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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/58 20060101AFI20231004BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20231004BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B29C43/58
B29C43/18
B29C43/34
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020115294
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013023
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石川 侑扶
(72)【発明者】
【氏名】和多田 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 良太
(72)【発明者】
【氏名】水間 敬太
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101082(JP,A)
【文献】特開2019-201146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/58
B29C 43/18
B29C 43/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給対象物に液状の樹脂材料を供給する樹脂供給機構と、
上型と当該上型に対向する下型とを含む成形型と、
前記供給対象物を前記上型と前記下型との間に配置した状態で前記成形型を型締めする型締め機構と、
前記供給対象物に対する前記樹脂材料の供給入力に基づいて、前記樹脂材料の供給状態を図形化して表示する表示部と、
少なくとも前記樹脂供給機構及び前記表示部の作動を制御する制御部と、を備え
前記樹脂供給機構は、前記樹脂材料を吐出するノズルを含んでおり、
前記表示部は、前記樹脂供給機構が前記供給対象物に対する前記樹脂材料の供給を一時停止した後に前記ノズルを上下移動させる回数を表示する樹脂成形装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記供給状態に関する前記樹脂材料の重量及び長さを表示する請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記樹脂供給機構の作動速度を補正する補正値を表示する請求項1又は2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記ノズルを上下移動させる位置を表示する請求項1~3の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記樹脂供給機構が前記供給対象物に対する前記樹脂材料の供給を完了した後に、不足分の前記樹脂材料を再度供給する位置を表示する請求項1~の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記樹脂材料の物性および前記樹脂供給機構のスペックに応じて、前記供給状態に関する前記樹脂材料の重量及び長さを算出する請求項1~の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
供給対象物に対する液状の樹脂材料の供給入力に基づいて、前記樹脂材料の供給状態を図形化して表示する表示ステップと、
前記供給状態に基づいて、ノズルから前記樹脂材料を前記供給対象物に供給する樹脂供給ステップと、
前記樹脂供給ステップで供給された前記樹脂材料を用いて樹脂成形を行う樹脂成形ステップと、を含み、
前記表示ステップでは、前記供給対象物に対する前記樹脂材料の供給を一時停止した後に前記ノズルを上下移動させる回数を表示する樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップが実装された基板等は、一般的に樹脂封止することにより電子部品として用いられる。従来、基板を樹脂封止する樹脂成形装置として、供給対象物としての基板に樹脂材料を供給する樹脂供給機構と、樹脂材料が供給された基板を上型と下型との間に配置した状態で成形型を型締めする型締め機構と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の樹脂成形装置は、計量手段により計測された基板の重量に基づいて、樹脂供給機構が吐出する樹脂量を算出している。これにより、半導体チップの欠損数に応じて基板に供給する樹脂量を調整するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-165133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂成形装置は、欠損している半導体チップの容積分だけ基板に供給する樹脂量を増量することが可能であるものの、樹脂材料の供給位置まで最適化するものではない。つまり、基板の種類や形状に応じて様々に設定される樹脂材料の供給パターンを容易に変更することができない。
【0006】
そこで、樹脂材料の供給パターンを容易に変更可能な樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る樹脂成形装置の特徴構成は、供給対象物に樹脂材料を供給する樹脂供給機構と、上型と当該上型に対向する下型とを含む成形型と、前記供給対象物を前記上型と前記下型との間に配置した状態で前記成形型を型締めする型締め機構と、前記供給対象物に対する前記樹脂材料の供給入力に基づいて、前記樹脂材料の供給状態を図形化して表示する表示部と、少なくとも前記樹脂供給機構及び前記表示部の作動を制御する制御部と、を備えた点にある。
