を模した1つの仮想発光面を前記画面に表示させるとともに、
当該1つの仮想発光面を、前記複数の発光領域に係る1つの発光態様を前記調光パターンに基づきステップ毎に反映させて、かつ、ステップ毎に画面を切り替えて、同じ位置に表示する制御装置。
【請求項7】
ケーシングに保持された複数の光源から形成される発光面を具備し、当該発光面が個別に調光可能な複数の発光領域に分割されており、当該複数の発光領域が、複数のステップにわたって定められた所定の調光パターンに従って発光するように構成された光照射装置と、
前記複数の発光領域のステップ毎の前記調光パターンを画面に表示する表示部とを具備し、
前記表示部が、
前記発光面を模した仮想発光面を前記画面に表示し、各ステップにおける前記各発光領域の前記調光パターンを反映させた前記仮想発光面を、ステップ毎に画面を切り替えて表示させるとともに、
表示されている前記仮想発光面が、前記発光面を表面側又は裏面側のいずれの方向から視たものかを示すシンボルを前記仮想発光面と共に表示させ、ユーザの入力操作により前記発光面に対する視点位置の設定が前記表面側と前記裏面側との間で切り替えられると、前記仮想発光面を左右反転して表示させる光照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割発光型の光照射装置を具備する光照射システム、及び光照射装置を調光制御する制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば工場等で製品(ワーク)の表面検査等をする際に、個別に調光可能な複数の発光領域に分割されたリング状の発光面を備える所謂分割発光型の光照射装置が用いられることがある。この分割発光型の光照射装置は、複数の発光領域が、複数のステップにわたって定められた所定の調光パターンに従って発光するように構成されており、例えばワークに対して異なる方向から順に光を照射するとともにその撮像画像を処理することで、表面欠陥をコントラスト良く抽出することができる。
【0003】
ところでこのような分割発光型の光照射装置を使用する場合には、各発光領域の調光パターンのステップ毎の変化をユーザが確認できるよう、各ステップにおける各発光領域の調光値等の設定パラメータをディスプレイの画面に表示させることがある。例えば特許文献1には、ステップ毎に設定した各発光領域の調光値等の設定パラメータを、数字等の文字により、全ステップ分を表形式で一覧表示させるものが開示されている。ユーザは当該画面を見ることで、各発光領域のステップ毎の調光パターンの設定を確認し、またこの設定を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-181589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような全ステップにわたる各発光領域の調光値等の設定パラメータを数字等の文字により表形式で表示させるものは、調光パターンのステップ毎の変化を把握し難く、そのため各発光領域の調光パターンの設定の調整が難しいという問題がある。発光領域の分割数やステップの数が増えると、画面上の表示が非常に煩雑になり、調光パターンの設定の調整がますます難しくなってしまう。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、個別に調光可能な複数の発光領域に分割された発光面を有する光照射システムにおいて、各発光領域のステップ毎の調光パターンの設定を調整し易くすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る光照射システムは、ケーシングに保持された複数の光源から形成される発光面を具備し、当該発光面が個別に調光可能な複数の発光領域に分割されており、当該複数の発光領域が、複数のステップにわたって定められた所定の調光パターンに従って発光するように構成された光照射装置と、前記複数の発光領域のステップ毎の前記調光パターンを画面に表示する表示部とを具備し、前記表示部が、前記発光面を模した仮想発光面を前記画面に表示し、各ステップにおける前記各発光領域の前記調光パターンを反映させた前記仮想発光面を、ステップ毎に遷移させて表示することを特徴とする。
【0008】
このような構成であれば、各ステップにおける各発光領域の調光パターンを反映させた仮想発光面を画面に表示するので、各発光領域のステップ毎の発光態様をイメージしやすくできる。そしてこのような仮想発光面をステップ毎に画面を分けて遷移させ、動画のように表示させるので、ユーザはステップ毎に各発光領域に設定した調光パターンの変化を容易に把握できる。これにより、各発光領域のステップ毎の調光パターンの設定の調整し易くできる。