【0008】
本発明に係る樹脂成形品の製造方法の特徴は、供給対象物に対する樹脂材料の供給入力に基づいて、前記樹脂材料の供給状態を図形化して表示する表示ステップと、前記供給状態に基づいて、前記樹脂材料を前記供給対象物に供給する樹脂供給ステップと、前記樹脂供給ステップで供給された前記樹脂材料を用いて樹脂成形を行う樹脂成形ステップと、を含む点にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、樹脂材料の供給パターンを容易に変更可能な樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】樹脂成形装置を示す模式図である。
図2】型締め機構を示す模式図である。
図3】表示部の全体を示す図である。
図4】表示部の一部を示す図である。
図5】表示部の一部を示す図である。
図6】樹脂材料供給方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、樹脂成形装置の一例として、図1に示すように、樹脂供給モジュール2を備えた樹脂成形装置Dについて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0012】
[装置構成]
半導体チップが実装された基板等は樹脂封止することにより電子部品として用いられる。成形対象物を樹脂封止する技術としては、コンプレッション方式(圧縮成形)やトランスファ方式等が挙げられる。このコンプレッション方式の1つとして、離型フィルムに液状又は粉粒体状の樹脂を供給した後、成形型の下型に離型フィルムを載置し、離型フィルム上の樹脂に成形対象物を浸し入れて樹脂成形する樹脂封止方法が挙げられる。本実施形態における樹脂成形装置Dはコンプレッション方式を採用しており、樹脂供給モジュール2は、成形型や基板(供給対象物の一例)又は離型フィルムF(供給対象物の一例)に液状の樹脂(樹脂材料の一例)を供給する装置である。以下において、液状樹脂で構成される樹脂材料が供給される供給対象物を離型フィルムFとし、半導体チップ(以下、「チップ」と称する場合がある)が搭載された基板Sを成形対象物の一例として、重力方向を下、重力方向とは反対方向を上として説明する。なお、図1に示すZ方向が上下方向である。
【0013】
図1には、樹脂成形装置Dの模式図が示されている。本実施形態における樹脂成形装置Dは、樹脂供給モジュール2と複数(本実施形態では3つ)の圧縮成形モジュール3と搬送モジュール4と制御部5と表示部6とを備えている。樹脂供給モジュール2と複数の圧縮成形モジュール3と搬送モジュール4とは、夫々独立して装着又は取り外しできる。なお、本実施形態における圧縮成形モジュール3は3つで構成しているが、1つ又は2つ以上の複数で構成しても良い。
【0014】
樹脂供給モジュール2は、離型フィルムF上における樹脂供給領域に、樹脂成形用の液状樹脂を供給する樹脂供給機構21を含んでいる。ここで、液状樹脂とは、常温(室温)で液状の樹脂だけでなく、加熱により固形樹脂が溶融して液状となる溶融樹脂も含む。常温で液状となる液状樹脂は、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でも良い。熱硬化性樹脂は、常温では液状樹脂であり、加熱すると粘度が低下し、さらに加熱すると重合して硬化し、硬化樹脂となる。本実施形態における液状樹脂は、常温で速やかに流動しない程度の比較的高粘度の熱硬化性の樹脂であることが好ましい。
【0015】
樹脂供給機構21は、離型フィルムFを載置するテーブル21Aと、液状樹脂を吐出する吐出機構21Bと、重量センサ25と、を含んでいる。テーブル21Aには、不図示のリールに巻かれた離型フィルムFを送り出すと共に離型フィルムFを切断して分離する離型フィルム供給機構22が設けられている。この分離された離型フィルムFは、不図示の吸引機構によりテーブル21Aの上面に吸着保持されている。離型フィルムFの上面には、枠状部材(不図示)が載置される。この枠状部材には、後述する下型キャビティMCに対応した空間が形成されている。
【0016】
吐出機構21Bは、ノズルユニット23が取り付けられたディスペンサユニット24を含んでいる。このディスペンサユニット24は、後述する液状樹脂が収容されたカートリッジ23a内の液状樹脂を押し出すための押圧部材(不図示)を含んでおり、押圧部材を下方向に移動させることによりノズルユニット23を介して離型フィルムF上に定量供給する。ノズルユニット23が取り付けられたディスペンサユニット24は、離型フィルムFの載置面となるXY平面上(水平方向)を任意に移動可能に構成されている。なお、ディスペンサユニット24に加えて、又は、ディスペンサユニット24に代えて、テーブル21AがXY平面上を任意に移動可能に構成しても良い。また、ディスペンサユニット24は、Z方向(上下方向)に移動可能に構成されている。
【0017】
ノズルユニット23は、液状樹脂が収容されたカートリッジ23aと、液状樹脂を吐出するノズル23bと、を含んでいる。このノズルユニット23は、樹脂収容部11に予め複数(本実施形態では6つ)収容されている。ディスペンサユニット24は、ノズルユニット23に充填されている液状樹脂を使い切ったときに、異なるノズルユニット23に自動で交換できるように構成されている。
【0018】
重量センサ25は、離型フィルムF上に供給された液状樹脂の重量を計測する。この重量センサ25は、樹脂供給後のテーブル21A又は離型フィルムFの重量と樹脂供給前のテーブル21A又は離型フィルムFの重量との差分により供給された液状樹脂を計測する公知の荷重センサである。
【0019】
樹脂ローダ12は、レール上で樹脂供給モジュール2と圧縮成形モジュール3との間を移動可能に構成されている。樹脂ローダ12は、樹脂供給機構21により液状樹脂が供給された離型フィルムFを保持して、圧縮成形モジュール3まで移送することができる。
【0020】
圧縮成形モジュール3は、少なくとも、成形型Mと、成形型Mを型締めする型締め機構35と、を有している。圧縮成形モジュール3の詳細については、後述する。
【0021】
搬送モジュール4は、樹脂封止前のチップが実装された樹脂封止前基板Sa(成形前基板)を搬送すると共に、樹脂封止後の樹脂封止済基板Sb(樹脂成形品)を搬送する。搬送モジュール4は、基板ローダ41と、樹脂封止前基板Saを収納する第1収容部43と、樹脂封止済基板Sbを収納する第2収容部44と、基板受渡部45とを含んでいる。基板受渡部45は、搬送モジュール4内において、Y方向に移動し、樹脂封止前基板Saを基板ローダ41に受け渡すことができる。また、基板受渡部45は、基板ローダ41から搬送された樹脂封止済基板Sbを受け取ることができる。基板ローダ41は、搬送モジュール4及びそれぞれの圧縮成形モジュール3内において、X方向及びY方向に移動する。
【0022】
搬送モジュール4は、さらに検査機構(不図示)を含んでいる。検査機構は、圧縮成形モジュール3における成形対象物である基板Sにおけるチップの存在領域を検査する。検査機構は、レーザ変位計のスキャンにより、検査を予定されたチップの存在領域において、チップが実際に存在するか否かを検査し、チップが存在する場所と存在しない場所とを記憶する。なお、検査機構は、可視光カメラ等で基板Sを撮影し、この撮像画像に基づいて基板Sにおけるチップの存在領域を検査しても良い。
【0023】
制御部5は、樹脂成形装置Dの作動を制御するソフトウェアとして、HDDやメモリ等のハードウェアに記憶されたプログラムで構成されており、コンピュータのCPUにより実行される。本実施形態では、制御部5の制御形態の一例として、樹脂供給機構21及び表示部6の作動を制御する場合を後述する。
【0024】
表示部6は、外部から視認可能な状態で搬送モジュール4の筐体に固定された公知の液晶ディスプレイで構成されており、制御部5により表示制御される。表示部6は、画面上の表示を指で押圧することにより操作可能なタッチパネルで構成されている。本実施形態における表示部6は、搬送モジュール4の前面に設けられているが、樹脂供給モジュール2又は圧縮成形モジュール3の前面に設けられていても良い。表示部6の表示形態については、後述する。
【0025】
なお、表示部6を、デスクトップ型パソコン、ノート型パソコン又はタブレット端末等のディスプレイで構成しても良く、インターネット回線を通じてHTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ)やCSS(カスケーディングスタイルシート)等で起動するWebブラウザにより操作画面を表示しても良い。この場合、表示部6は、制御部5と所定の無線アクセスポイントを介して無線通信可能、又は、有線により電気的に接続されて有線通信可能に構成されることとなる。また、表示部6をマウスやキーボード等の操作により操作可能に構成しても良い。
【0026】
図2に示すように、本実施形態における圧縮成形モジュール3は、下部固定盤31と上部固定盤33とが板状部材32により一体化されたプレスフレームで構成されている。下部固定盤31と上部固定盤33の間には可動プラテン34が設けられている。可動プラテン34は、板状部材32に沿って上下に移動可能である。下部固定盤31の上には、可動プラテン34を上下に移動させる装置である一対のボールねじ等で構成される型締め機構35が設けられている。型締め機構35は、可動プラテン34を上方に移動させることにより成形型Mの型締めを行ない、可動プラテン34を下方に移動させることにより成形型Mの型開きを行なうことができる。型締め機構35の駆動源は、特に限定されないが、例えば、サーボモータ等の電動モータを用いることができる。
【0027】
成形型Mとしての上型UM及び下型LMは、互いに対向して配置されており、何れも金型等で構成されている。上部固定盤33の下面には上部ヒータ37が配置され、上部ヒータ37の下に上型UMが取り付けられている。上型UMには、基板Sを配置するための上型基板セット部(不図示)が設けられており、上型UMの下面には、チップ等が実装された基板Sが取り付けられる。可動プラテン34の上面には下部ヒータ36が配置され、下部ヒータ36の上に下型LMが設けられている。下型キャビティMCに吸引機構(不図示)により吸引された離型フィルムFが保持されることにより、樹脂供給機構21が離型フィルムF上に塗布した液状樹脂が下型キャビティMCに供給される。型締め機構35により成形型Mを型締めすると共に下部ヒータ36で下型LMを加熱することで、下型キャビティMC内の液状樹脂が硬化する。つまり、供給対象物としての樹脂封止前基板Sa及び離型フィルムFを上型UMと下型LMとの間に配置した状態で、型締め機構35により成形型Mを型締めする。これにより、樹脂封止前基板Sa(成形前基板)に実装されたチップ等は、下型キャビティMC内で樹脂封止されて樹脂封止済基板Sb(樹脂成形品)となる。
【0028】
図3には、表示部6の表示画面の一例が示されている。表示部6は、塗布ライン調整部60と、供給状態表示部61と、演算結果表示部62と、パラメータ表示部63と、入力切替部64と、を有している。入力切替部64は、樹脂供給入力モード64aと、調整ポイント入力モード64bと、液切りポイント入力モード64cとを有している。供給状態表示部61の矩形領域には、樹脂封止前基板SaのZ方向視の外形が表示されている。樹脂供給入力モード64aを選択すると、供給状態表示部61に離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)に対する液状樹脂の供給位置を入力可能な状態となる。離型フィルムFに対する液状樹脂の供給位置は、成形型Mを型締めしたときの樹脂封止前基板Saへの液状樹脂の供給位置になる。つまり、樹脂供給機構21が供給対象物としての離型フィルムFに液状樹脂を供給し、樹脂封止前基板Saに離型フィルムF上の液状樹脂が供給されることから、樹脂供給機構21が樹脂封止前基板Saに間接的に液状樹脂を供給していることとなり、供給状態表示部61の矩形領域には、樹脂封止前基板SaのZ方向視の外形が表示されている。