【0009】
前記光照射システムは、前記表示部が、各ステップにおける前記発光領域の調光値を前記仮想発光面と共に表示することが好ましい。
このようなものであれば、各ステップにおける発光領域の調光値が仮想発光面と共に表示されるので、ユーザは、各発光領域のステップ毎の発光態様をイメージしながらその詳細な調光設定も把握することができ、各発光領域の調光パターンの設定をより調整し易くできる。
【0010】
前記光照射システムは、前記発光領域の調光値が前記仮想発光面と共に表示されている状態でユーザから所定の入力操作を受け付けると、前記発光領域の調光値を変更できるように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、ユーザは仮想発光面を見ながら各発光領域の調光値を変更できるので、各発光領域の調光パターンの設定をより一層調整し易くできる。
【0011】
前記光照射システムは、前記表示部が、表示されている前記仮想発光面が前記発光面を表面側又は裏面側のいずれの方向から視たものかを示すシンボルを前記仮想発光面と共に表示することが好ましい。
このようにすれば、ユーザは表示されている仮想発光面が表面側又は裏面側のいずれの方向から視たものかを把握できるので、被照射物への光の当たり方を把握しやすい。
このような構成は、本発明の光照射システムが、例えば工場等における製品等のワークの表面検査で用いられる場合に特に有益である。すなわちこのような表面検査では、ワークの材質に応じてワークを撮像する撮像装置の位置が変更され、例えばワーク表面からの反射光を捕捉する場合には、撮像装置は発光面の裏面側からワークを撮像するように配置され、ワークを透過した光を捕捉する場合には、撮像装置はワークの裏面側から、発光面の表面側を望むように配置される。上記シンボルが表示されることで、仮想発光面が表面側又は裏面側のいずれの方向から視たものかを把握できるので、ユーザは撮像画像におけるワークへの光の当たり方をイメージしやすくなり、各発光領域の調光パターンの設定をより一層調整し易くできる。
【0012】
前記光照射システムは、ユーザの入力操作により前記発光面に対する視点位置の設定が前記表面側と前記裏面側との間で切り替えられると、前記表示部が前記仮想発光面を反転して表示することが好ましい。
このようにすれば、被照射物への光の当たり方をより一層容易に把握できる。
【0013】
また本発明の制御装置は、ケーシングに保持された複数の光源から形成される発光面を具備し、当該発光面が個別に調光可能な複数の発光領域に分割されており、当該複数の発光領域が複数のステップにわたって定められた所定の調光パターンに従って発光するように構成された光照射装置を調光するものであって、前記複数の発光領域のステップ毎の前記調光パターンを画面に表示する表示部を具備し、前記表示部が、前記発光面を模した仮想発光面を前記画面に表示し、各ステップにおける前記各発光領域の前記調光パターンを反映させた前記仮想発光面を、ステップ毎に遷移させて表示することを特徴とする。
このような制御装置であれば、本発明の光照射システムと同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、個別に調光可能な複数の発光領域に分割された発光面を有する光照射システムにおいて、各発光領域のステップ毎の調光パターンの設定を調整し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の光照射システムの全体構成を示す模式図。
図2】同実施形態の光照射装置の構成を模式的に示す斜視図。
図3】同実施形態の光照射システムの機能ブロック図。
図4】同実施形態における調光パターン表示画面を示すものであり、発光面を裏面側から視た仮想発光面を示す模式図。
図5】同実施形態における調光パターン表示画面の遷移を示す模式図。
図6】同実施形態における調光パターン表示画面を示すものであり、発光面を表面側から視た仮想発光面を示す模式図。
図7】他の同実施形態における調光パターン表示画面を示す模式図。
図8】他の同実施形態における調光パターン表示画面を示す模式図。