【0029】
塗布ライン調整部60には複数方向(本実施形態では8方向)の矢印が表示されており、供給状態表示部61を指でタッチして始点及び終点を入力して描かれた線分の長さ(液状樹脂の離型フィルムF上の長さ)や方向を、カーソル操作(矢印を押圧操作)することにより、修正することができる。この線分は、供給対象物としての離型フィルムFに対する液状樹脂の供給入力であり、液状樹脂の塗布ラインである。
【0030】
供給状態表示部61は、離型フィルムFに対する液状樹脂の供給位置の入力(樹脂材料の供給入力の一例)に基づいて、離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)に対する液状樹脂の供給状態を図形化して表示する。図3の例では、離型フィルムFに対する液状樹脂の供給位置の入力として、供給状態表示部61で始点及び終点となる複数のポイントをタッチ入力した後、パラメータ表示部63にライン番号(同図のパラメータ表示部63に示す「Line」欄)を入力することにより線分が描画される。そして、この入力を繰り返すことにより、複数(同図では5本)の線分(塗布ライン)が、離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)に対する液状樹脂の供給状態として描画される。これら複数の線分の夫々又はこれらの組み合わせが、離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)に対する液状樹脂の塗布領域となる図形である。なお、樹脂材料の供給入力として、ダウンロードしたCADデータ等の図形データを制御部5に入力して、制御部5が液状樹脂の供給状態を表示部6に表示させても良い。また、パラメータ表示部63へのXY座標(同図のパラメータ表示部63に示す「X axis」「Y axis」欄)の入力により、制御部5が線分を自動的に描画する構成であっても良い。また、供給状態表示部61で始点及び終点となる複数のポイントをタッチ入力して、自由に各ポイントを結合できる構成であっても良い。
【0031】
制御部5は、供給状態表示部61に表示された図形に基づいて、複数の線分に対する夫々の始点と終点となるXY座標を特定し、離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の重量及び離型フィルムF上の長さを演算する。制御部5は、樹脂供給機構21のノズルユニット23から吐出される単位時間当たりの液状樹脂の吐出量(g/s)と、ノズルユニット23が取り付けられたディスペンサユニット24の移動速度(mm/s)とを加味して、液状樹脂の重量(g)及び長さ(mm)を演算する。このノズルユニット23から吐出される単位時間当たりの液状樹脂の吐出量は、ノズル23bの直径や液状樹脂の比重等に基づいて設定される。また、ディスペンサユニット24の移動速度は、ノズルユニット23から吐出される液状樹脂の吐出速度と一致するように設定される。ディスペンサユニット24の移動速度は、単位時間当たりのノズル23bの吐出重量を液状樹脂の比重で除算して得られた値を、ノズル23bの吐出断面積で除算して算出される。このように、制御部5は、液状樹脂の物性および樹脂供給機構21のスペックに応じて、離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)に対する液状樹脂の供給状態を算出する。
【0032】
また、制御部5は、少なくとも成形対象物である基板Sのサイズや基板Sにおけるチップの存在領域に基づいて、離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の最大重量と離型フィルムF上の最大長さとを演算する。この演算に際し、液状樹脂の物性および樹脂供給機構21のスペックを考慮しても良い。具体的には、基板Sのサイズ及びチップの存在領域に基づいて、基板Sに樹脂封止される体積を算出し、該体積に液状樹脂の比重を乗算することにより離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の最大重量を演算すると共に、該体積をノズル23bの吐出断面積で除算することにより離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の最大長さを演算する。なお、予め基板Sのサイズ、基板Sにおけるチップ等の存在領域、及びノズルユニット23の直径等を手動で入力設定しても良いし、上述した検査機構に記憶された基板Sのサイズ及び基板Sにおけるチップ等の存在領域をリアルタイムで読み出しても良い。
【0033】
図4の下図に示すように、演算結果表示部62は、供給状態表示部61に表示された供給状態に関する液状樹脂の重量及び長さを表示する(同図に示す「Amount」、「Distance」欄)。図4の例では、離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の最大重量及び最大長さを上段に表示し、供給状態表示部61に表示された供給状態に関する液状樹脂の重量及び長さを下段に表示している。
【0034】
このように、液状樹脂の供給位置の入力に基づいて、離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)に対する液状樹脂の供給状態を図形化して表示するため、視覚的に液状樹脂の供給状態を把握することができる。つまり、離型フィルムFに対して供給する液状樹脂の平面位置を入力するだけで、液状樹脂の供給状態を直感的に把握し、適正な供給量及び適正な供給位置となるように液状樹脂の理想的な供給パターンを設定することができる。その結果、型締め機構35の成形時に、液状樹脂が下型キャビティMCからはみ出るといった不都合が解消され、基板Sの種類に応じて液状樹脂が不足しがちな部位に重点的に液状樹脂を供給することが可能となる。しかも、演算結果表示部62に液状樹脂の重量及び長さを表示すれば、適正な供給量及び適正な供給位置となるように液状樹脂の供給パターンを容易に変更することができる。
【0035】
入力切替部64の調整ポイント入力モード64bを選択すると、供給状態表示部61が樹脂供給を完了した後の不足分の液状樹脂を再度供給する位置(調整ポイント)を、供給状態表示部61に入力可能な状態となる。この調整ポイントは、例えば、離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)の中央部分(図4の上図に示す「ADJ」)に設定されることにより、型締め機構35の成形時に、不足分の液状樹脂が下型キャビティMCからはみ出るといった不都合がない。このように、樹脂供給機構21が離型フィルムFに対する液状樹脂の供給を完了した後に、供給状態表示部61に不足分の液状樹脂を再度供給する位置が表示されるため、この位置を調整することで適正な供給量及び適正な供給位置となるように樹脂材料を供給することができる。
【0036】
図5に示すように、パラメータ表示部63は、樹脂供給機構21の作動速度を補正する補正値を表示しても良い(同図に示す「Offset」欄)。ノズルユニット23が取り付けられたディスペンサユニット24の移動速度(以下、ノズルユニット23の移動速度と言う)とノズルユニット23から吐出される液状樹脂の吐出速度とが一致していないと、塗布ラインにうねりが生じ、設定どおりの塗布ラインを描くことができない。そこで、パラメータ表示部63に、樹脂供給機構21の作動速度を補正する補正値として、ノズルユニット23の移動速度の補正割合(比率、1が標準値)を入力し、制御部5は、該補正割合に応じてノズルユニット23の移動速度を変更することが好ましい。これにより、離型フィルムFに対する液状樹脂の塗布ラインのうねりを無くし、適正な供給量及び適正な供給位置となるように液状樹脂の供給パターンを設定することができる。なお、ノズルユニット23の移動速度は、塗布ライン毎に変更しても良いし、全体で統一的に変更しても良い。
【0037】
また、パラメータ表示部63は、樹脂供給機構21における1ターンの供給終了時の作動内容として、樹脂供給機構21が離型フィルムFに対する液状樹脂の供給を一時停止した後にノズル23bを上下移動させる回数を表示しても良い(図5に示す「Drain」欄)。1つの塗布ラインに対して液状樹脂の供給を終え、ディスペンサユニット24の駆動を一時的に停止した後において、ノズル23bを閉塞したとしても、液状樹脂の粘性が高いほど、ノズル23bには液状樹脂の糸引き状態が長く続くため、この糸引き状態が解消されるまでディスペンサユニット24の駆動を停止させることになり、生産性が低下してしまう。そこで、パラメータ表示部63に、ノズルユニット23を上下移動させる回数を入力し、制御部5は、所定の液切りポイントでノズルユニット23を上下移動させることが好ましい。ノズルユニット23を上下移動させる回数を調整することで、糸引き状態をより早く解消することができる。
【0038】
入力切替部64の液切りポイント入力モード64cを選択すると、樹脂供給機構21が離型フィルムFに対する液状樹脂の供給を一時停止した後にノズル23bを上下移動させる位置(液切りポイント)を、供給状態表示部61に入力可能な状態となる。この液切りポイントは、例えば、各塗布ラインの中央部分に設定されることにより、離型フィルムF上に均一に液状樹脂を供給することができる。このように、樹脂供給機構21が離型フィルムFに対する液状樹脂の供給を一時停止した後にノズル23bを上下移動させる位置を表示すれば、この位置を調整することで均一に樹脂材料を供給することができる。
【0039】
なお、パラメータ表示部63は、樹脂供給機構21における1ターンの供給終了時の作動内容として、塗布ラインに沿ってノズルユニット23を往復移動させる時間(後述する所定時間)を表示しても良い。この場合、パラメータ表示部63にノズルユニット23を往復移動させる時間を入力し、制御部5は、該時間に応じてノズルユニット23を塗布ラインに沿って往復移動させることが好ましい。これにより、ディスペンサユニット24の駆動を一時的に停止した後において、カートリッジ23a内の圧力が解放されるまでノズル23bから吐出される残液が塗布ラインに均等に塗布されるため、樹脂だまりを防止することができる。
【0040】
また、パラメータ表示部63は、供給状態表示部61に表示された供給状態に関する塗布ライン毎の液状樹脂の長さ及び重量を表示しても良い(図5に示す「Distance」、「Amount」欄)。このように、供給状態表示部61における液状樹脂の供給位置の入力に基づいて、塗布ライン毎の液状樹脂の供給状態を把握すれば、塗布ライン間で均等な供給長さ及び供給量となるように、液状樹脂の供給パターンを変更することができる。
【0041】
[樹脂材料供給方法]
主に図6を用いて、樹脂材料供給方法について説明する。
【0042】