図9】他の同実施形態における調光パターン表示画面を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明に係る光照射システム100の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の光照射システム100は、工場等において製品等のワークWの表面検査で用いられるものである。具体的にこの光照射システム100は、図1に示すように、ワークWと撮像装置Cとの間に設けられてワークWに対して検査光を照射する光照射装置1と、光照射装置1の発光態様を制御する制御装置2とを備えている。この光照射装置1は、その発光面12が個別に調光可能な複数の発光領域121に分割されている所謂分割発光型のものであり、制御装置2から送信される制御信号に従って、複数のステップにわたって各発光領域121が所定の調光パターンで発光するように構成されている。各発光領域121の調光パターンは、制御装置2に接続されたディスプレイDの画面3に表示されており、ユーザが確認できるようにされている。以下において、各部を説明する。
【0018】
光照射装置1は、図1及び図2に示すように、リング状(円環状)を成し、その中心軸11a方向へ向かって傾斜した内側周面111を有するケーシング11と、ケーシング11の内側周面111上に形成されたリング状を成す発光面12とを備えるものである。ケーシング11の内側周面111上には複数の光源13(具体的には発光ダイオード)が均一に配列するように保持されており、当該複数の光源13によって発光面12が形成されている。なおこの発光面12は、複数の光源13の光射出方向に設けられた光拡散板等により構成されてもよく、露出するようにケーシング11に保持された複数の光源13そのものから構成されてもよい。
【0019】
本実施形態の発光面12は、個別に調光可能な14個の発光領域121に分割されている。この複数の発光領域121は、互いに同一形状を成し、ケーシング11の内側周面111の中心軸11a周りに沿って等間隔に形成されている。すなわちこの複数の発光領域121は、ケーシング11の内側周面111の中心軸11aを対称軸として互いに軸対称となるように形成されている。各発光領域121は複数の光源13により形成されており、制御装置2から送信される制御信号に基づいて、複数の光源13が各発光領域121を構成するユニット毎に調光制御されるように構成されている。
【0020】
制御装置2は、光照射装置1が備える複数の発光領域121を調光制御するためのものである。具体的に制御装置2は、CPU、メモリ等を備えた所謂コンピュータであり、メモリに格納された所定プログラムに従ってCPUやその周辺機器が協働することにより、図3に示すように、調光制御部21及び表示部22としての機能を少なくとも発揮する。以下に各機能部を説明する。
【0021】
調光制御部21は、光照射装置1が備える複数の発光領域121の調光パターンを記憶しており、この調光パターンに従って各発光領域121を発光させるよう光照射装置1が備える各光源13に電力を供給することで、各発光領域121を個別に調光制御するものである。
【0022】
調光パターンとは、ステップ毎に各発光領域121に対して設定された、例えば調光値等の調光に関連するパラメータの組み合わせを意味するものであり、調光制御部21は、全ステップにわたる各発光領域121の調光パターンを記憶している。
【0023】
調光制御部21は、各ステップの発光領域121に設定されている調光パターンを変更する設定変更部としての機能も発揮する。設定変更部は、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力手段Iによるユーザからの入力操作を受け付けて、各ステップにおける調光値等の調光パターンを変更するように構成されている。
【0024】
表示部22は、調光制御部21が記憶している各発光領域121の複数ステップにわたる調光パターンを参照し、これをディスプレイDの画面3上に表示させるものである。
【0025】
しかして本実施形態の光照射システム100では、各発光領域121の調光パターンの変化をユーザが容易に把握できるよう、表示部22が、光照射装置1の発光面12を模した仮想発光面31を画面3に表示し、この仮想発光面31に各ステップにおける各発光領域121の調光パターンを反映させ、これをステップ毎に遷移させて画面3に表示する調光パターン遷移表示部221としての機能を発揮するように構成されている。
【0026】
図4に示すように、仮想発光面31は、中心軸11a方向から平面視した発光面12を模して表した円環状を成すものである。仮想発光面31は発光面12を写実的に模して表したものでよく、イラスト風にシンボリックに模して表したものでもよい。そして仮想発光面31は、光照射装置1の複数の発光領域121を模した複数の仮想発光領域32に分割して表示されている。各仮想発光領域32の近傍には、当該仮想発光領域32が示す発光領域121を識別するための識別記号(ここでは、1~14の数字)が表示されており、ここでは当該識別記号は右回り(時計回り)に順に表示される。
【0027】
調光パターン遷移表示部221は、各仮想発光領域32を、各ステップにおける調光パターンを反映させた態様で表示する。具体的には、各発光領域121に対して設定された調光値の大きさに応じて、各仮想発光領域32の例えば色、明るさ、濃淡等を変化させることにより、各ステップにおける調光パターンを反映させる。
【0028】
図5に示すように、調光パターン遷移表示部221は、各ステップにおける各発光領域121の調光パターンを反映させた仮想発光面31を、所定のステップずつ遷移させて画面3に表示する。ここで調光パターン遷移表示部221は、仮想発光面31を1ステップ毎に画面3を分けて表示し、当該画面3を順に切り替えることで、発光領域121の調光パターンのステップ毎の変化を動画的に表示する。画面3の遷移(切り替え)は、例えばフェード、ワイプ等の任意の切り替えエフェクトを伴ってもよい。また調光パターン遷移表示部221は、画面3を遷移させている間は、ステップ番号が隣り合う複数の仮想発光面31を1画面に同時に表示させてもよい。また調光パターン遷移表示部221は、ステップ毎の仮想発光面31を、縦又は横方向にスクロールさせることにより遷移表示させてもよい。
【0029】
表示部22は、各ステップにおける各発光領域121の調光設定を仮想発光面31と共に表示する調光設定表示部222としての機能も発揮する。図4に示すように、調光設定表示部222は、ユーザによるマウス操作等の入力操作によって画面3上の仮想発光領域32が選択されると、当該選択された仮想発光領域32に対応する発光領域121の調光設定を示す調光設定シンボル34を表示する。調光設定表示部222は、選択された仮想発光領域32の調光設定を、当該仮想発光領域32の近傍、あるいは仮想発光領域32の上にオーバーレイさせるようにポップアップ表示させる。ここでは、調光設定表示部222は調光設定シンボル34として調光値を数字で表示する。
【0030】
ここで、ユーザの入力操作により選択された仮想発光領域32の調光値が仮想発光面31と共に表示されている状態で、ユーザが例えばキーボード操作等の入力操作を行うと、設定変更部により当該仮想発光領域32に対応する発光領域121に設定されている調光値が変更される。
【0031】
表示部22はまた、画面3上に表示されている仮想発光面31のステップ番号を示すステップ番号シンボル33を仮想発光面31と共に表示するステップ番号表示部223としての機能を発揮する。具体的にこのステップ番号シンボル33は、表示されている仮想発光面31のステップ番号を直線上のバー331(ハンドル)の位置により示すスライダーである。ユーザのマウス操作等の入力操作によってバー331がスライドされると、調光パターン遷移表示部221は仮想発光面31をステップ毎に遷移して表示させる。これによりユーザは、発光面12の調光パターンの変化が意図したとおりか否かを確認しやすくできる。ステップ番号表示部223はまた、最終ステップのステップ番号を示すシンボル332を仮想発光面31とともに表示する。
【0032】
表示部22はまた、表示されている仮想発光面31が、発光面12を表面側又は裏面側のいずれの方向から視たものかを示す視点位置シンボル35を仮想発光面31と共に表示する視点位置表示部224としての機能を発揮する。図4に示すように、当該視点位置シンボル35は被照射物と光照射装置1とを横から視た模式図により表される。本実施形態では、当該視点位置シンボル35は、仮想発光面31が発光面12を裏面側から視たものであることを示している。
【0033】
表示部22は、ユーザの入力操作により、発光面12に対する視点位置の設定が表面側と裏面側との間で切り替えられると、仮想発光面31を反転して表示させるように構成されている。図6は、発光面12に対する視点位置が表面側に設定された仮想発光面31を示す画面である。図6に示すように、視点位置が表面側に設定されている場合には、視点位置が裏面側に設定されている場合(すなわち図5に示す画面)と比べて仮想発光面31が左右反転して表示され、各仮想発光領域32を識別する識別記号は反対周り(ここでは反時計回り)に順に表示される。
【0034】