予め、制御部5は、少なくとも成形対象物である基板Sのサイズや基板Sにおけるチップ等の存在領域に基づいて、離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の最大重量と最大長さとを演算する。次いで、供給状態表示部61を指でタッチし始点及び終点を入力した後、パラメータ表示部63にライン番号を入力することにより、複数(例えば、N=5)の塗布ラインを描き、樹脂供給位置を入力する(♯61)。具体的には、始点及び終点のタッチ入力に対応して、図3に示す供給状態表示部61にポイント番号が表示され、パラメータ表示部63にライン番号(同図のパラメータ表示部63に示す「Line」欄)を入力することにより複数の線分が描画される。このとき、必要に応じて、図3に示す塗布ライン調整部60をカーソル操作することにより、各塗布ラインの長さを調整しても良い。その結果、図4の上図に示すように、供給状態表示部61には、離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)に対する液状樹脂の供給状態が図形化して表示される(♯62、表示ステップ)。そして、制御部5は、供給状態表示部61の表示された図形に基づいて、複数の線分に対する夫々の始点と終点となるXY座標を特定し、離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の重量及び長さを演算する(算出ステップ)。その結果、図4の下図に示すように、演算結果表示部62には、離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の最大重量及び最大長さと、供給状態表示部61に表示された供給状態に関する液状樹脂の重量及び長さと、がこの順で上下段に表示される。
【0043】
次いで、制御部5は、供給状態表示部61に表示された供給状態に関する液状樹脂の重量及び長さが、離型フィルムFの塗布領域における液状樹脂の最大重量及び最大長さを下回るか否か、つまり供給状態(供給量及び供給位置)が適正か否かを判定する(♯63)。制御部5は、供給状態表示部61に表示された供給状態に関する液状樹脂の重量又は長さが、最大重量又は最大長さを下回っていない場合、例えば、演算結果表示部62の数字を赤色に着色して警告表示する。これにより、視覚的に供給状態が適正か否かを判定することができる。♯63の判定の結果、供給状態が適正でない場合(♯63No判定)は、再度、♯61の樹脂供給位置の入力を修正する。この修正入力に際し、図5のパラメータ表示部63に示すように、塗布ライン毎の液状樹脂の重量及び長さが表示されているため、塗布ライン毎に微修正することができる。
【0044】
♯63の判定の結果、供給状態が適正である場合(♯63Yes判定)は、制御部5は、N=1番目(♯64)の塗布ラインの始点上部(図4の上図に示すポイント番号「00」の上部)にノズルユニット23のノズル23bが位置するように、樹脂供給機構21のノズルユニット23が取り付けられたディスペンサユニット24を移動させ、ポイント番号「01」に向かう該塗布ラインに沿って液状樹脂を供給する(♯65、供給ステップ)。このとき、パラメータ表示部63にノズルユニット23の移動速度の補正割合が入力されていれば、制御部5は、液状樹脂を吐出するノズルユニット23の移動速度を補正する(補正ステップ)。その結果、ノズルユニット23の移動速度とノズルユニット23から吐出される液状樹脂の吐出速度とを一致させて塗布ラインのうねりを無くすことができる。次いで、制御部5は、ノズルユニット23がN=1番目の塗布ラインの終点上部(図4の上図に示すポイント番号「01」の上部)に到達したか否かを判定する(♯66)。♯66の判定の結果、ノズルユニット23がN=1番目の塗布ラインの終点上部に到達していなければ(♯66No判定)、引き続きN=1番目の塗布ラインに液状樹脂を供給する。
【0045】
♯66の判定の結果、ノズルユニット23がN=1番目の塗布ラインの終点上部に到達していれば(♯66Yes判定)、制御部5は、1ターンの樹脂供給が終了したと判定し、ディスペンサユニット24の駆動を一時的に停止する。そして、N=1番目の塗布ライン(離型フィルムFと平行な水平方向)に沿ってノズルユニット23を往復移動させる(♯67、往復移動ステップ)。次いで、パラメータ表示部63に入力されたノズルユニット23を往復移動させる時間として、ノズルユニット23の残圧が解放される所定時間が経過したか否かを判定する(♯68)。♯68の判定の結果、所定時間が経過していなければ(♯68No判定)、制御部5は、ノズルユニット23の往復移動を継続させ、所定時間が経過していれば(♯68Yes判定)、Nに1を加算する(♯69)。この加算に先んじて、ノズルユニット23の液切れを確実なものとするために、制御部5は、所定の液切りポイントで、パラメータ表示部63に入力されている回数だけノズルユニット23を上下移動させる。次いで、制御部5は、Nが総ライン数(N=5)を超えている否かを判定し、Nが総ライン数以内であれば(♯70No判定)、♯65~♯68の制御を繰り返す。
【0046】
一方、Nが総ライン数(N=5)を超えていれば(♯70Yes判定)、制御部5は、重量センサ25で測定した樹脂供給機構21による液状樹脂の供給量が、目標量に対して公差範囲内かを判定する(♯71)。仮に樹脂供給機構21による液状樹脂の供給量が、目標量に対して公差範囲を超えて不足していれば(♯71No判定)、制御部5は、調整ポイント(図4の上図に示す「ADJ」)にノズルユニット23を移動させ、調整ポイントに不足分の液状樹脂を供給して、終了する(♯72)。この調整ポイントは、離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)の中央部分であっても良いし、複数の塗布ライン間で相対的に樹脂量が少ない塗布ラインであっても良いし、検査機構で検査したチップ等の不存在領域であっても良い。一方、♯71の判定の結果、樹脂供給機構21による液状樹脂の供給量が、目標量に対して公差範囲内であれば(♯71Yes判定)、終了する。
【0047】
[樹脂成形品の製造方法]
次に、上記樹脂材料供給方法を含む樹脂成形品の製造方法について説明する。
【0048】
まず、図1に示すように、第1収容部43から基板受渡部45により受け渡された樹脂封止前基板Saを基板ローダ41に載置する。このとき、検査機構は、成形対象物である基板S(樹脂封止前基板Sa)におけるチップ等の存在領域を検査しておく。また、上述した樹脂材料供給方法を実行して、離型フィルムFに液状樹脂を供給する。
【0049】
次いで、樹脂ローダ12は、離型フィルムFを下型LMまで移送し、吸引機構により下型キャビティMCに離型フィルムFを吸引して保持する。また、基板ローダ41は、樹脂封止前基板Saを上型UMまで移送して上型UMに受け渡す。次いで、型締め機構35により成形型Mの型締めを実行しながら下部ヒータ36で下型LMを加熱することにより、離型フィルムF上の液状樹脂を、樹脂封止前基板Saのチップ実装面に流動させる。そして、下部ヒータ36で下型LMをさらに加熱することにより、下型キャビティMC内の液状樹脂が硬化し、樹脂封止前基板Saを樹脂封止して樹脂封止済基板Sbを形成する(樹脂成形ステップ)。次いで、可動プラテン34を下方に移動させることにより成形型Mの型開きを行ない、基板ローダ41により離型フィルムFを剥離させた樹脂封止済基板Sbを搬送モジュール4まで搬送し、基板受渡部45が樹脂封止済基板Sbを基板ローダ41から受け取って第2収容部44に収容する(図1参照)。
【0050】
[別実施形態]
以下、上述した実施形態と同様の部材については、理解を容易にするため、同一の用語、符号を用いて説明する。
<1>
供給対象物としての離型フィルムF(樹脂封止前基板Sa)に供給される液状樹脂の供給状態は、図4の上図に示す図形化された複数の塗布ラインに限定されず、例えば、複数の平行な直線で形成しても良いし、点群で構成しても良い。この場合、各点が「図形」となる。また、塗布ラインは直線に限定されず、曲線又は直線と曲線の組み合わせで形成しても良い。
【0051】
<2>
樹脂供給機構21は、離型フィルムFに粉粒体状樹脂(樹脂材料の一例)を供給する装置で構成しても良い。この場合、粉粒体状樹脂が充填された容器が上述の樹脂ローダ12により、樹脂供給機構21まで移送される。そして、容器の底部開口に接続された振動トラフを介して、粉粒体状樹脂が離型フィルムFに供給される。
【0052】
<3>
上述した実施形態では、ノズルユニット23に予め液状樹脂が充填されていたが、樹脂充填ユニットを別途設けても良い。この場合、樹脂充填ユニットでは、容器の内部に所定量の液状樹脂を充填する。そして、樹脂ローダ12は、液状樹脂が充填された容器を樹脂供給機構21まで移送し、ディスペンサユニット24が容器から液状樹脂を吸引して、ノズル23bから離型フィルムF上の液状樹脂を供給する。
【0053】
<4>
一般的に基板Sのほぼ全領域に複数の半導体チップが等間隔で存在しているが、基板Sの一部に半導体チップが存在していない場合がある。そこで、半導体チップが存在していない部分を液切りポイントや調整ポイントとしても良い。
【0054】
<5>
上述した実施形態では、樹脂供給モジュール2の内部で離型フィルムF上に樹脂材料を供給したが、樹脂供給モジュール2は、樹脂供給モジュール2から離型フィルム供給機構22を離型フィルム供給モジュールとして分離し、2モジュール構成としても良い。
【0055】
<6>
上述した実施形態における基板Sは、円形状、矩形状等どの様な形状であっても良い。
【0056】
<7>
上述した実施形態における樹脂供給機構21の作動速度を補正する補正値は、1つの塗布ラインを複数に分割して、各分割ラインに設定できるように構成しても良い。
【0057】
<8>
上述した実施形態では、ダイダウンのコンプレッション方式で説明したが、ダイアップのコンプレッション方式として、基板等の成形対象物を、樹脂供給機構21において樹脂を供給する供給対象物としても良い。また、離型フィルムFを省略して成形型Mを、樹脂供給機構21において樹脂を供給する供給対象物としても良い。
【0058】
[上記実施形態の概要]
以下、上述の実施形態において説明した樹脂成形装置D、樹脂成形品の製造方法及び樹脂材料供給方法の概要について説明する。
【0059】
(1)樹脂成形装置Dの特徴構成は、供給対象物(離型フィルムF)に樹脂材料を供給する樹脂供給機構21と、上型UMと上型UMに対向する下型LMとを含む成形型Mと、供給対象物を上型UMと下型LMとの間に配置した状態で成形型Mを型締めする型締め機構35と、供給対象物に対する樹脂材料の供給入力に基づいて、樹脂材料の供給状態を図形化して表示する表示部6と、少なくとも樹脂供給機構21及び表示部6の作動を制御する制御部5と、を備えた点にある。
【0060】
本構成では、供給対象物に対する樹脂材料の供給入力に基づいて、樹脂材料の供給状態を図形化して表示するため、視覚的に樹脂材料の供給状態を把握することができる。つまり、供給対象物に対して供給する樹脂材料の平面位置等を入力するだけで、樹脂材料の供給状態を直感的に把握し、適正な供給量及び適正な供給位置となるように樹脂材料の理想的な供給パターンを設定することができる。その結果、型締め機構35で成形型Mを型締めした状態での成形時に、樹脂材料が下型キャビティMCからはみ出るといった不都合が解消され、成形対象物の種類に応じて樹脂材料が不足しがちな部位に重点的に樹脂材料を供給することが可能となる。このように、樹脂材料の供給パターンを容易に変更可能な樹脂成形装置Dを提供できた。
【0061】
(2)表示部6は、樹脂材料の供給状態に関する樹脂材料の重量及び長さを表示しても良い。
【0062】
本構成のように、樹脂材料の重量及び長さを表示すれば、適正な供給量及び適正な供給位置となるように樹脂材料の供給パターンを容易に変更することができる。
【0063】
(3)表示部6は、樹脂供給機構21の作動速度を補正する補正値を表示しても良い。
【0064】
ノズルユニット23の移動速度と樹脂材料の吐出速度とが一致していないと、設定どおりの塗布ラインを描くことができない。本構成のように樹脂供給機構21の作動速度を補正する補正値を表示すれば、設定どおりの塗布ラインを描くことができる。
【0065】