発光面12に対する視点位置の設定の切り替えは、ユーザの入力操作により行われてよい。例えば、ユーザのマウス操作等により視点位置シンボル35をユーザがクリックやドラッグすることにより、発光面12に対する視点位置の設定が表面側と裏面側との間で切り替わってもよい。
【0035】
このように構成した本実施形態の光照射システム100によれば、各ステップにおける各発光領域121の調光パターンを反映させた仮想発光面31を画面3に表示するので、各発光領域121のステップ毎の発光態様をイメージしやすくできる。そしてこのような仮想発光面31をステップ毎に画面3を分けて遷移させ、動画のように表示させるので、ユーザはステップ毎に各発光領域121に設定した調光パターンの変化を容易に把握できる。これにより、各発光領域121のステップ毎の調光パターンの設定を調整し易くできる。
【0036】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0037】
前記実施形態の光照射システム100は、工場等でワークWの表面検査に用いられるものであったがこれに限らない。他の実施形態の光照射システム100は、例えば、物体に対して異なる方向から光を照射して得られた陰影情報を利用する、照度差ステレオ法による物体の三次元形状の推定等の用途に用いられてもよい。
【0038】
前記実施形態の光照射装置1は、リング状の発光面12を備えるリング照明であったがこれに限らない。他の実施形態では、例えばフラット照明やドーム照明等の任意の照明であってもよい。本発明は、発光面12が個別に調光可能な複数の発光領域121に分割されているものであれば、任意の照明に適用できる。また、光源13はケーシング11内に収容されるように保持されたものに限らず、例えばケーシング11から剥き出しになるように保持されていてもよい。
【0039】
前記実施形態では、ユーザの入力操作によりスライダー33を操作することにより、仮想発光面31がステップ毎に遷移して表示されたが、これに限らない。他の実施形態では、ユーザの入力操作により、例えば画面3上の仮想ボタン等がクリックされると、仮想発光面31がステップ毎に自動的に遷移表示されてもよい。この場合、調光パターン遷移表示部221は、一定の時間間隔で仮想発光面31を切り替えてもよく、ステップ毎に個別に設定された時間間隔で仮想発光面31を切替えてもよい。
【0040】
前記実施形態の調光パターン遷移表示部221は、仮想発光面31を1ステップずつ遷移表示させたが、これに限らない。他の実施形態の調光パターン遷移表示部221は、仮想発光面31を、ユーザが任意に設定した連続する複数ステップずつ遷移表示させてもよい。
【0041】
また他の実施形態の視点位置表示部224は、図7及び図8に示すように、視点位置(カメラ位置)が正反射位置(すなわち裏面側)又は透過位置(すなわち表面側)のいずれに設定されているかを示す文字351を仮想発光面31と共に表示してもよい。また視点位置表示部224は、図7及び図8に示すように、各ステップにおける各発光領域121の発光間隔、発光時間、発光遅延時間、画面遷移態様(オート又はシーケンシャル)の設定341を仮想発光面31と共に画面3に表示してもよい。ユーザの入力操作により、当該設定を変更できるようにしてもよい。
【0042】
前記実施形態の調光パターン遷移表示部221は、1つの光照射装置1が有する発光面12を示す仮想発光面31を表示するものであったが、これに限定されない。他の実施形態の調光パターン遷移表示部221は、図9に示すように、複数の光照射装置1が有する発光面12を示す複数(ここでは2つ)の仮想発光面31を1画面に同時に表示してもよい。
【0043】
前記実施形態では、各発光領域121は複数の光源13により形成されていたが、これに限らない。他の実施形態では、各発光領域121は1つの光源13により形成されてもよい。
【0044】
前記実施形態では、調光制御部21及び表示部22の機能が単一の制御装置2により発揮されるよう構成されたが、これに限らない。他の実施形態では、これらの機能が異なる制御装置2により発揮されてもよい。またディスプレイDは、制御装置2が備えるものであってもよい。
【0045】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
100 ・・・光照射システム
1 ・・・光照射装置
11 ・・・ケーシング
12 ・・・発光面
121 ・・・発光領域
13 ・・・光源
22 ・・・表示部
3 ・・・画面
31 ・・・仮想発光面
32 ・・・仮想発光領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9