(4)表示部6は、樹脂供給機構21は、樹脂材料を吐出するノズル23bを含んでおり、表示部6は、樹脂供給機構21が供給対象物に対する樹脂材料の供給を一時停止した後にノズル23bを上下移動させる回数を表示しても良い。
【0066】
樹脂材料の粘性が高いほど、樹脂供給機構21における樹脂供給の一時停止後にノズル23bの糸引き状態が長く続くため、この糸引き状態が解消されるまでディスペンサユニット24の駆動を停止させることになり、生産性が低下してしまう。本構成のように、樹脂供給機構21が供給対象物に対する樹脂材料の供給を一時停止した後にノズル23bを上下移動させる回数を表示すれば、この回数を調整することで糸引き状態をより早く解消することができる。
【0067】
(5)表示部6は、ノズル23bを上下移動させる位置を表示しても良い。
【0068】
本構成のように、樹脂供給機構21が供給対象物に対する樹脂材料の供給を一時停止した後にノズル23bを上下移動させる位置を表示すれば、この位置を調整することで均一に樹脂材料を供給することができる。
【0069】
(6)表示部6は、樹脂供給機構21が供給対象物に対する樹脂材料の供給を完了した後に、不足分の樹脂材料を再度供給する位置を表示しても良い。
【0070】
本構成のように、樹脂供給機構21が供給対象物に対する樹脂材料の供給を完了した後に、不足分の樹脂材料を再度供給する位置を表示すれば、この位置を調整することで適正な供給量及び適正な供給位置となるように樹脂材料を供給することができる。
【0071】
(7)制御部5は、樹脂材料の物性および樹脂供給機構21のスペックに応じて、樹脂材料の供給状態に関する樹脂材料の重量及び長さを算出しても良い。
【0072】
樹脂材料の比重やノズル径等に応じて、樹脂材料の供給状態が変化する。そこで、本構成のように、樹脂材料の物性および樹脂供給機構21のスペックに応じて、供給状態に関する樹脂材料の重量及び長さを算出すれば、適正な供給量及び適正な供給位置となるように樹脂材料を供給することができる。
【0073】
(8)樹脂成形品の製造方法の特徴は、供給対象物(離型フィルムF)に対する樹脂材料の供給入力に基づいて、樹脂材料の供給状態を図形化して表示する表示ステップと、供給状態に基づいて、樹脂材料を供給対象物に供給する樹脂供給ステップと、樹脂供給ステップで供給された樹脂材料を用いて樹脂成形を行う樹脂成形ステップと、を含む点にある。
【0074】
本方法では、供給対象物に対する樹脂材料の供給入力に基づいて、樹脂材料の供給状態を図形化して表示するため、視覚的に樹脂材料の供給状態を把握することができる。つまり、供給対象物に対して供給する樹脂材料の平面位置等を入力するだけで、樹脂材料の供給状態を把握し、適正な供給量及び適正な供給位置となるように樹脂材料の理想的な供給パターンを設定することができる。その結果、成形対象物の種類に応じて樹脂材料が不足しがちな部位に重点的に樹脂材料を供給することが可能となる。このように、樹脂材料の供給パターンを容易に変更可能な樹脂成形品の製造方法を提供できた。
【0075】
(9)樹脂材料供給方法の特徴は、供給対象物(離型フィルムF)に対する樹脂材料の供給入力に基づいて、樹脂材料の供給状態を図形化して表示する表示ステップと、供給状態に基づいて、樹脂材料を供給対象物に供給する樹脂供給ステップと、を含む点にある。
【0076】
本方法では、供給対象物に対する樹脂材料の供給入力に基づいて、樹脂材料の供給状態を図形化して表示するため、視覚的に樹脂材料の供給状態を把握することができる。つまり、供給対象物に対して供給する樹脂材料の平面位置等を入力するだけで、樹脂材料の供給状態を把握し、適正な供給量及び適正な供給位置となるように樹脂材料の理想的な供給パターンを設定することができる。その結果、成形対象物の種類に応じて樹脂材料が不足しがちな部位に重点的に樹脂材料を供給することが可能となる。このように、樹脂材料の供給パターンを容易に変更可能な樹脂材料供給方法を提供できた。
【0077】
(10)上記樹脂材料供給方法は、樹脂材料の供給状態に関する樹脂材料の重量及び長さを算出する算出ステップを更に含んでいても良い。
【0078】
本方法のように、樹脂材料の重量及び長さを算出すれば、適正な供給量及び適正な供給位置となるように樹脂材料の供給パターンを容易に変更することができる。
【0079】
(11)上記樹脂材料供給方法は、樹脂供給ステップにおいて樹脂材料を吐出するノズルユニット23の移動速度を補正する補正ステップを更に含んでいても良い。
【0080】
ノズルユニット23の移動速度と樹脂材料の吐出速度とが一致していないと、設定どおりの塗布ラインを描くことができない。本方法のように樹脂材料を吐出するノズルユニット23の移動速度を補正すれば、設定どおりの塗布ラインを描くことができる。
【0081】
(12)上記樹脂材料供給方法は、樹脂供給ステップにおいて供給対象物に対する樹脂材料の供給を一時停止した後に、樹脂材料を吐出するノズルユニット23を供給対象物に平行な水平方向に往復移動させる往復移動ステップを更に含んでいても良い。
【0082】
樹脂供給ステップにおける樹脂供給の一時停止後、ノズルユニット23の残圧が解放されるまで、ノズル23bから吐出される残液により樹脂だまりが形成されるおそれがある。本方法のように、供給対象物に対する樹脂材料の供給を一時停止した後に、樹脂材料を吐出するノズルユニット23を供給対象物に平行な水平方向に往復移動させれば、樹脂だまりを防止することができる。
【0083】
なお、上述した実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
2 :樹脂供給モジュール
3 :圧縮成形モジュール
4 :搬送モジュール
5 :制御部
6 :表示部
21 :樹脂供給機構
23b :ノズル
35 :型締め機構
D :樹脂成形装置
F :離型フィルム(供給対象物)
LM :下型
M :成形型
UM :上型
図1
図2
図3
図4
図5
図6